JP2010047686A - インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 白モヤやブリードが少なく、鮮明な画像が得られるインクセットの提供。
【解決手段】 記録ヘッドを記録媒体の同一領域に複数回走査させて記録画像の記録を行うインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録用インクセットであって、ブラックインク及び複数の異なる色のカラーインクを含有し、色材として顔料を含有し、表面張力は、37.5dyn/cm(mN/m)以上、41.5dyn/cm(mN/m)以下であり、該ブラックインクの表面張力と該複数の異なる色のカラーインクのうち最も明度の高い色のカラーインクの表面張力の差は、3.3dyn/cm(mN/m)以下であり、該複数の異なる色のカラーインクの表面張力のうち、表面張力が最も高いカラーインクと表面張力が最も低いカラーインクの表面張力の差は、3.0dyn/cm(mN/m)未満であるインクセット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法に関する。
従来、文字や画像などの記録方法の一つとして、記録ヘッドのノズルから吐出させたインクを記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法が行われている。このインクジェット記録方法においては、印字品位向上のために様々な手法が取り入れられている。その手法の一つとして、インクジェット記録に適した記録媒体への浸透性を有するインクを使用することが挙げられる。
例えば、文字や線画などの濃度やシャープさの向上を目的として、記録媒体である記録紙への浸透速度が遅く、記録媒体表面近傍に付着する量が多いインクを用いる技術が知られている。また、定着速度を高めるために、記録媒体への浸透速度が速いインクを用いる技術も知られている。通常、浸透速度が遅いインクは、記録媒体の表面上に乗った状態で残る量が多いため、「上乗せ系インク」と称されている。一方、浸透速度が速いインクは「超浸透性インク」と称されている。
浸透速度が速い超浸透性インクを用いた場合、図5(a)に示すように、記録媒体52上に滴下されたインク51は、記録媒体52に付着後直ちに記録媒体52の内部に浸透していくため、記録媒体52の表面上に残留するインク量は少ない。また、その記録媒体52への浸透性は高く、その浸透性や記録媒体52の材質によっては記録媒体52の裏面近くに至るまで深く浸透する。
記録媒体に着弾したインクが速く浸透すると、記録媒体上で他のインクと混ざることが少ないため、異色との境界部における滲みが発生しにくいという利点がある。しかしながら、インクが記録媒体に深く浸透し、広い範囲に拡散するため、顔料や染料の色素成分が分散してしまう。同時に記録媒体に対して入射した光が記録媒体表面から深い位置で反射するようになるため、記録された画像の濃度が低くなり易い。さらに、インク51の周囲に広く拡散して記録ドットのサイズが大きくなり過ぎたり、ドットの外周にヒゲ状の滲み(フェザリング)が発生して輪郭が不鮮明な画像となり易い。
これに対し、浸透性の低い上乗せ系インクを用いた場合は、図5(b)に示すように、記録媒体52の表面上に凸状に残留した状態でインク53の溶剤などの成分が蒸発し易い。そのため、記録媒体52上に滴下されたインク53は記録媒体52の厚み方向に浸透する量が少ない。
このように、記録媒体表面上に残るインクの量が多いと、画像の濃度が高くなり易い。また、単一のドットで見ると、記録媒体中に拡散するインクの量が超浸透性インクに比べて非常に少ないので、シャープな画像を記録することができるという利点がある。しかしながら、記録媒体への浸透速度が遅く、記録媒体表面上に残ったインクが定着するまでに必要な時間も長くなるため、近接する位置に他のインクが付着した場合、両インク間でインクが流れ出てしまう。そのため、異色との境界部に滲みが発生し、結果として画質を劣化させ易い。
従来は、黒色画像の形成には浸透性の低いインクを用い、それ以外の色の画像の形成には浸透性の高いインクを用いることが一般的であった。ブラックインクは、形成した微細な線や点の画像が明確に視認できるため、見易さが要求される文字や線画を記録する場合に用いられることが多い。そのため、ブラックインクには、記録濃度が高く、輪郭が鮮明に記録できる上乗せ系インクが用いられていた。一方、互いに異なる色のドットが隣接して記録されることが多いカラー画像の記録には、異色の境界に滲みが発生しにくく、境界を明確に記録することができる超浸透性インクが用いられていた。
しかしながら、記録される画像の特徴に応じ、黒色と他の色とで浸透性の異なるインクを用いて記録を行ったとしても、以下の問題が生じてしまうことがあった。すなわち、図5(c)に示すように、浸透性の低いインクで形成したブラックドット54と、浸透性の高いインクで形成したカラードット55とが隣接した場合、隣合うドット間にインクが流れ出て、記録品質が低下してしまうことがあった。ブラックドット54においては、記録媒体52の表面上で凸状となって残るインクが、境界部56からカラードット55側に流れ出してしまい、ブラックドット54側の境界部56で濃度低下を生じる。その結果、ブラックドット54の輪郭の濃度が低下して白っぽく不鮮明な画像となる(白モヤと呼ぶ)。また、カラードット55においても、境界部56にブラックインクが混入し、輪郭が不鮮明となる(ブリードと呼ぶ)。以上のように、浸透性の異なるインクドット同士が隣接した場合、その境界部56に白モヤやブリードが生じ、これらに起因して記録品質の劣化が生じ易かった。このような現象は、画像の記録を高速で行った場合に、特に生じ易かった。
これまでにも、ブリードを防止するための手段として種々の方法が提案されている。特許文献1には、カラー画像を形成する各色のインクとして同等の表面張力を有するインク(20℃において30dyn/cm(mN/m)以上60dyn/cm(mN/m)以下)を用いる方法が開示されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記特許文献1に記載のインク、特にブラックインクを使用して形成した画像においては、十分な光学濃度を得ることが困難であった。さらに、滲みの発生を十分に防止できないため、十分な画像品質を得ることができないという問題点もあった。加えて、インクジェット記録において使用されている普通紙は、地域や入手先により様々な種類があるが、これら様々な用紙を使用しても、特に、ブラック画像の濃度やエッジ部の鮮鋭さが、より高いレベルで満足できるものであることが要求されている。
特許文献2には、塩を含む自己分散型の顔料インクを用いることで、ブラックインクの高画質化とカラー画像部との滲みを防止する技術が開示されている。しかしながら、近年の、インクジェット記録における高速化及び高画質化に伴い、ブラックインクとカラーインクとの印字時間差が非常に短い場合でも、滲みをより高いレベルで抑制する技術の開発が望まれている。
別の方法として、ブラックインク吐出後に長時間放置することで、浸透性の低いインクであってもブリードを生じない程度に記録媒体に定着させるという技術がある。しかしながら、この方法は、ブラックインクの吐出とカラーインクの吐出との間に長い時間差を設ける必要があり、スループット(印字時間)が低下するため、高速の記録には適さない。
