JP4111493B2 - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ並びにインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−108352号公報
【特許文献2】
特開平9−57961号公報
【特許文献3】
特開2000−177119号公報
【0003】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置の記録ヘッドを構成するインクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧するエネルギーを発生するアクチュエータ手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどが知られている。
【0004】
これらの各種ヘッドにおいては、一般的に、図30に示すように、流路形成部材1001に液滴を吐出するノズルが連通する複数の加圧液室(インク流路)1002と、複数の加圧液室1002が共通に連通し、各加圧液室1002にインクを供給するための共通液室1003とを形成している。
【0005】
さらに、加圧液室内のインクを加圧して液滴を吐出させるときに、一部のインクが共通液室側に逆流して、共通液室を介して他の加圧液室に影響を与えるため、一般的には、【特許文献1】、【特許文献2】、【特許文献3】にも記載されているように、加圧液室と共通液室との間に流体抵抗の大きな流体抵抗部(流体流動制御部)を設けるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のインクジェットヘッドにあっては、流路形成部材に加圧液室及び流体抵抗部を含む複数の流路パターン(流路パターンとは、流路を形成するパターンの意味である。)と加圧液室にインクを供給する共通液室が形成されているため、複数の流路パターンは流路形成部材に形成された共通液室を介して隣接する流路パターンと連通している。
【0007】
そのため、加圧液室内で与えられたエネルギーは、直接的に共通液室に圧力波として伝わり、その圧力波は共通液室を介して周辺の加圧液室に影響を与え、特に、複数のノズルから同時にインク滴を吐出させる場合に、各加圧液室からの圧力波が共通液室で干渉(クロストーク)を起こし、インク滴吐出の不安定あるいは吐出不良を引き起こすことがあるという課題がある。
【0008】
また、上述したように加圧液室と共通液室とを同じ流路形成部材に形成しているために、高密度化に伴なって流路形成部材の機械的強度が低下しているという課題もある。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で吐出不良がなく、安定した滴吐出が行えるとともに、流路形成部材の機械的強度を増加する構成が可能な液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、安定した高画質記録が可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、加圧液室を含む複数の流路パターンをそれぞれ独立して形成した流路形成部材を有し、独立した複数の流路パターンで形成される流路と前記共通液室との間にはそれぞれ独立して形成された液体流入口を有し、各液体流入口の開口の断面積が加圧液室の液体供給方向と垂直な面における断面積と同じである構成とした。
【0011】
ここで、加圧液室を含む流路パターンを形成する流路形成部材と共通液室を形成する共通液室形成部材とを、複数の加圧液室に対応してそれぞれ独立した液体流入口を形成した部材を介して積層接合することが好ましい。
【0012】
また、加圧液室と、液体流入口が臨む液体流入室と、加圧液室と液体流入室との間に介在する流体流動制御部とを有し、流体流動制御部は加圧液室及び液体流入室よりも流体抵抗が大きいことが好ましい。この場合、流体流動制御部と加圧液室及び/又は液体流入室との接続部分はテーパ形状であることが好ましい。
【0014】
また、液体流入室の体積が加圧液室の体積よりも小さいことが好ましい
【0016】
また、加圧液室を形成する流路形成部材には気泡排出用流路が設けられていることが好ましく、この場合、気泡排出用流路に臨む液体流入口は他の液体流入口よりも開口面積が大きいことが好ましい。
【0017】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、本発明に係るの液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、加圧液室を形成する流路形成部材は面方位(110)のシリコンウエハをドライエッチング及び異方性ウエットエッチングの組み合わせで形成する構成としたものである。
【0018】
本発明に係るインクカートリッジは、インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドとこのヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化したものである。
【0019】
本発明に係るインクジェット記録装置は、インク滴を吐出させる本発明に係る液滴吐出ヘッド又は本発明に係るインクジェットヘッド一体型のインクカートリッジを備えるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図3は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの要部平面説明図である。
【0021】
このインクジェットヘッドは、面方位(110)の単結晶シリコン基板で形成した流路形成部材である流路板1と、この流路板1の下面に接合した振動板2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴であるインク滴を吐出するノズル4がノズル連通路5を介して連通する複数の加圧液室6を含む流路を形成している。
【0022】
そして、流路形成部材である流路板1に形成した加圧液室6を含む複数の流路パターンは独立して形成している。すなわち、流路板1においては個々の流路パターンは他の部位を通じて連通していないパターンである。この流路板1には、振動板2を介してフレーム部材11を接着接合している。
【0023】
フレーム部材11には各加圧液室6にインクを供給するための共通液室8を形成している。振動板2は各加圧液室6の一端部に対応してそれぞれ独立して形成した液体流入口であるインク流入口9を有する。
【0024】
これにより流路板1に形成したそれぞれ独立した流路パターンで形成される流路と共通液室8との間にそれぞれの加圧液室6に対応して独立したインク流入口9が介在することになる。なお、ここでは、液体流入口であるインク流入口9は振動板2に形成しているが、振動板2とは別の薄層部材を用いることもできる。
【0025】
振動板2の外面側(液室と反対面側)に各加圧液室6に対応して加圧液室6内のインクを加圧するための駆動手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての積層型圧電素子12を先端部を接合し、この圧電素子12の他端部はベース基板13に接合している。ベース基板13はチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなどの絶縁性基板を用いている。
【0026】
