JP2016044236A - インク、インクジェット記録方法、及びインクカートリッジ - Google Patents

インク、インクジェット記録方法、及びインクカートリッジ Download PDF

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賢一 椎葉
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【課題】記録される画像の堅牢性を高めるために有効である樹脂を含有しながらも、記録ヘッドからの珪素化合物の溶出が抑制されるとともに、吐出安定性及び保存安定性が良好であり、かつ、光学濃度が高い画像を記録可能なインクを提供する【解決手段】インクと接触する部材の少なくとも一部が珪素又は珪素化合物により構成されている記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録方法に用いられるインクである。粒子表面に直接又は他の原子団を介してホスホン酸基が結合されている自己分散顔料、アニオン性基を有する樹脂、及び下記一般式(1)(R1及びR2:水素原子又は炭素数1乃至4の炭化水素基、R3:カルボキシ基など)で表される化合物を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクジェット記録方法、及びインクカートリッジに関する。
従来、一般家庭において写真画像やWebページの出力にインクジェット記録装置が用いられている。しかし、近年、画質及び記録速度の向上に伴い、オフィスにおけるビジネス文書の出力など、ビジネス分野においてインクジェット記録装置が使用される機会が増加している。このようなビジネス文書の出力に用いられるインクジェット用のインクは、高い光学濃度を有するとともに、マーカーペンでなぞったり指で擦ったりしても画像が汚れないなどの堅牢性を有する画像を記録しうるインクであることが必要とされている。
色材として顔料を用いた顔料インクで記録した画像の堅牢性を向上させるべく、樹脂を添加した顔料インクの開発が精力的に進められている(特許文献1及び2)。また、光学濃度の高い画像を記録すべく、自己分散顔料及び特定の塩を含有するインクが提案されている(特許文献3)。
一方で、ビジネス分野においては、記録ヘッドの長寿命化に伴い、インクジェット記録装置の記録可能枚数を向上させることが必要とされている。例えば、記録素子基板が珪素により構成されている記録ヘッドは、インクとの接触により、記録素子基板中の珪素又は珪素化合物などが溶出するため、記録枚数の増加に伴ってインクの吐出が次第に困難になることが想定される。このため、記録ヘッドの構成部材から珪素を溶出させにくいインクが要求されている。このような要求に対し、アミノ基を有する酸をインクに配合し、記録ヘッドのヒーター近傍におけるカチオン濃度上昇に伴うpH上昇を抑制して、金属部材の溶出を抑制することが提案されている(特許文献4)。また、単結晶珪素に吸着する性質を有するジイソプロピルスルホンをインクに配合し、インク流路内の単結晶珪素表面に保護層を形成することで、珪素の溶出を抑制することが提案されている(特許文献5)。
特開2004−285344号公報 特開平09−291242号公報 特開2000−198955号公報 特開2002−172847号公報 特開2011−037923号公報
本発明者らは、ビジネス分野の出力物に要求される高い光学濃度及び優れた堅牢性を有する画像を記録すべく、樹脂を含有するインクについて検討を行った。その結果、高い光学濃度を実現するには、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合した自己分散顔料を色材として用いることが有効であることを見出した。
しかし、本発明者らがさらなる検討を行ったところ、ビジネス文書に用いられる様々な普通紙に画像を記録した場合、一部の普通紙には十分な光学濃度を有する画像を記録できないことが判明した。その原因について検討を行ったところ、十分な光学濃度を有する画像を記録できない記録媒体は、いずれもインクの浸透性が高いといった特徴を有することが判明した。
本発明者らは、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合した自己分散顔料と、樹脂とを含有するインクを用いて、インクジェット記録装置の記録ヘッドから長期間にわたって吐出させる試験を行った。その結果、ある過酷な条件下においては、インクの吐出性が低下する場合があることが判明した。一般的に、珪素化合物を含むノズルプレートを備えた記録ヘッドにおいては、珪素基板に貫通口を形成することでインク供給口が形成されている。インク供給口は、サンドブラスト、レーザー加工、ドライエッチングの他、異方性エッチング、又はこれらの組み合わせによる加工により形成される。ある過酷な条件下では、このインク供給口の縁などにおいて珪素の溶解が著しく進行する。そして、珪素の溶解がさらに進行した場合、浸食したインクが記録ヘッドの電気配線に接触してしまい、記録ヘッドの動作不良が引き起こされると考えられる。
そこで本発明者らは、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合した自己分散顔料と、樹脂とを含有するインクを用いる場合における、光学濃度のさらなる向上、及び記録ヘッドからの珪素化合物の溶出抑制について検討を行った。具体的には、上記特許文献において提案された、塩の添加による光学濃度の向上、並びにアミノ基を有する酸及びその塩やジイソプロピルスルホンの添加による珪素化合物の溶解抑制について検討した。
その結果、インクに塩を添加すると記録される画像の光学濃度の向上させる効果は得られるが、珪素化合物の溶解を抑制することはできず、むしろ促進されることが判明した。これは、インク中のカチオン濃度が上昇してしまい、珪素化合物の溶解がより促進されるためと考えられる。このため、アミノ基を有する酸及びその塩、並びにジイソプロピルスルホンなどをインクに添加し、珪素化合物の溶解抑制を試みたが、珪素化合物の溶解抑制効果は乏しく、十分なレベルには至らないことが判明した。以上より、画像の光学濃度の向上と、珪素化合物の溶解抑制との両立は困難である。
したがって、本発明の目的は、樹脂を含有しながらも、記録ヘッドからの珪素化合物の溶出が抑制されるとともに、吐出安定性及び保存安定性が良好であり、かつ、光学濃度が高い画像を記録可能なインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクジェット記録方法、及びインクカートリッジを提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、インクと接触する部材の少なくとも一部が珪素又は珪素化合物により構成されている記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法に用いられるインクであって、粒子表面に直接又は他の原子団を介してホスホン酸基が結合されている自己分散顔料、アニオン性基を有する樹脂、及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインクが提供される。
Figure 2016044236
