JP5407428B2 - インクジェット用インクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット用インクの製造方法に関する。
インクジェット用インク(以下、単にインクということもある)の泡立ちは、インクの供給経路やヘッドでの吐出安定性に大きく影響する。泡立ちの原因は、通常、インクに添加される界面活性剤・浸透剤である。特にフッ素系界面活性剤は、画像濃度が高く滲みの少ない画像が得られるため汎用されているが、泡立ちを起こしやすい材料である。
そこで対策として、インクに消泡剤を添加することが行われている。しかし、一般的なインクの製造においては、溶媒と着色剤や消泡剤などを混合した混合溶液を作成した後、濾過工程で不純物を濾過しており(特許文献1、2など参照)、この濾過工程において、消泡剤が濾過フィルターによりトラップされてしまうため、インク中の消泡剤量が減少し、消泡効果が劣化するという問題がある。
濾過工程でトラップされる消泡剤の量を考慮して、インクへの消泡剤の添加量を多くすることも考えられるが、そうすると濾過フィルターの寿命を縮めることになり、インクの製造コストが高くなってしまう。また、濾過工程を経たインクの初留と終留とに含まれる消泡剤成分量に差異が生じやすく、安定したインク品質を確保することは難しい。
本発明は、上記従来の問題を解決し、泡立ちが抑えられ、記録装置内でのインクの供給をスムーズに行うことができ、吐出安定性にも優れたインクジェット用インクを安定した品質で製造できる方法及び装置の提供を目的とする。
上記課題は次の1)〜5)の発明(以下、本発明1〜5という)によって解決される。
1) シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造方法であって、シリコーン系消泡剤の一部又は全部を除いた残りのインク成分を含むプレインクを濾過した後に、濾過したプレインクとシリコーン系消泡剤とを混合することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
2) シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造方法であって、インク原液の濾過を行う前に、濾過フィルターに、シリコーン系消泡剤を含むフィルター前処理液を通液することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
3) シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造装置であって、
シリコーン系消泡剤の一部又は全部を除いた残りのインク成分を混合してプレインク作成する第1混合手段と、
プレインクと消泡剤とを混合する第2混合手段と、
第1混合手段から第2混合手段に流入するプレインクを濾過する第1濾過手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット用インクの製造装置。
4) 第2混合手段に流入する消泡剤を濾過する第2濾過手段を更に備えたことを特徴とする3)に記載のインクジェット用インクの製造装置。
5) シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造装置であって、
濾過前のインク原液を貯留するインク貯留手段と、
シリコーン消泡剤を含むフィルター前処理液を貯留する前処理液貯留手段と、
インク原液を濾過する濾過手段と、
貯留されたインク原液を濾過手段に送液するインク送液手段と、
貯留されたフィルター前処理液を濾過手段に送液する前処理液送液手段と、
前処理液送液手段及びインク送液手段を制御して、フィルター前処理液を濾過手段に送液させた後、インク原液を濾過手段に送液させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット用インクの製造装置。
本発明によれば、泡立ちが抑えられ、記録装置内でのインクの供給をスムーズに行うことができ、吐出安定性にも優れたインクジェット用インクを安定した品質で製造できる。
本発明1のインクジェット用インクの製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。 本発明2のインクジェット用インクの製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明1では、シリコーン系消泡剤の一部又は全部を除いた残りのインク成分をまず混合してプレインクを作成し濾過した後に、該消泡剤の一部又は全部を混合する。この操作により、濾過工程で消泡剤がトラップされ減ってしまうことによる問題を解決でき、安定した品質のインクの製造が可能となる。ここで「一部」とは、インクの組成によっても変わるので一概に決められないが、通常の場合、添加するシリコーン系消泡剤全体の50重量%程度以上とする。この割合が少なすぎると、上記本発明1の特徴が十分に活かされないため好ましくない。
本発明1において、プレインクを濾過した後に添加するシリコーン系消泡剤は、未濾過のものを用いても、プレインクの濾過工程とは別工程で濾過したものを用いても良い。
またシリコーン系消泡剤を加える際に、該消泡剤の他に、インク中に含まれる活性剤成分や有機溶媒の一部を含有させても良い。
更に、本発明1により製造されるインクは、インク5μl中に含まれる粒径が1.5〜5.0μmの範囲の粒子数を2500個以下に調整し、更にインクを遠心分離した際の上澄み液に含まれるSi量を2ppm以上に調整することが好ましい。これにより、インクの消泡性と吐出安定性をより確実に両立させることができる。
本発明2では、シリコーン系消泡剤を含むインクジェット用インク成分を混合して濾過を行う前に、濾過フィルターに、水、界面活性剤、有機溶媒及びシリコーン系消泡剤を含むフィルター前処理液を通液する。
