JP5266518B2 - インクジェット用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る架橋性高分子化合物は、重合性基を有する側鎖を複数持つことを特徴とする。その分子量は、好ましくは5000以上、100000以下であり、更に好ましくは8000以上、60000以下である。分子量を5000以上とすることにより、活性エネルギー線を照射したときの増粘効率が向上しやすく、分子量を100000以下とすることでインクジェットインクとしたときの出射性が良好になりやすい。
架橋性高分子化合物の主鎖としては、特に限定はないが、例えば、ポリ酢酸ビニルの鹸化物、ポリ(メタ)アクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体を用いることができる。
架橋性高分子化合物の側鎖は重合性基を有している。重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アルキレンマレイミド基、フェニレンマレイミド基、スチリル基、α−メチルスチリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
*−{(X1)m−〔Z−(Y1)n〕p}
上記一般式(A)において、*は側鎖が主鎖に連結した連結点を表し、{ }は側鎖を表す。X1は(p+1)価の連結基を表し、例えば、アルキレンオキシド、芳香族基、カルボニル基等を含む2価以上の連結基が挙げられる。pは正の整数を表し、好ましくは1〜5の整数である。具体的には、p=1のとき、X1が2価の連結基を表し、例えば、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、イミノ基、エステル基、アミド基、スルホニル基などが挙げられ、またこれらが組み合わさって一つの2価以上の基を形成してもよい。またp=2以上のとき、後述する複数のB及びY1は同一であっても異なっていてもよい。
架橋性高分子化合物の具体例としては、例えば、特開2000−181062号、特開2004−189841号のかく公報に示されるポリ酢酸ビニルのケン化物の側鎖に(メタ)アクリル基を導入した高分子化合物、特開2002−341530号、特開2005−213350号の各公報に記載のカルボキシル基を有するポリ(メタ)アクリレートの側鎖に(メタ)アクリル基を導入した高分子化合物等が挙げられる。
本発明のインクにおいては、複数の架橋性高分子化合物を用いることを特徴とする。2種類の架橋性高分子化合物を用いる場合を中心として、以下、詳細に説明をするが、説明の便宜上、一方の化合物を架橋性高分子化合物Aとし、もう一方を架橋性高分子化合物Bとする。また、各々の架橋性高分子化合物に含まれる重合性基を重合性基a、重合性基bとする。なお、3種類以上の架橋性高分子化合物を併用しても構わない。
r1は、共重合においてモノマーaが同種のモノマーaに付加するか、異なるモノマーbに付加するかの頻度を表しており、1に近いほどモノマーaとモノマーbの反応確率は等しくなる。同様にr2に関しても、モノマーb単独の成長反応速度定数をk22、活性化されたモノマーbがモノマーaに付加する際の成長反応速度定数をk21とすると、モノマー反応性比r2は次式で定義される。
r1とr2の積である(r1×r2)を0.5以下となるような重合性基の組み合わせとすることにより、重合性基aと重合性基bの交互共重合性比が高くなり、分子内架橋反応に優先して分子間架橋反応を促進させやすくなるため、より硬化特性を向上させることができるものと考えられる。
本発明においては、活性エネルギー線の照射によりインクに含まれる架橋性高分子化合物を速やかに反応させるため、光重合開始剤を添加することが好ましい。更に光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。これらの化合物は溶媒に溶解、あるいは分散した状態のいずれでインクに添加してもよい。
(溶媒)
本発明のインクジェット用インクにおいては、揮発性溶媒を含有することが好ましい。揮発性溶媒を含有するインクとすることにより、溶媒の揮発によって最終的に形成される画像の膜厚が薄くなり、均一性、光沢性に優れた画像を得ることができる。本発明に好適な揮発性溶媒としては、水、沸点180℃以下の有機溶媒が挙げられる。
本発明のインクジェット用インクには、感度、硬化物の物性向上を目的として、従来公知の重合性モノマーを併用することも可能である。
本発明のインクジェット用インクに用いられる色材としては、染料または顔料を用いることができる。本発明で用いることのできる染料としては、特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げられる。
1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246、
〈C.I.アシッドオレンジ〉
3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168、
〈C.I.アシッドレッド〉
88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415、
〈C.I.アシッドバイオレット〉
17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126。
1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350、
〈C.I.アシッドグリーン〉
9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109、
〈C.I.アシッドブラウン〉
2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413、
〈C.I.アシッドブラック〉
1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222、
〈C.I.ダイレクトイエロー〉
8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、79、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153、
〈C.I.ダイレクトオレンジ〉
6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118、
〈C.I.ダイレクトレッド〉
