JP5906034B2 - インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット用インク、かかるインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
記録媒体に顔料インクを用いて記録を行った画像は、画像を観察する角度により、画像に記録されている顔料本来の色と異なる色に見えてしまう現象(ブロンズ現象)が発生する。これは、画像を形成する顔料層の表面において光が屈折する際に、その屈折率が可視光域の波長によって異なることが原因で発生するものである。
従来、このブロンズ現象を解決する手段として、無機微粒子や水不溶性のポリマー微粒子を顔料インク中に含有する方法が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。特許文献1には、無機微粒子として二酸化チタン顔料を顔料インク中に更に含有することで画像のブロンズ現象が改善されることが開示されている。特許文献2には、水不溶性の架橋ポリマー粒子を含有する水性顔料インクにより、画像のブロンズ現象と光沢度が改善されることが開示されている。また、顔料粒子を水不溶性のポリマーで被覆したコアシェル型顔料を用いる方法も提案されている(特許文献3)。特許文献3には、水不溶性の架橋ポリマーで被覆されたコアシェル型顔料を含有するインクにより、画像のブロンズ現象と光沢度が改善されることが開示されている。これらは、無機微粒子や水不溶性のポリマーが表面屈折率に波長依存性がないことを利用して、画像を形成した際に、これらの微粒子が顔料粒子を取り囲むように存在することで、画像表面での屈折率のばらつきを抑えるものである。
特開2005−179482号公報 特開2008−63500号公報 特開2008−88427号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、無機微粒子や水不溶性のポリマーを用いる従来の方法では、画像のブロンズ現象は改善されるものの、無機微粒子や水不溶性のポリマーを用いなかった場合と比較して、画像の光沢度が低下する。更に、インクの保存安定性や吐出安定性が非常に低いことが分かった。
特許文献1のように、無機微粒子を用いた場合、無機微粒子と顔料は何れも疎水性であるため疎水性相互作用により凝集しやすく、無機微粒子の分散の制御が難しいため、記録領域の全体にわたって無機微粒子を均一に存在させることが困難である。したがって、記録面の凹凸が多くなり、画像の光沢度は大きく低下する。また、無機微粒子は水に不溶な上に比重が大きいため、インクカートリッジ内や吐出口付近に沈殿しやすい。更に、インク中において、無機微粒子と顔料は疎水性相互作用により凝集しやすいため、インクの保存安定性と吐出安定性が非常に低い。特許文献2のように、水不溶性のポリマー微粒子を用いた場合は、無機微粒子の場合と同様の理由により、インクの保存安定性と吐出安定性が非常に低い。画像の光沢度に関しては、最低造膜温度以上の温度ではポリマー微粒子同士が融着するため、無機微粒子を用いた場合と比較して、記録面の凹凸は抑制されるが、画像の光沢度は低下してしまい、不十分である。
特許文献3のように、水不溶性の架橋ポリマーで被覆したコアシェル型顔料を用いた場合は、コアシェル型顔料自体は疎水性であるため、インクの保存安定性と吐出安定性が低い。また、疎水性のコアシェル型顔料同士が凝集しやすく、分散の制御が難しいため、画像の光沢度は低下してしまい、不十分である。
したがって、本発明の目的は、画像の光沢度を保ちながら、ブロンズ現象を抑制し、また、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたインクジェット用インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット用インクは、顔料及びABCトリブロックポリマーを含有するインクジェット用インクであって前記ABCトリブロックポリマーがスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来するユニットのみから構成されるAブロック、下記一般式(1)で表されるユニットのみから構成されるBブロック、及び下記一般式(2)で表されるユニットのみから構成されるCブロックで構成されることを特徴とする。
(一般式(1)中、RB1は水素原子又はメチル基であり、RB2は炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)
(一般式(2)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つは、−COOH基、−RC5−COOH基、又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5のアルキレン基である。)
本発明によれば、画像の光沢度を保ちながら、ブロンズ現象を抑制し、また、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたインクジェット用インクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明のインクジェット用インク(以下「インク」とする)は、顔料、並びに、アリール基を有するAブロック、下記一般式(1)で表されるユニットを含むBブロック、及び下記一般式(2)で表されるユニットを含むCブロックで構成されるABCトリブロックポリマーを含有するという特徴を有する。尚、塩を形成している成分の少なくとも一部はインク中で解離してイオンとして存在することがあるが、本発明においては、便宜上「塩を含有する」と表現する。
(一般式(1)中、RB1は水素原子又はメチル基であり、RB2は炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)
(一般式(2)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つは、−COOH基、−RC5−COOH基、又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5のアルキレン基である。)
上述の通り、無機微粒子や水不溶性のポリマーを顔料インク中に含有する従来の方法では、画像のブロンズ現象を抑制しようとすると、画像の光沢度、インクの保存安定性及び吐出安定性が低下してしまう。そこで、本発明者らは、水溶性ポリマーを含有する顔料インクの検討を行った。水溶性ポリマーを含有するインクは、無機微粒子や水不溶性のポリマーを含有するインクと比較して、保存安定性及び吐出安定性に優れる。また、記録領域においてポリマーが均一に存在することができるため、画像の光沢度が低下しない。しかし、水溶性ポリマーはインク中の水や水溶性有機溶剤とともに記録媒体に浸透しやすい。そのため、十分にブロンズ現象を抑制できるように、即ち、一部が記録媒体に浸透しても十分な量のポリマーが顔料粒子の周りに存在するようにするには、多量の水溶性ポリマーをインク中に含有する必要がある。しかし、この場合は、インク中のポリマーの含有量が多くなるにしたがって、インクの粘度が上昇するため、インクの吐出安定性が低くなってしまう。
上記結果を受けて本発明者らが検討を重ねたところ、顔料インク中に特定のABCトリブロックポリマーを含有することで、画像の光沢度を保ちながら、ブロンズ現象を抑制し、また、インクの保存安定性及び吐出安定性を向上できることが分かった。
本発明のインクに含有する特定のABCトリブロックポリマーは、具体的には、アリール基を有するAブロック、上記一般式(1)で表されるユニットを有するBブロック、及び上記一般式(2)で表されるユニットを有するCブロックで構成されるポリマーである。
本発明のABCトリブロックポリマーのうち、Aブロックは親水性の低い(疎水性の高い)ブロックであり、Cブロックは親水性の高いブロックである。更に、AブロックとCブロックの間のBブロックは、AブロックとCブロックの中間の親水性を有する。このように、本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーは、疎水性と親水性の部位をそれぞれ末端に有する構造である。そのため、疎水性のAブロックと、同じく疎水性である顔料粒子表面が、疎水性相互作用により引き合うため、ポリマーは顔料粒子に非常に効率よく吸着することができる。そして、Aブロックと反対の末端に存在する親水性の高いCブロックが、分散媒体中に配向する構造をとることで、インク中に安定に分散することができる。
一方で、顔料粒子に吸着しないポリマーは、疎水性のAブロックを介して、疎水性相互作用によりいくつかのポリマーが会合し、疎水性部位を内側に、親水性部位を外側にして存在する。そのため、顔料粒子に吸着しないポリマーも、インク中に安定に分散して存在することができる。
このように、ポリマーが吸着した顔料粒子及び顔料粒子に吸着しないポリマーが共に安定して分散することで、インクの保存安定性及び吐出安定性が向上する。そして、記録媒体に付与された際も、記録領域においてポリマーが均一に存在することができるため、画像の光沢度の低下を抑制することができる。
更に、本発明のインクは、上記のABCトリブロックポリマーを使用することで、従来の無機微粒子や水不溶性のポリマー微粒子を用いる方法よりも、格段に高いブロンズ現象の抑制効果が得られた。この理由は、明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。
従来のように、無機微粒子や水不溶性のポリマー微粒子などの疎水性の微粒子を含有するインクの場合、疎水性相互作用は、疎水性の顔料粒子と疎水性の微粒子の間のみでなく、当然のことながら、顔料粒子同士、微粒子同士の間にも働く。そのため、顔料粒子表面において、微粒子は偏在化しやすい。したがって、顔料粒子表面には、微粒子に覆われていない露出面が存在しやすい。このとき、露出面を小さくするためには、疎水性微粒子の含有量を多くする方法が考えられるが、画像の光沢性が低下し、インクの吐出安定性や保存安定性が不十分となってしまう。一方、本発明のインクに使用するトリブロックポリマーは、上述の通り、親水性部分と疎水性部分が明確に分かれた構造であるため、複数のポリマー分子同士には、引力と反発力の両方が働く。そのため、顔料粒子表面において、疎水性の微粒子を用いた場合よりも、ポリマーの偏在化が起きにくく、ポリマーに覆われていない露出面がより小さくなると考えられる。
このとき、本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーと異なり、Bブロックを介せずにAブロックとCブロックが直接結合したようなACジブロックポリマーを用いた場合は、上述の効果は得られない。これは、ACジブロックポリマーを用いた場合、疎水性のAブロックと親水性のCブロックが非常に近接して存在するため、親水性と疎水性という2つの相反する性質がうまく機能分離して発現しないためと考えられる。
以上のメカニズムのように、本発明のインクを用いることで、従来の方法では達成できなかった、画像の光沢度を低下させずに、ブロンズ現象を抑制し、更に優れたインクの保存安定性及び吐出安定性が得られるという、本発明に特有の効果が得られるものである。
[インク]
以下、本発明のインクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
<ABCトリブロックポリマー>
本発明において「ABCトリブロックポリマー」とは、Aブロック、Bブロック、Cブロックの異なる3種類のポリマーを、ABCの順番で共有結合によって連結させた構造を有するポリマーを意味する。尚、それぞれのブロックは1種類のモノマーを単重合させたポリマーでも、2種以上のモノマーをランダム共重合させたランダムポリマーでもよく、他の2つのブロックと異なるポリマーでありさえすればよい。しかし、Aブロックが更に2元のブロックポリマーとなっている場合のように、それぞれのブロックが2種以上のモノマーのブロックポリマーである場合は、本発明における「ABCトリブロックポリマー」には含まない。尚、以下「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を示すものとする。
(Aブロックを構成するモノマー)
重合によりAブロックを構成するユニットとなるモノマーとしては、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体が挙げられる。尚、本発明において、「アリール基」とは、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−キシリル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素から誘導された官能基又は置換基を意味する。
アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とアリール基を有するアルキルアルコールから合成されるエステル化合物;ベンジル(メタ)アクリルアミド、2−フェノキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とアリール基を有するアルキルアミンから合成されるアミド化合物;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルフタル酸などが挙げられる。本発明においては、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体のうちの1種のみを単重合させてAブロックを形成してもよく、又は2種以上をランダム共重合することでAブロックを形成してもよい。また、これらの中でも、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが、構造上、立体障害が小さく会合しやすいため、好ましい。また、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体と後述の「その他のモノマー」をランダム共重合することでAブロックを形成してもよい。その場合は「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、Aブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。Aブロックに用いられる「その他のモノマー」としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルアミド化合物、含窒素ビニル化合物から選ばれるモノマーを用いることが好ましい。本発明においては、アリール基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体のみを重合させてAブロックを形成すること、即ち、Aブロックの含有量(質量%)を基準としたときの「その他のモノマー」の含有量が0質量%であることが更に好ましい。
本発明においては、ABCトリブロックポリマーに占める、Aブロックの割合(質量%)が、ABCトリブロックポリマー全質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。20.0質量%未満の場合は、疎水性部位が少なくなることからABCトリブロックポリマーが顔料に吸着しにくくなるため、ブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。一方、80.0質量%より大きい場合は、ポリマー同士の疎水性相互作用が強くなり、ABCトリブロックポリマーが凝集体を形成してしまい、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、Aブロックの酸価は、Bブロック及びCブロックの酸価より小さくなるようにすることが好ましい。
(Bブロックを構成するモノマー)
重合によりBブロックを構成するユニットとなるモノマーとしては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(3)中、RB1は水素原子又はメチル基であり、RB2は炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)
一般式(3)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1乃至8の直鎖若しくは分岐アルキルアルコール、又は炭素数4乃至8のシクロアルキルアルコールとから合成される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−メチル−5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明においては、上記一般式(3)で表される化合物のうちの1種のみを単重合させてBブロックを形成してもよく、又は2種以上をランダム共重合することでBブロックを形成してもよい。また、Bブロックの酸価は、Aブロックの酸価より大きく、かつ、Cブロックの酸価より小さくなるようにすることが好ましい。また、一般式(3)で表される化合物と後述の「その他のモノマー」をランダム共重合することでBブロックを形成してもよい。Bブロックに用いられる「その他のモノマー」としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルアミド化合物、含窒素ビニル化合物が好ましい。また、「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、Bブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。
(Cブロックを構成するモノマー)
重合によりCブロックを構成するユニットとなるモノマーとしては、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(4)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つは、−COOH基、−RC5−COOH基、又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5の置換又は無置換のアルキレン基である。)
一般式(4)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸及び不飽和ジカルボン酸;不飽和カルボン酸及び不飽和ジカルボン酸の誘導体;不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸の塩が挙げられる。塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。本発明においては、上記一般式(4)で表される化合物のうちの1種のみを単重合させてCブロックを形成してもよく、又は2種以上をランダム共重合することでCブロックを形成してもよい。また、所望の物性が得られるように、一般式(4)で表される化合物と後述の「その他のモノマー」をランダム共重合することでCブロックを形成してもよい。このとき「その他のモノマー」としては、疎水性の大きいモノマー(アリール基を有するモノマーなど)を用いないことが好ましい。「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、Cブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。本発明においては、一般式(4)で表される化合物のみを重合させてCブロックを形成すること、即ち、Cブロックの含有量(質量%)を基準としたときの「その他のモノマー」の含有量が0質量%であることが好ましい。
本発明においては、ABCトリブロックポリマーに占める、Cブロックの割合(質量%)が、ABCトリブロックポリマーの全質量を基準として、2.0質量%以上35.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、2.0質量%以上20.0質量%以下である。2.0質量%未満の場合は、トリブロックポリマーの親水性が弱くなり、相対的にトリブロックポリマー同士の疎水性相互作用が強くなることで、トリブロックポリマーが凝集体を形成してしまう場合がある。そのため、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。一方、35.0質量%より大きい場合は、親水性が強くなり、相対的に疎水性部位が少なくなることからABCトリブロックポリマーが顔料に吸着しにくくなるため、ブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。また、Cブロックの酸価は、Aブロックの酸価及びBブロックの酸価より大きくなるようにすることが好ましい。
(その他のモノマー)
本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーのA〜Cの各ブロックは、本発明の効果が得られる範囲で、それぞれ上記の各ブロックを構成するユニットとなるモノマーと「その他のモノマー」をランダム共重合して形成してもよい。その場合は「その他のモノマー」の含有量(質量%)は、「その他のモノマー」を用いるブロックの含有量(質量%)を基準として、35.0質量%以下が好ましい。
「その他のモノマー」としては、具体的に、(メタ)アクリル酸;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミド化合物;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの含窒素ビニル化合物などが挙げられる。
(トリブロックポリマーの合成方法)
本発明のインクに使用するトリブロックポリマーは、上記で説明した構造を有しさえすればよく、その合成方法としては、従来、一般的に用いられている方法を何れも用いることができる。具体的には、リビングラジカル重合法やリビングアニオン重合法など従来公知の方法が挙げられる。トリブロックポリマーの分子鎖中に(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの酸性モノマー由来のブロック構造を導入する場合は、酸性モノマーを用いて重合する方法が用いられる。また、酸性モノマーのアルキルエステルモノマーを用いて重合を行った後、得られた重合体を加水分解する方法も用いられる。
(トリブロックポリマーの分析方法)
トリブロックポリマーの組成、分子量に関しては、従来公知の方法により分析を行うことができる。また、トリブロックポリマーを含有するインクからも、インクを遠心分離し、その沈降物と上澄み液を調べることで確認することができる。尚、インクの状態でも各確認は行うことができるが、トリブロックポリマーを抽出しておくと、精度がより高まる。具体的な手法としては、インクを75,000rpmで遠心分離し、その上澄み液からトリブロックポリマーを抽出する。分離したトリブロックポリマーを高温ガスクロマトグラフィー/質量分析計(高温GC/MS)を用いて分析することで、トリブロックポリマーを構成しているユニットの種類を確認できる。また、分離したトリブロックポリマーを核磁気共鳴法(13C−NMR)やフーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR)によって定量的に分析し、これらの化合物の分子量や種類や含有量を確認することができる。また、トリブロックポリマーの酸価は滴定法により測定することができる。後述する実施例では、ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)を用いて、水酸化カリウムエタノール滴定液によって電位差滴定することで、測定することができる。また、トリブロックポリマーの重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる。本発明におけるGPCの測定条件は以下の通りである。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:THF(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)
(分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)。後述する実施例においても、上記の条件で測定を行った。
(トリブロックポリマーの特性)
本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーは、GPCにより得られるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、1,000以上30,000以下であることが好ましい。より好ましくは1,000以上10,000以下、更に好ましくは2,000以上10,000以下である。数平均分子量が1,000未満であるとトリブロックポリマーの親水性が強くなり、顔料に吸着しにくくなるため、ブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。数平均分子量が30,000より大きいと、トリブロックポリマーの水溶性が弱くなるため、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
