JP2004136580A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 Download PDF

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佐藤 直樹
Nobuya Yamamoto
山本 展也
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Abstract

【課題】高い吐出安定性を有するインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】水、水溶性有機溶剤、及び色材を含有し、水の含有率が50質量%以上であり、25℃における表面張力γが20〜37(mN/m)であるインクを収納するインクカートリッジと、インク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドと、前記インクカートリッジとインクジェット記録ヘッドとを接続し、前記インクの蒸発率yが1/5(%・m/mN)×γ(mN/m)以下であるインク供給チューブと、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関し、特に長期保存後の吐出安定性に優れたインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラあるいはコンピュータの普及に伴い、それらの画像を紙面等に記録するためのハードコピー画像記録技術が急速に発達している。これらのハードコピーの究極の目標は、その画質をいかに銀塩写真に近づけるかにあり、特に、色再現性、色濃度、質感、解像度、光沢性、耐光性等を銀塩写真に近づけることである。
【0003】
この様なハードコピー記録方式としては、銀塩写真によって画像を表示したディスプレーを直接撮影するものの他にも、昇華型感熱転写方式、インクジェット方式、静電記録方式等、多種多様な記録方式が実用化されている。
【0004】
上記各記録方式の中でも、インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。広範囲の分野でインクジェット記録方式を採用したプリンタが製造されており、又その使用用途に応じてインクの種類も多岐に及んでいる。
【0005】
インクジェット記録方式に用いられるインクジェット記録装置は、複数のノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを左右に往復動させながら、インク滴を飛翔(吐出)させ、普通紙または特殊コート紙等の記録媒体の移動と相俟って、記録媒体上に画像データに従った画像(パターン)を形成するように構成した装置である。
【0006】
インクジェット記録方法に用いられるインクとしては、使われる溶媒や色材の種類により水溶性染料インク、油溶性染料インク、水溶性顔料インク、油溶性顔料インク等があり、用途に応じて各々使用されている。中でも水溶性インクは、水又は水溶性溶剤が主溶媒であり環境への負荷が低く、屋外に展示するポスターや電飾などを作成するシステムからオフィス向けのプリンタに至るまで幅広く使用されつつある。しかしながら、水溶性インクは、インクジェット記録装置を長期不使用後の使用で吐出安定性が低くなるという課題を有していた。
【0007】
この課題に対しては、例えば、インク供給チューブ壁からのインクの水分の蒸発を抑え、インクの粘度上昇を抑えて吐出安定性の向上を図るという技術が公開されている。(例えば特許文献1)
【0008】
【特許文献1】
特開2000−153618号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクの粘度の上昇を抑えるだけでは、十分な吐出安定性を得ることができなかった。より高い吐出安定性を得るためには、インクの蒸発に伴ってインク中に含有される有機溶媒の比率変化によるインクとインクジェット記録ヘッドとの濡れ性の変化を抑えて吐出性安定を図る必要がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高い吐出安定性を有するインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0012】
(1) 水、水溶性有機溶剤、及び色材を含有し、水の含有率が50質量%以上であり、25℃における表面張力γが20〜37(mN/m)であるインクを収納するインクカートリッジと、インク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドと、前記インクカートリッジとインクジェット記録ヘッドとを接続し、前記インクの蒸発率yが1/5(%・m/mN)×γ(mN/m)以下であるインク供給チューブと、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0013】
(2) 前記インクの前記インクジェット記録ヘッドのノズルに対する接触角が70度以上であることを特徴とする(1)に記載のインクジェット記録装置。
【0014】
(3) 1ドット当たりの最小液適量が10pl以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のインクジェット記録装置。
【0015】
(4) 印字解像度が1000dpi以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【0016】
(5) 前記インク中に表面張力が20〜35mN/mである水溶性有機溶媒を1〜15質量%することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【0017】
