JP4230201B2 - インクセット、これを用いる記録方法、記録画像およびインクヘッド - Google Patents

インクセット、これを用いる記録方法、記録画像およびインクヘッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録法において好適に用いられるインクセット、これを用いる記録方法記録画像およびインクヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録法は、力学的エネルギまたは熱エネルギを用いてインク組成物(以下、単に「インク」とも称する)の液滴を吐出、飛翔させ、その液滴を紙などの被記録材上に付着させることによって画像を記録する方法である。
【0003】
従来から、インクジェット記録法に用いられるインク(以下、単に「インクジェット用インク」とも称する)の特性は、表面張力や粘度などの物性値によって示されている。これらの物性値を規定することによって、インクの乾燥性の調整や形成される画像の品質の向上が図られている。
【0004】
たとえば、表面張力を因子として含むウェーバー数と粘度を因子として含むレイノルズ数との積によって規定されるインク滴によるインクジェット記録方法が提案されている。ウェーバー数とレイノルズ数との積を特定の範囲内にすることによって、高品質な画像を実現している(特許文献1参照)。また、表面張力が特定の範囲にあるインクを使用するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
これらの特許文献1および特許文献2に記載の技術で扱われる表面張力は、いずれも液体表面が平衡状態に達したときの表面張力、すなわち静的表面張力である。またインクジェット用インクの特性の指標として一般的に用いられる表面張力も静的表面張力である(たとえば、非特許文献1参照)。このように、インクジェット用インクの特性は、表面張力の中でも静的表面張力によって示されることが多い。
【0006】
しかしながら、静的表面張力でインクジェット用インクの特性を充分に示すことは難しい。
【0007】
インクジェット記録法を用いて画像を記録するインクジェット記録装置では、インクヘッド内のインク室にインクを充填しておき、インク室の先端に設けられる吐出口からインクの液滴を連続的に吐出、飛翔させ、被記録材上に付着させることによって画像を記録する。インクが連続的に吐出される際、吐出口ではインク滴が吐出されると同時にインクの新生表面、すなわち新たなメニスカスが形成されるので、インクの表面張力は、吐出口に新生表面が形成され始めるとき、吐出される直前、吐出される瞬間、飛翔時、被記録材上に着弾する瞬間、紙などの被記録材に浸透していくときなどで異なる。すなわち、インクの表面張力は、吐出口に新生表面が形成され始めるときや紙などの被記録材に浸透していくときのように動きの遅い状態における表面張力と、吐出される瞬間などのように動きの速い状態における表面張力との間で刻々と変化する。したがって、インクジェット用インクの特性を充分に示すためには、液体表面が平衡状態に達する途中の表面張力である動的表面張力を用いる必要がある。
【0008】
動的表面張力の重要性は、多くの文献に記載されている。たとえば、Schwartz,Jは、水性塗料の静的表面張力および動的表面張力について評価し、動的表面張力が水性塗料による塗膜形成において重要な因子であり、動的表面張力を低くすることが均一な優れた塗膜の形成に有効であることを示している(非特許文献2参照)。
【0009】
また、Medina,S.W.およびSutovich,M.N.は、高速印刷における動的表面張力の重要性について論じ、液体表面が平衡に達したときの表面張力である静的表面張力は、紙などに浸透していくときのように動きの遅い状態にあるインクの性質を表す指標としては有効であるけれども、高速印刷の際のように特に動きの速い状態にあるインクの性質を表す指標としては有効でないことを示唆している(非特許文献3参照)。
【0010】
また、動的表面張力と粘度との関係を規定したインクジェット記録法に好適なインク組成物およびそれを用いる記録方法が提案されている。この技術では、インク組成物が、[寿命0msecの動的表面張力(dyne/cm)]+[粘度(cP)]=42〜49の条件を満たす範囲で良好な印字特性が得られることを示している(特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献1】
特許第2968010号明細書
【特許文献2】
特公昭63−65034号公報
【特許文献3】
特許第2516218号明細書
【非特許文献1】
木下晃男外著,「特殊機能インキの実際技術」,普及版第1刷,株式会社シーエムシー,1999年11月15日,p.4
【非特許文献2】
Schwartz,J.,「The Importance of Low Dynamic Surface Tension in Waterborne Coatings」,Journal of Coatings Technology,米国,vol.64,no.812(1992),p.65−74
【非特許文献3】
Medina,S.W. and Sutovich,M.N.,「Using Surfactants to Formulate VOC Comoliant Waterbased Inks」,American Ink Maker,米国,vol.72,no.2(1994),p.32−38
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載の技術では、動的表面張力の値と粘度の値とを加算した条件式を用い、動的表面張力を規定しているけれども、動的表面張力と粘度とは単位が異なる、すなわち次元が異なるので、前述の条件式の値自体は何ら意味を有するものではない。
【0013】
またこの技術で規定される動的表面張力は、0msecという特に動きの速い状態における動的表面張力だけであり、動きの遅い状態における動的表面張力は規定されていない。前述のように、インクジェット記録法では、インクの表面張力は、動きの遅い状態における表面張力と動きの速い状態における表面張力との間で刻々と変化するので、インクジェット用インクの特性を充分に示すためには、動きの速い状態における動的表面張力と動きの遅い状態における動的表面張力との両方が必要である。
【0014】
またこの技術では、界面活性剤は、動的表面張力の低下に寄与しないことが示されている。しかしながら、界面活性剤は、一般にインクジェット用インクのインク室の内壁に対する濡れ性や被記録材上における性質に大きく寄与することが知られており、インクの必須成分であると同時に動的表面張力を制御する上でも重要なものである。たとえば、Schwartz,Jは、前述の非特許文献2において、いくつかの界面活性剤を用いて静的表面張力および動的表面張力を変化させ、それらが塗膜形成に与える影響について評価し、動的表面張力を低くすることが、塗膜の収縮、塗膜へのクレータの発生および気泡のかみ込みの低減に対して有効であることを示している。また、Medina,S.W.およびSutovich,M.N.は、前述の非特許文献3において、動的表面張力は、インクに含まれる界面活性剤が、吐出口で次々と新たに形成されるインクの新生表面、または被記録材上に次々と付着するインク滴と被記録材との界面に移行する能力の指標であることを示唆している。すなわち、界面活性剤は、インクの新生表面またはインク滴と被記録材との界面に吸着することによってインクの表面張力を下げるので、インクの新生表面またはインク滴と被記録材との界面に移行する能力が高いほど、動きの速い状態にあるインクの表面張力を下げる効果が高く、インクの動的表面張力は低くなる。このように、界面活性剤の性質は、インクの動的表面張力に大きく影響する。
【0015】
本発明の目的は、含有させる界面活性剤の性質を規定することによって、インク組成物の動きの速い状態における動的表面張力と動きの遅い状態における動的表面張力との関係を制御し、インクジェット記録法に用いた場合、吐出安定性に優れるとともに高品質の記録画像を得ることが可能なインクセット、これを用いる記録方法記録画像およびインクヘッドを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、異なる色材を含有する複数のインク組成物を含むインクセットであって、
色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24〜26℃で最大泡圧法によって測定される動的表面張力のうち、気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、下記式(1)
0mN/m≦d≦15mN/m …(1)
を満足し、かつ下記一般式(I)
【化5】
Figure 0004230201
(式中、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、mとnとの和(m+n)は10である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリンおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(A)と、
色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、前記気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、前記式(1)を満足し、かつ下記一般式(III)
【化6】
Figure 0004230201
(式中、hは0〜11の整数を示し、iは0〜11の整数を示し、jは9であり、hとiとの和(h+i)は9〜11の整数である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(B)と、
色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、前記気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、前記式(1)を満足し、かつ下記一般式(IV)
【化7】
Figure 0004230201
(式中、wは0〜11の整数を示し、xは9であり、yは5であり、zは0〜9の整数を示し、wとzとの和(w+z)は9〜11の整数である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(C)とを含むことを特徴とするインクセットである。
【0017】