また、圧電素子12の間には加圧液室6、6間の隔壁部6aに対応して支柱部14を設けている。ここでは、圧電素子部材にハーフカットのダイシングによるスリット加工を施すことで櫛歯状に分割して、1つ毎に圧電素子12と支柱部14して形成している。支柱部14も構成は圧電素子12と同じであるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0027】
さらに、振動板2の外周部は前記フレーム部材11にギャップ材を含む接着剤17にて接合している。このフレーム部材11には、前述したように共通液室8となる凹部を形成し、この共通液室8に外部からインクを供給するための図示しないインク供給穴を形成している。このフレーム部材11は、例えばエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0028】
ここで、流路板1は、、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を後述するようにドライエッチングによる深堀と水酸化カリウム水溶液(KOH)、TMAH液などのエッチング液を用いた異方性エッチングとを併用することで、ノズル連通路5、加圧液室6を構成する穴部や凹部を形成したものである。
【0029】
そして、流路板1のインクに接する面(液流路の壁面)となる加圧液室6、インク供給路7の各壁面には酸化膜、窒化チタン膜或いはポリイミドなどの有機樹脂膜からなる耐液性薄膜を成膜している。このような耐液性薄膜を形成することで、シリコン基板からなる流路板1がインクに対して溶出しにくく、また濡れ性も向上するため気泡の滞留が生じにくく、安定した滴吐出が可能になる。
【0030】
振動板2は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他の金属板や樹脂板或いは金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。
【0031】
この振動板2は加圧液室6に対応する部分に変形を容易にするための厚みが2〜10μmの薄肉部(ダイアフラム部)21及び圧電素子12と接合するための厚肉部(島状凸部)22を形成するとともに、支柱部14に対応する部分及びフレーム部材16との接合部にも厚肉部23を形成し、平坦面側を流路板1に接着剤接合し、島状凸部22を圧電素子12に接着剤接合し、更に厚肉部23を支柱部14及びフレーム部材16に接着剤17で接合している。なお、ここでは、振動板2を2層構造のニッケル電鋳で形成している。この場合、ダイアフラム部21の厚みは3μm、幅は35μm(片側)としている。
【0032】
ノズル板3は各加圧液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。ここでは、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成している。また、ノズル4の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成し、このノズル4の穴径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmとしている。さらに、各列のノズルピッチは150dpiとし、2列配置により300dpiとしている。
【0033】
また、ノズル板3のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0034】
圧電素子12は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層31と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層32とを交互に積層したものであり、内部電極32を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極33、共通電極34に電気的に接続したものである。この圧電常数がd33である圧電素子12の伸縮により加圧液室6を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子12に駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また圧電素子12に充電された電荷が放電すると反対方向に収縮するようになっている。
【0035】
なお、圧電素子部材の一端面の端面電極はハーフカットによるダイシング加工で分割されて個別電極33となり、他端面の端面電極は切り欠き等の加工による制限で分割されずにすべての圧電素子12で導通した共通電極34となる。
【0036】
そして、圧電素子12の個別電極33には駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若しくはワイヤボンディングでFPCケーブル35を接続し、このFPCケーブル35には各圧電素子12に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)を接続している。また、共通電極34は、圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPCケーブル35のグラウンド(GND)電極に接続している。
【0037】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、例えば、記録信号に応じて圧電素子12に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、圧電素子12に積層方向の変位が生起し、振動板2を介して加圧液室6内のインクが加圧されて圧力が上昇し、ノズル4からインク滴が吐出される。
【0038】
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室6内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室6内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、図示しないインクタンクから供給されたインクは共通液室8に流入し、共通液室8からインク流入口9を経て加圧液室6内に充填される。
【0039】
ここで、このヘッドでは、加圧液室6を含む流路パターンは流路形成部材である流路板1にそれぞれ独立して形成され、それ自体では従来の流路形成部材のように共通液室を介して連通していないパターンである。そして、各加圧液室6を含む流路パターン6は、それぞれ独立した液体流入口9を介して共通液室8に連通している。
【0040】
このように流路形成部材に形成する加圧液室を含む流路パターンを隣接する流路パターンから独立させることで、各ビット毎のコンプライアンスが均一になりクロストークの発生を低減することができる。さらに、加圧液室を形成する流路形成部材と、共通液室を形成する共通液室形成部材(ここではフレーム部材11)とを別部材とすることができるので、流路形成部材としては共通液室に必要な凹部面積(体積)の減少を図ることができて機械強度が増加し、流路形成部材の面積を小さくすることができることで小型化、低コスト化を図れる。
【0041】
すなわち、共通液室を樹脂部材などのフレーム部材に設けることにより安価に容積の大きな共通液室を形成することができ、インク滴吐出を行った場合に加圧液室から共通液室へ伝わる衝撃波を大きな容量の共通液室で減衰させることができて、クロストークを低減することができ、吐出不良がなく、安定した滴吐出を行うことができ、信頼性の高いヘッドが得られる。
