JP2003105236A - インクジェット記録用インク及びインクセット並びに記録方法及び記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インク及びインクセット並びに記録方法及び記録装置

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JP2003105236A
JP2003105236A JP2001302634A JP2001302634A JP2003105236A JP 2003105236 A JP2003105236 A JP 2003105236A JP 2001302634 A JP2001302634 A JP 2001302634A JP 2001302634 A JP2001302634 A JP 2001302634A JP 2003105236 A JP2003105236 A JP 2003105236A
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ink
surfactant
jet recording
defoaming agent
agent
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JP2001302634A
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English (en)
Inventor
Akiko Konishi
昭子 小西
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高浸透性を確保したまま、インクの起泡性が
制御され、かつ吐出安定性に優れたインクジェット記録
用インクを提供し、また高画質でかつノズル目詰まりの
ないインクセット、及びそれを用いた記録方法及び記録
装置を提供する。 【解決手段】 インク組成物として水、着色剤、界面活
性剤、有機溶剤、浸透剤及び消泡剤を含有するインクジ
ェット記録用インクにおいて、消泡剤がポリエーテル系
の消泡剤とシリコーン系の消泡剤とを同時に含んだ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吐出安定性、特に
印字中あるいは印字休止時の気泡巻き込み等による吐出
不良を改善し、滲みが少なく高画質で、かつノズル目詰
まりのないインクジェット記録用インク及びインクセッ
ト並びに記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンターは、普通紙へ
の印字が可能で、カラー化が容易であり、かつ小型で価
格も安価で、しかもランニングコストが低いなどの理由
から、近年、急速に普及してきている。インクジェット
記録用のインクとしてはその発色性の良さや信頼性の高
さ等の点から、当初は染料インクが主流であったが、近
年に至り、記録画像に耐光性や耐水性を持たせるために
カーボンブラック等の顔料を用いたインキ組成物にも注
目が集まっている。一般にインクジェット記録用インク
に要求される特性としては、高画質を達成するための色
調、画像濃度、滲みなど、信頼性を達成するための、イ
ンク中の着色剤の溶解安定性・保存安定性など、記録画
像の保存性を確保するための、耐水性耐光性など、また
高速化を達成するためのインクの速乾性などが挙げら
れ、これらの要求を満たすよう、従来より様々な提案が
なされてきている。
【0003】特にインクの速乾性については、カラー画
像においては色境界滲み等の画質にも影響が大きいた
め、インクの紙への浸透速度を上げるために、各種界面
活性剤や浸透剤を添加して高画質を確保する試みが多数
なされている。例えば特開昭55−29546号公報記
載の処方では、見かけ上の乾燥性を上げており、また、
特公昭60−23793号公報によると、界面活性剤と
して、ジアルキルスルホコハク酸を添加すれば、乾燥性
が向上し、画質劣化も少ないとしている。しかしなが
ら、特開昭55−29546号公報記載の処方では、紙
により著しく滲むという欠点があった。また、特公昭6
0−23793号公報において添加されるジオクチルス
ルホ琥珀酸ナトリウムや、ジ(2−エチルヘキシル)ス
ルホ琥珀酸ナトリウム等では、紙によって画素径が著し
く異なるなどの問題があった。更にこれらのインクは、
界面活性剤が添加されていることにより、インクのカー
トリッジへの充填時、ヘッドへのカートリッジ装着時及
び装着後のインク吸引時、あるいは印字中、印字休止時
に気泡を巻き込みやすく、それが原因で、吐出不良を引
き起こすことが多々あった。これらの気泡発生あるいは
巻き込みを防止する目的では、以下のような提案がなさ
れている。
【0004】例えば、特許公報 第2707658号で
は、JIS3362−1970に基づくインクの起泡力
及び泡の安定性が特定の範囲にあるものを使用すること
で、ヘッド及びインク供給系への濡れ性を向上させ、印
字安定性を確保できるとしている。また特公平7−26
049号公報によれば、JIS3362に基づく5分後
の泡の安定度が0mm(1分後の泡の安定度が5mm未
満)になるインクを使用すれば、吐出安定性が確保でき
るとしている。また、特開2000−144026号で
は、特定のアセチレングリコール系の界面活性剤を用い
ることで高浸透性を保ちつつ、かつ泡立ちの少ないイン
クが得られる。
【0005】界面活性剤を添加することなく乾燥速度を
向上させる方法として、特開平8−113739号公報
には染料と水溶性グリコールエーテル類を含むインクが
提案され、特開平10−95941号公報には、顔料
と、ジエチレングリコールモノ−N−ブチルエーテルな
どのグリコールエーテル類と水とからなるインク組成物
が提案されている。特開平7−331142号公報によ
れば、特定のグリコール系溶剤を含有させたカーボンブ
ラックインクにおいて、消泡効果が得られるとある。同
様に 特開平9−31380号公報により処方されたイ
ンクも、消泡効果がある。
【0006】インクの浸透性を確保したままで、インク
の起泡性を抑制する目的で消泡剤を添加する試みも多々
なされている。消泡剤の効果としては、一般に泡を立ち
難くする抑泡効果と、できた泡を消す破泡効果の2種類
がある。抑泡効果を高めるためには、液の内部に均一に
分散する必要があるが、破泡効果を高めるためには消泡
剤は液の表面近くにあることが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許公
