以下、本発明について詳細に説明する。インク収容部に収容されるインクは少なくとも顔料、揮発性溶剤及び低揮発性溶剤から構成され、印字中の非吐出ノズルにおいて揮発性溶剤の蒸発にともなってメニスカス近傍のインクの顔料濃度がノズル内部のインクの顔料濃度よりも低下する特性が付与されている。また、顔料濃度低下がよりいっそう進行した場合には相分離透明層を生じるものである。これらの顔料濃度の低下、あるいは相分離は蒸発過程で顔料粒子がより親和性の高い環境、すなわちノズル内部の揮発性溶剤が多い領域に移動することで生じる現象であるが、インク中に存在する粒子のζ電位絶対値を20mV付近以上にすることでより顕著に発現させることができる。ζ電位絶対値が20mV付近を下回ると蒸発過程での粒子同士の電気的反発力が弱く、その場で凝集して系が安定化する傾向が強いため顔料粒子の移動は起こりにくい。ζ電位の絶対値が高いと電気的反発力によって粒子同士の凝集は阻害され、高いζ電位絶対値を維持できる揮発性溶剤が多い領域へと移動して安定化するものと考えられる。なお、本発明におけるζ電位は、対電極間の高周波交流電場下における粒子の振動によって発生する圧力を検出して算出する所謂ESA法により求めることができる。
このような顔料濃度が低下した領域あるいは相分離した透明層は顔料粒子の含有量が著しく低いために揮発性溶剤の蒸発が進んでも比較的粘度が低い。また、蒸発過程でのノズル内部のインクはメニスカス近傍からの顔料粒子の移動によって顔料濃度が上昇するが、ニュートン流動を維持している。従って、このような特性のインクを用いることで、長期休止あるいは一次休止後の吐出安定性や間欠吐出安定性を確保できる。しかしながら、このような特性のインクの場合は、非吐出ノズルのメニスカス近傍では顔料濃度が低下しているために、そのままインク滴を吐出した場合には、淡色あるいは透明ドットが印字されるという不具合を併せ持っている。
本発明では、このような特性のインクを用いて、非吐出ノズルに対して所定のタイミングでインク液滴が吐出しない程度に圧力発生手段を駆動してメニスカスを振動させる非吐出駆動を行なうが、印字を一次休止した場合や印字中に休止ノズルがある場合でもメニスカスに振動を加えるだけでメニスカス近傍とノズル内部のインクが容易に混合されるので、淡色ドットあるいは透明ドットの問題が解消される。また、吐出時のインクの粘度上昇はごくわずかなものにとどまるので、インク滴を安定に吐出することができる。また、メニスカス近傍とノズル内部のインク粘度が低くニュートン流動を示すために、従来のインク増粘を抑制するために行う非吐出駆動に比べて駆動期間及びその回数も少なくてすみ、ヘッドの耐久性への悪影響が少ない。
図1は本発明の非吐出駆動を行った場合の一連の様子を示す。図1(a)は印字中の休止ノズルに発生した相分離の状態を示す。このまま、次の印字をおこなうと透明あるいは淡色の液滴が吐出することになる。図1(b)と(c)はインク液滴が吐出しない駆動パルスで圧電素子を駆動させた場合のメニスカスの振動する様子を示す。(図中相分離の状態は省略)このようにノズル開口から液滴が吐出しない駆動パルスでメニスカスを振動させると相分離透明層がなくなり、図1(d)に示す均一な状態になる。
揮発性溶剤は25℃における蒸気圧が1mmHg以上のもので、水やメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等の低級アルコールやケトン類が例示できるが、水を主成分とするものが好ましい。低揮発性溶剤はインクの乾燥による目詰まりを防止する湿潤剤としての機能、揮発性溶剤が蒸発する過程での顔料粒子の移動促進機能、浸透剤を用いる場合の浸透剤溶解助剤としての機能を有し、揮発性溶剤の主成分としての水と親和性を有する以下の例示化合物から単独で、あるいは複数選択して混合系として使用されるが、その選択にあたっては顔料の親水基あるいは親水化処理剤との相互作用により決まるζ電位を考慮し、ζ電位が20mV以上に高められる組み合わせを選択する必要がある。低揮発性溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等を挙げることができる。
インク組成物中でのこれら低揮発性溶剤の添加量は5〜50重量%であり、好ましくは8〜30重量%である。5重量%未満では、インク中の水分蒸発抑制効果が不十分であり、またインク中の浸透剤の含有量によっては、溶解助剤としての効果も不十分となり、インクの保存安定性、噴射安定性を損ねる等不具合を生じる。50重量%より多く添加すると粘度の上昇によるインクジェットでの噴射安定性が劣る。
本発明では、さらに顔料濃度を1.25〜1.50倍に濃縮したときのζ電位の絶対値が、元のζ電位の絶対値に対して5mV以上低下する特性を兼ね備えたインクを収容するように構成したインクジェット記録装置が特に間欠吐出安定性に優れることを見出した。揮発性溶剤の蒸発にともなうζ電位変化が大きいと、これが駆動力となり顔料粒子の移動、すなわちメニスカス近傍の透明化が促進されるためと考えられる。なお、揮発性溶剤の蒸発にともなうζ電位の変化が大きくても、もとのζ電位絶対値が小さいと、蒸発にともなう凝集作用が勝り、メニスカス近傍での顔料粒子の移動や透明化は起こらず、メニスカス近傍のインクは増粘し、間欠吐出が不安定になる。
本発明で使用される顔料は、特にその種類を限定すること無く、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを用いることができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を用いることができる。
本発明において好ましく用いられる顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等が挙げられる。
これらの顔料を記録液に導入し分散安定性、吐出安定性を確保するためには、顔料の表面処理、分散処理、分級処理等を組み合わせて顔料の粒子径分布を10〜600nmの範囲内に制御する必要がある。600nmを超える粒子が粒度分布測定装置で観測される程度に存在するとインクの分散安定性が悪く、保存時に凝集等で粗大粒子が発生しインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出する際の安定性が劣る。また、インク中の粒子径は平均粒子径が50〜200nmの範囲に制御することが好ましい。200nmを超えると分散安定性が悪くなる。さらに、印刷物の色調、特に彩度の低下が問題なる。50nmを下回る平均粒子径のインクは分散安定性は良好であるが、インクが記録媒体に浸透乾燥する際に、インク中の顔料粒子が記録媒体の内部深くに浸透する、所謂裏抜けが発生しやすくなる。ここでいう平均粒径とは、体積累積パーセント50%の値をさす。体積累積パーセント50%の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)といわれる方法を用いることができる。
