JP2018187829A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温条件下で保存したインクを用いた場合であっても、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】処理液を記録媒体Pに付与する工程と、複数色のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体Pに付与する工程と、を有するインクジェット記録方法である。インクを、記録媒体Pに付与する順に1番、2番、・・・N番とした場合に、インクの0.01質量%水溶液に、処理液中の酸を2.0mMとなるようにそれぞれ添加して調製した各液体の保存前後の凝集速度比RK=VK,after/VK,before(但し、1≦K<Nである)が、RK<RK+1の関係を満たす。【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、原理が単純でありながらも高品位のカラー画像を簡便に記録することができる方法であるため、近年、著しく発展している画像記録方法の一つである。そして、これまで主流であった家庭での文書や写真などの印刷だけでなく、オフィスや産業用途でも急速に普及しつつある。
従来、普通紙などの記録媒体に記録する画像の光学濃度を向上させることを目的として、様々な組成のインクが検討されている。例えば、リン酸基が顔料粒子に結合した自己分散顔料と、ウレタンポリマーとを含有する、発色性の良好な画像を記録しうるインクが提案されている(特許文献1)。
また、有機酸などの酸を含有する液体組成物と、顔料を含有するインクと、で構成されるインクセットを使用し、酸による凝集固定を利用して発色性の良好な画像を記録しうる記録方法が提案されている(特許文献2)。
本発明者らは、特許文献1及び2で提案されたインク及びインクセットについて検討した。その結果、これらのインクやインクセットを用いれば、発色性が良好な画像を記録できることがわかった。しかし、これらのインクやインクセットを、例えば60℃前後の高温条件下で一定期間保存すると、記録される画像の発色性が顕著に低下することが新たに判明した。
したがって、本発明の目的は、高温条件下で保存したインクを用いた場合であっても、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、インクを増粘させる処理液を記録媒体に付与する工程と、複数色のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、を有するインクジェット記録方法であって、前記処理液は、酸を含有し、前記インクは、それぞれ、カラー顔料、樹脂、及び水を含有し、前記インクを、前記記録媒体に付与する順に1番、2番、・・・N番とした場合に、前記インクの0.01質量%水溶液に、前記処理液中の前記酸を2.0mMとなるようにそれぞれ添加して調製した各液体の保存前の固形分の凝集速度V1,before、V2,before、・・・VN,beforeと、前記各液体を60℃で2週間保存後の固形分の凝集速度V1,after、V2,after、・・・VN,afterと、から算出される、保存前後の凝集速度比RK=VK,after/VK,before(但し、1≦K<Nである)が、RK<RK+1の関係を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、高温条件下で保存したインクを用いた場合であっても、発色性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
本発明者らは、カラー顔料をそれぞれ含有する複数色のインクを用いて記録した画像の発色性を向上させる方法について検討した。その結果、(i)処理液中の酸による、一定条件下で保存する前後のインクの凝集速度の比;及び(ii)記録媒体へのインクの付与順序;を設計することが有効であることを見出した。
発色性に優れた画像を記録するには、インク中の顔料を記録媒体中に浸透させず、なるべく記録媒体の表面近傍に留まらせる必要がある。このため、記録媒体の表面で顔料を素早く凝集させ、記録媒体中への顔料の浸透を抑制することが重要である。すなわち、顔料の凝集が浸透よりも早ければ、記録媒体の表面近傍に顔料が留まることになり、光学濃度が高く、発色性に優れた画像を記録することができる。
記録媒体の表面で顔料を素早く凝集させるには、例えば、インク中における顔料同士の衝突頻度を高めて凝集確率を向上させる;記録媒体上におけるイオン濃度やpHの変化などの環境変化によって顔料の分散破壊を生じさせる;などの対策が必要である。また、インクの着滴により記録媒体から溶出するイオンとの反応により顔料を凝集させる、などの対策も考えられる。すなわち、(i)インク中の固形分濃度を高める;(ii)インクのpHを下げる;(iii)インクの塩強度を高める;(iv)イオンと反応しうる官能基が粒子表面に結合した顔料を用いる;などの方法が考えられる。
しかし、顔料を高濃度に含有するインクが輸送中や保存中に高温条件下に曝されると、顔料同士の衝突頻度が保存中にさらに上昇するため、顔料がインク中で凝集しやすくなる。同様に、pHの低下又は塩強度の上昇によって顔料同士の反発力を弱めたインクが輸送中や保存中に高温条件下に曝されると、衝突頻度が上昇した顔料がインク中で凝集しやすくなる。その結果、顔料の分散安定性が低下してしまい、沈殿や増粘が生じやすくなる。また、イオンと反応する官能基が粒子表面に結合した顔料の場合、高温によって官能基が脱離し、記録媒体から溶出するイオンとの反応性が低下する。このため、記録媒体の表面で顔料が凝集しにくくなり、画像の発色性が低下する。
すなわち、インクが高温条件下で保存された場合であっても発色性に優れた画像を記録するには、保存前の顔料(固形分)の凝集速度を一定値以下に制御するとともに、保存後の顔料(固形分)の凝集速度を一定値以上に制御することが必要である。また、このような凝集性を利用した顔料を含有するインクで記録する画像の発色性には、記録媒体へのインクの付与順序も影響することがわかった。
図1は、本発明のインクジェット記録方法で用いる画像記録装置の一例を示す模式図である。図1に示す画像記録装置であるプリンター100は、例えば、外部コンピューター等から受信した画像データ及び印刷条件(両面印刷の有無など)に基づき、記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する。記録媒体としては、普通紙などの紙Pが用いられる。処理液吐出ヘッド12から吐出された処理液は、搬送ユニット10の動作により搬送された紙Pに塗布(付与)される。次いで、画像記録部200から吐出されたインクが紙Pに塗布(付与)され、紙Pの片面(記録面)に画像が記録される。画像記録部200は、複数色のインクをそれぞれ吐出するラインヘッド20a、20b、20c、20d、・・・20xによって構成されている。
図2は、画像記録装置の画像記録部を構成するラインヘッドの一例を示す模式図である。ラインヘッド20a、・・・20xは、いずれも、吐出口(吐出ユニット30)の配列幅を記録媒体の最大幅相当まで延ばした長尺インクジェットヘッドである。ラインヘッド20a、・・・20xは、記録媒体の搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に延設されている。ラインヘッド20a、・・・20xの長さは、紙P(図1)の最大幅よりも大きいことが好ましい。これにより、記録媒体の幅方向に一括して画像を記録することができる。
ラインヘッド20a、・・・20xは、それぞれ複数の吐出ユニット30を有する。吐出ユニット30は、Y方向に配列されている。ラインヘッド20a、・・・20xは、画像データに応じて吐出ユニット30からインクを吐出する。図1に示すプリンター100の場合、ラインヘッド20a、・・・20xの順でインクが吐出される。すなわち、記録媒体の搬送方向の上流側(X1側)から下流側(X2側)に向かって配置されたラインヘッド20a、20b、20c、20d、・・・20xの順でインクが吐出される。これにより、紙Pの同じ位置にインクが付与され、紙Pに画像が記録される。
ここで、顔料1を含有するインク1がラインヘッド20aに充填され、顔料2を含有するインク2がラインヘッド20bに充填されている場合を想定する。この場合、紙Pには、インク1→インク2の順でインクが付与される。インク1が付与される紙Pには、酸を含有する処理液が既に塗布されているため、処理液中の酸と、インク1中の顔料1とが反応し、顔料1が凝集して紙Pの表面近傍に定着する。次いで、インク2が付与されると、残りの酸と反応して凝集したインク2中の顔料2が紙Pの表面近傍に定着し、凝集しなかった顔料2が紙Pの下層部に浸透して定着する。
本発明者らは、60℃で2週間保存後の酸による凝集速度が変化したインクを一色のみ用いた場合には、記録される画像の発色性がほとんど変化しないことを確認した。しかし、複数色のインクを用いた場合、記録媒体に後から付与されるインクの色の発色性が低下することが判明した。また、60℃で2週間保存後の酸による凝集速度の変化が大きいインクから順に記録媒体に付与して記録した画像の発色性は、凝集速度の変化が小さいインクから順に記録媒体に付与して記録した画像の発色性よりも優れていることがわかった。これは、凝集速度が大きく変化し凝集能が低下したインクであっても、記録媒体に先に付与される場合には、顔料を凝集させる酸が十分に存在しているために十分に凝集することができ、発色性の低下に繋がりにくくなるためと考えられる。
以上より、本発明者らは、以下の手順にしたがって算出される「凝集速度比RK=VK,after/VK,before」が、RK<RK+1の関係を満たすようにすることを見出した。この関係を満たすようにすることで、高温条件下で保存したインクを用いた場合であっても、発色性に優れた画像を記録することができる。
(i)複数色のインクを、記録媒体に付与する順に1番、2番、・・・N番とする。
(ii)各インクの0.01質量%水溶液に、処理液中の酸を2.0mMとなるようにそれぞれ添加して液体を調製する。
(iii)調製した各液体の保存前の固形分の凝集速度V1,before、V2,before、・・・VN,beforeを測定する。
(iv)各液体を60℃で2週間保存後の固形分の凝集速度V1,after、V2,after、・・・VN,afterを測定する。
(v)測定した凝集速度から、保存前後の凝集速度比RK=VK,after/VK,before(但し、1≦K<Nである)を算出する。
(i)複数色のインクを、記録媒体に付与する順に1番、2番、・・・N番とする。
