JP2007161949A - インクジェットインクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Kenichi Okubo
賢一 大久保
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Abstract

【課題】様々な記録媒体への印字適性を有し、文字再現性と画像再現性を両立し、光沢に優れた画像が得られるインクジェットインクセット及びインクジェット記録方法の提供。
【解決手段】少なくとも2種類の同一色インクから成るインクジェットインクセットにおいて、該同一色インク間の表面張力の差が5〜20mN/mであり、かつ該同一色インクが水、色材、活性エネルギー線反応性化合物を少なくとも含有することを特徴とするインクジェットインクセット。前記活性エネルギー線反応性化合物の含有量が、0.8質量%以上5.0質量%未満であること、前記活性エネルギー線反応性化合物が、主鎖に対して複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であること、は共に好ましい態様である。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線反応性化合物を含有するインクジェットインクセット及び、それを用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。又、使用される用途も多岐に亘り、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクが使用される。
特に近年、記録速度の大幅な向上が見られ、軽印刷用途にも耐え得る性能を持つプリンタの開発も行われている。しかしながら、インクジェットプリンタにおいて、その性能を引き出すためにはインクの吸収性を付与したインクジェット専用紙が必要である。
インクの吸収性を余り持たないコート紙やアート紙、もしくはインク吸収性の全く無いプラスチックフイルム上に記録する際には、異色インク液体同士が記録媒体上で混ざり色濁りを起こす、所謂ブリード等の課題があり、インクジェット記録で記録媒体に多様性を持たせる上で課題となっていた。
上記課題に対し、室温において固体状ワックス等を素材とするホットメルト型インク組成物を用い、加熱等により液化し、何等かのエネルギーを加えて噴射させ、記録媒体上に付着しつつ冷却固化して記録ドットを形成するホットメルト型インクジェット記録方法が提案されている(特許文献1、2参照)。このホットメルト型インクは、室温で固体であるために取扱い時に汚れることが無く、又、溶融時のインク蒸発量が実質無いため、ノズルの目詰まりを起こすことがない。更に、付着後直ちに固化するため色滲みも少なく、紙質に関係なく良好な印刷品質を提供するインク組成物であると言われている。しかしながら、このような方法で記録された画像は、インクドットが柔らかいワックス状であるため、ドットの盛上がりに起因する品質の劣化や、耐擦過性の不足等の課題があった。
一方、活性エネルギー線を照射することにより硬化するインクジェット記録用インクが開示されている(特許文献3参照)。又、色材として顔料を含有し、かつ重合性材料として3官能以上のポリアクリレートを含有し、ケトン、アルコールを主溶剤とする、いわゆる非水系インクが提案されている(特許文献4参照)。又、活性エネルギー線硬化性不飽和二重結合を有する基を含有するポリウレタン化合物、塩基性化合物、着色剤、水溶性有機溶剤及び水を含有する水系の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物が提案されている(特許文献5参照)。更には、顔料粒子の表面に1種以上の親水性基が結合している自己分散型顔料と、ビニル化合物から成る紫外線硬化型モノマーと光重合開始剤と水とを含む水系のインクジェット用インクも提案されている(特許文献6参照)。
これら提案されている活性エネルギー線反応性インクでは、インク自身を硬化成分により硬化させるため、非吸収性記録媒体に対しても記録が可能となったが、画像形成部と非画像部(白地部)との光沢差による不自然で違和感のある画質を生じ、結果として、画像均一性を損なうという課題を抱えている。更に、これら提案されている活性エネルギー線反応性インクの一部は、文字再現性と画像再現性の両立が困難であり、早急な改良が求められている。
米国特許第4,391,369号明細書 米国特許第4,484,948号明細書 米国特許第4,228,438号明細書 特公平5−64667号公報 特開2002−80767号公報 特開2002−275404号公報
本発明は、上記課題に鑑み為されたものであり、その目的は、様々な記録媒体への印字適性を有し、文字再現性と画像再現性を両立し、光沢に優れた画像が得られるインクジェットインクセット及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.
少なくとも2種類の同一色インクから成るインクジェットインクセットにおいて、該同一色インク間の表面張力の差が5〜20mN/mであり、かつ該同一色インクが水、色材、活性エネルギー線反応性化合物を少なくとも含有することを特徴とするインクジェットインクセット。
2.
前記活性エネルギー線反応性化合物の含有量が0.8質量%以上5.0質量%未満であることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインクセット。
3.
前記活性エネルギー線反応性化合物が、主鎖に対して複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であることを特徴とする前記1又は2に記載のインクジェットインクセット。
4.
前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖がポリ酢酸ビニルの鹸化物であることを特徴とする前記3に記載のインクジェットインクセット。
5.
前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖に対する側鎖の変性率が0.8〜4.0モル%であることを特徴とする前記3又は4に記載のインクジェットインクセット。
6.
前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖の重合度が200〜500であることを特徴とする前記3〜5の何れか1項に記載のインクジェットインクセット。
7.
前記1〜6の何れか1項に記載のインクジェットインクセットを構成するインクジェットインクを記録媒体上に吐出し、該インクジェットインクに活性エネルギー線を照射後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
8.
前記インクジェットインクセット中の同一色インクを画素情報に応じて使い分けることを特徴とする前記7に記載のインクジェット記録方法。
9.
前記インクジェットインクセット中の同一色インクの使用比率を記録媒体に応じて使い分けることを特徴とする前記7に記載のインクジェット記録方法。
10.
前記同一色インクについて、同一色の画素が一定量連続する領域では低表面張力のインクを、異なる色と隣接する領域では高表面張力のインクを記録することを特徴とする前記8に記載のインクジェット記録方法。
11.
前記同一色インクについて、表面張力の低い記録媒体に対しては低表面張力のインクの使用比率を多くし、表面張力の高い記録媒体に対しては高表面張力のインクの使用比率を多くすることを特徴とする前記9に記載のインクジェット記録方法。
12.
前記記録媒体が印刷用塗工紙であることを特徴とする前記7〜11の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
13.