顔料の表面処理に関しては、顔料の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なのものとしたものがあるが、好ましい実施形態は、顔料の表面に親水性のイオン性基を直接若しくは連結基を介して結合したもので、後述する分散処理における分散剤を使用することなく水中に安定に分散が可能であり、揮発性溶剤の蒸発過程で顔料粒子が凝集することもないので、顔料粒子の移動や透明化の現象が起こりやすい。
イオン性基としてはカチオン性、アニオン性いずれのものも用いることができる。カチオン性基としては第4級アンモニウム、第4級アルキルアミンの塩、ピリジニウム、ホスホニウム等のカチオン性基を用いることができる。カチオン性基を用いた場合、前述のイオン性基全般の効果に加えて、アニオン性のインクとの組み合わせで、カラーブリードの解消に効果がある。顔料の表面に直接若しくは連結基を介して結合するアニオン性基としては−COOM、−SO3M、−PO3M、−PO3M2(但しMは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミンを表わす)が好ましい。特にカルボキシル基を結合したタイプは分散安定性が向上するばかりでなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する点で好ましい。また、カルボキシル基の対イオンとしてアルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノ−ルアミン陽イオン等を用いることにより、優れた分散安定性、吐出安定性を示す。この効果は、対イオンの水和効果に由来するものと考えられる。
顔料の分散処理に関しては、高分子分散剤又は界面活性剤型分散剤、及び水を少なくとも含有する水性媒体に顔料を添加した顔料分散組成物をプレミキシングした後、公知の分散手段を用いて分散を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って粒度分布及び平均粒子径を調整した分散液を得る。
次に、この分散液に所望の特性を得るために適宜選択された添加剤成分を加え、撹拌して本発明で使用するインクとする。インク組成物中の顔料の添加量は、0.5〜15重量%程度が好ましいく、より好ましくは2〜10重量%程度である。前述の高分子分散剤としては例えば以下のものが挙げられる。ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられ、親水性基としてカルボキシル基を有するものが分散安定性に有利であり、本発明のζ電位を制御する上でも好ましい。これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000であり、好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15、000である。分散剤は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加することができる。分散剤添加量としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
界面活性剤型の分散剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリン・アルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。
特にエチレンオキサイド基を含むアニオン系界面活性剤を用いることで、分散安定性に優れ、水分蒸発時のメニスカス近傍での顔料濃度の低下あるいは相分離現象も起こりやすい。これは、エチレンオキサイド基が水分子を引き付けやすいためである。
分散剤としてのエチレンオキサイド基を含むアニオン系界面活性剤としては一般式(I)、(II)、(III)で示される化合物を用いることにより、顔料の分散安定性を大幅に向上することができる。
R1O(CH2CH2O)lCH2COOM1 (I)
R2O(CH2CH2O)mSO3M2 (II)
R3O(CH2CH2O)nPO(OM3)OM4 (III)
R1:炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、
l:3〜12
M1、M2、M4:アルカリ金属イオン、第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム、アルカノールアミン
R2、R3:炭素数4〜24以下のアルキル基、アルキルフェニル基又はアルキルアリル基
M3:水素、又はR(CH2CH2O)n
mは4〜50
nは4〜20
一般式(I)、(II)、(III)の化合物では、−COOM1、−SO3M2や−PO(OM3)OM4が水中で解離しζ電位を決定している。さらにこれらの親水基に隣接してオキシエチレン鎖が水分子を引き付るために、水分蒸発の過程においても解離を維持していて、高いζ電位絶対値を確保できる。一般式(I)、(II)、(III)の化合物のオキシエチレン鎖とアルキル鎖長は使用する顔料と低揮発性溶剤の種類に応じて適正なものが選択される。
一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物の具体例を遊離酸型で示す。
化合物(I)−1 C13H27O(CH2CH2O)3COOH
化合物(I)−2 C10H21O(CH2CH2O)12COOH
化合物(I)−3 C4H9C6H5O(CH2CH2O)10COOH
化合物(I)−4 C3H7C6H5O(CH2CH2O)12COOH
化合物(I)−5 C13H27O(CH2CH2O)6COOH
化合物(II)−1 C8H17O(CH2CH2O)4SO3H
化合物(II)−2 C9H19C6H5O(CH2CH2O)12SO3H
化合物(II)−3 C2H5(C2H5)C12H25C6H5O(CH2CH2O)24SO3H
化合物(II)−4 CH3(CH2)7CH=CH(CH2)8O(CH2CH2O)8SO3H
化合物(II)−5 C12H25C6H5O (CH2CH2O) 8SO3H
化合物(III)−1 CH3(CH2)7CH=CH(CH2)8O(CH2CH2O)8PO(OH)2
