JP2018104520A - インク、インクカートリッジ、及び画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】貯蔵安定性に優れているとともに、光学濃度が高く、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクを提供する。
【解決手段】顔料、樹脂粒子A、樹脂粒子B、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクである。顔料が、自己分散顔料であり、樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が、0.20mmol/g以下であり、樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が、0.21mmol/g以上0.60mmol/g以下であり、界面活性剤が、下記一般式(1)で表される、グリフィン法により算出されるHLB値が11以下の界面活性剤である。
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である)
【選択図】なし
【解決手段】顔料、樹脂粒子A、樹脂粒子B、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクである。顔料が、自己分散顔料であり、樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が、0.20mmol/g以下であり、樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が、0.21mmol/g以上0.60mmol/g以下であり、界面活性剤が、下記一般式(1)で表される、グリフィン法により算出されるHLB値が11以下の界面活性剤である。
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である)
【選択図】なし
Description
本発明は、インク、インクカートリッジ、及び画像記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、原理が単純でありながらも簡便に高品位なカラー画像を記録することができるため、技術の発展が著しい。さらに、長尺のライン型ヘッドが近年開発されており、ヘッド幅分の画像を一度に記録できるようになった。このため、より高速での印刷が要求される商業印刷業界においてもインクジェット記録方法が採用され始めている。
業印刷業界においては、低コストで大量に印刷しうる性能が要求される。このため、一般に印刷用紙と呼ばれ広く用いられている、安価で薄い用紙に対しても高品位な画像を記録可能であることが望まれている。とりわけ、上質紙や微塗工紙に分類される用紙に画像を記録する場合、インクが用紙に浸透しやすいため、得られる画像の光学濃度が低下しやすくなる。このため、記録される画像の光学濃度をいかに向上させるのかが課題とされている。
画像の光学濃度を向上させるべく、顔料の粒子表面に官能基を導入して分散性を高めた自己分散顔料を含有するインクが用いられている。自己分散顔料は記録媒体上で素早く凝集するため、画像の光学濃度を向上させることができる。しかし、自己分散顔料を含有するインクで記録した画像は、光学濃度は比較的高いが、耐擦過性が低いという課題があった。そこで、自己分散顔料を含有するインクで記録した画像の耐擦過性を向上させるべく、ポリウレタン樹脂粒子を含有させたインクが提案されている(特許文献1)。
樹脂、界面活性剤、及び有機溶剤などの材料は、記録媒体への顔料の浸透を促進し、記録される画像の光学濃度を下げる作用を示す傾向にある。このため、記録媒体と馴染みにくい材料をインクに用いることで、画像の光学濃度を向上させる検討がなされている。例えば、アニオン性官能基量の少ない樹脂、フッ素系界面活性剤、及び特定の水溶性有機溶剤を用いたインクが提案されている(特許文献2)。
本発明者らは、特許文献2で提案されたインクについて検討した。その結果、特許文献2で提案されたインクで記録した画像の光学濃度は比較的高いが、インク自体の貯蔵安定性が乏しいという課題を有することが判明した。
したがって、本発明の目的は、貯蔵安定性に優れているとともに、光学濃度が高く、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクを提供することにある。また、本発明の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及び画像記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料、樹脂粒子A、樹脂粒子B、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクであって、前記顔料が、自己分散顔料であり、前記樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が、0.20mmol/g以下であり、前記樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が、0.21mmol/g以上0.60mmol/g以下であり、前記樹脂粒子Bの含有量が、前記樹脂粒子Aの含有量に対して、2.0質量%以上10.0質量%以下であり、前記界面活性剤が、下記一般式(1)で表される、グリフィン法により算出されるHLB値が11以下の界面活性剤であることを特徴とするインクが提供される。
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である。nは、1以上30以下の数を表し、mは、1以上60以下の数を表す)
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である。nは、1以上30以下の数を表し、mは、1以上60以下の数を表す)
本発明によれば、貯蔵安定性に優れているとともに、光学濃度が高く、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクを提供することができる。また、本発明によれば、前記インクを用いたインクカートリッジ、及び画像記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
本発明者らは、貯蔵安定性に優れているとともに、光学濃度が高く、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能な、自己分散顔料を含有するインクについて検討した。その結果、表面アニオン性官能基量がそれぞれ所定の範囲内にある2種の樹脂粒子と、特定の構造を有する界面活性剤とを組み合わせて用いることで、光学濃度が高く、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能となることを見出した。このような構成を採用することで上記の効果が得られるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。
表面アニオン性官能基量が少ない樹脂粒子や、親水性鎖が短いアセチレングリコール系界面活性剤は、一般的に疎水性が高い。このため、これらの樹脂粒子や界面活性剤をインクに配合しても、インクの記録媒体内への浸透は促進されないことが知られている。商業印刷に用いられる印刷用紙の表面はサイズ処理によって疎水性になっているため、インクの着滴とともに樹脂粒子や界面活性剤が印刷用紙の表面に吸着する。樹脂粒子や界面活性剤の疎水性が高い場合、インクの着滴後も印刷用紙の表面の疎水性が維持されるので、インクの浸透が抑制される。このため、疎水性の高い材料を含有するインクを用いた場合には、光学濃度の高い画像を記録することが期待される。
本発明者らは、下記一般式(1)で表される、グリフィン法により算出されるHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が11以下のフッ素系界面活性剤を、自己分散顔料を含有するインクに添加して検討した。その結果、光学濃度の高い画像を記録できることが判明した。また、アセチレングリコール系界面活性剤と、表面アニオン性官能基量が0.20mmol/g以下である樹脂粒子Aとを、インクに添加して検討した。その結果、画像の光学濃度が向上する一方、インクの貯蔵安定性が低下することがわかった。具体的には、インクを60℃で3日間保存すると、増粘や凝集が発生することがわかった。
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である。nは、1以上30以下の数を表し、mは、1以上60以下の数を表す)
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である。nは、1以上30以下の数を表し、mは、1以上60以下の数を表す)
インクが増粘する理由の一つとして、フッ素系界面活性剤の疎水性の極端な高さを挙げることができる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子が結合したアルキル鎖を介して疎水面に強く吸着することが一般的に知られている。フッ素原子が結合したアルキル鎖が、疎水面である自己分散顔料や樹脂粒子Aの表面に吸着すると、これらの表面の疎水性がさらに高まって水和しにくくなる。その結果、顔料の粒子同士が会合し、増粘や凝集が発生すると考えられる。
一方、アニオン性官能基量が多い樹脂粒子や、親水性鎖が長いアセチレングリコール系界面活性剤は、親水性が高い。このため、これらの樹脂粒子や界面活性剤をインクに配合すると、記録媒体内へのインクの浸透が促進されて画像の光学濃度は低下する。しかし、インクの貯蔵安定性は向上する傾向にあることが知られている。すなわち、記録される画像の光学濃度の向上と、インクの貯蔵安定性の向上とは、トレードオフの関係にあるといえる。