報第2707658号の処方において向上するのは、プ
ラスチック部材への濡れ性であり、記録装置の構成部材
の種類によっては効果がない。また特公平7−2604
9号公報の処方では、炭素数5以下の低級アルキルアル
コールを含有することが限定されており、汎用性がな
い。またこの処方は浸透性が低いために、高速印字時の
画質が悪いという問題もある。また、特開2000−1
44026号においては、界面活性剤と併用される着色
剤の種類によっては、着色剤と疎水性相互作用を生じる
ため乾燥速度が向上せず、またカーボンブラックなどの
顔料を用いたインクでは顔料が凝集しやすく、ノズルの
目詰まり発生やインク噴射方向の曲がりなどを発生しや
すいといった問題がある。特開平8−113739号公
報の処方や、特開平10−95941号公報の処方で
は、乾燥速度を向上するために大量のグリコールエーテ
ル類の添加が必要であり、インクの臭気や安全性の面
で、好ましくないだけでなく、インクの接液する部材を
劣化させるなどの問題がある。特開平7−331142
号公報の処方のインクでは浸透性が不充分であり、画質
に問題がある。同様に 特開平9−31380号公報に
より処方されたインクも、消泡効果はあるものの、界面
活性剤等を含有していないために、紙に対する浸透性が
遅く、画質が良くないという問題がある。また、消泡剤
により抑泡効果と破泡効果の両方の効果を1種類の消泡
剤で高めることは難しく、また破泡効果をもたせるため
には、一般には不溶性の粒子が含有されていることが多
く、信頼性の面で問題があった。
【0008】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
であり、高浸透性を確保したまま、インクの起泡性が制
御され、かつ吐出安定性に優れたインクジェット記録用
インクを提供し、また高画質でかつノズル目詰まりのな
いインクセット、及びそれを用いた記録方法及び記録装
置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1記載の発明は、インク組成物として水、着色
剤、界面活性剤、有機溶剤、浸透剤及び消泡剤を含有す
るインクジェット記録用インクにおいて、前記消泡剤が
ポリエーテル系の消泡剤とシリコーン系の消泡剤とを同
時に含むインクジェット記録用インクを最も主要な特徴
とする。
【0010】また、請求項2記載の発明は、界面活性剤
が、ノニオン系及び/またはアニオン系の界面活性剤で
ある請求項1記載のインクジェット記録用インクを主要
な特徴とする。
【0011】また、請求項3記載の発明は、界面活性剤
が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤
及び/または、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢
酸塩系界面活性剤である請求項1記載のインクジェット
記録用インクを主要な特徴とする。
【0012】また、請求項4記載の発明は、着色剤が、
表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子
団を介して結合するような処理がなされたことにより、
分散剤なしに水に分散および/または溶解が可能となっ
た顔料である請求項1記載のインクジェット記録用イン
クを主要な特徴とする。
【0013】また、請求項5記載の発明は、浸透剤が
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及
び/または2−エチル−1、3−へキサンジオールであ
る請求項1記載のインクジェット記録用インクを主要な
特徴とする。
【0014】また、請求項6記載の発明は、インク組成
物として更に滲み防止剤を添加した請求項1記載のイン
クジェット記録用インクを主要な特徴とする。
【0015】また、請求項7記載の発明は、滲み防止剤
がアルギン酸である請求項6記載のインクジェット記録
用インクを主要な特徴とする。
【0016】また、請求項8記載の発明は、イエローイ
ンク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックイ
ンクからなるインクジェット記録用インクセットにおい
て、各インクが水、着色剤、界面活性剤、有機溶剤、浸
透剤、及び消泡剤を含有するとしてポリエーテル系の消
泡剤とシリコーン系の消泡剤とを同時に含むインクジェ
ット記録用インクセットを最も主要な特徴とする。
【0017】また、請求項9記載の発明は、熱エネルギ
ーを用いて請求項8記載のインクセットのインクを飛翔
させ、カラー画像の形成を行うインクジェット記録方法
を主要な特徴とする。
【0018】また、請求項10記載の発明は、力学的エ
ネルギーを用いて請求項8記載のインクセットのインク
を飛翔させ、カラー画像の形成を行うインクジェット記
録方法を主要な特徴とする。
【0019】また、請求項11記載の発明は、熱エネル
ギーを用いて請求項8記載のインクセットのインクを飛
翔させ、カラー画像の形成を行うインクジェット記録装
置を主要な特徴とする。
【0020】また、請求項12記載の発明は、力学的エ
ネルギーを用いて請求項8記載のインクセットのインク
を飛翔させ、カラー画像の形成を行うインクジェット記
録装置を主要な特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態例を説明
する。本発明のインクジェット記録用インクは、インク
組成物として水、着色剤、有機溶剤、界面活性剤、浸透
剤及び消泡剤を含有し、消泡剤にはポリエーテル系の消
泡剤とシリコーン系の消泡剤とを同時に含有している。
これにより、高浸透性を確保したまま、インクの起泡性
が制御されたインクを提供することが可能となる。ま
た、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、
及びブラックインクからなる本発明のインクジェット記
録用インクセットは、各インクが水、着色剤、界面活性
剤、有機溶剤、浸透剤、及び消泡剤を含有しており、同
様に消泡剤にはポリエーテル系の消泡剤とシリコーン系
の消泡剤とを同時に含んでいる。これにより、高画質で
かつ吐出安定性に優れたカラー画像の記録方法及び記録
装置を提供することが可能となる。更に、熱エネルギー
もしくは力学的エネルギーを用いることにより、前記イ
ンクジェット記録用インクセットのインクを飛翔させ、
カラー画像を形成するインクジェット記録方法及びイン
クジェット記録装置を提供し、更にまた、インクジェッ
