JP2012241135A - インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、例えばターポリンやカレンダーフィルム等の疎水性の樹脂媒体の表面に画像や文字等を印刷するのに適したインクジェットインクに関するものである。
従来、インクジェット印刷は主に紙等の親水性、吸水性を有する表面への印刷に用いられており、インクジェットインクとしては、水に水溶性染料を加えた水性のインクジェットインクが使用されてきた。しかし近年、様々な分野において様々な表面への印刷にインクジェット印刷を利用することが広まりつつある。
特に、屋外の広告等の媒体として多用されているいわゆるターポリン(繊維布の表面がポリ塩化ビニル系樹脂によってコートされたシート)や、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂等からなるカレンダーフィルムなどの、疎水性の樹脂媒体の表面に、前記インクジェット印刷によって良好な印刷をすることが求められるようになってきている。
特に、屋外の広告等の媒体として多用されているいわゆるターポリン(繊維布の表面がポリ塩化ビニル系樹脂によってコートされたシート)や、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂等からなるカレンダーフィルムなどの、疎水性の樹脂媒体の表面に、前記インクジェット印刷によって良好な印刷をすることが求められるようになってきている。
前記樹脂媒体への印刷には、着色剤として耐光性、耐候性に優れた顔料を用いるとともに、前記顔料を樹脂媒体の表面に定着させるためのバインダ樹脂、および有機溶剤を含み、かつ基本的に水を含まない非水性のインクジェットインクが使用される。
このうち有機溶剤は、単にバインダ樹脂を溶解したり顔料を分散したりする溶媒、分散媒として機能するだけでなく、樹脂媒体中に浸透することで、前記樹脂媒体の表面へ印刷後のインクジェットインクの乾燥性や、あるいは前記表面への印刷の定着性等を向上させるためにも機能する。
このうち有機溶剤は、単にバインダ樹脂を溶解したり顔料を分散したりする溶媒、分散媒として機能するだけでなく、樹脂媒体中に浸透することで、前記樹脂媒体の表面へ印刷後のインクジェットインクの乾燥性や、あるいは前記表面への印刷の定着性等を向上させるためにも機能する。
前記有機溶剤としては、例えばアルキレングリコール誘導体類や、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等の含窒素複素環化合物、あるいはγ−ブチロラクトン、δ−ラクトン等の含酸素複素環化合物などが用いられる。
前記有機溶剤は、例えば前記定着性や定着後の耐候性等を向上したり、バインダ樹脂の溶解性を高めたり、インクジェットインクの特性(例えば表面張力や粘度等)をインクジェット印刷に適した範囲に調整したりするために、2種以上を併用するのが一般的である。しかし、これらの有機溶剤は総じて臭気が強いという問題がある。
前記有機溶剤は、例えば前記定着性や定着後の耐候性等を向上したり、バインダ樹脂の溶解性を高めたり、インクジェットインクの特性(例えば表面張力や粘度等)をインクジェット印刷に適した範囲に調整したりするために、2種以上を併用するのが一般的である。しかし、これらの有機溶剤は総じて臭気が強いという問題がある。
ターポリンやカレンダーフィルム等の樹脂媒体を用いた屋外の広告媒体は、通常のオフィスユース、あるいはパーソナルユース等における紙への印刷と比べて印刷対象物が著しく大きく、また一度の印刷に使用するインクジェットインクの量も比べ物にならないくらい多量である。
そのため、臭気を抑えて環境への負荷をできるだけ小さくするために、印刷時に発生する排気(主として有機溶剤の気化物や蒸気)を十分に管理することが求められるようになってきており、このことが、印刷工場の立地や設備投資等に影響を及ぼしつつあるのが現状である。
そのため、臭気を抑えて環境への負荷をできるだけ小さくするために、印刷時に発生する排気(主として有機溶剤の気化物や蒸気)を十分に管理することが求められるようになってきており、このことが、印刷工場の立地や設備投資等に影響を及ぼしつつあるのが現状である。
そこで近時、かかる樹脂媒体への印刷にも、前記のように臭気の強い有機溶剤のみを溶剤として用いた非水性のインクジェットインクではなく、溶剤の少なくとも一部として水を用いているため臭気が弱く、また有機溶剤量を減少できるため環境に対する負荷の小さい上、水を含むため引火点を検出せず安全な水性のインクジェットインクを用いることが検討されつつある。
水性のインクジェットインクは、着色剤としての顔料、水、水溶性もしくは水分散性のバインダ樹脂、および水溶性有機溶剤を含むのが一般的である。水溶性有機溶剤は、樹脂媒体中への浸透性を有し、前記樹脂媒体の表面へ印刷後のインクジェットインクの乾燥性や、前記表面への印刷の定着性等を向上させるために機能する。またバインダ樹脂は、顔料を樹脂媒体の表面に定着させて印刷の定着性を向上させるために機能する。
しかし樹脂媒体は、紙等に比べてインクジェットインクの吸収性が低いため、その表面に印刷したインクジェットインクを如何に速やかに乾燥させるか、あるいは前記表面への印刷の定着性を如何に向上するかが課題となる。
例えば、長尺の樹脂媒体のうち印刷が終了してインクジェットプリンタから排出された部分を折り重ねる等しながら印刷を続けた際には、先に排出された部分の表面のインクが完全に乾燥する前に、その上に後から排出された部分が重ねられて印刷が裏移りしたりずれたりする不良が発生するおそれがある。
例えば、長尺の樹脂媒体のうち印刷が終了してインクジェットプリンタから排出された部分を折り重ねる等しながら印刷を続けた際には、先に排出された部分の表面のインクが完全に乾燥する前に、その上に後から排出された部分が重ねられて印刷が裏移りしたりずれたりする不良が発生するおそれがある。
これらの不良は、インクジェットインクの乾燥性を高めるとともに、印刷の定着性を向上することによって防止することができる。そこで乾燥性や定着性を向上するため、主に水溶性有機溶剤やバインダ樹脂について、様々検討がなされている。
例えば特許文献1では、バインダ樹脂として、シリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)の分散粒子を、顔料とともに水性ビヒクル中に分散させて水性のインクジェットインクを構成することが検討されている。
例えば特許文献1では、バインダ樹脂として、シリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)の分散粒子を、顔料とともに水性ビヒクル中に分散させて水性のインクジェットインクを構成することが検討されている。
前記シリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)は、印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って架橋反応する自己架橋性を有しており、前記架橋によって、顔料を、印刷後速やかに樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上できると考えられている。
しかし発明者の検討によると、特許文献1において水とともに水性ビヒクルを構成する水溶性有機溶剤は、2−ピロリドン等のごく一般的な有機溶剤であり、そのため特許文献1のインクジェットインクは乾燥性が未だ十分ではない。
しかし発明者の検討によると、特許文献1において水とともに水性ビヒクルを構成する水溶性有機溶剤は、2−ピロリドン等のごく一般的な有機溶剤であり、そのため特許文献1のインクジェットインクは乾燥性が未だ十分ではない。
