JP6435202B2 - 筆記具用水性インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロカプセル顔料などの大粒子径の樹脂粒子を配合したボールペン、サインペンなどに好適な筆記具用水性インク組成物に関する。
従来において、マイクロカプセル顔料などの大粒子径の樹脂粒子を配合した筆記具用水性インク組成物においては、初筆性が低下するという課題が存在する。
この原因としては、樹脂粒子は比較的多量に配合する場合が多いので、水分の揮発による影響、すなわち、インク吐出部において樹脂粒子の凝集によるインク流動性の低下が起きやすいためと考えられている。
一方、ビシン〔N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン〕等を配合した筆記具用インク組成物としては、上記ビシンなどのアミノカルボン酸等を金属イオン封鎖剤(金属キレート剤)として用いた各々の水性ボールペン用インク組成物(例えば、特許文献1〜5参照)などが知られている。
しかしながら、上記各特許文献に記載の水性ボールペン用インク組成物などは、キレート作用によるものであり、本発明の樹脂粒子を含む筆記具用水性インク組成物においてインク吐出部における樹脂粒子の凝集によるインク流動性が低下するという発明の課題等とは異なるものである。
特開平10−316922号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2004−224892号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2006−206658号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2011−32413号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2011−32414号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、マイクロカプセル顔料などの大粒子径の樹脂粒子を多量に配合したボールペン、サインペンなどの筆記具用水性インク組成物において、インクの流動性を低下させることなく、初筆性に優れた筆記具用水性インク組成物及び筆記具を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、樹脂粒子を含む筆記具用水性インク組成物において、特定の化合物をインク組成物全量に対して特定量含有せしめることにより、上記目的の筆記具用水性インク組成物及び筆記具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 樹脂粒子を含む筆記具用水性インク組成物であって、少なくともビシン、トリシンから選ばれる化合物をインク組成物全量に対して0.1〜10質量%含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
(2) 水溶性有機溶剤の含有量がインク組成物全量に対して10質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用水性インク組成物。
(3) 前記樹脂粒子が色材であることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用水性インク組成物。
(4) 請求項1〜3の何れか一つの筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
本発明によれば、マイクロカプセル顔料などの大粒子径の樹脂粒子を配合したボールペン、サインペンなどの筆記具用水性インク組成物において、インクの流動性を低下させることなく、初筆性に優れた筆記具用水性インク組成物、及び、ボールペン、サインペンなどに好適な筆記具が提供される。
本発明の筆記具用水性インク組成物を収容したインクリフィルの一例を示す縦断面図である。 図1のインクリフィルにおけるボールペンチップのボールとボール受け座とのクリアランスを説明するためのボールペンチップの要部を縦断面態様で示す説明図である。 本発明の筆記具用水性インク組成物を収容したインクリフィルを搭載した水性ボールペンの一例を示す縦断面図である。 図3の水性ボールペンの正面図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、樹脂粒子を含む筆記具用水性インク組成物であって、少なくともビシン、トリシンから選ばれる化合物をインク組成物全量に対して、0.1〜10質量%含有することを特徴とするものである。
本発明に用いる樹脂粒子としては、例えば、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子、粒子内部に空隙のない中実樹脂粒子、着色樹脂粒子などが挙げられる。
これらの樹脂粒子の材質は特に限定されず、中空樹脂粒子、中実樹脂粒子では、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタンなどの単独重合体や、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などの2種以上のモノマーが共在している共重合体、これらの変性体などの固体の樹脂粒子を用いることができる。
また、これらの樹脂粒子の形状についても、球状(真球状、略球状、略楕円球状)、もしくはその形状も多角形状、扁平状等の異形の形状のものなどが使用できるが、球状の樹脂粒子の使用が好ましい。