ト記録用インクあるいはインクジェット記録用インクセ
ットを用いれば、インクの泡立ちが少ないため、カート
リッジへの充填も容易で、ヘッドへの装填時の初期充填
性能にも優れ、かつ吐出安定性が高く、熱エネルギー及
び力学的エネルギーのいずれを用いた記録を行う場合で
も、印字中あるいは印字休止後の吐出不良及び画質不良
が改善可能で、滲みのない、鮮明な画像を提供すること
ができる。
【0022】以下、使用されるインクの構成要素につい
て詳細に説明する。
【0023】本発明で使用される着色剤の具体例とし
て、まず染料の具体例を以下に示すが、本発明はこれら
に限定されるものではない。酸性染料及び食用染料とし
て C.I.アシッド・イエロー 17,23,42,4
4,79,142 C.I.アシッド・レッド 1,8,13,14,1
8,26,27,35,37,42,52,82,8
7,89,92,97,106,111,114,11
5,134,186,249,254,289 C.I.アシッド・ブルー 9,29,45,92,
249 C.I.アシッド・ブラック 1,2,7,24,2
6,94 C.I.フード・イエロー 2,3,4 C.I.フード・レッド 7,9,14 C.I.フード・ブラック 1,2 直接性染料として C.I.ダイレクト・イエロー 1,12,24,2
6,33,44,50,120,132,142,14
4,86 C.I.ダイレクト・レッド 1,4,9,13,1
7,20,28,31,39,80,81,83,8
9,225,227 C.I.ダイレクト・オレンジ 26,29,62,
102 C.I.ダイレクト・ブルー 1,2,6,15,2
2,25,71,76,79,86,87,90,9
8,163,165,199,202 C.I.ダイレクト・ブラック 19,22,32,
38,51,56,71,74,75,77,154,
168,171 塩基性染料として C.I.ベーシック・イエロー 1,2,11,1
3,14,15,19,21,23,24,25,2
8,29,32,36,40,41,45,49,5
1,53,63,465,67,70,73,77,8
7,91 C.I.ベーシック・レッド 2,12,13,1
4,15,18,22,23,24,27,29,3
5,36,38,39,46,49,51,52,5
4,59,68,69,70,73,78,82,10
2,104,109,112 C.I.ベーシック・ブルー 1,3,5,7,9,
21,22,26,35,41,45,47,54,6
2,65,66,67,69,75,77,78,8
9,92,93,105,117,120,122,1
24,129,137,141,147,155 C.I.ベーシック・ブラック 2,8 反応性染料として C.I.リアクティブ・ブラック 3,4,7,1
1,12,17 C.I.リアクテイブ・イエロー 1,5,11,1
3,14,20,21,22,25,40,47,5
1,55,65,67 C.I.リアクティブ・レッド 1,14,17,2
5,26,32,37,44,46,55,60,6
6,74,79,96,97 C.I.リアクティブ・ブルー 1,2,7,14,
15,23,32,35,38,41,63,80,9
5 等が使用できるが、特に好ましいのは、酸性染料及び直
接性染料である。
【0024】また本発明で使用される顔料は、特にその
種類を限定はなく、無機顔料、有機顔料を使用すること
ができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、
バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー
に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法など
の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使
用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔
料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレ
ートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタ
ロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アント
ラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、
インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔
料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、
塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニ
トロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用
できる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良い
ものが好ましく用いられる。
【0025】本発明において好ましく用いられる顔料の
具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、
ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラ
ック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラッ
ク7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック
11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック
(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげ
られる。さらに、カラー用としては、C.I.ピグメン
トイエロー1、3、12、13、14、17、24、3
4、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、7
4、81、83、95、97、98、100、101、
104、408、109、110、117、120、1
28、138、150、151、153、183、C.
