JP2005171037A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペン - Google Patents

ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペン Download PDF

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Abstract

【課題】 垂れ下がり防止効果とキャップオフ効果を共に備えた、筆記性能に優れたボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペンを提供する。
【解決手段】 水と、着色剤と、水溶性有機溶剤と、エチレンとアクリル酸又はエチレンとメタクリル酸のコポリマーのワックスエマルジョンを含有してなるボールペン用水性インキ組成物、及び、前記ボールペン用水性インキ組成物を、ボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に直接充填し、且つ、インキ組成物後端面にインキ逆流防止体を配設した水性ボールペン。
【選択図】 なし

Description

本発明はボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペンに関する。更に詳細には、ペン先を外気に長時間晒しても、ペン先の乾燥に起因するカスレや筆記不能の発生を抑えるような耐ドライアップ性(キャップオフ性能)及び垂れ下がり防止性能に優れたボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペンに関する。
従来より、ボールペン用水性インキをインキ収容管内に直接収容し、該インキの後端にインキ逆流防止体を備えたボールペンが多数市場に出回っている。そのうち、キャップを要しない構造のボールペン、所謂ノック式のボールペンにおいては、収容されるインキが比較的高い粘度であればインキの垂れ下がりをある程度防止できるものの、低粘度のインキを用いると垂れ下がりを生じ易くなる。
前記ボールペン用水性インキにおいては、更にキャップオフ性能が重要であり、ペン先乾燥防止剤として尿素及び/又はその誘導体の増量等が試みられてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、尿素及び/又は尿素誘導体は吸水性能の高さがキャップオフ性能を発現させるため、これらのキャップオフ性能付与剤を過剰に添加したインキは高湿度条件下で放置した場合、ペン先部分において局部的に水分を吸収することになる。そのため、水性ボールペンにこのようなインキを適用した場合、水分吸収によりペン先部分のインキ粘度が低下し、インキがペン先部分に溜まる「垂れ下がり」、或いは溜まったインキが落下する「ボタ落ち」現象が発生してしまう。
特公平5−54875号公報
本発明は前記問題を解決するものであって、即ち、垂れ下がりとキャップオフ性の相反する機能を満足させ、筆記性能に優れたボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペンを提供しようとするものである。
本発明は、少なくとも水と、着色剤と、水溶性有機溶剤とからなるボールペン用水性インキ組成物において、エチレンとアクリル酸又はエチレンとメタクリル酸のコポリマーのワックスエマルジョンを含有してなるボールペン用水性インキ組成物を要件とする。
更には、前記ワックスエマルジョンの平均粒子径が0.1μm以下であること、前記ワックスエマルジョンをインキ組成物中0.1〜5.0重量%の範囲で含有してなること、前記着色剤が染料であること等を要件とする。
更には、前記ボールペン用水性インキ組成物を、ボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に直接充填し、且つ、インキ組成物後端面にインキ逆流防止体を配設した水性ボールペンを要件とする。
本発明は、垂れ下がり防止効果とキャップオフ効果を共に備えた、筆記性能に優れたボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いた水性ボールペンを提供できる。
本発明に用いられるワックスはエチレンとアクリル酸又はエチレンとメタクリル酸のコポリマーのワックスであるため、カルボン酸基を有してなり、特に乳化剤等の分散剤を添加することなく、水中で安定的に分散させることができる。
なお、キャップオフ性能については、ペン先で前記ワックスが析出して被膜を形成してインキの蒸発を抑制し、筆記時の衝撃により被膜が破壊されてインキ出が回復するものと推察される。
前記ワックスとしては、BASF社製、商品名:poligen WE3、同WE4、三井化学(株)製、商品名:ケミパールS−100が使用できる。
前記ワックスエマルジョンの平均粒子径は0.1μm以下であることが好ましく、インキ中で安定的に存在すると共に、良好な垂れ下がり防止性能を付与できる。
平均粒子径が0.1μmを越えると、インキ中で分離する虞があり、所期の性能を満足させ難くなる。
なお、前記ワックスエマルジョンの平均粒子径は、好ましくは0.01〜0.1μm、より好ましくは0.02〜0.05μmである。
前記ワックスはインキ組成物全量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%の範囲で配合される。0.1重量%未満では垂れ下がり防止効果が得られ難く、5.0重量%を越えるとインキの粘度が上昇して泣き出しやボテの原因になったり、追従性を妨げることがある。更には耐ドライアップ性を悪化させてしまうこともある。
前記着色剤は、水性媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料が全て使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
酸性染料としては、
ニューコクシン(C.I.16255)、
タートラジン(C.I.19140)、
アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、
ギニアグリーン(C.I.42085)、
ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、
アシッドバイオレット6BN(C.I.43525)、