特許文献2についても同様である。特許文献2では、水性分散媒に分散するが溶解はしないバインダ樹脂と、前記バインダ樹脂の架橋剤とを、顔料とともに前記水性分散媒中に分散させて水性のインクジェットインクを構成することが検討されている。
前記バインダ樹脂と架橋剤とは、印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って架橋反応して、顔料を、印刷後速やかに樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上できると考えられている。
前記バインダ樹脂と架橋剤とは、印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って架橋反応して、顔料を、印刷後速やかに樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上できると考えられている。
しかし発明者の検討によると、特許文献2において水とともに水性分散媒を構成する水溶性有機溶剤は、やはり2−ピロリドン等のごく一般的な有機溶剤であり、そのため特許文献2のインクジェットインクも、乾燥性が未だ十分ではない。
特許文献3では、水溶性有機溶剤として、式(4):
特許文献3では、水溶性有機溶剤として、式(4):
〔式中、RaおよびRbは、同一または異なって水素原子、または炭素数1〜6のエーテル結合を有してもよい炭化水素基を示し、Rcは炭素数3〜10のアルキル基を示す。RaおよびRbは互いに結合して環構造を形成してもよい。〕
で表されるアミド系溶剤(β−アルコキシプロピオンアミド類)を用いた水性のインクジェットインクが検討されている。
で表されるアミド系溶剤(β−アルコキシプロピオンアミド類)を用いた水性のインクジェットインクが検討されている。
また特許文献4では、前記式(4)中のRaおよびRbが、同一または異なって水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基中にエーテル結合を有する基であり、Rcが炭素数1〜8のアルキル基であるアミド系溶剤を用いた水性のインクジェットインクが検討されている。
前記式(4)で表されるアミド系溶剤は、従来の水溶性有機溶剤に比べて、樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂等に対する浸透性に優れている。
前記式(4)で表されるアミド系溶剤は、従来の水溶性有機溶剤に比べて、樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂等に対する浸透性に優れている。
そのため、前記アミド系溶剤を配合することにより、水性のインクジェットインクを、前記アミド系溶剤の樹脂媒体中への速やかな浸透によって速やかに乾燥(浸透乾燥)させることができ、その乾燥性や定着性を向上させることができると考えられている。
しかし、樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂等に対する定着性に優れた塩化ビニル系ポリマやスチレンアクリル系ポリマ等の水性エマルション系ポリマを、前記式(4)で表されるアミド系溶剤と組み合わせた場合、前記水性エマルション系ポリマの分散安定性が低下して、製造後、印刷に供する前の保管時等に、比較的短期間で、インクジェットインクの粘度が大きく変動したり、あるいは水性エマルション系ポリマが分離したりするという問題がある。
この原因としては、前記のように樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂に対する浸透性に優れたアミド系溶剤が、インクジェットインク中の水性エマルション系ポリマに対しても高い浸透性を有し、前記水性エマルション系ポリマの分散粒子を侵食して、水性媒体中での分散のバランスを崩すこと等が考えられる。
本発明の目的は、特に疎水性の樹脂媒体の表面に印刷した際の乾燥性や印刷の定着性に優れる上、樹脂バインダの分散安定性にも優れた水性のインクジェットインクを提供することにある。
本発明の目的は、特に疎水性の樹脂媒体の表面に印刷した際の乾燥性や印刷の定着性に優れる上、樹脂バインダの分散安定性にも優れた水性のインクジェットインクを提供することにある。
本発明は、顔料、水、式(1):
〔式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
で表されるアミド系溶剤、水性エマルション系ポリマ、および前記水性エマルション系ポリマを架橋させる架橋剤を含むことを特徴とするインクジェットインクである。
本発明によれば、水性エマルション系ポリマを架橋させるための架橋剤を配合したことにより、水性のインクジェットインク中での、前記水性エマルション系ポリマの分散安定性を、これまでより向上することもできる。
で表されるアミド系溶剤、水性エマルション系ポリマ、および前記水性エマルション系ポリマを架橋させる架橋剤を含むことを特徴とするインクジェットインクである。
本発明によれば、水性エマルション系ポリマを架橋させるための架橋剤を配合したことにより、水性のインクジェットインク中での、前記水性エマルション系ポリマの分散安定性を、これまでより向上することもできる。
すなわち架橋剤は、本来、印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って水性エマルション系ポリマと架橋反応することで、顔料を樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上ために機能する。しかしその一部が、印刷前、保管時のインクジェットインク中で水性エマルション系ポリマと軽く架橋反応することで、前記水性エマルション系ポリマの分散粒子の、式(1)で表されるアミド系溶剤〔以下「アミド系溶剤(1)」と略記する場合がある。〕による侵食を防ぐために機能し、結果として水性エマルション系ポリマの分散安定性が向上すると考えられる。
またアミド系溶剤(1)は、先に説明した式(4)で表されるアミド系溶剤に属し、樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂等に対する浸透性に優れている。すなわち水性のインクジェットインクを、前記アミド系溶剤(1)の樹脂媒体中への速やかな浸透に伴って速やかに乾燥(浸透乾燥)させることができる。
しかもアミド系溶剤(1)は、前記式(4)のアミド系溶剤の中でも分子量が小さく、沸点が低いことから、自身の揮発乾燥性にも優れている。
しかもアミド系溶剤(1)は、前記式(4)のアミド系溶剤の中でも分子量が小さく、沸点が低いことから、自身の揮発乾燥性にも優れている。
その上、水性エマルション系ポリマと架橋剤とは、前記のように印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って速やかに架橋反応して、顔料を、印刷後速やかに樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上できる。
したがって本発明によれば、前記アミド系溶剤(1)の良好な浸透乾燥性と揮発乾燥性の効果、ならびに水性エマルション系ポリマと架橋剤との架橋反応による定着性向上の効果が相まって、インクジェットインクの乾燥性や定着性を、これまでより向上させることもできる。
したがって本発明によれば、前記アミド系溶剤(1)の良好な浸透乾燥性と揮発乾燥性の効果、ならびに水性エマルション系ポリマと架橋剤との架橋反応による定着性向上の効果が相まって、インクジェットインクの乾燥性や定着性を、これまでより向上させることもできる。
