JP2007216664A - 記録用インク、記録用メディア、インクメディアセット、及びインク記録物、並びにインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オフセット印刷等の商業印刷に近い高画質画像を記録することができる記録用インク、記録用メディア、インクメディアセット、及びインク記録物、並びにインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有してなり、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/mであり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/mであるインクメディアセットである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット方式によりオフセット印刷等の商業印刷に近い高画質画像を記録することができる記録用インク、記録用メディア、インクメディアセット、インク記録物、並びにインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
従来より、インクジェット記録は、記録媒体を選ばない、優れた記録方法であり、記録装置、記録方法、記録材料などについて研究開発が盛んに行われている。
しかし、これまで開発され、商品化されてきたインクジェット記録装置は、インクジェット用紙、インクジェット用トランスペアレンシーフィルムのようなインクジェット用に開発された専用の記録媒体を用いないと、(i)良好な定着性、(ii)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、にじみ(以下、「フェザリング」と称することがある)の生じない記録画像、(iii)光学的濃度(Optical Density:OD)の高い記録画像、を得ることが困難である。即ち、普通複写機用紙(PPC用紙)、レター用紙、ボンド用紙、葉書、便せん、封筒、レポート用紙等のオフィス、家庭などで一般的に使われているような紙、及び一般に市販されているようなトランスペアレンシーフィルム(OHPフィルム)等の記録媒体を用いると、前記(i)〜(iii)の特性を同時に満足させることは困難である。
このようなインクジェット専用紙は、一般的に高価であり、かつ該インクジェット専用紙は片面コート紙であるため、コートしていない面に記録を行うと定着性、印字品位が著しく低下するという欠点がある。このことは、インクジェット記録装置が一般に普及しない原因の一つとなっている。
そこで、普通複写機用紙(PPC用紙)を用いて、(i)良好な定着性、(ii)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリングの生じない印字品位の優れた記録画像、(iii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、を得るために様々な試みが行われてきている。
例えば、(1)pH13程度の強アルカリ性インクを用いる方法(例えば、特許文献1〜3参照)、(2)常温では固体のワックス状のインクを加熱して溶融状態で吐出させることにより記録を行う方法(特許文献4及び5参照)、(3)非水溶性の有機溶剤を液媒体として使った油性のインクを用いて記録を行う方法などが提案されている。
また、前記特性(i)の良好な定着性を得る目的だけについてみると、(4)界面活性剤を多量に含むインク(特許文献6参照)、(5)グリセリンとN−メチル−2−ピロリドンと直接染料とCMC(臨界ミセル濃度)以下の量の低表面張力の界面活性剤を組み合わせたインク(特許文献7参照)、(6)インクのpHを強アルカリ性にして、更に弗素系の界面活性剤を添加したインク(特許文献1及び3参照)などが提案されている。
しかし、前記(1)の方法は、インクが強アルカリ性で取扱上危険性があり、かつ、ロジン等をサイズ剤として用いた酸性紙には定着性が良好で印字品位も良好であるが、近年日本においても生産量が増加してきたアルキルケテンダイマー、無水ステアリン酸等を用いた中性紙では定着性が大幅に低下し、更に、印字品位についても若干低下する傾向がみられる。また、この強アルカリ性のインクは紙の内部への浸透力が大きいため、裏抜けしやすく、両面記録が極めて困難であるという欠点もある。
前記(2)の方法は、前記特性(i)〜(iii)を満たすことができる優れた方法であるが、印字部分が盛り上がり、印字物を何枚も重ねて放置しておくと印字が転写したり、紙同士がくっついた状態になってしまうという欠点がある。また、インクを加熱する手段が必要になるので装置が複雑になってしまう。
前記(3)の方法は、定着性が特に優れている方法であるが、インクに含まれている有機溶剤の臭気、安全性に対する配慮が必要なため、缶の底、箱の外側等に製造ロット番号を印字するような工業的な用途にしか使われておらず、オフィス、一般家庭で使うような状況にはなっていない。
前記(4)のインクを使う方法は、前記特許文献7及び8等で明らかにされているように印字品質に問題があり、優れた方法ではない。
前記(5)のインクを使う方法は、その実施例でも明らかにされているように印字後のインクの乾燥速度(以下、「定着性」と称することがある)が8〜15秒間程度であり、従来のインクに比べれば定着性が優れているといえる。しかし、記録装置を使う立場に立ってみると8〜15秒間という時間は長く感じられるものであり、用紙によっては記録装置からでてきた印字物をすぐに手に取ると手がインクで汚れることもあり、また、用紙によってはフェザリングが顕著となり、更なる改善が望まれるものである。
前記(6)のインクは、定着時間を5秒間以下にすることができるが、前記(1)の方法でも明らかにしたように、安全性、中性紙上での定着性及び印字品位、裏抜け性に問題があり、好ましいものではない。
一方、前記インクジェット用インクは、オフィス、一般家庭用としての用途を考え、臭気、安全性、インクの取扱性などを考慮すると水性インクを用いることが望ましい。このような水性インクは、一般的に記録媒体に指紋等の汚れがついていると、その部分だけフェザリングが発生しやすくなる傾向がある。また、紙によっては表と裏とで印字品位が著しく変わる場合もあるので、記録媒体をインクジェット記録装置にセットする場合には、記録媒体の取扱に細心の注意を払う必要がある。
更に、例えば、水溶性染料を1〜5質量%、グリコール類のような水溶性有機溶剤を20〜50質量%含有し、表面張力が40〜55mN/m程度である水性のインクを用いたマルチノズルのインクジェット記録装置においては、ノズルから水などが蒸発することにより、印字を行わない(印字に使わない)ノズルが印字途中において目詰まりすることがあり、例えば「−」を繰り返し120秒間程度印字させた後、「1」を印字させると「−」を印字する際に使用したノズルは正常に吐出するが、その他のノズルは不吐出になってしまい、正しく「1」が印字できないという問題がある。
また、印字後しばらく、例えば、土日休みを想定して2昼夜程度、インクジェット記録装置を放置しておくと、ノズルからの水分の蒸発に基づくインクの粘度上昇によって起こると思われる不吐出現象がよく観察され、インクジェット記録装置を使い始めるたびに不吐出現象を解決するための操作が必要となる。このようなトラブルは、インクを飛翔させるのに使うエネルギーが比較的小さいインクジェット記録装置を使う場合に比較的多く見られ、ピエゾ素子を使ったインクジェット記録装置に比べて、吐出エネルギーが小さい発泡噴射型記録装置でよく見られる。
上記のような課題を解決するためには、インクジェット記録装置にキャップ、ポンプなどの様々な回復装置を組み込む必要があり、その結果、インクジェット記録装置が複雑で、高価なものになる原因の一つとなっている。
ここで、インクジェット方式における各種用紙(記録用メディア)の現状について整理すると、(1)PPC用紙等の普通紙では、従来よりも改良されてきてはいるものの、文字、画像の周辺部にボケやフェザリングが見られ、いわゆる「切れ」のよい画像は得られておらず、画像濃度(光学的濃度;OD)も十分とは言えない。
(2)インクジェット専用紙、いわゆるインクジェット用マットコート紙上の画像は、普通紙と比べて解像度が高く、画像濃度も高目であるが、画像部がマット調となり、オフセット印刷等の商業印刷とは異なる光沢感のない画像である。
(3)インクジェット用光沢紙は、染料インクに対しては光沢感のある銀塩写真に近い高品位の画像が得られるが、メディアの価格が高く、オフィスや一般商業用途には使用され難い。
(4)オフセット印刷用コート紙は、多量に製造され比較的に安価であるが、インクジェット適性が考慮されていないためにインク吸収性が不十分で、ビーディング、ブリード、拍車によるオフセット汚れや拍車による白抜け(以下、「拍車痕」と称することもある)などが発生し、インク乾燥性も不十分である。
したがって従来技術では、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング(文字や画線部の周囲に短いヒゲ状に発生したインクのはみ出し)、ブリード(滲み)の生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像が得られ、インクの定着性、画像のキレ、画像濃度、及び記録用メディアの搬送性などのすべての特性を十分満足するものは未だ提供されておらず、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
特開昭56−57862号公報 特開昭57−102970号公報 特開昭57−102971号公報 特開昭61−159470号公報 特開昭62−48774号公報 特開昭55−29546号公報 特開昭56−49771号公報 特開昭55−80477号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像が得られる記録用インク、記録用メディア、インクメディアセット、インク記録物、並びにインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、記録用メディアの表面にインク滴が接触してから100ms後及び400ms後における吸液特性が所定の範囲となる記録用メディアと、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mである記録用インクとを組み合わせることによって、オフセット印刷等の商業印刷に近い高画質画像の記録が可能になるという知見である。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mである記録用インクであって、
前記記録用インクにおける、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msで4〜15ml/mであり、かつ接触時間400msで7〜20ml/mであることを特徴とする記録用インクである。
<2> 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである前記<1>に記載の記録用インクである。
<3> 顔料の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<2>に記載の記録用インクである。
<4> 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である前記<1>に記載の記録用インクである。
<5> 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<4>に記載の記録用インクである。
<6> 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録用インクである。
<7> ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である前記<6>に記載の記録用インクである。
<8> ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である前記<6>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<9> 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である前記<1>から<8>のいずれかに記載の記録用インクである。
<10> 浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が炭素数8以上のポリオール化合物である前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクである。
<11> 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである前記<10>に記載の記録用インクである。
<12> インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録用インクである。
−O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表す。kは5〜20の整数を表す。
−(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表す。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
<13> インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である前記<1>から<12>のいずれかに記載の記録用インクである。
<14> 支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアであって、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜29ml/mであることを特徴とする記録用メディアである。
<15> 前記<1>から<13>のいずれかに記載の記録用インクと、前記<14>に記載の記録用メディアとを有することを特徴とするインクメディアセットである。
<16> 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有するインクメディアセットであって、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/mであり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/mであることを特徴とするインクメディアセットである。
<17> 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜29ml/mである前記<16>に記載のインクメディアセットである。
<18> 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである前記<16>から<17>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<19> 顔料の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<18>に記載のインクメディアセットである。
<20> 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である前記<16>から<17>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<21> 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである前記<20>に記載のインクメディアセットである。
<22> 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である前記<16>から<21>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<23> ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である前記<22>に記載のインクメディアセットである。
<24> ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である前記<22>から<23>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<25> 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である前記<16>から<24>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<26> インクが浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8以上のポリオール化合物である前記<16>から<25>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<27> 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである前記<26>に記載のインクメディアセットである。
