JP2007297448A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペンレフィル、ボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水と、着色剤と、水溶性有機溶剤と、ポリアクリルアミドを含有してなり、粘度が1〜20mPa・sの範囲にあり、且つ、剪断減粘性指数が0.9〜1.0の範囲にあるボールペン用水性インキ組成物、及び、それを内蔵したボールペンレフィル、ボールペン。
【選択図】 図2
Description
前記ボールペン用水性インキはペン先を露出した状態における耐乾燥性が重要であり、ペン先乾燥防止剤として尿素及び/又はその誘導体の増量等が試みられてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、尿素及び/又は尿素誘導体は吸水性能の高さが耐乾燥性を発現させるため、これらの化合物を過剰に添加したインキは高湿度条件下で放置した場合、ペン先部分において局部的に水分を吸収することになる。そのため、ボールペンにこのようなインキを適用した場合、水分吸収によりペン先部分のインキ粘度が低下し、インキがペン先部分に溜まる「垂れ下がり」、或いは溜まったインキが落下する「ボタ落ち」現象が発生してしまう。
更には前記ポリアクリルアミドをインキ組成物中0.001〜0.1重量%の範囲で含有してなること、前記着色剤が染料であること等を要件とする。
更には、前記ボールペン用水性インキ組成物を、ボールを抱持したボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に内蔵し、且つ、インキ組成物後端面にインキ逆流防止体を配設したボールペンレフィル、前記ボールペンレフィルを軸筒内に収容し、キャップを備えたボールペン、或いは、前記ボールペンレフィルを軸筒内に収容し、軸筒の先端孔からボールペンチップを出没可能に構成した出没式ボールペンを要件とする。
また、耐乾燥性については、ペン先で前記ポリアクリルアミドがボールペンチップ先端部で被膜を形成してインキの蒸発を抑制し、筆記時の衝撃により被膜が破壊されてインキ出が回復するものと推察される。
前記ポリアクリルアミドとしては、三洋化成(株)製、商品名:サンフロックAH−210P、サンフロックAL−310、サンフロックN−OP等が使用できる。
前記ポリアクリルアミドとしては、曳糸性を有し、0.2%水溶液の粘度が50〜1500mPa・sのものがより好適である。
酸性染料としては、
ニューコクシン(C.I.16255)、
タートラジン(C.I.19140)、
アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、
ギニアグリーン(C.I.42085)、
ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、
アシッドバイオレット6BN(C.I.43525)、
ソルブルブルー(C.I.42755)、
ナフタレングリーン(C.I.44025)、
エオシン(C.I.45380)、
フロキシン(C.I.45410)、
エリスロシン(C.I.45430)、
ニグロシン(C.I.50420)、
アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
クリソイジン(C.I.11270)、
メチルバイオレットFN(C.I.42535)、
クリスタルバイオレット(C.I.42555)、
マラカイトグリーン(C.I.42000)、
ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、
ローダミンB(C.I.45170)、
アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、
メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
コンゴーレッド(C.I.22120)、
ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、
バイオレットBB(C.I.27905)、
ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、
カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、
ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、
フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記着色剤として染料を用いた場合、キャップを要しないノック式のボールペンに適用する系ではドライアップが顕著であり、耐ドライアップ性能は重要な要件となる。
C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black A25 、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕が挙げられる。
