JP2004098310A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ並びにインクジェット記録装置 Download PDF

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Shigeru Kanehara
金原 滋
Kiyoshi Yamaguchi
山口 清
Kenichiro Hashimoto
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Abstract

【課題】普通紙に対する高速、高品質画像形成を行うために高粘度インクを使用するとインク供給量の不足が生じる。
【解決手段】流路板1はシリコン基板から形成し、流路板1には粘度5cP以上のインクの流路となるノズル4に連通するノズル連通路5、加圧液室6、インク供給路7となる凹部又は貫通穴を形成している。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−318167号公報
【特許文献2】特開平6−47917号公報
【特許文献3】特開平7−68762号公報
【特許文献4】特開2000−244031号公報
【特許文献5】特開平11−298062号公報
【特許文献6】特開平11−307832号公報
【0003】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力室、加圧液室、加圧室、液室等とも称される。)と、このインク流路内のインクを加圧する駆動手段(圧力発生手段)とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0004】
インクジェットヘッドとしては、インク流路内のインクを加圧するエネルギーを発生する駆動手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどが知られている。
【0005】
これらの各種ヘッドの内でも、ノズル開口が形成されたノズルプレート(ノズル形成部材)と振動板とをスぺーサ(流路形成部材)の両面に接着して圧力室(液室)を形成し、振動板を圧電素子により変形させる方式のインクジェットヘッドは、インク滴を飛翔させるための駆動源として熱エネルギーを使用しないため熱によるインクの変質がなく、特に熱により劣化しやすいカラーインクを吐出させる上で利点がある。しかも、圧電振動子の変位量を調整してインク滴のインク量を自在に調節することが可能であるため、高品質なカラー印刷のためのインクジェット記録装置を構成するのに最適なヘッドである。
【0006】
ところで、インクジェットヘッドは記録媒体上のドットをインク滴により構成する関係上、インク滴のサイズを小さくすることにより、極めて高い解像度での記録、印刷が可能である。
【0007】
しかしながら、効率よく記録するためには、インク開口の数を多くする(ノズル数を多くする)必要があり、特に、圧電素子を駆動手段とするものにあっては、圧電素子のエネルギーを効率よく使用するために圧力室(加圧液室)を大きくする必要がある。このことは、ヘッドの小型化要請とは相反することである。このような相反する問題を解消するため、通常隣り合う圧力室を区画している壁(隔壁)を薄くすると共に圧力室の形状を長手方向に大きくして容積を稼ぐことが行われている。
【0008】
従来、加圧液室を形成する流路形成部材としては、例えば
【特許文献1】ない

【特許文献3】に開示されているように感光性樹脂膜が使用されることが多く
、また、
【特許文献4】ないし
【特許文献6】に開示されているようにニッケル電鋳やSUSなどの金属板が用いられ、さらにシリコン基板などが用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インクジェット記録装置においては、特に普通紙上に印字した場合には、画像の色再現性、耐久性、耐光性、インク乾燥性、文字滲み(フェザリング)、色境界滲み(カラーブリード)、両面印刷性等、インクジェット記録装置特有の画質劣化問題が顕在しており、更に、普通紙にて高速高画質印字をしようとした場合には、これら全ての特性を満足して印刷することは極めて難しい課題となっている。
【0010】
また、通常、インクジェット印刷に使用されるインクは、水を主成分とし、これに着色剤、及び目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。着色剤としては、染料と顔料とがあり、優れた発色性や安定性が得られる点からカラー色部には従来より染料系インクが用いられる場合が多い。しかし、染料系インクを用いて得られる画像の耐光性、耐水性等の堅牢性は着色剤に顔料を利用したものに対して劣るものであり、特に、耐水性については、インク吸収層を有するインクジェット専用記録紙を使用すれば、ある程度の改善を図ることは可能となるが、普通紙を使用した場合には満足の得られるものとはなっていない。
【0011】
そこで、近年、普通紙を使用した場合での上記染料系インクに対する問題点を改善するために、着色剤として有機顔料、カーボンブラック等を用いる顔料系インクの使用が普通紙印字に対して検討、あるいは実用化がされている。顔料は、染料とは異なり水への溶解性がないため、通常は、顔料を分散剤とともに混合し、分散処理して水に安定分散させた状態の水性インクとして用いられる。
【0012】
ところが、このような顔料系インクはインク粘度が高くなるため、普通紙に高速高画質記録を行うためには新たな課題を生じるようになっている。すなわち、高粘度インク、特に5cP以上の粘度のインクを用いてインク滴を吐出させようとすると、高密度で配置した多数のノズルに対して安定してインクを供給できなくなり、画質が劣化するか、高速化を図れないということである。
【0013】
そこで、本発明者らは、従前、インクの粘度との関係については何ら検討されていなかった、すなわち、加工性や剛性などの観点からのみ適否が考えられていた流路形成部材の材料とインク粘度との関係について検討するとともに、流路構成について検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、高粘度液滴を高速で安定して吐出できて普通紙に対する高画質記録が可能になる液滴吐出ヘッド及びその製造方法、このヘッドを一体化することで高い画像品質の画像を高速で記録できるようになるインクカートリッジ、このヘッド又はインクカートリッジを搭載することで高品質画像を高速記録できるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、吐出する液体の粘度が5cP(25℃)以上であり、加圧液室を形成する流路形成部材がシリコンから形成されている構成とした。
【0016】
ここで、流路形成部材が面方位(110)のシリコン基板から形成されていることが好ましい。また、ノズル及び加圧液室の密度が100dpi以上であることが好ましい。さらに、加圧液室とこの加圧液室に液体を供給するための供給液室とは、加圧液室に比して小さな断面積を持つ液体供給路を介して連通し、液体供給路、加圧液室及びノズルを含む液流路の総流体抵抗値が、液体の粘度1cPに対して5×1012mPa・sec以下であることが好ましい。
【0017】
また、加圧液室とこの加圧液室に液体を供給するための供給液室とは、加圧液室に比して小さな断面積を持つ液体供給路を介して連通し、ノズルの流体抵抗値が液体供給路の流体抵抗値よりも大きいことが好ましい。
【0018】
さらに、ノズルの密度が300dpi以上であり、かつ、加圧液室とこの加圧液室に液体を供給するための供給液室との間に加圧液室に比して小さな断面積の流路を持たないことが好ましい。
【0019】
また、流路形成部材には前記ノズルを形成するノズル形成部材との接合面に加圧液室に似た形状の擬似液室が形成されていることが好ましい。さらに、流路形成部材には前記加圧液室が形成されている面とは逆側の面に液体をノズルへ供給する液体供給路が形成されていることが好ましい。また、加圧液室の壁面には酸化膜又は窒化チタン膜が形成されていることが好ましい。
【0020】
さらに、液体は、少なくとも、顔料、水溶性有機溶剤、炭素数8以上のポリオール又はグリコールエーテル及び水を含むインクであることが好ましい。
【0021】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、流路形成部材はシリコンのドライエッチングによる深堀、又はドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用して形成する構成としたものである。
【0022】
ここで、異方性ウェットエッチングを併用する場合、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜の積層膜、又はシリコン酸化膜、若しくはシリコン窒化膜をマスクとして行うことが好ましい。
【0023】
本発明に係るインクカートリッジは、本発明に係る液滴吐出ヘッドからなるインクジェットヘッドとこのインクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化したものである。
【0024】
本発明に係るインクジェット記録装置は、インク滴を吐出させる本発明に係る液滴吐出ヘッドからなるインクジェットヘッド、又は本発明に係るインクジェットヘッド一体型のインクカートリッジを備えるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図3は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの要部平面説明図である。
