JP2007238813A - インクジェットインクとそれを用いた疎水性媒体への印刷方法 - Google Patents

インクジェットインクとそれを用いた疎水性媒体への印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】疎水性媒体の中でも疎水性の高い、UVコート媒体等の表面にも、現状よりさらに良好な印刷をすることができる、水性のインクジェットインクと、それを用いた疎水性媒体への印刷方法とを提供する。
【解決手段】インクジェットインクは、顔料、非プロトン性極性溶媒、および水に、式(1):
Figure 2007238813

〔式中、Rはメチル基または水素原子、Xは、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位と、式(2):
Figure 2007238813

〔式中、Rはメチル基または水素原子、Yは、少なくともパーフルオロアルキル基を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位とを含む共重合体からなる、水に可溶性のフッ素系界面活性剤を配合した。印刷方法は、前記インクジェットインクを印刷後、加熱する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、疎水性媒体、特に、UVコート紙等のUVコート媒体の表面に印刷するのに適したインクジェットインクと、それを用いる疎水性媒体への印刷方法とに関するものである。
従来、水性のインクジェットインクを用いたインクジェット印刷方法においては、上質紙等の紙類や、あるいは、典型的に高いインク吸収性を有するように設計された専用紙等の、吸水性を有する媒体に印刷するのが一般的であり、例えば、基材の表面を、疎水性で、かつ平滑で、しかも非多孔質であるため、吸水性を有しないコーティングによって被覆した、主にオフセット印刷用として用いられるオフセットコート媒体への印刷には適していなかった。
すなわち、オフセットコート媒体の表面の、疎水性のコーティングは、水性のインクジェットインクを吸収しないため、前記コーティングの表面に印刷された水性のインクジェットインクは、前記表面ではじかれたり滲んだりしやすい。そのため、エッジがシャープで鮮明な印刷を得ることができないという問題がある。また、印刷の乾燥性が悪い上、乾燥しても定着性が十分でないため、こすると簡単に滲んでしまうという問題もある。そこで、水性のインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷方法によって、オフセットコート媒体等の、疎水性媒体の表面に、良好な印刷を行うための新たな技術開発が求められている。
インクジェット印刷方法によって、オフセットコート媒体の表面に良好な印刷を行うために、まず考えられるのは、インクジェットインクの、疎水性であるコーティングに対する親和性を向上することであり、そのために、界面活性剤の種類を検討したり、水と相溶性を有し、なおかつ、疎水性のコーティングに対する親和性を有する、グリコールエーテルや湿潤剤等を配合したりすることが提案されている。
また、親和性の向上と共に、印刷後のインクジェットインクの、コーティングに対する定着性を向上するために、水に可溶性または水分散性のバインダ樹脂(ビヒクル)を配合することも提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。しかし、水性のインクジェットインクにおいて既知の成分である、前記界面活性剤、グリコールエーテル、湿潤剤およびバインダ樹脂等について検討するだけでは、その効果に限界があり、オフセットコート媒体の表面に、現状よりも、良好な印刷を行うことは難しかった。
そこで、水と相溶性を有し、なおかつ、オフセットコート媒体に通常に使用される、アクリル系樹脂等からなる疎水性のコーティングに対して、良好な浸透性を有する溶媒を、水と併用することが考えられ、前記溶媒として、非プロトン性極性溶媒を用いることが提案されている(特許文献3)。
非プロトン性極性溶媒は、前記疎水性のコーティングを、若干溶かしながら、前記コーティング中に、良好に浸透する性質を有しているため、インクジェットインクが、コーティングの表面ではじかれたり、滲んだりするのを防止して、エッジがシャープで鮮明な印刷を得ることや、非プロトン性極性溶媒を、コーティングに吸収させることによって、印刷後のインクジェットインクの乾燥性を向上すること等が期待されている。しかし、特許文献3に記載されたインクジェットインクの構成では、非プロトン性極性溶媒を含有させているにも拘らず、その効果は未だ十分ではなく、さらなる改善が望まれている。
そこで、発明者は、先に、非プロトン性極性溶媒として、分子量が40〜130であるものを、選択的に用いると共に、前記非プロトン性極性溶媒の含有割合を、インクジェットインクの総量中の、40〜75重量%に限定することを提案した(特許文献4)。特許文献4記載の発明によれば、前記特定の分子量を有する非プロトン性極性溶媒を、所定量、配合することで、インクジェットインクの、先に説明した、アクリル系樹脂等からなるコーティングに対する浸透性を向上して、前記コーティングを有するオフセットコート媒体の表面に、現状よりも、シャープかつ鮮明で、しかも、乾燥性に優れた良好な印刷をすることができる。
特開2003−206426号公報(特許請求の範囲、第0009欄〜第0010欄) 特表2004−510028号公報(特許請求の範囲、第0012欄) 特開2003−268279号公報(特許請求の範囲、第0009欄) WO2006/004006A1(第0009欄、第0015欄〜第0018欄、請求の範囲)
ところが、発明者がさらに検討したところ、疎水性媒体の中でも、特に疎水性が高く、水をはじきやすい、UVコート紙等のUVコート媒体の表面に、特許文献4記載の発明のインクジェットインクを用いて印刷をしても、UVコート媒体の表面に対する濡れ性が十分でないため、印刷の鮮明性が低下するという問題があることが明らかとなった。特に、有機顔料を用いたカラーインクにおいて、前記濡れ性の不足と、それに伴う印刷の鮮明性の低下が顕著であった。
なお、VUコート媒体とは、基材の表面に、紫外線(UV)硬化型樹脂の硬化物からなるコーティングを形成したオフセットコート媒体のことを指す。前記UVコート媒体は、先に説明したアクリル系樹脂等からなるコーティングを備えた通常のオフセットコート媒体の、表面の表面張力(測定温度25℃)が32〜42mN/m程度、60°光沢度が15〜86程度であるのに対し、前記硬化物からなるコーティングの表面の表面張力(測定温度25℃)が30mN/m以下、60°光沢度が88以上という、疎水性が高く、かつ光沢性に優れた表面を有している。
なお、本発明では、前記UVコート媒体や通常のオフセットコート媒体の、表面の表面張力を、以下に説明する方法で求めた表面張力値でもって表すこととする。すなわち、表面張力を求める表面の、水およびn−ヘキサデカンの静的接触角を、それぞれ、協和界面科学(株)製のCA X−150を用いて測定し、その測定値を、下記OWENS(オーエンス)の式に代入して、前記表面の表面張力γ(=γ +γ )を求めた。
γ(1+cosθ)=2(γ ・γ 1/2+2(γ ・γ 1/2
式中の符号は、下記のとおりとした。また、水およびn−ヘキサデカンの、表面自由エネルギーのパラメータは、表1のとおりとした。
γ:液体の表面張力
γ :液体の表面自由エネルギーの分散力成分
γ :液体の表面自由エネルギーの水素結合力成分
γ :固体の表面自由エネルギーの分散力成分
γ :固体の表面自由エネルギーの水素結合力成分
θ:液体の接触角
Figure 2007238813
