JP2019202419A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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賢一 椎葉
鎌志 森部
Kenji Moribe
鎌志 森部
邦昭 藤本
Kuniaki Fujimoto
邦昭 藤本
智章 石井
Tomoaki Ishii
智章 石井
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Abstract

【課題】インクの吐出安定性を高いレベルに維持しつつ、光沢性及び耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクジェット用の水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。水性インクが、顔料、顔料を分散させる樹脂分散剤、ポリイソシアネート及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットなどを有する水溶性ウレタン樹脂、ポリエチレンワックスなどで形成されたワックス粒子、並びにワックス粒子を分散させる分散剤を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録方法により、銀塩写真やオフセット記録で実現されているような高精細で発色性に優れた画像を記録することが可能となっている。インクに用いられる色材としては染料や顔料がある。なかでも、耐ガス性、耐光性、及び耐水性などの堅牢性に優れた画像を記録しうる観点から、色材として顔料が広く使用されている。
また、写真記録やグラフィックアート記録などの用途の多様化に伴い、光沢紙などの表面光沢を有する記録媒体に光沢性に優れた画像を記録することが要求されている。しかし、顔料インクを用いて光沢紙に記録した画像の光沢性は、染料インクを用いて記録した画像の光沢性に比べて不十分であるといった課題がある。このような課題を解決すべく、例えば、水溶性のウレタン樹脂を含有させた顔料インクが提案されている(特許文献1)。
ところで、顔料インクで光沢紙に記録した画像は、染料が分子の状態で水性媒体に溶解している染料インクで光沢紙に記録した画像と異なり、顔料が光沢紙の表面に定着しているため、表面が擦れることで傷がつきやすい。このため、顔料インクについては、記録される画像の耐擦過性を改善することが課題とされている。特に、写真記録やグラフィックアート記録などの用途で光沢紙が使用される場合には、画像の表面が擦れても光沢変化が生じない高いレベルの耐擦過性が要求される。このような課題を解決すべく、例えば、シリコン系化合物などで表面に滑り性を付与した画像を記録しうるインクが提案されている(特許文献2及び3)。また、樹脂粒子を含有する、強固な膜を形成することで耐擦過性を高めた画像を記録しうるインクが提案されている(特許文献4)。
特開2006−070123号公報 特開2010−208037号公報 特開2010−059400号公報 特開2016−216590号公報
本発明者らは、顔料を色材として含有する、光沢性及び耐擦過性に優れた画像を記録しうるインクについて検討した。その結果、従来のインクでは、このような画像を記録することは困難であることが判明した。
本発明者らは、まず、光沢性及び耐擦過性に優れた画像を記録しうるインクジェット用のインクの構成について検討した。画像の光沢性を高めるには、記録媒体に付与されたインクを濡れ広がりやすくして、より平滑な表面を持つ顔料層を記録媒体上に形成することが重要である。このため、樹脂分散剤によって分散させた、いわゆる樹脂分散顔料を含有するインクを用いることが有効である。なお、顔料の粒子表面にイオン性の官能基が結合した自己分散顔料を含有するインクを用いると、記録媒体に付与されたインク中の顔料の凝集が非常に速く、記録媒体上でインクが濡れ広がりにくいため、顔料層表面が平滑にならず、光沢感を示さない画像となる。
次いで、本発明者らは、高光沢及び耐擦過性により優れた画像を記録すべく、樹脂分散顔料を含有するインクにウレタン樹脂を添加して検討した。その結果、記録される画像の光沢性及び耐擦過性を十分なレベルにまで高めるのは困難であることがわかった。例えば、水溶性のウレタン樹脂を用いると、光沢性が向上した画像を記録することができる一方で、耐擦過性を十分に高めるには水溶性のウレタン樹脂をインク中に多量に含有させる必要がある。しかし、水溶性のウレタン樹脂をインク中に多量に含有させると、インクの粘度が上昇しやすく、吐出安定性及び保存安定性が低下しやすい。一方、水不溶性のウレタン樹脂をインクに多量に含有させても、インクの粘度は上昇しにくいため、耐擦過性が十分に高い画像を記録することができる。しかし、水不溶性のウレタン樹脂を多く含有するインクで記録した画像の光沢性は低下しやすくなる。
そこで、本発明者らは、水溶性のウレタン樹脂を含有するインクを用いて耐擦過性が向上した画像を記録すべく、シリコン系化合物などのスリップ剤や樹脂粒子などの従来のインクに添加されていた成分を用いることについて検討した。しかし、従来のインクに添加されていたいずれの成分を用いた場合であっても、記録される画像の光沢性が低下しやすくなることがわかった。
したがって、本発明の目的は、インクの吐出安定性を高いレベルに維持しつつ、光沢性及び耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクジェット用の水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクが、顔料、前記顔料を分散させる樹脂分散剤、水溶性ウレタン樹脂、ワックス粒子、及び前記ワックス粒子を分散させる分散剤を含有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、インクの吐出安定性を高いレベルに維持しつつ、光沢性及び耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らは、スリップ剤や樹脂粒子などの成分を添加したインクで記録した画像の光沢性が低下する原因について検討した。その結果、上記の成分を含有するインクで形成される顔料層の表面エネルギーが低下し、インク滴同士が記録媒体上でなじみにくくなることで、画像の平滑性が損なわれて光沢性が低下することがわかった。