(ii)各インクの0.01質量%水溶液に、処理液中の酸を2.0mMとなるようにそれぞれ添加して液体を調製する。
(iii)調製した各液体の保存前の固形分の凝集速度V1,before、V2,before、・・・VN,beforeを測定する。
(iv)各液体を60℃で2週間保存後の固形分の凝集速度V1,after、V2,after、・・・VN,afterを測定する。
(v)測定した凝集速度から、保存前後の凝集速度比RK=VK,after/VK,before(但し、1≦K<Nである)を算出する。
インクの0.01質量%水溶液に処理液中の酸を2.0mMとなるように添加して調製した液体中の固形分の凝集速度は、以下に示す参考文献の記載内容を参考にして測定することができる。なお、以下に示す参考文献には、カルシウムによる固形分の凝集速度を測定する方法が記載されているが、酸による固形分の凝集速度についても同様の方法で測定することができる。
参考文献:International Conference on Digital Printing Technologies, September 2002; p.383-387, Yuan Yu et.al. "Coagulation Kinetics of Surface Modified Pigment Particles"
参考文献:International Conference on Digital Printing Technologies, September 2002; p.383-387, Yuan Yu et.al. "Coagulation Kinetics of Surface Modified Pigment Particles"
顔料の粒径を測定する装置としては、濃厚系粒径アナライザー(例えば、商品名「FPAR−1000」(大塚電子製)など)を使用することができる。インクの0.01質量%水溶液に所定濃度となる量の酸を添加して混合した後、顔料の粒径を直ちに測定する。顔料の粒径は、2秒間隔で900秒間測定する。測定終了後、粒径変化の初期の傾きを求め、それを「凝集速度」とする。
<インク>
本発明のインクジェット記録方法では、カラー顔料、樹脂、及び水をそれぞれ含有する複数色のインクを用いる。以下、本発明のインクジェット記録方法で使用するインクに用いる成分や物性などについて詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法では、カラー顔料、樹脂、及び水をそれぞれ含有する複数色のインクを用いる。以下、本発明のインクジェット記録方法で使用するインクに用いる成分や物性などについて詳細に説明する。
(顔料)
インクは、カラー顔料(以下、単に「顔料」とも記す)を色材として含有する。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。顔料の含有量が0.1質量%未満であると、記録される画像の光学濃度がやや不足することがある。一方、顔料の含有量が15.0質量%超であると、耐固着性などのインクジェット特性が不十分になる場合がある。
インクは、カラー顔料(以下、単に「顔料」とも記す)を色材として含有する。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。顔料の含有量が0.1質量%未満であると、記録される画像の光学濃度がやや不足することがある。一方、顔料の含有量が15.0質量%超であると、耐固着性などのインクジェット特性が不十分になる場合がある。
カラー顔料としては、シアンインク用の顔料、マゼンタインク用の顔料、及びイエローインク用の顔料などのインクジェット用のインクに使用可能なものであれば、いずれも用いることができる。シアンインク用の顔料としては、銅フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的なカラーインデックスNo.としては、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:2、15:3、15:4、16、22、60などを挙げることができる。
マゼンタインク用の顔料としては、キナクリドン顔料を用いることが好ましい。具体的なカラーインデックスNo.としては、C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、112、122、123、146、168、184、202、207などを挙げることができる。また、イエローインク用の顔料としては、アゾ顔料を用いることが好ましい。具体的なカラーインデックスNo.としては、C.I.Pigment Yellow 12、13、14、16、17、74、83、93、95、97、98、114、128、129、151、154などを挙げることができる。
本発明のインクジェット記録方法では、カラー顔料を含有するインクとともに、ブラック顔料を含有するブラックインクを用いることもできる。ブラック顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料を用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、Raven:1060、1080、1170、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5250、5750、7000、5000 ULTRAII、1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン製);Black Pearls L;MOGUL−L;Regal:400R、660R、330R;Monarch:800、880、900、1000、1300、1400(以上、キャボット製);Color Black:FW1、FW2、FW200、18、S160、S170;Special Black:4、4A、6;Printex:35、U、140U、V、140V(以上、デグッサ製);No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、No.2600、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)などを挙げることができる。
顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散顔料)、及び顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)などを用いることができる。樹脂分散タイプの顔料としては、高分子分散剤を使用した樹脂分散型顔料、顔料の粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料、及び顔料の粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合型自己分散顔料などがある。なお、分散方法の異なる顔料を併用することもできる。なかでも、自己分散顔料をカラー顔料として用いることが好ましい。
[自己分散顔料]
自己分散顔料としては、顔料の粒子表面にホスホン酸基が直接又は他の原子団を介して粒子表面に結合したものを用いることが好ましい。インク中におけるホスホン酸基は、一部が解離した状態であってもよく、全てが解離した状態であってもよい。
自己分散顔料としては、顔料の粒子表面にホスホン酸基が直接又は他の原子団を介して粒子表面に結合したものを用いることが好ましい。インク中におけるホスホン酸基は、一部が解離した状態であってもよく、全てが解離した状態であってもよい。
自己分散顔料の50%累積体積平均粒径(D50)は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。ホスホン酸基としては、−PO3HM基、−PO3M2基などを挙げることができる。上記式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。なかでも、ホスホン酸基が−CQ(PO3M2)2の構造を有することがより好ましい。上記式中のQは、水素原子、R’、OR’、SR’、又はNR’2であり、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アラルキル基、又はアリール基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基を挙げることができる。アシル基としては、アセチル基、ベンゾイル基を挙げることができる。アラルキル基としては、ベンジル基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。なかでも、R’が水素原子である−CH(PO3M2)2が好ましい。
他の原子団(−R−)としては、アミド基、アミノ基、ケトン基、エステル基、エーテル基、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換又は非置換のフェニレン基、及び置換又は非置換のナフチレン基を挙げることができる。なかでも、−R−が、−C6H4−CONH−(ベンズアミド構造)、又は−C6H4−SO2NH−(ベンゼンスルホンアミド構造)を含むことが好ましい。
他の原子団(−R−)の炭素原子には、複数のホスホン酸基が結合していてもよい。具体的には、ビスホスホン酸基やトリホスホン酸基が結合した原子団が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料を用いることが好ましい。なかでも、ビスホスホン酸基が直接又は他の原子団を介して顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料を用いることが、長期保存時の画像の堅牢性及び顔料の分散安定性の両立の観点から好ましい。
インク中の顔料が自己分散顔料であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって検証することができる。まず、インクを酸析した後、遠心分離して沈殿物を採取する。顔料分散体の場合は、顔料分散体を酸析した後、沈殿物を採取する。採取した沈殿物をシャーレに取り、水を流し込んで撹拌し、再分散させる。1日放置後に、シャーレに沈殿物が生じず、顔料が分散していれば、自己分散顔料であると判断することができる。また、インク中の自己分散顔料がホスホン酸基を有するか否かについては、ICP発光分析により検証することができる。すなわち、ICP発光分析装置を使用して分析してリン元素が確認されれば、ホスホン酸基を有すると判断することができる。
