JP3507934B2 - 記録用インク及びこれを用いた記録方法 - Google Patents

記録用インク及びこれを用いた記録方法

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JP3507934B2
JP3507934B2 JP22760096A JP22760096A JP3507934B2 JP 3507934 B2 JP3507934 B2 JP 3507934B2 JP 22760096 A JP22760096 A JP 22760096A JP 22760096 A JP22760096 A JP 22760096A JP 3507934 B2 JP3507934 B2 JP 3507934B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録、水性筆記用具、記録計あるいはペンプロッターなど
に用いるのに適した記録用インクに関し、特にインクジ
ェット記録用に適した記録用インク、更には所謂普通紙
に対するカラー画像形成用として特に優れた特性を示す
インクジェット記録用インクに関するものである。ま
た、本発明はその記録用インクを用いた記録方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェツトプリンターは低騒
音、低ランニングコストといった利点から普及し、普通
紙に印字可能な力ラープリンターも市場に投入されてい
る。この様なインクジェツトプリンターにおいては、カ
ラー画像の色再現性、画像の耐水性と耐光性、画像の乾
燥性、画像にじみ防止、および吐出信頼性などを満足さ
せることが必要であるが、これらのすべてを満足させる
ことは困難である。
【0003】インクジェツトプリンターによりカラー画
像を形成する場合には、イエロー、マゼンタ、シアンの
単色印字部で鮮明な画像が形成されても、レッド、グリ
−ン、ブルーの2色重ね部分で画像にじみが発生しやす
く画像の鮮明性が低下するという欠点がある。特に、定
着装置を用いないでインクジェット記録による記録画像
の乾燥を行う場合には、特開昭55−29546号公報
などのように記録紙に対する記録液の浸透性を高めるこ
とによって記録画像の乾燥性を向上させているため、使
用する記録紙により画像のにじみが著しくなり画像の鮮
明性が低下するという欠点がある。また、特公昭60−
23793号公報にはインクジェット記録用インクに界
面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸塩を含有させ
ることにより、インクジェット記録による記録画像の乾
燥性を向上させると共に画像の鮮明性の低下を少なくす
ることが開示されているが、使用する記録紙により、画
素径が著しく異なり画像濃度の低下も著しく画像の鮮明
性が低下するといった不具合があり、また記録用インク
がアルカリ側では界面活性剤が分解し、記録用インクの
保存中に界面活性剤の効果がなくなり、記録用インクに
沈殿物が生じインクジェットプリンターにおいてノズル
の目詰などを起こし吐出信頼性が低下するという欠点が
ある。
【0004】さらに、特開昭56−57862号公報等
には、インクジェット記録用インクに強塩基性物質を含
有させることにより、インクジェット記録による記録画
像の乾燥性を向上させることが開示されているが、ロジ
ンサイズされた酸性紙に画像を形成した場合には乾燥性
を向上させる効果があるもののアルキルケテンダイマー
やアルケニルスルホコハク酸をサイズ剤として用いた記
録紙では乾燥性向上の効果がみられず、また、酸性紙で
も記録画像における2色重ね部分では乾燥性向上の効果
がみられないという欠点がある。また、特開平1−20
3483号公報には記録用インクに多価アルコ−ル誘導
体及びペクチンを含有させ、増粘剤としてのペクチンに
より記録画像のにじみを防止することが開示されている
が、ペクチンは水酸基を親水基とする非イオン性化合物
であるため、印字休止後の吐出信頼性に欠けるという欠
点がある。
【0005】一方、普通紙上におけるカラー画像の色再
現性と耐光性および耐水性とを両立させるために、イン
クジェツト記録用インクに用いる染料の改良が行われて
いるが、記録画像の耐光性や耐水性を向上させ且つ吐出
信頼性の高い染料を得ることは困難である。また、記録
画像の耐水性および耐光性を得るために顔料を用いるこ
とも種々試みられているが、色調に問題があるため、現
状では特に耐光性の要求される大型のプロッター以外で
は採用されていない。また、顔料を用いた場合には、記
録画像の高解像度化に対応するインクジェットプリンタ
ーなどで目詰まりが発生し吐出信頼性に欠けるという問
題もある。
【0006】そこで、色調を改良しカラー画像の色再現
性を向上させ、また画像の耐光性や耐水性、および吐出
信頼性を改良するために顔料と染料を混合して用いるこ
とが、特公昭60−45668号公報や特開平6−10
0812号公報などに開示されているが、前者では染料
の耐光性が不十分であり、また普通紙へのインクの浸透
性や発色性が必ずしも十分でなく、また後者では耐光性
は前者に比べ十分であるが発色性が不十分であり、特に
ブルーの発色がくすむ等の難点がある。また、塩基性染
料で造塩されたスルホン酸基を有する高分子染料を用い
た記録用インクが特開昭60−38481号公報や特開
昭60−38482号公報に開示されているが、これら
は耐光性が不十分であり、またインクジェットプリンタ
ーなどで目詰まりが発生し易く吐出信頼性に欠けるとい
う欠点がある。上記のように、従来においては、色調に
優れ色再現性が良好で画像にじみも少ない鮮明な画像
で、且つ耐水性および耐光性の十分な画像を形成するこ
とのできる記録用インク、特にインクジェット記録にお
ける吐出信頼性も高い記録用インクを得ることが困難で
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の第1の
課題は、このような問題点を解決し、色調に優れ色再現
性が良好で画像にじみも少ない鮮明な画像を形成するこ
とができ、且つ画像の耐水性および耐光性に優れた記録
用インクを提供することにある。特に、ブルー、グリー
ン、グリーンなどの2次色の色再現性に優れ、オーバー
ヘッドプロジェクター用透明シートに透明性の優れた画
像を形成することができる記録用インクを提供すること
にある。本発明の第2の課題は、特に着色剤の分散安定
性が良好であり保存安定性に優れ、長期間の保存後や印
字休止後においても、インクジェット記録における吐出
信頼性の高い記録用インクを提供することにある。本発