前記記録媒体が非吸収性記録媒体であることを特徴とする前記7〜11の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
本発明により、様々な記録媒体への印字適性を有し、文字再現性と画像再現性を両立し、光沢に優れた画像が得られるインクジェットインクセット及びインクジェット記録方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも2種類の同一色インクから成るインクジェットインクセットであり、該同一色インク間の表面張力の差が5〜20mN/mであって、かつ該同一色インクが水、色材、活性エネルギー線反応性化合物を少なくとも含有するインクジェットインクセット及びそれらを用いたインクジェット記録方法により、様々な記録媒体への印字適性を有し、文字再現性と画像再現性を両立し、光沢に優れた画像が得られることを見い出し、本発明を為すに至った。
本発明者は、吸収性に乏しいか又は全く無い記録媒体に対して硬化性インクによる記録を行い、文字再現性と画像再現性が悪化する機構について解析を行ったところ、両者ともにインク吸収性の不足により生じる現象であるが、部分的には異なる要因により発生する現象であることを見い出した。即ち、文字再現性は記録媒体が吸収しきれないインクが色間で混じる、所謂カラーブリードが悪化の主要因であり、インクの表面張力が低いほど文字細部の再現性が悪くなる。一方、画像再現性の悪化も記録媒体がインクを吸収しきれないことにより生じるが、こちらは同一色調における斑、所謂ビーディングが主要因となっており、インクの表面張力が記録媒体の表面張力よりも或る程度高いことにより発生し易くなるとの知見を得た。
この知見を利用し、同一色で表面張力が異なる2種類の活性エネルギー線反応性インクを用意し、カラーブリードが発生し易い領域は表面張力の高いインクで、ビーディングの発生し易い領域では表面張力の低いインクで記録を行うことにより、必要以上に活性エネルギー線反応性化合物を含有しなくても、カラーブリードとビーディングを共に防止可能であるとの発見に至った。この様なインクセットを使用することにより、文字再現性、画像再現性が共に優れた画像を形成することが出来る。
更に、本発明における活性エネルギー線反応性インクは揮発成分である水を含んでおり、前記インクセットを用意することにより、過剰に活性エネルギー線反応性化合物を使用する必要がないため、従来公知の硬化性インクに比較して光沢に優れた画像形成が出来る。画像光沢の点から活性エネルギー線反応性化合物の含有量は、0.8質量%以上5.0質量%未満が好ましい。
以下、本発明のインクジェットインクセットについて詳細に説明する。
〈インクジェットインクセット〉
本発明のインクジェットインクセットは、少なくとも同一色で表面張力が異なる2種類のインクジェットインクから構成されており、2種類のインク間の表面張力の差は5〜20mN/mである。表面張力の差が5mN/m未満であると本発明の効果が不十分なものとなり、カラーブリードとビーディングの防止を両立することが難しくなる。又、表面張力の差が20mN/mを超えると、一方のインクの表面張力が過剰に低くなるか高くなってしまい、インク保存安定性が不足したり、インクジェットヘッドへのインク導入や泡抜きが困難になるという問題が生じ易くなる。
2種のインクの表面張力としては、これに限定されるものではないが、一方が25〜35mN/m、もう一方が35〜45mN/mであることが好ましい。本発明で言うインクの表面張力は、25℃で測定した表面張力の値である。その測定法については、一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば「新実験化学講座第18巻(界面とコロイド),日本化学会編,丸善社発行」の68〜117頁を参照することができ、具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、白金プレート法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることが出来る。本発明においては、白金プレート法により測定した表面張力値(mN/m)で表し、例えば協和界面科学社製の表面張力計CBVP−Zを使用して測定できる。
同一色で表面張力が異なる2種類のインクジェットインクについて、必要に応じて色材、溶媒、活性エネルギー線反応性化合物、その他の添加剤の種類や含有量を各々別個に調整してもよい。具体例として、高表面張力のインクに含まれる色材量を多くして濃色インクとし、低表面張力のインクに含まれる色材量を少なくして淡色インクとする、といったインクジェットインクセット等が挙げられる。
又、本発明のインクジェットインクセットは、同一色で表面張力が異なる2種類のインクを最小構成単位とするが、更に表面張力の異なる、又は一方と表面張力が同じ第3の同一色インクを用意してもよい。
本発明のインクジェットインクセットは、色相の異なる3色又は4色以上のインクジェットインクから構成されることが好ましい。
インクジェットインクセットを構成する色相の異なるインクとしては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のインクジェット用インクから構成されるインクセットを用いることが好ましく、更には各色について表面張力が異なる2種類のインクを用意することがより好ましい。装置やシステムを簡便にする目的で、搭載するインク種類を極力少なくする場合は、ブラックについて2種類のインクを用いることが好ましい。
更に上記4色のインクに加えて、淡色シアンインク、淡色マゼンタインク、濃色イエローインク、淡色黒インク(グレーインク)を用いてもよい。又、ブルー、レッド、グリーン、オレンジ、バイオレット等の、いわゆる特色インクを使用することも可能である。これらの各々又はその一部について、表面張力が異なる2種類の同一色インクを用意してもよい。
(濃淡インク)
本発明のインクジェットインクセットでは、少なくとも1色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色インクから構成されるインクジェットインクセットを用いてもよい。更に、2色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェットインクセットを用いてもよく、特に、3色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェットインクセットを用いることが階調性の点から好ましい。特に、人間の視感度の高いマゼンタインク又はシアンインクにおいて、濃度の異なる少なくとも二つのインクを用いることが好ましい。
この濃度が異なるインクジェットインクセットの濃度比は任意な値としてよいが、滑らかな階調再現を行うためには、高濃度インクと低濃度インクとの比(低濃度インクの色材濃度/高濃度インクの色材濃度)は、0.1〜1.0の間にあることが好ましく、0.2〜0.5が更に好ましく、0.25〜0.4の間にあることが特に好ましい。
(白色インク)
インクジェットインクセットには、上記の有色顔料に加えて白色顔料を含有する白色インクを用いてもよい。用いられる白色顔料は、インクジェットインクを白色にするものであればよく、例えば、無機白色顔料や有機白色顔料、白色の中空ポリマー微粒子を挙げることができる。
無機白色顔料としては、例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉珪酸、合成珪酸塩等のシリカ類、珪酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。特に、酸化チタンは高い屈折率を有するために、微粒子で高い隠蔽性、着色性を有しており、好ましく用いることができる。
有機白色顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や同11−140365号、特開2001−234093号に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。上記白色顔料の具体的な商品としては、Shigenox OWP、Shigenox OWPL、Shigenox FWP、Shigenox FWG、Shigenox UL、Shigenox U(以上、ハッコールケミカル社製)等が挙げられる。
白色の中空ポリマー微粒子としては、米国特許4,089,800号に開示される実質的に有機重合体で作った熱可塑性を示す微粒子などが挙げられる。
白色顔料は単独で用いてもよいし、併用してもよい。顔料の分散には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。又、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤は通常の分散剤を用いる事ができるが、高分子分散剤を用いることが好ましい。
顔料の分散は、平均粒径を0.05〜1.0μmとすることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.3μmである。
(無色インク)
本発明のインクジェットインクセットにおいては、実質的に色材を含まない無色インク(透明インクとも言う)を併用することもできる。実質的に色材を含まない無色インクとは、全インク質量に対し色材の含有量が0.1%以下の状態を意味し、好ましくは全く色材を含まないことである。
無色インクの含有成分は、均一溶解していても、不均一分散系で存在しても、どちらでも構わない。添加可能なものとしては、水系で溶解状態の樹脂、水系で分散状態の樹脂、有機溶媒系で溶解状態の樹脂、有機溶媒系で分散状態の樹脂などが挙げられるが、水系で溶解状態の樹脂及び水系で分散状態の樹脂が好ましい。使用するインクジェット用インクから色材のみを除いた無色インクでも使用可能であるが、種々の機能を付加するため、以下の添加剤を加えることが好ましい。
水系で溶解状態の樹脂として、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ−、ι−、λ−等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を加えることができる。
