JP2003003100A - 水性インク及びそれを用いた記録方法 - Google Patents

水性インク及びそれを用いた記録方法

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JP2003003100A
JP2003003100A JP2001191976A JP2001191976A JP2003003100A JP 2003003100 A JP2003003100 A JP 2003003100A JP 2001191976 A JP2001191976 A JP 2001191976A JP 2001191976 A JP2001191976 A JP 2001191976A JP 2003003100 A JP2003003100 A JP 2003003100A
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JP2001191976A
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Tomoko Sekine
朋子 関根
Nobutaka Osada
延崇 長田
Tetsuya Kaneko
哲也 金子
Hitoshi Arita
均 有田
Kakuji Murakami
格二 村上
Akihiko Goto
明彦 後藤
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品位のカラー画像を普通紙に安定して記録
することができ、またインクの浸透性が極めて高いた
め、高速での記録が可能で、さらに裏抜けしにくいた
め、記録媒体への両面印字を可能にし、特にインクジェ
ット式カラープリンターに好適なインク及び記録方法の
提供。 【解決手段】 水に溶解又は分散する着色剤、水、イン
ク全重量に対して5〜50重量%の湿潤剤、インク全重
量に対して0.01〜5.0重量%の界面活性剤、及び
インク全重量に対して0.5〜10重量%の2−エチル
−1,3−ヘキサンジオールを含む浸透剤を含有するこ
とを特徴とする水性インク、並びにこの水性インクを用
いた記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の水性インクはピエゾ
方式、サーマル方式などのオンディマンド法や荷電制御
方式などの連続噴射法に代表されるインクジェット記録
に適した水性インク、特に所謂普通紙に対するカラーイ
ンクとして優れた特性を示す水性インクであって、水性
筆記用具、記録計、ペンプロッター用水性インクとして
も用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録方式は本体が
小型で価格が安く、低ランニングコスト、低騒音といっ
た利点から急速に普及しており、電子写真用転写紙、印
刷用紙、タイプライター用紙、ワイヤードットプリンタ
ー用紙、ワードプロセッサー用紙、レター用紙、レポー
ト用紙等、種々のノンコートの普通紙に印字可能なイン
クジェットプリンターも市場に投入されている。これら
インクジェットプリンターにおいて、より高品位な画像
が得られるようにインクの吸収性を改善した提案が種々
なされている。
【0003】しかしながら、画像の色再現性、耐水性、
耐光性、画像の乾燥性、画像滲み及び吐出の信頼性の全
てを満足することは難しい。特にカラープリンターの場
合、イエロー、マゼンタ、シアンの単色印字部で画質劣
化がなくても、レッド、グリーン、ブルーの2色重ね部
分で画質の劣化が発生しやすい。特に定着装置を用いな
いで乾燥を行う場合、特開昭55−29546号公報等
のように浸透性を高めることにより乾燥性を向上してい
るため紙に著しく滲む。
【0004】また、特公昭60−23793号公報によ
れば界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸を用い
ると乾燥性が向上し、画像劣化も少なくなるとされてい
るが、紙による画素径が著しく異なり、画像濃度の低下
も著しいといった問題やアルカリ側では活性剤が分解
し、保存時に活性効果がなくなるといった問題がある。
また、特公昭58−6752号公報には、アセチレン結
合を有するエチレンオキサイド付加体である界面活性剤
を用いることにより浸透性を向上させて滲みを少なくし
た速乾性インクが開示されている。
【0005】しかしながら、着色剤によっては、例えば
DBK168等の直接性染料を用いたインクや、カーボ
ンブラックなどの顔料を用いたインクでは、着色剤と疎
水性相互作用を生じるため乾燥速度が向上しないといっ
た問題がある。
【0006】また、同じく乾燥速度を向上させるため、
特開平8−113739号公報には、染料と水溶性グリ
コールエーテル類を含むインクが提案され、特開平10
−95941号公報には、顔料と、ジエチレングリコー
ルモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル
類と水とからなるインク組成物が提案されている。しか
しながら、乾燥速度を向上させるためには大量のグリコ
ールエーテル類の添加が必要であり、インクの臭気や安
全性の面で好ましくない。さらに、着色剤によっては、
前述のアセチレン結合を有する界面活性剤と同様、着色
剤とグリコールエーテル類との疎水性相互作用を生じ、
乾燥速度が向上せず、充分な効果が得られないという問
題がある。
【0007】また、特開昭56−57862号公報等に
は、強塩基性物質を添加したインクが開示されている
が、ロジンサイズされた酸性紙では効果があるものの、
アルキルケテンダイマーやアルケニルスルホコハク酸を
サイズ剤とした紙には効果がないし、酸性紙でも2色重
ね部分では効果がない。
【0008】また、特開平1−203483号公報には
多価アルコール誘導体及びペクチンを含有することを特
徴とした記録液が開示されており、これは増粘剤として
ペクチンを添加し滲みを防止するものであるが、ペクチ
ンは水酸基を親水基とし非イオン性であるため印字休止
後の吐出安定性に欠けるという問題がある。
【0009】また、特開平2−36276号公報には周
波数応答性及び定着性を改善する成分として、2−プロ
パノールが開示されているが、毒性及び燃焼性等安全性
に問題がある。
【0010】さらに、特許2894568号公報には、
色素と液媒体とを含む組成物であって、前記液媒体中に
60重量%以上の水及び0.2〜30重量%の炭素数7
〜10のアルキレングリコールを含有するインクジェッ
ト用インクが提案されており、この「炭素数7〜10の
アルキレングリコール」の好ましい具体例として、1,
7−ヘプタンジオール、2,6−ヘプタンジオール、
2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、3−エ
チル−1,3−ペンタンジオール等が例示されている。
そして、これらの化合物をインク中に含有させることに
より、「普通紙上におけるインクの滲み、乾燥性及び浸
透性を改善」し、「滲みと浸透性の点でバランスがと
れ」、「目詰まり防止性においても信頼性が高い」イン
クを提供できるとしているが、実際には、これら例示化
合物を添加しても、インクの浸透性改善が不十分であ
り、よって乾燥性が低く、また紙種によっては滲みが発
生しやすいなど、従来からの課題はなんら解決されてい
ない。
【0011】そこで本出願人は特開平6−157959
号公報に係る出願において浸透性を高める目的で2−エ
チル−1,3−ヘキサンジオールを含有する水性インク
及びそれを用いた記録方法を提案した。この発明の2−
エチル−1,3−ヘキサンジオールは、前述の特許第2
894568号公報において、例示化合物に含まれてい
ないだけでなく、本発明者等により、多岐にわたる化合
物の中から鋭意検討の末、見出されたものである。これ
により、インクジェットインクとしての諸特性を満足
し、浸透性、乾燥性に優れ、かつ画質劣化の改良された
水性インク記録組成物を提供することができ、該インク
組成物を用いることにより良好な画像形成が可能な記録
方法を提供することができ、少量の添加量で高周波駆動
の吐出安定性が得られ、かつ安全性の高いインクを用い
た記録方法を提供することができた。
【0012】しかし、2−エチル−1,3−ヘキサンジ
オールを含有する水性インクでも画像濃度はまだ不十分
であり、またインクジェットヘッドでの目詰まりやイン
クの保存安定性、両面印字において問題となる裏抜けに
ついても十分な品質を得ることはできなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した従来技術の問題点を克服したインク及び記録方法、
即ち、高品位のカラー画像を普通紙に安定して記録する
ことができ、またインクの浸透性が極めて高いため、高
速での記録が可能で、さらに裏抜けしにくいため、記録
媒体への両面印字を可能にしたインク及び記録方法を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、次
の1)〜14)によって解決される。 1) 水に溶解又は分散する着色剤、水、インク全重量
に対して5〜50重量%の湿潤剤、インク全重量に対し
て0.01〜5.0重量%の界面活性剤、及びインク全
重量に対して0.5〜10重量%の2−エチル−1,3
−ヘキサンジオールを含む浸透剤を含有することを特徴
とする水性インク。 2) 湿潤剤が、少なくともジエチレングリコール及び
/又はグリセリンを含むことを特徴とする1)記載の水
性インク。 3) 2−ピロリドン類を含有することを特徴とする
1)〜2)のいずれかに記載の水性インク。 4) 界面活性剤が、下記一般式(1)で示されるポリ
オキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩を含むことを特
徴とする1)〜3)のいずれかに記載の水性インク。
【化2】 R−O−(CHCHO)m−CHCOOM …(1) (式中、Rは、少なくとも一個所が分岐した炭素数6
〜18のアルキル基、mは3〜12の整数、Mは、アル
カリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、
又はアルカノールアミンを表す。) 5) 界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル酢酸ナトリウムを含むことを特徴とする4)に記載
の水性インク。 6) 着色剤が、平均粒径50nm〜200nmの範囲
の顔料であることを特徴とする1)〜5)のいずれかに
記載の水性インク。 7) 着色剤が、カルボキシル基が結合している分散剤
により水中に分散されている顔料であることを特徴とす
る1)〜6)のいずれかに記載の水性インク。 8) 着色剤が、表面にカルボキシル基が結合して改質
され水中に分散されている顔料であることを特徴とする
1)〜6)のいずれかに記載の水性インク。 9) 顔料がカーボンブラックであることを特徴とする
6)〜8)のいずれかに記載の水性インク。
【0015】10) 1)〜9)のいずれかに記載の水
性インクを微細な吐出口より液滴として吐出、飛翔させ
記録媒体に画像を形成することを特徴とする記録方法。 11) 色調の異なる1)〜9)のいずれかに記載の水
性インクを微細な吐出口より液滴として吐出、飛翔させ
記録媒体にカラー画像を形成することを特徴とする記録
方法。 12) 水性インクに熱エネルギーを付与して微細孔か
ら液滴として吐出させ記録媒体に記録を行う10)〜1
1)のいずれかに記載の記録方法。 13) 記録媒体がパルプ繊維を主成分とし、サイズ度
10s以上、透気度5〜50sである10)〜12)の
いずれかに記載の記録方法。 14) 記録ヘッドから吐出される1滴あたりの吐出量
が25pl以下であり、画素面積が3000μm以上
であることを特徴とする10)〜13)のいずれかに記
載の記録方法。
【0016】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明では2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを浸透
剤として添加する。これにより表面張力を50mJ/m
以下に低下させ、インクと紙表面との濡れ性を向上
し、紙への浸透速度を高めることが可能であるだけでな
く、従来知られるような界面活性剤を中心として浸透性
を高めた場合に比べ、画像劣化を極めて少なくすること
ができる。
【0017】また、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ
ールを用いると、着色剤の種類の如何に関わらず浸透速
度がほぼ同等となるという効果を奏するので、使用でき
