JP4880974B2 - 記録用インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
また、印字品質の高画質化、及び高速印字を達成するため、最近では、インクを小滴化する傾向にあり、そのためノズル径が小径化される方向にある。更に、画像の定着性を確保するため、インク中に樹脂成分を添加することが数多く検討されている。しかし、これらに伴って、インク中の固形分濃度が高くなるため、ノズル径が小径化されたプリンタでの吐出安定性等の信頼性を確保することは極めて困難となっている。
また、特許文献2では、インク中の揮発成分を蒸発した後の残留分が液体であり、かつその粘度が初期粘度の10倍以内であるインクが提案されている。しかし、この提案のインクは染料インクであり、信頼性は高いものの、普通紙での画質が劣るものである。
また、特許文献3では、60℃環境下で水分蒸発させたときの、インク粘度が蒸発前の粘度の600倍以下であるインクが提案されている。しかし、この提案のインクも染料インクであり、水溶性高分子を添加することによって、インクの信頼性と画像品質の耐久性とのバランスをとっているが、耐水性に問題がある。
また、特許文献4には、高画質を確保するためには粘度の高いインク(5〜15mPa・s)が必要であり、信頼性を確保するために初期の蒸発速度を調整し、かつ粘度を調整するための粘度調整剤として特定の化合物を添加したインクが提案されている。しかし、この提案では、用いる顔料の粒径の安定性については何ら記載がなく、24時間放置後の信頼性を有するとされているが、インクを吐出するヘッドの構成とノズル径の大きさによっては、長期放置された場合には、信頼性に劣るインク処方となる。
<1> 少なくとも水、着色剤、湿潤剤、及び樹脂エマルジョンを含有する記録用インクであって、
前記記録用インクは、下記数式1で表される比粘度変化率が、20時間未満では100以下であり、かつ20〜40時間では100を超える点を有し、かつ前記記録用インクの初期粘度が、6.0mPa・s以上であることを特徴とする記録用インクである。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。
<2> 着色剤が、顔料を含む水分散性着色剤である前記<1>に記載の記録用インクである。
<3> 水分散性着色剤が、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料である前記<2>に記載の記録用インクである。
<4> 水分散性着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンである前記<2>に記載の記録用インクである。
<5> 水分散性着色剤が、界面活性剤及び重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物のいずれかにより分散された顔料である前記<2>に記載の記録用インクである。
<6> 樹脂エマルジョンが、アクリルシリコーンエマルジョンである前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録用インクである。
<7> 記録用インク中の水分量が35質量%以上であり、かつ該記録用インク中の着色剤と樹脂エマルジョンの合計含有量が、固形分で10〜30質量%である前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録用インクである。
<8> 湿潤剤が少なくとも1種の多価アルコールを含有し、かつ該多価アルコールの少なくとも1種は、温度20℃、60%RHの環境下で、平衡水分量が25質量%以上である前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<9> 多価アルコールの1つがグリセリンであり、かつ該グリセリンの含有量が、湿潤剤全体の20〜80質量%である前記<8>に記載の記録用インクである。
<10> 湿潤剤の記録用インクにおける合計含有量が10〜40質量%である前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクである。
<11> 更に、界面活性剤及び浸透剤を含有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の記録用インクである。
<12> 界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種である前記<11>に記載の記録用インクである。
<13> 浸透剤は、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%のポリオール化合物である前記<11>から<12>のいずれかに記載の記録用インクである。
<14> 更にアミノプロパンジオール化合物を含有し、かつ該アミノプロパンジオール化合物が2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールである前記<1>から<13>のいずれかに記載の記録用インクである。
<15> シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクから選択される少なくとも1種である前記<1>から<14>のいずれかに記載の記録用インクである。
<16> 前記<1>から<15>のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<17> 前記<1>から<15>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<18> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<17>に記載のインクジェット記録装置である。
<19> インク飛翔手段が、ノズル径35μm以下のノズルを有し、かつ印字速度が8ppm以上である前記<17>から<18>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<20> 複数の加圧液室と、該加圧液室に連通する孔径35μm以下のノズル及びインク供給路と、振動板と、該振動板を変位させる電気機械変換手段とを有する記録ヘッドを備え、かつ複数のインク滴を連続に吐出させて記録媒体に着弾する前にマージさせて大きなインク滴を形成するインクジェット記録装置であって、
