JP2017002167A - インク、インクカートリッジ及び画像記録方法 - Google Patents

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陽平 政田
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匡宏 寺田
河村 英孝
Hidetaka Kawamura
英孝 河村
彰大 田谷
Akihiro Taya
彰大 田谷
正宣 大塚
Masanori Otsuka
正宣 大塚
貴治 青谷
Takaharu Aotani
貴治 青谷
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Abstract

【課題】 光学濃度が高く、スジ状のムラが十分に抑制された画像を得ることができるインクを提供すること。
【解決手段】 顔料とポリウレタン樹脂粒子と界面活性剤と水溶性有機溶剤と水とを含有するインクであって、前記界面活性剤が、一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を含み、前記水溶性有機溶剤が、特定の群から選択される少なくとも何れかの水溶性有機溶剤であることを特徴とするインク。
【選択図】 なし

Description

本発明はインク、係るインクを用いたインクカートリッジ及び画像記録方法に関する。
従来、画像記録方法において、色材として顔料を含有するインクが用いられている。ところが、顔料を含有するインクは、画像の耐擦過性が低いという課題があった。そこで、顔料を含有するインクに更にポリウレタン樹脂粒子を含有させることで画像の耐擦過性を向上する検討がなされている(特許文献1)。特許文献1には、自己分散顔料と共にポリウレタン樹脂粒子を含有するインクが記載されている。
特開2009−019198号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載のインクは、ポリウレタン樹脂粒子を含有することで、得られる画像の光学濃度が低くなってしまうことが分かった。更に、得られる画像にスジ状のムラが発生していた。
したがって本発明の目的は、顔料及びポリウレタン樹脂粒子を含有しつつ、光学濃度が高く、スジ状のムラが十分に抑制された画像を得ることができるインクを提供することである。また、本発明の別の目的は、上記本発明のインクを用いたインクカートリッジ及び画像記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクは、顔料とポリウレタン樹脂粒子と界面活性剤と水溶性有機溶剤と水とを含有し、前記界面活性剤が、下記一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を含み、前記水溶性有機溶剤が、下記の群から選択される少なくとも何れかの水溶性有機溶剤であることを特徴とする。
一般式(1)
F(CFCHCH(OCHCHOH
(一般式(1)において、nは6であり、mは4以上6以下である。)
(群)
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジグリセリン
本発明によれば、光学濃度が高く、スジ状のムラが十分に抑制された画像を得ることができるインクを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクを用いたインクカートリッジ及び画像記録方法を提供することができる。
本発明の画像記録方法に用いられる画像記録装置の一例を示す模式図である。 記録媒体の吸収係数Kaを説明するための吸収曲線の一例を示す図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らが、顔料及びポリウレタン樹脂粒子を含有するインクに関し、画像の光学濃度及びスジ状のムラの抑制効果を高いレベルで両立する方法について検討を行った結果、本発明の構成、即ち、更に、特定の界面活性剤を含有し、かつ、特定の水溶性有機溶剤を用いる、という方法に至ったのである。係る構成によって本発明の効果が得られるメカニズムは以下のように考えられる。
本発明者らが検討したところ、インク中に特定の水溶性有機溶剤を含有させることで、インクの浸透を遅くし、普通紙のようなインクの吸収性が高い記録媒体を用いた場合でも、記録媒体の表面近傍に顔料や樹脂粒子を留まらせ、画像の光学濃度を向上できることが分かった。ここでいう特定の水溶性有機溶剤とは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及びジグリセリンから選択される少なくとも1種の水溶性有機溶剤である。上記特定の水溶性有機溶剤によってインク浸透が遅くなる理由は明らかではないが、本発明者らは、上記特定の水溶性有機溶剤が何れも、分子構造中に2つ以上のヒドロキシル基を有し、かつ、分子構造の両末端の炭素原子にヒドロキシル基を有していること、及び、分子構造の対称性が高いことが影響しているのではないかと推測している。
ところが、記録媒体の表面近傍に顔料や樹脂粒子が十分に留まりやすくするために上記のような水溶性有機溶剤を用いてインクの浸透を遅くした場合、記録媒体に付与されたインクドットが広がりにくくなるために、スジ状のムラが発生する場合があった。
そこで本発明者らは界面活性剤に着目してさらに検討を行った。その結果、特定のフッ素系界面活性剤を用いた場合に、他の界面活性剤を用いた場合と比較して、インクの浸透を速めることなく画像のスジ状のムラ発生を抑制できることが分かった。本発明者らの検討によると、全てのフッ素系界面活性剤が上記作用を示す訳ではなく、下記一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤が特に効果的に上記作用を示すことが分かった。
一般式(1)
F(CFCHCH(OCHCHOH
(一般式(1)において、nは6であり、mは4以上6以下である。)