ソルブルブルー(C.I.42755)、
ナフタレングリーン(C.I.44025)、
エオシン(C.I.45380)、
フロキシン(C.I.45410)、
エリスロシン(C.I.45430)、
ニグロシン(C.I.50420)、
アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、
クリソイジン(C.I.11270)、
メチルバイオレットFN(C.I.42535)、
クリスタルバイオレット(C.I.42555)、
マラカイトグリーン(C.I.42000)、
ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、
ローダミンB(C.I.45170)、
アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、
メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、
コンゴーレッド(C.I.22120)、
ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、
バイオレットBB(C.I.27905)、
ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、
カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、
ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、
フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記着色剤として染料を用いた場合、キャップを要しないノック式のボールペンに適用する系ではドライアップが顕著であり、耐ドライアップ性能は重要な要件となる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、
C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black A25 、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。その他、金属光沢顔料、蓄光性顔料、二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等の白色顔料、可逆熱変色性組成物を内包したカプセル顔料、香料や香料を内包したカプセル顔料等を例示できる。
前記金属光沢顔料としては、アルミニウムや真鍮等の金属粉、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、金属蒸着膜の片面又は両面に透明又は着色透明フィルムを設けた金属光沢フィルム片を細かく裁断したもの、透明性樹脂層を複数積層した虹彩性フィルムを細かく裁断したものを例示できる。
なお、前記アルミニウムや真鍮等の金属粉を用いる場合、前記金属粉の表面を透明性樹脂や着色透明性樹脂で被覆したものが好適に用いられ、インキ組成物中での安定性に優れる。
また、着色剤として顔料を用いた場合、必要に応じて顔料分散剤を添加できる。
前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、PVP、PVA等の非イオン性高分子等が用いられる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
前記水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を併用することもできる。
上記成分以外に、耐乾燥性を妨げない範疇でアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を1種又は2種以上添加したり、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を1種又は2種以上添加することもできる。
その他、必要に応じてpH調整剤、防錆剤、防腐剤或いは防黴剤、潤滑剤を添加することができる。
前記pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等が挙げられる。
前記防錆剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、サポニン、ジアルキルチオ尿素等が挙げられる。
前記防腐剤或いは防黴剤としては、石炭酸、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
前記潤滑剤としては、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩等が挙げられる。
その他、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤を添加することもできる。
前記インキ組成物をインキ収容管内に直接充填し、且つ、インキ組成物後端面にインキ逆流防止体を配設するタイプのボールペンに用いる場合、インキ中に気体が混入していると、経時により気体が集まって気泡が発生し、筆記時のインキ出に悪影響を与えると共に、筆記先端部に気泡が存在すると筆記不能になる虞れがあるため、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン、カテキン誘導体、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素、ホルムアミジンスルフィン酸、グルタチオン等を添加して化学的に気泡を除去することが好ましい。
本発明のボールペン用水性インキ組成物には、所望により公知の剪断減粘性付与剤、例えば、水に可溶乃至分散性の、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類等を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。
更に、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を用いることもできる。