化合物(III)−2 C9H19C6H5O(CH2CH2O)3PO(CH2CH2O)3OH
化合物(III)−3 C13H27O(CH2CH2O)4PO(OH)2
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。
さらに本発明のアニオン系界面活性剤の対イオンとしてアルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノ−ルアミン陽イオンを用いることにより、優れた分散安定性、吐出安定性を示す。この効果は、対イオンの水和効果に由来するものと考えられる。
また本発明のインクには、上記のアニオン系界面活性剤以外に分散剤としてエチレンオキサイド基を含むノニオン系界面活性剤を使用することもできる。エチレンオキサイド基を含むノニオン系界面活性剤は単独で使用することもできるが、曇点を有するために本発明のアニオン系界面活性剤と併用することこが好ましい。併用することで、単独では明瞭であった曇点が不明瞭になるか消失するため、温度変化や長期保存下においてもオキシエチレン鎖の分子を引き付ける作用が低下することがない。ノニオン系の界面活性剤は分子中の親水基が水中で電離しない非イオン性基であり、主に親水基としてポリオキシエチレン基を含む化合物、水酸基を多く含むソルビタン、ショ糖エステル、モノグリセリド等が知られている。この中で、オキシエチレン基を含む化合物は分子中におけるオキシエチレン基の割合を変化させることによりHLBを任意に設計できるため、分散効果の高い界面活性剤を得ることができる。
分散剤としてのノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、ボリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
本発明においては、浸透剤として、20℃の水中において0.99〜28重量%の間に溶解度を有する、部分的に水溶性のポリオール及び/又はグリコールエーテルを含有することができる。溶解度が0.99重量未満では保存時の温度変化が大きい場合に分離等が起こり、物性変化しやすく、28%を越えるものでは紙への充分な親和力が得られず、乾燥性が悪い。より好ましくは溶解度が1〜4.5重量%のものが高速印字での速乾性を得ることができる。具体的には、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エステルジオール204すなわちHOCH2C(CH3)2CH2OCOC(CH3)2CH2OH、ヘキシルセルソルブすなわちC6H12OCH2CH2OH、ヘキシルカルビトールすなわちC6H13O(C2H4O)2H等々が挙げられるが、特に2−エチル−1、3−ヘキサンジオールがより好ましい。2−エチル−1、3−ヘキサンジオールを添加することにより、にじみを低減することが可能となり、また吐出安定性及び吐出応答性を向上させることができる。
本発明においては、紙への浸透性を高め、速乾燥性で、文字にじみ、境界にじみを更に低減させた高品位な画像を得ることを目的に、界面活性剤も添加できる。添加される界面活性剤としては特に限定されるものではなく、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、特に好ましくはエチレンオキサイド基を含むアニオン系界面活性剤である。
界面活性剤の含有量としては、0.05〜10重量%が適当であり、0.1〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。界面活性剤の含有量が0.05重量%より少ない場合は記録紙への浸透性を十分に高めることが出来ない。10重量%より多い場合はインクの増粘や、界面活性剤自体の低温での析出が問題となることがある。
その他、本発明においては、必要に応じて防腐剤、防かび剤、PH調整剤、酸化防止剤、酸素吸収剤等添加することができる。
次に本発明のヘッド部について説明する。ヘッド部はインク滴を吐出する複数のノズルと、各ノズルに対応する圧力発生手段を少なくとも備える。本発明では、前述のインクを用いて、非吐出ノズルに対して少なくとも吐出の前にインク液滴が吐出しない程度にメニスカスを振動させる非吐出駆動を行なうことで、印字を一次休止した場合や印字中に休止ノズルがある場合でもメニスカスに振動を加えるだけでメニスカス近傍とノズル内部のインクが容易に混合され、淡色ドットあるいは透明ドットの問題が解消されるものであるが、ノズル径が25μm以下の場合に効果が顕著になる。これは、ノズル径が小径化するにつれて、蒸発過程における顔料粒子の移動あるいは相分離透明化現象が短時間(環境条件、ノズル径により異なるが20℃50%環境下20μm径ノズルで数秒以内)に発生するようになるためであり、小径ノズルを搭載したプリンタにおいて、顔料濃度低下あるいは相分離透明化したインクを従来技術のような非印字領域での空吐出で対応しようとすると、更に低湿下のような悪条件が重なった極端な場合には、ヘッド搭載キャリッジの走査毎に空吐出を行う必要もでてくる。本発明では空吐出を行なう間隔を充分に長く設定することが可能になり、印字速度が向上するものである。なお、ここでノズル径は真円の直径を指すものではなく、面積相当直径をいう。
圧力発生手段としては力学的エネルギーを作用させて、インクの吐出、インクメニスカスの振動の制御を行なえるものであれば良いが、その実施形態としては圧電素子を用いる所謂圧電ヘッド、あるいは静電気力を利用して振動板を変形させ、その力学的エネルギーをインクに作用させる所謂静電ヘッドを用いることができる。
さらに、本発明においては、ヘッド部への投入エネルギーと吐出液滴重量の比を5×10−8〔J/pg〕以下に構成することが好ましい。このようにすることで、消費電力の小さい記録装置を構成することができるが、従来は吐出安定性、特に間欠吐出安定性を確保することが困難であった。本発明では、前述のインク収容部及びインク滴を吐出しない程度にインクメニスカスを振動させるために所定のタイミングで圧力発生手段を動作させる駆動手段とを組み合わせることで吐出安定性、特に間欠吐出安定性に優れたインクジェット記録装置とすることができた。ヘッド部への投入エネルギーと吐出液滴重量の比を5×10−8〔J/pg〕以下に構成するヘッド部としては、圧力発生手段が振動板と、振動板に対向して設けられた個別電極とを有し、該振動板と個別電極との間に生じる静電気力を利用して、前記振動板を変形させることで圧力を発生するものである前述の静電ヘッドが最も適している。