本発明に従えば、インクセットは、異なる色材を含有する複数のインク組成物を含む。各インク組成物は、色材と、有機溶媒と、水と、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24℃以上26℃以下で最大泡圧法によって測定される動的表面張力のうち、気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、ある一定の範囲内にある界面活性剤とを含有する。インク組成物の動的表面張力は、インク組成物に含有される有機溶媒の種類および含有量によっても変化するけれども、界面活性剤による影響を最も大きく受ける。すなわち、インク組成物の動的表面張力は、界面活性剤によって制御することができる。インクジェット記録法を用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、インク組成物の液滴が連続的に吐出される際、インクヘッド内のインク室の先端に設けられる吐出口では、インク組成物の新生表面が絶えず発生するので、インク組成物の動きは速く、動きの速い状態における動的表面張力に相当する10Hz程度の高周波数での動的表面張力の影響が大きい。一方、インク室では、インク組成物が吐出された後、吐出されて減少した体積分のインク組成物がインクタンクから毛管作用によって供給されるので、インク組成物の動きは遅く、動きの遅い状態における動的表面張力に相当する1Hz程度の低周波数での動的表面張力の影響が大きい。すなわち、吐出の際には、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との両方が影響するので、インク組成物の液滴を安定して吐出させるためには高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力とのバランスを取ることが必要である。また、インク組成物の液滴を被記録材上に付着させ画像を記録する際のインク組成物の動きは、液滴が被記録材に着弾する瞬間には速いけれども、その後徐々に遅くなり、吸収性の被記録材の場合には、インク組成物はゆっくりと被記録材中に浸透していく。すなわち、インク組成物の動的表面張力は、動きの速い状態における動的表面張力から動きの遅い状態における動的表面張力に変化するので、高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との差が大きいと、被記録材上においてインク組成物が乾燥するまでに時間がかかり、滲みが生じる。また浸透し過ぎて、裏抜けを生じる。このように、インクジェット記録法では、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係が重要である。前述のように、インク組成物の動的表面張力は界面活性剤によって制御することができるので、インク組成物に含有される界面活性剤の性質を規定することによってインク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を制御することができる。したがって、前述のように、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の前記気泡周波数10Hzでの動的表面張力(σ10)と前記気泡周波数1Hzでの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、ある一定の範囲内にある界面活性剤を含有させることによって、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を好適なものにすることができるので、インクジェット記録法に用いた場合、吐出安定性に優れるとともに、被記録材上における滲みを抑え高品質の記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
またインクセットは、界面活性剤が一般式(I)で示される界面活性剤であり、有機溶媒がジエチレングリコール、グリセリンおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(A)と、界面活性剤が一般式(III)で示される界面活性剤であり、有機溶媒がジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(B)と、界面活性剤が一般式(IV)で示される界面活性剤であり、有機溶媒がジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(C)とを含むので、カラーバランスに優れる。このようなインクセットを用いることによって、様々な色を表現することができるので、発色性に優れるフルカラーの記録画像を実現することができる。
また一般式(I)で示される界面活性剤、一般式(III)で示される界面活性剤および一般式(IV)で示される界面活性剤は、共存する電解質の影響を受けにくい非イオン系界面活性剤であるので、インク組成物に電解質が添加されるか否かに関わらず、界面活 性剤によって制御される前述のインク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を好適なものにすることができる。また各インク組成物に含有される有機溶媒は、蒸気圧の低いグリコールエーテル類または多価アルコール類であるので、湿潤効果が得られ、吐出安定性を向上させることができる。
【0018】
また本発明は、前記気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)および前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)は、20〜70mN/mであることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、前記気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)および前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)は、20mN/m以上70mN/m以下である。σ10およびσが20mN/m未満であると、インク組成物の高周波数での動的表面張力および低周波数での動的表面張力が低くなり過ぎるので、吸収性の被記録材に対するインク組成物の浸透性が高くなり過ぎ、吸収性の被記録材上に付着した際にインク組成物が着弾点から周囲に広がり、形成される記録画像の輪郭が不鮮明になる。またσ10およびσが70mN/mを超えると、インク組成物の高周波数での動的表面張力および低周波数での動的表面張力が高くなり過ぎるので、吸収性の被記録材に対するインク組成物の浸透性が低くなり過ぎ、吸収性の被記録材上における乾燥性が低下する。またインク組成物とインク室の内壁との濡れ性が悪くなり、インク室へのインク組成物の供給が滞り、インク室にインク組成物が充填されにくくなるので、安定してインク組成物の液滴を吐出させることができない。またインク室の先端に設けられる吐出口にインク組成物の新生表面を所望の形状に形成すること、すなわち、メニスカスを制御することが困難になるので、高速で連続的にインク組成物の液滴を吐出させることができない。したがって、前述のように、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の前記気泡周波数10Hzでの動的表面張力(σ10)および前記気泡周波数1Hzでの動的表面張力(σ)が20mN/m以上70mN/m以下であり、σ10とσとの差d(=σ10−σ)が、ある一定の範囲内にある界面活性剤を含有させることによって、インクジェット記録法に用いた場合、吐出安定性に優れるとともに、被記録材上における滲みを抑え高品質の記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
【0022】
また本発明は、前記色材は、染料を含むことを特徴とする。
本発明に従えば、前記色材は、染料を含むので、目詰まりの発生を抑え、吐出安定性を向上させることができる。
【0023】
また本発明は、前記色材は、顔料を含むことを特徴とする。
本発明に従えば、前記色材は、顔料を含むので、耐光性および耐水性に優れる記録画像を得ることができる。
【0024】
また本発明は、前記顔料は、親水基を有することを特徴とする。
本発明に従えば、前記顔料は、親水基を有するので、水を含有する前記インク組成物中に、安定に分散されて存在することができる。したがって、目詰まりの発生を抑えることができるので、吐出安定性を損なうことなく、耐光性および耐水性に優れる記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
【0027】
また本発明は、前記界面活性剤は、臨界ミセル濃度以上の濃度で含有されることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、前記界面活性剤は、臨界ミセル濃度以上の濃度で含有される。界面活性剤を含有する溶液の表面張力は、臨界ミセル濃度までは界面活性剤の増加に伴って低下するけれども、臨界ミセル濃度以上ではほぼ一定である。したがって、前述のように前記界面活性剤を臨界ミセル濃度以上含有させることによって、前記界面活性剤の効果を充分に発揮させ、前記界面活性剤によって制御される前述のインク組成物の高周波数での動的表面張力および低周波数での動的表面張力をそれぞれほぼ一定の値にすることができるので、均一な性質を有するインク組成物を得ることができる。
【0029】
また本発明は、前記インク組成物(A)は、前記色材が、C.I.ピグメントブルー15:3であることを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、前記インク組成物(A)は、前記色材が、C.I.ピグメントブルー15:3であるので、シアンの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
【0031】
また本発明は、前記インク組成物(B)は、前記色材が、C.I.ピグメントレッド122であることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、前記インク組成物(B)は、前記色材が、C.I.ピグメントレッド122であるので、マゼンタの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
【0033】
また本発明は、前記インク組成物(C)は、前記色材が、C.I.ピグメントイエロー74であることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、前記インク組成物(C)は、前記色材が、C.I.ピグメントイエロー74であるので、イエローの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
またインクセットに含まれるインク組成物(A)に含有される色材がC.I.ピグメントブルー15:3であり、インク組成物(B)に含有される色材がC.I.ピグメントレッド122であり、インク組成物(C)に含有される色材がC.I.ピグメントイエロー74である場合、これらの3種類のインク組成物を重ね合せることによって、濃度の濃い黒色の記録画像を実現することができる。すなわち、前述の3種類のインク組成物を含むインクセットは、カラーバランスに優れる。したがって、前述の3種類のインク組成物を含むインクセットを用いることによって、様々な色を表現することができるので、発色性に優れるフルカラーの記録画像を実現することができる。
【0035】
また本発明は、色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、前記気泡周波数10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が前記式(1)を満足し、かつ下記一般式(II)
【化8】