<28> インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である前記<16>から<27>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
−O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表す。kは5〜20の整数を表す。
−(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表す。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
<29> インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である前記<16>から<28>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<30> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<31> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<32> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<31>に記載のインクジェット記録装置である。
<33> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<34> 300dpi以上の解像度において、最大インク付着量が8〜20g/mである前記<33>に記載のインクジェット記録方法である。
<35> インクを飛翔させるインクジェットヘッドのインク吐出用開口部が形成されているプレート面に撥インク層を有する前記<33>から<34>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<36> 撥インク層が、フッ素系材料及びシリコーン系材料のいずれかを含有する前記<35>に記載のインクジェット記録方法である。
<37> 撥インク層の表面粗さ(Ra)が0.2μm以下である前記<35>から<36>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<38> インク吐出用開口部の中心線に垂直な平面での断面積がプレート基材表面から離れるにつれて漸次大きくなるように、該インク吐出用開口部が形成されている前記<35>から<37>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<39> 撥インク層の厚みが1Å(0.1nm)以上である前記<35>から<38>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<40> 撥インク層の臨界表面張力が5〜40mN/mである前記<35>から<39>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<41> 前記<16>から<29>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける記録用メディア上に、前記インクメディアセットにおけるインクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
本発明の記録用インクは、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであり、
前記記録用インクにおける、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msで4〜15ml/mであり、かつ接触時間400msで7〜20ml/mである。本発明の記録用インクにおいては、所定の表面張力と、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が所定の数値を有しているので、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像を記録することができる。
本発明の記録用メディアは、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜29ml/mである。本発明の記録用メディアによれば、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像記録を行うことができる。
本発明のインクメディアセットは、第1形態では、本発明の前記記録用インクと、本発明の前記記録用メディアとを有しいる。
本発明のインクメディアセットは、第2形態では、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有してなり、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/mであり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/mである。
本発明の第1及び第2形態に係るインクメディアセットにおいては、オフセット印刷用のコート紙に近い風合い、及び所定の吸液性を有する記録用メディアと、所定の表面張力を有するインクとを組み合わせることによって、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像を記録することができる。
本発明におけるインクカートリッジは、本発明の前記インクメディアセットにおける各インクを容器中に収容してなる。該インクカートリッジは、インクジェット記録方式によるプリンタ等に好適に使用される。該インクカートリッジに収容されたインクを用いて記録を行うと、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像が得られる。
本発明におけるインクジェット記録装置は、本発明の前記インクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有する。該インクジェット記録装置においては、前記インク飛翔手段が、本発明の前記インクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録する。その結果、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像の記録が行える。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含む。該インクジェット記録方法においては、前記インク飛翔工程が、本発明の前記インクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録する。その結果、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像の記録を行うことができる。
本発明のインク記録物は、本発明の前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に、前記インクメディアセットにおけるインクを用いて記録された画像を有してなる。該インク記録物においては、オフセット印刷用コート紙に近い風合い、及び所定の吸液性を有する記録用メディアと、所定のインクとを用いて、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像が前記記録用メディアに保持される。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、オフセット印刷用のコート紙に近い風合い、及び所定の吸液性を有する記録用メディアと、所定の表面張力を有する記録用インクとを組み合わせることによって、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング(文字や画線部の周囲に短いヒゲ状に発生したインクのはみ出し)、ブリード(滲み)の生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い記録画像が得られる記録用インク、インクメディアセット、及びインク記録物、並びにインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
(記録用インク)
本発明の記録用インクは、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、必要に応じて浸透剤、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記インクは、25℃における表面張力が、20〜35mN/mであり、23〜34mN/mがより好ましい。前記表面張力が20mN/m未満であると、本発明の記録用メディア上での滲みが顕著となったり、ノズルプレートがインクで濡れすぎる現象が生じるために安定したインクの吐出が得られないことがあり、35mN/mを超えると、記録用メディアへのインク浸透が十分に起こらず、ビーディングの発生や乾燥時間の長時間化を招くことがある。
ここで、前記表面張力は、例えば、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定することができる。
本発明において、前記ビーディングとは、インクジェット記録時にあるインク滴が記録用メディア表面に打たれてから、次のインク滴が打たれるまでの間に記録用メディア内部に吸収されきれずに、記録用メディアの表面に液体状態で残り、後から打たれたインク滴と混合することによりインク中の色材(有色顔料等)が部分的に塊となって濃度ムラができる現象をいう(図19参照)。この現象は最近の一般的なプリンタにおいては、前記接触時間が遅くとも100msまでの比較的短い時間までにおける記録用メディアへのインクの吸収量と関係があり、例えば、グリーン画像部では、イエロー(Y)インク(あるいは、シアン(C)インク)が打たれてから、Cインク(あるいは、Yインク)が打たれるまでの間におけるYインク(あるいは、Cインク)の記録用メディアへの吸収量(転移量)により、ビーディングの程度が変化する。
前記記録用インクにおいては、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msで4〜15ml/mであり、6〜14ml/mが好ましい。前記接触時間100msでの前記インクの転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
また、前記記録用インクにおいては、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間400msで7〜20ml/mであり、8〜19ml/mが好ましい。前記接触時間400msでの転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定する装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、インクの転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間における転移量の測定値から求めることができる。
−着色剤−
前記着色剤としては、顔料、染料、及び着色微粒子の少なくともいずれかを用いることが好ましい。
前記着色微粒子としては、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有させたポリマー微粒子の水分散物が好適に用いられる。
ここで、前記「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態及びポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。この場合、本発明のインクに配合される色材はすべてポリマー微粒子に封入又は吸着されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、該色材がエマルジョン中に分散していてもよい。前記色材としては、水不溶性又は水難溶性であって、前記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、前記「水不溶性又は水難溶性」とは、20℃で水100質量部に対し色材が10質量部以上溶解しないことを意味する。また、「溶解する」とは、目視で水溶液表層又は下層に色材の分離や沈降が認められないことを意味する。
前記色材を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記着色剤としては、例えば、水溶性染料、油溶性染料、分散染料等の染料、顔料等が挙げられる。良好な吸着性及び封入性の観点からは油溶性染料及び分散染料が好ましいが、得られる画像の耐光性からは顔料が好ましく用いられる。
なお、前記各染料は、ポリマー微粒子に効率的に含浸される観点から、有機溶剤、例えば、ケトン系溶剤に2g/リットル以上溶解することが好ましく、20〜600g/リットル溶解することがより好ましい。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料であり、好ましくは耐水性、及び耐光性に優れたものが用いられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142;C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249;C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94;C.I.フードイエロー 3,4;C.I.フードレッド 7,9,14;C.I.フードブラック 1,2などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102;C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシックブラック 2,8などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。なお、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類;銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カラー用のものとしては、黄色用では、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153、などが挙げられる。
マゼンタ用では、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、などが挙げられる。
シアン用では、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63等が挙げられる。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36などが挙げられる。
前記顔料としては、少なくとも1種の親水基が顔料の表面に直接若しくは他の原子団を介して結合した分散剤を使用することなく安定に分散させることができる自己分散型顔料が好適に用いられる。その結果、従来のインクのように、顔料を分散させるための分散剤が不要となる。前記自己分散型顔料としては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(ただし、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SOMがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
また、前記親水基中における「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記カチオン性親水基としては、例えば、第4級アンモニウム基が好ましく、下記に挙げる第4級アンモニウム基がより好ましく、これらのいずれかが顔料表面に結合されたものが色材として好適である。
前記親水基が結合されたカチオン性の自己分散型カーボンブラックを製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式で表されるN−エチルピリジル基を結合させる方法としては、カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法などが挙げられる。
前記親水基が、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM(ただし、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウムを表す)、−PhSOM(ただし、Phはフェニル基、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウムを表す)、−C10NH 等が挙げられる。
本発明においては、顔料分散剤を用いた顔料分散液を用いることもできる。