前記インク滴を形成するインクが、前記<1>から<15>のいずれかに記載の記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置である。
<21> 印写中のノズル近傍の記録用インクにおける、下記数式1で表される比粘度変化率が100を超える前に、ノズル孔内部の記録用インクを排出させるインク排出手段を有する前記<17>から<20>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。
<22> インク排出手段が、非印字領域に記録用インクを吐出させる手段である前記<21>に記載のインクジェット記録装置である。
<23> 排出される記録用インク量が、1ノズルにつき1分間に、2,000〜30,000plである前記<21>から<22>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<24> 排出される記録用インク量が、温湿度センサの値によって可変である前記<21>から<23>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<25> 排出される記録用インク量が、記録用インクの比粘度変化率によって可変である前記<21>から<23>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<26> 前記<1>から<15>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<27> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<26>に記載のインクジェット記録方法である。
<28> 記録媒体上に前記<1>から<15>のいずれかに記載の記録用インクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
前記記録用インクは、下記数式1で表される比粘度変化率が、20時間未満では100以下であり、かつ20〜40時間では100を超える点を有し、かつ前記記録用インクの初期粘度が、6.0mPa・s以上である。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。
本発明の記録用インクによれば、従来のようにインクの水分蒸発量に対する粘度上昇及び粒径変化を制御するだけでなく、更にインクの蒸発速度も加味した比粘度変化率を制御することによって、インクがノズルより吐出されてから紙に着弾する前、及び着弾時にインクの増粘が起こることになり、普通紙に対する画像品質及び高速印字対応に優れ、かつ比粘度変化率が急激に上がる点においてもインクの体積平均粒子径の変化を小さく抑えることにより、短期及び長期における保存安定性及び吐出安定性が良好となる。
本発明の記録用インクは、少なくとも水、着色剤、湿潤剤、及び樹脂エマルジョンを含有してなり、好ましくは界面活性剤、浸透剤、アミノプロパンジオール化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。
以下、それぞれの成分について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
前記着色剤としては、水分散性であり、顔料を含む水分散性着色剤が好適である。
前記水分散性着色剤としては、(1)表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、(2)ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン、(3)界面活性剤及び重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物のいずれかにより分散された顔料、などが挙げられる。
前記(1)は、一般的に、自己分散顔料と言われ、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたものである。
前記(2)は、一般的に、カプセル顔料と言われ、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆してやり、顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散するようにしたものである。
前記(3)は、一般的に、界面活性剤分散顔料、樹脂分散顔料と呼ばれ、界面活性能を持つ化合物(ここでは界面活性剤や水溶性高分子化合物)により、顔料と水との界面を取り持つことで、顔料の分散を行っているものである。前記(2)との違いは、樹脂が水に溶けているか否かの点であり、顔料分散体の耐溶剤性や発色性に影響を与えている。
また、この形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。またこの自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
前記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマーが特に好ましい。
前記色材を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
このような界面活性剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、日本油脂(株)、日光ケミカルズ(株)、日本エマルジョン(株)、日本触媒(株)、第一工業製薬(株)、東邦化学(株)、花王(株)、アデカ(株)、ライオン(株)、青木油脂(株)、三洋化成工業(株)などから容易に入手できる。
これら水溶性高分子化合物の重量平均分子量は3,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000更に好ましい。
該市販品としては、例えば、ジョンソンポリマー(株)、ナガセケムテックス(株)、東亞合成(株)、三菱レーヨン(株)、住友精化(株)、JSR(株)、昭和高分子(株)、荒川化学工業(株)、日本触媒(株)、日本合成化学(株)、(株)クラレなどから容易に入手できる。
