JP7321331B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
ラインマーカー等の筆記具における筆記芯は、一般に合成樹脂繊維等を棒状等に集束したものや、高分子の焼結体などの多孔質部材に毛細管作用を付与し、これにより筆記具本体となる軸体から供給されるインクをペン先に導出することにより筆記可能としたものである。
このタイプの筆記具は、ペン先の可視部(窓)から筆記した文字が見えるから、チェックしたいところだけ、ピタッとはみ出さずにラインが引けるものである。具体的には、図19(a)に示すように、筆記具本体となる軸体1内のインク吸蔵体1aにインクを吸蔵させ、一端に細字タイプの筆記芯からなるペン体2と他端に太字タイプの筆記芯からなるペン体3を有し、インク吸蔵体1aのインクをそれぞれペン体2及びペン体3に供給する構成となっている。図示符号1b,1cはペン体2及びペン体3を保護するキャップである。また、後軸4に図19(b)にて示す太字タイプの筆記芯からなるペン体3が取り付けられている。このペン体3は、図19(b)に示すように、透明な支持部材となる保持体3aの外周に、略U字状の多孔質部材からなるインク誘導部3b,3bと筆記部3cとを有する筆記芯が取り付けられている。
また、本発明の筆記具は、少なくとも、多孔体からなる筆記芯と、筆記芯を保持する保持体とから筆記部が構成される筆記具であって、保持体からの筆記芯の先端側の突出量が筆記芯厚さ
の40~65%であることを特徴とする。
更に、本発明の筆記具は、少なくとも、多孔体からなる筆記芯と、筆記芯を保持する保持体とから筆記部が構成される筆記具であって、保持体からの筆記芯の先端側の突出量が0.65mm以上、1.05mm以下及び筆記芯厚さの40~65%であることを特徴とする。
前記保持体からの筆記芯の突出量が左右の保持体端面から異なることが好ましい。
また、保持体は、筆記方向に対して反対側の保持体端面が筆記方向側の保持体端面より突出していることが好ましい。
更に、前記筆記芯は粒子径分布の異なる材料を組み合わせて構成されていることが好ましい。
また、保持体からの突出量を左右で異ならしめることでユーザーに合わせた筆記具を提供することができる。
更に、保持体は、筆記方向に対して反対側の保持体端面が筆記方向側の保持体端面より突出せしめることにより、右手で左から右側に筆記する方向に特に効果を有する筆記具が提供される。
更にまた、筆記芯を粒子径分布の異なる材料を組み合わせて構成することにより、芯折れなどをより防ぐことができ耐久性を更に向上させることができるものとなる。
図1~図5は、本発明の筆記具の実施形態の一例を示すものであり、図1(a)~(c)は筆記具の平面図、正面図、縦断面図であり、図2(a)~(e)は、図1の筆記具からキャップを取り外した状態を示す各図面、図3(a)及び(b)は、図2の筆記具の筆記部側を背面側及び正面側から見た部分拡大斜視図である。
本実施形態の筆記具Aは、図1~図3に示すように、筆記具本体となる軸体(軸筒)10、インク吸蔵体20、筆記芯30、保持体40、キャップ50を備えている。
後軸11は、例えば、PP等からなる樹脂を使用して有底筒状に成形され、筆記具の本体(軸体)として機能する。この後軸11は、図1(c)に示すように、後端側内部にインク吸蔵体20の後端部を保持する保持片12、12…からなる保持部材13が設けられており、後軸全体及び後述する先軸は不透明又は透明(及び半透明)に成形されるが、外観上や実用上の観点からいずれを採用しても良い。また、後軸11の前方側に先軸15が嵌合等により固着される構造となっている。
先軸15は、後述する筆記芯30を固定する保持体40の本体部41を固着する凸状の嵌合部16が設けられている。この構造の先軸15は、例えば、PP等からなる樹脂などで成形されるものである。
用いる筆記具用インクの組成は、特に限定されず、筆記具の用途等に応じて、好適な配合処方とすることができる。好ましくは、後述する筆記具用インク組成物を用いることが望ましい。
筆記芯30は、図3(a)及び(b)、図4(a)~(j)に示すように、断面が円形形状で、全体が略コ字型形状となるものであり、インク誘導部31、31と、該インク誘導部31、31からのインクを導出する筆記部32とを備えたものであり、インク誘導部31、31と筆記部32との角部は切り落とされたカット面部33、33とを有している。また、インク誘導部31、31の表面部には平滑面となるカット平滑面部31aが形成されている。
