JP2013253230A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクの間欠吐出安定性に優れ、発色性の高い画像を得ることができる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】ホスホン酸基を含む第1の官能基と、カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基とが粒子表面に結合している自己分散顔料を含有するインクジェット用の水性インクである。第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が0.3μmol/m2以上であり、第2の官能基に含まれるカルボン酸基及びスルホン酸基に由来する表面電荷量の合計が1.0μmol/m2以上であり、第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計が2.0μmol/m2以上8.0μmol/m2以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用の水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法では様々な記録媒体への記録が可能である。そして、より良好な画像の記録を企図して、例えば、光沢紙などに写真画質の画像を記録するのに適したインクや、普通紙などに文書を記録するのに適したインクなど、その目的に応じた種々のインクについての提案がなされている。近年、記録媒体として普通紙などを用い、文字や図表などを含むビジネス文章などの印刷にもインクジェット記録方法が利用されており、このような用途への利用頻度が格段に増えてきている。このような用途では、画像の発色性をより一層向上することが求められ、また、記録速度が重視されるため、従来にも増してインクの吐出特性を向上することが求められる。
上記要求に対し、自己分散顔料の表面に結合している官能基の種類に着目した提案がある(特許文献1及び2参照)。特許文献1には、粒子表面にカルボン酸基などの官能基を結合させた自己分散顔料と塩を含有するインクが記載されており、粒子表面における官能基の密度が高いほど、画像の発色性も高くなることが記載されている。また、特許文献2には、カルシウムとの反応性が高い官能基を顔料粒子の表面に結合させた自己分散顔料を含有するインクが記載されている。特許文献2にはさらに、ホスホン酸基を結合させた自己分散顔料と、それとは別の官能基を結合させた自己分散顔料とを含有するインクや、ホスホン酸基とカルボン酸基を共に含む官能基を結合させた自己分散顔料を含有するインクが記載されている。
特開2002−080763号公報 特表2009−515007号公報
これまでにも、記録した画像における発色性を高めるための様々な検討がなされている。特許文献1に記載されたインクでは、インクに塩を多く含有させることで画像の発色性をより高めることはできるが、浸透性が高い記録媒体における画像の発色性は未だ不十分であった。また、発色性を高めるためにインクに塩を多く含有させると、塩析効果が強く働くことにより、顔料の粒径が著しく増大し、インクの吐出に問題が生じる場合があった。
一方、特許文献2に記載されているように、カルシウムとの反応性が高いホスホン酸基などの官能基が結合している自己分散顔料をインクの色材として用いれば、記録した画像の発色性をある程度高めることができた。しかし、本発明者らの検討によれば、そのような自己分散顔料を含有するインクは、間欠吐出安定性が不十分であることがわかった。具体的には、インクが吐出される吐出口が数秒〜数十秒という一定期間解放状態におかれた後に、再びインクを吐出させるような場合に、インクが吐出されない場合があることが確認された。さらに、この課題は、常温・常湿(およそ、温度25℃、相対湿度50%)の環境と比べて、インク中の水が蒸発しやすい場合、すなわち、高温・低湿度(およそ、温度30℃、相対湿度15%)のような環境において顕著に発生することがわかった。このような現象は、インクジェット記録方法で画像を記録する際、記録ヘッドの走査の過程において、ある吐出口から一定期間インクが吐出されない状態が続いたときに、吐出口からインク中の水分などが蒸発することにより生じる。以下、このような現象に関するインクの特性を間欠吐出安定性と呼び、インクの間欠吐出安定性が優れるとは、上記のような状況が発生した場合にも、インクの吐出に問題が生じづらいことを意味する。
また、ホスホン酸基を結合させた自己分散顔料と、それとは別の官能基を結合させた自己分散顔料とを含有するインクにおいても、間欠吐出安定性は不十分であった。一方、ホスホン酸基とカルボン酸基を共に含む官能基を結合させた自己分散顔料を含有するインクでは、ホスホン酸基のみを含む官能基を結合している自己分散顔料を含有するインクと比較すると、間欠吐出安定性は相対的に高くなった。しかし、近年要求されるレベルの発色性は得られなかった。
したがって、本発明の目的は、間欠吐出安定性に優れ、発色性の高い画像を得ることができる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、ホスホン酸基を含む第1の官能基と、カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基とが粒子表面に結合している自己分散顔料を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が0.3μmol/m2以上であり、前記第2の官能基に含まれるカルボン酸基及びスルホン酸基に由来する表面電荷量の合計が1.0μmol/m2以上であり、前記第1の官能基及び前記第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計が2.0μmol/m2以上8.0μmol/m2以下であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、間欠吐出安定性に優れ、発色性の高い画像を得ることができる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、以下、インクジェット用の水性インクのことを単にインク、自己分散顔料のことを単に顔料と記載することがある。
[第1の実施態様]
先ず、本発明の主たる実施態様について説明する。前述の通り、普通紙などの記録媒体に記録した画像の発色性を高めるために、自己分散顔料の表面に結合している官能基に含まれるアニオン性基としてホスホン酸基を選択した場合、インクの間欠吐出安定性が低くなることが判明した。これと比較して、アニオン性基がホスホン酸基ではなく、カルボン酸基やスルホン酸基である自己分散顔料では、インクの間欠吐出安定性が相対的に高くなる。しかし、後者の自己分散顔料を用いた場合、通常の条件ではインクの吐出に問題が生じない程度の粒径が保たれるような塩の含有量とすると、近年要求されるレベルの発色性は得られなかった。
これまでにも、自己分散顔料を用いたインクにおいて、記録した画像の発色性を高めようとすると、インクの間欠吐出安定性が低下することが確認されており、本発明者らもこの2つの性能はトレードオフの関係にあると認識していた。しかし、本発明者らが詳細に検討を行った結果、それぞれの性能を独立して制御し得る手法を見出した。以下に詳細を述べる。
インクの間欠吐出安定性は、インクが吐出される吐出口が数秒〜数十秒という一定期間解放状態におかれた後に、再びインクが安定して吐出されるか否か、という性能であり、インクからの水分などの蒸発が密接に絡んだ現象である。自己分散顔料の表面に結合している官能基に含まれるアニオン性基の種類によりインクの間欠吐出安定性が異なることから、本発明者らは自己分散顔料と水分子との関係に着目した。
自己分散顔料と水分子の相互作用には、自己分散顔料の粒子表面に存在する官能基の種類とその導入量が大きく関わると考えられる。特に、官能基にアニオン性基が含まれている場合、このアニオン性基と、分極により正に帯電している水分子の水素原子と、の間には水素結合が形成される。これによりアニオン性基が水和水を有するようになるため、自己分散顔料の親水性が高まる。つまり、アニオン性基を含む官能基の導入量を増やすことで、自己分散顔料の親水性を高めることができると考えられる。
上記の考えから、本発明者らは、自己分散顔料の表面に結合している官能基に含まれるアニオン性基の導入量に着目して、インクの間欠吐出安定性についての検討を行った。その結果、ホスホン酸基を含む官能基が結合している自己分散顔料を含有するインクにおいて、その間欠吐出安定性が不十分であるのは、ホスホン酸基の導入量が低いためであることがわかった。そこで、本発明者らは、ホスホン酸基を含む官能基の導入量を高めた自己分散顔料を含有するインクを評価したところ、上記考えの通りインクの間欠吐出安定性をある程度までは高めることができた。これは、ホスホン酸基であっても、それを含む官能基の導入量を高めれば、自己分散顔料の親水性を高められることを示唆している。しかし、依然として間欠吐出安定性のレベルは許容できるものではなく、特に、高温・低湿度(およそ、温度30℃、相対湿度15%)のような環境での間欠吐出安定性は不十分であった。また、ホスホン酸基を含む官能基導入量を高めても、画像の発色性は向上しなかった。
これまでの事実をまとめると、自己分散顔料の表面に結合している官能基に含まれるアニオン性基としてホスホン酸基を選択した場合、以下のような傾向となった。ホスホン酸基を含む官能基導入量を高めると、インクの間欠吐出安定性はある程度は良化するものの、依然として許容できるレベルではなく、特に、高温・低湿度のような環境では不十分であり、また、画像の発色性については変化しない。
これに対して、自己分散顔料の表面に結合している官能基に含まれるアニオン性基がカルボン酸基やスルホン酸基である場合は、上記のような傾向は見られなかった。これらのアニオン性基を含む官能基では、その導入量を高めると、インクの間欠吐出安定性は良化し、さらに画像の発色性もある程度向上する。つまり、自己分散顔料の表面に結合している官能基に含まれるアニオン性基としてカルボン酸基やスルホン酸基を選択した場合、アニオン性基を含む官能基の導入量は高いほど良い、という傾向となった。しかし、カルボン酸基やスルホン酸基を含む官能基の導入量を可能な限り高めた自己分散顔料であっても、近年要求されるレベルを満足する発色性は得られなかった。