さらには、インクを強制的に蒸発させるために加熱ヒータを用いた定着手段を設けることも行われているが、定着手段を設けると装置が大型化すると同時に、エネルギー的にも不経済である。
特開昭60−197778号公報 特開2000−198955公報
したがって、本発明の目的は、インク間の付与の時間差が小さい場合でも、カラーインクとブラックインクの境界での白モヤやブリードの発生が少なく、シャープで鮮明な画像が得られ、更にはマルチパスにおける走査時間差バンドムラの少ないるインクジェット記録用インクセットおよび記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、かかるインクジェット記録用インクセットを用いた、上記の優れた画像の形成が可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち本発明は、記録ヘッドを記録媒体の同一領域に複数回走査させて記録画像の記録を行うインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録用インクセットであって、該インクセットは、ブラックインク及び複数の異なる色のカラーインクを含有し、該ブラックインクは、色材として顔料を含有し、該ブラックインクの表面張力は、37.5dyn/cm(mN/m)以上、41.5dyn/cm(mN/m)以下であり、該ブラックインクの表面張力と該複数の異なる色のカラーインクのうち最も明度の高い色のカラーインクの表面張力の差は、3.3dyn/cm(mN/m)以下であり、該複数の異なる色のカラーインクの表面張力のうち、表面張力が最も高いカラーインクと表面張力が最も低いカラーインクの表面張力の差は、3.0dyn/cm(mN/m)未満であることを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
本発明のインクジェット記録用インクセット及び記録方法によれば、インク間の付与の時間差が短い場合でも、カラーインクとブラックインクとの境界での白モヤの発生が少なく、ブラックの光学濃度が高く鮮明な画像が得られる。また、カラーインクとブラックインクの境界でのブリードの発生が少なく、シャープで鮮明な画像が得られる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のインクセットは、記録ヘッドを記録媒体の同一領域に複数回走査させて記録画像の記録を行う方法、所謂マルチパス記録方法によるインクジェット記録方法に用いるインクセットである。
本発明は、上記記録方法に用いる、ブラックインク及び複数のカラーインクを具備するインクセットの、特に最も明度が低い色のインクと最も明度が高い色のインクとの間に発生する色滲みやカラーブリード、フェザリング等の発生を抑制するものである。更には、インクの打ち込む時間差の違いによるバンドムラの低減されたインクセットおよび記録方法に関するものである。
本発明のインクセットは、ブラックインク及び複数の異なる色のカラーインクを含有する。複数の異なる色のカラーインクとしては、例えばイエロー、シアン、マゼンタといった色のカラーインクが挙げられる。
本発明のインクセットにおいて、異なる色同士の境界での色滲みやカラーブリードが最も目立つ組み合わせは、各インクセットに含まれるインクのうち、最も明度が高い色のインクと最も明度が低い色のインクとの組み合わせである。そして、それらの境界で発生する色滲みやカラーブリードが最も目立つ。本発明のインクセットを用いることによって、こうした最も目立つ色滲みやカラーブリードを有効に抑制することができる。
一般に、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのフルカラーインクセットにおいて、最も明度が低い色のインクはブラックインクである。また、イエロー、シアン及びマゼンタの3色のカラーインクセットにおいて、最も明度が高い色のインクはイエローインクであり、最も明度が低い色のインクはシアンインクである。
本発明にかかるインクセットを構成するブラックインクの表面張力は、高い画像品位を得るために、37.5dyn/cm(mN/m)以上、41.5dyn/cm(mN/m)以下であることが必要である。また、39.0dyn/cm(mN/m)以上であることが好ましい。また、40dyn/cm(mN/m)以下であることが好ましい。
ブラックインクの粘度は、1.0cp(mPa・s)以上が好ましく、1.5cp(mPa・s)以上であることがより好ましい。また、10.0cp(mPa・s)以下であることが好ましく、5.0cp(mPa・s)以下であることが好ましい。この条件を満たすことで、当該ブラックインクをインクジェットノズルから高周波数でより安定的に吐出させることが可能となる。
本発明にかかるインクセットを構成するカラーインクの表面張力は、40dyn/cm(mN/m)以下とすることが好ましい。この条件を満たすことで、互いに隣接している異色のカラー画像の境界領域のブリードの発生の発生を抑制できる。また、インクの吐出特性を考慮すると、カラーインクの表面張力は、28dyn/cm(mN/m)以上とすることが好ましい。
先に述べたブラックインクの場合のように、インクの表面張力を高くすることは、確かに文字品位に対しては有利になるが、1次色や2次色の画像均一性の向上の点からも、カラーインクの表面張力は低くすることが有効である。これに対し、本発明者らは、カラーインクの中でもイエローインクは最も明度が高いといえるため、ブラックインクと同等にインクの表面張力を高くしても、1次色や2次色の画像均一性が劣化しないことに着目し、本発明をなすに至った。なお、イエローインクに比べて明度の低いシアン、マゼンタのカラーインクについては、画像均一性の観点から、表面張力を38dyn/cm(mN/m)以下と低くすることが好ましい。
カラーインクの粘度は、1cp(mPa・s)以上が好ましく、さらには1.5cp(mPa・s)以上が好ましい。また、10cp(mPa・s)以下であることが好ましく、さらには5cp(mPa・s)以下であることが好ましい。これらの条件を満たすことで、当該カラーインクをインクジェットノズルから高周波数でより安定的に吐出させることができる。
本発明者らは、特に、下記のことを見出して本発明を達成した。まず、ブラックインクの表面張力と複数の異なる色のカラーインクのうち最も明度の高い色のカラーインクの表面張力の差を3.3dyn/cm(mN/m)以下になるように構成した場合に、白モヤ及びブリードの発生を良好に抑制できる。さらに、複数の異なる色のカラーインクの表面張力のうち、表面張力が最も高いカラーインクと表面張力が最も低いカラーインクの表面張力の差を、3.0dyn/cm(mN/m)未満とすることで、ブリードの発生を良好に抑制できる。また、最も明度の低いブラックインクの表面張力を、最も明度の高いカラーインクの表面張力よりも高くし、かつ、これらのインク間の表面張力の差を3.0dyn/cm(mN/m)未満に調整した場合に、より高い効果が得られる。
上記のように構成することで、ブラックインクの濃度がより高く鮮明であり、しかも、ブラックインクとカラーインクとの間に発生する白モヤや色滲み、カラーブリードの大きな抑制効果や、カラー間のブリード発生の大きな抑制効果が得られる。
