JP7145605B2 - 筆記具 - Google Patents
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そこで筆跡乾燥性を良化するべく、顔料インキにおける顔料分散剤と水溶性有機溶剤のSP値及び蒸気圧を規定する技術や、特定の乾燥性向上剤を少量添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
一般的に、通常の筆記用紙に形成した筆跡に速乾性を付与するためには、インキに対して紙面上からの蒸発速度と、紙面内への浸透速度を向上させることが行われるが、前記特許文献1では、水溶性有機溶剤がSP値を20~30MPa1/2とすることで顔料の分散性を維持し、蒸気圧を3~100mmHgとすることで低浸透面からの乾燥性を付与しているため、通常の浸透性筆記用紙へ使用した際には、着色剤として用いられる顔料と水溶性有機溶剤が紙面に浸透し難く、速乾性としては十分な効果が得られないものであった。
また、前記特許文献2では、ブチルセロソルブ又はブチルカルビトールをインキ中に0.1~2.5重量%添加して表面張力を16~45mN/mに調整し、インキ吐出量を下げることで、筆跡が裏抜けを生じることなく描線乾燥性を発現するという技術である。
しかしながら、前記材料の添加量が少ないため、インキ吐出量が多い場合には若干の乾燥性は付与できるものの、速乾性とよべる十分な効果は得られないものであった。
更に、前記速乾性を付与した際の筆跡に生じ易いボテの発生を確実に抑制し、より美しい筆跡が形成できる筆記具を提供するものである。
更に、前記曳糸性付与剤が、分子量10万以上のポリアクリルアミドであること、前記水溶性有機溶剤が水性インキ組成物中に0.5~20質量%の範囲で配合されること、前記水溶性有機溶剤がグリコールエーテル又はアルコールであること、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール誘導体から選ばれる補助溶剤が併用されることを要件とする。
更に、前記水性インキ組成物中にノニオン系、アニオン系、両性のいずれかの界面活性剤を含むこと、前記界面活性剤が、10%水溶液における表面張力が30mN/m以下であること、前記界面活性剤が、アルキルコハク酸類であることを要件とする。
更に、前記水性インキ組成物の粘度比率が10rpm/100rpmにおいて2以下であることを要件とする。
更には、ボールペン形態であることを要件とし、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、更に軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるインキ流量調節部材を備えてなることを要件とする。
更に、前記効果を付与した際の筆跡に生じ易いボテの発生を確実に抑制することができるため、より美しい筆跡が形成できる優れた筆記具となる。
前記染料としては、水性系媒体に溶解可能な酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL-E、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
尚、前記顔料を分散する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン、カゼイン等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
また、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型光輝性顔料等を使用することもできる。
更に、熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(加熱消色型顔料)や、熱変色性組成物と共に、染料や顔料を内包したマイクロカプセル顔料等の熱変色性顔料を使用することもできる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8~50℃)を示すものや、特開2006-137886号公報、特開2006-188660号公報、特開2008-45062号公報、特開2008-280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち-50~0℃、好ましくは-40~-5℃、より好ましくは-30~-10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50~95℃、好ましくは50~90℃、より好ましくは60~80℃の範囲に特定し、ΔH値を40~100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
JIS P3201に規定される筆記用紙A等の汎用の浸透性用紙は、通常、塗布されたインキの滲みを抑制するために添加剤が配合されており、この添加剤のSP値が9~12程度であるため、本発明範囲のSP値を満たすものは浸透効果が高くなる。その結果、紙面に残る溶剤量も少なくなるため、残量の蒸発速度が早まることから、浸透、蒸発を利用して効果的な筆跡乾燥性が得られる。
前記範囲を外れるものは、インキ吐出量が多い場合に速乾性が得られず、筆記直後に指先等が接触した際にインキが付着して紙面を汚す虞がある。尚、本発明では、HansenのSP値を用いる。
前記SP値の水溶性有機溶剤は、水性インキ組成物中に0.5~20質量%、好ましくは1~15質量%の範囲で配合されることで特に高い効果が発現されるためより好ましい。
具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.2)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(SP値9.4)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値9.1)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値11.2)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値9.1)、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル(SP値9.0)、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル(SP値9.2)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(SP値9.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値9.5)、2-エチルヘキサノール(SP値9.5)、3-メトキシ-3-メチルブタノール(SP値9.3)、ヘキシレングリコール(SP値10.5)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.7)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値11.2)、フェニルグリコール(SP値11.5)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(SP値9.4)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(SP値8.9)、トリエチレングリコールモノブチルメチルエーテル(SP値8.9)等が例示できる。