続いて、以下にインクジェット記録装置の実施形態について添付図面を参照して説明するが、以下は構成例の一つに過ぎず、本発明に何ら限定を加えるものではない。
図2は本発明に係るインクジェット記録装置の機構部の概略図、図3は図2の要部概略斜視図である。
図2のインクジェット記録装置は、用紙20を副走査方向(B方向)に搬送するためにプラテンローラ(以下、プラテンという)21と、プラテン21の周面に押し付けて配設した給紙ローラ22,23及び用紙送り角を規定するピンチローラ24と、記録ヘッド6が対向するガイド板25と、記録ヘッド6より用紙搬送方向下流側の排紙ローラ26及びこの排紙ローラ26に押し付けられて当接する用紙押え用拍車ローラ27とを備えている。
そして、ステッピングモータからなる副走査モータ28の回転をギヤ29〜31及びプラテンギヤ32を介してプラテン21に伝達して、プラテン21を回転駆動することによって給紙部33に収納した用紙20をプラテン21と給紙ローラ22,23及び用紙押え用ローラ24を経て、記録ヘッド6とガイド板25との間に送り込み、プラテン21で用紙20を副走査方向に移動させながら、プラテンギヤ32に噛み合うギヤ34を介して回転される排紙ローラ26及び用紙押え用拍車ローラ27で用紙20を排紙方向(図3の矢示B方向)に送り出す。
また、図3の記録装置要部は、左右の側板1、2間に横架したガイドロッド3とガイド板4とでキャリッジ5を主走査方向(A方向)に摺動自在に保持し、キャリッジ5の下面側にはインクジェットヘッドからなる記録ヘッド6をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ5の上面側には記録ヘッド6に各色のインクを供給するためのインクジェット記録用カートリッジ7を装着している。
記録ヘッド6は、イエロー(Y)のインクを吐出するヘッド、マゼンタ(M)のインクを吐出するヘッド、シアン(C)のインクを吐出するヘッド及びブラック(Bk)のインクを吐出するヘッドを主走査方向に配置したものである。キャリッジ5は、ステッピングモータからなる主走査モータ15で回転される駆動プーリ16と従動プーリ17との間に張装したタイミングベルト18に連結して、主走査モータ15を駆動制御することによってキャリッジ5、即ち記録ヘッド6が主走査方向に移動されるようにしている。
このように構成したこの記録装置では、記録ヘッド6(キャリッジ5)を主走査方向に移動走査させながら、用紙20を副走査方向に搬送して、記録ヘッド6各ヘッドのノズルから所要の色のインク滴を吐出させることによって、用紙20上に所要のカラー画像(黒画像を含む。)を記録する。また、この記録装置においては、キャリッジ5の主走査領域の右側部分に、記録ヘッド6の信頼性維持回復機構(サブシステム)35を配設し、印字待機状態にあるとき、ホスト側から所定時間印刷データが転送されないとき、或いは予め定めた時間間隔等で、記録ヘッド6のノズル面やノズルの汚れを除去する等の信頼性維持回復動作を行う。
(圧電ヘッド)次に、ヘッド部の一例として圧電ヘッドについて図4〜図6を参照して説明する。なお、図4はインクジェットヘッドの分解斜視図、図5は同ヘッドのチャンネル方向(ノズル配列方向)と直交する方向の要部拡大断面図、図6は同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、駆動ユニット41と、液室ユニット42と、ヘッドカバー43とを備えている。駆動ユニット41は、セラミックス基板、例えばチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライト等の絶縁性の基板44上に、エネルギー発生素子である複数の積層型圧電素子45を列状に2列配置して接合し、これら2列の各圧電素子45の周囲を取り囲む樹脂、セラミック等からなるフレーム部材(支持体)46を接着剤47によって接合している。
複数の圧電素子45は、インクを液滴化して飛翔させるための駆動パルスが与えられる圧電素子(駆動部)48と、駆動部48,48間に位置し、駆動パルスが与えられずに単に液室ユニット42を基板44に固定する液室支柱部材となる圧電素子(非駆動部)49とを交互に構成している。
ここで、圧電素子45としては10層以上の積層型圧電素子を用いている。この積層型圧電素子は、例えば図4に示すように、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)50と、厚さ数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極51とを交互に積層したものであるが、圧電素子として用いる材料は上記に限られるものでなく、その他の電気機械変換素子を用いることもできる。
各圧電素子45の内部電極51は1層おきにAgPdからなる左右の端面電極52,53(2つの圧電素子列の対向する面側を端面電極52とし、対向しない面側を端面電極53とする。)に接続している。一方、基板44上には、図4に示すようにNi・Au蒸着、Auメッキ、AgPtペースト印刷、AgPdペースト印刷等によって共通電極54及び選択電極55の各パターンを設けている。そして、各列の各圧電素子45の対向する端面電極52を導電性接着剤56を介して共通電極54に接続し、他方、各列の各圧電素子45の対向しない端面電極53を同じく導電性接着剤56を介してそれぞれ選択電極55に接続している。これにより、駆動部48に駆動電圧(駆動エネルギー)を与えることによって、積層方向に電界が発生して、駆動部48には積層方向の伸びの変位(d33方向の変位)が生起される。なお、共通電極54は、図4にも示すように、フレーム部材46に設けた穴46a内に導電性接着剤56を充填することで各圧電素子に接続されたパターンの導通を取っている。
一方、液室ユニット42は、金属薄膜の積層体からなる複層構造の振動板57と、ドライフィルムレジスト(DFR)からなる感光性樹脂層で形成した2層構造の液室隔壁部材58と、金属、樹脂等からなるノズルプレート59とを順次を積層し、熱融着して形成している。これらの各部材によって、1つの圧電素子45(駆動部48)と、この1つの圧電素子45に対応するダイアフラム部60と、各ダイアフラム部60を介して加圧される加圧液室61と、この加圧液室61の両側に位置して加圧液室61に供給するインクを導入する共通液室62,62と、加圧液室61と共通液室62,62とを連通する流体抵抗部を兼ねたインク供給路63,63と、加圧液室61に連通するノズル64とによって1つのチャンネルを形成し、このチャンネルが複数個2列設けられている。