本発明のインクセットを用いるインクジェット記録方法では、ブラックインクを吐出させた際のインク滴1個が30ng以下となるように構成し、さらに、カラーインクを吐出させた際のインク滴1個を15ng以下で記録することが好適である。隣接する画素を高表面張力のインクで高速印字すると、2つのインク滴が合体して所定の画素部分からインクがあふれて画像の鮮明性が損なわれる場合がある。しかし、吐出させる各インクの滴量を、上記したような範囲で記録するように構成することで、インクの乾燥性を損なわずに高濃度高画質の画像を得ることができる。これに対して、各インクの滴量が大き過ぎると、付与されたインクの乾燥時間が長くなりやすく、画質の劣化も生じやすくなるので、上記したような条件を満たすインクの滴量で画像を形成することが好ましい。
また、画像形成後に副操作方向に紙を送ることで、マルチパス印字時の往復走査による打ち込み時間差による時間差バンドムラを抑制することができる。
<ブラックインク>
(ブラックインク中の色材)
まず、本発明を構成するブラックインクについて説明する。ブラックインク中の色材として、染料ではなく顔料を用いる。その理由を以下に示す。染料インクによる画像形成は、染料を記録媒体内部に侵入させることにより記録媒体自体を染色して画像を形成するもので、染料が記録媒体の表面に留まりにくい。これに対し、顔料インクによる画像形成は、染料よりはるかに大きな顔料粒子を記録媒体の表面に留め、該表面上にある顔料粒子自体の発色により画像を形成する。顔料インクは普通紙などの浸透性の比較的高い記録媒体表面に着弾後、溶媒が蒸発していく過程で分散不安定になり固液分離が促進されて顔料粒子が凝集体を形成すると考えられる。ブラックインクは前記のように高い表面張力で浸透性が低いので、ブラックインク単独で記録媒体上に付与した場合、記録媒体上方に定着する顔料濃度は高い。そのため、染料ブラックインクよりも高い光学濃度を示す。また、ブラックインクとカラーインクを記録媒体上に付与した場合、着弾後、前記のように固液分離が促進されて顔料粒子が凝集体を形成するので、カラーインクがブラックインクに侵入し難くなる。さらに、本発明者らの検討によれば、カラーインクとブラックインクの表面張力が揃っている場合は、記録媒体上でインクの移動が起こりにくいため、さらにカラーインクがブラックインクに侵入し難くなることが分かった。
ブラックインク中の顔料としては、例えば、カーボンブラックが好適に用いられる。カーボンブラックのインク中での分散の形態としては、自己分散型がより好ましい。自己分散型のカーボンブラックとしては、例えば、少なくとも1つの親水性基(アニオン性基やカチオン性基)がイオン性基としてカーボンブラック表面に直接、若しくは他の原子団を介して結合しているカーボンブラックが挙げられる。これを用いることによって、カーボンブラックを分散させるために分散剤を添加しなくとも、良好な分散性を得ることができる。さらに、自己分散型のカーボンブラックは、記録媒体に着弾した後のインクの凝集をコントロールしやすく、ブリードを抑制しやすい。よって、本願発明のインクセットにおいて、ブラックインクに含まれる顔料として自己分散型カーボンブラックを用いた場合は、ブリードの発生をより抑制することができる。
アニオン性基を表面に直接若しくは他の原子団を介して結合しているカーボンブラックの場合、表面に結合されている親水性基の例として、例えば、−COO(M2)、−SO(M2)、−POH(M2)、−PO(M2)などを挙げることができる。なお、上記式中、「M2」は水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。これらの中で特に、−COO(M2)、−SO(M2)がカーボンブラック表面に結合してアニオン性に帯電せしめた自己分散型カーボンブラックは、インク中での分散性が良好なため、本発明を構成するブラックインクに特に好適に用い得る。
ところで、上記親水性基中、(M2)として表わしたもののうち、アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb及びCsなどが挙げられる。また、有機アンモニウムの具体例としては、以下のものがある。例えば、モノメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノメタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウムなどである。
そして(M2)をアンモニウム或いは有機アンモニウムとした自己分散型カーボンブラックを含むインクは、記録画像の耐水性をより向上させることができ、この点において特に好適に用いることができる。これは、当該インクが記録媒体上に付与されると、アンモニウムが分解し、アンモニアが蒸発する影響によるものと考えられる。ここで(M2)をアンモニウムとした自己分散型カーボンブラックの製法には以下の方法がある。例えば、(M2)がアルカリ金属である自己分散型カーボンブラックをイオン交換法を用いて(M2)をアンモニウムに置換する方法である。他にも、酸を加えてH型とした後に水酸化アンモニウムを添加して(M2)をアンモニウムにする方法などが挙げられる。アニオン性に帯電している自己分散型カーボンブラックの製造方法としては、例えば、カーボンブラックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられ、この方法によってカーボンブラック表面に−COONa基を化学結合させることができる。
カチオン性に帯電したカーボンブラックの場合、直接若しくは他の原子団を介して結合した親水性基が、例えば、下記に示す第4級アンモニウム基から選ばれる少なくとも1つを結合したものが挙げられる。
上記式中、Rは炭素数1乃至12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす。なお、上記のカチオン性基にはカウンターイオンとして、例えば、NO やCHCOOが存在する。上記したような親水性基が結合されてカチオン性に帯電している自己分散型カーボンブラックを製造する方法は次のような方法がある。例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル基を結合させる方法を例にとって説明すると、カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジニウムブロマイドで処理する方法が挙げられる。
このようにカーボンブラック表面への親水性基の導入によってアニオン性若しくはカチオン性に帯電させたカーボンブラックは、イオンの反発によって優れた水分散性を有する。そのため、水性インク中に含有させた場合にも分散剤などを添加しなくても安定した分散状態を維持する。ところで、上記したような種々の親水性基は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよいし、或いは、他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させてもよい。
ここで、他の原子団の具体例としては、例えば、炭素数1乃至12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基、置換若しくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基及びナフチレン基の置換基としては、例えば、炭素数1乃至6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、他の原子団と親水性基の組み合わせの具体例としては、例えば、−CCOOM、−Ph−SOM、−Ph−(COOM)mなど(ただし、Phはベンゼン環を示し、mは1又は2を示す)が挙げられる。また、式中のMは、前記した(M2)と同様に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。
