JP2007145886A - インクジェットインク、インクジェットインクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインク、インクジェットインクセット及びインクジェット記録方法 Download PDF

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JP2007145886A JP2005338414A JP2005338414A JP2007145886A JP 2007145886 A JP2007145886 A JP 2007145886A JP 2005338414 A JP2005338414 A JP 2005338414A JP 2005338414 A JP2005338414 A JP 2005338414A JP 2007145886 A JP2007145886 A JP 2007145886A
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Abstract

【課題】本発明の目的は、様々な記録媒体への印字適性を有し、カラーブリード耐性、ビーディング耐性、画像光沢及び耐候性に優れた画像が得られ、さらには印刷用塗工紙等の紙媒体に記録した場合にも紙のうねりを生じることの無いインクジェットインク、インクジェットインクセット及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】水、増感剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とを少なくとも含有しており、該増感剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とするインクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線反応性高分子化合物を含むインクジェットインクの処理方法、それを備えたインクジェット記録装置、およびそれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。また、使用される用途も多岐にわたり、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクが使用される。
特に、近年では記録速度の大幅な向上がみられ、軽印刷用途にも耐え得る性能を持つプリンタの開発も行われている。しかしながら、インクジェットプリンタにおいて、その性能を引き出すためにはインクの吸収性を付与したインクジェット専用紙が必要である。
インクの吸収性をあまり持たないコート紙やアート紙、もしくはインク吸収性の全くないプラスチックフイルム上に記録する際には、異色インク液体同士が記録媒体上で混ざり色濁りを起こす、いわゆるブリード等の課題があり、インクジェット記録で記録媒体に多様性を持たせる上で課題となっていた。
上記課題に対し、室温において固体状ワックス等を素材とするホットメルト型インク組成物を用い、加熱等により液化し、何らかのエネルギーを加えて噴射させ、記録媒体上に付着しつつ冷却固化して記録ドットを形成するホットメルト型インクジェット記録方法が提案されている(特許文献1、2参照。)。このホットメルト型インクは、室温で固体であるために取り扱い時に汚れることが無く、また、溶融時のインク蒸発量が実質無いため、ノズルの目詰まりを起こすことがない。更に、付着後直ちに固化するため色にじみも少なく、紙質に関係なく良好な印刷品質を提供するインク組成物であるといわれている。しかしながら、このような方法で記録された画像は、インクドットが柔らかいワックス状であるため、ドットの盛り上がりに起因する品質の劣化や、耐擦過性の不足等の課題があった。
一方、活性エネルギー線を照射することにより硬化するインクジェット記録用インクが開示されている(特許文献3参照。)。また、色材として顔料を含有し、かつ重合性材料として三官能以上のポリアクリレートを含有し、ケトン、アルコールを主溶剤とする、いわゆる非水系インクが提案されている(特許文献4参照。)。また、活性エネルギー線硬化性不飽和二重結合を有する基を含有するポリウレタン化合物、塩基性化合物、着色剤、水溶性有機溶剤及び水を含有する水系の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物が提案されている(特許文献5参照。)。更には、顔料粒子の表面に1種以上の親水性基が結合している自己分散型顔料と、ビニル化合物からなる紫外線硬化型モノマーと光重合開始剤と水とを含む水系のインクジェット用インクが提案されている(特許文献6参照。)。
これら提案されている活性エネルギー線反応性インクでは、インク自身を硬化成分により硬化させるため、非吸収性記録媒体に対しても記録が可能となったが、画像形成部と非画像部(白地部)との光沢差による不自然で違和感のある画質を生じ、結果として、画像均一性を損なうという課題を抱えている。更に、これら提案されている活性エネルギー線反応性インクの一部を印刷用塗工紙等の紙ベースの媒体に記録した場合、記録媒体にうねり(コックリング)を生じ、場合によっては搬送不良を引き起こすことが判明し、早急な改良が求められている。
米国特許第4,391,369号明細書 米国特許第4,484,948号明細書 米国特許第4,228,438号明細書 特公平5−64667号公報 特開2002−80767号公報 特開2002−275404号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、様々な記録媒体への印字適性を有し、カラーブリード耐性、ビーディング耐性、画像光沢及び耐候性に優れた画像が得られ、さらには印刷用塗工紙等の紙媒体に記録した場合にも紙のうねりを生じることの無いインクジェットインク、インクジェットインクセット及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.水、増感剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とを少なくとも含有しており、該増感剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とするインクジェットインク。
2.前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖はポリ酢酸ビニルのケン化物であることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインク。
3.前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖に対する側鎖の変性率が、0.8モル%以上4.0モル%以下であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインク。
4.前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖の重合度が200以上500以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
5.前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の含有量が0.8質量%以上5質量%未満であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
6.前記増感剤がアミンであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
7.前記アミンがアルカノールアミンであることを特徴とする前記6に記載のインクジェットインク。
8.2種以上のインクジェットインクから構成され、該インクジェットインクの少なくとも1種が前記1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインクであることを特徴とするインクジェットインクセット。
9.前記1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインクを記録媒体上に吐出し、該インクジェットインクに活性エネルギー線を照射した後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
10.前記8に記載のインクジェットインクセットを構成するインクジェットインクを記録媒体上に吐出し、該インクジェットインクに活性エネルギー線を照射した後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
11.前記活性エネルギー線を照射する装置が低圧水銀灯であることを特徴とする前記9または10に記載のインクジェット記録方法。
12.前記活性エネルギー線を照射する装置がLEDであることを特徴とする前記9または10に記載のインクジェット記録方法。
13.紙媒体に記録することを特徴とする前記9〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
14.前記紙媒体が印刷用塗工紙であることを特徴とする前記13に記載のインクジェット記録方法。
15.前記活性エネルギー線を照射する装置が低圧水銀灯またはLEDであり、印刷用塗工紙に記録することを特徴とする前記9または10に記載のインクジェット記録方法。
