JP5730113B2 - インクジェット用インク、インクジェット記録方法、及びインクカートリッジ - Google Patents
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Description
顔料及びポリウレタン樹脂を含有するインクジェット用インクであって、前記ポリウレタン樹脂が、酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオール、酸基を有する炭素数1以上7以下のジオール、シロキサン構造を有するポリオール及びポリイソシアネートに由来するユニットを有し、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が40.0mgKOH/g以上80.0mgKOH/g以下であることを特徴とする。
以下、本発明のインクジェット用インクを構成する各成分について、それぞれ説明する。
本発明に用いられるポリウレタン樹脂は、酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオール、酸基を有する炭素数1以上7以下のジオール、シロキサン構造を有するポリオール及びポリイソシアネートに由来するユニットを有し、かつ、前記ポリウレタン樹脂の酸価が40.0mgKOH/g以上80.0mgKOH/g以下である。以下、本発明におけるポリウレタン樹脂を構成する各ユニットに関して詳細に述べる。
本発明において「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基を持つ化合物を指す。具体的に、本発明で用いられるポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどを挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどを挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明においては、上記ポリイソシアネートの中でも、特に、脂環族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。更に、脂環族ポリイソシアネートの中でも、イソホロンジイソシアネートを用いることがより好ましい。
本発明に用いられる酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、その他の酸基を有さないポリオール(例えば、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリチオエーテルなど)が挙げられる。これらのポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明に用いられる酸基を有さないポリオールの炭素数は13以上250以下である。炭素数が13以上250以下であると、膜の柔軟性が適度となり、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が十分に得られる。前記酸基を有さないポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、400以上4,000以下であることが好ましい。400未満であると、膜が剛直になり柔軟性が低くなるため、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、4,000より高くなると、膜の柔軟性が高くなり過ぎてしまい、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果が十分に得られない場合がある。また、本発明に用いられる酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオール1分子内に存在するヒドロキシ基の数は、2つ又は3つが好ましい。
本発明における「酸基を有する炭素数1以上7以下のジオール」とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などの酸基を分子内に有する炭素数1以上7以下のジオールを指す。酸基を有するジオールの炭素数が8以上の場合は、得られるポリウレタン樹脂が、ソフトセグメントに酸基を有する構造になりやすく、強靭性と柔軟性のバランスが崩れ、耐擦過性や耐マーカー性が十分に得られない。本発明に用いられる酸基を有するジオールとしては、例えば、以下の一般式(1)及び(2)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(1)中、R1は水素原子、メチル基又はエチル基であり、R2は炭素数1乃至3のアルキレン基であり、nは1乃至3であり、mは1乃至3である。)
(一般式(2)中、Rは炭素数1乃至4のアルキレン基であり、nは1乃至4であり、mは1乃至4である。)
本発明において、「シロキサン構造を有する」とは、Si−O構造を有することを意味する。本発明に用いられるシロキサン構造を有するポリオールとしては、式(I)で表される繰り返し構造を有するポリシロキサンにヒドロキシ基が2つ結合された有機化合物が挙げられる。
(式(I)中、nは4以上60以下である。)
(一般式(3)中、nは4乃至60である。)
(一般式(4)中、Rは水素原子又は炭素数が1乃至120のアルキル基であり、nは4乃至60である。)