ところで、本発明において、上記した自己分散型カーボンブラックの中から2種若しくはそれ以上を適宜選択してブラックインクの色材に用いてもよい。また、ブラックインク中の自己分散型カーボンブラックの添加量としてはブラックインク全質量の0.1質量%以上が好ましく、さらには1質量%以上とすることが好ましい。また、15質量%以下とすることが好ましく、さらには、10質量%以下とすることが好ましい。これらの条件を満たすことで自己分散型カーボンブラックはインク中で十分な分散状態を維持することができる。さらに、インクの色調の調整などを目的として、自己分散型カーボンブラックに加えて染料を色材として添加してもよい。
(ブラックインクの有する塩)
本発明において、顔料の凝集性を高めるために、ブラックインクが下記に挙げる中から選ばれる少なくとも一つの塩を含有してなるものであることが好ましい。すなわち、(M1)SO、CHCOO(M1)、Ph−(COO(M1))n、(M1)NO、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)SO及び(M1)COから選ばれる少なくとも一つを含有させることが好ましい。上記式中、M1は、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示し、Phはベンゼン環を示し、nは1又は2を示す。塩の含有量は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上が好ましい。また、10.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.05質量%を下回る場合、光学濃度が高い画像を得られない場合がある。また、10.0質量%を上回る場合、インクの保存安定性などが得られない場合がある。
そして、アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Csなどが挙げられる。また、有機アンモニウムの具体例としては、次のようなものがある。例えば、モノメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、モノエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムなど。また、モノメタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム及びトリエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
(ブラックインク中の溶剤)
本発明を構成するブラックインクは、先に挙げた色材などの溶媒又は分散媒として、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶媒の混合媒体を用いて作製される。水溶性有機溶媒としては、具体的には、下記に挙げるようなものを使用できる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。平均分子量が200乃至2,000程度のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキルエーテルアセテート。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどである。
ブラックインク中の水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、ブラックインク全質量に対して、3質量%以上50質量%以下の範囲とすることが好ましい。また、ブラックインク中の水の含有量は、ブラックインク全質量に対して、50質量%以上95質量%以下の範囲とすることが好ましい。本発明を構成するブラックインクは、インクジェット記録方式(例えば、バブルジェット(登録商標)法など)で、記録媒体に付与されるものである。したがって、本発明で規定する要件を満たすと同時に、優れたインクジェット吐出特性を有するように、インクの粘度や表面張力を調整したものであることが好ましい。ブラックインクの表面張力の調整は、例えば、界面活性剤を添加するなどの方法で行うことができる。この際に使用する界面活性剤としては、特に制限はないが、より好ましくは下記のものが挙げられる。アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物などの非イオン性界面活性剤を用いることができる。
(ブラックインク中のその他の成分)
ブラックインクは、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。ブラックインク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、ブラックインク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
<カラーインク>
(カラーインク中の色材)
次に、本発明を構成するカラーインクについて説明する。カラーインク中の色材としては、公知の染料や顔料を用いることができる。染料としては、例えば、酸性染料、直接染料などを用いることができる。例えば、アニオン性染料としては、既存のものでも、新規に合成したものでもよい。これらは、適度な色調と濃度を有するものであれば、たいていのものを用いることができる。また、これらのうちのいずれかを混合して用いることも可能である。以下に、アニオン性染料の具体例を、各色毎に挙げる。
(染料)
(イエロー用の色材)
C.I.ダイレクトイエロー:8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132。C.I.アシッドイエロー:1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99。C.I.リィアクティブイエロー:2、3、17、25、37、42。C.I.フードイエロー:3など。
(レッド用の色材)
C.I.ダイレクトレッド:2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230。C.I.アシッドレッド:6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289。C.I.リィアクティブレッド:7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59。C.I.フードレッド:87、92、94など。
(ブルー用の色材)
C.I.ダイレクトブルー:1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226。C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161。C.I.リィアクティブブルー:4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100など。
(ブラック用の色材)
