JPH08282177A - 低粘度水性ボールペン - Google Patents

低粘度水性ボールペン

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JPH08282177A
JPH08282177A JP7110242A JP11024295A JPH08282177A JP H08282177 A JPH08282177 A JP H08282177A JP 7110242 A JP7110242 A JP 7110242A JP 11024295 A JP11024295 A JP 11024295A JP H08282177 A JPH08282177 A JP H08282177A
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ink
tip
ball
ballpoint pen
spring
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JP7110242A
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English (en)
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Kazuhiko Furukawa
和彦 古川
Eiji Wasai
英治 和才
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低粘度水性ボールペン用インキに適したボー
ルペンを提供可能とする。 【構成】 先端ボールを抱持するチップに継ぎ手を介し
てインキ収容管が連通しているボールペンリフィールを
具備することからなり、インキ収容管には、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル及びグリセリンからなる群から選ばれた少なくとも一
種の溶剤が全インキ中5〜40重量%、架橋型アクリル
酸重合体が全インキ中0.1〜1.0重量%、及び顔料
が全インキ中5〜10重量%含み、残部は主として水か
ら成る水性ボールペン用インキが充填され、チップは、
先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に常時に
は押圧して密接し、筆記時には密接状態が解除されるよ
うに設けられたスプリングを有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低粘度水性ボールペン
インキが充填されて直流や逆流を防止する機能を有する
ボールペンに関する。
【0002】
【従来の技術】ボールペンは、ボール、チップホルダー
からなるペン先、インキ収容管、ペン軸などから構成さ
れる。このボールペンによる筆記は、ペン先のボールの
回転によりチップ内部より流出してくるインキが紙など
の記録体に転写若しくは浸透し、特に転写により、筆跡
・描線をつくりだす。
【0003】水性ボールペンは、粘度が数mPa・S以
下の低粘性であるため、軽い筆記圧で書けることが利点
であり、書き味が良好である特徴がある。しかしなが
ら、インキがペン先からだらだらと流れ出る直流現象
や、反対にボールペンの先から空気が流入してインキが
流出する逆流現象などが起こり易い欠点がある。これら
の現象は中綿と称する繊維の収束体などを用いて防止す
る方法がとられている。又、キャップオフの状態で放置
すると、溶媒の蒸気圧が高く、溶媒がれのため、先端が
乾燥してインキが流出しなくなり、書けなくなってしま
うという問題がある。
【0004】一方、従来知られている油性ボールペン
は、それに使用するインキが粘度が数千mPa・S以上
の高粘度の為に、ペン先からインキが流出する際にボー
ルが回転する時の抵抗が大きいため書き味が悪い欠点が
ある。又、筆記の際に先端から流出するインキ量は少な
く、ボテ現象があり、筆記描線のムラがあり筆跡濃度が
薄いこと、高い筆記圧が必要なことなどの問題がある。
この油性ボールペンの改良として、 最近、上記の水性
と油性との中間粘度領域(数mPa・S〜数千mPa・
S)のインキを用いる中粘度と呼ばれる水性インキ用ボ
ールペンが開発されている。このものは、先端ボールの
回転によって粘度が低下してインキがスムーズに流出す
る特性、所謂剪断減粘性を有する相対的に低粘性の水性
のインキを用いたボールペンである。しかしながら、こ
のものはインキが乾燥しやすい欠点があるために筆記先
端部をシールするキャップが必要である。又、低粘性で
あることからインキが逆流や直流しやすい現象がある。
又、落下やノック衝撃で筆記掠れが生じやすい欠点があ
る。従って、現状では書き味、逆流及び直流現象、キャ
ップオフでの性能、ペン構造などが相互に関係しあっ
て、理想的な低粘度水性インキ用ボールペンは得られて
いない。
【0005】特開平6ー57194に染料、保湿湿潤
剤、チクソトロピック性付与剤として架橋型アクリル酸
重合体を用いたペン体に供給する水性ボールペン用イン
キが開示され、顔料は再溶解性がなく分散液の啓示安定
性が良好でないので染料と比べると直結タイプの水性ボ
ールペン用インキとしての性能は劣る。更に顔料は筆記
時に筆記部のボールに対して磨耗作用をして筆記寿命を
短くする欠点があると述べられている。一般に染料を使
用した場合は、ペン先でインキ成分が乾燥固化しにくい
ので、キャップを外した状態でペン先の乾燥を防ぎ、筆
記に伴うインキの流出が円滑である。所謂ノンドライ性
は顔料よりも良好であるが、キャップレスの携帯型ボー
ルペンとした際はペン先が下を向き、インキの吹き出
し、所謂直流防止性が不充分で、衣類などを汚す危険が
ある。
【0006】又、擬塑性付与剤として、キサンタンガ
ム、グアーガムなどの天然樹脂類、アクリル系、ウレタ
ン系の合成高分子類、スメクタイト、モンモリロナイト
などの無機質類を使用したものが知られているが、ペン
先の保湿性が不充分で、キャップを外して放置すると、
ドライアップにより、掠れが発生したり、甚だしい場合
は筆記不能になる為、使用後はキャップをする必要があ
るなどの欠点がある。
【0007】低粘度水性ボールペンは、通常インキ収容
管後端に、フォロアと称されるグリース状の半透明不乾
性物質が充填されるので、インキ蒸発防止の問題はペン
先、即ちボールとホルダーの間隙からの蒸発低減化を考
えればよい。例えば、油性ボールペンのように蒸気圧が
かなり低い溶剤を主として用いれば、インキの蒸発は考
慮しないですむ。しかし、水性インキの場合は水が主溶
剤なので、低蒸気圧溶剤を選択しただけでは、水の蒸発
を防げない。
【0008】そこで、上記問題点対策を加えた低粘度の
水性インキを用いたボールペンが考えられるが、やはり
インキの流出量が多くなり、筆記寿命を延ばす為にイン
キ収容管の径を太くしてインキの充填量を多くする必要
がある。又、インキの粘度が低い為にチップ側を下向き
にした場合に先端ボールとチップ抱持部の隙間が生じる
とインキが滲み出る(直流)が生じたり、筆記時にイン
キの流出量が多くなる欠点がある。更に上向き筆記後や
ノック、落下の衝撃後などで先端ボール直下のインキが
逆流傾向となる為に筆記掠れが起こる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決することであり、即ち、インキ
の逆流、直流現象が生じず、ペン先の保湿性が良好とな
ってキャップを外して放置することができ、又、従来の
欠点である着色剤を顔料とした場合に経時安定性がよく
ないこと、染料を用いた場合の直流防止性が不充分であ
ることなどの従来の欠点が改善され、又、落下衝撃、上
向き筆記によるインキの逆流やインキの直流を防止する
機構を有する低粘度水性ボールペンインキに適した携帯
用ノック式水性ボールペン等を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて検討を重ねた結果、顔料に特定の溶剤と特定量の
架橋型アクリル酸重合体を配合することにより、所望の
インキを得ることができ、本発明の直液式水性インキを
完成するに至った。
【0011】即ち、本発明の直液式水性ボールペン用イ
ンキは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール及びグリセリンから成る群から選
ばれた少なくとも一種の溶剤が全インキ中5〜40重量
%、架橋型アクリル酸重合体が全インキ中0.1〜1.