【0042】
また、流路形成部材と共通液室部材と独立した開口部である液体流入口を形成した積層部材を積層することで、各ビット毎の液体流入口の開口サイズが可変となってインク供給圧力を個別的に制御することができるようになり、各ビットのインク圧力バランス設計の自由度を増し、高密度、高信頼性化を図ることができる。
【0043】
ここで、このインクジェットヘッドにおいては、加圧液室6をそのままの大きさで振動板2のインク流入口9に臨ませることで、加圧液室6とインク流入口9との間には流体抵抗部となる加圧液室6に比して小さな断面積の液体供給路を設けていない構成としている。また、インク流入口9の開口断面積は加圧液室6の開口断面積と略同じに形成している。
【0044】
これは、インクとして高粘度インク(粘度5cP(25℃)以上のインク)を用いた場合、高周波でインク滴吐出を行おうとすると、インク自体の粘度が高いために、加圧液室を含む流路に流体抵抗部があると、却ってノズルへの液体供給量が不足して吐出が不安定になることが生じる。特に、ノズル密度が300dpi以上の場合にその傾向が増大することが確認された。そこで、加圧液室への液供給側に加圧液室に比して小さな断面積の部分を持たない形状にすることによって、流体抵抗を低減して、ノズルへの液体供給量不足による液滴吐出不良が生じることがないようにしているのである。この場合、インク滴吐出時に生じる供給側へのインクの逆流はインク自体の粘度によって抑制することができる。
【0045】
そこで、実験に用いた高粘度インクの一例について説明する。このインク(これを「本発明のインク」という。)は、次の構成(1)〜(10)よりなる印字用インク(記録用インク)であるが、これに限るものではない。
【0046】
(1)顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2)湿潤剤1
(3)湿潤剤2
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオンまたはノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル
(7)エマルジョン
(8)防腐剤
(9)pH調製剤
(10)純水
【0047】
すなわち、印字(記録)するための着色剤として顔料を使用し、それを分解、分散させるための溶剤とを必須成分とし、更に添加剤として、湿潤剤、界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調整剤とを含んでいる。湿潤剤1と湿潤剤2とを混合するのは各々湿潤剤の特徴を活かすためと、粘度調整が容易にできるためである。
【0048】
以下、上記各インク構成要素について、より具体的に説明する。
(1)の顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0049】
本発明のインクの好ましい態様によれば、これらの顔料のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。顔料の粒径は、0.05μmから10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.16μm以下である。インク中の着色剤としての顔料の添加量は、6〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
【0050】
本発明のインクの好ましく用いられる顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
【0051】
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
【0052】
その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
【0053】
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであっても良い。
【0054】
本発明のインクの好ましい態様によれば、ブラックインク用の顔料は、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調整するのに用いられる公知の分散液を使用することができる。
【0055】
分散液としては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0056】
本発明のインクの好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3、000〜50、000であるのが好ましく、より好ましくは5、000〜30、000、最も好ましくは7、000〜15、000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。分散剤としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
【0057】
着色剤に使用する顔料は、記録用インク全重量に対して6重量%〜20重量%含有し、0.05μm〜0.16μm以下の粒子径の粒子であり、分散剤により水中に分散されていて、分散剤が、分子量5、000から100、000の高分子分散剤である。水溶性有機溶剤が少なくとも1種類にピロリドン誘導体、特に、2−ピロリドンを使用すると画像品質が向上する。
【0058】
(2)〜(4)の湿潤剤1、2と水溶性有機溶剤に関しては、本発明のインクの場合、インク中に水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にし、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶剤が使用される。これら水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。
【0059】
湿潤剤と水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2、6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
【0060】
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
【0061】
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
【0062】
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
【0063】
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
【0064】
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
【0065】
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
【0066】
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
【0067】
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0068】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH(CHOH)nCHOH(ここでn=2〜5の整数を表す。)で表される。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