鎖延長剤は、ウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。本発明のインクに使用するポリウレタン樹脂を合成する際に使用することができる鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどが挙げられる。これらの鎖延長剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。本発明においてはより良好な吐出安定性を得るためにジアミン化合物から選ばれる鎖延長剤が好ましい。これは、ジアミン化合物による結合によって適度な分子量制御と親水性の付与がなされるためである。
本発明のインクに使用するポリウレタン樹脂の合成方法は、ワンショット法や多段法など、従来、一般的に用いられている方法をいずれも用いることができる。また、ポリウレタン樹脂の組成、分子量、酸価に関しては、従来公知の方法により解析を行うことができる。即ち、インクを遠心分離し、その沈降物と上澄み液を調べることで確認することができる。顔料は一般的な有機溶剤に不溶であるため、ポリウレタン樹脂を溶剤抽出によって分離することもできる。インクの状態でも各確認は行うことができるが、ポリウレタン樹脂を抽出しておくと、精度がより高まる。具体的な手法としては、インクを80,000rpmで遠心分離し、その上澄み液を塩酸などで酸析する。そして、乾燥させた酸析物を熱分解ガスクロマトグラフィ/質量分析計(熱分解GC/MS)を用いて分析することで、ポリウレタン樹脂を構成している化合物の種類を確認できる。また、乾燥させた酸析物をクロロホルムなどに溶解し核磁気共鳴法(NMR)により測定することで酸基を有さないポリオール、酸基を有するジオール、シロキサン構造を有するポリオールの種類、分子量、これらに由来するユニットの割合を定量することができる。更に、乾燥させた酸析物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、水酸化カリウムエタノール滴定液を用いた電位差滴定により、酸価を測定することができる。また、上澄み液をICP発光分光分析によってSi濃度を測定することでポリウレタン樹脂中のシロキサン構造を有するポリオールに由来するユニットの割合を測定できる。また、ポリウレタン樹脂の平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる。本発明におけるGPCの測定条件は以下の通りである。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:THF(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)
(分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)。
本発明のインクに用いる顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(高分子分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合したポリマー結合型自己分散顔料)や顔料粒子の表面に親水性基を結合した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)が挙げられる。無論、分散方法の異なる顔料を併用することも可能である。
本発明のインクには、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、従来、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、アルキルエーテルアセテート類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。尚、25℃におけるインクの粘度は5cps以下であることが好ましく、例えば水性媒体の構成や含有量によって調整することができる。25℃におけるインクの粘度が5cpsより大きいと、インクの吐出安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
本発明のインクは、上記の成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体など、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。更に、本発明のインクは必要に応じて、上記ポリウレタン樹脂以外の樹脂、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及びその他の樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。ポリウレタン樹脂以外の樹脂を更に含有するインクとする場合、インク中における全ての樹脂の含有量の合計がインク全質量を基準として0.01質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。更には、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、記録信号に応じて、インクジェット方式により記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であり、上記で説明した本発明のインクを使用するものである。このとき、本発明の構成を満たす複数のインクを併用して画像を形成することが好ましいが、本発明の構成を満たすインクと本発明の構成を満たさないインクとを併用して画像を形成してもよい。これは、高い撥水性と高い堅牢性を有する本発明のインク中のポリウレタン樹脂が少しでも画像中に存在すれば、本発明の効果が達成されるためである。本発明においては特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式のインクジェット記録方法が好ましい。尚、本発明における「記録」とは、普通紙やインク受容層を有する記録媒体に対して本発明のインクを用いて記録する態様、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非吸液性の基材に対して本発明のインクを用いてプリントを行う態様を含む。本発明においては、普通紙に用いることがより好ましい。尚、本発明において普通紙とはプリンタや複写機等で大量に使用されている市販の上、中質紙、PPC用紙等のコピー用紙や、ボンド紙等のことを言う。