前記分散剤の添加量は、前記顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加することができ、両者の混合質量比(顔料:分散剤)は1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:3の範囲がより好ましい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
その他顔料(例えば、カーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えば、カーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであってもよい。
前記酸性染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、食用染料として知られているものなどが挙げられ、例えば、C.I.アシッド・イエロー17、23、42、44、79、142;C.I.アシッド・レッド1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289;C.I.アシッド・ブルー9、29、45、92、249;C.I.アシッド・ブラック1、2、7、24、26、94;C.I.フード・イエロー2、3、4;C.I.フード・レッド7、9、14;C.I.フード・ブラック1、2、などが挙げられる。
これら染料の中でも、酸性染料、直接性染料が特に好ましい。
前記記録用インク中には、画像定着性向上のために樹脂エマルジョンを添加する。ここで、前記樹脂エマルジョンとは、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有してもよい。分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は、一般的には10〜70質量%程度が好ましい。
前記樹脂微粒子の粒径は、インクジェット記録装置に使用することを考慮すると、体積平均粒径で10〜1,000nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
前記分散相の樹脂微粒子成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられ、これらの中でも、定着性が良好である点からアクリルシリコーン樹脂が特に好ましい。
該市販品としては、例えば、例えば、マイクロジェルE−100、E−2002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業社製)、ジョンクリル775(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー社製)、SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学社製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース社製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリル−シリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素社製)、ペスレジンA210(ポリエステル樹脂エマルジョン、高松油脂社製)、などが挙げられる。
また、前記記録用インク中の前記着色剤と前記樹脂エマルジョンの合計含有量は、固形分で10〜30質量%が好ましく、12〜18質量%がより好ましい。前記合計含有量が10質量%未満であると、画像濃度が低くなり、また、定着性も不十分となることがあり、30質量%を超えると、蒸発時の粘度上昇が大きくなりすぎ、目詰まりし易くなることがある。
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、水素結合しやすく、単独では粘度が高いものであり、かつ平衡水分量が高く、水分の存在下では粘度が低下するものであれば目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリコールなどが挙げられる。
前記湿潤剤としてのグリセリンの含有量は、湿潤剤全体の20〜80質量%であることが好ましい。
前記グリセリンと併用される湿潤剤としては、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールが特に好ましい。前記1,3−ブタンジオール及び3−メチル−1,3−ブタンジオールは、グリセリン同様に平衡水分量が高く、信頼性が高いうえに、インクが紙に着弾した際の画素の広がりを均一にし、更には着色剤を紙表面にとどめる効果も高い。グリセリンは信頼性向上効果が高いが、多量に添加すると画質が悪くなり、また、水分蒸発後の粘度上昇が大きくなりすぎて、吐出安定性も悪くなる場合があるため、これらの混合質量比(ブタンジオール:グリセリン)は1:4〜4:1が好ましく、1:3〜3:1がより好ましく、1:1〜3:1が更に好ましい。
前記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系界面活性剤が好適である。該アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、例えば、エアープロダクツ社(米国)製のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシンなどが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は、起泡性が少なく、近年問題視されているフッ素化合物の生体蓄積性についても低く、安全性が高いので、特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
これらの中でも、下記構造式(1)〜(2)の少なくともいずれかで表される化合物が好適に挙げられる。
前記パーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、1〜3のものがより好ましく、例えば、−CnF2n−1(ただし、nは1〜10の整数を表す)などが挙げられる。該パーフルオロアルキル基としては、例えば、−CF3、−CF2CF3、−C3F7、−C4F9、などが挙げられ、これらの中でも、−CF3、−CF2CF3が特に好ましい。