具体的には、以下に示す(i)〜(iii)のインクで形成した顔料層表面の水の接触角を測定した。
(i)樹脂分散顔料及び水溶性ウレタン樹脂を含有するインク
(ii)(i)のインクに、特許文献2に記載されたシリコン系化合物を適量添加したインク
(iii)(i)のインクに、特許文献4に記載された樹脂粒子を適量添加したインク
水の接触角が大きいほど、水との表面エネルギー差が大きく、顔料層表面の表面エネルギーは低い。一方、水の接触角が小さいほど、水との表面エネルギー差が小さく、顔料層表面の表面エネルギーは高い。測定の結果、(i)のインクで形成した顔料層に比べて、(ii)及び(iii)のインクで形成した顔料層は水の接触角が大きく、表面エネルギーが低下していることがわかった。スリップ剤や樹脂粒子などの画像の耐擦過性を向上させる効果を有する成分は、いずれもウレタン樹脂より表面エネルギーが低く、画像の光沢性を低下させてしまうため、画像の光沢性と耐擦過性を両立することは困難である。
本発明者らは、光沢性と耐擦過性が両立した画像を記録しうるインクの構成及び記録方法についてさらに検討した。その結果、樹脂分散顔料、水溶性ウレタン樹脂、ワックス粒子、及びワックス粒子を分散させる分散剤を含有する水性インクを熱エネルギーの作用により記録ヘッドから吐出することで、光沢性及び耐擦過性に優れた画像を記録しうることを見出した。
インク中のウレタン樹脂やワックス粒子の一部は顔料に吸着するが、大部分は顔料周辺に存在している。熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクが吐出されると、ワックス粒子は液状化して疎水性部がむき出しとなり、疎水性が高まった状態となる。疎水性が高まったワックスは顔料に優先的に吸着し、水溶性ウレタン樹脂はワックスに選択的に吸着する。記録媒体に付与されたインクが大気により冷却されると、インク中のワックスは再度固形化するが、固形化したワックスは顔料の粒子間及び顔料層の表面に効果的に残存する。このため、顔料層の物理的強度が向上するとともに、摩擦抵抗が低下して、画像の耐擦過性が向上すると考えられる。一方、水溶性ウレタン樹脂はワックスに吸着した状態で残存するため、顔料層表面には水溶性ウレタン樹脂の特性が強く出ることになり、表面エネルギーの低下が抑制されると考えられる。
以上のような効果を得るためには、ワックス粒子が分散剤により分散された状態でインク中に存在していることを要する。なお、顔料の粒子表面にイオン性基が結合した自己分散顔料を含有するインクの場合、水溶性ウレタン樹脂、ワックス粒子、及びワックス粒子を分散させる分散剤を含有させた場合であっても、記録される画像の光沢性は低下する。これは、熱エネルギーによってワックスが液状化する際、イオン性基同士の静電反発によって、顔料へのワックスの吸着やワックスへの水溶性ウレタン樹脂の吸着が阻害されるためであると推測される。
<インク>
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、顔料、顔料を分散させる樹脂分散剤、水溶性ウレタン樹脂、ワックス粒子、及びワックス粒子を分散させる分散剤を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、インクを構成する各成分などについて詳細に説明する。
(顔料)
インクに用いる色材は、無機顔料や有機顔料などの顔料である。インクに用いる顔料を分散方式で分類すると、樹脂分散剤によってインク中に分散された樹脂分散顔料である。顔料としては、カーボンブラック、アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどを挙げることができる。これらの顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(樹脂分散剤)
インクは、顔料を分散させる樹脂分散剤を含有する。樹脂分散剤としては、一般的な水性インクに用いられる顔料を分散させるための樹脂を用いることができる。樹脂分散剤として用いられる樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂などを挙げることができる。なかでも、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する水溶性樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリルエステルに由来する(メタ)アクリル構造を持つユニット少なくとも有する水溶性アクリル樹脂が好ましい。なお、以下の記載における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」を意味する。
親水性ユニットは、酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有するユニットであり、親水性基を有する単量体を重合することで形成することができる。親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有する酸性単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有する単量体;メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有する単量体などを挙げることができる。
酸性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。インクに用いる樹脂分散剤は酸価を有するため、親水性ユニットには上述のアニオン性単量体に由来するユニットが含まれる。樹脂分散剤は、通常、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物やアンモニア水などの中和剤により中和されることで水溶性を呈する。