前記顔料分散剤としては、前記親水性高分子化合物として、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子;アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子;キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、などが挙げられる。半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子;デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子;非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂;水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらのエステルを重合してなるアクリル系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、又はスチレンと、他の親水基を有するモノマーとを共重合させてなるカルボキシル基を有する共重合体が特に好ましい。
前記共重合体の質量平均分子量は、3,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000が更に好ましい。
前記顔料と前記分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)は、1:0.06〜1:3が好ましく、1:0.125〜1:3がより好ましい。
前記着色剤の前記インクにおける添加量は、6〜15質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。前記添加量が6質量%未満であると、着色力の低下により、画像濃度が低くなったり、粘度の低下によりフェザリングや滲みが悪化することがあり、15質量%を超えると、インクジェット記録装置を放置しておいた場合等に、ノズルが乾燥し易くなり、不吐出現象が発生したり、粘度が高くなりすぎることにより浸透性が低下したり、ドットが広がらないために画像濃度が低下したり、ぼそついた画像になることがある。
−湿潤剤−
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種が好適である。
前記ポリオール化合物としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5ペンタンジオール、1、6ヘキサンジオール、グリセロール、1、2、6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオールなどが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記ラクタム化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記尿素化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種が挙げられる。前記尿素類の前記インクへの添加量は、一般的に0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)、多糖類、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースが好適であり、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースが特に好ましい。
前記多糖類とは、広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることができる。
前記糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(ただし、一般式:HOCH(CHOH)CHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す))、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが特に好ましい。前記糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビット、などが挙げられる。
これらの中でも、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンが好適であり、グリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−ピロリドンが特に好ましい。
前記湿潤剤の前記インク中における含有量は、10〜50質量%が好ましく、20〜35質量%がより好ましい。前記含有量が少なすぎると、ノズルが乾燥しやすくなり液滴の吐出不良が発生することがあり、多すぎるとインク粘度が高くなり、適正な粘度範囲を超えてしまうことがある。
−浸透剤−
前記浸透剤としては、ポリオール化合物やグリコールエーテル化合物等の水溶性有機溶剤が用いられ、特に、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかが好適に用いられる。
前記ポリオール化合物の炭素数が8未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録用メディアを汚したり、記録用メディア上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがある。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、などが好適である。
前記グリコールエーテル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記浸透剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられ、
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−ジオールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。具体的には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン、などが挙げられる。
これら界面活性剤の中でも、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)で示される界面活性剤が好適である。
−O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表し、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表し、炭素数5〜16の分岐していてもよいアルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基を表す。kは5〜20の整数を表す。
−(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、炭素数6〜14のアルキル基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
以下、前記構造式(I)、及び(II)の界面活性剤を具体的に遊離酸型で示す。
(I−1):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−2):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−3):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−4):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
前記フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(A)で表されるものが好適である。
CFCF(CFCF)―CHCHO(CHCHO)H・・・一般式(A)
ただし、前記一般式(A)中、mは、0〜10の整数を表す。nは、1〜40の整数を表す。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、近年問題視されているフッ素化合物の生体蓄積性についても低く安全性の高いものであり、特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業社製)、ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもデュポン社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス社製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好な点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(デュポン社製)が特に好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂エマルジョン、アミノプロパンジオール化合物、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
−樹脂エマルジョン−
前記樹脂エマルジョンは、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
前記分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は一般的には10〜70質量%が好ましい。また、前記樹脂微粒子の粒径は、特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、平均粒径10〜1000nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
前記分散相の樹脂微粒子成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられ、これらの中でも、アクリルシリコーン系樹脂が特に好ましい。
前記樹脂エマルジョンとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素社製)などが挙げられる。
前記樹脂エマルジョンにおける樹脂微粒子成分の前記インクにおける添加量としては、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、耐目詰まり性及び吐出安定性の向上効果が十分でないことがあり、50質量%を超えると、インクの保存安定性を低下させてしまうことがある。
前記アミノプロパンジオール化合物は、水溶性の有機塩基性化合物であり、例えば、アミノプロパンジオール誘導体が好適である。
前記アミノプロパンジオール誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ、これらの中でも、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
前記アミノプロパンジオール化合物の前記インクにおける添加量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5.0質量%がより好ましく、0.1〜2.0質量%が更に好ましい。前記添加量が多すぎると、pHが高くなり、粘度が上昇する等のデメリットが生じることがある。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
前記pH調整剤としては、インクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。
該pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化
物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、などが挙げられる。
本発明のインクメディアセットにおけるインクは、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤、必要に応じて浸透剤、界面活性剤、その他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
前記インクの粘度は、25℃で、2mPa・s以上が好ましく、普通紙に記録した場合の文字品位等の画像品質まで考慮すると、25℃で、5mPa・s以上が好ましく、8〜20mPa・sがより好ましい。前記粘度が20mPa・sを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。
前記インクのpHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
前記インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
(記録用メディア)
本発明の記録用メディアは、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記記録用メディアにおいては、動的走査吸液計で測定した純水の前記記録用メディアへの転移量は、2〜26ml/mであり、4〜26ml/mが好ましく、8〜25ml/mがより好ましい。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
また、動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、3〜29ml/mであり、5〜29ml/mが好ましく、10〜28ml/mがより好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水の転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間における転移量の測定値から求めることができる。
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
前記紙としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材パルプ、古紙パルプなどが用いられる。前記木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、NBSP、LBSP、GP、TMPなどが挙げられる。
前記古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙などの紙や板紙の古紙であって、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組み合わせから製造される。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(メディア)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
−塗工層−
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径は0.2〜3.0μmが好ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
前記バインダーとしては、水性樹脂を使用するのが好ましい。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかが好適に用いられる。前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが特に好ましい。
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体、などが挙げられる。また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。これら水性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。
前記水性樹脂の添加量は、前記顔料100質量部に対し、2〜100質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましい。前記水性樹脂の添加量は前記記録用メディアの吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
前記着色剤として水分散性の着色剤を使用する場合には、カチオン性有機化合物は必ずしも配合する必要はないが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択使用することができる。例えば、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、オリゴマー又はポリマーが好ましい。
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用するのが好ましい。併用することにより、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