用いることができる着色樹脂粒子は、着色された樹脂粒子から構成されるものであれば特に限定されず、例えば、1)樹脂粒子中にカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料などの顔料からなる着色剤が分散された着色樹脂粒子、2)樹脂粒子の表面が上記顔料からなる着色剤で被覆された着色樹脂粒子、3)樹脂粒子に直接染料、酸性染料、塩基性染料、食料染料、蛍光染料などの染料からなる着色剤が染着された着色樹脂粒子、4)ロイコ色素等を用いて熱変色性とした着色樹脂粒子、5)光変色性色素となるフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素等を用いて光変色性とした着色樹脂粒子などが挙げられる。
上記1)〜3)の着色樹脂粒子の樹脂成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン等の重合体もしくはこれらの共重合体、ベンゾグアナミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等から選択される少なくとも1種が挙げられ、必要に応じて架橋などの処理を行ったものであってもよい。これらの樹脂への着色方法としては、従来公知の懸濁重合、分散重合などの手法が用いられる。
上記4)の熱変色性の着色樹脂粒子としては、電子供与性染料であって、発色剤としての機能するロイコ色素と、該ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となる顕色剤及び上記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールすることができる変色温度調整剤を少なくとも含む熱変色性組成物を、所定の平均粒子径(例えば、0.2〜3μm)となるように、マイクロカプセル化することにより製造された熱変色性の着色樹脂粒子などを挙げることができる。なお、本発明(実施例等含む)で規定する「平均粒子径」は、粒度分析計〔マイクロトラックHRA9320−X100(日機装社製)〕にて、測定したD50の値である。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱攪拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、壁膜がウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂等となる樹脂原料を使用、例えば、アミノ樹脂溶液、具体的には、メチロールメラミン水溶液、尿素溶液、ベンゾグアナミン溶液などの各液を徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより熱変色性のマイクロカプセル顔料からなる熱変色性の着色樹脂粒子を製造することができる。この熱変色性の着色樹脂粒子では、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度、消色温度を好適な温度に設定することができる。
上記5)の光変色性の着色樹脂粒子としては、例えば、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、テルペンフェノール樹脂などの樹脂とにより構成される光変色性の着色樹脂粒子や、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、有機溶媒と、酸化防止剤、光安定剤、増感剤などの添加剤とを含む光変色性組成物を、所定の平均粒子径(例えば、0.2〜3μm)となるように、マイクロカプセル化することにより製造された光変色性の着色樹脂粒子などを挙げることができる。マイクロカプセル化法としては、上述の熱変色性の樹脂粒子の製造と同様に調製することができる。
この光変色性の着色樹脂粒子樹脂粒子は、フォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などを好適に用いることにより、例えば、室内照明環境(室内での白熱灯、蛍光灯、ランプ、白色LEDなどから選ばれる照明器具)において無色であり、紫外線照射環境(200〜400nm波長の照射、紫外線を含む太陽光での照射環境)で発色する性質を有するものとすることができる。
上記各樹脂粒子のうち、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子は、白色顔料として、上記1)〜5)の各着色樹脂粒子は、蛍光顔料、熱変色性顔料や光変色性顔料のマイクロカプセル顔料など(色材)として使用することができる。また、上記1)〜5)の各樹脂粒子は、公知の各製造法により製造した各樹脂粒子を使用することができ、市販品があれば、それらを使用してもよいものである。
これらの樹脂粒子の含有量は、樹脂粒子を色材として単独で使用する場合、着色のない樹脂粒子と色材となる着色樹脂粒子として併用したりする場合など、目的に応じてその量は変動する。例えば、隠蔽剤として用いる場合、目止め剤として用いる場合、着色剤として用いる場合では、それぞれ適切な含有量はあるが一様ではない。具体的には、初筆性の低下と樹脂粒子の含有量は概ね比例する傾向にあり、含有量が多いほど初筆性は低下しやすい。樹脂粒子(固形分量)の合計含有量がインク組成物全量に対して、5質量%以上(以下、「質量%」を「%」で略する)になると初筆性の低下が認められ、10%以上となるとより顕著となる。含有量の上限は、筆記性能や描線品位を考慮すると、30%以下とすることが望ましい。