さらなる検討の結果、表面アニオン性官能基量が0.21mmol/g以上0.60mmol/g以下である樹脂粒子Bをわずかに含有させることで、画像の光学濃度を高めつつ、貯蔵によるインクの増粘を抑制できることが判明した。樹脂粒子Aは、立体障害を有する一方で表面アニオン性官能基量が少ないため、疎水性部が多く、電荷量が少ない。このため、樹脂粒子Aは疎水性が高まった自己分散顔料に吸着した際に反発力が生じにくく、増粘しやすい。一方、樹脂粒子Bは表面アニオン性官能基量が多く、親水性部−疎水性部のバランスが適切である。このため、フッ素系界面活性剤によって疎水性が高まった自己分散顔料に樹脂粒子Bが吸着すると、立体障害と電荷によって樹脂粒子Aと界面活性剤による顔料同士の架橋を抑制し、インクの増粘が抑制されると考えられる。
樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が0.21mmol/g未満であると、疎水性が高すぎるため、樹脂粒子Aのみを含有させた場合と同様の理由によりインクの貯蔵安定性を向上させることができない。一方、樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が0.60mmol/g超であると、親水性が高すぎるため、顔料や樹脂粒子Aに吸着しにくくなる。このため、樹脂粒子Aと界面活性剤による顔料同士の架橋が抑制されず、インクの貯蔵安定性を向上させることができないと考えられる。
本発明のインクの特筆すべき特徴は、表面アニオン性官能基量が多い樹脂粒子Bを少量含有するだけで、貯蔵安定性が劇的に向上している点にある。樹脂粒子Bの含有量が少ないため、インクの他の性能にほとんど影響を及ぼすことなく、貯蔵安定性のみを向上させることができる。画像の光学濃度を高い状態で維持しつつ、インクの貯蔵安定性を向上させるには、樹脂粒子Bの含有量を、樹脂粒子Aの含有量に対して、2.0質量%以上10.0質量%以下とすることを要する。樹脂粒子Bの含有量が少なすぎると、画像の光学濃度は向上するが、インクの貯蔵安定性を向上させることができない。一方、樹脂粒子Bの含有量が多すぎると、インクの貯蔵安定性は向上するが、画像の光学濃度が不十分になる。
<インク>
本発明のインクは、顔料、樹脂粒子A、樹脂粒子B、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクである。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
本発明のインクは、顔料、樹脂粒子A、樹脂粒子B、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクである。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
(自己分散顔料)
自己分散顔料は、顔料の粒子表面に親水性基が直接又は他の原子団(−R−)を介して結合したものである。親水性基としては、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2などを挙げることができる。上記式中の「M」は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。上記式中の「M」は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属であることが、インクの吐出安定性が良好となるために好ましい。
自己分散顔料は、顔料の粒子表面に親水性基が直接又は他の原子団(−R−)を介して結合したものである。親水性基としては、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2などを挙げることができる。上記式中の「M」は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。上記式中の「M」は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属であることが、インクの吐出安定性が良好となるために好ましい。
なかでも、親水性基としては、−CQ(PO3M2)2で表される構造を有する基が好ましい。上記式中の「Q」は、水素原子、R’、OR’、SR’、又はNR’2であり、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アラルキル基、又はアリール基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基を挙げることができる。アシル基としては、アセチル基、ベンゾイル基を挙げることができる。アラルキル基としては、ベンジル基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。なかでも、R’が水素原子である−CH(PO3M2)2で表される構造を有する基が好ましい。
他の原子団(−R−)としては、アミド基、アミノ基、ケトン基、エステル基、エーテル基、炭素数1乃至12のアルキレン基、フェニレン基、置換フェニレン基、又はナフチレン基、及び置換ナフチレン基を挙げることができる。なかでも、他の原子団(−R−)としては、−C6H4−CONH−(ベンズアミド構造)又は−C6H4−SO2NH−(ベンゼンスルホンアミド構造)を含む基であることが好ましい。なお、他の原子団(−R−)の炭素原子には、複数のホスホン酸基が結合していてもよい。具体的には、ビスホスホン酸基やトリホスホン酸基が結合した原子団が顔料の粒子表面に結合した、いわゆるホスホン酸基修飾自己分散顔料を用いることが、画像の発色性をさらに高めることができるために好ましい。なかでも、ビスホスホン酸基が結合した原子団が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料が、画像の発色性を特に高めることができるために好ましい。親水性基のインク中での形態は、その一部が解離した状態であってもよく、すべてが解離した状態であってもよい。
顔料としては、例えば、カーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料を挙げることができる。顔料としては、インクジェット用のインクに使用可能なものであれば、いずれも用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。顔料の含有量が0.1質量%未満であると、記録される画像の光学濃度がやや不足することがある。一方、顔料の含有量が15.0質量%超であると、耐固着性などのインクジェット特性が不十分になる場合がある。
無機顔料の自己分散顔料としては、カーボンブラックなどの公知の無機顔料の粒子表面に親水性基を導入した顔料(自己分散カーボンブラックなど)を挙げることができる。自己分散カーボンブラックの具体例としては、以下商品名で、CAB−O−JET200、300、352K、400(キャボット製)などを挙げることができる。
有機顔料の自己分散顔料としては、公知の有機顔料の粒子表面に親水性基を導入した顔料を挙げることができる。例えば、自己分散シアン顔料、自己分散マゼンタ顔料、自己分散イエロー顔料などを挙げることができる。自己分散シアン顔料の具体例としては、以下商品名で、CAB−O−JET250C、450C、554B(キャボット製)などを挙げることができる。自己分散マゼンタ顔料の具体例としては、以下商品名で、CAB−O−JET260M、265M、465M、(キャボット製)などを挙げることができる。また、自己分散イエロー顔料の具体例としては、以下商品名で、CAB−O−JET270Y、470Y、740Y(キャボット製)などを挙げることができる。
インク中の顔料が自己分散顔料であるか否かについては、以下に示す分析方法によって検証することができる。まず、インクを酸析した後、遠心分離して沈殿物を採取する。なお、試料が顔料分散体である場合は、顔料分散体を酸析した後、沈殿物を採取する。次いで、採取した沈殿物をシャーレに取って水を流し込み、撹拌して再分散させる。1日放置後、シャーレに沈殿物が生ずることなく、顔料が分散していれば、自己分散顔料であると判断することができる。
インク中の自己分散顔料がホスホン酸基を有するか否かについては、ICP発光分析装置を使用して分析することで検証することができる。具体的には、ICP発光分析装置を使用して自己分散顔料を分析し、リン元素が確認されれば、自己分散顔料がホスホン酸基を有すると判断することができる。
(樹脂粒子)
本発明のインクは、表面アニオン性官能基量が0.20mmol/g以下である樹脂粒子Aを含有する。樹脂粒子Aの表面のアニオン性官能基量は、0.01mmol/g以上0.15mmol/g以下であることが好ましく、0.03mmol/g以上0.10mmol/g以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が0.01mmol/g未満であると、インクの貯蔵安定性がやや不足することがある。一方、樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が0.15mmol/g超であると、画像の光学濃度(発色性)がやや不足することがある。
本発明のインクは、表面アニオン性官能基量が0.20mmol/g以下である樹脂粒子Aを含有する。樹脂粒子Aの表面のアニオン性官能基量は、0.01mmol/g以上0.15mmol/g以下であることが好ましく、0.03mmol/g以上0.10mmol/g以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が0.01mmol/g未満であると、インクの貯蔵安定性がやや不足することがある。一方、樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が0.15mmol/g超であると、画像の光学濃度(発色性)がやや不足することがある。
インク中の樹脂粒子Aの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の樹脂粒子Aの含有量を上記の範囲とすることで、、画像の耐擦過性をさらに向上させることができる。樹脂粒子Aの含有量が1.0質量%未満であると、画像の耐擦過性の向上効果がやや不足することがある。一方、樹脂粒子Aの含有量が10質量%超であると、インクの吐出安定性などが不足することがある。
