JP7216694B2 - 顔料分散剤及びその製造方法、インクジェットインク用顔料分散液、及び水性インクジェットインク - Google Patents
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[1]水性のインクジェットインク用顔料分散液に用いられる顔料分散剤であって、下記(1)~(5)の要件を満たす顔料分散剤。
(1)メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含む、B鎖及び2つのA鎖を有するABAブロックコポリマーである。
(2)前記B鎖は、下記一般式(1)で表される基を主鎖に含み、酸価が30mgKOH/g以下であり、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、及びメタクリル酸イソボルニルからなる群より選択される少なくとも一種に由来する構成単位を80質量%以上含み、数平均分子量が5,000~15,000であり、分子量分布が1.1~1.7である。
(3)2つの前記A鎖は、メタクリル酸に由来する構成単位と、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、及びメタクリル酸ヒドロキシエチルからなる群より選択される少なくとも一種に由来する構成単位と、をそれぞれ含み、酸価の合計が100~450mgKOH/gであり、数平均分子量の合計が500~10,000であるとともに、前記B鎖の数平均分子量以下である。
(4)前記ABAブロックコポリマーの数平均分子量が5,500~25,000であり、分子量分布が1.2~2.0である。
(5)メタクリル酸に由来するカルボキシ基の少なくとも一部が、アンモニア、有機アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも一種で中和されてイオン化している。
[3]前記[1]又は[2]に記載の顔料分散剤の製造方法であって、下記一般式(2)で表されるヨウ素を含む有機化合物を重合開始化合物として用いる重合工程を有する顔料分散剤の製造方法。
[5]コハク酸イミド、N-アイオドコハク酸イミド、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール、ジフェニルメタン、及びテトラブチルアンモニウムアイオダイドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を有機触媒として使用し、リビングラジカル重合して、前記B鎖及び2つの前記A鎖をそれぞれ形成する前記[3]又は[4]に記載の顔料分散剤の製造方法。
[6]顔料、水、水溶性有機溶剤、及び顔料分散剤を含有し、前記顔料分散剤が、前記[1]又は[2]に記載の顔料分散剤であるインクジェットインク用顔料分散液。
[7]前記顔料が、キナクリドン系顔料及びフタロシアニン系顔料からなる群より選択される少なくとも一種の有機顔料である前記[6]に記載のインクジェットインク用顔料分散液。
[8]前記顔料の含有量が5~60質量%であり、前記水の含有量が20~80質量%であり、前記水溶性有機溶剤の含有量が30質量%以下であり、前記顔料分散剤の含有量が0.5~20質量%である前記[6]又は[7]に記載のインクジェットインク用顔料分散液。
[9]前記水溶性有機溶剤が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、グリセリン、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドからなる群より選択される少なくとも一種である前記[6]~[8]のいずれかに記載のインクジェットインク用顔料分散液。
[10]前記[6]~[9]のいずれかに記載のインクジェットインク用顔料分散液を含有する水性インクジェットインク。
本発明の顔料分散剤の一実施形態は、水性のインクジェットインク用顔料分散液に用いられる顔料分散剤であり、下記(1)~(5)の要件を満たすものである。以下、本発明の一実施形態である顔料分散剤の詳細について説明する。
(1)メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含む、B鎖及び2つのA鎖を有するABAブロックコポリマーである。
(2)B鎖は、下記一般式(1)で表される基を主鎖に含み、酸価が30mgKOH/g以下であり、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、及びメタクリル酸イソボルニルからなる群より選択される少なくとも一種に由来する構成単位を80質量%以上含み、数平均分子量が5,000~15,000であり、分子量分布が1.1~1.7である。
(3)2つのA鎖は、メタクリル酸に由来する構成単位と、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、及びメタクリル酸ヒドロキシエチルからなる群より選択される少なくとも一種に由来する構成単位と、をそれぞれ含み、酸価の合計が100~450mgKOH/gであり、数平均分子量の合計が500~10,000であるとともに、B鎖の数平均分子量以下である。
(4)ABAブロックコポリマーの数平均分子量が5,500~25,000であり、分子量分布が1.2~2.0である。
(5)メタクリル酸に由来するカルボキシ基の少なくとも一部が、アンモニア、有機アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも一種で中和されてイオン化している。
