JP2007216664A - 記録用インク、記録用メディア、インクメディアセット、及びインク記録物、並びにインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有してなり、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/m2であるインクメディアセットである。
【選択図】なし
Description
しかし、これまで開発され、商品化されてきたインクジェット記録装置は、インクジェット用紙、インクジェット用トランスペアレンシーフィルムのようなインクジェット用に開発された専用の記録媒体を用いないと、(i)良好な定着性、(ii)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、にじみ(以下、「フェザリング」と称することがある)の生じない記録画像、(iii)光学的濃度(Optical Density:OD)の高い記録画像、を得ることが困難である。即ち、普通複写機用紙(PPC用紙)、レター用紙、ボンド用紙、葉書、便せん、封筒、レポート用紙等のオフィス、家庭などで一般的に使われているような紙、及び一般に市販されているようなトランスペアレンシーフィルム(OHPフィルム)等の記録媒体を用いると、前記(i)〜(iii)の特性を同時に満足させることは困難である。
例えば、(1)pH13程度の強アルカリ性インクを用いる方法(例えば、特許文献1〜3参照)、(2)常温では固体のワックス状のインクを加熱して溶融状態で吐出させることにより記録を行う方法(特許文献4及び5参照)、(3)非水溶性の有機溶剤を液媒体として使った油性のインクを用いて記録を行う方法などが提案されている。
また、前記特性(i)の良好な定着性を得る目的だけについてみると、(4)界面活性剤を多量に含むインク(特許文献6参照)、(5)グリセリンとN−メチル−2−ピロリドンと直接染料とCMC(臨界ミセル濃度)以下の量の低表面張力の界面活性剤を組み合わせたインク(特許文献7参照)、(6)インクのpHを強アルカリ性にして、更に弗素系の界面活性剤を添加したインク(特許文献1及び3参照)などが提案されている。
前記(2)の方法は、前記特性(i)〜(iii)を満たすことができる優れた方法であるが、印字部分が盛り上がり、印字物を何枚も重ねて放置しておくと印字が転写したり、紙同士がくっついた状態になってしまうという欠点がある。また、インクを加熱する手段が必要になるので装置が複雑になってしまう。
前記(3)の方法は、定着性が特に優れている方法であるが、インクに含まれている有機溶剤の臭気、安全性に対する配慮が必要なため、缶の底、箱の外側等に製造ロット番号を印字するような工業的な用途にしか使われておらず、オフィス、一般家庭で使うような状況にはなっていない。
前記(4)のインクを使う方法は、前記特許文献7及び8等で明らかにされているように印字品質に問題があり、優れた方法ではない。
前記(5)のインクを使う方法は、その実施例でも明らかにされているように印字後のインクの乾燥速度(以下、「定着性」と称することがある)が8〜15秒間程度であり、従来のインクに比べれば定着性が優れているといえる。しかし、記録装置を使う立場に立ってみると8〜15秒間という時間は長く感じられるものであり、用紙によっては記録装置からでてきた印字物をすぐに手に取ると手がインクで汚れることもあり、また、用紙によってはフェザリングが顕著となり、更なる改善が望まれるものである。
前記(6)のインクは、定着時間を5秒間以下にすることができるが、前記(1)の方法でも明らかにしたように、安全性、中性紙上での定着性及び印字品位、裏抜け性に問題があり、好ましいものではない。
更に、例えば、水溶性染料を1〜5質量%、グリコール類のような水溶性有機溶剤を20〜50質量%含有し、表面張力が40〜55mN/m程度である水性のインクを用いたマルチノズルのインクジェット記録装置においては、ノズルから水などが蒸発することにより、印字を行わない(印字に使わない)ノズルが印字途中において目詰まりすることがあり、例えば「−」を繰り返し120秒間程度印字させた後、「1」を印字させると「−」を印字する際に使用したノズルは正常に吐出するが、その他のノズルは不吐出になってしまい、正しく「1」が印字できないという問題がある。
上記のような課題を解決するためには、インクジェット記録装置にキャップ、ポンプなどの様々な回復装置を組み込む必要があり、その結果、インクジェット記録装置が複雑で、高価なものになる原因の一つとなっている。
(2)インクジェット専用紙、いわゆるインクジェット用マットコート紙上の画像は、普通紙と比べて解像度が高く、画像濃度も高目であるが、画像部がマット調となり、オフセット印刷等の商業印刷とは異なる光沢感のない画像である。
(3)インクジェット用光沢紙は、染料インクに対しては光沢感のある銀塩写真に近い高品位の画像が得られるが、メディアの価格が高く、オフィスや一般商業用途には使用され難い。
(4)オフセット印刷用コート紙は、多量に製造され比較的に安価であるが、インクジェット適性が考慮されていないためにインク吸収性が不十分で、ビーディング、ブリード、拍車によるオフセット汚れや拍車による白抜け(以下、「拍車痕」と称することもある)などが発生し、インク乾燥性も不十分である。
<1> 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mである記録用インクであって、
前記記録用インクにおける、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msで4〜15ml/m2であり、かつ接触時間400msで7〜20ml/m2であることを特徴とする記録用インクである。
<2> 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである前記<1>に記載の記録用インクである。
<3> 顔料の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<2>に記載の記録用インクである。
<4> 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である前記<1>に記載の記録用インクである。
<5> 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<4>に記載の記録用インクである。
<6> 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録用インクである。
<7> ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である前記<6>に記載の記録用インクである。
<8> ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である前記<6>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<9> 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である前記<1>から<8>のいずれかに記載の記録用インクである。
<10> 浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が炭素数8以上のポリオール化合物である前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクである。
<11> 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである前記<10>に記載の記録用インクである。
<12> インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録用インクである。
R1−O−(CH2CH2O)hCH2COOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、R1は、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
R4−(OCH2CH2)jOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、R4は、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
<13> インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である前記<1>から<12>のいずれかに記載の記録用インクである。
<14> 支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアであって、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜26ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜29ml/m2であることを特徴とする記録用メディアである。
<15> 前記<1>から<13>のいずれかに記載の記録用インクと、前記<14>に記載の記録用メディアとを有することを特徴とするインクメディアセットである。
<16> 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有するインクメディアセットであって、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/m2であることを特徴とするインクメディアセットである。
<17> 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜26ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜29ml/m2である前記<16>に記載のインクメディアセットである。
<18> 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである前記<16>から<17>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<19> 顔料の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<18>に記載のインクメディアセットである。