明の第3の課題は、記録用インクの普通紙に対する浸透
性が高く、形成された画像の乾燥性に優れ、且つ画像の
にじみが防止され鮮明な画像を形成することができる記
録用インクを提供することにある。本発明の第4の課題
は、色再現性に優れたマゼンタ色の記録用インクおよび
シアン色の記録用インクを提供することにある。さら
に、本発明の第5の課題は、耐水性および耐光性に優
れ、色再現性が良好で鮮明性に優れた画像を高解像度で
形成することができるインクジェット記録方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、水
に分散または溶解する着色剤、水および水溶性有機溶媒
を主成分とする記録用インクにおいて、着色剤として下
記一般式(1)で表されるキナクリドン系顔料および下
記一般式(2)で表されるフタロシアニン顔料の少なく
とも1種の顔料p−スチレンスルホン酸とヒドロキシ
アルキルメタクリレートまたはヒドロキシアルキルアク
リレートとの共重合体に塩基性染料を造塩せしめてなる
平均分子量5000乃至15万の高分子染料とを同時に
含有し、分散剤として親水性部分と疎水性部分を有する
高分子化合物及び/または炭素数6以上のアルキル基を
有する界面活性剤を含有することを特徴とする記録用イ
ンクによって達成される。
【化9】 (式中、R1、R2はアルキル基、ハロゲン原子または水
素原子を表す。)
【化10】 (式中、Mは銅、鉄、ニッケルまたは水素原子を表し、
Xは水素原子またはハロゲン原子を表す。pは0から8
の整数を表す。)
【0009】 本発明によれば、着色剤として下記一般
式(1)で表されるキナクリドン系顔料および下記一般
式(2)で表されるフタロシアニン顔料の少なくとも1
の顔料p−スチレンスルホン酸とヒドロキシアルキ
ルメタクリレートまたはヒドロキシアルキルアクリレー
トとの共重合体に塩基性染料を造塩せしめてなる平均分
子量5000乃至15万の高分子染料とを用いることに
より色調に優れ色再現性が良好で、且つ耐水性および耐
光性に優れた画像を形成することができる。また、この
着色剤を含有する記録用インクに分散剤として親水性部
分と疎水性部分をもった高分子化合物及び/または炭素
数6以上のアルキル基を有する界面活性剤を含有させる
ことにより、着色剤の分散安定性を向上させ保存安定性
に優れた記録用インクを得ることができ、長期間の保存
後や印字休止後においても、吐出信頼性の高いインクジ
ェット記録を行うことができる。さらに、分散剤として
親水性部分と疎水性部分をもった高分子化合物及び/ま
たは炭素数6以上のアルキル基を有する界面活性剤を含
有させることにより、記録用インクの普通紙に対する浸
透性を高めて形成された画像の乾燥性を向上させること
ができると共に画像のにじみが防止された鮮明な画像を
形成することができる。
【0010】一般式(1)で表されるキナクリドン系顔
料および一般式(2)で表されるフタロシアニン顔料の
具体例としては、下記表1および表2に示すものを挙げ
ることができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】 また、p−スチレンスルホン酸とヒドロ
キシアルキルメタクリレートまたはヒドロキシアルキル
アクリレートとの共重合体に塩基性染料を造塩せしめて
なる平均分子量5000乃至15万の高分子染料として
は、特に、p−スチレンスルホン酸とヒドロキシアルキ
ルメタクリレートまたはヒドロキシアルキルアクリレー
トとの共重合体に下記化学式(3)または(4)で表さ
れる塩基性染料を造塩せしめてなる高分子染料が好まし
い。
【化学式11】
【0014】 本発明においては、p−スチレンスルホ
ン酸とヒドロキシアルキルメタクリレートまたはヒドロ
キシアルキルアクリレートとの共重合体を用いているの
、特に分散安定性に優れた記録用インクを得ることが
できる。
【0015】高分子染料の具体例を下記化学式(3−
P)または(4−P)に示すが、これらに限定されるも
のではない。
【0016】
【化12】
【0017】 このような高分子染料は、特開昭60−
8482号公報などに開示された常法によって製造す
ることができ、これを逆浸透膜やイオン交換樹脂を使用
して精製することによりNaCl、Na2SO4、CaC
3等の無機塩不純物を除去したものを用いることが好
ましい。無機塩不純物を除去することによってインクジ
ェットプリンターにおけるヘッドの目詰まりやプリンタ
ー内のフィルターでの目詰まりの発生を防止することが
でき吐出信頼性を向上させることができる。
【0018】 の顔料p−スチレンスルホン酸とヒド
ロキシアルキルメタクリレートまたはヒドロキシアルキ
ルアクリレートとの共重合体に塩基性染料を造塩せしめ
てなる高分子染料を前記一般式(1)で表されるキナク
リドン系顔料や前記一般式(2)で表されるフタロシア
ニン顔料と共に用いることにより、彩度が向上し色調に
優れ色再現性が良好で、且つ画像の耐水性および耐光性
に優れた記録用インクを得ることができる。特に、本発
明の記録用インクにおいて、着色剤として前記一般式
(1)で表されるキナクリドン系顔料とスルホン酸基を
有する高分子化合物に上記化学式(3)で表される塩基
性染料を造塩せしめてなる高分子染料、例えば上記化学
式(3−P)で表される高分子染料とを用いることによ
り、色調に優れ色再現性が良好で画像の耐水性および耐
光性に優れたマゼンタ色の記録用インクを得ることがで
きる。また、着色剤として前記一般式(2)で表される
フタロシアニン顔料とスルホン酸基を有する高分子化合
物に上記化学式(4)で表される塩基性染料を造塩せし
めてなる高分子染料、例えば上記化学式(4−P)で表
される高分子染料とを用いることにより、色調に優れ色
再現性が良好で画像の耐水性および耐光性に優れたシア
ン色の記録用インクを得ることができる。
【0019】本発明においては、着色剤として、前記一
般式(1)で表されるキナクリドン系顔料や前記一般式
(2)で表されるフタロシアニン顔料と共にその他の顔
料を併用してもよく、そのような顔料としては、アゾ
系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジ
ン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソ
インドレノン系、アニリンブラツク、アゾメチン系、ロ
ーダミンBレ−キ顔料、カーボンブラックなどの有機顔
料、あるいは酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、
紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉など
の無機顔料が挙げられる。
【0020】一般式(1)で表されるキナクリドン系顔
料、一般式(2)で表されるフタロシアニン顔料および
その他の顔料の粒子径としては、0.01μm〜0.1
μmが好ましく、0.01μmよりも小さくなると隠蔽
力が低下し画像濃度が低くなり、また耐光性が低下し高
分子染料と共に用いた際に画像の耐光性が従来の染料系
の記録用インクによる画像の耐光性と同等となってしま
い、画像の耐光性に対する改良効果が得られない。また
0.1μmを越えるとインクジェットプリンターにおけ
るヘッドの目詰まりやプリンター内のフィルターでの目
詰まりが発生して吐出信頼性が低下するようになる。さ
らに、前記一般式(1)で表されるキナクリドン系顔料
や前記一般式(2)で表されるフタロシアニン顔料と共
に粒子径が0.1μm以下の酸化チタンを併用すること
により、画像の耐光性をより向上させることができる。
【0021】次に、本発明において用いられる分散剤に
ついて説明する。親水性部分と疎水性部分を有する高分
子化合物からなる顔料分散剤としては、親水性高分子と
して、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グー
アガム、カラヤガム、ロー力ストビーンガム、アラビノ
ガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植
物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻
系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲ
ン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等
の微生物系高分子、半合成系では、メチルセルロース、
エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウ
ム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系
高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレン
グリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系では、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビ
ニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属
塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、
水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレ
ンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹
脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β
−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金
属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能
基の塩を側鎖に有する高分子化合物などを挙げることが
でき、またセラック等の天然高分子化合物も用いること
ができる。
【0022】また、炭素数6以上のアルキル基を有する
界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン基を有する
非イオン性界面活性剤が好ましく、特に下記一般式
(5)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、下記一般式(6)で表されるアセチレングリ
コール系界面活性剤、下記一般式(7)で表されるポリ
オキシエチレンアルキルエーテルまたは下記一般式
(8)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レンアルキルエーテルが好ましい。これらの非イオン性
界面活性剤を用いることにより、普通紙などの記録紙に
対する記録用インクの浸透性を高め画像の乾燥性を向上
させ、且つ画像のにじみを防止して鮮明性に優れた画像
を形成することができる。
【化13】 (式中、R3は分岐していてもよい炭素数6乃至14の
炭素鎖を表し、kは5から20の整数を表す。)
【化14】 (式中、m、nは0から20の整数を表す。)
【化15】 (式中、R4は分岐していてもよい炭素数6乃至14の
炭素鎖を表し、nは5から20の整数を表す。)
【化16】 (式中、R5は分岐していてもよい炭素数6乃至14の
炭素鎖を表し、m、nは0から20の整数を表す。但し
m、nがともに0となることはない。)
【0023】上記R3、R4およびR5の炭素鎖として
は、アルキル基、アルケニル基などが挙げられる。特
に、これらの界面活性剤を用い、記録用インクの表面張
力を50mN/m以下とすることにより、記録用インク
と普通紙などの記録紙表面との濡れ性をより向上させる
ことができ、記録紙に対する記録用インクの浸透性を高
めて記録画像の乾燥性を向上させ、且つ画像のにじみを
防止して鮮明性に優れた画像を形成することができる。
【0024】なお、上記表面張力は記録用インクの記録
紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1
秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で
測定される静的表面張力とは異なるものである。測定法
としては特開昭63−31237号公報等に記載されて
いる従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定
できる方法であればいずれも使用できるが、ここではW
ilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定し
た値で示している。表面張力の値は50mN/m以下が
好ましく、特に40mN/m以下とするとすると更に優
れた画像の乾燥性が得られる。
【0025】また、着色剤として前記顔料と塩基性染料
を造塩せしめてなる高分子染料とを用いると、ポリオキ
シアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤のポリオ
キシエチレン鎖による可溶化により着色剤の分散安定性
が向上し保存安定性に優れた記録用インクを得ることが
でき、記録用インクを長期間保存した後においても、吐
出信頼性が高く、画像劣化のないインクジェット記録を
行うことができる。さらに、上記の非イオン性界面活性
剤と共に尿素、あるいはヒドロキシエチル尿素またはジ
ヒドロキシエチル尿素などの尿素誘導体を用いると、前
記高分子染料と非イオン性界面活性剤との間の相互作用
が弱まり高分子染料の会合が緩和されることによって、
記録用インクの記録紙に対する浸透性を向上させ、また
記録用インクの長期保存性やインクジェット記録におけ
る吐出信頼性を更に改良することができる。これら尿素
や尿素誘導体の添加量としては、記録用インクの0.1
〜5重量%が好ましい。0.1重量%よりも少ないと効
果がなく、また5重量%を越えると水分蒸発時の粘度変
化に影響を及ぼし、印字休止後の吐出信頼性が低下すこ
とがある。
【0026】本発明の記録用インクは前記のような諸成
分が水に分散または溶解されているものであるが、記録
用インクの保管時における乾燥を防止するため、あるい
は着色剤の分散安定性や溶解安定性を向上させるためな
どの目的で、本発明の記録用インクには水溶性有機溶媒
が添加されている。
【0027】このような水溶性有機溶媒としては、例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、1,5ペンタンジオール、1、6
ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサ
ントリオ−ル、1,2,4−ブタントリオール、1,
2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アル
コール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエー
テル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アル
コールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエー
テル等の多価アルコールアリールエーテル類、N−メチ
ル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロ
リドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリ
ジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の
アミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジ
エタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネー
ト、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が例示でき、
これらの水溶性有機溶媒は単独もしくは、複数混合して
用いることができる。
【0028】これらの中で特に好ましい水溶性有機溶媒
はジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチ
レングリコール200〜600、トリエチレングリコ−
ル、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、
1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5
−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N
−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリド
ン、1,3−ジメチルイミダゾリジノンなどであり、こ
れらの水溶性有機溶媒を用いることにより着色剤の分散
安定性や溶解安定性を向上させると共に水分蒸発を抑制
して記録用インクの乾燥を防ぐことができ、記録用イン
クを長期間保存した後においても、また長期間印字を休
止した場合においても、吐出信頼性に優れたインクジェ
ット記録を行うことができる。また、特に、N−ヒドロ
キシエチル−2−ピロリドン等のピロリドン誘導体を記
録用インクに添加した場合には、着色剤、特に顔料の分
散安定性を向上させること、および記録用紙に対する親
和性を高めることができる。それにより記録用インクを
長期間保存した後においても、インクジェット記録にお
いて更に吐出信頼性の高いインクジェット記録をおこな
うことができ、また、記録用紙に濃度が高く、またドッ
トの均一性に優れた鮮明な画像を形成することができ
る。
【0029】また、本発明の記録用インクには、表面張
力を調整する目的で前記一般式(5)、(6)、(7)
または(8)で表される界面活性剤以外に、ジエチレン
グリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール
モノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリル
エーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピ
レングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレング
リコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールの
アルキルまたはアリールエーテル類、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレンブロック共重合体、フッ素系界
面活性剤、あるいはエタノール、2−プロパノール等の
低級アルコール類などを添加することができ、特にジエ
チレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0030】本発明の着色材としては、前記顔料および
高分子染料のほかに、必要に応じて、他の染料を混合し
て用いることができる。このような染料としては、カラ
ーインデツクスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性
染料、反応性染料、食用染料に分類される水溶性染料で
耐水性および耐光性が優れたものが用いられる。これら
は色再現性、耐水性、耐光性などの効果が疎外されない