このインクの間欠吐出安定性の違いは、アニオン性基の水への溶解性に依存すると推測している。つまり、カルボン酸塩やスルホン酸塩は水への溶解性が相対的に高いのに対し、ホスホン酸塩は水への溶解性が相対的に低い。このため、インク中の水分などの蒸発が進行した際に、カルボン酸基やスルホン酸基を有する自己分散顔料であれば分散状態を安定に保てる。これに対し、ホスホン酸基では自己分散顔料の分散状態が不安定となりやすいため、顔料の凝集によってインクが増粘し、また、顔料の粒径が増大する。
本発明者らは、近年要求されるレベルを満足する発色性を得るには、自己分散顔料の粒子表面に結合している官能基にホスホン酸基を含ませることが必須と考え、その上でインクの間欠吐出安定性を高める手法を検討した。その結果、インクの色材として、ホスホン酸基を含む第1の官能基とは別に、カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基を顔料粒子の表面に導入した自己分散顔料を用いることが有効であることを見出した。さらに、各官能基に含まれるそれぞれのアニオン性基を所定の導入量とすることにより、画像の発色性とインクの間欠吐出安定性を高いレベルで両立できることを見出した。以下に詳細を述べる。
画像の発色性向上を実現するには、ホスホン酸基を含む官能基を有する自己分散顔料を用い、かつ、前記官能基の導入量を一定量以上となるように調整することが有効である。これは、以下のようなメカニズムによるものと推測している。ホスホン酸基は、2つのホスホン酸基と1つのカチオン(記録媒体に含まれる、カルシウムなどの填料)でキレート構造を作ることができるという特有の性質を有する。このため、ホスホン酸基を含む官能基を顔料粒子の表面に一定量以上導入することにより、顔料粒子間でホスホン酸基とカチオンを介した架橋構造を形成することが可能になる。これによって、記録媒体にインクが付与された後に、顔料が効率よく凝集し、発色性の高い画像を得ることができるものと考えられる。
また、インクの間欠吐出安定性を高めるには、前述の通り、ホスホン酸基を含む官能基の導入量を高めることが有効であった。しかし、ホスホン酸基を含む官能基のみでは、特に、高温・低湿度のような環境では間欠吐出安定性が得られない。そこで、画像の発色性向上に必要なホスホン酸基を含む第1の官能基の導入量を確保した上で、カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基を別に一定量以上導入する必要がある。このように、第1の官能基及び第2の官能基によってアニオン性基を含む官能基導入量を高めた自己分散顔料を用いることで、発色性の高い画像を記録することができ、間欠吐出安定性に優れたインクを得ることができた。
ここで、アニオン性基を含む官能基の導入量を高めることによって、間欠吐出安定性が向上するメカニズムについて考察する。アニオン性基を含む官能基の導入量が高いと、その分水分子と水素結合を形成することができるアニオン性基も多くなるため、自己分散顔料の親水性が向上する。このような、アニオン性基を含む官能基の導入量が高い自己分散顔料を含有するインクの場合、吐出口からインク中の水分などが蒸発すると、吐出口近傍のインク中の水の濃度が局所的に低下する。そのため、自己分散顔料は、水となじむことによってその分散状態をより安定に保ちやすい、水の濃度の高い方向、すなわち、記録ヘッドのインク流路における吐出口から離れる方向に移動する。その結果、吐出口近傍のインク中の顔料の濃度が相対的に低下するため、水分などの蒸発によるインクの増粘が抑制され、インクの間欠吐出安定性が向上すると推測される。
次に、第1の官能基に加えて、第2の官能基に含まれるカルボン酸基やスルホン酸基を一定量以上導入することにより、特に高温・低湿度のような環境での間欠吐出安定性が良化するメカニズムについて考察する。上述の通り、自己分散顔料に結合しているのが第1の官能基のみである場合、インク中の水分などの蒸発が進行した際に、ホスホン酸基では自己分散顔料の分散状態が不安定となりやすいため、顔料の凝集によってインクが増粘し、また、顔料の粒径が増大する。このような現象が生じると、自己分散顔料は、記録ヘッドのインク流路における吐出口から離れる方向に移動するのがもはや困難となり、インクのさらなる増粘を抑制することはできず、インクの間欠吐出安定性が低下する。これに対し、一定量以上の第2の官能基が共存すると、水分が蒸発しても、カルボン酸基やスルホン酸基の存在によって自己分散顔料の分散状態が安定に保たれ、インクの間欠吐出安定性が向上すると推測される。
これらのメカニズムから理解されるように、特許文献2に記載された、ホスホン酸基を含む官能基が結合している自己分散顔料と、それとは別の官能基が結合している自己分散顔料とを含有するインクでは、インクの間欠吐出安定性は不十分である。すなわち、別の官能基が結合している自己分散顔料がインク中に存在していても、ホスホン酸基を含む官能基が結合している自己分散顔料の親水性が高まるわけではないからである。
また、ホスホン酸基を含む第1の官能基と、カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基の両方を有する自己分散顔料を用いたインクによって、発色性の高い画像が得られるメカニズムを考察する。前述の通り、ホスホン酸基を含む官能基を導入することによる画像の高い発色性は、ホスホン酸基を介した粒子間の架橋構造の形成による顔料の凝集によるものと考えられる。したがって、ホスホン酸基を含む第1の官能基が架橋構造の形成に必要な量以上に存在すれば、カルボン酸基やスルホン酸基を含む第2の官能基の存在による、画像の発色性の低下は限定的であると考えられる。ただし、ホスホン酸基を含む第1の官能基と、カルボン酸基やスルホン酸基を含む第2の官能基の導入量が高すぎる場合、アニオン性基の合計の導入量も高くなりすぎる。この場合、複数の顔料粒子間の電気的反発が強く働きすぎ、ホスホン酸基を介した架橋構造の形成が妨げられ、結果として画像の発色性が低下する。
特許文献2に記載された、ホスホン酸基とカルボン酸基を共に含む官能基が結合している自己分散顔料を含有するインクは、間欠吐出安定性は許容できるレベルであるものの、画像の発色性は不十分であった。このような自己分散顔料では、官能基の導入量を高くすることによって、アニオン性基の導入量も高くでき、自己分散顔料の親水性を高めることができるうえ、水への溶解性が高いカルボン酸基が存在するため、インクの間欠吐出安定性が向上すると推測される。しかし、ホスホン酸基とカルボン酸基を共に含む官能基の場合、ホスホン酸基の極近傍にカルボン酸基が存在するため、カルボン酸基どうしの電気的反発によりホスホン酸基を介した架橋構造の形成が妨げられると考えられる。その結果として、ホスホン酸基を含み、カルボン酸基を含まない官能基が結合している自己分散顔料と比較して、画像の発色性が低下すると考えられる。
以上から、インクの間欠吐出安定性を高めるためには、以下の2つの条件を満たす必要がある。先ず、自己分散顔料の第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基の量の合計を一定量以上とし、これに加えて、第2の官能基に含まれるカルボン酸基やスルホン酸基の量を一定量以上とする必要がある。また、発色性の高い画像を得るためには、以下の2つの条件を満たす必要がある。先ず、自己分散顔料の第1の官能基に含まれるホスホン酸基の量を一定量以上とする必要があり、これに加えて、自己分散顔料の第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基の量の合計を一定量以下とする必要がある。具体的には、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量は0.3μmol/m2以上であり、第2の官能基に含まれるカルボン酸基及びスルホン酸基に由来する表面電荷量の合計が1.0μmol/m2以上であり、第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計が2.0μmol/m2以上8.0μmol/m2以下である必要がある。
本発明において、各官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量は、顔料粒子の単位表面積当たりのモル数で表すものとする。これは、ホスホン酸基を介した架橋構造の形成、及びアニオン性基と水分子の水素結合の形成のいずれも、顔料粒子の表面やその近傍で生じるものであるため、顔料粒子の単位表面積当たりのモル数がこれらの頻度に対して支配的となるからである。
[第2の実施態様]
次に、本発明の第2の実施態様について説明する。
上述の通り、ホスホン酸基を含む官能基が一定量以上結合している自己分散顔料をインクの色材として用いれば、記録した画像の発色性を高めることができる。しかし、本発明者らの検討の結果、このインクを、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出する方式に適用して、長期間吐出を行うと、吐出よれが生じ、インクの吐出が正常に行われなくなる場合があることを見出した。このような課題が生じる原因について検討を行ったところ、インク中に遊離銅イオン(詳細は後述する)が存在する場合に、インクの吐出が繰り返し行われると、記録ヘッドの発熱部(ヒーター)上にコゲが堆積し、これによって吐出よれが生じることがわかった。その一方で、自己分散顔料の官能基に含まれるアニオン性基がカルボン酸基やスルホン酸基である場合は、インク中に遊離銅イオンが存在していても、ホスホン酸基ほどの長期吐出安定性の低下は生じず、許容できるレベルが維持されていた。
自己分散顔料の官能基に含まれるアニオン性基の種類と、遊離銅イオンを含有するインクにおける長期吐出安定性との関係は、以下のように説明される。先ず、前記アニオン性基がホスホン酸基である場合、顔料粒子間でホスホン酸基と銅イオンを介した架橋構造が形成される。したがって、遊離銅イオンを含有しないインクの場合と比較して、自己分散顔料を分散させるためのホスホン酸基が少なくなり、自己分散顔料の分散状態の安定性がある程度低くなる。このインクを、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出する方式(サーマル方式)に適用すると、吐出の際にインクに付与される熱エネルギーによってホスホン酸基の水和水が脱離するため、分散状態の安定性がさらに低下する。すると、一部の自己分散顔料は分散性を失い、記録ヘッドのヒーター上にコゲとして堆積するようになり、長期間吐出を行うとこのコゲが原因となってインクの吐出よれが生じる。これに対して、前記アニオン性基がカルボン酸基やスルホン酸基である場合、これらのアニオン性基は銅イオンを介した架橋構造を形成しないため、分散状態の安定性は低下しない。したがって、インク中の遊離銅イオンの有無にかかわらず、長期吐出安定性の低下は生じない。
