JP3877795B2 - 水性インクおよび水性インクを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents
水性インクおよび水性インクを用いたインクジェット記録方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水性インク、特にインクジェット記録において、いわゆる普通紙に対するカラーインクとして優れた特性を示す水性インクおよび水性インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンターは、低騒音、低ランニングコストといった利点から近年、著しく普及し、普通紙に印字可能なカラープリンターも市場に投入されるようになった。
【0003】
このようなカラープリンターに用いられるインクとしては、一般に水に分散または溶解する着色剤および湿潤剤―多価アルコールまたはそのエーテル類―と水より構成され、必要に応じて防カビ剤等の添加剤を含有する。
【0004】
しかしながら、画像の色再現性、耐水性、耐光性、画像の乾燥性、画像滲み、吐出の信頼性など要求されるすべての特性を満足するカラーインクを得ることは非常に難しい。特にカラープリンタ−の場合、イエロー、マゼンタ、シアンの単色印字部で画質の劣化がなくてもレッド、グリーン、ブルーの2色重ね部分で画質の劣化が発生しやすい。特に定着装置を用いないで乾燥を行う場合、特開昭55−29546号公報等記載のように浸透性を高めることにより乾燥性を向上しているため紙により著しく滲む。
【0005】
また、特公昭60−23793号公報には界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸が乾燥性を向上し画質劣化が少ないとされているが紙による画素径が著しく異なり画像濃度の低下も著しいといった問題やアルカリ側では活性剤が分解し、保存時に活性効果がなくなるといった問題がある。
【0006】
また、特開昭56−57862号公報等には強塩基性物質を添加するインクが開示されているが、ロジンサイズされた酸性紙では効果があるもののアルキルケテンダイマーやアルケニルスルホコハク酸をサイズ剤とした紙には効果がない。さらに、酸性紙でも2色重ね部分では効果がない。
【0007】
また、特開平1−203483号公報には多価アルコール誘導体およびペクチンを含有する記録液が開示されているが、これは増粘剤としてペクチンを添加し、滲みを防止するものであるが、ペクチンは水酸基を親水基とする非イオン性の化合物であるため印字休止後の吐出安定性に欠けるという問題があった。
【0008】
近年、さらに、カラーインクジェットプリンタの高速化が進み、12kHz以上の高速応答性のサーマルインクジェットプリンタも上市され、より乾燥性と高画質化が問われるようになった。これに伴い水性インクを用いたインクジェットプリンタにおいてもいわゆる普通紙でも乾燥性と画像濃度の高さ、画素形状の向上が求められ、特に浸透による乾燥を行う場合、インクの裏抜けによる画質の劣化を改良する必要がでてきたが、この要請に十分に対応されたインクはまだ開発されていない。
【0009】
普通紙適性の改良としては、例えば水性インクであるがためインクの吸収乾燥によるしわ(cockling)の発生、色境界にじみ、文字にじみを改良すべく活性剤としてアルキルアミンオキシド、水溶性高分子としてアルギン酸ソーダと1,5−ペンタンジオールの添加されたインクが特開平6−240138号公報に開示されているが耐水性の良い染料系でないと信頼性に欠けたり、裏抜け等の発生等からさらに改良が望まれている。
【0010】
また、乾燥性と画像にじみを改善するべくアセチレンアルコール系の活性剤とアルキレングリコールを添加したインクが特開平6−92008号公報等に記載されているが、裏抜けの発生は抑えられていなかった。また、スチレン−アクリル酸共重合体が添加された浸透性インクが特開平6−136306号公報に開示されているが十分な信頼性が固定ヘッド型のプリンタでは得られないという問題がある。また、600dpi以上の高解像度を得るための30μm以下のノズル径のプリンタではバキュウムポンプ等のプリンタ側の信頼性維持機構を高性能にしたり大型にしなくてはならずコストアップにつながる問題もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、インクジェット記録用インクとして上記諸特性を満足し、高速印字に対応し普通紙に対する浸透性が高く、かつ、画像にじみが少なく、さらに、紙への裏抜けを低減し高濃度化が図れる水性インクを提供すること、さらに、耐水性、乾燥性、保存安定性と印字休止後の信頼性の高い水性インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、水に分散または溶解する着色剤および湿潤剤を主成分表面張力が50mN/m以下の水性インクにおいて、下記一般式(I)で表される化合物を含有する水性インクが提供される。
【0012】
【化1】
式(I)中、x、yは1〜4の整数、Mはアルカリ金属、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。
【0013】
式(I)中、x、yは1〜4の整数、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。
【0014】
第二に、水に分散または溶解する着色剤および湿潤剤を主成分とする表面張力が50mN/m以下の水性インクにおいて、下記一般式(I)される化合物を含有し、かつ、界面活性剤として下記一般式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩および下記一般式(IV)で示されるジアルキルスルホ琥珀酸塩の少なくともいずれかを含有することを特徴とする水性インクが提供される。
【化1】
式(I)中、x、yは1〜4の整数、Mは第4級アンモニウムを表す。
【化2】