この操作により、フィルター前処理液中のシリコーン系消泡剤を濾過フィルターにトラップさせ、シリコーン系消泡剤をトラップするという濾過フィルターの悪影響を無くすか又は減殺させておく。この状態でインク成分を混合したインク原液の濾過を行えば、インク原液中のシリコーン系消泡剤は濾過フィルターにトラップされないで済む。
なお、フィルター前処理液に含まれるシリコーン系消泡剤は、通常、インクに含まれるシリコーン系消泡剤と同じものを用いるが、濾過フィルターにシリコーン系消泡剤を予めトラップさせておくことができれば良いのであるから、インクに含まれるシリコーン系消泡剤とは異なるものであってもよい。
本発明で用いるシリコーン系消泡剤としては、特に限定はなく、また添加量についても同様である。シリコーン系消泡剤は破泡効果に優れるものが多く、種類としてはオイル型、コンパウンド型、自己乳化型、エマルジョン型などがあるが、水系での使用を考慮すると、自己乳化型又はエマルジョン型が、信頼性を確保する上で望ましい。また、アミノ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、アルキレンオキサイド変性などの変性シリコーン系消泡剤を使用しても良い。
市販のシリコーン系消泡剤としては、信越化学工業社製のKS508、KS531、KM72、KM85、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−618、KF−6011、KF−6015など、東レ・ダウ・コーニング社製のQ2−3183A、SH5510、SF−8427、SF−8428、SH−3749、SH−8400、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2118、FZ−2203、FZ−2207など、日本ユニカー社製のSAG30など、旭電化工業社製のアデカネートシリーズなど、ビッグケミー・ジャパン社製のBYK−345、BYK−346、BYK−348などが挙げられる。
消泡剤の含有量は消泡効果がある最小量でよいが、通常、インクジェット記録用インクの総量に対して、0.001〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量%である。0.001重量%未満では消泡効果の改善が不十分であり、3重量%より多いと、インクの保存安定性、吐出安定性に問題を生じることがある。
次に、本発明が適用可能なインクジェット用インクの材料について説明するが、これらに限定されるものではない。
インクに用いられる着色剤の例としては、以下のような染料や顔料が挙げられる。
染料としては次のようなものがあるが、好ましいのは酸性染料及び直接性染料である。
<酸性染料及び食用染料>
C.I.アシッド・イエロー類、C.I.アシッド・レッド類、C.I.アシッド・ブルー類、C.I.アシッド・ブラック類、C.I.フード・イエロー類、C.I.フード・レッド類、C.I.フード・ブラック類
<直接性染料>
C.I.ダイレクト・イエロー類、C.I.ダイレクト・レッド類、C.I.ダイレクト・オレンジ類、C.I.ダイレクト・ブルー類、C.I.ダイレクト・ブラック類
<塩基性染料>
C.I.ベーシック・イエロー類、C.I.ベーシック・レッド類、C.I.ベーシック・ブルー類
<反応性染料>
C.I.リアクティブ・ブラック類、C.I.リアクテイブ・イエロー類、C.I.リアクティブ・レッド類、C.I.リアクティブ・ブルー類
顔料としては特に限定はなく、種々の無機顔料、有機顔料を使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用できる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に水と親和性の良いものが好ましい。
好ましい顔料の具体例として、黒色用としては、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントグリーン等が挙げられる。
顔料は分散剤で水性媒体中に分散させた顔料分散液としてインクに添加するのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の分散剤を使用することができ、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等があげられる。
これらの重合体や共重合体は、重量平均分子量が3,000〜50,000のものが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15,000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、他の効果を失わせない範囲で適宣添加すれば良い。顔料と分散剤の割合は、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
更に、上記分散剤にはカルボキシル基が結合していることが好ましい。これにより分散安定性が向上し、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。更に裏抜けを防止する効果が得られる。特に、カルボキシル基が結合している分散剤で分散した顔料と、浸透剤とを併用した場合においては、普通紙などの比較的サイズ度の高い記録媒体に印字した場合においても、十分な乾燥速度が得られ、且つ、裏抜けが少ないという効果が得られる。これは、カルボン酸の解離定数が他の酸基に比較して小さい為、顔料が記録媒体に付着した後、インクのpH値の低下や、記録媒体表面近傍に存在するカルシウムなどの多価金属イオンとの相互作用などにより、分散剤自体の溶解度が低下し、分散剤自体や顔料が凝集する為と推定される。