0重量%、及び顔料が全インキ中5〜10重量%含み、
残部は主として水から成る。好ましくは架橋型アクリル
酸重合体が全インキ中0.2〜0.5重量%である。
【0012】本発明のインキの溶剤は、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及
びグリセリンから成る群から選ばれた少なくとも一種で
ある。この溶剤は保湿剤として水分の揮散を防ぎ、ペン
先のドライアップ防止の効果がある。インキ中の含有量
は5〜40重量%、好ましくは20〜30重量%であ
る。単独或いは複数の組み合わせで使用できるがエチレ
ングリコールが最も保湿性が高い。
【0013】本発明のインキに用いる架橋型アクリル酸
重合体は、インキに適切な擬塑性を付与することができ
るので、直流現象を防止でき、経時的に安定である。
又、保湿性が優れている。これを前記の吸湿性の溶剤と
組み合わせることにより、本発明が実現できる。架橋型
アクリル酸重合体の含有量はインキ中0.1〜1.0重
量%である。更に好ましくは、0.2〜0.5重量%で
ある。0.1重量%以下では、直流現象を防止する為の
擬塑性が弱すぎ、1.0重量%以上ではその性質が強く
なりすぎてボールの回転によるインキの流出が円滑でな
くなる傾向となる。架橋型アクリル酸重合体として使用
される具体的なものとしては、和光純薬工業(株)製の
“ハイビスワコー104”、“ハイビスワコー105”
など、日本純薬(株)製の“ジュンロンPW110”、
“ジュンロンPW111”など、BFグッドリッチカン
パニー製の“カーボポール941”、“カーボポール1
342”などである。
【0014】本発明のインキに用いる顔料としては、特
に制限はなく、従来、水性顔料インキ組成物に慣用され
ている無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用
することができる。無機系顔料としては、例えば酸化チ
タン、カーボンブラック、金属粉などが挙げられ、又、
有機系顔料としては、例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔
料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン
及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン
顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙
げられる。具体的には、フタロシアニンブルー(C.
I.74160)、フタロシアニングリーン(C.I.
74260)、ハンザイエロー3G(C.I.1167
0)、ジスアゾエローGR(C.I.21100)、パ
ーマネントレッド4R(C.I.12335)、ブリリ
アントカーミン6B(C.I.15850)、キナクリ
ドンレッド(C.I.46500)が使用できる。これ
らの顔料はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上
を組み合わせて用いてもよく、その含有量は、全インキ
の重量に基づき、通常5〜10重量%、好ましくは6〜
8重量%の範囲で選ばれる。顔料が5%未満の場合は描
線濃度が薄くなり、又、10%を越えると経時的に不安
定となり好ましくない。
【0015】顔料粒子表面に吸着して、水中に顔料を分
散させる分散剤としては、ノニオン、アニオン系界面活
性剤や水溶性高分子が用いられる。好ましくは水溶性高
分子が用いられる。ノニオン系界面活性剤としては、ポ
リオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、多価アルコー
ルの高級脂肪酸部分エステル、糖の高級脂肪酸エステル
などがあり、具体的にはグリセリンの脂肪酸エステル、
ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール
脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレング
リコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキレ
ルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリ
ン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸
アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムア
ルデヒド縮合物などがある。アニオン系界面活性剤とし
ては、高級脂肪酸アミドのアルキル化スルフォン酸塩、
アルキルアリルスルフォン酸塩などがあり、具体的に
は、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸塩、Nーアシルアミノ酸塩、Nーアシルメチル
タウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸
塩アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テルリン酸塩などがある。水溶性高分子としては、ポリ
アクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸樹脂など
がある。具体的には、アクリル樹脂、スチレンアクリル
樹脂、スチレンマレイン酸樹脂などの樹脂を塩の形にし
て水溶性にしたものを用いる。塩を形成するアルカリ金
属としては、ナトリウム、カリウムが代表的であり、ア
ミンとしてはモノー、ジー又はトリーメチルアミンなど
の脂肪族第1から第3級アミン、モノー、ジー又はトリ
ープロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチ
ルプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミンなど
のアルコールアミンその他アンモニア、モルホリン及び
Nーメチルホリンなどが代表的である。その含有量はイ
ンキ中1〜2重量%であり、顔料に対して約20wt%
である。
【0016】又、潤滑剤、防錆剤、防腐剤、顔料分散
剤、pH調節剤が必要に応じて使用できる。その他保湿
性を高める為に、添加剤として、尿素、或いはある種の
界面活性剤類を使用してもよい。
【0017】本発明のインキの製造方法はつぎの3工程
から構成される。 1.顔料分散体(トナー)調整:顔料、分散剤、溶剤、
添加剤類及び水とから成り、ビーズミル、ボールミルな
どの分散機を使用し、充分に分散した後、遠心分離を行
い、粗大分を除去してトナーを得る。 2.擬塑性付与剤ベース(ゲルベース)調整:所定量の
水に擬塑性付与剤を徐々に投下し、攪拌を行い、水に完
全に溶解させる。その後に、モノエタノールアミン、ト
リエタノールアミンなどの塩基を加えてpHを6〜9に
調整してゲルベースとする。 3.インキの調整:ゲルベースと溶剤を計量後、攪拌機
で充分に混合する。次にトナーを加えてゲル状物が均一
に溶解するまで更に攪拌を行い、濾過器にて夾雑物を取
り除き、インキを得る。
【0018】本発明のインキは、インキ吸蔵体を使用し
ないで直接インキ収容管に詰めて使用でき、ペン先から
の水の蒸発の防止、ペン先の保湿、直流現象の防止に効
果がある。その理由は本発明のインキは、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール
及びグリセリンから成る群から選ばれた少なくとも一種
の溶剤の吸湿性と保湿性、架橋型アクリル酸重合体の他
界保湿性の組み合わせによって、ペン先からの水の蒸発
が抑制される。そのため長時間、キャップなしで放置し
ても、インキが乾燥固化せず、書き出し(初筆性)がス
ムーズな水性ボールペンが得られる。本発明のインキに
用いる顔料は、水や溶剤に不溶であり、顔料固形分がペ
ン先にて、ゆるい目詰まり現象が生じること、又、顔料
分散体自体が擬塑性の性質を持っていることにより、架
橋型アクリル酸重合体の擬塑性付与効果とあいまって直
流現象を完全に防止するものと考えられる。即ち、架橋
型アクリル酸重合体は、直流を防止する役割と、ペン先
からの水分蒸発を極力押さえる保湿剤として、2つの効
果を発揮し、又、顔料はインキの筆記描線が染料インキ
より格段に優れた耐光、耐水、耐溶剤性を持ち、又、
赤、青その他有彩インキが、その色自体の色として見え
るという所謂ディスプレイ性に優れる。本発明のインキ
が、ボールペンに収納されている場合、筆記しない状態
の場合即ち剪断力が懸からない静止状態にある時は数千
mPa・Sの項粘度でインキの流動を防ぎ、筆記に際
し、ボールの回転により剪断力が生じた時に低粘度化す
ることによりインキが流れ出し筆記可能となる。
【0019】本発明の第1の低粘度水性ボールペンは、
先端ボールを抱持するチップに継ぎ手を介してインキ収
容管が連通しているボールペンリフィールを具備するこ
とからなり、該インキ収容管には、エチレングリコー
ル、ジエチレングルコール、プロピレングリコール及び
グリセリンからなる群から選ばれた少なくとも一種の溶
剤が全インキ中5〜40重量%、架橋型アクリル酸重合
体が全インキ中0.1〜1.0重量%、及び顔料が全イ
ンキ中5〜10重量%含み、残部は主として水から成る
水性ボールペン用インキが充填されてなり、上記チップ
は、前記先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁
に常時には押圧して密接し、筆記時には密接状態が解除
されるように設けられたスプリングを有することを特徴
とする。好ましい態様としては、前記スプリングは先を
直立状の棒軸部を有していることからなる。前記スプリ
ングは、前記先端ボールを押圧する直立状に棒軸部を有
する押し体と、コイル状のスプリングとからなる。
【0020】本発明の第2の低粘度水性ボールペンは、
先端ボールを抱持するチップに継ぎ手を介してインキ収
容管が連通しているボールペンリフィールを具備し、該
インキ収容管には、上記記載の第1の低粘度水性ボール
ペン用のインキが充填され、更に、当該インキの後端に
は筆記に伴うインキの消耗に追随して移動可能で、且
つ、インキの蒸発を防止する性質を有したグリース状の
半透明不乾性物質よりなるフォロアが充填されてなり、
前記継ぎ手の内孔はボール弁が遊嵌された弁室を有し、
該弁室後部にボール弁が密接してインキの逆流を防ぐボ
ール受け座及び該ボール受け座からインキ収容管に通ず
る導孔を有し、該弁室前部はボール弁が接する部分を有
してチップの後端に連通し、前記チップには、前記先端
ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に常時には押
圧して密接し、筆記時にはその密接状態が解除されるよ
うに設けられたスプリングを有することを特徴とする。
好ましい態としては、前記弁室は、一側でボールペン軸
方向にインキが流通する溝部と、前記継ぎ手の内孔軸心
から偏心して設けられた導孔を有することにより、ボー
ル弁がチップ後端に偏って接してインキ流路を形成する
ことからなるか、又は、前記弁室は、前部秀壁に所要数
設けられた突条、該突条の弾性変形により嵌入されたボ
ール弁を有し、該突条にボール弁が当接し突条と突条と
の間がインキ流通溝を形成することからなる。又、前記
スプリングは先を直立条の棒軸部を有する押し体と、コ
イル条のスプリングとからなる。
【0021】又、本発明の低粘度水性ボールペンの態様
として、前記第1の発明又は第2の発明に次の要件が付
加できる。即ち、前記ボールペンリフィールが軸筒に挿
着され、前記継ぎ手の外周部に鍔状に設けられた段部と
前記軸筒の内周面段部との間に設けられたコイルスプリ
ングとにより、該ボールペンリフィール 常時後方に付
勢され、該軸筒に対して軸推移して該軸筒先端口から前
記チップ先端部が出没可能とした低粘度水性ボールペン
が示される。
【0022】
【実施例】
インキの実施例;実施例によって本発明を更に詳細に説
明する。実施例で得られたインキは下記の方法で評価し