この筆記芯30は、多孔体から構成されるものであり、例えば、気孔を有する多孔質で形成されたものが挙げられ、具体的には、スポンジ体、焼結体、繊維束体、発泡体、海綿体、フェルト体、ポーラス体などを挙げることができる。多孔体を形成する材料としては、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などを用いることができる。本実施形態では、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結体から構成されている。
筆記部32は、筆記しやすい傾きとなるように、傾斜状(ナイフカット状)となっており、この傾き等は、筆記等の使い勝手に合わせて適宜設定される。また、この筆記部32は、描線幅Wが太いものであり、好ましくは、描線幅Wは1mm以上、更に好ましくは、描線幅Wは2mm以上の描線幅となる筆記部が望ましい。
また、上記本体部41の後方側に、上記本体部41に連設される保持片45を有する後方保持部46とを備えたものである。これらの部材から構成される保持体40の長手方向外周面全体には、上記コ字型状の筆記芯30を嵌入保持する保持溝46が形成されている。更に、本体部41の幅方向外周面には、凹状の嵌合部41aが形成され、長手方向外周面となる両面空気流通溝には、それぞれ直線状の空気流通溝41bと屈曲状の空気流通溝41cが形成されている。
また、保持体40は、上記各材料の一種類、または、耐久性、視認性の更なる向上の点などから、2種類以上の材料を用いて構成してもよく、射出成形、ブロー成形などの各種成形法により成形することができる。
キャップ50は、先軸15の先端側外周面に嵌合等により着脱自在に取り付けられるものである。
更に、これらの筆記具Aは、上述の如く、筆記芯30を固着した保持体40が、視認性を有する材料で構成されているので、当該保持体40の可視部43が、筆記方向を視認できる視認部となるものであり、筆記方向に書いてある文字を確実に読むことができる十分な視認性が付与することができると共に、終筆まで使用可能な筆記具が提供されるものとなる。
本実施形態の筆記具Bは、筆記芯30において、カット平滑面部31aを有しない点、
また、保持体40からの筆記芯30の突出量Yが左右の保持体40端面から異なる点(突出量Yが長いものをY、短いものをY´としている点)、すなわち、筆記芯30の先端側(端面)を保持する前方保持部44a,44bの長さが逆となる点、具体的には、前方保持部44aを短くし、前方保持部44bを長くし、しかも、前方保持部44a、44bの先端側の端部は筆記芯30の先端側の端部と同じ位置(端部)に合わせていない点、筆記芯30のインク誘導部31、31の後方側端部31a、31aの長さが同じでなく、長いものと短いものとに形成している点で、図1~図5の実施形態の筆記具と異なるものである。
本実施形態では、図7(e)及び(g)に示すように、保持体40からの筆記芯30の先端側の突出量Yは左右(図面上では上下)で異なるが、本発明では大きい方の突出量をYとするものであり、上記実施形態と同様に突出量Yが0.65mm以上、1.05mm以下及び/又は筆記芯厚さtの40~65%とする構成となっている。
次に、上記図1~図5の実施形態、図6~図10の他の実施形態、更に後述する図11、図12の各筆記具、並びに、図13~図18の筆記具に使用する筆記用インク組成物を説明する。
用いることができるインク吸蔵体20に吸蔵する筆記具用インク組成物としては、特に限定されるものでないが、インク供給を良好とする点、筆記部(ペン先)の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない機能を発現することなどの点から、好ましくは、着色剤と、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールと、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含有する筆記具用インク組成物の使用が望ましい。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、ウォーターイエロー#6-C、アシッドレッド、ウォーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF、ニグロシンNB等の酸性染料;ダイレクトブラック154、ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットB00B等の直接染料;ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料、蛍光染料などが挙げられる。