(6) 前記インク中の固形分含有率が0.1〜10質量%であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【0018】
(7) 前記インク中のNaイオン、Kイオン、Liイオン、Caイオン、Mgイオン、Feイオンの総含有率が500ppm以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【0019】
(8) 前記インクの電導度が1S/m以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【0020】
(9) 前記色材には不溶性色材が含まれ、前記インク中に分子量1000以上の分散剤を前記不溶性色材に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【0021】
(10) 前記不溶性色材の体積平均粒径が100nm以下であることを特徴とする(9)に記載のインクジェット記録装置。
【0022】
(11) 前記不溶性色材の粒径200nm以上の粒子が前記不溶性色材の5質量%以下であることを特徴とする(9)又は(10)に記載のインクジェット記録装置。
【0023】
(12) 前記不溶性色材のゼータ電位の絶対値が40mV以上であることを特徴とする(9)〜(11)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【0024】
(13) (1)〜(12)のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置を用いて前記インクを記録媒体上に出射することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0025】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、水、水溶性有機溶剤、及び色材を含有し、水の含有率が50質量%以上、25℃におけるインク表面張力γ(mN/m)が20〜37mN/mであるインクを有し、さらに、該インクの蒸発率y(%)が1/5(%・m/mN)×γ以下であるインク供給チューブを有するインクジェット記録装置は、インクの蒸発に伴ってインク中に含有される有機溶媒の比率変化によるインクとインクジェット記録ヘッドとの濡れ性の変化を抑えることができ、高い吐出安定性を有することを見いだした。
【0026】
はじめに、本発明のインクジェット記録装置について説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては、記録方式がオンデマンド方式であることが好ましく、いかなるオンデマンド型インクジェット記録方式にも対処可能である。オンデマンド方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。
【0027】
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
図1において、キャリッジ2にはインクジェット記録ヘッド1が搭載され、このキャリッジ2はプラテン3に対向して平行に設置されたガイドレール4、5に沿って左右に往復運動するよう駆動される。インクジェット記録ヘッド1には駆動信号を伝えるフレキシブル基板などによる接続線6と、インクカートリッジ8からインクをインクジェット記録ヘッド1に供給するためのインク供給チューブ7が接続されている。プラテン3によって記録媒体9が上方に送られ、対向して装着されたインクジェット記録ヘッド1の複数ノズルから適応したインク滴を噴射して記録媒体上に画像を形成する。
【0028】
図2は、インクカートリッジとインクジェット記録ヘッドとをインク供給チューブで接続しているインク供給路の一例を示す概略図である。
【0029】
図2に示すように、インクカートリッジ8とインク流入口12をインク供給チューブ7で接続されてインク供給路が形成され、インクカートリッジ8からノズル11を有するインクジェット記録ヘッド1にインクを供給することができる。また、必要に応じて、その途中にダンパー20を接続し、印字の際の圧力変動を吸収させる方法がとられている。そしてこのダンパー20はヘッド近くのキャリッジ2の上にダンパーユニットとして装着されている。
【0030】
本発明のインクジェット記録装置は1ドット当たりの最小液適量が10pl以下であることが好ましく、より好ましくは1〜7plである。本発明のインクジェット記録装置は、高い吐出安定性を有するので、このようなインクジェット記録装置を用いて、より微細な画像の形成を行うことが可能である。
【0031】
また、本発明のインクジェット記録装置は、印字解像度が1000dpi以上であることが好ましい。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。本発明のインクジェット記録装置は、高い吐出安定性を有するので、このようなインクジェット記録装置を用いて、より微細な画像の形成を行うことが可能である。
【0032】
本発明に係るインクについて説明する。
本発明に係るインクは、水、水溶性有機溶媒、及び色材を含有する。
【0033】
本発明において使用できる色材としては、従来公知のものを特に制限無く使用でき、水溶性染料、水分散性染料、水分散性顔料、溶剤溶解性染料、溶剤分散性染料、溶剤分散性顔料など何れも使用可能であるが、画像保存性の観点から本発明に係る不溶性色材である顔料を用いることが好ましい。例えば、顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラック等を好ましく用いることができる。