本発明の目的は、疎水性媒体の中でも疎水性の高い、UVコート媒体等の表面にも、現状よりさらに良好な印刷をすることができる、水性のインクジェットインクと、それを用いた疎水性媒体への印刷方法とを提供することにある。
請求項1記載の発明は、疎水性媒体に印刷するためのインクジェットインクであって、顔料と、非プロトン性極性溶媒と、水と、フッ素系界面活性剤とを含み、前記フッ素系界面活性剤が、式(1):
Figure 2007238813
〔式中、Rはメチル基または水素原子、Xは、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位と、式(2):
Figure 2007238813
〔式中、Rはメチル基または水素原子、Yは、少なくともパーフルオロアルキル基を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位とを少なくとも含む、水に可溶性の共重合体であることを特徴とするインクジェットインクである。
請求項1記載の発明において、フッ素系界面活性剤として用いている前記共重合体は、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの主鎖に、側鎖として、親水性であるエチレンオキシド基を含む基Xと、疎水性で、かつ疎油性であるパーフルオロアルキル基を含む基Yとを、多数、結合した構造を有している。
そのため、前記フッ素系界面活性剤は、エチレンオキシド基によって、水への可溶性を維持しながら、非プロトン性極性溶媒と水との混合溶媒中で、従来の、例えば、特許文献4に記載された、式(5):
Figure 2007238813
〔式中、mは1以上の整数を示す。〕
で表される、比較的、分子量の小さいフッ素系界面活性剤(特許文献4では、mが8〜12程度)に比べて、高い界面活性を発現することができ、インクジェットインクの、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面に対する濡れ性を、向上する効果に優れている。
また、前記フッ素系界面活性剤は、式(5)で表されるフッ素系界面活性剤に比べて、起泡性が低いことから、インクジェットインクを、泡かみを生じにくくすることができ、インクジェットプリンタのノズルから吐出させる際の吐出安定性を向上することもできる。
したがって、前記フッ素系界面活性剤を含有する、請求項1記載の発明のインクジェットインクによれば、前記インクジェットインクが、UVコート媒体の表面のコーティングに対しても浸透性を有する非プロトン性極性溶媒を含有することと相まって、水性でありながら、疎水性媒体の中でも疎水性の高い、前記UVコート媒体等の表面に、鮮明性の高い、現状よりもさらに良好な印刷をすることが可能となる。なお、フッ素系界面活性剤としての、式(1)(2)で表される繰り返し単位を含む共重合体が、水に可溶性である状態とは、本発明では、前記共重合体が、25℃の水に、1重量%以上の濃度で溶解することを指すこととする。
前記フッ素系界面活性剤は、インクジェットインクの、UVコート媒体等の疎水性媒体の表面に対する濡れ性を、できるだけ向上することを考慮すると、水の表面張力を低下させる機能に優れていることが好ましく、特に、請求項2に記載したように、0.2重量%濃度の水溶液とした際の表面張力(測定温度25℃)が22mN/m以下であるのが好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、請求項3に記載したように、式(3):
Figure 2007238813
〔式中、Rは炭素数14、16または18のアルキル基、Rはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を示す。〕
で表される繰り返し単位と、式(4):
Figure 2007238813
〔式中、Rは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基である。〕
で表される繰り返し単位との共重合体が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤は、先に説明した、式(1)で表される繰り返し単位中の基Xの全体が、末端の、炭素数の大きいアルキル基Rと、基R中のプロピレンオキシド基との作用によって、親油性基とされた、式(3)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位中の基Yが、疎水性、疎油性であるパーフルオロアルキル基Rを主体とするR−O−基とされた、式(4)で表される繰り返し単位との共重合体からなり、基本的に、油溶性界面活性剤として機能する構造を有している上、前記基R中のエチレンオキシド基の作用によって、親水性と、共重合体全体としての、水への可溶性とを確保した構造を有している。
そのため、前記フッ素系界面活性剤は、先に説明した親水性、疎水性、および疎油性に加えて、さらに、親油性をも有していることになり、非プロトン性極性溶媒と水との混合溶媒中で、さらに高い界面活性を発現させることができる。
フッ素系界面活性剤Fの配合割合は、非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対して、請求項4に記載したように、S/F(重量比)=45/1〜90/1であるのが好ましい。前記範囲よりフッ素系界面活性剤が少ない場合には、前記フッ素系界面活性剤による、インクジェットインクの、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面に対する濡れ性を向上する効果が、十分に得られないおそれがある。
一方、前記範囲よりフッ素系界面活性剤が多くても、それ以上の効果が得られないだけでなく、過剰のフッ素系界面活性剤が含まれることによって、インクジェットインクが泡かみしやすくなって、インクジェットプリンタのノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下するおそれがある。これに対し、非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)が、先に説明した範囲内であれば、インクジェットインクの良好な吐出安定性を維持しながら、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面に対する濡れ性を、十分に向上することができる。
インクジェットインクは、請求項5に記載したように、重量平均分子量Mw=1,000〜3,000のバインダ樹脂を含有していてもよい。前記バインダ樹脂を含むインクジェットインクは、インクジェットプリンタの待機時に、粘度が急激に上昇しないため、印刷を再開した初期の段階で、かすれ等の印刷不良を生じるおそれがない上、印刷後の、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面において、バインダ樹脂が顔料を保護するため、印刷の耐水性、耐擦過性を向上することもできる。
前記請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面に印刷する場合は、請求項6に記載したように、インクジェットインクを、印刷直後に加熱して乾燥させるのが好ましい。これにより、非プロトン性極性溶媒を、UVコート媒体のコーティング等の、疎水性の表面に浸透させて、インクジェットインクの乾燥性を向上させる効果を補助して、通常の、水性のインクジェットインクを、吸水性の被印刷物の表面に印刷する場合と、ほぼ同等の印刷速度でもって、疎水性媒体に対する印刷を行うことが可能となる。