蛍光顔料としては、従来公知のものが適宜使用でき、例えば、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫化カドミウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等の無機蛍光顔料や高分子化合物を染色した有機蛍光顔料が挙げられる。
有機蛍光顔料としては、具体的には、NKWシリーズ(日本蛍光化学社製)、シンロイヒカラーベースSWシリーズ、SFシリーズ(シンロイヒ社製)、ビクトリアイエローG-20などのビクトリアシリーズ(御国色素社製)等が挙げられる。
これらの着色剤の含有量は、インク組成物全量に対して、0.1~60質量%(以下、「質量%」を単に「%」という)で適宜調整することが可能である。
具用水性インク組成中に配合してもインキ性能の低下等を招くことがなく、ペン先の耐乾
燥性、描線の乾燥性、インクの低温安定性を発揮せしめるものである。
この含有量が0.5%未満であると、ペン先の乾燥抑制効果が充分でなく、一方、50%超過であると、効果はそれほど変わらず、むしろ粘度増加による筆記性能、保存安定性の低下をもたらすこととなる。
この含有量が0.5%未満であると、ペン先の乾燥抑制効果が充分でなく、また、トリメチルグリシンとの相乗作用を発揮することができず、一方、8%超過であると、トリメチルグリシンとの相乗作用の効果はそれほど変わらず、低温下における析出や、保存安定性の低下をもたらすこととなる。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して、10%以下、好ましくは、7%以下、より好ましくは5%以下とすることが望ましい。
これらの水溶性有機溶剤の含有量を10%以下とすることにより、描線乾燥性に優れた機能を発揮せしめるものとなる。
また、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルホリン、トリエチルアミン等のアミン化合物、アンモニア等が挙げられる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、水溶性スチレン -アクリル樹脂、水溶性スチレン・マレイン酸樹脂、水溶性マレイン酸樹脂、水溶性スチレン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ-ル、水溶性エステル-アクリル樹脂、エチレン-マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン樹脂等などが挙げられる。
樹脂エマルションとしては、例えば、アクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、ウレタン系エマルション、スチ レン-ブタジエンエマルション、スチレンアクリロニトリルエマルションなどが挙げられる。
これらの水溶性樹脂および樹脂エマルションは、一種もしくは二種以上を混合して使用することができる。
すなわち、本発明の筆記具に用いる筆記具用インク組成物では、着色剤と、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールと、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含有することにより、共に、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールとがペン先の耐乾燥性を抑える成分となるものであり、これらの各単独使用よりも、筆記具用水性インク組成中で併用することにより、相乗的に作用していることは明らかである。その理由は必ずしも明らかではないが、相乗効果によりペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない優れた性能を発揮せしめるものと推測される。
本発明に用いる筆記具用インク組成物は、上記効果を発揮せしめる持続効果が極めて優れており、しかも、その効果の発現期間・持続時間も長く、更にトリメチルグリシンとペンタエリスリトールは水溶性であるために経時的な安定性にも優れたものとなる。