本発明のインクは、表面アニオン性官能基量が0.21mmol/g以上0.60mmol/g以下である樹脂粒子Bを含有する。樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量は、0.25mmol/g以上0.40mmol/g以下であることが好ましい。樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が0.25mmol/g未満であると、インクの貯蔵安定性がやや不足することがある。一方、樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が0.40mmol/g超であると、画像の光学濃度(発色性)がやや不足することがある。
インク中の樹脂粒子Bの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.20質量%以上0.40質量%以下であることが好ましい。樹脂粒子Bの含有量が0.20質量%未満であると、貯蔵安定性の向上効果がやや不足することがある。一方、樹脂粒子Bの含有量が0.40質量%超であると、画像の光学濃度がやや不足することがある。
インク中の樹脂粒子Aと樹脂粒子Bの合計の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.5質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。樹脂粒子Aと樹脂粒子Bの合計の含有量が2.5質量%未満であると、画像の耐擦過性の向上効果がやや不足することがある。一方、樹脂粒子Aと樹脂粒子Bの合計の含有量が8.0質量%超であると、インクの吐出安定性などが不足することがある。
樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量と、樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量の差は、0.10mmol/g以上であることが好ましい。表面アニオン性官能基量の差が0.10mmol/g未満であると、インクの貯蔵安定性がやや不足することがある。樹脂粒子の表面に存在するアニオン性基としては、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2などを挙げることができる。なお、「M」は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。
樹脂粒子の表面アニオン性官能基量は、コロイド滴定により測定することができる。後述の実施例においては、流動電位滴定ユニット(商品名「PCD−500」)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用し、電位差を利用したコロイド滴定により樹脂粒子の表面アニオン性官能基量を測定した。なお、滴定試薬としてはメチルグリコールキトサンを用いた。
インク中の樹脂粒子の表面アニオン性官能基量を測定するには、顔料と樹脂粒子を分離する必要がある。例えば、23℃、440,000g、2時間の条件でインクを遠心分離すると、顔料が沈殿する。そして、樹脂粒子が含まれる上澄みを採取し、上記の測定方法により表面アニオン性官能基量を測定することができる。
本発明における「樹脂粒子」とは、「粒径を有する状態で水系媒体中に分散して存在しうる樹脂からなる粒子」を意味する。樹脂粒子の50%累積体積平均粒径(D50)は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子のD50は、樹脂粒子分散体を純水で50倍(体積基準)に希釈して調製した水分散液を測定用試料とし、粒度分布測定装置(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を使用して以下に示す測定条件にしたがって測定することができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
樹脂粒子としては、公知のものをいずれも用いることができる。なかでも、ポリウレタン樹脂粒子及びアクリル樹脂粒子から選択される少なくとも2種を用いることが好ましい。
[ポリウレタン樹脂粒子]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリウレタン樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、5,000以上150,000以下であることが好ましく、8,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が5,000未満であると、ポリウレタン樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性の向上効果がやや不足することがある。一方、ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が150,000超であると、インクの貯蔵安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリウレタン樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、5,000以上150,000以下であることが好ましく、8,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が5,000未満であると、ポリウレタン樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性の向上効果がやや不足することがある。一方、ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量が150,000超であると、インクの貯蔵安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
ポリウレタン樹脂粒子の重量平均分子量は、ポリスチレン標準試料を使用し、GPCにより測定することができる。GPCの装置などは、例えば、以下に示すものを使用することができる。また、ポリスチレン標準試料としては、商品名「PS−1」、「PS−2」(Polymer Laboratories製)を用いることができる。
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
ポリウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、−80℃以上であることが好ましく、−50℃以上であることがさらに好ましい。また、ポリウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子は、一般的に用いられている従来の方法によって製造することができる。具体的には、酸基を有しないポリオールをメチルエチルケトンなどの有機溶剤中で十分に撹拌して溶解させた後、ポリイソシアネート及び酸基を有するジオールを加えて反応させ、ウレタンプレポリマー溶液を得る。得られたウレタンプレポリマー溶液を中和した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌して乳化する。乳化後、鎖延長剤を添加して鎖延長反応を行えば、ポリウレタン樹脂粒子を製造することができる。
(1)ポリイソシアネート
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、ポリイソシアネートに由来するユニットを有する。本明細書における「ポリイソシアネート」とは、2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。ポリウレタンに占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合は、10.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、ポリイソシアネートに由来するユニットを有する。本明細書における「ポリイソシアネート」とは、2以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。ポリウレタンに占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合は、10.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートを挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートを挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のポリイソシアネートのなかでも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(2)酸基を有しないポリオール
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、酸基を有しないポリオールに由来するユニットを有する。ポリウレタンに占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合は、0.1質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、通常、酸基を有しないポリオールに由来するユニットを有する。ポリウレタンに占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合は、0.1質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