尚、本発明における水溶性とは、20℃における水100gへの溶解度が10g以上である。
中でも、グリセリンやプロピレングリコール、更に、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のエチレングリコール誘導体から選ばれる溶剤は、主溶剤と併用した際にキャップオフ性能を向上させる効果が高いため、より有用である。
低粘度で吐出量が多いインキに対して前記溶剤を用いて速乾性を付与した場合、ボールペンのペン先の種類や設定等の条件によって、ボテ(筆記時に紙に転写されなかった余剰インキがボール周りに溜まって大きくなった後に筆跡上に付着する現象)を発生することがあるため、前記ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれか一種以上を用いることで、インキ吐出量が多くても高い速乾性を維持したままボテの発生を制御することができるため、より美しい筆跡が形成できるボールペンを構成できる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、n-アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩類、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩類、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩類等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
前記界面活性剤のうち、特に高い効果を発現するものの具体的な構造としては、グリコールエーテル骨格を有するものや、アルキルコハク酸類が挙げられる。
前記曳糸性付与剤は前述のインキ組成物中で、筆跡として紙面上に載置された余剰インキを糸引き現象によりボールペンチップに引き戻すように作用する。そのため、余剰インキの集合体であるボテの発生を使用条件によらず確実に抑制することができる。更に、紙面に浸透しない余分なインキが筆跡に残らないため、優れた即乾性を維持したまま、均一な筆跡形成が可能なものとなる。
特に、前記曳糸性付与剤として、分子量10万以上のポリアクリルアミドが極めて高い効果を長期的に発現するため最も有用である。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N-アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β-アラニン型界面活性剤、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α-リポ酸、N-アシル-L-グルタミン酸とL-リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
また、N-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー、N-ビニル-2-ピペリドンのオリゴマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム、N-ビニル-ε-カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
更に、本発明の数値範囲内となる範囲で、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム等の剪断減粘性付与剤を添加することも可能である。
具体的には、100rpmでの粘度が1~20mPa・s(20℃)の範囲にある低粘度の水性インキ、より好適には、水性インキ組成物の粘度比率が10rpm/100rpmにおいて2以下である低粘度の非剪断減粘性インキで有効である。
尚、剪断減粘性指数〔粘度計による剪断応力値(T)及び剪断速度(j)値の流動学的測定により導かれる、実験式(T=Kjn:但し、Kは計算された定数である)を適用して計算されるn値〕としては、0.9~1.0、好ましくは0.91~0.99の範囲の低剪断減粘~非剪断減粘のインキである。
また、ペン先を1本備えるものの他、太さや形状の異なるペン先を軸筒の両端に備えた両頭式形態であってもよい。尚、前記両頭式形態においては、一端をボールペンとしたものであってもよい。
特に、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、更に軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるインキ流量調節部材を備えるものは、収容するインキの粘度等の物性がシビアになり、通常は速乾性が得られ難いことから、本発明の構成が特に有効となる。
ここで、「単位面積当たりのインキ消費量値」とは、「単位長さ当たりのインキ消費量値」を、「描線幅」で除することによって求められる値をいう。また、「単位長さ当たりのインキ消費量値」とは、ISO規格による単位長さ当たりのインキ消費量値をいう。
この単位長さ当たりのインキ消費量値は、ISO規格14145-1に準拠した筆記試験機を用い、所定の条件(例えば、筆記速度4m/分、筆記角度70°、筆記負荷100gの条件)で測定することができる。
前記「描線幅」とは、紙面上などに描かれる描線の幅をいう。
この描線幅は、紙質によって異なるが、例えば、ISO規格14145-1に準拠した筆記試験用紙に描いた場合には、ボールの直径が1.0mmであれば0.47mm程度となる。
前記インキ消費量は、インキ吐出量が多い条件となるため、カスレ等を生じることなく高濃度の筆跡が形成できるものとなるが、通常は乾燥性に劣る。本発明の構成によって、インキ吐出量が多い筆跡においても速乾性が得られるという、相反する効果が得られる。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック191L(固形分:15%)
(2)住友化学工業(株)製、商品名:アシッドブルーPG
(3)冨士色素(株)製、商品名:フジSPブラック8065(固形分:25%)
(4)二葉産業(株)製、商品名:F6312
(5)第一工業製薬(株)製、商品名:ハイテノールNF-08
(6)ロンザジャパン社製、商品名:プロキセルXL-2
(7)λ-カラギーナン
(8)三晶(株)製、商品名:ケルザン
(9)プロピレングリコール-n-プロピルエーテル(SP値:9.4)
(10)2-メチルペンタン-1,3-ジオール(SP値:10.3)
(11)ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(SP値8.9)