た。試験に用いたボールペンは三菱鉛筆(株)製のノッ
ク式ボールペンSNー80の軸を使用し、内径3mm、
長さ100mmのポリプロピレン製インキ収容管とステ
ンレス製チップ(ボールは超硬合金で直径0.5mm)
から成るリフィールに実施例、比較例で得られたインキ
を充填したものである。尚、インキ後端には、三菱鉛筆
(株)製の水性中粘度ボールペンUMー100に使用さ
れているフォロアを充填した。
【0023】1)初期筆記性 フリーハンドで筆記し、つぎの基準で評価した。 ○ 問題なし △ やや掠れる 2)直流防止性 所定のインキを充填したボールペン10本をペン先を下
にして温度25℃、湿度65%の恒温・恒温槽に1週間
放置した後、直流現象の程度をつぎの基準で評価した。 ○ まったくない △ 僅かにある ▲ 少し多い × 非常に多い 3)経時初筆性 25℃及び40℃の恒温槽に各10本放置し、6カ月後
にフリーハンドで筆記し、つぎの基準で評価した。 ○ 書き始めから、問題なく、描線が書ける △ 書き始めはやや掠れるが、直ぐに復帰して書ける ▲ 通常の描線が書けるまで、捨て書きが必要 × 掠れが多く、初期の描線が書けない 4)減量率 上記経時初筆性の際に、初期に充填したインキを100
とした場合のインキの減量率(%)も同時に測定した。
【0024】実施例1〜9 顔料として、カーボンブラック“MCFー88”〔三菱
化成(株)製〕、赤顔料“フジレッド2510〔富士色
素(株)製〕、青顔料“リオノールブルーEFW〔東洋
インキ(株)製〕;分散剤としてスチレン・アクリル樹
脂;溶剤としてエチレングリコール(EG)、ジエチレ
ングリコール(DEG)、プロピレングリコール(P
G)、グリセリン(G);擬塑性付与剤として架橋型ア
クリル酸重合体“ハイビスワコー104”〔和光純薬
(株)製〕;潤滑剤としてリン酸エステル“RMー51
0”〔東邦化学工業(株)製〕;防腐防錆剤としてベン
ゾトリアゾール“ネヤノックスBTL”〔オリエント化
学工業(株)製〕pH調節剤として〔トリエタノールア
ミン〕;及びイオン交換水を用い〔0013〕に述べた
製造方法に基づいて直液式水性ボールペン用インキを造
った。その配合比と評価を表1に示す。
【0025】比較例1〜3 黒染料〔“ウォーターブラック187LM”(オリエン
ト化学(株)製)〕を使用した場合(比較例1)、溶剤
を使用しない場合(比較例2)、アクリル系共重合体
〔“プライマルTTー615”(ローム&ハース製)〕
を用いた場合(比較例3)を比較として表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【実施例】
ボールペンリフィール構造の実施例; 実施例1 図1〜図3が本発明第2の低粘度水性ボールペンのリフ
ィール部分(導孔が偏心して、ボール弁、スプリングを
有するもの)を示す。図1は、低粘度油性インキ18と
その後端にフォロア19とを充填したインキ収容管17
が継ぎ手2を介してチップ12を取付けられたボールペ
ンリフィールを示し、図2はボールペンリフィール1の
前方部分を示す。継ぎ手2は鍔状の段部4とその前方の
前軸部3と後方の後軸部5とからなる。この前軸部3の
先端の内孔部11には先端ボール12aを抱持したチッ
プ12の軸部13が固着している。上記内孔部11は前
方よりチップ嵌着面11aと11bからなる。チップ1
2の軸部13の外周部は必要によって凸状の係止部14
が設けられてチップ嵌着面11bに食いつき状に係止し
ている。
【0028】チップ12は、インキ流入可能なチャンネ
ル12bを有した座に先端ボール12aが略当接した状
態で、先端ボール12aが回転自在に抱持されるようカ
シメられている。又、チップ12の内孔部にスプリング
16が内挿され、スプリング16の後端が抜出不能とな
る様にチップの軸部13の後端を適宜カシメられてい
る。又、先端ボール12aがチップ抱持部の内面に密接
することは筆記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極
めて重要であって、そのために先端ボールを抱持するチ
ップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度を改善する
為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる為の二次的
な塑性加工が配慮される。又、先端ボールとの密接面に
表面処理などが配慮される。
【0029】はその押圧によってチップ12のボール抱
持部(カシメなどで形成)の内縁に密接状態となる。
【0030】継ぎ手の内孔部11の後方にはボール弁1
0が遊嵌している弁室6があり、弁室6の後方にはテー
パー状又は球面状のボール抜け座7と軸心に適宜偏心し
て設けられた導孔9とを経てインキ収容管に通じてい
る。弁室6の内壁の一側には軸方向にインキが流れるよ
うに溝部8を設けている。この弁室6内の遊嵌している
ボール弁10は、チップ12を下向きにした状態では、
チップの軸部13の後端に偏った状態にで接してインキ
流路を形成し、インキ収容管のインキは導孔9を通り上
記溝部8、前記インキ流路をなどを通じてチップ内孔部
に流入する。逆に上向きの状態ではボール弁10がボー
ル受け座7に当接してインキの逆流を防止する機能が得
られる。
【0031】又、継ぎ手2の段部4の後方に延設されて
いる後軸部5の外周には、筒状のインキ収容管17がそ
の先端を段部4の後端に当接して圧入固着されインキ収
容管17の内径部が継ぎ手2の導孔9に導通している。
又、インキ収容管17内には前記低粘度油性ボールペン
インキ18が充填され、更にこのインキ18の後端にイ
ンキの消耗と共にインキ面に接触して追随して移動可能
な前記のフォロア19が充填されている。尚、上記イン
キ収容管17は一例として透明PP樹脂成形品等が使用
される。又、その内面にはシリコン等を塗布してクリア
ドレン性が配慮される。又、インキ収容管をクリアドレ
ン性に優れた材質で選定する。インキ収容管17は継ぎ
手2に一体に形成されてもよい。