Figure 0004230201
(式中、kは11〜13の整数を示し、lは15である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルであるインク組成物(D)をさらに含むことを特徴とする。
本発明に従えば、インクセットは、界面活性剤が一般式(II)で示される界面活性剤であり、有機溶媒がジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(D)をさらに含む。
また本発明は、前記インク組成物(D)は、前記色材が、カーボンブラックであることを特徴とする。
本発明に従えば、前記インク組成物(D)は、前記色材が、カーボンブラックであるので、ブラックの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
またインクセットに含まれるインク組成物(A)に含有される色材がC.I.ピグメントブルー15:3であり、インク組成物(B)に含有される色材がC.I.ピグメントレッド122であり、インク組成物(C)に含有される色材がC.I.ピグメントイエロー74であり、インク組成物(D)に含有される色材がカーボンブラックである場合、インク組成物(A)と、インク組成物(B)と、インク組成物(C)との3種類のインク組成物を重ね合せることによって、濃度の濃い黒色の記録画像を実現することができる。すなわち、前述の3種類のインク組成物(A)〜(C)を含むインクセットは、カラーバランスに優れる。したがって、前述の3種類のインク組成物(A)〜(C)に、インク組成物(D)を加えた4種類のインク組成物を含むインクセットを用いることによって、様々な色を表現することができるので、発色性に優れるフルカラーの記録画像を実現することができる。
【0036】
また本発明は、インクセットに含まれるインク組成物の少なくとも1つを被記録材上に付着させることによって画像を記録する記録方法であって、
前記インクセットには、前記本発明のインクセットのうちのいずれかが用いられることを特徴とする記録方法である。
【0037】
本発明に従えば、インクセットに含まれるインク組成物の少なくとも1つを被記録材上に付着させることによって画像を記録する記録方法に、前記本発明のインクセットのうちのいずれかを用いるので、高品質の記録画像を安定して提供することができる。
【0038】
また本発明は、インクセットに含まれるインク組成物の少なくとも1つに圧力をかけることによって前記インク組成物の液滴を吐出させ、前記液滴を被記録材上に付着させることによって画像を記録する記録方法であって、
前記インクセットには、前記本発明のインクセットのうちのいずれかが用いられることを特徴とする記録方法である。
【0039】
本発明に従えば、インクセットに含まれるインク組成物の少なくとも1つに圧力をかけて前記インク組成物の液滴を吐出させ、前記液滴を被記録材上に付着させることによって画像を記録する記録方法、すなわちインクジェット記録法に、前記本発明のインクセットのうちのいずれかを用いるので、安定した吐出が可能であるとともに、高品質の記録画像を安定して提供することができる。
【0044】
また本発明は、前記記録方法によって記録されることを特徴とする記録画像である。
【0045】
本発明に従えば、記録画像は、前記記録方法によって記録されるので、高品質の記録画像を得ることができる。
【0050】
また本発明は、前記本発明のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留するインクタンクと、
前記インク組成物の液滴を吐出する吐出口を有し、前記インクタンクから前記インク組成物がそれぞれ供給されるインク室と、
印加される電圧に応答してひずみを生じる圧電素子であって、前記インク室の少なくとも一部に設けられ前記インク室に収容される前記インク組成物に対してそれぞれ圧力をかける圧電素子と、
前記圧電素子に電圧を印加するために設けられる電極とを含むことを特徴とするインクヘッドである。
【0051】
本発明に従えば、インクヘッドは、インクタンクによって前記本発明のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留し、前記インク組成物の液滴を吐出する吐出口を有するインク室によって前記インクタンクからそれぞれ供給される前記インク組成物を収容し、印加される電圧に応答してひずみを生じる圧電素子であって、前記インク室の少なくとも一部に設けられる圧電素子によって前記インク室に収容される前記インク組成物に対してそれぞれ圧力をかけ、電極によって前記圧電素子に電圧を印加する。このことによって、前記圧電素子に印加される電圧に応じて、前記吐出口から前記インク組成物の液滴を吐出させることのできるピエゾ方式のインクヘッドを得ることができる。また、前記インクタンクは前記本発明のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留するので、安定して前記吐出口から前記インク組成物の液滴を吐出させることができる。また発色性に優れるフルカラーの記録画像を提供することができる。このようなインクヘッドを用いれば、信頼性の高いピエゾ方式のインクジェット記録装置を実現することができる。
【0052】
また本発明は、前記本発明のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留するインクタンクと、
前記インク組成物の液滴を吐出する吐出口を有し、前記インクタンクから前記インク組成物がそれぞれ供給されるインク室と、
前記インク室の少なくとも一部に設けられ、前記インク室に収容される前記インク組成物をそれぞれ加熱し気泡を発生させることによって前記インク組成物に対してそれぞれ圧力をかける発熱体と、
前記発熱体に電圧を印加するために設けられる電極とを有することを特徴とするインクヘッドである。
【0053】
本発明に従えば、インクヘッドは、インクタンクによって前記本発明のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留し、前記インク組成物の液滴を吐出する吐出口を有するインク室によって前記インクタンクからそれぞれ供給される前記インク組成物を収容し、前記インク室の少なくとも一部に設けられる発熱体によって前記インク室に収容される前記インク組成物をそれぞれ加熱し、気泡を発生させることによって前記インク組成物に対してそれぞれ圧力をかけ、電極によって前記発熱体に電圧を印加する。このことによって、前記発熱体に印加される電圧に応じて、前記吐出口から前記インク組成物の液滴を吐出させることのできるサーマルインクジェット方式のインクヘッドを得ることができる。また、前記インクタンクは前記本発明のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留するので、安定して前記吐出口から前記インク組成物の液滴を吐出させることができる。また発色性に優れるフルカラーの記録画像を提供することができる。このようなインクヘッドを用いれば、信頼性の高いサーマルインクジェット方式のインクジェット記録装置を実現することができる。
【0054】
また本発明は、前記ピエゾ方式のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されることを特徴とする記録画像である。
【0055】
本発明に従えば、記録画像は、前述のように安定してインク組成物の液滴を吐出させることのできるピエゾ方式のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されるので、高品質の記録画像を安定して得ることができる。また発色性に優れるフルカラーの記録画像を提供することができる。
【0056】
また本発明は、前記サーマルインクジェット方式のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されることを特徴とする記録画像である。
【0057】
本発明に従えば、記録画像は、前述のように安定してインク組成物の液滴を吐出させることのできるサーマルインクジェット方式のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されるので、高品質の記録画像を安定して得ることができる。また発色性に優れるフルカラーの記録画像を提供することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
本発明の前提となるインク組成物は、色材と、有機溶媒と、水と、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24℃以上26℃以下で最大泡圧法によって測定される動的表面張力のうち、気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、下記式(1)を満足する界面活性剤とを含有する。
0mN/m≦d≦15mN/m …(1)
【0059】
ここで、純水とは、25℃において、0.1×10Ω・cm以上の電気抵抗率を有する水のことである。なお、前記純水の定義に用いる「0.1×10Ω・cm以上の電気抵抗率」は、電気伝導率で表すと、「10μS/cm以下の電気伝導率」になる。
【0060】
動的表面張力の測定方法である最大泡圧法について説明する。
最大泡圧法は、液中に細管を差込み、細管の先端から気泡を発生させることによって液中に液体と気体との界面を形成し、気泡内部と気泡外部との圧力差が最大となるとき、すなわち気泡の半径が細管の半径(r)と等しくなるときの圧力差(ΔP)を測定し、その値から表面張力(σ)を求める方法である。表面張力(σ)は、下記式(2)から求められる。
σ=ΔP・r/2 …(2)
【0061】
単位時間当たりの気泡の発生回数である気泡周波数を変化させることによって、動きの遅い状態から動きの速い状態までの動的表面張力を求めることができる。動きの遅い状態から動きの速い状態までの動的表面張力を求めることによって、液体の動的な性質の変化を評価することができる。
【0062】
本形態のインク組成物は、インク組成物を被記録材上に付着させることによって画像を記録する記録方法、たとえばインクジェット記録法またはペンなどの筆記具による記録方法などに用いられる。本形態のインク組成物を用いることによって、高品質の記録画像を安定して提供することができる。
【0063】
前述の記録方法の中でも、本形態のインク組成物は、インクジェット記録法に好適に用いられる。インクジェット記録法では、インク組成物に圧力をかけてインク組成物の液滴を吐出させ、この液滴を被記録材上に付着させることによって画像を記録する。インクジェット記録法に、本形態のインク組成物を用いることによって、安定した吐出が可能であるとともに、高品質の記録画像を安定して提供することができる。
【0064】