【0026】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路形成部材である流路板1と、この流路板1の下面に接合した振動板2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴であるインク滴を吐出するノズル4がノズル連通路(連通管)5を介して連通するインク流路である加圧液室(加圧液室)6、加圧液室6にインクを供給するための液供給室である共通液室8にインク供給口9を介して連通する加圧液室6に比して小さな断面をもつ液体供給路であるインク供給路7を形成している。
【0027】
そして、振動板2の外面側(液室と反対面側)に各加圧液室6に対応して加圧液室6内のインクを加圧するための駆動手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての積層型圧電素子12を接合し、この圧電素子12をベース基板13に接合している。ベース基板13はチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなどの絶縁性基板を用いている。
【0028】
また、圧電素子12の間には加圧液室6、6間の隔壁部6aに対応して支柱部14を設けている。ここでは、圧電素子部材にハーフカットのダイシングによるスリット加工を施すことで櫛歯状に分割して、1つ毎に圧電素子12と支柱部14して形成している。支柱部14も構成は圧電素子12と同じであるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0029】
さらに、振動板12の外周部はフレーム部材16にギャップ材を含む接着剤17にて接合している。このフレーム部材16には、共通液室8となる凹部、この共通液室8に外部からインクを供給するためのインク供給穴18(図5参照)を形成している。このフレーム部材16は、例えばエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0030】
ここで、流路板1は、、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を後述するようにドライエッチングによる深堀と水酸化カリウム水溶液(KOH)、TMAH液などのエッチング液を用いた異方性エッチングとを併用することで、ノズル連通路5、加圧液室6、インク供給路7となる凹部や穴部を形成したものである。
【0031】
そして、流路板1のインクに接する面(液流路の壁面)となる加圧液室6、インク供給路7の各壁面には酸化膜、窒化チタン膜或いはポリイミドなどの有機樹脂膜からなる耐液性薄膜10を成膜している。このような耐液性薄膜10を形成することで、シリコン基板からなる流路板10がインクに対して溶出しにくく、また濡れ性も向上するため気泡の滞留が生じにくく、安定した滴吐出が可能になる。
【0032】
また、この流路板1には、図5ないし図7をも参照して、ノズル板接合面側及び振動板接合面側にそれぞれ接着剤逃がし用の肉抜き部(凹部)45、47を形成するとともに、ノズル板接合面側に液室形状(流路形状)に似た形状の擬似液室(凹部)46を形成することによって、ノズル板接合面の凹部以外の表面積と振動板接合面の凹部以外の表面積とが略同じになるようにしている。
【0033】
このように、流路板1の両面の凹部以外の表面積が略同じになるようにすることで、流路壁面に耐液性薄膜10を形成する場合に、ノズル板接合面側と振動板接合面側の耐液性薄膜の膜応力の差などに起因する流路板1の反りが緩和されるので、流路板1の各面にノズル板3及び振動板2を接着剤接合した場合の接合信頼性が向上するとともに、製造工程における接合不良が低減することで歩留まりが向上して低コスト化を図ることができる。
【0034】
すなわち、流路板1のノズル板接合面1aと振動板接合面1bの凹部形状及び表面積が大きく異なっていると、例えば、耐液性薄膜としてのシリコン酸化膜を7000Åの厚みで成膜した場合に、シリコン流路板1には6μmを越える反りが発生することを確認している。そのため、流路板1の各面にノズル板及び振動板を接合すると接合不良箇所が発生する。勿論接着剤層の厚みを厚くすることで接合不良はある程度解消できるが、接着剤層の厚みを厚くすることは、接着剤のはみ出しが多くなり、液室部材全体の剛性の点でも好ましくない。
【0035】
これに対して、流路板1のように液室形状に対応する擬似液室46を形成することで、ノズル板接合面1aと振動板接合面1bの凹部形状及び表面積がほぼ同じになる。そのため、耐液性薄膜としてのシリコン酸化膜を7000Åの厚みで成膜した場合でも、シリコン流路板1の反りは約2μmに抑えることができ、この程度の反りであれば流路板1の各面のノズル板及び振動板を接合しても接合不良箇所が発生しないことを確認した。
【0036】
図1ないし図4に戻って、振動板2は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他の金属板や樹脂板或いは金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。
【0037】
この振動板2は加圧液室6に対応する部分に変形を容易にするための厚みが2〜10μmの薄肉部(ダイアフラム部)21及び圧電素子12と接合するための厚肉部(島状凸部)22を形成するとともに、支柱部14に対応する部分及びフレーム部材16との接合部にも厚肉部23を形成し、平坦面側を流路板1に接着剤接合し、島状凸部22を圧電素子12に接着剤接合し、更に厚肉部23を支柱部14及びフレーム部材16に接着剤17で接合している。なお、ここでは、振動板2を2層構造のニッケル電鋳で形成している。この場合、ダイアフラム部21の厚みは3μm、幅は35μm(片側)としている。
【0038】
ノズル板3は各加圧液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。ここでは、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成している。また、ノズル4の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成し、このノズル4の穴径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmとしている。さらに、各列のノズルピッチは150dpiとし、2列配置により300dpiとしている。
【0039】
また、ノズル板3のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0040】
圧電素子12は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層31と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層32とを交互に積層したものであり、内部電極32を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極33、共通電極34に電気的に接続したものである。この圧電常数がd33である圧電素子12の伸縮により加圧液室6を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子12に駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また圧電素子12に充電された電荷が放電すると反対方向に収縮するようになっている。
【0041】
なお、圧電素子部材の一端面の端面電極はハーフカットによるダイシング加工で分割されて個別電極33となり、他端面の端面電極は切り欠き等の加工による制限で分割されずにすべての圧電素子12で導通した共通電極34となる。
【0042】
そして、圧電素子12の個別電極33には駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若しくはワイヤボンディングでFPCケーブル35を接続し、このFPCケーブル35には各圧電素子12に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)を接続している。また、共通電極34は、圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPCケーブル35のグラウンド(GND)電極に接続している。
【0043】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、例えば、記録信号に応じて圧電素子12に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、圧電素子12に積層方向の変位が生起し、振動板2を介して加圧液室6内のインクが加圧されて圧力が上昇し、ノズル4からインク滴が吐出される。
【0044】
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室6内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室6内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、図示しないインクタンクから供給されたインクは共通液室8に流入し、共通液室8からインク供給口9を経てインク供給路7を通り、加圧液室6内に充填される。
【0045】