【0032】図4〜図6は本発明のボールペンの一例と
してノック式のボールペンを示している。基本的には実
公平4ー53987号公報のノック式筆記具と同じなの
で、以下要点と相違点に付いてのみ説明する。
【0033】軸筒20にはクリップ21と対向する側面
にスリット30と、該スリット30の両側に接続してス
リット30に連通する溝23を備えた取付け脚部22を
有したクリップ21が一体に設けられ、クリップ21の
先端部には玉部24を設ける。玉部24は鉤状に係止段
部25として側壁26を設けている。クリップ21は後
述するノック体31の係止突起33と係止段部25との
係合を解除し得る距離だけ横方向に弾性変位可能になさ
れている。又、軸筒20の側面には上記スリット30と
は別に窓孔27を設けている。軸筒20は以上が一体と
なったポリエステルを含む透明な樹脂で形成している。
【0034】ノック体31には、その側面に係止突起3
3と、同軸線上にストッパー片32を、係止突起33と
は別の軸線上に弾性変位可能な係止突起34を設けてい
る。
【0035】軸筒20の内孔に前記段部4にコイルスプ
リング35の後端を当接させた状態でボールペンのリフ
ィール1を挿入し、コイルスプリング35の先端を軸筒
の内面段部28に当接して、軸筒20の後端からボール
ペンのリフィール1の後方部を収容する状態でノック体
31が装着している。ノック体31の係止突起33とス
トッパー片32の溝23を通過して係止突起33がスリ
ット30に貫出し、ストッパー片32は取付け脚部22
内の溝23に位置する。又、その時、係止突起34が軸
筒の窓孔27の後端部に貫出してノック体31が後方に
附勢された状態に抜け止めされる。
【0036】実施例2 図7は本発明の第2の低粘度水性ボールペンのリフィー
ル部分(弁室前部に突条を有し、ボール弁、スプリング
を有するもの)を示す。以下、前記実施例1との相違点
のみ説明する。継ぎ手40は弾性変形可能な合成樹脂に
より形成されており、チップ嵌着面49に連通して後方
に弁室41が設けられている。又、弁室41の後部には
テーパー状又は球面状のボール受け座42が設けられ、
弁室41の前部周壁には所要数の突条43が設けられて
いる。
【0037】弁室41の後部にはボール受け座42と連
通する導孔44が形成されて、弁室41内にはボール弁
46が前記突条43を弾性変形させて嵌入される。尚、
ボール弁46が当接する突条と突条の間にはインキ誘導
溝が形成される。又、スプリング48の後端は突条43
前端の段部45に当接して、棒軸部48aの先端が先端
ボール47aの後端を押圧する。
【0038】以上により、チップ側が下向きの時に前記
ボール弁46が前記突条43の後端に当接状態となり、
インキが導孔44、弁室41、突条と突条の間のインキ
誘導溝、チップ47の内孔部を通じて先端ボール47a
の後端まで流入可能となる。
【0039】実施例3 図8は本発明の第1のボールペンのリフィール部分(ス
プリングを有するもので、スプリングは先を直立状の棒
軸部を有しているもの)を示す。基本的には上記実施例
1と同じなので以下相違点のみ説明する。チップ47内
に嵌挿されるスプリング55の前端は座を成し、その前
部に棒軸部54aを有した押し体54が配設されて、棒
軸部54aの先端が先端ボール47aを押圧する。
【0040】実施例4 図9は本発明の第1のボールペンのリフィール部分(ス
プリングを有するもので、スプリングがコイル状のスプ
リングとからなる)を示す。基本的には前記実施例1と
同じなので以下相違点のみ説明する。スプリング48の
前端は直立状の棒軸部48aとなっている。又、チップ
47前方のテーパー状の内孔に沿ったテーパー状の捲線
部を有して設けられる場合もある。又、通常チップの内
孔は段付き状のキリ孔で形成されるので、その段付き孔
に沿って段付き状に縮径されたステップ状の捲線部を有
したスプリングに形成される場合もある。更に、捲線部
の最先端を先端ボールに当接させる場合もある。(図示
せず)
【0041】
【作用】実施例1に於いて、図1はチップ12を上向き
にした状態を示しており、その時ボール弁10は弁室6
のボール受け座7に位置して導孔9を密閉するので、上
向き筆記されてチップの先端ボール12a直下のインク
がなくなっても、インキにヘッドが掛かり逆流すること
がない。従って、チップ12を下向きにした時にはイン
キがすぐに流出可能となり、筆記で掠れが防止される。
(因みにボール弁を有しない構造では、上向き筆記でイ
ンキが逆流方向に作用するのでチップ内に空気を巻き込
み、下向き筆記で即インキが追随せず掠れが生じる。)
【0042】図2に示すように、チップ12を下向きに
した筆記状態に於いては、ボール弁10がチップのカシ
メ部15後端の一方に偏った状態に当接し、他方にはチ
ップ12内にインキが流入可能な溝部8が構成され、イ
ンキ収容管17から導孔9を経て弁室6に入ったインキ
18は溝部8を通り、チップ12の先端ボール12aの
後端まで誘導される。
【0043】この状態では、棒軸部16aの押圧で先端
ボール12aがチップ抱持部の内縁に密接されるのでイ
ンキの直流が防止される。又、筆圧により先端ボール1
2aが微小に後退するので隙間を生じてインキが流出可
能となり、筆記により先端ボール12aの回転でインキ
が多量に流出され、ボテが無く、筆跡濃度の高い筆記が
できる。
【0044】先端ボール12aの直下にはチャンネル1
2b(チップ内孔に向かって貫通したインキ流入溝を複
数箇所に有した先端ボールの受け座)がありチャンネル
12bの中心孔には棒軸部16aが貫通する。チップ内
のインキはインキ流入溝および中心孔と棒軸部16aと
の間の隙間を通じて先端ボール12a直下に誘導され
る。
【0045】実施例2に於いて、図7はチップ47を上
向きにした状態を示しており、その時ボール弁46が弁
室41のボール受け座42に密接して導孔44を密閉す
るので、上向き筆記で先端ボール47a直下のインキが
なくなってもインキが逆流しない。チップ47を下向き
にした状態では、ボール弁46が突条43の後端に当接
状態となり、導孔44が開放される。インキ収容管4か