る着色剤が限定されず、従来インクジェットに用いられ
てきたいずれの着色剤も使用することができる。
【0018】さらに、インクに熱エネルギーを付与して
微細孔から液滴としてインクを吐出させて記録を行うい
わゆるバブルやサーマル方式等の記録方法において、吐
出安定性を得るために2−プロパノールを添加する方法
が知られているが、その代わりに2−エチル−1,3−
ヘキサンジオールを添加することによって、熱素子への
濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性及び周
波数安定性が得られ、2−プロパノールの使用に伴う安
全性の問題も改善される。
【0019】2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの
添加量はインク全重量に対して0.5〜10重量%、よ
り好ましくは0.5〜5.0重量%である。0.5重量
%未満では浸透性の改善が不十分であり、10重量%よ
りも多いとインク中で安定に溶解せず、インクの保存安
定性、インクジェットでの噴射安定性に問題を生じる。
【0020】界面活性剤としては、例えば、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウ
ム塩等のアニオン性界面活性剤、第4級アンモニウム塩
等のカチオン系界面活性剤、イミダゾリン誘導体等の両
性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンア
ルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポ
リオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビ
タン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサ
イド付加物等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0021】界面活性剤の添加量はインク全重量に対し
て0.01〜5.0重量%であり、好ましくは0.5〜
3重量%である。0.01重量%未満では浸透性の改善
が不十分となり、5重量%よりも多いとインク中で安定
に溶解せず、インクの保存安定性、インクジェットでの
噴射安定性に問題を生じる。
【0022】特にアニオン性界面活性剤が好ましく、中
でも下記式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル酢酸塩が更に好ましい。これらを用いると画
像の埋まりが良くなり、画像濃度を高くする上で優れた
効果が得られる。
【0023】
【化3】 R−O−(CHCHO)m−CHCOOM …(1) (式中、Rは、少なくとも一個所が分岐した炭素数6
〜18のアルキル基、mは3〜12の整数、Mは、アル
カリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、
又はアルカノールアミンを表す。)
【0024】一般式(1)で表される化合物の代表的な
例を遊離酸型で次に示すが、これらは、単独で用いて
も、複数のものを混合して用いてもよい。市販の界面活
性剤でこれらの化合物を主成分として含有するものとし
ては、日光ケミカルズ(株)より入手可能なECTD3
NEX(一般式においてR:トリデシル基、m:3、
M:Na)、ECT3(R:トリデシル基、m:3、
M:H)、ECTD6NEX(R:トリデシル基、
m:6、M:Na)等がある。
【0025】
【化4】
【0026】前記式(1)で表される化合物は、アルカ
リ金属塩、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム
塩、又はアルカノールアミン塩とすることにより優れた
溶解安定性を示す。その中でもナトリウム塩、リチウム
塩、カリウム塩及び/又は下記一般式(2)で表される
第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、アルカ
ノールアミン塩とすると、より一層溶解安定性が増し、
更に好ましい。
【0027】
【化5】 〔式中、Yは、窒素又はリンを表し、R〜Rは各々
水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はハ
ロゲン化アルキル基(但し、それぞれのアルキル基の炭
素数は1〜4)を表す。〕
【0028】なお、リチウム塩は水酸化リチウムを添加
することにより、一般式(2)の第4級アンモニウム
塩、ホスホニウム塩、アルカノールアミン塩は、以下に
示す水酸化物を添加することにより作製できる。
【0029】
【化6】
【0030】また、前述の特許第2894568号に
は、色素と液媒体とを含む組成物であって、前記液媒体
中に60重量%以上の水及び0.2〜30重量%の炭素
数7〜10のアルキレングリコールを含有するインクジ
ェット用インクが提案されているが、炭素数7〜10の
アルキレングリコールであっても、水酸基の結合位置あ
るいは炭素数により、その化合物の水に対する親和性
や、それらを含有するインクの浸透性に大きな違いを生
じることは言うまでもない。本発明の2−エチル−1,
3−ヘキサンジオールは、特許第2894568号中の
例示化合物に含まれていないだけでなく、本発明者等に
より、多岐にわたる化合物の中から鋭意検討の末、見出
されたものであり、さらに、2−エチル−1,3−ヘキ
サンジオールと界面活性剤とを組み合わせた本発明は、
「炭素数7〜10のアルキレングリコール」であれば有
効だとする特許第2894568号と比べ、インクの浸
透性あるいは画像滲みの点で効果の差は歴然である。
【0031】特に、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ
ールとポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩とを
併用すると相乗効果を発揮し、それぞれを単独で含有し
たインクに比べ、少量の添加で高い浸透性を得ることが
できるため、従来の多価アルコールのエーテル類などを
多量に加えて浸透性を上げたインクに比べ、溶剤臭が少
ないなどの利点もある。
【0032】また、本出願人は、インクの表面張力、特
に表面が形成されて1秒以下の短い時間領域での動的表
面張力が紙への浸透性を示す指標であることを見出だし
た。動的表面張力は、溶媒分子や浸透剤分子が表面へ吸
着する過程での表面張力を測定したものであり、充分な
時間の後、前述の分子などが表面に吸着しきった状態で
測定される静的表面張力とは値が異なることが多い。
【0033】測定法としては特開昭63−31237号
公報等に記載の従来公知の方法でよく、1秒以下の動的
な表面張力を測定できる方法であればいずれも採用でき
るが、特に、最大泡圧法が好ましい。最大泡圧法とは、
液体中に垂直に毛管を入れ、空気を送り、発生した気泡
を放出させるのに必要な最大圧力の測定により動的表面
張力を求める方法である。
【0034】本発明者らは、種々のインク処方に対し
て、クルス社製 BP−2 バブルプレッシャー動的表
面張力計を用い、25℃にてSurface Age1
0ms〜1000ms域での動的表面張力を測定した結
果、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールとポリオキ
シエチレンアルキルエーテル酢酸塩とを含有したインク
において、Surface Age 50msでの動的
表面張力が、40mN/m以下、特に好ましくは、35
mN/m以下であると高い浸透性が得られるのみなら
ず、インクの保存安定性、インクジェットでの噴射安定
性にも優れていることを見出し本発明に至った。また、
従来の浸透性を高めた浸透タイプのインクでの課題であ
った画像濃度の低下、裏抜けも非常に少なく、同時に画
像エッジ部に見られる髭状の滲み現象(フェザリングと
称する)も低減した。
【0035】また、表面張力などのインク物性を調整す
る等の目的で、2−エチル−1,3ヘキサンジオール以
外にさらに別の浸透剤を添加することも可能である。そ
の具体例としては、エチレングリコールモノフェニルエ
ーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエ
チレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフ
ェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリ
ールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類等が
挙げられるが、インク中に溶解し、所望の物性に調整で
きるものであれば、これらに限らない。
【0036】さらに湿潤剤を配合することにより、イン
クの乾燥による目詰まりの防止、及び溶解安定性を向上
させることができ、インクジェットヘッドの吐出口でイ
ンク中の水分が蒸発した場合でも目詰まりを起しにくく
正常な印字を行うことができるし、仮に目詰まりを起し
ても簡単なクリーニング操作で正常な印字状態に回復で
きる。
【0037】湿潤剤としては、低揮発性水溶性有機溶媒
が好ましい。低揮発性水溶性有機溶媒は、本発明の2−
エチル−1,3−ヘキサンジオール及びポリオキシエチ
レンアルキルエーテル酢酸塩の溶解助剤として働くこと
で、より一層インクの保存安定性、噴射安定性を高める
ことができる。
【0038】低揮発性水溶性有機溶媒としては、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオ
ール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブ
タントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テト
ラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレン
グリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアル
キルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエー
テル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多
価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N
−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2
−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε
−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素
環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレン
カーボネート、炭酸エチレン等である。これらの溶媒
は、水とともに単独もしくは、複数混合して用いられ
る。
【0039】特に、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ
ール及びポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩と
の相溶性や、安全性、価格などの点からグリセリン、ジ
エチレングリコールを単独あるいは混合して使用するの
が好適である。
【0040】湿潤剤の添加量は、インク全重量に対して
5〜50重量%であり、好ましくは8〜30重量%であ
る。5重量%未満では、インク中の水分蒸発抑制効果が
不十分であり、またインク中の2−エチル−1,3−ヘ
キサンジオール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
酢酸塩の含有量によっては、溶解助剤としての効果も不
十分となり、インクの保存安定性、噴射安定性を損ねる
など不具合を生じる。逆に、50重量%より多く添加す
ると粘度の上昇によりインクジェットでの噴射安定性が
劣るといった問題がある。
【0041】2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、
界面活性剤及び潤滑剤を併用することにより、相乗効果
を発揮し、従来の浸透性を高めた浸透タイプのインクで
の課題であった画像濃度の低下、裏抜けを防止すること
ができるし、それぞれを単独で含有したインクに比べ少
量の添加で高い浸透性を得ることができるため、従来の