式(III)において、R 5 は炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、mは3〜12、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。
【化3】
式(IV)において、R 6 は炭素数5〜7の分岐したアルキル基、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。
【0015】
第三に、化合物(I)の対イオンがNaもしくはLiまたは下記一般式(II)で示される第4級ホスホニウムもしくはアルカノールアミンである水性インクが提供される。
【化2】
式(II)において、Xは窒素またはリンを表し、Xが窒素のとき、R 1 〜R 4 は炭素数1〜4ヒドロキシアルキル基を表し、Xがリンのとき、R 1 〜R 4 は水素、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。
第四に、化合物(I)の対イオンがNaもしくはLiまたは下記一般式(II)で示される第4級ホスホニウムもしくはアルカノールアミンである水性インクが提供される。
【化2】
式(II)において、Xは窒素またはリンを表し、Xが窒素のとき、R 1 〜R 4 は炭素数1〜4ヒドロキシアルキル基を表し、Xがリンのとき、R 1 〜R 4 は水素、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。
【0016】
第五に、更に、界面活性剤として下記一般式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩および下記一般式(IV)で示されるジアルキルスルホ琥珀酸塩の少なくともいずれかを含有する水性インクが提供される。
【化3】
式(III)において、R 5 は炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、mは3〜12、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。
【化4】
式(IV)において、R 6 は炭素数5〜7の分岐したアルキル基、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンを表す。
【0017】
第六に、前記一般式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩または前記一般式(IV)で示されるジアルキルスルホ琥珀酸塩の対イオンが、NaもしくはLiまたは前記一般式(II)で示される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムもしくはアルカノールアミンである水性インクが提供される。
【0018】
第七に、界面活性剤として下記一般式 ( V ) で示される化合物および下記一般式 ( VI ) で示される化合物の少なくともいずれかを含有する水性インクが提供される。
【化5】
式(V)において、Rは分岐してもよい6〜14炭素鎖、kは5〜12を表す。
【化6】
式(VI)において、m、nは0〜40を表す。
【0019】
第八に、更に、尿素および尿素誘導体の少なくともいずれかを含有する水性インクが提供される。
【0028】
第六に、上記第五に記載した水性インクにおいて、尿素または尿素誘導体を添加する水性インクが提供される。
【0030】
第九に、上記第一ないし第八のいずれかに記載の水性インクを熱エネルギーまたは機械的エネルギーにより微小な液滴として飛翔させ、該飛翔させた液滴をステキヒトサイズ度が3秒以上の被記録材に付着させることを特徴とする水性インクを用いたインクジェット記録方法が提供される。
【0031】
上述のように表面張力、特にmsオーダーの動的表面張力が50mN/m以下のインクにおいて、上記一般式(I)で表される化合物を含有することにより高速印字に対応する普通紙への浸透性に優れ、かつ、裏抜けなどによる画像濃度の低下や画像にじみの発生が少ないなど高画質化が行えるインクジェット記録用として使用可能な水性インクが得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】
上記一般式(I)で表される化合物は、生体高分子であるキチンより得られるキトサン誘導体であり、保水性が高い水溶性高分子であり、従来添加されていたアルギン酸ナトリウムと比べ、特に中性pH域で安定した水溶性を示し、セルロースとの相互作用が大きいため、インクとしては信頼性が高く紙への親和力が大きいという特徴もある。添加量としては抽出キチンの由来による分子量分布にもよるが一般的なものでは0.01%から1%の範囲で用いることが好ましい。0.01%以下では画像特性の改良効果が少なく、1%以上となると粘度が高くなりすぎて常温では吐出困難となりエネルギーを必要とするため好ましくない。
【0033】
本発明は紙への浸透性を高める目的でアニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩(III)および/または炭素数が5〜7の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸酸(IV)を添加することにより表面張力を50mj/m2以下に低下させ、インクと紙表面との濡れ性を向上し、紙への浸透速度を高め、これと上記一般式(I)で表されるキトサン誘導体を用いると画像劣化がきわめて少ないことを見いだした。これは紙面より供給されるプロトンによりインクが増粘するためさらににじみが少なくなると推定される。
【0034】
さらに、本発明の前記一般式(I)で表される化合物および界面活性剤の対イオンとして、ナトリウムもしくはリチウムイオンおよび上記一般式(II)で示される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムもしくはアルカノールアミンを用いることにより優れた溶解安定性を示すことを見いだした。
【0035】