更に最も好ましい形態としては、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接又は他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。そのためには、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン酸基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、又は、次亜ハロゲン酸及び/又はその塩を用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。中でも好ましい形態は、顔料の表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散されている形態である。これも顔料が表面改質されカルボキシル基が結合しているために、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。またこの形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。
インク組成物中の着色剤の添加量は、0.5〜15重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜10重量%程度である。また染料単独、顔料単独のみならず、染料顔料の両方を組み合わせて使用しても良い。
本発明の好ましい態様によれば、インク中の顔料は平均粒径が50〜200nmの範囲であることが好ましい。ここでいう平均粒径とは、体積累積パーセント50%の値を指す。体積累積パーセント50%の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)といわれる方法を用いることができる。
本発明で用いる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、多価アルコールアルキルエーテル及び/又は多価アルコールアリールエーテル水溶性有機溶媒が好ましい。これらの有機溶媒を含有することによりインクの水分蒸発を防止しインク吐出口での着色剤の析出、粘度上昇による吐出不良をより良く抑制することができる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられ、多価アルコールアリールエーテルとしては例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。これら水溶性有機溶媒のインク中の含有量としては、5〜30重量%が好ましく、更に好ましくは、10〜30重量%である。30重量%を超えると、水性インクの粘度が高くなってしまい、吐出安定性に影響を与えてしまうことが多い。また、インクの水分蒸発を防止する目的として上記水溶性有機溶媒と組み合わせて用いられる水溶性有機溶媒としては例えば、下記に示す水溶性有機溶媒が挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。
本発明では、紙への浸透性を高め、速乾燥性で、文字滲み、境界滲みを更に低減させた高品位な画像を得ることを目的として界面活性剤を添加する。界面活性剤としては、インクへの速乾性を付与できるものであれば、特に限定はなく、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、ノニオン系界面活性剤及び/又はアニオン系界面活性剤が好ましい。更に高速・高画質を達成するために好ましいのはフッ素系界面活性剤である。市販のフッ素系界面活性剤の具体例としては、デュポン社製のゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO、FSO−100、FSHなどが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、0.05〜10重量%が適当であり、0.1〜5重量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜3重量%である。含有量が0.05重量%より少ないと記録紙への浸透性を十分に高めることが出来なくなることがあり、10重量%より多いとインクの増粘や泡立ちが問題となることがある。
インクには、必要に応じて、浸透性を高める目的で浸透剤を添加するが、好ましい浸透剤としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及び/又は2−エチル−1,3−へキサンジオールが挙げられる。これらを単独で又は混合して添加することにより、高速印字時でも滲みを低減することが可能となり、また吐出安定性及び吐出応答性を向上させることができる。
その他に、インクには、必要に応じて防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤等を含有させることができる。
ここで、図1を参照しつつ、本発明1の製造方法を実施するのに適したインクジェット用インクの製造装置の一例について説明する。
図1の1はプレインク成分を攪拌するための攪拌装置1(第1混合手段)、2は消泡剤を含む消泡剤溶液の各成分(消泡剤成分)を攪拌するための攪拌装置2、3は濾過後のプレインクと消泡剤成分を攪拌するための攪拌装置3(第2混合手段)、4はプレインクの濾過装置(第1濾過手段)、5は消泡剤成分の濾過装置(第2濾過手段)、6はインク貯蔵タンクである。
この製造装置の操作としては、1の攪拌装置1に、水、着色剤、界面活性剤、有機溶媒及び一部又は全部を除いたシリコーン系消泡剤などからなるプレインク成分を投入して攪拌しプレインクを作成する。次いで、濾過装置4により該プレインクを濾過する。なお、ここでは、攪拌装置1によりプレインクを作成し、これを濾過装置4で濾過しているが、予め作成されたプレインクを濾過装置4で濾過するようにしてもよい。
一方、2の攪拌装置2には、シリコーン系消泡剤の一部又は全部を含む消泡剤成分を投入し攪拌する。次いで、必要な場合には、濾過装置5により該消泡剤成分混合物を濾過する。
続いて、前記濾過装置4を通過したプレインクと前記消泡剤成分混合物を3の攪拌装置3により攪拌してインクジェット用インクとし、インク貯蔵タンク6に貯蔵する。