範囲で添加される。
【0031】これらの染料を具体的に挙げれば、酸性染
料及び食用染料としては、C.I.アシッドイエロー1
7,23,42,44,79,142、C.I.アシツ
ドレッド1,8,13,14,18,26,27,3
5,37,42,52,82,87,89,92,9
7,106,111,114,115,134,18
6,249,254,289、C.I.アシツドブルー
9,29,45,92,249、C.I.アシッドブラ
ック1,2,7,24,26,94、C.I.フードイ
エロー3,4、C.I.フードレッド7,9,14、
C.I.フードブラック1,2、直接性染料としては、
C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,3
3,44,50,86,120,132,142,14
4、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,1
7,20,28,31,39,80,81,83,8
9,225,227、C.I.ダイレクトオレンジ2
6,29,62,102、C.I.ダイレクトブルー
1,2,6,15,22,25,71,76,79,8
6,87,90,98,163,165,199,20
2、C.I.ダイレクトブラック19,22,32,3
8,51,56,71,74,75,77,154,1
68,171、塩基性染料としては、C.I.ベーシッ
クイエロー1,2,11,13,14,15,19,2
1,23,24,25,28,29,32,36,4
0,41,45,49・51,53,63,64,6
5,67,70,73,77,87,91、C.I.ベ
ーシックレッド2,12,13,14,15,18,2
2,23,24,27,29,35,36,38,3
9,46,49,51,52,54,59,68,6
9,70,73,78,82,102,104,10
9,112、C.I.ベーシックブルー1,3,5,
7,9,21,22,26,35,41,45,47,
54,62,65,66,67,69,75,77,7
8,89.92,93,105,117,120,12
2,124,129,137,141,147,15
5、C.I.ベーシックブラック2,8、反応性染料と
しては、C.I.リアクティブブラック3,4,7,1
1,12,17、C.I.リアクティブイエロー1,
5,11,13,14,20,21,22,25,4
0,47,51,55,65,67、C.I.リアクテ
ィブレッド1,14,17,25,26,32,37,
44,46,55,60,66,74,79,96,9
7、C.I.リアクティブブルー1,2,7,14,1
5,23,32,35,38,41,63,80,95
等が使用でき、特に酸性染料及び直接性染料が好まし
い。
【0032】さらに、本発明の記録用インクには従来よ
り知られている添加剤、例えば防腐防黴剤、防錆剤、p
H調整剤、水溶性紫外線吸収剤または水溶性赤外線吸収
剤などを添加することができる。
【0033】防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウ
ム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1
−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタ
クロロフェノールナトリウムなどを用いることができ、
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、
チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニ
イウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシ
クロヘキシルアンモニウムニトライトなどを用いること
ができる。
【0034】pH調整剤としては、調合される記録用イ
ンクに悪影響をおよぼさずにpHを6以上に調整できる
ものであれば、任意の物質を用いることができ、その具
体例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミン等のアミン類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、
水酸化アンモニウム等の第4級アンモニウム水酸化物、
第4級ホスホニウム水酸化物、あるいは炭酸リチウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸
塩などが挙げられる。また、キレート試薬としては、例
えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三
酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三
酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウ
ム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが使用できる。
【0035】本発明の記録用インクを用いてインクジェ
ット記録を行うには、記録用インクを熱エネルギーまた
は機械エネルギーにより、例えば20〜60μm径の微
細な吐出口より吐出させ、重量が10ng〜160ng
の液滴として速度5〜20m/sで飛翔させてステキヒ
トサイズ度が3秒以上の記録用紙、特にステキヒトサイ
ズ度が3秒以上の所謂普通紙に画像を形成するこによ
り、色再現性が良好で鮮明性に優れた画像を高解像度で
形成することができる。また、このときの記録用紙面上
のインク付着量としては、2g/m2から25g/m2
好ましく、この付着量によれば記録用紙にカールや波打
ちといった紙の吸水による変化を生じさせることなく、
良好な画像濃度を確保することができる。特に、ステキ
ヒトサイズ度が3秒以上の記録用紙に記録用インクを
2.0g/m2から20g/m2付着せしめることによ
り、解像度10ドット/mm×10ドット/mm以上の
高解像度の画像を形成をすることができる。さらに、本
発明の記録用インクを用いることにより、オーバーヘッ
ドプロジェクター(OHP)用透明シートに色再現性や
透明性に優れた画像を形成することができる。
【0036】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。
【0037】実施例1 先ず前記表1に示した(1−1)の顔料を分散剤の存在
下で超音波ホモジェナイザーにより分散し粒子径を0.