多価アルコールのエーテル類などを多量に加えて浸透性
を上げたインクに比べ、溶剤臭が少ないなどの利点もあ
る。
【0042】また、2−ピロリドン類をインクに添加す
ると、画像濃度の向上とともに裏抜けを防止する上で特
に優れた効果が得られる。これは、2−ピロリドン類を
含有することで紙表面に対してインクが濡れ拡がりやす
くなり、相対的に紙の厚み方向への浸透が抑えられるた
め、紙表面近傍に着色剤が留まり易くなるためであると
推測される。
【0043】2−ピロリドン類の添加量は、インク全重
量に対して好ましくは0.05〜8重量%、より好まし
くは0.5〜4重量%である。
【0044】本発明に用いられる着色剤としては、顔料
及び/又は染料のいずれでも良い。顔料は、特にその種
類を限定すること無く、種々の無機顔料、有機顔料を使
用することができる。
【0045】無機顔料としては、酸化チタン及び酸化
鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウ
ム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエ
ローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法
などの公知の方法によって製造されたカーボンブラック
を使用することができる。
【0046】有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレー
キ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料
などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔
料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔
料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔
料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフ
ラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料
型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、
ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0047】これらの顔料のうち、水と親和性の良いも
のが好ましく用いられる。顔料の添加量は、インク全重
量に対して0.5〜25重量%程度が好ましく、より好
ましくは2〜15重量%程度である。
【0048】本発明において好ましく用いられる顔料の
具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、
ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラ
ック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラッ
ク7)類、又は、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック
11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック
(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げ
られる。
【0049】カラー用としては、C.I.ピグメントイ
エロー1、3、12、13、14、17、24、34、
35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、
83、95、97、98、100、101、104、1
08、109、110、117、120、138、15
0、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、1
6、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッ
ド1、2、3、5、17、22、23、31、38、4
8:2、48:2〔パーマネントレッド2B(C
a)〕、48:3、48:4、49:1、52:2、5
3:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、6
0:1、63:1、63:2、64:1、81、83、
88、101(べんがら)、104、105、106、
108(カドミウムレッド)、112、114、122
(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、
166、168、170、172、177、178、1
79、185、190、193、209、219、C.
I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、
3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメ
ントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、1
5:1、15:2、15:3(フタロシアニンブル
ー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピ
グメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、
36等が挙げられる。
【0050】その他、顔料(例えばカーボン)の表面を
樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料
や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカル
ボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加
工顔料等が使用できる。また、顔料をマイクロカプセル
に包含させ、該顔料を水中に分散可能にしたものであっ
ても良い。
【0051】着色剤として顔料を用いると耐水性や耐光
性が良好になり、また、顔料はインク中に溶解せず分散
しているためにインクジェットで印字された際、記録媒
体中でインク中の水や湿潤剤より記録媒体の中に入りに
くく、記録媒体の表面近傍に溜まるため、乾燥性は速い
が、記録媒体の層をインクが抜け、裏面までしみ出して
まう裏抜け(以下単に裏抜けと記す)を防止することが
できる。
【0052】インク中の顔料の平均粒径は、好ましくは
50nm〜200nmの範囲である。平均粒径が50n
m以下であると裏抜けを防止する効果が少なく、200
nm以上ではインクの分散安定性が悪く、保存時に凝集
等で粒径が大きくなり吐出安定性が劣る。
【0053】ここでいう平均粒径とは、体積累積パーセ
ント50%の値を指す。体積累積パーセント50%の値
を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動を行
っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻ってく
る光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量か
ら粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光解
析)といわれる方法を用いることができる。
【0054】顔料は好ましくは分散剤で水性媒体中に分
散させて得られる顔料分散液としてインクに添加され
る。分散剤としては、顔料分散液を調整するのに用いら
れる従来公知のものでよく、例えば以下のものが挙げら
れる。
【0055】ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アク
リル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アク
リル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アル
キルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合
体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アク
リル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレ
ン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合
体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合
体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−
マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共
重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−
脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン
酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合
体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等である。
【0056】これらの共重合体の重量平均分子量は、好
ましくは3,000〜50,000であり、より好まし
くは5,000〜30,000、最も好ましくは7,0
00〜15,000である。
【0057】分散剤の添加量は、顔料を安定に分散さ
せ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣選択でき
る。即ち、顔料を1として、1:0.06〜1:3の範
囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3
の範囲である。
【0058】更に、上記インク中の分散剤はカルボキシ
ル基が結合していることが好ましい。分散剤にカルボキ
シル基が結合していると、分散安定性が向上するばかり
でなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後
の記録媒体の耐水性がより向上する。しかも、上記の裏
抜けを防止する効果も得られる。
【0059】特に、カルボキシル基が結合している分散
剤で分散した顔料と、2−エチル−1,3−ヘキサンジ
オールとを併用した場合においては、普通紙などの比較
的サイズ度の高い記録媒体に印字した場合においても十
分な乾燥速度が得られ、かつ、裏抜けが少ないという効
果が得られる。これは、カルボン酸の解離定数が他の酸
に比較して小さい為、顔料が記録媒体に付着した後、イ
ンクのpH価の低下や、記録媒体表面近傍に存在するカ
ルシウムなどの多価金属イオンとの相互作用などによ
り、分散剤自体の溶解度が低下し、分散剤自体や顔料が
凝集する為と推定される。
【0060】また別の形態としては、インク中の顔料が
表面改質されカルボキシル基が直接顔料に結合され水中
に分散されている形態も好ましい。この場合も顔料が表
面改質されカルボキシル基が結合しているために、分散
安定性が向上するばかりでなく、高品位な印字品質が得
られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上
する。またこの形態のインクは乾燥後の再分散性に優れ
るため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドの
ノズル付近のインク中の水分が蒸発した場合も目詰まり
を起こさず簡単なクリーニング操作で容易に良好な印字
が行えるようになる。
【0061】ブラックインク用の顔料としてはカーボン
ブラックが好ましい。カーボンブラックは色調に優れる
とともに、耐水性、耐光性、分散安定性に優れ、かつ安
価である。
【0062】着色剤として用いられる水溶性染料として
は、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染
料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染
料が挙げられる。これら染料は複数の種類を混合して用
いても良いし、或いは必要に応じて顔料等の他の色素と