m、n、及びpは、整数を表し、nは1〜4、mは6〜25、pは1〜4が好ましい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業社製)、ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもデュポン社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられ、これらの中でも、信頼性と発色性の向上に関して良好な点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製)が特に好ましい。
このような界面活性剤としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、ビックケミー(株)、信越シリコーン(株)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)などから容易に入手できる。
浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%のポリオール化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。このようなポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが特に好ましい。
その他の併用できる浸透剤としては、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類;エタノール等の低級アルコール類、などが挙げられる。
前記アミノプロパンジオール化合物は、水溶性の有機塩基性化合物であり、pH調整剤としても働くものであり、顔料の分散安定性が向上し、吐出安定性等の信頼性が確保される点から、アミノプロパンジオール誘導体が好ましい。
前記アミノプロパンジオール誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ、これらの中でも、インク流路に使用されている部材への接液信頼性が高い点から、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイドなどが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、などが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)などが挙げられる。
前記記録用インクにおける、25℃、10〜100msecでの動的な表面張力は、20〜35mN/mが好ましく、25〜33mN/mがより好ましい。
前記記録用インクにおける、25℃、1000msec付近の静的な表面張力は20〜35mN/mが好ましく、22〜28mN/mがより好ましい。
前記記録用インクのpHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段、などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程、などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、前記本発明の記録用インクに、刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録する工程である。
本発明においては、該インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、前記ヘッドはインク吐出面に撥水加工処理を施したノズルプレートを有することが好ましく、該撥水加工処理が、PTFE−Ni共析加工、フッ素樹脂加工、及びシリコーン樹脂加工から選択されるいずれかが好ましい。
また、前記インクジェットノズルのノズル径は、35μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、15〜25μmが更に好ましい。また、印字速度は、8ppm以上であるとよい。これにより、より安定した高品位な画像記録を行うことができる。
また、前記インクジェットヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルト表面を帯電させて記録媒体を保持しながら搬送する搬送手段を有することが好ましい。この場合、帯電ローラに±1.2kV〜±2.6kVのACバイアスを加えて搬送ベルトを帯電させることが特に好ましい。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。
また、本発明のインクジェット記録装置では、排出される記録用インク量を、記録用インクの比粘度変化率によって可変とすることが好ましく、例えば、温湿度センサで環境をみて、更にヘッドごと(色ごと)にインク排出の間隔及び1回の排出滴数を変えることによって、ノズル孔内部から排出させるインク量を変化させることができる。
また、排出された記録用インクを受けるインク受けを設ける一例としては、記録媒体を搬送するベルトの外側に、記録装置の構造上許容される範囲で設けることができる。このようにして、ある一定スキャン回数を超えた際(あるいは一定時間毎)に、非印字領域に設けられたインク受けに対し、一定量のインクを排出させることで、より吐出安定性の確保されたインクジェット記録装置の提供が可能となる。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を記録用インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しない記録用インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部105に装填された本発明のインクカートリッジ201から、本発明の前記記録用インクが供給されて補充される。
搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配設されている。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内の記録用インクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量の記録用インクがサブタンク135に補給される。