前記カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は3〜8meq/gが好ましい。前記カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分で0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量は、0.3〜2.0g/mが好ましい。前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量が0.3g/m未満であると、充分な画像濃度向上やフェザリング低減の効果が得られないことがある。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン活性剤が特に好ましい。前記界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
前記非イオン活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン活性剤のHLB(親水性/親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、前記カチオン性有機化合物100質量部に対し、0〜10質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
前記塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。該その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。
前記塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記支持体上に塗工層液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。前記塗工層液の含浸又は塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、キャストコーターなどの各種塗工機で塗工することができる。これらの中でも、コストの点から、抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで含浸又は付着させ、オンマシンで仕上げる方法が好ましい。
前記塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分で、0.5〜20g/mが好ましく、1〜15g/mがより好ましい。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
前記塗工層液を塗布し、乾燥させた後、各種キャレンダー装置にて平滑化処理が施される。前記キャレンダー装置としては、例えばスーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダーなどが挙げられる。前記キャレンダー処理の条件としては、剛性ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。前記キャレンダー装置としては、コーターと別であるオフタイプと、コーターと一体となっているオンタイプがあるが、どちらも使用できる。使用するキャレンダー装置の材質は、剛性ロールでは金属又はその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールである。弾性ロールではウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールが適宜使用される。なお、キャレンダーによる仕上げ後の塗被紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組合せて使用することも勿論可能である。キャストコーターであれば、平滑化処理は塗工及び乾燥と同時になされる。
前記平滑化処理の程度は、記録用メディアに求められる光沢度によっても変わる。グロスタイプであれば、光沢度は、60°鏡面光沢度で、概ね10〜90程度になるように調整される。
本発明の記録用メディアの塗工層の細孔径は、0.5μm以下であることが好ましい。前記細孔径が0.5μm以下であると、着色剤がインク中に分散しているインクであれば、塗工層と着色剤自体のフィルター作用により、着色剤が記録用メディアの塗工層表面に残留するので、高い画像濃度や画像光沢が発現できる。
前記記録用メディアは、更に支持体の裏面にバック層、支持体と塗工層との間、また、支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
本発明の記録用メディアの坪量は、40〜300g/mが好ましく、50〜250g/mがより好ましい。前記坪量が40g/m未満であると、コシ(剛度)がないために搬送経路の途中で記録用メディアが詰まってしまうなどの搬送不良が生じやすいことがあり、300g/mを超えると、コシが大きくなりすぎるため搬送経路の途中にある曲線部で記録用メディアが曲がりきれず摩擦抵抗が増大するため、やはり記録用メディアが詰まってしまうなどの搬送不良が生じやすいことがある。
本発明の記録用メディアは、吸液特性が上記本発明の範囲であれば、インクジェット記録用メディアの他、市販のオフセット印刷用コート紙、グラビア印刷用コート紙などであってもよい。
(インクメディアセット)
本発明のインクメディアセットは、第1形態では、本発明の前記記録用インクと、本発明の前記記録用メディアとを組み合わせてなる。
本発明のインクメディアセットは、第2形態では、少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有してなり、
動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/mであり、6〜14ml/mが好ましい。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
また、動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける本発明の前記インクの前記記録用メディアへの転移量は、7〜20ml/mであり、8〜19ml/mが好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
前記吸液性試験に使用する液体によって記録用メディアへの転移量は変化するが、液体が純水の場合には、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、2〜26ml/mが好ましく、4〜26ml/mがより好ましく、8〜25ml/mが更に好ましい。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
また、動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、3〜29ml/mが好ましく、5〜29ml/mがより好ましく、10〜28ml/mが更に好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
なお、本発明の記録用インク及び本発明の記録用メディアの詳細については、上述したとおりである。
本発明の第1及び第2形態に係るインクメディアセットにおいては、オフセット印刷用のコート紙に近い風合い、及び所定の吸液性を有する記録用メディアと、所定の表面張力を有するインクとを組み合わせることによって、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い画像を記録することができる。
本発明の記録用インクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
以上説明したように、本発明の記録用インク、本発明の記録用メディア、本発明のインクメディアセットは、各種分野において好適に使用することができ、インクジェット記録方式による画像記録装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、以下の本発明のインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法に特に好適に使用することができる。
(インクカートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インク又は本発明の前記インクメディアセットにおける各記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
次に、インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は図1のインクカートリッジのケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクメディアセットにおける各記録用インクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができ、また、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
(インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段、などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程、などを含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
−インク飛翔工程及びインク飛翔手段−
前記インク飛翔工程は、本発明の前記インクメディアセットにおけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて本発明の前記記録用メディア及び前記インクメディアセットにおける記録用メディアのいずれかに画像を記録する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記インクメディアセットにおけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて本発明の前記記録用メディア及び前記インクメディアセットにおける記録用メディアのいずれかに画像を記録する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、インクジェットノズルのノズル径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmが好ましい。また、インクジェットヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法では、300dpi以上の解像度において、最大インク付着量が8〜20g/mであることが好ましい。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等、などが挙げられる。
前記インクメディアセットにおける各インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、インクジェットヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該インクジェットヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えばインクジェットヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記インクジェットヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
前記飛翔させる前記インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3〜40plとするのが好ましく、その吐出噴射の速さとしては5〜20m/sが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上が好ましく、その解像度としては300dpi以上が好ましい。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明のインクメディアセットに用いられるインクのように、比較的低い表面張力を有するインクを用いる場合には、インクジェットヘッドのノズルプレートが撥水性、撥インク性に優れていることが好ましい。これは、撥水性、撥インク性に優れるノズルプレートを用いることにより、低い表面張力のインクでもインクのメニスカスが正常に形成でき、インク滴の形成(粒子化)が良好にできるためである。メニスカスが正常に形成されると、インクが噴射する際に一方方向にインクが引っ張られることがなくなり、その結果、インクの噴射曲がりが少なく、ドット位置精度が高い画像を得ることができる。
また、本発明のインクメディアセットに用いられる記録用メディア(用紙)のように、吸収性が低い記録用メディアに印刷する際にはドット位置精度の善し悪しが画像品質に顕著に現れる。つまり、吸収性が低い記録用メディアの上ではインクが広がりづらいため、ドット位置精度が少しでも低くなると記録用メディアをインクが埋めきらない箇所、つまり、白抜け部が生じてしまう。この埋めきれない箇所は画像濃度ムラ、画像濃度低下につながり、画像品質の低下に現れる。
ところが、本発明で用いるインクジェットヘッドは低表面張力のインクを用いてもドット位置精度が高いため、吸収性が低いメディアを用いてもインクがメディアを埋めることができるため、画像濃度ムラや画像濃度低下にならず、高い画像品質の印刷物を得ることができる。
本発明で用いられる撥インク層の表面粗さ(Ra)は、0.2μm以下が好ましい。表面粗さRaを0.2μm以下にすることで、ワイピング時の拭き残しを低減することができる。
図8、及び図9A〜図9Cは、本発明に用いられるインクジェットヘッドのノズル板の断面図である。
本実施形態では、インクジェットヘッドのプレート基材であるノズル板32がNiの電鋳により作製され、その表面に膜厚1Å(0.1nm)以上のシリコーン樹脂皮膜である撥インク層31が形成されており、その表面粗さはRa=0.2μm以下にすることが好ましい。また、撥インク層31の膜厚は0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
インク3の充填時には、図9Cに示すように、シリコーン樹脂皮膜による撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される。
インクジェットヘッドのインク吐出用の開口部(ノズル)が開設されたプレート面に形成された撥インク層は、該開口部近傍における該開口部の中心線に垂直な平面での撥インク層の断面積が、プレート基材表面から離れるにつれて漸次大きくなっていくように形成されている。
前記撥インク層の開口部近傍における形状は、曲面形状であることが好ましい。また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部近傍の曲線の曲率半径が、該撥インク層の厚み以上であることが好ましい。
また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部縁端から当該開口部近傍の曲線が略円弧曲線をなし、該円弧の曲率半径が、該撥インク層の厚み以上であることが好ましい。
また、前記開口部の中心線を含む平面での断面における撥インク層の当該開口部縁端を通る接線が、当該端部を含むノズル部材表面からの角度が90度未満であることが好ましい。
ノズル板32の開口部は、図9A〜図9C中に一点鎖線で示す中心線に垂直な平面による断面が、この中心線を中心とした略円形となるよう開設されている。また、ノズル板32におけるインク吐出面に形成された撥インク層31は、この中心線に垂直な平面による開口部分の断面積がノズル板32から離れるにつれて漸次大きくなっていくよう形成されている。
より詳細には、撥インク層31の開口部分は、図9Aに示すように、ノズル板32の開口部縁端から開口部近傍の曲線が曲率半径rのラウンド形状となっている。この曲率半径rは、撥インク層31の開口部分近傍以外における厚みd以上であることが好ましい。
この厚みdは、撥インク層31の開口部分であるラウンド部分以外の部分における厚みであり、好ましくは撥インク層の最大厚みであってよい。
このように、ノズル板32の開口部と連接される撥インク層31の開口部分が、略尖鋭端のない形状(尖形部分のないなめらかな曲線)で、引っ掛かり部分のない曲線になっていることにより、ゴムなどの材料で形成されたワイパーでワイピングした場合であっても、尖形部分がワイパーに引っ掛かって撥インク層31がノズル板32から剥離するといった不具合のないようすることができる。
また、図9Bに示すように、ノズル板32の開口部の中心線を含む平面での断面における、撥インク層31の開口部分縁端を通る接線は、この開口部分縁端に連接されるノズル板32の開口部縁端を含むノズル板32表面からの角度θが90度未満となっていることが好ましい。