疎水性ユニットは、酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有しないユニットであり、疎水性基を有する単量体を重合することで形成することができる。疎水性基を有する単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有する単量体(すなわち、(メタ)アクリルエステル系単量体)などを挙げることができる。
樹脂分散剤は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを親水性ユニットとして有するとともに、脂肪族基又は芳香環を有する単量体に由来するユニットを疎水性ユニットとして有することが好ましい。さらに、樹脂分散剤は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを親水性ユニットとして有するとともに、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方の単量体に由来するユニットを疎水性ユニットとして有することが好ましい。これらの樹脂分散剤は、顔料と特に相互作用しやすいために好適である。樹脂分散剤の分子構造は特に限定されず、直鎖状、分鎖状、ランダム共重合体、及びブロック共重合体などのいずれであってもよい。
顔料が樹脂によって分散されているか否か、及び複数種の樹脂を含有する場合に顔料を分散させているのがいずれの樹脂であるかについては、以下に示す方法で判断することができる。インクを濃縮又は希釈して全固形分の含有量が10質量%程度になるように調製した液体を、12,000rpmで1時間遠心分離する。これにより、水溶性有機溶剤や分散に寄与しない樹脂などが含まれる液層と、顔料を含む沈降成分とを分離し、沈降成分を回収する。回収した沈降成分に含まれている樹脂が、顔料を分散させている樹脂であると判断することができる。すなわち、沈降成分に主成分として含まれている樹脂が、顔料の分散に寄与する樹脂である。一方、液層に主成分として含まれている樹脂は、顔料の分散に寄与しない樹脂である。
(水溶性ウレタン樹脂)
インクは、水溶性ウレタン樹脂(以下、単に「ウレタン樹脂」とも記す)を含有する。本発明における「水溶性樹脂」とは、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体に溶解し、動的光散乱法で測定した際に粒子径を有しない状態で水又は水性媒体中に存在しうる樹脂を意味する。
ウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する樹脂が好ましい。ウレタン樹脂は、さらに、ポリアミンに由来するユニットを有していてもよい。本発明におけるウレタン樹脂の「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位を意味する。ウレタン樹脂中の酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合は、30%以下であることが好ましい。上記の割合が30%超であると、ワックス粒子へのウレタン樹脂の吸着性が低下して顔料層の表面への配向性が損なわれやすくなり、画像の光沢性がやや低下することがある。
インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。ウレタン樹脂の含有量が0.1質量%未満であると、画像の光沢性の向上効果が低下する場合がある。一方、ウレタン樹脂の含有量が10.0質量%超であると、インクの粘度が上昇しやすく、吐出安定性がやや低下する場合がある。また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、ウレタン樹脂以外の樹脂をインクにさらに含有させてもよい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるウレタン樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、5,000以上150,000以下であることが好ましい。ウレタン樹脂の重量平均分子量が5,000未満であると、画像の光沢性の向上効果がやや低くなる場合がある。一方、ウレタン樹脂の重量平均分子量が150,000超であると、インク中における顔料の分散状態がやや不安定化したり、粘度上昇によってインクの吐出安定性がやや低下したりする場合がある。
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネートは、その分子構造中に2以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。ウレタン樹脂に占める、ポリイソシアネートに由来するユニットの割合(質量%)は、10.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;などを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
[ポリオール、ポリアミン]
ポリオールは、その分子構造中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物である。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの酸基を有しないポリオール;酸基を有するポリオール;などを挙げることができる。また、ポリアミンは、その分子構造中に2以上のアミノ基を有する化合物である。ウレタン樹脂に占める、ポリオール及びポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以上80.0モル%以下であることが好ましく、20.0モル%以上60.0モル%以下であることがさらに好ましい。
(1)酸基を有しないポリオール