また、ABCトリブロックポリマーのGPCにより得られる分子量分布が、1.0≦(ポリスチレン換算の重量平均分子量:Mw)/(ポリスチレン換算の数平均分子量:Mn)≦2.0であることが好ましい。尚、分子量分布の値は、原理的に1.0以上であり、この値が1.0に近づくほど単分散であることを意味する。一方、分子量分布が2.0より大きいと、高分子量や低分子量のABCトリブロックポリマーが混在するため、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果、ブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。
本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーの酸価は、20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下、更には、20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が20mgKOH/g未満であると、酸基が少ないためトリブロックポリマーの親水性が弱く、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、酸価が250mgKOH/gより大きいと、酸基が多いためトリブロックポリマーの親水性が強く、顔料に吸着しにくくなることでブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。また、本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーは各ブロックの酸価が、(Aブロックの酸価)<(Bブロックの酸価)<(Cブロックの酸価)の関係を満たすことが好ましい。
また、本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーの親水性は、ABCトリブロックポリマーのGPCにより得られるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)の酸価に対する比(Mn/酸価)により、評価することができる。本発明においては、Mn/酸価の値が、50以上200以下であることが好ましい。50未満であると、トリブロックポリマーの親水性が強く、顔料に吸着しにくくなることで、ブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。また、200よりも大きい場合は、トリブロックポリマーの水溶性が弱く、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーに占める、ABCトリブロックポリマーの全質量を基準としたAブロックの割合(質量%)が、ABCトリブロックポリマー中に含まれる全ての酸性モノマー由来のユニットの割合(質量%)に対して5.0倍以上15.0倍以下であることが好ましい。5.0倍未満であると、ABCトリブロックポリマーの親水性が強くなり、顔料に吸着しにくくなるため、ブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。また、15.0倍より大きいと、水溶性が弱くなるため、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
インクジェット用インク中のABCトリブロックポリマーの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。また、ABCトリブロックポリマーの含有量(質量%)が、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.2倍以上0.5倍以下であることが好ましい。0.2倍未満であると、顔料に吸着するポリマーの量が相対的に少なくなるため、ブロンズ現象の抑制効果が十分に得られない場合がある。また、0.5倍より大きい場合は、顔料に吸着しないポリマーの量が相対的に多くなるため、ポリマー同士が凝集体を形成してしまい、画像の光沢度が十分に得られない場合や、インクの保存安定性及び吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
<顔料>
本発明のインクは公知の無機顔料や有機顔料を何れも使用することができる。顔料の含有量としては、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下が適しており、さらには1.0質量%以上12.0質量%以下とするのがより好ましい。顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(高分子分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合したポリマー結合型自己分散顔料)や顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)が挙げられる。無論、分散方法の異なる顔料を併用することも可能である。また、上記のABCトリブロックポリマーを顔料分散剤として用いることもできる。
<ポリウレタン樹脂エマルション>
本発明のインクは更に、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションを含有することが好ましい。尚、本発明において「樹脂エマルション」とは、水性媒体中に分散している状態で存在する樹脂微粒子を意味する。
通常、ポリウレタン樹脂エマルションをインク中に含有すると画像の耐擦過性及び耐マーカー性は向上するが、インクの吐出安定性やインクの周波数応答性は低下してしまう。しかし、本発明のインクに使用する上記ABCトリブロックポリマーとポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションを併用することにより、通常では両立し得ないインクの吐出安定性及び周波数応答性と画像の耐擦過性及び耐マーカー性を両立することが可能となる。尚、「インクの周波数応答性」とは、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出するための駆動電圧をかける周波数(駆動周波数)を上げたときに、インクが正常に吐出されるかを観察することで評価することができる。ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションを含有することで上記の効果が得られる理由を以下に詳述する。
上述の通り、本発明のインクに使用するABCトリブロックポリマーは、疎水性と親水性の部位をそれぞれ末端に有する構造である。この構造により、ABCトリブロックポリマーは、疎水性のAブロックがポリウレタン樹脂エマルションの表面に吸着し、Aブロックと反対の末端に存在する親水性の高いCブロックが、分散媒体中に配向する構造をとることで、インク中に安定に分散することができる。このような作用が働くことで、ポリウレタン樹脂エマルションの親水性が向上するため、インクの吐出安定性及び周波数応答性と画像の耐擦過性及び耐マーカー性を両立することが可能となる。
一般的に、ポリウレタン樹脂エマルションを合成する際には、長鎖のポリオールとして、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールなどが用いられる。本発明者らが検討したところ、これらの中でもポリエーテルポリオールを用いたポリウレタン樹脂エマルションにおいてのみ、上記の効果が得られた。この理由は明らかではないが、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションは、本発明のインクに使用する上記ABCトリブロックポリマーとの相互作用が強いためと考えられる。従って、ポリウレタン樹脂エマルションの親水性が高くなりやすい。更に、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションは、加水分解されにくく、また、形成された膜の柔軟性が高いため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性に優れる。
一方、ポリオールとしてポリエステルポリオールのみを用いたポリウレタン樹脂エマルションは、加水分解されやすい。また、ポリカーボネートジオールのみを用いたポリウレタン樹脂エマルションは、造膜した際に膜が堅くなりやすく、堅牢性が十分でない場合がある。更に、ポリエステルポリオールやポリカーボネートジオールを用いたポリウレタン樹脂エマルションは、本発明のインクに使用する上記ABCトリブロックポリマーとの相互作用が弱いため、ポリウレタン樹脂の親水性は向上しない。このように、ポリオールとしてポリエステルポリオールやポリカーボネートジオールのみを用いたポリウレタン樹脂エマルションと本発明のインクに使用する上記ABCトリブロックポリマーを含有するインクでは、インクの吐出安定性及び周波数応答性と画像の耐擦過性及び耐マーカー性を両立することができない。
本発明のインクに使用することができるポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションは、更に、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール、酸基を有するジオール、及び鎖延長剤に由来するユニットを有することが好ましい。以下、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションを構成する各成分について、それぞれ説明する。
(ポリエーテルポリオール)
本発明のインクに好適に使用することができるポリウレタン樹脂を合成する際に使用するポリエーテルポリオールは、炭素数が10以上の長鎖のポリエーテルポリオールである。本発明で用いられるポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキサイドとポリアルキレングリコール、2価アルコール、又は3価以上の多価アルコールとの付加重合物が挙げられる。前記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどが挙げることができる。前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などが挙げられる。前記2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどが挙げられる。前記3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。ポリエーテルポリオールの中でも、特にポリプロピレングリコールを用いることがより好ましい。本発明者らの検討によって、ポリプロピレングリコールを用いるとポリウレタン樹脂の水溶性が向上し、インクの吐出安定性及び周波数応答性がより向上することが確認された。
上述の通り、ポリウレタン樹脂を合成する際に使用するポリオールとしては、ポリエーテルポリオールの他に、ポリエステルポリオールやポリカーボネートジオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールと共に、ポリエステルポリオールやポリカーボネートジオールなどの他のポリオールを併用する場合は、ポリエーテルポリオールの割合(質量%)が、用いるポリオール成分の全質量を基準として90.0質量%以上であることが好ましい。更には、ポリオールがポリエーテルポリオールのみであること、即ち、上記ポリエーテルポリオールの割合(質量%)が100.0%であることが特に好ましい。これは、一般的に、ポリオールを2種類以上併用すると、反応性の観点から、ポリウレタン樹脂の合成の制御が困難となる場合があるためである。
また、前記ポリエーテルポリオールのGPCにより得られるポリスチレン換算の数平均分子量は、400以上4,000以下であることが好ましい。400未満であると、膜の柔軟性が低くなり、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、4,000より高くなると、膜の柔軟性が高くなり過ぎてしまい、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、本発明に用いられるポリエーテルポリオールの炭素数は10以上250以下であることが好ましい。