また、樹脂粒子の平均粒子径についても、初筆性の低下と概ね比例する傾向にあり、樹脂粒子の平均粒子径が0.4μm以上であると初筆性の低下が認められ、1.0μm以上となるとより顕著になる。平均粒子径の上限は、筆記性能や描線品位を考慮すると、20μm以下とすることが望ましい。
本発明に用いるビシン、トリシンから選ばれる化合物は、初筆性向上剤として用いるものである。
ビシン(C13NO)は、別名、N−N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンであり、トリシンは(C13NO)は、別名、N−〔トリス(ヒドロキシエチル)メチル〕グリシンであり、これらは、従来、筆記具用インク中において金属イオン封鎖剤として作用するものであるが、本発明では、上述の樹脂粒子を多量に(5%以上)配合した筆記具用水性インク系において、インク吐出部において樹脂粒子の凝集によるインク流動性の低下を防止して初筆性能を向上せしめるために用いるものである。
用いるビシン、トリシンはそれぞれ単独で、又は併用しても良いものである。
これらのビシン、トリシンから選ばれる化合物の合計含有量は、インク組成物全量に対して、0.1〜10%、好ましくは、0.3〜5%とすることが望ましい。
この含有量が0.1%未満であると、本発明の効果を発揮することができず、一方、10%を超えると、インクの経時安定性が低下するため、好ましくない。
本発明の筆記具用水性インク組成物において、上記樹脂粒子や、ビシン、トリシンから選ばれる化合物の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)、また、他の色材や各筆記具用(ボールペン用、サインペン用、マーキングペン用等)の用途に応じて、通常用いられる各成分、例えば、水溶性有機溶剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤、pH調整剤などを本発明の効果を損なわない範囲で、適宜量含有することができる。
用いることができる他の色材としては、筆記具用水性インク組成物に慣用されている顔料及び/又は水溶性染料が挙げられる。顔料としては、無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用することができる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラックや、酸化チタン、金属粉等が挙げられる。また、有機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔 料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも用いることができる。
これらの色材は、単独で、又は2種以上を混合して適宜量用いることができる。
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、目的によって変動する。例えば、書き味の向上、ペン先での乾燥防止を目的とする場合は、10%を超える量とすることが好ましい。
一方、平均粒子径が大きい樹脂粒子を含むインクを用いた筆記具は、インクの流量を多くする場合が多い。そうすると描線乾燥性が低下するという課題が生じやすい。したがって、筆記具としての全体的な性能を損なわない範囲で含有量を少なくすることが望ましい。
インク組成物全量に対して、好ましくは、上記の点から、10%以下、更に好ましくは、5〜10%とすることが望ましい。
用いることができる増粘剤としては、例えば、合成高分子、セルロースおよび多糖類からなる群から選ばれた少なくとも一種が望ましい。具体的には、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレシオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、架橋型アクリル酸重合体及びその塩、非架橋型アクリル酸重合体及びその塩、スチレンアクリル酸共重合体及びその塩などが挙げられる。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンゾイソチアゾリン、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルホリン、トリエチルアミン等のアミン化合物、アンモニア等が挙げられる。
この筆記具用水性インク組成物を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、上記樹脂粒子、他の色材、ビシン、トリシンの他、上記水性における各成分を所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよい。
このように構成される本発明の筆記具用水性インク組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に備えたサインペン体、マーキングペン体や、ボールペンチップを筆記先端部に備えたボールペン体などに搭載して使用に供される。
図1〜4は、本発明の筆記具用水性インク組成物を、金属チップ、樹脂チップなどのボールペンチップを備えたインクリフィル、並びに、ボールペンに搭載して使用に供する場合の一例を示す各図面である。