本発明により、様々な記録媒体への印字適性を有し、カラーブリード耐性、ビーディング耐性、画像光沢及び耐候性に優れた画像が得られ、さらには印刷用塗工紙等の紙媒体に記録した場合にも紙のうねりを生じることの無いインクジェットインク、インクジェットインクセット及びインクジェット記録方法を提供することができた。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、水、増感剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を少なくとも含有し、該増感剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とするインクジェットインク、あるいはインクジェットインクを含むインクジェットインクセット及びそれらを用いたインクジェット記録方法により、様々な記録媒体への印字適性を有し、カラーブリード耐性、ビーディング耐性、画像光沢及び耐候性に優れた画像が得られ、さらには印刷用塗工紙等の紙媒体に記録した場合にも紙のうねりを生じることの無いインクジェットインク、インクジェットインクセット及びインクジェット記録方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
発明者は、様々なインクジェットインクとその処理方法について検討を行ったところ、水、増感剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を少なくとも含有し、該増感剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であるインクジェットインクにより、インク硬化性が非常に優れ、カラーブリード、ビーディングが無く、かつ光沢、耐候性に優れた画像が得られることを見出した。
インク硬化性が飛躍的に向上する原因としては、以下の推定に限定されるものではないが、
1.活性エネルギー線架橋型の高分子化合物は、一般的な連鎖反応を介してモノマーが重合して生成した従来公知の活性エネルギー線硬化型樹脂に対し、光子一つ当たりの分子量増加効果が著しく大きいこと
2.増感剤がインクに含まれていることにより、活性エネルギー線照射時のインク硬化過程において、酸素による硬化反応阻害を防止すること
という二つの効果が相乗的に働いているものと考えられる。
また、従来公知の活性エネルギー線硬化性化合物を用いたインクが、色材以外のほぼ全量が硬化に関与する成分であるために硬化後のドットが盛り上がり、光沢に代表される画質劣化が著しいのに対し、本発明に用いるインクは、架橋性高分子化合物の使用量が少量であり、かつ乾燥成分が多いため、乾燥後の平滑性が高いことにより優れた光沢を示すものと考えられる。
更に発明者は、印刷用塗工紙等の紙媒体に活性エネルギー線硬化型インクを記録する場合に生じる紙のうねり、いわゆるコックリングについても、本発明のインクジェットインク、インクジェットインクセット及びインクジェットインク記録方法により防止が可能であることを見出した。
印刷用塗工紙に記録した際に生じるコックリングの要因について、発明者が様々な解析を行った結果、従来公知の活性エネルギー線硬化型インクでしばしば用いられる高照度の高圧水銀灯が、コックリングに大きく寄与していることがわかった。すなわち、高圧水銀灯は照射光量に対して発生する熱量が大きい光源であり、特に高照度の水銀灯を使用した場合、記録媒体に付与される熱量は非常に大きくなる。その結果、付与したインクに含まれる水もしくは印刷用塗工紙がもともと含んでいた水が揮発し、紙の繊維が変形することによってコックリングが発生するとの推定に至った。
前記解析に基づき、照射する活性エネルギー線を低照度の高圧水銀灯、もしくは熱の発生が少ない低圧水銀灯やLED等に変更したところ、印刷用塗工紙のコックリングは低減されることがわかった。しかしながら、これらの光源は出力が低いことや、光源の波長領域がインクに含まれる色材の吸収波長と重なりが大きいこと等の要因により、インク硬化性が大きく低下してしまうという欠点があった。この課題に対し、発明者は、硬化性が非常に優れている前記インクジェットインクと前記光源を組み合わせ、印刷用塗工紙に記録を行ったところ、インク硬化性、画像光沢に優れ、かつコックリングが生じない記録が可能であるとの発見に至った。
このように本発明のインクジェットインクを用い、前記の光源を照射する記録方法は、印刷用塗工紙の記録にとりわけ有効であるが、本発明の記録方法は必ずしもこれに限定されるものではない。硬化性に優れる本発明のインクジェットインクを、従来公知の様々な光源と組み合わせて使用しても良いし、記録媒体についても印刷用塗工紙以外の普通紙やフィルム、布等を使用しても構わない。
次いで、本発明に係るインクジェットインクについて説明する。本発明のインクジェットインク(以下、単にインクともいう)では、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物(以下、架橋性高分子化合物ともいう)を含有することを特徴とする。
《架橋性高分子化合物》
本発明に係る架橋性高分子化合物をインクに適用することにより、低エネルギーの活性エネルギー線照射により充分な硬化性を示し、形成された画像の解像度が高く、光沢が良好であり、且つ、色間の滲みも少ないインクジェット用インクが得られる。
次いで、本発明に係る架橋性高分子化合物について説明する。
本発明に係る架橋性高分子化合物の親水性主鎖としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
これらの中でも親水性主鎖をポリ酢酸ビニルのケン化物とすることにより、側鎖の導入が簡便となり、また取り扱い性も向上する。主鎖の重合度は200以上2000以下の範囲が好ましいが、本発明の目的効果を十分に発揮できる観点からは、重合度が200以上500以下であることが特に好ましい。重合度が200以上であれば、架橋反応時の適度の粘度上昇を付与することができ、後述するカラーブリードやビーディングを十分に防止することができる。また、重合度が2000以下であれば、インクに添加した際の粘度の上昇を抑制でき、良好な出射安定性を得ることができる。
側鎖については、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入することができる。組み合わせる色材との反応性の観点から、側鎖としてはノニオン性、アニオン性、両性(ベタイン化合物)が好ましく、特に、色材としてアニオン性染料あるいはアニオン性顔料と組み合わせる場合には、側鎖はノニオン性またはアニオン性であることが好ましく、特に好ましくはノニオン性である。
親水性主鎖に対する側鎖の変性率は、0.8モル%以上、4.0モル%以下であることが好ましく、更には1.5モル%以上、3.0モル%以下であることが反応性の観点からより好ましい。親水性主鎖に対する側鎖の変性率が0.8モル%以上であれば十分な架橋性を有し、本発明の目的効果を得ることができる。また、4.0モル%以下であれば適度な架橋密度であるために、柔軟性のある画像膜を得やすく、膜強度が特に良好である。
光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基等を導入したものが好ましく、例えば、特開昭60−129742号公報等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中にスチルバゾニウム基を導入した下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2007145886
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、A-はカウンターアニオンを表す。
特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記一般式(2)で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、または、下記一般式(3)で表され、4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
Figure 2007145886
また、下記一般式(4)で表される変性基も好ましく用いられる。
Figure 2007145886
式中、Rはアルキレン基または芳香族環を表す。好ましくはベンゼン環である。
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号、特開2004−189841号に示される下記一般式(5)で表される樹脂が反応性との観点から好ましい。
Figure 2007145886
式中、R2はメチル基または水素原子を表し、nは1または2を表し、Xは−(CH2)m−COO−または−O−を表し、Yは芳香族環または単結合手を表し、mは0〜6までの整数を表す。
また、特開2004−161942号公報に記載されている光重合型の下記一般式(6)で表される変性基を、従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
Figure 2007145886
式中、R3はメチル基または水素原子を表し、R4は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
このような活性エネルギー線架橋型の高分子化合物においては、元々ある程度の分子量を持つ主鎖に対して側鎖間で架橋結合を介して架橋をするため、一般的な連鎖反応を介してモノマーが重合して生成した従来公知の活性エネルギー線硬化型樹脂に対し、光子一つ当たりの分子量増加効果が著しく大きい。
更に、従来公知の活性エネルギー線硬化型樹脂を用いたインクが、色材以外のほぼ全量が硬化に関与する成分であるため、硬化後のドットが盛り上がり、光沢に代表される画質劣化が著しいのに対し、本発明に係るインクジェットインクは、架橋性高分子化合物の使用量が少量ですみ、それに対して乾燥成分が多いため、乾燥後の画質向上が図られ、かつ定着性も良い。
本発明に係る親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物のインク中の添加量は、0.8質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
添加量がこの範囲であれば、架橋効率が向上し、ヘッドからインクを出射して基材に付着した後架橋させることで、架橋後のインク粘度の急激な上昇によりビーディング耐性やカラーブリード耐性が向上する。添加量が0.8質量%未満であると、架橋性が不足して得られる本発明の目的効果が小さくなり、5.0質量%を超えるとインク粘度が増加し、間欠出射安定性に影響を及ぼすことがある。