(ポリイソシアネート)
本発明において「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基を持つ化合物を指す。具体的に、本発明で用いることができるポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどを挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどを挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明においては、上記ポリイソシアネートの中でも、特に、脂環族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。更には、脂環族ポリイソシアネートの中でも、イソホロンジイソシアネートを用いることがより好ましい。
(酸基を有するジオール)
本発明において、「酸基を有するジオール」とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を分子内に有する炭素数が10未満の短鎖のジオールを意味する。本発明のインクに使用するポリウレタン樹脂を合成する際に使用することができる酸基を有するジオールとしては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。特にジメチロールプロピオン酸及びジメチロールブタン酸の少なくとも何れかを用いることが好ましい。
(鎖延長剤)
鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーのポリイソシアネートユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。本発明のインクに使用するポリウレタン樹脂を合成する際に使用することができる鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどが挙げられる。これらの鎖延長剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
(ポリウレタン樹脂エマルションの特性)
本発明のインクに使用することができるポリウレタン樹脂エマルションの酸価は、酸基を有するジオールに由来するユニットの占める割合によって制御でき、20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがより好ましい。20mgKOH/g未満であると、ポリウレタン樹脂の親水性が低く、樹脂エマルションの分散安定性が低いため、吐出安定性及び周波数応答性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、100mgKOH/gより大きいと、ポリウレタン樹脂の親水性が高く、膜の柔軟性が上がるため、耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が十分に得られない場合がある。
本発明のインクに使用することができるポリウレタン樹脂エマルションの分子量は、GPCにより得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、5,000以上50,000以下であることが好ましい。
本発明においては、インク中のポリウレタン樹脂エマルションの含有量(質量%)が、インク全質量を基準として2.0質量%未満であることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上2.0質量%未満である。0.1質量%未満であると、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が小さい場合がある。2.0質量%以上の場合、インクの吐出安定性及び周波数応答性の向上効果が小さい場合がある。
インク全質量を基準としたポリウレタン樹脂エマルションの含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.10倍以上0.70倍以下であることが好ましい。0.10倍未満であると、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が十分に得られない場合がある。0.70倍より大きいと、インクの吐出安定性及び周波数応答性の向上効果が十分に得られない場合がある。
(ポリウレタン樹脂エマルションの合成方法)
本発明のインクに使用することができるポリウレタン樹脂エマルションの合成方法としては、ワンショット法や多段法など、従来、一般的に用いられている方法をいずれも用いることができるが、以下の方法が好ましい。まず、ポリエーテルポリオールをメチルエチルケトンなどの有機溶剤中で十分に撹拌し溶解させた後、ポリイソシアネート、酸基を有するジオールを加え反応させ、ウレタンプレポリマー溶液を得る。次いで、得られたウレタンプレポリマー溶液を中和した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化する。乳化後、鎖延長剤を加え、鎖延長反応を行う。
(ポリウレタン樹脂エマルションの分析方法)
本発明のインクに使用することができるポリウレタン樹脂エマルションの組成、分子量、酸価に関しては、従来公知の方法により分析を行うことができる。即ち、インクを遠心分離し、その沈降物と上澄み液を調べることで確認することができる。顔料は有機溶剤に不溶であるため、ポリウレタン樹脂エマルションを溶剤抽出によって分離することもできる。尚、インクの状態でも各確認は行うことができるが、ポリウレタン樹脂エマルションを抽出しておくと、精度がより高まる。具体的な手法としては、インクを80,000rpmで遠心分離し、その上澄み液を、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR)で測定することで、ウレタン結合固有の吸収波長から、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオールの種類を確認できる。また、上澄み液を塩酸などで酸析し、乾燥させた酸析物をクロロホルムなどに溶解し、核磁気共鳴法(NMR)により測定することでポリオールの分子量を定量することができる。また、ポリウレタン樹脂エマルションの酸価は滴定法により測定することができる。後述する実施例では、ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)を用いて、水酸化カリウムエタノール滴定液によって電位差滴定することで、測定することができる。また、ポリウレタン樹脂エマルションの重量平均分子量及び数平均分子量はGPCにより得られる。
<水性媒体>
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有してもよい。水としては、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下、更には30.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、更には3.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明のインクは、上記の成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び上記ABCトリブロックポリマーや上記ポリウレタン樹脂エマルション以外の樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。このような添加剤のインク中における含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上10.0質量%以下、更には0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
また、本発明のインクのpHは、7以上10以下とすることが好ましく、このためにはpH調整剤を用いて調整することができる。尚、インクのpHは、25℃における値であり、一般的なpHメータを用いて測定することができる。
<インクの調製方法>
上記したような成分で構成される本発明のインクの調製方法としては、従来、一般的に用いられている方法を何れも用いることができる。具体的には、ABCトリブロックポリマーを水性媒体に混合し、撹拌することでポリマー溶液を得る。このポリマー溶液と、別途調製された顔料分散液、水性媒体、上記のその他の成分を混合することで本発明のインクを得ることができる。
ポリマー溶液を調製する際には、ポリマーの溶解やポリマー同士の会合を促進するために、加熱をしてもよい。また、ABCトリブロックポリマーをテトラヒドロフランのような有機溶剤に溶解した後、必要に応じて、上述の水性媒体やその他の成分を加えて混合し、分液ロートやエバポレーターなどにより、有機溶剤を取り除くことによって、ポリマー溶液を得てもよい。
また、ABCトリブロックポリマーを顔料の分散剤として用いる場合は、例えば、上述の方法で調製したポリマー溶液に、顔料を添加して混合撹拌した後、分散処理を行い、顔料分散液を得ることができる。更に、必要に応じて、水性媒体や上記のその他の成分を混合することで本発明のインクとすることができる。尚、ABCトリブロックポリマーを分散剤として用いて顔料分散液を調製する際には、ポリマーを溶解させるために、塩基を添加するとインクの分散安定性をより向上させることができる。このときに用いられる塩基としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニアなどの有機アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩基が挙げられる。
[インクと反応液とのセット]
本発明のインクは、ABCトリブロックポリマーを凝集させる反応液と組み合わせてセットとした場合において好ましく使用することができる。これは、ABCトリブロックポリマーが凝集することにより、ABCトリブロックポリマーの膜が強固になり、耐擦過性が向上するためである。また、反応液中に含有する反応剤としては、多価金属イオン、酸性化合物、カチオン性化合物などが挙げられる。尚、このような反応剤は、本発明のインク中には含有しないことが好ましい。
[インクカートリッジ]
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。更には、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、記録信号に応じて、インクジェット方式により記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であり、上記で説明した本発明のインクを使用するものである。本発明においては特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式のインクジェット記録方法が好ましい。尚、本発明における「記録」とは、普通紙やインク受容層を有する記録媒体に対して本発明のインクを用いて記録する態様、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非吸液性の基材に対して本発明のインクを用いてプリントを行う態様を含む。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。尚、略称は以下の通りである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
nBA:n−ブチルアクリレート
nBMA:n−ブチルメタクリレート
tBMA:tert−ブチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
St:スチレン
BzMA:2−ベンジルメタクリレート
PEMA:2−フェニルエチルメタクリレート
SMA:ステアリルメタクリレート
MTEGMA:メトキシトリエチレングリコールメタクリレート
ETEGMA:エトキシトリエチレングリコールメタクリレート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
TDI:トリレンジイソシアネート
PPG:ポリプロピレングリコール
PTMG:ポリテトラメチレングリコール
PEG:ポリエチレングリコール
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