I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、
43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、
5、17、22、23、31、38、48:2、48:
2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、4
8:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブ
リリアントカーミン6B)、60:1、63:1、6
3:2、64:1、81、83、88、101(べんが
ら)、104、105、106、108(カドミウムレ
ッド)、112、114、122(キナクリドンマゼン
タ)、123、146、149、166、168、17
0、172、177、178、179、185、19
0、193、209、219、C.I.ピグメントバイ
オレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、
19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、
15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、
15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、
56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、
4、7、8、10、17、18、36、等がある。
【0026】顔料は、分散剤を水性媒体中に分散させる
ことにより顔料分散液としてインクに添加することが好
ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散
液を調整するのに用いられる公知の分散剤を使用するこ
とができ、例えば以下のものが挙げられる。
【0027】ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アク
リル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アク
リル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アル
キルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合
体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アク
リル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレ
ン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合
体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合
体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合
体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−
マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共
重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−
脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン
酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合
体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等があげられる。
【0028】これらの共重合体は重量平均分子量が3,
000〜50,000であるのが好ましく、より好まし
くは5,000〜30,000、最も好ましくは7,0
00〜15,000である。分散剤の添加量は、顔料を
安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で
適宣添加されて良い。分散剤としては1:0.06〜
1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.12
5〜1:3の範囲である。
【0029】更に好ましくは、上記インク中の分散剤に
はカルボキシル基が結合していることが好ましい。分散
剤にカルボキシル基が結合していると、分散安定性が向
上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られると
ともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。更
に上記の裏抜けを防止する効果が得られる。特に、カル
ボキシル基が結合している分散剤で分散した顔料と、浸
透剤とを併用した場合においては、普通紙などの比較的
サイズ度の高い記録媒体に印字した場合においても、十
分な乾燥速度が得られ、且つ、裏抜けが少ないという効
果が得られる。これは、カルボン酸の解離定数が他の酸
基に比較して小さい為、顔料が記録媒体に付着した後、
インクのpH価の低下や、記録媒体表面近傍に存在する
カルシウムなどの多価金属イオンとの相互作用などによ
り、分散剤自体の溶解度が低下し、分散剤自体や顔料が
凝集する為と推定される。
【0030】更に最も好ましい形態としては、顔料の表
面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団
を介して結合するように表面改質されたものである。そ
のためには、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホ
ン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させ
るか、あるいはまた、次亜ハロゲン酸および/またはそ
の塩を用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられ
る。なかでも好ましい形態は、顔料の表面にカルボキシ
ル基が結合され、水中に分散されている形態である。こ
れも顔料が表面改質されカルボキシル基が結合している
ために、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位
な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐
水性がより向上する。またこの形態のインクは乾燥後の
再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジ
ェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場
合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易
に良好な印字が行えるようになる。
【0031】またこの自己分散型の顔料は、後述する界
面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果