水系で分散状態の樹脂として、特に熱可塑性樹脂の微粒子を添加することは、画像の光沢性を向上するので好ましい。熱可塑性樹脂の微粒子については、上記の記録媒体の表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいはその微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性樹脂の微粒子の平均粒径としては0.5μm以下が好ましい。添加する熱可塑性樹脂の微粒子は、0〜150℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
次いで、本発明に係るインクジェットインクについて説明する。本発明のインクジェットインク(以下、単にインクとも言う)では、活性エネルギー線反応性化合物を含有することを特徴とする。
〈活性エネルギー線反応性化合物〉
本発明における活性エネルギー線反応性化合物とは、活性エネルギー線の照射により重合、架橋等の化学結合を形成する化合物を指す。活性エネルギー線反応性化合物のインク中の添加量は0.8質量%〜5.0質量%未満であることが好ましい。添加量が0.8質量%以上であれば本発明の目的効果を発揮するのに十分な架橋性が得られ、5.0質量%未満であると間歇出射安定性や画像光沢が良好となり好ましい。
本発明における活性エネルギー線反応性化合物の例としては、分子末端に反応性基を有するグリセリンアクリレート、グリセリントリアクリレート等の単官能、多官能の重合性化合物、主鎖に対して複数の側鎖を有しており側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも、記録媒体上でのカラーブリード、ビーディング防止の点から、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物(以下、架橋性高分子化合物とも言う)が好ましい。側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物は、或る程度の分子量を持った主鎖に対して側鎖間で架橋結合を形成するため、一般的な連鎖反応により重合する活性エネルギー線反応性化合物に比較し、光子一つ当たりの分子量増加効果が著しく大きい。特に画像光沢の点から、活性エネルギー線反応性化合物の含有量を少量とする場合、効率的に分子量増加効果を発現する前記化合物が非常に有効である。
架橋性高分子化合物としては、ポリ酢酸ビニルの鹸化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル又は前記樹脂の誘導体、並びにこれらの共重合体から成る群より選ばれる少なくとも1種の主鎖に対して、側鎖に反応性の変性基を導入したものが挙げられる。
これらの中でも、主鎖をポリ酢酸ビニルの鹸化物とすることにより、側鎖の導入が簡便となり、又、取扱い性も向上する。主鎖の重合度は200〜2000の範囲が好ましいが、更には200〜500であることが特に好ましい。重合度が200以上であれば、架橋反応時の適度の粘度上昇を付与することができ、前述のカラーブリードやビーディングを十分に防止することができる。又、重合度が2000以下であれば、インクに添加した際の粘度の上昇を抑制でき、良好な出射安定性を得ることができる。
側鎖については、光2量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入することができる。組み合わせる色材との反応性の観点から、側鎖としてはノニオン性、アニオン性、両性(ベタイン化合物)が好ましく、特に、色材としてアニオン性染料あるいはアニオン性顔料と組み合わせる場合には、側鎖はノニオン性又はアニオン性であることが好ましく、特に好ましくはノニオン性である。
親水性主鎖に対する側鎖の変性率は、0.8〜4.0モル%であることが好ましく、更には1.5〜3.0モル%であることが反応性の観点から、より好ましい。親水性主鎖に対する側鎖の変性率が0.8モル%以上であれば十分な架橋性を有し、本発明の目的効果を得ることができる。又、4.0モル%以下であれば適度な架橋密度であるために、柔軟性のある画像膜を得易く、膜強度が特に良好である。
光2量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基等を導入したものが好ましく、例えば特開昭60−129742号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
特開昭60−129742号に記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中にスチルバゾニウム基を導入した下記一般式(1)で表される化合物である。
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、A-はカウンターアニオンを表す。
特開昭56−67309号に記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記一般式(2)で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、又は下記一般式(3)で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
又、下記一般式(4)で表される変性基も好ましく用いられる。
式中、Rはアルキレン基又はアリーレン基を表し、好ましくはフェニレン基である。
光重合型の変性基としては、例えば特開2000−181062号、同2004−189841号に示される下記一般式(5)で表される樹脂が反応性の観点から好ましい。
式中、R2はメチル基又は水素原子を表し、nは1又は2を表し、Xは−(CH2m−COO−又は−O−を表し、Yは芳香族環残基又は単結合手を表し、mは0〜6の整数を表す。
又、特開2004−161942号に記載される光重合型の下記一般式(6)で表される変性基を、従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
式中、R3はメチル基又は水素原子を表し、R4は炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。
本発明に係るインクジェットインクにおいては、光重合型の変性基を有する高分子化合物を用いる場合、公知の光重合開始剤を用いることが好ましく、中でも水溶性光重合開始剤を用いることは特に好ましい。適用可能な水溶性の光重合開始剤としては、下記一般式(7)で表される化合物が、高分子化合物との相溶性、感度の観点から好ましい。
式中、nは1〜5の整数を表す。
又、上記光重合開始剤は、本発明に係る高分子化合物の親水性主鎖に対して、側鎖にグラフト化されていても好ましい。
本発明に係るインクジェットインクには、必要に応じて増感剤を使用してもよい。用いる増感剤としてはどの様なものでもよいが、脂肪族アミン、芳香族置換基を含むアミン、ピペリジン等のアミン類、尿素、アルキル尿素、芳香族置換基を含む尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等の硫黄化合物、トリブチルホスフィン等の燐化合物、ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンの縮合物、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物の高分子化アミン、トリエタノールアミントリアクリレート等の窒素化合物;ニトリル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、インク保存安定性や出射安定性の点からアミンが好ましく、更にはモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが、インクに対する溶解性の点から特に好ましい。
増感剤の添加量は、インク全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、更には0.5〜5質量%であることが好ましい。0.1質量%以上にすると反応加速効果が十分に得られ易く、10質量%以下であると耐擦性、耐水性等の画像耐候性の悪化が生じ難い。
次いで、本発明に係るインクジェットインクのその他の構成要素について説明する。
(色材)
本発明に係るインクジェットインクに用いられる色材としては、染料又は顔料を用いることができる。
用いることのできる染料としては特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げられる。
以下、本発明のインクジェット用インクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明は、これら例示する染料のみに限定されない。
水溶性染料としては、例えばアゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。以下にその具体的化合物を挙げる。
C.I.アシッドイエロー:1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246
C.I.アシッドオレンジ:3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168。
C.I.アシッドレッド:88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415
C.I.アシッドバイオレット:17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126。
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350
C.I.アシッドグリーン:9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109。
C.I.アシッドブラウン:2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413
C.I.アシッドブラック:1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222