従って、本発明の筆記具に上記組成の筆記用インク組成物を用いることにより、強い筆記荷重で筆記しても筆記芯30の先端側の筆記性能を損なうことなく、極力保持体内面で筆記芯を押さえる構造となるため、筆記芯の破損を防ぎ耐久性に優れると共に、筆記具が保持体の視認性から当該筆記具を持って筆記する際に、筆記対象部位を見ながら筆記部分をより鮮明にすることができ、しかも、筆記部(ペン先)の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない機能を発現することができる筆記具が得られることになる。
図1~図5の上記実施形態の筆記具において同様の構成は、同一符号を用いてその説明を省略する。
図11の筆記具は、筆記芯30において、筆記芯30の先端側(端面)を保持する前方保持部44a,44bの長さが同じとなる点でのみ、図1~図5の実施形態の筆記具と異なるものである。
本実施形態においても、上記実施形態と同様に突出量Yが保持体からの筆記芯の先端側の突出量が0.65mm以上、1.05mm以下及び/又は筆記芯厚さの40~65%となっており、上記図1~図5の筆記具と同様に、強い筆記荷重で筆記しても筆記芯30の先端側を極力保持体内面で筆記芯を押さえる構造などとなるため、筆記性能を損なうことなく、筆記性能を損なうことなく、筆記芯の破損を防ぎ耐久性に優れる筆記具が提供されるものとなる。
筆記芯30を粒子径分布の異なる材料を組み合わせて構成する形態としては、例えば、筆記芯30が焼結芯の場合に、例えば、粒子径が異なるプラスチック粒子(共にPE粒子)を用いることにより、具体的には、粒子径が小さいものを筆記部32に使用し、粒子径が大きいものをインク誘導部31、31に用いて筆記芯(焼結芯)30とすれば、筆記部32の強度をより向上させることができる。
なお、上記筆記芯30を上記態様(粒子径分布の異なる材料を組み合わせて構成)に変更しても、インク吸蔵体12からの筆記部32へのインク供給機構を損なうことなく、インク切れを起こすことなく、好適な量となるインク供給がなされるように設定されるものである。
更に、上記図11の実施形態において、インク誘導部31、31と筆記部32との境界部(強度の境界部Z1)を更に確実に保護するために、図12(c)に示すように、強度を増加した強度幅Z(最大Z=X)を突出量Yよりも大きくし(Z>Y)、境界部Z1が前方保持部44a,44bの内部で保持(保護)して、筆記部32を含む筆記芯30の耐久性を更に向上させてもよいものである。好ましくは、強度幅Z(=X)は(1.0×最小Y)≦Z≦(3.0×最大Y)、より好ましくは(1.0×最大Y)≦Z≦(2.0×最大Y)とすることが望ましい。なお、Z≦Yであると、上記インク誘導部31、31と筆記部32との境界部(強度の境界部Z1)を前方保持部44a,44bの内部で保護されず、筆記芯30の設計強度等に依存することとなる。
本実施形態の筆記具Cは、筆記具本体(軸部)となる軸筒が有底楕円筒形(楕円軸)である点、筆記芯となる多孔体とインク誘導芯が一体となった点等で上記実施形態の筆記具A,Bなどと相違するものである。
本実施形態の筆記具Cは、マーキングペンタイプの筆記具であり、図13、図14に示すように、筆記具本体(軸部)となる軸筒50、インク吸蔵体60、インク誘導芯70、ペン先80を備えている。
軸筒50は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス等で形成されるものであり、筆記具用インクを含浸したインク吸蔵体60を収容する有底筒状の後軸51と、ペン先80を固着する先軸55とを有している。
また、インク吸蔵体60に含浸されるインク組成は、特に限定されず、例えば、水性インクでは、ペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない筆記具用水性インク組成物として、上述した、少なくとも、着色剤と、トリメチルグリシン0.5~50質量%と、ペンタエリスリトール0.5~8質量%と、10質量%%以下の水溶性有機溶剤と、水とを含有するインク組成などが挙げられる。
