JP2015143338A - インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
条件A:顔料の粒子表面に他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基が結合した第1の自己分散顔料を含有するインク
条件B:顔料の粒子表面にスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を含む官能基が結合した第2の自己分散顔料を含有するインク
条件A:顔料の粒子表面に他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基が結合した第1の自己分散顔料を含有するインク
条件B:顔料の粒子表面にスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を含む官能基が結合した第2の自己分散顔料を含有するインク
条件Aを満たすインクに含まれる自己分散顔料は、他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基を有する。このため、条件Aを満たすインクに含まれる自己分散顔料は、記録媒体に填料などとして含まれるカルシウムなどの多価金属との反応性が高い。また、このような官能基を有する自己分散顔料は、インクのpH変化や、水などの液体成分の蒸発などに伴う水溶性有機溶剤の濃度の上昇により、凝集しやすい。したがって、条件Aを満たすインクのみで構成されるインクセットの場合、不要インク中の液体成分が蒸発すると、自己分散顔料が速やかに凝集して堆積する。以上のことから、条件Aを満たすインクのみで構成されるインクセットの場合、吸収部材の表面に堆積したインクの凝集物が原因となって、吐出よれが生じやすいと考えられる。
条件Bを満たすインクに含まれる自己分散顔料は、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を含む官能基を有する。このため、条件Bを満たすインクに含まれる自己分散顔料は、他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基を有する自己分散顔料に比して、記録媒体に填料などとして含まれるカルシウムなどの多価金属との反応性が低い。また、このような官能基を有する自己分散顔料は、インクのpH変化や、水などの液体成分の蒸発などに伴う水溶性有機溶剤の濃度の上昇が生じても、他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基を有する自己分散顔料に比して、凝集がゆっくりと進む。これは、スルホン酸基やカルボン酸基は、ホスホン酸基に比べて、液体成分が蒸発した場合であっても水分子を水和水として周囲に保持しやすいためである。このため、条件Bを満たすインクのみで構成されるインクセットは、条件Aを満たすインクのみで構成されるインクセットに比して、不要インクの凝集物が堆積しにくい。以上のことから、条件Bを満たすインクのみで構成されるインクセットの場合、吐出よれが生じにくいと考えられる。
条件Aを満たすインク及び条件Bを満たすインクが混合された不要インク(以下、「混合された不要インク」とも記す)については、以下に示すような現象によって凝集物の堆積が抑制されると推測される。「混合された不要インク」は、水などの液体成分が蒸発した場合であっても、条件Bを満たすインクに含まれていた自己分散顔料の酸性基(スルホン酸基やカルボン酸基)が、水分子を水和水として周囲に保持することができる。すなわち、「混合された不要インク」は水などの液体成分の蒸発を抑制しやすいため、急激な凝集により直ちに凝集物が堆積するのを抑制することができる。その結果、「混合された不要インク」が吸収部材に浸透することで、吸収部材の表面への凝集物の堆積が抑制される。また、スルホン酸基やカルボン酸基の周囲に保持された水和水は、条件Aを満たすインクに含まれていた他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基を有する自己分散顔料と共有されるため、その凝集も抑制される。以上のことから、水などの液体成分の蒸発などに伴う水溶性有機溶剤の濃度の上昇が生じても、条件Aを満たすインク及び条件Bを満たすインクで構成されるインクセットの場合、凝集物の発生自体が抑制されると考えられる。
(2)3種とも条件Bを満たすインクの場合:いずれの2次色画像についても発色性は不十分
(3)1種が条件Aを満たすインクで、2種が条件Bを満たすインクの場合:条件Bを満たす2種のインクで記録された2次色画像の発色性が不十分であり、全体としての発色性も不十分
(4)2種が条件Aを満たすインクで、1種が条件Bを満たすインクの場合:いずれの2次色画像についても発色性は満足できるレベルであり、全体としての発色性も満足できるレベル
本発明のインクセットは、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの3種の水性インクで構成されるインクジェット用のインクセットである。これらは減法混色の基本色のインクであり、カラー画像を記録する際に主として使用されるため、使用量も多くなり、回復操作を行う頻度も高くなる。したがって、これらの3種のインクのうち、いずれか2つが条件Aを満たし、残りの1つが条件Bを満たすことで、回復操作を行った場合であっても、不要なインクの凝集が生じにくくなり、吐出よれの発生を抑制することができる。シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの3種の水性インクで構成される本発明のインクセットは、これらとは異なる色相のインクと併用してもよい。特に、ブラックインクを併用することが好ましく、条件Aを満たすブラックインクを併用することがさらに好ましい。なお、基本色とは異なる色相を有する、いわゆる特色インクを併用する場合、通常は基本色のインクと併用して画像を記録することになるため、特色インクではなく、基本色のインクについて上記の条件A及びBを満足することが重要である。以下、本発明のインクセットを構成するインクに含有される成分などについて説明する。