振動板57は、2層構造のニッケルめっき膜からなり、駆動部48に対応する前記ダイアフラム部60と、駆動部48と接合するためにこのダイアフラム部60の中央部に一体的に形成した島状凸部65と、非駆動部49に接合する梁となる66及びフレーム部材46に接合する周辺厚肉部67とを形成している。
液室隔壁部材58は、振動板57側に予めドライフィルムレジストを塗布して所要のマスクを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成した第1感光性樹脂層68と、ノズルプレート59側に予めドライフィルムレジストを塗布して所要のマスクを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成した第2感光性樹脂層69とを熱圧着で接合してなる。
ノズルプレート59にはインク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル64を多数形成している。このノズル64の内部形状(内側形状)は、略円柱形状、略円錘台形状、ホーン形状等に形成する。また、このノズル64の径はインク滴出口側の直径で約15〜35μmである。このノズルプレート59のインク吐出面(ノズル表面側)は、図4にも示すように撥水性の表面処理を施した撥水処理面70としている。例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチ等)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。なお、ノズルプレート59の周縁部は撥水処理膜を形成しない非撥水処理面71としている。
これらの駆動ユニット41と液室ユニット42とはそれぞれ別個に加工、組立を行なった後、液室ユニット42の振動板57と駆動ユニット41の圧電素子45及びフレーム部材46とを接着剤72で接合している。そして、基板44をヘッド支持部材であるスペーサ部材(ヘッドホルダ)73上に支持して保持し、このスペーサ部材73内に配設したヘッド駆動用IC等を有するPCB基板と駆動ユニット41の各圧電素子45(駆動部48)に接続した各電極54,55とをFPCケーブル74,74を介して接続している。
また、ノズルカバー(ヘッドカバー)43は、ノズルプレート59の周縁部及びヘッド側面を覆う箱状に形成したものであり、ノズルプレート59の撥水処理面70に対応して開口部を形成し、ノズルプレート59の周縁部に残した非撥水処理面71に接着剤にて接着接合している。さらに、このインクジェットヘッドには、図示しないインクジェット記録用カートリッジからのインクを液室に供給するため、スペーサ部材73、基板44、フレーム部材46及び振動板57にそれぞれインク供給穴75〜78が設けられている。
このインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部48に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部48に積層方向の変位が生起し、振動板57のダイアフラム部60を介して加圧液室61が加圧されて圧力が上昇し、ノズル64からインク滴が吐出される。このとき、加圧液室61から共通液室62へ通じるインク供給路63,63方向へもインクの流れが発生するが、インク供給路63,63の断面積を狭小にすることで流体抵抗部として機能させて共通液室62,62側へのインクの流れを低減し、インク吐出効率の低下を防いでいる。
そして、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室61内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室61内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室62,62に流入し、共通液室62,62からインク供給路63,63を経て加圧液室61内に充填される。そして、ノズル64の出口付近のインクメニスカス面の振動が減衰し、表面張力によってノズル64の出口付近に戻されて(リフィル)安定状態に至れば、次のインク滴吐出動作に移行する。
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図7を参照して説明する。この制御部は、この記録装置全体の制御を司るマイクロコンピュータ(以下CPUということもある)80と、必要な固定情報を格納したROM81と、ワーキングメモリ等として使用するRAM82と、画像情報を処理したデータを格納する画像メモリ83と、パラレル入出力(PIO)ポート84と、入力バッファ85と、ゲートアレー(GA)或いはパラレル入出力(PIO)ポート86と、ヘッド駆動回路87及びドライバ88等を備えている。ここで、PIOポート84にはホスト側からの画像情報の他、用紙種別等のデータ、図示しない操作パネルからの各種指示情報、用紙の始端、終端を検知する紙有無センサからの検知信号、キャリッジ5のホームポジション(基準位置)を検知するホームポジションセンサ等の各種センサからの信号等が入力され、またこのPIOポート84を介してホスト側や操作パネル側に対して所要の情報が送出される。
また、ヘッド駆動回路87は、PIOポート86を介して与えられる各種データ及び信号に基づいて、記録ヘッド6の各ノズルに対応するエネルギー発生素子(圧電素子)の内の画像情報に応じた吐出ノズルおよぶ非吐出ノズルのエネルギー発生素子に対して後述する所定の駆動波形を印加する。さらに、ドライバ88は、PIOポート88を介して与えられる駆動データに応じて主走査モータ15及び副走査モータ28を各々駆動制御することで、キャリッジ5を主走査方向に移動走査し、プラテン21を回転させて用紙20を所定量搬送させる。
次に、この制御部における記録ヘッドの駆動制御の一例について図8を参照して説明する。なお、同図では1つのヘッドの駆動制御に係る部分のみを示している。ここで、記録ヘッド6を構成するインクジェットヘッドHは、上述したように複数(ここでは32個とする。)のノズル64に対応する32個のエネルギー発生素子である圧電素子PZTを有し、各圧電素子PZTの一方の電極は共通化して共通電極Com(上記の共通電極54である。)とし、他方の電極は各圧電素子PZT毎に個別化して選択電極SEL(上記の個別電極55である。)としている。なお、実際にはノズル64は2列設けているので、64個のノズル64を有することになる。