インクジェット記録法を用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、インク組成物の液滴が連続的に吐出される際、インクヘッド内のインク室の先端に設けられる吐出口では、インク組成物の新生表面が絶えず発生するので、インク組成物の動きは速く、動きの速い状態における動的表面張力に相当する10Hz程度の高周波数での動的表面張力の影響が大きい。一方、インク室では、インク組成物が吐出された後、吐出されて減少した体積分のインク組成物がインクタンクから毛管作用によって供給されるので、インク組成物の動きは遅く、動きの遅い状態における動的表面張力に相当する1Hz程度の低周波数での動的表面張力の影響が大きい。すなわち、吐出の際には、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との両方が影響するので、インク組成物の液滴を安定して吐出させるためには高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力とのバランスを取ることが必要である。また、インク組成物の液滴を被記録材上に付着させ画像を記録する際のインク組成物の動きは、液滴が被記録材に着弾する瞬間には速いけれども、その後徐々に遅くなり、吸収性の被記録材の場合には、インク組成物はゆっくりと被記録材中に浸透していく。すなわち、インク組成物の動的表面張力は、動きの速い状態における動的表面張力から動きの遅い状態における動的表面張力に変化するので、高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との差が大きいと、被記録材上においてインク組成物が乾燥するまでに時間がかかり、滲みが生じる。また浸透し過ぎて、裏抜けを生じる。このように、インクジェット記録法では、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係が重要である。
【0065】
インク組成物の動的表面張力は、インク組成物に含有される有機溶媒の種類および含有量によっても変化するけれども、界面活性剤による影響を最も大きく受ける。すなわち、インク組成物の動的表面張力は界面活性剤によって制御することができるので、インク組成物に含有される界面活性剤の性質を規定することによってインク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を制御することができる。したがって、前述のように、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の気泡周波数10Hzでの動的表面張力(σ10)と気泡周波数1Hzでの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、前記式(1)を満足する界面活性剤を含有させることによって、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を好適なものにすることができるので、インクジェット記録法に用いた場合、吐出安定性に優れるとともに、被記録材上における滲みを抑え高品質の記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
【0066】
以下に本形態のインク組成物における界面活性剤の選択上の範囲限定理由について説明する。
【0067】
σ10とσとの差d(=σ10−σ)が15mN/mを超えると、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力とのバランスが悪くなり、安定して液滴を吐出させることができない。また被記録材上において乾燥に時間がかかり滲みが生じるので、画質が低下する。したがって、15mN/m以下とした。
【0068】
σ10とσとの差d(=σ10−σ)が0mN/m未満であると、インク組成物の低周波数での動的表面張力が高くなり、インクヘッドを構成する部材に対するインク組成物の濡れ性が低下し、インク室にインク組成物を充填することが困難になる。したがって、0mN/m以上とした。
【0069】
前述の気泡周波数10Hzでの動的表面張力(σ10)および気泡周波数1Hzでの動的表面張力(σ)は、20mN/m以上70mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは20mN/m以上45mN/m以下である。
【0070】
σ10およびσが20mN/m未満であると、インク組成物の高周波数での動的表面張力および低周波数での動的表面張力が低くなり過ぎるので、吸収性の被記録材に対するインク組成物の浸透性が高くなり過ぎ、吸収性の被記録材上に付着した際にインク組成物が着弾点から周囲に広がり、形成される記録画像の輪郭が不鮮明になる。またσ10およびσが70mN/mを超えると、インク組成物の高周波数での動的表面張力および低周波数での動的表面張力が高くなり過ぎるので、吸収性の被記録材に対するインク組成物の浸透性が低くなり過ぎ、吸収性の被記録材上における乾燥性が低下する。またインク組成物とインク室の内壁との濡れ性が悪くなり、インク室へのインク組成物の供給が滞り、インク室にインク組成物が充填されにくくなるので、安定してインク組成物の液滴を吐出させることができない。またインク室の先端に設けられる吐出口にインク組成物の新生表面を所望の形状に形成すること、すなわち、メニスカスを制御することが困難になるので、高速で連続的にインク組成物の液滴を吐出させることができない。したがって、20mN/m以上70mN/m以下とした。
【0071】
前述の条件を満足する界面活性剤は、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤のいずれであってもよい。非イオン系、アニオン系およびカチオン系などの界面活性剤の種類は、インク組成物に含まれる電解質の種類に合わせて選択される。たとえば、インク組成物がアニオン性物質を含む場合には、非イオン系またはアニオン系の界面活性剤を使用する。またこれらの界面活性剤は、組合せて用いられてもよい。このとき、非イオン系、アニオン系およびカチオン系などの界面活性剤の種類は、同一でも異なってもよい。
【0072】
前述の条件を満足する界面活性剤の具体例としては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)で示される界面活性剤などが挙げられるけれども、前述の条件を満足する界面活性剤はこれに限定されるものではない。
【0073】
【化9】
Figure 0004230201
【0074】
【化10】
Figure 0004230201
【0075】
【化11】
Figure 0004230201
【0076】
【化12】
Figure 0004230201
【0077】
【化13】
Figure 0004230201
【0078】
【化14】
Figure 0004230201
【0079】
前記一般式(I)において、mは0〜30の整数または小数を示し、nは0〜30の整数または小数を示す。ただし、mとnとの和(m+n)は、0〜30の整数または小数である。
【0080】
前記一般式(II)において、kは11〜13の整数または小数を示し、lは3〜30の整数または小数を示す。
【0081】
前記一般式(III)において、hは0〜11の整数または小数を示し、iは0〜11の整数または小数を示し、jは3〜50の整数または小数を示す。ただし、hとiとの和(h+i)は、9〜11の整数または小数である。
【0082】
前記一般式(IV)において、wは0〜11の整数または小数を示し、xは5〜9の整数または小数を示し、yは2.5〜5の整数または小数を示し、zは0〜9の整数または小数を示す。ただし、wとzとの和(w+z)は、9〜11の整数または小数である。
【0083】
前記一般式(V)において、pは0〜78の整数または小数を示し、qは2〜15の整数または小数を示し、rは0〜18の整数または小数を示す。
【0084】
前記一般式(VI)において、sは0〜30の整数または小数を示し、tは0〜30の整数または小数を示す。ただし、sとtとの和(s+t)は、0〜30の整数または小数である。また、uは0〜10の整数または小数を示し、vは0〜10の整数または小数を示す。ただし、uとvとの和(u+v)は、0〜10の整数または小数である。
【0085】
前述の界面活性剤の中でも、非イオン系界面活性剤は、共存する電解質の影響を受けにくく、インク組成物に電解質が添加されるか否かに関わらず、界面活性剤によって制御される前述のインク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を好適なものにすることができるので、これを界面活性剤に用いることが好ましい。
【0086】
前述の条件を満足する界面活性剤は、インク組成物中に臨界ミセル濃度以上含まれることが好ましい。界面活性剤を含有する溶液の表面張力は、臨界ミセル濃度までは界面活性剤の増加に伴って低下するけれども、臨界ミセル濃度以上ではほぼ一定である。したがって、前述のように界面活性剤を臨界ミセル濃度以上含有させることによって、界面活性剤の効果を充分に発揮させ、界面活性剤によって制御される前述のインク組成物の高周波数での動的表面張力および低周波数での動的表面張力をそれぞれほぼ一定の値にすることができるので、均一な性質を有するインク組成物を得ることができる。
【0087】
臨界ミセル濃度は、各界面活性剤で異なるけれども、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤のいずれの場合にも、25℃において、0.001重量%〜3重量%程度である。
【0088】
本形態のインク組成物は、前述の条件を満足する界面活性剤だけでなく、前述の条件を満足しない他の界面活性剤を含有してもよい。
【0089】
また、本形態のインク組成物は、前述のように水を含有する。このことによって、吸収性の被記録材上における滲みを抑え、乾燥性を向上させることができる。
【0090】
インク組成物中の水の含有量は、30重量%以上95重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上85重量%以下である。水の含有量が30重量%未満であると、インク組成物中の有機溶媒の含有量が多くなり過ぎるので、水に溶解または分散するような添加剤をインク組成物中に安定に存在させることが困難になる。また粘度の上昇が著しく、インク組成物としての適正粘度から外れることがある。水の含有量が95重量%を超えると、有機溶媒の含有量が少なくなり過ぎるので、インク組成物の湿潤性を保つことができなくなる。したがって、30重量%以上95重量%以下とした。
【0091】
有機溶媒の具体例としては、たとえば、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどのアミド類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリンおよび1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコールモノフェニルエーテルなどのグリコールエーテル類などの多価アルコールのエーテル類、スルホランおよびジメチルスルホキシドなどの硫黄含有化合物、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンおよびε−カプロラクタムなどの窒素含有化合物、γ−ブチロラクトンなどの酸素含有化合物、ならびにジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンおよびモルホリンなどの多官能化合物などが挙げられるけれども、有機溶媒はこれに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