なお、インク供給路(流体抵抗部)7は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果がある反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。このインク供給路7の流体抵抗値を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0046】
ここで、このインクジェットヘッドにおいて使用する液体であるインクについて説明する。本発明に係るインクジェットヘッドで使用するインク液(これを「本発明のインク」という。)は、次の構成(1)〜(10)よりなる印字用インク(記録用インク)であるが、これに限るものではない。
【0047】
(1)顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2)湿潤剤1
(3)湿潤剤2
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオンまたはノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル
(7)エマルジョン
(8)防腐剤
(9)pH調製剤
(10)純水
【0048】
すなわち、印字(記録)するための着色剤として顔料を使用し、それを分解、分散させるための溶剤とを必須成分とし、更に添加剤として、湿潤剤、界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調整剤とを含んでいる。湿潤剤1と湿潤剤2とを混合するのは各々湿潤剤の特徴を活かすためと、粘度調整が容易にできるためである。
【0049】
以下、上記各インク構成要素について、より具体的に説明する。
(1)の顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0050】
本発明のインクの好ましい態様によれば、これらの顔料のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。顔料の粒径は、0.05μmから10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.16μm以下である。インク中の着色剤としての顔料の添加量は、6〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
【0051】
本発明のインクの好ましく用いられる顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
【0052】
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
【0053】
その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
【0054】
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであっても良い。
【0055】
本発明のインクの好ましい態様によれば、ブラックインク用の顔料は、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調整するのに用いられる公知の分散液を使用することができる。
【0056】
分散液としては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0057】
本発明のインクの好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3、000〜50、000であるのが好ましく、より好ましくは5、000〜30、000、最も好ましくは7、000〜15、000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。分散剤としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
【0058】
着色剤に使用する顔料は、記録用インク全重量に対して6重量%〜20重量%含有し、0.05μm〜0.16μm以下の粒子径の粒子であり、分散剤により水中に分散されていて、分散剤が、分子量5、000から100、000の高分子分散剤である。水溶性有機溶剤が少なくとも1種類にピロリドン誘導体、特に、2−ピロリドンを使用すると画像品質が向上する。
【0059】
(2)〜(4)の湿潤剤1、2と水溶性有機溶剤に関しては、本発明のインクの場合、インク中に水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にし、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶剤が使用される。これら水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。
【0060】
湿潤剤と水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2、6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
【0061】
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
【0062】
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
【0063】
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
【0064】
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
【0065】
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
【0066】
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
【0067】
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
【0068】
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0069】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH(CHOH)nCHOH(ここでn=2〜5の整数を表す。)で表される。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
【0070】
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0071】
(5)の界面活性剤に関しても、特に限定はされないが、アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
【0072】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
【0073】
本発明のインクにおける表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが、本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mJ/m以下が好ましく、より好ましくは35mJ/m以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
【0074】
(6)の炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテルに関しては、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルを記録用インク全重量に対してを0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。▲1▼2−エチル−1、3−ヘキサンジオール 溶解度:4.2%(20℃) ▲2▼2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタンジオール 溶解度:2.0%(25℃)。
【0075】
25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤は溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。したがって、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のあるインクを作製することが可能となる。
【0076】
(7)本発明のインクには樹脂エマルジョンが添加されている方が好ましい。樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
【0077】
本発明のインクの好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
【0078】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
【0079】
前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
【0080】