前記金属光沢顔料としては、アルミニウムや真鍮等の金属粉、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、金属蒸着膜の片面又は両面に透明又は着色透明フィルムを設けた金属光沢フィルム片を細かく裁断したもの、透明性樹脂層を複数積層した虹彩性フィルムを細かく裁断したものを例示できる。
なお、前記アルミニウムや真鍮等の金属粉を用いる場合、前記金属粉の表面を透明性樹脂や着色透明性樹脂で被覆したものが好適に用いられ、インキ組成物中での安定性に優れる。
前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の非イオン性高分子等が用いられる。
前記水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を併用することもできる。
その他、必要に応じてpH調整剤、防錆剤、防腐剤或いは防黴剤、潤滑剤、湿潤剤を添加することができる。
前記pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等が挙げられる。
前記防錆剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、サポニン、ジアルキルチオ尿素等が挙げられる。
前記防腐剤或いは防黴剤としては、石炭酸、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
前記潤滑剤としては、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
前記湿潤剤としては、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。
その他、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤を添加することもできる。
更に、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を用いることもできる。
インキの剪断減粘性とは静止状態あるいは応力の低い時は高粘度で流動し難い性質を有し、応力が増大すると低粘度化して良流動性を示すレオロジー特性を言うものであり、チクソトロピー性あるいは擬似可塑性とも呼ばれる液性を意味している。よって、インキ組成物は筆記時の高剪断応力下においては三次元構造が一時的に破壊されインキの粘度が低下し、筆記先端部のインキは筆記に適した低粘度インキとなり、紙面に転移される。非筆記時にはインキの粘度が高くなり、インキの漏出を防止したり、インキの分離、逆流を防ぐことができる。又、インキ物性を経時的に安定に保つことができる。
前記粘度が20mPa・sを超えると、筆記によるインキの追従性を満足させ難く、特に高速で筆記した際の筆跡にかすれを生じ易くなる。
また、剪断減粘指数が0.9未満では、筆記感に劣ると共に、初期の書き出し時にはインキがボールに転移し難い。
更に、前記剪断減粘指数が0.9未満のインキによる筆跡は乾き難く、指触や紙同士の擦過によって被筆記面の空白部分に転移して汚染しがちである。
前記した粘度及び剪断減粘指数を満たすことにより、垂れ下がりと耐乾燥性を満足させる他、筆記性能、即ち、筆記感、初期書き出し、筆跡の乾燥性や良好な筆跡の形成を満足させることができる。
また、ボールペンチップを備えたインキ収容管内にインキ組成物を内蔵し、さらにインキの端面にインキ逆流防止体を配接したボールペンレフィルを軸筒内に収容してなり、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を備えた、前記軸筒の先端孔からボールペンチップを出没可能に構成した出没式ボールペンであってもよい。
前記ボールペンチップに抱持されるボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の外径0.1〜2.0mm、好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.4〜1.0mmのボールが有効であり、前記チップのボール抱持部の内径とボールとの径方向の可動距離は10〜50μm、ボールの軸方向の可動距離は10〜30μmの範囲であることが好ましい。
なお、前記ボールペンチップには、チップ内にボールの後端を前方に弾発する弾発部材を配して、非筆記時にはチップ先端の内縁にボールを押圧させて密接状態とし、筆記時には筆圧によりボールを後退させてインキを流出可能に構成することが好ましく、不使用時のインキ漏れを抑制できる。
前記弾発部材は、金属細線のスプリング、前記スプリングの一端にストレート部(ロッド部)を備えたもの、線状プラスチック加工体等を例示でき、10〜40gの弾発力により、押圧可能に構成して適用される。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ逆流防止体は不揮発性液体及び/又は難揮発性液体(基油)からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記インキ逆流防止体の基油としては、ポリブテン又はシリコーン油が好適に用いられ、増粘剤としては脂肪酸アマイド又はシリカが好適に用いられる。
なお、インキ逆流防止体には、樹脂製の固体栓を併用することもできる。
なお,表中の組成の数値は重量部を示す。
各実施例、比較例のインキ粘度は20℃でB型回転粘度計〔東京計器(株)製、BLアダプター使用〕を用いて、60rpmにて測定した。