また、本発明では非イオン系の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである上記一般式(V)、アセチレングリコール系界面活性剤である上記一般式(VI)の活性剤を添加することにより表面張力を50mj/m2以下に低下させ、インクと紙表面との濡れ性を向上し、紙への浸透速度を高め、画像劣化がきわめてすくないことを見いだした。
【0036】
これら活性剤(V)もしくは(VI)に加え尿素およびヒドロキシエチル尿素もしくはジヒドロキシエチル尿素等の尿素誘導体を添加すると染料と非イオン活性剤間の相互作用を弱め染料の会合を緩和することで浸透性を向上させたり、吐出安定性、長期保存性を改良できることを見いだした。これら尿素誘導体の添加量は0.1%から5%の間で用いることが好ましい。0.1%以下では効果がなく5%以上では水分蒸発時の粘度変化に影響を及ぼすことがある。
【0037】
なお、このインクのpHを6以上にすることによりインクの保存安定性が得られ、また、オフィスで使用されているコピー用紙や用箋等はpHが5〜6のものが多く、これらの記録紙にインクを20〜60μmの微細な吐出口より吐出し重量が10ng〜160ngの液滴として5〜20m/sで飛翔させ、ステキヒトサイズ度が3秒以上の、いわゆる普通紙に記録することにより高画質、高解像度の記録画像を形成する記録方式を提供することができる。
ただし、pHが9以上では保存時に(III)の活性剤では分解による物性変化が起こりやすいため(V)を用いる場合はpHを6〜9とすることが好ましい。
本発明に用いることができる化合物(II)、(III)の添加量は0.05〜10重量%の間でプリンタシステムにより要求されるインク特性に対し所望の浸透性を与えることが可能である。ここで0.05%以下ではいずれの場合も2色重ね部の境界でのにじみが発生し、10重量%以上添加する場合は化合物自体が低温で析出しやすかったり、染料の析出等も発生することがあり信頼性が悪くなる。
【0038】
次に本発明に用いる界面活性剤(III)および(IV)を表1に具体的に遊離酸型で示す。
【0039】
【表1】
【0040】
本発明における一般式(I)の化合物および界面活性剤は保存時の溶解安定性を得る目的および熱エネルギーを与えることにより吐出を行う記録方式での信頼性を向上する目的で対イオンをリチウム、ナトリウム、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたはアルカノールアミンイオンとする。例えばリチウム塩の場合は水酸化リチウムを添加することにより行え、一般式(II)の第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、またはアルカノールアミン陽イオンに関しては、具体的には表2に示す水酸化物を添加することにより行われる。
【0041】
【表2】
【0042】
なお、本発明において上記一般式(I)で示す化合物および活性剤の対イオンがすべてがナトリウムもしくはリチウムおよび/または上記一般式(II)の化合物である必要はなく、他のアルカリイオンと混合することもできる。ナトリウムもしくはリチウムおよび/または上記−般式(II)の化合物によるイオンの量としては染料および活性剤のモル数に対して30%以上,より好ましくは50%以上となるように添加することが好ましい。
本発明のインクは水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、あるいはインクの乾燥を防止するために、また、本発明の化合物の溶解安定性を向上するため等の目的で下記水溶性有機溶媒を使用することができる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセロール、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオ−ル、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコ−ル類、エチレングリコールモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエ−テル額;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノ−ル等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
これらの中で特に好ましいものはジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン,N−ヒドロキシエチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノンであり、これらを用いることにより本化合物の高い溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
また、本発明の活性剤(III)、(IV)、(V)、(VI)以外で表面張力を調整する目的で添加される浸透剤としてはジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフエニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキルおよびアリールエーテル類、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノ−ル等の低級アルコール類が挙げられるが、特に好ましいのはジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0043】
本発明における表面張力は、紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は50mN/m以下が好ましく、より好ましくは40mN/m以下とすると優れた乾燥性が得られる。
【0044】
本発明の着色材として用いられる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で、耐水、耐光性が優れたものが用いられる。これらは効果が阻害されない範囲で添加される。