濾過装置4は、攪拌装置1と攪拌装置3とを連通する流路に介設されている。濾過装置4は、濾過フィルターを備えており、インク成分などに混入していた不純物、インク原液の調合中に混入した不純物、インク原液の調合時に発生した粗大粒子や凝集物などを濾過フィルターに吸着させて除去する。濾過装置5は、攪拌装置2と攪拌装置3とを連通する流路に介設されている。濾過装置5は、濾過装置4と同様に構成されており、消泡剤成分に混入していた不純物等を除去するようになっている。
濾過フィルターとしては、種々の物を使用することが可能であり、ポアサイズ、フィルターの材料、構造、有効濾過面積等の条件から適宜最適のものを選択する。通常、ポアサイズは0.1〜5μm程度が好ましく、濾過フィルターの材料としてはポリプロピレン、ポリテトラフロロエチレン、親水性ナイロン等が挙げられる。
次に、図2を参照しつつ、本発明2の製造方法を実施するのに適したインクジェット用インクの製造装置の一例について説明する。
この製造装置は、水、着色剤、界面活性剤、有機溶媒及びシリコーン系消泡剤などからなるインク原液を貯留・攪拌するタンクT(インク貯留手段及び前処理液貯留手段)、インク原液を濾過する濾過部19(濾過手段)を備える。なお、後述するように、タンクTはフィルター前処理液の貯留・攪拌にも用いる。また、11は吐出ノズル、11aは吐出口、12は排出口、16は連結パイプ、17はポンプ等で構成された圧輸手段(インク送液手段及び前処理液送液手段)である。また、本製造装置は、図示省略したが、圧輸手段17の駆動や後述する排出バルブ18の開閉を制御する制御部を備えている。
タンクT内では、有機溶媒、着色剤、界面活性剤、シリコーン系消泡剤などのインク成分を攪拌しながら混合し、有機溶媒に着色剤などを溶解又は分散させ、得られたインク原液を貯留する。このタンクTの底面には、貯留されているインク原液を濾過部に向かって排出する第1の排出管P1が設けられている。この第1の排出管P1には、タンクから濾過部への排出を制御する排出バルブ18が設けられている。
濾過部19は、図1の濾過装置4,5と同様に構成されている。
上記図2の製造装置を用いてインクを製造する場合には、先ずタンクTに所定量の水、界面活性剤、有機溶媒及びシリコーン系消泡剤を供給した後、攪拌混合してフィルター前処理液を作成し、タンクT内に貯留する。すなわち、攪拌時には、排出バルブ18が吐出ノズル11側に開いており、排出口12から排出されたタンクT内の各成分は、吐出ノズル11からタンクTに戻される(循環する)ことで、水流攪拌が行われるようになっている。
次に、第1の排出管P1の排出バルブ18を濾過部19側へと切り換え、濾過部19にフィルター前処理液を供給し通液する。これにより濾過フィルターにシリコーン系消泡剤が吸着される。
続いて、タンクT内及び濾過部19からフィルター前処理液を全て抜き取った後、タンクTに所定量の水、着色剤、界面活性剤、有機溶媒及びシリコーン系消泡剤などを供給し、上記と同様にして攪拌混合してインク原液を作成し、タンクT内に貯留する。
次に、第1の排出管P1の排出バルブ18を濾過部19側へと切り換え、濾過部19にインク原液を供給し、濾過して、第2の排出管P2より排出すればインクが得られる。インク原液を濾過する際には、濾過部19の濾過フィルターに通液しても、予め濾過フィルターにシリコーン系消泡剤が吸着されているため、インク原液中のシリコーン系消泡剤は吸着されることなく濾過フィルターを通過する。これにより、得られたインクには不純物等がなく、設計通りに所定量の消泡剤が含有され、消泡効果が得られる十分な量の消泡剤が含有されることとなる。
なお、ここでは、インク原液とフィルター前処理液とを、共通のタンクTから共通の圧輸手段17によって濾過部19に供給するようにしているが、別々のタンクから別々の圧輸手段によって濾過部19に供給するようにしてもよい。
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔消泡剤溶液の調製〕
<消泡剤溶液1>
下記処方の材料を混合した後、1.5μmのポリプロピレンのフィルターを用いて濾過し、消泡剤溶液1を作成した。
・シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 10重量部
・グリセリン 50重量部
・純水 50重量部
<消泡剤溶液2>
下記処方の材料を混合した後、1.5μmのポリプロピレンのフィルターを用いて濾過し、消泡剤溶液2を作成した。
・シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 10重量部
・グリセリン 25重量部
・1,3−ブタンジオール 25重量部
・純水 50重量部
<消泡剤溶液3>
下記処方の材料を混合した後、1.5μmのポリプロピレンのフィルターを用いて濾過し、消泡剤溶液3を作成した。
・シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 10重量部
・グリセリン 18重量部
・1,3−ブタンジオール 32重量部
・純水 50重量部
<消泡剤溶液4>
下記処方の材料を混合した後、1.5μmのポリプロピレンのフィルターを用いて濾過し、消泡剤溶液4を作成した。
・シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 10重量部
・グリセリン 25重量部
・1,3−ブタンジオール 25重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量部
・純水 50重量部
<消泡剤溶液5>
下記処方の材料を混合した後、1.5μmのポリプロピレンのフィルターを用いて濾過し、消泡剤溶液5を作成した。
・シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 10重量部
・グリセリン 25重量部
・1,3−ブタンジオール 25重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量部
・フッ素系界面活性ゾニールFS−300(デュポン社製) 2.5重量部
・純水 50重量部
〔プレインク(消泡剤未添加インク)の調製〕