(前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1乃至4の炭化水素基を表し、R3は、カルボキシ基、メチレン基を介して結合したスルホン酸基、又はメチレン基を介して結合したスルフィノ基を表す)
本発明によれば、記録される画像の堅牢性を高めるために有効である樹脂を含有しながらも、記録ヘッドからの珪素化合物の溶出が抑制されるとともに、吐出安定性及び保存安定性が良好であり、かつ、光学濃度が高い画像を記録可能なインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクジェット記録方法、及びインクカートリッジを提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。以下、珪素又は珪素化合物のことをまとめて「珪素」と記載することがある。また、樹脂の構成成分について、「ユニット」と記載した場合には、ユニットを構成する繰り返し単位が1つの場合を指すものとする。
本発明者らは、光学濃度が高い画像を記録可能なインクを提供すべく、種々の検討を行った。その結果、光学濃度の高い画像を記録するには、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料を色材として用いることが最適であることを見出した。
ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料を色材として用いることで、光学濃度の高い画像を記録可能となる理由については以下のように推測される。光学濃度の高い画像を普通紙に記録するには、以下に示す(i)及び(ii)の条件を満たすことが特に重要であると考えられる。
(i)記録媒体(普通紙)上に顔料を効果的に存在させること。
(ii)顔料層の表面を荒らして光を多く取り込み、反射光を減らすこと。
自己分散顔料を含有するインクが記録媒体に付与されると、記録媒体中の無機金属やカチオン成分と自己分散顔料が反応して顔料間の静電反発が解かれ、顔料が速やかに凝集する。これにより、記録媒体の表面上に多くの顔料が残る。これに対して、樹脂分散剤により顔料を分散させた樹脂分散顔料を含有するインクが記録媒体に付与されると、樹脂分散剤が不溶化して顔料間の静電反発が解かれて顔料は凝集するが、樹脂分散剤は部分的に顔料間に存在することになる。すなわち、立体障害により顔料が凝集しづらくなるため、自己分散顔料を含有するインクに比べて顔料の凝集速度が遅くなると考えられる。普通紙に記録する場合、顔料の凝集速度が遅くなると普通紙に顔料が沈みやすくなるため、普通紙の表面上に顔料を残留させにくくなる。また、不溶化した樹脂分散剤が顔料層の表面に部分的に残存するため、顔料層の表面粗さが軽減されてしまい、反射光がより増加する。
すなわち、樹脂分散顔料に比べて、自己分散顔料の方が前述の条件(i)及び(ii)について優位性を有するため、光学濃度の高い画像を記録するのに適した色材であると考えられる。さらに、自己分散顔料の官能基に含まれるホスホン酸基は、記録媒体中の無機金属やカチオン成分(特にカルシウムなど)との反応性が高い。このため、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料を含有するインクが記録媒体に付与すると、顔料は速やかに凝集する。その結果、記録媒体の表面上に顔料が多く残留し、光学濃度の高い画像を記録することができると考えられる。
また、検討の結果、記録される画像の堅牢性を高めるための樹脂として、アニオン性基を有する樹脂を用いることで、十分な吐出安定性と保存安定性を有するインクとなることが判明した。以下、その詳細について説明する。
まず、記録される画像の堅牢性を高めるために、樹脂が有効である理由について、本発明者らは以下のように推測している。インク中においては、樹脂の骨格中の疎水性部位と顔料表面の疎水部とが疎水性相互作用するので、樹脂はインク中では顔料に吸着した状態で存在すると考えられる。記録媒体に付与されたインクが定着するまでの過程において、記録媒体中の無機金属との反応で顔料が凝集する際、顔料粒子間や顔料と記録媒体との間に樹脂が取り込まれた状態で凝集する。このため、形成される顔料層の強度が高まるとともに、顔料層と記録媒体の表面との結着力も向上している。その結果、顔料層の物理的強度が高まるため、画像の堅牢性が向上すると考えられる。
また、アニオン性基によって親水性が付与されている樹脂は、水性インク中で安定に存在しうる。このため、アニオン性基を有する樹脂を含有するインクは吐出安定性が高い。また、本来、自己分散顔料は、その分散のために樹脂分散剤を必要としないが、アニオン性基を有する樹脂が共存すると分散状態がより安定化されるため、インクの保存安定性が高まる。
以上の理由により、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料と、アニオン性基を有する樹脂とを含有するインクは、十分な吐出安定性及び保存安定性が保持される。しかも、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料と、アニオン性基を有する樹脂とを含有するインクを用いれば、光学濃度が高い画像を記録することができる。
しかし、上記の構成を有するインクであっても、ビジネス文書に用いられる様々な普通紙に記録した場合、一部の普通紙においては十分な光学濃度を有する画像を記録できないことが判明した。その原因について検討したところ、十分な光学濃度を有する画像を記録できなかった普通紙は、インクの浸透性が高いといった特徴を有することがわかった。インクの浸透性が高い普通紙などの記録媒体に十分な光学濃度を有する画像を記録できない理由について、本発明者らは以下のように推測している。
インクが記録媒体に付与されると、インク中の顔料は記録媒体中の無機金属やカチオン成分と反応し、凝集する。顔料の凝集性が高いほど、記録媒体の表面上に多くの顔料を残存させることができ、より光学濃度の高い画像を記録することができる。また、樹脂の少なくとも一部は顔料に吸着する。顔料に樹脂が吸着することで顔料の分散安定性が向上し、記録媒体上における顔料の凝集速度が低下すると考えられる。インクの浸透性が低い記録媒体については、顔料の凝集速度が低下した場合であっても、記録媒体の表面上でのインク滴の滞留時間は長く保たれるため、顔料は記録媒体中の無機金属などと十分反応することができる。これに対して、インクの浸透性が高い記録媒体については、インク滴の滞留時間が短くなるため、顔料の凝集速度が低下すると記録媒体の表面上に残存する顔料の量が著しく減少すると考えられる。そのため、浸透性の高い記録媒体では十分な光学濃度が得られにくいと考えている。
さらに、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料と、アニオン性基を有する樹脂とを含有するインクは、記録ヘッドを構成する珪素化合物などからなる部材を顕著に溶解させることが判明した。上記の構成を有するインクが記録ヘッドを構成する珪素化合物などからなる部材を溶解させてしまう理由について、本発明者らは以下のように推測している。