【0069】
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0070】
(5)の界面活性剤に関しても、特に限定はされないが、アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
【0071】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
【0072】
本発明のインクにおける表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが、本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mJ/m2以下が好ましく、より好ましくは35mJ/m2以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
【0073】
(6)の炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテルに関しては、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルを記録用インク全重量に対してを0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。▲1▼2−エチル−1、3−ヘキサンジオール 溶解度:4.2%(20℃) ▲2▼2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタンジオール 溶解度:2.0%(25℃)。
【0074】
25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤は溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。したがって、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のあるインクを作製することが可能となる。
【0075】
(7)本発明のインクには樹脂エマルジョンが添加されている方が好ましい。樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
【0076】
本発明のインクの好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
【0077】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
【0078】
前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
【0079】
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製:いずれも商品名)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製:商品名)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製:商品名)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製:商品名)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製:商品名)、などが挙げられる。
【0080】
本発明のインクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
【0081】
樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
【0082】
(8)〜(10)本発明のインクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
【0083】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0084】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0085】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0086】
このような本発明のインクを使用することによって、特に普通紙上に印字した場合でも、良好な色調(十分な発色性、色再現性を有する。)、高い画像濃度、文字を含む画像にフェザリング現象やカラーブリード現象のない鮮明な画質、両面印刷にも耐え得るインク裏抜け現象の少ない画像、高速印刷に適したインク乾燥性(定着性)、耐光性、耐水性などの高い堅牢性を有した画像等、これらの画像特性に対して十分に満足できる高画質画像を形成することができるようになる。
【0087】
この本発明のインクのように、特に、粘度が5cP以上、より好ましい粘度8cP以上のインクを用いた場合には、インク滴吐出時にインクをノズル5に不足なく供給できなければ、高速で安定した滴吐出を行うことができなくなる。
【0088】
そこで、本発明のインクを用いて実験したところ、特に300dpi以上のノズル密度で、インク粘度8cP以上の場合には、前述したように加圧液室6への供給路中に流体抵抗が大きな所謂流体抵抗部を持たない構成とすることで、安定したインク供給を行うことができ、安定した滴吐出を行えることが確認できた。勿論、クロストークの防止による吐出不良、吐出不安定を抑制して吐出安定性を確保するという目的からは、以下に述べるように、流体抵抗部となる流体流動制御部を設けることができる。
【0089】
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。なお、同図は同実施形態に係るヘッドの要部平面説明図である。
この実施形態は、流路板1に、ノズル連通路5、加圧液室6を形成するとともに、加圧液室6とインク流入口9との間に、インク流入口9が臨む液体流入室10、液体流入室10と加圧液室6との間に流体抵抗部となる流体流動制御部7を設けたものである。
【0090】
ここで、流体流動制御部7の流体抵抗は加圧液室6及び液体流入室10の流体抵抗よりも大きくなるように、加圧液室6及び液体流入室10の開口断面積よりも開口断面積が小さくなるように形成している。
【0091】
このヘッドにおいては、流体抵抗は流体流動制御部7によって略決定され、インクの逆流の防止及び導入インク圧力の緩和を図ることができ、信頼性を向上できる。また、同一部材(ここでは流路板1)に加圧液室、液体流動制御部、液体流入室(これらで流路パターンを構成する。)を設けることにより、吐出特性及び逆流防止の液体流動制御部の形成精度が加圧液室と同レベルで制御良く形成できる。さらに、液体流入室を設けることにより、液体供給時の圧力緩和及び逆流発生時のシンクの効果を持たせることができる。
【0092】
次に、本発明の第3実施形態について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は同実施形態に係る1チャンネル分の流路の平面説明図、図7は図6のA−A線に沿う断面説明図である。なお、第1、第2実施形態と対応する部分には同一符号を付している。
【0093】
この実施形態では、インク流入口19に流体抵抗部としての機能を持たせるため、加圧液室6の開口面積よりもインク流入口19の開口面積を小さく、つまり流体抵抗を大きくしたものである。