<20> 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である前記<16>から<17>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<21> 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<20>に記載のインクメディアセットである。
<22> 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である前記<16>から<21>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<23> ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である前記<22>に記載のインクメディアセットである。
<24> ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である前記<22>から<23>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<25> 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である前記<16>から<24>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<26> インクが浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8以上のポリオール化合物である前記<16>から<25>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<27> 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである前記<26>に記載のインクメディアセットである。
<28> インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である前記<16>から<27>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
R1−O−(CH2CH2O)hCH2COOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、R1は、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
R4−(OCH2CH2)jOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、R4は、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
<29> インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である前記<16>から<28>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<30> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<31> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<32> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<31>に記載のインクジェット記録装置である。
<33> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<34> 300dpi以上の解像度において、最大インク付着量が8〜20g/m2である前記<33>に記載のインクジェット記録方法である。
<35> インクを飛翔させるインクジェットヘッドのインク吐出用開口部が形成されているプレート面に撥インク層を有する前記<33>から<34>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<36> 撥インク層が、フッ素系材料及びシリコーン系材料のいずれかを含有する前記<35>に記載のインクジェット記録方法である。
<37> 撥インク層の表面粗さ(Ra)が0.2μm以下である前記<35>から<36>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<38> インク吐出用開口部の中心線に垂直な平面での断面積がプレート基材表面から離れるにつれて漸次大きくなるように、該インク吐出用開口部が形成されている前記<35>から<37>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<39> 撥インク層の厚みが1Å(0.1nm)以上である前記<35>から<38>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<40> 撥インク層の臨界表面張力が5〜40mN/mである前記<35>から<39>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<41> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける記録用メディア上に、前記インクメディアセットにおけるインクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
前記記録用インクにおける、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msで4〜15ml/m2であり、かつ接触時間400msで7〜20ml/m2である。本発明の記録用インクにおいては、所定の表面張力と、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が所定の数値を有しているので、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像を記録することができる。
本発明のインクメディアセットは、第2形態では、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有してなり、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/m2である。
本発明の第1及び第2形態に係るインクメディアセットにおいては、オフセット印刷用のコート紙に近い風合い、及び所定の吸液性を有する記録用メディアと、所定の表面張力を有するインクとを組み合わせることによって、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像を記録することができる。
本発明の記録用インクは、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、必要に応じて浸透剤、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
ここで、前記表面張力は、例えば、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定することができる。
また、前記記録用インクにおいては、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間400msで7〜20ml/m2であり、8〜19ml/m2が好ましい。前記接触時間400msでの転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
前記着色剤としては、顔料、染料、及び着色微粒子の少なくともいずれかを用いることが好ましい。
前記着色微粒子としては、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有させたポリマー微粒子の水分散物が好適に用いられる。
ここで、前記「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態及びポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。この場合、本発明のインクに配合される色材はすべてポリマー微粒子に封入又は吸着されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、該色材がエマルジョン中に分散していてもよい。前記色材としては、水不溶性又は水難溶性であって、前記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、前記「水不溶性又は水難溶性」とは、20℃で水100質量部に対し色材が10質量部以上溶解しないことを意味する。また、「溶解する」とは、目視で水溶液表層又は下層に色材の分離や沈降が認められないことを意味する。
なお、前記各染料は、ポリマー微粒子に効率的に含浸される観点から、有機溶剤、例えば、ケトン系溶剤に2g/リットル以上溶解することが好ましく、20〜600g/リットル溶解することがより好ましい。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料であり、好ましくは耐水性、及び耐光性に優れたものが用いられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類;銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用では、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、などが挙げられる。