酸基を有しないポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。酸基を有しないポリオールの炭素数は、13以上250以下であることが好ましい。また、GPCにより測定される、酸基を有しないポリオールのポリスチレン換算の数平均分子量は、600以上4,000以下であることが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、酸成分と、ポリアルキレングリコール、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとのエステルを挙げることができる。酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などを挙げることができる。脂環族ジカルボン酸としては、上記の芳香族ジカルボン酸の水素添加物などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキル琥珀酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などを挙げることができる。また、これらの酸成分の酸無水物、アルキルエステル、又は酸ハライドなどの反応性誘導体なども、ポリエステルポリオールを構成する酸成分として用いることができる。これらの酸成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。ポリエステルポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリアルキレングリコールと、アルキレンオキサイドと、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとの付加重合物を挙げることができる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。ポリエーテルポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネートジオールとしては、従来公知の方法で製造されるポリカーボネートジオールを用いることができる。ポリカーボネートジオールとしては、例えば、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分又はホスゲンと、脂肪族ジオール成分とを反応させて得られるポリカーボネートジオールを挙げることができる。ポリカーボネートジオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸基を有しないポリオールのなかでも、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。ポリエーテルポリオールを用いると、形成される樹脂膜の柔軟性が適度に発現するため、画像の耐擦過性が向上しやすい。さらに、ポリエーテルポリオールは親水性が比較的高いため、インクの吐出安定性を向上させることができる。ポリエーテルポリオールのなかでも、ポリプロピレングリコールを用いることが特に好ましい。
(3)酸基を有するジオール
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、酸基を有するジオールに由来するユニットを有することが好ましい。本明細書における「酸基を有するジオール」とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を有するジオールを意味する。酸基を有するジオールは、Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩や、アンモニア、ジメチルアミンなどの有機アミン塩の状態で存在してもよい。酸基を有するジオールとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸を用いることが好ましい。これらの酸基を有するジオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリウレタンに占める、酸基を有するジオールに由来するユニットの割合は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタンは、酸基を有するジオールに由来するユニットを有することが好ましい。本明細書における「酸基を有するジオール」とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を有するジオールを意味する。酸基を有するジオールは、Li、Na、Kなどのアルカリ金属塩や、アンモニア、ジメチルアミンなどの有機アミン塩の状態で存在してもよい。酸基を有するジオールとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸を用いることが好ましい。これらの酸基を有するジオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリウレタンに占める、酸基を有するジオールに由来するユニットの割合は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
(4)鎖延長剤
ポリウレタンにより形成された樹脂粒子を製造する際には、鎖延長剤を用いてもよい。鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーに含まれるポリイソシアネートに由来するユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応しうる化合物である。鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物;ポリアミドポリアミン;ポリエチレンポリイミンを挙げることができる。
ポリウレタンにより形成された樹脂粒子を製造する際には、鎖延長剤を用いてもよい。鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーに含まれるポリイソシアネートに由来するユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応しうる化合物である。鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物;ポリアミドポリアミン;ポリエチレンポリイミンを挙げることができる。
さらに、鎖延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。これらの鎖延長剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[アクリル樹脂粒子]
GPCにより測定されるアクリル樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、100,000以上3,000,000以下であることが好ましく、300,000以上1,000,000以下であることがさらに好ましい。アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が100,000未満であると、アクリル樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性の向上効果がやや不足することがある。一方、アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が3,000,000超であると、インクの貯蔵安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
GPCにより測定されるアクリル樹脂粒子のポリスチレン換算の重量平均分子量は、100,000以上3,000,000以下であることが好ましく、300,000以上1,000,000以下であることがさらに好ましい。アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が100,000未満であると、アクリル樹脂粒子の強度が低くなるため、画像の耐擦過性の向上効果がやや不足することがある。一方、アクリル樹脂粒子の重量平均分子量が3,000,000超であると、インクの貯蔵安定性や吐出安定性などがやや不足することがある。
アクリル樹脂粒子の重量平均分子量は、ポリスチレン標準試料を使用し、GPCにより測定することができる。GPCの装置などは、例えば、以下に示すものを使用することができる。また、ポリスチレン標準試料としては、商品名「PS−1」、「PS−2」(Polymer Laboratories製)を用いることができる。
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
検出器:RI(屈折率)
アクリル樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、−20℃以上であることが好ましく、−10℃以上であることがさらに好ましく、25℃以上であることが特に好ましい。また、アクリル樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
アクリル樹脂粒子を構成するアクリル樹脂を得るために用いるモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーを挙げることができる。(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸を挙げることができる。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル系モノマーの単重合体であってもよく、(メタ)アクリル系モノマーとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。その他のモノマーとしては、例えば、ビニルエステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン類、イタコン類、マレイン酸類、フマル酸類、アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類などを挙げることができる。アクリル樹脂が共重合体である場合、共重合体中の(メタ)アクリル系モノマーに由来するユニットの含有割合は、共重合体全体を基準として、50モル%以上であることが好ましい。
(界面活性剤)