【0094】
このように、本発明では、各加圧液室についてそれぞれ独立した液体流入口を設けているので、液体流入口で流体抵抗部(第2実施形態の流体流動制御部)を兼ねることが可能になり、インクの逆流の防止及び導入インク圧力の緩和を図ることができ、信頼性を向上できる。また、この場合、流路形成部材である流路板1には流体流動制御部を設ける必要がないので、流路形成部材の流路パターンが簡単になる。
【0095】
次に、本発明の第4実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は同実施形態に係る1チャンネル分の流路の平面説明図、図9は図8のB−B線に沿う断面説明図である。なお、第1、第2実施形態と対応する部分には同一符号を付している。
【0096】
この実施形態では、加圧液室6と液体流入室10との間に流体抵抗部となる流体流動制御部7を設けるとともに、第3実施形態と同様にインク流入口29を加圧液室6の開口面積よりも小さく形成して流体抵抗を持たせている。
【0097】
このように、この実施形態では2つの流体抵抗部を設けることで、インクの逆流の防止及び導入インク圧力の緩和をより効果的に図ることができ、信頼性を向上できる。
【0098】
次に、流体流動制御部の構成の一例について図10及び図11を参照して説明する。なお、図10は流路板の流路パターンの平面説明図、図11はその断面説明図である。
ここでは、流体流動制御部7は、液体流入室10側及び加圧液室6側との接続部分に平面形状で見たときに、すなわち、図11に示すように、ノズル配列方向の幅を液体流入室10及び加圧液室6よりも狭くし、かつ、液体流入室10及び加圧液室6との接続部分にテーパ部7a、7bを形成している。この場合、同図12に示すように、断面形状では、流体流動制御部7は液体流入室10及び加圧液室6と同じ深さを有する形状としている。
【0099】
このように、流体流動制御部7の液体流入室10及び加圧液室6との接続部分にテーパ部を設けることによってインクの流れがスムーズになって圧力変動による気泡の発生や気泡の滞留が低減する。
【0100】
次に、流体流動制御部の構成の他の例について図12及び図13を参照して説明する。なお、図12は流路板の流路パターンの平面説明図、図13はその断面説明図である。
ここでは、流体流動制御部7は、液体流入室10側及び加圧液室6側との接続部分に平面形状で見たときに、すなわち、同図13に示すように、ノズル配列方向の幅を液体流入室10及び加圧液室6よりも狭くし、かつ、液体流入室10及び加圧液室6との接続部分にテーパ部7a、7bを形成するとともに、同図14に示すように、液体流入室10及び加圧液室6よりも深さを浅くして、液体流入室10及び加圧液室6との接続部分にテーパ部7c、7dを形成している。
【0101】
このように、流体流動制御部7には深さも浅くすることでより流体抵抗を大きくすることができ、この場合でも、流体流動制御部7の液体流入室10及び加圧液室6との各接続部分にテーパ部を設けることによってインクの流れがスムーズになって圧力変動による気泡の発生や気泡の滞留が低減する。
【0102】
なお、上記各例では、液体流入室10及び加圧液室6の両接続部分にテーパ部を形成しているが、いずれか一方でもよい。好ましくは、液体流入室10側にはテーパー部を設ける。
【0103】
次に、本発明の第5実施形態について図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は同実施形態に係る1チャンネル分の流路の平面説明図、図15はその断面説明図である。なお、第1、第2実施形態と対応する部分には同一符号を付している。
【0104】
この実施形態では、流体流動制御部7をインク流入口9に臨ませ、インク流入口9の並び方向の幅bを流体流動制御部7の並び方向の幅aよりも大きくしている。この場合には、インク流入口9と液体流動制御部7の重なり部分が最狭部となり、液体の流れの制御を司る部分となる。この構成では流路板1と振動板2とのアライメントが多少ずれても、最狭部の面積には影響を与えない。
【0105】
次に、本発明の第6実施形態について図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は同実施形態に係る1チャンネル分の流路の平面説明図、図17はその断面説明図である。なお、第1、第2実施形態と対応する部分には同一符号を付している。
【0106】
この実施形態では、流体流動制御部7をインク流入口9に臨ませ、インク流入口9の並び方向の幅bを流体流動制御部7の並び方向の幅aよりも小さくしている。この場合には、インク流入口9が最狭部となり、液体の流れの制御を司る部分となる。
【0107】
次に、本発明の第7実施形態について図18を参照して説明する。なお、同図は同実施形態に係るヘッドの流路板の平面説明図である。
この実施形態では、液体流入室10の体積を加圧液室6の体積よりも小さくしている。これにより、加圧時には、加圧液室6より液体流入室10の圧力上昇が大きく、逆流防止効果が得られ、液体供給時には、加圧液室6より液体流入室10の圧力低下が大きく効率良い液体供給が行える。
【0108】
次に、本発明の第8実施形態について図19及び図20を参照して説明する。なお、同19は同実施形態に係るヘッドの流路板の平面説明図、図20は図19の共通液室長手方向の断面説明図である。
【0109】
この実施形態では、加圧液室6の並び方向の両端部に加圧液室6及び流体流動部7と略同様の形状の流路と、液体流入部10よりも大きな形状の流路とを含む気泡排出用流路50を形成し、この気泡排出用流路50には振動板2に設けた気泡排出用流入口51を臨ませている。
【0110】
この気泡排出用流入口51はインク流入口9よりも大きな開口面積で形成し、気泡が相対的に液体流入口9よりも気泡排出用流入口51に優先して導入することができて、気泡排出効果をよりを高めている。なお、各図では、フレーム部材11の共通液室8へ外部からインクを供給するためのインク供給穴18を図示している。
【0111】
このように、気泡排出専用の流路50を個別に設けることにより、気泡排除効率が向上して信頼性が向上する。通常は圧力低下部であり液溜まり部である共通液室の端部に設けることが効果的であるが、ビット数の増大に応じた共通液室内の気泡発生箇所からの気泡を有効に排除できるように配置することにより、ビット数増大チップへの対応が可能となる。
【0112】
次に、上述した各種実施形態に係るヘッドにつき、まず、加圧時の逆流防止に関して、図5を参照して一例を説明する。図5に示すように、流路形成部材である流路板1に形成した、加圧液室6、流体流動制御部(最狭部)7、液体流入室10、振動板2に形成した液体流入口9のサイズ構成(深さ×幅×長さ)を次のとおりとする。
【0113】
加圧液室6:70〜110μm×139μm×2000μm
流体流動制御部(最狭部)7:70〜110μm×60μm×1000μm
液体流入室10:70〜110μm×139μm以下×300〜2000μm
振動板2の液体流入口9:100μm×150μm
【0114】
ここで、流体断面積を比較すると、加圧液室6:70〜110μm×139μm、流体流動制御部(最狭部)7:70〜110μm×60μm、液体流入室10:70〜110μm×139μm以下、液体流入口9:100μm×150μmで、流体流動制御部(最狭部)7が最も小さくなり、液体流入口9が最も大きくなる。
【0115】