また、樹脂分散タイプの顔料の場合は、樹脂を分散剤として用いる。分散剤として用いる樹脂は親水性部位と疎水性部位を共に有する事が好ましい。具体的には、アクリル酸やメタクリル酸などカルボキシル基を有するモノマーとスチレンなどの芳香族基を有するモノマーを共重合した樹脂;ジメチロールプロピオン酸などアニオン性基を有するジオールを用いて重合したウレタン樹脂などが挙げられる。
また、分散剤として用いる樹脂の酸価は50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下である事が好ましい。また、分散剤として用いる樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上15,000以下である事が好ましい。また、インク中の樹脂分散剤の含有量は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、更には、0.2質量%以上4.0質量%以下である事が好ましい。また、樹脂分散剤の含有量が、顔料の含有量に対して、質量比率で0.1倍以上1.0倍以下である事が好ましい。
[樹脂分散顔料]
樹脂分散顔料は、顔料を分散させる樹脂分散剤を含有する。樹脂分散剤としては、インクジェット用のインクに使用可能なものであれば、いずれも用いることができる。なかでも、水溶性樹脂を樹脂分散剤として用いることが好ましい。すなわち、顔料は、水溶性樹脂によってインク中に分散されていることが好ましい。本発明における「水溶性樹脂」とは、酸価と当量のアルカリで中和した場合に、水中において粒径を有しない状態で存在する樹脂をいう。すなわち、本発明における「水溶性樹脂」は、後述する樹脂粒子(水中において粒径を有する状態で存在しうる樹脂)とは異なる。
樹脂分散顔料は、顔料を分散させる樹脂分散剤を含有する。樹脂分散剤としては、インクジェット用のインクに使用可能なものであれば、いずれも用いることができる。なかでも、水溶性樹脂を樹脂分散剤として用いることが好ましい。すなわち、顔料は、水溶性樹脂によってインク中に分散されていることが好ましい。本発明における「水溶性樹脂」とは、酸価と当量のアルカリで中和した場合に、水中において粒径を有しない状態で存在する樹脂をいう。すなわち、本発明における「水溶性樹脂」は、後述する樹脂粒子(水中において粒径を有する状態で存在しうる樹脂)とは異なる。
樹脂分散剤を構成するモノマーとしては、スチレン、ビニルナフタレン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びこれらの誘導体などを挙げることができる。これらのモノマーの少なくとも2つを用いて得られる樹脂が好ましく、少なくとも1つは親水性モノマーであることが好ましい。また、親水性モノマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくともいずれかが好ましい。樹脂分散剤は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの塩などのいずれであってもよい。さらに、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂を樹脂分散剤として用いることもできる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される樹脂分散剤のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂分散剤の酸価は、50mgKOH/g以上350mgKOH/g以下であることが好ましく、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。酸価が上記範囲内にある樹脂分散剤を用いることで、顔料の分散安定性を向上させることができ、インクの吐出安定性を高めることができる。なお、樹脂分散剤の酸価は、電位差滴定法により測定することができる。
インク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インク中の顔料の含有量(質量%)が、樹脂分散剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上5.0倍以下であることが好ましく、0.5倍以上2.0倍以下であることがさらに好ましい。上記の質量比率を算出する際の各成分の含有量は、インク全質量を基準として算出される値である。
インク中の樹脂分散顔料の含有量(顔料と樹脂分散剤の合計含有量)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂分散顔料の含有量が0.1質量%未満であると、画像の光学濃度の向上効果がやや不足することがある。一方、樹脂分散剤の含有量が5.0質量%超であると、インクの耐固着性などが不十分になる場合がある。
樹脂分散剤によって分散された顔料か否かを判断する方法は、以下に示す通りである。まず、インクを濃縮又は希釈して全固形分の含有量が10質量%程度になるように調製した液体を、12,000rpmで1時間遠心分離する。これにより、水溶性有機溶剤や分散に寄与しない樹脂などが液層に含まれることになるため、顔料を含む沈降成分を回収する。そして、顔料を含む沈降成分に樹脂が含まれている場合は、樹脂によって分散された顔料であると判断することができる。さらに、顔料を含む沈降成分に主成分として含まれている樹脂が、顔料の分散に寄与する樹脂(樹脂分散剤)であり、液層に主成分として含まれている樹脂が、顔料の分散に寄与しない樹脂であると判断することができる。
(樹脂)
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、樹脂を含有する。樹脂としては、樹脂粒子を用いることが好ましい。水溶性の樹脂は記録媒体に吸着しやすく、界面活性作用を示すため、記録媒体の深さ方向への顔料の浸透が促進されやすくなることがある。このため、記録される画像の発色性の向上効果がやや不足することがある。本発明における「樹脂粒子」とは、「粒径を有する状態で水系媒体中に分散して存在しうる樹脂からなる粒子」を意味する。樹脂粒子の50%累積体積平均粒径(D50)は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子のD50は、樹脂粒子分散体を純水で50倍(体積基準)に希釈して調製した水分散液を測定用試料とし、粒度分布測定装置(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を使用して以下に示す測定条件にしたがって測定することができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、樹脂を含有する。樹脂としては、樹脂粒子を用いることが好ましい。水溶性の樹脂は記録媒体に吸着しやすく、界面活性作用を示すため、記録媒体の深さ方向への顔料の浸透が促進されやすくなることがある。このため、記録される画像の発色性の向上効果がやや不足することがある。本発明における「樹脂粒子」とは、「粒径を有する状態で水系媒体中に分散して存在しうる樹脂からなる粒子」を意味する。樹脂粒子の50%累積体積平均粒径(D50)は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子のD50は、樹脂粒子分散体を純水で50倍(体積基準)に希釈して調製した水分散液を測定用試料とし、粒度分布測定装置(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を使用して以下に示す測定条件にしたがって測定することができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
樹脂粒子としては、公知のものをいずれも用いることができる。なかでも、ポリウレタン樹脂粒子及びアクリル樹脂粒子から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
[ポリウレタン樹脂粒子]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリウレタン樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、5,000以上150,000以下であることが好ましく、8,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が5,000未満であると、ポリウレタン樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性がやや不足することがある。一方、ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が150,000超であると、インクの保存安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリウレタン樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、5,000以上150,000以下であることが好ましく、8,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が5,000未満であると、ポリウレタン樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性がやや不足することがある。一方、ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が150,000超であると、インクの保存安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量は、ポリスチレン標準試料を使用し、GPCにより測定することができる。GPCの装置などは、例えば、以下に示すものを使用することができる。また、ポリスチレン標準試料としては、商品名「PS−1」、「PS−2」(Polymer Laboratories製)を用いることができる。
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
ポリウレタン樹脂粒子の酸価は、100mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂粒子の酸価は、滴定法により測定することができる。例えば、ポリウレタン樹脂粒子をTHFに溶解し、電位差自動滴定装置(例えば、商品名「AT510」、京都電子工業製)を使用して、水酸化カリウム−エタノール滴定液を用いた電位差滴定法によって酸価を測定することができる。
ポリウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、−80℃以上であることが好ましく、−50℃以上であることがさらに好ましい。また、ポリウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
インク中のポリウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。ポリウレタン樹脂粒子の含有量が0.1質量%未満であると、画像の耐擦過性がやや不足することがある。一方、ポリウレタン樹脂粒子の含有量が10.0質量%超であると、インクの吐出安定性などが不足することがある。
ポリウレタン樹脂粒子は、一般的に用いられている従来の方法によって製造することができる。具体的には、酸基を有しないポリオールをメチルエチルケトンなどの有機溶剤中で十分に撹拌して溶解させた後、ポリイソシアネート及び酸基を有するジオールを加えて反応させ、ウレタンプレポリマー溶液を得る。得られたウレタンプレポリマー溶液を中和した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌して乳化する。乳化後、鎖延長剤を添加して鎖延長反応を行えば、ポリウレタン樹脂粒子を製造することができる。
(1)ポリイソシアネート
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、ポリイソシアネートに由来するユニットを有する。本明細書における「ポリイソシアネート」とは、2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。ポリウレタンに占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合は、10.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、ポリイソシアネートに由来するユニットを有する。本明細書における「ポリイソシアネート」とは、2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。ポリウレタンに占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合は、10.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートを挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートを挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のポリイソシアネートのなかでも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(2)酸基を有しないポリオール
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、酸基を有しないポリオールに由来するユニットを有する。ポリウレタンに占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合は、0.1質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、酸基を有しないポリオールに由来するユニットを有する。ポリウレタンに占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合は、0.1質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
酸基を有しないポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。酸基を有しないポリオールの炭素数は、13以上250以下であることが好ましい。また、GPCにより測定される、酸基を有しないポリオールのポリスチレン換算の数平均分子量は、600以上4,000以下であることが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、酸成分と、ポリアルキレングリコール、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとのエステルを挙げることができる。酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などを挙げることができる。脂環族ジカルボン酸としては、上記の芳香族ジカルボン酸の水素添加物などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキル琥珀酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などを挙げることができる。また、これらの酸成分の酸無水物、アルキルエステル、又は酸ハライドなどの反応性誘導体なども、ポリエステルポリオールを構成する酸成分として用いることができる。これらの酸成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。ポリエステルポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレングリコールと、アルキレンオキサイドと、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとの付加重合物を挙げることができる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。ポリエーテルポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネートジオールとしては、従来公知の方法で製造されるポリカーボネートジオールを用いることができる。ポリカーボネートジオールとしては、例えば、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分又はホスゲンと、脂肪族ジオール成分とを反応させて得られるポリカーボネートジオールを挙げることができる。ポリカーボネートジオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸基を有しないポリオールのなかでも、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。ポリエーテルポリオールを用いると、形成される樹脂膜の柔軟性が適度に発現するため、画像の耐擦過性が向上しやすい。さらに、ポリエーテルポリオールは親水性が比較的高いため、インクの吐出安定性を向上させることができる。ポリエーテルポリオールのなかでも、ポリプロピレングリコールを用いることが特に好ましい。
(3)酸基を有するジオール
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、酸基を有するジオールに由来するユニットを有することが好ましい。本明細書における「酸基を有するジオール」とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を有するジオールを意味する。酸基を有するジオールは、Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩や、アンモニア、ジメチルアミンなどの有機アミン塩の状態で存在してもよい。酸基を有するジオールとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸を用いることが好ましい。これらの酸基を有するジオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリウレタンに占める、酸基を有するジオールに由来するユニットの割合は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、酸基を有するジオールに由来するユニットを有することが好ましい。本明細書における「酸基を有するジオール」とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を有するジオールを意味する。酸基を有するジオールは、Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩や、アンモニア、ジメチルアミンなどの有機アミン塩の状態で存在してもよい。酸基を有するジオールとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸を用いることが好ましい。これらの酸基を有するジオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリウレタンに占める、酸基を有するジオールに由来するユニットの割合は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
(4)鎖延長剤
ポリウレタンにより形成された樹脂粒子を製造する際には、鎖延長剤を用いてもよい。鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーに含まれるポリイソシアネートに由来するユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応しうる化合物である。鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物;ポリアミドポリアミン;ポリエチレンポリイミンを挙げることができる。
ポリウレタンにより形成された樹脂粒子を製造する際には、鎖延長剤を用いてもよい。鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーに含まれるポリイソシアネートに由来するユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応しうる化合物である。鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物;ポリアミドポリアミン;ポリエチレンポリイミンを挙げることができる。
さらに、鎖延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。これらの鎖延長剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[アクリル樹脂粒子]