1μm以下とした分散液を用いて下記処方の組成物を撹
拌溶解し、水酸化リチウム10%水溶液によってpHが
7.5になるように調整し、これを0.45μmのテフ
ロンフィルターにて濾過し記録用インクを得た。 前記表1に示した(1−1)の顔料 2 重量% 前記化学式(3−P)の高分子染料 4 重量% スチレンアクリル酸重合体 0.4重量% グリセロール 5 重量% N−ヒドロキシエチルピロリドン 10 重量% 一般式(5)の界面活性剤(R3=C919、k=18) 2 重量% 一般式(5)の界面活性剤(R3=C919、k=10) 1 重量% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量% イオン交換水 残量
【0038】実施例2 下記組成物を用い、pHを水酸化ナトリウムで6.8に
調整した以外は実施例1と同様にして記録用インクを得
た。 前記表1に示した(2−1)の顔料 1.2重量% 前記化学式(4−P)の高分子染料 4 重量% 1,2,6−ヘキサントリオール 4 重量% 1,5−ペンタンジオール 8 重量% N−メチル−2−ピロリドン 10 重量% 一般式(6)の界面活性剤(m,n=20) 1.2重量% 一般式(6)の界面活性剤(m,n=10) 1 重量% アルギン酸ナトリウム 0.05重量% 尿素 5 重量% 2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量% イオン交換水 残量
【0039】実施例3 下記組成物を用い、pHを水酸化リチウムで8.5に調
整した以外は実施例1と同様にして記録用インクを得
た。 前記表1に示した(1−2)の顔料 1 重量% 前記化学式(3−P)の高分子染料 0.5重量% 酸化チタン(粒子径0.1μm) 0.3重量% ジエチレングリコール 5 重量% グリセロール 5 重量% N−ヒドロキシエチルピロリドン 10 重量% スチレンアクリル酸重合体 0.5重量% 一般式(7)の界面活性剤(R4=C919、n=12) 2 重量% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量% イオン交換水 残量
【0040】実施例4 下記組成物を用い、pHを水酸化リチウムで9.5に調
整した以外は実施例1と同様にして記録用インクを得
た。 前記表1に示した(2−3)の顔料 1.0重量% 前記化学式(4−P)の高分子染料 2.2重量% エチレングリコール 5 重量% グリセロール 2 重量% 1,5−ペンタンジオール 8 重量% 2−ピロリドン 2 重量% 一般式(8)の界面活性剤(R5=C613、m、n=20) 0.8重量% 尿素 5 重量% 安息香酸ナトリウム 0.2重量% イオン交換水 残量
【0041】実施例5 下記組成物を用い、pHを水酸化ナトリウムで7.8に
調整した以外は実施例1と同様にして記録用インクを得
た。 前記表1に示した(2−1)の顔料 0.8重量% 前記表2に示した(2−4)の顔料 0.2重量% 前記化学式(4−P)の高分子染料 3.5重量% トリエチレングリコール 5 重量% ペトリオール 10 重量% N−メチル−2−ピロリドン 5 重量% 一般式(7)の界面活性剤 2 重量% 〔R4:(C6132CH−、n=12〕 ヒドロキシエチル尿素 5 重量% 2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量% イオン交換水 残量
【0042】比較例1 実施例1において前記表1に示した(1−1)の顔料お
よび化学式(3−P)の高分子染料に代えてC.I.ア
シッドレッド52を用いた以外は実施例1と同様にして
記録用インクを得た。
【0043】比較例2 実施例2において前記表1に示した(2−1)の顔料お
よび化学式(4−P)の高分子染料に代えてC.I.ア
シッドブルー249を用いた以外は実施例2と同様にし
て記録用インクを得た。
【0044】比較例3 実施例3において前記化学式(3−P)の高分子染料に
代えてC.I.アシッドレッド35を用いた以外は実施
例3と同様にして記録用インクを得た。
【0045】比較例4 実施例4において前記表1に示した(2−3)の顔料お
よび化学式(4−P)の高分子染料に代えてC.I.ア
シッドブルー9を用いた以外は実施例4と同様にして記
録用インクを得た。
【0046】比較例5実施例5において一般式(7)の
界面活性剤を除いた以外は実施例5と同様に して記録用インクを得た。
【0047】つぎに上記実施例1〜5及び比較例1〜5
によって得られた記録用インクについて、下記ような試
験を行った。その結果を表3に示す。 1)画像の鮮明性 サーマルインクジェット方式のノズル径45μm、30
0dpiのノズルを有するインクジェットプリンター及
び積層PZTを液室流路の加圧に使用したノズル径33
μm、128dpiのノズルを有するインクジェットプ
リンターによって、市販の再生紙、上質紙およびボンド
紙の3種類の印字用紙に印字を行い、印字画像につい
て、2色重ね部境界の滲み、画像滲み、色調、濃度を目
視により総合的に判断し画像の鮮明性を評価した。表3
において、○印は印字された画像の特性が3種類の印字
用紙のいずれにおいても満足されている場合を、△印は
少なくとも1種の印字用紙で満足されている場合を、×
印は3種類の印字用紙のいずれにおいても満足されてい
ない場合を示している。また、PVAを主成分とする層
を表面に有するPETフィルムに実施例および比較例の
記録用インクを用いて印字し、その印字画像を有するP
ETフィルムをオーバーヘッドプロジェクターにより投
影し発色性の評価を行った。表3において、○印は透明
性が高く2色重ね部および単色部の発色が良好である場
合を、△印は単色部の発色はが良好であるが2色重ね部
の発色がややくすむ場合を、×印は単色部での発色も悪
い場合を示している。 2)画像の耐水性 印字画像サンプルを30℃の水に1分間浸漬して処理前