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される界面活性剤を含有する。
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である。nは、1以上30以下の数を表し、mは、1以上60以下の数を表す)
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される界面活性剤を含有する。
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である。nは、1以上30以下の数を表し、mは、1以上60以下の数を表す)
一般式(1)で表される界面活性剤は、グリフィン法により算出されるHLB値が11以下のフッ素系界面活性剤である。この界面活性剤のHLB値は、6以上11以下であることが好ましい。グリフィン法により算出されるHLB値は、「20×親水部の式量の総和/分子量」で定義される。本発明においては、一般式(1)中の「CH2CH2(OCH2CH2)mOH」の部分を「親水部」としてHLB値を算出する。
一般式(1)で表される、HLB値が11以下のフッ素系界面活性剤としては、以下商品名で、FS−3100、FS−30、FSO、FSN−100(以上、デュポン製);メガファックF−444(DIC製);DSN403N(ダイキン工業製)を挙げることができる。インク中の一般式(1)で表される界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。一般式(1)で表される界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、ドット径が十分に拡がらない場合がある。一方、一般式(1)で表される界面活性剤の含有量が5.0質量%超であると、インクの貯蔵安定性がやや不足することがある。
本発明のインクには、一般式(1)で表される界面活性剤以外の界面活性剤(その他の界面活性剤)を含有させてもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール及びアセチレングリコールにエチレンオキシドを付加したノニオン性界面活性剤などを挙げることができる。インク中のその他の界面活性剤の含有量は、インク全質量を基準として、0.1質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤を含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤を含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
本明細書における「水溶性有機溶剤」とは、「20℃の水への溶解度が500g/L以上である有機溶剤」を意味する。水溶性有機溶剤としては、一般的なインクに使用可能なものを用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、下記[群A]より選択される少なくとも一種の水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。また、[群A]に属する水溶性有機溶剤の合計含有量が、[群A]に属しない水溶性有機溶剤の合計含有量よりも多いことが好ましい。なお、インク中の[群A]に属する水溶性有機溶剤の合計含有量が、[群A]に属しない水溶性有機溶剤の合計含有量に対する質量比率で、4倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。
[群A]:グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、重量平均分子量10,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及びジグリセロール
[群A]:グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、重量平均分子量10,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及びジグリセロール
インク中の[群A]に属する水溶性有機溶剤の合計含有量は、インク全質量を基準として、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。
(添加剤)
本発明のインクは、必要に応じて、上記の界面活性剤以外の界面活性剤、pH調整剤、表面滑り剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、必要に応じて、上記の界面活性剤以外の界面活性剤、pH調整剤、表面滑り剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備える。そして、このインク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されている。インクカートリッジの形態としては、(i)インク収容部内にインクを直接収容する形態;(ii)インク収容部に負圧を発生する部材や機構を収納し、これらの部材等によってインクを保持して収容する形態;などがある。(ii)の形態には、さらに、(ii−1)インク収容部全体に負圧を発生する部材や機構を収納した形態;(ii−2)インク収容部内を、インクを直接収容する室と、負圧を発生する部材等を収納する室とで区画した形態;などがある。
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備える。そして、このインク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されている。インクカートリッジの形態としては、(i)インク収容部内にインクを直接収容する形態;(ii)インク収容部に負圧を発生する部材や機構を収納し、これらの部材等によってインクを保持して収容する形態;などがある。(ii)の形態には、さらに、(ii−1)インク収容部全体に負圧を発生する部材や機構を収納した形態;(ii−2)インク収容部内を、インクを直接収容する室と、負圧を発生する部材等を収納する室とで区画した形態;などがある。
(i)の形態では、記録ヘッドとインク収容部をチューブなどのインク供給部材によって連結し、水頭差又はポンプなどを利用して記録ヘッドにインクを供給する。また、(ii)の形態のインクカートリッジは、記録ヘッドの上部に着脱可能に接続され、負圧を発生する部材等によって発生させた負圧を利用してり記録ヘッドにインクを供給する。なお、記録ヘッドと一体化されたインクカートリッジについても、本発明のインクカートリッジの概念に包含される。
<画像記録方法>
本発明の画像記録方法は、上記で説明した本発明のインクを記録媒体に付与するインク付与工程を有する。また、本発明の画像記録方法は、さらに、記録媒体を搬送する搬送工程と、インクが付与された記録媒体を加熱する加熱工程と、を有することが好ましい。
本発明の画像記録方法は、上記で説明した本発明のインクを記録媒体に付与するインク付与工程を有する。また、本発明の画像記録方法は、さらに、記録媒体を搬送する搬送工程と、インクが付与された記録媒体を加熱する加熱工程と、を有することが好ましい。
図1は、本発明の画像記録方法に用いる画像記録装置の一例を示す模式図である。図1に示す画像記録装置においては、ロール状に巻かれた記録媒体を使用し、画像を記録した記録媒体を、再度ロール状に巻き取る形態が示されている。すなわち、図1に示す画像記録装置は、記録媒体供給手段1と、インク付与手段2と、加熱手段3と、記録媒体回収手段4と、を備える。記録媒体供給手段1は、ロール状に巻かれた記録媒体を保持して供給するためのユニットである。インク付与手段2は、記録媒体供給手段1から送出された記録媒体にインクを付与するためのユニットである。加熱手段3は、インクが付与された記録媒体を加熱するためのユニットである。そして、記録媒体回収手段4は、インクが付与されて画像が記録された記録媒体を巻き取るためのユニットである。記録媒体は、ローラー対やベルトなどの搬送部材を含む搬送手段により、図1中の実線で示した搬送経路に沿って搬送され、各ユニットにおいて処理される。なお、記録媒体回収手段4でロール状に巻き取された記録媒体を別の装置などに供給し、記録媒体を所望の大きさに切断したり、製本したりするなどの処理を行ってもよい。
搬送工程における記録媒体の搬送速度は、50m/分以上であることが好ましく、100m/分以上であることが好ましい。
搬送工程においては、記録媒体に張力を付与することが好ましい。すなわち、張力を生じさせる張力付与手段を画像記録装置に設けることが好ましい。具体的には、記録媒体供給手段1と記録媒体回収手段4との間の搬送機構に、記録媒体に張力を付与する張力付与部や、記録媒体の張力を調整する張力調整部などを設けることができる(図1)。記録媒体に張力を付与しておく(かけておく)と、インク中の水による記録媒体を構成する繊維の膨潤を抑制することができる。記録媒体を構成する繊維が膨潤すると、繊維間の空隙が増加するためにインクの浸透速度は上昇する。インクの浸透速度が上昇すると、インクが記録媒体の厚さ方向に深く浸透しやすくなるため、画像の光学濃度が不足する傾向にある。したがって、張力をかけた記録媒体にインクを付与することで、より光学濃度の高い画像を記録することができる。
好ましくは20N/m以上、さらに好ましくは30N/m以上、特に好ましくは40N/m以上100N/m以下の張力をかけた記録媒体にインクを付与する。記録媒体に付与する張力を20N/m以上とすることで、インク中の水による記録媒体を構成する繊維の膨潤をより効率的に抑制することができる。
(インク付与工程)
インク付与工程は、記録媒体にインクを付与する工程である。記録媒体にインクを付与する方式としては、インクジェット方式を採用することが好ましい。すなわち、本発明の画像記録方法は、インクジェット記録方法であることが好ましい。インクジェット方式としては、サーマルインクジェット方式であっても、ピエゾインクジェット方式であってもよい。サーマルインクジェット方式は、インクに熱エネルギーを付与して記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。また、ピエゾインクジェット方式は、ピエゾ素子を用いて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。