一方、このヘッドを駆動制御するためのヘッド駆動制御部は、前述したCPU80、ROM81、RAM82及び周辺回路を含む主制御部101と、インクジェットヘッドHを駆動するためのヘッド駆動部102とを備えている。なお、ヘッド駆動部102は各色のヘッド毎に設けているので、前述したヘッド駆動回路87には4個のヘッド駆動部102が設けられる。主制御部101は、パーソナルコンピュータ等のホスト側から与えられる画像情報を入力して、ヘッド駆動部102に対して、駆動波形を生成するタイミングを規定する駆動タイミング信号MMと、駆動波形毎にインク滴を吐出するノズルを指定するためのシリアルデータ(ノズルデータ)DiA、DiCとタイミング信号(シフトクロックSCLK、ラッチ信号/LAT)を駆動制御信号として出力する。
ヘッド駆動部102は、主制御部101からの駆動タイミング信号MMを入力して、2種類の駆動波形、即ちノズルからインク滴を吐出させる駆動エネルギーを圧電素子PZTに与えられる駆動波形SAiとノズルからインク滴を吐出させない程度の駆動エネルギーを圧電素子PZTに与えられる駆動波形SCiを生成出力するための波形生成回路103A及び波形生成回路103Cと、各波形生成回路103A、103Cの出力(駆動波形SAi、SCi)を出力する低インピーダンス出力回路104A、104Cと、主制御部101からの駆動制御信号に基づいてインクジェットヘッドHの各選択電極Do1〜Do32に2つの駆動波形SAi、SCiのいずれかを出力する駆動波形選択回路105とを備えている。
波形生成回路103A、103Cは、例えばROM、D/Aコンバータ又は他のパルス発生回路と微積分回路、クリップ回路、クランプ回路等の波形変形回路等で構成できる。この波形生成回路103A、103Cは、主制御部101からの駆動波形を生成出力するためのタイミングを決める駆動タイミング信号MMの他、駆動波形の駆動電圧(電圧値)Vpを選択するためのVp制御信号SVp(及び/又は後述する駆動波形の立ち上がり時定数trを選択するためのtr制御信号Str)等も入力される。
次に、以上のように構成したこのインクジェット記録装置の作用について図9を参照して説明する。主制御部101からはヘッド駆動部102の駆動波形選択回路105に対して32ビットのシリアルデータであるインク滴を吐出させる噴射駆動ノズルを指定する噴射駆動ノズルデータDiA、32ビットのシリアルデータであるインク滴を吐出させない駆動波形を与える非噴射駆動ノズルを指定する非噴射駆動ノズルデータDiCと、タイミング信号(シフトクロックSCLK、ラッチ信号/LAT)を駆動制御信号として出力する。
これによって、各圧電素子PZTには電圧0、VpC、VpA(VpA>VpC)のいずれかの駆動電圧Vpが印加される。すなわち、インク滴を吐出させるノズルには電圧VpAの駆動波形SAiが印加され(このノズルが「吐出駆動ノズル」である。)、インク滴を吐出させないノズルの内のメニスカスを振動させるノズルには電圧VpCの駆動波形SCiが印加され(このノズルが「非吐出駆動ノズル」である。)、インク滴を吐出させないノズルの内の他のノズルには駆動波形SAi、SCiのいずれも印加されない(0Vが印加される。このノズルが「非駆動ノズル」である。)。
なお、図9では非吐出駆動パルスの振幅を変えて非吐出駆動を行なう例を示したが、インク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させるものであればこれに限るものでなく、他の一例として非吐出駆動パルスのパルス幅を駆動パルスのパルス幅よりも狭いものとすることでも達成可能であり、好ましい制御手段である。さらに、非吐出駆動パルスは、駆動パルスよりもパルスの立下り時間を長く取ることによって、安定なメニスカス振動が可能となる。
(静電ヘッド)力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい他の実施形態としては静電気力を利用して振動板を変形させる手段を用いることができる。
図10に静電ヘッド断面図を示す。静電ヘッドは、複数の振動板を有する静電アクチュエータと、振動板に対応したノズルを有するノズルプレートと、静電アクチュエータに駆動電圧を印加するドライバICと、ドライバICと静電アクチュエータを接続するFPCケーブルと、静電ヘッドを保持するフレームと、異物の侵入を防止するフィルターと、本体からのインクと電力の供給をつなぐジョイントから構成される。
図11に静電ヘッドの加圧液室の拡大断面図を示す。静電アクチュエータは、振動板を形成する振動板基板と、その下面に接合され、振動板に対応した個別電極が形成された個別電極基板を重ねて接合した積層構造となっている。振動板基板はボロンがドープされたp型シリコンよりなり、単結晶シリコンを異方性エッチングすることで形成している。特に、振動板の部分に高濃度ボロンをドープすることで、エッチングレートを低くし、振動板の板厚を高精度に制御している。
また、振動板基板には図示しない共通電極が設けられている。共通電極はAl等の金属をスパッタしてシンタリング(熱拡散)することにより付設されており振動板基板との導通が確保されている。これは、半導体材料よりなる基板とオーミックコンタクトを取るためである。
個別電極基板は振動板基板と同種類のP型シリコンよりなる。シリコン基板層の表面には、酸化膜層(絶縁体層)が設けられ、等方性エッチングにより掘り込まれる。この掘り込み量を調整して、振動板基板と接合した時、ギャップを形成する。酸化膜層の掘り込み部にTiNを成膜、パターニングして個別電極を形成している。図にはないが、実際にはチャンネル分の電極が配列されている。なお、個別電極材料は接合時の高温に耐えるものならばこれに限ったものではない。個別電極上には成膜した絶縁性の保護層を設ける。この実施例ではSiO2を成膜、パターニングして形成している。
振動板基板と個別電極基板は、直接接合や共晶接合等により接合する。直接接合では1000℃程度の高温下にて接合が実施され、純粋な基板が形成されるのに対して、共晶接合では金等のバインダーを接合界面に介在させて接合がなされる。接合の後に、振動板と、個別電極の保護膜との間に形成されるギャップの厚みは、本実施例では0.2μmとしてある。
また静電アクチュエータには、個別電極基板と振動板基板を貫通する共通液室流路が形成され、個別電極基板の裏面よりインクが供給される。ノズルプレートは、振動板に対応した複数のノズル孔と、流体抵抗を構成する凹部とを有する。本実施例ではNi電鋳によりノズルプレートを作成している。静電アクチュエータとノズルプレート、静電アクチュエータとフレームの接合は接着剤を用いて行っている。この際、振動板ギャップ封止剤によって振動板ギャップを気密封止する。封止剤はエポキシ樹脂等の接着剤を用いた。ノズルプレートとフレーム間もノズル板封止剤によってシールすることで、電気回路部(個別電極、FPC等)にインクが回り込むのを防止する。静電アクチュエータとFPCの電気接続は異方性導電膜を使用している。