【0034】
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール類等が好ましい。
【0035】
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0036】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0037】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0038】
その他にも、例えば、カーボンブラック顔料(C.I.Pigment Black7);C.I.Pigment Yellow16、17、73、75、83、108、109、110、180、182;C.I.Pigment Red5、7、12、112、168、184、202;C.I.PigmentBlue1、2、3、22、60;C.I.Vat Blue4、60;等が挙げられる。
【0039】
以上の他にレッド、グリーン、ブルー、中間色が必要とされる場合には以下の顔料を単独或いは併用して用いることが好ましく、例えば
C.I.Pigment Red209、224、194;
C.I.Pigment Orange43;
C.I.Vat Violet3;
C.I.Pigment Violet19、23、37;
C.I.Pigment Green36、7;
C.I.Pigment Blue15:6;
等が用いられる。
【0040】
本発明で用いられる顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。
【0041】
分散剤として界面活性剤が用いることができる。本発明に用いられる界面活性剤としては陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることができる。陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。非イオン活性剤としては、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
【0042】
本発明に係るインクは、色材に不溶性色材を含有することが好ましく、このとき、含有される不溶性色材に対して分子量1000以上の分散剤を0.1〜50質量%含有することが好ましい。これにより、長期保存時でのインクの状態変化が抑えられることから、目詰まりを抑え、より高い吐出安定性を得ることができる。さらに、インクの蒸発に伴ってインク中に含有される有機溶媒の比率変化によるインクとインクジェット記録ヘッドとの濡れ性の変化をより一層抑えることができ、吐出曲がりを一層抑えることもできる。
【0043】
また、インク中に含有される不溶性色材の質量平均粒径が100nm以下であることが好ましい。これにより、長期保存時でのインクの状態変化が抑えられることから、吐出時の目詰まりをより一層抑えることができ、より高い吐出安定性を得ることができる。
【0044】
また、インク中に含有される不溶性色材で粒径200nm以上の粒子が不溶性色材の5質量%以下であることが好ましい。これにより、長期保存時でのインクの状態変化が抑えられることから、吐出時の目詰まりをより一層抑えることができ、より高い吐出安定性を得ることができる。なお、不溶性色材の粒径は粒径分布より求めることができる。
【0045】
インク中の不溶性色材の質量平均粒径および粒径分布は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定器により求めることができる。
【0046】
さらに、インク中に含有される不溶性色材のゼータ電位の絶対値が40mV以上であることが好ましく、より好ましくは絶対値が40〜70mVである。これにより、長期保存時でのインクの状態変化が抑えられることから、吐出時の目詰まりをより一層抑えることができ、より高い吐出安定性を得ることができる。インク中の不溶性色材のゼータ電位の測定には、市販の測定器を用いることができ、例えば、ELS−800(大塚電子(株)製)を用いることができる。
【0047】
また、インク吐出後のインク液滴のメディア中への浸透を加速するために界面活性剤を使用することが好ましく、そのような界面活性剤としては、インクに対して保存安定性等の悪影響を及ぼさないものであれば限られるものではなく、上記の分散剤として使用する界面活性剤と同様のものを用いることができるが、特に、アセチレングリコール系ノニオン界面活性剤を用いることが好ましい。
【0048】
本発明に係るインクは、水と水溶性有機溶媒を含有し、水の含有率が50質量%以上である。
【0049】
水溶性有機溶媒としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等を挙げることができるが、本発明においては、水性溶媒の少なくとも1種が、アルキレングリコールモノエーテル類またはアルカンジオール類であることが好ましく、より好ましくは、アルキレングリコールモノエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルであり、アルカンジオール類としては1,2−ヘキサンジオール、あるいは1,2−ペンタンジオールであり、特に好ましくは、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオールまたはt−ブタノールが好ましい。
【0050】
本発明に係るインクの表面張力は20〜37mN/m(25℃)である。