したがって本発明によれば、特に疎水性の樹脂媒体の表面に印刷した際の乾燥性や印刷の定着性に優れる上、樹脂バインダの分散安定性にも優れた水性のインクジェットインクを提供することができる。
前記アミド系溶剤(1)としては、式(2):
前記アミド系溶剤(1)としては、式(2):
で表されるβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドが好ましい。
かかるβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは、アミド系溶剤(1)の中でも分子量が小さく、沸点が低いことから揮発乾燥性に優れており、インクジェットインクの乾燥性をより一層向上させることができる。
樹脂媒体に対する印刷の定着性を向上することを考慮すると、前記水性エマルション系ポリマは、前記樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂等に対する定着性に優れた、スチレンアクリル系ポリマ、ウレタンアクリル系ポリマ等のアクリル系ポリマであるのが好ましい。
かかるβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは、アミド系溶剤(1)の中でも分子量が小さく、沸点が低いことから揮発乾燥性に優れており、インクジェットインクの乾燥性をより一層向上させることができる。
樹脂媒体に対する印刷の定着性を向上することを考慮すると、前記水性エマルション系ポリマは、前記樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂等に対する定着性に優れた、スチレンアクリル系ポリマ、ウレタンアクリル系ポリマ等のアクリル系ポリマであるのが好ましい。
また前記アクリル系ポリマと組み合わせる架橋剤としては、分子中にヒドラジド基を有する架橋剤が好ましい。かかる架橋剤は、保管時のインクジェットインク中でアクリル系ポリマと軽く適度に架橋反応して分散安定向上に寄与するとともに、印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って、前記アクリル系ポリマを速やかに、かつ良好に架橋させる効果に優れている。
前記水性エマルション系ポリマおよび架橋剤は、水性エマルション系ポリマとしてのスチレンアクリル系ポリマの水性エマルション中に、架橋剤としての、分子中にヒドラジド基を有する水溶性または水分散性の架橋剤を含む1液常温架橋タイプの自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションであるのが好ましい。
かかる1液常温架橋タイプの自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションは、あらかじめ所定量のスチレンアクリル系ポリマと架橋剤とを含み、かつ平常状態(液状)ではほとんど架橋反応しない1液タイプで供給されるため他の成分との配合時の取り扱いが容易であり、インクジェットインクの生産工程を簡略化して生産性を向上することができる。
かかる1液常温架橋タイプの自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションは、あらかじめ所定量のスチレンアクリル系ポリマと架橋剤とを含み、かつ平常状態(液状)ではほとんど架橋反応しない1液タイプで供給されるため他の成分との配合時の取り扱いが容易であり、インクジェットインクの生産工程を簡略化して生産性を向上することができる。
またスチレンアクリル系ポリマは、前記のように保管時のインクジェットインク中で架橋剤と軽く適度に架橋反応して分散安定向上に寄与する効果に優れているとともに、印刷後は、インクジェットインクの乾燥に伴って、加熱を必要とせずに常温で速やかに架橋反応して、顔料を、樹脂媒体の表面に、速やかに、かつ良好に定着させることもできる。
特に本発明のインクジェットインクは、先に説明したようにインクジェットインク中の水性エマルション系ポリマに対して高い浸透性と、そして高い溶解性とを有するアミド系溶剤(1)を含んでいることから、前記水性エマルション系ポリマの分散安定性は重要である。
特に本発明のインクジェットインクは、先に説明したようにインクジェットインク中の水性エマルション系ポリマに対して高い浸透性と、そして高い溶解性とを有するアミド系溶剤(1)を含んでいることから、前記水性エマルション系ポリマの分散安定性は重要である。
通常、エマルションなので水を増やしても安定性には影響はないが、溶剤を増やすと安定性が低下する傾向がある。特に浸透性や溶解性の強いアミド系溶剤(1)の場合、この傾向がより顕著である。
前記スチレンアクリル系ポリマは、他の水性エマルション系ポリマと比較して、アミド系溶剤(1)を含むインクジェットインク中での分散安定性に優れている。
前記スチレンアクリル系ポリマは、他の水性エマルション系ポリマと比較して、アミド系溶剤(1)を含むインクジェットインク中での分散安定性に優れている。
本発明によれば、特に疎水性の樹脂媒体の表面に印刷した際の乾燥性や印刷の定着性に優れる上、樹脂バインダの分散安定性にも優れた水性のインクジェットインクを提供することができる。
本発明は、顔料、水、式(1):
〔式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
で表されるアミド系溶剤、水性エマルション系ポリマ、および前記水性エマルション系ポリマを架橋させる架橋剤を含むことを特徴とするインクジェットインクである。
〈アミド系溶剤〉
前記アミド系溶剤(1)においてR1に相当する、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、またはt−ブチル基が挙げられる。
で表されるアミド系溶剤、水性エマルション系ポリマ、および前記水性エマルション系ポリマを架橋させる架橋剤を含むことを特徴とするインクジェットインクである。
〈アミド系溶剤〉
前記アミド系溶剤(1)においてR1に相当する、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、またはt−ブチル基が挙げられる。
前記アミド系溶剤(1)の具体的化合物としては、例えば式(2):
で表されるβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド〔分子量:131.2、沸点:216℃〕、および式(3):
で表されるβ−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド〔分子量:173.3、沸点:252℃〕からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。特に式(2)で表されるβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドが好ましい。
樹脂媒体の表面に印刷したインクジェットインクは、前記インクジェットインク中に含まれる溶剤の、前記樹脂媒体中への浸透による浸透乾燥と、前記溶剤の、大気中への揮散による揮発乾燥とがほぼ同時に進行して乾燥される。
樹脂媒体の表面に印刷したインクジェットインクは、前記インクジェットインク中に含まれる溶剤の、前記樹脂媒体中への浸透による浸透乾燥と、前記溶剤の、大気中への揮散による揮発乾燥とがほぼ同時に進行して乾燥される。
このうち後者の揮発乾燥には溶剤の沸点が関与する。すなわち沸点が低い溶剤ほど乾燥しやすく、インクジェットインクの揮発乾燥を促進する作用に優れているといえる。