本発明によれば、疎水性媒体の中でも疎水性の高い、UVコート媒体等の表面にも、現状よりさらに良好な印刷をすることができる、水性のインクジェットインクと、それを用いた疎水性媒体への印刷方法とを提供することができる。
《インクジェットインク》
本発明のインクジェットインクは、顔料と、非プロトン性極性溶媒と、水と、フッ素系界面活性剤とを含み、前記フッ素系界面活性剤が、式(1):
Figure 2007238813
〔式中、Rはメチル基または水素原子、Xは、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位と、式(2):
Figure 2007238813
〔式中、Rはメチル基または水素原子、Yは、少なくともパーフルオロアルキル基を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位とを少なくとも含む、水に可溶性の共重合体であることを特徴とするものである。
〈非プロトン性極性溶媒〉
非プロトン性極性溶媒としては、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面のコーティングを、若干溶かしながら、前記コーティング中に浸透する性質を有すると共に、水素イオンを生じたり受け取ったりしない種々の、非プロトン性極性溶媒が、いずれも使用可能であるが、分子量が40〜130、特に45〜115である非プロトン性極性溶媒が、好適に使用される。分子量が、前記範囲未満では、インクジェットインクが乾燥しやすくなって、インクジェットプリンタのノズル等において、目詰まりを生じやすくなるおそれがある。
また、前記範囲を超える場合には、インクジェットインクの粘度が上昇して、前記ノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下するおそれがある。これに対し、非プロトン性極性溶媒の分子量が、前記範囲内であれば、インクジェットインクの、ノズル等での目詰まりを防止しながら、前記ノズルからの吐出安定性を向上して、UVコート媒体等の疎水性媒体の表面に、より一層、良好な印刷をすることができる。
前記非プロトン性極性溶媒は、沸点が150〜250℃であるのが好ましい。沸点が、前記範囲未満では、インクジェットインクが乾燥しやすくなって、ノズル等での目詰まりを生じやすくなるおそれがあり、前記範囲を超える場合には、逆に、インクジェットインクが乾燥しにくくなって、印刷後の乾燥性が低下するおそれがある。これに対し、非プロトン性極性溶媒の沸点が、前記範囲内であれば、これらの問題が生じるのを防止して、疎水性媒体の表面に、より一層、良好な印刷をすることができる。
これらの条件を満たす好適な非プロトン性極性溶媒としては、ホルムアミド〔分子量:45.0、沸点:210℃〕、N−メチルホルムアミド〔分子量:59.1、沸点:197℃〕、N,N−ジメチルホルムアミド〔分子量:73.1、沸点:153℃〕、2−ピロリドン〔分子量:85.1、沸点:245℃〕、γ−ブチロラクトン〔分子量:86.1、沸点:204℃〕、N−メチル−2−ピロリドン〔分子量:99.1、沸点:202℃〕、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン〔分子量:114.2、沸点:225.5℃〕、およびN,N−ジエチルプロピオンアミド〔分子量:129.2、沸点:195℃〕からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの非プロトン性極性溶媒を用いると、先に示した各種の効果が得られるだけでなく、その詳細は明らかではないものの、顔料の、インクジェットインク中での分散安定性を向上することもできる。
非プロトン性極性溶媒の、インクジェットインクの総量中の含有割合は40〜75重量%、特に45〜70重量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、非プロトン性極性溶媒を含有させたことによる、インクジェットインクの、UVコート媒体のコーティング等の、疎水性の表面に対する浸透性を向上したり、印刷の乾燥性等を改善したりする効果が十分に得られないおそれがある。
また、前記範囲を超える場合には、たとえ非プロトン性極性溶媒の分子量を130以下に限定したとしても、インクジェットインクの粘度が高くなって、ノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下するおそれがある。これに対し、非プロトン性極性溶媒の含有割合が、前記範囲内であれば、これらの問題が生じるのを防止して、疎水性媒体の表面に、より一層、良好な印刷をすることができる。
〈フッ素系界面活性剤〉
フッ素系界面活性剤としては、式(1):
Figure 2007238813
〔式中、Rはメチル基または水素原子、Xは、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位と、式(2):
Figure 2007238813
〔式中、Rはメチル基または水素原子、Yは、少なくともパーフルオロアルキル基を含む基を示す。〕
で表される繰り返し単位とを少なくとも含む、水に可溶性の共重合体が使用される。
これにより、先に説明したように、疎水性媒体の中でも疎水性の高い、UVコート媒体等の疎水性媒体の表面に、鮮明性の高い、現状よりもさらに良好な印刷をすることが可能となる。
フッ素系界面活性剤は、インクジェットインクの、UVコート媒体等の疎水性媒体の表面に対する濡れ性を、できるだけ向上することを考慮すると、水の表面張力を低下させる機能に優れていることが好ましく、特に、請求項2に記載したように、0.2重量%濃度の水溶液とした際の表面張力(測定温度25℃)が22mN/m以下、特に17mN/m以下であるのが好ましい。また、表面張力の下限は、特に限定されないが、10mN/m以上とすることにより、吐出しないときに、インクジェットプリンタのノズルから、インクが垂れるのを防ぐことができる。
フッ素系界面活性剤は、重量平均分子量Mw=500〜100,000、特にMw=500〜20,000であるのが好ましい。重量平均分子量Mwが、前記範囲未満では、先に説明した、側鎖としての基Xや基Yの数が少なくなるため、非プロトン性極性溶媒と、水との混合溶媒中で、高い界面活性を発現させる効果が十分に得られないおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、水に対する可溶性が低下するおそれがある。これに対し、重量平均分子量Mwが、前記範囲内であれば、水に対する可溶性を維持しながら、非プロトン性極性溶媒と水との混合溶媒中で、高い界面活性を発現させることができる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素の含有割合が5〜30重量%の化合物であるのが好ましい。フッ素の含有割合が前記範囲未満では、フッ素系界面活性剤による、UVコート媒体等の疎水性媒体の表面に対する濡れ性を向上する効果が不十分になるおそれがあり、逆に、前記範囲を超える場合には、フッ素系界面活性剤の、水、および非プロトン性極性溶媒に対する相溶性が低下するおそれがある。
フッ素系界面活性剤は、例えば、その主鎖である、所定の鎖長を有するポリ(メタ)アクリル酸を合成し、前記ポリ(メタ)アクリル酸の、側鎖のカルボニル基を改質して合成することができる。また、式(1)の繰り返し単位のもとになる(メタ)アクリル酸化合物と、式(2)の繰り返し単位のもとになる(メタ)アクリル酸化合物とを共重合させて合成することもできる。フッ素系界面活性剤としては、例えば、下記の共重合体が挙げられ、特に、フッ素系界面活性剤1が、好適に使用される。その理由は、先に説明したとおりである。