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド及びポリオール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。アルキレンオキサイドと付加重合させるポリオール類としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン、水素添加ビスフェノールA、ジメチロール尿素及びその誘導体などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ポリオキシプロピレントリオールなどのトリオール;などを挙げることができる。グリコール類としては、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;などを挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、酸エステルなどを挙げることができる。酸エステルを構成する酸成分としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;これらの芳香族ジカルボン酸の水素添加物などの脂環族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸;などを挙げることができる。これらの無水物、塩、誘導体(アルキルエステル、酸ハライド)なども酸成分として用いることができる。また、酸成分とエステルを形成する成分としては、ジオール、トリオールなどのポリオール類;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などを挙げることができる。ポリオール類やグリコール類としては、上記のポリエーテルポリオールを構成する成分として例示したものを挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートポリオールを用いることができる。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのアルカンジオール系ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分やホスゲンと、脂肪族ジオール成分と、を反応させて得られるポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。
酸基を有しないポリオールの炭素数は、10以上であることが好ましい。また、酸基を有しないポリオールの数平均分子量は、600以上4,000以下であることが好ましい。
ウレタン樹脂中の、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、1.0%以上100.0モル%以下であることが好ましい。また、5.0モル%以上50.0モル%以下であることがさらに好ましく、10.0モル%以上30.0モル%以下であることが特に好ましい。ウレタン樹脂中の、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合(質量%)は、5.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
(2)酸基を有するポリオール
酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの酸基を有するポリオールを挙げることができる。酸基は、カルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などを挙げることができる。酸基を有するポリオールの酸基は塩型であってもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン;アンモニウムイオン、ジメチルアミンなどの有機アミンのカチオンなどを挙げることができる。汎用の酸基を有するポリオールの分子量は大きくても400程度であるので、酸基を有するポリオールに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。ウレタン樹脂の酸価は、例えば、酸基を有するポリオールの使用量によって調整することができる。
ウレタン樹脂中の、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、0.0モル%以上100.0モル%以下であることが好ましい。また、30.0モル%以上90.0モル%以下であることがさらに好ましく、50.0モル%以上90.0モル%以下であることが特に好ましい。
(3)ポリアミン
ポリアミンとしては、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミンなどの複数のヒドロキシ基を有するモノアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの2官能ポリアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどの3官能以上のポリアミン;などを挙げることができる。便宜上、複数のヒドロキシ基と、1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物も「ポリアミン」として列挙した。ポリアミンの分子量は大きくても400程度であるので、ポリアミンに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。ウレタン樹脂に占める、ポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以下であることが好ましく、5.0モル%以下であることがさらに好ましい。ウレタン樹脂に占める、ポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、0.0モル%であってもよい。
[架橋剤、鎖延長剤]