シアン用では、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63等が挙げられる。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36などが挙げられる。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記顔料分散剤としては、前記親水性高分子化合物として、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子;アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子;キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、などが挙げられる。半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子;デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子;非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂;水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらのエステルを重合してなるアクリル系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、又はスチレンと、他の親水基を有するモノマーとを共重合させてなるカルボキシル基を有する共重合体が特に好ましい。
前記共重合体の質量平均分子量は、3,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000が更に好ましい。
前記顔料と前記分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)は、1:0.06〜1:3が好ましく、1:0.125〜1:3がより好ましい。
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種が好適である。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記尿素化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種が挙げられる。前記尿素類の前記インクへの添加量は、一般的に0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記多糖類とは、広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることができる。
前記糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(ただし、一般式:HOCH2(CHOH)nCH2OH(ただし、nは2〜5の整数を表す))、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが特に好ましい。前記糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビット、などが挙げられる。
前記浸透剤としては、ポリオール化合物やグリコールエーテル化合物等の水溶性有機溶剤が用いられ、特に、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかが好適に用いられる。
前記ポリオール化合物の炭素数が8未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録用メディアを汚したり、記録用メディア上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがある。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、などが好適である。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられ、
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−ジオールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
ただし、前記一般式(I)中、R1は、アルキル基を表し、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
R4−(OCH2CH2)jOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、R4は、炭化水素基を表し、例えば、炭素数6〜14のアルキル基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
(I−1):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)3CH2COOH
(I−2):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)4CH2COOH
(I−3):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)5CH2COOH
(I−4):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)6CH2COOH
CF3CF2(CF2CF2)m―CH2CH2O(CH2CH2O)nH・・・一般式(A)
ただし、前記一般式(A)中、mは、0〜10の整数を表す。nは、1〜40の整数を表す。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業社製)、ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもデュポン社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス社製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好な点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(デュポン社製)が特に好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂エマルジョン、アミノプロパンジオール化合物、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記樹脂エマルジョンは、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
前記分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は一般的には10〜70質量%が好ましい。また、前記樹脂微粒子の粒径は、特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、平均粒径10〜1000nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
前記樹脂エマルジョンとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素社製)などが挙げられる。
前記アミノプロパンジオール誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ、これらの中でも、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
該pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化
物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、などが挙げられる。
前記インクのpHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
本発明の記録用メディアは、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
また、動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、3〜29ml/m2であり、5〜29ml/m2が好ましく、10〜28ml/m2がより好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径は0.2〜3.0μmが好ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかが好適に用いられる。前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが特に好ましい。
前記水性樹脂の添加量は、前記顔料100質量部に対し、2〜100質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましい。前記水性樹脂の添加量は前記記録用メディアの吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用するのが好ましい。併用することにより、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分で0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン活性剤のHLB(親水性/親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分で、0.5〜20g/m2が好ましく、1〜15g/m2がより好ましい。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
前記平滑化処理の程度は、記録用メディアに求められる光沢度によっても変わる。グロスタイプであれば、光沢度は、60°鏡面光沢度で、概ね10〜90程度になるように調整される。
本発明の記録用メディアの塗工層の細孔径は、0.5μm以下であることが好ましい。前記細孔径が0.5μm以下であると、着色剤がインク中に分散しているインクであれば、塗工層と着色剤自体のフィルター作用により、着色剤が記録用メディアの塗工層表面に残留するので、高い画像濃度や画像光沢が発現できる。
本発明の記録用メディアは、吸液特性が上記本発明の範囲であれば、インクジェット記録用メディアの他、市販のオフセット印刷用コート紙、グラビア印刷用コート紙などであってもよい。