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製:いずれも商品名)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製:商品名)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製:商品名)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製:商品名)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製:商品名)、などが挙げられる。
【0081】
本発明のインクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
【0082】
樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
【0083】
(8)〜(10)本発明のインクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
【0084】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0085】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0086】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0087】
このような本発明のインクを使用することによって、特に普通紙上に印字した場合でも、良好な色調(十分な発色性、色再現性を有する。)、高い画像濃度、文字を含む画像にフェザリング現象やカラーブリード現象のない鮮明な画質、両面印刷にも耐え得るインク裏抜け現象の少ない画像、高速印刷に適したインク乾燥性(定着性)、耐光性、耐水性などの高い堅牢性を有した画像等、これらの画像特性に対して十分に満足できる高画質画像を形成することができるようになる。
【0088】
この本発明のインクのように、特に、粘度が5cP以上、より好ましい粘度8cP以上のインクを用いた場合には、インク滴吐出時にインクをノズル5に不足なく供給できなければ、高速で安定した滴吐出を行うことができなくなる。
【0089】
そこで、流路板1は、前述したように、面方位(110)の単結晶シリコン基板から形成している。流路板1を形成する部材としては、前述したように感光性樹脂や金属部材もあるが、液室を高密度で配置し、且つ、5cP以上の高粘度インクを高周波で吐出させるヘッドにおいては、流路形成部材である流路板1がシリコンで形成されていることによって、ノズルへのインク供給の不足が生じない液流路を容易に形成することができる。
【0090】
これにより、5cP以上の高粘度インクを用いた普通紙への高速高画質印刷が可能になる。
【0091】
この場合、面方位(110)のシリコン基板より形成することで、異方性のウェットエッチングをすることにより、高密度で加圧液室6を形成することが可能となり、また、液室高さを高くして、ノズルへの液体の供給量不足がないように加圧液室6を形成することが可能となるので、5cP以上の高粘度の液体を高周波駆動で安定して噴射して、普通紙への高速高画質記録を行うことができる。
【0092】
この高粘度インクを用いた場合のノズルへのインク供給量不足は、特に、ノズル
4、加圧液室6の密度が100dpi以上である場合に顕著化する。そこで、加圧液室6の密度が100dpi以上である場合に、流路形成部材をシリコンにて形成することにより、加圧液室高さを高く形成することが可能となるので、高周波での液滴吐出が可能となって、品質の高い画像を形成することができるようになる。
【0093】
また、ノズル4、加圧液室6及びインク供給路7の総流体抵抗値については、液体の粘度1cPの流体に対して5×1012mPa・sec以下とすることで、高粘度液体を吐出する場合に、総流体抵抗値が大きくなりすぎて高周波での液滴吐出をするときにノズルへの液体供給量が不足するといった不具合が生ずることなく、安定した吐出が可能となる。
【0094】
すなわち、図8は5cPのインクを用いて、液体の粘度1cP当たりの流総流体抵抗値を変化させて吐出不良率を測定した結果を示している。これより、液体の粘度1cP当たりの総流体抵抗値が5×1012mPa・secを越えると、噴射不良率が増加する傾向にあることが分かる。したがって、インク供給路7、加圧液室6、ノズル4を含めた総流体抵抗値が液体の粘度1cpの流体に対して5×1012mPa・sec以下となるようにノズル5、加圧液室6及びインク供給路7を形成することで、高粘度液体を高周波で安定して吐出できる。
【0095】
また、ノズル4の流体抵抗値は液供給路であるインク供給路7の流体抵抗値より大きくしている。これにより、高粘度液体を吐出する場合に、液体供給路(インク供給路7)、加圧液室6、ノズル4を含めた総流体抵抗値が増加してノズル5への液体供給量が不足する不具合を、ノズル4の流体抵抗値を変える(液滴の体積を変える)ことなく解消することができる。
【0096】
すなわち、高粘度液体を使用する場合は、相対的にノズルの流体抵抗値が増加する。この場合、ノズル径を変更して流体抵抗値を下げる方法もあるが、ノズル径を変更することは吐出液滴の体積を変更することとなり、高密度画像の形成には不利となる。そこで、各液体供給路、加圧液室、ノズルを含めた総流体抵抗値を低減させるためには、ノズル径よりも加圧液室に比して小さな断面をもつ液体供給路の流体抵抗値を低減させることにより、液体積の変更を生じることなく、高粘度液体の高周波駆動による安定した滴吐出が可能になる。
【0097】
次に、第2実施形態に係るインクジェットヘッドについて図9ないし図12を参照して説明する。なお、図9は図2に相当する液室長手方向に沿う要部断面説明図、図10は同ヘッドの流路板の断面説明図、図11は同流路板のノズル板接合面側の平面説明図、図12は同ヘッドの振動板接合面側の平面説明図である。
【0098】
このヘッドでは、流路板1の加圧液室6側と反対側の面にノズル4へのインク(液体供給)を行うために加圧液室6と略同じ形状のサブ供給路56を形成し、このサブ供給路56を振動板2のインク供給口9を介して共通液室8に連通する連通路57を形成している。
【0099】
このように構成することで、ノズル4への液体(インク)供給を加圧液室6とサブ供給路56の2つの供給路で行うことができるようになり、高粘度液体(インク)を用いた場合でも液体供給量が不足することなく、安定した液滴吐出を行うことができる。
【0100】
次に、第3実施形態に係るインクジェットヘッドについて図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は図2に相当する液室長手方向に沿う要部断面説明図、図14は同ヘッドの流路板の振動板接合面側の平面説明図である。
このヘッドでは、ノズル4、加圧液室6の密度を300dpi以上とし、加圧液室6をそのままの大きさで振動板2のインク供給口9に臨ませることで、前記各実施形態のインク供給路7(加圧液室に比して小さな断面積の液体供給路)を設けていない構成としている。
【0101】
すなわち、300dpi以上の高密度でノズル4、加圧液室6を配置した場合、流路の流体抵抗によって高粘度液体を高周波で吐出する場合にノズルへの液体供給量が不足することが生じる。そこで、加圧液室への液供給側に加圧液室に比して小さな断面積の部分を持たない形状にすることによって、流体抵抗を低減して、ノズルへの液体供給量不足による液滴吐出不良が生じることがないようにすることができる。この場合、液体自体の粘度によって液吐出による供給側への逆流を抑制することができる。
【0102】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法に係る第1実施形態の製造工程について図15及び図16を参照して説明する。
先ず、図21(a)に示すように、厚さ400μmで面方位(110)のシリコン基板(シリコンウエハを用いる。)61を用意し、このシリコン基板161両表面に厚さ1.0μmのシリコン酸化膜62a、62b及び厚さ0.15μmのシリコン窒化膜63a、63を形成した。なお、窒化膜63a、63bはLP−CVDで形成した。
【0103】
なお、使用するウエハの種類は両面研磨ウエハ、両面未研磨ウエハ、片面未研磨ウエハのいずれのウエハであっても良く、また比抵抗も揃っている必要はなく、例えばここでは、比抵抗0.1−100Ωcmのウエハを使用している。
【0104】
次いで、同図(b)に示すように、シリコン基板61のノズル板接合面側のシリコン窒化膜63a表面に、ノズル連通路5を形成するための開口と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)45、擬似液室46を形成するための各開口とを有するレジストパターン64aを形成した。
【0105】
そして、ドライエッチングを行って、シリコン窒化膜63aに、ノズル連通路5を形成するための開口65と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部45を形成するための開口66、擬似液室46を形成するための開口68をパターニングする。この工程では擬似液室46を形成するための開口68は加圧液室6とほぼ同じ平面形状に形成した。
【0106】
その後、同図(c)に示すように、シリコン基板61のノズル板接合面側のシリコン窒化膜63aを埋め込み、ノズル連通路5を形成するための開口を有するレジストパターン64c形成し、ドライエッチングを行って、シリコン窒化膜63aの開口65に連続してシリコン酸化膜62aにノズル連通路5を形成するための開口(以下では両開口を単に「開口65」と表記する。)をパターニングする。
【0107】