なお、インク中の遊離銅イオンはいわゆるキレート剤により捕捉し得るものの、長期吐出安定性の低下を抑制できる程度のインク中の含有量とすると、キレート剤を用いない場合と比して、発色性がやや低下する場合があることがわかった。これは、顔料粒子間でホスホン酸とカチオンを介した架橋構造の形成が、キレート剤によりカチオンが奪われることによって阻害されるためであると考えられる。
本発明者らは、上記第1の実施態様のインクがさらに遊離銅イオンを含有する場合に、サーマル方式に適用した際の長期吐出安定性の低下を抑制するための検討を行った。先にも述べたが、遊離銅イオンが存在する場合に、ホスホン酸基を含む官能基が結合している自己分散顔料を含有するインクの長期吐出安定性が低下する理由は以下の通りである。すなわち、顔料粒子間でホスホン酸基と銅イオンを介した架橋構造が形成されることと、熱エネルギーによるホスホン酸基からの水和水の脱離と、による自己分散顔料の分散状態の安定性の低下が原因となる。このうち、前者の架橋構造の形成については、本発明の効果のひとつである高い発色性を得るメカニズムと同じであるため、長期吐出安定性と発色性とは、トレードオフの関係になっている(上述のキレート剤の作用を参照)。そこで、本発明者らは、後者の熱エネルギーによるホスホン酸基からの水和水の脱離を抑制するのが有効であると考えた。
具体的には、アニオン性基の種類により、水和水との結合エネルギーが異なる。したがって、水和水との結合エネルギーが強いアニオン性基を含む官能基の導入量を一定量以上とすることにより、熱エネルギーによる自己分散顔料の分散状態の不安定化を抑制することができると考えられる。本発明者らは、アニオン性基の種類とそれを含む官能基の導入量について検討を行った。その結果、上記第1の実施態様の自己分散顔料において必要な条件に加えて、第2の官能基がスルホン酸基を含み、前記第2の官能基に含まれるスルホン酸基に由来する表面電荷量が1.0μmol/m2以上であることを満足すればよいことを見出した。かかる第2の実施態様のインクは、遊離銅イオンを含有していても、長期吐出安定性の低下を抑制することができる。
[第3の実施態様]
次に、本発明の第3の実施態様について説明する。
上述の通り、ホスホン酸基を含む官能基が一定量以上結合している自己分散顔料をインクの色材として用いれば、記録した画像の発色性を高めることができる。しかし、本発明者らの検討の結果、このインクを、該インクが接触する部材を構成する材料に、合成ゴムが含まれるインクジェット記録装置に適用すると、前記インクが接触した合成ゴムの変形や膨潤が生じる場合があることを見出した。このような課題が生じる原因について検討を行ったところ、第2の実施態様と同様に、インク中に遊離銅イオン(詳細は後述する)が存在する場合に、これが触媒となって、合成ゴムの加水分解反応が生じ、これによってその変形や膨潤が生じることがわかった。これは、いわゆる「銅害」として知られている現象であり、通常の対策としては、遊離銅イオンの量を極力減らすのが有効である。しかし、遊離銅イオンは、インクの構成材料の不純物として意図せず混入することもあり、特に、顔料種として銅フタロシアニン骨格を有する顔料を用いたインクの場合には、その混入を避けるのは困難な場合もある。なお、キレート剤を用いれば合成ゴムの変形や膨潤の抑制はある程度図られるものの、上述の通り、発色性がやや低下する場合がある。
本発明者らは、上記第1の実施態様のインクがさらに遊離銅イオンを含有する場合に、合成ゴムを含む材料で構成される部材を有するインクジェット記録装置に適用した際の、合成ゴムの変形や膨潤を抑制するための検討を行った。その結果、上記第1の実施態様に用いる自己分散顔料において必要な条件に加えて、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が2.0μmol/m2以上であることを満足すればよいことを見出した。かかる第3の実施態様のインクは、遊離銅イオンを含有していても、インクジェット記録装置に含まれる、合成ゴムの変形や膨潤を抑制することができる。
かかる効果が得られるメカニズムは以下のように推測される。すなわち、ホスホン酸基は遊離銅イオンとキレート構造を作ることができる。ホスホン酸基のキレート力は、キレート剤として汎用のエチレンジアミン四酢酸・2ナトリウムなどと比較すると弱いものの、ホスホン酸基を含む官能基の導入量を一定量以上に増やせば、銅イオンが水性媒体中に溶解している確率を下げることができる。そのため、あたかも遊離銅イオンが存在しないかのような状態に近くなり、結果として、遊離銅イオンが触媒となって促進される、合成ゴムの加水分解反応、つまりは銅害を抑制することができると考えられる。
<水性インク>
以下、本発明の水性インクを構成する各成分やインクの物性について詳細に説明する。
(自己分散顔料)
本発明のインクは、色材として自己分散顔料を用いる。顔料種としては、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料などを用いることができる。また、調色などの目的のために、顔料に加えてさらに染料などを併用してもよい。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクに含有させる自己分散顔料は、ホスホン酸基を含む第1の官能基、並びに、カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基が、顔料粒子の表面に化学的に結合しているものである。ホスホン酸基を含む第1の官能基は、カルボン酸基及びスルホン酸基が含まれていないものである。これは前述の通り、アニオン性基がホスホン酸基のみである官能基を結合させた自己分散顔料を含有するインクによる、画像の発色性向上効果が阻害されるためである。
インク中において、ホスホン酸基−PO(O〔M1〕)2は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。つまり、ホスホン酸基は、−PO32(酸型)、−PO3-1 +(一塩基塩)、及び−PO3 2-(M1 +2(二塩基塩)のいずれかの形態になり得る。ここで、M1はそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。M1で表されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。また、M1で表される有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などが挙げられる。本発明においては、ホスホン酸基を含む第1の官能基に2つのホスホン酸基が含まれていることが好ましい。第1の官能基に含まれるホスホン酸基が1つであっても、画像の発色性を向上することは勿論可能である。ただし、第1の官能基に含まれるホスホン酸基が2つであるほうが画像の発色性をより向上させることができる。なお、第1の官能基に含まれるホスホン酸基が3つ以上であると、インクの保存安定性が十分に得られない場合がある。
また、ホスホン酸基が第1の官能基の末端にあること、つまり、顔料粒子の表面とホスホン酸基の間に他の原子団が存在することが好ましい。他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などが挙げられる。また、これらの基を組み合わせた基などが挙げられる。さらには、他の原子団が、アルキレン基及びアリーレン基の少なくとも一方と、水素結合性を有する基(アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基)とを含むことが特に好ましい。本発明においては、第1の官能基に−C65−CONH−(ベンズアミド構造)が含まれることが特に好ましい。
本発明においては、顔料粒子の表面に結合させる第1の官能基に、−CQ(PO3〔M122の構造が含まれていることがより好ましい。ここで、式中のQは、水素原子、R、OR、SR、及びNR2のいずれかであり、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アラルキル基、及びアリール基のいずれかである。Rが炭素原子を含む基である場合、その基に含まれる炭素原子の数は1乃至18であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基などのアルキル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;ベンジル基などのアラルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基がそれぞれ挙げられる。また、M1はそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。本発明においては、前記Qが水素原子である、−CH(PO3〔M122の構造を含む第1の官能基を顔料粒子の表面に結合させることが特に好ましい。
カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基も、これらのアニオン性基が官能基の末端にあること、つまり、顔料粒子の表面とこれらの酸基の間に他の原子団(−R−)が存在することが好ましい。他の原子団としては、上記と同様のものが挙げられる。インク中において、カルボン酸基(−COOM1)やスルホン酸基(−SO31)は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。M1としては、上記と同様のものが挙げられる。本発明においては、第2の官能基における他の原子団(−R−)が、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基であることが特に好ましい。なお、第2の実施態様では、スルホン酸基を含む第2の官能基を用いる。