各インクに用いる色材は自己分散顔料である。自己分散顔料を構成する顔料の種類としては、アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。各インクの顔料種は、シアンインクがフタロシアニン、又はジオキサジン;マゼンタインクがアゾ、キナクリドン、又はジケトピロロピロール;イエローインクがアゾ、イソインドリノン、又はイミダゾロン;の組み合わせであることが好ましい。特に、シアンインクがC.I.ピグメントブルー15:4などのフタロシアニンであり、マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド122などのキナクリドンであり、イエローインクがC.I.ピグメントイエロー74などのアゾであることが好ましい。各インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
条件Aを満たすインクに含有される自己分散顔料は、顔料の粒子表面に他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基が結合した第1の自己分散顔料である。第1の自己分散顔料は、顔料の粒子表面に他の原子団を介してホスホン酸基が結合した自己分散顔料であることが好ましい。第1の自己分散顔料の官能基の導入量は、4.0×10-2mmol/g以上であることが好ましい。官能基の導入量が4.0×10-2mmol/g以上であると、記録媒体に含まれるカルシウムなどの多価金属との反応性が向上するとともに、顔料が凝集しやすくなる。このため、記録される画像の発色性をさらに向上させることができる。また、第1の自己分散顔料の官能基の導入量は、100.0×10-2mmol/g以下であることが好ましく、50.0×10-2mmol/g以下であることがさらに好ましい。
条件Bを満たすインクに含有される自己分散顔料は、顔料の粒子表面にスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を含む官能基が結合した第2の自己分散顔料である。官能基には、スルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方に加えて、他の原子団を含ませてもよい。第2の自己分散顔料は、顔料の粒子表面に他の原子団を介してスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方が結合した自己分散顔料であることが好ましい。顔料の粒子表面に他の原子団を介してスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方が結合することで、顔料の粒子表面を三次元的に密に被覆することができ、粒子表面の露出を抑えることができる。このため、不要インクにおける顔料の凝集がより有効に抑制され、信頼性がさらに向上したインクセットとすることができる。
自己分散顔料の官能基に含まれる、ホスホン酸基、スルホン酸基、及びカルボン酸基などの酸性基は、酸型(H型)であっても、塩型であってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。酸性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムとしては、炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などを挙げることができる。
自己分散顔料の官能基に含ませてもよい「他の原子団」(−R−)としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;アミド基;スルホニル基;アミノ基;カルボニル基;エステル基;エーテル基;これらの基を組み合わせた基などを挙げることができる。第1の自己分散顔料の官能基は、他の原子団(−R−)として、アルキレン基及びアリーレン基の少なくとも一方と、水素結合性を有する基(アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基)とを含むことが好ましい。なかでも、他の原子団として、−C6H4−CONH−(ベンズアミド構造)を含むことがさらに好ましい。また、第2の自己分散顔料の官能基は、他の原子団(−R−)として、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基を含むものが好ましい。
本明細書における「官能基の導入量」は、顔料1g当たりの官能基のミリモル数を表す。自己分散顔料の官能基の導入量は、酸性基の種類に応じて、以下に示すように測定することができる。なお、下記では顔料分散液を用いて測定する方法について述べたが、インクを用いても同様に測定することができる。
各インクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
各インクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。インク中のこれらの水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、樹脂、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
各インクの25℃における粘度は2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、2.0mPa・s以上4.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。各インクの25℃におけるpHは、5.0以上9.5以下であることが好ましく、7.0以上9.0以下であることがさらに好ましい。各インクの25℃における静的表面張力は、25.0mN/m以上45.0mN/m以下であることが好ましく、30.0mN/m以上40.0mN/m以下であることがさらに好ましい。