本発明者らは、種々の実験の結果から、これらの水溶性有機溶剤と一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を組合せて用いることで、スジ状のムラの発生を抑制し、画像の光学濃度を向上させることができることを導き出した。この理由として、フッ素系界面活性剤が、他の界面活性剤と比較して、インクの記録媒体に対する接触角を小さくする作用を示すことによると考えられる。一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を用いることにより、記録媒体に対するインクの接触角が小さくなり、記録媒体の表面に対して水平方向により広がることでドット径が拡大し、画像のスジ状のムラ発生を抑制するものと考えられる。また、インクの記録媒体に対する接触角が小さいために、記録媒体に浸透するより速く表面に広がるため、記録媒体の表面近傍に顔料や樹脂粒子が留まりやすくなり、画像の光学濃度が向上するものと考えられる。
これまで述べてきた通り、顔料及びポリウレタン樹脂粒子を含有するインクに上記特定のフッ素系界面活性剤と上記特定の水溶性有機溶剤を含有させることで、記録媒体の種類によらず、記録媒体の表面近傍に顔料及び樹脂粒子を留まらせることができる。このように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、スジ状のムラの発生を抑制し、画像の光学濃度を向上するという本発明の効果を達成することが可能となる。
[インク]
本発明のインクは、顔料とポリウレタン樹脂粒子と一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤(以下、単に「一般式(1)で表される界面活性剤」ともいう)と水溶性有機溶剤と水とを含有する。インクの25℃における粘度は、5.0mPa・s以上9.0mPa・s以下であることが好ましい。インクの表面張力は、15mN/m以上25mN/mであることが好ましい。以下、本発明のインクに用いることができる成分について、それぞれ説明する。
<顔料>
本発明のインクは、顔料を含有する。本発明のインクに使用することのできる顔料としては、無機顔料及び有機顔料が挙げられ、インクに使用可能なものとして公知の顔料を何れも使用することができる。また、顔料は1種又は2種以上を組み合わせて用いる事ができる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上6.0質量%以下であることがより好ましい。含有量が1.0質量%より小さいと、画像の光学濃度の向上効果が十分に得られない場合がある。含有量が6.0質量%より大きいと、耐固着性などが十分に得られない場合がある。
また、インク全質量を基準とした、顔料の含有量と後述するポリウレタン樹脂粒子の含有量の合計の含有量が、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。上記合計の含有量が20質量%より大きいと、インクの吐出安定性などが十分に得られない場合がある。
また、インク全質量を基準とした、顔料の含有量が、後述するポリウレタン樹脂粒子の含有量に対して、質量比率で0.5倍以上4.0倍以下であることが好ましく、0.6倍以上4.0倍以下であることがより好ましく、0.7倍以上2.0倍以下であることが特に好ましい。上記の質量比率が0.5倍より小さいと顔料の含有量が少なく、画像の光学濃度の向上効果が十分に得られない場合がある。上記の質量比率が4.0倍より大きいとポリウレタン樹脂粒子の含有量が少なく、画像の耐擦過性が十分に得られない場合がある。
本発明において、顔料としては、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散顔料や、樹脂で分散された樹脂分散顔料が挙げられる。分散方法の異なる顔料を併用する事も可能である。以下、自己分散顔料と樹脂分散顔料について説明をする。
(1)自己分散顔料
本発明において、自己分散顔料とは、少なくとも1種の親水性基が直接、又は、他の原子団(−R−)を介して顔料表面に結合している顔料を意味する。親水性基としては、−COOM、−SOM、−POHM、−POなどが挙げられる。上記式中の「M」は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであることが好ましい。本発明においては、アンモニウム又は有機アンモニウムの場合と比較して、インクの吐出安定性が良好となるため、「M」がリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属であることがより好ましい。尚、インク中の親水性基の形態は、その一部が解離又は全てが解離した状態の何れの形態であってもよい。また、上記他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換若しくは非置換のフェニレン基、又は、置換若しくは非置換のナフチレン基などが挙げられる。
自己分散無機顔料としては、カーボンブラックなどの公知の無機顔料の表面に親水性基を導入した顔料が挙げられる。自己分散カーボンブラックとしては、例えば、CAB−O−JET200、300、352K、400(以上、キャボット製)が挙げられる。
自己分散有機顔料としては、公知の有機顔料の表面に親水性基を導入した顔料が挙げられる。具体的な顔料種としては、以下の通りである。シアン顔料としては銅フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:2、15:3、15:4、16、22、60が挙げられる。自己分散シアン顔料としては、例えば、CAB−O−JET250C、450C、554B(以上、キャボット製)が挙げられる。マゼンタ顔料としてはキナクリドン顔料を用いることが好ましい。具体的には、C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、112、122、123、146、168、184、202、207が挙げられる。また、C.I.pigment Violet 2、3、19が挙げられる。自己分散マゼンタ顔料としては、例えば、CAB−O−JET260M、265M、465M、480V、1027R(以上、キャボット製)が挙げられる。イエロー顔料としてはアゾ顔料を用いることが好ましい。具体的には、C.I.Pigment Yellow 12、13、14、16、17、74、83、93、95、97、98、114、128、129、151、154が挙げられる。自己分散イエロー顔料としては、例えば、CAB−O−JET270Y、470Y、740Y(以上、キャボット製)が挙げられる。