(ポリウレタン樹脂分散体PU−1〜PU−36の調製)
酸基を有さないポリオール(B部)とシロキサン構造を有するポリオール(C部)をメチルエチルケトン中で十分撹拌溶解し、次いでポリイソシアネート(A部)、酸基を有するジオール(D部)を加え、75℃で1時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。次いで得られたウレタンプレポリマー溶液を60℃まで冷却して、水酸化カリウム水溶液を加え、酸基を中和した後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化した。乳化後、鎖延長剤(E部)を加え、鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、ポリウレタン樹脂が水中に分散されたポリウレタン樹脂分散体PU−1〜PU−36を得た。得られたポリウレタン樹脂分散体のうち、ポリウレタン樹脂の含有量は20.0質量%であった。得られたポリウレタン樹脂の酸価は、電位差滴定装置AT510(京都電子製)を用いて、上記の水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定により測定した。また、ポリウレタン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、下記のようにして測定した。測定対象のポリウレタン樹脂の0.1質量%THF溶液を調製し、ポアサイズ0.45μmの耐溶剤性メンブランフィルター(商品名:TITAN2 Syringe Filter、PTFE、0.45μm;SUN−SRi製)でろ過したものを試料溶液とした。この試料溶液を用いて、下記の条件で重量平均分子量の測定を行った。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:THF(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)
(分子量:7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、580の17種)。
シロキサン構造を有するポリオール(サイラプレーンFM−4411(数平均分子量は1,000);チッソ(株)製)(1.50部)をメチルエチルケトン中で十分撹拌溶解し、次いでイソホロンジイソシアネート(53.8部)、カルボン酸変性ポリカプロラクトンジオール(プラクセル205BA(数平均分子量は500);ダイセル化学工業(株)製)(44.7部)を加え、75℃で1時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。次いで得られたウレタンプレポリマー溶液を60℃まで冷却して、水酸化カリウム水溶液を加え、酸基を中和した後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化した。乳化後、エチレンジアミン(1.43部)を加え、鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、ポリウレタン樹脂が水中に分散されたポリウレタン樹脂分散体PU−37(ポリウレタン樹脂の含有量は20.0質量%)を得た。得られたポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、30,000で、酸価は50.0mgKOH/gであった。ポリウレタン樹脂に占めるシロキサン構造を有するポリオールに由来するユニットの割合(質量%)は1.5質量%であった。
シロキサン構造を有するポリオール(サイラプレーンFM−4411(数平均分子量は1,000);チッソ(株)製)(1.50部)、1,4−ブタンジオール(23.0部)をメチルエチルケトン中で十分撹拌溶解し、次いでイソホロンジイソシアネート(37.0部)、数平均分子量500のカルボン酸変性ポリカプロラクトンジオール(35.5部)を加え、75℃で1時間反応させウレタンプレポリマー溶液を得た。次いで得られたウレタンプレポリマー溶液を60℃まで冷却して、水酸化カリウム水溶液を加え、酸基を中和した後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌することで乳化した。乳化後、エチレンジアミン(1.30部)を加え、鎖延長反応を30℃にて12時間行った。FT−IRによりイソシアネート基の存在が確認されなくなったところで、この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、ポリウレタン樹脂が水中に分散されたポリウレタン樹脂分散体PU−38(ポリウレタン樹脂の含有量は20.0質量%)を得た。得られたポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、11,600で、酸価は12.6mgKOH/gであった。ポリウレタン樹脂に占めるシロキサン構造を有するポリオールに由来するユニットの割合(質量%)は1.5質量%であった。