GPCにより測定されるアクリル樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、100,000以上3,000,000以下であることが好ましく、300,000以上1,000,000以下であることがさらに好ましい。アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が100,000未満であると、アクリル樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性がやや不足することがある。一方、アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が3,000,000超であると、インクの保存安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
GPCにより測定されるアクリル樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、100,000以上3,000,000以下であることが好ましく、300,000以上1,000,000以下であることがさらに好ましい。アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が100,000未満であると、アクリル樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性がやや不足することがある。一方、アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が3,000,000超であると、インクの保存安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
アクリル樹脂粒子の重量平均分子量は、ポリスチレン標準試料を使用し、GPCにより測定することができる。GPCの装置などは、例えば、以下に示すものを使用することができる。また、ポリスチレン標準試料としては、商品名「PS−1」、「PS−2」(Polymer Laboratories製)を用いることができる。
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
アクリル樹脂粒子の酸価は、150mgKOH/g以下であることが好ましく、25mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。アクリル樹脂粒子の酸価は、滴定法により測定することができる。例えば、アクリル樹脂粒子をTHFに溶解し、電位差自動滴定装置(例えば、商品名「AT510」、京都電子工業製)を使用して、水酸化カリウム−エタノール滴定液を用いた電位差滴定法によって酸価を測定することができる。
アクリル樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、−20℃以上であることが好ましく、−10℃以上であることがさらに好ましく、25℃以上であることが特に好ましい。また、アクリル樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
インク中のアクリル樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。アクリル樹脂粒子の含有量が0.1質量%未満であると、画像の耐擦過性がやや不足することがある。一方、アクリル樹脂粒子の含有量が10.0質量%超であると、インクの吐出安定性などが不足することがある。
アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂を得るために用いるモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーを挙げることができる。(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸を挙げることができる。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル系モノマーの単重合体であってもよく、(メタ)アクリル系モノマーとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。その他のモノマーとしては、例えば、ビニルエステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン類、イタコン類、マレイン酸類、フマル酸類、アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類などを挙げることができる。
(界面活性剤)
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、さらに、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、インクジェット用のインクに用いることが可能な従来公知の界面活性剤をいずれも用いることができる。なかでも、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤のなかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールなどのエチレンオキサイド付加物がさらに好ましい。また、アセチレングリコールなどのエチレンオキサイド付加物のなかでも、下記一般式(1)で表される界面活性剤を用いることが特に好ましい。下記一般式(1)で表される界面活性剤の具体例としては、以下商品名で、アセチレノールE40、E100(川研ファインケミカル製);サーフィノール(エアプロダクツ製);ダイノール604、607、800、810(以上、エアプロダクツ製)などを挙げることができる。
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、さらに、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、インクジェット用のインクに用いることが可能な従来公知の界面活性剤をいずれも用いることができる。なかでも、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤のなかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールなどのエチレンオキサイド付加物がさらに好ましい。また、アセチレングリコールなどのエチレンオキサイド付加物のなかでも、下記一般式(1)で表される界面活性剤を用いることが特に好ましい。下記一般式(1)で表される界面活性剤の具体例としては、以下商品名で、アセチレノールE40、E100(川研ファインケミカル製);サーフィノール(エアプロダクツ製);ダイノール604、607、800、810(以上、エアプロダクツ製)などを挙げることができる。
一般式(1)中、m+nは8以下であることが好ましく、5以下であることがさらに好ましい。また、一般式(1)中、x及びyは、それぞれ独立に2であることが好ましい。
一般式(1)で表される界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましい。一般式(1)で表される界面活性剤の含有量を上記の範囲内とすることで、画像の発色性の向上効果をさらに高めることができる。なお、インクには、一般式(1)で表される界面活性剤以外の界面活性剤(その他の界面活性剤)を含有させてもよい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水を含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水を含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
また、インクは、さらに水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。本明細書における「水溶性有機溶剤」とは、「20℃の水への溶解度が500g/L以上である有機溶剤」を意味する。水溶性有機溶剤としては、一般的なインクに使用可能なものを用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
インクの粘度調整の観点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重量平均分子量10,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジグリセロールを用いることが好ましく、ポリエチレングリコール、グリセリンを用いることがさらに好ましい。ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、400以上2,000以下であることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましい。
(添加剤)
インクには、必要に応じて、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。pH調整剤としては、緩衝能を有するアミン化合物を用いることが好ましく、N−ブチルジエタノールアミンを用いることがさらに好ましい。
インクには、必要に応じて、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。pH調整剤としては、緩衝能を有するアミン化合物を用いることが好ましく、N−ブチルジエタノールアミンを用いることがさらに好ましい。
<処理液>
本発明のインクジェット記録方法では、インクを増粘させる処理液を用いる。処理液は、インクを高粘度化して増粘させる成分(高粘度化成分)を含有する。インクの「高粘度化」とは、インクに含まれる顔料や樹脂などの成分が高粘度化成分と接触して化学的に反応し、又は物理的吸着に吸着し、インク増粘することをいう。インクの「高粘度化」には、インク全体の粘度上昇が認められる場合だけでなく、顔料などの成分が凝集して局所的に粘度上昇する場合も含まれる。高粘度化成分としては、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などを用いることができる。本発明のインクジェット記録方法で用いる処理液は、高粘度化成分として酸を含有する。酸のなかでも、揮発性や潮解性の観点から、有機酸を用いることが好ましい。なお、複数種の高粘度化成分を併用してもよい。