EDA:エチレンジアミン
CuCl:塩化銅(I)
Bpy:ビピリジン
MCP:1,2−クロロプロピオン酸メチル
DMF:ジメチルホルムアミド
PMDTA:ペンタメチルジエチレントリアミン
TMSMA:トリメチルシリルメタクリレート
<ポリマー水溶液の調製>
(ポリマー水溶液1〜73、78〜83の調製)
下記の重合法I又は重合法IIを用いて、表1及び表2に記載の仕込みでポリマー水溶液1〜73、78〜83を調製した。
(重合法I)
リチウム0.47gを加えたテトロヒドロフラン(THF)160g中に、窒素雰囲気下、重合温度T(℃)でn−ブチルリチウム(n−BuLi)溶液を加え、続いてモノマーxを加え40分間撹拌した。その後、ジエチル亜鉛溶液3.08gを加え1分間撹拌し、モノマーxの重合溶液を得た。続いて、THF11g中にモノマーyを加えたものに、ジエチル亜鉛溶液4.53gを4回に分けて加えたモノマーy溶液を、モノマーxの重合溶液に6分かけて滴下し、滴下終了後60分間撹拌し、XYジブロックポリマー水溶液を得た。更に、THF11g中にモノマーzを加えたものに、ジエチル亜鉛溶液4.53gを4回に分けて加えたモノマーz溶液をXYジブロックポリマー水溶液に6分かけて滴下し、滴下終了後60分間撹拌し、酢酸1.3gを加え反応を停止させた。この溶液に35.0%塩酸水溶液を2.8gを加え、室温で10分間撹拌し、純水で3回洗浄後、乾燥して、XYZトリブロックポリマーを得た。
得られたXYZトリブロックポリマーの数平均分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、モノマーとしてtBMAを用いた場合は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)分光法により、カルボキシル基の化学シフトMAA値δ:12〜13にピークが存在したことから、tBMAが加水分解されていることを確認した。また、H−NMR測定により各ブロックを構成するモノマー構成比を分析した。また、酸価はXYZトリブロックポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。
得られたXYZトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液を得た。
(重合法II)
窒素置換したグローブボックス内で、モノマーxと(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン(MTEBz)を、重合温度T(℃)で30時間反応させた。反応終了後、続いてモノマーyを添加し、重合温度T(℃)で30時間反応させた。反応終了後、モノマーzを添加し、重合温度T(℃)で30時間反応させた。反応終了後、クロロホルム5mLに溶解した後、その溶液を撹拌している水/メタノール混合溶液300ml(水:メタノール=1:4)中に注いだ。沈殿したポリマーを吸引ろ過、乾燥することによりXYZトリブロックポリマーを得た。
得られたXYZトリブロックポリマーの分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、H−NMR分光法により、各ブロックを構成するモノマー構成比を分析した。また、酸価はXYZトリブロックポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。
得られたXYZトリブロックポリマーの溶液に、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にて重合溶媒を除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液とした。
(ポリマー水溶液74の調製)
リチウム0.47gを加えたTHF160g中に、窒素雰囲気下、−50℃でn−BuLi溶液1.73gを加え、続いてBzMA0.70g、HEMA0.24g、tBMA0.10gを加え40分間撹拌した。その後、ジエチル亜鉛溶液3.08gを加え1分間撹拌し、更に、酢酸1.3gを加え反応を停止させた。この溶液に35.0%塩酸水溶液を2.8gを加え、室温で10分間撹拌し、純水で3回洗浄後、乾燥して、ランダムポリマーを得た。
得られたランダムポリマーの分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)分光法により、カルボキシル基の化学シフトMAA値δ:12〜13にピークが存在したことから、tBMAが加水分解されていることを確認した。また、H−NMR測定によりモノマー構成比を分析した。また、酸価はランダムポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。
得られたランダムポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液74を得た。
(ポリマー水溶液75〜77の調製)
下記の重合法を用いて、表3に記載の仕込みでポリマー水溶液75〜77を調製した。リチウム0.47gを加えたTHF160g中に、窒素雰囲気下、−50℃でn−BuLi溶液1.73gを加え、続いてモノマーxを加え40分間撹拌した。その後、ジエチル亜鉛溶液3.08gを加え1分間撹拌し、モノマーxの重合溶液を得た。続いて、THF11g中にモノマーyを加えたものに、ジエチル亜鉛溶液4.53gを4回に分けて加えたモノマーy溶液を、モノマーxの重合溶液に6分かけて滴下し、滴下終了後60分間撹拌し、更に、酢酸1.3gを加え反応を停止させた。この溶液に35.0%塩酸水溶液を2.8gを加え、室温で10分間撹拌し、純水で3回洗浄後、乾燥して、XYジブロックポリマーを得た。
得られたXYジブロックポリマーの分子量を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてTHFを用いて、示差屈折率検出器を備えたGPC(東ソー製)で測定した。また、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)分光法により、カルボキシル基の化学シフトMAA値δ:12〜13にピークが存在したことから、tBMAが加水分解されていることを確認した。また、H−NMR測定により各ブロックを構成するモノマー構成比を分析した。また、酸価はXYジブロックポリマーをTHFに溶解し、0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液を滴定試薬として、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)によって測定した。
得られたXYジブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液75〜77を得た。
(ポリマー水溶液84の調製)
300mLのTHF中の22.6g(26.2mL、130mmol)の1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチル−1−プロペン及び0.1mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)の溶液に、268g(304mL、1.69mol)のトリメチルシリルメタクリレートを滴下した。滴下中、溶液の温度はゆっくりと上がり、そして1.5mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。すべてのモノマーを添加した後、温度を30℃に冷却した。アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したPEMA248g(245mL、1.3mol)を添加した。更に、0.6mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。添加が完了した後、温度を30℃に冷却し、0.15mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。その後、アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したETEGMA128g(128mL、0.52mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、0.15mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。H−NMR分光法により、残留モノマーが存在しないことを確認した。得られた溶液を、350mLの0.03mol/Lメタノール性フッ化テトラブチルアンモニウム及びメタノールと共に16時間還流した。ロータリーエバポレーターで減圧蒸留し溶媒を除去した後、残留したポリマーを真空オーブン中50℃で48時間乾燥すると、515gのMAA−PEMA−ETEGMAのトリブロックポリマーを得た。得られたトリブロックポリマーをH−NMR分光法による測定を行い、トリメチルシリルエステル基が残留しないことを確認した。得られたABCトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液84を得た。
(ポリマー水溶液85の調製)
150mLのTHF中の9.05g(10.5mL、51.9mmol)の1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチル−1−プロペン及び2mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)の溶液に、107g(121mL、0.677mol)のトリメチルシリルメタクリレートを滴下した。滴下中、溶液の温度はゆっくりと上がり、そして2mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。すべてのモノマーを添加した後、温度は57℃に上がり続けた。温度が33℃に下がった時に、アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したBzMAを91.6g(88.6mL、0.52mol)添加した。温度が39℃で平衡になった時に、追加の1mLのテトラブチルアンモニウムビアセテート(プロピレンカーボネート中で0.1mol/L)を添加した。モノマーの添加が完了すると、温度は57℃に上がった。温度が35℃に下がった時に、アルゴン雰囲気下、塩基性アルミナカラム上を通過させることで精製したETEGMA51.2g(51.2mL、0.205mol)を滴下漏斗を用いて滴下し、この混合物を一晩撹拌した。H−NMR分光法により、残留モノマーが存在しないことを確認した。得られた溶液を、150mLの0.03mol/Lメタノール性フッ化テトラブチルアンモニウム及び100mLのTHFと共に12時間還流した。ロータリーエバポレーターで減圧蒸留し溶媒を除去した後、残留したポリマーを真空オーブン中50℃で48時間乾燥すると、186.3gのMAA−BzMA−ETEGMAのトリブロックポリマーを得た。得られたトリブロックポリマーをH−NMR分光法による測定を行い、トリメチルシリルエステル基が残留しないことを確認した。得られたABCトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液85を得た。
(ポリマー水溶液86の調製)
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、酢酸エチル16mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.05mmol及びトルエン11mLにイソブチルビニルエーテル(CH=CHOCHCH(CH)(以下、IBVEと略す。)を加え、反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等mol混合物)を0.2mmol加え重合を開始した。分子量を時分割にGPCを用いてモニタリングし、イソブチルビニルエーテルの重合の完了を確認した。次いで、2−(2−メトキシエトキシ)−エチル−ビニルエーテル(CH=CHOCHCHOCHCHOCH)(以下、MEEVEと略す。)を添加し、重合を続行した。GPCを用いるモニタリングによって、2−(2−メトキシエトキシ)−エチル−ビニルエーテルの重合の完了を確認した。その後、安息香酸2−ビニロキシエチルエーテル(CH=CHOCHCHOPhCOOH:Phはフェニル基を表す)(以下、BzAVEEと略す。)におけるカルボン酸部がエステル化された単位構造となるモノマーのトルエン溶液を添加して、20時間、重合反応を行った。重合反応の停止は、系内に0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加えて行った。反応混合物溶液をジクロロメタンにて希釈し、0.6mol/L塩酸水溶液で3回、次いで蒸留水で3回洗浄した。得られた有機相をエバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させたものを、セルロースの半透膜を用いてメタノール溶媒中透析を繰り返し行い、モノマー性化合物を除去した。更に、水分散液中で0.1mol/Lの塩酸水溶液で中和してCブロックのナトリウム塩部がフリーのカルボン酸になったトリブロックポリマーを得た。化合物の同定は、H−NMR及びGPCを用いて行った。得られたABCトリブロックポリマーをTHFに溶かしたものに、ポリマーのアニオン性基の中和率がモル基準で80%となるように水酸化カリウム水溶液を加え、更に適量の水を加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液86を得た。