ウレタン樹脂を合成する際には、架橋剤や鎖延長剤を用いることができる。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長など目的に応じて、水や、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
[検証方法]
インク中のウレタン樹脂の、酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合については、以下に示す方法により検証することができる。
まず、ウレタン樹脂を含有するインクから、ウレタン樹脂を抽出する方法について説明する。例えば、インクを80,000rpmで遠心分離して得た上澄み液に過剰の酸(塩酸など)を添加すれば、ウレタン樹脂を析出・抽出することができる。また、上記の上澄み液を乾固させて、ウレタン樹脂を分取することもできる。さらに、顔料とアクリル系樹脂を溶解しないが、ウレタン樹脂を溶解する有機溶剤(ヘキサンやクロロホルムなど)を用いて、インクからウレタン樹脂を抽出することもできる。インクの状態でもウレタン樹脂を解析することはできるが、インクから抽出したウレタン樹脂を解析すると、測定精度を高めることができるために好ましい。
上記の方法によりインクから抽出したウレタン樹脂を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析して、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールの種類を特定する。次に、特定したポリイソシアネートと、酸基を有するポリオールとの反応物を重水素化ジメチルスルホキシド(重DMSO)に溶解させ、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)で分析する。これにより、分子末端に存在する酸基を有する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素(低磁場側)の化学シフトを確認する。さらに、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素(高磁場側)の化学シフトを確認する。
次いで、酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の合計に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の割合を算出する。これにより、ウレタン樹脂の、酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合を求めることができる。例えば、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)を用いた場合、測定条件により多少のずれは生ずるが、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、176ppm付近に検出される。また、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、175ppm付近に検出される。さらに、ジメチロールブタン酸(DMBA)を用いた場合、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、175ppm付近に検出される。そして、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、174ppm付近に検出される。
(ワックス粒子)
インクは、ワックス粒子を含有する。ワックス粒子は、インク中に粒子状に分散した状態で存在する。ワックスとしては、天然ワックス、合成ワックスを挙げることができる。
天然ワックスとしては、石油系ワックス、植物系ワックス、動植物系ワックスなどを挙げることができる。石油系ワックスとしては、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどを挙げることができる。植物系ワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウなどを挙げることができる。動植物系ワックスとしては、ラノリン、みつろうなどを挙げることができる。
合成ワックスとしては、合成炭化水素系ワックス、変性ワックスなどを挙げることができる。合成炭化水素系ワックスとしては、ポリオレフィン系ワックス、フィッシャー・トロプシュワックスなどを挙げることができる。変性ワックスとしては、パラフィンワックス誘導体、モンタンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体などを挙げることができる。
これらのワックスは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ワックス粒子は、ポリエチレンワックスで形成されていることが好ましい。ポリエチレンワックスで形成されたワックス粒子を用いることで、柔軟性が高く、耐擦過性により優れた画像を記録することができる。
インク中のワックス粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上10.0%質量以下であることが好ましい。ワックス粒子の含有量が0.05質量%未満であると、画像の耐擦過性の向上効果がやや低くなることがある。一方、ワックス粒子の含有量が10.0質量%超であると、インクの吐出安定性がやや低下することがある。
ワックス粒子の体積平均粒子径は、150nm以下であることが好ましい。ワックス粒子の体積平均粒子径が150nm超であると、画像の光沢性の向上効果がやや低くなることがある。
(ワックス粒子を分散させる分散剤)