(12)トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値11.2)
(13)エタノール(SP値:12.7)
(14)エチレングリコール(SP値:14.6)
(15)ポリエチレングリコール(平均分子量:200)
(16)プロピレングリコール
(17)アニオン系界面活性剤:ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(10%水溶液における表面張力:25mN/m)、日油(株)製、商品名:ラピゾールA-30
(18)ノニオン系界面活性剤:2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(10%水溶液における表面張力:29mN/m)、日新化学工業(株)製、商品名:サーフィノール465
(19)ノニオン系界面活性剤:アセチレングリコールPOE付加物(10%水溶液における表面張力:28mN/m)、川研ファインケミカル(株)製、商品名:アセチレノールE100
(20)両性界面活性剤:アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン(10%水溶液における表面張力:26mN/m)、三洋化成工業(株)製、商品名:レボン105
(21)ポリアクリルアミド(分子量50万~200万)、三洋化成工業(株)製、商品名:サンフロックNOP
(22)ポリアクリルアミド(分子量1000万)、三洋化成工業(株)製、商品名:サンフロックN-500P
前記実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、20℃でディスパーにて1時間攪拌した後、濾過することで筆記具インキ組成物を得た。尚、増粘剤と剪断減粘性付与剤を含むものは、これらを除く各原料を混合し、前記条件で攪拌した後、これらを加えて更に1時間攪拌することで筆記具インキ組成物を得た。
直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップを備えたペン芯(櫛歯状インキ貯溜体)が軸筒前方(開口側)に嵌合されることで、後方(封鎖側)をインキ貯蔵部とするペン芯式筆記具外装に前記インキ組成物(実施例1、2、4及び比較例1~3)を充填し、キャップを嵌合することでボールペンAを作製した。
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップが透明ポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィル内に、前記インキ組成物(実施例3、5、7~11及び比較例4、6~9)を充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、キャップを装着することでボールペンBを作製した。
前記インキ組成物(実施例6及び比較例5)を軸筒内のインキ吸蔵体に充填し、先端部にインキ吸蔵体と連通するアクリル繊維束を樹脂で結着した砲弾型チップ(筆跡幅:0.6mm)を設け、キャップを嵌合することでマーキングペンを作製した。
筆記試験
筆記可能であることを確認した各筆記具を、室温にてレポート用紙(JIS P3201筆記用紙A)に手書きで「永」の文字を筆記し、10秒後にその筆跡を親指で一方向に擦った。その際の筆跡の状態を目視により確認した。
キャップオフ試験
筆記可能であることを確認した各筆記具のキャップを外して、ペン先が空気中に晒された状態とし、横置き状態で20℃の環境下で7日間放置した後、室温にてレポート用紙(JIS P3201筆記用紙A)に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した。その際の筆跡状態を目視により確認した。
ボテ確認試験
筆記可能であることを確認した各ボールペンBを用いて、5℃と20℃の環境下で自動筆記試験機にて、JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記(100m)し、筆跡の状態を目視により観察した。尚、前記試験機は、筆記荷重100g、筆記角度65°、筆記速度4m/分の条件で使用した。
各試験の結果を以下表3及び表4に示す。
筆記試験
○:周囲を汚すことなく良好な筆跡を示した。
△:筆跡の一部周辺に汚れが発生した。
×:乾きが悪く筆跡周辺全体に汚れが発生した。
キャップオフ試験
◎:カスレや線飛びを生じることなく良好な筆跡が得られる。
○:1丸以内で良好な筆跡が得られる。
△:複数のカスレや線飛びを生じるが筆記できる。
×:筆記不能。
ボテ確認試験
◎:ボテがなく、良好な筆跡が得られる。
○:ボテが見られるが実用上問題ないレベルである。
△:複数のボテが見られるが使用可能なレベルである。
×:ボテがひどく実用性に乏しい。
Claims (9)
- 染料と水と溶解度パラメーター(SP値)が8以上12未満である水溶性有機溶剤とグリコールエーテル骨格を有する界面活性剤と、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、アルキル酸-メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロース及びその誘導体から選ばれる曳糸性付与剤とから少なくともなり、100rpmでの粘度が1~20mPa・s(20℃)の範囲にある水性インキ組成物を内蔵し、筆記用紙Aに速度4m/分で筆記した際の単位面積当たりのインキ消費量が0.003mg/mm2以上であることを特徴とする筆記具。
- 前記曳糸性付与剤が、分子量10万以上のポリアクリルアミドである請求項1に記載の筆記具。
- 前記水溶性有機溶剤が水性インキ組成物中に0.5~20質量%の範囲で配合される請求項1又は2に記載の筆記具。
- 前記水溶性有機溶剤がグリコールエーテル又はアルコールである請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具。
- グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール誘導体から選ばれる補助溶剤が併用される請求項4記載の筆記具。
- 前記界面活性剤が、10%水溶液における表面張力が30mN/m以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の筆記具。
- 前記水性インキ組成物の粘度比率が10rpm/100rpmにおいて2以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の筆記具。
- ボールペン形態である請求項1乃至7のいずれかに記載の筆記具。
- 多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝及び該溝より太幅の通気溝が設けられ、更に軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるインキ流量調節部材を備えてなる請求項8記載の筆記具。
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