次に、同図(d)に示すように、シリコン基板61の振動板接合面側のシリコン窒化膜63b表面に、加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口と、振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口とを有するレジストパターン64bを形成した。
【0108】
そして、ドライエッチングを行って、シリコン窒化膜63aに、加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口70と、振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口71をパターニングする。
【0109】
次いで、同図(e)に示すように、シリコン基板61の振動板接合面側のシリコン窒化膜63bを埋め込み、ノズル連通路5を形成するための開口を有するレジストパターン64d形成し、ドライエッチングを行って、シリコン酸化膜62aにノズル連通路5を形成するための開口72をパターニングする。
【0110】
その後、図16(a)に示すように、レジストでシリコン窒化膜63aの開口65、66、68を埋め込み、ノズル連通路5を形成するための開口73を有するレジストパターン72を形成した。このときのレジストの膜厚は8μmとした。
【0111】
そして、同図(e)に示すように、シリコン基板61のノズル板接合面側のシリコン窒化膜63a、シリコン酸化膜63aを埋め込み、ICPドライエッチャーによりシリコンエッチングのためのマスク73を形成して、ICPドライエッチャーを使用して、シリコン基板61にノズル連通路5を形成するための深堀74を形成した。また、ICPエッチングはノズル板接合面側から行っているが、振動板接合面側から行うこともできる。
【0112】
次いで、同図(b)に示すように、マスク73を除去して、水酸化カリウム水溶液によりシリコン基板61の異方性エッチングを行ってノズル連通路5となる連通管75を貫通形成した。
【0113】
その後、同図(c)に示すように、ウエットエッチングにより、ノズル板との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)45を形成するための開口66と、擬似液室46を形成するための開口68に対応するシリコン酸化膜62aを除去するとともに、加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口70と、振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口71に対応するシリコン酸化膜62bを除去する。
【0114】
そして、同図(d)に示すように、再度水酸化カリウム水溶液により、シリコン基板61の異方性エッチングを行って、シリコン基板61に、加圧液室6となる凹部76、この凹部76に連続し、インク供給路7となる凹部77(仮想線で図示した部分)、凹部45、47、擬似液室46となる各凹部を形成した。ここで、加圧液室部形成時のシリコンの異方性エッチングは、水酸化カリウム水溶液として溶液濃度30%のものを用いて、処理温度85℃で行った。
【0115】
この場合、加圧液室6となる凹部76とインク供給路7となる凹部77は一度の異方性エッチングで凹部を形成するので略等しい深さとなっている。同様に、加圧液室6となる凹部76と擬似液室46となる凹部の深さは一度の異方性エッチングで凹部を形成するので略等しい深さとなっている。
【0116】
そして、同図(e)に示すように、シリコン窒化膜63a、63b及びシリコン酸化膜62a、62bを除去し、その後図示しないが、耐インク接液膜(耐液性薄膜)10としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成して、インクジェット用流路板1を得た。
【0117】
このように、上記実施形態ではノズル板接合面と振動板接合面との接合面積がほぼ同じになるように、またノズル接合面の形状は加圧液室の形状に似た形状の擬似液室形状になるようにパターニングを行ったので、流路板1は接液保護膜(耐液性薄膜)形成時でも反り量を1μm以下に抑えることができた。
【0118】
そして、この製造工程においては、液室形成部材をシリコンから形成し、ドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用して、必要なノズル連通路や加圧液室などの流路を形成したので、精度よく加圧液室を形成することが可能となり、吐出特性にばらつきのないヘッドが得られた。
【0119】
また、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜の積層膜をマスクとして異方性ウェットエッチングを行ったので、シリコン窒化膜膜、シリコン酸化膜をそれぞれエッチングのマスクとして使用することでき、寸法制御性に優れたヘッドが得られる。
【0120】
さらに、流路板を製作するにあたり、ノズル、加圧液室、液体を加圧液室へと供給するための供給液室と連通している液体供給路を含めた総流体抵抗値が液体の粘度1cPの流体に対して5×1012mPa・sec以下になるようにノズル連通路5、加圧液室6及びインク供給路7の寸法を設定した。これにより、普通紙への高速高画質記録を行う際に必要な5cP以上の高粘度液体を使用する場合においても、高密度で加圧液室を形成し、なおかつ高周波で液体吐出を行う場合においても、ノズルへの液体供給量を不足させないようにして安定な液滴吐出が可能となる。なお、この製造方法は、インク供給路を持たない第3実施形態に係るヘッドの製造方法にも適用できる。
【0121】
このように形成した流路板を用いることで、高粘度インクを用いて普通紙に高速高品質画像を記録することができるインクジェットヘッドが得られる。
【0122】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法に係る第2実施形態の製造工程について図17及び図18を参照して説明する。
先ず、図17(a)に示すように、厚さ400μmで面方位(110)のシリコン基板(シリコンウエハを用いる。)91を用意し、このシリコン基板91両表面に厚さ1.0μmのシリコン酸化膜92a、92bを形成した。
【0123】
なお、使用するウエハの種類は両面研磨ウエハ、両面未研磨ウエハ、片面未研磨ウエハのいずれのウエハであっても良く、また比抵抗も揃っている必要はなく、例えばここでは、比抵抗0.1−100Ωcmのウエハを使用している。
【0124】
次いで、同図(b)に示すように、シリコン基板91のノズル板接合面側のシリコン酸化膜92a表面に、ノズル連通路5を形成するための開口と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)45及び擬似液室46を形成するための各開口とを有するレジストパターン94を形成した。
【0125】
そして、ドライエッチングを行って、シリコン酸化膜92aに、ノズル連通路5を形成するための開口95と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部45を形成するための開口96及び擬似液室46を形成するための開口98とをパターニングする。なお、擬似液室46を形成するための開口98は加圧液室6とほぼ同じ平面形状に形成した。
【0126】
その後、同図(c)に示すように、シリコン基板91の振動板接合面側のシリコン酸化膜92b表面に、加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口と振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口とを有するレジストパターン102を形成し、ドライエッチングを行ってシリコン酸化膜92bに加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口103と振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部47を形成するための開口104とをパターニングする。
【0127】
その後、同図(d)に示すように、レジストでシリコン酸化膜92aの開口95、96、98を埋め込み、ノズル連通路5を形成するための開口105を有するレジストパターン106を形成した。このときのレジストの膜厚は8μmとした。
【0128】
そして、図18(a)に示すように、レジストパターン106をマスクとしてICPドライエッチャーを使用して、シリコン基板91にノズル連通路5を形成するための掘り込み107を形成した。ここでは、ICPエッチングはノズル板接合面側から行っている。
【0129】
次いで、同図(b)に示すように、レジストパターン106を除去して、水酸化カリウム水溶液によりシリコン基板91の異方性エッチングを行ってノズル連通路5となる貫通孔115、加圧液室6となる凹部116、凹部45、47、擬似液室46となる凹部を形成した。ここで、加圧液室部形成時のシリコンの異方性エッチングは、水酸化カリウム水溶液として溶液濃度30%のものを用いて、処理温度85℃で行った。
【0130】
そして、同図(d)に示すように、シリコン酸化膜92a、92bを除去し、その後図示しないが、耐インク接液膜(耐液性薄膜)10としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成して、インクジェット用流路板1を得た。
【0131】
