JP4023870B2 - 水性インクおよびそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用に適した水性インクに関するもので、特に優れた吐出信頼性と被記録材上で鮮明な画像を形成することが可能であり、さらに水性筆記用具、記録計、ペンプロッター用などにも応用可能な水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンターは低騒音、低ランニングコストといった利点から急速に普及し、今や普通紙に印字可能なカラープリンタも市場に投入されている。しかしながら、画像濃度、画像の色再現性、耐水性、耐光性、画像の浸透乾燥性、画像滲み、画像裏抜けと吐出信頼性等全ての特性を満足することは難しい。
【0003】
特に、普通紙上での単色文字にじみ、画像色境界部での混色による色境界にじみを抑え、鮮明な画像品質にするためにはインクの濡れ性や浸透性を制御する必要があり、同時に吐出信頼性も確保しなければならないため、これまでにも様々な提案がなされてきた。
【0004】
特開平6−136306号公報には、アルカリ可溶性樹脂を含む表面拡散タイプのインクが提案されているが、色境界にじみに対しては依然として改善されず、また十分な吐出信頼性が固定ヘッドでは得られないという問題があった。
【0005】
特開平6−143617号公報には、ブラックインクとカラーインクの表面張力とインク滴重量を規定したインクジェット記録方法が提案されているが、ブラックインクの浸透乾燥性が不十分であり、またカラーインク間の境界混色にじみは改善されないという問題があった。
【0006】
特開平6−228475号公報には、本出願人により紙に対する浸透量等を規定したインクが、色境界にじみ、フェザリングを生じなくなることが開示されているが、昨今のインクジェット記録法の改善に伴い、さらなる画像品質の向上が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特にインクジェット記録用インクとして用いたとき、優れた吐出信頼性と被記録材上で鮮明な画像を形成する水性インクを提供すること、さらに高速印写によっても良好な画像品質を確保できるインクジェット記録用インクおよび記録方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、水に分散または溶解可能な着色剤およびインクの乾燥を抑制しうる水溶性有機溶剤を主成分とする水性インクにおいて、ジエチレングリコールを15重量%およびグリセリンを5重量%添加することにより、水性インク中に添加された水溶性有機溶剤の水溶液単独の25℃にて測定される表面張力を45mN/mより大きく、65mN/mよりも小さい値とし、かつ、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が、該インクの最大気泡圧力法による25℃にて測定される気泡周波数5Hzにおける表面張力が32〜35mN/mとなる添加量で添加されていることを特徴とする水性インクが提供される。
【化3】
式中、R1は炭素数6〜14の分岐しても良いアルキル基、mは3〜12の自然数、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。第二に、記録信号に応じてインクを噴射し画像を得るインクジェット記録方法において、上記第一に記載した水性インクを用いて、インクジェット記録周波数を8kHz以上で記録することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。第三に、記録信号に応じてインクを噴射し画像を得るインクジェット記録方法において、上記第一に記載した水性インクを用いて、被記録材に対するインク付着量を5〜18g/m2の範囲で記録することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
上述のように本発明の特徴は、水に分散または溶解可能な着色剤およびインクの乾燥を抑制しうる水溶性有機溶剤を主成分とする水性インクにおいて、20℃、65%RHにおけるステキヒトサイズ度が10sec以上の被記録材に対するブリストー法による濡れ時間t0が0.2sec以下で、かつ、前記被記録材に対する前進接触角θaが40〜70゜であることである。
【0010】
ここでブリストー(Bristow)法とは、紙・板紙等に対する短時間での動的な液体浸透挙動を評価できる試験法(J.TAPPI紙パルプ試験方法NO.51−87;紙パ技協誌,41巻,P669−703(1987年))のことである。
【0011】
一般に水系の液体は、接触直後はまず紙面粗さの凹凸による液量が転移し、次いで紙中への浸透が起こるため、液が紙表面に止まっている間、浸透量が一定の時間(濡れ時間t0)がある。前記t0≦0.2[sec]の条件は、インク滴が被記録材に着弾したときに速やかに浸透し、色境界にじみを防ぐために必要であり、前記上限以上では、隣接して着弾したインク滴が、浸透の遅れのために被記録材上で干渉し、色境界にじみを引き起こす。
【0012】
さらに、本発明の水性インクは被記録材に対する前進接触角θaが40〜70゜であることを必要とする。画像形成において前記θaが40゜未満であると紙中への浸透が速すぎ、またθaが70゜を越えると紙面上に残る時間が長くなり、色境界滲みに悪影響を及ぼす。このように濡れ時間t0および前進接触角θaを特定することにより色境界滲みを起こすことなくインクを紙中に浸透させることができる。なお、前進接触角とは液滴が固体面上を前進するときに得られる接触角である。
【0013】
上述の濡れ時間t0および前進接触角θaを特定した水性インク中に、上記一般式(1)の界面活性剤を添加して該インクの最大気泡圧力法による25℃にて測定される気泡周波数5Hzにおける表面張力を40mN/m以下とすることにより、被記録紙上で浸透性に優れたインクを得ることができる。表面張力は32〜35mN/mが特に好ましい。
【0014】
上述の濡れ時間t0および前進接触角θaを特定した水性インク中に、多価アルコールおよび/または多価アルコールのアルキルエーテルを特定の条件で添加することであり、該有機溶剤水溶液単独の表面張力はインク滴が形成される極短時間での動的な物性に近似しており、45mN/m以下であると滴形状が崩れやすくなり、65mN/m以上であるとインクの保湿性に乏しくなる。本発明の条件となる添加量であれば吐出信頼性が高く、色境界にじみを抑えた画像形成ができる。上記有機溶剤水溶液単独の表面張力は、Wilhelmy平板法によって測定することができる。
【0015】