本発明者らの検討によると、無機顔料を用いた場合の方が、ポリウレタン樹脂粒子が顔料に対して物理吸着を起こしやすいため、有機顔料を用いた場合と比べて、画像の耐擦過性を向上する効果が高く、より好ましいことが分かった。更には、無機顔料の中でも、自己分散カーボンブラックを用いることが好ましい。これは、自己分散カーボンブラックが、記録媒体にインクが付与された後に水性媒体の蒸発などによる顔料の凝集が起こりやすい性質を有するためである。
(2)樹脂分散顔料
本発明において、樹脂分散顔料は、樹脂によって分散された顔料を意味する。具体的には、樹脂分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、顔料粒子の表面に樹脂を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合顔料などが挙げられる。
顔料を分散させる樹脂としては、インクジェット用のインクに従来から用いられているものを何れも好ましく使用することができる。本発明においては、樹脂は水溶性のものであることが好ましい。本発明において樹脂が水溶性であることとは、該樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に粒径を有さないものであることとする。樹脂を調製する際のモノマーとしては、具体的には、以下のものが挙げられ、これらのうち少なくとも2つのモノマーを用いて合成した樹脂が挙げられる。このとき、少なくとも1つは親水性のモノマーであることが好ましい。用いることができるモノマーとしては、スチレン、ビニルナフタレン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、又はこれらの誘導体などが挙げられる。中でも、親水性のモノマーとして、アクリル酸又はメタクリル酸を用いることが特に好ましい。特に、本発明においては、少なくともアクリル酸及び(メタ)アクリル酸のそれぞれに由来するユニットを有する共重合体がより好ましい。また、樹脂の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。さらに、ロジン、シェラック、デンプンなどの天然樹脂を用いてもよい。
樹脂は、GPCにより得られるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000以上30,000以下の範囲のものが好ましく、特には3,000以上15,000以下の範囲のものが好ましい。また、本発明において、樹脂の酸価は50mgKOH/g以上350mgKOH/g以下が好ましく、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下がより好ましい。この範囲内であることで、樹脂による顔料の分散安定性が向上し、好ましいインクの吐出安定性が得られる。尚、樹脂の酸価は、電位差滴定により求められる。
また、樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下、更には、0.5質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
また、インク中の顔料の含有量(質量%)が、樹脂の含有量(質量%)に対して質量比率で3倍以上であることが好ましく、3.3倍以上であることがより好ましく、4倍以上10倍以下であることが特に好ましい。
<ポリウレタン樹脂粒子>
本発明において、「ポリウレタン樹脂粒子」とは、粒径を有する状態で溶媒中に分散して存在するポリウレタン樹脂を意味する。
(ポリウレタン樹脂粒子の物性)
本発明において、ポリウレタン樹脂粒子の50%累積体積平均粒径(D50)は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。また、5nm以上50nm以下であることがより好ましい。尚、ポリウレタン樹脂粒子のD50は、ポリウレタン樹脂粒子分散体を純水で50倍(体積基準)に希釈し、UPA−EX150(日機装製)を使用して、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の測定条件で測定すればよい。
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂粒子のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、5,000より大きく150,000以下であることが好ましく、8,000以上100,000以下がより好ましい。5,000以下であると、ポリウレタン樹脂粒子の強度が低くなり、画像の耐擦過性の向上効果が十分に得られない場合がある。150,000より大きいと、インクの保存安定性や吐出安定性などが十分に得られない場合がある。尚、樹脂粒子の重量平均分子量の測定は、装置:Alliance GPC 2695(Waters製)、カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)、検出器:RI(屈折率)を用いて行い、ポリスチレン標準試料として、PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)を用いて算出すればよい。
本発明のインクに用いるポリウレタン樹脂粒子の酸価は、100mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより好ましい。尚、ポリウレタン樹脂粒子の酸価は滴定法により測定することができる。例えば、樹脂粒子をTHFに溶解し、電位差自動滴定装置AT510(京都電子工業製)を用いて、水酸化カリウムエタノール滴定液によって電位差滴定することで酸価を測定すればよい。
(ポリウレタン樹脂粒子の含有量)
本発明において、ポリウレタン樹脂粒子の含有量は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。0.1質量%より小さいと、画像の耐擦過性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、10.0質量%より大きいと、インクの吐出安定性などが十分に得られない場合がある。