このように、撥インク層31の開口部分縁端での接線とノズル板表面32との角度θが90度未満であることにより、図9Cに示すように、撥インク層31とノズル板32との境界部分にメニスカス(液面)Pが安定的に形成され、他の部分にメニスカスPが形成される可能性を大きく減らすことができる。その結果、メニスカスの形成面を安定させることができるため、ノズル板32を含むインクジェットヘッドを用いた画像形成装置で画像形成を行う際のインクの噴射安定性を良好なものとすることができる。
本実施形態で用いるシリコーン樹脂としては、室温硬化型の液状シリコーンレジンが好ましく、加水分解反応を伴うものがより好ましい。後述する実施例では東レ・ダウコーニング株式会社製のSR2411を用いた。
下記の表1は、本実施形態でのインクジェットヘッドでの撥インク層31における、ノズル板32の開口部縁端から開口部縁端近傍の形状と、ノズル周囲のインク溜まり、エッジ剥離、噴射安定性に関して評価した結果である。
表1の結果から、撥インク層31のエッジ部(開口部分縁端近傍)に略尖鋭端が含まれる形状のものでは、ノズル周囲にインク溜まりが見られ、ワイピングによるエッジの剥離が発生した。
ラウンド形状のものでは、何れもインク溜まりは発生しなかったが、比較として、図10Aに例示するようなr<dのものでは一部エッジの剥離が発生し、図10Bに例示するようなθ>90度のものでは液滴の噴射が不安定な結果であった。
また、図10Cに示すように、r<dのものや、θ>90度のものでは、インクの充填時に、撥インク層31とノズル板32の境界部分にメニスカス(液面)Pが形成される場合と、撥インク層31’における開口部分中心に向けての凸部(開口部分における中心線に垂直な断面積が最も小さくなる部分)にメニスカスQが形成される場合がある。このため、ノズル板32を含むインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置で画像記録を行う際のインクの噴射安定性にばらつきが発生してしまうことがある。
次に、上述した本実施形態に係るインクジェットヘッドのノズル部材の製造方法について説明する。
図11は、本実施形態に係るディスペンサ34を用いた塗布により、シリコーン樹脂を塗布して撥インク層31を形成する構成を示す図である。
Ni電鋳によるノズル32のインク吐出面側にシリコーン溶液を塗布するためのディスペンサ34が配置され、ノズル板32とニードル35先端とが予め定められた一定の距離間隔を保ったままとなるように、ニードル35先端からシリコーンを吐出しながらディスペンサ34を走査することにより、上述した図8、及び図9A〜図9Cに示したようにノズル板32のインク吐出面に選択的にシリコーン樹脂皮膜を形成することができた。
本実施形態で使用したシリコーン樹脂は、常温硬化型シリコーンレジンSR2411(東レ・ダウコーニング株式会社製、粘度:10mPa・s)を用いた。ただし、ノズル孔及びノズル板裏面に若干のシリコーンの周り込みが見られた。このようにして選択的に形成したシリコーン樹脂皮膜の厚みは1.2μmであり、表面粗さ(Ra)は0.18μmであった。
本実施形態に係るニードル35先端の塗布口は、図12Aに示すように、塗布対象であるノズル板32への塗布幅だけの幅が確保されている。このことにより、ディスペンサ34を塗布方向に1回走査するだけで、塗布対象全体への塗布を完了させることができる。
即ち、塗布動作のための走査方向を1方向のみとすることができ、図12Bのように方向を変えたり、反対方向に走査したりといった必要を無くすることができる。
ここで、一般のニードル35の先端は、図12Bに示すように、塗布対象であるノズル板32への塗布幅よりはるかに狭いため、塗布対象全体への塗布を完了させるためには、塗布動作のための走査方向を90度変えて移動させたり、反対方向に走査したりして複数方向に走査する必要があり、塗布対象全体への均一な厚みでの塗布が困難であった。
本実施形態によれば、ニードル35先端の塗布口の幅が塗布対象であるノズル板32への塗布幅だけ確保されることにより、塗布対象全体に渡って塗布する厚みを均一とすることができ、精度のよい表面仕上がりとすることができる。
図13は、本実施形態に係るディスペンサ34を用いた塗布動作を示す図である。基本構成は図11と同様であるが、ノズル板32のノズル孔(開口部)から気体36を噴射しながらシリコーンを塗布する。この気体36としては、塗布するシリコーンと化学反応を起こしにくい気体であれば各種のものを用いてよく、例えば空気であってもよい。
このように気体36をノズル孔から噴射しながら塗布を行うことにより、ノズル板32のノズル孔を除くノズル表面だけにシリコーン樹脂皮膜を形成することができる。
また、上述のように気体36を噴射しないで同様のシリコーン樹脂を用いて塗布し、予め定められた深さまでシリコーン樹脂が進入した後、ノズル32から気体36を噴射させると、図14に示すように、ノズル内壁の所望の深さ(例えば数μm程度)までシリコーン樹脂の撥インク層を形成することができる。即ち、上述したインク吐出面の撥インク層31に加えて、ノズル板32の開口部縁端から予め定められた深さまでごく薄い撥インク層31a(開口部内壁の撥インク層)を形成することができる。
このようにして作製したノズル板の撥インク層31に対して、EPDMゴム(ゴム硬度50度)を用いてワイピングを実施した。その結果、1000回のワイピングに対してもノズル板の撥インク層31は、良好な撥インク性を維持することができた。また撥インク層が形成されたノズル部材を、70℃のインクに14日間浸漬処理した。その結果、その後も初期と変わらない撥インク性を維持することができた。
図15は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す図であり、エキシマレーザ加工でノズル孔が形成された状態を示している。ノズル板43は樹脂部材121と高剛性部材125とを熱可塑性接着剤126で接合したもので、樹脂部材121の表面はSiO薄膜層122とフッ素系撥水層123を順次積層形成したものであり、樹脂部材121に所要径のノズル孔44を形成し、高剛性部材125にはノズル孔44に連通するノズル連通口127を形成している。SiO薄膜層122の形成には、比較的熱のかからない、即ち、樹脂部材に熱的影響の発生しない範囲の温度で成膜可能な方法で形成する。具体的にはスパッタリング、イオンビーム蒸着、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)、P−CVD(プラズマ蒸着法)などが好適である。
SiO薄膜層122の厚みは、密着力が確保できる範囲で必要最小限の厚さとするのが工程時間,材料費から見て有利である。この膜厚があまり厚くなると、エキシマレーザでのノズル孔加工に支障がでてくる場合があるからである。即ち、樹脂部材121はきれいにノズル孔形状に加工されていても、SiO薄膜層122の一部が十分に加工されず、加工残りになることがある。したがって、具体的には密着力が確保でき、エキシマレーザ加工時にSiO薄膜層122が残らない範囲として、膜厚1Å〜300Å(0.1〜30nm)の範囲が適しているといえる。より好適には、10Å〜100Å(1〜10nm)の範囲が適している。実験結果では、SiO膜厚が30Å(3nm)でも密着性は十分であり、エキシマレーザによる加工性についてはまったく問題がなかった。また、300Å(30nm)では僅かな加工残りが観察されたが使用可能範囲であり、300Å(30nm)を超えるとかなり大きな加工残りが発生し、使用不可能なほどのノズル異形が見られた。
前記撥インク層の材料はインクをはじく材料であればいずれも用いることができるが、具体的には、フッ素系撥水材料、シリコーン系撥水材料を挙げることができる。
前記フッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、パーフルオロポリオキセタン及び変性パーフルオロポリオキセタンの混合物(ダイキン工業社製、商品名:オプツールDSX)を1Å〜30Å(0.1〜3nm)の厚さに蒸着することで必要な撥水性を得ている。実験結果では、オプツールDSXの厚さは、10Å、20Å、30Åでも撥水性,ワイピング耐久性能に差は見られなかった。よって、コストなどを考慮するとより好適には、1Å〜20Å(0.1〜2nm)が好ましい。但し、使用するインクによっては信頼性の観点から撥水膜厚を厚くした方がより長期間性能維持ができることもあるので、その場合には100Å〜200Å(10〜20nm)の厚さにするのが好ましい。また、フッ素系撥水層123の表面には樹脂製のフィルムに粘着材を塗布した粘着テープ124が貼り付けられていて、エキシマレーザ加工時の補助機能をはたしている。また、シリコーン系撥水材料を用いることもできる。
前記シリコーン系撥水材料としては、室温硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーがあり、基材表面に塗布され、室温で大気中に放置することにより重合硬化して撥インク性の皮膜が形成されることが好ましい。
上記したシリコーン系撥水材料は加熱硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、加熱処理することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
シリコーン系撥水材料は紫外線硬化型の液状シリコーンレジンもしくはエラストマーであり、基材表面に塗布され、紫外線を照射することにより硬化し撥インク性の皮膜を形成することであってもよい。
シリコーン系撥水材料の粘度が1,000cp(センチポイズ)以下であることが好ましい。
図16は、ノズル孔を加工する際に使用するエキシマレーザ加工機の構成を示した図で、レーザ発振器81から射出されたエキシマレーザビーム82はミラー83,85,88によって反射され、加工テーブル90に導かれている。レーザビーム82が加工テーブル90に至るまでの光路には、加工物に対して最適なビームが届くように、ビームエキスパンダ84、マスク86、フィールドレンズ87、結像光学系89が所定の位置に設けられている。加工物(ノズルプレート)91は加工テーブル90の上に載置され、レーザビームを受けることになる。加工テーブル90は、周知のXYZテーブル等で構成されていて、必要に応じて加工物91を移動し所望の位置にレーザビームを照射することができるようになっている。ここでレーザは、エキシマレーザを利用して説明したが、アブレーション加工が可能である短波長な紫外光レーザであれば、種々なレーザが利用可能である。
図17A〜図17Eは、本発明のインクジェットヘッドの製造方法におけるノズル板製造工程を模式的に示した図である。
図17Aは、ノズル形成部材の基材となる材料を示しており、ここでは、樹脂フィルム121として、例えばDupont社製ポリイミドフィルムであるカプトン(商品名)の粒子無しのフィルムを使用している。一般的なポリイミドフィルムはロールフィルム取り扱い装置での取り扱い性(滑り性)からフィルム材料の中にSiO(シリカ)などの粒子が添加されている。エキシマレーザでノズル孔加工を行う場合には、SiO(シリカ)の粒子がエキシマレーザによる加工性が悪いためノズル異形が発生することがある。よって、本発明では、SiO(シリカ)の粒子が添加されていないフィルムを使用している。また、プレート基材材料として宇部興産製ポリイミドフィルムであるユーピレックスを使用してもよい。ユーピレックスは粒子が非常に微細であり、加工に支障が出ないためそのまま使用可能である。
図17Bは、樹脂フィルム121の表面にSiO薄膜層122を形成する工程を示す図である。このSiO薄膜層122の形成は真空チャンバ内で行われるスパッタリング工法が適しており、膜厚は1Å〜300Å(0.1〜30nm)程度が適している。ここでは10Å〜100Å(1〜10nm)の厚さに形成している。スパッタリングの方法としては、Siをスパッタした後、Si表面にOイオンを当てることでSiO膜を形成する方法を用いることが、SiO膜の樹脂フィルム121への密着力が向上すると共に、均質で緻密な膜が得られ、撥水膜のワイピング耐久性向上により効果的である。
図17Cは、フッ素系撥水剤123aを塗布する工程を示す図である。塗布方法としては、スピンコータ、ロールコータ、スクリーン印刷、スプレーコータなどの方法が使用可能であるが、真空蒸着で成膜する方法が撥水膜の密着性を向上させることにつながるので、より効果的である。また、その真空蒸着は、図17BでのSiO薄膜層122を形成した後、そのまま真空チャンバ内で実施することで更によい効果が得られる。従来は、SiO薄膜層122を形成後、一旦真空チャンバからワークを取り出すので、不純物などが表面に付着することにより密着性が損なわれるものと考えられる。なお、フッ素系撥水材料については、いろいろな材料が知られているが、ここでは、フッ素非晶質化合物としてパーフルオロポリオキセタン、変形パーフルオロポリオキセタン又は双方の混合物を使用することで、インクに対する必要な撥水性を得ることができる。前述のダイキン工業社製「オプツールDSX」は「アルコキシシラン末端変性パーフルオロポリエーテル」と称されることもある。
図17Dは、撥水膜蒸着後の空中放置工程を示す図である。この工程により、フッ素系撥水剤123aとSiO薄膜層122とが、空気中の水分を仲介として化学的結合をし、フッ素系撥水層123が形成される。
図17Eは、粘着テープ124を貼り付ける工程を示す図である。フッ素系撥水層123の塗布された面に粘着テープ124を貼り付ける。この粘着テープ124を貼るときには気泡が生じないように貼り付ける。気泡があると、気泡のある位置に開けたノズル孔は、加工時の付着物などで品質のよくないものになってしまうことがあるからである。
図17Fは、ノズル孔44の加工工程を示す図である。この工程では、ポリイミドフィルム121側からエキシマレーザを照射してノズル孔44を形成する。ノズル孔44の加工後は、粘着テープ124を剥がして使用する。なお、ここでは、図15で説明したノズル板43の剛性を上げるために用いられる高剛性部材125は説明を省略したが、この工程に適用すれば、図17D工程と図17E工程の間に実施するのが適当である。
図18は、本発明におけるインクジェットヘッド製造方法によりインクジェットヘッドを製造する際に使用する装置についての概要を示す図である。
この装置は、米国のOCLI(OPTICAL COATING LABORATORY INC.)が開発した、「メタモードプロセス」と呼ばれる工法を装置化したものであり、ディスプレイなどの反射防止膜や防汚膜の作製に使用されている。図18に示すように、ドラム210の周囲4個所にステーションであるSiスパッタ202、Oイオンガン203、Nbスパッタ204、オプツール蒸着205が配置されて、全体が真空引きできるチャンバの中にある。まず、Siスパッタ202によりSiをスパッタし、その後、Oイオンガン203によりOイオンをSiに当ててSiOとする。その後、Nbスパッタ204、オプツール蒸着205でNb,オプツールDSXを適宜蒸着する。反射防止膜の場合は、NbとSiOを所定の厚さで必要層数重ねた後蒸着する。本発明の場合は、反射防止膜の機能は必要ないので、Nbは不要でSiO,オプツールDSXを1層ずつ付ければよい。この装置を使用することで、上述したように、SiO薄層122を形成した後、そのまま真空チャンバ内でオプツールDSXの真空蒸着を実施するのが可能となる。
前記撥インク層の臨界表面張力は5〜40mN/mが好ましく、5〜30mN/mがより好ましい。前記臨界表面張力が30mN/mを超えると、長期の使用においてノズルプレートがインクで濡れすぎる現象が生じるため、繰り返し印刷をしているとインクの吐出曲がりや粒子化異常が生じてしまうことがあり、40mN/mを超えると、初期からノズルプレートに対してインクが濡れすぎる現象が生じるため、初期からインクの吐出曲がりや粒子化異常が生じてしまうことがある。
実際に、表2に示す撥インク材料をアルミニウム基盤上に塗布し、加熱乾燥することで撥インク層付きノズルプレートを作製した。撥インク層の臨界表面張力を測定したところ表2のようになった。
ここで、前記臨界表面張力はZisman法により求めることができる。つまり、表面張力が既知の液体を撥インク層の上にたらし、接触角θを測定し、液体の表面張力をx軸にcosθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる(Zisman Plot)。この直線がY=1(θ=0)となるときの表面張力を臨界表面張力γcとして算出することができる。その他の方法としては、Fowkes法、Owens and Wendt法、Van Oss法を用いて臨界表面張力を求めることもできる。
また、前記ヘッド作製方法と同様に撥インク層付きノズルプレートを用いてインクジェットヘッドを作製した。これに下記のシアンインク(後述する製造例1のシアンインク)を用いてインクを噴射させた。インクの飛翔過程をビデオ撮影して観察したところ、いずれのノズルプレートを用いた場合にも正常に粒子化しており、吐出安定性が良好であることが確認できた。結果を表2に示す。
<シアンインク>
銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
ここで、本発明のインクジェット記録装置により本発明のインクジェット記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略図である。この図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