ところが前記式(2)(3)で表される化合物は、従来の含窒素複素環化合物、非プロトン性極性溶剤の代表的化合物であるN−メチル−2−ピロリドンや、あるいは非プロトン性極性溶剤の代表的化合物である1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとほぼ類似した沸点を有している。
ところが前記式(2)(3)で表される化合物は、従来の含窒素複素環化合物、非プロトン性極性溶剤の代表的化合物であるN−メチル−2−ピロリドンや、あるいは非プロトン性極性溶剤の代表的化合物である1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとほぼ類似した沸点を有している。
すなわち、低い方から順にN−メチル−2−ピロリドン(沸点:202℃)<β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(沸点:216℃)<1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(沸点:220℃)<β−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(沸点:252℃)となる。なお沸点は、いずれも1気圧(1013hPa)での値である。
そのためこれらの溶剤は、揮発乾燥を促進する作用の点ではほぼ同等といえるが、式(2)(3)で表される化合物は、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の従来の溶剤に比べて、先に説明したように媒体中への浸透性に優れるため、前記従来の溶剤と比べてインクジェットインクの浸透乾燥を促進して、前記インクジェットインクの乾燥性を高める効果に優れている。
ただし揮発乾燥も、インクジェットインクの乾燥性を左右する大きな要因であることには違いない。そのため同じアミド系溶剤(1)の中では、より沸点の低いβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドの方が、β−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドよりも、インクジェットインクの乾燥性を高める効果に優れているといえる。このことは、後述する実施例、比較例の結果からも明らかである。
前記アミド系溶剤(1)の配合割合は、インクジェットインクの総量の1質量%以上、特に5質量%以上であるのが好ましく、50質量%以下、特に35質量%以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、アミド系溶剤(1)を配合することによる、前記インクジェットインクの乾燥性を向上したり、樹脂媒体の表面に対する定着性に優れた良好な印刷をしたりする効果が十分に得られないおそれがある。
配合割合が前記範囲未満では、アミド系溶剤(1)を配合することによる、前記インクジェットインクの乾燥性を向上したり、樹脂媒体の表面に対する定着性に優れた良好な印刷をしたりする効果が十分に得られないおそれがある。
また、前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、アミド系溶剤(1)は溶解力が非常に強いため、インクジェットプリンタのヘッドを損傷させたり腐食させたりするおそれがある。また、カーボンブラック等の無機顔料であれば概ね問題はないが、有機顔料の場合は、その強い溶解力によって前記有機顔料が侵食されてしまうおそれもある。
〈水性エマルション系ポリマおよび架橋剤〉
水性エマルション系ポリマとしては、水性のインクジェットインク中にエマルション状態で分散可能で、なおかつ印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って架橋剤と架橋反応可能な種々のポリマが挙げられる。
特に、分子中にカルボニル基を有するアクリル系ポリマ、中でもウレタンアクリル系ポリマ、スチレンアクリル系ポリマが、水性エマルション系ポリマとして好適に使用される。
水性エマルション系ポリマとしては、水性のインクジェットインク中にエマルション状態で分散可能で、なおかつ印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って架橋剤と架橋反応可能な種々のポリマが挙げられる。
特に、分子中にカルボニル基を有するアクリル系ポリマ、中でもウレタンアクリル系ポリマ、スチレンアクリル系ポリマが、水性エマルション系ポリマとして好適に使用される。
このうちウレタンアクリル系ポリマとしては、例えば特開2004−149600号公報に開示されたもの等が挙げられる。
特にスチレンアクリル系ポリマは、アクリル系ポリマの中でも、保管時のインクジェットインク中で架橋剤と軽く適度に架橋反応して分散安定向上に寄与する効果に優れている。
特にスチレンアクリル系ポリマは、アクリル系ポリマの中でも、保管時のインクジェットインク中で架橋剤と軽く適度に架橋反応して分散安定向上に寄与する効果に優れている。
架橋剤としては、水性のインクジェットインク中に溶解、もしくは分散可能で、なおかつ印刷後のインクジェットインクの乾燥に伴って水性エマルション系ポリマと架橋反応可能な種々の架橋剤が挙げられる。
水性エマルション系ポリマが前記アクリル系ポリマである場合、かかるアクリル系ポリマと組み合わせるのに好適な架橋剤としては、その分子中に、アクリル系ポリマの分子中のカルボニル基と反応して前記アクリル系ポリマを架橋反応させる官能基としてヒドラジド基を有する水溶性または水分散性の架橋剤が挙げられる。特に、1分子中に2つ以上のヒドラジド基を有する水溶性または水分散性のポリヒドラジドが好ましい。
水性エマルション系ポリマが前記アクリル系ポリマである場合、かかるアクリル系ポリマと組み合わせるのに好適な架橋剤としては、その分子中に、アクリル系ポリマの分子中のカルボニル基と反応して前記アクリル系ポリマを架橋反応させる官能基としてヒドラジド基を有する水溶性または水分散性の架橋剤が挙げられる。特に、1分子中に2つ以上のヒドラジド基を有する水溶性または水分散性のポリヒドラジドが好ましい。
前記ポリヒドラジドとしては、例えば4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド等のジヒドラジド化合物、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド等のジカルボン酸ジヒドラジド類、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド等のトリカルボン酸トリヒドラジド類、カルボノヒドラジド、チオカルボジヒドラジド、及び酸ヒドラジド系樹脂類等の1種または2種以上が挙げられる。
中でもカルボノヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドが好ましい。特に水への溶解性もしくは水分散性、あるいは反応性を考慮するとアジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、カルボノヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドが好ましい。
ポリヒドラジドの配合割合は、架橋反応させるアクリル系ポリマ中のカルボニル基に対して0.1当量以上、特に0.3当量以上であるのが好ましく、2.0当量以下、特に1.7当量以下であるのが好ましい。