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を設置した4つ口フラスコに、カルボン酸変性ポリカプロラクトンジオール(プラクセル205BA;ダイセル化学工業(株)製)98.0g、シロキサン構造を有するポリオール(サイラプレーンFM−4411(数平均分子量は1,000);チッソ(株)製)22.0g、メチルエチルケトン120.0gを投入した。これらを30分間撹拌後、イソホロンジイソシアネート60.0gを4つ口フラスコに投入し、室温で1時間窒素雰囲気下で撹拌後、70℃に昇温し4時間反応を行った。反応後、室温まで冷却し、濃度が60質量%であるウレタンプレポリマー溶液を得た。17.6gの50質量%KOH水溶液および350gのイオン交換水を四つ口フラスコ中に投入し、250gのウレタンプレポリマー溶液とともに室温で30分間撹拌した。窒素雰囲気下で80℃に昇温後、80℃で2時間鎖延長反応を行った。反応後、ロータリーエバポレーターとアスピレーターを用いてメチルエチルケトンと一部の水を除去した後、回収量が429gになるようにイオン交換水を添加し、ポリウレタン樹脂の含有量が35質量%のポリウレタン樹脂分散体PU−39を得た。得られたポリウレタン樹脂分散体の酸価は74.0mgKOH/g、重量平均分子量は18,000であった。
ポリマーは一段階付加反応を用いて合成した。1−メチル−2−ピロリジノン(141g)、アセトン(165g)及びジメチロールプロピオン酸(30.6g)を反応器に加え、混合物を65℃に加熱し、すべてのジメチロールプロピオン酸が溶解するまで保持した。そして、ポリエステルジオール(アジピン酸/ヘキサンジオール/イソフタル酸)(559.4g)を加え、均質な混合物が形成されるまで成分を混合した。イソホロンジイソシアネート(210.1g)を添加漏斗から15分にわたって加え、1−メチル−2−ピロリジノン(42.9g)のリンスがこれに続いた。温度を75℃に昇温させ、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の反応が完了するまで保持した。これを反応混合物を30℃に冷却し、50%1−ジメチルアミノ−2−プロパノール(42.5g)水溶液(1258g)を加え、ドワノール(Dowanol)DPM(372g)中の低分子量スチレン/アリルアルコールポリマー(リオンデルSAA101)(199.9g)を添加した。さらに、DI水を室温で15分にわたって加えることによって反転を行った。水を添加後直ちに、鎖延長のために6.25%エチレンジアミン水溶液(314g)を5分にわたって加えた。最後に、アセトンを減圧蒸留した。得られたポリウレタン樹脂は、酸価が21.4mgKOH/g、ポリウレタン樹脂の含有量が32質量%及び平均粒径が200〜400nmであった。
(顔料分散体Aの調製)
自己分散顔料として市販されているCab−O−Jet400(Cabot製)を水で希釈し、十分撹拌して顔料分散体Aを得た。得られた顔料分散体中における顔料の含有量は10.0質量%、pHは9.0であり、顔料の平均粒子径は110nmであった。
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れることで溶液を常に10℃以下に保った状態にし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m2/g、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌し、得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗した。これを110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散カーボンブラックを調製した。更に、得られた自己分散カーボンブラックに水を加えて顔料の含有量が10.0質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C6H3−(COONa)2基が結合されてなる自己分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体を得た。その後、イオン交換法を用いて顔料分散体のナトリウムイオンをカリウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの表面に−C6H3−(COOK)2基を結合した自己分散カーボンブラックが分散された顔料分散体Bを得た。得られた顔料分散体中における顔料の含有量は10.0%、pHは8.0であり、顔料の平均粒子径は80nmであった。
比表面積が220m2/g、DBP吸油量が112mL/100gであるカーボンブラック500g、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン45g、蒸留水900gを反応器に入れ、温度55℃、回転数300rpmで20分間撹拌した。その後、25%の亜硝酸ナトリウム40gを15分間滴下し、更に蒸留水50gを加え、60℃で2時間反応させた。得られた反応物を蒸留水で希釈しながら取り出し、固形分含有量が15.0質量%となるように調製した。更に、遠心分離処理及び精製処理を行い、不純物を除去して、分散液(1)を得た。分散液(1)中のカーボンブラックは、表面にアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホンの官能基が結合した状態であった。この分散液(1)中における、カーボンブラックに結合した官能基のモル数を以下のようにして求めた。分散液(1)中のナトリウムイオンを、プローブ式ナトリウム電極で測定し、得られた値をカーボンブラック粉末当りに換算して、カーボンブラックに結合した官能基のモル数を求めた。次に、分散液(1)をペンタエチレンヘキサミン溶液中に滴下した。この際、ペンタエチレンヘキサミン溶液を強力に撹拌しながら室温に保ち、1時間かけて分散液(1)を滴下した。このとき、ペンタエチレンヘキサミンの含有量は、先に測定したナトリウムイオンのモル数の1〜10倍とし、溶液の量は分散液(1)と同量とした。更に、この混合物を18乃至48時間撹拌した後、精製処理を行い、固形分含有量が10.0質量%の分散液(2)を得た。分散液(2)中のカーボンブラックは、表面にペンタエチレンヘキサミンが結合した状態であった。