本発明のインクジェット用インクにおいては、光重合型の変性基を有する高分子化合物を用いる場合、公知の光重合開始剤を用いることが好ましく、中でも水溶性光重合開始剤を用いることは特に好ましい。
本発明のインクジェット用インクで適用可能な水溶性の光重合開始剤としては、下記一般式(7)で表される化合物が、高分子化合物との相溶性、感度の観点から好ましい。
Figure 2007145886
式中、nは1〜5の整数を表す。
また、上記光重合開始剤は、本発明に係る高分子化合物の親水性主鎖に対して、側鎖にグラフト化されていても好ましい。
次に、本発明のインクジェットインクに含まれる増感剤について説明する。
《増感剤》
本発明に用いる増感剤としてはどのようなものでも良いが、脂肪族アミン、芳香族置換基を含むアミン、ピペリジン等のアミン類、尿素、アルキル尿素、芳香族置換基を含む尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物、トリnブチルホスフィン、ネトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物の高分子化アミン、トリエタノールアミントリアクリレート等の窒素化合物、ニトリル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、インク保存安定性や出射安定性の点からアミンが好ましく、さらにはモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが、インクに対する溶解性の点から特に好ましい。
添加する増感剤の量は、インク全量に対して0.1〜10質量%である。さらには0.5〜5%であることが好ましい。0.1質量%未満では本発明の効果が十分に得られず、10質量%を超えると画像の膜物性が悪化し、耐擦性、耐水性等の画像耐候性が不十分なものとなる。
次いで、本発明のインクジェットインクのその他の構成要素について説明する。
《色材》
本発明のインクジェットインクに用いられる色材としては、染料または顔料を用いることができる。
本発明で用いることのできる染料としては、特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げられる。
以下、本発明のインクジェット用インクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する染料にのみ限定されるものではない。
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
〈C.I.アシッドイエロー〉
1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246、
〈C.I.アシッドオレンジ〉
3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168、
〈C.I.アシッドレッド〉
88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415、
〈C.I.アシッドバイオレット〉
17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126、
〈C.I.アシッドブルー〉
1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350、
〈C.I.アシッドグリーン〉
9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109、
〈C.I.アシッドブラウン〉
2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413、
〈C.I.アシッドブラック〉
1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222、
〈C.I.ダイレクトイエロー〉
8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、79、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153、
〈C.I.ダイレクトオレンジ〉
6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118、
〈C.I.ダイレクトレッド〉
2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254、
〈C.I.ダイレクトバイオレット〉
9、35、51、66、94、95、
〈C.I.ダイレクトブルー〉
1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291、
〈C.I.ダイレクトグリーン〉
26、28、59、80、85、
〈C.I.ダイレクトブラウン〉
44、106、115、195、209、210、222、223、
〈C.I.ダイレクトブラック〉
17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169、
〈C.I.リアクティブイエロー〉
2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176、
〈C.I.リアクティブオレンジ〉
1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107、
〈C.I.リアクティブレッド〉
2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235、
〈C.I.リアクティブバイオレット〉
1、2、4、5、6、22、23、33、36、38、
〈C.I.リアクティブブルー〉
2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236、
〈C.I.リアクティブグリーン〉
8、12、15、19、21、
〈C.I.リアクティブブラウン〉
2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46、
〈C.I.リアクティブブラック〉
5、8、13、14、31、34、39、
〈C.I.フードブラック〉
1、2、
等を挙げることができる。
更に、染料として、下記一般式(8)で表される化合物または一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007145886
上記一般式(8)において、R1は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはフェニルカルボニル基が好ましい。R2は異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子が好ましい。R3は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはアルキル基が好ましい。R4は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子、アリールオキシ基が好ましい。R5は異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、スルホン酸基が好ましい。nは1〜4の整数を表し、mは1〜5の整数を表す。
上記一般式(9)において、Xはフェニル基またはナフチル基を表し、置換可能な置換基で置換されていてもよく、スルホン酸基またはカルボキシル基で置換されていることが好ましい。Yは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオンまたはアルキルアンモニウムイオンを表す。R6は異なってもよく水素原子またはナフタレン環に置換可能な置換基を表す。qは1または2を表す。pは1〜4の整数を表す。ただし、q+p=5である。Zは置換可能な置換基を表し、カルボニル基、スルホニル基または下記一般式(10)で表される基を表し、特に、下記一般式(10)で表される基が好ましい。
Figure 2007145886
上記一般式(10)において、W1、W2はそれぞれ異なっていてもよいハロゲン原子、アミノ基、水酸基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を表し、ハロゲン原子、水酸基またはアルキルアミノ基が好ましい。
(分散染料)
また、分散染料としては、アゾ系分散染料、キノン系分散染料、アントラキノン系分散染料、キノフタロン系分散染料等種々の分散染料を用いることができ、以下にその具体的化合物を挙げる。
〈C.I.Disperse Yellow〉
3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、
〈C.I.Disperse Orange〉
1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
〈C.I.Disperse Red〉
1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、
〈C.I.Disperse Violet〉
1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
〈C.I.Disperse Green〉
9、
〈C.I.Disperse Brown〉
1、2、4、9、13、19、
〈C.I.Disperse Blue〉
3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、
〈C.I.Disperse Black〉
1、3、10、24
等が挙げられる。
これら上記列挙した染料は、「染色ノート第21版」(出版;色染社)等に記載されている。