図6は、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの要素拡大図、図7は、同ヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、インク供給口(不図示)と、共通液室1bとなる彫り込みを形成したフレーム10と、流体抵抗部2aと、加圧液室2bとなる彫り込みと、ノズル3aに連通する連通口2cを形成した流路板20と、ノズル3aを形成するノズル板と、凸部6a、ダイヤフラム部6b及びインク流入口6cを有する振動板60と、該振動板60に接着層70を介して接合された積層圧電素子50と、該積層圧電素子50を固定しているベース40と、を備えている。
積層圧電素子50は、厚み10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚みが数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層している。この内部電極層は両端で外部電極に接続する。
積層圧電素子50はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部5f及び支持部5g(非駆動部)として使用する。外部電極の外側はハーフカットのダイシング加工により分割されるように、切り欠き等の加工によって長さを制限しており、これらは複数の個別電極となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており共通電極となる。
駆動部の個別電極にはFPC8が半田接合されている。また、共通電極は積層圧電素子50の端部に電極層を設けて回し込んでFPC8のGnd電極に接合している。FPC8にはドライバIC(不図示)が実装されている。これにより、駆動部5fへの駆動電圧印加を制御している。
この振動板60の島状凸部6aと、積層圧電素子50の駆動部5fと、振動板50と、フレーム10との結合は、ギャップ材を含有する接着層70をパターニングして接着している。
エッチングで残された部分が加圧液室2bの隔壁2dとなる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部2aとした。
ノズルプレート30は、金属材料、例えば、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル3aを多数形成している。このノズル3aの内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成している。また、このノズル3aの径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmである。また、各列のノズルピッチは150dpiとした。
このノズルプレート30のインク吐出面(ノズル表面側)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層3bを設けている。PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えば、フッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質が得られるようにしている。また、これらの中でも、例えば、フッ素系樹脂としては、色々な材料が知られているが、変性パーフルオロポリオキセタン(ダイキン工業株式会社製、商品名:オプツールDSX)を厚みが30〜100Åとなるように蒸着することで良好な撥水性を得ることができる。
インク供給口及び共通液室1bとなる彫り込みを形成するフレーム10は、樹脂成形により作製される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室2b内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室2b内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室1bに流入し、共通液室1bからインク流入口6cを経て流体抵抗部2aを通り、加圧液室2b内に充填される。
流体抵抗部2aは、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部2aを適宜に選択することにより、残留圧力の減衰とリフィル時間とのバランスが取れ、次のインク滴の吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くすることができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、記録媒体上に本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
−ブラックインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、実施例1のブラックインクを作製した。
<インク組成>
・KM−9036(東洋インキ製造株式会社製、自己分散型カーボンブラック)・・・40質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・10質量%
・湿潤剤としての3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・15質量%
・湿潤剤としての2−ピロリドン・・・2質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・下記構造式で表されるフッ素系界面活性剤・・・1質量%
・アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン(東洋インキ製造株式会社製、ナノクリルSBCX−2821)・・・15質量%
・シリコーン消泡剤(信越化学工業株式会社製、KS508)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
<イエローインクの作製>
−ポリマー溶液Aの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。次に、65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