C.I.ダイレクトイエロー:8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、79、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153
C.I.ダイレクトオレンジ:6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118
C.I.ダイレクトレッド:2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254
C.I.ダイレクトバイオレット:9、35、51、66、94、95
C.I.ダイレクトブルー:1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291
C.I.ダイレクトグリーン:26、28、59、80、85
C.I.ダイレクトブラウン:44、106、115、195、209、210、222、223
C.I.ダイレクトブラック:17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169
C.I.リアクティブイエロー:2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176
C.I.リアクティブオレンジ:1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107
C.I.リアクティブレッド:2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235
C.I.リアクティブバイオレット:1、2、4、5、6、22、23、33、36、38
C.I.リアクティブブルー:2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236
C.I.リアクティブグリーン:8、12、15、19、21
C.I.リアクティブブラウン:2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46
C.I.リアクティブブラック:5、8、13、14、31、34、39
C.I.フードブラック:1、2。
更に、染料として、下記一般式(8)で表される化合物又は一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
一般式(8)において、R1は水素原子又は置換基を表し、水素原子又はフェニルカルボニル基が好ましい。R2は異なってもよく水素原子又は置換基を表し、水素原子が好ましい。R3は水素原子又は置換基を表し、水素原子又はアルキル基が好ましい。R4は水素原子又は置換基を表し、水素原子、アリールオキシ基が好ましい。R5は異なってもよく水素原子又は置換基を表し、スルホ基が好ましい。rは1〜4の整数を表し、sは1〜5の整数を表す。
一般式(9)において、R6はフェニル基又はナフチル基を表し、置換基で置換されていてもよく、スルホ基又はカルボキシル基で置換されていることが好ましい。Mは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン又はアルキルアンモニウムイオンを表す。R7は異なってもよく水素原子又はナフタレン環に置換可能な置換基を表す。qは1又は2を表す。pは1〜4の整数を表す。ただし、q+p=5である。R8は置換基を表し、カルボニル基、スルホニル基又は下記一般式(10)で表される基を表し、特に下記一般式(10)で表される基が好ましい。
式中、W1及びW2は各々、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基を表し、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はアルキルアミノ基が好ましい。
(分散染料)
又、分散染料としては、アゾ系分散染料、キノン系分散染料、アントラキノン系分散染料、キノフタロン系分散染料等種々の分散染料を用いることができ、以下にその具体的化合物を挙げる。
C.I.Disperse Yellow:3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232
C.I.Disperse Orange:1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142
C.I.Disperse Red:1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328
C.I.Disperse Violet:1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77
C.I.Disperse Green:9
C.I.Disperse Brown:1、2、4、9、13、19
C.I.Disperse Blue:3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333
C.I.Disperse Black:1、3、10、24。
これら上記列挙した染料は、「染色ノート第21版」(出版;色染社)等に記載されている。
この他に、キレート染料やシルバーダイブリーチ(銀色素漂白法)感光材料(チバガイギー製チバクローム等)に用いられるアゾ染料を挙げることができる。
キレート染料に関しては、例えば英国特許1,077,484号に記載されている。又、銀色素漂白法感光材料用のアゾ染料に関しては、例えば英国特許1,039,458号、同1,004,957号、同1,077,628号、米国特許2,612,448号に記載されている。
本発明で用いることのできる顔料としては、従来公知の有機あるいは無機顔料を挙げることができる。例えばアゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
以下、本発明のインクジェット用インクに適用可能な顔料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する顔料にのみ限定されるものではない。
マゼンタ又はレッド用の顔料:C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等
オレンジ又はイエロー用の顔料:C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー180等
グリーン又はシアン用の顔料:C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等。
又、ブラック用の顔料として、カーボンブラック等が挙げられる。
(自己分散顔料)
又、本発明に係るインクジェットインクでは、顔料として自己分散顔料を用いることもできる。自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有している顔料粒子である。
表面に極性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接極性基で修飾させた顔料、又は有機顔料母核を有する有機物で直接に又はジョイントを介して極性基が結合しているもの(以下、顔料誘導体と称す)を言う。極性基としては、例えばスルホ基、カルボキシル基、燐酸基、硼酸基、ヒドロキシル基が挙げられるが、好ましくはスルホ基、カルボキシル基であり、更に好ましくは、スルホ基である。
表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えばWO97/48769号、特開平10−110129号、同11−246807号、同11−57458号、同11−189739号、同11−323232号、特開2000−265094号等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤でさせることにより、顔料表面の少なくとも一部に、スルホ基もしくはその塩といった極性基を導入する方法が挙げられる。具体的には、カーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合は、スルホランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルホン化ピリジン塩、アミド硫酸などで酸化することにより調製することができる。これらの反応で、酸化が進みすぎ、水溶性となってしまったものは、除去、精製することにより顔料分散体を得ることができる。又、酸化によりスルホ基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて、塩基性化合物を用いて中和してもよい。
その他の方法としては、特開平11−49974号、特開2000−273383号、同2000−303014号等に記載の顔料誘導体をミリング等の処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特開2002−179977号、同2002−201401号等に記載の顔料を顔料誘導体と共に溶媒で溶解した後、貧溶媒中で晶析させる方法等を挙げることができ、何れの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
極性基はフリーでも塩の状態でもよいし、あるいはカウンター塩を有してもよい。カウンター塩としては、例えば無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム等)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
(顔料分散体の製造方法)
顔料の分散方法としては、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。又、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