本発明の主たる実施態様(第1の実施態様)では、各官能基の導入量は以下のようにする必要がある。第1の官能基の導入量は、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が0.3μmol/m2以上となるよう調整する必要がある。また、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量は、0.5μmol/m2以上であることがさらに好ましい。第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が、0.3μmol/m2未満であると画像の発色性が得られない。なお、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量の上限は、3.0μmol/m2以下であることが好ましい。また、第2の官能基の導入量は、第2の官能基に含まれるカルボン酸基及びスルホン酸基に由来する表面電荷量の合計が1.0μmol/m2以上となるよう調整する必要がある。第2の官能基に含まれるカルボン酸基及びスルホン酸基に由来する表面電荷量の合計が1.0μmol/m2未満であると間欠吐出安定性が得られない。なお、第2の官能基に含まれるカルボン酸基及びスルホン酸基に由来する表面電荷量の合計の上限は、7.7μmol/m2以下であることが好ましい。
さらに、第1の官能基及び第2の官能基の合計の導入量は、第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計が2.0μmol/m2以上8.0μmol/m2以下となるよう調整する必要がある。また、第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計は、2.5μmol/m2以上6.0μmol/m2以下であることがさらに好ましく、2.5μmol/m2以上5.0μmol/m2以下であることが特に好ましい。第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計が、2.0μmol/m2未満であると間欠吐出安定性が得られず、8.0μmol/m2を超えると画像の発色性が得られない。
また、本発明の第2の実施態様では、第1の実施態様における自己分散顔料の必須条件に加えて、第2の官能基がスルホン酸基を含み、第2の官能基に含まれるスルホン酸基に由来する表面電荷量が1.0μmol/m2以上となるよう調整することが好ましい。第2の官能基に含まれるスルホン酸基に由来する表面電荷量が1.0μmol/m2未満であると、遊離銅イオンを含有するインクをサーマル方式に適用する際には、長期吐出安定性が十分に得られない場合がある。なお、第2の官能基に含まれるスルホン酸基に由来する表面電荷量の上限は、7.7μmol/m2以下であることが好ましい。
また、本発明の第3の実施態様では、第1の実施態様における自己分散顔料の必須条件に加えて、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が2.0μmol/m2以上となるよう調整することが好ましい。第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が2.0μmol/m2未満であると、遊離銅イオンを含有するインクがインクジェット記録装置に含まれる合成ゴムと接触した際に、合成ゴムの変形や膨潤を十分に抑制することができない場合がある。なお、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量の上限は、3.0μmol/m2以下であることが好ましい。
勿論、上記第1、第2、及び第3の実施態様を組み合わせてもよい。すなわち、遊離銅イオンを含有するインクを、インクと接触する部材に合成ゴムが含まれ、サーマル方式の記録ヘッドを具備するインクジェット記録装置に適用する場合、上述した条件の組み合わせを満足することが好ましい。具体的には、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が2.0μmol/m2以上であり、第2の官能基に含まれるスルホン酸基に由来する表面電荷量が1.0μmol/m2以上であることが好ましい。これに加えてさらに、第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計が2.0μmol/m2以上8.0μmol/m2以下であることが好ましい。
自己分散顔料の表面に結合している第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の測定は、コロイド滴定法により行う。この方法は、顔料の単位表面積当たりのアニオン性基量を求める場合に、従来のカウンターイオンの定量によりアニオン性基量を求める方法よりも簡単であり、精度も高く、直接的にアニオン性基量を測定することができるというメリットがある。後述する実施例においては、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」;京都電子工業製)を用い、電位差を利用したコロイド滴定により、顔料分散液中の顔料の表面電荷量を測定した。この際、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた。なお、インクから適切な方法により抽出した顔料を用いて表面電荷量の測定を行うことも勿論可能である。
また、自己分散顔料の表面に結合している官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量のうち、ホスホン酸基を含む第1の官能基に由来する表面電荷量は、ICP発光分光分析装置及びNMRによるリン原子の定量値から算出する。より具体的には、ICP発光分光分析装置を用いることで、リン原子量を求めることができる。また、自己分散顔料が有するリン原子全体のうち、ホスホン酸基を含む第1の官能基に由来するリン原子の比率はNMRなどによりその構造を解析することで特定することができる。また、ホスホン酸基のインク中での解離数は電位差滴定などを用いて求められる。通常用いられるインクのpH域であるpH8〜10の範囲では、ホスホン酸基の解離数は1である。
また、本発明で用いる自己分散顔料は、その比表面積が50m2/g以上250m2/g以下であることが好ましい。比表面積が50m2/g未満であると、インク中に分散された状態の顔料の粒径が大きくなりやすい傾向があり、インクの保存安定性がやや低下する場合がある。一方、比表面積が250m2/gを超えると、単位質量当たりのホスホン酸基を含む第1の官能基の導入量が高くなり、インク中の水分などの蒸発が進行した際に顔料の凝集によってインクが増粘し、インクの間欠吐出安定性がやや低下する場合がある。なお、本発明における比表面積とは、Brunaur−Emmett−Teller法による窒素吸着法(BET法)により測定した値である。
(遊離銅イオン)
本発明の第2及び第3の実施態様は、インク中に遊離銅イオンが存在することを前提とする。この遊離銅イオンとは、他の物質と配位構造を形成しておらず、インクを構成する水性媒体に溶解した状態で存在する銅イオンのことを意味する。したがって、例えば、フタロシアニン骨格の中心原子として含まれる銅イオン、すなわち、配位構造を形成している銅イオンは、本発明における遊離銅イオンには含めない。なお、配位構造を形成している銅イオンは、第2及び第3の実施態様において解決しようとする技術課題の発生原因とはならない。
インク中に遊離銅イオンが存在する理由としては種々の要因が挙げられる。先ず、発色性などを向上するために、インクに遊離銅イオンを意図的に添加してインク中の電解質濃度を高めておき、記録媒体において水分などが蒸発した後に顔料が凝集するように制御することがある。一方、意図的ではないが、色材や水溶性有機溶剤などインクを構成する各種の材料の不純物として遊離銅イオンが混入することもある。また、インクカートリッジを構成する部材などから遊離銅イオンが溶出して、インク中に遊離銅イオンが混入することもある。さらに、インクの色材として銅フタロシアニン骨格を有する顔料(C.I.ピグメントブルー15:3やC.I.ピグメントブルー15:4など)を用いた場合には、その不純物として遊離銅イオンが混入することがある。なお、通常の脱イオン水やイオン交換水における遊離銅イオンの含有量は、検出限界以下である。
インク中の遊離銅イオンの含有量(ppm)は、インク質量を基準として、50ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがさらに好ましい。遊離銅イオン量が50ppmを超えると、長期吐出安定性が十分に得られない場合や、合成ゴムの変形や膨潤を十分に抑制することができない場合がある。なお、第2及び第3の実施態様では、インク中の遊離銅イオンの含有量(ppm)の下限は0ppm超である。また、第1の実施態様では、インク中の遊離銅イオンの含有量(ppm)の下限は0ppm以上、すなわち、遊離銅イオンが存在していなくてもよい。インク中の遊離銅イオンの含有量は、公知の方法により測定することができる。例えば、インクを減圧乾燥した後、塩酸を用いて遊離銅イオンを抽出し、ICP発光分光分析などの公知の方法により定量し、インク中の含有量に換算することで求めることができる。
第3の実施態様においては、第1の官能基に含まれるホスホン酸基の総数は、インク中の遊離銅イオンの含有量に対するモル比率で、10.0倍以上であることが好ましい。第1の官能基に含まれるホスホン酸基の総数が、インク中の遊離銅イオンの含有量に対するモル比率で10.0倍未満であると、合成ゴムの変形や膨潤を十分に抑制することができない場合がある。これは、ホスホン酸基が遊離銅イオンとキレート構造を形成する能力に関係していると考えられ、ホスホン酸基が少ないと、ホスホン酸基が遊離銅イオンを効果的に捕捉しづらくなるためであると考えられる。なお、前記モル比率の上限は、10,000倍以下であることが好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることが好ましい。水としては脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上をインクに含有させることができる。また、水溶性有機溶剤は、25℃における蒸気圧が水よりも低いものが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以上25.0質量%以下であることがさらに好ましい。なお、この含有量は、後述する式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物の少なくとも一方を用いる場合には、その含有量を含む値である。