(フッ素系界面活性剤1)
式(1)で表される繰り返し単位中の基Rがメチル基、基Xが、式(6):
Figure 2007238813
〔式中、Rは炭素数14、16または18のアルキル基、Rはエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を示す。〕
で表される基とされた、式(3):
Figure 2007238813
で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位中の基Rがメチル基、基Yが、式(7):
−O− (7)
〔式中、Rは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基である。〕
で表される基とされた、式(4):
Figure 2007238813
で表される繰り返し単位との共重合体。
前記共重合体の具体例としては、例えば、セイミケミカル(株)製のサーフロン(登録商標)S−381が挙げられる。サーフロンS−381は、前記共重合体を、有効成分として、70重量%の割合で、酢酸エチルに溶解した、淡黄色粘調液体〔比重(20℃):1.11〕の状態で提供される。サーフロンS−381の有効成分である共重合体の、重量平均分子量Mwは500〜20,000、フッ素の含有割合は5〜30重量%である。また、前記共重合体を、純水に溶解した、0.2重量%濃度の水溶液の表面張力(測定温度25℃)は、15.2mN/mである。なお、表面張力は、KRUSS(クラス)社製の自動表面張力計K10STを用いて、プレート法の原理に基づいて測定した値でもって表すこととする。
(フッ素系界面活性剤2)
式(1)で表される繰り返し単位中の基Rが水素原子、基Xが、式(8):
Figure 2007238813
〔式中、n、pおよびqは、同一または異なって1以上の整数を示す。〕
で表される基とされた、式(9):
Figure 2007238813
で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位中の基Rが水素原子、基Yが、式(10):
Figure 2007238813
〔式中、Rは炭素数1以上のアルキル基を示す。〕
で表される基とされた、式(11):
Figure 2007238813
で表される繰り返し単位との共重合体。
前記共重合体の具体例としては、例えば、(株)ジェムコ製のエフトップEF−802、EF−352が挙げられる。このうち、エフトップEF−802は、前記共重合体を、有効成分として、99重量%の割合で、酢酸エチルに溶解した、黄色液体〔比重(20℃):1.22〕の状態で提供される。前記共重合体を、純水に溶解した、0.2重量%濃度の水溶液の表面張力(測定温度25℃)は、21.7mN/mである。
また、エフトップEF−352は、前記共重合体を、有効成分として、95重量%の割合で、酢酸エチルに溶解した、淡黄色液体〔比重(20℃):1.22〕の状態で提供される。前記共重合体を、純水に溶解した、0.2重量%濃度の水溶液の表面張力(測定温度25℃)は、25.0mN/mである。
フッ素系界面活性剤Fの配合割合は、非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対して、S/F(重量比)=45/1〜90/1、特に50/1〜85/1であるのが好ましい。前記範囲よりフッ素系界面活性剤が少ない場合には、前記フッ素系界面活性剤による、インクジェットインクの、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面に対する濡れ性を向上する効果が、十分に得られないおそれがある。
一方、前記範囲よりフッ素系界面活性剤が多くても、それ以上の効果が得られないだけでなく、過剰のフッ素系界面活性剤が含まれることによって、インクジェットインクが泡かみしやすくなって、インクジェットプリンタのノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下するおそれがある。これに対し、非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)が、先に説明した範囲内であれば、インクジェットインクの良好な吐出安定性を維持しながら、UVコート媒体等の、疎水性媒体の表面に対する濡れ性を、十分に向上することができる。
〈顔料〉
顔料としては、インクジェットインクに通常に使用される任意の無機顔料および/または有機顔料を用いることができる。このうち、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネスト法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
また有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ベリレン顔料、ベリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの1種または2種以上が挙げられる。
顔料の具体例は、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー74、109、110、138、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122、202、209、シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3、60、ブラック顔料としてC.I.ピグメントブラック7、オレンジ顔料としてC.I.ピグメントオレンジ36、43、グリーン顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、36等である。
顔料は、インクジェットインクの色目に応じて、1種または2種以上を用いることができる。顔料の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.1〜30重量%であるのが好ましい。また、顔料は、親水性を付与してインクジェットインク中での分散安定性を向上するために、その表面を改質して親水性基を導入しておくのが好ましい。改質により顔料の表面に導入する親水性基としては、スルホン基等が挙げられる。
本発明のインクジェットインクには、先に説明した各成分に加えて、次に述べる有機酸のエチレンオキシド付加物その他の成分を含有させることもできる。
〈有機酸のエチレンオキシド付加物〉
インクジェットインクに、有機酸塩のエチレンオキシド付加物を含有させると、特に、サーマルジェット(登録商標)方式のインクジェットプリンタにおいて、インクジェットインクの吐出安定性を向上することができる。
その理由は明らかではないが、サーマルジェット方式のインクジェットプリンタにおいて、インクジェットインクが瞬時に高温(およそ400℃程度)に加熱された際に、有機酸塩のエチレンオキシド付加物が、顔料の表面に吸着しようと働きかけて、顔料の分散の安定性が破壊されるのを防止し、分散の安定に寄与するためと考えられる。有機酸塩のエチレンオキシド付加物としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、D−リンゴ酸、L−リンゴ酸等の、種々のモノ〜トリカルボン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、もしくはアンモニウム塩に、エチレンオキシドを付加させた化合物が挙げられる。
特に、インクジェットインクの吐出安定性を向上する効果の点では、式(12):
Figure 2007238813