また、インク全質量を基準とした、ポリウレタン樹脂粒子の含有量が、後述するフッ素系界面活性剤の含有量に対して、質量比率で0.5倍以上20.0倍以下であることが好ましく、1.0倍以上10.0倍以下であることがより好ましい。上記の質量比率が0.5倍より小さいとポリウレタン樹脂粒子の含有量が少なく、画像の耐擦過性の向上効果が十分に得られない場合がある。上記の質量比率が20.0倍より大きいとフッ素系界面活性剤の含有量が少なく、上述した記録媒体の表面近傍に樹脂粒子を留める効果及びドットを広げる効果が得られにくく、画像の光学濃度の向上効果及びスジ状のムラの抑制効果が十分に得られない場合がある。
(ポリウレタン樹脂粒子の製造方法)
本発明におけるポリウレタン樹脂粒子の製造方法は、従来、一般的に用いられている方法を何れも用いることができる。例えば、以下の方法が挙げられる。酸基を有さないポリオールをメチルエチルケトン、アセトニトリルなどの有機溶剤中で十分に撹拌し溶解させた後、ポリイソシアネート、酸基を有するジオールを加え反応させ、ウレタンプレポリマー溶液を得る。次いで、得られたウレタンプレポリマー溶液を中和した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化する。乳化後、鎖延長剤を加え、鎖延長反応を行う。
以下にポリウレタン樹脂粒子を構成する材料について説明する。
(1)ポリイソシアネート
本発明において、ポリウレタン樹脂粒子は、ポリイソシアネートに由来するユニットを有することが好ましい。本発明において「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。本発明に用いることができるポリイソシアネートとしては、具体的に、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。ポリウレタン樹脂粒子に占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合は、10.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートが挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明においては、上記ポリイソシアネートの中でも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(2)酸基を有さないポリオール
本発明において、ポリウレタン樹脂粒子は、酸基を有さないポリオールに由来するユニットを有することが好ましい。ポリウレタン樹脂粒子に占める、酸基を有さないポリオールに由来するユニットの割合は、0.1質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
酸基を有さないポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。本発明に用いられる酸基を有さないポリオールは炭素数が13以上250以下であることが好ましい。また、酸基を有さないポリオールのGPCにより得られるポリスチレン換算の数平均分子量は、600以上4,000以下であることが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、酸成分とポリアルキレングリコール、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとのエステルが挙げられる。ポリエステルポリオールを構成する酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などが挙げられる。前記脂環族ジカルボン酸としては、前記芳香族ジカルボン酸の水素添加物などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキル琥珀酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などが挙げられる。また、これらの酸成分の酸無水物、アルキルエステル若しくは酸ハライドなどの反応性誘導体などもポリエステルポリオールを構成する酸成分として用いることができる。更に、上記のポリエステルポリオールを構成する酸成分は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などが挙げられる。前記2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどが挙げられる。前記3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらのポリエステルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレングリコール、及び、アルキレンオキサイドと2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとの付加重合物が挙げられる。前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などが挙げられる。前記2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどが挙げられる。前記3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。前記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどが挙げることができる。これらのポリエーテルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリカーボネートジオールとしては、従来公知の方法で製造されるポリカーボネートジオールが使用できる。例えば、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分又はホスゲンと、脂肪族ジオール成分とを反応させて得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。これらのポリカーボネートジオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