本発明のインクメディアセットは、第1形態では、本発明の前記記録用インクと、本発明の前記記録用メディアとを組み合わせてなる。
本発明のインクメディアセットは、第2形態では、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有してなり、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/m2であり、6〜14ml/m2が好ましい。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
また、動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける本発明の前記インクの前記記録用メディアへの転移量は、7〜20ml/m2であり、8〜19ml/m2が好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
また、動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、3〜29ml/m2が好ましく、5〜29ml/m2がより好ましく、10〜28ml/m2が更に好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
本発明の第1及び第2形態に係るインクメディアセットにおいては、オフセット印刷用のコート紙に近い風合い、及び所定の吸液性を有する記録用メディアと、所定の表面張力を有するインクとを組み合わせることによって、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像を記録することができる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インク又は本発明の前記インクメディアセットにおける各記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段、などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程、などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、本発明の前記インクメディアセットにおけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて本発明の前記記録用メディア及び前記インクメディアセットにおける記録用メディアのいずれかに画像を記録する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記インクメディアセットにおけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて本発明の前記記録用メディア及び前記インクメディアセットにおける記録用メディアのいずれかに画像を記録する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、インクジェットノズルのノズル径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmが好ましい。また、インクジェットヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法では、300dpi以上の解像度において、最大インク付着量が8〜20g/m2であることが好ましい。
また、本発明のインクメディアセットに用いられる記録用メディア(用紙)のように、吸収性が低い記録用メディアに印刷する際にはドット位置精度の善し悪しが画像品質に顕著に現れる。つまり、吸収性が低い記録用メディアの上ではインクが広がりづらいため、ドット位置精度が少しでも低くなると記録用メディアをインクが埋めきらない箇所、つまり、白抜け部が生じてしまう。この埋めきれない箇所は画像濃度ムラ、画像濃度低下につながり、画像品質の低下に現れる。
ところが、本発明で用いるインクジェットヘッドは低表面張力のインクを用いてもドット位置精度が高いため、吸収性が低いメディアを用いてもインクがメディアを埋めることができるため、画像濃度ムラや画像濃度低下にならず、高い画像品質の印刷物を得ることができる。
図8、及び図9A〜図9Cは、本発明に用いられるインクジェットヘッドのノズル板の断面図である。
本実施形態では、インクジェットヘッドのプレート基材であるノズル板32がNiの電鋳により作製され、その表面に膜厚1Å(0.1nm)以上のシリコーン樹脂皮膜である撥インク層31が形成されており、その表面粗さはRa=0.2μm以下にすることが好ましい。また、撥インク層31の膜厚は0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
インク3の充填時には、図9Cに示すように、シリコーン樹脂皮膜による撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される。
また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部縁端から当該開口部近傍の曲線が略円弧曲線をなし、該円弧の曲率半径が、該撥インク層の厚み以上であることが好ましい。
また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部縁端を通る接線が、当該端部を含むノズル部材表面からの角度が90度未満であることが好ましい。
この厚みdは、撥インク層31の開口部分であるラウンド部分以外の部分における厚みであり、好ましくは撥インク層の最大厚みであってよい。
下記の表1は、本実施形態でのインクジェットヘッドでの撥インク層31における、ノズル板32の開口部縁端から開口部縁端近傍の形状と、ノズル周囲のインク溜まり、エッジ剥離、噴射安定性に関して評価した結果である。
ラウンド形状のものでは、何れもインク溜まりは発生しなかったが、比較として、図10Aに例示するようなr<dのものでは一部エッジの剥離が発生し、図10Bに例示するようなθ>90度のものでは液滴の噴射が不安定な結果であった。
また、図10Cに示すように、r<dのものや、θ>90度のものでは、インクの充填時に、撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される場合と、撥インク層31’における開口部分中心に向けての凸部(開口部分における中心線に垂直な断面積が最も小さくなる部分)にメニスカスQが形成される場合がある。このため、ノズル板32を含むインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置で画像記録を行う際のインクの噴射安定性にばらつきが発生してしまうことがある。
図11は、本実施形態に係るディスペンサ34を用いた塗布により、シリコーン樹脂を塗布して撥インク層31を形成する構成を示す図である。
Ni電鋳によるノズル32のインク吐出面側にシリコーン溶液を塗布するためのディスペンサ34が配置され、ノズル板32とニードル35先端とが予め定められた一定の距離間隔を保ったままとなるように、ニードル35先端からシリコーンを吐出しながらディスペンサ34を走査することにより、上述した図8、及び図9A〜図9Cに示したようにノズル板32のインク吐出面に選択的にシリコーン樹脂皮膜を形成することができた。
即ち、塗布動作のための走査方向を1方向のみとすることができ、図12Bのように方向を変えたり、反対方向に走査したりといった必要を無くすることができる。
このように気体36をノズル孔から噴射しながら塗布を行うことにより、ノズル板32のノズル孔を除くノズル表面だけにシリコーン樹脂皮膜を形成することができる。
前記フッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、パーフルオロポリオキセタン及び変性パーフルオロポリオキセタンの混合物(ダイキン工業社製、商品名:オプツールDSX)を1Å〜30Å(0.1〜3nm)の厚さに蒸着することで必要な撥水性を得ている。実験結果では、オプツールDSXの厚さは、10Å、20Å、30Åでも撥水性,ワイピング耐久性能に差は見られなかった。よって、コストなどを考慮するとより好適には、1Å〜20Å(0.1〜2nm)が好ましい。但し、使用するインクによっては信頼性の観点から撥水膜厚を厚くした方がより長期間性能維持ができることもあるので、その場合には100Å〜200Å(10〜20nm)の厚さにするのが好ましい。また、フッ素系撥水層123の表面には樹脂製のフィルムに粘着材を塗布した粘着テープ124が貼り付けられていて、エキシマレーザ加工時の補助機能をはたしている。また、シリコーン系撥水材料を用いることもできる。
前記シリコーン系撥水材料としては、室温硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーがあり、基材表面に塗布され、室温で大気中に放置することにより重合硬化して撥インク性の皮膜が形成されることが好ましい。
上記したシリコーン系撥水材料は加熱硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、加熱処理することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
シリコーン系撥水材料は紫外線硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、紫外線を照射することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
シリコーン系撥水材料の粘度が1,000cp(センチポイズ)以下であることが好ましい。
図17Aは、ノズル形成部材の基材となる材料を示しており、ここでは、樹脂フィルム121として、例えばDupont社製ポリイミドフィルムであるカプトン(商品名)の粒子無しのフィルムを使用している。一般的なポリイミドフィルムはロールフィルム取り扱い装置での取り扱い性(滑り性)からフィルム材料の中にSiO2(シリカ)などの粒子が添加されている。エキシマレーザでノズル孔加工を行う場合には、SiO2(シリカ)の粒子がエキシマレーザによる加工性が悪いためノズル異形が発生することがある。よって、本発明では、SiO2(シリカ)の粒子が添加されていないフィルムを使用している。また、プレート基材材料として宇部興産製ポリイミドフィルムであるユーピレックスを使用してもよい。ユーピレックスは粒子が非常に微細であり、加工に支障が出ないためそのまま使用可能である。