したがって、流体流動制御部7がインク吐出性能の決定、及び加圧時の逆流防止の役割を担うが、さらに液体流入室10でシンクタンクの役割を果たすことになる。さらに、液体流入口9を液体流入室10より小さくすることにより効果が向上することは明らかである。
【0116】
次に、気泡発生防止に関して、図10ないし図14を参照して説明する。テーパ部7a〜7dの形成は加圧液室6などの流路パターン形成時のマスクをパターンニングして、流路パターン形成時に同時に形成する。また、(110)ウェハを使用しKOHの異方性エッチにより流路パターンを形成をする際には結晶軸面の傾きにより自動形成できる。さらに、前述の逆流防止効果は無くなるが、流路板1への液体流入口9をより大きく、例えば開口サイズを139×200μmとすることにより、インク流入圧変動を緩和でき気泡発生防止の効果が得られる。
【0117】
さらに、気泡排除に関して、図19及び図20を参照して説明する。例えば、図20に示すように共通液室8にテーパ−8aを形成することによって、インク供給口18から離れたところにおけるインク流速の低下を小さくすることができ、気泡の滞留を低減することができる。しかし、インク供給口18から遠く離れた所においてはインク流速が低下し、気泡が滞留することがある。その解決手段として、最端部に気泡排出用流路50を設ける。気泡排出用流路50に連通する図示しないノズルからインクごと気泡を吸引することによって気泡を排除することができる。気泡排出用流路50および液体流入口51は、液体流入室10及び他の液体流入口9よりも大きくする(例えば2倍)ことが好ましい。
【0118】
また、機械強度について説明する。前述したように流路形成部材に共通液室を設けると、シリコンの面積が大きくなりコストが増大する。シリコンをエッチングする部分が多くなるので、流路形成部材の強度が低下し、製造工程中破損などが生じる。また、各ビット毎の隔壁が共通液室部分で無くなり強度が劣化し、振動時にノイズ発生を起すことがある。本発明によるとシリコンエッチング面積が減少し、ビットごとの隔壁を残すことにより流路形成部材の機械強度が向上させ、加圧液室部動作時の振動によるノイズを防止することができる。
【0119】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法に係る製造工程の一例について図21及び図22を参照して説明する。
先ず、図21(a)に示すように、厚さ400μmで面方位(110)のシリコン基板(シリコンウエハを用いる。)91を用意し、このシリコン基板91両表面に厚さ1.0μmのシリコン酸化膜92a、92bを形成した。
【0120】
なお、使用するウエハの種類は両面研磨ウエハ、両面未研磨ウエハ、片面未研磨ウエハのいずれのウエハであっても良く、また比抵抗も揃っている必要はなく、例えばここでは、比抵抗0.1−100Ωcmのウエハを使用している。
【0121】
次いで、同図(b)に示すように、シリコン基板91のノズル板接合面側のシリコン酸化膜92a表面に、ノズル連通路5を形成するための開口を有するレジストパターン94を形成した。そして、ドライエッチングを行って、シリコン酸化膜92aに、ノズル連通路5を形成するための開口95をパターニングする。
【0122】
その後、同様にして、同図(c)に示すように、シリコン基板91の振動板接合面側のシリコン酸化膜92b表面に、加圧液室6及びインク供給路7並びに液体流入室10を形成するための開口を有するレジストパターン102を形成し、ドライエッチングを行ってシリコン酸化膜92bに加圧液室6、インク供給路7及び液体流入室10を形成するための開口103をパターニングする。
【0123】
その後、同図(d)に示すように、レジストでシリコン酸化膜92aの開口95の一部を埋め込み、ノズル連通路5を形成するための開口105を有するレジストパターン106を形成した。このときのレジストの膜厚は8μmとした。
【0124】
そして、図22(a)に示すように、レジストパターン106をマスクとしてICPドライエッチャーを使用して、シリコン基板91にノズル連通路5を形成するための掘り込み107を形成した。ここでは、ICPエッチングはノズル板接合面側から行っている。
【0125】
次いで、同図(b)に示すように、レジストパターン106を除去して、水酸化カリウム水溶液によりシリコン基板91の異方性エッチングを行ってノズル連通路5となる貫通孔115、加圧液室6となる凹部116を形成した。ここで、加圧液室部形成時のシリコンの異方性エッチングは、水酸化カリウム水溶液として溶液濃度30%のものを用いて、処理温度85℃で行った。
【0126】
そして、同図(c)に示すように、シリコン酸化膜92a、92bを除去し、その後図示しないが、耐インク接液膜(耐液性薄膜)としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成して、インクジェット用流路板1を得た。
【0127】
このように、この製造工程においては、液室形成部材をシリコンから形成し、ドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用して、必要なノズル連通路や加圧液室などの流路を形成したので、精度よく加圧液室を形成することが可能となり、吐出特性にばらつきのないヘッドが得られた。
【0128】
そして、シリコン酸化膜をマスクとして異方性ウェットエッチングを行ったので、マスク作製工程を非常に簡単でかつ短工期に行うことができるので、低コスト化を図れる。
【0129】
次に、図23を参照して、流体流入口の他の構成について説明する。この例では、前述した振動板2と共通液室部材11との間に接合部材18を介在させて、振動板2に形成した開口9aと接合部材18に形成した開口9bによって流体流入口9を形成している。
【0130】
このようにすれば、流体流入口9における流速を変化させる流体抵抗長さを振動板2の厚みの制限を受けることなく設定することができる。
【0131】
上記本発明に係る液滴吐出ヘッドの実施形態においては、圧力発生手段として積層型圧電素子を用いた例で説明しているがこれに限るものではなく、例えば図24ないし図26に示すように、その他の圧力発生手段を用いるヘッドにも本発明を適用することができる。
【0132】
すなわち、図24に示す液滴吐出ヘッドは、振動板2に薄膜圧電素子191を用いたヘッドである。また、図25に示す液滴吐出ヘッドは、振動板2に所定のギャップを置いて対向する電極192を設けた電極基板193を備え、振動板2と電極192との間で静電力を発生させることで振動板2を電極192側に変形させる静電型ヘッドである。さらに、図26に示す液滴吐出ヘッドは、振動板2に代えて電極基板194を接合し、この電極基板194の加圧液室6側にインクを加熱して膜沸騰で気泡を発生させる発熱抵抗体195を配設したサーマル型ヘッドである。
【0133】
次に、本発明に係るインクジェットヘッドとインクタンクとを一体化したインクカートリッジについて図27を参照して説明する。
このインクカートリッジ(インクタンク一体型ヘッド)200は、ノズル孔201等を有する本発明に係るインクジェットヘッド202と、このインクジェットヘッド202に対してインクを供給するインクタンク203とを一体化したものである。
【0134】
このようにインクタンク一体型のヘッドの場合、ヘッドの信頼性はただちに全体の信頼性につながるので、上述したように信頼性の高い本発明に係る液滴吐出ヘッドを一体化することで、安定した吐出が行えて、小型化低コスト化を図れ、高画質記録が可能なインクカートリッジが得られる。
【0135】