この他に、キレート染料やシルバーダイブリーチ(銀色素漂白法)感光材料(例えば、チバガイギー製チバクローム)に用いられるアゾ染料を挙げることができる。
キレート染料に関しては、例えば、英国特許第1,077,484号に記載されている。また、銀色素漂白法感光材料用のアゾ染料に関しては、例えば、英国特許第1,039,458号、同第1,004,957号、同第1,077,628号、米国特許第2,612,448号に記載されている。
本発明で用いることのできる顔料としては、従来公知の有機あるいは無機顔料を挙げることができる。例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
以下、本発明のインクジェット用インクに適用可能な顔料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する顔料にのみ限定されるものではない。
マゼンタまたはレッド用の顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料として、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
(自己分散顔料)
また、本発明のインクジェットインクでは、顔料として自己分散顔料を用いることもできる。自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有している顔料粒子である。
表面に極性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接極性基で修飾させた顔料、あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接にまたはジョイントを介して極性基が結合しているもの(以下、顔料誘導体という)をいう。
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えば、WO97/48769号、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、同11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094号公報等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤でさせることにより、顔料表面の少なくとも一部に、スルホン酸基もしくはその塩といった極性基を導入する方法が挙げられる。具体的には、カーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合は、スルフォランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルフォン化ピリジン塩、アミド硫酸などで酸化することにより調製することができる。これらの反応で、酸化が進みすぎ、水溶性となってしまった物は除去、精製することにより、顔料分散体を得ることができる。また、酸化によりスルフォン酸基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて、塩基性化合物を用いて中和してもよい。
そのほかの方法としては、特開平11−49974号公報、特開2000−273383号公報、同2000−303014号公報等に記載の顔料誘導体をミリングなどの処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特開2002−179977号、同2002−201401号等に記載の顔料を顔料誘導体と共に溶媒で溶解した後、貧溶媒中で晶析させる方法等を挙げることができ、いずれの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
極性基は、フリーでも塩の状態でも良いし、あるいはカウンター塩を有していても良い。カウンター塩としては、例えば、無機塩(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(例えば、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
(顔料分散体の製造方法)
顔料の分散方法としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
(顔料分散に適用可能な界面活性剤)
顔料分散体の調製において、必要に応じて、顔料分散剤として界面活性剤、高分子分散剤を含有させてもよい。界面活性剤、高分子分散剤の種類は特に制限されないが、界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤を挙げることができ、また、高分子分散剤としては、吐出安定性の観点から水溶性樹脂を用いることが好ましく、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を挙げることができ、更に詳しくは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
上記の各高分子分散剤のインク全量に対する添加量としては、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5質量%である。これらの高分子分散剤は、2種以上併用することも可能である。
(顔料粒子の粒径)
顔料粒子の粒径には、電子顕微鏡で粒子を直接観察することで得られる粒径(一次粒径)と、光散乱を利用した粒径測定装置を利用した分散粒径(二次粒径)、固有粘度から求める粘度換算粒径がある。
本発明のインク中の顔料の一次粒径は、耐光性と分散安定性の観点から、10nm以上、1000nm以内であることが好ましく、更に好ましくは10nm以上、70nmである。10nmより小さいと、耐光性が悪化していまい、100nmよりも大きくなると、凝集により、ヘッドの目詰まりの原因となるためである。ここで、一次粒子を求めるためには、顔料粒子1000個を透過型電子顕微鏡で長径を測定し、その平均値(数平均)より求める事が出来る。
《溶媒》
本発明のインクジェットインクにおいては、水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。更に、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが、特に好ましい。
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
《インクジェットインクセット》
本発明のインクジェットインクセットは、3色または4色以上のインクジェットインクから構成される。
本発明のインクジェットインクセットは、請求項1〜7に記載したインクジェットインクを含むものであり、好ましくは2種以上のインクが本発明のインクジェットインクであり、特に好ましくは全てのインクが本発明のインクジェットインクであることにより本発明の効果を顕著に奏する。
本発明のインクジェットインクセットを構成する色相の異なるインクとしては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインクジェット用インクから構成されているインクセットを用いることが好ましい。
更に前記4色のインクに加えて、淡色シアンインク、淡色マゼンタインク、濃色イエローインク、淡色黒インク(グレーインク)を用いてもよい。また、ブルー、レッド、グリーン、オレンジ、バイオレット等のいわゆる特色インクを使用することも可能である。
(濃淡インク)
本発明のインクジェットインクセットにおいて、少なくとも一色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェットインクセットを用いても良い。更に、二色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェットインクセットを用いても良く、特に、三色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェットインクセットを用いることが階調性の点から好ましい。特には、人間の視感度の高いマゼンタインクあるいはシアンインクにおいて、濃度の異なる少なくとも二つのインクを用いることが好ましい。
この濃度が異なるインクジェットインクセットの濃度比は任意な値として良いが、滑らかな階調再現を行うためには、高濃度インクと低濃度インクとの比(低濃度インクの色材濃度/高濃度インクの色材濃度)は、0.1〜1.0の間にあることが好ましく、0.2〜0.5の間にあることが更に好ましく、0.25〜0.4の間にあることが特に好ましい。
(白色インク)
本発明のインクジェットインクセットにおいては、上記の有色顔料に加えて、白色顔料を含有する白色インクを用いても良い。用いられる白色顔料は、インクジェットインクを白色にするものであればよく、例えば、無機白色顔料や有機白色顔料、白色の中空ポリマー微粒子を挙げることができる。
無機白色顔料としては、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。特に、酸化チタンは高い屈折率を有するために、微粒子で高い隠蔽性、着色性を有しており、好ましく用いることができる。
有機白色顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や特開平11−140365号、特開2001−234093号に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。上記白色顔料の具体的な商品としては、Shigenox OWP、Shigenox OWPL、Shigenox FWP、Shigenox FWG、Shigenox UL、Shigenox U(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名)などが挙げられる。
白色の中空ポリマー微粒子としては、米国特許第4,089,800号に開示されている実質的に有機重合体で作った熱可塑性を示す微粒子などが挙げられる。