個別電極にパルス電圧を印加すると、複数のアクチュエーターの共通電極となる振動板部材との間に電位差が生じ、個別電極と振動板の間に静電力が生じる。この結果、振動板は印加した電圧の大きさに応じて変位する。この時、振動板を電極に接触させる方法を当接、接触させない方法を非当接と記す。その後、印加したパルス電圧を立ち下げることで、振動板の変位が復元し、その復元力により加圧液室内の圧力を高くする。
ところで、電圧が印加され振動板が引き付けられる時には、加圧液室内には負圧が生じている。圧力は加圧液室の固有振動数で振動するので、パルス立ち下げ時の圧力は、パルス立ち上げ時の残留圧力振動と、復元圧力の重ね合せになる。したがって、印加するパルス電圧のパルス幅によってインク吐出特性に差が生じる。
図12にパルス幅依存性を示す。パルス幅による圧力の重ね合せのタイミングによって、吐出特性(吐出滴速度:Vj、吐出滴質量:Mj)が変動することがわかる。この例の場合、パルス幅を4μsより狭く設定した場合と、Vj・Mjが第1のピークになるパルス幅と次のピークになるパルス幅の間のパルス幅に設定した場合は、インク滴の吐出は起こらない。つまり、パルス印加により振動板が変位しはじめて、ギャップ長の1/3の位置に達するまでの時間内にパルスを立ち下げるような、短い時間のパルスや、圧力振動が相殺されるようなタイミングに当たるパルス幅では、インク滴が吐出するほどの復元力にならないため、インク滴は吐出せずにノズル内のメニスカスが振動するのみとなる。
また、パルス立ち下げ時間を長くとり、振動板変位の復元をゆっくり行うことでも、インク滴を吐出させずにノズル内のメニスカスのみを振動させることが可能である。これらの特性を積極的に利用することで、インクの増粘によるノズル目詰まりを予防できる。
ここで、インク滴を吐出させない程度にメニスカスを振動させる非吐出駆動ノズルはインクの特性や使用環境、画像情報に応じて任意に設定することができる。例えば、5秒程度の印字空白が生じたときにはメニスカス近傍の顔料濃度の低下が少なく、10秒程度の印字空白のときに許容できない程度に顔料濃度が低下するのであれば、画像情報に基づき5秒程度の印字空白ノズルに対しては非吐出駆動を行なわず、10秒程度以上の印字空白ノズルに対して非吐出駆動を行なうようにすれば、圧電素子の不必要な駆動を減らすことができるので、記録ヘッドの劣化を防止できる。非吐出駆動の動作を決定するパラメータとしては、前述の画像情報のほかに、環境条件も使用できる。
この非吐出駆動ノズルの設定は、相対湿度及び/又は非吐出時間をパラメータとしたときの印字ドットの色調等で決定することが好ましい。具体的には、連続印字ドットの色調と、相対湿度及び/又は非吐出時間を変更して印字した場合の印字ドットの色調との色差をあらかじめ求めておき、仮に許容度を色差が5程度と設定するのであれば、色差5を超えるパラメータに関する情報をROMに保管しておき、湿度センサー等の情報と画像情報に基づくノズルの非吐出時間から非吐出駆動のON/OFFを割り当てれば良い。なお、ここでいう色差はCIE1976Lab*表色系に基づくものであり、特に光源は同表色系に規定されているものであればいずれのものでも良い。この方法によれば、非吐出が続いていたノズルから吐出されるインク滴の一滴目の色調が連続印字ドットに対して色差ΔEを5以内に抑えることことができ、画像のシャープネスが向上する。なお、許容度の設定は色差に限るものではなく、目視で判定しても良いし、画像濃度を用いても良い。
非吐出駆動を設定したノズルに対する非吐出駆動のタイミングは、少なくとも吐出の直前に行なうことが最も効率的であるが、必要に応じて印字空白期間の途中の非吐出駆動を加えても良い。吐出直前の非吐出駆動のパルス数は10〜5000パルスの間で湿度条件、画像データに応じて設定することが好ましい。非吐出駆動のパルス数が10パルス未満であると低下した顔料濃度の回復が不充分であり、5000パルス以上の非吐出駆動は長期的に見て記録ヘッド寿命の低下につながるため好ましくない。
なお、本発明の記録方法では、一定の印字時間間隔あるいは一定の非吐出期間が経過した時にノズルの目詰まりや吐出方向安定性を確保するために、非印字領域にておこなう空吐出動作の間隔を60秒以上に設定することが好ましい。60秒以上であれば、印字物の単票1枚の印字途中に空吐出動作を導入する必要がない場合が多く、高速な印字が可能となる。
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
評価1:間欠吐出安定性評価1(圧電ヘッド、ノズル径30μm)
実施例1〜4及び比較例1〜3で作製したインクを用い、間欠吐出安定性評価を行った。インクジェト記録装置として、図2〜図8で示した記録装置、記録ヘッドを用意した。図5に示した構成の記録ヘッドにおいてノズル径を約30μm、駆動周波数を12kHzとした。モデルインク(粘度3mPa・s、表面張力30mN/m)を用いた時のヘッド部への投入エネルギーと吐出液滴重量の比は1×10−7〔J/pg〕であった。非吐出駆動は正常な吐出駆動条件に対して、駆動電圧を約1/2にしたモード(パルス振幅1/2と表記する)とパルス幅を1/3にしたモード(パルス幅1/3と表記する)の2種の条件で評価した。
間欠吐出試験は高温低湿環境下(30℃20%)、一定時間吐出を行わない状態でキャリッジをスキャン(空スキャン)させた後に、IJ用光沢フィルム上に全ノズル各20滴印字し、その後回復動作(空吐出50滴)を行う評価を5回繰り返した。空スキャン時間は、5秒、10秒、30秒、60秒、90秒の5段階で行い、連続印字の場合と比較した。なお、非吐出駆動は20滴印字の直前に行なった。評価は20滴印字の特に第1滴目のドット色調・濃度、ドット噴射方向について拡大観察し、目視で判断した。判断基準は以下に示す通りとした。第1滴目のドット濃度については、
◎ :連続印字と比べて濃度、色調の差異が感じられない。(マンセルAA級)ドットの輪郭がはっきりしている。
○:連続印字と比べてやや濃度,色調が変化している。(マンセルA級)ドットの輪郭ははっきりしている。
△ :淡色化がおこってドットの輪郭が不明瞭
△△:ドットの濃度が上がって画素径が小さくなっている
× :透明化がおこってドットが確認できない
××:ドットの吐出が見られない
ドットの噴射方向については
○:噴射方向乱れが無く、ノズルがほぼ1列に並んでいる
△:若干噴射方向が乱れているが、第2発目の列に及んでいない
×:第1発目のドットが第2発目のドットのラインを超えている