〔式中、M、M、およびMは同一または異なってナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム基、または水素を示す。ただしM、M、およびMは同時に水素でない。rは1〜28の数を示す。〕
で表される、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩のエチレンオキシド付加物、およびクエン酸アンモニウムのエチレンオキシド付加物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
式中のrが28を超える化合物は、インクジェットインクの粘度を上昇させたり、水溶性が低下してインクジェットインク中に析出したりして、前記インクジェットインクの吐出安定性を低下させるおそれがある。前記化合物の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.1〜5.0重量%、特に0.3〜3.0重量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、前記化合物を含有させたことによる、先に説明した、インクジェットインクの吐出安定性を向上する効果が不十分になるおそれがある。また前記範囲を超える場合には、ノズル等で目詰まりを生じるおそれがある。
〈ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル〉
インクジェットインクに、式(13):
Figure 2007238813
〔式中、sは3〜28の数を示す。〕
で表されるポリオキシエチレンフェニルエーテル、および式(14):
Figure 2007238813
〔式中、Rは炭素数8〜10のアルキル基、tは3〜28の数を示す。〕
で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有させると、先に説明した有機酸塩のエチレンオキシド付加物の機能を補助する働きをして、インクジェットインクの吐出安定性を、さらに向上することができる。
このうち、式(13)で表されるポリオキシエチレンフェニルエーテルにおいて、式中のsが3〜28であるのが好ましいのは、sが前記範囲を外れる化合物は、有機酸塩のエチレンオキシド付加物の機能を補助する効果が不十分になるおそれがあるためである。また、特にsが28を超える化合物は、インクジェットインクの粘度を上昇させたり、水溶性が低下してインクジェットインク中に析出したりして、前記インクジェットインクの吐出安定性を低下させるおそれもある。
式(13)のポリオキシエチレンフェニルエーテルの具体例としては、sが6である、式(15):
Figure 2007238813
で表される化合物が挙げられる。
また、式(14)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルにおいて、式中のtが3〜28で、かつRのアルキル基の炭素数が8〜10であるのが好ましいのは、tが前記範囲を外れる化合物や、Rのアルキル基の炭素数が前記範囲を外れる化合物はいずれも、有機酸塩のエチレンオキシド付加物の機能を補助する効果が不十分になるおそれがあるためである。また、特にtが28を超える化合物や、Rのアルキル基の炭素数が10を超える化合物は、インクジェットインクの粘度を上昇させたり、水溶性が低下してインクジェットインク中に析出したりして、前記インクジェットインクの吐出安定性を低下させるおそれもある。
式(14)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例としては、tが25でRのアルキル基の炭素数が8である、式(16):
Figure 2007238813
で表される化合物が挙げられる。なお、式(14)の化合物には、Rのアルキル基が、フェニル基上の、ポリオキシエチレン基からみてo位、m位およびp位に結合した3種の化合物があるが、本発明では、いずれの化合物を用いることもできる。また、前記3種の化合物のうち、2種以上の混合物を用いることもできる。
式(13)のポリオキシエチレンフェニルエーテルおよび/または式(14)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.1〜7.0重量%、特に0.5〜6.0重量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、これらの化合物を含有させたことによる、先に説明した、インクジェットインクの吐出を安定させる効果を補助する補助効果が、不十分になるおそれがある。また前記範囲を超える場合には、ヘッド内で目詰まりを生じるおそれがある。
なお含有割合は、式(13)(14)の化合物をいずれか単独で使用する場合は、前記化合物単独での含有割合であり、2種以上を併用する場合は、併用する化合物の合計の含有割合である。式(13)(14)の化合物は、それぞれ、補助効果のメカニズムが異なっていると考えられるため、両者を併用するのが好ましい。特に、式(15)の化合物と、式(16)の化合物との併用系が、補助効果の点で好ましい。
〈アセチレングリコール類、グリコールエーテル類〉
インクジェットインクに、アセチレングリコール類および/またはグリコールエーテル類を含有させると、これらの化合物は、式(13)のポリオキシエチレンフェニルエーテルおよび/または式(14)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの補助効果を、さらに補完する補完効果を有するため、インクジェットインクの吐出安定性を、さらに向上することができる。
アセチレングリコール類としては、エアープロダクツ社製のサーフィノール(登録商標)104およびそのシリーズ品、同サーフィノール420、440、465、485、同ダイノール604、日信化学工業(株)製のオルフィン(登録商標)E4001、4036、4051などの1種または2種以上が挙げられる。
アセチレングリコール類の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.01〜5.0重量%、特に0.05〜3.0重量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、前記化合物を含有させたことによる、先に説明した補完効果が不十分になるおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、印刷の耐水性が低下するおそれがある。
また、フッ素系界面活性剤に、式(17):
Figure 2007238813
〔式中、uおよびvは、それぞれ別個に、0〜40の数を示す。ただし、u、vは同時に0でなく、u+vは1〜40の数を示す。〕
で表されるアセチレングリコール類を組み合わせると、先に説明した補完効果に加えて、インクジェットインクの、特に、グロス調のUV媒体に対する濡れ性を改善する効果を得ることもできる。
式(17)で表されるアセチレングリコール類としては、前記例示の各種化合物のうち、エアープロダクツ社製のサーフィノール420〔式(17)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が1.3〕、440〔式(17)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が3.5〕、465〔式(17)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が10〕、485〔式(17)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が30〕が挙げられる。