アニオン性基を有する樹脂をインクに配合する場合、樹脂を親水化するためにアニオン性基をアルカリにより中和することが一般的である。このため、アニオン性基を有する樹脂を含有するインクには、中和に用いられたアルカリがある程度含まれることになる。このアルカリに由来する水酸化物イオンが珪素化合物にアタックすることで原子間の結合が切断され、珪素化合物の分解物がインク中に溶出すると考えられる。本発明者らが、ある程度の酸価を有する樹脂を含有する水溶液に珪素の単結晶膜を浸漬し、高温条件下で保存したところ、単結晶膜の膜厚が減少することが判明した。
一方、インクジェット用のインクに一般的に用いられている水溶性有機溶剤を含有する水溶液に珪素の単結晶膜を浸漬し、高温条件下で保存したところ、単結晶膜の膜厚はほとんど減少しないことが判明した。これは、珪素化合物にアタックする水酸化物イオンが、水溶性有機溶剤中の微量の多価金属を含むルイス酸にトラップされることで、珪素の溶出が抑制されるためであると考えられる。このため、樹脂を含有する従来のインクであっても、水溶性有機溶剤が共存する場合は珪素の溶出が抑制されていたと考えられる。
但し、水溶性有機溶剤が共存していても、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料と、アニオン性基を有する樹脂とを併用することで、珪素の溶出が顕著に生じることがわかった。これは、ルイス酸がホスホン酸基でキレート化されたために、水酸化物イオンがフリーとなって珪素にアタックしたためであると考えられる。本発明者らが、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料と、アニオン性基を有する樹脂と、水溶性有機溶剤とを含有するインクに珪素の単結晶膜を浸漬し、高温条件下で保存したところ、単結晶膜の膜厚が減少することが判明した。
そして、本発明者がさらに検討を行ったところ、一般式(1)で表される化合物を用いることで、インクの浸透性が高い記録媒体においても光学濃度の高い画像を記録可能であるとともに、記録ヘッドからの珪素化合物の溶出が抑制されることを見出した。一般式(1)で表される化合物を用いることで、得られる画像の光学濃度が向上するとともに、記録ヘッドからの珪素化合物の溶出が抑制されるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。一般式(1)で表される化合物は、その分子中にアニオン性基とカチオン性基を有する。このため、一般式(1)で表される化合物は、インク中で両性イオンとして安定に存在している。記録媒体に付与されたインクは、インク中のアニオン成分と、記録媒体中の無機金属やカチオン成分との反応により速やかに定着する。しかし、インクが定着する過程において一般式(1)で表される化合物はアニオン性を失い、一時的にカチオン化すると推測される。前述の通り、自己分散顔料の官能基に含まれるホスホン酸基は、無機金属やカチオン成分との反応性が極めて高いため、インク中で新たに発生するカチオン成分に対しても敏感に反応すると考えられる。すなわち、一般式(1)で表される化合物をインクに含有させることで、記録媒体上における顔料の凝集性が高まる結果、得られる画像の光学濃度が向上すると考えられる。
特許文献3などで提案されたインクに塩を添加することによる画像の光学濃度の向上は、インクの水分蒸発時に顔料の周囲における電気二重層の圧縮が促され、顔料の分散状態が不安定化されることで発現する効果であると考えられる。これに対して、本発明のインクにおけるアニオン成分とカチオン成分との反応は、インクの水分蒸発を伴わずとも即座に進行する反応であるため、顔料の凝集速度に関して優位性を有すると考えられる。
なお、一般式(1)で表される化合物は、無機金属原子に配位結合可能な原子を持ったアニオン性基とカチオン性基を有する。無機金属原子に配位結合可能な原子としては、カチオン性基であれば窒素原子を挙げることができ、アニオン性基であれば酸素原子を挙げることができる。珪素化合物の溶出が抑制される理由としては、無機金属原子に配位結合可能なこれらの原子が、珪素化合物の珪素とキレートを形成し、水酸化物イオンのアタックをブロックするためであると考えられる。
さらに、一般式(1)で表される化合物は、5員環構造又は6員環構造を有するキレートを形成すると考えられる。キレート剤の配位は、一般的に、3員環や4員環よりも、5員環や6員環の方が安定である。これは、形成されるキレート構造のひずみの程度に基づく順列であるが、実際に検討した材料のなかでもエチルスルホンやプロピルスルホン(4員環を形成)については十分な効果を得ることができなかった。
一般式(1)で表される化合物は、金属原子に対して配位可能な部位を2つ有する、いわゆる2座のキレート剤として機能すると考えられる。例えば、3座のキレート剤であるリシンを用いた場合には、十分な効果を得ることができない。また、4座又は6座のキレート剤であるエチレンジアミン四酢酸を用いた場合には、珪素化合物の溶解がより促進される。すなわち、多座配位可能な化合物はキレート効果が乏しいため、珪素化合物の溶解を抑制する効果が得られない、又はキレート効果が高すぎるため、珪素−珪素間結合や珪素−酸素間結合を弱めてしまい、珪素化合物が溶出しやすくなると考えられる。したがって、2座のキレート剤として機能しうる一般式(1)で表される化合物が、珪素類の溶出を抑制するための成分として好適である。以上のことから、記録される画像の光学濃度を向上させるとともに、記録ヘッドからの珪素化合物の溶出を抑制するために、本発明のインクには、以下に示す(i)〜(iii)の条件を満たす一般式(1)で表される化合物を含有させる。
(i)両性イオンとなりうる。
(ii)5員環又は6員環のキレート形成が可能な構造を有する。
(iii)2座のキレート剤として機能しうる。
<インク>
本発明のインクは、インクと接触する部材の少なくとも一部が珪素又は珪素化合物により構成されている記録ヘッドを用い、この記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法に用いられるインクである。以下、本発明のインクを構成する各成分について詳細に説明する。
(顔料)
本発明のインクの構成成分である顔料は、粒子表面に直接又は他の原子団を介してホスホン酸基が結合されている自己分散顔料である。ホスホン酸基は、一般式:−PO(OM)2で表される親水性基である。ホスホン酸基には、その一部又は全部が解離した状態のものも含まれる。すなわち、ホスホン酸基は、−PO32(酸型)、−PO3-+(一塩基塩)、及び−PO3 2-(M+2(二塩基塩)のいずれの状態のものであってもよい。これらの一般式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)としては、例えば、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;その他、アミド基、スルホニル基、アミノ基、イミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、及びこれらの基を組み合わせた基などを挙げることができる。
顔料種としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドンなどの有機顔料;などを用いることができる。また、調色などの目的のために、顔料に加えて染料などを併用してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