得られたポリマー溶液Aを28g、C.I.ピグメントイエロー74を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを充分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、イエローポリマー微粒子の水分散体を得た。
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、実施例2のイエローインクを作製した。
・上記調製したイエローポリマー微粒子分散体・・・40質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・8質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・20質量%
・浸透剤としての2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2質量%
・下記構造式で表されるフッ素系界面活性剤・・・1質量%
・アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン(東洋インキ製造株式会社製、ナノクリルSBCX−2821)・・・10質量%
・シリコーン消泡剤(信越化学工業株式会社製、KS508)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
<マゼンタインクの作製>
−顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
実施例2において、顔料としてのC.I.ピグメントイエロー74を、C.I.ピグメントレッド122に変えた以外は、実施例1と同様にして、マゼンタポリマー微粒子の水分散体を調製した。
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、実施例3のマゼンタインクを作製した。
・上記調製したマゼンタポリマー微粒子の分散体・・・50質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・10質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・18質量%
・浸透剤としての2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2質量%
・下記構造式で表されるフッ素系界面活性剤・・・1質量%
・アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン(東洋インキ製造株式会社製、ナノクリルSBCX−2821)・・・10質量%
・シリコーン消泡剤(KS508、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
<シアンインクの作製>
−顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
実施例2において、顔料としてのC.I.ピグメントイエロー74を、C.I.ピグメントブルー15:3に変えた以外は、実施例1と同様にして、シアンポリマー微粒子の水分散体を調製した。
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、実施例4のシアンインクを作製した。
・シアンポリマー微粒子分散体・・・40質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・8質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・20質量%
・浸透剤としての2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2質量%
・下記構造式で表されるフッ素系界面活性剤・・・1質量%
・アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン(東洋インキ製造株式会社製、ナノクリルSBCX−2821)・・・10質量%
・シリコーン消泡剤(KS508、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
Epson社製市販品(PXインク)のイエローインクカートリッジから抜き取ったインクを、比較例1のイエローインクとした。このインクの25℃での初期粘度は3.1mPa・sであった。
Epson社製市販品(PXインク)のマゼンタインクカートリッジから抜き取ったインクを、比較例2のマゼンタインクとした。このインクの25℃での初期粘度は3.5mPa・sであった。
Epson社製市販品(PXインク)のシアンインクカートリッジから抜き取ったインクを、比較例3のシアンインクとした。このインクの25℃での初期粘度は3.3mPa・s以下であった。
Epson社製市販品(PXインク)のブラックインクカートリッジから抜き取ったインクを、比較例4のブラックインクとした。このインクの25℃での初期粘度は3.4mPa・s以下であった。
<評価(1):蒸発時間に伴う比粘度変化率の測定>
実施例1〜4の各インク及び比較例1〜4の各インクの一定量を、25℃、50%RHの環境下で放置し、一定時間放置後のインク質量変化を測定し、その時点でのインクの粘度(25℃)を測定した。そして、下記数式1から比粘度変化率を求めた。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。
前記インクの粘度の測定は、東機産業株式会社製の粘度計RL−500を用いて行った。経過時間と比粘度変化率との関係(25℃)を図8に示す。
また、実施例1のインクの初期粘度は、25℃で、8.3mPa・s、実施例2のインクの初期粘度は、25℃で、8.0mPa・s、実施例3のインクの初期粘度は、25℃で、8.2mPa・s、実施例4のインクの初期粘度は、25℃で、8.1mPa・sであり、いずれも6mPa・sを超えていた。
−インクセットの調製及び評価−
次に、実施例1〜4の各インクを組み合わせて実施例5のインクセットを調製した。また、比較例1〜4のインクを組み合わせて比較例5のインクセットを調製した。これら実施例5及び比較例5のインクセットについて、以下のようにして、評価(2)を行った。結果を表1に示す。