が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ること
が可能となる。
【0032】インク組成物中の着色剤の添加量は、0.
5〜15重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜1
0重量%程度である。また染料単独、顔料単独のみなら
ず、染料顔料の両方を組み合わせて使用しても良い。
【0033】本発明の好ましい態様によれば、前記イン
ク中の顔料は平均粒径が50nm〜200nmの範囲で
あることが好ましい。ここでいう平均粒径とは、体積累
積パーセント50%の値をさす。体積累積パーセント5
0%の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン
運動を行っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から
戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の
変化量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散
乱光解析)といわれる方法を用いることができる。
【0034】本発明で使用される湿潤剤としては、特に
限定されるものではないが、多価アルコールアルキルエ
ーテル及び/または多価アルコールアリールエーテル水
溶性有機溶媒が好ましく用いられる。これら湿潤剤を含
有することによりインクの水分蒸発を防止しインク吐出
口での着色剤の析出、粘度上昇による吐出不良をより良
く抑制することができ吐出信頼性の高い水性顔料インク
組成物を提供することができる。
【0035】多価アルコールアルキルエーテル類として
は例えば、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エ
チレングリコ−ルモノブチルエ−テル、ジエチレングリ
コ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノ
エチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−
テル、テトラエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、
プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル等が挙げら
れ、多価アルコールアリールエーテルとしては例えば、
エチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、エチレング
リコ−ルモノベンジルエ−テル等が挙げられる。これら
水溶性有機溶媒のインク中の含有量としては、5wt%
〜30wt%が好ましく、さらに好ましくは、10wt
%〜30wt%である。30wt%以上添加すると、水
性インクの粘度が高くなってしまい、吐出安定性に影響
を与えてしまうことが多い。また、インクの水分蒸発を
防止する目的として上記水溶性有機溶媒と組み合わせて
用いられる水溶性有機溶媒としては例えば、下記に示す
水溶性有機溶媒が挙げられる。
【0036】エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−
ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、1,3ブタンジオー
ル、1,5ペンタンジオール、1、6ヘキサンジオ−
ル、グリセロ−ル、1、2、6−ヘキサントリオ−ル、
1、2、4−ブタントリオ−ル、1、2、3−ブタント
リオ−ル、ペトリオール等の多価アルコ−ル類、 N−
メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−
ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダ
ゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合
物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モ
ノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ
−ルアミン、モノエチルアミン 、ジエチルアミン、ト
リエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、
スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プ
ロピレンカ−ボネ−ト、炭酸エチレン、γ−ブチロラク
トン等である。
【0037】本発明においては、紙への浸透性を高め、
速乾燥性で、文字にじみ、境界にじみを更に低減させた
高品位な画像を得ることを目的に、界面活性剤も添加さ
れる。添加される界面活性剤としては特に限定されるも
のではなく、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、
アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、好
ましくはノニオン系界面活性剤及び/または、アニオン
系界面活性剤であり、更に好ましくは、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル系界面活性剤、及び/または、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩系界面活性剤
である。
【0038】以下、好ましい界面活性剤の具体例を遊離
酸型で示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0039】まず、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル系界面活性剤の具体例としては、 C8 17O (C2 4 O)2H (1−1) C1021O (C2 4 O)4H (1−2) C1225O (C2 4 O)3H (1−3) C1225O (C2 4 O)7H (1−4) C1225O (C2 4 O)12 H (1−5) C1327O (C2 4 O)3H (1−6) C1317O (C2 4 O)5H (1−7) C1327O (C2 4 O)7H (1−8) C1327O (C2 4 O)9H (1−9) C1327O (C2 4 O)12 H (1−10) C1327O (C2 4 O)20 H (1−11) C1327O (C2 4 O)30 H (1−12) C1429O (C2 4 O)30 H (1−13) 等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらは、単独で用いても、複数のものを混合し
て用いてもよい。単独では記録液中で容易に溶解しない
場合も、混合することで可溶化され、安定に存在するこ
とができる。市販の界面活性剤で本化合物を主成分とし
て含有するものとしては、日光ケミカルズ(株)より入
手可能なBTシリーズ、日本触媒(株)より入手可能な
ソフタノールシリーズ、日本油脂(株)より入手可能な
ディスパノールなどが挙げられる。
【0040】またポリオキシエチレンアルキルエーテル