本発明者らは、画像の発色性及びインクの間欠吐出安定性をさらに向上させるために、前述のインクの間欠吐出安定性が高まるメカニズムを追求し、検討を行った。具体的には、上記の自己分散顔料と共にインクに含有させる水溶性有機溶剤の種類によって、自己分散顔料の水に対するなじみを積極的に制御し、その分散状態をより安定に保ちやすくするための検討を行った。その結果、水溶性有機溶剤として、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物の少なくとも一方をインクに含有させることにより、インクの間欠吐出安定性がさらに良好となった。インク中の下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物の少なくとも一方の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。なお、この含有量の範囲は、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を併用する場合には、その合計の含有量である。
R−(O−CH2CH2n−OH 式(1)
(nは3以上30以下の整数であり、Rは水素原子又はCm2m+1であり、mは1以上4以下の整数である。)
OH−Ck2k−OH 式(2)
(kは4以上6以下の整数である。)
式(1)におけるRが水素原子である化合物としては、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、数平均分子量200〜1,000のポリエチレングリコールなどが挙げられる。また、式(1)におけるRがCm2m+1である化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。また、式(2)で表される化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
式(1)や式(2)で表される化合物は、比較的疎水性が高く、かつ、水と水素結合を形成することができ、25℃における蒸気圧が水よりも低い水溶性有機溶剤であるため、水分活性を下げる働きをすると考えられる。このような水溶性有機溶剤がインク中に存在すると、水分活性が低下するため、自己分散顔料のアニオン性基と水分子との水素結合の形成が妨げられる。その結果、自己分散顔料の水に対するなじみは低下することになる。このような水溶性有機溶剤を含有するインク中の水分が吐出口から蒸発した場合、吐出口近傍の水の濃度は急速に低下し、逆に前記水溶性有機溶剤の濃度は急速に高まる。その結果、自己分散顔料は、水となじむことによって、その分散状態をより安定に保ちやすい、水の濃度の高い方向に速やかに移動する。その結果、インクの間欠吐出安定性はさらに良化することとなる。
比較のため、本発明者らは、インクの間欠吐出安定性のさらなる向上に効果の見られた前記水溶性有機溶剤を、従来のホスホン酸基を有する自己分散顔料を含有するインクに適用してみた。しかし、この場合にはインクの間欠吐出安定性の向上効果は得られなかった。これは、このような自己分散顔料の表面電荷量が低いために、そもそも水に対してなじみにくいことに加え、自己分散顔料が水溶性有機溶剤と疎水性相互作用を形成するため、自己分散顔料の水へのなじみを制御しづらいためと推測している。
(カチオンとアニオンとが結合して構成される塩)
本発明のインクには、カチオンとアニオンとが結合して構成される塩を含有させることが好適である。これにより、さらに発色性の高い画像を得ることができる。カチオンは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、アニオンは、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、HCOO-、(COO-2、COOH(COO-)、CH3COO-、C24(COO-2、C65COO-、C64(COO-2、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -からなる群から選ばれる少なくとも1種である。インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は全てが解離した状態のいずれの形態であってもよい。
カチオンとアニオンとが結合して構成される塩としては、以下のものが挙げられる。例えば、(M2)Cl、(M2)Br、(M2)I、(M2)ClO、(M2)ClO2、(M2)ClO3、(M2)ClO4、(M2)NO2、(M2)NO3、(M22SO4、(M22CO3、(M2)HCO3、HCOO(M2)、(COO(M2))2、COOH(COO(M2))、CH3COO(M2)、C24(COO(M2))2、C65COO(M2)、C64(COO(M2))2、(M23PO4、(M22HPO4、(M2)H2PO4が挙げられる。上記M2は、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。また、有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などが挙げられる。特に、画像の発色性及びインクの保存安定性の観点から、M2がカリウムイオンであることがより好ましい。
本発明においては、塩を構成するアニオンが、C24(COO-2、C64(COO-2、及びSO4 2-からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。これらのアニオンを含んで構成される塩は、インク中の水分などが蒸発した際においても、顔料の分散安定性が特に優れているため好適である。なお、塩による発色性の向上は、インク中の電解質濃度が高まることで、自己分散顔料の電気二重層がより圧縮されやすくなり、顔料の凝集が促進されるために生じる。したがって、発色性の向上という観点では、塩を構成するイオンの種類よりも、インク中の電解質濃度、つまり塩のモル数のほうが支配的であると言える。
塩の分子量によっても異なるが、インク中の塩の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることがさらに好ましい。塩の含有量が0.05質量%未満であると、本来の目的である普通紙などの記録媒体に記録した画像の発色性をより向上させる効果が十分に得られない場合がある。一方、塩の含有量が2.0質量%を超えると、高いレベルのインクの保存安定性が十分に得られない場合がある。
本発明者らは、インクに塩を添加することによる、インクの間欠吐出安定性と画像の発色性への影響を検討した。具体的には、所定の自己分散顔料を含有する本発明のインクと、ホスホン酸基を有する自己分散顔料を含有する従来のインクの2種類を用いて確認を行った。その結果、インクの間欠吐出安定性に関しては、本発明のインクでは低下が見られないのに対して、従来のインクでは大きく低下した。これは、塩の添加によりイオン解離した状態のホスホン酸基が著しく減少し、その上でさらに吐出口近傍でインク中の水分などが蒸発すると、顔料の分散状態が不安定となり、凝集によるインクの増粘が急激に生じたためであると考えられる。それに対して、本発明のインクでは、第2の官能基に含まれるカルボン酸基やスルホン酸基については、塩が添加されても、イオン解離した状態のアニオン性基の減少は緩やかである。そして、吐出口近傍でインク中の水分などが蒸発して、イオン解離した状態のホスホン酸基が著しく減少しても、イオン解離した状態のカルボン酸基やスルホン酸基の存在により、顔料の分散状態の不安定化が十分に抑えられるためと考えている。
一方、画像の発色性に関しては、本発明のインク及び従来のインクのいずれであっても、塩の添加により向上することが確認された。ここで、本発明のインクに含有させる自己分散顔料は第2の官能基に含まれるカルボン酸基やスルホン酸基がイオン解離した状態で存在しやすいため、前述の通り吐出口近傍では顔料の分散状態の不安定化が抑制される。しかし、画像の記録の際に、インクが付与された記録媒体においては水分などの蒸発や固液分離が進行し、また、塩による電気二重層の圧縮が生じるため、インク中の自己分散顔料の粒子どうしの接近が促進される。これにより、第2の官能基が存在していても、顔料に結合している第1の官能基に含まれるホスホン酸基どうしの架橋構造がさらに形成されやすくなる。その結果、さらに発色性の高い画像を得ることが可能となると考えられる。
(水溶性樹脂)
本発明のインクには、特定の水溶性樹脂を含有させることが好ましい。これにより、ある種の記録媒体、具体的にはカルシウムイオンなどの多価カチオンを比較的多く含有する普通紙などにおいて、さらに発色性の高い画像を得ることができる。本発明のインクに好適に含有させることができる水溶性樹脂としては、アクリル樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方が挙げられる。アクリル樹脂の酸価は100mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であることが好ましい。また、ウレタン樹脂の酸価は40mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることが好ましい。本明細書において「樹脂が水溶性であること」とは、この樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、その粒径を測定しうる粒子を形成しないものであることを意味する。このような条件を満たす樹脂を、本明細書においては水溶性樹脂として記載する。なお、本明細書における(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルのことをいう。