次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドからなるインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置の一例について図28及び図29を参照して説明する。なお、図28は同記録装置の斜視説明図、図29は同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0136】
このインクジェット記録装置は、記録装置本体211の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部212等を収納し、装置本体211の下方部には前方側から多数枚の用紙213を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)214を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙213を手差しで給紙するための手差しトレイ215を開倒することができ、給紙カセット214或いは手差しトレイ215から給送される用紙213を取り込み、印字機構部212によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ216に排紙する。
【0137】
印字機構部212は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド221と従ガイドロッド222とでキャリッジ223を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ223にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなるヘッド224を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ223にはヘッド224に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ225を交換可能に装着している。なお、上述したインクタンク一体型ヘッドである本発明に係るインクカートリッジを搭載するようにすることもできる。
【0138】
インクカートリッジ225は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
【0139】
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド224を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0140】
ここで、キャリッジ223は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド221に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド222に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ223を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ227で回転駆動される駆動プーリ228と従動プーリ229との間にタイミングベルト230を張装し、このタイミングベルト230をキャリッジ223に固定しており、主走査モーター227の正逆回転によりキャリッジ223が往復駆動される。
【0141】
一方、給紙カセット214にセットした用紙213をヘッド224の下方側に搬送するために、給紙カセット214から用紙213を分離給装する給紙ローラ231及びフリクションパッド232と、用紙213を案内するガイド部材233と、給紙された用紙213を反転させて搬送する搬送ローラ234と、この搬送ローラ234の周面に押し付けられる搬送コロ235及び搬送ローラ234からの用紙213の送り出し角度を規定する先端コロ236とを設けている。搬送ローラ234は副走査モータ237によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0142】
そして、キャリッジ223の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ234から送り出された用紙213を記録ヘッド224の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材239を設けている。この印写受け部材239の用紙搬送方向下流側には、用紙213を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ241、拍車242を設け、さらに用紙213を排紙トレイ216に送り出す排紙ローラ243及び拍車244と、排紙経路を形成するガイド部材245,246とを配設している。
【0143】
記録時には、キャリッジ223を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド224を駆動することにより、停止している用紙213にインクを吐出して1行分を記録し、用紙213を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙213の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙213を排紙する。
【0144】
また、キャリッジ223の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド224の吐出不良を回復するための回復装置247を配置している。回復装置247はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ223は印字待機中にはこの回復装置247側に移動されてキャッピング手段でヘッド224をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0145】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド224の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0146】
このように、このインクジェット記録装置においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭載しているので、信頼性の高く高品質記録を行うことができる記録装置が得られる。
【0147】
なお、上記実施形態においては、本発明に係る液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適用したが、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッドなどにも適用することできる。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、加圧液室を含む複数の流路パターンをそれぞれ独立して形成した流路形成部材を有し、独立した複数の流路パターンで形成される流路と前記共通液室との間にはそれぞれ独立して形成された液体流入口を有し、各液体流入口の開口の断面積が加圧液室の液体供給方向と垂直な面における断面積と同じである構成としたので、吐出不良のない安定した滴吐出を行うことができ、また、液室形成部材の機械強度の増加が可能になって小型化、低コスト化を図れる。