本発明でいう表面張力とは、静的表面張力であり、その測定方法については、一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができ、具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、垂直板法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができる。
【0051】
本発明に係るインクは、表面張力が20〜35mN/mである水溶性有機溶媒を1〜15質量%含有することが好ましい。これにより、長期保存後のインクとインクジェット記録ヘッドとの濡れ性の変化を抑えてより高い吐出安定性を得ることができる。
【0052】
また、本発明に係るインクはインクジェット記録ヘッドのノズル面に対する接触角が、70度以上であることが好ましく、更に好ましくは75度以上、100度以下である。用いるインクとインクジェット記録ヘッドとの組み合わせで、上記で規定する接触角とすることにより、インクのインクジェット記録ヘッドへの濡れ性を抑えて、より一層高い吐出安定性を得ることができる。
【0053】
本発明において、上記で規定する接触角を実現する方法としては、例えば、インクジェット記録ヘッドとしては、その材質を適宜選択すること、またインクとしては、水溶性有機溶媒の種類や含有量、不純物としての金属イオン含有量、あるいは界面活性剤の種類等を適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成することができる。
【0054】
本発明に用いられるインクは、固形分含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。この範囲とすることで、長期保存時でのインクの状態変化が抑えられることから、吐出まがり、目詰まりを抑え、より高い吐出安定性を得ることができる。
【0055】
また、本発明に係るインクは、インク中のNaイオン、Kイオン、Liイオン、Caイオン、Mgイオン、Feイオンの総含有量が500ppm以下であることが好ましい。インク中の金属イオンの含有率を、上記で規定した範囲とすることにより、高い分散安定性を有するインクとすることができ、長期保存時でのインクの状態変化が抑えられることから、目詰まりを抑えることができ、より高い吐出安定性を得ることができる。
【0056】
また、本発明に係るインクは、電導度が1S/m以下であることが好ましい。電導度を、上記で規定した範囲とすることにより、高い分散安定性を有するインクとすることができ、長期保存時でのインクの状態変化が抑えられることから、目詰まりを抑えることができ、より高い吐出安定性を得ることができる。
【0057】
本発明に係るインクにおいては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、さらに粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防錆剤、防腐剤等を添加することもできる。
【0058】
本発明においては、インクの液物性の一つであるインク粘度が3.0〜8.0mPa・sであることが好ましい。本発明に係るインクの粘度を上記で規定する範囲とすることにより、優れた吐出安定性を実現することができるものである。
【0059】
本発明でいう粘度(液体粘性率)は、25℃で測定した値であり、測定機器としてはJIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができる。粘度計としては、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定でき、例えば、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A等を挙げることができる。
【0060】
また、本発明においては、インクの液物性の一つであるインクの溶存酸素濃度が0.01〜1ppmであることが好ましい。
【0061】
本発明に係るインクの溶存酸素濃度を上記で規定する範囲とすることにより、前述の構成からなるインクジェット記録装置(インク供給チューブの特性、駆動周波数)との組み合わせで、気泡の形成を抑制することができ、その結果、かつ高い吐出安定性を得ることができる。
【0062】
インク中に溶存している溶存酸素を測定する方法としては、例えば、溶存酸素測定装置DO−14P(東亜電波(株)製)を用いて測定することができる。
【0063】
本発明において、インクの溶存酸素濃度を本発明で規定する範囲とする方法については、特に制限はなく、例えば、インクを減圧下で処理すること、特には、気体透過性の膜から形成された中空糸中にインクを通し、その外部を減圧にすることで効果的に脱気することができる。すなわち、本発明に係るインクの脱気方法としては、インクを加温した状態で気体透過性のある膜を通過させることで、短時間にインク中に溶存している酸素等の気体を十分に取り除く方法が好ましい。
【0064】
また、本発明においては、インクの液物性の一つであるインクの起泡力が1〜100mmであることが好ましく、より好ましくは1〜50mmである。本発明に係るインクの起泡力を上記で規定する条件とすることにより、前述の構成からなるインクジェット記録装置(インク供給チューブの特性、駆動周波数)との組み合わせで、高い吐出安定性を得ることができる。
【0065】
本発明でいう起泡力とは、JIS K3362で規定されている方法に従って求めることができ、消泡剤、界面活性剤、水溶性有機溶媒の種類または量を適宜選択することにより、起泡力を100mm以下にすることができる。
【0066】