このような水溶性樹脂を含有するインクを記録媒体に付与すると、記録媒体に含まれる多価カチオンがインクに溶け込み、溶解状態にあった水溶性樹脂が急激に不溶化し、析出する。これと同様に、自己分散顔料も、多価カチオンによって、分散状態が不安定化する。その結果、不溶化した水溶性樹脂が、分散状態が不安定化している顔料を取り込むことにより、より大きな凝集物が形成され、さらに発色性の高い画像が得られると考えられる。それに対して、酸価が上記で規定した範囲よりも低い場合、樹脂の水溶性が低いため、溶解した状態ではなく、粒径を有する状態(分散状態、すなわちエマルションやディスパージョンの状態)としてインク中に存在している。この場合、記録媒体においてインク中の多価カチオン濃度が高くなっても、樹脂がもともと相分離した状態であり、新たに析出する訳ではないため、大きな凝集物が形成されず、画像の発色性をさらに向上する効果が十分に得られない場合がある。また、酸価が上記で規定した範囲よりも高い場合、樹脂の水溶性が高すぎるため、記録媒体においてインク中の多価カチオン濃度が高くなっても、依然として溶解した状態を保っている樹脂の割合が多い。この場合もやはり、大きな凝集物が形成されず、画像の発色性をさらに向上する効果が十分に得られない場合がある。
なお、アクリル樹脂とウレタン樹脂で好適な酸価の範囲が異なるのは、それぞれの樹脂の主たる構造の親水性/疎水性が異なるため、記録媒体において効率的に凝集する酸価の範囲も異なるからである。
ホスホン酸基を有する自己分散顔料を含有する従来のインクに水溶性樹脂を添加した場合には、画像の発色性の向上の程度は限定的であった。これは、顔料の表面電荷量が低いために、水溶性樹脂が顔料粒子の表面に吸着し、溶解状態にあった水溶性樹脂の急激な不溶化が妨げられるためと考えられる。また、水溶性樹脂の吸着により自己分散顔料の分散状態が安定化されることも考えられ、このことも発色性の向上が見られないことに寄与している可能性がある。
また、カルボン酸基やスルホン酸基が多く結合している自己分散顔料を含有する従来のインクに水溶性樹脂を添加した場合にも、画像の発色性はあまり向上しなかった。これは、顔料の凝集性がそもそも低く、記録媒体における水溶性樹脂と自己分散顔料の凝集物の形成のタイミングが異なるためであると推測している。
水溶性樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量として、5,000以上200,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が5,000未満であると、記録媒体に含まれるカルシウムなどの塩が、記録媒体に付与されたインクに溶解した場合であっても、大きな凝集物が形成されづらくなり、画像の発色性を向上させる効果が十分に得られない場合がある。一方、重量平均分子量が200,000を超えると、インクの粘度が高くなりすぎ、インクの吐出安定性が十分に高いレベルで得られない場合がある。
インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。水溶性樹脂の含有量が0.5質量%未満であると、本来の目的である普通紙などの記録媒体に記録した画像の発色性を向上させる効果が十分に得られない場合がある。一方、水溶性樹脂の含有量が5.0質量%を超えると、インクの粘度が高くなりすぎ、インクの吐出安定性が十分に高いレベルで得られない場合がある。
また、インクに水溶性樹脂を含有させる場合で、さらにカチオンとアニオンとが結合して構成される塩を用いる場合には、塩のカチオンとしてアルカリ金属イオンを選択することが好ましい。塩のカチオンとしてアンモニウムイオンや有機アンモニウムイオンを用いると、水溶性樹脂のカウンターイオンと交換されやすく、樹脂の水溶性が低下しやすいため、インクの保存安定性や吐出安定性が十分に高いレベルで得られない場合がある。
アクリル樹脂としては、具体的には、以下に挙げるような親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして少なくとも有する共重合体が好ましい。
重合により親水性ユニットとなる、親水性基を有する単量体としては、以下のものが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有する酸性単量体、(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する酸性単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有する単量体;メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有する単量体などが挙げられる。アニオン性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンが挙げられる。なお、樹脂は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物やアンモニア水などの中和剤により中和されることで水溶性となるものが好ましい。
また、重合により疎水性ユニットとなる、疎水性基を有する単量体としては、以下のものが挙げられる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(n−、iso−)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有する単量体などが挙げられる。
本発明においては、水溶性のアクリル樹脂として、カルボキシ基を有する単量体に由来する親水性ユニットと、芳香環を有する単量体や脂肪族基を有する単量体に由来する疎水性ユニットとを少なくとも有する共重合体を用いることが特に好適である。
ウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるものが好適であり、さらに、鎖延長剤を反応させたものでもよい。ポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族、及び芳香脂肪族のポリイソシアネートなどが挙げられる。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられ、これらのポリオールはさらに酸基を有していてもよい。本発明においては、ポリオールとして、ポリエーテルポリオール及び酸基を有するジオールの両方を用いることが好ましく、酸基を有するジオールの割合によってウレタン樹脂の酸価を調節することができる。鎖延長剤は、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタンプレポリマーのポリイソシアネートユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分以外にも必要に応じて、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンや、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物などの常温で固体の有機化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤などの種々の添加剤をインクに含有させてもよい。
(インクの物性)
本発明のインクは、25℃において、インクの粘度が1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.5mPa・s以上4.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、25℃において、インクのpHが5以上9以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、インク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、負圧によりインクを含浸した状態で保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室、及び、負圧発生部材により含浸されない状態でインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられる。また、上記のようなインク収容室を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸した状態で保持する構成や、負圧発生部材を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸されない状態で収容する構成のインク収容部としてもよい。さらに、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明の第1及び第3の実施態様においては、上記いずれの方式も好適に採用することができる。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
インク中に遊離銅イオンが存在する本発明の第2の実施態様においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用し、第2の官能基に含まれるスルホン酸基に由来する表面電荷量が1μmol/m2以上となるようにすることが好ましい。
また、インク中に遊離銅イオンが存在する本発明の第3の実施態様においては、合成ゴムを含む材料で構成される部材を有するインクジェット記録装置を利用し、第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が2.0μmol/m2以上となるようにすることが好ましい。ここで、インクジェット記録装置が具備する、合成ゴムを含む材料で構成される部材であり、かつ、インクと接触するものとしては、以下のようなものが挙げられる。例えば、インクカートリッジを構成する部材、記録ヘッドのインク流路を構成する部材、インクカートリッジと記録ヘッドとの連結部を構成する部材、記録ヘッドの吐出口が形成された面(吐出口面)を払拭(ワイピング)するためのワイパーなどが挙げられる。これらの中でも、ワイパーは、インクが接触した後に水分などの蒸発が生じるため、蒸発後に遊離銅イオンの濃度が上昇する現象を生じやすい。したがって、本発明の第3の実施態様のインクを、ワイパーを構成する材料が合成ゴムであるインクジェット記録装置に適用すると優れた効果が得られるため、特に好ましい。