自己分散顔料の表面電荷量は、0.10mmol/g以上であることが好ましい。自己分散顔料の表面電荷量が0.10mmol/g未満であると、アニオン性基が少ないため、記録媒体中のカチオン成分との相互作用がやや弱くなり、光学濃度がやや低下する場合がある。また、自己分散顔料の表面電荷量は、0.50mmol/g以下であることが好ましい。表面電荷量は、顔料の粒子表面に結合したホスホン酸基の導入量の指標となる物性値であり、顔料1g当たりのホスホン酸基の量(mmol)を表す。本発明において、自己分散顔料の表面電荷量はコロイド滴定により求める。後述の実施例では、流動電位滴定ユニット(商品名「PCD−500」、京都電子工業製)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用し、電位差を利用したコロイド滴定により自己分散顔料の表面電荷量を測定した。滴定試薬としては、メチルグリコールキトサンを用いた。
[検証方法]
インクジェット用のインクに用いる色材としては、顔料の粒子表面に親水性基が結合した自己分散顔料の他に、顔料の粒子表面に樹脂分散剤などの分散剤が物理吸着した樹脂分散顔料などがある。本発明者らの検討の結果、インク中の顔料の分散形態を判別するには、以下の方法を用いることが有効であることが判明している。すなわち、インク中の顔料を酸により析出させた後、再分散させることが可能なものが自己分散顔料であり、再分散しないものを樹脂分散顔料として判別することができる。
また、ICP発光分析装置を用いてリンを定量することで、自己分散顔料の粒子表面に結合した親水性基がホスホン酸基であるか否かを判断することができる。そもそも、親水性基としてホスホン酸基が結合していない場合、リンは他の2価以上の金属元素と同程度の量しかインクから検出されない。リンが他の金属元素と比較して明らかに多く含まれる場合、親水性基としてホスホン酸基が結合していると判断することができる。より詳細には、NMRなどを用いて分析することで、ホスホン酸基の有無を確認することができる。
(一般式(1)で表される化合物)
本発明のインクは、下記一般式 (1)で表される化合物を含有する。
Figure 2016044236
(前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1乃至4の炭化水素基を表し、R3は、カルボキシ基、メチレン基を介して結合したスルホン酸基、又はメチレン基を介して結合したスルフィノ基を表す)
一般式(1)中のR1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1乃至4の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基を挙げることができる。アルキル基は、直鎖状と分岐状のいずれであってもよく、フェニル基などのアリール基が置換していてもよい。一般式(1)中のR3は、カルボキシ基、メチレン基を介して結合したスルホン酸基、又はメチレン基を介して結合したスルフィノ基を表す。
一般式(1)で表される化合物は、前述の通り、以下に示す(i)〜(iii)の条件を満たす化合物である。
(i)両性イオンとなりうる。
(ii)5員環又は6員環のキレート形成が可能な構造を有する。
(iii)2座のキレート剤として機能しうる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、アラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、タウリン、ヒポタウリンなどを挙げることができる。これらの化合物のなかでも、特に、アラニン、グリシン、タウリン、及びヒポタウリンからなる群より選択される少なくとも1種が、珪素類の溶解抑制効果が高いために好ましい。これらの化合物は、一般式(1)中のR1及びR2が水素原子又はメチル基の化合物であり、メチル基以外の炭化水素基が結合した比較的嵩高い構造を有する化合物に比べて立体障害が発生しにくい。このため、珪素化合物の表面により効率的に配位できると考えられる。
インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.02質量%以上5.00質量%以下であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物の含有量が0.02質量%未満であると、少なすぎるため、珪素類の溶解抑制効果が十分に得られない場合がある。一方、一般式(1)で表される化合物の含有量が5.00質量%を超えると、記録ヘッドの吐出口周辺で、一般式(1)で表される化合物に由来する析出物が生ずる場合がある。このため、吐出安定性がやや低下する場合がある。
インク全質量を基準とした、自己分散顔料の含有量(質量%)は、一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)に対する質量比率で、70倍以下であることが好ましい。70.0倍超であると、一般式(1)で表される化合物の量が自己分散顔料の量に対して少なすぎるため、光学濃度の向上効果が十分に得られない場合がある。なお、インク全質量を基準とした、自己分散顔料の含有量(質量%)は、一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.1倍以上であることが好ましい。
(アニオン性基を有する樹脂)
本発明のインクは、アニオン性基を有する樹脂(以下、単に「樹脂」とも記す)を含有する。樹脂としては、インクジェット用のインクに一般的に配合される天然高分子、合成高分子、又は新規に開発された合成高分子など、いかなる樹脂であっても制限なく使用することができる。
インク中における樹脂の状態は、水性媒体に溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。記録ヘッドの吐出口が形成された面に対するインクの接触角が高くなるとともに、吐出口面上でのインク濡れ広がりによる吐出精度の低下が起こりにくいため、アニオン性基を有する水溶性樹脂を用いることが好ましい。なお、本発明における「水溶性樹脂」とは、酸価と当量のアルカリで中和した場合に、粒径を測定しうる粒子を水中で形成しない樹脂を意味する。なかでも、酸価が40mgKOH/g以上の水溶性樹脂を用いることが好ましい。また、水溶性樹脂中のアニオン性基は、塩を形成していてもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のカチオン;アンモニウムイオン(NH4 +);ジメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アンモニウムのカチオンなどを挙げることができる。
使用しうる樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂などを挙げることができる。なかでも、インクに吐出安定性及び保存安定性を付与できることから、アクリル樹脂及びウレタン樹脂が好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。
インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
[アクリル樹脂]
アクリル樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを有する共重合体を用いることが好ましい。