更に、消し具等を用いて摩擦熱等により筆記描線を消色できる熱変色性のインク組成物では、擦る回数を減らし、かつ手に過度の負担をかけること無く確実に消色できるものとして、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤を少なくとも含む熱変色性マイクロカプセル顔料と、平均粒子径が50~1000nmの範囲の二酸化チタン、シリカ粒子、シリコーン樹脂粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子とを含有し、上記熱変色性マイクロカプセル顔料がインク組成物全量に対して5~30質量%であると共に、上記粒子の含有量が熱変色性マイクロカプセル顔料1に対して、質量比で0.1~2であり、かつ、上記熱変色性マイクロカプセル顔料と上記粒子の合計含有量がインク組成物全量に対して60質量%以下であるインク組成などが挙げられる。なお、平均粒子径は、粒度分析計〔マイクロトラックHRA9320-X100(日機装社製)〕にて求めることができる。また、消し具は、JIS K 6253に規定されるデュロメータAタイプによる測定で90以下の材料を軸筒の後端又はキャップの頂部に設けることが好ましい。
このインク誘導芯70と筆記部となる多孔体71の一体構成は、インク吸蔵体60と同様に繊維束、フェルト等の繊維束を加工した繊維束芯、または、硬質スポンジ、樹脂粒子焼結体等からなる樹脂粒子多孔体、スライバー芯等の連続気孔を有するものである。このインク誘導芯70等の形状、構造等は特に限定されるものでなく、例えば、インク誘導芯70の断面形状としては、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、台形、平行四辺形、ひし形、これ以外の方形形状、カマボコ形、半月形の形状などが挙げられ、好ましくは、インク誘導芯70の形状を筆記方向が視認できる視認部側を側面と同じ若しくは小さくすることが好ましく、更に好ましくは、直方形状又は楕円形状とし、溝部のある側を短軸側とすることでインク誘導部90の視認性を妨げることなく、インク流量を確保することができる。
また、ペン先80の本体部82の外周面上には、先軸55の嵌入部58に設けた嵌合部58aに嵌合するための嵌合突部82aが設けられている。
また、筆記部となる多孔体71は、筆記しやすい傾きとなるように、好ましくは、本体軸の長軸方向に対して、40~90°の角度で傾いていることが望ましく、本実施形態では、75°の傾きとなっている。
これらの筆記部となる多孔体71の形状、傾き等は、筆記等の使い勝手に合わせて適宜設定される。また、筆記部となる多孔体71は、描線幅が太いものであり、好ましくは、描線幅W2mm以上、更に好ましくは、描線幅3mm以上の描線幅となる筆記部である。
このインク誘導部90の形状、大きさ、本数等は、筆記具本体に含まれるインク吸蔵体60に含浸されたインクが上記筒状部81及びインク誘導部90内に配設したインク誘導芯70、インク誘導芯70の先端に一体に設けた筆記部となる多孔体71へ毛管作用により効率よくインク供給できる構造等となるものであれば、その形状、構造、大きさ、本数などは適宜選択することができる。
このインク誘導部90の形状は、長軸方向である筆記部85側に向かって直線が望ましいが、テーパーが形成されていてもよく、また、本体軸の長軸方向に対して0~30°の向きで、2本以上の複数本でもよいが、1本のみ設けられていることが望ましい。
なお、上記インク誘導芯70とインク誘導部90間に隙間を形成することなく、インク誘導部90内にインク誘導芯70が密着状態(密封)であってもよく、この場合でも、外観をきれいに見せることができ、インク吸蔵体60のインクをペン先80の保持体95に固着されるインク誘導芯70と一体で構成される筆記部となる多孔体71に効率よく、好適なインク量を効率よく供給できるものである。
また、上記保持体95の上部側の両側面に、筆記部となる多孔体85を保持する長さが相違するリブ体98a、98bが設けられると共に、該リブ体間には多孔体85の底面と当接する底面部99が設けられている。この底面部の中央部にはインク誘導部90の出口が形成されている。更に、上記リブ体の一方の端面に多孔体85の前端面が当接する当接部99aが設けられている。
この可視光線透過率が50%未満の材料を使用した場合は、筆記方向に書いてある文字を有効に視認できないことがあり、好ましくない。更なる良好な視認機能を発揮できるようにするために、50%以上透過する材料が好ましく、この可視光線透過率が80%以上であれば、更に良好に視認できるものとなる。なお、可視光線透過率は、多光源測色計を用いて反射率を測定することで求めることができる。