酸価が200.0mgKOH/gで重量平均分子量が10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を10%水酸化カリウム水溶液で中和した。その後、この樹脂20部、比表面積が210m2/gでDBP吸油量が74mL/100gであるカーボンブラック10部、及び水70部を混合した。この混合物を、サンドグラインダーを用いて1時間分散した後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。上記の方法により、樹脂分散カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散体Dを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Dの顔料の含有量は10.0質量%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は120nmであった。
n−ブチルメタクリレート175部、n−ブチルアクリレート10.5部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート37.5部、メタクリル酸26.8部及びtert−ブチルパーオキシオクトエート20部の組成の混合液を調製した。メチルエチルケトン250部を窒素雰囲気下で撹拌しながら75℃に加熱し、これに上記で得られた混合液を2時間かけて滴下した。更に、溶液の温度を75℃に維持して15時間反応を行い、樹脂溶液を調製した。得られた樹脂溶液11.6部、ジエタノールアミン1.6部及びカーボンブラック(米国Cabot製Black Pearls 880)30部に水を加えて総量を150部とした。この混合液に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズ500gを加えて、ペイントシェイカーで4時間混練した。その後、ジルコニアビーズを濾別して樹脂とカーボンブラックを含有する分散液を得た。得られた分散液に、更に純水を加えて2倍に希釈した。更に、撹拌下で1規定の塩酸を加えていき、カーボンブラック粒子に樹脂が被覆してマイクロカプセル化するまで塩酸を滴下した。尚、この時の液体のpHは3乃至5であった。次いで、吸引ろ過を行い、塩を水洗して含水ケーキを得た。液体のpHが8.5乃至9.5となるように10%ジエタノールアミン水溶液を加えた。更にこの液体を1時間撹拌した後に、水を加え、カーボンブラック粒子がマイクロカプセル化した状態のカーボンブラック分散液Eを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Eの顔料の含有量は10質量%、pHは9.0であり、顔料の平均粒子径は102nmであった。
上記顔料分散体DにおいてカーボンブラックをC.I.ピグメントブルー15:3に変えた以外は同様にして樹脂分散型マゼンタ顔料が水中に分散された状態の顔料分散体Fを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Fの顔料の含有量は10質量%、pHは9.5であり、顔料の平均粒子径は95nmであった。
上記顔料分散体DにおいてカーボンブラックをC.I.ピグメントレッド122に変えた以外は同様にして樹脂分散型マゼンタ顔料が水中に分散された状態の顔料分散体Gを得た。尚、上記で調製した顔料分散体Gの顔料の含有量は10質量%、pHは10.0であり、顔料の平均粒子径は100nmであった。
(インク1)
上記で得られた顔料分散体A及びポリウレタン樹脂分散体PU−1を下記各成分と混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ1.2μmのメンブレンフィルター(HDCIIフィルター;ポール製)にて加圧ろ過を行い、インク1を調製した。
・顔料分散体A(顔料の含有量は10.0質量%) 30.0部
・ポリウレタン樹脂分散体PU−1(樹脂の含有量は20.0質量%) 4.5部
・グリセリン 9.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・ポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)(PEG1000) 5.0部
・アセチレノールEH(界面活性剤:川研ファインケミカル製) 0.1部
・イオン交換水 46.4部
ポリウレタン樹脂分散体PU−1をPU−2〜40とした以外はインク1と同様にしてインク2〜40を得た。
顔料分散体Aを顔料分散体B〜Gとした以外はインク1と同様にしてインク41〜46を得た。
ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)と前記顔料のインク全質量を基準とした含有量(質量%)に対する比(ポリウレタン樹脂の含有量(質量%)/顔料の含有量(質量%))が表3の値となるように調製した以外はインク1と同様にしてインク47〜51を得た。
ポリウレタン樹脂分散体PU−1を0部として、イオン交換水を50.9部とした以外はインク1、43と同様にしてインク52、53を得た。
(インク54)
インク組成中の水溶性有機溶剤をPEG1000からトリエチレングリコール(TEG)とした以外はインク1と同様にしてインク54を得た。