本発明においては、白色顔料は単独で用いても良いし、併用しても良い。顔料の分散には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。又、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。
分散剤は通常の分散剤を用いる事ができるが、高分子分散剤を用いることが好ましい。
顔料の分散は、平均粒径を0.05〜1.0μmとすることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.3μmである。
(無色インク)
本発明のインクジェットインクセットにおいては、実質的に色材を含まない無色インク(透明インクともいう)を併用することもできる。
本発明でいう実質的に色材を含まない無色インクとは、全インク質量に対し、色材の含有量が0.1%以下の状態を意味し、好ましくは全く色材を含まないことである。
本発明に係る無色インクの含有成分は、均一溶解していても不均一分散系で存在してもどちらでも構わない。添加可能なものとしては、水系で溶解状態の樹脂、水系で分散状態の樹脂、有機溶媒系で溶解状態の樹脂、有機溶媒系で分散状態の樹脂などが挙げられるが、水系で溶解状態の樹脂および水系で分散状態の樹脂が好ましい。使用するインクジェット用インクから色材のみを除いた無色インクでも使用可能であるが、種々の機能を付加するため、以下の添加剤を加えることが好ましい。
水系で溶解状態の樹脂として、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を加えることができる。
水系で分散状態の樹脂としては、特に、熱可塑性樹脂の微粒子を添加することは、画像の光沢性を向上するので好ましい。熱可塑性樹脂の微粒子については、上記の記録媒体の表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいはその微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性樹脂の微粒子の平均粒径としては、0.5μm以下が好ましい。添加する熱可塑性樹脂の微粒子は、0〜150℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
《インクジェットインクのその他の添加剤》
本発明のインクには、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
(ラテックス)
本発明のインクジェットインクにおいては、ラテックスをインク中に加えてもよい。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素授脂等のラテックスが挙げられる。ラテックスは、乳化剤を用いてポリマー粒子を分散させたものであっても、また乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
また、本発明のインクジェットインクでは、ソープフリーラテックスを用いることが特に好ましい。ソープフリーラテックスとは、乳化剤を使用していないラテックス、およびスルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を乳化剤として用いたラテックスのことを指す。
近年、ラテックスのポリマー粒子として、粒子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー粒子を分散したラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
本発明のインクジェットインクにおいて、ラテックス中のポリマー粒子の平均粒径は10nm以上、300nm以下であることが好ましく、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。ラテックスの平均粒径が300nmを越えると、画像の光沢感の劣化が起こり、10nm未満であると耐水性、耐擦過性が不十分となる。ラテックス中のポリマー粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
本発明のインクジェットインクにおいて、ラテックスは固形分添加量としてインクの全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下となるように添加することが好ましく、ラテックスの固形分添加量を0.5質量%以上10%質量%以下とすることが特に好ましい。ラテックスの固形分添加量が0.1質量%未満では、耐候性に関して十分な効果を発揮させることが難しく、また20質量%を越えると、経時でインク粘度の上昇が起こったりしてインク保存性の点で問題が生じることが多い。
(サーマル用出射安定剤)
本発明のインクジェットインクは、サーマル型インクジェットプリンターに用いても良い。このとき、コゲーションと呼ばれるヘッドの目詰まりを解決するために、特開2001−81379号に開示されている(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3から選ばれる塩を加えても良い。ここでM1は、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Phはフェニル基を表す。上記のアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。又、有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリヒドロキシメチルアミン、ジヒドロキシメチルアミン、モノヒドロキシメチルアミン、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、N−メチルモノエタノールアンモニウム、N−メチルジエタノールアンモニウム、モノプロパノールアンモニウム、ジプロパノールアンモニウム、トリプロパノールアンモニウム等が挙げられる。
(架橋剤)
本発明のインクジェットインクには、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、ホウ酸またはその塩等が挙げられる。
(退色防止剤)
本発明のインクジェットインクでは、従来インクジェットインクで公知の退色防止剤を用いることができる。この退色防止剤は、光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOxなどの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。そのような退色防止剤としては、例えば、特開昭57−74192号、同57−87989号および同60−72785号に記載の酸化防止剤、特開昭57−74193号に記載の紫外線吸収剤、特開昭61−154989号に記載のヒドラジド類、特開昭61−146591号に記載のヒンダードアミン系酸化防止剤、特開昭61−177279号に記載の含窒素複素環メルカプト系化合物、特開平1−115677号および同1−36479号に記載のチオエーテル系酸化防止剤、特開平1−36480号に記載の特定構造のヒンダードフェノール系酸化防止剤、特開平7−195824号および同8−150773号に記載のアスコルビン酸類、特開平7−149037号に記載の硫酸亜鉛、特開平7−314882号に記載のチオシアン酸塩類など、特開平7−314883号に記載のチオ尿素誘導体など、特開平7−276790号および同8−108617号に記載の糖類、特開平8−118791号に記載のリン酸系酸化防止剤が、特開平8−300807号に記載の亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などが、また、特開平9−267544号に記載のヒドロキシルアミン誘導体等を退色防止剤として挙げることができる。更に、特開2000−263928号等に記載のジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物なども、インクジェットにおける有効な退色防止剤の一つである。
(pHバッファー剤)
本発明のインクジェットインクでは、pHバッファ剤をインク中に添加してもよい。例えば、有機酸や無機酸である。有機酸としては、例えば、非揮発性のフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、安息香酸、セバチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、蓚酸、ポリアクリル酸、ベンジル酸等各種の有機酸を挙げることができる。
(消泡剤)
本発明のインクジェットインクでは、消泡剤を添加することができ、消泡剤としては特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば、信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明のインク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
(界面活性剤)
本発明のインクジェットインクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
《インクの調製》
本発明のインクジェットインクの調製については、特に制限は無いが、顔料、分散染料、無機微粒子、樹脂微粒子等の分散物を含むインクの調製を行なう場合、調製過程での凝集、沈降が生じないようにインクを調製することが好ましい。必要に応じて、分散体、溶媒、水、感光性樹脂及びその他の添加物の添加順序、添加速度を調節する等の調合方法を取ることができる。また、調合中もしくは調合後のインクについて、分散の安定化、調合時に生じた凝集を再分散すること等を目的として、ビーズミルや超音波による分散処理、加熱処理等を行っても良い。
《インクの物性》
(粘度)