インク付与工程は、記録媒体にインクを付与する工程である。記録媒体にインクを付与する方式としては、インクジェット方式を採用することが好ましい。すなわち、本発明の画像記録方法は、インクジェット記録方法であることが好ましい。インクジェット方式としては、サーマルインクジェット方式であっても、ピエゾインクジェット方式であってもよい。サーマルインクジェット方式は、インクに熱エネルギーを付与して記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。また、ピエゾインクジェット方式は、ピエゾ素子を用いて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式である。
記録ヘッドは、シリアルタイプの記録ヘッドであっても、フルラインタイプの記録ヘッドであってもよい。シリアルタイプの記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録ヘッドを走査して画像を記録する記録ヘッドである。また、フルラインタイプの記録ヘッドは、複数のノズルが記録媒体の最大幅をカバーする範囲に配列された記録ヘッドである。より高速に画像を記録できることから、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドを使用することが好ましい。フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向に対して直行する方向にノズル列が配列されたものであることが好ましい。また、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドは、通常、インクの色ごとに複数設けられているとともに、それぞれの記録ヘッドが記録媒体の搬送方向に沿って順に平行に配列されていることが好ましい。
(加熱工程)
加熱工程は、インクが付与された記録媒体の表面温度が70℃以上となるように加熱する工程である。本発明における「インクが付与された記録媒体の表面温度」とは、インクが記録媒体に付与された時点を0秒とした場合に、0.5秒搬送された位置における記録媒体の表面温度を意味する。例えば、記録媒体の搬送速度を「V」m/分と仮定する。このように仮定した場合、記録媒体におけるインクの付与領域Xが、インクが付与された位置から搬送方向に沿って「(V×0.5)/60」m移動した位置における付与領域Xの表面温度を測定すればよい。なお、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドの場合における「インクが付与された位置」とは、記録ヘッドの直下の位置を意味する。実施例においては、非接触赤外温度計(商品名「デジタル放射温度センサーFT−H20」、キーエンス製)を使用し、表面から略垂直方向に10cm離れた位置から記録媒体の表面温度を測定した。
加熱工程は、インクが付与された記録媒体の表面温度が70℃以上となるように加熱する工程である。本発明における「インクが付与された記録媒体の表面温度」とは、インクが記録媒体に付与された時点を0秒とした場合に、0.5秒搬送された位置における記録媒体の表面温度を意味する。例えば、記録媒体の搬送速度を「V」m/分と仮定する。このように仮定した場合、記録媒体におけるインクの付与領域Xが、インクが付与された位置から搬送方向に沿って「(V×0.5)/60」m移動した位置における付与領域Xの表面温度を測定すればよい。なお、フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドの場合における「インクが付与された位置」とは、記録ヘッドの直下の位置を意味する。実施例においては、非接触赤外温度計(商品名「デジタル放射温度センサーFT−H20」、キーエンス製)を使用し、表面から略垂直方向に10cm離れた位置から記録媒体の表面温度を測定した。
加熱工程においては、インクが付与された記録媒体の表面温度が80℃以上となるように加熱することが好ましい。また、記録媒体が熱によって変形することを防止する観点から、表面温度が140℃以下となるように加熱することが好ましい。記録媒体を加熱する方法としては、ヒーターを設けて記録媒体の表面側(インクが付与される側)から加熱する方法、裏面側から加熱する方法、及び両面を加熱する方法などを挙げることができる。
インクの付与前から付与後にかけて連続して記録媒体を加熱してもよい。インクの付与前は、記録媒体が加熱されていない、又は表面温度70℃未満に加熱されていることが好ましく、60℃以下に加熱されていることがさらに好ましく、40℃以下に加熱されていることが特に好ましい。
記録媒体を加熱する際には、例えば、加圧ローラーなどを使用して記録媒体を加圧してもよい。記録媒体を加圧することで、画像の定着性を向上させることができる。記録媒体を加圧する際には、加熱工程のすべての過程にわたって加圧しなくてもよく、加熱工程の一部の過程でのみ加圧してもよい。また、記録媒体を多段階で加圧してもよく、加熱工程の後にさらに加圧工程を有していてもよい。
(記録媒体)
記録媒体としては、従来、一般的に用いられている記録媒体をいずれも使用することができる。なかでも、記録媒体の水の吸収係数Kaは、0.1mL・m-2・ms-1/2以上であることが好ましく、0.2mL・m-2・ms-1/2以上であることがさらに好ましく、0.3mL・m-2・ms-1/2以上であることが特に好ましい。記録媒体の水の吸収係数Kaを導出する方法としては、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に記載されたブリストー法を用いる。ブリストー法については多くの市販図書に説明があるため、詳細な説明は省略するが、濡れ時間Tw及び粗さ指数Vr(mL/m2)により、吸収係数Ka(mL・m-2・ms-1/2)が定義される。図2は、記録媒体の水の吸収係数Kaを説明する吸収曲線の一例を示す図である。図2に示す吸収曲線は、液体が記録媒体に接触した後、濡れ時間Twを経て記録媒体の内部への浸透が始まるという浸透モデルに基づく。濡れ時間Tw後における直線の傾きが吸収係数Kaである。この吸収係数Kaは、記録媒体の内部への液体の浸透速度に対応する。濡れ時間Twは、図2に示すように、吸収係数Kaを算出するための最小二乗法による近似直線Aと、液体の転移量V及び粗さ指数Vrで表される「V=Vr」の直線Bとの交点ABを求め、この交点ABまでの時間として算出される。なお、記録媒体に浸透させる液体(水)の温度は25℃とする。すなわち、本発明における水の吸収係数Kaは、25℃の水の吸収係数Kaである。
記録媒体としては、従来、一般的に用いられている記録媒体をいずれも使用することができる。なかでも、記録媒体の水の吸収係数Kaは、0.1mL・m-2・ms-1/2以上であることが好ましく、0.2mL・m-2・ms-1/2以上であることがさらに好ましく、0.3mL・m-2・ms-1/2以上であることが特に好ましい。記録媒体の水の吸収係数Kaを導出する方法としては、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に記載されたブリストー法を用いる。ブリストー法については多くの市販図書に説明があるため、詳細な説明は省略するが、濡れ時間Tw及び粗さ指数Vr(mL/m2)により、吸収係数Ka(mL・m-2・ms-1/2)が定義される。図2は、記録媒体の水の吸収係数Kaを説明する吸収曲線の一例を示す図である。図2に示す吸収曲線は、液体が記録媒体に接触した後、濡れ時間Twを経て記録媒体の内部への浸透が始まるという浸透モデルに基づく。濡れ時間Tw後における直線の傾きが吸収係数Kaである。この吸収係数Kaは、記録媒体の内部への液体の浸透速度に対応する。濡れ時間Twは、図2に示すように、吸収係数Kaを算出するための最小二乗法による近似直線Aと、液体の転移量V及び粗さ指数Vrで表される「V=Vr」の直線Bとの交点ABを求め、この交点ABまでの時間として算出される。なお、記録媒体に浸透させる液体(水)の温度は25℃とする。すなわち、本発明における水の吸収係数Kaは、25℃の水の吸収係数Kaである。
記録媒体としては、白色度や不透明度を向上させる目的で、カオリン、タルクなどの鉱物;炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカなどの填料がその表面に付与された記録媒体を使用することが好ましい。なかでも、炭酸カルシウムはカオリンやタルクよりも白色度が高く、二酸化チタンやシリカなどよりも安価であるために好ましい。本発明の画像記録方法で用いる記録媒体中のカルシウムの含有量は、水素以外のすべての元素の合計を基準として、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
記録媒体は、所望のサイズに予めカットされたものであってもよく、ロール状に巻かれた長尺であって、画像記録後に所望のサイズにカットされるものであってもよい。なかでも、張力を付与しやすいため、ロール状に巻かれた長尺の記録媒体を用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<ポリウレタン樹脂粒子の合成>
(ポリウレタン樹脂粒子PU−E)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌機を備えた4つ口フラスコを用意した。このフラスコに、イソホロンジイソシアネート(バイエル製)190g、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学、数平均分子量1,000)500g、ジメチロールプロピオン酸(日本化成製)45g、及びアセトニトリル250gを入れた。窒素雰囲気下、反応液温度を75℃に調整し、反応触媒としてオクチル酸第1錫(APIコーポレーション製)微量を加え、反応率99%以上となるまで6時間反応させた。40℃まで冷却した後、トリエチルアミン37.5gを加えて十分に撹拌して中和した。水650gを添加して撹拌した後、減圧下、アセトニトリル及び水の一部を除去して、ウレタン樹脂粒子PU−Eを含有する固形分濃度30%の分散液を得た。ウレタン樹脂粒子PU−Eを構成するウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000であった。