本実施形態の顔料分散剤は、メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上、好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上含む、B鎖及び2つのA鎖を有するABAブロックコポリマーである。このABAブロックコポリマーは、2つのA鎖がB鎖の両末端に結合している、いわゆるABA型のトリブロックコポリマーである。両末端にある2つのA鎖は、モノマー組成は同一であるが、モノマー組成比及び分子量は同一であってもよく、異なっていてもよい。本明細書における「メタクリル酸系モノマー」の概念には、「メタクリル酸」及び「メタクリル酸エステル」が包含される。メタクリル酸エステルは第3級カルボン酸のエステルであるため、アルカリ条件下であっても加水分解等の副反応が生じにくい。また、アクリル酸系モノマーに比して、得られるポリマーのガラス転移温度(Tg)を高めることができる。さらに、メタクリル酸系モノマーを用いてリビングラジカル重合する場合、得られるポリマーの分子量及び構造を容易に制御することができる。
B鎖は、下記一般式(1)で表される基を主鎖に含む。一般式(1)で表される基は、例えば後述するリビングラジカル重合によりABAブロックコポリマーを製造する場合に用いる重合開始化合物の残基である。すなわち、特定の重合開始化合物を用いてメタクリル酸系モノマーをリビングラジカル重合することで、一般式(1)で表される基をB鎖の主鎖に導入することができる。一般式(1)で表される基は、3級炭素原子を持ったエステル結合を有する、加水分解しにくい基である。このため、一般式(1)で表される基は、アルカリを含有するpHの高い条件下であっても加水分解しにくく、比較的安定に存在しうる基である。このため、一般式(1)で表される基を主鎖に含むB鎖を有するABAブロックコポリマーを顔料分散剤として用いることで、長期間の保存安定性等の耐久性に優れた顔料分散液を調製することができる。なお、一般式(1)で表される基はエステル結合を含む基であることから、半永久的に安定して存在する基ではなく、特定の環境に曝されることで加水分解しうる基である。このため、一般式(1)で表される基を主鎖に含むB鎖を有するABAブロックコポリマーは、環境にやさしい顔料分散剤でもある。
一方、B鎖の数平均分子量が15,000超であると、B鎖の水不溶性が高くなり過ぎてしまい、水中で粒子が形成されやすくなって顔料にうまく吸着しなくなる。
2つのA鎖は、メタクリル酸に由来する構成単位をそれぞれ含む。すなわち、2つのA鎖はメタクリル酸に由来するカルボキシ基を有しており、カルボキシ基がアルカリで中和されてイオン化することで、A鎖は水に溶解する。2つのA鎖の酸価の合計は100~450mgKOH/gであり、好ましくは200~400mgKOH/gである。酸価の合計が100mgKOH/g未満であると、ABAブロックコポリマー全体の水溶解性が低下し、顔料の分散性や再溶解性を向上させることが困難になる。一方、酸価の合計が450mgKOH/g超であると、耐水性が低下するとともに、重合中の粘度が高くなりすぎてしまい、ブロック構造を形成することが困難になる。
次に、上述の顔料分散剤を製造する方法について説明する。本発明の顔料分散剤の製造方法の一実施形態は、下記一般式(2)で表されるヨウ素を含む有機化合物を重合開始剤として用いる重合工程を有する。以下、顔料分散剤の製造方法の詳細について説明する。
重合工程では、例えば、有機溶媒中、B鎖、A鎖の順にリビングラジカル重合する。これにより、ABA型のトリブロックコポリマーである顔料分散剤を得ることができる。リビングラジカル重合には、例えば、原子移動ラジカル重合(ATRP法)、ニトロキサイドを介したラジカル重合(NMP法)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT法)、有機テルル系リビングラジカル重合(TERP法)、可逆的移動触媒重合(RTCP法)、可逆的触媒媒介重合(RCMP法)等がある。なかでも、有機化合物を触媒として用いるとともに、有機ヨウ化物を重合開始化合物として用いるRTCP法やRCMP法が好ましい。
「ポリマーの理論分子量」=「重合開始化合物1モル」×「モノマー分子量」×「モノマーのモル数/重合開始化合物のモル数」 ・・・(A)
本発明のインクジェット用顔料分散液(以下、単に「顔料分散液」とも記す)の一実施形態は、顔料、水、水溶性有機溶剤、及び顔料分散剤を含有し、顔料分散剤が、前述の顔料分散剤である。
顔料としては、有機顔料や無機顔料を用いることができる。有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等を挙げることができる。無機顔料としては、二酸化チタン、酸化鉄、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、シリカ、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラック等を挙げることができる。