以上のように得られたポリマー水溶液1〜86のポリマー組成及び物性を表4〜表7に示した。
<顔料分散液の調製>
(シアン顔料分散液C1の調製)
下記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、撹拌下で樹脂分散剤を溶解させた。
・樹脂分散剤:JONCRYL683(BASF製) 10.0部
・2−ピロリドン 10.0部
・水酸化カリウム 1.35部
・イオン交換水 63.65部
この溶液にシアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(IRGALITE Blue 8700;チバスペシャルティケミカルズ製)15.0部を加え、30分間プレミキシングを行った。その後、ビーズミル UAM−015(寿工業製)を用い分散処理(使用ビーズ:0.05mm径ジルコニアビーズ、ビーズ充填率:70質量%(嵩比重換算)、ローター回転数:42.1Hz、分散時間:2時間)を行ってシアン顔料分散液C1(顔料の含有量は15.0質量%)を得た。
(レッド顔料分散液R1の調製)
シアン顔料をレッド顔料C.I.ピグメントレッド264(IRGAZIN DPP Rubin FTX;チバスペシャリティケミカルズ製)とした以外はシアン顔料分散液C1と同様にしてレッド顔料分散液R1(顔料の含有量は15.0質量%)を調製した。
(マゼンタ顔料分散液M1の調製)
シアン顔料をマゼンタ顔料C.I.ピグメントバイオレット19(CUTULIA Red 2BP;大日精化製)とした以外はシアン顔料分散液C1と同様にしてマゼンタ顔料分散液M1(顔料の含有量は15.0質量%)を調製した。
(シアン顔料分散液C2の調製)
自己分散顔料分散液Cab−O−Jet250C(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌してシアン顔料分散液C2(顔料の含有量は10.0質量%)を得た。
(シアン顔料分散液C3の調製)
上記で得られたポリマー水溶液1を樹脂分散剤として用いたシアン顔料分散液C3の調製を行った。下記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、撹拌した。
・樹脂分散剤:ポリマー水溶液1(固形分25.0質量%) 40.0部
・2−ピロリドン 10.0部
・イオン交換水 35.0部
この溶液にシアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(IRGALITE Blue 8700;チバスペシャルティケミカルズ製)15.0部を加え、30分間プレミキシングを行った。その後、ビーズミル UAM−015(寿工業製)を用い分散処理(使用ビーズ:0.05mm径ジルコニアビーズ、ビーズ充填率:70質量%(嵩比重換算)、ローター回転数:42.1Hz、分散時間:2時間)を行ってシアン顔料分散液C3(顔料の含有量は15.0質量%)を得た。
<インクの調製>
(インク1の調製)
上記で得られたシアン顔料分散液C1及びポリマー水溶液1を下記の組成で混合した。
・シアン顔料分散液C1(顔料の含有量は15.0質量%) 20.0質量%
・グリセリン 10.0質量%
・エチレングリコール 5.0質量%
・ポリエチレングリコール(平均分子量は1,000) 5.0質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル製) 0.5質量%
・ポリマー水溶液1(ポリマーの含有量は25.0質量%) 4.0質量%
・イオン交換水 55.5質量%
これを十分撹拌して分散し、トリブロックポリマーの含有量(質量%)が、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.3倍であるインク1を調製した。
(インク2〜86)
ポリマー水溶液1をポリマー水溶液2〜86とした以外はインク1と同様にしてインク2〜86を得た。
(インク87)
シアン顔料分散液C1をレッド顔料分散液R1とした以外はインク1と同様にしてインク87を得た。
(インク88)
シアン顔料分散液C1をマゼンタ顔料分散液M1とした以外はインク1と同様にしてインク88を得た。
(インク89)
シアン顔料分散液C1をシアン顔料分散液C2とした以外はインク1と同様にしてインク89を得た。
(インク90)
シアン顔料分散液C1をシアン顔料分散液C3とした以外はインク1と同様にしてインク90を得た。
(インク91)
上記で得られたシアン顔料分散液C1及びポリマー水溶液1を下記の組成で混合した。
・シアン顔料分散液C1(顔料の含有量は15.0質量%) 13.4質量%
・グリセリン 10.0質量%
・エチレングリコール 5.0質量%
・ポリエチレングリコール(平均分子量は1,000) 5.0質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル製) 0.5質量%
・ポリマー水溶液1(ポリマーの含有量は25.0質量%) 4.0質量%
・イオン交換水 62.1質量%
これを十分撹拌して分散し、トリブロックポリマーの含有量(質量%)が、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.5倍であるインク91を調製した。
(インク92)
上記で得られたシアン顔料分散液C1及びポリマー水溶液1を下記の組成で混合した。
・シアン顔料分散液C1(顔料の含有量は15.0質量%) 16.6質量%
・グリセリン 10.0質量%
・エチレングリコール 5.0質量%
・ポリエチレングリコール(平均分子量は1,000) 5.0質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル製) 0.5質量%
・ポリマー水溶液1(ポリマーの含有量は25.0質量%) 2.0質量%
・イオン交換水 60.9質量%
これを十分撹拌して分散し、トリブロックポリマーの含有量(質量%)が、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.2倍であるインク92を調製した。
(インク93)
上記で得られたシアン顔料分散液C1及びポリマー水溶液1を下記の組成で混合した。
・シアン顔料分散液C1(顔料の含有量は15.0質量%) 14.0質量%
・グリセリン 10.0質量%
・エチレングリコール 5.0質量%
・ポリエチレングリコール(平均分子量は1,000) 5.0質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル製) 0.5質量%
・ポリマー水溶液1(ポリマーの含有量は25.0質量%) 5.0質量%
・イオン交換水 60.5質量%
これを十分撹拌して分散し、トリブロックポリマーの含有量(質量%)が、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.6倍であるインク93を調製した。
(インク94)
上記で得られたシアン顔料分散液C1及びポリマー水溶液1を下記の組成で混合した。
・シアン顔料分散液C1(顔料の含有量は15.0質量%) 22.0質量%
・グリセリン 10.0質量%
・エチレングリコール 5.0質量%
・ポリエチレングリコール(平均分子量は1,000) 5.0質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル製) 0.5質量%
・ポリマー水溶液1(ポリマーの含有量は25.0質量%) 1.5質量%
・イオン交換水 56.0質量%
これを十分撹拌して分散し、トリブロックポリマーの含有量(質量%)が、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.1倍であるインク94を調製した。
(インク95)
上記の特許文献1(特開2005−179482号公報)の実施例4に記載の方法で、インク95を調製した。具体的には、トリエタノールアミンで表面処理を行った二酸化チタン粒子(チタン工業社製STT−65C−S、結晶形:アナターゼ、一次粒子径:0.03〜0.05μm)7.5部と、C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部を、スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩(Mw100,000、酸価100、ポリマー成分30%)12.5部及びイオン交換水75.0部に十分に混合した。その後、この混合液をサンドミル(安川製作所社製)中でガラスビーズ(直径2mm、混合液の0.5倍の質量)とともに分散した。分散後、ガラスビーズを取り除き、顔料分散液を得た。この顔料分散液の二酸化チタン粒子と顔料の質量比(二酸化チタン粒子/有彩色顔料)は、1.50であった。この顔料分散液を下記の組成で混合した。
・顔料分散液 60.0質量%
・グリセリン 20.0質量%
・1,2−ヘキサンジオール 5.0質量%
・トリエタノールアミン 0.9質量%
・オルフィンE1010 0.5質量%
・イオン交換水 13.6質量%
これを十分撹拌して分散し、ポアサイズが10μmのメンブレンフィルターでろ過し、インク95を調製した。
(インク96)
上記の特許文献2(特開2008−63500号公報)の実施例6に記載の方法で、インク96を調製した。
(インク97)
上記の特許文献3(特開2008−88427号公報)の実施例1に記載の方法で、インク97を調製した。
(インク98)
特開2010−137471号公報の実施例に記載のポリマー1の合成方法を参考にして、ポリ(4−メチルベンゼンオキシエチルビニルエーテル)−block−ポリ(メトキシエトキシエチルビニルエーテル)−block−ポリ[4−{(ビニルオキシ)エトキシ}安息香酸]を合成した。組成比(質量%)は48.7:39.9:11.4、酸価は31、数平均分子量Mnは32,800、分子量分布Mw/Mn=1.17、Mn/酸価は1,069であった。得られたトリブロックポリマーをTHFに溶かした後、ポリマーの酸価に対して等mol量の0.8倍の水酸化カリウム水溶液と適量の水とを加えて撹拌した後、減圧条件下にてTHFを除去し、水を加えて25.0質量%のポリマー水溶液を得た。このポリマー水溶液をポリマー水溶液1にかえて用いた以外は、インク1と同様にしてインク98を得た。
[評価]
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、A〜Cが好ましいレベルとし、D及びEは許容できないレベルとした。
(画像の光沢度)
上記で得られたインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置 PIXUS Pro9500(キヤノン製)に装着した。そして、キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101(キヤノン製)に対して、記録モードを「キヤノン写真用紙・光沢ゴールド 標準モード」として、3cm×3cmのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を記録した。このとき、記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%とした。尚、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に4pLのインクを4滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義される。このとき得られた画像について、JIS K 7105に基づく画像の写像性GCを写像性測定装置(GP1−S;オプテック製)を用いて測定した。尚、写像性GCが大きいほど、画像の光沢度が高いことを意味する。画像の光沢度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表8、表9に示した。