本実施形態では、右利きで左から右方向(横方向)に筆記する際、更に、筆記せしめる紙面の方向等を変えることなく、そのまま縦方向に筆記する際にも、突出部(突出量Y)で描線を引くことなどができ、しかも、長さが異なるリブ体98a、98bとで確実に筆記芯の先端側を保持(保護)できるので、強い筆記荷重で筆記しても筆記芯となる多孔体71の先端側で、極力保持体内面で筆記芯を押さえる構造となるため、筆記性能を損なうことなく、上記図1~図5等の実施形態などの筆記具と同様に、筆記芯の破損を防ぎ耐久性に優れる筆記具が提供されるものとなる。
また、上記筆記具Aにおいて、保持体80からの筆記芯となる多孔体71の先端側の突出量Yを0.65mm以上、1.05mm以下とすることなく、筆記芯の厚さtの40~65%とすることによっても、本発明の効果を発揮できることとなる。すなわち、この実施形態でも、筆記芯の先端側の突出量Yを筆記芯の厚さtの40~65%とすることにより、強い筆記荷重で筆記しても筆記芯30の先端側の突出量Yが筆記芯の厚さとの関係から、筆記芯の強度を更に保持できると共に、突出量Yを極力保持体内面で筆記芯を押さえる構造となるため、更に筆記性能を損なうことなく、筆記芯の破損を防ぎ耐久性に優れる筆記具が提供されるものとなる。
この形態の筆記具Cでは、筆記具の軸筒50を構成する後軸51内にインクを吸蔵したインク吸蔵体60、インク誘導芯70と筆記部となる多孔体71を取り付けたペン先80、先軸55を順次嵌合等により取り付けることにより、簡単に筆記具Cを作製することができるものである。
例えば、上記図5~10、並びに、図11の筆記具において、上記図12の形態の筆記芯30と保持体40の形態、すなわち、筆記芯30を粒子径分布の異なる材料を組み合わせで構成した場合に、インク誘導部31、31と筆記部32との境界部(強度の境界部Z1)を更に確実に保護するために、上述の如く、境界部Z1を前方保持部44a,44bの内部で保持(保護)する構成とすることにより、上記図5~10、並びに、図11の筆記具においても、筆記部32を含む筆記芯30の耐久性を更に向上させてもよいものである。
更に、上記各実施形態では、インク吸蔵体20に吸蔵されたインクを毛管力により筆記芯30の筆記部32に効率的に供給せしめる方式(中綿式)の筆記具を示したが、弁機構を備えた筆記具、例えば、筆記具本体となる軸体内に直接インクが収容されたインク室を設けて、インク室と筆記芯との間に弁機構を設け、ペン先方向の押圧移動で弁機構のスプリングの附勢力に抗して弁棒を後退させて弁部を解放してインクの導出を行い、筆記芯にインクを供給する構成の筆記具であってもよいものである。
上記実施形態の筆記具Cでは、筆記具本体の軸筒などの断面を楕円軸に形成したが、三角形状、四角形以上の方形状などの異形形状、正円形状にしてもよいものである。
また、上記実施形態の筆記具Cではインク誘導芯70により、インク吸蔵体20から筆記部となる多孔体71まで一部品でインクを供給するものとしたが、二部品、例えば、インク吸蔵体70から筒状部81までを中継多孔体とし、インク誘導部90内を前記インク誘導芯と同様のインク供給芯との二部品で、インク吸蔵体20から筆記部となる多孔体へインクを供給してもよいものである。
更に、上記各実施形態では、筆記具用のインク(水性インク、油性インク、熱変色性インク)で説明したが、液状化粧料、液状薬剤、塗布液、修正液などの液状体とし、ペン先を該液状体に併せて、例えば、多孔体を好適な塗布部材用の多孔体を用いてもよいものである。
下記構成及び図6~図10に準拠する筆記具、インクを使用した。筆記芯、保持体等の寸法等は下記に示す大きさのものを使用した。
PE製焼結芯、気孔率60%、筆記部32:W=4mm、ナイフカット状、インク誘導部:φ(t)1.6mm、突出量Y=0.85mm(tの53%)、突出量Yの反対側の突出量Y´=0.65mm(tの40%)、筆記芯幅X=1.75mm
(保持体40の構成)
アクリル樹脂製、可視光線透過率85%〔スガ試験機社製、多光源分光測色計(MSC-5N)にて反射率を測定し、可視光線透過率とした。〕
筆記芯取り付け後の可視部43(四角形)の大きさ:5mm×6mm×3mm×4mm
インク吸蔵体:PET繊維束、気孔率85%、φ6×77mm
筆記具本体、キャップ:ポリプロピレン(PP)製
インクとして、下記組成のインク(合計100質量%)を使用した。
保湿剤:トリメチルグリシン(グリシンベタイン) 7.5質量%
ペンタエリスリトール 4.5質量%
着色剤:NKW-4805黄(日本蛍光社製) 40.0質量%
防腐剤:バイオエース(ケイアイ化成社製) 0.3質量%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1.0質量%