本発明の筆記具用水性インク組成物を収容したインクリフィル10としては、例えば、図1に示すように、ボールペンチップ15と、継手部材14と、インク収容管11とから構成されるものが挙げられる。インク収容管11は、ポリプロピレン製などの樹脂製の管であり、その内部には本発明の筆記具用水性インク組成物12が収容されており、更に、このインク組成物12の後端にはインク追従体13が収容されている。
インクリフィル10の先端部には、継手部材14を介してボールペンチップ15が装着されている。このボールペンチップ15は、図1及び図2に示すように、ホルダー16と、これに抱持される超硬合金製の筆記ボール17とによって構成されている。ホルダー16は、円柱状に形成され、その先端側が先細形状のボール保持部となるテーパー部16aと、後端側の外周が小径となっている連結部16bと、ホルダー後端からテーパー部16aの中途部分までの内部空間として形成されたバック孔16cとで構成されている。筆記ボール17を受けるホルダー16の先端部分は、図2に示すように、ボールハウス16d、筆記ボール17を抱持するカシメ部16e、バック孔16cに連通するインク誘導孔16f及びインク溝16g、ボール受け座16hが形成されている。
この筆記具の実施形態において、ボールペンチップ15の筆記ボール17とボール受け座16hとのクリアランス、すなわち、筆記ボール17の軸方向(上下方向)の移動距離Lは、インク直流の防止の点、大粒子径の樹脂粒子を含むインクを適切に吐出させる点、初筆性を確保する点から、15〜80μmとすることが好ましい。また、筆記ボール17の表面の粗さは、大粒子径の樹脂粒子を含むインクを適切に転写する点、初筆性を確保する点から、1〜5nmとすることが好ましい。なお、本発明で規定する「表面の粗さ」は、JIS B 0601:2013で規定される方法により測定される「表面の平均粗さRa値」をいう。
このインクリフィル10は、例えば、図3及び図4に示すような、ノック式の水性ボールペン20に搭載され、使用に供されるものとなる。このノック式の水性ボールペン20は、三本(黒色、赤色、青色)の水性ボールペン用のインクリフィル10を先軸21と後軸22とが螺合により着脱自在となる軸筒23の軸先24から、夫々の筆記先端部を選択的に出没可能とした複式の水性ボールペンである。この水性ボールペン20のノック機構30は、各3本の水性ボールペン用チューブ10…を着脱可能に嵌着すると共に、リターンスプリングとなるバネ31…を挿通したノック体32…を備えたものであり、ノック体32の一つを下方にノックすることにより選択的に出没可能とし、使用に供することとなっている。図示符号25はゴム部材やエラストマー部材から構成されるグリップ部であり、26はクリップ部である。なお、インクリフィル10の内径(直径)は、1.5〜3.0mm、インク追従体の充填長は5〜20mmに設定されるものが好ましく、また、ノック機構を構成するリターンスプリングであるバネ31としては、上記好ましい範囲となるバネ乗数、使用時加重、収納時加重のものが用いられる。更に、図3及び図4では、複式の水性ボールペンとしたが、単式の水性ボールペンとしてもよいものである。
このように構成される本発明の筆記具用水性インク組成物が、何故、マイクロカプセル顔料など大粒子径の樹脂粒子を配合したボールペン、サインペンなどの筆記具用水性インク組成物において、インクの流動性を低下させることなく、初筆性に優れた性能を有するかは、詳しくは不明だが、粒子の表面に存在することで水分の揮発を抑制、更には粒子同士の凝集を抑制するためと推測される。
本発明の筆記具用水性インク組成物及びこれを搭載した筆記具では、本発明の効果を発揮せしめる持続効果が極めて優れており、しかも、その効果の発現期間・持続時間も長く、更に水溶性であるために経時的な安定性にも優れたものとなる。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜9及び比較例1〜6〕
下記表1及び表2に示す配合処方にしたがって、常法により各筆記具用水性インク組成物を調製した。
表1及び表2中において、色材の欄における蛍光顔料A、B、着色ウレタン粒子、熱変色性顔料、光変色性顔料は、着色樹脂粒子を色材として用いたものである。また、熱変色性顔料、光変色性顔料は、下記各製法によりマイクロカプセル化したマイクロカプセル顔料粒子として調製したものである。
(熱変色性顔料の製造)
ロイコ色素として、メチル−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン1部、顕色剤として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン2部、及び変色性温度調整剤として、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート24部を100℃に加熱溶融して、均質な組成物27部を得た。
上記で得た組成物27部の均一な熱溶液を、保護コロイド剤として、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合樹脂〔ガンツレッツAN−179:ISP(株)社製〕40部をNaOHにてpH4に溶解させた90℃の水溶液100部中に徐々に添加しながら、加熱攪拌して直径約0.5〜1.0μmの油滴状に分散させ、次いでカプセル膜剤として、メラミン樹脂(スミテックスレジンM−3、(株)住友化学製)20部を徐々に添加し、90℃で30分間加熱してマイクロカプセル化を行い、膜剤がメラミン樹脂からなる可逆感温変色性ヒステリシス組成物のマイクロカプセル分散液を得た。この分散液を常温に冷却後、酸添加、濾別、水洗を行い、スプレードライ機を用いて乾燥することにより、着色樹脂粒子となる平均粒子径が0.55μmとなるパウダー状の熱変色性マイクロカプセル顔料粒子を得た。色相は、発色状態においては濃厚な青色を呈し、摩擦熱等の熱(例えば、60℃以上)で消色するものであった。