このように、この製造工程においては、液室形成部材をシリコンから形成し、ドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用して、必要なノズル連通路や加圧液室などの流路を形成したので、精度よく加圧液室を形成することが可能となり、吐出特性にばらつきのないヘッドが得られた。
【0132】
そして、シリコン酸化膜をマスクとして異方性ウェットエッチングを行ったので、マスク作製工程を非常に簡単でかつ短工期に行うことができるので、低コスト化を図れる。
【0133】
このヘッドでは、加圧液室6の密度を300dpiとし、インク供給路を持たない構成(前記ヘッドの第3実施形態の構成)としている。これにより、加圧液室6の密度を300dpiとし、普通紙への高速高画質記録を行う際に必要な5cP以上の高粘度液体を使用する場合においても、高密度で加圧液室を形成し、なおかつ高周波で液体吐出を行ってもノズルへの液体供給量が不足せず、安定な液滴吐出が可能となる。なお、この製造方法は、第1実施形態に係るヘッドの製造方法にも適用できる。
【0134】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法に係る第3実施形態の製造工程について図19及び図20を参照して説明する。
先ず、図19(a)に示すように、厚さ400μmで面方位(110)のシリコン基板(シリコンウエハを用いる。)121を用意し、このシリコン基板121両表面に厚さ0.15μmのシリコン酸化膜122a、122bをLP−CVDで形成した。
【0135】
なお、使用するウエハの種類は両面研磨ウエハ、両面未研磨ウエハ、片面未研磨ウエハのいずれのウエハであっても良く、また比抵抗も揃っている必要はなく、例えばここでは、比抵抗0.1−100Ωcmのウエハを使用している。
【0136】
次いで、同図(b)に示すように、シリコン基板121のノズル板接合面側のシリコン窒化膜122a表面に、ノズル連通路5を形成するための開口と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)45及び擬似液室46を形成するための各開口とを有するレジストパターン124を形成した。
【0137】
そして、ドライエッチングを行って、シリコン窒化膜122aに、ノズル連通路5を形成するための開口125と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部45を形成するための開口126及び擬似液室46を形成するための開口128とをパターニングする。なお、擬似液室26を形成するための開口128は加圧液室6とほぼ同じ平面形状に形成した。
【0138】
その後、同図(c)に示すように、シリコン基板121の振動板接合面側のシリコン窒化膜122b表面に、加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口と振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口とを有するレジストパターン132を形成し、ドライエッチングを行ってシリコン窒化膜122bに加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口133と振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部47を形成するための開口134とをパターニングする。
【0139】
その後、同図(d)に示すように、レジストでシリコン窒化膜122aの開口125、126、128を埋め込み、ノズル連通路5を形成するための開口135を有するレジストパターン136を形成した。このときのレジストの膜厚は8μmとした。
【0140】
そして、図20(a)に示すように、レジストパターン136をマスクとしてICPドライエッチャーを使用して、シリコン基板121にノズル連通路5を形成するための掘り込み137を形成した。ここでは、ICPエッチングはノズル板接合面側から行っている。
【0141】
次いで、同図(b)に示すように、レジストパターン136を除去して、水酸化カリウム水溶液によりシリコン基板121の異方性エッチングを行ってノズル連通路5となる貫通孔145、加圧液室6となる凹部146、インク供給路7となる凹部147、凹部45、47、擬似液室46となる凹部を形成した。ここで、加圧液室部形成時のシリコンの異方性エッチングは、水酸化カリウム水溶液として溶液濃度30%のものを用いて、処理温度85℃で行った。
【0142】
そして、同図(d)に示すように、シリコン窒化膜122a、122bを除去し、その後図示しないが、耐インク接液膜(耐液性薄膜)10としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成して、インクジェット用流路板1を得た。
【0143】
このように、この製造工程においては、シリコン窒化膜をマスクとして異方性ウェットエッチングを行ったので、マスク膜厚を薄くすることが可能となり、エッチング時に生じるCDロスを抑えることができ、寸法制御性を向上することが可能となる。また、マスク作製工程が非常に簡単かつ短工期のプロセスであり、低コスト化を図れる。その他の作用効果は前記第1実施形態に係る製造方法と同様であり、また第3実施形態に係るヘッドの製造方法にも適用できる。
【0144】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法に係る第4実施形態の製造工程について図21及び図22を参照して説明する。
先ず、図21(a)に示すように、厚さ400μmで面方位(110)のシリコン基板(シリコンウエハを用いる。)161を用意し、このシリコン基板161両表面に厚さ1.0μmのシリコン酸化膜162a、162b及び厚さ0.15μmのシリコン窒化膜163a、163を形成した。なお、窒化膜163a、163bはLP−CVDで形成した。
【0145】
なお、使用するウエハの種類は両面研磨ウエハ、両面未研磨ウエハ、片面未研磨ウエハのいずれのウエハであっても良く、また比抵抗も揃っている必要はなく、例えばここでは、比抵抗0.1−100Ωcmのウエハを使用している。
【0146】
次いで、同図(b)に示すように、シリコン基板161のノズル板接合面側のシリコン窒化膜163a表面に、ノズル連通路5、サブ供給路56及び連通路57を形成するための開口と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)45を形成するための各開口とを有するレジストパターン164aを形成した。
【0147】
そして、ドライエッチングを行って、シリコン窒化膜163aに、ノズル連通路5、サブ供給路56及び連通路57を形成するための開口165と、ノズル板3との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部45を形成するための開口166をパターニングする。
【0148】
その後、同図(c)に示すように、シリコン基板161のノズル板接合面側のシリコン酸化膜162a及びシリコン窒化膜163a表面に、ノズル連通路5及び連通路57を形成するための開口を有するレジストパターン164cを形成した。そして、ドライエッチングを行って、シリコン酸化膜162aにノズル連通路5を形成するための開口(以下では両開口を単に「開口65」と表記する。)及び連通路57を形成するための開口168をパターニングする。
【0149】
次に、同図(d)に示すように、シリコン基板161の振動板接合面側のシリコン窒化膜163b表面に、加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口と、振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口とを有するレジストパターン164bを形成した。
【0150】
そして、ドライエッチングを行って、シリコン窒化膜163aに、加圧液室6及びインク供給路7を形成するための開口170と、振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口171をパターニングする。
【0151】
次いで、同図(e)に示すように、シリコン基板161の振動板接合面側のシリコン酸化膜162b及びシリコン窒化膜163b表面に、ノズル連通路5及び連通路57を形成するための開口を有するレジストパターン164dを形成した。そして、ドライエッチングを行って、シリコン酸化膜162bにノズル連通路5を形成するための開口172及び連通路57を形成するための開口173をパターニングする。
【0152】
その後、図22(a)に示すように、レジストでシリコン窒化膜163a、シリコン酸化膜162aの表面を被覆し、ノズル連通路5及び連通路57を形成するための開口を有するICPドライエッチャーによりシリコンエッチングのためのマスク174を形成した。このときのレジストの膜厚は8μmとした。
【0153】
そして、ICPドライエッチャーを使用して、シリコン基板161にノズル連通路5を形成するための深堀175及び連通路57を形成するための深堀176を形成した。なお、ICPエッチングはノズル板接合面側から行っているが、振動板接合面側から行うこともできる。
【0154】
次いで、同図(b)に示すように、マスク174を除去して、水酸化カリウム水溶液によりシリコン基板161の異方性エッチングを行ってノズル連通路5となる連通管177、連通路57となる連通管178を貫通形成した。そして、マスク174を除去した。
【0155】