A:55≦GCであった
B:50≦GC<55であった
C:40≦GC<50であった
D:30≦GC<40であった
E:GC<30であったか、又はベタ画像がかすれていた。
(画像の耐ブロンズ性)
上記で得られたインクについて、(画像の光沢度)と同様にして得た記録デューティが100%の画像を用いて、正反射光の分光特性を測定することで画像の耐ブロンズ性を評価した。このとき、ハロゲン光源装置(KTX−50R:株式会社フォルテシモ製)を用いて、画像の法線方向から45度の入射角となるように、投光した際の、画像表面の正反射光を瞬間マルチ測光システム(MCPD−3700:大塚電子製)により測色した。そして、それぞれの画像における300nm乃至780nmでの最大反射光強度Dmaxと最小反射光強度Dminの比DR=Dmax/Dminを算出し、画像の耐ブロンズ性を評価した。画像の耐ブロンズ性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表8、表9に示した。
A:DR≦1.2
B:1.2<DR≦1.5
C:1.5<DR≦1.8
D:1.8<DR≦2.0
E:2.0<DRであったか、又はベタ画像がかすれていた。
(インクの吐出安定性)
上記で得られたインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置 PIXUS Pro9500(キヤノン製)に装着した。そして、キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101(キヤノン製)に対して、記録モードを「キヤノン写真用紙・光沢ゴールド 標準モード」として、17cm×25cmのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を記録した。このとき得られた画像について、JIS Z 8741に基づくベタ画像の20度光沢度を光沢計(ハンディ型光沢計PG−1M;日本電色工業製)を用いて測定した。そして、1枚目の画像の20度光沢度をGR、100枚目の画像の20度光沢度をGRとしたときの2つの値の比DR=GR/GRを算出し、インクの吐出安定性を評価した。尚、吐出が不安定になると、インクによって形成されるポリマー層が不均一になるため、画像の光沢度が低くなる。つまり、DRの値が1.0に近いほど、100枚目の画像でも1枚目の画像と同様に、ポリマー層が均一に形成されていることを意味するため、インクの吐出安定性が高いと言える。インクの吐出安定性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表8、表9に示した。
A:0.9<DRであった
B:0.8<DR≦0.9であった
C:0.6<DR≦0.8であった
D:0.5<DR≦0.6であった
E:DR≦0.5であったか、又はベタ画像がかすれていた。
(インクの保存安定性)
上記で得られたインクをそれぞれ温度60℃の密閉された容器内に1週間保存した。このとき保存試験前後のインクについて、それぞれ顔料の体積平均粒子径をナノトラック粒度分布測定装置 UPA−EX150(日機装製)を用いて測定した。そして、保存試験前のインク中の顔料の平均粒径をD50−1、保存試験後のインク中の顔料の平均粒径をD50−2としたときの2つの値の比P=D50−2/D50−1を算出し、インクの保存安定性を評価した。インクの保存安定性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表8、表9に示した。
A:0.95≦P<1.10であった
B:0.90≦P<0.95、又は1.10≦P<1.20であった
C:0.85≦P<0.90、又は1.20≦P<1.50であった
D:0.70≦P<0.85、又は1.50≦P<2.00であった
E:P<0.70、又は2.00≦Pであった。
<ポリウレタン樹脂エマルション分散液の調製>
ポリウレタン樹脂エマルション分散液を以下の方法で調製した。尚、各ポリウレタン樹脂エマルション分散液の調製条件は表10に示した通りである。まず、ポリオールをメチルエチルケトン中で十分に撹拌し、溶解させた後、ポリイソシアネート、酸基を有するジオールを加え、75℃で1時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。次いで得られたウレタンプレポリマー溶液を60℃まで冷却して、水酸化カリウム水溶液を加え、酸基を中和した後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化した。乳化後、鎖延長剤を加え、鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、ポリウレタン樹脂の含有量が20.0質量%、重量平均分子量が30,000のポリウレタン樹脂エマルション分散液を得た。得られたポリウレタン樹脂エマルションについて、上記の水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定によりポリウレタン樹脂の酸価を測定したところ、いずれも、酸価が30mgKOH/gであった。
<ポリマー水溶液87及び88の調製>
窒素雰囲気下で、CuCl(0.5mmol)、Bpy(1.0mmol)、MCP(1.0mmol)、モノマーxであるBzMA(使用量は表11参照)、及びDMF(使用量は表11参照)を混合し、得られた混合物に含まれる溶存酸素を窒素で置換した後、100℃にてXブロックの重合反応を行った。次いで、CuCl(0.1mmol)、PMDTA(0.1mmol)、モノマーy(使用量は表11参照)、及びDMF(15.0mL)を混合し、90℃にてYブロックの重合反応を行った。次いで、CuCl(0.1mmol)、PMDTA(0.1mmol)、モノマーzであるTMSMA(使用量は表11参照)、及びDMF(使用量は表11参照)を混合し、90℃にてZブロックの重合反応を行った。上記の重合反応はガスクロマトグラフィーにより重合率を確認しながら反応を行い、液体窒素で急冷して反応を停止した。得られた溶液をアルミナのカラムに通し、銅触媒を除去した後、ポリマー溶液をメタノール中に加え、上澄みを除去した後、沈殿物を減圧乾燥した。更に、得られたポリマーをTHFに溶解し、還流条件で濃塩酸を加えることで、トリメチルシリルエステル部を加水分解反応し、カルボン酸にした。その後、溶液をメタノール中に加え、上澄みを除去し、沈殿物を減圧乾燥した。得られたポリマーを水酸化カリウム水溶液で中和し、ポリマーの含有量が10.0質量%のポリマー水溶液とした。ポリマー水溶液87のポリマーはPBzMA−block−PnBMA−block−PMAA(組成比(質量%)は50.3:19.0:30.7)であり、ポリマー水溶液88のポリマーはPBzMA−block−PHEMA−block−PMAA(組成比(質量%)は67.5:21.6:10.8)であった。
<顔料分散体の調製>
(顔料分散体Aの調製)
カーボンブラックの表面に親水性基(リン酸基)が直接導入されてなる自己分散カーボンブラック顔料として市販されているCab−O−Jet400(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌して顔料分散体Aを得た。得られた顔料分散体中における顔料の含有量は10.0質量%、pHは9.0であり、顔料の平均粒子径は110nmであった。
(顔料分散体Bの調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れることで溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m/g、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌し、得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗した。これを110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散カーボンブラックを調製した。更に、得られた自己分散カーボンブラックに水を加えて顔料の含有量が10.0質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C−(COONa)基が導入されてなる自己分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体を得た。その後、イオン交換法を用いて顔料分散体のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの表面に−C−(COOK)基を導入した自己分散カーボンブラックが分散された顔料分散体Bを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Bの顔料の含有量は10.0質量%、pHは8.0であり、顔料の平均粒子径は80nmであった。
(顔料分散体Cの調製)
比表面積が220m/g、DBP吸油量が112mL/100gであるカーボンブラック500g、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン45g、蒸留水900gを反応器に入れ、温度55℃、回転数300rpmで20分間撹拌した。その後、25%の亜硝酸ナトリウム40gを15分間滴下し、更に蒸留水50gを加え、60℃で2時間反応させた。得られた反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、顔料の含有量が含有量が15.0質量%となるように調製した。更に、遠心分離処理及び精製処理を行い、不純物を除去して、分散液(1)を得た。分散液(1)中のカーボンブラックは、表面にアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホンの官能基が結合した状態であった。この分散液(1)中における、カーボンブラックに結合した官能基のモル数を以下のようにして求めた。分散液(1)中のナトリウムイオンを、プローブ式ナトリウム電極で測定し、得られた値をカーボンブラックモル当りに換算して、カーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めた。次に、分散液(1)をペンタエチレンヘキサミン溶液中に滴下した。この際、ペンタエチレンヘキサミン溶液を強力に撹拌しながら室温に保ち、1時間かけて分散液(1)を滴下した。このとき、ペンタエチレンヘキサミンの含有量は、先に測定したナトリウムイオンのモル数の1〜10倍とし、溶液の量は分散液(1)と同量とした。更に、この混合物を18乃至48時間撹拌した後、精製処理を行い、顔料の含有量が10.0質量%の分散液(2)を得た。分散液(2)中のカーボンブラックは、表面にペンタエチレンヘキサミンが結合した状態であった。次に、重量平均分子量が8,000、酸価が140mgKOH/g、分子量分布Mw/Mn(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)が1.5であるスチレン−アクリル酸ポリマーを190g秤量した。これに1,800gの蒸留水を加え、ポリマーを中和するのに必要な水酸化カリウムを加えて、撹拌してポリマーを溶解することで、スチレン−アクリル酸ポリマー水溶液を調製した。次に、分散液(2)500gを、上記で得られたスチレン−アクリル酸ポリマー水溶液中に撹拌下で滴下した。この分散液(2)及びスチレン−アクリル酸ポリマー水溶液の混合物を蒸発皿に移し、150℃で15時間加熱して、乾燥させた後、乾燥物を室温に冷却した。次いで、水酸化カリウムを用いてpHを9.0に調整した蒸留水に上記で得られた乾燥物を加えて、分散機を用いて分散し、更に撹拌下で1.0mol/Lの水酸化カリウム水溶液を添加して、液体のpHを10乃至11に調整した。その後、脱塩、精製処理を行って不純物及び粗大粒子を除去した。上記の方法により、ポリマー結合型自己分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体Cを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Cの顔料の含有量は10.0質量%、pHは10.1であり、顔料の平均粒子径は130nmであった。