(光変色性顔料の製造)
光変色性色素として、1,3,3−トリメチルインドリノ−6’−(1−ピペリジニル)スピロナフソザジン3部、ジエチレングリコールジベンゾエート10部、およびメチルエチルケトン10部を80℃に加熱溶融して、均質な組成物23部を得た。
上記で得た組成物23部の均一な熱溶液にカプセル膜剤として、イソシアネート10部及びポリオール10部を加えて攪拌混合した。次いで、保護コロイドとして12%ポリビニルアルコール水溶液60部を用いて、25℃で乳化して分散液を調製した。次いで、5%の多価アミン5部を用いて、80℃で60分間処理してマイクロカプセルを得た。
以上の手順により得たマイクロカプセル化した水分散体をスプレードライすることでパウダー状にして平均粒子径1.8μmの光変色性マイクロカプセル顔料粒子を得た。
この光変色性マイクロカプセル顔料粒子は、室内照明環境において無色であり、紫外線照射環境〔太陽光およびブラックライト(315〜400nm)〕で赤色に発色する性質を有するものであった。
得られた各筆記具用水性インク組成物(全量100質量%)について、下記方法により初筆性、描線乾燥性の評価を行った。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
(初筆性の評価方法)
実施例1〜5及び7〜9で得られた各インク組成物を用いて水性ボールペンを作製した。具体的には、ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:UF−202〕の軸を使用し、内径3.8mm、長さ90mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるインクリフィルに上記各水性インク組成物を充填し、インク後端に鉱油を主成分とするインク追従体を装填し、水性ボールペン(各5本)を作製した。なお、クリアランス(L)は、30μmであり、筆記ボール表面の平均粗さRaは、3nmであった。
また、実施例6では、マーキングペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:PUS−102T〕に得られた各ボールペン用水性インク組成物を充填して、マーキングペン(各5本)を作製した。
これらの水性ボールペン、マーキングペンを用いて、キャップをしない状態で、25℃、60%RH下で1時間放置後、PPC用紙に直線を筆記し、下記評価基準で初筆性を評価した。
評価基準:
○:書き始めから問題なく筆記可能
△:書き始めから1mm未満のカスレが確認される
×:書き始めから1mm以上のカスレが確認される
(描線乾燥性の評価方法)
上記で作製した水性ボールペン、マーキングペンを用いて、25℃、60%RH下で、PPC用紙に「三菱鉛筆」と筆記した直後から一定時間後に、質量50gの錘を載せたキムワイプで描線を擦り、描線状態に異常がないかを下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:3秒以内
△:3〜6秒
×:6秒以上
Figure 0006435202
Figure 0006435202
上記表1及び表2において、実施例1〜6と比較例1〜6とはそれぞれ比較対照となる蛍光、熱変色性、光変色性などの筆記具(ボールペン、マーキングペン)であり、実施例7〜8は、実施例1、2に準拠し、ビシン、トリシンの含有量の下限、上限となる付近での実施例であり、実施例9は実施例3に準拠し、水溶性有機溶剤の含有量を多くした場合の実施例である。
これらの本発明となる実施例1〜9の各筆記具用水性インク組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜6の各筆記具用水性インク組成物に較べて、初筆性及び描線乾燥性に優れる筆記具用水性インク組成物であることが判明した。
水性のボールペン、マーキングペン、サインペンなどに好適な筆記具用水性インク組成物が得られる。
10 インクリフィル
15 ボールペンチップ
16 ホルダー
17 筆記ボール

Claims (4)

  1. 樹脂粒子を含む筆記具用水性インク組成物であって、少なくともビシン、トリシンから選ばれる化合物をインク組成物全量に対して0.1〜10質量%含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
  2. 水溶性有機溶剤の含有量がインク組成物全量に対して10質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用水性インク組成物。
  3. 前記樹脂粒子が色材であることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用水性インク組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか一つの筆記具用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする筆記具。
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