各インク中の自己分散顔料の含有量が以下の関係を満たすことが好ましい。条件Aを満たす少なくとも一方のインク中の第1の自己分散顔料の含有量A(質量%)、及び、条件Bを満たすインク中の第2の自己分散顔料の含有量B(質量%)とする。このとき、A<Bの関係を満たすことが好ましい。この場合、不要インクにおける顔料の凝集がより有効に抑制され、信頼性がさらに向上したインクセットとすることができる。また、条件Aを満たす一方のインク中の第1の自己分散顔料の含有量A1(質量%)、条件Aを満たす他方のインク中の第1の自己分散顔料の含有量A2(質量%)、及び、前記条件Bを満たすインク中の第2の自己分散顔料の含有量B1(質量%)とする。このとき、A1<B1<A2の関係を満たすことがより好ましい。この場合、不要インクにおける顔料の凝集の抑制と、発色性の向上と、がバランスよく向上したインクセットとすることができる。なお、上記の自己分散顔料の含有量は、いずれも、インク全質量を基準とした値である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクセットに含まれる各インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
(自己分散顔料の官能基の導入量)
先ず、自己分散顔料の官能基の導入量を測定する方法を説明する。
酸性基がスルホン酸基やホスホン酸基である自己分散顔料の官能基の導入量は、以下のようにして測定した。測定対象となる顔料の含有量が0.03%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製した。また、5℃、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液を超遠心分離し、自己分散顔料が除去された上澄みの液体を採取し、これを純水で80倍程度に希釈してB液を調製した。上記のようにして得た測定用試料のA液及びB液について、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いて元素(硫黄・リン)を定量した。そして、得られたA液及びB液における元素量の差分から酸性基の量を求め、1つの官能基に含まれる酸性基の数で割ることで、官能基の導入量を算出した。
表1に示す種類の顔料20.0g、表1に示す種類及び量の処理剤、処理剤と等モルの硝酸、並びに純水200mLを、シルヴァーソン混合機を用いて室温、6,000rpmの条件で30分撹拌して混合物を得た。なお、表1に示す処理剤のうち、「ホスホン酸」は((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸であり、「カルボン酸」はp−アミノフタル酸であり、「スルホン酸」はp−アミノベンゼンスルホン酸である。得られた混合物に、少量の水に溶解させた亜硝酸カリウム(処理剤と等モル)をゆっくり添加して混合した。亜硝酸カリウムの混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化カリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後に純水20mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションして自己分散顔料を得た。得られた自己分散顔料に水を加え、顔料の含有量が10.0%である各顔料分散液を得た。
イオン交換水500gが入った容器に、表2に示す種類の顔料15.0gを加え、15000rpmで30分間撹拌して顔料を予備湿潤した。その後、イオン交換水を4485g加え、高圧ホモジナイザーでさらに分散を行い、次いで、高圧容器に移して3.0MPaの圧力で加圧した。高圧容器内に所定量の100ppmのオゾン水を導入して顔料の酸化処理を行った。その後、水酸化ナトリウムを添加して液体のpHを10.0に調整し、イオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、各顔料分散液を得た。各顔料分散液には、顔料の粒子表面にカルボン酸基が直接結合した自己分散顔料が含有されており、顔料の含有量は10.0%であった。各自己分散顔料の官能基の導入量を表2に示す。
表3−1〜3−4の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズが2.5μmであるポリプロピレンフィルター(ポール製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、表3−1〜3−4中の「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)の商品名である。また、表3−1〜3−4の下段には、各インクの25℃における静的表面張力が33.0mN/m以上40.0mN/m以下の範囲内にある場合を「Y」、この範囲外である場合を「N」として示した。静的表面張力は、自動表面張力計(商品名「CBVP−Z型」、協和界面科学製)を用いて、白金プレート法により測定した。
表4に示すシアン、マゼンタ、及びイエローの各インクを組み合わせてインクセットとし、以下の評価を行った。本発明においては、下記の各項目の評価基準で「AAAA」、「AAA」、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
各インクを充填したインクカートリッジを、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS 850i」、キヤノン製))のシアン、マゼンタ、及びイエロー位置にそれぞれセットした。シアン、マゼンタ、及びイエローの3色のインクに加えて、他のインクを併用する場合も、画像を記録するために必要なシアン、マゼンタ、及びイエローの3色のインクを用いて画像を評価した。本実施例では、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が5.0ngであるインク滴を2滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義する。そして、下記2種の記録媒体(普通紙)に、記録デューティが80%であるシアン、マゼンタ、及びイエローのベタ画像(2cm×2cm/1ライン)を記録した。