【0045】
これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料および食用染料として、
C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289
C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249
C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94
C.I.フードイエロー 3,4
C.I.フードレッド 7,9,14
C.I.フードブラック 1,2
直接性染料として、
C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144
C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227
C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102
C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202
C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171
塩基性染料として、
C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91
C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112
C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,
105,117,120,122,124,129,137,141,147,155
C.I.ベーシックブラック 2,8
反応性染料として、
C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17
C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67
C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97
C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95
等が使用できる。特に酸性染料および直接性染料が好ましく用いることができる。
【0046】
また、インクジェット用で新たに開発された染料ももちろん用いることができる。例えば、ゼネカ社が上市しているProjet Fast B1ack2,Projet Fast Magenta2,Projet Fast Yel1ow2,Projet Fast Cyan2(登録商品名)が挙げられる。
【0047】
顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラツク、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。
【0048】
顔料分散剤としては親水性高分子として、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、力ラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシ−ドデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロ−ス等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
【0049】
本発明のインクには上記着色剤、溶媒の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ぺンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
【0050】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0051】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
【0052】
その他目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤、界面活性剤を添加することもできる。
【0053】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示す。
【0054】
〔実施例1〕
下記処方の組成物を60℃で撹伴溶解し、室温にて放冷後、pHが8.5になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整し、これを0.22μmのテフロンフィルターにてろ過しインク1を作製した。
ゼネカ社製Projet Fast B1ack2 3重量%
グリセロ−ル 5重量%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 5重量%
化合物(1) x=2、y=1 遊離酸型 0.1重量%
具体例(III−1)の活性剤 0.8重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0055】
〔実施例2〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで8.8にしてインク2を調整した。
ゼネカ社製Projet Fast Magenta2 1.5重量%
ダイレクトレッド227 0.5重量%
1,2,6−へキサントリオール 4重量%
1,5−ペンタンジオール 8重量%
具体例(IV−1)の活性剤 1.2重量%
具体例(II−1)25%水溶液 0.8重量%
化合物(I)x=2、y=1 遊離酸型 0.1重量%