合成ゴムとしては汎用のものを用いることができ、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴムなどが挙げられる。これらの中でも、成形の容易さや部材の安定性から、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴムがより好ましく、ワイパーを構成する材料がウレタンゴムであることが特に好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、成分量の記載について「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<自己分散顔料の調製>
表1に示す種類及び比表面積の顔料20g(固形分)、表1に示す種類及び量の処理剤、処理剤の(総)量と等モルの硝酸、並びに200mLの純水を混合した。処理剤は、「ホスホン酸」として示したものが((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸、「カルボン酸」として示したものがp−アミノ安息香酸、「スルホン酸」として示したものがp−アミノベンゼンスルホン酸である。ただし、自己分散顔料51では(4−アミノフェニル)−2−ホスホノプロパン酸、自己分散顔料52では(4−アミノフェニル)(ホスホノ)酢酸をそれぞれ処理剤として用いた(表1の*印)。混合は、シルヴァーソン混合機を用いて、室温で6,000rpmにて行い、混合物を得た。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた亜硝酸カリウム(処理剤の(総)量と等モル)をゆっくり添加し、混合した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化カリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10に調整した。30分後、20mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行い、自己分散顔料を調製した。調製した自己分散顔料に水を加え、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液を調製した。顔料分散液1には自己分散顔料1が含まれる、というように、顔料分散液の番号は、自己分散顔料の番号に対応している。
自己分散顔料の第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量(表1には「全アニオン性基由来」として表記)は、顔料分散液中の自己分散顔料について測定した。具体的には、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を用い、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により測定した。
自己分散顔料の第1の官能基のホスホン酸基に由来する表面電荷量(表1には「ホスホン酸基由来」として表記)は、以下のようにして測定した。測定対象である顔料の含有量が0.03%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製した。また、5℃で、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液について超遠心分離を行い、自己分散顔料が除去された上澄みの液体を採取し、これを純水で80倍程度に希釈してB液を調製した。上記のようにして得た測定用試料のA液及びB液について、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いてリンを定量した。そして、得られたA液及びB液におけるリン量の差分からホスホン酸基の量を求めた。ここで、ホスホン酸基を含む官能基のみを有する自己分散顔料31の表面電荷量の測定結果とホスホン酸基の対応から、ホスホン酸基1に対して表面電荷量は1であることが確認された。そこで、ホスホン酸基の量を、ホスホン酸基を含む官能基に由来する表面電荷量とした。
自己分散顔料の第2の官能基のスルホン酸基に由来する表面電荷量(表1には「スルホン酸基由来」として表記)は、以下のようにして測定した。測定対象である顔料の含有量が0.03%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製した。また、5℃で、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液について超遠心分離を行い、自己分散顔料が除去された上澄みの液体を採取し、これを純水で80倍程度に希釈してB液を調製した。上記のようにして得た測定用試料のA液及びB液について、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いて硫黄を定量した。そして、得られたA液及びB液における硫黄の差分からスルホン酸基の量を求めた。ここで、スルホン酸基を含む官能基のみを有する自己分散顔料36及び38の表面電荷量の測定結果とスルホン酸基の対応から、スルホン酸基1に対して表面電荷量は1であることが確認された。そこで、スルホン酸基の量を、スルホン酸基に由来する表面電荷量とした。
自己分散顔料の第2の官能基のカルボン酸基に由来する表面電荷量(表1には「カルボン酸基由来」として表記)は、ICP発光分光分析装置により測定することができないため、以下のようにして算出した。上記で測定した、アニオン性基に由来する表面電荷量から、ホスホン酸基を含む官能基に由来する表面電荷量とスルホン酸基に由来する表面電荷量とを引くことで算出した。すなわち、「カルボン酸基由来」=「全アニオン性基」−(「ホスホン酸基由来」+「スルホン酸基由来」)とした。
Figure 2013253230
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<樹脂の合成>
以下に示す手順により、各樹脂を合成した。得られた樹脂の酸価は以下の方法で求めた。先ず、樹脂の水溶液に塩酸を添加して樹脂を析出させた。次いで、樹脂を40℃で一晩真空乾燥させた。この樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を用いて、酸価を測定した。また、得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量として測定した。
(アクリル樹脂)
表2に示す各単量体(単位:部)を用いて、常法により共重合させ、水溶性のアクリル樹脂A1〜A7をそれぞれ合成した。さらに、水酸化カリウム水溶液を用い、樹脂中の全てのアニオン性基を中和し、さらにイオン交換水を加えて、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である各アクリル樹脂の水溶液を調製した。アクリル樹脂の組成及び特性を表2に示す。
Figure 2013253230
(ウレタン樹脂)
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコに、表3に示す使用量(単位:部)の単量体と、メチルエチルケトン300.0部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、80℃で10時間反応させた。その後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら、水酸化カリウム水溶液を添加して樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を加熱減圧してメチルエチルケトンを留去し、さらにイオン交換水を加えて、樹脂(固形分)の含有量が20.0%であるウレタン樹脂U1〜U7の水溶液を得た。ウレタン樹脂の組成及び特性を表3に示す。表3中、IPDIはイソホロンジイソシアネート、HDIはヘキサメチレンジイソシアネート、PPG2000は数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール、PHCD2000は数平均分子量2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、DMPAはジメチロールプロピオン酸である。
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<インクの調製>
表4〜6の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、比較例I−23は顔料分散液31及び35をそれぞれ15.0%ずつ使用した。また、アセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。また、ポリエチレングリコールの後に付した数値は数平均分子量である。
実施例I−1〜I−88及び比較例I−1〜I−23は第1の実施態様、実施例II−1〜II−17及び比較例II−1、II−2は第2の実施態様、実施例III−1〜III−25は第3の実施態様、にそれぞれ対応する。
第2及び第3の実施態様に対応するインクについては、インク中に存在する遊離銅イオンの含有量(ppm)が表4〜6の下段に示す値となるように、塩化銅(II)を添加し、イオン交換水で調整して合計を100.0%とした。したがって、第2及び第3の実施態様に対応するインクについては、イオン交換水の含有量は塩化銅(II)を含む値として示してある。色材がC.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:4ではないインクでは、塩化銅(II)を添加していない場合、遊離銅イオンの含有量は検出限界以下であった(表中には「ND」として表記)。一方、色材がC.I.ピグメントブルー15:3又はC.I.ピグメントブルー15:4であるインクは、塩化銅(II)を添加していない場合、遊離銅イオンの含有量は23ppmであった。
なお、表4〜6の下段にはインク中の遊離銅イオンの含有量(ppm)を示した。この値は以下のようにして測定したものである。調製したインクを減圧乾燥した後、塩酸を用いて遊離銅イオンを抽出し、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いて銅を定量した。得られた銅の定量値から、インク中の遊離銅イオンの含有量を算出した。また、第3の実施態様に対応するインクについては、「第1の官能基に含まれるホスホン酸基の総数/遊離銅イオン」のモル比率(倍)の値も示した。
Figure 2013253230
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<評価>