(ポリウレタン樹脂粒子PU−E)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌機を備えた4つ口フラスコを用意した。このフラスコに、イソホロンジイソシアネート(バイエル製)190g、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学、数平均分子量1,000)500g、ジメチロールプロピオン酸(日本化成製)45g、及びアセトニトリル250gを入れた。窒素雰囲気下、反応液温度を75℃に調整し、反応触媒としてオクチル酸第1錫(APIコーポレーション製)微量を加え、反応率99%以上となるまで6時間反応させた。40℃まで冷却した後、トリエチルアミン37.5gを加えて十分に撹拌して中和した。水650gを添加して撹拌した後、減圧下、アセトニトリル及び水の一部を除去して、ウレタン樹脂粒子PU−Eを含有する固形分濃度30%の分散液を得た。ウレタン樹脂粒子PU−Eを構成するウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000であった。
(ポリウレタン樹脂粒子PU−F)
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの量を450g、ジメチロールプロピオン酸の量を45g、トリエチルアミンの量を42gに変更した。このこと以外は、前述のポリウレタン樹脂粒子PU−Eの場合と同様にして、ウレタン樹脂粒子PU−Fを含有する固形分濃度30%の分散液を得た。ウレタン樹脂粒子PU−Fを構成するウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000であった。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの量を450g、ジメチロールプロピオン酸の量を45g、トリエチルアミンの量を42gに変更した。このこと以外は、前述のポリウレタン樹脂粒子PU−Eの場合と同様にして、ウレタン樹脂粒子PU−Fを含有する固形分濃度30%の分散液を得た。ウレタン樹脂粒子PU−Fを構成するウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000であった。
<アクリル樹脂粒子の合成>
(アクリル樹脂粒子AC−H)
酸価78mgKOH/gのスチレン−アクリル酸ランダムコポリマー20gをナスフラスコに入れ、テトラヒドロフラン100gをさらに入れた。撹拌しながら0.1N KOH水溶液200gを加え、さらに1時間撹拌した。その後、テトラヒドロフラン及び水の一部を除去して、アクリル樹脂粒子AC−Hを含有する固形分濃度15%の分散液を得た。アクリル樹脂粒子AC−Hを構成するアクリル樹脂の重量平均分子量は14,000であった。
(アクリル樹脂粒子AC−H)
酸価78mgKOH/gのスチレン−アクリル酸ランダムコポリマー20gをナスフラスコに入れ、テトラヒドロフラン100gをさらに入れた。撹拌しながら0.1N KOH水溶液200gを加え、さらに1時間撹拌した。その後、テトラヒドロフラン及び水の一部を除去して、アクリル樹脂粒子AC−Hを含有する固形分濃度15%の分散液を得た。アクリル樹脂粒子AC−Hを構成するアクリル樹脂の重量平均分子量は14,000であった。
<インクの調製>
表2−1〜2−7に示す各成分(単位:質量%)を混合し、十分撹拌した後、ガラスフィルター(商品名「AP20」、MILLIPORE製)でろ過して各インクを調製した。表2−1〜2−7中、「樹脂粒子A」及び「樹脂粒子B」の右側に付したカッコ内の数値は、樹脂粒子の表面アニオン性官能基量(単位:mmol/L)である。表2−1〜2−7中、一般式(1)で表される界面活性剤を「一般式(1)」とし、一般式(1)で表されない界面活性剤を「一般式(1)以外」とした。なお、「界面活性剤」の右側に付したカッコ内の数値は、界面活性剤のHLB値(グリフィン法)である。また、表2−1〜2−7中、下記[群A]に属する水溶性有機溶剤を「群A」とし、下記[群A]に属しない水溶性有機溶剤を「群A以外」とした。
[群A]:グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、重量平均分子量10,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及びジグリセロール
表2−1〜2−7に示す各成分(単位:質量%)を混合し、十分撹拌した後、ガラスフィルター(商品名「AP20」、MILLIPORE製)でろ過して各インクを調製した。表2−1〜2−7中、「樹脂粒子A」及び「樹脂粒子B」の右側に付したカッコ内の数値は、樹脂粒子の表面アニオン性官能基量(単位:mmol/L)である。表2−1〜2−7中、一般式(1)で表される界面活性剤を「一般式(1)」とし、一般式(1)で表されない界面活性剤を「一般式(1)以外」とした。なお、「界面活性剤」の右側に付したカッコ内の数値は、界面活性剤のHLB値(グリフィン法)である。また、表2−1〜2−7中、下記[群A]に属する水溶性有機溶剤を「群A」とし、下記[群A]に属しない水溶性有機溶剤を「群A以外」とした。
[群A]:グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、重量平均分子量10,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及びジグリセロール
使用した樹脂粒子の種類(名称、製造元、及び表面アニオン性官能基量)を表1に示す。また、使用した顔料及び界面活性剤の詳細を以下に示す。
(顔料)
・COJ400:CAB−O−JET400(キャボット製)
・COJ450C:CAB−O−JET450C(キャボット製)
・COJ465M:CAB−O−JET465M(キャボット製)
・COJ470Y:CAB−O−JET470Y(キャボット製)
・COJ300:CAB−O−JET300(キャボット製)
・COJ400:CAB−O−JET400(キャボット製)
・COJ450C:CAB−O−JET450C(キャボット製)
・COJ465M:CAB−O−JET465M(キャボット製)
・COJ470Y:CAB−O−JET470Y(キャボット製)
・COJ300:CAB−O−JET300(キャボット製)
(界面活性剤)
(1)一般式(1)で表される界面活性剤
・F444:フッ素系界面活性剤(商品名「メガファックF−444」、DIC製、HLB値:8.5)
・FS3100:フッ素系界面活性剤(商品名「Capstone FS−3100」、デュポン製、HLB値:9.8)
・FS−30:フッ素系界面活性剤(商品名「Capstone FS−30」、デュポン製、HLB値:11.0)
・S−243:フッ素系界面活性剤(商品名「サーフロンS−243」、AGCセイミケミカル製、HLB値:15.0)
(1)一般式(1)で表される界面活性剤
・F444:フッ素系界面活性剤(商品名「メガファックF−444」、DIC製、HLB値:8.5)
・FS3100:フッ素系界面活性剤(商品名「Capstone FS−3100」、デュポン製、HLB値:9.8)
・FS−30:フッ素系界面活性剤(商品名「Capstone FS−30」、デュポン製、HLB値:11.0)
・S−243:フッ素系界面活性剤(商品名「サーフロンS−243」、AGCセイミケミカル製、HLB値:15.0)
(2)一般式(1)で表されない界面活性剤
・Ftergent250:フッ素系界面活性剤(商品名「フタージェント250」、ネオス製、HLB値:10.4)
・AE100:アセチレングリコール系界面活性剤(商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製、HLB値:13.6)
・Ftergent250:フッ素系界面活性剤(商品名「フタージェント250」、ネオス製、HLB値:10.4)
・AE100:アセチレングリコール系界面活性剤(商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製、HLB値:13.6)
<評価>
以下に示す各評価を行った。以下に示す評価基準において、「AA」、「A」、及び「B」を好ましいレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。結果を表3−1及び3−2に示す。
以下に示す各評価を行った。以下に示す評価基準において、「AA」、「A」、及び「B」を好ましいレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。結果を表3−1及び3−2に示す。
(画像の光学濃度)
記録媒体(商品名「Digilaser」、UPM製)に対し、バーコータNo.6を使用してインクを塗布して画像を記録した。反射濃度計(商品名「RD19I」、グレタグマクベス製)を使用して記録した画像の光学濃度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって画像の光学濃度を評価した。
[ブラックインク]
AA:光学濃度が、1.50以上であった。
A:光学濃度が、1.45以上1.50未満であった。
B:光学濃度が、1.40以上1.45未満であった。
C:光学濃度が、1.40未満であった。
[シアンインク]
A:光学濃度が、1.45以上であった。
B:光学濃度が、1.40以上1.45未満であった。
C:光学濃度が、1.40未満であった。
[マゼンタインク]
A:光学濃度が、1.00以上であった。
B:光学濃度が、0.95以上1.00未満であった。
C:光学濃度が、0.90未満であった。
[イエローインク]
AA:光学濃度が、1.40以上であった。
A:光学濃度が、1.30以上1.40未満であった。
B:光学濃度が、1.25以上1.30未満であった。
C:光学濃度が、1.25未満であった。