本発明においては、上記酸基を有さないポリオールの中でも、特に、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。ポリエーテルポリオールを用いることによって樹脂膜の柔軟性が適度に発現するため、画像の耐擦過性が向上しやすい。更に、ポリエーテルポリオールは比較的親水性が高いため、インクの吐出安定性にも優れる。ポリエーテルポリオールの中でも、特にポリプロピレングリコールを用いることがより好ましい。
(3)酸基を有するジオール
本発明において、ポリウレタン樹脂粒子は、酸基を有するジオールに由来するユニットを有することが好ましい。本発明において、酸基を有するジオールとは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を有するジオールを意味する。酸基を有するジオールは、Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩や、アンモニア、ジメチルアミンなどの有機アミン塩の形態で存在してもよい。酸基を有するジオールとしては、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸を用いることが好ましい。これらは、必要に応じて1種又は2種を用いることができる。ポリウレタン樹脂粒子に占める、酸基を有するジオールに由来するユニットの割合は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
(4)鎖延長剤
本発明においては、ポリウレタン樹脂粒子を製造する際に鎖延長剤を使用してもよい。鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーのポリイソシアネートユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。鎖延長剤としては、例えば、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンが挙げられる。また、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。これらの鎖延長剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
<界面活性剤>
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される界面活性剤を含有する。
一般式(1)
F(CFCHCH(OCHCHOH
(一般式(1)において、nは6であり、mは4以上6以下である。)
上記一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤としては、例えば、FS−3100(デュポン製)、メガファックF−444(DIC製)などが挙げられる。
一般式(1)で表される界面活性剤の含有量が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、インクが更に、一般式(1)で表される界面活性剤とは異なる界面活性剤を含有してもよい。例えば、アセチレングリコール及びアセチレングリコールにエチレンオキシドを付加したノニオン性界面活性剤などを更に含有していてもよい。その場合は、一般式(1)で表される面活性剤以外の界面活性剤の含有量が、インク全質量を基準として1.0質量%以下であることが好ましい。
<水及び水溶性有機溶剤>
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤を含有する。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量は、インク全質量を基準として、50質量%以上90質量%以下であることが好ましい
本発明において、「水溶性有機溶剤」とは、「水に対する20℃における溶解度が500g/l以上である有機溶剤」を意味する。水溶性有機溶剤としては、インクに使用可能なものとして公知のものを何れも用いることができる。例えば、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。インク中における水溶性有機溶剤の含有量が、インク全質量を基準として、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下がより好ましい。
本発明においては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールからなる群から選択される少なくとも何れかの水溶性有機溶剤を含有し、かつ、前記群の水溶性有機溶剤の総含有量が、前記群以外の水溶性有機溶剤の総含有量より大きい必要がある。更には、インク全質量を基準とした、前記群の水溶性有機溶剤の総含有量が、前記群以外の水溶性有機溶剤の総含有量に対して、質量比率で、3倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましい。
また、本発明においては、前記群の水溶性有機溶剤の総含有量が、インク全質量を基準として、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。
(その他の成分)
本発明のインクは、上記の成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体など、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。更に、本発明のインクは、必要に応じて、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
[インクカートリッジ]
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。更には、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