C.I.ダイレクトブラック:17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195。C.I.アシッドブラック:2、48、51、52、110、115、156。C.I.フードブラック:1、2など。
本発明で使用するカラーインクは、インクジェット記録に用いるものであるため、カラーインク中の色材の含有量は、該インクが優れたインクジェット吐出特性を備え、また、所望の色調や濃度を有するように適宜に決定すればよい。目安としては、例えば、カラーインク全質量の3質量%以上が好ましい。また、カラーインク中の色材の濃度は、インクの付与順序による画像濃度のムラの発生を考慮した場合には、その色材を含むカラーインク全質量の10質量%以下とすることが好ましい。
(有機顔料)
有機顔料としては、下記のものが挙げられる。トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、インジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ぺリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。チオインジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。その他の顔料が例示できる。
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、下記に挙げるものを使用できる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185。C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71。C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272。C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50。C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64。C.I.ピグメントグリーン7、36。C.I.ピグメントブラウン23、25、26などが例示できる。
特にこれらの顔料の中でも、下記に挙げるものが好ましい。C.I.ピグメントイエロー74、93、97、110、120、128、138、147、148、150、151、154、180、185など。C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4などが好ましい。
(カラーインク中の溶媒又は分散媒)
本発明を構成するカラーインクは、先に挙げた色材などの溶媒又は分散媒として、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶媒の混合媒体を用いて作製される。この際に使用する水溶性有機溶媒としては、前記ブラックインクにて記載したのと同様なものが挙げられる。カラーインク中の水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されないが、カラーインク全質量に対して3質量%以上とすることが好ましく、50質量%以下とすることが好ましい。また、カラーインク中の水の含有量は、カラーインク全質量に対して、50質量%以上とすることが好ましく、95質量%以下とすることが好ましい。また、本発明を構成する各カラーインクは、インクジェット記録方式で、記録媒体に付与されるものである。したがって、本発明で規定する要件を満たすと同時に、優れたインクジェット吐出特性を有するように、インクの粘度や表面張力を調整したものであることが好ましい。カラーインクの表面張力の調整は、例えば、界面活性剤を添加するなどの方法で行うことができる。この際に使用する界面活性剤としては、特に制限はないが、より好ましくは下記のものが挙げられる。アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物などの非イオン性界面活性剤を用いることができる。
(カラーインクのその他の成分)
カラーインクには、上記成分の他に、前記ブラックインクにて記載したのと同様に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。カラーインク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、カラーインク全質量を基準として、0.1質量%以上、さらには3.0質量%以上とすることが好ましい。また、20.0質量%以下、さらには10.0質量%以下とすることが好ましい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、前記した本発明のインクセットのインクを吐出する記録ヘッドを記録媒体の同一領域に複数回走査させて記録画像の記録を行うインクジェット記録方法である。
また、記録媒体上でブラックインクと最も明度の高い色のカラーインクとを接触させるように、ブラックインク及び最も明度の高い色のカラーインクをそれぞれ吐出させて付与することが好ましい。また、本発明のインクジェット記録方法においては、記録媒体上でブラックインクと最も明度の高い色のカラーインクとを接触させるときに、下記のように構成することが好ましい。ブラックインクと最も明度の高い色のカラーインクのうちの先に吐出された方のインクが記録媒体上に液状で残留するように構成する。このように構成とすることで、ブラックインクとカラーインクの境界での白モヤやブリードをより少なくすることができ、また、ブラックの光学濃度をより高くした画像が得られる。
(記録ヘッドの構成及び印字方法)
まず、本発明のインクジェット記録方法において、好適に用いることのできる記録ヘッドの構成及び印字方法を、図2(a)〜(b)に示した模式図を参照して説明する。図2(a)は、プリンタに装着された状態の記録ヘッドを記録媒体側から見た図であり、各記録チップの配置を示した模式図である。同図に示すように、記録ヘッドは、カラーインク用チップ1100とブラックインク用チップ1200を基材1000に接続することにより形成される。カラーインク用チップ1100は、上記カラーインクを吐出するためのシアンインク吐出口列22、マゼンタインク吐出口列23、イエローインク吐出口列24を配列したものである。そして、ブラックインク用チップ1200は、上記ブラックインクを吐出するための吐出口列21を配列したものである。このチップ1200は、カラーインク用チップ1100より記録媒体の搬送方向(副走査方向)に長い、つまり、吐出口の配列範囲が長いチップである。
図2(a)に図示するように、ブラックインク用チップ1200は、カラーインク用チップ1100より記録媒体搬送方向(副走査方向)に長い、つまり、吐出口の配列範囲が長いチップである。これは、ブラックインク用チップ1200を用いて文書などを記録する場合の記録速度を重視するためである。すなわち、ブラックインク用チップ1200の副走査方向に配列した吐出口列が長いことにより、チップの1回の走査での記録可能な副走査方向の幅が、カラーインク用チップ1100による記録よりも長くなっている。ブラックインクを吐出するための吐出口列21と、カラーインク用チップ1100の各インクの吐出口列は、所定量副走査方向にずれて設けられる。