【0092】
前述した有機溶媒の中でも、グリコールエーテル類および多価アルコール類は、蒸気圧が低く、インク組成物中に含有させることによって、湿潤効果が得られ、吐出安定性を向上させることができるので、有機溶媒は、グリコールエーテル類および多価アルコール類のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。グリコールエーテル類および多価アルコール類の中でも、グリコールエーテル類であるジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルもしくはテトラエチレングリコールモノブチルエーテル、または多価アルコール類であるグリセリン、1,2−ヘキサンジオールもしくは1,5−ペンタンジオールは、25℃における蒸気圧が0.05mmHg以下であり、湿潤効果に優れるので、これらを有機溶媒に用いることがより好ましい。
【0093】
インク組成物中の有機溶媒の含有量は、3重量%以上70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以上50重量%以下である。有機溶媒の含有量が3重量%未満であると、インク組成物の乾燥が速く、湿潤性を保つことが困難である。有機溶媒の含有量が70重量%を超えると、水溶性または水分散性の添加剤をインク組成物中に安定に存在させることができない場合が生じる。また用いる有機溶媒の種類によっては粘度の上昇が著しく、インク組成物としての適正粘度を越えることがある。したがって、3重量%以上70重量%以下とした。ただし、インク組成物中の有機溶媒の含有量は、インク組成物が水を主成分とする場合には、3重量%以上40重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以上30重量%以下である。インク組成物が水を主成分とする場合に、有機溶媒の含有量が40重量%を超えると、用いる色材の種類にもよるけれども、得られる記録画像の品質の低下およびインク組成物の乾燥時間の遅延が起こる。したがって、3重量%以上40重量%以下とした。
【0094】
色材には、染料、顔料またはこれらの混合物が用いられる。染料および顔料は、これらが含有されたものであってもよく、またこれらが被着されたものであってもよい。
【0095】
色材に染料を用いることによって、目詰まりの発生を抑え、吐出安定性を向上させることができる。また色材に顔料を用いることによって、耐光性および耐水性に優れる記録画像を得ることができる。
【0096】
フルカラーのインクジェット記録法における各色の再現には、シアン(Cyan;略称:C)、マゼンタ(Magenta;略称:M)およびイエロー(Yellow;略称:Y)の3色のインク組成物が用いられ、これらのインク組成物を混色することによって、各色が表現される。ただし、前記3色の混色では黒色の再現が難しいので、黒色の表現には一般的にブラック(Black;略称:B)のインク組成物が用いられる。含有させる色材の色を変えることによって、シアン、マゼンタ、イエローまたはブラックのインク組成物を得ることができる。
【0097】
染料としては、酸性染料、直接染料、反応性染料および食品用色素などの水溶性染料が好適に用いられる。これらの中でも、耐水性、耐光性または安全性に優れるものを用いることが好ましい。
【0098】
染料の具体例としては、以下に示す染料が挙げられるけれども、染料はこれに限定されるものではない。なお、以下では、染料をカラーインデックス(Color Index;略称:C.I.)ナンバーで示す。
【0099】
シアンのインク組成物に用いられる染料としては、たとえば、酸性染料であるC.I.アシッドブルー7,9,29,45,92および249、直接染料であるC.I.ダイレクトブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,90,98,163,165,199および202、ならびに反応性染料であるC.I.リアクティブブルー1,2,7,14,15,23,32,38,41,63,80および95などが挙げられる。これらの中でも、C.I.アシッドブルー7および9、ならびにC.I.ダイレクトブルー199からなる群から選ばれる少なくとも1つの染料を用いることが好ましい。
【0100】
マゼンタのインク組成物に用いられる染料としては、たとえば、酸性染料であるC.I.アシッドレッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254および289、直接染料であるC.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225および227、C.I.ダイレクトオレンジ26,29,62および102、ならびに反応性染料であるC.I.リアクティブレッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,58,60,66,74,79,96,97,141,147,180および181などが挙げられる。これらの中でも、C.I.アシッドレッド52および289、ならびにC.I.リアクティブレッド58,141および180からなる群から選ばれる少なくとも1つの染料を用いることが好ましい。
【0101】
イエローのインク組成物に用いられる染料としては、たとえば、酸性染料であるC.I.アシッドイエロー1,7,17,23,42,44,79および142、直接染料であるC.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142および144、ならびに反応性染料であるC.I.リアクティブイエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65および67などが挙げられる。これらの中でも、C.I.アシッドイエロー17および23、ならびにC.I.ダイレクトイエロー86からなる群から選ばれる少なくとも1つの染料を用いることが好ましい。
【0102】
ブラックのインク組成物に用いられる染料としては、たとえば、食品用色素であるC.I.フードブラック2、直接染料であるC.I.ダイレクトブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168および171、ならびに反応性染料であるC.I.リアクティブブラック3,4,7,11,12および17などが挙げられる。これらの中でも、C.I.フードブラック2およびC.I.ダイレクトブラック154のうちの少なくとも一方の染料を用いることが好ましい。
【0103】
これらの染料は、常温で安定に溶解する範囲内で用いられる。この範囲は各染料で異なるので、インク組成物中の染料の含有量は、特に限定されるものではないけれども、好ましくは0.1重量%〜10重量%である。
【0104】
顔料としては、溶液中に分散可能な顔料であれば、どのような顔料を用いてもよいけれども、耐光性または安全性に優れるものが好適に用いられる。
【0105】
顔料の具体例としては、以下に示す顔料が挙げられるけれども、顔料はこれに限定されるものではない。なお、以下では顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示す。
【0106】
シアンのインク組成物に用いられる顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントブルー1,2,15,16,17,21,22,60および64などが挙げられる。
【0107】
マゼンタのインク組成物に用いられる顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントレッド2,3,5,16,23,31,49,57,63,122および209、ならびにC.I.ピグメントヴァイオレット19などが挙げられる。
【0108】
イエローのインク組成物に用いられる顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,5,12,74,138,150および180などが挙げられる。
【0109】
ブラックのインク組成物に用いられる顔料としては、たとえば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックおよびランプブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられる。
【0110】
これらの顔料のうち、シアンのインク組成物には、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4のうちの少なくとも一方の顔料を用いることが好ましい。またマゼンタのインク組成物には、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209およびC.I.ピグメントヴァイオレット19からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を用いることが好ましい。またイエローのインク組成物には、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー180からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を用いることが好ましい。またブラックのインク組成物には、前述のカーボンブラックのうちから選ばれる少なくとも1つの顔料を用いることが好ましい。これらの顔料を用いることによって、シアン、マゼンタ、イエローまたはブラックの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
【0111】
また、これらの好ましい顔料を用いたシアン、マゼンタおよびイエローの3色のインク組成物、すなわちC.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4のうちの少なくとも一方の顔料を用いたシアンのインク組成物と、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209およびC.I.ピグメントヴァイオレット19からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を用いたマゼンタのインク組成物と、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー180からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を用いたイエローのインク組成物との3種類のインク組成物を重ね合せることによって、ブラックのインク組成物を用いて形成された記録画像に近い濃度の濃い黒色の記録画像を得ることができる。すなわち、これらの3種類のインク組成物を含むインクセットは、カラーバランスに優れる。したがって、これらの3種類のインク組成物を含むインクセット、またはこれらの3種類のインク組成物に、カーボンブラックを用いたブラックのインク組成物を加えた4種類のインク組成物を含むインクセットを用いることによって、様々な色を表現することができるので、発色性に優れるフルカラーの記録画像を実現することができる。