2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0056】
〔実施例3〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを水酸化リチウムで8.5にしてインク3を調整した。
ゼネカ社製Projet Fast Cyan2 1重量%
C.I.ダイレクトブルー99 1.2重量%
ジエチレングリコール 5重量%
グリセロール 5重量%
化合物(I) x=4、y=2 0.1重量%
(V−4)の活性剤 R:C9H19 k:12 2重量%
具体例(III−3)25%水溶液 0.2重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0057】
〔実施例4〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを水酸化リチウムで7.5にしてインク4を調整した。
ゼネカ製Projet Fast Yellow2 1.2重量%
エチレングリコール 5重量%
グリセロール 2重量%
1,5−ペンタンジオール 10重量%
(VI)の活性剤 m、n=20 0.8重量%
具体例(III−4)25%水溶液 2重量%
化合物(I)x=2、y=1 遊離酸型 0.2重量%
安息香酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0058】
〔実施例5〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを水酸化ナトリウムで7.8にしてインク5を調整した。
C.I.ダイレクトブラック168 4重量%
トリエチレングリコール 5重量%
ペトリオール 10重量%
具体例(IV−5)の活性剤 2重量%
具体例(V−2)25%水溶液 1.5重量%
化合物(I)X=4、y=1 遊離酸型 0.2重量%
2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0059】
〔実施例6〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを水酸化リチウムで8にしてインク6を調整した。
C.I.フードブラック2 1.5重量%
C.I.ダイレクトブラック154 1.5重量%
プロピレングリコール 8重量%
グリセロール 7重量%
(VI)活性剤 m+n:15 1重量%
(VI)活性剤 m+n=0 1重量%
具体例(III−7)25%水溶液 2重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
化合物(I)x=2、y=1 遊離酸型 0.3重量%
尿素 2重量%
イオン交換水 残量
【0060】
〔実施例7〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを水酸化リチウムで8にしてインク7を調整した。
C.I.ダイレクトレッド9 1.8重量%
C.I.アシッドレッド289 0.5重量%
N−メチル−2−ピロリドン 8重量%
1,5−ペンタンジオール 8重量%
具体例(VI−4)の活性剤 0.8重量%
化合物(I)x=2、y=1 遊離酸型 0.2重量%
安息香酸ナトリウム 0.1重量%
尿素 1重量%
イオ交換水 残量
【0061】
〔実施例8〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを水酸化リチウムで7.5にしてインク8とした。
C.I.ダイレクトブルー199 2.0重量%
C.I.アシッドブルー249 0.5重量%
チオジエタノール 5重量%
グリセロール 10重量%
(V)の活性剤 R:Cl0H21 k:12 1.5重量%
化合物(I)x=2、y=1 遊離酸型 0.1重量%
安息香酸ナトリウム 0.1重量%
イオン交換水 残量
【0062】
〔実施例9〕
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを水酸化リチウムで8にしてインク9とした。
C.I.ダイレクトイエロー142 1.5重量%
C.I.アシッドレッド23 1.0重量%
2−ピロリドン 5.0重量%
グリセロール 15.0重量%
(VI)の活性剤 m+n=40 1.0重量%
具体例(III-2)の活性剤 1.0重量%
化合物(I)x=2、Y=1 遊離酸型 0.2重量%
ペンタクロロフェノールナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0063】
〔比較例1〕
実施例1において化合物(I)を除いた以外は同様にしてインク10とした。
【0064】
〔比較例2〕
実施例3において化合物(I)に代えてスチレンアクリル酸共重合体とした以外は同様ににしてインク11とした。
【0065】
〔比較例3〕
実施例4で化合物(1)に代えてアルギン酸ナトリウムとした以外は同様にしてインク12とした。
【0066】
〔比較例4〕
実施例7で化合物(I)と尿素を除いた以外は同様にしてインク16とした。
【0067】
〔比較例5〕
実施例8で化合物(I)に代えペクチンを添加した以外は同様にしてインク14とした。
【0068】
次に上記実施例1〜9および比較例1〜5について下記の試験を行った。
【0069】
1)画像の鮮明性
サーマルインクジェット方式のノズル径30μm、600dpiのノズルを有するインクジェットプリン夕および積層PZTを液室流路の加圧に使用したノズル径27μm、600dpiのノズルを有するインクジェツトプリンタにて印字を行い、2色重ね部境界の滲み、画像滲み、色調、画像濃度および裏抜けを目視により総合的に判断した。
印字用紙は市販の再生紙、上質紙とボンド紙の3種に印字した。
【0070】
2)画像の耐水性
画像サンプルを30℃の水に1分間浸潰し処理前後の画像濃度の変化をマクベス濃度計で測定し、下記式にて耐水性(耐色率%)を求め、いづれの紙でも20%以下となったものを○、30%未満を△、30%以上を×とした。
【0071】