酢酸塩系界面活性剤の具体例としては C8 17O (C2 4 O)3CH2 COOH (2−1) C1021O (C2 4 O)4CH2 COOH (2−2) C1225O (C2 4 O)3CH2 COOH (2−3) C1225O (C2 4 O)4CH2 COOH (2−4) C1225O (C2 4 O)5CH2 COOH (2−5) C1327O (C2 4 O)12 CH2 COOH (2−6) C1317O (C2 4 O)3CH2 COOH (2−7) C1327O (C2 4 O)5CH2 COOH (2−8) C1327O (C2 4 O)7CH2 COOH (2−9) C1327O (C2 4 O)9CH2 COOH (2−10) C1327O (C2 4 O)12 CH2 COOH (2−11) C1327O (C2 4 O)3CH2 COOH (2−12) C1429O (C2 4 O)12 CH2 COOH (2−13) 等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
またこれらは、単独で用いても、複数のものを混合して
用いてもよい。単独では記録液中で容易に溶解しない場
合も、混合することで可溶化され、安定に存在すること
ができる。また、合成時の副生成物として生成される無
機塩をイオン交換樹脂で精製除去することが好ましい。
市販の界面活性剤で本化合物を主成分として含有するも
のとしては、日光ケミカルズ(株)より入手可能なNI
KKOL ECTシリーズ、NIKKOL AKYPO
シリーズ、三洋化成(株)より入手可能なビューライト
シリーズ等が挙げられる。
【0041】界面活性剤の含有量としては、0.05重
量%〜10重量%が適当であり、0.1重量%〜5重量
%が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%〜3重量
%である。界面活性剤の含有量が0.05重量%より少
ない場合は記録紙への浸透性を十分に高めることが出来
ない。10重量%より多い場合はインクの増粘や、界面
活性剤自体の低温での析出が問題となることがある。
【0042】本発明においては、更に浸透性を高める目
的で浸透剤を添加するが、好ましい浸透剤としてはとし
て、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオー
ル及び/または2−エチル−1、3−へキサンジオール
が挙げられる。これらを単独、あるいは混合して添加す
ることにより、高速印字時でもにじみを低減することが
可能となり、また吐出安定性及び吐出応答性を向上させ
ることができる。
【0043】本発明で使用される消泡剤としては、ポリ
オール系の消泡剤とシリコーン系の消泡剤とが同時に用
いられる。ポリオール系の消泡剤はその構造中にアルキ
レンオキサイド基を含有するが、特にエチレンオキサイ
ド基を多く持つものは水への分散安定性に優れ、液中の
抑泡効果に優れる。シリコーン系の消泡剤は破泡効果に
優れるものが多く、種類としてはオイル型、コンパウン
ド型、自己乳化型、エマルジョン型などがあるが、水系
での使用を考慮すると、自己乳化型、もしくはエマルジ
ョン型を用いることが、信頼性を確保する上で望まし
い。また、アミノ変性、カルビノール変性、メタクリル
変性、ポリエーテル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エ
ステル変性、アルキレンオキサイド変性、等の変性シリ
コーン系消泡剤を使用しても良い。これらの消泡剤の混
合比は任意であり、インク1μl中に存在する0.5μ
m以上の粒子数が0.1×105 乃至1.5×105
となるように調整されていれば、特に限定はない。また
インク全体での消泡剤の添加量についても同様に、イン
ク1μl中に存在する0.5μl以上の粒子数が0.1
×105 乃至1.5×105 個となるように調整されて
いれば、特に限定はなく、消泡効果が認めらる範囲内で
かつ0.001〜3%の範囲内が好ましい。(更に好ま
しくは0.05〜0.5%である。)
【0044】市販の消泡剤で入手可能なものとしては、
ポリエーテル系の消泡剤としては旭電化工業(株)のア
デカプルロニックシリーズやアデカノールシリーズ(L
G−109、LG−121、LG−294、LG−29
7など)、サンノプコ(株)のSNデフォーマー15
7、247、375、470など、シリコン系消泡剤で
入手可能なものとしては、信越化学工業(株)のシリコ
ーン消泡剤(KS508、KS531、KM72、KM
85など)、東レ・ダウ・コーニング(株)のシリコー
ン消泡剤(Q2−3183A、SH5510など)、日
本ユニカー(株)のシリコーン消泡剤(SAG30な
ど)、旭電化工業(株)の消泡剤(アデカネートシリー
ズ)などが挙げられる。
【0045】その他本発明においては、滲み防止剤も添
加される。滲み防止剤としてはアルギン酸が最も効果が
高く、その添加量はインクの粘度等も考慮して0.1〜
5%程度が好ましい。
【0046】その他、本発明においては、必要に応じて
防腐剤、防かび剤、防錆剤、pH調整剤、酸化防止剤、
酸素吸収剤、紫外線吸収剤等々を含んでなることができ
る。
【0047】以下に本発明の実施例及び比較例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】下記処方のインク組成物を作成し室温にて
十分に攪拌した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフ
ィルターにて濾過を行い、実施例インク1〜8を得た。 (実施例インク1) ブラックインク CAB−O−JET 200(スルホン基付加型) 50重量% グリセリン 10重量% ジエチレングリコール 30重量% 2−エチル−1、3−ヘキサンジオール 2重量% 界面活性剤のNa塩 1重量% ポリエーテル系消泡剤LG294(旭電化) 0.05重量% シリコーン消泡剤SAG30(エマルジョン型) (日本ユニカー) 0.03重量% イオン交換水 残量 (実施例インク2) イエローインク C.I.ダイレクトイエロー 142 2重量% グリセリン 5重量% ジエチレングリコール 15重量% 2−エチル−1、3−ヘキサンジオール 2重量% 界面活性剤のNa塩 1重量% ポリエーテル系消泡剤LG294(旭電化) 0.2重量% シリコーン消泡剤SAG30(エマルジョン型) (日本ユニカー) 0.3重量% イオン交換水 残量 (実施例インク3) マゼンタインク MJR611 (三菱化学(株)) 1重量% C.I.アシッドレッド 52 1重量% グリセリン 5重量% ジエチレングリコール 15重量% 2−エチル−1、3−ヘキサンジオール 2重量% 界面活性剤のNa塩 1重量% ポリエーテル系消泡剤LG294(旭電化) 0.2重量% シリコーン消泡剤SAG30(エマルジョン型) (日本ユニカー) 0.3重量% イオン交換水 残量 (実施例インク4) シアンインク C.I.ダイレクトブルー 199 3重量% グリセリン 5重量% ジエチレングリコール 15重量% 2−エチル−1、3−ヘキサンジオール 2重量% 界面活性剤のNa塩 1重量% ポリエーテル系消泡剤LG294(旭電化) 0.2重量% シリコーン消泡剤SAG30(エマルジョン型) (日本ユニカー) 0.3重量% イオン交換水 残量 (実施例インク5) ブラックインク KM−9036 (東洋インキ) 40重量% グリセリン 10重量% 1,3ブタンジオール 15重量% 2−エチル−1、3−ヘキサンジオール 2重量% 2−ピロリドン 2重量% 界面活性剤 1重量% アルギン酸のNa塩 (紀文フードケミファ) 2重量% ポリエーテル系消泡剤LG294(旭電化) 0.05重量% シリコーン消泡剤KS508(自己乳化型) (信越化学) 0.1重量% イオン交換水 残量 (実施例インク6) イエローインク C.I.