混合して用いても良い。これら着色剤は本発明の効果が
疎外されない範囲で添加される。
【0063】これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料
及び食用染料として C.I.アシッド・イエロー 17,23,42,4
4,79,142 C.I.アシッド・レッド 1,8,13,14,1
8,26,27,35,37,42,52,82,8
7,89,92,97,106,111,114,11
5,134,186,249,254,289 C.I.アシッド・ブルー 9,29,45,92,2
49 C.I.アシッド・ブラック 1,2,7,24,2
6,94 C.I.フード・イエロー 2,3,4 C.I.フード・レッド 7,9,14 C.I.フード・ブラック 1,2
【0064】直接性染料として C.I.ダイレクト・イエロー 1,12,24,2
6,33,44,50,120,132,142,14
4,186 C.I.ダイレクト・レッド 1,4,9,13,1
7,20,28,31,39,80,81,83,8
9,225,227C.I.ダイレクト・オレンジ 2
6,29,62,102 C.I.ダイレクト・ブルー 1,2,6,15,2
2,25,71,76,79,86,87,90,9
8,163,165,199,202 C.I.ダイレクト・ブラック 19,22,32,3
8,51,56,71,74,75,77,154,1
68,171
【0065】塩基性染料として C.I.ベーシック・イエロー 1,2,11,13,
14,15,19,21,23,24,25,28,2
9,32,36,40,41,45,49,51,5
3,63,65,67,70,73,77,87,91 C.I.ベーシック・レッド 2,12,13,14,
15,18,22,23,24,27,29,35,3
6,38,39,46,49,51,52,54,5
9,68,69,70,73,78,82,102,1
04,109,112 C.I.ベーシック・ブルー 1,3,5,7,9,2
1,22,26,35,41,45,47,54,6
2,65,66,67,69,75,77,78,8
9,92,93,105,117,120,122,1
24,129,137,141,147,155 C.I.ベーシック・ブラック 2,8
【0066】反応性染料として C.I.リアクティブ・ブラック 3,4,7,11,
12,17 C.I.リアクティブ・イエロー 1,5,11,1
3,14,20,21,22,25,40,47,5
1,55,65,67 C.I.リアクティブ・レッド 1,14,17,2
5,26,32,37,44,46,55,60,6
6,74,79,96,97 C.I.リアクティブ・ブルー 1,2,7,14,1
5,23,32,35,38,41,63,80,95 等がある。
【0067】特に酸性染料及び直接性染料が好ましく、
インクの溶解安定性の向上や、色調、耐水性、耐光性に
おいて優れた効果が得られる。
【0068】着色剤としての染料の添加量は、インク全
重量に対して0.5〜25重量%程度が好ましく、より
好ましくは2〜15重量%程度である。
【0069】本発明のインクには上記着色剤、湿潤剤、
界面活性剤の他に従来公知の添加剤を加えることができ
る。
【0070】例えば、本発明の水性インクには樹脂エマ
ルジョンが添加されていても良い。本発明に用いること
のできる樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分
散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味す
る。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビ
ニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル
系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹
脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。この樹脂は親水
性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ま
しい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョン
を形成する限り特に限定されないが、150nm程度以
下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度であ
る。これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合に
よって界面活性剤とともに水に混合することによって得
ることができる。
【0071】市販の樹脂エマルジョンとしては、マイク
ロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アク
リル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、
ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大
日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本イン
キ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン
−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社
製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマ
ルジョン、サイデン化学株式会社製)、などが挙げられ
る。
【0072】樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質
を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定
着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの
種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦
性を向上させる効果も有する。
【0073】樹脂エマルジョンの添加量は、その樹脂成
分がインク全重量に対して0.1〜40重量%となるよ
うにするのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%
である。
【0074】インク組成物は糖を含有していても良い。
糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖
類および四糖類を含む)および多糖類が挙げられ、好ま
しくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボー
ス、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルト
ース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハ
ロース、マルトトリオースなどがあげられる。ここで、
多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリ
ン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意
味で用いることとする。前記の糖類の誘導体としては、
前記した糖類の還元糖{例えば、糖アルコール〔一般式
HOCH(CHOH)nCHOH(n=2〜5の整
数)〕}、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸な
ど)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アル
コールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソル
ビットなどが挙げられる。
【0075】これら糖類の含有量は、インク全重量に対
して0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量
%である。
【0076】その他アルギン酸ナトリウムを含有させて
も良い。アルギン酸ナトリウムは、褐藻類にのみ含まれ
る物質で、主に細胞膜或いは細胞間隙物質として存在す
る親水性高分子電解質である。化学的にはβ−1,4結
合するD−Mannuronic acid〔M〕と、
α−1,4結合するL−Guluronic acid
〔G〕の重合体である。増粘作用、安定化作用、分散作
用、ゲル化作用、フィルム形成作用等の効果がある。イ
ンクジェットインクに添加すると、pHによる粘度変
化、塩類による析出、多価陽イオンとのゲル化により、
異なる色間の滲み(カラーブリード)が改善できる。
【0077】防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウ
ム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1
−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタ
クロロフェノールナトリウム等が使用できる。
【0078】pH調整剤としては、調合されるインクに
悪影響を及ぼさずにpHを7以上に調整できるものであ
れば、任意の物質を使用することができる。その例とし
て、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のア
ミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニ
ウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウ
ム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0079】キレート試薬としては、例えば、エチレン
ジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウ
ム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウ
ム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル
二酢酸ナトリウム等がある。防錆剤としては、例えば、
酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール
酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、
四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモ
ニウムニトライト等がある。
【0080】この他、目的に応じて水溶性紫外線吸収
剤、水溶性赤外線吸収剤を添加することもできる。
【0081】本発明のインクは、水性インクを微細な吐
出口より液滴として吐出、飛翔させ記録媒体にカラー画
像を形成するインクジェット記録方法にとりわけ好適に
用いられるが、一般の筆記用具用としても使用できるこ
とは云うまでもない。
【0082】インクの粘度は8mPa・s以下であるこ
とが好ましい。8mPa・sより大きいとインクジェッ
トにて十分な吐出が行えず、画像不良の問題が発生す
る。
【0083】本発明のインクを用いて記録を行うのに好
適な方法としては、インクに、記録信号に対応した熱エ
ネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生さ
せ、記録媒体に画像を形成する方法が挙げられる。
【0084】記録媒体はパルプ繊維を主成分としサイズ
度10s以上、透気度5〜50sであることが好まし
い。このような記録媒体に対して本発明のインクにより
印字を行えば、記録媒体の両面にインクジェット記録方
法により印字を行っても、裏面の画像により表面の画像
の認識を妨げられるようなことはない。
【0085】ここでいうサイズ度とは紙のステキヒト・
サイズ度試験方法 JIS P8122−76によるも
のであり、透気度とは、紙及び板紙の透気度試験方法
JIS P8117−80によるものである。サイズ度
が10sより小さいとインクが裏面まで浸透してしまい
裏抜けが発生する場合があり、透気度が5sより小さい