顔料分散体の調製において、必要に応じて、顔料分散剤として界面活性剤、高分子分散剤を含有させてもよい。界面活性剤、高分子分散剤の種類は特に制限されないが、界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホ琥珀酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等を挙げることができ、又、高分子分散剤としては、吐出安定性の観点から水溶性樹脂を用いることが好ましく、例えばスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体から成るブロック共重合体、ランダム共重合体及びこれらの塩を挙げることができ、更に詳しくは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
これらの各高分子分散剤のインク全量に対する添加量としては、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5質量%である。これらの高分子分散剤は2種以上併用することも可能である。
顔料粒子の粒径には、電子顕微鏡で粒子を直接観察することで得られる粒径(一次粒径)と、光散乱を利用した粒径測定装置を利用した分散粒径(二次粒径)、固有粘度から求める粘度換算粒径がある。
本発明のインク中の顔料の一次粒径は、耐光性と分散安定性の観点から10〜1000nmであることが好ましく、更に好ましくは10〜70nmである。10nm以上であれば画像の耐光性が悪化することがなく、100nm以下であれば、顔料の凝集によりヘッドの目詰まりが生ずる問題が起こり難くなる。ここで、一次粒子を求めるためには、顔料粒子1000個を透過型電子顕微鏡で長径を測定し、その平均値(数平均)より求めることが出来る。
(溶媒)
本発明に係るインクジェットインクにおいては、水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。用いることのできる水溶性有機溶媒としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等);多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等);多価アルコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等);アミン類(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等);アミド類(ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等);スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
好ましい水溶性有機溶媒としては多価アルコール類が挙げられる。更に、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用してもよい。水溶性有機溶媒の添加量としては、インク総量に対しで5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
(その他の添加剤)
本発明に係るインクには、必要に応じて吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えばポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子;カチオン又はノニオンの各種界面活性剤;特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載される褪色防止剤;特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載される蛍光増白剤;硫酸、燐酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
(ラテックス)
本発明では、ラテックスをインク中に加えてもよい。例えばスチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体及びアクリル変性弗素樹脂等のラテックスが挙げられる。ラテックスは、乳化剤を用いてポリマー粒子を分散させたものでも、又、乳化剤を用いないで分散させたものでもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホ基、カルボキシル基等の水に可溶な基を有するポリマー(可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いるのも好ましい。
又、本発明に係るインクでは、ソープフリーラテックスを用いることが特に好ましい。ソープフリーラテックスとは、乳化剤を使用していないラテックス、及びスルホ基、カルボキシル基等の水に可溶な基を有するポリマー(可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー等)を乳化剤として用いたラテックスを指す。
近年、ラテックスのポリマー粒子として、粒子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェル型のポリマー粒子を分散したラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
インクジェットインクにおいて、ラテックス中のポリマー粒子の平均粒径は10〜300nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。ラテックスの平均粒径が10nm以上であると耐水性や耐擦性に十分な効果を発揮し易くなり、300nm以下であると吐出安定性や画像の光沢感が特に良好となる。ラテックス中のポリマー粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機器により求められる。
ラテックスは、固形分添加量としてインクの全質量に対して0.1〜20質量%となるように添加することが好ましく、0.5〜10%質量%とすることが特に好ましい。ラテックスの固形分添加量が0.1質量%以上の場合、耐候性に関して十分な効果が得られ易くなり、又、20質量%以下であると、経時でインクが増粘するなどのインク保存性の問題が生じ難くなる。
(サーマル用出射安定剤)
本発明に係るインクジェットインクは、サーマル型インクジェットプリンターに用いてもよい。この時、コゲーションと呼ばれるヘッドの目詰まりを解決するために、特開2001−81379号に開示される(M12SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M12SO3及び(M1)2CO3から選ばれる塩を加えてもよい。ここでM1は、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Phはフェニル基を表す。
上記のアルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。又、有機アンモニウムとしては、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリヒドロキシメチルアミン、ジヒドロキシメチルアミン、モノヒドロキシメチルアミン、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、N−メチルモノエタノールアンモニウム、N−メチルジエタノールアンモニウム、モノプロパノールアンモニウム、ジプロパノールアンモニウム、トリプロパノールアンモニウム等が挙げられる。
(架橋剤)
インクジェットインクには架橋剤を含有させてもよい。架橋剤の具体例としては、例えばエポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系硬化剤(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、硼酸又はその塩等が挙げられる。
(褪色防止剤)
本発明に係るインクジェットインクでは、従来インクジェットインクで公知の褪色防止剤を用いることができる。この褪色防止剤は、光照射による褪色及びオゾン、活性酸素、NOx、SOx等の各種の酸化性ガスによる褪色を抑制するものである。
そのような褪色防止剤としては、例えば特開昭57−74192号、同57−87989号及び同60−72785号に記載の酸化防止剤、特開昭57−74193号に記載の紫外線吸収剤、特開昭61−154989号に記載のヒドラジド類、特開昭61−146591号に記載のヒンダードアミン系酸化防止剤、特開昭61−177279号に記載の含窒素複素環メルカプト系化合物、特開平1−115677号及び同1−36479号に記載のチオエーテル系酸化防止剤、特開平1−36480号に記載の特定構造のヒンダードフェノール系酸化防止剤、特開平7−195824号及び同8−150773号に記載のアスコルビン酸類、特開平7−149037号に記載の硫酸亜鉛、特開平7−314882号に記載のチオシアン酸塩類など、特開平7−314883号に記載のチオ尿素誘導体など、特開平7−276790号及び同8−108617号に記載の糖類、特開平8−118791号に記載の燐酸系酸化防止剤が、特開平8−300807号に記載の亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが、又、特開平9−267544号に記載のヒドロキシルアミン誘導体等を挙げることができる。更に、特開2000−263928号等に記載のジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物なども、インクジェットインクにおける有効な褪色防止剤の一つである。
(pHバッファー剤)
インクジェットインクでは、pHバッファ剤をインク中に添加してもよい。例えば有機酸や無機酸である。有機酸としては、非揮発性のフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、安息香酸、セバチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アスコルビン酸、クエン酸、林檎酸、乳酸、琥珀酸、蓚酸、ポリアクリル酸、ベンジル酸等各種の有機酸を挙げることができる。
(消泡剤)
インクジェットインクには消泡剤を添加することができ、消泡剤としては特に制限なく市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、インク中に0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%以上の時はインク調製時の泡の発生、インク内での小泡の除去がし易くなり、2質量%以下とした場合、印字品質の低下が起こり難い。