ポリヒドラジドの配合割合が前記範囲未満では、アクリル系ポリマを十分に架橋反応させることができないため、顔料を樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上させる効果が十分に得られないおそれがある。
ポリヒドラジドの配合割合が前記範囲未満では、アクリル系ポリマを十分に架橋反応させることができないため、顔料を樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上させる効果が十分に得られないおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、架橋後も遊離の過剰のポリヒドラジドが多く存在することになるため、印刷の耐水性が退化したり、画像や文字が不均一になったりするおそれがある。
前記水性エマルション系ポリマおよび架橋剤は、水性エマルション系ポリマとしてのアクリル系ポリマの水性エマルション中に、架橋剤としての、分子中にヒドラジド基を有する水溶性または水分散性の架橋剤を含む1液常温架橋タイプの自己架橋型アクリル系ポリマエマルションであるのが好ましい。
前記水性エマルション系ポリマおよび架橋剤は、水性エマルション系ポリマとしてのアクリル系ポリマの水性エマルション中に、架橋剤としての、分子中にヒドラジド基を有する水溶性または水分散性の架橋剤を含む1液常温架橋タイプの自己架橋型アクリル系ポリマエマルションであるのが好ましい。
かかる1液常温架橋タイプの自己架橋型アクリル系ポリマエマルションは、あらかじめ所定量のアクリル系ポリマと架橋剤とを含み、かつ平常状態(液状)ではほとんど架橋反応しない1液タイプで供給されるため他の成分との配合時の取り扱いが容易であり、インクジェットインクの生産工程を簡略化して生産性を向上することができる。
またアクリル系ポリマと架橋剤とは、前記のように保管時のインクジェットインク中で軽く適度に架橋反応して分散安定向上に寄与するとともに、印刷後は、インクジェットインクの乾燥に伴って、加熱を必要とせずに常温で速やかに架橋反応して、顔料を、樹脂媒体の表面に、速やかに、かつ良好に定着させることもできる。
またアクリル系ポリマと架橋剤とは、前記のように保管時のインクジェットインク中で軽く適度に架橋反応して分散安定向上に寄与するとともに、印刷後は、インクジェットインクの乾燥に伴って、加熱を必要とせずに常温で速やかに架橋反応して、顔料を、樹脂媒体の表面に、速やかに、かつ良好に定着させることもできる。
前記自己架橋型アクリル系ポリマエマルションのうち、アクリル系ポリマがウレタンアクリル系ポリマである1液常温架橋タイプの自己架橋型ウレタンアクリル系ポリマエマルションとしては、これに限定されないが、例えば日本ポリウレタン工業(株)製のニッポラン(登録商標)WL−530〔不揮発分としてのウレタンアクリル系ポリマと架橋剤の濃度(不揮発分濃度):40質量%〕等が挙げられる。
また、アクリル系ポリマがスチレンアクリル系ポリマである1液常温架橋タイプの自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションとしては、これに限定されないが、例えばBASF社製のJONCRYL(ジョンクリル、登録商標)PDX-7164〔不揮発分としてのスチレンアクリル系ポリマと架橋剤の濃度(不揮発分濃度):47質量%〕、東亞合成(株)製のアロン(登録商標)NW−600〔不揮発分濃度:45±1質量%〕、NW−7060〔不揮発分濃度:50±1質量%〕、日本合成化学工業(株)のモビニール(登録商標)966A〔不揮発分濃度:45質量%〕、975N〔不揮発分濃度:45質量%〕、6960〔不揮発分濃度:45質量%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
自己架橋型アクリル系ポリマエマルションは、その有効成分であるアクリル系ポリマの配合割合が、インクジェットインクの総量の1質量%以上、特に5質量%以上であるのが好ましく、20質量%以下、特に15質量%以下であるのが好ましい。
自己架橋型アクリル系ポリマエマルションは、有効成分であるアクリル系ポリマの配合割合が前記範囲内となるように、そのトータルの配合割合を設定すればよい。
自己架橋型アクリル系ポリマエマルションは、有効成分であるアクリル系ポリマの配合割合が前記範囲内となるように、そのトータルの配合割合を設定すればよい。
前記有効成分としてのアクリル系ポリマの配合割合が前記範囲未満では、前記アクリル系ポリマの架橋物によって顔料を樹脂媒体の表面に定着させて、印刷の定着性を向上させる効果が十分に得られないおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、インクジェットインクの粘度が高くなりすぎたり、インクジェットプリンタのノズルで目詰まりを生じたりするおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、インクジェットインクの粘度が高くなりすぎたり、インクジェットプリンタのノズルで目詰まりを生じたりするおそれがある。
〈顔料〉
顔料としては、先に説明したように屋外の広告等に使用することを考慮して耐光性、耐候性等に優れた任意の無機顔料、および/または有機顔料が使用可能である。
このうち無機顔料としては、例えば酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造された中性、酸性、塩基性等の種々のカーボンブラックの1種または2種以上が挙げられる。
顔料としては、先に説明したように屋外の広告等に使用することを考慮して耐光性、耐候性等に優れた任意の無機顔料、および/または有機顔料が使用可能である。
このうち無機顔料としては、例えば酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造された中性、酸性、塩基性等の種々のカーボンブラックの1種または2種以上が挙げられる。
また有機顔料としては、例えばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
顔料は、インクジェットインクの色目に応じて1種または2種以上を用いることができる。また顔料は、後述する顔料分散液中、ひいては前記インクジェットインク中での分散安定性を向上するために表面を処理してもよい。
顔料の具体例としては、下記の各種顔料が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料は、親水性を付与して水性のインクジェットインク中での分散安定性を向上するために、表面を改質して親水性基を導入しておくのが好ましい。改質により顔料の表面に導入する親水性基としてはカルボキシル基、スルホン基等が挙げられる。顔料は、水に分散させた顔料分散液の状態でインクジェットインクの製造に用いるのが好ましい。
顔料の具体例としては、下記の各種顔料が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料は、親水性を付与して水性のインクジェットインク中での分散安定性を向上するために、表面を改質して親水性基を導入しておくのが好ましい。改質により顔料の表面に導入する親水性基としてはカルボキシル基、スルホン基等が挙げられる。顔料は、水に分散させた顔料分散液の状態でインクジェットインクの製造に用いるのが好ましい。
顔料の配合割合は、インクジェットインクの総量の0.5質量%以上、特に2質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、特に6質量%以下であるのが好ましい。なお配合割合は、顔料分散液を使用する場合、前記顔料分散液中に含まれる有効成分としての顔料自体の配合割合である。