実施例5のインクセットについては、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707)を使用した。また、比較例5のインクセットについては、インクジェットプリンタ(PM−4000PX、エプソン社製)を用い、カラー画像を印字速度が同じになるようなモードで印字した。なお、評価用紙は普通紙を使用した。
印字した画像の文字滲み、及び色境界滲みについて目視観察を行い、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:滲みがない
○:滲みがほとんどない
△:滲みが若干ある(実使用可能レベル)
×:滲みが明確にある(実使用不能レベル)
−インクセットの作製−
実施例5のインクセットにおける各インクから、それぞれフッ素系界面活性剤及び浸透剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール又は2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)を除いた以外は、実施例5のインクセットと同様にして、比較例6のインクセットを作製した。
−インクセットの作製−
実施例5のインクセットにおける各インクから、それぞれ浸透剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール又は2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)を除いた以外は、実施例5のインクセットと同様にして、実施例6のインクセットを作製した。
−インクセットの作製−
実施例5のインクセットにおける各インクから、それぞれフッ素系界面活性剤を除いた以外は、実施例5のインクセットと同様にして、実施例7のインクセットを作製した。
次に、比較例6、実施例6、及び実施例7のインクセットの各ブラックインクと、実施例5のインクセットにおけるブラックインク(実施例1)の動的表面張力を測定した。
ここで、動的表面張力は、クルス社製の動的表面張力測定装置BP−2を使用し、25℃で測定を行った。
浸透剤を添加していない実施例6のブラックインクでは、10〜100msecでの動的な表面張力が38mN/mであり、下がらなかった。1,000msec付近の静的な表面張力が25mN/mであった。
また、フッ素系界面活性剤を添加していない実施例7のブラックインクは、10〜100msecでの動的な表面張力が40mN/mであり、1,000msec付近の静的な表面張力が37mN/mであり、全体的に表面張力が高いままであった。
また、実施例5のブラックインクは、10〜100msecでの動的な表面張力が33mN/mであり、1,000msec付近の静的な表面張力が25mN/mであった。
また、比較例6のブラックインクは、10〜100msecでの動的な表面張力が47mN/mであり、1,000msec付近の静的な表面張力が46.5mN/mであった。
また、比較例6の各インクの初期粘度は、いずれも25℃で、6.5mPa・s近辺であり、実施例6の各インクの初期粘度は、いずれも25℃で、7.0mPa・s近辺であり、実施例7の各インクの初期粘度は、いずれも25℃で、7.5mPa・s近辺であった。
また、比較例6、実施例6、及び実施例7のインクセットの各インクセットについて、上記評価(2)を行った。結果を表2に示す。
−シアンインクの作製−
実施例4のシアンインクにおいて、湿潤剤としてのグリセリンを5質量%、及び1,3−ブタンジオールを23質量%とした以外は、実施例4と同様にして、比較例7のシアンインクを作製した。
−シアンインクの作製−
実施例4のシアンインクにおいて、湿潤剤としてのグリセリンを23質量%、及び1,3−ブタンジオールを5質量%とした以外は、実施例4と同様にして、比較例8のシアンインクを作製した。
また、これらのシアンインクについて、上記評価(2)の文字滲みの評価、及び下記の評価(3)の連続印字性の評価を行った。結果を表3に示す。
<評価(3):連続印字性評価>
上記評価(2)で使用したプリンタを使って、単色ベタのチャートを30枚連続印字させ、吐出不良が発生した時の印字枚数をカウントした。なお、50枚印字しても吐出不良が発生しなかった場合には50枚以上とした。
−イエローインクの作製−
実施例2のイエローインクにおいて、更に2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールを0.5質量%添加した以外は、実施例2と同様にして、実施例8のイエローインクを作製した。
−シアンインクの作製−
実施例4のシアンインクにおいて、更に2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールを0.5質量%添加した以外は、実施例4と同様にして、実施例9のシアンインクを作製した。
次に、実施例8〜9の各インクについて、上記評価(1)を行ったところ、いずれも20〜40時間の間に比粘度変化率が100を超える点を有していた。また、実施例8のインクの初期粘度は、25℃で、8.3mPa・s、実施例9のインクの初期粘度は、25℃で、8.5mPa・sであった。
また、実施例2、実施例4、実施例8、及び実施例9の各インクについて、上記評価(2)の文字滲みの評価、及び上記評価(3)の連続印字性評価を行った。結果を表4に示す。
−ブラックインクの作製−
実施例1のブラックインクにおいて、湿潤剤としての3−メチル−1,3−ブタンジオールを、1,3−ブタンジオールに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例10のブラックインクを作製した。
得られた実施例10のインクについて、上記評価(1)を行ったところ、20〜40時間の間に比粘度変化率が100を超える点を有し、実施例1よりも遅い時間であった。また、実施例10のインクの初期粘度は、25℃で、7.6mPa・sであった。
−シアンインクの作製−
実施例4のシアンインクにおいて、湿潤剤としての1,3−ブタンジオールを、3−メチル−1,3−ブタンジオールに変えた以外は、実施例4と同様にして、実施例11のシアンインクを作製した。
得られた実施例11のインクについて、上記評価(1)を行ったところ、20〜40時間の間に比粘度変化率が100を超える点を有し、実施例4よりも遅い時間であった。また、実施例11のインクの初期粘度は、25℃で、8.6mPa・sであった。