(界面活性剤)
インクジェットインクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル燐酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤;グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤;アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
〈インクの調製〉
インクジェットインクの調製について特に制限は無いが、顔料、分散染料、無機微粒子、樹脂微粒子等の分散物を含むインクの調製を行う場合、調製過程での凝集、沈降が生じないようにインクを調製することが好ましい。必要に応じて、分散体、溶媒、水、感光性樹脂及びその他の添加物の添加順序、添加速度を調節する等の調合方法を採ることができる。又、調合中もしくは調合後のインクについて、分散の安定化、調合時に生じた凝集を再分散すること等を目的として、ビーズミルや超音波による分散処理、加熱処理等を行ってもよい。
〈インクの物性〉
次に、インクジェットインクの物性について述べる。
(粘度)
本発明に係るインクジェットインクの粘度は特に制限はないが、25℃における2〜10mPa・sであることが好ましい。又、インクの粘度は、シェアレート依存性がない方が好ましい。
本発明で言うインク粘度(mPa・s)は、JIS Z 8809に規定される粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、公知の方法に従って25℃で測定した粘度値であり、粘度測定装置としては、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができ、例えばSaybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定でき、例えばトキメック社製の円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A、同DD−1等を挙げることができる。
(電気伝導度)
本発明に係るインクジェットインクにおいては、インク保存安定性の観点から、電気伝導度が1〜500mS/mであることが好ましく、より好ましくは1〜200mS/mであり、更に好ましくは10〜100mS/mである。インクの電気伝導度を1ms/m以上にすると、静電反発が十分に得られて分散物を安定に存在させ易くなり、500mS/m以下とすると、色材の析出等による出射不良が発生し難くなる。
上記所望の電気伝導度を達成する手段としては特に制限はないが、本発明においては色材として顔料を用い、顔料の分散剤として高分子化合物(高分子分散剤)を用いる方法、あるいは電気伝導度調節剤、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン等を用いる方法を適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成することができる。
インクの電気伝導度の測定は、JIS K 0400−13−10(1999)に記載の方法、あるいは特開昭61−61164号に示されるような方法に従って容易に行うことができる。
〈イオン濃度の調整〉
インクジェットインクの調製においては、イオン濃度を適宜調整することが好ましい。所定濃度の染料水溶液をICP−AESにより測定し、インクで使用される染料濃度に換算してインクの状態のイオン濃度を算出する。水は蒸留水又はイオン交換水を使用することによりインク形成時のイオン濃度が推定できる。
次に、その他の添加剤などを加えて、インクを調製し、インク中のイオン濃度をICP−AESにより測定する。目標のイオン濃度を超える時は、染料水溶液をイオン交換樹脂に通してイオン濃度を低下させることができる。イオン交換を複数回行い、更にイオン濃度を低下することができる。これによっても所望のイオン濃度に至らない場合は、染料以外の添加剤についてもイオン交換等の処理を行う。又、必要に応じて、活性炭処理や限外濾過膜による濾過等の処理を加えてもよい。
〈記録媒体〉
本発明のインクジェット記録方法で適用可能な記録媒体としては、それぞれ各種の紙、フィルム、布、木材、インクジェット用記録媒体等が使用できる。これらの中でも印刷用塗工紙の使用が好ましい。
(印刷用塗工紙)
印刷用塗工紙とは、印刷でしばしば用いられる塗工紙であり、一般的には上質紙や中質紙を原紙とし、紙の表面に白土等の顔料を塗布した後、平滑性を高めるためにカレンダー処理を掛けて作製される。このような処理により、白色度や平滑性、印刷インクの受理性、あるいは網点再現性、印刷光沢、印刷不透明度などが向上する。塗工量により、アート紙、コート紙、軽量コート紙等の分類があり、又、紙の光沢によりグロス系、ダル系、マット系等に分類される。
アート紙は、塗工量が片面20g/m2前後の塗工紙であり、一般的には、紙表面に顔料を塗工した後、カレンダー処理を掛けて作製する。特アート、並アート、マット(艶消し)アート、片アート(片面塗工)、両アート(両面塗工)等の種類があり、具体的には、OK金藤N、サテン金藤N、SA金藤、ウルトラサテン金藤N、OKウルトラアクアサテン、OK金藤片面、Nアートポスト、NK特両面アート、雷鳥スーパーアートN、雷鳥スーパーアートMN、雷鳥アートN、雷鳥ダルアートN、ハイマッキンレーアート、ハイマッキンレーマット、ハイマッキンレーピュアダルアート、ハイマッキンレースーパーダル、ハイマッキンレーマットエレガンス、ハイマッキンレーディープマット等がある。
コート紙は、塗工量が片面10g/m2前後の塗工紙であり、一般的には、抄紙機の途中に設けた塗工装置で加工して作製される。コート量がアート紙より少なく、平滑度はやや落ちるものの、廉価、軽量という利点がある。又、軽量コートや微塗工紙というコート量の更に少ない種類の塗工紙も存在する。これらコート紙の具体例として、PODグロスコート、OKトップコート+、OKトップコートS、オーロラコート、ミューコート、ミューホワイト、雷鳥コートN、ユトリロコート、パールコート、ホワイトパールコート、PODマットコート、ニューエイジ、ニューエイジW、OKトップコートマットN、OKロイヤルコート、OKトップコートダル、Zコート、シルバーダイヤ、ユーライト、ネプチューン、ミューマット、ホワイトミューマット、雷鳥マットコートN、ユトリログロスマット、ニューVマット、ホワイトニューVマット等が挙げられる。
〈非吸収性記録媒体〉
非吸収性記録媒体としては、一般的に使用されている各種フィルム等は全て使用できる。例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等がある。又、写真用印画紙であるレジンコートペーパーや合成紙であるユポ紙なども使用できる。
〈インクジェット記録方法〉
本発明のインクジェット記録方法では、本発明のインクジェットインクをインクジェットヘッドにより記録媒体上に吐出し、活性エネルギー線を照射してインクを硬化させることを特徴とする。更に、インク硬化後に乾燥工程を導入することが好ましい。
又、本発明の同一色インクセットを画素情報に応じて使い分け、カラーブリードが発生し易い領域は表面張力の高いインクで、ビーディングの発生し易い領域では表面張力の低いインクで記録を行うことにより、本発明の効果を得ることができる。インクセットの使い分けとして、以下に限られるものではないが、例えば同一色の画素が一定量連続する領域をビーディングが発生し易い領域として低表面張力のインクを用いて記録し、異なる色と隣接する領域をカラーブリードが発生する領域として高表面張力のインクを用いて記録する方法が考えられる。
画素領域の判定法としては、例えば吐出しようとする1個のドットに着目し、そこを中心とした円状の範囲で該ドットと同一色のドットの存在傾向をカウントして、傾向がほぼ一定であれば同一色相が連続する領域と判定し、傾向の角度依存性が大きいようであれば異なる色が隣接する領域であると判定する方法、又は記録する画像を数ドットの単位で細かく分割し、分割した範囲内の色相を平均化して隣接する領域同士を比較する方法などが挙げられる。
又、記録画像について、テキスト主体の画像、写真主体の画像等、画像の種類をユーザーの入力やプログラムにより判定して、テキスト主体であれば高表面張力のインクの使用比率を高くし、写真主体であれば低表面張力のインクの使用比率を高くする、といった使い分けをしてもよい。
更に、本発明の同一色のインクセットの使用比率を、記録媒体に応じて使い分けてもよい。一般に、記録したインクの拡がりは、インクの表面張力と記録媒体の表面張力の関係により影響を受ける。記録媒体の表面張力が低い場合、記録したインクがより拡がり難くなるため、低表面張力のインクの使用比率を多くすることが好ましく、逆に表面張力の高い記録媒体では過度にインクが拡がってカラーブリードが生じ易くなるため、高表面張力のインクの使用比率を多くすることが好ましい。
(活性エネルギー線照射)
以下、インクジェット用インクへの活性エネルギー線照射方法について説明する。
本発明で言う活性エネルギー線としては、例えば電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましい。本発明では特に紫外線が好ましい。
電子線を用いる場合、照射する電子線の量は0.1〜30Mradの範囲が望ましい。0.1Mrad以上とすると十分な照射効果が得られ易く、30Mrad以下とすると支持体等を劣化させる可能性が少ないため好ましい。
紫外線を用いる場合は、光源として、例えば数100Pa〜1MPa迄の動作圧を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等、従来公知のものが用いられる。
(インク着弾後の光照射条件)
活性エネルギー線の照射条件としては、記録媒体上にインクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ早いことが特に重要となる。
(活性エネルギー線の照射方法)