装置本体101内には、図4及び図5に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図5で矢示方向に移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットインクジェットヘッドからなるインクジェットヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
インクジェットヘッド134を構成するインクジェットインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ133には、インクジェットヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部104に装填された本発明のインクカートリッジ201から、本発明の前記インクメディアセットにおける各インクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142をインクジェットヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚み40μm程度の樹脂材、例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
搬送ベルト151の裏側には、インクジェットヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、インクジェットヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱可能に装着されている。両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に、先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じてインクジェットヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
このインクジェット記録装置においては、本発明のインクカートリッジ201中のインクを使い切ったときには、インクカートリッジ201における筐体を分解して内部のインク袋だけを交換することができる。また、インクカートリッジ201は、縦置きで前面装填構成としても、安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したり、あるいは装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ201の交換を容易に行うことができる。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
更に、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法においては、印刷速度を高めて印刷する場合等に、記録後のインクの乾燥が不十分なために発生するおそれのあるインクによる記録装置の汚れや、記録用メディアへのオフセット汚れを回避するために、プリンタ等の装置内又は外部に乾燥促進手段(乾燥装置とも云う)を併用することができる。乾燥促進手段としては、特別な熱発生源のない送風手段のみのもの、ハロゲンランプやその他のヒーター等の熱発生源のみのもの、熱発生源と送風手段とを組み合わせたもの、マイクロ波乾燥装置等が好ましく適用できる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
以下、本発明を適用したインクジェットヘッドについて説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの要素拡大図、図7は、同ヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、インク供給口(不図示)と共通液室1bとなる彫り込みを形成したフレーム10と、流体抵抗部2a、加圧液室2bとなる彫り込みとノズル3aに連通する連通口2cを形成した流路板20と、ノズル3aを形成するノズル板と、凸部6a、ダイヤフラム部6b及びインク流入口6cを有する振動板60と、該振動板60に接着層70を介して接合された積層圧電素子50と、該積層圧電素子50を固定しているベース40を備えている。
ベース40はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子50を2列配置して接合している。
積層圧電素子50は、厚み10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚み数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層している。内部電極層は両端で外部電極に接続する。
積層圧電素子50はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部5fと支持部5g(非駆動部)として使用する。外部電極の外側はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており共通電極となる。
駆動部の個別電極にはFPC8が半田接合されている。また、共通電極は積層圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPC8のGnd電極に接合している。FPC8には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部5fへの駆動電圧印加を制御している。
振動板60は、薄膜のダイヤフラム部6bと、このダイヤフラム部6bの中央部に形成した駆動部5fとなる積層圧電素子50と接合する島状凸部(アイランド部)6aと、支持部に接合する梁を含む厚膜部と、インク流入口6cとなる開口を電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成している。ダイヤフラム部の厚みは3μm、幅は35μm(片側
)である。
この振動板60の島状凸部6aと積層圧電素子50の駆動部5f、振動板60とフレーム10の結合は、ギャップ材を含んだ接着層70をパターニングして接着している。
流路板20はシリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部2a、加圧液室2bとなる彫り込み、及びノズル3aに対する位置に連通口2cとなる貫通口をエッチング工法でパターニングした。
エッチングで残された部分が加圧液室2bの隔壁2dとなる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部2aとした。
ノズルプレート30は、金属材料、例えば、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル3aを多数形成している。このノズル3aの内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい)に形成されている。また、このノズル3aの径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmである。また各列のノズルピッチは150dpiとした。
このノズルプレート30のインク吐出面(ノズル表面側)は、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層3bを設けている。PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えば、フッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。また、これらの中でも、例えば、フッ素系樹脂としては、色々な材料が知られているが、変性パーフルオロポリオキセタン(ダイキン工業株式会社製、商品名:オプツールDSX)を厚みが30〜100Åとなるように蒸着することで良好な撥水性を得ることができる。
インク供給口と共通液室1bとなる彫り込みを形成するフレーム10は樹脂成形で作製している。
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部5fに駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部5fに積層方向の変位が生起し、振動板60を介して加圧液室2bが加圧されて圧力が上昇し、ノズル3aからインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室2b内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室2b内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室1bに流入し、共通液室1bからインク流入口6cを経て流体抵抗部2aを通り、加圧液室2b内に充填される。
流体抵抗部2aは、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による再充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くすることができる。
(インク記録物)
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、本発明の前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に、前記インクメディアセットにおけるインクを用いて記録された画像を有してなる。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
−銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃にて1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。次に、ポリマー溶液の一部を乾燥し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(標準:ポリスチレン、溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したところ、質量平均分子量は15,000であった。
次に、得られたポリマー溶液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に攪拌した。その後、3本ロールミル(株式会社ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0質量%の青色のポリマー微粒子分散体160gを得た。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
(調製例2)
−ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例1において、銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更した以外は、調製例1と同様にして、赤紫色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
(調製例3)
−モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例1において、銅フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更した以外は、調製例1と同様にして、黄色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
(調製例4)
−スルホン化剤処理したカーボンブラック分散体の調製−
市販のカーボンブラック顔料(デグサ社製、「プリンテックス#85」)150gをスルホラン400ml中によく混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140〜150℃で10時間攪拌した。得られたスラリーをイオン交換水1000ml中に投入し、12,000rpmで遠心分離機により表面処理カーボンブラックウェットケーキを得た。得られたカーボンブラックウェットケーキを2,000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムにてpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮して顔料濃度10質量%のカーボンブラック分散体とし、平均孔径1μmのナイロンフィルターで濾過し、カーボンブラック分散体を得た。
得られたカーボンブラック分散体について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は80nmであった。
(調製例5)
−カーボンブラック含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例1の銅フタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社製、FW100)に変更した以外は、調製例1と同様にして、黒色のポリマー微粒子分散体を作製した。得られたポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は104nmであった。
(実施例1)
−シアンインクの作製−
調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
(実施例2)
−マゼンタインクの作製−
調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン9.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、マゼンタインクを調製した。
(実施例3)
−イエローインクの作製−
調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール24.5質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、イエローインクを調製した。
(実施例4)
−ブラックインクの作製−
調製例4のカーボンブラック分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン7.5質量%、2−ピロリドン2.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、フッ素系界面活性剤としてのFS−300(DuPont社製)2.5質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、及び2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上によりブラックインクを調製した。
(比較例1)
−シアンインクの作製−
調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、シアンインクを調製した。
(比較例2)
−マゼンタインクの作製−
調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン9.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、マゼンタインクを調製した。
(比較例3)
−イエローインクの作製−
調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール24.5質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、イエローインクを調製した。
(比較例4)
−ブラックインクの作製−
調製例4のカーボンブラック分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン7.5質量%、2−ピロリドン2.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、防腐防カビ剤としてのプロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、及び2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とした。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。以上により、ブラックインクを調製した。
(実施例5)
−シアンインクの作製−
下記処方のインク組成物を作製し、pHが9になるように水酸化リチウム10質量%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、シアンインクを作製した。
・調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・トリエチレングリコール・・・22.5質量%
・グリセリン・・・7.5質量%
・2−ピロリドン・・・5.0質量%