本発明のインクジェットインクの粘度は、特に制限はないが、25℃における粘度が2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましい。また、本発明のインクジェットインクの粘度は、シェアレート依存性がない方が好ましい。
本発明でいうインク粘度(mPa・s)は、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、公知の方法に従って25℃で測定した粘度値であり、粘度測定装置としては、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができ、例えば、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定でき、例えば、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A、同DD−1等を挙げることができる。
(表面張力)
また、本発明のインクジェットインクにおいては、表面張力が40mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは25〜35mN/mである。
本発明でいうインクの表面張力(mN/m)は、25℃で測定した表面張力で値であり、その測定法は一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができる。具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、白金プレート法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができるが、本発明においては、白金プレート法により測定した表面張力値(mPa・s)で表し、例えば、協和界面科学製の表面張力計CBVP−Zを使用して測定できる。
(表面張力)
また、本発明のインクジェットインクにおいては、表面張力が35mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは20〜35mN/mである。
本発明でいうインクの表面張力(mN/m)は、50℃で測定した表面張力で値であり、一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができ、具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、白金プレート法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができるが、本発明においては、白金プレート法により測定した表面張力値(mPa・s)で表し、例えば、協和界面科学製の表面張力計CBVP−Zを使用して測定できる。
(電気伝導度)
本発明のインクジェットインクにおいては、インク保存安定性の観点から、電気伝導度が1mS/m以上500mS/m以下であることが好ましく、より好ましくは1mS/m以上200mS/m以下であり、更に好ましくは、10mS/m以上100mS/m以下である。インクの電気伝導度が500mS/mを越えると、色材の析出などによる出射不良が発生してしまう。また、1ms/m以下では、分散物を安定に存在させるための静電反発が十分に得られず、やはり凝集してしまう。従って、電気伝導度を1mS/m以上500mS/mにすることで、安定に分散物を存在させることが出来る。
本発明に係るインクにおいて、所望の電気伝導度を達成する手段として、特に制限はないが、本発明においては色材として顔料を用い、顔料の分散剤として高分子化合物(高分子分散剤)を用いる方法、あるいは電気伝導度調節剤、例えば、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン等を用いる方法を適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成することができる。
本発明でいうインクの電気伝導度の測定は、JIS K 0400−13−10(1999)に記載の方法、あるいは特開昭61−61164号公報に示されているような方法に従って容易に行うことができる。
(イオン濃度の調整)
本発明のインクジェットインクの調製においては、イオン濃度を適宜調整することが好ましい。
所定濃度の染料水溶液をICP−AESにより測定し、インクで使用される染料濃度に換算してインクの状態のイオン濃度を算出する。水は蒸留水またはイオン交換水を使用することによりインク形成時のイオン濃度が推定できる。
次にその他の添加剤などを加えて、インクを調製し、インク中のイオン濃度をICPAESにより測定する。目標のイオン濃度を超えるときは、染料水溶液をイオン交換樹脂に通してイオン濃度を低下させることができる。イオン交換を複数回行い更にイオン濃度を低下することができる。これによっても所望のイオン濃度に至らなかった場合は、染料以外の添加剤についてもイオン交換等の処理を行う。また、必要に応じて、活性炭処理や限外濾過膜による濾過等の処理を加えてもよい。
《記録媒体》
本発明のインクジェット記録方法で適用可能な記録媒体としては、各種紙、各種フィルム、各種布、各種木材、各種インクジェット用記録媒体等が使用できる。記録媒体として、印刷用塗工紙等の紙媒体を使用する場合、前述のように、照射する活性エネルギー線としては低照度の高圧水銀灯、低圧水銀灯、LED等の発生する熱量が小さいものが、コックリングの点から好ましい。
〔印刷用塗工紙〕
印刷用塗工紙とは、印刷でしばしば用いられる塗工紙であり、一般的には上質紙や中質紙を原紙とし、紙の表面に白土等の顔料を塗布した後、平滑性を高めるためにカレンダー処理をかけて作製される。このような処理により、白色度や平滑性、印刷インクの受理性、あるいは網点再現性、印刷光沢、印刷不透明度などが向上する。塗工量により、アート紙、コート紙、軽量コート紙等の分類があり、また、紙の光沢によりグロス系、ダル系、マット系等に分類される。
アート紙は、塗工量が片面20g/m2前後の塗工紙であり、一般的には、紙表面に顔料を塗工した後、カレンダー処理をかけて作製される。特アート、並アート、マット(艶消し)アート、片アート(片面塗工)、両アート(両面塗工)などの種類があり、具体的には、OK金藤N、サテン金藤N、SA金藤、ウルトラサテン金藤N、OKウルトラアクアサテン、OK金藤片面、Nアートポスト、NK特両面アート、雷鳥スーパーアートN、雷鳥スーパーアートMN、雷鳥アートN、雷鳥ダルアートN、ハイマッキンレーアート、ハイマッキンレーマット、ハイマッキンレーピュアダルアート、ハイマッキンレースーパーダル、ハイマッキンレーマットエレガンス、ハイマッキンレーディープマット等がある。
コート紙は、塗工量が片面10g/m2前後の塗工紙であり、一般的には、抄紙機の途中に設けた塗工装置で加工して作製される。コート量がアート紙より少なく、平滑度はやや落ちるものの廉価、軽量という利点がある。また、軽量コートや微塗工紙というコート量のさらに少ない種類の塗工紙も存在する。これらのコート紙の具体例として、PODグロスコート、OKトップコート+、OKトップコートS、オーロラコート、ミューコート、ミューホワイト、雷鳥コートN、ユトリロコート、パールコート、ホワイトパールコート、PODマットコート、ニューエイジ、ニューエイジW、OKトップコートマットN、OKロイヤルコート、OKトップコートダル、Zコート、シルバーダイヤ、ユーライト、ネプチューン、ミューマット、ホワイトミューマット、雷鳥マットコートN、ユトリログロスマット、ニューVマット、ホワイトニューVマット等が挙げられる。
〔非吸収性記録媒体〕
非吸収性記録媒体としては、一般的に使用されている各種フィルム等はすべて使用できる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどがある。また、写真用印画紙であるレジンコートペーパーや合成紙であるユポ紙なども使用できる。
《インクジェット記録方法》
本発明のインクジェット記録方法では、本発明に係るインクジェットインクをインクジェットヘッドにより記録媒体上に吐出し、活性エネルギー線を照射してインクを硬化させることを特徴とする。さらに、インク硬化後に乾燥工程を導入することが好ましい。
以下、インクジェット用インクへの活性エネルギー線照射方法について説明する。
〔活性エネルギー線照射〕
(活性エネルギー線)
本発明でいう活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましい。本発明では特に紫外線が好ましい。
電子線を用いる場合には、照射する電子線の量は0.1〜30Mradの範囲が望ましい。0.1Mrad未満では十分な照射効果が得られず、30Mradを越えると支持体等を劣化させる可能性があるため、好ましくない。
紫外線を用いる場合は、光源として、例えば、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。
特に、記録媒体として、印刷用塗工紙等の紙ベースの媒体を使用する場合、前述のように、照射する活性エネルギー線としては低照度の高圧水銀灯、低圧水銀灯、LED等の発生する熱量が小さいものが、コックリングの点から好ましい。
(インク着弾後の光照射条件)
活性エネルギー線の照射条件としては、記録媒体上にインクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
(活性エネルギー線の照射方法)
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
また、活性エネルギー線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射し、更に活性エネルギー線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
(硬化処理後の乾燥)