重合により親水性ユニットとなるモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのカルボン酸基を有する酸モノマー;スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミドスルホン酸などのスルホン酸基を有する酸モノマー;(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する酸モノマー;これらの酸モノマーの無水物や塩などを挙げることができる。なお、酸モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のカチオン;アンモニウムイオン(NH4 +);ジメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アンモニウムのカチオンなどを挙げることができる。本発明においては、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットを有する水溶性樹脂を用いることが好ましい。
また、重合により疎水性ユニットとなるモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマーなどを挙げることができる。本発明においては、脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルや、芳香環を有するモノマーに由来する疎水性ユニットを有する水溶性樹脂を用いることが好ましい。
[ウレタン樹脂]
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られるものを好適に用いることができる。これらに加えて、鎖延長剤や架橋剤となる成分をさらに反応させたものであってもよい。
ポリオールとしては、アニオン性基含有ジオールなどの短鎖ポリオール;ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの長鎖ポリオールなどを挙げることができる。短鎖ポリオールはウレタン樹脂のハードセグメントとなり、なかでもアニオン性基含有ジオールに由来するユニットは、ウレタン樹脂の酸価を調整するために好適に使用することができる。また、長鎖ポリオールはウレタン樹脂のソフトセグメントとなるため、ウレタン樹脂の柔軟性を高め、画像の堅牢性を向上するために好適に使用することができる。
アニオン性基を有するジオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などの酸基含有するジオールを挙げることができる。なかでも、アニオン性基を有するジオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などのカルボン酸基を有するジオールが好ましい。さらには、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。
長鎖ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖のポリオールは、アニオン性基をさらに有していてもよい。本発明においては、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、酸エステルを挙げることができる。酸エステルを構成する酸成分(アニオン性成分)としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;前記芳香族ジカルボン酸の水素添加物などの脂環族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。また、これらのアニオン性成分の無水物、誘導体(アルキルエステル、及び酸ハライド)などもアニオン性成分として用いることができる。
また、アニオン性成分とエステルを形成する成分としては、(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;ジオール、トリオールなどの多価アルコール類;などが挙げられる。(ポリ)アルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(1,2−ブチレングリコール)、ポリ(1,3−ブチレングリコール)、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。ジオールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。これらのポリエステルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキサイド及び多価アルコール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類などを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。多価アルコール類やグリコール類としては、上記のポリエステルポリオールを構成する成分として例示したものが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートポリオールを用いることができる。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのアルカンジオール系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分やホスゲンと、脂肪族ジオール成分と、を反応させて得られるポリカーボネートジオールを挙げることができる。これらのポリカーボネートジオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、ウレタン樹脂のハードセグメントを形成し、疎水性ユニットとなるポリイソシアネートとしては、脂肪族、及び芳香族のポリイソシアネートなどを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネートを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
ウレタン樹脂には、鎖延長剤や架橋剤が用いられていてもよい。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤はプレポリマーの合成後に鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、鎖延長剤や架橋剤としては、鎖延長や架橋など所望の用途に応じて、上記で挙げたものを含めた、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーのポリイソシアネートユニット中のウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。上記で挙げたもの以外で、好適に用いることができる鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどを挙げることができる。これらの鎖延長剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、ウレタン樹脂を架橋構造とするために、3官能以上の鎖延長剤を用いることができる。ウレタン樹脂を架橋構造にすることができる鎖延長剤としては、上記で挙げたもの以外に、トリメチロールメラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどを挙げることができる。なかでも、イソシアネート基との反応性に優れていることから3官能以上のポリアミンを用いることが好ましい。3官能以上のポリアミンのなかでも、特にジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンを用いることが好ましい。ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンは、それぞれアミノ基が3つ又は4つであるため、効率良く残存イソシアネート基と反応して架橋構造を形成しうるとともに、適度に柔軟な分子構造を有するためである。