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、C以下は許容できないレベルとした。尚、下記の各評価は、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)を用いて行った。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%、1滴あたりの吐出量:28ng±10%以内とした。また、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600dpi×1/600dpiの単位領域に約28ngのインクを1滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義される。
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、A4サイズのPPC用紙GF−500(キヤノン製)に対して、19cm×26cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を、10枚印刷した。このときの5枚目及び10枚目のベタ画像の画像を目視で観察することにより、インクの吐出安定性を評価した。インクの吐出安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示す。
A:5枚目においては、僅かに白スジやカスレがあるが、ほとんど気にならないレベルであった。10枚目において、白スジやカスレがあるが、許容できるレベルであった
B:5枚目及び10枚目において、僅かに白スジやカスレがあるが、許容できるレベルであった
C:5枚目及び10枚目において、白スジやカスレが見られた。
D:吐出が不安定であり、正常な画像が記録できなかった。
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、a)A4サイズのPPC用紙GF−500(キヤノン製)、b)A4サイズのゼロックスペーパー4200(ゼロックス製)、及びc)A4サイズの高品位専用紙HR−101(キヤノン製)の3種類の記録媒体に対して、19cm×26cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を印刷した。得られた各ベタ画像を1時間放置した後、ベタ画像に1mLのイオン交換水を滴下し、更に60秒後にシルボン紙を用いてイオン交換水を吸い取った。その後、ベタ画像に残存しているインクの状態を目視で確認して、画像の滴下耐水性を評価した。画像の滴下耐水性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示した。
A:2種の記録媒体において、インクが溶出しなかった、又は、僅かにインクが溶出していたが水滴跡はほとんど気にならないレベルであった。更に、1種の記録媒体において、インクが溶出しており、水滴跡が僅かにわかった
B:1種の記録媒体において、インクが溶出しなかった、又は、僅かにインクが溶出していたが水滴跡はほとんど気にならないレベルであった。更に、2種の記録媒体において、インクが溶出しており、水滴跡が僅かにわかった
C:3種の記録媒体において、インクが溶出しており、2種の記録媒体において、水滴跡が僅かにわかり、更に、1種の紙において、インクが溶け出して記録媒体の白地部分の汚れが目立っていた
D:3種の記録媒体において、インクが溶出しており、2種以上の記録媒体において、インクが溶け出して記録媒体の白地部分の汚れが目立っていた。
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、a)A4サイズのPPC用紙GF−500(キヤノン製)、b)A4サイズのゼロックスペーパー4200(ゼロックス製)、及びc)A4サイズの高品位専用紙HR−101(キヤノン製)の3種類の記録媒体に対して、「画像」の文字(6ポイント、ボールド)を印刷した。耐フェザリング性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示した。
A:2種の記録媒体において、フェザリングが発生しておらず、1種の記録媒体において、僅かに滲みが発生した
B:1種の記録媒体において、フェザリングが発生しておらず、2種の記録媒体において、僅かに滲みが発生した
C:2種の記録媒体において、僅かに滲みが発生し、1種の記録媒体にフェザリングが発生した
D:2種以上の記録媒体において、フェザリングが発生した。
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に対して、太さ1/10インチの縦罫線を記録した。得られた画像上の縦罫線部に黄色ラインマーカー・OPTEX2(ゼブラ製)を用いてマーキングし、その後すぐに画像上の白地部にマーキングし、マーカーのペン先の汚染及び白地部のマーキングの汚れを確認した。尚、上記評価は記録後5分後、及び1日後にそれぞれ行った。耐マーカー性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示す。
B:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に少し着色の汚染があるが、白地部へマーキングしても汚れがほとんど見られなかった
C:5分後において、マーカーのペン先に着色の汚染があり、白地部へマーキングすると汚れが見られたが、1日後においてはペン先に着色の汚染がなく、白地部へマーキングしても汚れが発生しなかった
D:5分後及び1日後において、マーカーのペン先に着色の汚染があり、白地部へマーキングすると汚れが見られた。