場合もインクが裏面まで浸透してしまい裏抜けが発生す
る場合がある。また、透気度が50s以上の場合は印字
品質や乾燥性に問題はないが、必要以上に填量を添加し
ているため、コストが高くなってしまう。またこの記録
媒体を電子写真方式の複写機やプリンターに使用した場
合、感光体や定着ローラー等に填量が転写し画像品質の
低下や故障の原因になるため結局はインクジェット専用
の紙として使用せざるを得ず、消費者に使い分けの負担
を負わせることになる。上記特定のサイズ度及び透気度
の記録媒体を用いれば、電子写真用転写紙、印刷用紙、
タイプライター用紙、ワイヤードットプリンター用紙、
ワードプロセッサー用紙、レター用紙、レポート用紙等
種々のノンコートの普通紙と同様に扱うことができるの
で、利用者が他の普通紙と使い分ける手間が省ける。ま
た、生産上も基本的に現有の抄紙機で生産可能であり、
設備投資を最小限に押さえることができる。また上記他
の記録方式用の紙としても共通に使用することができ
る。
【0086】本発明に使用するパルプ繊維の材料として
はインクジェットプロセスに影響が無いものであればパ
ルプの種類、処理方法は問わず適宜選択できる。また非
木材パルプ(ケナフ、亜麻、竹、海草等)や古紙パルプ
を用いても良いし、これを主体としても良い。好ましく
はLBKPやNBKPに代表される化学パルプである。
これらパルプの抄紙は一般の普通紙同様公知のサイズ
剤、填料、その他抄紙助剤を必要に応じて用い、常法に
より抄紙される。
【0087】サイズ剤としてはロジンサイズ、AKD、
塩化ナトリウム、塩化カリウム、スチレン−マレイン酸
コポリマー、第4級アンモニウム塩、アルケニル無水コ
ハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、カチ
オン澱粉、アクリルアミド等が挙げられる。
【0088】填料としてはクレー、炭酸カルシウム、タ
ルク、二酸化チタン、合成シリカ等が挙げられる。さら
に紙力増強剤、歩留まり向上剤、定着剤、染料、その他
抄紙助剤を添加してもよい。
【0089】記録ヘッドから吐出される1滴あたりの吐
出量は25pl以下であり、画素面積が3000μm
以上であることが好ましい。吐出量を25pl以下とす
ることで記録媒体の裏面までインクがしみ込むことが無
く、層の途中まででインクを吸収することができ、裏抜
けが防止できるとともに、記録媒体表面近傍に着色剤が
残るため、画像濃度も高い。また画素面積が3000μ
以上とすることで、従来のインクに比べ記録媒体の
深さ方向ではなく横方向へインクが浸透され、記録媒体
表面近傍に着色剤が残るため、画像濃度が高い。またベ
タ画像を打った場合に各ドット間の埋まりが良く、良好
なベタ画像を得ることができる。
【0090】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、
実施例に記載の各成分の量(%)は重量基準である。
【0091】実施例1 下記インク処方にて混合攪拌した後、pHが9になるよ
うに水酸化リチウム10%水溶液で調整した。その後、
平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行
いインク組成物を得た。 カーボンブラック(平均粒径104nm) 5% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% グリセリン 10% ジエチレングリコール 6.5% エチレングリコール 3.5% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 0.05% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 5% イオン交換水 残量
【0092】実施例2 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化ナトリウム10%水溶液で調整
してインク組成物とした。 黒色顔料(カルボキシル基結合型カーボンブラック 平均粒径108nm) 5% グリセリン 5% ジエチレングリコール 15% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 0.3% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0093】実施例3 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 C.I.ダイレクトイエロー142 2.0% グリセリン 8% ジエチレングリコール 20% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 0.3% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 5% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0094】実施例4 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 黒色顔料(スルホン基結合型カーボンブラック 平均粒径103nm) 5% グリセリン 3% ジエチレングリコール 2% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 1% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 3% ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5% イオン交換水 残量
【0095】実施例5 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化ナトリウム10%水溶液で調整
してインク組成物とした。 カーボンブラック(平均粒径104nm) 4.5% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 2.7% ダイレクトブラック168 0.5% グリセリン 5% ジエチレングリコール 30% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 4% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% イオン交換水 残量
【0096】実施例6 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が8になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 カーボンブラック(平均粒径53nm) 5% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% エチレングリコール 5% ポリエチレングリコール(分子量200) 5% ポリオキシエチレン(7)2級アルキルエーテル;ノニオン界面活性剤 0.1% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 4% イオン交換水 残量
【0097】実施例7 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 カーボンブラック(平均粒径196nm) 5% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% グリセリン 5% フッ素化アルキルエステル;ノニオン界面活性剤 0.3% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3% イオン交換水 残量
【0098】実施例8 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が8になるように水酸化ナトリウム10%水溶液で調整
してインク組成物とした。 C.I.ダイレクトブラック168 4% グリセリン 5% N−メチル−2−ピロリドン 5% エチレンオキシド付加ポリプロピレングリコール:ポリプロピレング リコール分子量950;ノニオン界面活性剤 2% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1% イオン交換水 残量
【0099】実施例9 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が8になるように水酸化ナトリウム10%水溶液で調整
してインク組成物とした。 C.I.ダイレクトレッド227 3% ジエチレングリコール 30% イオネットD−2(アニオン界面活性剤;三洋化成工業社製) 3.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 0.5% イオン交換水 残量
【0100】実施例10 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 Projet Fast Cyan2(ゼネカ社製) 3% エチレングリコール 20% ジエチレングリコール 20% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 3% イオネットD−2(アニオン界面活性剤;三洋化成工業社製) 2% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% 2−ピロリドン 0.5% イオン交換水 残量
【0101】比較例1 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 カーボンブラック(平均粒径104nm) 5% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 1% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% イオン交換水 残量
【0102】比較例2 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化ナトリウム10%水溶液で調整
してインク組成物とした。 黒色顔料(カルボキシル基結合型カーボンブラック 平均粒径108nm) 5% グリセリン 10% ジエチレングリコール 10% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 0.3% ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1% イオン交換水 残量
【0103】比較例3 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 C.I.ダイレクトイエロー142 2.0% グリセリン 10% ジエチレングリコール 10% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 0.5% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0104】比較例4 下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pH
が9になるように水酸化リチウム10%水溶液で調整し
てインク組成物とした。 黒色顔料(スルホン基結合型カーボンブラック 平均粒径103nm) 5% グリセリン 10% ジエチレングリコール 10% ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム 7% イオン交換水 残量
【0105】次に、上記実施例及び比較例について下記
の試験を行った。その結果を表1に記す。 (1)画像の鮮明性 記録媒体としてNBSリコー社製;マイペーパー(サイ
ズ度12s、透気度16s)を用い720dpiのノズ
ルを有し、記録ヘッドから1滴あたりの吐出量23pl
で吐出するピエゾ方式のインクジェットプリンターで印
字を行い、乾燥後、2色重ね部境界の滲み、画像滲み、
色調、濃度を目視及び反射型カラー分光測色濃度計(X
−Rite社製)により総合的に判断した。非常に鮮明
な場合には◎、鮮明な場合には○、やや不鮮明な場合に
は△、不鮮明な場合には×とした。
【0106】(2)画像の乾燥性 記録媒体にベタ画像印字後の画像に0.1kg/cm
の圧力で濾紙を押しつけインクが濾紙に転写しなくなる
までの時間を測定した。いずれの紙でも3秒以内で乾燥
した場合に○、それ以外は×と判定した。
【0107】(3)裏抜け 記録媒体に反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite
社製)で測定した各インク色での濃度が1.0となる様
にベタ画像を形成した。この画像を裏面から目視観察
し、ベタ画像と白地部分の境界が明らかで両面印字に使
用すると支障がある場合は×、ベタ画像と白地部分の境
界がほとんど判別できず両面印字に使用しても支障の無
いレベルの場合は○、ベタ画像と白地部分の境界が全く
判別できず両面印字に使用しても支障の無い場合は◎と
して判定した。
【0108】(4)擦過性 記録媒体に各インクで形成された画像を、印字30秒後
に指、布、消しゴム、マーキングペンで擦過し、擦過後
の様子を目視にて観察し擦過による画像の変化が発生し
た場合は×とし、発生がなければ○とした。 (5)画素面積(μm) 各ドットが離れて印字されるよう面積率5%の網点画像
を形成し、ドットアナライザーにて測定した。
【0109】(6)画像の埋まり 乾燥後、ベタ画像を目視で観察し、インクで均一に記録
媒体が着色している場合は○、地肌が見えるような不均
一な着色の場合は×とした。 (7)保存性 インクをインクジェットプリンターにセットしたまま、
60℃で7日間放置し、その後従来公知のインクジェッ
トプリンターのクリーニング操作で復帰可能ならば○、
不可能ならば×とした。
【0110】実施例11〜20 実施例2のインク組成物を用い、記録媒体を下記に変更
した以外は実施例2の場合と同様に評価した。尚、保存
性は実施例2と同じ。 実施例11 ゼロックス社製;ゼロックスペーパーR (サイズ度8s、透気度20s) 実施例12 AUSTRALIAN PAPER社製(オーストラリア);REFLEX (サイズ度25s、透気度4s) 実施例13 NBSリコー社製;NBS複写印刷用紙90K (サイズ度60s、 透気度68s) 実施例14 キャノン社製;PB用紙 (サイズ度21s、透気度8s) 実施例15 NBSリコー社製;NBS複写印刷用紙45K (サイズ度11s、 透気度45s) 実施例16 本州製紙社製;やまゆり (サイズ度12s、透気度21s) 実施例17 リコー社製;紙源PPC用紙タイプS (サイズ度22s、透気度13s) 実施例18 ゼロックス社製;P紙 (サイズ度24s、透気度19s) 実施例19 ゼロックス社製;マルチエース (サイズ度25s、透気度17s) 実施例20 ゼロックス社製;Xerox 4024紙(サイズ度32s、透気度21s)
【0111】実施例21 実施例2のインク組成物を用い、インクジェットプリン
ターを、720dpiのノズルを有し記録ヘッドから1
滴あたりの吐出量20plで吐出するサーマル方式のイ
ンクジェットプリンターに変更した以外は実施例2と同
様に評価した。
【0112】実施例22 実施例21のインクジェットプリンターを、記録ヘッド
から1滴あたりの吐出量30plで吐出するサーマル方
式のインクジェットプリンターに変更した以外は実施例
21と同様に評価した。
【0113】
【表1】
【0114】実施例23 下記インク処方にて混合攪拌した後、pHが8になるよ
うに水酸化リチウム10%水溶液で調整した。その後、
平均孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過を行
いインク組成物を得た。なお、前記pH調整操作によ
り、化合物(1−1)はリチウム塩を形成することにな
るが、このpH調整操作による塩形成は、他の式(1)
で表される化合物を含有する組成物を種々のアルカリ性
物質を用いてpH調整した実施例の場合も同様である。 インク組成物1 C.I.ダイレクトブラック168 4% グリセリン 5% エチレングリコール 5% 化合物(1−1) 0.3% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1% イオン交換水 残量
【0115】実施例24 下記組成物を用い、pHが7.5になるように水酸化ナ
トリウムで調整した以外は実施例23と同様にして、イ
ンク組成物を得た。 インク組成物2 C.I.ダイレクトイエロー142 3.0% ポリエチレングリコール(分子量200) 8% 化合物(1−2) 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% イオン交換水 残量
【0116】実施例25 下記成分への変更以外は、実施例23と同様にして、イ
ンク組成物を得た。 インク組成物3 C.I.ダイレクトレッド227 3% ポリエチレングリコール(分子量200) 8% 化合物(1−3) 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% イオン交換水 残量
【0117】実施例26 下記組成物を用い、pHが9になるように調整した点を
除き、実施例23と同様にしてインク組成物を得た。 インク組成物4 C.I.ダイレクトブルー199 3% ポリエチレングリコール(分子量200) 8% 化合物(1−4) 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% イオン交換水 残 量
【0118】実施例27 先ずカーボンブラックを下記の分散液処方にてビーズミ
ルを用いて分散した。得られた水性分散液を下記インク
処方にて混合攪拌した後、pHが8になるように水酸化
リチウム10%水溶液で調整した。その後、平均孔径
0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク
組成物を得た。 顔料分散液1 カーボンブラック(平均粒径104nm) 15% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% イオン交換水 残量 インク組成物5 顔料分散液 1 33.3% ジエチレングリコール 6.5% グリセリン 3.5% 化合物(1−5) 0.3% 化合物(1−6) 0.1% 化合物(2−1)の25%水溶液 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0119】実施例28 下記成分への変更以外は、実施例27と同様にして、顔
料分散液2を作製し、それを用いてインク組成物6を得
た。 顔料分散液2 カーボンブラック(平均粒径104nm) 15% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% イオン交換水 残量 インク組成物6 顔料分散液2 33.3% ジエチレングリコール 6.5% グリセリン 3.5% 化合物(1−7) 0.3% 化合物(2−2)の25%水溶液 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% 2−ピロリドン 2% フッ素化アルキルエステル;ノニオン界面活性剤 0.3% イオン交換水 残量
【0120】実施例29 下記成分への変更以外は実施例27と同様にして、顔料
分散液3を作製し、それを用いてインク組成物7を得
た。 顔料分散液3 カーボンブラック(平均粒径99nm) 15% ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物 3% イオン交換水 残量 インク組成物7 顔料分散液3 33.3% グリセリン 5% ジエチレングリコール 10% 化合物(1−8) 0.05% 化合物(2−3)の25%水溶液 0.1% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 5% フッ素化アルキルエステル;ノニオン界面活性剤 0.3% イオン交換水 残量
【0121】実施例30 下記成分への変更以外は、実施例27と同様にして、顔
料分散液4を作製し、それを用いてインク組成物8を得
た。 顔料分散液4 C.I.ピグメントイエロー13(平均粒径117nm) 15% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% イオン交換水 残量 インク組成物8 顔料分散液4 33.3% グリセリン 5% ジエチレングリコール 10% 化合物(1−9) 0.3% 化合物(2−4)の25%水溶液 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0122】実施例31 下記成分への変更以外は、実施例27と同様にして、顔
料分散液5を作製し、それを用いてインク組成物9を得
た。 顔料分散液5 C.I.ピグメントイエロー74(平均粒径96nm) 15% ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物 3% イオン交換水 残量 インク組成物9 顔料分散液5 33.3% グリセリン 5% ジエチレングリコール 10% 化合物(1−10) 0.05% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 5% エチレンオキシド(重量比40%)付加ポリプロピレングリコール (ノニオン界面活性剤:分子量3000) 2% イオン交換水 残量
【0123】実施例32 下記成分への変更以外は、実施例27と同様にして、顔
料分散液6を作製し、それを用いてインク組成物10を
得た。 顔料分散液6 C.I.ピグメントレッド122(平均粒径120nm) 15% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% イオン交換水 残量 インク組成物10 顔料分散液6 33.3% グリセリン 5% エチレングリコール 10% 化合物(1−11) 0.3% 化合物(2−5)の25%水溶液 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0124】実施例33 下記成分への変更以外は実施例27と同様にして、顔料
分散液7を作製し、それを用いてインク組成物11を得
た。 顔料分散液7 C.I.ピグメントレッド57:1(平均粒径115nm) 15% ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物 3% イオン交換水 残量 インク組成物11 顔料分散液7 33.3% グリセリン 5% エチレングリコール 10% 化合物(1−12) 0.05% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 4% ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤) 2% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0125】実施例34 下記成分への変更以外は実施例27と同様にして、顔料
分散液8を作製し、それを用いてインク組成物12を得
た。 顔料分散液8 C.I.ピグメントブルー15:3(平均粒径123nm) 15% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% イオン交換水 残量 インク組成物12 顔料分散液8 33.3% グリセリン 3% 1,5−ペンタンジオール 15% 化合物(1−13) 0.3% 化合物(2−6)の25%水溶液 0.5% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% 2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0126】実施例35 下記成分への変更以外は、実施例27と同様にして、顔
料分散液9を作製し、それを用いてインク組成物13を
得た。 顔料分散液9 C.I.ピグメントブルー56(平均粒径138nm) 15% ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物 3% イオン交換水 残量 インク組成物13 顔料分散液9 33.3% グリセリン 3% 1,5−ペンタンジオール 15% 化合物(1−14) 0.05% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 4% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2% イオン交換水 残量
【0127】実施例36 下記成分への変更以外は、実施例23と同様にして、イ
ンク組成物14を得た。 インク組成物14 カルボキシル基結合型カーボンブラック分散液 33.3% (固形分16.4% 平均粒径128nm) エチレングリコール 15% 化合物(1−1) 0.8% 化合物(1−6) 0.2% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% N−メチル−2−ピロリドン 2% イオン交換水 残量