【0112】
顔料は、たとえばカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基およびスルホン酸基などからなる群から選ばれる1種または2種以上の親水基を有することが好ましい。これらの親水基は、顔料表面に化学修飾を行うことによって直接導入されていてもよく、またこれらの親水基を有するポリマーで顔料表面を被覆することによって導入されていてもよい。またこれらの親水基は、塩になっていてもよい。
【0113】
親水基を有する顔料は、水を含有するインク組成物中に安定に分散されて存在することができる。したがって、色材に親水基を有する顔料を用いることによって、目詰まりの発生を抑えることができるので、吐出安定性を損なうことなく、耐光性および耐水性に優れる記録画像を得ることができる。
【0114】
これらの顔料は、常温で安定に分散する範囲内で用いられる。この範囲は各顔料で異なるので、インク組成物中の顔料の含有量は、特に限定されるものではないけれども、好ましくは0.1重量%〜10重量%である。
【0115】
また本形態のインク組成物は、色材に顔料を用いる場合には、バインダ樹脂を含有することが好ましい。バインダ樹脂を含有させることによって、被記録材上からの顔料の剥離を防ぐことができる。
【0116】
バインダ樹脂には、たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂およびポリエステル−アクリル共重合体樹脂などからなる群から選ばれる1種または2種以上が用いられる。
【0117】
また本形態のインク組成物は、色材、有機溶媒、水、界面活性剤およびバインダ樹脂以外に、各種添加剤、たとえば防カビ剤、pH調整剤、キレート化剤、防錆剤または紫外線吸収剤などを含んでもよい。
【0118】
防カビ剤には、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムまたはソルビタン酸ナトリウムなどが好適に用いられる。
【0119】
pH調整剤には、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムなどが好適に用いられる。
【0120】
色材と有機溶媒と水と前述の条件を満足する界面活性剤とを含有する本形態のインク組成物の粘度は、25℃において、20mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは15mPa・s以下である。インク組成物の25℃における粘度が20mPa・sを超えると、インクジェット記録法に用いた場合、インク組成物の液滴を安定して吐出させることができない。したがって、20mPa・s以下とした。
【0121】
図1は、本発明の実の一形態であるインクヘッド1の構成を簡略化して示す分解斜視図であり、図2は、図1に示すインクヘッド1を構成するヘッドプレート10の構成の一部を拡大して示す斜視図である。なお、図1では、図2に示す駆動電極13は、図が錯綜して理解が困難になるので記載を省略する。
【0122】
インクヘッド1は、圧電材料で形成される底壁部11と複数の隔壁部12とを有するヘッドプレート10と、隔壁部12の上面に設けられる天板20と、複数の吐出口31を備え隔壁部12の一方の端部に設けられるノズルプレート30と、隔壁部12の他方の端部に設けられる図示しない背面板と、天板20の上部に設けられ開口部51を有するインクタンク50とを含んで構成される。複数の隔壁部12は、底壁部11上に所定の間隔で平行に配置されており、複数の隔壁部12と底壁部11と天板20とノズルプレート30と図示しない背面板とによって複数のインク室40が形成されている。天板20には、各インク室40に連通する共通インク供給路21と、共通インク供給路21とインクタンク50の開口部51とを連結するインク供給管22とが形成される。インクタンク50には前述のインク組成物60が貯留されており、このインク組成物60は共通インク供給路21を介して各インク室40に供給される。
【0123】
また図2に示すように、ヘッドプレート10の底壁部11および複数の隔壁部12のインク室40に臨む表面には、複数の隔壁部12に電圧を印加する駆動電極13が形成される。また複数の隔壁部12を形成する圧電材料は、矢符70の方向に分極しており、複数の隔壁部12は圧電素子として機能する。
【0124】
このように構成されるインクヘッド1は、圧電素子である複数の隔壁部12に印加される電圧に応じて、吐出口31からインク組成物60の液滴を吐出させることのできるピエゾ方式のインクヘッドである。
【0125】
インクヘッド1において、インク室40からインク組成物60を吐出させる際の動作原理について説明する。図3は、図1に示すインクヘッド1をインク室40の延長方向から見た断面図である。ここでは、インク室40bからインク組成物60を吐出させる場合の動作について説明する。
【0126】
インク室40bを構成する隔壁部12aおよび12bに電圧が印加されていないとき、すなわちインク室40bの駆動電極13bとインク室40bに隣接するインク室40aの駆動電極13aとの間、およびインク室40bの駆動電極13bとインク室40bに隣接するインク室40cの駆動電極13cとの間に電位差が生じていないとき、インク室40bは、毛管作用によってインクタンク50から供給されるインク組成物60で充填された状態になっている。同様に、インク室40aおよび40cもインク組成物60で充填された状態になっている。
【0127】
駆動電極13aおよび駆動電極13cに電圧が印加されると、駆動電極13bと駆動電極13aとの間、および駆動電極13bと駆動電極13cとの間に電位差が生じ、インク室40bを構成する隔壁部12aおよび12bに電圧が印加される。この電圧によって、隔壁部12aおよび12bにそれぞれ矢符71および72の方向の電界が発生し、この電界の作用によって、インク室40bを構成する隔壁部12aおよび12bにひずみが生じ、インク室40b側に凸になるように変形する。これによって、圧力波が発生し、インク室40b内に充填されているインク組成物60に大きな圧力がかかり、インク組成物60の液滴が前述の図1に示す吐出口31から吐出する。
【0128】
駆動電極13aおよび駆動電極13cへの電圧の印加を止めると、隔壁部12aおよび12bの形状が元に戻ってインク室40bの体積が元に戻り、復元された体積分のインク組成物60が前述の図1に示す共通インク供給路21を介してインクタンク50から供給され、インク室40bは、インク組成物60が充填された初期の状態に戻る。
【0129】
本実施の形態のインクヘッド1では、前述のようにインクタンク50は前述のインク組成物60を貯留し、このインク組成物60がインク室40に供給されて吐出口31から液滴として吐出するので、安定して吐出口31からインク組成物60の液滴を吐出させることができる。このようなインクヘッドを用いれば、信頼性の高いピエゾ方式のインクジェット記録装置を実現することができ、高品質の記録画像を安定して得ることができる。
【0130】
以上に述べたように、本実施の形態では、インク室40を構成する隔壁部12を圧電材料で形成し、圧電素子として機能させるけれども、これに限定されることなく、インク室を構成する隔壁を圧電材料以外の材料で形成し、隔壁の内方または外方に圧電素子を設けてもよい。
【0131】
図4は、本発明の実の他の形態であるインクヘッド2の構成を簡略化して示す分解斜視図であり、図5は、図4に示すインクヘッド2の構成の一部を示す平面図である。なお、図5では、図4に示す天板20およびインクタンク50は、図が錯綜して理解が困難になるので、記載を省略する。本実施の形態のインクヘッド2は、実施の形態のインクヘッド1と類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0132】
注目すべきは、ヘッドプレート100が、基板101と、基板101上に所定の間隔で平行に配置される複数の隔壁102と、基板101のインク室40に臨む表面上に設けられる発熱体であるヒータ103と、ヒータ103に電圧を印加する駆動電極104および105とを含んで構成されることである。
【0133】
このように構成されるインクヘッド2は、発熱体であるヒータ103に印加される電圧に応じて、吐出口31からインク組成物60の液滴を吐出させることのできるサーマルインクジェット方式のインクヘッドである。
【0134】
インクヘッド2において、インク室40からインク組成物60を吐出させる際の動作原理について説明する。図6は、インク室40からインク組成物60の液滴61が吐出する様子を模式的に示す断面図である。図6では、図5に示すインクヘッド2の切断面線I−Iにおける断面構成を示す。
【0135】
ヒータ103に電圧が印加されていないとき、実施の形態のインクヘッド1において隔壁部12に電圧が印加されていないときと同様に、インク室40はインク組成物60が充填された状態になっている。
【0136】
駆動電極104および105によってヒータ103に電圧が印加されると、ヒータ103が発熱し、インク室40内に充填されているインク組成物60が加熱されて、気泡62が発生する。これによって、圧力波が発生し、インク室40内に充填されているインク組成物60に大きな圧力がかかり、インク組成物60の液滴61が吐出口31から吐出する。
【0137】
ヒータ103への電圧の印加を止めると、インク室40内のインク組成物60が冷却されて気泡62が消滅し、復元された体積分のインク組成物60が前述の図4に示す共通インク供給路21を介してインクタンク50から供給され、インク室40は、インク組成物60が充填された初期の状態に戻る。
【0138】
本実施の形態のインクヘッド2では、前述の実施の形態のインクヘッド1と同様に、インクタンク50は前述のインク組成物60を貯留し、このインク組成物60がインク室40に供給されて吐出口31から液滴61として吐出するので、安定して吐出口31からインク組成物60の液滴61を吐出させることができる。このようなインクヘッドを用いれば、信頼性の高いサーマルインクジェット方式のインクジェット記録装置を実現することができ、高品質の記録画像を安定して得ることができる。
【0139】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するけれども、本発明は、これに限定されるものではない。なお、本実施例では、画像を記録することを印刷または印字と呼ぶことがある。
【0140】
<界面活性剤の特性評価>
表1に示す7種類の界面活性剤をそれぞれ純水に0.1重量%溶解させ、界面活性剤溶液を調製した。調整した各界面活性剤溶液について、以下のようにして動的表面張力を測定した。
【0141】
(動的表面張力)
表面張力計(協和界面科学株式会社製:BP−4)を用い、気泡周波数0.5Hz〜35Hzにおいて測定した。
【0142】