インクは、ワックス粒子を分散させる分散剤を含有する。すなわち、ワックス粒子は、分散剤によってインク中に分散されている。分散剤としては、界面活性剤;スルホン酸基やカルボン酸基などの親水性基を有する樹脂;などを挙げることができる。親水性基を有する樹脂としては、親水性基がグラフト結合した樹脂;親水性を持った単量体及び疎水性部分を持った単量体のそれぞれに由来するユニットを有する樹脂;などを挙げることができる。なかでも、エチレン−アクリル樹脂を分散剤として用いると、インクの保存安定性や吐出安定性をさらに向上させることができるために好ましい。ワックス粒子を構成するワックスと、ワックス粒子を分散させる分散剤との質量比(ワックス/分散剤)は、3/1以上99/1以下であることが好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水性媒体は、さらに水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤は水溶性であれば特に制限はなく、1価アルコール、多価アルコール、(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
インクには、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、インクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、熱エネルギーの作用により記録ヘッドから上述のインクを吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。上述のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。また、本発明のインクジェット記録装置は、上述のインクと、その内部にインクが充填された、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドとを備える。上述のインクが記録ヘッドに充填されていること以外、インクジェット記録装置の構成は公知のものとすればよい。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<ウレタン樹脂の合成>
(ウレタン樹脂1〜6)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、表1に示す種類及び量のポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、酸基を有するポリオールの一部(量a)、及びメチルエチルケトン200.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間反応させた。次いで、表1に示す種類及び量の鎖延長剤、停止剤、酸基を有するポリオールの残部(量b)、及びメチルエチルケトン100.0部を添加した。FT−IRによりイソシアネート基の残存率を確認し、所望の残存率になるまで80℃で反応させて反応液を得た。得られた反応液を40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら水酸化カリウム水溶液を添加して液体を得た。得られた液体からメチルエチルケトンを加熱減圧して留去し、ウレタン樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、ウレタン樹脂1〜6を含む液体をそれぞれ得た。表1中の各成分の詳細を以下に示す。得られたウレタン樹脂1〜6は、いずれも水溶性であった。表1中の各成分の詳細を以下に示す。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
PPG:ポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000)
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
EDA:エチレンジアミン
MeOH:メタノール
(ウレタン樹脂7)
ポリエーテル系のウレタン樹脂粒子を含有する市販の水分散液(商品名「タケラックW5661」、三井化学製、樹脂(固形分)の含有量35.0%)を、ウレタン樹脂7を含む液体として用いた。
(ウレタン樹脂8)
自己乳化型のウレタン樹脂粒子を含有する市販の水分散液(商品名「レザミンD−1060」、大日精化工業製、樹脂(固形分)の含有量40.0%)を、ウレタン樹脂8を含む液体として用いた。
<ウレタン樹脂の特性>
以下に示す方法により、調製したウレタン樹脂の各種物性値を測定した。
(酸価)
ウレタン樹脂を含む液体に塩酸を添加してウレタン樹脂を析出させた。40℃で1晩真空乾燥させた樹脂をテトラヒドロフランに溶解して試料を調製した。そして、水酸化カリウム−メタノール滴定液を用いた電位差滴定により、ウレタン樹脂の酸価を測定した。結果を表1に示す。
(分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合)
ウレタン樹脂を含む液体に塩酸を添加してウレタン樹脂を析出させた。乾燥させた樹脂を重DMSOに溶解して測定用試料を調製した。そして、13C−NMR(装置名「Avance500」、BRUKER Bio Spin製)により調製した試料を分析した。そして、酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の合計に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の割合を算出した。このように算出した値(割合)を、「分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合」とした。例えば、DMPAを用いた場合、測定条件により多少のずれは生ずるが、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、176ppm付近に検出される。また、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、175ppm付近に検出される。結果を「末端酸基の割合(%)」として表1に示す。
Figure 2019202419