ら導孔44を経て弁室41に入ったインキは突条と突条
との間に形成されたインキ誘導溝を通過して先端ボール
47aの後端まで誘導される。その他の作用は前記図1
の実施例と同じである。
【0046】実施例1は実施例2のようにボール弁を抜
出不能に当接する突条がないので継ぎ手2を成形する金
型精度や成形条件が楽になる。(因みに突条は金型の離
型でアンダーカットになるので寸法精度が出しにくい)
又、弁室にボール弁を嵌挿することが容易となり(突条
は弾性変形を利用してボール弁を嵌挿するので突条を損
傷する問題が存在する)機械組みに有利となる。しかし
ながら、実施例1はスプリング16を抜出不能とする為
に、チップ12の後端にカシメを行う必要があり、加工
の手間で実施例2より不利といえる。
【0047】実施例3及び実施例4は実施例1と基本的
に同じなので要点のみ説明する。実施例3は図8に示す
ようにスプリング55の前端に別体の押し体54を設け
たことで棒軸部54aの揺動性が良く、先端ボール47
aと当接する部位の摩擦抵抗の選択(材質、形状)でき
るので筆感が良い。又、実施例4は図9に示すようにス
プリング48の捲線部と一体に棒軸部48aを設けたの
でコスト的に有利となる。又、チップ47の内孔部に沿
ったテーパー状又はステップ状に縮径する捲線部を設け
ることで棒軸部の軸心上の安定が良く、インキ誘導の偏
りや先端ボールとの接触抵抗が安定化する。
【0048】又、先端ボール47aは常時チップ抱持部
の内縁に密接しているので先端部位の乾燥で筆記掠れが
防止される。又、上向き筆記の繰り返しで空気の巻き込
みが累積される可能性があり第1及び第2の実施例より
劣るが、先端ボール47aとインク及びフォロアの適宜
組成による共同作用で上向き筆記や衝撃が加わっても空
気の巻き込みが適宜防止され、実用上のインクの逆流や
筆記掠れが防止可能となる。
【0049】図4はボールペンのリフィール1を軸筒2
0に収容した状態を示しており、ノック体31の後端を
ノックして前進させると、係止突起33がクリップの係
止段部25に係合して図5に示すようにチップ12の先
端が軸先端口29から突出状態となる。この状態から、
クリップ21の先端部を側壁26の有る側で横方向に弾
性変位させると、係止突起33が係止段部25から外れ
て再び図3の状態に復帰する。又、図5の状態でクリッ
プ21を胸ポケット等に差すと、係止段部25が上に押
し上げられるので係止突起33との係合が外れチップ1
2は軸先端口29から軸筒内に没入する。従って、チッ
プを突出させたまま誤ってポケット等に差しても服を汚
すなどの心配がない。又、ボールペンのリフィール1を
新しいものと交換する場合には、ノック体31の係止突
起34を内方に押し込めば係止突起34と軸筒の窓孔2
7との係合が外れ、ノック体31と共にボールペンのリ
フィール1を取り出すことが可能である。
【0050】実施例5 図10〜図12の実施例について説明する。図に示すよ
うに継ぎ手63は、前半に直線状又は曲線状のリブ68
が所要箇所に設けられた圧入筒部67が設けられ、リブ
68の後端にはリング状の鍔部76が形成されて、リブ
68の後端は鍔部76の外形と略同一に接続されてい
る。又、後半に嵌合筒部71を有し、嵌合筒部71には
インキ収容管64が固着されている。又、圧入筒部67
先端のチップ嵌着孔70には先端ボール65aを抱持し
たチップ65が後端側から圧入されている。
【0051】又、継ぎ手63は弾性変形可能な剛性樹脂
により一体成形で構成されており、前記チップ嵌着孔7
0に連通して後方に弁室72が設けられている。又、弁
室72の後部には、円錐状のボール受け座73が設けら
れている。又、弁室72は、上記チップ嵌着孔70の内
周に収まる状態で、弁室72の孔の軸心をチップ嵌着孔
70の軸心に対し適宜偏心させると共に弁室孔の一側に
溝部75が設けられ弁室72内にはボール弁74が遊嵌
される。又、弁室72の後方にはボール受け座73と連
通する導孔77が形成されている。ところで、上記弁室
72はチップ後端孔をチップ嵌着孔70に対し偏心状態
に設ければ偏心状に設ける必要はない。
【0052】又、嵌合筒部71の外周には筒状のインキ
収容管64がその先端を鍔部76の後端に当接して圧入
固着され、インキ収容管64の内径部が継ぎ手63の導
孔77に連通している。インキ収容管64内には本発明
に係る低粘度水性ボールペン用インキ79が充填され、
更に、インキの後端にインキの蒸発を防止すると共に、
インキの消耗と共にインキ面に接触して追随して移動可
能な透明又は不透明のグリース状のフォロア80が充填
されている。又、上記フォロア80内にはフォロアと略
同等の比重を有した樹脂部材が浸漬される。実施例では
着色樹脂部材をPP樹脂等のパイプ材81としてその内
外径にフォロア80が満たされた状態でフォロア内に埋
没状又パイプ材81の後端がフォロア80の後端から適
宜突出状に位置される。又、樹脂部材はパイプ材に限ら
ず、棒材、ボール材でもよくインキ収容管64の内径よ
り適宜小さめな外径を有してフォロア内に浸漬される。
尚、上記インキ収容管64はインキの蒸発を抑制する例
えば透明のPP樹脂成形品等が使用される。以上のチッ
プ65、継ぎ手63、インキ収容管64の構成がボール
ペンのリフィールとなる。又、軸筒61の後端には尾栓
82が止着される。
【0053】次に、軸筒61の先端から継ぎ手63にチ
ップ65とインキと前記フォロアを充填したインキ収容
管64を固着したリフィールを挿入して、軸部66の前
面に継ぎ手63の鍔部76の後端縁を衝合させて、前記
圧入筒部67の所要箇所に設けた直線状又は曲線状のリ
ブ68の外周を口金62の内段部69に食い付き状に衝
合せしめた状態で口金62を軸筒61の軸部66に螺着
させている。尚、軸部66の前端には所要箇所で切欠6
6aが設けられて、継ぎ手63の鍔部76の後端が当接
している。又、軸筒61はインキの消費量が判るように
透明な樹脂成形品が使用される。以上の構成で、チップ
65を突出した先端孔の隙間と口金62の内周と圧入筒
部67のリブ68とリブ68との間に形成される隙間と