[樹脂の物性、検証方法]
アクリル樹脂は、インクの吐出安定性と保存安定性が好適となることから、酸価100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下のアクリル樹脂であることが好ましい。また、ウレタン樹脂は、インクの吐出安定性と保存安定性が好適となることから、酸価40mgKOH/g以上140mgKOH/g以下のウレタン樹脂であることが好ましい。
インク中の樹脂の酸価は、以下に示す方法にしたがって測定することができる。まず、インクを80000rpmで遠心分離し、固形分を除去して上澄み液を得る。得られた上澄み液に塩酸(HCl)などの酸を添加して析出させた樹脂を乾燥させて樹脂の乾燥物を得る。または、上記の遠心分離によって得た沈殿物から溶媒抽出により分離した樹脂を乾燥させて樹脂の乾燥物を得る。得られた樹脂の乾燥物をテトラヒドロフランに溶解し、水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定により、樹脂の酸価を測定することができる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水性媒体として水を含有する水性のインクであることが好ましい。水性媒体としては、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒などを用いることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はない。水溶性有機溶剤としては、例えば、1価のアルコール、多価のアルコール、(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインクには、上記の各成分以外にも必要に応じて、常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。常温で固体の水溶性有機化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類;尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などを挙げることができる。さらに、本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、インク収容部に収容されているインクが、本発明のインクである。インク収容部としては、例えば、負圧発生部材収容室、及びインク収容室が形成されたものなどである。負圧発生部材収容室はその内部に負圧発生部材が収容されており、前記負圧発生部材にインクを含浸させた状態でインクを保持することができるように構成されている。負圧発生部材としては、例えば、毛管力を備えた繊維集合体(スポンジなど)などである。一方、インク収容室はその内部に負圧発生部材が収容されておらず、インクは負圧発生部材に含浸されていない状態でインク収容室に収容される。ただし、インク収容部は負圧発生部材収容室及びインク収容室のいずれか一方が形成されていないものであってもよい。負圧発生部材収容室のみが形成されたものの場合、インクの全量が負圧発生部材に含浸された状態で保持される。一方、負圧発生部材収容室が形成されておらず、インク収容室のみが形成されたものの場合、インクの全量が負圧発生部材に含浸されていない状態でインク収容室に収容される。さらに、本発明のインクカートリッジには、インク収容部に加えて、記録ヘッドを有する構造のものも含まれる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録する方法であって、前記インクが、本発明のインクであることを特徴とするものである。インクを吐出する方式としては、力学的エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するピエゾ方式や、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するサーマル方式が知られている。ただし、本発明においては、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するサーマル方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
記録ヘッドとしては、インクと接触する部材の少なくとも一部が珪素又は珪素化合物により構成されている記録ヘッドを用いる。珪素化合物としては、例えば、珪素の窒化物、酸化物、炭化物などである。珪素又は珪素化合物により構成される記録ヘッドの構成部材としては、例えば、記録素子基板、インク流路、オリフィスプレート又は吐出圧力発生素子である振動板などである。記録素子基板は珪素基板に貫通口であるインク供給口が形成された部材である。インク供給口は、例えば、サンドブラスト、レーザー加工、ドライエッチング、結晶異方性ウェットエッチング、又はこれらを組み合わせた加工方法を用いて、珪素基板に形成することが可能である。また、これらの部材に、珪素化合物の膜(例えば、窒化珪素膜や酸化珪素膜、炭化珪素膜など)が形成されている記録ヘッドなどにも本発明を適用可能である。さらに、基板上に形成された素子を保護するための保護膜として、珪素又は珪素化合物の膜が形成された記録ヘッドなどにも本発明を適用可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(自己分散顔料の表面電荷量)
流動電位滴定ユニット(商品名「PCD−500」、京都電子工業製)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用し、電位差滴定により、顔料分散液中の自己分散顔料の表面電荷量を測定した。滴定試薬としては、メチルグリコールキトサンを用いた。
(顔料分散液1〜6)
表1に示す使用量の顔料、処理剤、硝酸、及び純水200mLを混合し、シルヴァーソン混合機を用いて、室温条件下、回転数4,000rpmにて30分間混合して混合物を得た。処理剤としては、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸ナトリウム塩を用いた。また、顔料のうち、カーボンブラックとしては、商品名「Black Pearls880」(キャボット製)を用いた。得られた混合物に、表1に示す量の亜硝酸ナトリウムを少量の水に溶解させた水溶液をゆっくり添加して混合した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後に純水20mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションして、顔料の含有量が10.0%の分散液を得た。このようにして、カウンターイオンがナトリウムである((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が水中に分散した状態の顔料分散液を得た。表1には自己分散顔料の表面電荷量も示す。