2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254。
9、35、51、66、94、95、
〈C.I.ダイレクトブルー〉
1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291、
〈C.I.ダイレクトグリーン〉
26、28、59、80、85、
〈C.I.ダイレクトブラウン〉
44、106、115、195、209、210、222、223、
〈C.I.ダイレクトブラック〉
17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169、
〈C.I.リアクティブイエロー〉
2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176、
〈C.I.リアクティブオレンジ〉
1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107。
2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235、
〈C.I.リアクティブバイオレット〉
1、2、4、5、6、22、23、33、36、38、
〈C.I.リアクティブブルー〉
2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236、
〈C.I.リアクティブグリーン〉
8、12、15、19、21、
〈C.I.リアクティブブラウン〉
2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46、
〈C.I.リアクティブブラック〉
5、8、13、14、31、34、39、
〈C.I.フードブラック〉
1、2、
等を挙げることができる。
また、本発明のインクジェット用インクでは、顔料として自己分散顔料を用いることもできる。自己分散顔料とは分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは表面に極性基を有している顔料粒子である。
顔料の分散方法としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
顔料分散体の調製において、必要に応じて顔料分散剤として界面活性剤、高分子分散剤を含有させてもよい。
顔料粒子の粒径には、電子顕微鏡で粒子を直接観察することで得られる粒径(一次粒径)と、光散乱を利用した粒径測定装置を利用した分散粒径(二次粒径)、固有粘度から求める粘度換算粒径がある。
本発明のインクジェット用インクを用いてインクジェットインクセットを構成する場合、該インクジェット用インクセットの少なくとも1種のインクが本発明のインクジェット用インクとすることが好ましく、更には2種以上のインクが本発明のインクジェット用インクであることが好ましく、全てのインクが本発明のインクジェット用インクであることが最も好ましい。インクジェット用インクセットのインクの多くを本発明のインクとすることにより、本発明の効果をより顕著に奏する。
インクジェット用インクセットにおいては、好ましくは少なくとも一色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェット用インクセットを用いることが望ましい。更に二色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェット用インクセットを用いることがより好ましく、特に三色以上のインクにおいて、少なくとも二つの濃度の異なる同色のインクから構成されるインクジェット用インクセットを用いることが好ましい。
インクジェット用インクセットにおいては、上記の有色顔料に加えて、白色顔料を含有する白色インクを用いてもよい。用いられる白色顔料はインクジェット用インクを白色にするものであればよく、例えば、無機白色顔料や有機白色顔料、白色の中空ポリマー微粒子を挙げることができる。
インクジェット用インクセットにおいては、実質的に色材を含まない無色インク(透明インクとも言う)を併用することもできる。
本発明のインクジェット用インクには、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号の各公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号の各公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号の各公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
本発明のインクジェット用インクにおいては、ラテックスをインク中に加えてもよい。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体及びアクリル変性フッ素樹脂等のラテックスが挙げられる。
本発明のインクジェット用インクは、サーマル型インクジェットプリンターに用いてもよい。このとき、コゲーションと呼ばれるヘッドの目詰まりを解決するために、特開2001−81379号公報に開示されている(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3から選ばれる塩を加えてもよい。ここで、M1はアルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Phはフェニル基を表す。
本発明のインクジェット用インクには、架橋剤を含有させてもよい。架橋剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬、ホウ酸またはその塩等が挙げられる。
本発明のインクジェット用インクでは、従来インクジェット用インクで公知の退色防止剤を用いることができる。この退色防止剤は、光照射による退色及びオゾン、活性酸素、NOx、SOxなどの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。
本発明のインクジェット用インクでは、pHバッファー剤をインク中に添加してもよい。例えば、有機酸や無機酸である。有機酸としては、例えば、非揮発性のフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、安息香酸、セバチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、蓚酸、ポリアクリル酸、ベンジル酸等各種の有機酸を挙げることができる。