本発明のインクジェット記録方法では、インクを増粘させる処理液を用いる。処理液は、インクを高粘度化して増粘させる成分(高粘度化成分)を含有する。インクの「高粘度化」とは、インクに含まれる顔料や樹脂などの成分が高粘度化成分と接触して化学的に反応し、又は物理的吸着に吸着し、インク増粘することをいう。インクの「高粘度化」には、インク全体の粘度上昇が認められる場合だけでなく、顔料などの成分が凝集して局所的に粘度上昇する場合も含まれる。高粘度化成分としては、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などを用いることができる。本発明のインクジェット記録方法で用いる処理液は、高粘度化成分として酸を含有する。酸のなかでも、揮発性や潮解性の観点から、有機酸を用いることが好ましい。なお、複数種の高粘度化成分を併用してもよい。
(有機酸)
有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸などを挙げることができる。処理液中の有機酸の含有量(質量%)は、処理液全質量を基準として、5質量%以上であることが好ましい。
有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸などを挙げることができる。処理液中の有機酸の含有量(質量%)は、処理液全質量を基準として、5質量%以上であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
処理液には、適量の水や水溶性有機溶剤を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、一般的な処理液に使用可能なものを用いることができる。また、処理液には、各種樹脂をさらに含有させることもできる。適当な樹脂を含有させることで、記録される画像の機械的強度を高めることができる。さらに、処理液には、界面活性剤や粘度調整剤を添加して表面張力や粘度を適宜調整することができる。
処理液には、適量の水や水溶性有機溶剤を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、一般的な処理液に使用可能なものを用いることができる。また、処理液には、各種樹脂をさらに含有させることもできる。適当な樹脂を含有させることで、記録される画像の機械的強度を高めることができる。さらに、処理液には、界面活性剤や粘度調整剤を添加して表面張力や粘度を適宜調整することができる。
<インクカートリッジ>
上記のインクは、通常、インクカートリッジに収容される。インクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備える。そして、このインク収容部に、上記で説明したインクが収容されている。インクカートリッジの形態としては、(i)インク収容部内にインクを直接収容する形態;(ii)インク収容部に負圧を発生する部材や機構を収納し、これらの部材等によってインクを保持して収容する形態;などがある。(ii)の形態には、さらに、(ii−1)インク収容部全体に負圧を発生する部材や機構を収納した形態;(ii−2)インク収容部内を、インクを直接収容する室と、負圧を発生する部材等を収納する室とで区画した形態;などがある。なお、インクカートリッジは、記録ヘッドと一体化されていてもよい。
上記のインクは、通常、インクカートリッジに収容される。インクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備える。そして、このインク収容部に、上記で説明したインクが収容されている。インクカートリッジの形態としては、(i)インク収容部内にインクを直接収容する形態;(ii)インク収容部に負圧を発生する部材や機構を収納し、これらの部材等によってインクを保持して収容する形態;などがある。(ii)の形態には、さらに、(ii−1)インク収容部全体に負圧を発生する部材や機構を収納した形態;(ii−2)インク収容部内を、インクを直接収容する室と、負圧を発生する部材等を収納する室とで区画した形態;などがある。なお、インクカートリッジは、記録ヘッドと一体化されていてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、処理液を記録媒体に付与する工程(処理液付与工程)と、複数色のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程(インク付与工程)とを有する。また、本発明の画像記録方法は、さらに、記録媒体を搬送する搬送工程と、インクが付与された記録媒体を加熱する加熱工程とを有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、処理液を記録媒体に付与する工程(処理液付与工程)と、複数色のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程(インク付与工程)とを有する。また、本発明の画像記録方法は、さらに、記録媒体を搬送する搬送工程と、インクが付与された記録媒体を加熱する加熱工程とを有することが好ましい。
図1に示す画像記録装置(プリンター100)においては、ロール状に巻かれた記録媒体を使用し、画像を記録した記録媒体(紙P)を、再度ロール状に巻き取る形態が示されている。すなわち、図1に示すプリンター100は、搬送ユニット10と、処理液吐出ヘッド12と、画像記録部200と、加熱手段3と、回収ユニット11とを備える。搬送ユニット10は、ロール状に巻かれた紙Pを保持して供給するためのユニットである。処理液吐出ヘッド12は、搬送ユニット10から送出された紙Pに処理液を吐出して付与するインクジェット方式の記録ヘッドである。画像記録部200は、処理液が付与された紙Pにインクを付与する部分である。画像記録部200は、例えば、記録媒体の搬送方向に沿って配列された、複数色のインクにそれぞれ対応する複数のラインヘッド20a、20b、20c、20d、・・・20xによって構成されている。加熱手段3は、インクが付与された紙Pを加熱するためのユニットである。そして、回収ユニット11は、インクが付与されて画像が記録された紙Pを巻き取るためのユニットである。紙Pは、ローラー対やベルトなどの搬送部材を含む搬送手段により、図1中の実線で示した搬送経路に沿って搬送され、各ユニットにおいて処理される。なお、回収ユニット11でロール状に巻き取られた紙Pを別の装置などに供給し、所望の大きさに切断したり、製本したりするなどの処理を行ってもよい。
搬送工程における記録媒体の搬送速度は、50m/分以上であることが好ましく、100m/分以上であることが好ましい。
搬送工程においては、記録媒体に張力を付与することが好ましい。すなわち、張力を生じさせる張力付与手段を画像記録装置に設けることが好ましい。具体的には、搬送ユニット10と回収ユニット11との間の搬送機構に、記録媒体に張力を付与する張力付与部や、記録媒体の張力を調整する張力調整部などを設けることができる。記録媒体に張力を付与しておく(かけておく)と、インク中の水による記録媒体を構成する繊維の膨潤を抑制することができる。記録媒体を構成する繊維が膨潤すると、繊維間の空隙が増加するためにインクの浸透速度は上昇する。インクの浸透速度が上昇すると、インクが記録媒体の厚さ方向に深く浸透しやすくなるため、画像の光学濃度が不足する傾向にある。したがって、張力をかけた記録媒体にインクを付与することで、より光学濃度の高い画像を記録することができる。
好ましくは20N/m以上、さらに好ましくは30N/m以上、特に好ましくは40N/m以上100N/m以下の張力をかけた記録媒体にインクを付与する。記録媒体に付与する張力を20N/m以上とすることで、インク中の水による記録媒体を構成する繊維の膨潤をより効率的に抑制することができる。
(処理液付与工程)
処理液付与工程は、記録媒体に処理液を付与する工程である。記録媒体に処理液を付与する方法としては、図1に示すような処理液吐出ヘッド12からインクジェット方式で吐出して付与する方法や、図3に示すプリンター110に設けたロール50などを使用するロールコート方法などを挙げることができる。さらに、ダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラーなどを用いる手法;オフセットローラーを用いる手法;スプレーコーティングなどの手法であってもよい。なかでも、インクジェット方式の記録ヘッドを用いることで、画像やノズル解像度に応じて処理液の吐出量などを制御することができ、画質向上や処理液の消費量削減の観点で好ましい。
処理液付与工程は、記録媒体に処理液を付与する工程である。記録媒体に処理液を付与する方法としては、図1に示すような処理液吐出ヘッド12からインクジェット方式で吐出して付与する方法や、図3に示すプリンター110に設けたロール50などを使用するロールコート方法などを挙げることができる。さらに、ダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラーなどを用いる手法;オフセットローラーを用いる手法;スプレーコーティングなどの手法であってもよい。なかでも、インクジェット方式の記録ヘッドを用いることで、画像やノズル解像度に応じて処理液の吐出量などを制御することができ、画質向上や処理液の消費量削減の観点で好ましい。
(インク付与工程)
インク付与工程は、処理液が付与された記録媒体に、さらにインクを付与する工程である。記録媒体にインクを付与する方式としては、インクジェット方式を採用する。インクジェット方式としては、サーマルインクジェット方式であっても、ピエゾインクジェット方式であってもよい。サーマルインクジェット方式は、インクに熱エネルギーを付与して記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。また、ピエゾインクジェット方式は、ピエゾ素子を用いて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。なかでも、インクの吐出安定性の観点から、ピエゾインクジェット方式を採用することが好ましい。
インク付与工程は、処理液が付与された記録媒体に、さらにインクを付与する工程である。記録媒体にインクを付与する方式としては、インクジェット方式を採用する。インクジェット方式としては、サーマルインクジェット方式であっても、ピエゾインクジェット方式であってもよい。サーマルインクジェット方式は、インクに熱エネルギーを付与して記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。また、ピエゾインクジェット方式は、ピエゾ素子を用いて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。なかでも、インクの吐出安定性の観点から、ピエゾインクジェット方式を採用することが好ましい。