Figure 2016044236
(顔料分散液7)
水5.5gに濃塩酸17.7mmolを溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノフタル酸2.4mmolを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、溶液を撹拌することにより常に10℃以下に保った状態とし、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム6.2mmolを溶かした溶液を加えた。さらに15分間撹拌後、顔料(カーボンブラック、商品名「Black Pearls880」、キャボット製)6.0gを撹拌下で加えた。さらに15分間撹拌後、得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料の含有量が10.0%となるようにして、分散液を得た。このようにして、カウンターイオンがナトリウムイオンであるフタル酸基が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が水中に分散した状態の顔料分散液7を得た。自己分散顔料の表面電荷量は0.10mmol/gであった。
(顔料分散液8)
スルファニル酸7.2mmolを熱水に溶かして得た溶液、及び顔料(カーボンブラック、商品名「Black Pearls880」、キャボット製)25.0gを混合し、液温が30℃になるまで撹拌した。濃塩酸18.8mmolを加えた後、亜硝酸ナトリウム7.0molを少量の水に溶かした溶液を1時間かけて加えた。泡の発生が止まって泡が消えた後、純水を加えて撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液を加え、液体のpHを9に調整してスラリーを得た。得られたスラリーをポアサイズ1.2μmのフィルターでろ過した後、オーブン中で、顔料の含有量が10.0%になるまで水を蒸発させた。ポアサイズ1.2μmのフィルターでろ過して、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、カウンターイオンがナトリウムイオンであるベンゼンスルホン酸基が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が水中に分散した状態の顔料分散液8を得た。自己分散顔料の表面電荷量は0.10mmol/gであった。
<樹脂の合成>
(樹脂1〜4)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル200部を入れ、窒素ガスを導入し、撹拌下で温度130℃に昇温した。表2に示す使用量(単位:部)の単量体、及び重合開始剤(t−ブチルパーオキサイド)4.0部の混合物をフラスコに3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧により除去して、固形の樹脂を得た。得られた樹脂の酸価と当量の水酸化カリウム及びイオン交換水を加えて、温度80℃で溶解させることで、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である各樹脂を含む水溶液を得た。表2には各樹脂の酸価も示す。なお、表2の略記号は、St:スチレン、BA:ブチルアクリレート、BzMA:ベンジルメタクリレート、MAA:メタクリル酸、AA:アクリル酸である。
Figure 2016044236
(樹脂5〜8)
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコに、表3に示す使用量(単位:部)の単量体、及びメチルエチルケトン300部を入れ、窒素ガス雰囲気下、温度80℃で6時間反応させた。その後、表3に示す使用量(単位:部)の鎖延長剤(エチレンジアミン)を添加し、温度80℃で反応させた。温度40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら、水酸化カリウム水溶液を添加した。加熱減圧によりメチルエチルケトンを留去して、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である各樹脂を含む水溶液を得た。表3には各樹脂の酸価も示す。なお、表3の略記号は、IPDI:イソホロンジイソシアネート、PPG:ポリプロピレングリコール(数平均分子量:2000)、DMPA:ジメチロールプロピオン酸である。
Figure 2016044236
<インクの調製>
表4−1〜4−4の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズが3.0μmであるミクロフィルター(富士フイルム製)を用いて加圧ろ過して、各インクを調製した。なお、表4−1〜4−4中の「アセチレノールE−100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。また、「染料水溶液」としては、アビシア製のブラック染料である商品名「プロジェットファストブラック2」の10.0%水溶液を用いた。表4−1〜4−4の下段には、インク中の顔料の含有量A(%)、一般式(1)で表される化合物の含有量B(%)(「一般式(1)の含有量B(%)」と表記)、A/Bの値(倍)も示した。
Figure 2016044236
Figure 2016044236
Figure 2016044236
Figure 2016044236
<評価>
本発明においては、以下に示す評価基準で、「AAA」、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
(溶解抑制)
インク中の珪素濃度をICP発光分析装置(商品名「SPS5100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー製)を用いて測定した。インクジェット記録装置(商品名「PIXUS MX7600」、キヤノン製)の記録ヘッドのインク流路を各インクで満たし、インクの蒸発を防止するためのキャップで記録ヘッドの吐出口面を覆った状態として、温度60℃の環境に3か月放置した。その後、記録ヘッドのインク流路内に満たされていたインクを、ロータリーポンプを用いて抜き取った。そして、抜き取ったインク中の珪素濃度を上記と同様にして測定した。試験前後のインク中の珪素濃度の比(試験後/試験前)を算出し、以下に表す評価基準にしたがって珪素の溶出抑制を評価した。
AA:珪素濃度の比が1.05倍未満であった。
A:珪素濃度の比が1.05倍以上1.20倍未満であった。
B:珪素濃度の比が1.2倍以上2.00倍未満であった。
C:珪素濃度の比が2.00倍以上であった。
(光学濃度)