<プレインク6>
・ポリマー溶液Aの調製
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成社製:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
次いで、65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液A800gを得た。
・イエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体の調製
ポリマー溶液A28gとC.I.ピグメントイエロー97を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを充分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトンと水を留去し、イエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
下記処方の材料を混合し、室温で充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、イエロープレインク6を作成した。
・イエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体 40重量%
・グリセリン 15重量%
・1,3−ブタンジオール 15重量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
・フッ素系界面活性ゾニールFS−300(デュポン社製) 2.5重量%
・2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール 0.3重量%
・イオン交換水 残量
<プレインク7>
・マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体の調製
顔料種をC.I.ピグメントレッド122に変えた点以外は、イエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体の場合と同様にして、マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
次いで、下記処方の材料を混合し、室温で充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、マゼンタプレインク7を作成した。
・マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体 50重量%
・グリセリン 10重量%
・1,3−ブタンジオール 18重量%
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量%
・フッ素系界面活性ゾニールFS−300(デュポン社製) 2.5重量%
・イオン交換水 全体で100重量%となる量
<プレインク8>
・シアン顔料含有ポリマー微粒子の水分散体の調製
顔料種をC.I.ピグメントブルー15:3に変えた点以外は、イエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体の場合と同様にして、シアン顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
次いで、下記処方の材料を混合し、室温で充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、シアンプレインク8を作成した。
・シアン顔料含有ポリマー微粒子の水分散体 40重量%
・グリセリン 8重量%
・1,3−ブタンジオール 20重量%
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量%
・フッ素系界面活性ゾニールFS−300 (デュポン社製) 2.5重量%
・2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール 0.5重量%
・イオン交換水 全体で100重量%となる量
<プレインク9>
下記処方の材料を混合し、室温で充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、プレインク9を作成した。
・KM−9036(東洋インキ、自己分散型顔料) 40重量%
・グリセリン 10重量%
・3−メチル−1,3−ブタンジオール 15重量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
・2−ピロリドン 2重量%
・フッ素系界面活性ゾニールFS−300 (デュポン社製) 2.5重量%
・イオン交換水 全体で100重量%となる量
<プレインク10>
下記処方の材料を混合し、室温で充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、イエロープレインク10を作成した。
・イエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体 40重量%
・グリセリン 15重量%
・1,3−ブタンジオール 15重量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
・フッ素系界面活性ゾニールFS−300(デュポン社製) 2.5重量%
・2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール 0.3重量%
・シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 0.05重量%
・イオン交換水 全体で100重量%となる量
実施例1〜5
図1に示す製造装置を用い、攪拌装置1で前記プレインク6を作成し濾過装置4で濾過した。一方、攪拌装置2で消泡剤溶液を作成し、濾過後のプレインク6が98.9重量%、前記消泡剤溶液1〜5がそれぞれ1.1重量%となるように攪拌装置3で混合攪拌して、実施例1〜5のインク10〜14を作成した。