起泡力低下のために用いられる消泡剤しては、特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば、信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、また、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し、印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。起泡力低下のために用いられる界面活性剤、水溶性有機溶媒としては、前述の界面活性剤、水溶性有機溶媒の中から選択し使用することができる。
【0067】
次いで、本発明に係るインク供給チューブについて説明する。
本発明に係るインク供給チューブの材質としては、チューブ状に成形可能で本発明に係るインク供給チューブ壁からのインクの蒸発率y(%)が下式を満たすのであればどのような材料を用いてもよく、単一材料でも2種以上の混合素材でも、機能性添加剤を含有していてもよい。また、構造として単層構造でも、積層構造でもよい。
【0068】
y(%)≦1/5(%・m/mN)×インクの表面張力γ(mN/m)
本発明においてインクの蒸発率yは、用いるインク供給チューブにインクを満たして両端をシールし、35℃、25%RH環境下で8週間放置し、放置前後での質量変化から下式に従って求めた値である。
【0069】
y= (Δw/w0)×100
y: インク蒸発率(%)
Δw: 保存前後の質量変化
w0: チューブ内の初期インク質量
好ましく使用できる材料としては、例えば、塩化ビリニデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂、ナイロン等を挙げることができる。
【0070】
次いで、本発明で用いることのできる記録媒体について説明する。
本発明で用いられる記録媒体としては、普通紙、コート紙、インク液を吸収して膨潤するインク受容層を設けた膨潤型インクジェット用記録紙、多孔質のインク受容層を持った空隙型インクジェット用記録紙、また基紙の代わりにポリエチレンテレフタレートフィルムなどの樹脂支持体を用いたものも用いることができるが、本発明においては、空隙型の多孔質インク吸収層を有する記録媒体を用いることが好ましく、この組み合わせにより本発明の効果を最も発揮することができる。
【0071】
多孔質インクジェット記録媒体としては、具体的には、空隙型インクジェット用記録紙又は空隙型インクジェット用フィルムを挙げることができ、これらはインク吸収能を有する空隙層が設けられている記録媒体であり、空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。
【0072】
空隙層の設け方は、皮膜中に空隙を形成する方法として種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及び親水性又は疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及び/又は微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布して固体微粒子の間に空隙を作製する方法などが挙げられるが、本発明のインクを用いる上では、いずれも方法で設けられても、良い結果を与える。
【0073】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0074】
1.インクの調製及び特性値測定
《インク1〜10の調製》
(インク1の調製)
下記成分を十分撹拌混合した後、0.45μmのフィルターでろ過してインク1とした。
【0075】
C.I.ダイレクトブルー199              4質量%
エチレングリコール                   10質量%
グリセリン                        5質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル         5質量%
サーフィノール465                 1.0質量%
イオン交換水                         残量
(インク2の調製)
下記成分を混合し、ビーズミルを用いて分散した後、遠心分離を用いて粗大粒子を除き、さらに1.0μmのフィルターでろ過して、インク2とした。
【0076】
カーボンブラック                      5質量%
エチレングリコール                     8質量%
プロピレングリコール                    6質量%
2−メチル−2,4−ペンタジオール             5質量%
分散剤1                          2質量%
ジオクチルスルホコハク酸Na(DES)水溶液      0.3質量%
イオン交換水                          残量
分散剤1:スチレン:アクリル酸:メタクリル酸ブチル=30:15:55(質量比)、分子量11000
(インク3の調製)
インク1において、イオン交換水の代わりに水道水を用いた以外は同様にしてインク3を調製した。
【0077】
(インク4の調製)
下記組成を十分撹拌混合し、0.45μmフィルターでろ過し、インク4とした。
【0078】
C.I.ダイレクトイエロー86            3.5質量%
プロピレングリコール                  10質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル        15質量%
サーフィノール104                 0.1質量%
イオン交換水                         残量
(インク5の調製)
インク1の調製において、C.I.ダイレクトブルー199の添加量を11質量%とした以外は同様にしてインク5を調製した。