インキの剪断減粘性とは静止状態あるいは応力の低い時は高粘度で流動し難い性質を有し、応力が増大すると低粘度化して良流動性を示すレオロジー特性を言うものであり、チクソトロピー性あるいは擬似可塑性とも呼ばれる液性を意味している。よって、インキ組成物は筆記時の高剪断応力下においては三次元構造が一時的に破壊されインキの粘度が低下し、筆記先端部のインキは筆記に適した低粘度インキとなり、紙面に転移される。非筆記時にはインキの粘度が高くなり、インキの漏出を防止したり、インキの分離、逆流を防ぐことができる。又、インキ物性を経時的に安定に保つことができる。
インキ収容管内に直接収容されるインキの粘性特性として、EM型回転粘度計の100rpmにおける測定粘度(20℃)が、3〜160mPa・sの範囲にあり、且つ剪断減粘性指数〔粘度計による剪断応力値(T)及び剪断速度(j)値の流動学的測定により導かれる、実験式(T=Kj n :但し、K及びnは計算された定数である)を適用して計算されるn値〕が、0.9〜0.99の範囲から選ばれる剪断減粘性水性インキ、B型回転粘度計の60rpmにおける測定粘度(20℃)が、1〜20mPa・sの範囲にあり、且つ、剪断減粘性指数が0.9〜0.99の範囲にある剪断減粘性水性インキ、或いは、B型回転粘度計の60rpmにおける測定粘度(20℃)が、1〜20mPa・sの範囲にある非剪断減粘性水性インキが好適である。
本発明のボールペン用水性インキ組成物を充填する筆記具自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来より汎用のものが適用でき、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したボールペンチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用のインキ逆流防止体が密接しているボールペンや、ボールペンチップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有するボールペン等が例示できる。
前記ボールペンチップは、従来より汎用のチップ機構、例えば、金属を切削加工して内部にボール受け座とインキ導出部を形成したもの、金属製パイプの先端近傍の内面に複数の内方突出部を外面からの押圧変形により設け、前記内方突出部の相互間に、中心部から径方向外方に放射状に延びるインキ流出間隙を形成したもの等を適用でき、特に押圧変形によるチップは、ボール後端との接触面積が比較的小であり、低筆記圧でのスムーズな筆記感を与えることができる。
前記ボールペンチップに抱持されるボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の外径0.3〜1.5mmのボールが有効であり、前記チップのボール抱持部の内径とボールとの径方向の可動距離は10〜50μm、ボールの軸方向の可動距離は10〜30μmの範囲であることが好ましい。
なお、前記ボールペンチップには、チップ内にボールの後端を前方に弾発する弾発部材を配して、非筆記時にはチップ先端の内縁にボールを押圧させて密接状態とし、筆記時には筆圧によりボールを後退させてインキを流出可能に構成することが好ましく、不使用時のインキ漏れを抑制できる。
前記弾発部材は、金属細線のスプリング、前記スプリングの一端にストレート部(ロッド部)を備えたもの、線状プラスチック加工体等を例示でき、15〜45gの弾発力により、押圧可能に構成して適用される。
前記ボールペンチップと直接、或いは、接続部材を介して連結されるインキ収容管は、汎用の筒状成形部材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂による成形部材が適用され、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
又、前記インキ収容管は、2.5〜10mmの内径を有するものが好適に用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管はレフィルの形態として軸筒内に収容したり、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容管として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体は、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の従来より公知の不揮発性液体或いは難揮発性液体からなる基油に、シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等の増粘剤を添加したものが適用される。
前記基油としては、ポリブテン又はシリコーン油が好適に用いられ、増粘剤としては脂肪酸アマイド又はシリカが好適に用いられる。
本発明に用いられるインキ逆流防止体は、インキ粘度がEM型回転粘度計の100rpmにおける測定粘度(20℃)が、3〜160mPa・sの範囲にあり、且つ剪断減粘性指数が、0.9〜0.99の範囲にある剪断減粘性水性インキ、B型回転粘度計の60rpmにおける測定粘度(20℃)が、1〜20mPa・sの範囲にあり、且つ剪断減粘性指数が、0.9〜0.99の範囲にある剪断減粘性水性インキ、或いは、B型回転粘度計の60rpmにおける測定粘度(20℃)が、1〜20mPa・sの範囲にある非剪断減粘性水性インキを用いる場合、粘弾性測定におけるtanδが1を越える点(ω)が20rad/s≦ω≦450rad/sの範囲にあることが好ましい。
これを詳しく説明すると、前記インキは静置状態での粘度が低く、剪断減粘指数を0.1〜0.6程度に調整した従来の剪断減粘性水性インキと比べて耐衝撃性に劣る。よって、インキ収容管後部からインキの漏れ出しを生じ易く、筆記不能になったり、商品価値を損なう虞がある。
よって、インキの後端に配置されるインキ逆流防止体に耐衝撃性を付与して前述した不具合を解消する必要がある。
前記粘弾性測定におけるtanδが1を越える点(ω)が20rad/s≦ω≦450rad/sの範囲にあるインキ逆流防止体は粘弾性を示し、弾性応答と粘性応答の中間的な性質を示す。
粘弾性測定は、レオメーターの振動法により測定し、tanδとは損失弾性率の値を貯蔵弾性率の値で割ったものであり、この値が低い(tanδ<1)と、弾性特性が高く、且つ、粘性特性が低くなる。一方、この値が高い(tanδ>1)と、弾性特性が低く、且つ、粘性特性が高くなる。
前述の粘弾性測定において、角周波数(rad/s)が20以上の領域は筆記具に落下等の衝撃を加えた状態に近い領域となる。