実施例6
図1に示す製造装置を用い、攪拌装置1で前記プレインク10を作成し、濾過装置4で濾過した。一方、攪拌装置2で消泡剤溶液を作成し、濾過後のプレインク10に、前記消泡剤溶液1を0.5重量%添加して攪拌装置3で混合攪拌し、実施例6のインク15を作成した。
比較例1〜3
下記処方の材料を室温で充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターで濾過した。濾液の初留をインク1、中留をインク2、終留をインク3として、比較例1〜3のインクを得た。
・イエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体 40重量%
・グリセリン 15重量%
・1,3−ブタンジオール 15重量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
・フッ素系界面活性ゾニールFS−300(デュポン社製) 2.5重量%
・2−アミノ−2−メチル−プロパンジオール 0.3重量%
・シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 0.1重量%
・イオン交換水 全体で100重量%となる量
比較例4〜6
消泡剤量を2倍(0.2重量%)にした点以外は、比較例1〜3と同様にして、比較例4〜6のインクを得た。
実施例1〜6のインク10〜15及び比較例1〜6のインクについて下記のような評価を行った。
<評価1>インク中を遠心分離した上澄みに含有されるSi量の測定
各インク10mlを遠心分離用セルに入れ、回転速度10000rpmで、1時間遠心分離を行った。
各サンプルの上澄み液を採取し、その中に含まれるSi量をICP装置で測定した。
各インクに含有されるSi量を表1に示す。
<評価2>インク中の粗大粒子数の測定
AccuSizer 780(Particle Sizing Systems社製)により、各インク5μl中に存在する粒径1.5〜5.0μmの粗大粒子数の測定を行った。結果を表1に示す。
<評価3>インクの泡立ち評価
100mlのメスシリンダーに各インクを10ml入れ、インクの底の面まで差したシリンジの先から空気を0.2kgf/cmの圧力で15秒間注入し、そのときの泡の高さと、その泡の高さが半減するまでの時間(秒)を測定した。結果を表1に示す。
<評価4>送液時の泡立ち評価
各インクについて、IPSiO GX3000(リコー社製)により、送液時の泡立ち評価を行った。
供給ポンプを10秒間駆動させてヘッドタンクに各インクを供給した後、タンク内の液を半分の高さになるところまで抜取り、1時間休止させた後、また供給ポンプを10秒間駆動させるという方法でインクを送液した。その際の泡立ちを目視で評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
○:泡が立たないか、たっても直ぐ消える
△:泡は立つが、5分以内に消える
×:泡が5分たっても消えない(タンク上端に達する)
<評価5>吐出安定性評価
各インクについて、IPSiO GX3000(リコー社製)により連続印字を行った。印字は1日に2000枚ずつ行い、10K(×10)枚ごとに吐出不良ノズル数を観察した。結果を表2に示す。
Figure 0005407428
表1から分かるように、実施例の方がSi量が多く粗大粒子数も多かった。また、泡高さはほぼ同等であったが、泡高さが半減する時間は実施例の方が顕著に短かった。また、送液時の泡立ちについても、比較例6以外は実施例の方が優れていた。
Figure 0005407428
表2から分かるように、20K枚までは実施例と比較例に差がなかったが、30K枚以降になると差が出始め、60K枚以降は全ての比較例が実施例よりも悪くなった。
実施例インクセット1
図1に示す製造装置を用い、攪拌装置1でプレインクを作成し濾過装置4で濾過した。一方、攪拌装置2で前記消泡剤溶液2を作成し、濾過後の前記プレインク6〜9の各々98.9重量%に対して、消泡剤溶液2が1.1重量%となるように攪拌装置3で混合攪拌して、実施例インクセット1を作成した。
参考例インクセット1
界面活性剤を日本触媒社製の界面活性剤:ソフタノールEP−9050に変えた点以外は、実施例インクセット1と同様にして、参考例インクセット1を作成した。
実施例インクセット1及び参考例インクセット1について、下記評価6を行った。
<評価6>画像評価
IPSiO GX3000(リコー社製)を用いてカラー画像を印字し、文字滲み及び色境界滲みについて目視で評価した。評価用紙は普通紙(リコー社製:タイプ6200)を用いた。評価基準は次のとおりである。
○:滲みがほとんどない
△:滲みが若干ある
×:滲みが明確である
また、画像濃度は、X−Rite社製 分光測色濃度計 938を用いて測定した。
結果を表3に示すが、フッ素系界面活性剤を添加したインクの方が、画像濃度が高く滲みの少ない画像であった。
Figure 0005407428
下記フィルタ前処理液処方例1〜7の材料をそれぞれ混合してフィルタ前処理液1〜7を作成した。
<フィルタ前処理液処方例1>
・1,3−ブタンジオール:30重量%
・グリセリン:10重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.05重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量

<フィルタ前処理液処方例2>
・1,3−ブタンジオール:30重量%
・グリセリン:10重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.1重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量

<フィルタ前処理液処方例3>
・1,3−ブタンジオール:30重量%