このような、ブラックインクの吐出口列とカラーインクの吐出口列の重なっている部分が多いタイプの記録ヘッドを用いることで、より効率的に記録を行うことが可能である。すなわち、ブラックインクの吐出口列と、カラーインクの吐出口列の重なっている部分を用いて記録を行う場合には、同一(一回の)記録走査により、記録媒体上の同一記録領域に対しブラックインクとカラーインクの記録を行うことが可能である。この構成にすることで、多くのノズルを用い効率的に印字を行うことが可能になる。この方法では、同一(一回の)記録走査で、記録媒体上の同一記録領域に対しブラックインクとカラーインクの記録を行う。よって、ブラックインク用チップ1200からブラックインクを吐出して記録してからカラーインク用チップ1100からカラーインクを吐出して記録を行うまでの時間差が非常に短い。
また、記録走査方向により、ブラックインクとカラーインクの記録媒体に付与される順番が入れかわる構成となっている。このように、図2(a)に示すような記録ヘッドを用いて、同一(一回の)記録走査で、記録媒体上の同一記録領域に対しブラックインクとカラーインクの記録を行う印字方法を「0スキャンディレイ印字」という。なお、同一記録領域とは、記録ヘッドが同一(1回)の記録操作で通る1バンド分の領域のことである。そして、図2(a)に示す記録ヘッドを用いた場合では、記録媒体を搬送する方向に対し、垂直方向に記録ヘッドを走査して印字を行うことにより効率的に印字を行う。この「0スキャンディレイ印字」においては、2種類の方法がある。1つは、1回の走査で付与するインク量を減らし(間引き)、一方は、走査の度に副走査方向に記録媒体を移動させながら記録を行う方法である。他方は、記録ヘッドの1バンド分の画像をマルチパスで形成した後に副走査方向に画像形成した分記録媒体を移動する方法である。
さらに、図2(b)は、ブラックインク用チップ、カラーインク用チップがそれぞれ、別々の基材ブラックインク用チップが基材1300、カラーインク用チップが基材1400に接続された、ブラックインク、カラーインクそれぞれ独立タイプの記録ヘッドを記録媒体側から見た図である。図示したように、ブラックインク、カラーインクそれぞれ独立タイプの記録ヘッドであり、図2(a)に示すヘッド同様に記録媒体搬送方向に対し、ブラックインクの吐出口列と、カラーインクの吐出口列の重なっている部分が多いタイプの記録ヘッドである。
本発明のインクジェット記録方法は、インクセットのインクを吐出する記録ヘッドを記録媒体の同一領域に複数回走査させて記録画像の記録を行う、所謂マルチパス記録方法によるインクジェット記録方法である。
以下、実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載で、「部」及び「%」とあるものは、特に断らない限り質量基準である。また、残部とあるのは、各々のインクが含有する化合物の含有量の合計が100部になるように、水で調整したことを意味する。組成中のアセチレノールEH(商品名:川研ファインケミカル(株)製)は、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物である。
ブラックインクは以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム社製)にて加圧濾過し調製した。
(ブラック顔料インク:Bk1)
・ブラック自己分散顔料分散体(商品名:CABOJET300;
CABOT社製、顔料濃度15%) 50部
・硫酸アンモニウム 1部
・トリメチロールプロパン 5部
・グリセリン 5部
・2−ピロリドン 5部
・アセチレノールEH 0.2部
・水 残部
カラーインクは以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム社製)にて加圧濾過し調製した。
(イエローインク1:Y1)
・アセチレノールEH 0.2部
・トリメチロールプロパン 5部
・グリセリン 5部
・2−ピロリドン 5部
・C.I.ダイレクトイエロー86 5部
・水 残部
(マゼンタインク1:M1)
・アセチレノールEH 0.4部
・トリメチロールプロパン 5部
・グリセリン 5部
・2−ピロリドン 5部
・C.I.アシッドレッド289 5部
・水 残部
(シアンインク1:C1)
・アセチレノールEH 0.2部
・トリメチロールプロパン 5部
・グリセリン 5部
・2−ピロリドン 5部
・C.I.アシッドブルー9 5部
・水 残部
<実施例>
<インクセット1>
上記で調製したブラックインク及びカラーインクの表面張力γを、協和CBVP式表面張力計A−1型(協和科学社製)を使用して、それぞれ測定した。具体的には、測定対象のインク5ml〜6mlをシャーレに入れて、設定温度25±0.2℃の環境下で測定した。インクセット1を構成する4種類のインクについての結果は、下記の通りであった。
ブラックインク1(Bk1):41.5dyn/cm(mN/m)
イエローインク1(Y1):40.0dyn/cm(mN/m)
シアンインク1(C1):38.0dyn/cm(mN/m)
マゼンタインク1(MI):38.0dyn/cm(mN/m)
<インクセット2>
下記のインクを組み合わせてインクセット2とした。これらのブラックインク2(Bk2)、イエローインク2(Y2)、シアンインク2(C2)とマゼンタインク2(M2)は、下記のようにして調製した。即ち、インクセット1に用いるブラックインク1(Bk1)、イエローインク1(Y1)、シアンインク1(C1)とマゼンタインク2(M2)の組成中のアセチレノールEHの量を変更して、各インクの表面張力が下記の数値となるように調整して作製した。
ブラックインク2(Bk2):40.0dyn/cm(mN/m)
イエローインク2(Y2):37.0dyn/cm(mN/m)
シアンインク2(C2):35.0dyn/cm(mN/m)
マゼンタインク2(M2):36.0dyn/cm(mN/m)
<インクセット3>
下記のインクを組み合わせてインクセット3とした。
ブラックインク3(Bk3):37.5dyn/cm(mN/m)
イエローインク3(Y3):インクセット2のイエローインク2(Y2)と同じ
シアンインク3(C3):インクセット2のシアンインク2(C2)と同じ
マゼンタインク3(M3):インクセット2のマゼンタインク2(M2)と同じ
尚、ブラックインク3は、前記のブラックインク1に含まれているアセチレノールEHの量を変更し、表面張力を上記値に調整して作製した。
<比較例>
<インクセット4>
下記のインクを組み合わせてインクセット4とした。
ブラックインク4(Bk4):37.0dyn/cm(mN/m)
イエローインク4(Y4):インクセット2のイエローインク2(Y2)と同じ
シアンインク4(C4):インクセット1のシアンインク1(C1)と同じ
マゼンタインク4(M4):インクセット2のマゼンタインク2(M2)と同じ
尚、ブラックインク4は、ブラックインク1に含まれるアセチレノールEHの量を変更して上記表面張力になるように調整して作製した。イエローインク4はイエローインク1に含まれるアセチレノールEHの量を変更して上記表面張力になるように調整して作製した。
<インクセット5>
下記のインクを組み合わせてインクセット5とした。
ブラックインク5(Bk5):インクセット1のブラックインク1(Bk1)と同じ
イエローインク5(Y5):38.0dyn/cm(mN/m)
シアンインク5(C5):インクセット1のシアンインク1(C1)と同じ
マゼンタインク5(M5):インクセット1のマゼンタインク1(M1)と同じ