平均粒子径はLeeds & Northrup社製 MICROTRACUPA150を用いて測定した。
ζ電位はMatec Applled Sciences社製 ESA−9800を用いて測定した。濃縮時のζ電位は、30℃20%の環境で顔料濃度が元の1.25〜1.50倍になるよう乾燥濃縮したインクのζ電位を測定した。上記評価結果を表1に示す。
評価2:間欠吐出安定性評価2(静電ヘッド、ノズル径20μm)
ノズル径がさらに微小化した場合の本発明の記録方法、記録装置の効果を示す。評価1の装置構成に対して図10、図11で示した記録ヘッドを搭載できるように変更し、インクジェット記録装置を用意した。図10に示した構成の記録ヘッドにおいてノズル径を約20μm、加圧液室約1000μm、振動板厚さ約2μm、駆動周波数を12kHzとした。ヘッドの駆動条件としては、メニスカスの振動に使うパルス(非吐出駆動)のパルス幅2μs、インク滴吐出に使う駆動パルスのパルス幅 6μsとした。また、駆動電圧は両パルスとも30Vとし、非吐出駆動の有無と非吐出駆動のパルス数の効果を確認した。間欠吐出安定性試験は評価1と同様に行なった。評価1に示す試験法、基準に従い評価した。上記評価結果を表2に示す。
非吐出駆動ノズルの設定例:非吐出駆動ノズルは、印字ドットの色調で決定することが好ましいことを説明したが、実施例2のインクと評価2で使用したインクジェット記録装置との組み合わせで、その具体例を図13の結果をもとに説明する。図9は、30℃20%RHの環境条件と20℃50%RHの環境条件にて、非吐出間隔を変えて20滴の印字を行ない、一滴目の印字ドットと連続印字の印字ドットとの色差を求めて図示したものである。図13の色差ΔE*abが5を超える非吐出間隔を求めて,それぞれの環境条件で非吐出駆動を行なう必要がある非吐出間隔が決定できる。具体例においては,30℃20%RHの環境条件と20℃50%RHの環境条件において、それぞれ約10秒、約50秒であることがわかった。図14には実施例2のインクと評価2で使用したインクジェット記録装置との組み合わせで、30℃20%RHの環境条件にて非吐出間隔60秒の場合の非吐出駆動パルス数の最適値を決定する方法を示したもので、ΔE*abを5以内に制御するためには非吐出駆動パルス数が約300パルス程度であれば良いことがわかる。以下に、インクの実施例及び比較例を示す。
<実施例1>
顔料分散液1
C.I.ピグメントブルー15:3 20重量%
スチレン−アクリレート−メタクリル酸共重合体ジエタノールアミン塩 4.5重量%
エチレングリコール 10重量%
イオン交換水 残量
上記成分を混合した後、サンドミルにて分散処理を行ってシアン顔料分散液を得た。
下記処方のインク組成物を作成し室温にて十分に攪拌した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにてろ過を行い、実施例1インク組成物を得た。平均粒子径は90nmであった。
インク組成物1
顔料分散液1 15重量%
グリセリン 10重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
サーフィノール465(アセチレングリコールのEO付加物)1.0重量%
イオン交換水 残量
<比較例1>下記処方を用いる以外は実施例1と同様にし比較例1インク組成物を得た。平均粒子径は120nmであった。
顔料分散液2
C.I.ピグメントレッド122 20重量%
スチレン−アクリレート−メタクリル酸共重合体 4.5重量%
エチレングリコール 10重量%
イオン交換水 残量
インク組成物2
顔料分散液2 20重量%
エチレングリコール 10重量%
サーフィノール465(アセチレングリコールのEO付加物)1.0重量%
イオン交換水 残量
<比較例2>下記処方を用いる以外は実施例1と同様にし比較例2インク組成物を得た。平均粒子径は119nmであった。
顔料分散液3
C.I.ピグメントイエロー74 20重量%
ラウリル硫酸ナトリウム 3.5重量%
エチレングリコール 5重量%
イオン交換水 残量
インク組成物3
顔料分散液3 20重量%
トリエチレングリコール 15重量%
安息香酸ナトリウム 0.5重量%
イオン交換水 残量
<比較例3>下記処方を用いる以外は実施例1と同様にし比較例3インク組成物を得た。平均粒子径は134nmであった。
インク組成物4
オゾン酸化処理カーボンブラック分散液(顔料濃度20%) 25重量%
1,5ペンタンジオール 10重量%
ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム 0.5重量%
イオン交換水 残量
<実施例2>下記処方を用いる以外は実施例1と同様にし実施例2インク組成物を得た。平均粒子径は128nmであった。
インク組成物5
カルボキシル基結合型カーボンブラック分散液(顔料濃度15%)33.3重量%
グリセリン 5重量%
トリエチレングリコール 10重量%
N−メチル−2−ピロリドン 1.0重量%
具体例(I)−2の化合物 0.5重量%
イオン交換水 残量
<実施例3>下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして実施例3インク組成物を調整した。平均粒子径は117nmであった。
顔料分散液4
C.I.ピグメントレッド 122 25重量%
ノニルプロペニルフェノールエチレンオキサイド20モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩 5重量%
純水 残量
インク組成物6
顔料分散液4 14重量%
エチレングリコール 5重量%
ジエチレングリコール 10重量%
界面活性剤(具体例1−2)のLi塩 1.0重量%
イオン交換水 残量
<実施例4>下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして実施例4インク組成物を調整した。平均粒子径は98nmであった。
顔料分散液5
C.I.ピグメントイエロー 74 20重量%
ノニルプロペニルフェノールエチレンオキサイド20モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩 3重量%
オクチルプロペニルフェノールエチレンオキサイド50モル付加体 2重量%
純水 残量
上記成分を混合した後、サンドミルにて分散処理を行ってシアン顔料分散液を得た。
インク組成物7
顔料分散液5 10重量%
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量%
界面活性剤(具体例1−1)のアンモニウム塩 0.5重量%
イオン交換水 残量