ピグメントイエロー 97 分散体 (冨士色素) 25重量% グリセリン 5重量% ジエチレングリコール 15重量% 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量% 界面活性剤のNa塩 1重量% ポリエーテル系消泡剤SNデフォーマー375 0.05重量% シリコーン消泡剤KS531(信越化学) 0.1重量% イオン交換水 残量 (実施例インク7) マゼンタインク C.I.ピグメントレッド 122 分散体 (冨士色素) 25重量% グリセリン 5重量% ジエチレングリコール 15重量% 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量% 界面活性剤のNa塩 1重量% ポリエーテル系消泡剤SNデフォーマー375 0.05重量% シリコーン消泡剤KS531(信越化学) 0.1重量% イオン交換水 残量 (実施例インク8) シアンインク C.I.ピグメントブルー 15:3 分散体 (冨士色素) 15重量% グリセリン 5重量% ジエチレングリコール 15重量% 2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量% 界面活性剤のNa塩 1重量% ポリエーテル系消泡剤SNデフォーマー375 0.05重量% シリコーン消泡剤KS531(信越化学) 0.1重量% イオン交換水 残量
【0049】下記処方のインク組成物を作成し室温にて
十分に攪拌した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフ
ィルターにて濾過を行い、比較例インク1〜3を得た。 (比較例インク1)実施例インク5から消泡剤を全て抜
いたほかは、同様にして比較例インク1を作製した。 (比較例インク2)実施例インク5において、シリコー
ン系消泡剤を抜いたほかは、同様にして比較例インク2
を作製した。 (比較例インク3)実施例インク5において、ポリエー
テル系消泡剤を抜いたほかは、同様にして比較例インク
3を作製した。
【0050】上記実施例インク2及び比較例インク1〜
3について、下記評価1,2及び3を行った。結果は表
1に示す。 評価1:インク脱気時の泡立ち評価 各インクを脱気容器に入れ、水流ポンプによる減圧下で
攪拌しながら脱気を行った。その時の容器内でのインク
の泡立ちを測定した。泡の高さが1cm以下を○、1〜
2cmを△、2cm以上を×とした。 評価2:カートリッジ装填時の初期充填性能の評価 脱気後、カートリッジに充填された各インクについて、
IPSiO JET300 にカートリッジ装填後、初
期充填動作を行い、その後ノズルチェックパターンを印
字させ、初期充填性能を評価した。評価は、ノズル抜け
が無くなるまでに行った初期充填動作回数で評価し、1
回で充填できたものを○、それ以外を×とした。 評価3:印字中の回復動作回数とインク使用量の評価 各インクを充填したIPSiO JET 300 を用
い、各色毎にベタ画像を打たせ、ノズル抜けが生じた
ら、回復動作を行い、1色につき、全部でA420枚を
印字させた。印字前後のカートリッジの重量を測定し、
使用したインクの量を算出し、また印字中に行った回復
動作の回数をチェックした。
【0051】
【表1】
【0052】上記の表1の評価結果からわかるように、
消泡剤を添加しない、もしくは1種類しか添加しないイ
ンクは泡立ちが大きく、初期充填性・吐出安定性ともに
悪い結果となった。
【0053】続いて、実施例インクセット1、2及び比
較例インクセット3〜5を作成し、実施例インクセット
1、2及び比較例インクセット3〜5について、下記評
価4を行った。結果は表2に示す。 (実施例インクセット1)実施例インク1〜4を実施例
インクセット1とした。 (実施例インクセット)実施例インク5〜8を実施例イ
ンクセット2とした。 (比較例インクセット3)実施例インクセット2の各イ
ンクから、界面活性剤及び浸透剤(2−エチル−1、3
−へキサンジオール)を抜いたほかは同様にして、比較
例インクセット3を作製した。 (比較例インクセット4)実施例インクセット2の各イ
ンクから、浸透剤(2−エチル−1、3−へキサンジオ
ール)を抜いたほかは同様にして、比較例インクセット
4を作製した。 (比較例インクセット5)実施例インクセット2の各イ
ンクの界面活性剤種を、フッ素系界面活性剤に変えたほ
かは同様にして、比較例インクセット5を作製した。
【0054】評価4:画像評価 評価3で使用したプリンターを用い、カラー画像を印字
し、その文字滲み、及び色境界滲みについて目視で評価
を行った。評価用紙は普通紙を使用した。評価は、滲み
がないを◎、滲みがほとんどないを○、滲みが若干ある
を△、滲みが明確を×とした。
【0055】
【表2】
【0056】上記の表2の評価結果からわかるように、
インクに界面活性剤、浸透剤を含有しないインクは、紙
への浸透性が悪く、特に高速で印字した場合には、色境
界での滲みが大きくなり、画質が低下する。またアルギ
ン酸を添加したインクの方が、色境界滲みを抑える効果
がより高かった。
【0057】更に、実施例インク9を作成し、上記の実
施例インク6、9及び比較例インクセット5のイエロー
インクについて、下記評価5を行った。結果は表3に示
す。
【0058】(実施例インク9)実施例インク6のイエ
ローインクの顔料分散体をキャボット社の自己分散タイ
プの顔料分散体に変えたほかは同様にして、実施例イン
ク9を作製した。
【0059】評価5:吐出安定性評価 評価3で使用したプリンターを用い、ベタ画像を連続で
印字し、吐出不良が発生するまでの時間(秒)を測定し
た。
【0060】
【表3】
【0061】上記の表3の評価結果からわかるように、
顔料インクは分散剤分散タイプのものよりも、自己分散
タイプのものの方が吐出安定性が高い。またフッ素系界
面活性剤を添加したものは、画質は悪くないが、吐出安
定性が不充分であった。
【0062】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、水、着色
剤、有機溶剤、界面活性剤、浸透剤及び消泡剤とを含有
するインクジェット記録用インクにおいて、消泡剤とし
てポリエーテル系の消泡剤とシリコーン系の消泡剤とを
同時に含有することにより、高浸透性を確保したまま、
インクの起泡性を制御し、かつ高画質で吐出安定性に優
れたものにすることができる。また、インクの泡立ちが
少ないため、カートリッジへの充填も容易で、ヘッドへ
の装填時の初期充填性能にも優れている。
【0063】請求項2記載の発明によれば、界面活性剤
が、ノニオン系及び/またはアニオン系の界面活性剤で
あることにより、紙への浸透性を高め、速乾燥性で、文
字にじみ、境界にじみを更に低減させた高品位な画像を
得ることができる。
【0064】請求項3記載の発明によれば、界面活性剤
が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤
及び/または、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢
酸塩系界面活性剤であることにより、紙への浸透性を高