上記で得られたインクを用いて、下記の各項目の評価を行った。本発明においては、下記の各項目の評価基準において、AA、A及びBが好ましいレベルとし、Cは許容できないレベルとした。評価結果を表7〜9に示す。
(発色性の評価)
画像の記録には、熱エネルギーの作用により液体を吐出させる記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP3100」、キヤノン製)を改造したものを用いた。上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、ブラックインクのポジションにセットした。記録条件は、記録ヘッドの吐出口の配置幅分の画像を、記録ヘッドのホームポジションから開始する走査でのみ記録を行う、1パス片方向記録とした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチを1ピクセルと定義し、記録デューティが100%であるベタ画像の場合、記録媒体へのインクの付与量は、1ピクセル当たり25ngとした。
PB PAPER GF−500(キヤノン製)、BUSINESS MULTIPURPOSE 4200 PAPER(ゼロックス製)、Bright White Inkjet Paper(ヒューレットパッカード製)の3種の記録媒体を用いた。上記記録媒体にそれぞれ1インチ×1インチの、記録デューティを100%としたベタ画像を記録した。1日後に分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件でベタ画像の光学濃度を測定し、3種の記録媒体についての平均値により発色性を評価した。発色性の評価基準は以下の通りである。
・ブラックインクの場合
AA:平均値が1.5以上であった。
A:平均値が1.4以上1.5未満であった。
B:平均値が1.2以上1.4未満であった。
C:平均値が1.2未満であった。
・カラーインクの場合
AA:平均値が1.2以上であった。
A:平均値が1.1以上1.2未満であった。
B:平均値が1.0以上1.1未満であった。
C:平均値が1.0未満であった。
(間欠吐出安定性)
温度30℃、相対湿度15%の環境で、上記の画像の発色性の評価で使用したものと同様のインクジェット記録装置にインクカートリッジをセットした。そして、記録ヘッドの吐出口を覆うキャップを外した状態とし、その30秒後に、5ポイント及び8ポイントの文字の記録を行った。書き始めの部分の文字を目視で確認し、間欠吐出安定性を評価した。間欠吐出安定性の評価基準は以下の通りである。
AA:文字にかすれがなかった。
A:文字に軽微なかすれがあったが、5ポイントの文字が判読できた。
B:文字に軽微なかすれがあり、5ポイントの文字は判読できなかったが、8ポイントの文字は判読できた。
C:文字に多くのかすれがあり、判読しづらかった。
(保存安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれポリテトラフルオロエチレン製の容器に入れて密閉した。これを、温度60℃のオーブンに入れ、2ヶ月間放置した。インクを常温に戻した後に、インクの粘度と、顔料の粒径を測定した。インクの粘度はE型粘度計(商品名「RE−80L」、TOKI製)を用いて温度25℃、50rpmで測定した。また、顔料の粒径は濃厚系粒径アナライザー(商品名「FPAR−1000」、大塚電子製)で測定した。
A:保存後のインクの粘度及び顔料の粒径の上昇率が、保存前に比べて3%未満であった。
B:保存後のインクの粘度及び顔料の粒径の上昇率が、保存前に比べて3%以上5%未満であった。
C:保存後のインクの粘度及び顔料の粒径の上昇率が、保存前に比べて5%以上であった。
(長期吐出安定性)
上記の画像の発色性の評価で使用したものと同様のインクジェット記録装置にインクカートリッジをセットした。そして、A4サイズのPB PAPER GF−500(キヤノン製)の全面に、記録デューティを50%としたベタ画像を3,000枚分記録した。その後、5ポイント及び8ポイントの文字の記録を行った。文字を目視で確認し、長期吐出安定性を評価した。長期吐出安定性の評価基準は以下の通りである。
AA:文字を構成するドットが全て正しく記録されていた。
A:文字を構成するドットの一部が正しく形成されていない箇所があったが、5ポイントの文字は判読できた。
B:文字を構成するドットの一部が正しく形成されていない箇所があり、5ポイントの文字は判読できなかったが、8ポイントの文字は判読できた。
C:文字を構成するドットが正しく形成されていない箇所が多くあり、いずれの文字も判読しづらかった。
(接液性)
ウレタンゴム製のワイパーを各インクに浸漬した状態で、温度60℃の恒温槽中に1カ月間載置した。その後、ワイパーをイオン交換水で洗浄し、上記の画像の発色性の評価で使用したものと同様のインクジェット記録装置の所定の箇所に取り付けた。この記録装置を用いて、A4サイズのPB PAPER GF−500(キヤノン製)の全面に、記録デューティを50%としたベタ画像を5枚分記録した。クリーニング操作を行った後、5ポイント及び8ポイントの文字の記録を行った。その後、文字と、記録ヘッドの吐出口面を目視で確認し、接液性を評価した。接液性の評価基準は以下の通りである。
A:5ポイントの文字が判読でき、吐出口面のワイピングも正常に行われていた。
B:5ポイントの文字は判読できなかったが、8ポイントの文字は判読でき、吐出口面ではワイピングは一部の箇所で正常に行われず、インクが残っていた。
C:いずれの文字も判読しづらく、吐出口面のワイピングは正常に行われず、インクが残っていた。
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Claims (16)

  1. ホスホン酸基を含む第1の官能基と、カルボン酸基及びスルホン酸基の少なくとも一方を含む第2の官能基とが粒子表面に結合している自己分散顔料を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が0.3μmol/m2以上であり、
    前記第2の官能基に含まれるカルボン酸基及びスルホン酸基に由来する表面電荷量の合計が1.0μmol/m2以上であり、
    前記第1の官能基及び前記第2の官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量の合計が2.0μmol/m2以上8.0μmol/m2以下であることを特徴とする水性インク。
  2. 前記自己分散顔料の比表面積が、50m2/g以上250m2/g以下である請求項1に記載の水性インク。
  3. さらに、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物の少なくとも一方を含有する請求項1又は2に記載の水性インク。
    R−(O−CH2CH2n−OH 式(1)
    (nは3以上30以下の整数であり、Rは水素原子又はCm2m+1であり、mは1以上4以下の整数である。)
    OH−Ck2k−OH 式(2)
    (kは4以上6以下の整数である。)
  4. さらに、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、HCOO-、(COO-2、COOH(COO-)、CH3COO-、C24(COO-2、C65COO-、C64(COO-2、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンとが結合して構成される塩を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. さらに、酸価が100mgKOH/g以上160mgKOH/g以下のアクリル樹脂、及び、酸価が40mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であるウレタン樹脂、の少なくとも一方を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
  6. 前記塩を構成する前記カチオンがアルカリ金属イオンである請求項4に記載の水性インク。
  7. 前記第1の官能基が、2つのホスホン酸基を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。
  8. さらに、遊離銅イオンを含有し、かつ、前記第2の官能基がスルホン酸基を含み、前記第2の官能基に含まれるスルホン酸基に由来する表面電荷量が1.0μmol/m2以上であり、
    前記水性インクが、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出する方式に適用されるものである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
  9. さらに、遊離銅イオンを含有し、前記第1の官能基に含まれるホスホン酸基に由来する表面電荷量が2.0μmol/m2以上であり、
    前記水性インクが接触する部材を構成する材料に、合成ゴムが含まれる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
  10. 前記合成ゴムが、ウレタンゴムである請求項9に記載の水性インク。
  11. 前記部材が、記録ヘッドの吐出口が形成された面を払拭するためのワイパーである請求項9又は10に記載の水性インク。
  12. 前記自己分散顔料の顔料種が、銅フタロシアニン骨格を有する顔料である請求項8乃至11のいずれか1項に記載の水性インク。
  13. 前記銅フタロシアニン骨格を有する顔料が、C.I.ピグメントブルー15:3及びC.I.ピグメントブルー15:4の少なくとも一方である請求項12に記載の水性インク。
  14. 前記第1の官能基に含まれるホスホン酸基の総数が、インク中の前記遊離銅イオンの含有量に対するモル比率で、10.0倍以上である請求項9乃至13のいずれか1項に記載の水性インク。
  15. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  16. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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