【数1】
【0072】
3)画像の乾燥性
印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけ、インクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。いずれの紙でも10秒以内で乾燥した場合に0と判定した。それ以上を×とした。
【0073】
4)保存安定性
各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、20℃、70℃でそれぞれの条件下で3カ月保存し、保存後の表面張力、粘度および沈澱物析出の有無を調べた。どの条件で保存しても、物性等の変化がないものを○とした。
【0074】
5)印字休止時の信頼性
サーマルインクジェット方式のノズル径30μm、600dpiのノズルを有するヘッドを持つプリンタの動作中にキャップ、クリーニング等が行われないでどれだけ印字、休止しても復帰できるかを調べ、どれだけの時間で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかにより、その信頼性を評価した。
結果を表3〜4に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表4】
【0078】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、画像の鮮明性、すなわち、2色重ね部境界の滲み、画像滲み、色調、画像濃度および裏抜けの総合点において優れ、さらに、画像の耐水性および乾燥性に優れ、しかも、インクの保存性および印字後の噴射信頼性を悪化させない水性インクが得られる。
【0079】
また、本発明によれば、上記化合物(I)の溶解安定性を得るのに好適な対イオンの種類を示すことよりさらに保存安定性、吐出安定性等の信頼性に優れたインクジェット用水性インクを提供することができる。
【0080】
本発明によれば、特定のアニオン系活性剤を用いて表面張力を50mN/m以下とすることにより紙表面に対する濡れ性を改良し、インクジェツト用として諸特性を満足し、乾燥性に優れ、かつ、画質の劣化の改良された水性インクを提供することができる。
【0081】
また、本発明によれば、該界面活性剤の構造を特定することにより優れた乾燥性を有し、かつ、にじみの少ないインク組成物を提供でき、また、この対イオンを特定することで低温での保存安定性、吐出安定性を得ることができる。
【0082】
また、本発明によれば、特定のノニオン系活性剤を用いて表面張力を50mN/m以下とすることにより紙表面に対する濡れ性を改良し,インクジェット用として諸特性を満足し、乾燥性に優れ,かつ,画質の劣化の改良された水性インクを提供することができる。
【0083】
また、本発明によれば、特定のノニオン系活性剤を用い、これとともに尿素及びその誘導体を用いることにより染料等との相互作用を調整し浸透性及び保存安定性にすぐれた水性インクを提供することができる。
【0084】
また、本発明によればpHを6以上に調整することにより長期印字休止後や連続噴射時でも安定して吐出可能な物性を与えるインクジェツト用インクを与える。
【0085】
また、本発明によれば、所謂普通紙とインクジェット用コート紙のいずれに対しても良好な濡れ性を示し、浸透速度が速く滲みが少ない画像を形成でき、カラー画像の色再現性の高い記録方法を与えることができる。また、OHPにおいても優れた色再現性を示す。
Claims (9)
- 水に分散または溶解する着色剤および湿潤剤を主成分とする表面張力が50mN/m以下の水性インクにおいて、下記一般式(I)される化合物を含有することを特徴とする水性インク。
- 水に分散または溶解する着色剤および湿潤剤を主成分とする表面張力が50mN/m以下の水性インクにおいて、下記一般式(I)される化合物を含有し、かつ、界面活性剤として下記一般式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩および下記一般式(IV)で示されるジアルキルスルホ琥珀酸塩の少なくともいずれかを含有することを特徴とする水性インク。
- 化合物(I)の対イオンがNaもしくはLiまたは下記一般式(II)で示される第4級ホスホニウムもしくはアルカノールアミンである請求項1に記載の水性インク。
- 化合物(I)の対イオンがNaもしくはLiまたは下記一般式(II)で示される第4級アンモニウムである請求項2に記載の水性インク。
- 界面活性剤として下記一般式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩および下記一般式(IV)で示されるジアルキルスルホ琥珀酸塩の少なくともいずれかを含有する請求項1及び3のいずれかに記載の水性インク。
- 一般式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩または一般式(IV)で示されるジアルキルスルホ琥珀酸塩の対イオンが、NaもしくはLiまたは一般式(II)で示される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムもしくはアルカノールアミンである請求項5に記載の水性インク。
- 界面活性剤として下記一般式 (V) で示される化合物および下記一般式 ( VI ) で示される化合物の少なくともいずれかを含有する請求項1から6のいずれかに記載の水性インク。
- 尿素および尿素誘導体の少なくともいずれかを含有する請求項1から7のいずれかに記載の水性インク。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の水性インクのいずれかを熱エネルギーまたは機械的エネルギーにより微小な液滴として飛翔させ、該飛翔させた液滴をステキヒトサイズ度が3秒以上の被記録材に付着させることを特徴とする水性インクを用いたインクジェット記録方法。
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