記録ヘッドは、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドであることが好ましい。フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向にノズル列が配列されたものであることが好ましい。また、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドは、通常、インクの色ごとに複数設けられているとともに、それぞれの記録ヘッドが記録媒体の搬送方向に沿って順に平行に配列されていることが好ましい。
(加熱工程)
加熱工程は、インクが付与された記録媒体の表面温度が70℃以上となるように加熱する工程である。本発明における「インクが付与された記録媒体の表面温度」とは、インクが記録媒体に付与された時点を0秒とした場合に、0.5秒搬送された位置における記録媒体の表面温度を意味する。例えば、記録媒体の搬送速度を「V」m/分と仮定する。このように仮定した場合、記録媒体におけるインクの付与領域Xが、インクが付与された位置から搬送方向に沿って「(V×0.5)/60」m移動した位置における付与領域Xの表面温度を測定すればよい。なお、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドの場合における「インクが付与された位置」とは、記録ヘッドの直下の位置を意味する。
加熱工程は、インクが付与された記録媒体の表面温度が70℃以上となるように加熱する工程である。本発明における「インクが付与された記録媒体の表面温度」とは、インクが記録媒体に付与された時点を0秒とした場合に、0.5秒搬送された位置における記録媒体の表面温度を意味する。例えば、記録媒体の搬送速度を「V」m/分と仮定する。このように仮定した場合、記録媒体におけるインクの付与領域Xが、インクが付与された位置から搬送方向に沿って「(V×0.5)/60」m移動した位置における付与領域Xの表面温度を測定すればよい。なお、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドの場合における「インクが付与された位置」とは、記録ヘッドの直下の位置を意味する。
加熱工程においては、インクが付与された記録媒体の表面温度が80℃以上となるように加熱することが好ましい。また、記録媒体が熱によって変形することを防止する観点から、表面温度が140℃以下となるように加熱することが好ましい。記録媒体を加熱する方法としては、ヒーターを設けて記録媒体の表面側(インクが付与される側)から加熱する方法、裏面側から加熱する方法、及び両面を加熱する方法などを挙げることができる。
インクの付与前から付与後にかけて連続して記録媒体を加熱してもよい。インクの付与前は、記録媒体が加熱されていない、又は表面温度70℃未満に加熱されていることが好ましく、60℃以下に加熱されていることがさらに好ましく、40℃以下に加熱されていることが特に好ましい。
記録媒体を加熱する際には、例えば、加圧ローラーなどを使用して記録媒体を加圧してもよい。記録媒体を加圧することで、画像の定着性を向上させることができる。記録媒体を加圧する際には、加熱工程のすべての過程にわたって加圧しなくてもよく、加熱工程の一部の過程でのみ加圧してもよい。また、記録媒体を多段階で加圧してもよく、加熱工程の後にさらに加圧工程を有していてもよい。
(記録媒体)
記録媒体としては、従来、一般的に用いられている記録媒体をいずれも使用することができる。記録媒体としては、例えば、浸透性の記録媒体である普通紙や光沢紙;難浸透性の記録媒体である印刷用紙;非浸透性の記録媒体であるガラス、プラスチック、フィルムなどを挙げることができる。なかでも、水の吸収係数Kaが0.3mL・m-2・ms-1/2以上である浸透性の高い記録媒体を用いることが好ましい。
記録媒体としては、従来、一般的に用いられている記録媒体をいずれも使用することができる。記録媒体としては、例えば、浸透性の記録媒体である普通紙や光沢紙;難浸透性の記録媒体である印刷用紙;非浸透性の記録媒体であるガラス、プラスチック、フィルムなどを挙げることができる。なかでも、水の吸収係数Kaが0.3mL・m-2・ms-1/2以上である浸透性の高い記録媒体を用いることが好ましい。
記録媒体の水の吸収係数Kaを導出する方法としては、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に記載されたブリストー法を用いる。ブリストー法については多くの市販図書に説明があるため、詳細な説明は省略するが、濡れ時間Tw及び粗さ指数Vr(mL/m2)により、吸収係数Ka(mL・m-2・ms-1/2)が定義される。図4は、記録媒体の水の吸収係数Kaを説明する吸収曲線の一例を示す図である。図4に示す吸収曲線は、液体が記録媒体に接触した後、濡れ時間Twを経て記録媒体の内部への浸透が始まるという浸透モデルに基づく。濡れ時間Tw後における直線の傾きが吸収係数Kaである。この吸収係数Kaは、記録媒体の内部への液体の浸透速度に対応する。濡れ時間Twは、図4に示すように、吸収係数Kaを算出するための最小二乗法による近似直線Aと、液体の転移量V及び粗さ指数Vrで表される「V=Vr」の直線Bとの交点ABを求め、この交点ABまでの時間として算出される。なお、記録媒体に浸透させる液体(水)の温度は25℃とする。すなわち、本発明における水の吸収係数Kaは、25℃の水の吸収係数Kaである。
記録媒体は、所望のサイズに予めカットされたものであってもよく、ロール状に巻かれた長尺であって、画像記録後に所望のサイズにカットされるものであってもよい。なかでも、張力を付与しやすいため、ロール状に巻かれた長尺の記録媒体を用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<樹脂粒子の用意>
(アクリル樹脂粒子A)
アクリル酸エチル90g、メタクリル酸エチル5g、及びメタクリル酸メチル10gを常法にしたがって重合した後、精製及び濃縮して、アクリル樹脂粒子Aを含有する分散液(固形分濃度10%)を得た。
(アクリル樹脂粒子A)
アクリル酸エチル90g、メタクリル酸エチル5g、及びメタクリル酸メチル10gを常法にしたがって重合した後、精製及び濃縮して、アクリル樹脂粒子Aを含有する分散液(固形分濃度10%)を得た。
(アクリル樹脂粒子B)
アクリル酸ブチル30g、メタクリル酸ブチル15g、アクリル酸−2−エチルヘキシル40g、及びスチレン45gを常法にしたがって重合した後、精製及び濃縮して、アクリル樹脂粒子Bを含有する分散液(固形分濃度10%)を得た。
アクリル酸ブチル30g、メタクリル酸ブチル15g、アクリル酸−2−エチルヘキシル40g、及びスチレン45gを常法にしたがって重合した後、精製及び濃縮して、アクリル樹脂粒子Bを含有する分散液(固形分濃度10%)を得た。
(アクリル樹脂粒子C)
アクリル酸ブチル30g、メタクリル酸ブチル15g、アクリル酸−2−エチルヘキシル40g、及びα−メチルスチレン50gを常法にしたがって重合した。その後、精製及び濃縮して、アクリル樹脂粒子Cを含有する分散液(固形分濃度10%)を得た。
アクリル酸ブチル30g、メタクリル酸ブチル15g、アクリル酸−2−エチルヘキシル40g、及びα−メチルスチレン50gを常法にしたがって重合した。その後、精製及び濃縮して、アクリル樹脂粒子Cを含有する分散液(固形分濃度10%)を得た。
(アクリル樹脂粒子D)
商品名「JONCRYL711」(BASF製)をアクリル樹脂粒子Dとして用いた。
商品名「JONCRYL711」(BASF製)をアクリル樹脂粒子Dとして用いた。
(アクリル樹脂粒子E)
商品名「BT−9」(DSM製)をアクリル樹脂粒子Eとして用いた。
商品名「BT−9」(DSM製)をアクリル樹脂粒子Eとして用いた。
(ポリウレタン樹脂粒子A)
イソホロンジイソシアネート10g、ポリテトラメチレンエーテルグリコール20g、ジメチロールプロピオン酸5g、及びトリエチルアミン8gを使用し、常法にしたがって重合した。その後、精製及び濃縮して、ポリウレタン樹脂粒子Aを含有する分散液(固形分濃度35%)を得た。
イソホロンジイソシアネート10g、ポリテトラメチレンエーテルグリコール20g、ジメチロールプロピオン酸5g、及びトリエチルアミン8gを使用し、常法にしたがって重合した。その後、精製及び濃縮して、ポリウレタン樹脂粒子Aを含有する分散液(固形分濃度35%)を得た。
(ポリウレタン樹脂粒子B)
商品名「W5661」(三井化学製)をポリウレタン樹脂粒子Bとして用いた。
商品名「W5661」(三井化学製)をポリウレタン樹脂粒子Bとして用いた。
(ポリウレタン樹脂粒子C)
商品名「R4000」(DSM製)をポリウレタン樹脂粒子Cとして用いた。
商品名「R4000」(DSM製)をポリウレタン樹脂粒子Cとして用いた。
<インクの調製>
表1−1〜1−3に示す各成分(単位:質量%)を混合し、十分撹拌した後、ガラスフィルター(商品名「AP20」、MILLIPORE製)でろ過して各インクを調製した。表1−1〜1−3中の顔料及び樹脂粒子の含有量(質量%)は、いずれも、インク中における顔料及び樹脂粒子の固形分の含有量(質量%)である。また、用いた顔料は、いずれも、スルホン酸基又はホスホン酸基が直接又は他の原子団を介して顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料である。表1−1〜1−3中の「顔料」、「水溶性有機溶剤」、及び「界面活性剤」の略称の意味を以下に示す。
表1−1〜1−3に示す各成分(単位:質量%)を混合し、十分撹拌した後、ガラスフィルター(商品名「AP20」、MILLIPORE製)でろ過して各インクを調製した。表1−1〜1−3中の顔料及び樹脂粒子の含有量(質量%)は、いずれも、インク中における顔料及び樹脂粒子の固形分の含有量(質量%)である。また、用いた顔料は、いずれも、スルホン酸基又はホスホン酸基が直接又は他の原子団を介して顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料である。表1−1〜1−3中の「顔料」、「水溶性有機溶剤」、及び「界面活性剤」の略称の意味を以下に示す。
(顔料)
・COJ450C:商品名「CAB−O−JET450C」、キャボット製
・COJ465M:商品名「CAB−O−JET465M」、キャボット製
・COJ470Y:商品名「CAB−O−JET470Y」、キャボット製
・COJ450C:商品名「CAB−O−JET450C」、キャボット製