液媒体としては、水と水溶性有機溶剤の混合物(混合溶媒)が使用される。水溶性有機溶剤は、ヘッドでのインクの乾燥を防止したり、フィルムへのインクの濡れ性を向上させたりする機能を有する。水溶性有機溶剤としては、水100gへの溶解性が25℃で5g以上のものが好ましい。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ペンチルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のグリコール系溶剤;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルテトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のグリコールエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピロリドン、N-メチルピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等のアミド系溶剤;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート等のカーボネート系溶剤;ジメチルスルホキシド;テトラメチル尿素;ジメチルイミダゾリジノン;等を挙げることができる。
本実施形態のインクジェットインク用顔料分散液は、液媒体として水を含有するインクジェットインク用の水性顔料分散液である。顔料分散液中の顔料の含有量は、5~60質量%であることが好ましい。なお、有機顔料の含有量は5~30質量%であることが好ましく、10~25質量%であることがさらに好ましい。無機顔料は比重が大きいので、無機顔料の含有量は20~60質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがさらに好ましい。
本発明の水性インクジェットインク(以下、単に「インク」とも記す)の一実施形態は、前述のインクジェットインク用顔料分散液を含有する。前述の顔料分散液を含有すること以外は、従来公知のインクと同様である。インク中の顔料の含有量は、4~20質量%であることが好ましい。
(実施合成例1:ABA-1)
撹拌機、逆流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた反応容器に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)410.9部、エチレングリコールビス(2-アイオドイソブチレート)(EBIB)4.5部、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(AMDV)2.50部、メタクリル酸ベンジル(BzMA)105.6部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)13.0部、及びN-アイオドスクシンイミド(NIS)0.225部を入れた。40℃に加温して4時間重合し、B鎖を得た。反応液の一部をサンプリングし、テトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒とするGPCにより測定したB鎖の数平均分子量(Mn)は7,700であり、分子量分布(PDI=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は1.46であった。サンプリングした反応液の一部を恒量に達するまで180℃で加熱して測定した固形分は22.6%であり、この固形分から算出した重合率は約100%であった。サンプリングした反応液の一部を水に添加したが、溶解しなかった。これにより、B鎖は水に不溶な疎水性ポリマーであることを確認した。
表1~3に示す配合としたこと以外は、前述の実施合成例1と同様にして、ABA-2~14の水溶液を得た。表1~3中の略号の意味は以下に示す通りである。
・DPGM:ジプロピレングリコールジメチルエーテル
・PGP:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
・PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・BTG:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・MDMPA:3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド
・CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
・DEGBIB:ジエチレングリコールビス(2-アイオドイソブチレート)
・CHDMBIB:シクロヘキサンジメタノール(2-アイオドイソブチレート)
・BHT:ジt-ブチルヒドロキシトルエン
・DPM:ジフェニルメタン
・TBCHMA:メタクリル酸t-ブチルシクロヘキシル
・TMCHMA:メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル
・TCDMA:メタクリル酸ジシクロペンタニル
・IBXMA:メタクリル酸イソボルニル
EBIBに代えて、メチル2-アイオドイソブチレート(MIIB)を、それぞれ2.6部及び1.3部用いたこと以外は、前述の実施合成例1と同様にして、ABブロックコポリマーであるAB-1及び2の水溶液を得た。MIIBは、開始基を1つ有する重合開始化合物であり、このMIIBを用いることでABブロックコポリマーを得ることができる。便宜上、最初に形成されるポリマー鎖をB鎖とし、次に形成されるポリマー鎖をA鎖とした。得られたAB-1及び2の詳細を表4に示す。
表5に示す配合としたこと以外は、前述の実施合成例1と同様にして、ABA-15~18の水溶液を得た。表5中の略号の意味は以下に示す通りである。
・2EHMA:メタクリル酸2-エチルヘキシル
・BMA:メタクリル酸ブチル
(実施例1:IJD-1)