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に対して、1インチ×0.5インチのブラックのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を印刷した。得られたベタ画像の上に、シルボン紙及び面圧40g/cm2の分銅を置き、ベタ画像とシルボン紙を擦り合わせた。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、ベタ画像の汚れ具合やシルボン紙の白地部への転写を目視により観察した。尚、上記評価は記録後10分後、及び1日後に別々のベタ画像を用いて行った。画像の耐擦過性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表3に示す。
B:10分後及び1日後において、白地部の汚れが若干見られたがほとんど気にならないレベルであった
C:10分後において、白地部の汚れが見られた。更に、1日後において、白地部の汚れが若干見られたがほとんど気にならないレベルであった
D:10分後及び1日後において、白地部の汚れが見られた。
実施例41としてインク1及びインク45、実施例42としてインク1及びインク53、比較例15としてインク52及びインク53をそれぞれインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置PIXUS iP3100(キヤノン製)に装着した。そして、2つのインクのそれぞれの記録デューティが50%で、2つのインクを合計した記録デューティが100%となるように、ベタ画像を印刷した。尚、2次色の画像を記録する際には、各記録デューティにおけるインクの付与量の質量比率は、それぞれのインクを1:1とし、同一の記録パスで同じ位置に各インクが付与されるように設定した。そして、得られたベタ画像について、上記(2)画像の滴下耐水性及び(3)耐フェザリング性(4)画像の耐マーカー性(5)画像の耐擦過性の評価方法・基準と同様に評価を行った。評価結果を表4に示す。
Claims (12)
- 顔料及びポリウレタン樹脂を含有するインクジェット用インクであって、
前記ポリウレタン樹脂が、酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオール、酸基を有する炭素数1以上7以下のジオール、シロキサン構造を有するポリオール及びポリイソシアネートのそれぞれに由来するユニットを有し、かつ、その酸価が40.0mgKOH/g以上80.0mgKOH/g以下であり、
前記酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、及びポリヒドロキシポリチオエーテルから選択される少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット用インク。 - 前記酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオールの数平均分子量が、400以上4,000以下の範囲である請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 前記ポリウレタン樹脂に占める、シロキサン構造を有するポリオールに由来するユニットの割合(質量%)が、0.5質量%以上5.0質量%以下である請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
- 前記ポリウレタン樹脂に占める、前記酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオールに由来するユニットの割合(質量%)が、前記シロキサン構造を有するポリオールに由来するユニットの割合(質量%)に対して、質量比率で0.80倍以上20.00倍以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記酸基を有する炭素数1以上7以下のジオールが、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
(一般式(1)中、R1は水素原子、メチル基又はエチル基であり、R2は炭素数1乃至3のアルキレン基であり、nは1乃至3であり、mは1乃至3である。)
(一般式(2)中、Rは炭素数1乃至4のアルキレン基であり、nは1乃至4であり、mは1乃至4である。) - 前記酸基を有する炭素数1以上7以下のジオールが、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、及びN,N−ジ(2−ヒドロキシルエチル)グリシンから選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記酸基を有さない炭素数13以上250以下のポリオールが、ポリエーテルポリオールである請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記ポリエーテルポリオールが、ポリプロピレングリコールである請求項7に記載のインクジェット用インク。
- 前記シロキサン構造を有するポリオールが、式(I)で表される繰り返し構造を有するポリシロキサンにヒドロキシ基が2つ結合された有機化合物である請求項1乃至8の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
(式(I)中、nは4以上60以下である。) - 更に、数平均分子量が400以上2,000以下のポリエチレングリコールを含有する請求項1乃至9の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至10の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至10の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
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