上記第二は、上記水性インクを用い記録周波数8kHz以上で記録することであり、これによれば上記水性インクの優れた浸透乾燥性により8kHz以上の高速記録時においても良好な画像を得ることができる。
【0016】
上記第三は、上記水性インクを用い、被記録材に対してインクの付着量を5〜18g/m2として記録することである。インクの付着量は好ましくは10〜15g/m2である。5g/m2未満だとベタを埋めることが困難であり、画像濃度も低い。一方、18g/m2を超えると被記録材上で溢れて文字などの細線がつぶれ良好な画像形成ができない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の水性インクを構成する成分を具体的に説明する。表1に前記一般式(1)で示される化合物の具体例を遊離酸型で示す。
【0018】
【表1】
【0020】
本発明のインクは、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上するため等の目的で、本発明におけるインクの乾燥を抑制しうる水溶性有機溶剤を含め下記水溶性有機溶媒を複数混合して使用してもよい。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオ−ル、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエ−テル等の多価アルコ−ルアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。
【0021】
また、上記第二で示した界面活性剤を含め、浸透剤として下記の化合物を使用してもよい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩等のアニオン系界面活性剤、アセチレングリコール系、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系等のノニオン系界面活性剤、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキルおよびアリールエーテル類、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が挙げられる。
【0022】
また、着色剤として用いられる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で、耐水、耐光性が優れたものが用いられる。これらは必要に応じて混合して用いることができ、また、効果が阻害されない範囲で添加される。
これら染料を具体的に挙げれば、
【0023】
酸性染料および食用染料として、
C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、
C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249、
C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94、
C.I.フードイエロー 3,4、
C.I.フードレッド 7,9,14、
C.I.フードブラック 1,2、
【0024】
直接性染料として、
C.I.ダイレクトイエロー I1,12,24,26,33,44,50,86 ,120,132,142,144、
C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、
C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102、
C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、
C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171、
【0025】
塩基性染料として、
C.I.ベーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、
C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、
C.I.ベーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、
C.I.ベーシックブラック 2,8、
【0026】
反応性染料として、
C.I.リアクティブブラックI 3,4,7,11,12,17、
C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、
C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97、
C.1.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95等が使用できる。
【0027】
顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレ−キ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。
【0028】
顔料分散剤としては、親水性高分子として天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロ−ス等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、8−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラミック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
【0029】
本発明のインクには上記着色剤、溶媒の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防徴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、ベンズイソチアゾリン−3−オン等が本発明に使用できる。
【0030】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぽさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0031】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0032】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0033】