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上へ吐出したインクジェット用インクに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、不要の水溶性有機溶媒等を除去する目的で乾燥を行うことが好ましい。
インクの乾燥手段としては、特に制限はないが、例えば、記録媒体の裏面を加熱ローラあるいはフラットヒータ等に接触させて乾燥させる方法や印字面にドライヤー等で温風を吹き付ける手段、あるいは減圧処理により揮発成分を除去する方法等を適宜選択あるいは組み合わせて用いることができる。
(プリンター部材)
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクジェットプリンターで用いる部材としては、活性光線、例えば、紫外線の乱反射によるヘッド面への照射を防ぐために、活性エネルギー線に対する透過率や反射率が低い物が好ましい。
また、照射ユニットに対してはシャッターが搭載されている物が好ましく、例えば、紫外線を用いる時、シャッター開閉時の照度の比がシャッター開/シャッター閉=10以上であることが好ましく100以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。
次いで、本発明のインクジェット画像記録方法で用いるインクジェットプリンターについて説明する。
〔インクジェットプリンター〕
本発明で用いることのできるインクジェットプリンターとしては、例えば、画像形成が水平に配設され、上面で所定範囲の記録媒体の裏面(画像形成面の側と反対側となる面)を吸引装置の駆動により吸引して支持するプラテンと、記録媒体に向けてインクをノズルの吐出口から吐出する記録ヘッドと、これら記録ヘッドと活性光線を備えた照射手段を搭載し、画像形成時に走査方向に移動するキャリッジと、キャリッジに搭載されるとともに当該キャリッジを駆動するための駆動回路基板と、走査方向に沿って延在してキャリッジの移動を案内する案内部材と、走査方向に沿って延在し、その長手方向に、光学パターンが配設されたリニアスケールと、キャリッジに搭載されるとともにリニアスケールに配設された光学パターンを読み取ってクロック信号として出力するリニアエンコーダセンサとを備えて構成されている装置が挙げられる。
(記録ヘッド)
使用する記録ヘッド(インクジェットプリントヘッド)は、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《架橋性高分子化合物の調製》
グリシジルメタクリレートを56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを48g、ピリジンを2g及びN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩を1g、それぞれ反応容器に入れ、80度の湯浴中で8時間攪拌した。
次に、重合度300、ケン化率98%のポリ酢酸ビニルケン化物の45gをイオン交換水の225gに分散した後、この溶液にリン酸を4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドをポリビニルアルコールに対して変性率が3モル%になる様に加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂の30gを加え1時間攪拌した。イオン交換樹脂を濾過した後、純水により希釈し、架橋性高分子化合物の15質量%水溶液を得た。架橋性高分子化合物は、親水性主鎖であるポリ酢酸ビニルのケン化物に複数の側鎖を有しており、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物である。
《インクセットの調製》
〔インクセット1の調製〕
下記の方法に従って、イエローインク1、マゼンタインク1、シアンインク1、ブラックインク1から構成されるインクセット1を調製した。
(イエローインク1の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエローインク1を調製した。
架橋性高分子化合物 固形分として2部
ジエチレングリコール 8部
2−ピロリジノン 10部
1,2−ヘキサンジオール 6部
増感剤:トリエタノールアミン 1部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
1部
顔料:Cab−O−Jet270(キャボット社製 イエロー自己分散顔料)
固形分として3部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタインク1、シアンインク1、ブラックインク1の調製)
上記イエローインク1の調製において、顔料をCab−O−Jet270に代えて、それぞれCab−O−Jet260(キャボット社製 マゼンタ自己分散顔料)、Cab−O−Jet250(キャボット社製 シアン自己分散顔料)、Cab−O−Jet300(キャボット社製 ブラック自己分散顔料)を用いた以外は同様にして、マゼンタインク1、シアンインク1、ブラックインク1を調製した。
〔インクセット2の調製〕
下記の方法に従って、イエローインク2、マゼンタインク2、シアンインク2、ブラックインク2から構成されるインクセット2を調製した。
(イエローインク2の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエローインク2を調製した。
架橋性高分子化合物 固形分として2部
エチレングリコール 10部
プロピレングリコール 5部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
増感剤:メチルエタノールアミン 2部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
1部
顔料:Cab−O−Jet270(キャボット社製 イエロー自己分散顔料)
固形分として3部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタインク2、シアンインク2、ブラックインク2の調製)
上記イエローインク2の調製において、顔料をCab−O−Jet270に代えて、それぞれCab−O−Jet260(キャボット社製 マゼンタ自己分散顔料)、Cab−O−Jet250(キャボット社製 シアン自己分散顔料)、Cab−O−Jet300(キャボット社製 ブラック自己分散顔料)を用いた以外は同様にして、マゼンタインク2、シアンインク2、ブラックインク2を調製した。
〔インクセット3の調製〕
下記の方法に従って、イエローインク3、マゼンタインク3、シアンインク3、ブラックインク3から構成されるインクセット3(比較例)を調製した。
(イエローインク3の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエローインク3を調製した。
活性エネルギー線反応性化合物:A−TMPT−3EO(新中村化学工業(株)製)
固形分として2部
ジエチレングリコール 8部
2−ピロリジノン 10部
1,2−ヘキサンジオール 6部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
1部
顔料:Cab−O−Jet270(キャボット社製 イエロー自己分散顔料)
固形分として3部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタインク3、シアンインク3、ブラックインク3の調製)
上記イエローインク3の調製において、顔料をCab−O−Jet270に代えて、それぞれCab−O−Jet260(キャボット社製 マゼンタ自己分散顔料)、Cab−O−Jet250(キャボット社製 シアン自己分散顔料)、Cab−O−Jet300(キャボット社製 ブラック自己分散顔料)を用いた以外は同様にして、マゼンタインク3、シアンインク3、ブラックインク3を調製した。
〔インクセット4の調製〕
下記の方法に従って、イエローインク4、マゼンタインク4、シアンインク4、ブラックインク4から構成されるインクセット4(比較例)を調製した。
(イエローインク4の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエローインク4を調製した。
活性エネルギー線反応性化合物:NK−エステルA−200 3部
エチレングリコール 15部
2−ピロリジノン 10部
増感剤:トリエタノールアミン 1部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
1部
顔料:C.I.ピグメントイエロー74 3部
顔料分散剤:Solsperse20000(アビシア社製) 1部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタインク4、シアンインク4、ブラックインク4の調製)
上記イエローインク4の調製において、顔料をC.I.ピグメントイエロー74に代えて、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3、カーボンブラックをそれぞれ用いた以外は同様にして、マゼンタインク4、シアンインク4、ブラックインク4を調製した。
〔インクセット5の調製〕
下記の方法に従って、イエローインク5、マゼンタインク5、シアンインク5、ブラックインク5から構成されるインクセット5(比較例)を調製した。
(イエローインク5の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエローインク5を調製した。
顔料:C.I.ピグメントイエロー74 5部
顔料分散剤:アジスパーPB821(味の素ファインテクノ製) 3部
アロニックスM5700(東亞合成社製) 12部
エチレンオキシド付加1,6−ヘキサンジオールアクリレート 63部
3−メトキシブチルアクリレート 12部
増感剤:ジメチルエタノールアミン 5部
重合開始剤:イルガキュア369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
5部