[画像記録方法]
本発明の画像記録方法は、上述したインクを記録媒体に付与するインク付与工程を有する。更に、記録媒体を搬送する搬送工程と、インクが付与された記録媒体を加熱する加熱工程とを有することが好ましい。
図1は、本発明の画像記録方法に用いられる画像記録装置の一例を示す模式図である。図1に示す画像記録装置においては、ロール状に巻かれた記録媒体を用いて記録を行い再度ロール状に巻き取る形態を示しており、ロール状に巻かれた記録媒体を保持して供給するためのユニットである記録媒体供給手段1、記録媒体にインクを付与するためのユニットであるインク付与手段2、記録媒体を加熱するためのユニットである加熱手段3、画像が記録された記録媒体を巻き取るためのユニットである記録媒体回収手段4の各ユニットを備える。記録媒体は図中の実線で示した記録媒体搬送経路に沿ってローラー対やベルトなどからなる搬送手段で搬送され、上記各ユニットで処理がなされる。また、記録媒体回収手段4でロール状に巻き取った記録媒体を別の装置などに供給して、記録媒体を所望の大きさに切断したり、製本したりするなどの処理を行ってもよい。
本発明においては、記録媒体を搬送する搬送工程における、記録媒体を搬送する速度が、50m/分以上であることが好ましい。更には100m/分以上であることが好ましい。
本発明においては、搬送の際に、記録媒体に、張力がかかっていることが好ましい。つまり、画像記録装置が、張力を生じさせる張力付与手段を有することが好ましい。具体的な方法としては、図1における記録媒体供給部1と記録媒体回収部4との間の搬送機構において、記録媒体に張力を生じさせる張力付与部や記録媒体の張力を調整する張力調整部などを設ければよい。
記録媒体にかかる張力としては、20N/m以上であることが好ましい。20N/mとすることで、上記インク中の水による記録媒体の繊維の膨潤がより効率的に抑制される。更には、記録媒体にかかる張力が30N/m以上であることがより好ましく、40N/m以上100N/m以下であることが特に好ましい。
以下、インク付与工程や加熱工程について、より詳細に説明する。
(1)インク付与工程
本発明において、インク付与工程は記録媒体にインクを付与する。インクを記録媒体に付与する方式としては、インクジェット方式を用いることが好ましい。つまり、本発明の画像記録方法は、インクジェット記録方法であることが好ましい。また、インクジェット方式としては、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる、所謂、サーマルインクジェット方式でも、ピエゾ素子を用いて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる、所謂、ピエゾインクジェット方式でもよい。
記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録ヘッドを走査して記録を行う、所謂、シリアルタイプでも、複数のノズルを使用が想定される記録媒体の最大幅をカバーする範囲に配列させた、所謂、フルラインタイプでもよい。画像をより高速で記録する観点から、記録ヘッドは、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドであることが好ましい。フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向にノズル列が並ぶように設けられていることが好ましい。また、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドは、インクの色毎に複数設けられ、それぞれの記録ヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられていることが好ましい。
(2)加熱工程
本発明において、加熱工程では、インクが付与された記録媒体の表面温度が70℃以上となるように加熱することが好ましい。本発明において、「インクが付与された記録媒体の表面温度」とは、インクが記録媒体に付与された時点を0秒としたときに、記録媒体が0.5秒後に搬送された位置における、記録媒体の表面における温度を意味する。具体的には、記録媒体の搬送速度をV(m/分)としたときに、記録媒体におけるインクの記録領域Xが、インクが付与された位置(フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドであれば、記録ヘッドの直下の位置)から、記録媒体の搬送方向に沿って“V×0.5/60(m)”移動した位置における、記録媒体の記録領域Xの表面における温度を測定すればよい。尚、本発明の実施例においては、記録媒体の表面における温度を非接触赤外温度計 デジタル放射温度センサーFT−H20(キーエンス製)を用いて、記録媒体の表面に対して概垂直方向に10cmの位置から測定した。
本発明においては、インクが付与された記録媒体の表面温度が、80℃以上であることが好ましい。また、記録媒体が熱によって変形することを防止する観点から、140℃以下であることが好ましい。記録媒体を加熱する方法としては、ヒーターを設けて記録媒体の表面側(インクが付与される側)及び/又は裏面側から加熱する方法などが挙げられる。
本発明において、加熱工程における加熱は、インクが付与される前からインクが付与された後にかけて連続して行われていてもよい。本発明においては、インクが記録媒体に付与される前は、加熱されていない、又は、加熱されていたとしても記録媒体の表面温度が70℃より低いことが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが特に好ましい。
また、加熱工程において、記録媒体を加熱する際に、例えば加圧ローラーなどを使用し、記録媒体を加圧してもよい。加圧することで、画像の定着性を向上することができる。尚、加圧する際は、加熱工程の全てに亘って加圧しなくても、加熱工程の一部において加圧するようにしてもよい。また、多段階に加圧してもよい。尚、加熱工程の後に、更に加圧工程を有していてもよい。
<記録媒体>