各実施例、比較例のインキの剪断減粘指数(n)は20℃でE型粘度計〔東京計器(株)製〕を用いてインキ粘度を測定して算出した。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:フィスコブラック886、有効成分15%
(2)アイゼン保土谷(株)製、C.I.45410、商品名:フロキシン
(3)住友化学工業(株)製、C.I.42655、商品名:アシッドブルーPG
(4)三洋化成(株)製、商品名:サンフロックAH−210P
(5)三洋化成(株)製、商品名:サンフロックAL−310P
(6)三洋化成(株)製、商品名:サンフロックN−OP
(7)太陽化学(株)製、商品名:サンカラ634
(8)BASF社製、商品名:ルビスコールK−30
(9)1,2−ベンズチアゾリン−3−オン、アビシア(株)製、商品名:プロキセルXL−2
(10)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルリン酸モノエステル及びジエステル混合物
ボールペンレフィル1は、先端部に直径0.7mmのボール3を回転可能に抱持したボールペンチップ2と、該ボールペンチップ2が前部に固着された接続部材5と、該接続部材5が先端開口部に固着され、且つ、内部にインキ61及びインキ逆流防止体62が収容されたインキ収容管6と、該インキ収容管6の後端開口部に固着された尾栓7と、前記ボールペンチップ2及び接続部材5の内部に収容され、ボール3を前方に付勢する弾発部材4(コイルスプリング)とからなる。
前記インキ61は各実施例、比較例に記載されたものが使用される。
前記インキ逆流防止体62は基油としてポリブテン、増粘剤として脂肪酸アマイドを混練したインキ逆流防止体である。
前記弾発部材4は、ロッド部41と後部のコイル部42とからなり、コイル部42の後端部には、コイルの外径より大きい外径を有する膨出部43が形成される。
前記膨出部43は、前記接続部材5の内面の係止突起51に係止される。
前記尾栓7には、前後に通気孔71が貫設される。
ボールペン8は、軸筒81の後部外面にクリップ83を形成するとともに、軸筒81の内部に、前記各ボールペンレフィル1がバネ82(コイルスプリング)により後方付勢状態で収容され、軸筒81の後端部(ノック操作部)を前方へノック操作することにより、軸筒81の先端孔よりボールペンチップ2が外部に突出する。
垂れ下がり試験
各ボールペンを、ボールペンチップが軸筒から露出した状態で保持し、温度20℃、相対湿度90%の雰囲気下に20時間放置した後、チップ先端の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
耐乾燥性試験
各ボールペンを、ボールペンチップが軸筒から露出した状態で保持し、温度20℃で横置き状態で30日間放置した後、JIS P3201筆記用紙Aに手書きで丸を一行に12個連続で筆記し、何個目から正常に筆記できるかを目視により観察した。
インキ安定性試験
各インキ組成物を室温(20℃)及び50℃で7日間放置した後、インキの状態を目視により観察した。
垂れ下がり試験
○:インキの漏れだし(垂れ下がり)が認められない。
△:チップ先端にインキの小滴が認められる。
×:チップ先端に、大きいインキ滴が認められる、或いはチップ先端から漏れたインキが落下している。
耐乾燥性試験
○:書き出し一丸以内に筆記可能。
△:一行以内に筆記可能。
×:一行以内に筆記できない、或いは、筆記不能。
インキ安定性試験
○:異常なし。
×:凝集物の発生、或いは、著しい粘度上昇がみられる。
2 ボールペンチップ
3 ボール
4 弾発部材
41 ロッド部
42 コイル部
43 膨出部
5 接続部材
51 係止突起
6 インキ収容管
61 インキ
62 インキ逆流防止体
7 尾栓
71 通気孔
8 ボールペン
81 軸筒
82 バネ
83 クリップ
Claims (7)
- 少なくとも水と、着色剤と、水溶性有機溶剤と、ポリアクリルアミドを含有してなり、粘度が1〜20mPa・sの範囲にあり、且つ、剪断減粘性指数が0.9〜1.0の範囲にあるボールペン用水性インキ組成物。
- 前記ポリアクリルアミドをインキ組成物中0.001〜0.1重量%の範囲で含有してなる請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記着色剤が染料である請求項1又は2記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物を、ボールを抱持したボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に内蔵し、且つ、インキ組成物後端面にインキ逆流防止体を配設したボールペンレフィル。
- 前記ボールペンチップは、ボールの後端を前方に弾発する弾発部材を配してなり、非筆記時にはチップ先端の内縁にボールを押圧させて密接状態とし、筆記時には筆圧によりボールを後退させてインキを流出可能に構成してなる請求項4記載のボールペンレフィル。
- 請求項4又は5記載のボールペンレフィルを軸筒内に収容し、キャップを備えたボールペン。
- 請求項4又は5記載のボールペンレフィルを軸筒内に収容し、軸筒の先端孔からボールペンチップを出没可能に構成した出没式ボールペン。
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