【0128】実施例37 下記成分への変更以外は実施例23と同様にして、イン
ク組成物15を得た。 インク組成物15 カルボキシル基結合型カーボンブラック分散液 33.3% (固形分16.4% 平均粒径128nm) エチレングリコール 15% 化合物(1−2) 1% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% N−メチル−2−ピロリドン 2% エチレンオキシド(重量比40%)付加ポリプロピレングリコール (ノニオン界面活性剤:分子量3000) 2% イオン交換水 残量
【0129】実施例38 下記成分への変更以外は、実施例23と同様にして、イ
ンク組成物16を得た。 インク組成物16 スルホン酸基結合型カーボンブラック分散液 33% (固形分18% 平均粒径132nm) 1,5−ペンタンジオール 5% N−メチル−2−ピロリドン 2% 化合物(1−3) 1% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1% イオン交換水 残量
【0130】実施例39 下記成分への変更以外は、実施例23と同様にして、イ
ンク組成物17を得た。 インク組成物17 スルホン酸基結合型カーボンブラック分散液 33% (固形分18% 平均粒径132nm) 1,5−ペンタンジオール 5% N−メチル−2−ピロリドン 2% 化合物(1−4) 1% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1% ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤) 2% イオン交換水 残量
【0131】実施例40 下記成分への変更以外は、実施例27と同様にして、顔
料分散液10を作製し、それを用いてインク組成物18
を得た。 顔料分散液10 カーボンブラック(平均粒径53nm) 15% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% イオン交換水 残量 インク組成物18 顔料分散液10 33.3% ポリエチレングリコール(分子量200) 5% ジエチレングリコール 30% 化合物(1−5) 0.01% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 10% イオン交換水 残量
【0132】実施例41 下記成分への変更以外は実施例27と同様にして、顔料
分散液11を作製し、それを用いてインク組成物19を
得た。 顔料分散液11 カーボンブラック(平均粒径196nm) 15% スチレン−アクリレート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩共重合体 3% イオン交換水 残量 インク組成物19 顔料分散液11 33.3% ポリエチレングリコール(分子量200) 5% ジエチレングリコール 6.5% 化合物(1−6) 10% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 0.5% イオン交換水 残量
【0133】比較例5 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のイオン交換水を用いる以外は、実施例27と同様に
して、インク組成物20を作製した。
【0134】比較例6 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のイオン交換水を用いる以外は、実施例28と同様に
して、インク組成物21を作製した。
【0135】比較例7 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のイオン交換水を用いる以外は、実施例30と同様に
して、インク組成物22を作製した。
【0136】比較例8 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のイオン交換水を用いる以外は、実施例32と同様に
して、インク組成物23を作製した。
【0137】比較例9 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のイオン交換水を用いる以外は、実施例34と同様に
して、インク組成物24を作製した。
【0138】比較例10 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、化
合物(1−5)を2%となるように更に添加し、残りを
イオン交換水とした以外は、実施例27と同様にして、
インク組成物25を作製した。
【0139】比較例11 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる
以外は、実施例27と同様にして、インク組成物26を
作製した。
【0140】比較例12 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる
以外は、実施例28と同様にして、インク組成物27を
作製した。
【0141】比較例13 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、1
0%のジエチレングリコールモノブチルエーテルを用い
る以外は、実施例27と同様にして、インク組成物28
を作製した。
【0142】比較例14 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる
以外は、実施例30と同様にして、インク組成物29を
作製した。
【0143】比較例15 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる
以外は、実施例32と同様にして、インク組成物30を
作製した。
【0144】比較例16 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量のジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる
以外は、実施例34と同様にして、インク組成物31を
作製した。
【0145】比較例17 化合物(1−1)、化合物(1−6)及び2−エチル−
1,3−ヘキサンジオールの代わりに、3%のサーフィ
ノール465(信越化学製:アセチレングリコール系界
面活性剤)を用いる以外は、実施例36と同様にして、
インク組成物32を作製した。
【0146】比較例18 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオー
ルを用いる以外は、実施例27と同様にして、インク組
成物33を作製した。
【0147】比較例19 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオールを用い
る以外は、実施例30と同様にして、インク組成物34
を作製した。
【0148】比較例20 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオールを用
いる以外は、実施例32と同様にして、インク組成物3
5を作製した。
【0149】比較例21 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを用
いる以外は、実施例34と同様にして、インク組成物3
6を作製した。
【0150】比較例22 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールを用
いる以外は、実施例27と同様にして、インク組成物3
7を作製した。
【0151】比較例23 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと化合物(1−
5)、化合物(1−6)、化合物(2−1)の25%水
溶液の代わりに、それらの総量と同量の1,7−ヘプタ
ンジオールを用いる以外は、実施例27と同様にして、
インク組成物38を作製した。
【0152】比較例24 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと化合物(1−
5)、化合物(1−6)、化合物(2−1)の25%水
溶液の代わりに、それらの総量と同量の2,6−ヘプタ
ンジオールを用いる以外は、実施例27と同様にして、
インク組成物39を作製した。
【0153】比較例25 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオールを用
いる以外は、実施例27と同様にして、インク組成物4
0を作製した。
【0154】比較例26 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと化合物(1−
5)、化合物(1−6)、化合物(2−1)の25%水
溶液の代わりに、それらの総量と同量の3−エチル−
1,3−ペンタンジオールを用いる以外は、実施例27
と同様にして、インク組成物41を作製した。
【0155】比較例27 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の1,6−ヘプタンジオールを用いる以外は、実施例
27と同様にして、インク組成物42を作製した。
【0156】比較例28 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の1,8−オクタンジオールを用いる以外は、実施例
27と同様にして、インク組成物43を作製した。
【0157】比較例29 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の3,4−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールを用
いる以外は、実施例27と同様にして、インク組成物4
4を作製した。
【0158】比較例30 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の2,7−オクタンジオールを用いる以外は、実施例
27と同様にして、インク組成物45を作製した。
【0159】比較例31 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の1,9−ノナンジオールを用いる以外は、実施例2
7と同様にして、インク組成物46を作製した。
【0160】比較例32 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の3,5−ジメチル−2,6−ヘプタンジオールを用
いる以外は、実施例27と同様にして、インク組成物4
7を作製した。
【0161】比較例33 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールと化合物(1−
5)、化合物(1−6)、化合物(2−1)の25%水
溶液の代わりに、それらの総量と同量の1,10−デカ
ンジオールを用いる以外は、実施例27と同様にして、
インク組成物48を作製した。
【0162】比較例34 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の3,8−デカンジオールを用いる以外は、実施例2
7と同様にして、インク組成物49を作製した。
【0163】比較例35 2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの代わりに、同
量の2,4,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオー
ルを用いる以外は、実施例27と同様にして、インク組
成物50を作製した。
【0164】比較例36 化合物(1−4)の代わりに、下記化合物(3)を6%
用いる以外は、実施例26と同様にして、インク組成物
51を作製した。
【化7】
【0165】比較例37 下記インク処方にて混合攪拌した後、pHが8になるよ
うに水酸化リチウム10%水溶液で調整した。その後、
平均孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過を行
いインク組成物を得た。 インク組成物52 C.I.アシッドブルー234 2% ポリエチレングリコール(分子量200) 10% 下記化合物(4) 6%
【化8】 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1% イオン交換水 残量
【0166】次に、上記実施例及び比較例に記載のイン
クついて下記の試験を行った。その結果を表2〜4に記