本発明の画像記録方法において、インクを付与する記録媒体としては、従来、一般的に用いられているものを何れも用いることができる。例えば、浸透性の記録媒体である普通紙や光沢紙;難浸透性の記録媒体である印刷用紙;非浸透性の記録媒体であるガラス、プラスチック、フィルムなどが挙げられる。中でも、記録媒体の水に対する吸収係数Kaが、0.3mL/m・ms1/2以上である浸透性の高い記録媒体を用いることが好ましい。
尚、本発明において、記録媒体の吸収係数Kaを導出する方法として、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に記載されたブリストー法を用いるものとする。ブリストー法については多くの市販図書に説明があるため、詳細な説明は省略するが、濡れ時間Tw、吸収係数Ka(mL/m・ms1/2)と粗さ指数Vr(mL/m)により定義される。吸収曲線の例を図2に示す。図2に示した吸収曲線は、液体が記録媒体に接触した後、濡れ時間Twを経て記録媒体の内部への浸透が始まるという浸透モデルに基づいたものである。濡れ時間Twの後における直線の傾きが吸収係数Kaであり、この吸収係数Kaは記録媒体の内部への液体の浸透速度に対応している。なお、濡れ時間Twは、図2に示すように、吸収係数Kaを算出するための最小二乗法による近似直線Aと、液体の転移量V、粗さ指数Vrで表されるV=Vrの直線Bとの交点ABを求め、この交点ABまでの時間として求める。本発明においては、記録媒体に浸透させる液体として、25℃の水を用いる。即ち、本発明におけるKaは、25℃の水に対する吸収係数である。
尚、本発明のインクジェット記録方法に用いる記録媒体は、所望のサイズに予めカットされたものであっても、また、ロール状に巻かれた記録媒体を用い、画像形成後に所望のサイズにカットされるものであってもよい。上述の通り、記録媒体に張力をかけやすいため、ロール状に巻かれた記録媒体を用いる方が好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[インクの調製]
<顔料分散液の調製>
(自己分散顔料分散液1及び2(SDP1及び2)の用意)
自己分散顔料分散液1及び2として、それぞれCab−O−Jet400及びCab−O−Jet200(何れもキャボット製)を用意した。
(樹脂分散顔料分散液1(PDP1)の調製)
超音波発生装置の槽内に機械的攪拌装置を備えた500mLナスフラスコを入れ、この中に酸価170mgKOH/gであるビニル樹脂2.0g、テトラヒドロフラン120mLを添加し、超音波をかけながら攪拌した。また別の容器にカーボンブラックColor Black FW18PS(デグッサ製)10gを取り、テトラヒドロフラン120mLを添加し、顔料表面が溶媒で十分濡れるまで遊星式攪拌機(クラボウ製)にて混合した。その後、前記の500mLナスフラスコの中に添加し、ビニル樹脂とよく混合した。
次にビニル樹脂の中和率が100%になるだけの水酸化カリウム水溶液を滴下することで転相させた後に、60分間プレミキシングを行い、ナノマイザNM2−L200AR(吉田機械興業製)を用いて、2時間分散を行った。この分散液からロータリエバポレータを用いて、テトラヒドロフランを留去し、イオン交換水を用いて濃度調整をし、顔料の含有量が10質量%の樹脂分散顔料分散液1を得た。
(樹脂分散顔料分散液2(PDP2)の調製)
酸価170mgKOH/gであるビニル樹脂にかえて酸価80mgKOH/gであるビニル樹脂を用いたこと、及び、カーボンブラックの量10gにかえて3.3gへ変更したこと以外は(樹脂分散顔料分散液1の作製)と同様にして顔料の含有量が10質量%の樹脂分散顔料分散液2を得た。
<樹脂分散液の調製>
(ポリウレタン樹脂分散液1の調整)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に、イソホロンジイソシアネート(バイエル製)170gと、数平均分子量1000のポリエチレングリコール(キシダ化学)310gと、ジメチロールプロピオン酸(日本化成社製)72gと、アセトニトリル250gとを仕込み、窒素雰囲気下で、反応液温度を75℃に調節して、反応触媒としてオクチル酸第1錫(APIコーポレーション製)を微量加え、6時間で反応率99%以上まで反応させた。次いで、これを40℃まで冷却し、トリエチルアミン59.5gを加えて、十分に撹拌して中和した。水650gを添加して撹拌した後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分30%のポリウレタン樹脂分散液1(重量平均分子量が10,000)を調製した。
(ポリウレタン樹脂分散液2の調製)
数平均分子量1000のポリエチレングリコールにかえて数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いたこと以外は(ポリウレタン樹脂分散液1の調整)と同様にして、ポリウレタン樹脂分散液2(重量平均分子量が24,000)を得た。
(ポリウレタン樹脂分散液3の調製)
イソホロンジイソシアネート170gに変えて4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(バイエル製)191.4gに変更したこと以外は(ポリウレタン樹脂分散液1の調整)と同様にして、ポリウレタン樹脂分散液3(重量平均分子量が41,000)を得た。
(ポリウレタン樹脂分散液4及び5の用意)
ポリウレタン樹脂分散液4及び5として、それぞれタケラックW5661(三井化学製)及びスーパーフレックス840(第一工業製薬製)を用意した。
(アクリル樹脂分散液1〜3の用意)
アクリル樹脂分散液1〜3として、それぞれスチレン−アクリル酸共重合体を含有する、ジョンクリル74J(樹脂のガラス転移点が22℃)、ジョンクリル538J(樹脂のガラス転移点が66℃)、ジョンクリル60J(樹脂のガラス転移点が85℃)(何れもBASF製)を用意した。
[インクの調製]
<ブラックインクの調製>
下記表1に記載の含有量(何れも単位は質量%)となるように各材料を混合し、十分撹拌して分散し、ガラスフィルターAP20(MILLIPORE製)でろ過することで、各インクを調製した。尚、以下の表中における顔料及び樹脂の含有量(質量%)は、それぞれインク中における顔料及び樹脂の固形分の含有量(質量%)である。また、「残部」は、インクを構成する材料の合計が100質量%となるように水を用いることを意味する。