本発明のインクジェット用インクでは消泡剤を添加することができ、消泡剤としては特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば、信越シリコーン製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F等が挙げられる。
本発明のインクジェット用インクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明のインクジェット用インクの調製については特に制限はないが、顔料、分散染料、無機微粒子、樹脂微粒子等の分散物を含むインクの調製を行う場合、調製過程での凝集、沈降が生じないようにインクを調製することが好ましい。必要に応じて、分散体、溶媒、水、感光性樹脂及びその他の添加物の添加順序、添加速度を調節する等の調合方法を取ることができる。また、調合中もしくは調合後のインクについて、分散の安定化、調合時に生じた凝集を再分散すること等を目的として、ビーズミルや超音波による分散処理、加熱処理等を行ってもよい。
(粘度)
本発明のインクジェット用インクの粘度は特に制限はないが、25℃において、2mPa・s以上、15mPa・s以下であることが好ましい。また、本発明のインクジェット用インクの粘度は、シェアレート依存性がない方が好ましい。
また、本発明のインクジェット用インクにおいては、表面張力が35mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは20〜35mN/mである。
本発明のインクジェット用インク中の溶存酸素濃度は、2ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1ppm以下である。インクジェットインク中の溶存酸素濃度が2ppm以下であると、インク吐出時にキャビテーションが発生しにくくなり、良好な出射性のインクとしやすい。
本発明のインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法で適用可能な記録媒体としては、各種紙、各種フィルム、各種布、各種木材、各種インクジェット用記録媒体等が使用できるが、記録媒体が、印刷用塗工紙または非吸収性記録媒体であることが好ましい。
印刷用塗工紙とは印刷でしばしば用いられる塗工紙であり、一般的には上質紙や中質紙を原紙とし、紙の表面に白土等の顔料を塗布した後、平滑性を高めるためにカレンダー処理をかけて作製される。このような処理により、白色度や平滑性、印刷インクの受理性、あるいは網点再現性、印刷光沢、印刷不透明度などが向上する。塗工量によりアート紙、コート紙、軽量コート紙等の分類があり、また紙の光沢によりグロス系、ダル系、マット系等に分類される。
非吸収性記録媒体としては、一般的に使用されている各種フィルム等は全て使用できる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどがある。また、写真用印画紙であるレジンコートペーパーや合成紙であるユポ紙なども使用できる。
本発明のインクジェット記録方法では、本発明のインクジェット用インクを記録媒体上に吐出し、活性エネルギー線を照射してインクを硬化させる方法、あるいは本発明のインクジェット用インクを記録媒体上に吐出し、活性エネルギー線を照射してインクを硬化させた後、乾燥させることを特徴とする。
〈活性エネルギー線〉
本発明で言う活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましい。本発明では特に紫外線が好ましい。
活性エネルギー線の照射条件としては、記録媒体上にインクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号公報に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上へ吐出したインクジェット用インクに活性エネルギー線を照射して硬化させた後、不要の有機溶媒等を除去する目的で乾燥を行ってもよい。
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクジェットプリンターで用いる部材としては、活性光線、例えば、紫外線の乱反射によるヘッド面への照射を防ぐために、活性エネルギー線に対する透過率や反射率が低いものが好ましい。
使用する記録ヘッド(インクジェットプリントヘッド)は、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
《架橋性高分子化合物の合成》
〔架橋性高分子化合物1の合成〕
2Lセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を100g、イオン交換水を530g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを175g、下記に示す側鎖修飾化合物を24.4g、リン酸を6.2g加え、10時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)70gを加え、12時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、アクリル基を有する側鎖を持ち、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物1(例示1を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
1Lセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を65g、イオン交換水を360g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを120g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記に示す側鎖修飾化合物を19.7g、リン酸を4.2g加え、10時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)50gを加え、18時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、メタクリル基を有する側鎖を持ち、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物2(例示2を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を60g、イオン交換水を360g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを120g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記に示す側鎖修飾化合物を24.7g、リン酸を4.2g加え、8時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)50gを加え、18時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、アクリルアミド基を有する側鎖を持ち、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物3(例示10を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
1Lセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を75g、イオン交換水を400g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを80g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記に示す側鎖修飾化合物を9.7g、リン酸を4.2g加え、10時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)50gを加え、24時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、メタクリルアミド基を有する側鎖を持ち、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物4(例示22を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を60g、イオン交換水を360g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを120g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記に示す修飾化合物を24.7g、リン酸を4.2g加え、8時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)50gを加え、18時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、スチリル基を有する側鎖を持ち、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物5(例示31を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を72g、イオン交換水を360g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを120g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記に示す修飾化合物1を12.7g、リン酸を4.2g加え、8時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)50gを加え、18時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、フェニレンマレイミド基を有する側鎖を持つ、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物6(例示62を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を70g、イオン交換水を360g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを120g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記に示す修飾化合物を14.7g、リン酸を4.2g加え、8時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)50gを加え、18時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、ビニルエーテル基を有する側鎖を持ち、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物7(例示66を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
1Lのセパラブルフラスコに、ケン化率98%、重合度300のポリ酢酸ビニルのケン化物を65g、イオン交換水を360g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルのケン化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを120g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記に示す側鎖修飾化合物を19.7g、リン酸を4.2g加え、8時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学製)50gを加え、18時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、ビニルエステル基を有する側鎖を持ち、ポリ酢酸ビニルのケン化物を主鎖とする架橋性高分子化合物8(例示70を構成単位とする)の15質量%溶液を得た。
窒素気流下で、1Lのセパラブルフラスコにグリセリンモノメタクリレートを52g、メチルアクリレートを8g、イオン交換水を90g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを70g入れ、80℃に加熱した。アゾビスイソブチロニトリル2gを1時間かけて添加し、更に5時間加熱撹拌を続けた。その後、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを更に加え、85℃に昇温して1時間加熱した。