〈界面活性剤〉
インクジェットインクに界面活性剤を配合すると、顔料の分散性を向上したり、前記インクジェットインクの、疎水性である樹脂媒体の表面への濡れ性を向上したりすることができる。界面活性剤としては、前記機能を有する種々の界面活性剤がいずれも使用可能であり、特にポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
〈界面活性剤〉
インクジェットインクに界面活性剤を配合すると、顔料の分散性を向上したり、前記インクジェットインクの、疎水性である樹脂媒体の表面への濡れ性を向上したりすることができる。界面活性剤としては、前記機能を有する種々の界面活性剤がいずれも使用可能であり、特にポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
このうちポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、例えば日信化学工業(株)製のシルフェイス(登録商標)SAG002、SAG503A等が挙げられる。
またアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えばエアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノール(登録商標)104およびそのシリーズ品、同サーフィノール61、420、440、465、485、同ダイノール604、日信化学工業(株)製のオルフィン(登録商標)E4001、4036、4051などの1種または2種以上が挙げられる。
またアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えばエアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノール(登録商標)104およびそのシリーズ品、同サーフィノール61、420、440、465、485、同ダイノール604、日信化学工業(株)製のオルフィン(登録商標)E4001、4036、4051などの1種または2種以上が挙げられる。
さらにフッ素系界面活性剤としては、デュポン(株)製のCAPSTONE(キャップストーン、登録商標)FS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35、FS−60、FS−61、FS−63、FS−64などの1種または2種以上が挙げられる。
特に水性のインクジェットインクの、樹脂媒体の表面への濡れ性を向上する効果を考慮すると、前記アセチレングリコール系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤とを併用するのが好ましい。
特に水性のインクジェットインクの、樹脂媒体の表面への濡れ性を向上する効果を考慮すると、前記アセチレングリコール系界面活性剤と、フッ素系界面活性剤とを併用するのが好ましい。
界面活性剤の配合割合は、インクジェットインクの総量の0.1質量%以上、特に0.5質量%以上であるのが好ましく、5質量%以下、特に2質量%以下であるのが好ましい。なお配合割合は、前記2種の界面活性剤を併用する場合は、両者の合計の配合割合である。
〈他の溶剤〉
インクジェットインクの粘度や表面張力を調整したり、印刷後の乾燥時に水性エマルション系ポリマの微細粒子同士の結びつきを高めて像膜性を向上したりするため、前記インクジェットインクにはアミド系溶剤(1)以外の他の溶剤を配合しても良い。
〈他の溶剤〉
インクジェットインクの粘度や表面張力を調整したり、印刷後の乾燥時に水性エマルション系ポリマの微細粒子同士の結びつきを高めて像膜性を向上したりするため、前記インクジェットインクにはアミド系溶剤(1)以外の他の溶剤を配合しても良い。
かかる他の溶剤としては、水性エマルション系ポリマがアクリル系ポリマである場合、アルキレングリコール誘導体が好ましい。
前記アルキレングリコール誘導体としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
前記アルキレングリコール誘導体としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
他の溶剤の配合割合は、インクジェットインクの総量の10質量%以上、特に15質量%以上であるのが好ましく、30質量%以下、特に25質量%以下であるのが好ましい。
〈pH調整剤〉
水性のインクジェットインクをアルカリ性にして顔料の分散安定性を向上し、なおかつインクジェットプリンタのヘッドの金属部分等の腐食を防止するため、前記インクジェットインクにはpH調整剤を配合してもよい。
〈pH調整剤〉
水性のインクジェットインクをアルカリ性にして顔料の分散安定性を向上し、なおかつインクジェットプリンタのヘッドの金属部分等の腐食を防止するため、前記インクジェットインクにはpH調整剤を配合してもよい。
前記pH調整剤としてはアンモニア、有機アミン、苛性アルカリ等の1種または2種以上が挙げられ、特に有機アミンが好ましい。
また有機アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−1−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよびこれらの誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。
また有機アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−1−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよびこれらの誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。
pH調整剤の配合割合は、水性のインクジェットインクの、pH調整剤を配合しない状態でのpH、および配合後の目標とするpHなどに応じて適宜、調整できる。
〈その他の添加剤等〉
水性のインクジェットインクには、従来公知の種々の添加剤を含有させてもよい。前記添加剤としては、例えば防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
〈その他の添加剤等〉
水性のインクジェットインクには、従来公知の種々の添加剤を含有させてもよい。前記添加剤としては、例えば防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
前記各成分に水を加えることで水性のインクジェットインクが調製される。またインクジェットインクの特性(例えば表面張力や粘度等)をインクジェット印刷に適した範囲に調整したりするため、前記インクジェットインクには、さらにエタノール、イソプロパノール等の1価のアルコールや、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール等、種々の水溶性の有機溶剤を添加してもよい。
前記本発明のインクジェットインクは、例えばサーマル方式〔サーマルジェット(登録商標)方式、バブルジェット(登録商標)方式〕、ピエゾ方式等の、いわゆるオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用できる他、インクを循環させながらインクの液滴を形成して印刷を行う、いわゆるコンティニュアス型のインクジェットプリンタにも使用可能である。