また、2次色画像は、各インクの記録デューティを80%ずつで組み合わせ、合計の記録デューティが160%となるようにしてレッド、グリーン、及びブルーのベタ画像(2cm×2cm/1ライン)を記録した。記録媒体としては、商品名「GF−500」(キヤノン製)、及び商品名「Bright White InkjetPaper」(ヒューレットパッカード製)を用いた。記録から1日経過後、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、各ベタ画像の反射濃度を測定した。シアンのベタ画像、マゼンタのベタ画像、及びイエローのベタ画像については、それぞれの成分の反射濃度を光学濃度とした。また、レッドのベタ画像についてはマゼンタ成分とイエロー成分の反射濃度の平均値を光学濃度とした。グリーンのベタ画像については、イエロー成分とシアン成分の反射濃度の平均値を光学濃度とした。さらに、ブルーのベタ画像については、シアン成分とマゼンタ成分の反射濃度の平均値を光学濃度とした。そして、2種の記録媒体における各ベタ画像の光学濃度の平均値から、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。結果を表4に示す。
AAA:平均値が0.94以上であった。
AA:平均値が0.92以上0.94未満であった。
A:平均値が0.90以上0.92未満であった。
B:平均値が0.85以上0.90未満であった。
C:平均値が0.85未満であった。
3色のインクセットの場合は、上記の発色性の評価で使用したものと同じインクジェット記録装置を使用し、シアン、マゼンタ、及びイエロー位置にそれぞれのインクをセットして評価を行った。一方、シアン、マゼンタ、及びイエローの3色のインクに加えて、他のインクを併用する場合は、商品名「PIXUS MP950」(キヤノン製)を使用し、シアン、マゼンタ、及びイエロー位置にそれぞれのインクをセットした。また、フォトシアン、フォトマゼンタ、及び染料ブラックの位置に残りのインクをセットして評価を行った。本実施例では、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が5.0ngであるインク滴を2滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義する。温度30℃、相対湿度10%の環境において、A4サイズの記録媒体の全面に各色のインクの記録デューティが5%となるようなベタ画像を4分間隔で500枚記録した。吐出よれが確認されない場合は、さらに500枚記録して合計2000枚まで記録し、以下に示す評価基準にしたがってインクの堆積抑制を評価した。結果を表4に示す。
AAAA:2500枚分の記録後、予備吐出された位置に凝集物の堆積が少なく、吐出よれが見られなかった。
AAA:2000枚分の記録後、予備吐出された位置に凝集物の堆積が少なく、吐出よれが見られなかった。
AA:2000枚分の記録後、予備吐出された位置に凝集物の堆積があり、吐出よれが見られた。
A:1500枚分の記録後、予備吐出された位置に凝集物の堆積があり、吐出よれが見られた。
B:1000枚分の記録後、予備吐出された位置に凝集物の堆積があり、吐出よれが見られた。
C:500枚分の記録後、予備吐出された位置に凝集物の堆積があり、吐出よれが見られた。
Claims (9)
- シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの3種の水性インクで構成されるインクジェット用のインクセットであって、
前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクのうち、いずれか2つが下記条件Aを満たすインクであり、かつ、残りの1つが下記条件Bを満たすインクであることを特徴とするインクセット。
条件A:顔料の粒子表面に他の原子団及びホスホン酸基を含む官能基が結合した第1の自己分散顔料を含有するインク
条件B:顔料の粒子表面にスルホン酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を含む官能基が結合した第2の自己分散顔料を含有するインク - 前記第2の自己分散顔料の官能基が、他の原子団を含む請求項1に記載のインクセット。
- 前記第2の自己分散顔料の官能基の導入量が、4.0×10-2mmol/g以上である請求項1又は2に記載のインクセット。
- 前記第2の自己分散顔料の官能基が、他の原子団及びスルホン酸基を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクセット。
- 前記第1の自己分散顔料の官能基の導入量が、4.0×10-2mmol/g以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクセット。
- 前記イエローインクが、前記条件Bを満たすインクである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクセット。
- 前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクの25℃における静的表面張力が、いずれも33.0mN/m以上40.0mN/m以下の範囲内にある請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクセット。
- 前記条件Aを満たす一方のインク中の前記第1の自己分散顔料の含有量A1(質量%)、前記条件Aを満たす他方のインク中の前記第1の自己分散顔料の含有量A2(質量%)、及び、前記条件Bを満たすインク中の前記第2の自己分散顔料の含有量B1(質量%)が、A1<B1<A2の関係を満たす請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクセット。
- インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクセットを構成する各インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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