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許6,145,979号では、照射方法として光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法には、これらの何れの照射方法も用いることができる。
又、活性エネルギー線照射を2段階に分け、まず、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射し、更に活性エネルギー線を照射する方法も好ましい態様の一つである。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
(硬化処理後の乾燥)
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上へ吐出したインクジェット用インクに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、不要の水溶性有機溶媒等を除去する目的で乾燥を行うことが好ましい。インクの乾燥手段としては特に制限はないが、例えば記録媒体の裏面を加熱ローラ又はフラットヒータ等に接触させて乾燥させる方法や、印字面にドライヤー等で温風を吹き付ける手段、あるいは減圧処理により揮発成分を除去する方法等を適宜選択あるいは組み合わせて用いることができる。
(プリンター部材)
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクジェットプリンターで用いる部材としては、活性光線、例えば紫外線の乱反射によるヘッド面への照射を防ぐために、活性エネルギー線に対する透過率や反射率が低い物が好ましい。
又、照射ユニットに対してはシャッターが搭載されている物が好ましく、例えば紫外線を用いる時、シャッター開閉時の照度の比がシャッター開/シャッター閉=10以上であることが好ましく、100以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。
次いで、本発明のインクジェット画像記録方法で用いるインクジェットプリンターについて説明する。
〈インクジェットプリンター〉
本発明で用いることのできるインクジェットプリンターとしては、例えば画像形成が水平に配設され、上面で所定範囲の記録媒体の裏面(画像形成面の側と反対側となる面)を吸引装置の駆動により吸引して支持するプラテンと、記録媒体に向けてインクをノズルの吐出口から吐出する記録ヘッドと、これら記録ヘッドと活性光線を備えた照射手段を搭載し、画像形成時に走査方向に移動するキャリッジと、キャリッジに搭載されると共に当該キャリッジを駆動するための駆動回路基板と、走査方向に沿って延在してキャリッジの移動を案内する案内部材と、走査方向に沿って延在し、その長手方向に光学パターンが配設されたリニアスケールと、キャリッジに搭載されると共にリニアスケールに配設された光学パターンを読み取って、クロック信号として出力するリニアエンコーダセンサとを備えて構成される装置が挙げられる。
(記録ヘッド)
使用する記録ヘッド(インクジェットプリントヘッド)は、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又、吐出方式としては、電気−機械変換方式(シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(スパークジェット型等)などを挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、何れの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
〈架橋性高分子化合物1の調製〉
グリシジルメタクリレート56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド48g、ピリジン2g及びN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩1gを、それぞれ反応容器に入れ、80度の湯浴中で8時間攪拌した。
次に、重合度300、鹸化率98%のポリ酢酸ビニル鹸化物45gをイオン交換水225gに分散した後、この溶液に燐酸4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドをポリビニルアルコールに対して変性率が3モル%になる様に加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂の30gを加え1時間攪拌した。イオン交換樹脂を濾過した後、純水により希釈し、架橋性高分子化合物1の15%水溶液を得た。
架橋性高分子化合物1は、親水性主鎖であるポリ酢酸ビニルの鹸化物に複数の側鎖を有しており、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物である。
〈インクセットの調製〉
以下のようにしてインクセット1〜10を調製した。
〔インクセット1〕
下記の方法に従って、イエローインク1、マゼンタインク1、シアンインク1、ブラッ クインク1から構成されるインクセット1を調製した。
(イエローインク1の調製)
下記の各添加剤を順次混合した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターで濾過してイエローインク1を得た。
ジエチレングリコール 10部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
活性エネルギー線反応性化合物:NKエステルA−GLY−9E(新中村化学社製)
15部
重合開始剤:イルガキュア2959 3部
顔料:C.I.ピグメントイエロー74 3部
顔料分散剤:Solsperse20000(アビシア社製) 1部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。更に界面活性剤としてオルフィンE1010(日信化学工業社製)を加えて、表面張力を32mN/mに調整した。
(マゼンタインク1、シアンインク1、ブラックインク1の調製)
上記イエローインク1の調製において、顔料をC.I.ピグメントイエロー74に代えて、それぞれC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブラック7を同量用いた以外は同様にして、マゼンタインク1、シアンインク1、ブラックインク1を得た。
〔インクセット2〕
下記の方法に従って、イエローインク2、マゼンタインク2、シアンインク2、ブラックインク2から構成されるインクセット2を調製した。
(イエローインク2の調製)
下記の各添加剤を順次混合した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターで濾過してイエローインク2を得た。
ジエチレングリコール 12部
グリセリン 5部
活性エネルギー線反応性化合物:NKエステルA−GLY−9E(前出) 15部
重合開始剤:イルガキュア2959 3部
顔料:C.I.ピグメントイエロー74 3部
顔料分散剤:Solsperse20000(前出) 1部
防黴剤:Proxel GXL(前出) 0.2部
以上の組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。更に界面活性剤としてオルフィンE1010(前出)を加えて、表面張力を40mN/mに調整した。
(マゼンタインク2、シアンインク2、ブラックインク2の調製)
上記イエローインク2の調製において、顔料をC.I.ピグメントイエロー74に代えて、それぞれC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブラック7を同量用いた以外は同様にして、マゼンタインク2、シアンインク2、ブラックインク2を調製した。
〔インクセット3〕
下記の方法に従って、イエローインク3、マゼンタインク3、シアンインク3、ブラックインク3から構成されるインクセット3を調製した。
(イエローインク3の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、#3000の金属メッシュフィルターで濾過してイエローインク3を得た。
活性エネルギー線反応性化合物:架橋性高分子化合物1(固形分として) 1.5部
エチレングリコール 5部
2−ピロリジノン 12部
1,2−ヘキサンジオール 10部
重合開始剤:イルガキュア2959 1部
顔料:Cab−O−Jet270(キャボット社製:イエロー自己分散顔料)
固形分として3部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。更に界面活性剤としてBYK−347(ビックケミー社製)を加えて、表面張力を28mN/mに調整した。
(マゼンタインク3、シアンインク3、ブラックインク3の調製)
上記イエローインク3の調製において、顔料をCab−O−Jet270に代えて、それぞれCab−O−Jet260(キャボット社製:マゼンタ自己分散顔料)、Cab−O−Jet250(キャボット社製:シアン自己分散顔料)、Cab−O−Jet300(キャボット社製:ブラック自己分散顔料)を用いた以外は同様にして、マゼンタインク3、シアンインク3、ブラックインク3を得た。
〔インクセット4〕
下記の方法に従って、イエローインク4、マゼンタインク4、シアンインク4、ブラックインク4から構成されるインクセット4を得た。
(イエローインク4の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、#3000の金属メッシュフィルターで濾過してイエローインク4を得た。
活性エネルギー線反応性化合物:架橋性高分子化合物1(固形分として) 1.5部
エチレングリコール 12部
2−ピロリジノン 12部
重合開始剤:イルガキュア2959 1部
顔料:Cab−O−Jet270(前出:イエロー自己分散顔料)固形分として3部
防黴剤:Proxel GXL(前出) 0.2部
以上の組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。更に界面活性剤としてオルフィンE1010(前出)を加えて、表面張力を38mN/mに調整した。
(マゼンタインク4、シアンインク4、ブラックインク4の調製)