窒素気流下で、1Lのセパラブルフラスコにグリセリンモノメタクリレートを50g、メチルアクリレートを10g、イオン交換水を90g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを70g入れ、80℃に加熱した。アゾビスイソブチロニトリル2gを1時間かけて添加し、更に5時間加熱撹拌を続けた。その後、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを更に加え、85℃に昇温して1時間加熱した。
Ac:ポリ(メタ)アクリレート
《顔料分散液の調製》
〔ブラック顔料分散液〕
以下の各添加剤を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、イオン交換水を添加してブラック顔料の含有量が10%のブラック顔料分散液を調製した。
ジョンクリル62(ジョンソンポリマー製) 59g
レベノールWX(花王製) 3g
ジエチレングリコール 100g
イオン交換水 300g
《インクジェットインクの調製》
上記調製した各架橋性高分子化合物及びブラック顔料分散液を用いて、下記の方法に従ってインクジェットインクを調製した。
架橋性高分子化合物1 固形分として1.5部
架橋性高分子化合物5 固形分として0.5部
下記構造の光重合開始剤 0.5部
溶媒:エチレングリコール 10部
溶媒:プロピレングリコール 15部
溶媒:2−ピロリジノン 10部
活性剤:BYK347(ビックケミー製) 0.6部
ブラック顔料分散液 顔料分として4部
更に全体が100部となるようにイオン交換水を添加して、本発明のインクジェット用インクであるインク1を調製した。
前記インク1の調製において、各架橋性高分子化合物とその含有量を表2に記載のものに変更した以外は同様にして、本発明のインクジェット用インクであるインク2〜10をそれぞれ調製した。
前記インク1の調製において、各架橋性高分子化合物とその含有量を表2に記載のものに変更した以外は同様にして、比較のインクジェット用インクであるインクR1−1〜インクR4−2をそれぞれ調製した。なお、インクR1−1とインクR1−2、インクR2−1とインクR2−2、インクR3−1とインクR3−2、インクR4−1とインクR4−2の組み合わせは架橋性高分子化合物の種類が同一であり、含有量のみが異なるインクである。
上記調製した各インクを用いて、下記の各評価を行った。
ノズル口径25μm、液適量4pl、最大駆動周波数25kHz、ノズル数512、ノズル密度360dpiであるピエゾ型のインクジェット記録ヘッドをライン状に3列並べ、記録密度1080dpiのラインヘッド型インクジェット記録装置を構成した。なお、本発明で言うdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
△:中間領域の濃度で画像のまだらが若干生じているが、おおむね均一な画像が得られている
×:ほとんどの濃度領域で画像のまだらが生じており、全体的に均一性に欠ける画像となっている。
前記の画質評価において作製した画像について、下記の基準に従って、画像光沢を評価した。評価ランクが△以上であれば、実用上問題のないレベルとした。
△:画像表面にやや曇りが認められるが、おおむね良好な光沢が得られている
×:透明感がなく、光沢が感じられない画像である
−:画像のまだらにより光沢が評価できない。
前記の画質評価で○もしくは△の結果を示したインクについて、高速印字適性の評価を実施した。記録媒体の搬送速度を300mm/secとした以外は、前記の画質評価と同様の方法により画像を作製し、下記基準に従って高速印字適性を評価した。評価ランクが△以上であれば、実用上問題のないレベルとした。
△:搬送速度を速くした際の画像で、若干まだらが増えている傾向がある
×:搬送速度を速くした際の画像で、顕著にまだらが増えている
−:前記画質評価が×であったため、評価を実施していない。
前記の画質評価で○もしくは△の結果であった画像について、作製から24時間経過後、一定荷重をかけながら湿った綿棒で画像を10回擦り、下記基準に従って画像耐擦性を評価した。△以上であれば、実用上問題のないレベルとした。
△:綿棒で擦った後、若干ではあるが画像濃度が低下している
×:綿棒で擦った後、顕著に画像濃度が低下している
−:前記画質評価が×であったため、評価を実施していない。
前記ラインヘッド型インクジェット記録装置を、相対湿度20%RH、室温25℃の環境に設置し、インクを装置に装填した。概インクジェット記録装置により、インクジェット専用紙であるフォトライクQPペーパー(コニカミノルタ製)に10cm×10cmのベタ画像を記録し、装置を10秒間停止する、というサイクルを10回繰り返した。得られたベタ画像をもとに、吐出されたインクの欠、角度ズレを判定した。以上の実験により、各インクの低湿環境下における出射性を下記基準に従って評価した。
×:10枚目の画像で明らかな白スジが認められ、ノズル欠や大きな角度ズレが生じている。
Claims (7)
- 少なくとも色剤、重合性基aを含む側鎖を複数有する高分子化合物A、重合性基bを含む側鎖を複数有する高分子化合物Bを含有しており、重合性基aと重合性基bの構造が互いに異なるインクジェット用インクであって、
前記高分子化合物A、高分子化合物Bの主鎖がいずれもポリ酢酸ビニルのケン化物であることを特徴とするインクジェット用インク。 - 前記重合性基aと重合性基bのモノマー反応性比の積(r1×r2)が0.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 前記重合性基aと重合性基bがアクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレイミド基、スチリル基から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
- 前記重合性基a、重合性基bのいずれか一方がアクリル基またはアクリルアミド基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記重合性基a、重合性基bのいずれか一方がスチリル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用インクを記録媒体上に吐出し、該インクジェット用インクに活性エネルギー線を照射して、インクジェット画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記活性エネルギー線を照射した後、乾燥工程を経てインクジェット画像を記録することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
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