め、速乾燥性で、文字にじみ、境界にじみを更に低減さ
せた極めて高品位な画像を得ることができる。
【0065】請求項4記載の発明によれば、着色剤が、
表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子
団を介して結合するような処理がなされたことにより、
分散剤なしに水に分散および/または溶解が可能となっ
た顔料であることにより、高品位な印字品質が得られる
とともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上し、ま
た、乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止
し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分
が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニン
グ動作で容易に良好な印字が行えるようになる。
【0066】請求項5記載の発明によれば、浸透剤が
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及
び/または2−エチル−1、3−へキサンジオールであ
ることにより、高速印字時でもにじみを低減することが
可能となり、また吐出安定性及び吐出応答性を向上させ
ることができる。
【0067】請求項6記載の発明によれば、インク組成
物として更に滲み防止剤を添加したことにより、境界滲
みを抑えることができる。
【0068】請求項7記載の発明によれば、滲み防止剤
がアルギン酸であることにより、一層、境界滲みを抑え
ることができる。
【0069】請求項8記載の発明によれば、イエローイ
ンク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックイ
ンクからなるインクジェット記録用インクセットにおい
て、各インクが水、着色剤、界面活性剤、有機溶剤、浸
透剤、及び消泡剤を含有するとしてポリエーテル系の消
泡剤とシリコーン系の消泡剤とを同時に含むことによ
り、高浸透性を確保したまま、インクの起泡性を制御
し、かつ高画質で吐出安定性に優れたものにすることが
できる。また、インクの泡立ちが少ないため、カートリ
ッジへの充填も容易で、ヘッドへの装填時の初期充填性
能にも優れている。
【0070】請求項9記載の発明によれば、熱エネルギ
ーを用いてインクセットのインクを飛翔させ、カラー画
像の形成を行うインクジェット記録方法により、ノズル
目詰まりを防止し、且つ印字中あるいは印字休止後の吐
出不良及び画質不良が改善可能で、滲みのない、鮮明な
画像を提供することができる。
【0071】請求項10記載の発明によれば、力学的エ
ネルギーを用いてインクセットのインクを飛翔させ、カ
ラー画像の形成を行うインクジェット記録方法により、
ノズル目詰まりを防止し、且つ印字中あるいは印字休止
後の吐出不良及び画質不良が改善可能で、滲みのない、
鮮明な画像を提供することができる。
【0072】請求項11記載の発明によれば、熱エネル
ギーを用いてインクセットのインクを飛翔させ、カラー
画像の形成を行うインクジェット記録装置により、ノズ
ル目詰まりを防止し、且つ印字中あるいは印字休止後の
吐出不良及び画質不良が改善可能で、滲みのない、鮮明
な画像を提供することができる。
【0073】請求項12記載の発明によれば、力学的エ
ネルギーを用いてインクセットのインクを飛翔させ、カ
ラー画像の形成を行うインクジェット記録装置により、
ノズル目詰まりを防止し、且つ印字中あるいは印字休止
後の吐出不良及び画質不良が改善可能で、滲みのない、
鮮明な画像を提供することができる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク組成物として水、着色剤、界面活
    性剤、有機溶剤、浸透剤及び消泡剤を含有するインクジ
    ェット記録用インクにおいて、前記消泡剤がポリエーテ
    ル系の消泡剤とシリコーン系の消泡剤とを同時に含むこ
    とを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 【請求項2】 界面活性剤が、ノニオン系及び/または
    アニオン系の界面活性剤であることを特徴とする請求項
    1記載のインクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 界面活性剤が、ポリオキシエチレンアル
    キルエーテル系界面活性剤及び/または、ポリオキシエ
    チレンアルキルエーテル酢酸塩系界面活性剤であること
    を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用イン
    ク。
  4. 【請求項4】 着色剤が、表面に少なくとも1種の親水
    基が直接もしくは他の原子団を介して結合するような処
    理がなされたことにより、分散剤なしに水に分散および
    /または溶解が可能となった顔料であることを特徴とす
    る請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  5. 【請求項5】 浸透剤が2,2,4−トリメチル−1,
    3−ペンタンジオール及び/または2−エチル−1、3
    −へキサンジオールであることを特徴とする請求項1記
    載のインクジェット記録用インク。
  6. 【請求項6】 インク組成物として更に滲み防止剤を添
    加したことを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    記録用インク。
  7. 【請求項7】 滲み防止剤がアルギン酸であることを特
    徴とする請求項6記載のインクジェット記録用インク。
  8. 【請求項8】 イエローインク、マゼンタインク、シア
    ンインク、及びブラックインクからなるインクジェット
    記録用インクセットにおいて、各インクが水、着色剤、
    界面活性剤、有機溶剤、浸透剤、及び消泡剤を含有する
    としてポリエーテル系の消泡剤とシリコーン系の消泡剤
    とを同時に含むことを特徴とするインクジェット記録用
    インクセット。
  9. 【請求項9】 熱エネルギーを用いて請求項8記載のイ
    ンクセットのインクを飛翔させ、カラー画像の形成を行
    うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 【請求項10】 力学的エネルギーを用いて請求項8記
    載のインクセットのインクを飛翔させる、カラー画像の
    形成を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 【請求項11】 熱エネルギーを用いて請求項8記載の
    インクセットのインクを飛翔させ、カラー画像の形成を
    行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 力学的エネルギーを用いて請求項8記
    載のインクセットのインクを飛翔させ、カラー画像の形
    成を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
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