記録媒体(商品名「Digilaser」、UPM製)に対し、バーコータNo.6を使用してインクを塗布して画像を記録した。反射濃度計(商品名「RD19I」、グレタグマクベス製)を使用して記録した画像の光学濃度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって画像の光学濃度を評価した。
[ブラックインク]
AA:光学濃度が、1.50以上であった。
A:光学濃度が、1.45以上1.50未満であった。
B:光学濃度が、1.40以上1.45未満であった。
C:光学濃度が、1.40未満であった。
[シアンインク]
A:光学濃度が、1.45以上であった。
B:光学濃度が、1.40以上1.45未満であった。
C:光学濃度が、1.40未満であった。
[マゼンタインク]
A:光学濃度が、1.00以上であった。
B:光学濃度が、0.95以上1.00未満であった。
C:光学濃度が、0.90未満であった。
[イエローインク]
AA:光学濃度が、1.40以上であった。
A:光学濃度が、1.30以上1.40未満であった。
B:光学濃度が、1.25以上1.30未満であった。
C:光学濃度が、1.25未満であった。
(画像の耐擦過性)
記録媒体(商品名「DL9084」、三菱製紙製)に対し、バーコータNo.6を使用してインクを塗布して画像を記録した。画像の記録後3分以内に、画像上に紙(商品名「OKトップコート+」、王子製紙製、坪量105g/m2)を重ねるとともに、その上に500gの錘を接地面積が12.6cm2となるように乗せた。そして、画像を記録した記録媒体と重ねた紙との相対速度が10cm/sの速さとなるように1回擦る耐擦過性試験を行った。その後、紙の12.6cm2の領域内(錘が乗っていた領域内)に付着したインクをスキャナ複合機(商品名「iR3245F」、キヤノン製、600dpi、グレイスケール、写真モード)で読み取った。そして、256階調の輝度の128より低い部分の面積が占める割合(インク付着面積割合)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
AA:インク付着面積割合が1%以下であった。
A:インク付着面積割合が1%より大きく3%以下であった。
B:インク付着面積割合が3%より大きく5%以下であった。
C:インク付着面積割合が5%より大きかった。
記録媒体(商品名「DL9084」、三菱製紙製)に対し、バーコータNo.6を使用してインクを塗布して画像を記録した。画像の記録後3分以内に、画像上に紙(商品名「OKトップコート+」、王子製紙製、坪量105g/m2)を重ねるとともに、その上に500gの錘を接地面積が12.6cm2となるように乗せた。そして、画像を記録した記録媒体と重ねた紙との相対速度が10cm/sの速さとなるように1回擦る耐擦過性試験を行った。その後、紙の12.6cm2の領域内(錘が乗っていた領域内)に付着したインクをスキャナ複合機(商品名「iR3245F」、キヤノン製、600dpi、グレイスケール、写真モード)で読み取った。そして、256階調の輝度の128より低い部分の面積が占める割合(インク付着面積割合)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
AA:インク付着面積割合が1%以下であった。
A:インク付着面積割合が1%より大きく3%以下であった。
B:インク付着面積割合が3%より大きく5%以下であった。
C:インク付着面積割合が5%より大きかった。
(貯蔵安定性)
E型粘度計を使用して調製したインクの粘度を測定した。測定後、温度60℃に設定した恒温槽内にインクを3日間静置した。25℃までインクを冷却した後、E型粘度計を使用してインクの粘度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって貯蔵安定性を評価した。
A:貯蔵前後でのインクの粘度の変化割合が±5%以下であった。
B:貯蔵前後でのインクの粘度の変化割合が±5%より大きく、±10%以下であった。
C:貯蔵前後でのインクの粘度の変化割合が±10%より大きかった、又はインクが凝集した。
E型粘度計を使用して調製したインクの粘度を測定した。測定後、温度60℃に設定した恒温槽内にインクを3日間静置した。25℃までインクを冷却した後、E型粘度計を使用してインクの粘度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって貯蔵安定性を評価した。
A:貯蔵前後でのインクの粘度の変化割合が±5%以下であった。
B:貯蔵前後でのインクの粘度の変化割合が±5%より大きく、±10%以下であった。
C:貯蔵前後でのインクの粘度の変化割合が±10%より大きかった、又はインクが凝集した。
Claims (16)
- 顔料、樹脂粒子A、樹脂粒子B、界面活性剤、水溶性有機溶剤、及び水を含有するインクであって、
前記顔料が、自己分散顔料であり、
前記樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が、0.20mmol/g以下であり、
前記樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が、0.21mmol/g以上0.60mmol/g以下であり、
前記樹脂粒子Bの含有量が、前記樹脂粒子Aの含有量に対して、2.0質量%以上10.0質量%以下であり、
前記界面活性剤が、下記一般式(1)で表される、グリフィン法により算出されるHLB値が11以下の界面活性剤であることを特徴とするインク。
R1(CR2R3)nCH2CH2(OCH2CH2)mOH ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、フッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3は、それぞれ独立にフッ素原子又は水素原子を表し、R2及びR3の少なくともいずれかはフッ素原子である。nは、1以上30以下の数を表し、mは、1以上60以下の数を表す) - 前記顔料が、ホスホン酸基修飾自己分散顔料である請求項1に記載のインク。
- 前記水溶性有機溶剤が、下記[群A]より選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載のインク。
[群A]:グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、重量平均分子量10,000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、及びジグリセロール - 前記[群A]に属する水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記[群A]に属しない水溶性有機溶剤の含有量(質量%)にする質量比率で、4倍以上である請求項3に記載のインク。
- 前記樹脂粒子Aの含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
- 前記樹脂粒子Aと前記樹脂粒子Bの合計の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.5質量%以上8.0質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
- 前記樹脂粒子Bの含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.20質量%以上0.40質量%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインク。
- 前記樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量が、0.01mmol/g以上0.15mmol/g以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインク。
- 前記樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量が、0.25mmol/g以上0.40mmol/g以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインク。
- 前記樹脂粒子Aの表面アニオン性官能基量と、前記樹脂粒子Bの表面アニオン性官能基量の差が、0.10mmol/g以上である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインク。
- 前記界面活性剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.3質量%以上2.0質量%以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - 記録媒体にインクを付与するインク付与工程を有する画像記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とする画像記録方法。 - さらに、前記インクが付与された前記記録媒体の表面温度が70℃以上となるように加熱する加熱工程を有する請求項13に記載の画像記録方法。
- 20N/m以上の張力をかけた前記記録媒体に前記インクを付与する請求項13又は14に記載の画像記録方法。
- さらに、前記記録媒体を50m/分以上の速度で搬送する搬送工程を有する請求項13乃至15のいずれか1項に記載の画像記録方法。
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JP2020029514A (ja) * | 2018-08-23 | 2020-02-27 | セイコーエプソン株式会社 | インク組成物 |
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2016
- 2016-12-26 JP JP2016250509A patent/JP2018104520A/ja active Pending
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