この装置は、米国のOCLI(OPTICAL COATING LABORATORY INC.)が開発した、「メタモードプロセス」と呼ばれる工法を装置化したものであり、ディスプレイなどの反射防止膜や防汚膜の作製に使用されている。図18に示すように、ドラム210の周囲4個所にステーションであるSiスパッタ202、O2イオンガン203、Nbスパッタ204、オプツール蒸着205が配置されて、全体が真空引きできるチャンバの中にある。まず、Siスパッタ202によりSiをスパッタし、その後、O2イオンガン203によりO2イオンをSiに当ててSiO2とする。その後、Nbスパッタ204、オプツール蒸着205でNb,オプツールDSXを適宜蒸着する。反射防止膜の場合は、NbとSiO2を所定の厚さで必要層数重ねた後蒸着する。本発明の場合は、反射防止膜の機能は必要ないので、Nbは不要でSiO2,オプツールDSXを1層ずつ付ければよい。この装置を使用することで、上述したように、SiO2薄層122を形成した後、そのまま真空チャンバ内でオプツールDSXの真空蒸着を実施するのが可能となる。
ここで、前記臨界表面張力はZisman法により求めることができる。つまり、表面張力が既知の液体を撥インク層の上にたらし、接触角θを測定し、液体の表面張力をx軸にcosθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる(Zisman Plot)。この直線がY=1(θ=0)となるときの表面張力を臨界表面張力γcとして算出することができる。その他の方法としては、Fowkes法、Owens and Wendt法、Van Oss法を用いて臨界表面張力を求めることもできる。
また、前記ヘッド作製方法と同様に撥インク層付きノズルプレートを用いてインクジェットヘッドを作製した。これに下記のシアンインク(後述する製造例1のシアンインク)を用いてインクを噴射させた。インクの飛翔過程をビデオ撮影して観察したところ、いずれのノズルプレートを用いた場合にも正常に粒子化しており、吐出安定性が良好であることが確認できた。結果を表2に示す。
<シアンインク>
銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
インクジェットヘッド134を構成するインクジェットインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ133には、インクジェットヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部104に装填された本発明のインクカートリッジ201から、本発明の前記インクメディアセットにおける各インクが供給されて補充される。
搬送ベルト151の裏側には、インクジェットヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、インクジェットヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じてインクジェットヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
図6は、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの要素拡大図、図7は、同ヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、インク供給口(不図示)と共通液室1bとなる彫り込みを形成したフレーム10と、流体抵抗部2a、加圧液室2bとなる彫り込みとノズル3aに連通する連通口2cを形成した流路板20と、ノズル3aを形成するノズル板と、凸部6a、ダイヤフラム部6b及びインク流入口6cを有する振動板60と、該振動板60に接着層70を介して接合された積層圧電素子50と、該積層圧電素子50を固定しているベース40を備えている。
ベース40はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子50を2列配置して接合している。
積層圧電素子50は、厚み10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚み数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層している。内部電極層は両端で外部電極に接続する。
積層圧電素子50はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部5fと支持部5g(非駆動部)として使用する。外部電極の外側はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており共通電極となる。
駆動部の個別電極にはFPC8が半田接合されている。また、共通電極は積層圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPC8のGnd電極に接合している。FPC8には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部5fへの駆動電圧印加を制御している。
)である。
この振動板60の島状凸部6aと積層圧電素子50の駆動部5f、振動板60とフレーム10の結合は、ギャップ材を含んだ接着層70をパターニングして接着している。
エッチングで残された部分が加圧液室2bの隔壁2dとなる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部2aとした。
ノズルプレート30は、金属材料、例えば、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル3aを多数形成している。このノズル3aの内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい)に形成されている。また、このノズル3aの径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmである。また各列のノズルピッチは150dpiとした。
このノズルプレート30のインク吐出面(ノズル表面側)は、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層3bを設けている。PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えば、フッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。また、これらの中でも、例えば、フッ素系樹脂としては、色々な材料が知られているが、変性パーフルオロポリオキセタン(ダイキン工業株式会社製、商品名:オプツールDSX)を厚みが30〜100Åとなるように蒸着することで良好な撥水性を得ることができる。
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部5fに駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部5fに積層方向の変位が生起し、振動板60を介して加圧液室2bが加圧されて圧力が上昇し、ノズル3aからインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室2b内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室2b内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室1bに流入し、共通液室1bからインク流入口6cを経て流体抵抗部2aを通り、加圧液室2b内に充填される。
流体抵抗部2aは、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による再充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くすることができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、本発明の前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に、前記インクメディアセットにおけるインクを用いて記録された画像を有してなる。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
−銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃にて1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。次に、ポリマー溶液の一部を乾燥し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(標準:ポリスチレン、溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したところ、質量平均分子量は15,000であった。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
−ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例1において、銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更した以外は、調製例1と同様にして、赤紫色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
−モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例1において、銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更した以外は、調製例1と同様にして、黄色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
−スルホン化剤処理したカーボンブラック分散体の調製−