フッ素系界面活性剤:サーフロン8111N(AGCセイミケミカル社製) 0.2質量%
水溶性有機溶剤:エチレングリコール 3.0質量%
水(溶媒):イオン交換水 43.5質量%
また、得られた筆記具を用いて、文字の上に筆記したところ、筆記時に可視部を介して向こう側の見え方を目視にて確認したところ、視認性が十分であり、見やすく、筆記方向に書いてある文字を読みながら筆記することができた。
更に、自動筆記装置にこの筆記具をセットして、JIS S6037に準拠した試験方法に従い、上質紙面上で筆記角度65°、筆記荷重1N、速度7cm/s、距離100mで直線筆記後、筆記した描線状態を目視にて確認したところ、上記好ましいインク組成のものを使用しているため、インク流量も良好で、ペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない機能を発現することがわかった。
下記構成及び図12(及び図1~図5)に準拠する筆記具、インクを使用した。筆記芯、保持体等の寸法等は下記に示す大きさのものを使用した。
PE製焼結芯、筆記部32(Z部分):気孔率70%(粒子径が小さいPE粒子)、W=4mm、ナイフカット状、インク誘導部等:気孔率50%(粒子径が大きいPE粒子)、φ:t=1.65mm、突出量Y=1.05mm、筆記芯幅X=2.50mm、Z=2.0mm(保持体40の構成、筆記芯30、保持体40以外の筆記具部材の構成、インク組成)
上記実施例1と同じ構造、組成のものを用いた。
更に、自動筆記装置にこの筆記具をセットして、JIS S6037に準拠した試験方法に従い、上質紙面上で筆記角度65°、筆記荷重1N、速度7cm/s、距離100mで直線筆記後、筆記した描線状態を目視にて確認したところ、上記好ましいインク組成のものを使用しているため、実施例1と同様に、インク流量も良好で、ペン先の乾燥を抑えながらも、描線の乾燥性、インクの低温安定性に優れ、描線に滲みや裏抜けのない機能を発現することがわかった。
10 軸体
11 後軸
15 先軸
20 インク吸蔵体
30 筆記芯
40 保持体
50 キャップ
X 筆記芯幅
Y 突出量
t 筆記芯厚さ
Claims (3)
- 少なくとも、多孔体からなり、インク誘導部と筆記部とで構成される筆記芯と、筆記芯を保持する保持体とから筆記部が構成される筆記具であって、前記保持体の側面に形成される前方保持部端面から筆記芯の先端側までの突出量Yが筆記芯厚さの40%以上、65%以下であり、前記筆記芯のインク誘導部と筆記部との境界部は強度を増加した強度幅となり、該強度幅Zは(1.0×最小Y)≦Z≦(3.0×最大Y)であると共に、筆記芯は、インク誘導部と筆記部とで構成された全体が略コ字型形状であり、インク誘導部と筆記部との角部は切り落とされたカット面部とを有し、インク誘導部の表面部には平滑面となるカット平滑面部が形成されていることを特徴とする筆記具。
- 筆記具は、着色剤と、トリメチルグリシンと、ペンタエリスリトールと、10質量%以下の水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含有する筆記具用インク組成物を搭載したことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
- 筆記具は、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤を少なくとも含む熱変色性マイクロカプセル顔料と、平均粒子径が50~1000nmの範囲の二酸化チタン、シリカ粒子、シリコーン樹脂粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子とを含有し、上記熱変色性マイクロカプセル顔料がインク組成物全量に対して5~30質量%であると共に、上記粒子の含有量が熱変色性マイクロカプセル顔料1に対して、質量比で0.1~2であり、かつ、上記熱変色性マイクロカプセル顔料と上記粒子の合計含有量がインク組成物全量に対して60質量%以下である筆記具用インク組成物を搭載し、筆記具の軸筒の後端又はキャップの頂部に上記インク組成物による筆記描線を摩擦熱により消色できる消し具を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の筆記具。
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