【0149】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法によれば、(110)シリコンウェハを用いてドライエッチングおよびKOH異方性ウェットエッチングにて流路形成部材を形成するので、液体の流れを淀みなく行う流路を形成可能で、安定した吐出特性が得られる高信頼性のヘッドが得られる。
【0150】
本発明に係るインクカートリッジによれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとインクタンクを一体化したので、安定した滴吐出を行うことができる小型で低コストのインクカートリッジが得られるようになる。
【0151】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、インクジェットヘッドが本発明に係る液滴吐出ヘッド又はインクカートリッジである構成としたので、高い信頼性で高画質記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図3】同ヘッドの液室短手方向に沿う要部断面説明図
【図4】同ヘッドの流路形成部材の要部平面説明図
【図5】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドの流路形成部材の要部平面説明図
【図6】同第3実施形態に係るインクジェットヘッドの流路形成部材の流路パターンの平面説明図
【図7】図6のA−A線に沿う断面説明図
【図8】同第4実施形態に係るインクジェットヘッドの流路形成部材の流路パターンの平面説明図
【図9】図8のB−B線に沿う断面説明図
【図10】流体流動部の構成の一例を説明する流路パターンの平面説明図
【図11】同じくその断面説明図
【図12】流体流動部の構成の他の例を説明する流路パターンの平面説明図
【図13】同じくその断面説明図
【図14】同第5実施形態に係るインクジェットヘッドの流路形成部材の流路パターンの平面説明図
【図15】同じくその断面説明図
【図16】同第6実施形態に係るインクジェットヘッドの流路形成部材の流路パターンの平面説明図
【図17】同じくその断面説明図
【図18】同第7実施形態に係るインクジェットヘッドの流路形成部材の平面説明図
【図19】同第8実施形態に係るインクジェットヘッドの流路形成部材の平面説明図
【図20】同じくその共通液室長手方向に沿う断面説明図
【図21】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造工程の一例を示す断面説明図
【図22】図21に続く工程を示す断面説明図
【図23】流体流入口の他の構成を示す断面説明図
【図24】本発明に係る液滴吐出ヘッドの他の例を示すヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図
【図25】本発明に係る液滴吐出ヘッドの更に他の例を示すヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図
【図26】本発明に係る液滴吐出ヘッドの更にまた他の例を示すヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図
【図27】本発明に係るインクカートリッジの説明に供する斜視説明図
【図28】本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図
【図29】同記録装置の機構部の側面説明図
【図30】従来の液滴吐出ヘッドの流路形成部材の平面説明図
【符号の説明】
1…流路板、2…振動板、3…ノズル板、4…ノズル、5…ノズル連通路、6…加圧液室、7…流体流動制御部、8…共通液室、9…インク流入口、10…液体流入室、11…フレーム部材、12…圧電素子、13…ベース基板、200…インクカートリッジ、214…記録ヘッド。

Claims (11)

  1. 液滴を吐出するノズルが連通する複数の加圧液室と、この複数の加圧液室に液体を供給する共通液室とを有する液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記加圧液室を含む複数の流路パターンをそれぞれ独立して形成した流路形成部材を有し、
    前記独立した複数の流路パターンで形成される流路と前記共通液室との間にはそれぞれ独立して形成された液体流入口を有し、
    各液体流入口の開口の断面積が前記加圧液室の液体供給方向と垂直な面における断面積と同じである
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室を含む流路パターンを形成する流路形成部材と、前記共通液室を形成する共通液室形成部材とを、複数の加圧液室に対応してそれぞれ独立した液体流入口を形成した部材を介して積層接合したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室と、前記液体流入口が臨む液体流入室と、前記加圧液室と液体流入室との間の流体流動制御部と有し、前記流体流動制御部は前記加圧液室及び液体流入室よりも流体抵抗が大きいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記流体流動制御部と前記加圧液室及び/又は液体流入室との接続部分はテーパ形状であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項3又は4に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記液体流入室の体積が前記加圧液室の体積よりも小さいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室の一端部側が前記液体流入口に臨んでいることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室を形成する流路形成部材には気泡排出用流路が設けられていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 請求項7に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記気泡排出用流路に臨む液体流入口は他の液体流入口よりも開口面積が大きいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記加圧液室を形成する流路形成部材は面方位(110)のシリコンウエハをドライエッチング及び異方性ウエットエッチングの組み合わせで形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. インク滴を吐出するインクジェットヘッドとこのインクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化したインクカートリッジにおいて、前記インクジェットヘッドが請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクカートリッジ。
  11. インク滴を吐出させて画像を記録するインクジェット記録装置において、前記請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド又は請求項10に記載のインクカートリッジを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
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