<エチレン−アクリル樹脂の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び窒素ガス導入管を備えた500mLの4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、ポリエチレン100.0部、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート100.0部を入れた。窒素雰囲気下、180℃に保持した油浴中で溶融させ、系内の温度が170℃になるように撹拌しながら油浴の温度を調整した。撹拌しながら、ベンジルアクリレート10.0部、アクリル酸5.0部、及びジ−t−ブチルパーオキサイド0.4部を添加した。系内を170℃に保持して30分間反応させた後、同量のベンジルアクリレート、アクリル酸、及びジ−t−ブチルパーオキサイドを添加した。同様にして、ベンジルアクリレート、アクリル酸、及びジ−t−ブチルパーオキサイドを30分ごとに合計5回添加した。
系内の温度を50℃に下げ、アスピレーターでフラスコ内を1時間減圧して、溶媒、未反応の単量体、ジ−t−ブチルパーオキサイド、及びジ−t−ブチルパーオキサイドの分解物を除去した。2時間エージングした後、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で留去して樹脂を得た。得られた樹脂に、その酸価と等モル量の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を加え、80℃に加熱して溶解させた。これにより、エチレン−アクリル樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、エチレン−アクリル樹脂を含む液体を得た。
<アクリル樹脂の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル200.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下で撹拌して130℃に昇温した。表2に示す種類及び使用量の単量体、及び重合開始剤(t−ブチルパーオキサイド)4.0部を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で留去して樹脂を得た。得られた樹脂に、その酸価と等モル量の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を加え、80℃に加熱して溶解させた。これにより、アクリル樹脂(固形分)の含有量が20.0%である、アクリル樹脂1〜4を含む液体をそれぞれ得た。また、得られたアクリル樹脂を含む液体に塩酸を添加して析出させた。40℃で1晩真空乾燥させた樹脂をテトラヒドロフランに溶解して測定用試料を調製した。そして、水酸化カリウム−メタノール滴定液を用いた電位差滴定により、アクリル樹脂の酸価を測定した。結果を表2に示す。また、表2中の各成分の詳細を以下に示す。
St:スチレン
BA:ブチルアクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
Figure 2019202419
<ワックス粒子の水分散液の調製>
(ワックス粒子1の水分散液)
撹拌機、温度計、還流冷却器、及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、イオン交換水225g及びポリエチレンワックス50gを入れ、90〜95℃に温度を保持して溶融させて撹拌した。上記で得たエチレン−アクリル樹脂を含む液体25gを添加し、90〜95℃に保持しながら超音波ホモジナイザーを用いて15分間分散処理を行った後、室温まで冷却して分散物を得た。得られた分散物にイオン交換水を加えて固形分の含有量を10.0%に調整し、ワックス粒子1の水分散液を得た。得られた水分散液中のワックス粒子1の体積平均粒子径は100nmであった。ワックス粒子の体積平均粒子径は、動的光散乱方式の粒度分布測定装置(商品名「ナノトラックUPA−150」、日機装製)を使用し、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:120s、屈折率:1.5の条件で測定した。
(ワックス粒子2〜10の水分散液)
表3に示す種類のワックス及び分散剤を用いたこと以外は、前述のワックス粒子1の水分散液の場合と同様にして、ワックス粒子2〜10の水分散液を得た。得られた水分散液中のワックス粒子の体積平均粒子径を表3に示す。ワックス粒子の体積平均粒子径は、超音波ホモジナイザーによる分散処理の処理時間を変更することで調整した。
Figure 2019202419
(ワックス粒子11の水分散液)
水性ポリオレフィン分散液(商品名「ケミパールW4005」、三井化学製、体積平均粒子径200〜800nm、固形分40%)を「ワックス粒子11の水分散液」として用いた。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1〜7)
表4の上段に示す成分(単位:%)を混合し、バッチ式縦型サンドミルで3時間分散した後、ポアサイズ1.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、顔料分散液1〜7を調製した。
Figure 2019202419
(顔料分散液8)
水5.5gの濃塩酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却し、4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸(処理剤)1.5gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて10℃以下に冷却し、5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、顔料(カーボンブラック、商品名「NIPex170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用ろ紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、得られた粒子を十分に水洗した。水洗した粒子を110℃のオーブンで乾燥させて自己分散顔料を得た。得られた自己分散顔料に顔料の含有量が10.0%となるように水を添加して分散液を調製した。次いで、イオン交換法により分散液中のナトリウムイオンをカリウムイオンにイオン交換して、顔料の粒子表面に−C63−(COOK)2基が結合した自己分散顔料が水中に分散された状態の顔料分散液8を得た。