(顔料分散体Dの調製)
酸価が200mgKOH/gで重量平均分子量が10,000のスチレン−アクリル酸ポリマーを10%水酸化カリウム水溶液で中和した。その後、このポリマー20部、比表面積が210m/gでDBP吸油量が74mL/100gであるカーボンブラック10部、及び水70部を混合した。この混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。上記の方法により、ポリマー分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体Dを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Dの顔料の含有量は10.0質量%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は120nmであった。
<インクの調製>
上記で得られた顔料分散体、ポリウレタン樹脂エマルション分散液及びポリマー水溶液を表12に示す組み合わせで、下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(顔料の含有量は10.0質量%) 表12参照
・ポリウレタン樹脂エマルション分散液(樹脂の含有量は20.0質量%) 表12参照
・ポリマー水溶液(ポリマーの含有量は10.0質量%) 表12参照
・グリセリン 9.0質量%
・ジエチレングリコール 5.0質量%
・トリエチレングリコール 5.0質量%
・アセチレノールE100(界面活性剤:川研ファインケミカル製) 0.1質量%
・イオン交換水 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
[評価]
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、A〜Cが好ましいレベルとし、Dは許容できないレベルとした。尚、下記の各評価は、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)を用いて行った。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%、1滴あたりの吐出量:28ng±10%以内とした。また、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約28ngのインクを1滴付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。
(画像の耐擦過性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に、1インチ×0.5インチのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を印刷した。印刷から10分後、及び1日後に得られたベタ画像の上に、シルボン紙及び面圧40g/cmの分銅を置き、ベタ画像とシルボン紙を擦り合わせた。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、ベタ画像の汚れ具合やシルボン紙の白地部への転写を目視により観察した。画像の耐擦過性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表12に示す。
A:10分後において、白地部の汚れが若干見られたが目立たないレベルであった。更に、1日後において、白地部の汚れが見られなかった
B:10分後において、白地部の汚れが若干見られたが目立たないレベルであった。更に、1日後において、白地部の汚れがほとんどなかった
C:10分後及び1日後において、白地部の汚れが若干見られたが目立たないレベルであった
D:10分後及び1日後において、白地部の汚れが見られた
(画像の耐マーカー性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に、太さ1/10インチの縦罫線を記録した。印刷から5分後、及び1日後に得られた縦罫線に黄色ラインマーカー・OPTEX2(ゼブラ製)を用いてマーキングし、その後すぐに記録媒体の白地部にマーキングし、マーカーのペン先の汚染及び白地部のマーキングの汚れを確認した。画像の耐マーカー性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表12に示す。
A:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に少し着色の汚染があるが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった
B:5分後において、マーカーのペン先に着色の汚染があったが、白地部へマーキングしても汚れが目立たないレベルであった。1日後においてはペン先に着色の汚染が少しあったが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった
C:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に着色の汚染があったが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった
D:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に着色の汚染が激しく、白地部へマーキングすると汚れた
(インクの吐出安定性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、A4サイズのPPC用紙GF−500(キヤノン製)に、19cm×26cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を、10枚印刷した。このときの5枚目及び10枚目のベタ画像を目視で観察することにより、インクの吐出安定性を評価した。インクの吐出安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表12に示す。
A:5枚目及び10枚目において、白スジやカスレが見られなかった
B:5枚目においては正常に記録されていた。10枚目において、白スジやカスレが僅かに見られたが、ほとんど気にならないレベルであった
C: 5枚目においては正常に記録されていた。10枚目において、白スジやカスレが見られたが、許容できるレベルであった
D:5枚目及び10枚目において、白スジやカスレが見られた。
(インクの周波数応答性)
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置を駆動条件が制御できるように改造したものに装着し、駆動電圧を25Vに設定した。そして、駆動周波数が1KHz、5KHz、10KHzの各条件における連続記録中の不吐出、欠け、記録の乱れを目視で観察することにより、インクの周波数応答性を評価した。インクの周波数応答性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表12に示す。
A:何れの周波数でも、連続記録中の不吐出、欠け、記録の乱れがほとんどなかった
B:周波数が1KHz、5KHzのときは、連続記録中の不吐出、欠け、記録の乱れがほとんどなかったが、周波数が10KHzでは、1文字目から著しい吐出の乱れが発生し、記録された文字の判読が難しかった
C:周波数が1KHzのときのみ、連続記録中の不吐出、欠け、記録の乱れがほとんどなかったが、周波数が5KHz、10KHzでは、1文字目から著しい吐出の乱れが発生し、記録された文字の判読が難しかった
D:周波数が1KHzの条件においても、1文字目から著しい吐出の乱れが発生し、記録された文字の判読が難しかった。

Claims (14)

  1. 顔料及びABCトリブロックポリマーを含有するインクジェット用インクであって、
    前記ABCトリブロックポリマーが、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来するユニットのみから構成されるAブロック、下記一般式(1)で表されるユニットのみから構成されるBブロック、及び下記一般式(2)で表されるユニットのみから構成されるCブロックで構成されることを特徴とするインクジェット用インク。

    (一般式(1)中、RB1は水素原子又はメチル基であり、RB2は炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数4乃至8のシクロアルキル基、又は炭素数2乃至8のヒドロキシアルキル基である。)

    (一般式(2)中、RC1乃至RC4のうち少なくとも1つは、−COOH基、−RC5−COOH基、又はそれらの塩であり、残りは水素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、又は炭素数4乃至8のシクロアルキル基である。RC5は炭素数1乃至5のアルキレン基である。)
  2. 前記ABCトリブロックポリマーの酸価が20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマー全質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下である請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記ABCトリブロックポリマーの数平均分子量が、1,000以上30,000以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. 前記ABCトリブロックポリマーが、1.0≦(重量平均分子量)/(数平均分子量)≦2.0の分子量分布を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  6. 前記ABCトリブロックポリマーに占める、前記Aブロックの割合(質量%)が、前記Cブロックの割合(質量%)に対して、5.0倍以上15.0倍以下である請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  7. 前記ABCトリブロックポリマーの数平均分子量の前記ABCトリブロックポリマーの酸価に対する比が、50以上200以下である請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  8. 前記インクジェット用インク中の前記ABCトリブロックポリマーの含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.2倍以上0.5倍以下である請求項1乃至7の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  9. 前記インクが、更に、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂エマルションを含有する請求項1乃至8の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  10. インク全質量を基準とした、前記ポリウレタン樹脂エマルションの含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.10倍以上0.70倍以下である請求項9に記載のインクジェット用インク。
  11. インク全質量を基準とした、前記ポリウレタン樹脂エマルションの含有量(質量%)が、前記ABCトリブロックポリマーの含有量(質量%)に対して、質量比率で0.30倍以上1.00倍未満である請求項9又は10に記載のインクジェット用インク。
  12. 前記ポリエーテルポリオールがポリプロピレングリコールである請求項9乃至11の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
  13. インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが請求項1乃至12の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  14. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至12の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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