・COJ465M:商品名「CAB−O−JET465M」、キャボット製
・COJ470Y:商品名「CAB−O−JET470Y」、キャボット製
(水溶性有機溶剤)
・Gly:グリセリン
・DEG:ジエチレングリコール
・PEG1000:ポリエチレングリコール(重量平均分子量:1,000)
・Gly:グリセリン
・DEG:ジエチレングリコール
・PEG1000:ポリエチレングリコール(重量平均分子量:1,000)
(界面活性剤)
・D800:商品名「ダイノール800」、エアプロダクツ製
・AE40:商品名「アセチレノールE40」、川研ファインケミカル製
・AE100:商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製
・D800:商品名「ダイノール800」、エアプロダクツ製
・AE40:商品名「アセチレノールE40」、川研ファインケミカル製
・AE100:商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製
<凝集速度比RKの測定及び算出>
以下に示す手順により、凝集速度比RKを測定及び算出した。
(1)インクの0.01質量%水溶液に、処理液に用いた酸を2.0mMになるように添加し、濃厚系粒径アナライザー(商品名「FPAR−1000」、大塚電子製)専用のサンプル瓶の中で撹拌した。
(2)濃厚系粒径アナライザー(商品名「FPAR−1000」、大塚電子製)を使用し、顔料の粒径を2秒間隔で900秒間測定した。
(3)横軸を時間とし、縦軸を粒径としたグラフを作成し、その傾きを凝集速度とした。
(4)(1)〜(3)の工程を、調製直後のインクと、60℃で2週間保存後のインクについてそれぞれ実施し、それぞれの凝集速度を測定した。
(5)凝集速度比RK({「保存後の凝集速度」/「保存前(調製直後)の凝集速度」}×100)を算出した。
以下に示す手順により、凝集速度比RKを測定及び算出した。
(1)インクの0.01質量%水溶液に、処理液に用いた酸を2.0mMになるように添加し、濃厚系粒径アナライザー(商品名「FPAR−1000」、大塚電子製)専用のサンプル瓶の中で撹拌した。
(2)濃厚系粒径アナライザー(商品名「FPAR−1000」、大塚電子製)を使用し、顔料の粒径を2秒間隔で900秒間測定した。
(3)横軸を時間とし、縦軸を粒径としたグラフを作成し、その傾きを凝集速度とした。
(4)(1)〜(3)の工程を、調製直後のインクと、60℃で2週間保存後のインクについてそれぞれ実施し、それぞれの凝集速度を測定した。
(5)凝集速度比RK({「保存後の凝集速度」/「保存前(調製直後)の凝集速度」}×100)を算出した。
<処理液の調製>
表2に示す各成分(単位:質量%)を混合し、十分撹拌した後、ガラスフィルター(商品名「AP20」、MILLIPORE製)でろ過して各処理液を調製した。表2中の「水溶性有機溶剤」及び「界面活性剤」の略称の意味を以下に示す。
表2に示す各成分(単位:質量%)を混合し、十分撹拌した後、ガラスフィルター(商品名「AP20」、MILLIPORE製)でろ過して各処理液を調製した。表2中の「水溶性有機溶剤」及び「界面活性剤」の略称の意味を以下に示す。
(水溶性有機溶剤)
・Gly:グリセリン
・PEG1000:ポリエチレングリコール(重量平均分子量:1,000)
・Gly:グリセリン
・PEG1000:ポリエチレングリコール(重量平均分子量:1,000)
(界面活性剤)
・D800:商品名「ダイノール800」、エアプロダクツ製
・AE100:商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製
・D800:商品名「ダイノール800」、エアプロダクツ製
・AE100:商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製
<画像の記録及び評価>
図1又は3に示す構成を有する、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用し、表3−1〜3−5に示す組み合わせの処理液及び調製直後(保存前)のインクを用いて記録媒体にカラーのベタ画像(3cm×3cm)を記録した。記録ヘッドとしては、ピエゾインクジェット方式の記録ヘッド(商品名「KJ4」、京セラ製、ノズル密度600dpi)を使用した。記録媒体としては、商品名「DL9084」(三菱製紙製、坪量91g/m2)を使用した。カラーのベタ画像は、Green(記録デューティー:シアン100%−イエロー100%)、Blue(記録デューティー:シアン100%−マゼンタ100%)、及びRed(記録デューティー:マゼンタ100%−イエロー100%)とした。記録条件は、温度25℃、相対湿度55%、インク吐出周波数39kHzとした。また、記録媒体の搬送速度は100m/sとし、1ドット当たりのインクの吐出体積は約13pLとした。上記のインクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に13ngのインク滴を1ドット付与する条件を「記録デューティー100%」であると定義する。また、処理液は記録デューティー100%となるように付与した。
図1又は3に示す構成を有する、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用し、表3−1〜3−5に示す組み合わせの処理液及び調製直後(保存前)のインクを用いて記録媒体にカラーのベタ画像(3cm×3cm)を記録した。記録ヘッドとしては、ピエゾインクジェット方式の記録ヘッド(商品名「KJ4」、京セラ製、ノズル密度600dpi)を使用した。記録媒体としては、商品名「DL9084」(三菱製紙製、坪量91g/m2)を使用した。カラーのベタ画像は、Green(記録デューティー:シアン100%−イエロー100%)、Blue(記録デューティー:シアン100%−マゼンタ100%)、及びRed(記録デューティー:マゼンタ100%−イエロー100%)とした。記録条件は、温度25℃、相対湿度55%、インク吐出周波数39kHzとした。また、記録媒体の搬送速度は100m/sとし、1ドット当たりのインクの吐出体積は約13pLとした。上記のインクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に13ngのインク滴を1ドット付与する条件を「記録デューティー100%」であると定義する。また、処理液は記録デューティー100%となるように付与した。
各インクを密閉し、60℃で2週間保存した。室温に戻した後、上記と同様にして記録媒体にカラーのベタ画像(3cm×3cm)を記録した。
調製直後のインクで記録した画像及び保存後のインクで記録した画像のLab値を分光測色計(商品名「il publish pro2」、X−rite製)を使用して測定し、下記式(2)より色差△Eを算出した。そして、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。結果を表3−1〜3−5に示す。なお、以下に示す評価基準において、「A」を好ましいレベルとし、「B」及び「C」を許容できないレベルとした。
調製直後のインクで記録した画像及び保存後のインクで記録した画像のLab値を分光測色計(商品名「il publish pro2」、X−rite製)を使用して測定し、下記式(2)より色差△Eを算出した。そして、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。結果を表3−1〜3−5に示す。なお、以下に示す評価基準において、「A」を好ましいレベルとし、「B」及び「C」を許容できないレベルとした。
L1:保存前のインクで記録した画像のL値
L2:保存後のインクで記録した画像のL値
a1:保存前のインクで記録した画像のa値
a2:保存後のインクで記録した画像のa値
b1:保存前のインクで記録した画像のb値
b2:保存後のインクで記録した画像のb値
L2:保存後のインクで記録した画像のL値
a1:保存前のインクで記録した画像のa値
a2:保存後のインクで記録した画像のa値
b1:保存前のインクで記録した画像のb値
b2:保存後のインクで記録した画像のb値
[発色性の評価基準]
A:△Eが2未満であった。
B:△Eが2以上3未満であった。
C:△Eが3以上であった。
A:△Eが2未満であった。
B:△Eが2以上3未満であった。
C:△Eが3以上であった。
Claims (8)
- インクを増粘させる処理液を記録媒体に付与する工程と、複数色のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、を有するインクジェット記録方法であって、
前記処理液は、酸を含有し、
前記インクは、それぞれ、カラー顔料、樹脂、及び水を含有し、
前記インクを、前記記録媒体に付与する順に1番、2番、・・・N番とした場合に、前記インクの0.01質量%水溶液に、前記処理液中の前記酸を2.0mMとなるようにそれぞれ添加して調製した各液体の保存前の固形分の凝集速度V1,before、V2,before、・・・VN,beforeと、前記各液体を60℃で2週間保存後の固形分の凝集速度V1,after、V2,after、・・・VN,afterと、から算出される、保存前後の凝集速度比RK=VK,after/VK,before(但し、1≦K<Nである)が、RK<RK+1の関係を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記カラー顔料が、ホスホン酸基が直接又は他の原子団を介して粒子表面に結合した自己分散顔料である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ホスホン酸基が、ビスホスホン酸基である請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクが、それぞれ、ポリエチレングリコールを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記酸が、有機酸である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記処理液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- さらに、前記記録媒体を50m/分以上の速度で搬送する搬送工程を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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