一方、グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
グリコールエーテル類の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.5〜10.0重量%、特に2.0〜7.0重量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、前記化合物を含有させたことによる、先に説明した補完効果が不十分になるおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、前記化合物が不揮発性の液体であるため、インクジェットインクが乾燥しにくくなるおそれがある。またインクジェットインクの保存安定性が低下するおそれもある。
〈バインダ樹脂I〉
インクジェットインクにバインダ樹脂を含有させると、前記バインダ樹脂が、UVコート媒体のコーティング等の、疎水性の表面と顔料とのバインダとして機能するため、印刷の耐水性や耐擦過性、印刷の鮮明性等を向上することができる。特に、バインダ樹脂として、本質的に水には不溶で、かつ塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に選択的に可溶であるバインダ樹脂を使用すると、印刷の耐水性をさらに向上することができる。
アルカリ可溶性のバインダ樹脂としては、例えば、分子中にカルボキシル基を有しており、そのままでは水に不溶であるが、アンモニア、有機アミン、苛性アルカリ等の塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に加えると、カルボキシル基の部分が塩基性物質と反応して水溶性の塩を生成して溶解する樹脂が好ましい。
その好適な例としては、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル酸樹脂;マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂等のうち、先に説明した特性を有するように分子量、酸価等を調整した樹脂、特に、高酸価樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
中でも、アルカリ可溶性のアクリル樹脂が好ましく、その具体例としては、例えば、アビシア(株)製のネオクリル(登録商標)B−817(重量平均分子量Mw:23,000)、ネオクリルB−890(重量平均分子量Mw:12,500)、ジョンソンポリマー(株)製のジョンクリル(登録商標)67(重量平均分子量Mw:12,500)等が挙げられる。
アルカリ可溶性のバインダ樹脂は、印刷の耐水性、耐擦過性を向上することを考慮すると、重量平均分子量Mwが10,000以上であるのが好ましい。ただし分子量が大きすぎるとバインダ樹脂が沈殿や析出などを生じやすくなって、インクジェットインクの吐出が不安定になるおそれがある。また、インクジェットインクを貯蔵した際にも、沈殿や析出などを生じやすくなるおそれがある。したがってバインダ樹脂の重量平均分子量Mwは、前記範囲内でも50,000以下、特に20,000〜40,000程度であるのが好ましい。
バインダ樹脂の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.1〜3.0重量%、特に0.5〜2.0重量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、顔料を、非水性の表面等に定着させて印刷の耐水性、耐擦過性、印刷の鮮明性を向上する効果が不十分になるおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、特に、サーマルジェット方式において、水分の気化に伴って、インクジェットプリンタのヘッド内でインクジェットインクの粘度が局部的に上昇した際に、インクの吐出が不安定になったり、過剰のバインダ樹脂が析出してヘッド内で目詰まりを生じたりするおそれがある。
〈バインダ樹脂II〉
インクジェットプリンタは、通常、不使用時に、ヘッドをホームポジションに戻した際に、キャップをしてノズルを閉じる機構を備えているが、前記一連の動作を操作を、手動で行う設定になっているものがあり、そのようなインクジェットプリンタにおいて、ヘッドをホームポジションに戻し忘れて、ノズルがキャップされない状態でしばらくの間、放置されると、ノズル内のインクジェットインクが粘度上昇して、印刷を再開した初期の段階で、かすれ等の印刷不良を生じやすい。
そのため、ヘッドをホームポジションに戻す操作を手動で行うタイプのインクジェットプリンタに使用するインクジェットインクにおいては、かすれ等の印刷不良を確実に防止するために、バインダ樹脂として、重量平均分子量Mw=1,000〜3,000、特に1,000〜2,000であるものを使用するのが好ましい。このように、重量平均分子量Mwが小さいバインダ樹脂を含むインクジェットインクは、ノズルがキャップされない状態でしばらくの間、放置されても急激に粘度上昇することがないため、印刷を再開した初期の段階で、かすれ等の印刷不良を生じることがない。
なお、重量平均分子量Mwが1,000〜3,000であるバインダ樹脂を、水性のインクジェットインクに使用して、一般の紙等に印刷しても、印刷の耐水性、耐擦過性を向上する効果は得られない。しかし、40〜75重量%という多量の非プロトン性極性溶媒を含み、この非プロトン性極性溶媒によって、UVコート媒体のコーティングを若干、溶かしながら、コーティング中に浸透して印刷される本発明のインクジェットインクにおいては、重量平均分子量Mwが1,000〜3,000であるバインダ樹脂を使用しても、印刷の耐水性、耐擦過性を、実用上、問題のない程度まで、十分に向上させることができる。
バインダ樹脂の、その他の特性は、先の、分子量の大きいバインダ樹脂と同様であるのが好ましい。すなわち、バインダ樹脂は、本質的に水には不溶で、かつ塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に選択的に可溶であるのが、印刷の耐水性を向上する上で、好ましい。これらの条件を満足する、重量平均分子量Mwが1,000〜3,000であるバインダ樹脂としては、例えば、ジョンソンポリマー(株)製のジョンクリル682(重量平均分子量Mw:1,700)等が挙げられる。
バインダ樹脂の含有割合は、インクジェットインクの総量に対して0.1〜3.0重量%、特に0.5〜2.0重量%であるのが好ましい。含有割合が、前記範囲未満では、印刷に、実用上問題のないレベルの耐水性、耐擦過性を付与できなかったり、鮮明に印刷できなかったりするおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、印刷がかすれたり、ノズルの目詰まりを生じたりするおそれがある。
〈塩基性物質〉
塩基性物質は、インクジェットインクをアルカリ性にして、先に説明したように、バインダ樹脂を溶解させるとともに、ヘッドの腐食を防止し、かつ顔料の分散安定性を維持するために用いる。塩基性物質としては、アンモニア、有機アミン、苛性アルカリ等が好ましい。
このうち有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−1−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよびこれらの誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。