(マゼンタインク5、シアンインク5、ブラックインク5の調製)
上記イエローインク5の調製において、顔料をC.I.ピグメントイエロー74に代えて、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントブルー15:3、カーボンブラックをそれぞれ用いた以外は同様にして、マゼンタインク5、シアンインク5、ブラックインク5を調製した。
上記で得られたインクジェット用インクセット1〜5について、下記に示すように画像形成し、評価を行った。
《画像1〜5の作製》
ノズル口径23μm、駆動周波数18kHz、ノズル数256、最小液適量4pL、ノズル密度180dpi(なお、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、ピエゾ型ヘッドの両端に120W/cmメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL 400NL 電源電力3kW・hr)を配置し、最大記録密度が1440×1440dpiであるオンデマンド型インクジェットプリンタを用意した。メタルハライドランプを照射しながら、インクセット1〜5を吐出してポリエチレンテレフタレートフィルムに画像を記録した。記録画像は、中間色であるグリーンとブルーの5cm×5cmのベタ画像が隣接して配置されたパターンであり、グリーン画像におけるイエローインクとシアンインクの印字率は各々100%、ブルー画像におけるマゼンタインクとシアンインクの印字率は各々100%である。画像記録後、ドライヤーにより30秒間温風乾燥した後、24時間自然乾燥した。
《画像1〜5の評価》
インクセット1〜5により作製した画像1〜5を、下記の方法に従って各評価を行った。いずれも○以上の性能を許容レベルとした。
(インク硬化性の評価)
グリーン画像とブルー画像の境界部を目視観察し、下記の基準に従いインク硬化性を評価した。
○:色の境界部において、色間の滲みは全く生じていない
△:色の境界部においてやや滲みが生じており、数mm幅の色混ざりが生じている
×:色の境界部はほとんど滲んでおり、それぞれのベタ画像も互いの色が混じっている
(画像光沢の評価)
インクセット1〜5により作製した画像1〜5を目視観察し、下記の基準に従って光沢の評価を行った。
○:ベタ画像の光沢は非常に良好であり、印字部と非印字部の光沢感の差も少ない
×:ベタ画像に光沢が無く、印字部と非印字部の光沢感に大きな差が感じられる
−:ビーディング(インクあふれによるまだら)が発生しており、評価不能である
(画像耐擦性の評価)
インクセット1〜5により作製した画像1〜5を丸めたティッシュペーパーで擦り、下記の基準に従って画像耐擦性を評価した。
○:耐擦試験後も画像の剥がれはほとんど見られない
△:耐擦試験後、部分的に画像の剥がれが生じている
×:耐擦試験後に画像のほとんどが剥がれている
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2007145886
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるインクジェットインクから構成される本発明のインクセット1、2は、比較例3〜5に対しインク硬化性、光沢が良好であり、かつ画像耐擦性が優れていることが分かる。
《画像6〜11の作製》
以下の方法に従い、画像6を作製した。ノズル口径23μm、駆動周波数18kHz、ノズル数256、最小液適量4pL、ノズル密度180dpi(なお、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、ピエゾ型ヘッドの両端に低圧水銀灯(日本電池社製 L251US)を配置し、最大記録密度が1440×1440dpiであるオンデマンド型インクジェットプリンタを用意した。低圧水銀灯を照射しながら、インクセット1を吐出して印刷用塗工紙であるNK特アート紙(日本加工製紙(株)製)に、人物写真よりなるカラー画像を記録した。画像記録後、ドライヤーにより30秒間温風乾燥した後、24時間自然乾燥した。
画像7、8、10、11については、インクセット1に変えて各々インクセット2、3、4、5を用いた以外は、画像6と同様にして画像を作製した。
画像9については、ヘッドの両端に搭載する光源を80W/cm高圧水銀灯(日本電池社製 HI−20)に変更した以外は、画像6と同様にして画像作製を行った。
《画像6〜11の評価》
インクセット1〜5により作製した画像6〜11を、下記の方法に従って各評価を行った。いずれも○以上の性能を許容レベルとした。
(インク硬化性の評価)
人物画像における色の変化の大きい部分を中心に目視観察し、下記の基準に従いインク硬化性を評価した。
○:色間の滲みやまだらは全く生じておらず、良好な画像である
△:色間の滲み、まだらがやや生じている
×:色間の滲み、まだらが生じており、明らかに再現性に劣る画像である
(画像光沢の評価)
画像を目視観察し、下記の基準に従って光沢の評価を行った。
○:画像の光沢は非常に良好であり、高濃度部と低濃度部の光沢感の差も少ない
×:画像に光沢が無く、高濃度部と低濃度部の光沢感に大きな差が感じられる
−:ビーディング(インクあふれによるまだら)が発生しており、評価不能である
以上により得られた結果を、表2に示す。
(コックリング)
◎:記録媒体のうねりがほとんど見られない
○:記録媒体の一部分において、うねりが生じている
×:記録媒体にうねりが生じ、それによりヘッド面と記録媒体が擦れて画像汚染が生じている
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2007145886
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるインクジェットインクから構成される本発明のインクセット1、2は、比較例3〜5に対し、インク硬化性が良好であり、光沢が優れていることがわかる。さらに、低圧水銀灯を用いる本発明のインクジェット記録方法においては、印刷用塗工紙のコックリングが少ないことが分かる。

Claims (15)

  1. 水、増感剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とを少なくとも含有しており、該増感剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とするインクジェットインク。
  2. 前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖はポリ酢酸ビニルのケン化物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖に対する側鎖の変性率が、0.8モル%以上4.0モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の親水性主鎖の重合度が200以上500以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  5. 前記側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の含有量が0.8質量%以上5質量%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  6. 前記増感剤がアミンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  7. 前記アミンがアルカノールアミンであることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットインク。
  8. 2種以上のインクジェットインクから構成され、該インクジェットインクの少なくとも1種が請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインクであることを特徴とするインクジェットインクセット。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインクを記録媒体上に吐出し、該インクジェットインクに活性エネルギー線を照射した後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 請求項8に記載のインクジェットインクセットを構成するインクジェットインクを記録媒体上に吐出し、該インクジェットインクに活性エネルギー線を照射した後、乾燥させることを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 前記活性エネルギー線を照射する装置が低圧水銀灯であることを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記活性エネルギー線を照射する装置がLEDであることを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
  13. 紙媒体に記録することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記紙媒体が印刷用塗工紙であることを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記活性エネルギー線を照射する装置が低圧水銀灯またはLEDであり、印刷用塗工紙に記録することを特徴とする請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009138150A (ja) * 2007-12-10 2009-06-25 Konica Minolta Holdings Inc 光開始剤、光重合性組成物及び光硬化方法
JP2015025076A (ja) * 2013-07-26 2015-02-05 富士フイルム株式会社 インクジェット用インク組成物、インクセット、及び画像形成方法

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