その後、同図(c)に示すように、ウエットエッチングにより、ノズル板との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)45を形成するための開口166及びサブ供給路56に対応するシリコン酸化膜162aを除去するとともに、加圧液室6及びインク供給路7、振動板2との接合時の余剰接着剤を流れ込ませる凹部(肉抜き部)47を形成するための開口171に対応するシリコン酸化膜162bを除去する。
【0156】
そして、同図(d)に示すように、再度水酸化カリウム水溶液により、シリコン基板161の異方性エッチングを行って、シリコン基板161に、加圧液室6となる凹部181、この凹部181に連続し、インク供給路7となる凹部182(仮想線で図示した部分)、サブ連通路56となる凹部183、凹部45、47となる各凹部を形成した。ここで、加圧液室部形成時のシリコンの異方性エッチングは、水酸化カリウム水溶液として溶液濃度30%のものを用いて、処理温度85℃で行った。
【0157】
この場合、加圧液室6となる凹部181とインク供給路7となる凹部182及びサブ供給路56となる凹部183の深さは一度の異方性エッチングで凹部を形成するので略等しい深さとなっている。
【0158】
そして、同図(e)に示すように、シリコン窒化膜163a、163b及びシリコン酸化膜162a、162bを除去し、その後図示しないが、耐インク接液膜(耐液性薄膜)10としてシリコン酸化膜を1μmの厚さで形成して、インクジェット用流路板1を得た。
【0159】
このように、ノズル接合面と振動板接合面の両面にノズルへの液体供給路が形成されているため、ノズル、加圧液室の密度が高くなった際に高粘度液体を吐出する場合においても、加圧液室の高さを高くする必要がなく、クロストークに強い構造の液滴吐出ヘッドが得られる。なお、その他の作用効果は前記第1実施形態に係る製造方法と同様である。
【0160】
上記本発明に係る液滴吐出ヘッドの実施形態においては、圧力発生手段として積層型圧電素子を用いた例で説明しているがこれに限るものではなく、例えば図23ないし図25に示すように、その他の圧力発生手段を用いるヘッドにも本発明を適用することができる。
【0161】
すなわち、図23に示す液滴吐出ヘッドは、振動板2に薄膜圧電素子191を用いたヘッドである。また、図24に示す液滴吐出ヘッドは、振動板2に所定のギャップを置いて対向する電極192を設けた電極基板193を備え、振動板2と電極192との間で静電力を発生させることで振動板2を電極192側に変形させる静電型ヘッドである。さらに、図25に示す液滴吐出ヘッドは、振動板2に代えて電極基板194を接合し、この電極基板194の加圧液室6側にインクを加熱して膜沸騰で気泡を発生させる発熱抵抗体195を配設したサーマル型ヘッドである。
【0162】
次に、本発明に係るインクジェットヘッドとインクタンクとを一体化したインクカートリッジについて図26を参照して説明する。
このインクカートリッジ(インクタンク一体型ヘッド)200は、ノズル孔201等を有する本発明に係るインクジェットヘッド202と、このインクジェットヘッド202に対してインクを供給するインクタンク203とを一体化したものである。
【0163】
このようにインクタンク一体型のヘッドの場合、ヘッドの信頼性はただちに全体の信頼性につながるので、上述したように高粘度液体を高速で安定して吐出することができるヘッドを一体化することで、普通紙に対する高速高画質記録が可能なインクカートリッジが得られる。
【0164】
次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドからなるインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置の一例について図27及び図28を参照して説明する。なお、図27は同記録装置の斜視説明図、図28は同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0165】
このインクジェット記録装置は、記録装置本体211の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部212等を収納し、装置本体211の下方部には前方側から多数枚の用紙213を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)214を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙213を手差しで給紙するための手差しトレイ215を開倒することができ、給紙カセット214或いは手差しトレイ215から給送される用紙213を取り込み、印字機構部212によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ216に排紙する。
【0166】
印字機構部212は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド221と従ガイドロッド222とでキャリッジ223を主走査方向(図28で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ223にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなるヘッド224を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ223にはヘッド224に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ225を交換可能に装着している。なお、上述したインクタンク一体型ヘッドである本発明に係るインクカートリッジを搭載するようにすることもできる。
【0167】
インクカートリッジ225は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
【0168】
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド224を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0169】
ここで、キャリッジ223は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド221に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド222に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ223を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ227で回転駆動される駆動プーリ228と従動プーリ229との間にタイミングベルト230を張装し、このタイミングベルト230をキャリッジ223に固定しており、主走査モーター227の正逆回転によりキャリッジ223が往復駆動される。
【0170】
一方、給紙カセット214にセットした用紙213をヘッド224の下方側に搬送するために、給紙カセット214から用紙213を分離給装する給紙ローラ231及びフリクションパッド232と、用紙213を案内するガイド部材233と、給紙された用紙213を反転させて搬送する搬送ローラ234と、この搬送ローラ234の周面に押し付けられる搬送コロ235及び搬送ローラ234からの用紙213の送り出し角度を規定する先端コロ236とを設けている。搬送ローラ234は副走査モータ237によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0171】
そして、キャリッジ223の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ234から送り出された用紙213を記録ヘッド224の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材239を設けている。この印写受け部材239の用紙搬送方向下流側には、用紙213を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ241、拍車242を設け、さらに用紙213を排紙トレイ216に送り出す排紙ローラ243及び拍車244と、排紙経路を形成するガイド部材245,246とを配設している。
【0172】
記録時には、キャリッジ223を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド224を駆動することにより、停止している用紙213にインクを吐出して1行分を記録し、用紙213を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙213の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙213を排紙する。
【0173】
また、キャリッジ223の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド224の吐出不良を回復するための回復装置247を配置している。回復装置247はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ223は印字待機中にはこの回復装置247側に移動されてキャッピング手段でヘッド224をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0174】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド224の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0175】