市販のカーボンブラック顔料(デグサ社製、「プリンテックス#85」)150gをスルホラン400ml中によく混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140〜150℃で10時間攪拌した。得られたスラリーをイオン交換水1000ml中に投入し、12,000rpmで遠心分離機により表面処理カーボンブラックウェットケーキを得た。得られたカーボンブラックウェットケーキを2,000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムにてpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮して顔料濃度10質量%のカーボンブラック分散体とし、平均孔径1μmのナイロンフィルターで濾過し、カーボンブラック分散体を得た。
得られたカーボンブラック分散体について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は80nmであった。
−カーボンブラック含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例1の銅フタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社製、FW100)に変更した以外は、調製例1と同様にして、黒色のポリマー微粒子分散体を作製した。得られたポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は104nmであった。
−シアンインクの作製−
調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
−マゼンタインクの作製−
調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン9.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、マゼンタインクを調製した。
−イエローインクの作製−
調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール24.5質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、イエローインクを調製した。
−ブラックインクの作製−
調製例4のカーボンブラック分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン7.5質量%、2−ピロリドン2.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、及び2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上によりブラックインクを調製した。
−シアンインクの作製−
調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
−マゼンタインクの作製−
調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン9.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、マゼンタインクを調製した。
−イエローインクの作製−
調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール24.5質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、イエローインクを調製した。
−ブラックインクの作製−
調製例4のカーボンブラック分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン7.5質量%、2−ピロリドン2.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、及び2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、ブラックインクを調製した。
−シアンインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製し、pHが9になるように水酸化リチウム10質量%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、シアンインクを作製した。
・調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・トリエチレングリコール・・・22.5質量%
・グリセリン・・・7.5質量%
・2−ピロリドン・・・5.0質量%
・下記(I−1)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−1):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)3CH2COOH
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤:有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−マゼンタインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、水酸化ナトリウムでpHを9に調整して、マゼンタインクを作製した。
・調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・プロピレングリコール・・・30.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・N−メチル−2−ピロリドン・・・2.0質量%
・下記(I−2)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−2):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)4CH2COOH
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤:有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−イエローインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、水酸化リチウムでpHを9に調整して、イエローインクを作製した。
・調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・1,3−ブタンジオール・・・22.5質量%
・グリセリン・・・7.5質量%
・2−ピロリドン・・・5.0質量%
・下記(I−4)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−4):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)6CH2COOH
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤、有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−ブラックインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、水酸化ナトリウムでpHを9に調整してブラックインクを作製した。
・調製例5のカーボンブラック含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・ジプロピレングリコール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン・・・5.0質量%
・下記(I−3)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−3):CH3(CH2)12O(CH2CH2O)5CH2COOH
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤、有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−シアンインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、シアンインクを作製した。
・調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・20.0質量%
・1,3−ブタンジオール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオール・・・1.0質量%
・F−1405(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残量
−マゼンタインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、マゼンタインクを作製した。
・調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・20.0質量%
・1,3−ブタンジオール・・・18.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオール・・・1.0質量%
・FC−4430(住友3M株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残部
−イエローインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、イエローインクを作製した。
・調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・20.0質量%
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・18.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオール・・・1.0質量%
・FC−4430(住友3M株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残部
−ブラックインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、ブラックインクを作製した。
・調製例4の(スルホン化剤処理した)カーボンブラック分散体・・・20.0質量%
・1,5−ペンタンジオール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・尿素・・・1.5質量%
・2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール・・・1.0質量%
・F−1405(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残部
粘度は、R−500型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、コーン1°34’×R24、60rpm、3分間後の条件により、25℃で測定した。
表面張力は、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定した静的表面張力である。
−支持体の作製−
下記配合の0.3質量%スラリーを長網抄紙機で抄造し、坪量79g/m2の支持体を作製した。なお、抄紙工程のサイズプレス工程で、酸化澱粉水溶液を固形分付着量が片面当り、1.0g/m2になるように塗布した。
・広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)・・・80質量部
・針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)・・・20質量部
・軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業株式会社製)・・・10質量部
・硫酸アルミニウム・・・1.0質量部
・両性澱粉(商品名:Cato3210、日本NSC株式会社製)・・・1.0質量部
・中性ロジンサイズ剤(商品名:NeuSize M−10、ハリマ化成株式会社製)・・・0.3質量部
・歩留まり向上剤(商品名:NR−11LS、ハイモ社製)・・・0.02質量部
−記録用メディア1の作製−
顔料としての粒子径2μm以下の割合が97質量%のクレー70質量部、平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウム30質量部、接着剤としてのガラス転移温度(Tg)が−5℃のスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン8質量部、リン酸エステル化澱粉1質量部、及び助剤としてのステアリン酸カルシウム0.5質量部を加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%の塗工液を調製した。
得られた塗工液を、上記作製した支持体に片面当り固形分付着量が8g/m2になるように、ブレードコーターを用いて両面に塗工し、熱風乾燥後、スーパーカレンダー処理を行い、「記録用メディア1」を作製した。
−記録用メディア2の作製−
顔料としての粒子径2μm以下の割合が97質量%のクレー70質量部、平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウム30質量部、接着剤としてのガラス転移温度(Tg)が−5℃のスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン7質量部、リン酸エステル化澱粉0.7質量部、助剤としてのステアリン酸カルシウム0.5質量部を加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%の塗工液を調製した。
得られた塗工液を、上記作製した支持体に片面当り固形分付着量が8g/m2になるように、ブレードコーターを用いて両面塗工し、熱風乾燥後、スーパーカレンダー処理を行い、「記録用メディア2」を作製した。
記録用メディア1について、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、実施例1〜8及び比較例1〜8の各記録用インクの転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めた。測定は23℃、50%RHの環境条件で行った。結果を表3に示す。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例4のブラックインク、実施例3のイエローインク、実施例2のマゼンタインク、及び実施例1のシアンインクからなる「インクセット1」を常法により調製した。
得られた「インクセット1」と、上記「記録用メディア1」とを用いて、300dpi、ノズル解像度384、ノズルを有するドロップオンデマンドプリンタ試作機を使用し、画像解像度600dpi、最大インク滴18plにて印字を行った。二次色の総量規制を140%にして付着量規制を実施し、ベタ画像及び文字を印写して、画像プリントを得た。なお、プリンタのノズルプレート面にはシリコーン樹脂皮膜(室温硬化型シリコーンレジンSR2411、東レ・ダウコーニング株式会社製)が形成されており、その厚みは1.2μmであり、表面粗さ(Ra)は0.18μm、臨界表面張力は21.6mN/mであった。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとして上記「記録用メディア2」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとしてグラビア印刷用コート紙(商品名;スペースDX、坪量=56g/m2、日本製紙株式会社製、以下、「記録用メディア3」と称する)を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、実施例8のブラックインク、実施例7のイエローインク、実施例6のマゼンタインク、及び実施例5のシアンインクからなる「インクセット3」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア1」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット3」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア2」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット3」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア3」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとして市販のオフセット用コート紙(商品名;オーロラコート、坪量=104.7g/m2、日本製紙株式会社製、以下、「記録用メディア4」と称する)を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとして市販のインクジェット用マットコート紙(商品名;スーパーファイン専用紙、セイコーエプソン株式会社製、以下、「記録用メディア5」と称する))を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、比較例4のブラックインク、比較例3のイエローインク、比較例2のマゼンタインク、及び比較例1のシアンインクからなる「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記の記録用メディア1を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア4」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア5」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア2」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、比較例8のブラックインク、比較例7のイエローインク、比較例6のマゼンタインク、及び比較例5のシアンインクからなる「インクセット4」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア1」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施した。
この比較例15で用いたインクセット4では、インクの表面張力が低すぎて、ノズルプレートを濡らしてしまうため、画像記録の初期から甚だしいインクの吐出曲がりが発生したため、以下の画像評価を実施しなかった。
また、記録用メディア1〜2、及び記録用メディア4〜5について、以下のようにして、動的走査吸液計による比較例1のシアンインク(表面張力37.5mN/m)の転移量を測定した。結果を表5に示す。
また、記録用メディア1〜3について、以下のようにして、動的走査吸液計による実施例5のシアンインク(表面張力33.1mN/m)の転移量を測定した。結果を表6に示す。
各記録用メディアについて、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はシアンインクの転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めた。測定は23℃、50%RHの環境条件で行った。
各画像プリントのグリーンべた画像部のビーディングの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。なお、ビーディングのランク見本は図19(図では白黒表示になっているが、実際にはグリーン色である)に示す。
〔評価基準〕
ランク4:ビーディングの発生がなく均一な印刷である。
ランク3:かすかにビーディングの発生が認められる。
ランク2:明確にビーディングの発生が認められる。
ランク1:甚だしいビーディングの発生が認められる。
各画像プリントの黄地中の黒文字のブリードの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ブリードの発生がなく鮮明な印刷である。
○:かすかにブリードの発生が認められる。
△:明確にブリードの発生が認められる。