後の画像濃度の変化をマクベス濃度計で測定し、下記の
式により耐水性(退色率%)を求めた。表3において、
○印は3種類の印字用紙のいずれにおいても耐水性(退
色率%)が10%未満である場合を、△印は10%以上
30%未満の場合を、また×印は30%以上である場合
を示している。 退色率(%)=[1−(処理後の画像濃度/処理前の画
像濃度)]×100 3)画像の耐光性 印字画像サンプルをキセノンフィードメーターによりブ
ラックパネル温度63度で3時間照射して処理前後の画
像濃度の変化をマクベス濃度計で測定し、下記の式によ
り耐光性(退色率%)を求めた。表3において、○印は
3種類の印字用紙のいずれにおいても耐光性(退色率
%)が5%未満である場合を、△印は5%以上30%未
満の場合を、また×印は30%以上である場合を示して
いる。 退色率(%)=[1−(処理後の画像濃度/処理前の画
像濃度)]×100 4)画像の乾燥性 印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけ記録用インク
が濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。表3に
おいて、3種類の印字用紙のいずれにおいても10秒以
内で乾燥した場合を○印とし、それ以上の時間を要した
場合を×印として示した。 5)保存安定性 各記録用インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、
5℃、20℃、70℃のそれぞれの条件下で3カ月保存
し、保存後の表面張力、粘度、及び沈澱物析出の有無を
調べた。表3において、どの条件で保存しても、物性等
の変化がない場合を○印、沈殿はないが物性変化が大き
い場合を△印、沈殿の析出が認められる場合を×印とし
て示した。 6)印字休止時信頼性 ノズル径30μm、128dpiのノズルを有するPZ
Tで駆動するヘッドを備えたインクジェットプリンター
を使用し、動作中にキャップ、クリーニング等が行われ
ないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べ、ど
れだけの時間で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴
の重量が変化するかでその信頼性を評価した。表3にお
いて、600秒の印字休止で特に問題のない場合を○
印、600秒の印字休止で液滴重量の変化が小さく、噴
射方向のずれが小さい場合を△印、600秒以内の印字
休止で顕著な目詰まりが発生した場合を×印として示し
た。
【0048】
【表3】
【0049】表3から明らかなように、実施例により得
られた記録用インクを用いた場合には、色調に優れ色再
現性が良好で、滲みがなく濃度の高い鮮明な画像であ
り、且つ耐水性および耐光性に優れた画像をいずれの印
字用紙を用いた場合にも得ることができ、また画像の乾
燥性にも優れている。さらに、実施例により得られた記
録用インクは、保存安定性に優れており、長期間の保存
後においても、また印字休止後においても、吐出信頼性
の高いインクジェット記録を行うことができる。
【0050】これに対し、比較例により得られた記録用
インクは、これらのいずれかが満足されないものであっ
た。すなわち、比較例1により得られた記録用インクで
は滲みの発生により画像の鮮明性に劣り、また画像の耐
水性および耐光性が悪く、比較例2により得られた記録
用インクでは画像の鮮明性に劣り、画像の耐水性が悪
く、また記録用インクの保存安定性に劣るものであっ
た。比較例3により得られた記録用インクでは画像の鮮
明性に劣り、画像の耐水性および耐光性が悪く、比較例
4により得られた記録用インクでは画像の鮮明性に劣
り、画像の耐水性および耐光性が悪く、また記録用イン
クの保存安定性に劣るものであった。また、比較例5に
より得られた記録用インクは保存安定性が悪く、また吐
出信頼性に劣っているものであった。さらに、実施例に
より得られた記録用インクを用いた場合には、OHP適
性が良好であったが、比較例により得られた記録用イン
クを用いた場合には、OHP適性に劣るものであった。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、色調に優れ色再現性が
良好で画像にじみも少ない鮮明な画像を形成することが
でき、且つ画像の耐水性および耐光性に優れた記録用イ
ンクを得ることができる。特に、ブルー、グリーン、レ
ッドなどの2次色の色再現性に優れ、またオーバーヘッ
ドプロジェクター用透明シートに透明性の優れた画像を
形成することができる記録用インクを得ることができ
る。また、本発明によれば、特に着色剤の分散安定性が
良好であり、保存安定性に優れ、長期間の保存後や印字
休止後においても、インクジェット記録における吐出信
頼性の高い記録用インクを得ることができる。更に、本
発明によれば、記録用インクの普通紙に対する浸透性が
高く、形成された画像の乾燥性に優れ、且つ画像の滲み
が防止され鮮明な画像を形成することができる記録用イ
ンクを得ることができる。また、本発明によれば、色再
現性に優れたマゼンタ色の記録用インクおよびシアン色
の記録用インクを得ることができる。さらに、本発明の
記録用インクを用いるインクジェット記録方法により、
耐水性および耐光性に優れ、色再現性が良好で鮮明性に