表1に、各界面活性剤溶液の気泡周波数10Hzでの動的表面張力(σ10)および気泡周波数1Hzでの動的表面張力(σ)の測定値(mN/m)、σ10とσとの差d(=σ10−σ)の値(mN/m)、ならびにそのときの測定温度(℃)を示す。なお、表1において、一般式(I)は、前記一般式(I)で示される界面活性剤を表し、一般式(II)は、前記一般式(II)で示される界面活性剤を表し、一般式(III)は、前記一般式(III)で示される界面活性剤を表し、一般式(IV)は、前記一般式(IV)で示される界面活性剤を表し、一般式(V)は、前記一般式(V)で示される界面活性剤を表し、一般式(VI)は、前記一般式(VI)で示される界面活性剤を表し、フッ素系界面活性剤1は、下記構造式(VII)で示される界面活性剤を表し、フッ素系界面活性剤2は、下記構造式(VIII)で示される界面活性剤を表す。
【0143】
【化15】
Figure 0004230201
【0144】
【化16】
Figure 0004230201
【0145】
【表1】
Figure 0004230201
【0146】
<インク組成物>
表1に示す界面活性剤を用いて、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24〜26℃で最大泡圧法によって測定される気泡周波数10Hzでの動的表面張力(σ10)と気泡周波数1Hzでの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が前記式(1)を満足する界面活性剤を含有する参考例1〜7のインク組成物と、dが前記式(1)を満足する界面活性剤を含有しない比較例1〜4のインク組成物とを得た。表2に、参考例1〜7および比較例1〜4の各インク組成物に含まれる各成分の含有量を示す。表2において、各欄の値の単位は重量部であり、参考例1〜7および比較例1〜4のインク組成物の合計量はそれぞれ100重量部である。
【0147】
【表2】
Figure 0004230201
【0148】
得られた参考例1〜7および比較例1〜4の各インク組成物について、インクジェット記録法に用いた場合の吐出安定性および得られる記録画像の画質の評価を以下のように行った。
【0149】
(吐出安定性)
前述の図1に示すインクヘッド1を装着できるように市販のインクジェット記録装置(シャープ株式会社製:AJ2000)を改造して得られたインクジェット記録装置のインクタンクに、得られた参考例1〜7および比較例1〜4のインク組成物をそれぞれ充填し、印刷濃度を5%として毎分A4判用紙7枚の印刷速度で、シャープ株式会社製の複写機用普通紙(品番:SF4AM3)上に連続的に印刷を行った。試験ではインクタンクが空になった時点でインク組成物を再充填し、ノズルからインク組成物の液滴が吐出せず印刷することができなくなるまで印刷を行い、その時点までに完全に印刷できた枚数を印刷可能枚数として求め、吐出安定性の評価指標とした。印刷可能枚数が200枚を超える場合を良(○)とし、150〜200枚の場合を可(△)とし、150枚未満の場合を不良(×)とした。
【0150】
(画質)
前述の図1に示すインクヘッド1を装着できるように市販のインクジェット記録装置(シャープ株式会社製:AJ2000)を改造して得られたインクジェット記録装置のインクタンクに、得られた参考例1〜7および比較例1〜4のインク組成物をそれぞれ充填し、シャープ株式会社製の複写機用普通紙(品番:SF4AM3)上に特定のパターンを印刷し、評価用画像を形成した。前記評価用画像を1日放置した後、設定したパターンの線幅を100として、これに対する各評価用画像のパターンの線幅の相対値を求め、画質の評価指標とした。線幅の相対値が150未満であり滲みがほとんどない場合を良(○)とし、150以上250以下であり若干の滲みがある場合を可(△)とし、250を超え滲みが多い場合を不良(×)とした。
以上の評価結果を表3に示す。
【0151】
【表3】
Figure 0004230201
【0152】
前述の気泡周波数10Hzでの動的表面張力(σ10)と気泡周波数1Hzでの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が前記式(1)を満足する界面活性剤を含有する参考例1〜7のインク組成物では、吐出安定性および画質のいずれもが良であった。一方、dが前記式(1)を満足する界面活性剤を含有せず、dが15より大きく前記式(1)を大きい方に外れる界面活性剤を含有する比較例1〜4のインク組成物では、吐出安定性および画質のいずれもが不良であった。
【0153】
以上のように、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24〜26℃で最大泡圧法によって測定される動的表面張力のうち、気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、前記式(1)を満足する界面活性剤を含有させることによって、インクジェット記録法に用いた場合、吐出安定性に優れるとともに、被記録材上における滲みを抑え高品質の記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができた。
【0154】
<インクセット>
参考例2〜6および比較例1〜3のインク組成物を、表4に示すようにシアン、マゼンタおよびイエローのインク組成物として組合せることによって、C.I.ピグメントブルー15:3および15:4のうちの少なくとも一方の顔料を含有するシアンのインク組成物と、C.I.ピグメントレッド122,209およびC.I.ピグメントヴァイオレット19からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を含有するマゼンタのインク組成物と、C.I.ピグメントイエロー74,138,150および180からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を含有するイエローのインク組成物とを含む実施例インクセット1と、シアン、マゼンタおよびイエローのインク組成物のうちのいずれかが前述の顔料と異なる顔料を含有する比較例インクセット1〜3と、シアン、マゼンタおよびイエローのインク組成物のすべてが前述の顔料と異なる顔料を含有する比較例インクセット4とを得た。
【0155】
【表4】
Figure 0004230201
【0156】
得られた実施例インクセット1および比較例インクセット1〜4をそれぞれ用い、市販のインクジェット記録装置(シャープ株式会社製:AJ2000)を改造して得られたインクジェット記録装置を使用し、シャープ株式会社製の光沢紙(品番:AJ−K4AG)上に、シアン、マゼンタおよびイエローの各インク組成物の印字率を1:1:1として印刷することによって黒色画像を形成した。また、ブラックのインク組成物である参考例7のインク組成物を用い、同一の画像を形成した。
【0157】
得られた各黒色画像について、分光測色計(X−Rite社製:X−Rite938)を用い、L表色系(CIE:1976)における明度指数Lおよびクロマチックネス指数a,bを測定した。
【0158】
試験結果の評価は、以下のように行った。参考例7のインク組成物を用いて形成された黒色画像のクロマチックネス指数aをA1、bをB2とし、実施例インクセット1および比較例インクセット1〜4をそれぞれ用いて形成された黒色画像のクロマチックネス指数aをA2、bをB2として、下記式(3)で示されるΔaの値を求め、黒色再現性の評価指標とした。
Δa={(A1−A2)+(B1−B2)1/2 …(3)
Δaの値が、20以下(Δa≦20)である場合を良(○)とし、20を超える(Δa>20)場合を不良(×)とした。評価結果を表5に示す。
【0159】
【表5】
Figure 0004230201
【0160】
表5から、実施例インクセット1に含まれる3種類のインク組成物を重ね合わせて得られる黒色画像は、比較例インクセット1〜4にそれぞれ含まれる3種類のインク組成物を重ね合わせて得られる黒色画像に比べ、参考例7のインク組成物を用いて形成された黒色画像に近い濃い濃度の黒色画像であることが判った。すなわち、実施例インクセット1は、比較例インクセット1〜4に比べ、黒色再現性が良好であり、カラーバランスに優れることが判った。
【0161】
以上のように、C.I.ピグメントブルー15:3および15:4のうちの少なくとも一方の顔料を含有するシアンのインク組成物と、C.I.ピグメントレッド122,209およびC.I.ピグメントヴァイオレット19からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を含有するマゼンタのインク組成物と、C.I.ピグメントイエロー74,138,150および180からなる群から選ばれる少なくとも1つの顔料を含有するイエローのインク組成物とを組合せることによって、カラーバランスに優れるインクセットを得ることができた。
【0162】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、インクセットは、異なる色材を含有する複数のインク組成物を含み、各インク組成物は、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24〜26℃で最大泡圧法によって測定される気泡周波数10Hzでの動的表面張力と気泡周波数1Hzでの動的表面張力との差が、ある一定の範囲内にある界面活性剤を含有するので、インク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を好適なものにすることができ、インクジェット記録法に用いた場合、吐出安定性に優れるとともに、被記録材上における滲みを抑え高品質の記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
またインクセットは、インク組成物(A)とインク組成物(B)とインク組成物(C)とを含み、カラーバランスに優れるので、様々な色を表現することができ、発色性に優れるフルカラーの記録画像を実現することができる。また界面活性剤は、共存する電解質の影響を受けにくい非イオン系界面活性剤であるので、インク組成物に電解質が添加されるか否かに関わらず、界面活性剤によって制御されるインク組成物の高周波数での動的表面張力と低周波数での動的表面張力との関係を好適なものにすることができる。また各インク組成物に含有される有機溶媒は、蒸気圧の低いグリコールエーテル類または多価アルコール類であるので、湿潤効果が得られ、吐出安定性を向上させることができる。
【0163】
また本発明によれば、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24〜26℃で最大泡圧法によって測定される気泡周波数10Hzでの動的表面張力および気泡周波数1Hzでの動的表面張力が好適な範囲に選択されるので、インクジェット記録法に用いた場合、吐出安定性に優れるとともに、被記録材上における滲みを抑え高品質の記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
【0165】
また本発明によれば、色材は染料を含むので、目詰まりの発生を抑え、吐出安定性を向上させることができる。
【0166】
また本発明によれば、色材は顔料を含むので、耐光性および耐水性に優れる記録画像を得ることができる。
【0167】
また本発明によれば、顔料は親水基を有するので、目詰まりの発生を抑えることができ、吐出安定性を損なうことなく、耐光性および耐水性に優れる記録画像を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