各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置に搭載した。インクジェット記録装置としては、商品名「PIXUS MX7600」(キヤノン製)を、塗布液を利用しないように改造したものを用いた。普通紙(商品名「PPC用紙Xerox 4200」、ゼロックス製)に、記録デューティが100%である、2cm×2cmのベタ画像を記録した。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%とした。1滴当たりの吐出量は、ブラックインクが28ng±10%以内、カラーインクが5.8ng±10%以内とした。本実施例では、以下に示す(i)及び(ii)の条件で記録したベタ画像を記録デューティが100%であると定義する。
(i)ブラックインクの場合、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たり約28ngのインクを1滴付与する条件
(ii)カラーインクの場合、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たり約5.8ngのインクを4滴付与する条件
得られた記録物を1日自然乾燥させた後、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いてベタ画像の光学濃度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって光学濃度を評価した。なお、色材がカラー顔料である場合には、括弧内の数値を利用した。
AAA:光学濃度が1.25以上(1.10以上)であった。
AA:光学濃度が1.15以上1.25未満(1.05以上1.10未満)であった。
A:光学濃度が1.10以上1.15未満(1.00以上1.05未満)であった。
B:光学濃度が1.05以上1.10未満(0.80以上1.00未満)であった。
C:光学濃度が1.05未満(0.80未満)であった。
(吐出安定性)
各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP3100」、キヤノン製)にセットした。A4サイズの記録媒体(PPC用紙、商品名「GF−500」、キヤノン製)に、19cm×26cmで、記録デューティが100%であるベタ画像を2枚記録した後、30分記録せず、再び同様の画像を2枚記録する、という手順を1サイクルとした。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%とした。1滴当たりの吐出量は、ブラックインクが28ng±10%以内、カラーインクが5.8ng±10%以内とした。本実施例では、以下に示す(i)及び(ii)の条件で記録したベタ画像を記録デューティが100%であると定義する。
(i)ブラックインクの場合、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たり約28ngのインクを1滴付与する条件
(ii)カラーインクの場合、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たり約5.8ngのインクを4滴付与する条件
上記のサイクルを10回繰り返した後、インクジェット記録装置のノズルチェックパターンを1枚記録して、得られたノズルチェックパターンを目視で確認した。また、記録後に記録ヘッドを取り外し、吐出口周辺の付着物を顕微鏡で観察して、以下に示す評価基準にしたがって吐出安定性を評価した。
AA:付着物の発生がなく、ノズルチェックパターンに乱れもなかった。
A:付着物がわずかに発生していたが、ノズルチェックパターンには乱れがなかった。
B:付着物がわずかに発生しており、ノズルチェックパターンにも若干の乱れがあった。
C:付着物が多く発生しており、ノズルチェックパターンに不吐出があった。
(保存安定性)
各インクの粘度を測定した。そして、各インクをポリテトラフロオロエチレン製の容器に入れて密閉した。この容器を温度80℃のオーブン中で10日間保存した後、常温に戻してインクの粘度を測定した。インクの粘度は、粘度計(商品名「RE80型粘度計」、東機産業製)を用いて、温度25℃、50rpmで測定した。そして、保存前後のインクの粘度を比較し、以下に示す評価基準にしたがってインクの保存安定性を評価した。
A:粘度の上昇率が1%未満であった。
B:粘度の上昇率が1%以上5%未満であった。
C:粘度の上昇率が5%以上であった。
Figure 2016044236

Claims (9)

  1. インクと接触する部材の少なくとも一部が珪素又は珪素化合物により構成されている記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法に用いられるインクであって、
    粒子表面に直接又は他の原子団を介してホスホン酸基が結合されている自己分散顔料、アニオン性基を有する樹脂、及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインク。
    Figure 2016044236
    (前記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1乃至4の炭化水素基を表し、R3は、カルボキシ基、メチレン基を介して結合したスルホン酸基、又はメチレン基を介して結合したスルフィノ基を表す)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.02質量%以上5.00質量%以下である請求項1に記載のインク。
  3. 前記自己分散顔料の表面電荷量が、0.10mmol/g以上である請求項1又は2に記載のインク。
  4. インク全質量を基準とした、前記自己分散顔料の含有量(質量%)が、前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)に対する質量比率で、70倍以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. 前記一般式(1)で表される化合物が、アラニン、グリシン、タウリン、及びヒポタウリンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
  6. 前記アニオン性基を有する樹脂が、酸価100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下のアクリル樹脂を含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
  7. 前記アニオン性基を有する樹脂が、酸価40mgKOH/g以上140mgKOH/g以下のウレタン樹脂を含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
  8. インクと接触する部材の少なくとも一部が珪素又は珪素化合物により構成されている記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. インクと、前記インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
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