尚、イエローインク5は、イエローインク1に含まれるアセチレノールEHの量を変更して上記表面張力になるように調整して作製した。
<インクセット6>
下記のインクを組み合わせてインクセット6とした。
ブラックインク6(Bk6):インクセット2のブラックインク2(Bk2)と同じ
イエローインク6(Y6):インクセット5のイエローインク5(Y5)と同じ
シアンインク6(C6):インクセット2のシアンインク2(C2)と同じ
マゼンタインク6(M6):インクセット1のマゼンタインク1(M1)と同じ
前記で作製したインクセット1〜6を構成する各インクを下記表1に纏めた。尚、カクインクセットのカラーインクで、最も明度の高い色のインクはイエローインクであった。
Figure 2010047686
<インクセットの評価>
上記で作製したインクセット1〜6を用いて、
1.ブラックインクの印字濃度、
2.ブラックインクとカラーインクでのブリード、白モヤ及び、
3.カラーインク間でのブリード、
の点について、以下の方法及び基準で評価を行った。
印字は、0スキャンディレイ印字の2パス印字記録ヘッドの1バンド分の画像を往復2回に分けて形成した後、副走査方向に画像形成した分記録媒体を移動する方法で印字を行った。
尚、0スキャンディレイ印字とは、記録ヘッドの1回の記録走査で、記録媒体上の同一領域にブラックインクとカラーインクを付与する印字方法をいう。評価には、インクジェット記録装置(商品名:Pixus ip5200R;キヤノン(株)製)を、1/600inch平方の領域にブラックインクは30ng、カラーインクは12ng相当のインク0スキャンディレイ2パス印字により付与できるように改造したものを用いた。
1.ブラックインクでの評価項目
・印字濃度についての評価基準
前記インクジェット記録装置を用い、PPC用普通紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた後、この印字物をMacbeth社製のMacbeth RD918で印字濃度を測定し、以下の基準に基づいて印字濃度を評価した。
A:普通紙a、b、c、d及びeの印字濃度の5紙平均が1.4以上。
B:普通紙a、b、c、d及びeの印字濃度の5紙平均が1.3以上、1.4未満。
C:普通紙a、b、c、d及びeの印字濃度の5紙平均が1.3未満。
なお、普通紙は以下に示すものを用いた。
a:キヤノン(株)製、PPC用紙オフィスプランナー
b:キヤノン(株)製、PPC用紙GF−500
c:ゼロックス(株)製、PPC用紙4024
d:フォックスリバー(株)製、PPC用紙プローバーボンド
e:ノイジドラ(株)製、キヤノン用PPC用紙オフィス80
2.ブラックインクとカラーインク間での評価項目
(ブリード及び白モヤ)
印字パターンとしては、図4のような、カラーとブラックの画像領域が隣接するものを印字し、境界部のブリードとブラック領域の白モヤの評価を目視で行った。記録媒体としては、キヤノン(株)製PPC用普通紙GF−500を用いた。
・ブリードについての評価基準
A:境界部の滲みがない。
B:境界部に滲みが目立つ。
・白モヤについての評価基準
A:白モヤがない。
B:白モヤがやや目立つ。
3.カラーインクでの評価項目
印字パターンとしては、図4において、ブラックインクの画像をシアンインクの画像に置き換えた、明度の高いイエローインクと明度の低いシアンインクとの画像領域が隣接するものを印字し、境界部のカラー間ブリードの評価を目視で行った。記録媒体としては、キヤノン(株)製PPC用普通紙GF−500を用いた。
・ブリードについての評価基準
A:境界部の滲みがない。
B:境界部にやや滲みが目立つ。
以上の評価項目について、インクセット1〜3を0スキャン2パス印字紙送り無しで評価をしたものを実施例1〜3、また、上記インクセット4〜6を0スキャンディレイ2パス印字で評価をしたものを比較例1〜3とした。
以上の実施例及び比較例の評価結果を、以下の表2に示す。
Figure 2010047686
実施例1〜3と比較例1〜3の結果から、ブラックインクの表面張力が37.5dyn/cm(mN/m)乃至41.5dyn/cm(mN/m)と高い場合は、ブラックインクの印字濃度が特に良好であることが分かる。また、ブラックインクの表面張力とカラーインクのうち最も明度の高い色のカラーインクの表面張力の差は、3.3dyn/cm(mN/m)以下とすることで、ブラックインクとカラーインクの間でのブリードの発生を抑制できることが分かる。また、カラーインクの表面張力のうち、表面張力が最も高いカラーインクと表面張力が最も低いカラーインクの表面張力の差を、3.0dyn/cm(mN/m)未満とすることで、カラーインクの間でのブリードの発生を抑制できることが分かる。
尚、実施例1〜3の評価試験で用いた記録ヘッドは、図2(a)に示すようなチップ配置をしたものであるが、図2(b)のようなBKチップ、カラーチップ別構成のタイプの記録ヘッドにおいても同様の効果が得られる。
ここで、実施例1の、インクセット1を用いた0スキャンディレイ2パス印字においてブラックインクがカラーインクに先んじて紙面に付与される場合のインクの浸透過程を、図1(a)から(d)を用いて説明する。実施例1では、明度の最も高いイエローインク1(Y1)の表面張力は他のカラーインクに比較して高く、ブラックインク1(Bk1)との表面張力差が1.5dyn/cm(mN/m)以内となっている。
まず、図1(a)のように浸透性の低いブラックインク(Bk1)101が記録媒体52を覆う。103はブラックインク101(Bk1)中に含まれる顔料粒子を示す。この状態において、ブラックインク(Bk1)101は記録媒体52に対して浸透性が低いために遅い速度で浸透していく(浸透方向104)。そして、その後に浸透性の低いイエローインク(Y1)102が付与される(図1(b))。ブラックインク(Bk1)101とイエローインク(Y1)102の表面張力差は殆どないのでブラックインク101とイエローインク102の界面でのインク移動は少ない状態で、記録媒体52にゆっくり浸透していくものと推定できる(図1(c))。
図1(d)は、ブラックインク(Bk1)101とイエローインク(Y1)102の境界部56を上から見た図である。ブラックインク(Bk1)101及びイエローインク(Y1)102は物性値がほぼ揃っているので、記録媒体表面上で液状となって残るインク同士が境界部56で混じり合わない状態で浸透が完了した。なお、本発明者が鋭意検討したところ、特に、記録媒体52に付与するブラックインク(Bk1)やカラーインクの浸透方向104への浸透速度、インク滴量、表面張力のバランスが重要であることが分かった。
逆に、カラーインクをブラックインクに先んじて紙面に付与する場合のインクの浸透過程についても、図1(e)から(h)を用いて説明する。この場合、図1(e)に示されるように、明度の高いイエローインク102が先に記録媒体52に付与され、次に、図1(f)に示されるように、明度の低いブラックインク101が記録媒体52に付与される。そして、ブラックインク101とイエローインク102は、両者の表面張力差が殆どないので、界面でのインク移動は少ない状態(図1(g))で記録媒体52にゆっくり浸透していくものと推定できる(図1(h))。図1(i)は、ブラックインクとイエローインクが接触する境界部56を上から見た図である。ブラックインク101及びイエローインク102は物性値がほぼ揃っているので、記録媒体52の表面上で液状となって残るインク同士が境界部56で混じり合わない状態で浸透が完了する。