軸部66の切欠66aを通じて軸筒61の内孔61aに
連通した通気路が形成される。又、必要により内孔61
aと外気を連通して軸筒61側面には通気孔又は尾栓8
2又は尾栓と軸筒との間に通気孔が設けられる。
【0054】ところで、軸先に被嵌されるキャップ83
は、その外周側面にクリップ84を位置させて、後端の
筒部90を後端孔に圧着している。又、筒部90の後端
には通気孔89が貫通している。又、キャップ83の内
孔後方に小室87を有した筒状のインナーキャップ85
が設けられ、インナーキャップ85は内孔部との間に所
要数設けたリブ86で一体に形成されている。以上によ
り、リブとリブとの間を通じてキャップ挿入口から通気
孔89に連通した通気路が形成される。尚、通気孔形成
の手段は様々あり、特に構造が限定されるものではな
い。又、キャップ83は挿入口に係合部92が設けら
れ、軸筒61に設けた係合部91に着脱自在に止着され
る。尚、係合部は通常よく用いられる凸部又は凹部の係
合により構成される。又、インナーキャップ85の小室
87の先端には非吸液性で非連続気泡の弾性体よりなる
シール栓体88が固定され、チップ65と口金62の先
方が小室87で密嵌されると共に、先端ボール65aが
シール栓体88に適宜圧接される。
【0055】チップ65を上向きにした状態で、図11
に示すようにボール弁74は弁室72のボール受け座7
3に周接した状態となり導孔77を密閉するので、上向
き筆記でインキが逆流するのを防止できる。又、図11
は軸先にキャップ83を止着した状態を示しており、チ
ップ65の先端がシール栓体88に圧接しているので、
落下衝撃で先端ボール65aが飛び出す問題がない。
又、チップ後端孔78と適宜偏心した関係で弁室72に
ボール弁74を遊嵌しているので、リフィールの製造時
に於いてインキ充填後の遠心分離でボール弁が喰い付く
問題もなく、ボール弁74がチップ後端部78に当接し
てもボール弁が偏りしてチップ65へのインキ流入部が
確保される。又、フォロア80内に着色樹脂部材が浸漬
されたことでインキの終焉状態が明確となるだけでな
く、フォロアの流動抵抗が低下しても内部摩擦の補強と
なり逆流に対する保証と、衝撃による先端ボール65a
に対する衝撃的な加圧が緩和され、キャップ83を装着
しない状態でも先端ボール65aの飛び出しが防止され
る。又、インナーキャップ85で密嵌されるので先端ボ
ール65aの乾燥やインキの蒸発が防止される。又、口
金62の先端孔から軸筒61の内孔61aに連通してい
るのでキャップの抜き差しで加圧、減圧状態が緩和され
るのでインキ内に気泡が流入する問題も防止される。
又、通気孔89により幼児が誤ってキャップを飲み込ん
だ場合にも空気流通が可能である。又、継ぎ手63の圧
入筒部67に設けたリブ68の外周が口金62の内段部
69に喰い付き状に衝合するので、チップ65が口金6
2に対してガタ止めされる。
【0056】
【発明の効果】本発明の低粘度水性ボールペンの構成及
び作用は以上のようであり、本発明に用いる特有の低粘
度水性ボールペン用インキを使用することでボテの無
い、描線の濃い、ムラの無い、且つキャップを不要とす
る筆記先端部を出没自在とした、例えばノック式のボー
ルペンの提供が可能となる。又、ペン先の保湿性が良く
キャップなしでペンを放置でき、経時安定性が良く、低
粘度インキであるが故に生じるインキの直流や上向き筆
記、ノック及び衝撃に対するインキの逆流が防止される
ので軸筒内や手や衣服等を汚す事故が防止される。又、
筆記掠れも防止される。又、筆記時以外は先端ボールが
チップ抱持部の内縁に密接するので、長期間放置しても
乾燥による筆記掠れの問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のボールペンのリフィールの全体を示
す縦断面図であり、チップを上向きした状態を示してい
る。
【図2】実施例1のボールペンのリフィールの要部拡大
の断面図であり、チップを下向きにした状態を示してい
る。
【図3】実施例1の弁室部位の拡大した横断面図であ
る。
【図4】実施例であるボールペンのリフィールを搭載す
るノック式ボールペンの一例を示した一部非断面の縦断
面図で、筆記先端部を没入した状態を示している。
【図5】図4に対応する一部非断面の縦断面図で、筆記
先端部を突出した状態を示している。
【図6】図4に対応する上面図である。
【図7】実施例2のボールペンのリフィールの要部拡大
の断面図であり、チップを上向きにした状態を示してい
る。
【図8】実施例3のボールペンのリフィールの要部拡大
の断面図であり、チップを上向きにした状態を示してい
る。
【図9】実施例4のボールペンのリフィールの要部拡大
の断面図であり、チップを上向きにした状態を示してい
る。
【図10】実施例5に示すボールペン縦断面図である。
【図11】図10の前半部の拡大図である。
【図12】図10の後半部の拡大図である。
【符号の説明】
1 ボールペンのリフィール 2 継ぎ手 3 前軸部 4 段部 5 後軸部 6 弁室 7 ボール受け座 8 溝部 9 導孔 10 ボール弁 11 内孔部 11a チップ嵌着面 11b チップ嵌着面 12 チップ 12a 先端ボール 12b チャンネル 13 軸部 14 係止部 15 カシメ部 16 スプリング 16a 棒軸部 17 インキ収容管 18 インキ 19 フォロア 20 軸筒 21 クリップ 22 取付け脚部 23 溝 24 玉部 25 係止段部 26 側壁 27 窓孔 28 内面段部 29 軸先端口 30 スリット 31 ノック体 32 ストッパー片 33 係止突起 34 係止突起 35 コイルスプリング 40 継ぎ手 41 弁室 42 ボール受け座 43 突条 44 導孔 45 段部 46 ボール弁 47 チップ 47a 先端ボール 48 スプリング 48a 棒軸部 49 チップ嵌着面 50 継ぎ手 51 チップ嵌着面 52 段部 53 導孔 54 押し体 54a 棒軸部 55 スプリング 61 軸筒 61a 内孔 62 口金 63 継ぎ手 64 インキ収容管 65 チップ 65a 先端ボール 66 軸部 67 圧入筒部 68 リブ 69 内段部 70 チップ嵌着孔 71 嵌合筒部 72 弁室 73 ボール受け座 74 ボール弁 75 溝部 76 鍔部 77 導孔 78 チップ後端孔 79 インキ 80 フォロア 81 パイプ材 82 尾栓 83 キャップ 84 クリップ 85 インナーキャップ 86 リブ 87 小室 88 シール栓体 89 通気孔 90 筒部 91 係合部 92 係合部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端ボールを抱持するチップに継ぎ手を