塩基性物質の添加量は、バインダ樹脂の遊離脂肪酸含有量を示す酸価や、あるいはインクジェットインクの、塩基性物質を添加しない状態でのpHなどに応じて適宜、調整できるが、一般的には、バインダ樹脂1重量部あたり0.05〜2重量部、特に0.075〜1.5重量部であるのが好ましい。添加量が、前記範囲未満では、バインダ樹脂を十分に溶解できないため、均一なインクジェットインクを得られないおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、インクのpHが高くなりすぎて、安全性に問題を生じたり、インクジェットプリンタのヘッドを腐食させたりするおそれがある。
〈その他の添加剤〉
本発明のインクジェットインクには、先に説明した各成分に加えて、インク用として従来公知の種々の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、顔料分散剤、防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
本発明のインクジェットインクは、サーマルジェット方式やピエゾ方式等の、いわゆるオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用できる他、インクを循環させながらインクの液滴を形成して印刷を行う、いわゆるコンティニュアス型のインクジェットプリンタにも使用することができる。
《印刷方法》
本発明の印刷方法は、疎水性媒体上に、本発明のインクジェットインクを用いて、インクジェット印刷法によって印刷する工程と、印刷後の疎水性媒体を加熱する工程とを含むことを特徴とするものである。
印刷工程においては、先に説明したように、サーマルジェット方式やピエゾ方式などの、いわゆるオンデマンド型のインクジェットプリンタや、コンティニュアス型のインクジェットプリンタ等を使用して、通常どおりの条件で印刷すればよい。加熱工程においては、例えば、前記インクジェットプリンタの、被印刷物の出口に連続させてヒータを配置する等して、所定の温度で所定時間、加熱できるようにすればよい。加熱温度や加熱時間等の条件は、特に、限定されないが、加熱時間は10秒以下、好ましくは1〜5秒程度に設定するのが、印刷に要する時間を長引かせないために有効である。
《実施例1》
〈インクジェットインクの製造〉
顔料としては、シアン顔料分散液〔キャボット(CABOT)社製のCABOJET250C、C.I.ピグメントブルー15:3のスルホン基改質物、水分散液、固形分10重量%〕を用い、非プロトン性極性溶媒としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン〔分子量:114.2、沸点:225.5℃〕を用いた。フッ素系界面活性剤としては、前出の、セイミケミカル(株)製のサーフロンS−381(有効成分量70重量%)を用い、有機酸のエチレンオキシド付加物としては、式(12)中のrが6で、かつM〜Mがいずれもナトリウムである、クエン酸ナトリウムのエチレンオキシド付加物を用いた。
バインダ樹脂としては、アルカリ可溶性のアクリル樹脂〔ジョンソンポリマー(株)製のジョンクリル682、重量平均分子量Mw=1,700〕を用い、これを、インクジェットインク中に溶解させるための塩基性物質としては、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを用いた。ポリオキシエチレンフェニルエーテルとしては、式(15)で表される化合物を用い、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、式(16)で表される化合物を用いた。さらに、アセチレングリコール類としては、エアープロダクツ社製のサーフィノール420〔式(17)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が1.3〕を用い、殺生剤としては、ゼネカ社製のプロキセル(登録商標)XL−2を用いた。
前記各成分を、イオン交換水と共に、下記の割合で配合し、かく拌して混合した後、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを製造した。非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=63/1であった。なお、水の量は、イオン交換水に、シアン顔料分散液中の水を加えた量、フッ素系界面活性剤の量は、下記配合量のうち、有効成分である共重合体の量を基準として、前記配合割合S/Fを計算した。
(成 分) (重量部)
シアン顔料分散液 30.0
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 48.5
フッ素系界面活性剤 2.0
バインダ樹脂 1.0
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 0.3
クエン酸ナトリウムのエチレンオキシド付加物 0.5
O(CHCHO)H 0.5
17O(CHCHO)25H 0.5
エタノール 3.0
アセチレングリコール類 0.8
殺生剤 0.2
イオン交換水 12.7
《実施例2》
フッ素系界面活性剤として、前出の、(株)ジェムコ製のエフトップEF−802(有効成分量99重量%)を用いると共に、その配合量を1.4重量部とし、それに合わせて、イオン交換水の配合量を、全成分の総量が100重量部となるように13.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=63/1であった。
《実施例3》
フッ素系界面活性剤として、前出の、(株)ジェムコ製のエフトップEF−352(有効成分量95重量%)を用いると共に、その配合量を1.5重量部とし、それに合わせて、イオン交換水の配合量を、全成分の総量が100重量部となるように13.2重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=63/1であった。
《実施例4》
フッ素系界面活性剤としての、サーフロンS−381の配合量を2.7重量部とし、かつ、イオン交換水の配合量を12.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=48/1であった。
《実施例5》
フッ素系界面活性剤としての、サーフロンS−381の配合量を1.4重量部とし、かつ、イオン交換水の配合量を13.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=87/1であった。
《実施例6》
フッ素系界面活性剤としての、サーフロンS−381の配合量を3.0重量部とし、かつ、イオン交換水の配合量を11.7重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=41/1であった。
《実施例7》
フッ素系界面活性剤としての、サーフロンS−381の配合量を1.2重量部とし、かつ、イオン交換水の配合量を13.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=110/1であった。
《実施例8》
バインダ樹脂として、ジョンソンポリマー(株)製のジョンクリル586〔重量平均分子量Mw=4,600〕を同量、配合したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
《比較例1》
フッ素系界面活性剤として、式(18):
Figure 2007238813
〔式中、Rは炭素数1以上のアルキル基、w、xは同一または異なって1以上の整数を示す。〕
で表される繰り返し単位と、式(19):
Figure 2007238813
〔式中、Rは炭素数1以上のアルキル基を示す。〕