【0079】
(インク6の調製)
インク2の調製において、分散剤1の割合を3.5質量%とした以外は同様にしてインク6を調製した。
【0080】
(インク7の調製)
下記成分を混合し、ビーズミルを用いて分散し、これをインク7とした。(遠心分離及びフィルターろ過は行わなかった。)
C.I.ピグメントイエロー128              4質量%
エチレングリコール                     8質量%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル          6質量%
グリセリン                         5質量%
分散剤2                          2質量%
メガファックF−142D(大日本インキ(株))     0.3質量%
イオン交換水                          残量
分散剤2:アクリル酸:メタクリル酸メチル:メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル=17:60:23(質量比)、分子量10000
(インク8の調製)
下記成分を十分攪拌混合した後、0.45μmのフィルターでろ過してインク8とした。
【0081】
C.I.ダイレクトブルー199              3質量%
エチレングリコール                   10質量%
グリセリン                        5質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル         5質量%
サーフィノール465                0.01質量%
イオン交換水                         残量
(インク9の調製)
下記成分を十分攪拌混合した後、0.45μmのフィルターでろ過してインク9とした。
【0082】
C.I.ダイレクトブルー199              3質量%
エチレングリコール                   10質量%
グリセリン                        5質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル         5質量%
メガファックF−142D(大日本インキ(株))    1.0質量%
イオン交換水                         残量
(インク10の調製)
下記成分を十分攪拌混合した後、0.45μmのフィルターでろ過してインク10とした。
【0083】
C.I.ダイレクトブルー199              3質量%
エチレングリコール                   30質量%
グリセリン                       15質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル         8質量%
サーフィノール465                 0.5質量%
イオン交換水                         残量
《インク1〜10の特性値の測定》
上記作製したインク1〜10について、下記の各特性値の測定を行い、得られた結果を表1に示す。
【0084】
〈表面張力の測定〉
上記調製した各インクについて、垂直板法(ウィルヘルミー法)を用いて25℃における表面張力を測定した。
【0085】
〈不純物イオン濃度の測定〉
上記調製した各インクについて、インク中のNaイオン、Kイオン、Liイオン、Caイオン、Mgイオン、Feイオンの総含有率をICPAESにより測定した。
【0086】
〈不溶性色材の質量平均粒径及び粒径分布の測定〉
インク中の不溶性色材の質量平均粒径および粒径分布は、島津製作所製のレーザー回折式粒径測定装置SLAD1100により求めた。粒径分布より不溶性色材の粒径が200nm以上の粒子の含有率を求めた。
【0087】
〈不溶性色材のゼータ電位の測定〉
インク中の不溶性色材のゼータ電位の測定には、ELS−800(大塚電子(株)製)を用いた。
【0088】
〈電導度の測定〉
インクの電導度の測定には、東亜電波社製の電導度計であるmodel CM−20E(電極;TYPE CG−201PL、液温20度)を用いて測定した。
【0089】
【表1】
Figure 2004136580
【0090】
2.画像出力及び評価
(画像出力)
インクジェット記録装置としては、図1、図2に記載の構成からなる装置を使用した。インクジェット記録ヘッドには、下記のインクジェット記録ヘッドa、インクジェット記録ヘッドbのいずれかを用い、インク供給チューブには下記のチューブa、b、cのいずれかを用い、表2に示すようにインク1〜10と組み合わせてインクジェット記録装置1〜12とした。各インクジェット記録装置は、35℃25%RH環境下に8週間放置された後、2400dpiでインクジェットペーパー フォトライクQP厚手DX(コニカ(株)製)に出射して、画像出力した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。画像としては、出力濃度を0%から100%の間を16段階に分割したウェッジ画像(各濃度について3cm×3cmのパッチ状に出力)を出力した。
【0091】
1)インクジェット記録ヘッド
インクジェット記録ヘッドa:
ノズル表面の撥水膜材質:フッ素系樹脂
ノズル孔径:20μm
駆動周波数:37kHz
1色当たりのノズル数:256
同色間のノズル密度:180dpi
1ドット当たりの最小液適量:4pl
インクジェット記録ヘッドb:
ノズル表面の撥水膜材質:シリコーン系樹脂
ノズル孔径:20μm
駆動周波数:37kHz
1色当たりのノズル数:256
同色間のノズル密度:180dpi
1ドット当たりの最小液適量:4pl
2)インク供給チューブ
チューブa:内層ポリエチレン、外層シリコーン樹脂の2層構成(内径0.5mm、肉厚0.1mm)
チューブb:ポリエチレン製(内径0.5mm、肉厚0.1mm)
チューブc:ポリエチレン製(内径0.5mm、肉厚0.2mm)
なお、インクジェット記録装置1〜12のインク蒸発率及びインクとノズルの接触角は以下のようにして求めた。
【0092】
〈インク蒸発率の測定〉
インク蒸発率は、用いるインクチューブの一部を切り取り、各インクを満たして両端をシールし、35℃、25%RH環境下で8週間放置し、放置前後での質量変化から、下式に従ってインク蒸発率を求めた。
【0093】
y(%)= (Δw/w0)×100
y: インク蒸発率(%)
Δw: 保存前後の質量変化
w0: チューブ内の初期インク質量
〈接触角の測定〉
接触角は、用いるノズル上にインク滴5μlを滴下し、協和界面科学製の接触角計CA−Xを使用して測定した。
【0094】
(各特性の評価)
インクジェット記録装置1〜12について、吐出安定性と目詰まりの評価を下記方法に従って行った。
【0095】
〈吐出安定性の評価〉
◎:ノズル欠、出射曲がり等無く、正常に吐出できた
○:曲がり発生あるが許容可能
×:ノズル欠発生。又は吐出はするが、画質劣化許容できない
〈目詰まりの評価〉
◎:全ノズルから正常に出射
○:1〜3ノズルに目詰まりが見られるがノズル面からの吸引クリーニングにより回復
×:4ノズル以上に目詰まりが発生し、吸引クリーニングにより回復不可能な目詰まりが1ノズル以上発生
以上により得られた結果を、表2に示す。
【0096】
【表2】
Figure 2004136580
【0097】
表2より明らかなように、本発明のインクジェット記録装置は吐出安定性が高く、さらに、目詰まりが抑えられていることがわかった。
【0098】
【発明の効果】
本発明により、高い吐出安定性を有するインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることのできるインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図2】インクカートリッジとインクジェット記録ヘッドとをインク供給チューブで接続しているインク供給路の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド
2 キャリッジ
3 プラテン
4、5 ガイドレール
6 接続線
7 インク供給チューブ
8 インクカートリッジ
9 記録媒体
11 ノズル
12 インク流入口
20 ダンパー

Claims (13)

  1. 水、水溶性有機溶剤、及び色材を含有し、水の含有率が50質量%以上であり、25℃における表面張力γが20〜37(mN/m)であるインクを収納するインクカートリッジと、
    インク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドと、
    前記インクカートリッジとインクジェット記録ヘッドとを接続し、前記インクの蒸発率yが1/5(%・m/mN)×γ(mN/m)以下であるインク供給チューブと、
    を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記インクの前記インクジェット記録ヘッドのノズルに対する接触角が70度以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 1ドット当たりの最小液適量が10pl以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 印字解像度が1000dpi以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記インク中に表面張力が20〜35mN/mである水溶性有機溶媒を1〜15質量%することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記インク中の固形分含有率が0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インク中のNaイオン、Kイオン、Liイオン、Caイオン、Mgイオン、Feイオンの総含有率が500ppm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記インクの電導度が1S/m以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記色材には不溶性色材が含まれ、前記インク中に分子量1000以上の分散剤を前記不溶性色材に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記不溶性色材の体積平均粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記不溶性色材の粒径200nm以上の粒子が前記不溶性色材の5質量%以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記不溶性色材のゼータ電位の絶対値が40mV以上であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置を用いて前記インクを記録媒体上に出射することを特徴とするインクジェット記録方法。
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