・グリセリン:10重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.2重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量

<フィルタ前処理液処方例4>
・1,3−ブタンジオール:15重量%
・グリセリン:5重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.1重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量

<フィルタ前処理液処方例5>
・グリセリン:20重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.1重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量

<フィルタ前処理液処方例6>
・3−メチル−1,3−ブタンジオール:15重量%
・グリセリン:5重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.1重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量

<フィルタ前処理液処方例7>
・1,3−ブタンジオール:15重量%
・グリセリン:5重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量
<インク原液調製例1>
(表面処理したカーボンブラック顔料分散液の調製)
CTAB比表面積が150m/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5N規定の硫酸ナトリウム溶液3000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗いし乾燥させ、20重量%となるよう純水中に分散させた。
このカーボンブラック分散液を用い、下記処方の材料を混合して調製例1のインク原液を作成した。
・上記方法で作成したカーボンブラック:9重量%(固形分として)
・3−メチル−1,3−ブタンジオール:30重量%
・グリセリン:10重量%
・2−ピロリドン:2重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.1重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量
<インク原液調製例2>
(表面処理したイエロー顔料分散液の調製)
イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作成した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜により脱塩濃縮し、顔料濃度15重量%のイエロー顔料分散液を得た。
このイエロー顔料分散液を用い、下記処方の材料を混合して調製例2のインク原液を作成した。
・上記イエロー顔料分散液:6重量%(固形分として)
・1,3−ブタンジオール:30重量%
・グリセリン:10重量%
・オクタンジオール:2重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.05重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量
<インク原液調製例3>
(表面処理したマゼンタ顔料分散液の調製)
C.I.ピグメントイエロー128の代りにピグメントレッド122を用いた点以外は、調製例2と同様にして、表面改質されたマゼンタ顔料を作成し、限外濾過膜により脱塩濃縮して顔料濃度15重量%のマゼンタ顔料分散液を得た。
このマゼンタ顔料分散液を用い、下記処方の材料を混合して調製例3のインク原液を作成した。
・上記マゼンタ顔料分散液:8重量%(固形分として)
・1,3−ブタンジオール:30重量%
・グリセリン:10重量%
・オクタンジオール:2重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.05重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量
<インク原液調製例4>
(表面処理したシアン顔料分散液の調製)
C.I.ピグメントイエロー128の代りにC.I.ピグメントシアン15:3を用いた点以外は、調製例2と同様にして、表面改質されたシアン顔料を作成し、限外濾過膜により脱塩濃縮して顔料濃度15重量%のシアン顔料分散液を得た。
このシアン顔料分散液を用い、下記処方の材料を混合して調製例4のインク原液を作成した。
・上記シアン顔料分散液:6重量%(固形分として)
・1,3−ブタンジオール:30重量%
・グリセリン:10重量%
・オクタンジオール:2重量%
・FS−300(DuPont社):2.5重量%
・FZ−2207(東レ・ダウコーニング社):0.05重量%
・イオン交換水:全体で100重量%となる量
上記フィルタ前処理液処方例1〜7のSi量を島津製作所製:ICPS−1000IVを用いて測定した。また、粘度を東機産業社製のR型粘度計:RC−500を用いて測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005407428
実施例7〜13、比較例7〜11
図2の製造装置を用い、フィルタ前処理液処方例1〜7とインク原液調製例1〜4を、表5の実施例7〜13、比較例7〜11に示すように組み合わせてインクを作成した。
先ずタンクTでフィルタ前処理液を作成し貯留した。次に、第1の排出管P1の排出バルブ18を開き、濾過部19にフィルター前処理液を供給し通液した。次に、タンクT内及び濾過部19からフィルター前処理液を全て抜き取った後、タンクTにインク材料を供給し、攪拌混合してインク原液を作成し貯留した。次に、第1の排出管P1の排出バルブ18を開き、濾過部19にインク原液を供給し濾過した後、第2の排出管P2から排出してインクを得た。