で表される繰り返し単位との、水に不溶性の共重合体を、有効成分として、50重量%の割合で、酢酸エチルに溶解した、黄褐色液体〔比重(20℃):1.00〕の状態で提供される、(株)ジェムコ製のエフトップEF−801を用いると共に、その配合量を2.8重量部とし、それに合わせて、イオン交換水の配合量を、全成分の総量が100重量部となるように11.9重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=62/1であった。なお、エフトップEF−801の有効成分である共重合体は、先に説明したように水に不溶性であるため、0.2重量%濃度の水溶液の表面張力は、測定できなかった。
《比較例2》
フッ素系界面活性剤として、先に説明した式(5)で表され、かつ、式中のmが8であるものを主成分とし、mが10、12であるものを若干含む混合物を、有効成分として、30重量%の割合で、イソプロパノールと水との混合溶媒に溶解した、セイミケミカル(株)製のサーフロンS−111Nを用いると共に、その配合量を4.7重量部とし、それに合わせて、イオン交換水の配合量を、全成分の総量が100重量部となるように10.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=61/1であった。また、サーフロンS−111Nの有効成分である混合物を、純水に溶解した、0.2重量%濃度の水溶液の表面張力(測定温度25℃)は、18.6mN/mであった。
《印刷鮮明性試験》
実施例、比較例のインクジェットインクを、サーマルジェット方式のインクジェットプリンタ〔ビデオジェット(株)製のPrint Mail Wide Array(プリントメールワイドアレイ)〕に使用して、BYK−Gardner(ビックガードナー)社製の光沢度測定器micro−TRI−gross(マイクロトリグロス)を用いて測定した60°光沢度が88.4、表面張力(測定温度25℃)が29.21mN/mであるUVコート紙の表面に、10ポイントのアルファベットを印刷し、次いで、出力3200Wのヒータで約5秒間、加熱した後、印刷を観察して、下記の基準で、インクジェットインクの印刷鮮明性を評価した。
◎:エッジがシャープに出ている。印刷鮮明性はきわめて良好と評価した。
○:◎と比較すると若干劣るものの、印刷鮮明性は概ね良好と評価した。
△:やや鮮明性にかける部分があったものの、印刷鮮明性は実用レベルに達していると評価した。
×:印刷は鮮明でなく、印刷鮮明性は不良と評価した。
《吐出安定性試験I》
実施例、比較例のインクジェットインクを、サーマルジェット方式のインクジェットプリンタ〔前出の、ビデオジェット(株)製のPrint Mail Wide Array(プリントメールワイドアレイ)〕に使用して、先の印刷鮮明性試験で使用したのと同じUVコート紙の表面に、線幅0.5ポイントの線を印刷した。そして印刷を観察して、下記の基準で、インクジェットインクの吐出の安定性を評価した。
○:印刷開始時にかすれが全く見られない上、線が途中で途切れることなく印刷できた。吐出安定性は極めて良好と評価した。
△:印刷開始時にかすれ気味であったが、その後は線が途中で途切れることなく印刷できた。吐出安定性は実用レベルに達していると評価した。
×:線が途中で途切れてしまった。吐出安定性は不良と評価した。
《吐出安定性試験II》
実施例、比較例のインクジェットインクを、サーマルジェット方式のインクジェットプリンタ〔前出の、ビデオジェット(株)製のPrint Mail Wide Array(プリントメールワイドアレイ)〕に使用して印刷をした。次いで、ヘッドをホームポジションに戻さず、ノズルをキャップしない状態で、5分間、放置した後、先の印刷鮮明性試験で使用したのと同じUVコート紙の表面に、1cm×1cmのベタ印刷を行った。そして印刷を観察して、下記の基準で、インクジェットインクの吐出の安定性を評価した。
○:ベタ印刷にはかすれが全く見られなかった。印刷再開後の吐出安定性は極めて良好と評価した。
△:ベタ印刷の初めの部分にのみ、若干のかすれが見られたが、その後はかすれのないベタ印刷を行うことができた。印刷再開後の吐出安定性は実用レベルに達していると評価した。
×:ベタ印刷の全体に亘ってかすれが見られた。印刷再開後の吐出安定性は不良と評価した。
以上の結果を表2、表3に示す。
Figure 2007238813
Figure 2007238813
両表より、フッ素系界面活性剤として、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位とを少なくとも含む、水に可溶性の共重合体を使用することで、UVコート媒体の表面に、鮮明性の高い、現状よりもさらに良好な印刷をできることが判った。また、各実施例を比較すると、フッ素系界面活性剤としては、式(3)で表される繰り返し単位と、式(4)で表される繰り返し単位との共重合体が好ましいこと、フッ素系界面活性剤Fの、非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する配合割合S/F(重量比)は45/1〜90/1であるのが好ましいこと、バインダ樹脂の重量平均分子量Mwは1,000〜3,000であるのが好ましいことが判った。

Claims (6)

  1. 疎水性媒体に印刷するためのインクジェットインクであって、顔料と、非プロトン性極性溶媒と、水と、フッ素系界面活性剤とを含み、前記フッ素系界面活性剤が、式(1):
    Figure 2007238813
    〔式中、Rはメチル基または水素原子、Xは、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を含む基を示す。〕
    で表される繰り返し単位と、式(2):
    Figure 2007238813
    〔式中、Rはメチル基または水素原子、Yは、少なくともパーフルオロアルキル基を含む基を示す。〕
    で表される繰り返し単位とを少なくとも含む、水に可溶性の共重合体であることを特徴とするインクジェットインク。
  2. フッ素系界面活性剤は、0.2重量%濃度の水溶液とした際の表面張力(測定温度25℃)が22mN/m以下である請求項1記載のインクジェットインク。
  3. フッ素系界面活性剤が、式(3):
    Figure 2007238813
    〔式中、Rは炭素数14、16または18のアルキル基、Rは、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを、それぞれ1つ以上含むポリアルキレンオキシド鎖を示す。〕
    で表される繰り返し単位と、式(4):
    Figure 2007238813
    〔式中、Rは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基である。〕
    で表される繰り返し単位との共重合体である請求項1記載のインクジェットインク。
  4. 非プロトン性極性溶媒と水との総量Sに対する、フッ素系界面活性剤Fの配合割合S/F(重量比)=45/1〜90/1である請求項1記載のインクジェットインク。
  5. 重量平均分子量Mw=1,000〜3,000のバインダ樹脂を含有する請求項1記載のインクジェットインク。
  6. 疎水性媒体の表面に、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットインクを用いて印刷する工程と、印刷後の疎水性媒体を加熱する工程とを含むことを特徴とする疎水性媒体への印刷方法。
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