特に本発明のインクジェットインクは、先に説明したようにターポリンやカレンダーフィルム等の疎水性の樹脂媒体の表面に、前記各種のインクジェットプリンタを用いたインクジェット印刷によって良好な印刷をするために好適に用いることができる。
以下の実施例、比較例におけるインクジェットインクの製造、並びに評価試験を、特記した以外は温度25℃、相対湿度55%の環境下で実施した。
〈実施例1〉
(顔料分散液の調製)
黒色顔料としてのカーボンブラック〔三菱化学(株)製のMA8〕15質量部、顔料分散剤〔ハリマ化成(株)製のNo.5878〕11質量部、消泡剤〔エアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノールMD-20〕0.3質量部、殺生剤〔アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製のプロキセル(PROXEL)XL2〕0.2質量部、および超純水73.5質量部を配合して黒色の顔料分散液を調製した。
〈実施例1〉
(顔料分散液の調製)
黒色顔料としてのカーボンブラック〔三菱化学(株)製のMA8〕15質量部、顔料分散剤〔ハリマ化成(株)製のNo.5878〕11質量部、消泡剤〔エアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノールMD-20〕0.3質量部、殺生剤〔アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製のプロキセル(PROXEL)XL2〕0.2質量部、および超純水73.5質量部を配合して黒色の顔料分散液を調製した。
(インクジェットインクの製造)
アミド系溶剤(1)としては、式(2)で表されるβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを用い、水性エマルション系ポリマおよび架橋剤としては1液常温架橋タイプの自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルション〔BASF社製のJONCRYL PDX-7164、不揮発分濃度:47質量%〕を用いた。
アミド系溶剤(1)としては、式(2)で表されるβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを用い、水性エマルション系ポリマおよび架橋剤としては1液常温架橋タイプの自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルション〔BASF社製のJONCRYL PDX-7164、不揮発分濃度:47質量%〕を用いた。
他の溶剤としてはエチレングリコールモノエチルエーテルを用い、アセチレングリコール系界面活性剤としてはエアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノール420を用い、フッ素系界面活性剤としては、デュポン(株)製のCAPSTONE FS−63を用いた。
さらにpH調整剤としては、アンガス・ケミカル社製のAMP−90〔2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールと10%の水の混合液〕を用い、殺生剤としてはアーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製のプロキセル(PROXEL)XL2を用いた。
さらにpH調整剤としては、アンガス・ケミカル社製のAMP−90〔2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールと10%の水の混合液〕を用い、殺生剤としてはアーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製のプロキセル(PROXEL)XL2を用いた。
先に調製した顔料分散液と、前記各成分とを、超純水とともに、後述する表1に示す割合で配合して混合したのち5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを製造した。
〈実施例2〉
アミド系溶剤(1)として、前記β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドに代えて、式(3)で表されるβ−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
〈実施例2〉
アミド系溶剤(1)として、前記β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドに代えて、式(3)で表されるβ−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
〈実施例3〉
水性エマルション系ポリマおよび架橋剤として、前記自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションに代えて、1液常温架橋タイプの自己架橋型ウレタンアクリル系ポリマエマルション〔日本ポリウレタン工業(株)製のニッポランWL−530、不揮発分濃度:40質量%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
水性エマルション系ポリマおよび架橋剤として、前記自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションに代えて、1液常温架橋タイプの自己架橋型ウレタンアクリル系ポリマエマルション〔日本ポリウレタン工業(株)製のニッポランWL−530、不揮発分濃度:40質量%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
〈比較例1〉
アミド系溶剤(1)に代えて、2−ピロリドンを同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
〈比較例2〉
水性エマルション系ポリマおよび架橋剤に代えて、自己架橋性を有しない塩化ビニル系ポリマエマルション〔日信化学(株)製のビニブラン(登録商標)603、不揮発分としての塩化ビニル系ポリマの濃度:50質量%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
アミド系溶剤(1)に代えて、2−ピロリドンを同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
〈比較例2〉
水性エマルション系ポリマおよび架橋剤に代えて、自己架橋性を有しない塩化ビニル系ポリマエマルション〔日信化学(株)製のビニブラン(登録商標)603、不揮発分としての塩化ビニル系ポリマの濃度:50質量%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
〈比較例3〉
水性エマルション系ポリマおよび架橋剤に代えて、シリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)のエマルションである特許文献1の調製例3〜8で調製した分散体B、および分散体Fの、質量比3:7の混合物〔不揮発分としてのシリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)の濃度:40.1質量%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