次に、比較例1の、インクセット5を用いた0スキャンディレイ2パス印字でブラックインクがカラーインクに先んじて紙面に付与される場合のインクの浸透過程を、図3(a)から(d)を用いて説明する。比較例1では、明度の最も高いイエローインク(Y5)の表面張力は、他のカラーインクの表面張力と等しく、ブラックインク(Bk5)の表面張力との差が3.5dyn/cm(mN/m)と大きい。この場合、ブラックインク101が記録媒体52に付与されると、図3(a)のように、浸透性の低いブラックインク101が記録媒体52を覆う。103はブラックインク101中に含まれる顔料粒子を示す。
この状態において、ブラックインク101は記録媒体52に対して浸透性が低いために、遅い速度で浸透していく(浸透方向104)。そして、その後に浸透性の高いイエローインク102が付与される(図3(b))。この時、ブラックインク101とイエローインク102の表面張力差が大きいのでブラックインク101とイエローインク102の界面でのインク移動(図3(b)中301)が激しく起こりながら、記録媒体52に浸透していくものと推定できる(図3(c))。
図3(d)は、ブラックインク101とイエローインク102の境界部56を上から見た図である。ブラックインク101及びイエローインク102は物性差が大きいので、記録媒体52の表面上で液状となって残るインク同士が境界部56で混じり合って滲みが目立った。なお、カラーインクがブラックインクに先んじて紙面に付与された場合も、同様に境界部56の滲みが目立った。この場合のインクの浸透過程を図3(e)から(i)を用いて説明する。
先ず、図3(e)に示されるように明度の高いイエローインク102から先に記録媒体52に付与され、次に、図3(f)に示されるように、明度の低いブラックインク101が記録媒体52に付与される。その後は、ブラックインク101とイエローインク102の表面張力差が大きいのでブラックインク101とイエローインク102の界面でのインク移動(図中301)が激しく起こる(図3(g))。そして、このインク移動を起こしながらブラックインク101とイエローインク102は記録媒体52に浸透していくものと推定できる(図3(h))。図3(i)は、ブラックインクとイエローインクの境界部56を上から見た図である。ブラックインク101及びイエローインク102は物性差が大きいので、記録媒体52の表面上で液状となって残るインク同士が境界部56で混じり合って滲みが目立った。
本発明によれば、インク間の付与の時間差が小さい場合でも、カラーインクとブラックインクの境界での白モヤやブリードが少なく、ブラックの濃度が高く、かつ、シャープで鮮明な画像が得られるインクジェット記録用インクセット及び記録方法を提供できる。
(a)−(c)、(e)−(h)は実施例におけるブラックインクとイエローインクの記録媒体への浸透の様子を時系列的に示した模式図である。また、(d)、(i)は実施例におけるブラックインクとイエローインクの境界部を記録媒体上面から見た図である。 (a)、(b)は、本発明で用いたインクジェット記録ヘッドにおける、カラーチップとブラックチップの配置関係の例を示した模式図である。 (a)−(c)、(e)−(h)は比較例におけるブラックインクとイエローインクの記録媒体への浸透の様子を時系列的に示した模式図である。また、(d)、(i)は比較例におけるブラックインクとイエローインクの境界部を記録媒体上面から見た図である。 ブリード及び白モヤの評価実験に使用する印字パターン。 従来のインクジェット記録方法にでのインク滴形成状態を示す説明図である。
符号の説明
21 ブラックインク吐出口列
22 シアンインク吐出口列
23 マゼンタインク吐出口列
24 イエローインク吐出口列
51 インク
52 記録媒体
53 インク
54 ブラックドット
55 カラードット
56 インクの境界部
101 ブラックインク
102 イエローインク
103 顔料粒子
104 浸透方向
301 インク移動方向
1000 基材
1100 カラーインク用チップ
1200 ブラックインク用チップ
1300 基材
1400 基材

Claims (7)

  1. 記録ヘッドを記録媒体の同一領域に複数回走査させて記録画像の記録を行うインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録用インクセットであって、
    該インクセットは、ブラックインク及び複数の異なる色のカラーインクを含有し、
    該ブラックインクは、色材として顔料を含有し、
    該ブラックインクの表面張力は、37.5dyn/cm(mN/m)以上、41.5dyn/cm(mN/m)以下であり、
    該ブラックインクの表面張力と該複数の異なる色のカラーインクのうち最も明度の高い色のカラーインクの表面張力の差は、3.3dyn/cm(mN/m)以下であり、
    該複数の異なる色のカラーインクの表面張力のうち、表面張力が最も高いカラーインクと表面張力が最も低いカラーインクの表面張力の差は、3.0dyn/cm(mN/m)未満であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  2. 前記最も明度の高い色のカラーインクが、イエローインクである請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. 前記顔料が、自己分散型カーボンブラックである請求項1又は2に記載のインクジェッ
    ト記録用インクセット。
  4. 前記最も明度の高い色のカラーインクの表面張力が、前記ブラックインクの表面張力よりも低い請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. インクセットのインクを吐出する記録ヘッドを記録媒体の同一領域に複数回走査させて記録画像の記録を行うインクジェット記録方法であって、
    該インクセットは、ブラックインク及び複数の異なる色のカラーインクを含有し、
    該ブラックインクは、色材として顔料を含有し、
    該ブラックインクの表面張力は、37.5dyn/cm(mN/m)以上、41.5dyn/cm(mN/m)以下であり、
    該ブラックインクの表面張力と該複数の異なる色のカラーインクのうち最も明度の高い色のカラーインクの表面張力の差は、3.3dyn/cm(mN/m)以下であり、
    該複数の異なる色のカラーインクの表面張力のうち、表面張力が最も高いカラーインクと表面張力が最も低いカラーインクの表面張力の差は、3.0dyn/cm(mN/m)未満であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 記録媒体上でブラックインクと最も明度の高い色のカラーインクとを接触させるように、前記ブラックインク及び前記最も明度の高い色のカラーインクをそれぞれ吐出させて記録媒体に付与する請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記記録媒体上でブラックインクと最も明度の高い色のカラーインクとを接触させるときに、該ブラックインクと該最も明度の高い色のカラーインクのうちの先に吐出された方のインクが記録媒体上に液状で残留している請求項6に記載のインクジェット記録方法。
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