    介してインキ収容管が連通しているボールペンリフィー
    ルを具備することからなり、該インキ収容管には、エチ
    レングリコール、ジエチレングリコール、プロピレング
    リコール及びグリセリンからなる群から選ばれた少なく
    とも一種の溶剤が全インキ中5〜40重量%、架橋型ア
    クリル酸重合体が全インキ中0.1〜1.0重量%、及
    び顔料が全インキ中5〜10重量%含み、残部は主とし
    て水から成る水性ボールペン用インキが充填され、上記
    チップは、前記先端ボールがチップ先端のボール抱持部
    の内縁に常時には押圧して密接し、筆記時には密接状態
    が解除されるように設けられたスプリングを有すること
    からなる低粘度水性ボールペン。
  2. 【請求項2】 上記水性ボールペン用インキは、架橋型
    アクリル酸重合体が全インキ中0.2〜0.5重量%で
    あることから成る請求項1記載の低粘度水性ボールペ
    ン。
  3. 【請求項3】 前記スプリングは先を直立状の棒軸部を
    有していることからなる請求項1記載の低粘度水性ボー
    ルペン。
  4. 【請求項4】 前記スプリングは、前記先端ボールを押
    圧する直立状に棒軸部を有する押し体とコイル状のスプ
    リングとからなる請求項1記載の低粘度水性ボールペ
    ン。
  5. 【請求項5】 先端ボールを抱持するチップに継ぎ手を
    介してインキ収容管が連通しているボールペンリフィー
    ルを具備し、前記インキ収容管には、エチレングルコー
    ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及び
    グリセリンからなる群から選ばれた少なくとも一種の溶
    剤が前インキ中0.1〜1.0重量%、及び顔料が前イ
    ンキ中5〜10重量%含み、残部は主として水からなる
    水性ボールペン用インキが充填され、更に、当該インキ
    の後端には筆記に伴うインキの消耗に追随して移動可能
    で、且つ、インキの蒸発を防止する性質を有したグリー
    ス状の半透明不乾性物質よりなるフォロアが充填されて
    なり、前記継ぎ手の内孔はボール弁が遊嵌された弁室を
    有し、該弁室後部にボール弁が密接してインキの逆流を
    防ぐボール受け座及び該ボール受け座からインキ収容管
    に通ずる導孔を有し、該弁室前部はボール弁が接する部
    分を有してチップの後端に連通し、前記チップには、前
    記先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に常時
    には押圧して密接し、筆記時にはその密接状態が解除さ
    れるように設けられたスプリングを有することからなる
    低粘度水性ボールペン。
  6. 【請求項6】 前記弁室は、一側でボールペン軸方向に
    インキが流通する溝部と、前記継ぎ手の内孔の軸心から
    偏心して設けられた導孔を有することにより、ボール弁
    がチップ後端に偏って接してインキ流路を形成すること
    からなる請求項5記載の低粘度水性ボールペン。
  7. 【請求項7】 前記弁室は、前部周壁に所要数設けられ
    た突条、該突条の弾性変形により嵌入されたボール弁を
    有し、該突条にボール弁が接して突条と突条との間がイ
    ンキ流通溝を形成することからなる請求項5記載の低粘
    度水性ボールペン。
  8. 【請求項8】 前記スプリングは先を直立状の棒軸部を
    有していることからなる請求項5、6又は7記載の低粘
    度水性ボールペン。
  9. 【請求項9】 スプリングは、前記先端ボールを押圧す
    る直立状に棒軸部を有する押し体とコイル状のスプリン
    グとからなる請求項5、6又は7記載の低粘度水性ボー
    ルペン。
  10. 【請求項10】 前記ボールペンリフィールが軸筒に挿
    着され、前記継ぎ手の外周部に鍔状に設けられた段部と
    前記軸筒の内周面段部との間に設けられたコイルスプリ
    ングとにより、該ボールペンリフィールが常時後方に附
    勢され、該軸筒に対して軸推移して該軸筒先端口から前
    記チップ先端部が出没可能とした請求項1ないし9記載
    の低粘度水性ボールペン。
JP7110242A 1995-02-01 1995-04-12 低粘度水性ボールペン Pending JPH08282177A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100344728B1 (ko) * 1996-12-09 2002-07-20 미츠비시엔피츠가부시키가이샤 볼펜용 수성 잉크 조성물
JP2007297448A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Pilot Ink Co Ltd ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペンレフィル、ボールペン
JP2010155346A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Pilot Corporation ボールペン

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