このように、このインクジェット記録装置においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭載しているので、高粘度インクを用いた普通紙高画質記録を高速で行うことができる記録装置が得られる。
【0176】
なお、上記実施形態においては、本発明に係る液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適用したが、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッドなどにも適用することできる。
【0177】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、吐出する液体の粘度が5cP(25℃)以上であり、加圧液室を形成する流路形成部材がシリコンから形成されている構成としたので、高粘度液体を用いた普通紙に対する高速高品質記録を行うことが可能になる。
【0178】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法によれば、液室形成部材をシリコンで形成した本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、液室形成部材はドライエッチングによる深堀又はドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用して形成する構成としたので、低コストで信頼性の高いヘッドを得ることができる。
【0179】
本発明に係るインクカートリッジによれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとインクタンクを一体化したので、高粘度インクを用いて普通紙に対する高速高画質記録が可能になる。
【0180】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、インクジェットヘッドが本発明に係る液滴吐出ヘッド又はインクカートリッジである構成としたので、高粘度インクを用いて普通紙に対して高速で高画質記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図3】同ヘッドの液室短手方向に沿う要部断面説明図
【図4】同ヘッドの要部平面説明図
【図5】同ヘッドの流路形成部材の断面説明図
【図6】同流路形成部材のノズル板接合面側の平面説明図
【図7】同流路形成部材の振動板接合面側の平面説明図
【図8】同ヘッドの流路の総流体抵抗値と噴射不良率の測定結果の一例を示す説明図
【図9】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図10】同ヘッドの流路形成部材の断面説明図
【図11】同流路形成部材のノズル板接合面側の平面説明図
【図12】同流路形成部材の振動板接合面側の平面説明図
【図13】同第3実施形態に係るインクジェットヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図14】同ヘッドの流路形成部材の振動板接合面側の平面説明図
【図15】本発明に係る製造方法の第1実施形態の製造工程を説明する説明図
【図16】図15に続く工程を説明する説明図
【図17】本発明に係る製造方法の第2実施形態の製造工程を説明する説明図
【図18】図17に続く工程を説明する説明図
【図19】本発明に係る製造方法の第3実施形態の製造工程を説明する説明図
【図20】図19に続く工程を説明する説明図
【図21】本発明に係る製造方法の第4実施形態の製造工程を説明する説明図
【図22】図21に続く工程を説明する説明図
【図23】本発明に係る液滴吐出ヘッドの他の例を示すヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図
【図24】本発明に係る液滴吐出ヘッドの更に他の例を示すヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図
【図25】本発明に係る液滴吐出ヘッドの更にまた他の例を示すヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図
【図26】本発明に係るインクカートリッジの説明に供する斜視説明図
【図27】本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図
【図28】同記録装置の機構部の側面説明図
【符号の説明】
1…流路板、2…振動板、3…ノズル板、4…ノズル、5…ノズル連通路(連通管)、6…加圧液室、7…インク供給路、8…共通液室、10…耐液性薄膜、12…圧電素子、13…ベース基板、61…シリコン基板、62a…シリコン酸化膜、63b…シリコン窒化膜、200…インクカートリッジ、214…記録ヘッド。

Claims (16)

  1. 液滴を吐出するノズルが連通する加圧液室と、この加圧液室の液体を加圧する圧力を発生するための圧力発生手段とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、前記液体の粘度が5cP(25℃)以上であり、前記加圧液室を形成する流路形成部材がシリコンから形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記流路形成部材が面方位(110)のシリコン基板から形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記ノズル及び加圧液室の密度が100dpi以上であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室とこの加圧液室に液体を供給するための供給液室とは、前記加圧液室に比して小さな断面積を持つ液体供給路を介して連通し、前記液体供給路、加圧液室及びノズルを含む液流路の総流体抵抗値が、液体の粘度1cPに対して5×1012mPa・sec以下であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室とこの加圧液室に液体を供給するための供給液室とは、前記加圧液室に比して小さな断面積を持つ液体供給路を介して連通し、前記ノズルの流体抵抗値が前記液体供給路の流体抵抗値よりも大きいことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記ノズルの密度が300dpi以上であり、かつ、前記加圧液室とこの加圧液室に液体を供給するための供給液室との間に前記加圧液室に比して小さな断面積の流路を持たないことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記流路形成部材には前記ノズルを形成するノズル形成部材との接合面に前記加圧液室に似た形状の擬似液室が形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記流路形成部材には前記加圧液室が形成されている面とは逆側の面に液体を前記ノズルへ供給する液体供給路が形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記加圧液室の壁面には酸化膜又は窒化チタン膜が形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記液体は、少なくとも、顔料、水溶性有機溶剤、炭素数8以上のポリオール又はグリコールエーテル及び水を含むインクであることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記流路形成部材はシリコンのドライエッチングによる深堀で形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記流路形成部材はシリコンのドライエッチングによる深堀と異方性ウェットエッチングとを併用して形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  13. 請求項13に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法において、前記異方性ウエットエッチングはシリコン酸化膜/シリコン窒化膜の積層膜、又はシリコン酸化膜、若しくはシリコン窒化膜をマスクとして行うことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  14. インク滴を吐出するインクジェットヘッドとこのインクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化したインクカートリッジにおいて、前記インクジェットヘッドが請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクカートリッジ。
  15. インク滴を吐出させるインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  16. インク滴を吐出させるインクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化したインクカートリッジを備えたインクジェット記録装置において、前記インクカートリッジが請求項14に記載のインクカートリッジであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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