・下記(I−1)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−1):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤:有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
(実施例6)
−マゼンタインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、水酸化ナトリウムでpHを9に調整して、マゼンタインクを作製した。
・調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・プロピレングリコール・・・30.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・N−メチル−2−ピロリドン・・・2.0質量%
・下記(I−2)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−2):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤:有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
(実施例7)
−イエローインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、水酸化リチウムでpHを9に調整して、イエローインクを作製した。
・調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・1,3−ブタンジオール・・・22.5質量%
・グリセリン・・・7.5質量%
・2−ピロリドン・・・5.0質量%
・下記(I−4)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−4):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤、有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
(実施例8)
−ブラックインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、水酸化ナトリウムでpHを9に調整してブラックインクを作製した。
・調製例5のカーボンブラック含有ポリマー微粒子・・・8.0質量%(固形分)
・ジプロピレングリコール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン・・・5.0質量%
・下記(I−3)式で表される界面活性剤・・・2.0質量%
(I−3):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・プロキセルLV(防黴剤、有効成分20質量%)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
(比較例5)
−シアンインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、シアンインクを作製した。
・調製例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・20.0質量%
・1,3−ブタンジオール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオール・・・1.0質量%
・F−1405(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残量
(比較例6)
−マゼンタインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、マゼンタインクを作製した。
・調製例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・20.0質量%
・1,3−ブタンジオール・・・18.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオール・・・1.0質量%
・FC−4430(住友3M株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残部
(比較例7)
−イエローインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、イエローインクを作製した。
・調製例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・20.0質量%
・3−メチル−1,3−ブタンジオール・・・18.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオール・・・1.0質量%
・FC−4430(住友3M株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残部
(比較例8)
−ブラックインクの作製−
下記処方の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、ブラックインクを作製した。
・調製例4の(スルホン化剤処理した)カーボンブラック分散体・・・20.0質量%
・1,5−ペンタンジオール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・6.0質量%
・尿素・・・1.5質量%
・2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール・・・1.0質量%
・F−1405(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・0.5質量%
・イオン交換水・・・残部
次に、得られた実施例1〜8及び比較例1〜8の各記録用インクについて、以下のようにして、表面張力、及び粘度を測定した。結果を表3に示す。
<粘度の測定>
粘度は、R−500型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、コーン1°34’×R24、60rpm、3分間後の条件により、25℃で測定した。
<表面張力の測定>
表面張力は、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定した静的表面張力である。
(製造例1)
−支持体の作製−
下記配合の0.3質量%スラリーを長網抄紙機で抄造し、坪量79g/mの支持体を作製した。なお、抄紙工程のサイズプレス工程で、酸化澱粉水溶液を固形分付着量が片面当り、1.0g/mになるように塗布した。
・広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)・・・80質量部
・針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)・・・20質量部
・軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業株式会社製)・・・10質量部
・硫酸アルミニウム・・・1.0質量部
・両性澱粉(商品名:Cato3210、日本NSC株式会社製)・・・1.0質量部
・中性ロジンサイズ剤(商品名:NeuSize M−10、ハリマ化成株式会社製)・・・0.3質量部
・歩留まり向上剤(商品名:NR−11LS、ハイモ社製)・・・0.02質量部
(製造例2)
−記録用メディア1の作製−
顔料としての粒子径2μm以下の割合が97質量%のクレー70質量部、平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウム30質量部、接着剤としてのガラス転移温度(Tg)が−5℃のスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン8質量部、リン酸エステル化澱粉1質量部、及び助剤としてのステアリン酸カルシウム0.5質量部を加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%の塗工液を調製した。
得られた塗工液を、上記作製した支持体に片面当り固形分付着量が8g/mになるように、ブレードコーターを用いて両面に塗工し、熱風乾燥後、スーパーカレンダー処理を行い、「記録用メディア1」を作製した。
(製造例3)
−記録用メディア2の作製−
顔料としての粒子径2μm以下の割合が97質量%のクレー70質量部、平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウム30質量部、接着剤としてのガラス転移温度(Tg)が−5℃のスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン7質量部、リン酸エステル化澱粉0.7質量部、助剤としてのステアリン酸カルシウム0.5質量部を加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%の塗工液を調製した。
得られた塗工液を、上記作製した支持体に片面当り固形分付着量が8g/mになるように、ブレードコーターを用いて両面塗工し、熱風乾燥後、スーパーカレンダー処理を行い、「記録用メディア2」を作製した。
<動的走査吸液計によるインクの転移量の測定>
記録用メディア1について、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、実施例1〜8及び比較例1〜8の各記録用インクの転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めた。測定は23℃、50%RHの環境条件で行った。結果を表3に示す。
(実施例9)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例4のブラックインク、実施例3のイエローインク、実施例2のマゼンタインク、及び実施例1のシアンインクからなる「インクセット1」を常法により調製した。
得られた「インクセット1」と、上記「記録用メディア1」とを用いて、300dpi、ノズル解像度384、ノズルを有するドロップオンデマンドプリンタ試作機を使用し、画像解像度600dpi、最大インク滴18plにて印字を行った。二次色の総量規制を140%にして付着量規制を実施し、ベタ画像及び文字を印写して、画像プリントを得た。なお、プリンタのノズルプレート面にはシリコーン樹脂皮膜(室温硬化型シリコーンレジンSR2411、東レ・ダウコーニング株式会社製)が形成されており、その厚みは1.2μmであり、表面粗さ(Ra)は0.18μm、臨界表面張力は21.6mN/mであった。
(実施例10)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとして上記「記録用メディア2」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(実施例11)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとしてグラビア印刷用コート紙(商品名;スペースDX、坪量=56g/m、日本製紙株式会社製、以下、「記録用メディア3」と称する)を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(実施例12)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、実施例8のブラックインク、実施例7のイエローインク、実施例6のマゼンタインク、及び実施例5のシアンインクからなる「インクセット3」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア1」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(実施例13)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット3」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア2」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(実施例14)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット3」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア3」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(比較例9)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとして市販のオフセット用コート紙(商品名;オーロラコート、坪量=104.7g/m、日本製紙株式会社製、以下、「記録用メディア4」と称する)を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(比較例10)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、記録用メディアとして市販のインクジェット用マットコート紙(商品名;スーパーファイン専用紙、セイコーエプソン株式会社製、以下、「記録用メディア5」と称する))を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(比較例11)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、比較例4のブラックインク、比較例3のイエローインク、比較例2のマゼンタインク、及び比較例1のシアンインクからなる「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記の記録用メディア1を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(比較例12)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア4」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(比較例13)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア5」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(比較例14)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、インクセット1の代わりに上記「インクセット2」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア2」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施し、画像プリントを得た。
(比較例15)
−インクセット、記録用メディア、及び画像記録−
実施例9において、比較例8のブラックインク、比較例7のイエローインク、比較例6のマゼンタインク、及び比較例5のシアンインクからなる「インクセット4」を用い、記録用メディアとして上記「記録用メディア1」を用いた以外は、実施例9と同様にして、印写を実施した。
この比較例15で用いたインクセット4では、インクの表面張力が低すぎて、ノズルプレートを濡らしてしまうため、画像記録の初期から甚だしいインクの吐出曲がりが発生したため、以下の画像評価を実施しなかった。
次に、記録用メディア1〜5について、以下のようにして、動的走査吸液計による純水、及び実施例1のシアンインク(表面張力25.4mN/m)の転移量を測定した。結果を表4に示す。
また、記録用メディア1〜2、及び記録用メディア4〜5について、以下のようにして、動的走査吸液計による比較例1のシアンインク(表面張力37.5mN/m)の転移量を測定した。結果を表5に示す。
また、記録用メディア1〜3について、以下のようにして、動的走査吸液計による実施例5のシアンインク(表面張力33.1mN/m)の転移量を測定した。結果を表6に示す。
<動的走査吸液計による純水及びシアンインクの転移量の測定>
各記録用メディアについて、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はシアンインクの転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めた。測定は23℃、50%RHの環境条件で行った。
次に、得られた実施例9〜14及び比較例9〜14の各画像プリントについて、以下のようにして、ビーディング、ブリード、拍車痕、及び光沢度を評価した。結果を表7に示す。
<ビーディング>
各画像プリントのグリーンべた画像部のビーディングの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。なお、ビーディングのランク見本は図19(図では白黒表示になっているが、実際にはグリーン色である)に示す。
〔評価基準〕
ランク4:ビーディングの発生がなく均一な印刷である。
ランク3:かすかにビーディングの発生が認められる。
ランク2:明確にビーディングの発生が認められる。