上記イエローインク4の調製において、顔料をCab−O−Jet270に代えて、それぞれCab−O−Jet260(前出:マゼンタ自己分散顔料)、Cab−O−Jet250(前出:シアン自己分散顔料)、Cab−O−Jet300(前出:ブラック自己分散顔料)を用いた以外は同様にして、マゼンタインク4、シアンインク4、ブラックインク4を得た。
〔インクセット5〕
下記の方法に従って、イエローインク5、マゼンタインク5、シアンインク5、ブラックインク5から構成されるインクセット5(比較例)を調製した。
(イエローインク5の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターで濾過してイエローインク5を得た。
顔料:C.I.ピグメントイエロー74 5部
顔料分散剤:アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製) 3部
アロニックスM5700(東亞合成社製) 12部
エチレンオキシド付加1,6−ヘキサンジオールアクリレート 63部
3−メトキシブチルアクリレート 12部
重合開始剤:イルガキュア369 5部
(マゼンタインク5、シアンインク5、ブラックインク5の調製)
上記イエローインク5の調製において、顔料をC.I.ピグメントイエロー74に代えて、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3、カーボンブラックをそれぞれ用いた以外は同様にして、マゼンタインク5、シアンインク5、ブラックインク5を得た。尚、何れのインクも表面張力は27mN/mであった。
〈画像の作製〉
上記で得られたインクジェット用インクセット1〜5を用い、以下に示すように画像を形成した。
〈画像1の作製〉
ノズル口径23μm、駆動周波数10kHz、ノズル数256、最小液適量3pL、ノズル密度180dpi(dpiは1インチ即ち2.54cm当たりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、ピエゾ型ヘッドの両端に120W/cmメタルハライドランプ(日本電池社製:MAL 400NL,電源電力3kW・hr)を配置し、最大記録密度が1440×1440dpiであるオンデマンド型インクジェットプリンタを用意した。インクセット1、2をインクジェットプリンタに同時に搭載し、メタルハライドランプを照射しながらインクを吐出して、SA金藤+(王子製紙社製)に風景写真と5ポイントの文字を組み合わせた画像(評価パターンA)を記録した。画像記録後、ドライヤーにより30秒間温風乾燥した後、24時間自然乾燥した。
尚、インクセット1、2の使い分けについては、以下の画像判定方法を用いた。
図1は吐出するドットとその周囲のドットを示したものであり、塗り潰されたドットが吐出しようとするドット、白いドットが画像判定に用いるための周囲のドットである。
周囲のドットについて、図2に従ってA,B,C,Dの四つの領域に分割し、吐出しようとするドットと同じ色のドットがどれだけ存在するか、各領域についてカウントした。
具体例として図3を示すが、この場合、A領域に2個、B領域に1個、C領域に6個、D領域に11個の同じ色のドットが存在している。15個のドットから構成される各領域について、このドットの出現頻度を計算すると、A領域:13%、B領域:7%、C領域:40%、D領域:73%となる。ここで各領域間のドット出現頻度の差を調査し、差が30%以上の組合せが存在する場合は、吐出しようとするドットが色の境界領域近辺に位置すると判定して、表面張力が高いインクセット1を吐出することとし、逆に差が30%未満の組合せのみであるならば、ドットの出現頻度の偏りが無い画像領域であると判定して、インクセット2を吐出することとした。
〈画像2の作製〉
画像2については、インクセット1、2に変えてインクセット3、4をそれぞれ用いた以外は、画像1と同様の方法により作製した。
〈画像3の作製〉
画像3については、記録媒体をSA金藤+から表面張力がより低いPODグロスコート紙に変更した以外は、画像2と同様の方法で作製した。
〈画像4の作製〉
画像4については、前記判定方法におけるドット出現頻度差の閾値を30%から40%に変更し、低表面張力のインクセット3の使用頻度が多い記録方法とした以外は、画像3と同様の方法で作製した。
〈画像5の作製〉
画像5については、記録する画像を人物写真と3ポイントの文字を組み合わせた文字比率のより高い画像(評価パターンB)に変更した以外は、画像2と同様の方法で作製した。
〈画像6の作製〉
画像6については、前記判定方法におけるドット出現頻度差の閾値を30%から25%に変更し、高表面張力のインクセット4の使用頻度が多い記録方法とした以外は、画像5と同様の方法により作製した。
〈画像7〜9の作製〉
画像7〜9については、各色に付き複数のインクセットを使用せず、それぞれインクセット1、2、5のみを使用して画像形成した以外は、画像1と同様の方法により作製した。
〈画像の評価〉
得られた画像1〜9について、以下のように文字再現性、画像再現性及び光沢性の評価を行った。何れも○以上の性能を許容レベルとした。
《文字再現性》
作製した画像における文字記録部分を目視観察し、下記の基準に従い4段階評価した。
◎:止め、ハネ等、細かい部分についても明確に識別可能な文字である
○:止め、ハネ等、細かい部分がやや不明瞭であるが、識別可能な文字である
×:文字の輪郭が全体的にやや不明瞭であるが、なんとか識別可能な文字である
××:文字が全体的に潰れており、識別は困難である
《画像再現性》
作製した画像における写真画像部分を目視観察し、下記の基準に従い4段階評価した。
◎:画像のシャドウ部でも斑は生じておらず、非常に再現性に優れた画像である
○:画像のシャドウ部でやや斑が生じているが、再現性に優れた画像である
×:画像のシャドウ部で斑が生じているが、何とか元の画像を再現できている
××:画像の全体に滲みや斑が生じており、元の画像を全く再現できていない
《光沢性》
画像を目視観察し、下記の基準に従い3段階評価した。
◎:非常に光沢が良好であり、印刷に近い質感の画像である
○:光沢は程々に良好であるが、シャドウ部とハイライト部の一部に違和感がある
×:印字部の盛上がりが大きく、光沢感が大きく劣る画像である
以上により得られた結果を、表1に示す。
表1の結果より明らかなように、本発明のインクジェットインクセット及びそれを用いた記録方法により作製した画像は、比較例の画像に対し、文字再現性、画像再現性が共に良好であり、画像光沢が優れていることが判る。
本発明のインクジェット記録方法で、インクジェットインクセットの使い分けに用いた画像判定方法を示すドットの拡大図。 吐出しようとするドットを中心にして図1をA,B,C,Dの4領域に分割した拡大図。 吐出しようとするドットと同色のドットがどれだけあるか、図2において分割した各領域についてカウントした拡大図。

Claims (13)

  1. 少なくとも2種類の同一色インクから成るインクジェットインクセットにおいて、該同一色インク間の表面張力の差が5〜20mN/mであり、かつ該同一色インクが水、色材、活性エネルギー線反応性化合物を少なくとも含有することを特徴とするインクジェットインクセット。
  2. 前記活性エネルギー線反応性化合物の含有量が0.8質量%以上5.0質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインクセット。
  3. 前記活性エネルギー線反応性化合物が、主鎖に対して複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットインクセット。
  4. 前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖がポリ酢酸ビニルの鹸化物であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットインクセット。
  5. 前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖に対する側鎖の変性率が0.8〜4.0モル%であることを特徴とする請求項3又は4に記載のインクジェットインクセット。
  6. 前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖の重合度が200〜500であることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のインクジェットインクセット。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のインクジェットインクセットを構成するインクジェットインクを記録媒体上に吐出し、該インクジェットインクに活性エネルギー線を照射後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 前記インクジェットインクセット中の同一色インクを画素情報に応じて使い分けることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記インクジェットインクセット中の同一色インクの使用比率を記録媒体に応じて使い分けることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記同一色インクについて、同一色の画素が一定量連続する領域では低表面張力のインクを、異なる色と隣接する領域では高表面張力のインクを記録することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記同一色インクについて、表面張力の低い記録媒体に対しては低表面張力のインクの使用比率を多くし、表面張力の高い記録媒体に対しては高表面張力のインクの使用比率を多くすることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記記録媒体が印刷用塗工紙であることを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記記録媒体が非吸収性記録媒体であることを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
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