従って、20rad/sでtanδが1を越える粘弾性を示すインキ逆流防止体は、粘性応答の強さに依存して耐衝撃性を満足させることができる。
前記tanδが1を越える点は20rad/s以上であるが、450rad/sを越えると弾性応答が強くなってインキ追従性を損ないがちであり、インキ出に乏しくなる。
よって、インキ逆流防止体のtanδが1を越える点(ω)を20rad/s≦ω≦450rad/sの範囲に調整することにより、耐衝撃性と筆記性能を共に満足させることができる。
なお、インキ逆流防止体には、樹脂成形による固体栓を併用することもできる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成と粘度を示す。
なお,表中の組成の数値は重量部を示す。
実施例1〜4、比較例1〜4、6〜9のインキ粘度は20℃でB型回転粘度計〔東京計器(株)製、BLアダプター使用〕を用いて、60rpmにて測定した。
実施例5、及び、比較例5のインキ粘度は20℃でEMD型回転粘度計〔東機産業(株)製、RE−80R、標準ロータ使用〕を用いて、60rpmにて測定した。
前記実施例2、4、及び、比較例2、4、9のインキの剪断減粘指数は0.97であり、実施例5、及び、比較例5のインキの剪断減粘指数は0.3であった。
Figure 2005171037
Figure 2005171037
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:フィスコブラック886、有効成分15%
(2)アイゼン保土谷(株)製、C.I.45410、商品名:フロキシン
(3)住友化学工業(株)製、C.I.42655、商品名:アシッドブルーPG
(4)BASF社製、商品名:poligen WE3、エチレンアクリル酸コポリマーワックスエマルジョン、平均粒子径0.1μm以下、固形分25%
(5)BASF社製、商品名:poligen WE4、エチレンアクリル酸コポリマーワックスエマルジョン、平均粒子径0.1μm以下、固形分21%
(6)三井化学(株)製、商品名:ケミパールS−100、平均粒子径0.1μm以下、固形分27%
(7)三晶(株)製、商品名:レオザン
(8)1,2−ベンズチアゾリン−3−オン、アビシア(株)製、商品名:プロキセルXL−2
(9)リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(10)エレメンティスジャパン社製、商品名:SLIP−AID 635E、カルナバワックスエマルジョン、粒子径0.1〜1μm、固形分35%
(11)ジョンソンポリマー社製、商品名:ジョンクリル780、平均粒子径0.1μm、固形分48%、最低造膜温度50℃以上
(12)クラリアントジャパン社製、商品名:モビニール972、平均粒子径0.1μm以上、固形分50%、最低造膜温度220℃
(13)日本エヌエスシー(株)製、商品名:カネビノールKD5、平均粒子径0.02μm、固形分35%、最低造膜温度65℃以上
インキ逆流防止体の調製
基油としてポリブテン85部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド15部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
なお、前記インキ逆流防止体は、20℃でレオメーター〔Paar Physica社製、DSR4000、2°のコーンプレート(直径25mm)使用〕を用いて測定した結果、100rad/sでtanδが1を越えるものであった。
水性ボールペンの作製
前記各インキ組成物を直径0.5mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプ(内径3.8mm)の一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、水性ボールペンを作製した。
前記各水性ボールペンにより以下のテストを行った。
垂れ下がり試験
キャップを外した水性ボールペンを、ペン先(ボールペンチップ)非接触状態で下向き(倒立)に保持し、温度20℃、相対湿度90%の雰囲気下に20時間放置した後、ペン先の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
キャップオフ試験
組み立て後、筆記可能であることを確認した水性ボールペンを、ペン先を露出した状態で室温(20℃)、湿度55〜75%RHの条件下に横置き、10日間放置後、JIS P3201筆記用紙Aに手書きで丸を一行に12個連続筆記し、何行目から正常に筆記できるかを調べ、以下の基準で評価した。
インキ安定性試験
各インキ組成物を室温(20℃)及び50℃で7日間放置した後、インキの状態を目視により観察した。
試験結果を以下の表に示す。
Figure 2005171037
尚、テスト結果の評価の記号の内容は以下のとおり。
垂れ下がり試験
○:インキの漏れだし(垂れ下がり)が認められない。
△:チップ先端にインキの小滴が認められる。
×:チップ先端に、大きいインキ滴が認められる、或いはチップ先端から漏れたインキが落下している。
キャップオフ試験
○:即筆記可能
×:即筆記不可能(1行以内で筆記可能)
インキ安定性試験
○:異常なし。
×:エマルジョンが浮いたり、沈降している。

Claims (5)

  1. 少なくとも水と、着色剤と、水溶性有機溶剤とからなるボールペン用水性インキ組成物において、エチレンとアクリル酸又はエチレンとメタクリル酸のコポリマーのワックスエマルジョンを含有してなるボールペン用水性インキ組成物。
  2. 前記ワックスエマルジョンの平均粒子径が0.1μm以下である請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
  3. 前記ワックスエマルジョンをインキ組成物中0.1〜5.0重量%の範囲で含有してなる請求項1又は2記載のボールペン用水性インキ組成物。
  4. 前記着色剤が染料である請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物を、ボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に直接充填し、且つ、インキ組成物後端面にインキ逆流防止体を配設した水性ボールペン。
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