目詰まり防止剤としては、例えば、尿素、ヒドロキシエチル尿素等の尿素誘導体等がある。
【0034】
その他目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤を添加することもできる。
【0035】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示す。
【0036】
〔実施例1〕
下記処方の組成物を60℃で攪拌溶解し、室温にて放冷後、pHが9〜10になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整し、これを0.22μmのテフロンフィルターにて濾過しインク1を作製した。ジエチレングリコール15重量%およびグリセリン5重量%を含有する水溶液のWilhelmy平板法による表面張力は、63.5mN/mであった。
【0037】
〔参考例2〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、インク2を作製した。
C.I.ダイレクトブラック168 4重量%
ジエチレングリコール 20重量%
グリセリン 7重量%
ECTD−3NEX
(日本サーファクタント工業化学社製界面活性剤) 1重量%
サンアイバックP−100
(三愛石油製防腐防黴剤) 0.4重量%
イオン交換水 残量
【0038】
〔参考例3〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、インク3を作製した。
C.I.ダイレクトブラック168 4重量%
ジエチレングリコール 15重量%
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2重量%
ECTD−3NEX
(日本サーファクタント工業化学社製界面活性剤) 1重量%
サンアイバックP−100
(三愛石油製防腐防黴剤) 0.4重量%
イオン交換水 残量
【0039】
〔比較例1〕
実施例1において、ジエチレングリコールの添加量を、5重量%に変えた以外は実施例1と同様にしてインク4を作製した。
【0040】
〔比較例2〕
実施例1において、ジエチレングリコールの添加量を、10重量%、グリセリンの添加量を、3重量%に変えた以外は実施例1と同様にしてインク5を作製した。
【0041】
〔比較例3〕
実施例1において、ECTD−3NEX(日本サーファクタント工業化学社製界面活性剤)の添加量を0.1重量%に変えた以外は実施例1と同様にしてインク6を作製した。
【0042】
上記実施例1、参考例2、3および比較例1〜3で作製したインク1〜6について下記の評価を行った。結果を表3示す。
1)濡れ時間測定
東洋精機社製動的浸透性試験機を用い、20℃、65%RHの測定環境に半日以上調湿させた市販の普通紙を用いて、該紙に対するBristow法による浸透特性を評価し、濡れ時間t0を求めた。図1に示すグラフ上で水平部分と傾斜部分の境界点が濡れ時間となるがインク6は傾斜がゆるく、境界が明瞭でなかった。
【0043】
2)表面張力測定
荏原電産社製Sena Dyne 6000液体表面張力計を用い、25℃にて気泡周波数ν=5Hzにおけるインクの表面張力を測定した。
【0044】
3)前進接触角測定
オリエンテック社製の動的接触角測定装置DCA−20を用い、浸漬速度100mm/minにおける市販の普通紙に対する前進接触角θa(deg)を測定した。
【0045】
4)画質
積層PZTを液室流路の加圧に使用したノズル径32μm、600dpiのノズルを有する記録周波数12kHzのインクジェットプリンタにて印写を行い、単色文字にじみ、色境界にじみを目視により総合的に判断した。
良いものから○、△、×とした。
印写用紙は再生紙、上質紙、ボンド紙を含む市販の普通紙10種に印字した。なお、この時の普通紙に対するインク付着量は13〜14g/m2であった。
【0046】
5)印写休止時の信頼性
上記のプリンタ動作中にキャップ、クリーニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べ、噴射方向のずれ、あるいは吐出液滴の重量の変化を総合的に評価した。信頼性のあるものから○、△、×とした。
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】
以上のようにブリストー法による濡れ時間t0および前進接触角θaを特定し、また、さらに特定の界面活性剤あるいは特定の水溶性有機溶媒を特定量添加した水性インクによれば、インクジェット記録で印写しインク滴が被記録材に着弾したとき、適度な濡れ性を保ちながら速やかに浸透し、良好な画像が得られる。さらにまた、本発明の水性インクを用いて、周波数8kHz以上あるいは被記録材に対するインク付着量を特定してインクジェット記録を行えば高速で印写しても良好な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブリストー法により測定したインクの紙に対する接触時間と浸透量との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 水に分散または溶解可能な着色剤及びインクの乾燥を制御しうる水溶性有機溶剤を主成分とする水溶性インクにおいて、
ジエチレングリコールを15重量%およびグリセリンを5重量%添加することにより、水性インク中に添加された水溶性有機溶剤の水溶液単独の25℃にて測定される表面張力を45mN/mより大きく、65mN/mよりも小さい値とし、かつ、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が、該インクの最大気泡圧力法による25℃にて測定される気泡周波数5Hzにおける表面張力が32〜35mN/mとなる添加量で添加されていることを特徴とする水性インク。
- 記録信号に応じてインクを噴射し画像を得るインクジェット記録方法において、請求項1に記載の水性インクを用いて、インクジェット記録周波数を8kHz以上で記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 記録信号に応じてインクを噴射し画像を得るインクジェット記録方法において、請求項1に記載の水性インクを用いて、被記録材に対するインク付着量を5〜18g/m2の範囲で記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
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