水性エマルション系ポリマおよび架橋剤に代えて、シリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)のエマルションである特許文献1の調製例3〜8で調製した分散体B、および分散体Fの、質量比3:7の混合物〔不揮発分としてのシリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)の濃度:40.1質量%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを製造した。
〈乾燥性試験〉
実施例、比較例で製造したインクジェットインクを、ピエゾ方式のインクジェットプリンタ〔セイコーエプソン(株)製のワークフォースプリンタ〕に使用して、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるカレンダーフィルム〔MACtac(マックタック)社製の95μホワイトグロスソフトカレンダーPVCフィルム JT5829R〕の表面に100%のベタパターンを印刷し、温度25℃、相対湿度40%の環境下で10分間、自然乾燥させた。
実施例、比較例で製造したインクジェットインクを、ピエゾ方式のインクジェットプリンタ〔セイコーエプソン(株)製のワークフォースプリンタ〕に使用して、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるカレンダーフィルム〔MACtac(マックタック)社製の95μホワイトグロスソフトカレンダーPVCフィルム JT5829R〕の表面に100%のベタパターンを印刷し、温度25℃、相対湿度40%の環境下で10分間、自然乾燥させた。
次いで、綿棒を用いて20gの荷重をかけながらこすった後の印刷を観察して、下記の基準で乾燥性を評価した。
○:印刷に全く変化は見られなかった。乾燥性良好。
△:印刷は剥離しなかったが、こすった跡が残った。乾燥性通常。
×:印刷が剥離して地肌が見えた。乾燥性不良。
○:印刷に全く変化は見られなかった。乾燥性良好。
△:印刷は剥離しなかったが、こすった跡が残った。乾燥性通常。
×:印刷が剥離して地肌が見えた。乾燥性不良。
〈分散安定性試験〉
実施例、比較例で製造直後のインクジェットインクの粘度を測定し、次いで密閉容器中に入れて60℃で1週間保存したのち再び粘度を測定して粘度の変化率を求め、下記の基準でインクジェットインクの分散安定性を評価した。
○:粘度の変化率は±10%以内であった。分散安定性良好。
実施例、比較例で製造直後のインクジェットインクの粘度を測定し、次いで密閉容器中に入れて60℃で1週間保存したのち再び粘度を測定して粘度の変化率を求め、下記の基準でインクジェットインクの分散安定性を評価した。
○:粘度の変化率は±10%以内であった。分散安定性良好。
△:粘度の変化率は±10%を超え、±20%以内であった。分散安定性通常。
×:粘度の変化率は±20%を超えていた。分散安定性不良。
以上の結果を表1、表2に示す。
×:粘度の変化率は±20%を超えていた。分散安定性不良。
以上の結果を表1、表2に示す。
表2の比較例1は、従来の水溶性有機溶媒である2−ピロリドンを、自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションと組み合わせたインクジェットインクである。言わば、特許文献2のインクジェットインクを再現したものに相当する。かかる比較例1のインクジェットインクは、表2の結果から、乾燥性が不良であることが判った。
比較例2は、アミド系溶剤(1)に属するβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを、自己架橋性を有しない塩化ビニル系ポリマエマルションと組み合わせたインクジェットインクである。
比較例2は、アミド系溶剤(1)に属するβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを、自己架橋性を有しない塩化ビニル系ポリマエマルションと組み合わせたインクジェットインクである。
前記β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは、概念上、特許文献4で規定された前記式(4)で表されるアミド系溶剤にも属するため、比較例2は、特許文献3、4のインクジェットインクを再現したものに相当する。かかる比較例2のインクジェットインクは、表2の結果から、分散安定性が不良であることが判った。
なお特許文献3のアミド系溶剤の具体例には、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは含まれていない。前記β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドよりも分子量の大きいアミド系溶剤が記載されているのみである。β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドに代えて、かかる分子量の大きいアミド系溶剤を使用した場合には、分散安定性だけでなく乾燥性も不良になると推測される。
なお特許文献3のアミド系溶剤の具体例には、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドは含まれていない。前記β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドよりも分子量の大きいアミド系溶剤が記載されているのみである。β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドに代えて、かかる分子量の大きいアミド系溶剤を使用した場合には、分散安定性だけでなく乾燥性も不良になると推測される。
比較例3は、従来の水溶性有機溶媒である2−ピロリドンを、シリル末端スルホポリ(エステル−ウレタン)のエマルションと組み合わせたインクジェットインクである。つまり特許文献1のインクジェットインクを再現したものに相当する。かかる比較例3のインクジェットインクは、表2の結果から、乾燥性が不良であることが判った。
これに対し、アミド系溶剤(1)と自己架橋型アクリル系ポリマエマルションとを組み合わせた実施例1〜3のインクジェットインクは、いずれも表1の結果から、乾燥性、および分散安定性ともに優れていることが判った。
これに対し、アミド系溶剤(1)と自己架橋型アクリル系ポリマエマルションとを組み合わせた実施例1〜3のインクジェットインクは、いずれも表1の結果から、乾燥性、および分散安定性ともに優れていることが判った。
また、各実施例を比較すると、アミド系溶剤(1)としては、より分子量の小さいβ−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドを用いるのが、乾燥性を向上する上で特に好ましいこと、自己架橋型アクリル系ポリマエマルションとしては、自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションを用いるのが、分散安定性を向上する上で特に好ましいことが判った。
Claims (4)
- 前記水性エマルション系ポリマはアクリル系ポリマであり、前記架橋剤は、分子中にヒドラジド基を有する架橋剤である請求項1または2に記載のインクジェットインク。
- 前記水性エマルション系ポリマおよび架橋剤は、水性エマルション系ポリマとしてのスチレンアクリル系ポリマの水性エマルション中に、架橋剤としての、分子中にヒドラジド基を有する水溶性または水分散性の架橋剤を含む1液常温架橋タイプの自己架橋型スチレンアクリル系ポリマエマルションである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
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