【0169】
また本発明によれば、界面活性剤は臨界ミセル濃度以上の濃度で含有されるので、界面活性剤の効果を充分に発揮させ、界面活性剤によって制御されるインク組成物の高周波数での動的表面張力および低周波数での動的表面張力をそれぞれほぼ一定の値にすることができ、均一な性質を有するインク組成物を得ることができる。
【0170】
また本発明によれば、シアンの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
【0171】
また本発明によれば、マゼンタの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
【0172】
また本発明によれば、イエローの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
【0173】
また本発明によれば、ブラックの発色性に優れる記録画像を実現可能なインク組成物を得ることができる。
【0174】
また本発明によれば、高品質の記録画像を安定して提供することができる。
また本発明によれば、安定した吐出が可能であるとともに、高品質の記録画像を安定して提供することができる。
【0176】
また本発明によれば、高品質の記録画像を得ることができる
【0177】
また本発明によれば、圧電素子に印加される電圧に応じて、吐出口からインク組成物の液滴を吐出させることのできるピエゾ方式のインクヘッドにおいて、安定して吐出口からインク組成物の液滴を吐出させることができる。
【0178】
また本発明によれば、発熱体に印加される電圧に応じて、吐出口からインク組成物の液滴を吐出させることのできるサーマルインクジェット方式のインクヘッドにおいて、安定して吐出口からインク組成物の液滴を吐出させることができる。
【0179】
また本発明によれば、記録画像は、安定してインク組成物の液滴を吐出させることのできるピエゾ方式のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されるので、高品質の記録画像を安定して得ることができる。
【0180】
また本発明によれば、記録画像は、安定してインク組成物の液滴を吐出させることのできるサーマルインクジェット方式のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されるので、高品質の記録画像を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実の一形態であるインクヘッド1の構成を簡略化して示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すインクヘッド1を構成するヘッドプレート10の構成の一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】図1に示すインクヘッド1をインク室40の延長方向から見た断面図である。
【図4】 本発明の実の他の形態であるインクヘッド2の構成を簡略化して示す分解斜視図である。
【図5】図4に示すインクヘッド2の構成の一部を示す平面図である。
【図6】インク室40からインク組成物60の液滴61が吐出する様子を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 インクヘッド
10 ヘッドプレート
11 底壁部
12,12a,12b 隔壁部
13,13a,13b,13c 駆動電極
20 天板
21 共通インク供給路
22 インク供給管
30 ノズルプレート
31 吐出口
40,40a,40b,40c インク室
50 インクタンク
51 開口部
60 インク組成物
61 液滴
62 気泡
100 ヘッドプレート
101 基板
102 隔壁
103 ヒータ
104,105 駆動電極

Claims (18)

  1. 異なる色材を含有する複数のインク組成物を含むインクセットであって、
    色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、純水に0.1重量%を溶解させて得られる溶液の温度24〜26℃で最大泡圧法によって測定される動的表面張力のうち、気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、下記式(1)
    0mN/m≦d≦15mN/m …(1)
    を満足し、かつ下記一般式(I)
    Figure 0004230201
    (式中、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、mとnとの和(m+n)は10である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリンおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(A)と、
    色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、前記気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、前記式(1)を満足し、かつ下記一般式(III)
    Figure 0004230201
    (式中、hは0〜11の整数を示し、iは0〜11の整数を示し、jは9であり、hとiとの和(h+i)は9〜11の整数である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(B)と、
    色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、前記気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が、前記式(1)を満足し、かつ下記一般式(IV)
    Figure 0004230201
    (式中、wは0〜11の整数を示し、xは9であり、yは5であり、zは0〜9の整数を示し、wとzとの和(w+z)は9〜11の整数である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(C)とを含むことを特徴とするインクセット。
  2. 前記気泡周波数が10Hzであるときの動的表面張力(σ10)および前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)は、20〜70mN/mであることを特徴とする請求項1記載のインクセット
  3. 前記色材は、染料を含むことを特徴とする請求項1または2記載のインクセット
  4. 前記色材は、顔料を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のインクセット
  5. 前記顔料は、親水基を有することを特徴とする請求項記載のインクセット
  6. 前記界面活性剤は、臨界ミセル濃度以上の濃度で含有されることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか1つに記載のインクセット
  7. 前記インク組成物(A)は、前記色材が、C.I.ピグメントブルー15:3であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のインクセット
  8. 前記インク組成物(B)は、前記色材が、C.I.ピグメントレッド122であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のインクセット
  9. 前記インク組成物(C)は、前記色材が、C.I.ピグメントイエロー74であることを特徴とする請求項〜8のうちのいずれか1つに記載のインクセット
  10. 色材、有機溶媒、水および界面活性剤を含有し、前記界面活性剤は、前記気泡周波数10Hzであるときの動的表面張力(σ10)と、前記気泡周波数が1Hzであるときの動的表面張力(σ)との差d(=σ10−σ)が前記式(1)を満足し、かつ下記一般式(II)
    Figure 0004230201
    (式中、kは11〜13の整数を示し、lは15である。)で示される界面活性剤であり、前記有機溶媒は、ジエチレングリコール、グリセリン、1,5−ペンタンジオールおよび1,2−ヘキサンジオールであるインク組成物(D)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のインクセット。
  11. 前記インク組成物(D)は、前記色材が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項10記載のインクセット
  12. インクセットに含まれるインク組成物の少なくとも1つを被記録材上に付着させることによって画像を記録する記録方法であって、
    前記インクセットには、請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクセットが用いられることを特徴とする記録方法
  13. インクセットに含まれるインク組成物の少なくとも1つに圧力をかけることによって前記インク組成物の液滴を吐出させ、前記液滴を被記録材上に付着させることによって画像を記録する記録方法であって、
    前記インクセットには、請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクセットが用いられることを特徴とする記録方法。
  14. 項1または13記載の記録方法によって記録されることを特徴とする記録画像
  15. 請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留するインクタンクと、
    前記インク組成物の液滴を吐出する吐出口を有し、前記インクタンクから前記インク組成物がそれぞれ供給されるインク室と、
    印加される電圧に応答してひずみを生じる圧電素子であって、前記インク室の少なくとも一部に設けられ前記インク室に収容される前記インク組成物に対してそれぞれ圧力をか ける圧電素子と、
    前記圧電素子に電圧を印加するために設けられる電極とを含むことを特徴とするインクヘッド
  16. 請求項1〜11のいずれか1つに記載のインクセットに含まれるインク組成物をそれぞれ貯留するインクタンクと、
    前記インク組成物の液滴を吐出する吐出口を有し、前記インクタンクから前記インク組成物がそれぞれ供給されるインク室と、
    前記インク室の少なくとも一部に設けられ、前記インク室に収容される前記インク組成物をそれぞれ加熱し気泡を発生させることによって前記インク組成物に対してそれぞれ圧力をかける発熱体と、
    前記発熱体に電圧を印加するために設けられる電極とを有することを特徴とするインクヘッド
  17. 請求項15記載のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されることを特徴とする記録画像。
  18. 請求項16記載のインクヘッドによって吐出されるインク組成物の液滴が、被記録材上に付着されることによって記録されることを特徴とする記録画像
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