ランク1:甚だしいビーディングの発生が認められる。
<ブリードの評価>
各画像プリントの黄地中の黒文字のブリードの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ブリードの発生がなく鮮明な印刷である。
○:かすかにブリードの発生が認められる。
△:明確にブリードの発生が認められる。
×:文字の輪郭がはっきりしないほど滲みが発生している。
<拍車痕の評価>
各画像プリントの拍車痕の程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:全く認められない
○:かすかに認められる
△:拍車痕が認められる
×:明確に拍車痕が認められる
<光沢度の評価>
各画像プリントのシアンのベタ画像部の60°鏡面光沢度(JIS Z8741)を測定した。
表3〜表7の結果から、実施例9〜14のインクメディアセットは、比較例9〜14のインクメディアセットに比べて、ビーディング、ブリード、拍車痕、及び光沢度のすべてについて良好な評価結果が得られることが分かった。
本発明の記録用インク及び本発明の記録用メディアからなる本発明のインクメディアセットは、オフセット印刷用のコート紙に近い風合い、及び所定の吸液性を有する記録用メディアと、所定の表面張力を有するインクとを組み合わせることによって、(i)いわゆる「切れ」のよい、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像、(ii)光学的濃度(OD)の高い記録画像、(iii)ベタ部にビーディングの見られない均一性の高い記録画像が得られ、インク記録物、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録
方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、フ
ァクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適
用することができる。
図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す概略図である。 図2は、図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。 図3は、インクジェット記録装置のインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態の斜視説明図である。 図4は、インクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である。 図5は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。 図6は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。 図7は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す要部拡大概略断面図である。 図8は、本発明のインクジェットヘッドにおけるノズル板の一例を示す概略断面図である。 図9Aは、本発明のインクジェットヘッドにおけるノズル板の一例を示す概略説明図である。 図9Bは、本発明のインクジェットヘッドにおけるノズル板の一例を示す概略説明図である。 図9Cは、本発明のインクジェットヘッドにおけるノズル板の一例を示す概略説明図である。 図10Aは、比較のインクジェットヘッドにおけるノズル板の一例を示す概略説明図である。 図10Bは、比較のインクジェットヘッドにおけるノズル板の一例を示す概略説明図である。 図10Cは、比較のインクジェットヘッドにおけるノズル板の一例を示す概略説明図である。 図11は、ディスペンサを用いた塗布により、シリコーン樹脂を塗布して撥インク層を形成する状態を示す図である。 図12Aは、本発明のインクジェットヘッドのニードル先端の塗布口と塗布対象であるノズル板への塗布幅との関係を示す図である。 図12Bは、一般のインクジェットヘッドのニードルの先端と塗布対象であるノズル板への塗布幅との関係を示す図である。 図13は、ディスペンサを用いた塗布動作を示す図である。 図14は、ノズル内壁の所望の深さまでシリコーン樹脂の撥インク層を形成した状態を示す図である。 図15は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示し、エキシマレーザ加工でノズル孔が形成された状態を示す図である。 図16は、ノズル孔を加工する際に使用するエキシマレーザ加工機の構成を示した図である。 図17Aは、インクジェットヘッドの製造方法におけるノズル板製造工程におけるノズル形成部材の基材を示す図である。 図17Bは、樹脂フィルムの表面にSiO薄膜層を形成する工程を示す図である。 図17Cは、フッ素系撥水剤を塗布する工程を示す図である。 図17Dは、撥水膜蒸着後の空中放置工程を示す図である。 図17Eは、粘着テープを貼り付ける工程を示す図である。 図17Fは、ノズル孔の加工工程を示す図である。 図18は、インクジェットヘッド製造方法によりインクジェットヘッドを製造する際に使用する装置の概要を示す図である。 図19は、ビーディングの程度を表すランク見本である。
符号の説明
10 フレーム
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 インクジェットヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装

Claims (41)

  1. 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mである記録用インクであって、
    前記記録用インクにおける、支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアへの転移量が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msで4〜15ml/mであり、かつ接触時間400msで7〜20ml/mであることを特徴とする記録用インク。
  2. 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである請求項1に記載の記録用インク。
  3. 顔料の体積平均粒径が0.01〜0.16μmである請求項2に記載の記録用インク。
  4. 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である請求項1に記載の記録用インク。
  5. 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである請求項4に記載の記録用インク。
  6. 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である請求項1から5のいずれかに記載の記録用インク。
  7. ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である請求項6に記載の記録用インク。
  8. ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である請求項6から7のいずれかに記載の記録用インク。
  9. 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である請求項1から8のいずれかに記載の記録用インク。
  10. 浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が炭素数8以上のポリオール化合物である請求項1から9のいずれかに記載の記録用インク。
  11. 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである請求項10に記載の記録用インク。
  12. インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である請求項1から11のいずれかに記載の記録用インク。
    −O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
    ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
    ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
    ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表す。kは5〜20の整数を表す。
    −(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
    ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
    ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表す。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
    ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
  13. インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である請求項1から12のいずれかに記載の記録用インク。
  14. 支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアであって、
    動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜29ml/mであることを特徴とする記録用メディア。
  15. 請求項1から13のいずれかに記載の記録用インクと、請求項14に記載の記録用メディアとを有することを特徴とするインクメディアセット。
  16. 少なくとも水、着色剤、及び湿潤剤を含有してなり、25℃における表面張力が20〜35mN/mであるインクと、
    支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有する記録用メディアとを有するインクメディアセットであって、
    動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が4〜15ml/mであり、かつ接触時間400msにおける前記インクの前記記録用メディアへの転移量が7〜20ml/mであることを特徴とするインクメディアセット。
  17. 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が2〜26ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が3〜29ml/mである請求項16に記載のインクメディアセット。
  18. 着色剤がアニオン性親水基を有する顔料及びアニオン性親水基を有するポリマーで被覆された顔料のいずれかである請求項16から17のいずれかに記載のインクメディアセット。
  19. 顔料の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである請求項18に記載のインクメディアセット。
  20. 着色剤が、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する着色微粒子である請求項16から17のいずれかに記載のインクメディアセット。
  21. 着色微粒子の体積平均粒径が、0.01〜0.16μmである請求項20に記載のインクメディアセット。
  22. 湿潤剤が、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種である請求項16から21のいずれかに記載のインクメディアセット。
  23. ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である請求項22に記載のインクメディアセット。
  24. ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である請求項22から23のいずれかに記載のインクメディアセット。
  25. 湿潤剤のインクにおける含有量が、10〜50質量%である請求項16から24のいずれかに記載のインクメディアセット。
  26. インクが浸透剤を含有し、かつ該浸透剤が、炭素数8以上のポリオール化合物である請求項16から25のいずれかに記載のインクメディアセット。
  27. 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである請求項26に記載のインクメディアセット。
  28. インクが界面活性剤を含有し、かつ該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)から選択される少なくとも1種である請求項16から27のいずれかに記載のインクメディアセット。
    −O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
    ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
    ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
    ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表す。kは5〜20の整数を表す。
    −(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
    ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
    ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表す。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
    ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
  29. インクの25℃での粘度が5mPa・s以上である請求項16から28のいずれかに記載のインクメディアセット。
  30. 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  31. 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該記インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  32. 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項31に記載のインクジェット記録装置。
  33. 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前記インクメディアセットにおける記録用メディアに画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  34. 300dpi以上の解像度において、最大インク付着量が8〜20g/mである請求項33に記載のインクジェット記録方法。
  35. インクを飛翔させるインクジェットヘッドのインク吐出用開口部が形成されているプレート面に撥インク層を有する請求項33から34のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  36. 撥インク層が、フッ素系材料及びシリコーン系材料のいずれかを含有する請求項35に記載のインクジェット記録方法。
  37. 撥インク層の表面粗さ(Ra)が0.2μm以下である請求項35から36のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  38. インク吐出用開口部の中心線に垂直な平面での断面積がプレート基材表面から離れるにつれて漸次大きくなるように、該インク吐出用開口部が形成されている請求項35から37のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  39. 撥インク層の厚みが1Å(0.1nm)以上である請求項35から38のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  40. 撥インク層の臨界表面張力が5〜40mN/mである請求項35から39のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  41. 請求項16から29のいずれかに記載のインクメディアセットにおける記録用メディア上に、前記インクメディアセットにおけるインクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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