尚、表1の水溶性有機溶剤のうち、PEG1000は数平均分子量が1,000のポリエチレングリコールを意味する。また、表中における界面活性剤の略称は以下の通りである。
(1)一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤
・F−444:メガファックF−444(DIC製)
・FS−3100:Capstone FS−3100(デュポン製)
(2)一般式(1)以外のフッ素系界面活性剤
・FS−30:Capstone FS−30(デュポン製)
・S−243:サーフロンS−243(AGCセイミケミカル製)
(3)フッ素系界面活性剤以外の界面活性剤
・AE100:アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル製)
ブラックインク42及び43は、界面活性剤が溶解せず、インクが調製できなかった。
<カラーインクの調製>
(シアンインクの調製)
ブラックインク5において、自己分散顔料分散液1 4質量%をCab−O−Jet450C(キャボット製) 3質量%とし、PEG1000の含有量を10.0質量%から11.0質量%に変更した以外は同様にしてシアンインクを調製した。
(マゼンタ、イエロー、レッドインクの調製)
ブラックインク5において、自己分散顔料分散液1をそれぞれCab−O−Jet465M、470Y、480V(何れもキャボット製)に変更した以外は同様にしてマゼンタ、イエロー、レッドインクを調製した。
[画像サンプルの作製]
記録媒体に対して、ピエゾインクジェットヘッドKJ4(京セラ製;ノズル密度600dpi)を搭載した、図1に記載のインクジェット記録装置を用いて、表2に記載の条件(用いるインクの種類、インクを付与する際の記録媒体の表面温度)で、記録媒体:DL9084(坪量91g/m)(三菱製紙製)に対して3cm×3cmのベタ画像(記録デューティーが100%)を記録した(画像サンプル1)。また、記録媒体:DL9084(坪量91g/m)(三菱製紙製)に対して5cm×10cmのベタ画像(記録デューティーが100%)を記録した(画像サンプル2)。尚、記録条件は、温度25℃、相対湿度55%、インク吐出周波数39kHz、記録媒体の搬送速度100m/s、記録時のインク吐出体積1ドット当たり約11plである。尚、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に11ngのインク滴を1ドット付与する条件を記録デューティーが100%であると定義される。また、インクを付与する際の記録媒体の表面温度は、非接触赤外温度計 デジタル放射温度センサーFT−H20(キーエンス製)によって、記録媒体の表面に対して概垂直方向に10cmの位置から測定した。
[評価]
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、Cは許容できないレベルとした。
<画像の光学濃度>
得られた画像サンプル1の光学濃度を、反射濃度計RD19I(グレタグマクベス製)を用いて測定した。そして、以下の評価基準で画像の光学濃度を評価した。評価結果を表2に示す。
AA:光学濃度が、1.50以上であった
A:光学濃度が、1.45以上1.50未満であった
B:光学濃度が、1.40以上1.45未満であった
C:光学濃度が、1.40未満であった。
<スジ状のムラの抑制効果>
得られた画像サンプル2についてスジ状のムラを拡大鏡(5倍)及び目視によって観察し、以下の評価基準にて評価した。評価結果を表2に示す。
AA:スジ状のムラが、拡大鏡を使用しても確認できなかった。
A:スジ状のムラが、目視では確認できなかった
B:スジ状のムラが、目視で僅かに確認できたが、目立たないレベルであった
C:スジ状のムラが、目視ではっきりと確認できた。

Claims (9)

  1. 顔料とポリウレタン樹脂粒子と界面活性剤と水溶性有機溶剤と水とを含有するインクであって、
    前記界面活性剤が、下記一般式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を含み、
    前記水溶性有機溶剤が、下記の群から選択される少なくとも何れかの水溶性有機溶剤であることを特徴とするインク。
    一般式(1)
    F(CFCHCH(OCHCHOH
    (一般式(1)において、nは6であり、mは4以上6以下である。)
    (群)
    グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジグリセリン
  2. 前記顔料が、自己分散顔料である請求項1に記載のインク。
  3. 前記顔料が、樹脂で分散された顔料であり、
    前記顔料の含有量が、前記樹脂の含有量に対して、質量比率で3倍以上である請求項1に記載のインク。
  4. インク全質量を基準とした、前記フッ素系界面活性剤の含有量が、0.1質量%以上3.0質量%以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインク。
  5. 25℃における粘度が、5.0mPa・s以上9.0mPa・s以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載のインク。
  6. 表面張力が、15mN/m以上25mN/mである請求項1乃至5の何れか1項に記載のインク。
  7. インク全質量を基準とした、前記群の水溶性有機溶剤の総含有量が、前記群以外の水溶性有機溶剤の総含有量に対して、質量比率で3倍以上である請求項1乃至6の何れか1項に記載のインク。
  8. インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至7の何れか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. 記録媒体にインクを付与するインク付与工程を有する画像記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至7の何れか1項に記載のインクであることを特徴とする画像記録方法。
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