一方、フィルタ前処理液による操作を省略した点以外は実施例7〜13と同様にして、タンクTで調製例1〜4のインク原液を作成し貯留した後、濾過部19で濾過して比較例8〜11のインクを得た。
Figure 0005407428
上記実施例10〜13のインクのSi量を島津製作所製:ICPS−1000IVを用いて測定した。また、粘度を東機産業社製のR型粘度計:RC−500を用いて測定した。結果を表6に示す。
Figure 0005407428
上記実施例7〜13及び比較例7〜11で作成した各インクジェット記録用インクを用いて、下記条件で泡立ち試験、吐出安定性評価、及び保存安定性試験を行った。
<泡立ち試験>
作成した記録用インクを、25℃の環境下で、100mlのメスシリンダーに10ml入れ、該記録用インクと気泡の体積が100mlになるまで一定圧力の空気を注入し、該記録用インクと気泡の体積が100mlになった時点で空気の注入を停止した。空気の注入開始から空気の注入を停止するまでの時間を起泡時間、空気の注入を停止した時点から該記録用インクと気泡の体積が60mlになるまでの時間を計測して消泡時間とし、以下の基準で評価した。結果を下記表7に示す。
(起泡性)
A:起泡時間が15秒以上
B:起泡時間が10秒以上、15秒未満
C:起泡時間が5秒以上、10秒未満
D:起泡時間が5秒未満
(消泡性)
A:消泡時間が600秒未満
B:消泡時間が600秒以上、1200秒未満
C:消泡時間が1200秒以上、1800秒未満
D:消泡時間が1800秒以上
<吐出安定性評価>
作成した記録用インクを、インクジェットプリンター(リコー社製:IPSiO G707)に充填し、以下の方法で吐出安定性を評価した。
下記の印刷パターンチャートを20枚連続で印字した後、20分間印字を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返し、累計で1000枚印写後、もう1枚同チャートを印写した時の5%チャートベタ部の筋、白抜け、噴射乱れの有無を目視で評価した。評価基準は下記のとおりである。なお、印刷パターンは、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%デュテイ(duty)で印字した。印字条件は、記録密度は360dpi、ワンパス印字とした。
結果を表7に併せて示す。
A:ベタ部にスジ,白抜け,噴射乱れが無い。
B:ベタ部にスジ,白抜け,噴射乱れが若干認められる。
C:ベタ部全域にわたってスジ,白抜け,噴射乱れが認められる。
<保存安定性試験>
作成した記録用インクを、インクジェットプリンター(リコー社製:IPSiO G707)に充填し、50℃の環境下に14日間放置した。その後、該プリンターについて、復帰可能なクリーニング操作回数により、次の基準で評価した。結果を表7に示す。
A:クリーニング操作1回で復帰可能
B:2回から5回で復帰可能
C:5回でも復帰しない
Figure 0005407428
上記表7から分かるように、本発明の製造方法で作成されたインクジェット記録用インクは、いずれも起泡性、消泡性、吐出安定性、保存安定性に優れている。
1 プレインク成分を攪拌するための攪拌装置1
2 消泡剤成分を攪拌するための攪拌装置2
3 濾過後のプレインクと消泡剤成分を攪拌するための攪拌装置3
4 プレインクの濾過装置
5 消泡剤成分混合物の濾過装置
6 インク貯蔵タンク
11 吐出ノズル
11a 吐出口
12 排出口
16 連結パイプ
17 圧輸手段(ポンプ)
18 排出バルブ
19 濾過部
T タンク
P1 第1の排出管
P2 第2の排出管
W タンクTの内壁
特開2007−270143号公報 特開2008−63540号公報

Claims (5)

  1. シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造方法であって、シリコーン系消泡剤の一部又は全部を除いた残りのインク成分を含むプレインクを濾過した後に、濾過したプレインクとシリコーン系消泡剤とを混合することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
  2. シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造方法であって、インク原液の濾過を行う前に、濾過フィルターに、シリコーン系消泡剤を含むフィルター前処理液を通液することを特徴とするインクジェット用インクの製造方法。
  3. シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造装置であって、
    シリコーン系消泡剤の一部又は全部を除いた残りのインク成分を混合してプレインク作成する第1混合手段と、
    プレインクと消泡剤とを混合する第2混合手段と、
    第1混合手段から第2混合手段に流入するプレインクを濾過する第1濾過手段と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット用インクの製造装置。
  4. 第2混合手段に流入する消泡剤を濾過する第2濾過手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用インクの製造装置。
  5. シリコーン系消泡剤を含有するインクジェット用インクの製造装置であって、
    濾過前のインク原液を貯留するインク貯留手段と、
    シリコーン消泡剤を含むフィルター前処理液を貯留する前処理液貯留手段と、
    インク原液を濾過する濾過手段と、
    貯留されたインク原液を濾過手段に送液するインク送液手段と、
    貯留されたフィルター前処理液を濾過手段に送液する前処理液送液手段と、
    前処理液送液手段及びインク送液手段を制御して、フィルター前処理液を濾過手段に送液させた後、インク原液を濾過手段に送液させる制御手段と、
    を備えたことを特徴とするインクジェット用インクの製造装置。
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