<インクの調製>
表5−1〜5−3の下段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。調製した各インクの25℃における粘度は、2.5〜3.5mPa・sの範囲内にあった。表5−1〜5−3中、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物)の商品名である。
Figure 2019202419
Figure 2019202419
Figure 2019202419
<評価>
各インクをそれぞれ充填したインクカートリッジを、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500」、キヤノン製)に装着した。本実施例においては、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。本発明においては、以下に示す各評価項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表6に示す。
(光沢性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティが100%である5cm×5cmのベタ画像を含むパターンを記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101」、キヤノン製)に記録して記録物を得た。10cm間隔で配置した2本の蛍光灯を観察光源として使用し、2m離れた位置から記録した画像に蛍光灯を投影した。画像に投影された蛍光灯の形状を、照明角度45度、観察角度45度の条件で目視により確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の光沢性を評価した。
A:2本の蛍光灯が画像にはっきり投影されていた。
B:投影された2本の蛍光灯のエッジ部分が若干ぼやけていた。
C:投影された2本の蛍光灯の境目がわからなかった。
(耐擦過性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティが100%である5cm×5cmのベタ画像を含むパターンを記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL−101」、キヤノン製)に記録して記録物を得た。得られた記録物を常温で24時間保存した後、爪で軽く擦った画像を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
A:画像にキズがつかなかった。
B:画像にキズがついたが、目視で目立たなかった。
C:画像にキズがつき、目視ではっきりと認識された。
(吐出安定性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、記録デューティが50%であるA4サイズのベタ画像を20枚の記録媒体(普通紙、商品名「GF−500」、キヤノン製)に連続して記録した。そして、1枚目と20枚目の画像の乱れの状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがってインクの吐出安定性を評価した。
A:20枚分の記録が可能であり、20枚目の画像に乱れがなかった。
B:20枚分の記録が可能であったが、1枚目の画像と比べて20枚目の画像に乱れが目立った。
C:20枚分の記録ができなかった。
Figure 2019202419

Claims (6)

  1. 熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクジェット用の水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記水性インクが、顔料、前記顔料を分散させる樹脂分散剤、水溶性ウレタン樹脂、ワックス粒子、及び前記ワックス粒子を分散させる分散剤を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記ワックス粒子の体積平均粒子径が、150nm以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記ワックス粒子が、ポリエチレンワックスで形成されている請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記ワックス粒子を分散させる分散剤が、エチレン−アクリル樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記水溶性ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有するとともに、前記酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する前記酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合が、30%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. インクジェット用の水性インクと、その内部に前記水性インクが充填された、熱エネルギーの作用により前記水性インクを吐出する記録ヘッドと、を備えたインクジェット記録装置であって、
    前記水性インクが、顔料、前記顔料を分散させる樹脂分散剤、水溶性ウレタン樹脂、ワックス粒子、及び前記ワックス粒子を分散させる分散剤を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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