優れた画像を高解像度で形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 昭子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 望月 博孝 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 小谷野 正行 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 山田 郁子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 露木 孝範 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平6−100812(JP,A) 特開 昭60−38482(JP,A) 特開 昭63−314285(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20 B41J 2/01 - 2/21 B41M 5/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に分散または溶解する着色剤、水およ
    び水溶性有機溶媒を主成分とする記録用インクにおい
    て、着色剤として下記一般式(1)で表されるキナクリ
    ドン系顔料および下記一般式(2)で表されるフタロシ
    アニン顔料の少なくとも1種の顔料p−スチレンスル
    ホン酸とヒドロキシアルキルメタクリレートまたはヒド
    ロキシアルキルアクリレートとの共重合体に塩基性染料
    を造塩せしめてなる平均分子量5000乃至15万の高
    分子染料とを同時に含有し、分散剤として親水性部分と
    疎水性部分を有する高分子化合物及び/または炭素数6
    以上のアルキル基を有する界面活性剤を含有することを
    特徴とする記録用インク。 【化1】 (式中、R1、R2はアルキル基、ハロゲン原子または水
    素原子を表す。) 【化2】 (式中、Mは銅、鉄、ニッケルまたは水素原子を表し、
    Xは水素原子またはハロゲン原子を表す。pは0から8
    の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 界面活性剤の少なくとも1種としてポリ
    オキシアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤を含
    有することを特徴とする請求項1記載の記録用インク。
  3. 【請求項3】 顔料の粒子径が0.01μm乃至0.1
    μmであることを特徴とする請求項1または2記載の記
    録用インク。
  4. 【請求項4】 顔料および高分子染料とともに粒子径が
    0.1μm以下の酸化チタン微粒子を含有することを特
    徴とする請求項1、2または3記載の記録用インク。
  5. 【請求項5】 顔料が一般式(1)で表されるキナクリ
    ドン系顔料であり、高分子染料がp−スチレンスルホン
    酸とヒドロキシアルキルメタクリレートまたはヒドロキ
    シアルキルアクリレートとの共重合体に下記化学式
    (3)で表される塩基性染料を造塩せしめてなる平均分
    子量5000乃至15万の高分子染料であることを特徴
    とする請求項1、2、3または4記載の記録用インク。 【化3】
  6. 【請求項6】 顔料が一般式(2)で表されるフタロシ
    アニン顔料であり、高分子染料がp−スチレンスルホン
    酸とヒドロキシアルキルメタクリレートまたはヒドロキ
    シアルキルアクリレートとの共重合体に下記化学式
    (4)で表される塩基性染料を造塩せしめてなる平均分
    子量5000乃至15万の高分子染料であることを特徴
    とする請求項1、2、3または4記載の記録用インク。 【化4】
  7. 【請求項7】 ポリオキシアルキレン基を有する非イオ
    ン性界面活性剤が下記一般式(5)、(6)、(7)お
    よび(8)で表される界面活性剤の少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項2、3、4、5または6記載
    の記録用インク。 【化5】 (式中、R3は分岐していてもよい炭素数6乃至14の
    炭素鎖を表し、kは5から20の整数を表す。) 【化6】 (式中、m、nは0から20の整数を表す。) 【化7】 (式中、R4は分岐していてもよい炭素数6乃至14の
    炭素鎖を表し、nは5から20の整数を表す。) 【化8】 (式中、R5は分岐していてもよい炭素数6乃至14の
    炭素鎖を表し、m、nは0から20の整数を表す。但し
    m、nがともに0となることはない。)
  8. 【請求項8】 高分子染料が、p−スチレンスルホン酸
    とヒドロキシアルキルメタクリレートまたはヒドロキシ
    エチルメタクリレートまたはヒドロキシエチルアクリレ
    ートとを基本単位として有する共重合体からなる高分子
    化合物に塩基性染料を造塩せしめてなる高分子染料であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6また
    は7記載の記録用インク。
  9. 【請求項9】 非イオン性界面活性剤とともに尿素及び
    尿素誘導体の少なくとも1種を含有することを特徴とす
    る請求項2、3、4、5、6、7または8記載の記録用
    インク。
  10. 【請求項10】 水溶性有機溶媒としてピロリドン誘導
    体の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の記録用
    インク。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10の記録用インクを熱
    エネルギーまたは機械エネルギーにより微小な液滴とし
    て飛翔させ、ステキヒトサイズ度が3秒以上の記録用紙
    に記録用インクを2.0g/m2乃至20g/m2付着せ
    しめることにより、解像度10ドット/mm×10ドッ
    ト/mm以上の画像を形成をすることを特徴とする記録
    方法。
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