×:文字の輪郭がはっきりしないほど滲みが発生している。
各画像プリントの拍車痕の程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:全く認められない
○:かすかに認められる
△:拍車痕が認められる
×:明確に拍車痕が認められる
各画像プリントのシアンのベタ画像部の60°鏡面光沢度(JIS Z8741)を測定した。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録
方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、フ
ァクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適
用することができる。
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 インクジェットヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装
Claims (41)
- 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mである記録用インクであって、
前記記録用インクにおける、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msで4〜15ml/m2であり、かつ接触時間400msで7〜20ml/m2であることを特徴とする記録用インク。 - 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである請求項1に記載の記録用インク。
- 顔料の体積平均粒径が0.01〜0.16μmである請求項2に記載の記録用インク。
- 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である請求項1に記載の記録用インク。
- 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである請求項4に記載の記録用インク。
- 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である請求項1から5のいずれかに記載の記録用インク。
- ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である請求項6に記載の記録用インク。
- ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である請求項6から7のいずれかに記載の記録用インク。
- 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である請求項1から8のいずれかに記載の記録用インク。
- 浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が炭素数8以上のポリオール化合物である請求項1から9のいずれかに記載の記録用インク。
- 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである請求項10に記載の記録用インク。
- インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である請求項1から11のいずれかに記載の記録用インク。
R1−O−(CH2CH2O)hCH2COOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、R1は、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
R4−(OCH2CH2)jOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、R4は、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
- インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である請求項1から12のいずれかに記載の記録用インク。
- 支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアであって、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜26ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜29ml/m2であることを特徴とする記録用メディア。 - 請求項1から13のいずれかに記載の記録用インクと、請求項14に記載の記録用メディアとを有することを特徴とするインクメディアセット。
- 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有するインクメディアセットであって、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/m2であることを特徴とするインクメディアセット。 - 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜26ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜29ml/m2である請求項16に記載のインクメディアセット。
- 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである請求項16から17のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 顔料の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである請求項18に記載のインクメディアセット。
- 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である請求項16から17のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである請求項20に記載のインクメディアセット。
- 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である請求項16から21のいずれかに記載のインクメディアセット。
- ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である請求項22に記載のインクメディアセット。
- ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である請求項22から23のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である請求項16から24のいずれかに記載のインクメディアセット。
- インクが浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8以上のポリオール化合物である請求項16から25のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである請求項26に記載のインクメディアセット。
- インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である請求項16から27のいずれかに記載のインクメディアセット。
R1−O−(CH2CH2O)hCH2COOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、R1は、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
R4−(OCH2CH2)jOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、R4は、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
- インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である請求項16から28のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項31に記載のインクジェット記録装置。
- 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 300dpi以上の解像度において、最大インク付着量が8〜20g/m2である請求項33に記載のインクジェット記録方法。
- インクを飛翔させるインクジェットヘッドのインク吐出用開口部が形成されているプレート面に撥インク層を有する請求項33から34のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 撥インク層が、フッ素系材料及びシリコーン系材料のいずれかを含有する請求項35に記載のインクジェット記録方法。
- 撥インク層の表面粗さ(Ra)が0.2μm以下である請求項35から36のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- インク吐出用開口部の中心線に垂直な平面での断面積がプレート基材表面から離れるにつれて漸次大きくなるように、該インク吐出用開口部が形成されている請求項35から37のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 撥インク層の厚みが1Å(0.1nm)以上である請求項35から38のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 撥インク層の臨界表面張力が5〜40mN/mである請求項35から39のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける記録用メディア上に、前記インクメディアセットにおけるインクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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