す。 (1)画像の鮮明性 表1の場合と同じ。
【0167】(2)画像の乾燥性 記録媒体にベタ画像を印字した後、この画像に0.1k
g/cmの圧力で濾紙を押しつけインクが濾紙に転写
しなくなるまでの時間を測定した。いずれの紙でも3秒
以内で乾燥した場合に○、3から20秒を△、20秒以
上を×と判定した。
【0168】(3)裏抜け 記録媒体に反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite
社製)で測定した各インク色での濃度が1.0となる様
にベタ画像を形成した。この画像を裏面から目視観察
し、ベタ画像の着色剤が裏面まで抜けており、両面印字
に使用できないレベルの場合は×、ベタ画像の着色剤が
裏面までは抜けてはいないが、ベタ画像と白地部分の境
界が比較的明らかで、両面印字になんとか使用できる場
合は△、ベタ画像と白地部分の境界がほとんど判別でき
ず両面印字に使用しても支障の無いレベルの場合は○、
ベタ画像と白地部分の境界が全く判別できず両面印字に
使用しても支障の無い場合は◎として判定した。
【0169】(4)擦過性 表1の場合と同じ。 (5)画素面積(μm) 表1の場合と同じ。
【0170】(6)画像の埋まり 乾燥後ベタ画像を観察し、拡大して観察しても記録媒体
がインクで均一に着色されている場合は◎、目視で観察
する限り記録媒体がインクで均一に着色されている場合
は○、目視で地肌が見えるような不均一な着色の場合は
×とした。
【0171】(7)保存性 インクをインクジェットプリンターにセットしたまま、
60℃で7日間放置し、その後従来公知のインクジェッ
トプリンターのクリーニング操作1回で復帰可能ならば
○、2から5回で復帰可能ならば△、5回でも復帰しな
ければ×とした。
【0172】実施例42〜実施例51 実施例27、実施例30、実施例32、実施例34に記
載の各インク組成物を用い、下記の記録媒体に対して各
実施例と同様にして印字評価した。 実施例42:ゼロックス社製;ゼロックスペーパーR
(サイズ度8s,透気度20s) 実施例43:AUSTRALIAN PAPER社製
(オーストラリア);REFLEX
(サイズ度25s,透気度4s) 実施例44:NBSリコー社製;NBS複写印刷用紙9
0K(サイズ度60s,透気度68s) 実施例45:キャノン社製;PB用紙 (サイズ度
21s,透気度8s) 実施例46:NBSリコー社製;NBS複写印刷用紙4
5K(サイズ度11s,透気度45s) 実施例47:本州製紙社製;やまゆり (サイズ度
12s,透気度21s) 実施例48:リコー社製;紙源PPC用紙タイプS(サ
イズ度22s,透気度13s) 実施例49:ゼロックス社製;P紙 (サイズ度
24s,透気度19s) 実施例50:ゼロックス社製;マルチエース(サイズ度
25s,透気度17s) 実施例51:ゼロックス社製;Xerox 4024紙
(サイズ度32s,透気度21s)
【0173】実施例52 インクジェットプリンターを、720dpiのノズルを
有し記録ヘッドから1滴あたりの吐出量20plで吐出
するサーマル方式のインクジェットプリンターに変更
し、実施例27に記載のインクを用いて、NBSリコー
社製;マイペーパー(サイズ度12s,透気度16s)
に印字を行い、表の1)〜7)の評価を実施した。
【0174】実施例53 インクジェットプリンターを、記録ヘッドから1滴あた
りの吐出量30plで吐出するサーマル方式のインクジ
ェットプリンターに変更した以外は実施例52と同様に
して、表の1)〜7)の評価を行った。
【0175】
【表2】
【表3】
【表4】
【0176】
【発明の効果】本発明によれば、インクと紙表面との濡
れ性が向上し、紙への浸透速度が高く、従来の界面活性
剤を用いた場合に比べて画像劣化が極めて少なく、着色
剤の種類の如何によらず浸透速度がほぼ同等のインクを
得ることができる。また、ジエチレングリコール及び/
又はグリセリンを添加することにより、インクの乾燥に
よる目詰まりすなわち水分蒸発による噴射特性不良の防
止、及びインクの溶解安定性を向上する上で優れた効果
が得られる。
【0177】また、2−ピロリドン類を添加することに
より、インクの紙への浸透性を損なうことなく、紙に浸
透した後の必要以上の紙層内へのインクの浸透を抑え、
紙表面近傍に着色剤を留められるので、更なる画像濃度
の向上と裏抜け防止を図ることができ、かつ、より一層
紙表面への濡れ性を向上させ、紙面を均一に着色するこ
とができる水性インクが得られる。
【0178】また、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ
ールと特定構造のポリオキシエチレンアルキルエーテル
酢酸塩とを特定量添加することにより、紙表面に対する
濡れ性が改良され、インクジェットインクとしての諸特
性を満足し、浸透性、乾燥性に優れ、画像の埋まりが良
くなり、画像濃度が高く、かつ画質劣化の改良された水
性インク組成物が得られる。しかも、種々ある所謂普通
紙に対しても一様に良好な濡れ性を示し、紙の種類によ
らず高い浸透性かつ画質の優れた水性インクが得られ
る。
【0179】また、着色剤として特定粒径の顔料を用い
ることにより、乾燥性、裏抜け防止、画像にじみ防止、
インクの分散安定性、吐出安定性等の優れた水性インク
が得られる。さらに、顔料の分散剤としてカルボキシル
基が結合された分散剤、あるいは顔料表面の改質により
カルボキシル基を表面に結合した顔料を用いることによ
り、一層裏抜けが抑制され、画像濃度の向上した水性イ
ンクが得られる。
【0180】また、本発明によれば、種々ある所謂普通
紙に対しても一様に良好な濡れ性を示し、紙の種類によ
らず高い浸透性及び画質の優れたカラー画像を形成でき
る記録方法を提供することができる。また、長期間印字
を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインク
の水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリ
ーニング動作で容易に良好な印字が行える記録方法を提
供することができる。
【0181】また、本発明のインクに好適な画像記録方
法として、インクに対して、記録信号に対応した熱エネ
ルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させ、
記録媒体に画像を形成する記録方法を提供することがで
きる。また、本発明のインクと、パルプ繊維を主成分と
し、サイズ度10s以上、透気度5〜50sである記録
媒体とを組み合わせることにより、浸透性に優れる上に
画像濃度が高く、裏抜けの少ない、非常に良好な画像を
形成できる記録方法を提供することができる。
【0182】また、記録ヘッドから吐出される1滴あた
りの吐出量と画素面積とを所定の値とすることにより、
層の途中まででインクを吸収することができ、裏抜けが
防止できるため両面印字に適し、記録媒体表面近傍に着
色剤が残るため、画像濃度も高い印字を行うことがで
き、かつ、ベタ画像を打った場合に各ドット間の埋まり
が良く、良好なベタ画像を得ることが可能な記録方法を
提供することができる。
【0183】以上により、本発明によれば、高品位のカ
ラー画像を普通紙に安定して記録することができ、また
インクの浸透性が極めて高いため、高速での記録が可能
で、さらに裏抜けしにくいため、記録媒体への両面印字
を可能にし、インクジェット式カラープリンターの更な
る普及を促す効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 哲也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 有田 均 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 村上 格二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 後藤 明彦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C056 EA05 FC01 2H086 BA53 BA55 BA59 BA60 BA62 4J039 BA04 BA13 BA29 BA37 BC09 BC12 BC19 BC33 BC39 BC56 BC60 BE01 BE22 BE33 CA03 CA06 EA10 EA42 GA24

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に溶解又は分散する着色剤、水、イン
    ク全重量に対して5〜50重量%の湿潤剤、インク全重
    量に対して0.01〜5.0重量%の界面活性剤、及び
    インク全重量に対して0.5〜10重量%の2−エチル
    −1,3−ヘキサンジオールを含む浸透剤を含有するこ
    とを特徴とする水性インク。
  2. 【請求項2】 湿潤剤が、少なくともジエチレングリコ
    ール及び/又はグリセリンを含むことを特徴とする請求
    項1記載の水性インク。
  3. 【請求項3】 2−ピロリドン類を含有することを特徴
    とする請求項1〜2のいずれかに記載の水性インク。
  4. 【請求項4】 界面活性剤が、下記一般式(1)で示さ
    れるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩を含む
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性
    インク。 【化1】 R−O−(CHCHO)m−CHCOOM …(1) (式中、Rは、少なくとも一個所が分岐した炭素数6
    〜18のアルキル基、mは3〜12の整数、Mは、アル
    カリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、
    又はアルカノールアミンを表す。)
  5. 【請求項5】 界面活性剤が、ポリオキシエチレンアル
    キルエーテル酢酸ナトリウムを含むことを特徴とする請
    求項4に記載の水性インク。
  6. 【請求項6】 着色剤が、平均粒径50nm〜200n
    mの範囲の顔料であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の水性インク。
  7. 【請求項7】 着色剤が、カルボキシル基が結合してい
    る分散剤により水中に分散されている顔料であることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水性イン
    ク。
  8. 【請求項8】 着色剤が、表面にカルボキシル基が結合
    して改質され水中に分散されている顔料であることを特
    徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水性インク。
  9. 【請求項9】 顔料がカーボンブラックであることを特
    徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の水性インク。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の水性
    インクを微細な吐出口より液滴として吐出、飛翔させ記
    録媒体に画像を形成することを特徴とする記録方法。
  11. 【請求項11】 色調の異なる請求項1〜9のいずれか
    に記載の水性インクを微細な吐出口より液滴として吐
    出、飛翔させ記録媒体にカラー画像を形成することを特
    徴とする記録方法。
  12. 【請求項12】 水性インクに熱エネルギーを付与して
    微細孔から液滴として吐出させ記録媒体に記録を行う請
    求項10〜11のいずれかに記載の記録方法。
  13. 【請求項13】 記録媒体がパルプ繊維を主成分とし、
    サイズ度10s以上、透気度5〜50sである請求項1
    0〜12のいずれかに記載の記録方法。
  14. 【請求項14】 記録ヘッドから吐出される1滴あたり
    の吐出量が25pl以下であり、画素面積が3000μ
    以上であることを特徴とする請求項10〜13のい
    ずれかに記載の記録方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004535508A (ja) * 2001-07-19 2004-11-25 クラリアント・ゲーエムベーハー 水およびアクリレートに基づく顔料分散体
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