評価機として、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSiO G707、ノズル径26μm)を使用し、各色の吐出させるインクの量とタイミングが同じであるようなチャートを連続印字させた。その際、非印字領域に空吐出をさせる間隔(秒)と空吐出の滴数を変えて、連続500枚印字させた後の噴射曲がりを評価した。印字環境は15℃で30%RH、25℃で65%RHの2環境下で行った。
連続印字後の噴射曲がりについては、インクジェット用光沢フィルム上に全ノズル各20滴印字したものについて拡大写真をとり、目視で判断し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:噴射方向乱れがなく、ドットサイズも正常で1列に並んでいる
○:噴射方向乱れはなく、ドットもほぼ1列に並んでいるが、ドットサイズが若干小さい
△:若干噴射方向が乱れているが、乱れが第2発目の列に及んでいない
×:第1発目のドットが第2発目のドットのラインを超えている
××:第2滴目が吐出していない
−ブラックインクの作製−
実施例1において、アクリルシリコーン系樹脂エマルジョンを除いた以外は、実施例1と同様にして、比較例9のブラックインクを作製した。
−ブラックインクの作製−
実施例1において、アクリルシリコーン系樹脂エマルジョンを、ポリエステル樹脂エマルジョン(ペスレジンA210、高松油脂社製)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例12のブラックインクを作製した。
また、実施例1、比較例9、及び実施例12の各インクについて、以下のようにして、評価(5)定着性を行った。結果を表6に示す。
<評価(5):定着性評価>
上記評価(2)で使用したプリンタを用い、Type6200紙(株式会社NBSリコー製)に600dpiの解像度で印字を行った。1日間室温環境で乾燥させた後、綿布で印字部を一定の圧力で10回擦り、綿布に転写したインクの量を目視観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:綿布へのインクの転写は殆どみられない
△:若干綿布へのインクの転写が見られる
×:明らかにかなりの量のインクが綿布に転写している
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装
Claims (16)
- 少なくとも水、着色剤、湿潤剤、アクリルシリコーンエマルジョン、及びフッ素系界面活性剤を含有する記録用インクであって、
前記湿潤剤がグリセリンを含有し、該グリセリンの含有量が湿潤剤全体の20〜80質量%であり、更に1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び2−ピロリドンから選択される少なくとも1種を含有し、
前記記録用インクは、下記数式1で表される比粘度変化率が、20時間未満では100以下であり、かつ20〜40時間では100を超える点を有し、かつ前記記録用インクの初期粘度が、6.0mPa・s以上であることを特徴とする記録用インク。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。 - 記録用インク中の水分量が35質量%以上であり、かつ該記録用インク中の着色剤と樹脂エマルジョンの合計含有量が、固形分で10〜30質量%である請求項1に記載の記録用インク。
- 着色剤が、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料である請求項1から2のいずれかに記載の記録用インク。
- 着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンである請求項1から2のいずれかに記載の記録用インク。
- フッ素系界面活性剤が、下記構造式(1)で表される化合物である請求項1から4のいずれかに記載の記録用インク。
- 更に、浸透剤を含有する請求項1から5のいずれかに記載の記録用インク。
- 浸透剤が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである請求項6に記載の記録用インク。
- 請求項1から7のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1から7のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- インク飛翔手段が、ノズル径35μm以下のノズルを有し、かつ印字速度が8ppm以上である請求項9に記載のインクジェット記録装置。
- インク排出手段を有し、かつ該インク排出手段は、印写中のノズル近傍の記録用インクにおける、下記数式1で表される比粘度変化率が100を超える前に、ノズル孔内部の記録用インクを排出させる請求項9から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
<数式1>
比粘度変化率={〔(η1−η0)/η0〕×100}/T
ただし、前記数式1中、η0は、25℃、50%RHの環境下での蒸発試験を行う前の記録インクの初期粘度(mPa・s)を表す。η1は、前記蒸発試験を行ったときのT時間経過後の粘度(mPa・s)を表す。Tは、蒸発試験における経過時間を表す。 - インク排出手段が、非印字領域に記録用インクを吐出させる手段である請求項11に記載のインクジェット記録装置。
- インク排出手段から排出される記録用インク量が、1ノズルにつき1分間に、2,000〜30,000plである請求項11から12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- インク排出手段から排出される記録用インク量が、温湿度センサの値によって可変である請求項11から13のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- インク排出手段から排出される記録用インク量が、記録用インクの比粘度変化率によって可変である請求項11から13のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 請求項1から7のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
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