ABA-1の水溶液350部、プロピレングリコール70部、及び水195部を混合して透明な溶液を得た。得られた溶液にC.I.ピグメントブルー-15:3(PB-15:3、商品名「A-220JC」、大日精化工業社製)350部を添加し、ディスパーを使用して30分撹拌し、ミルベースを調製した。横型媒体分散機(商品名「ダイノミル0.6リットルECM型」、シンマルエンタープライゼス社製、ジルコニア製ビーズの径:0.5mm)を使用し、周速10m/sで分散処理してミルベース中に顔料を十分に分散させた後、水316部を添加して顔料濃度18%に調整した。ミルベースを遠心分離処理(7,500回転、20分間)した後、ポアサイズ10μmのメンブレンフィルターでろ過した。水で希釈して、pH8.3であり、顔料濃度14%である顔料分散液(IJD-1)を得た。
表6及び7に示す種類の顔料分散剤を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、顔料分散液(IJD-2~5、CIJD-1~4)を得た。
PB-15:3に代えてC.I.ピグメントレッド-122(PB-122、商品名「CFR130P」、大日精化工業社製)を用いたこと、及び表8に示す種類の顔料分散剤を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、顔料分散液(IJD-6~10、CIJD-5及び6)を得た。
(分散性・保存安定性)
粒度測定機(商品名「NICOMP 380ZLS-S」、インターナショナル・ビジネス社製)を使用し、調製直後及び70℃で1週間保存後の顔料分散液中の顔料の数平均粒子径をそれぞれ測定した。また、調製直後及び70℃で1週間保存後の顔料分散液の粘度を測定した。測定結果を表6~8に示す。さらに、以下に示す評価基準にしたがって顔料分散液の分散性・保存安定性を評価した。結果を表6~8に示す。
○:顔料を微分散することができるとともに、保存安定性が良好であった。
×:顔料を微分散することができず、保存安定性も不良であった。
調製した顔料分散液の一滴をガラスプレート上に滴下した。60℃の乾燥機中に24時間放置して乾燥皮膜を形成した。形成した乾燥皮膜にスポイトで水を滴下して乾燥皮膜の状態を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって顔料分散液の再分散性を評価した。結果を表6~8に示す。
○:水を滴下した直後に溶解しはじめ、最終的にほぼ元の分散液の状態に戻った。
△:水を滴下して数秒後に徐々に溶解しはじめ、最終的にほぼ元の分散液の状態に戻った。
×:水を滴下して数秒後に徐々に溶解しはじめるが、「ブツ」が生じ、顔料の粒子径が元に戻らなかった。
××:水を滴下して数秒後に徐々に溶解しはじめるが、膜状にはがれてしまい、元の分散液の状態に戻らなかった。
×××:水を滴下しても溶解しなかった。
(実施例11:IJD-11)
ABA-8の水溶液125.0部、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール50部、及び水325部を混合した。C.I.ピグメントホワイト-6(白色顔料、商品名「JR-405」、テイカ社製)500部を添加し、ディスパーを使用して撹拌した後、横型媒体分散機を使用して顔料を十分に分散させてミルベースを得た。ポアサイズ10μmのメンブレンフィルターでミルベースをろ過した後、水で希釈して、顔料濃度14%である顔料分散液(IJD-11)を得た。
(実施例11:IJI-1)
以下に示すインク処方にしたがって、インクジェット用の水性インクを調製した。
[インク処方]
・IJD-11:20部
・水:53部
・グリセリン:26部
・界面活性剤(商品名「サーフィノール465」、エアープロダクト社製):1部
(実施例12~16:IJD-12~16)
表9に示す種類の顔料分散剤及び顔料を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、顔料分散液(IJD-12~16)を得た。表9に示す顔料のうち、PB-7及びPY-74の詳細を以下に示す。調製直後の顔料分散液中の顔料の数平均粒子径の測定結果、及び調製直後の顔料分散液の粘度の測定結果を表9に示す。
・PB-7:C.I.ピグメントブラック-7、カーボンブラック顔料(商品名「S170」、デグザ社製)
・PY-74:C.I.ピグメントイエロー-74、アゾ系黄色顔料(商品名「セイカファーストイエロー2016G」、大日精化工業社製)
(実施例17~20:IJI-2~5)
顔料分散液(IJD-13~16)を使用し、以下に示すインク処方にしたがってインクジェット用の水性インクを調製した。
[インク処方]
・各顔料分散液:40部
・水:42.2部
・1,2-ヘキサンジオール:5部
・グリセリン:10部
・界面活性剤(商品名「サーフィノール465」、エアープロダクト社製):1部
(実施例21:IJI-6)
以下に示す処方にしたがって、インクジェット用の水性インクを調製した。ウレタンエマルジョンとしては、イソホロンジイソシアネート/ポリヘキサメチレンカーボネートジオール/ジメチロールブタン酸/ヒドラジンからなるポリウレタンをトリエチルアミンで中和した、酸価34.2mgKOH/g、光散乱により測定した平均粒子径42.2nm、固形分25.0%のウレタン水分散体を用いた。
[インク処方]
・IJD-12:20部
・ウレタンエマルジョン:20部
・水:33部
・プロピレングリコール:26部
・界面活性剤:商品名「サーフィノール465」(エアープロダクト社製):1部
Claims (10)
- 水性のインクジェットインク用顔料分散液に用いられる顔料分散剤であって、
下記(1)~(5)の要件を満たす顔料分散剤。
(1)メタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を90質量%以上含む、B鎖及び2つのA鎖を有するABAブロックコポリマーである。
(2)前記B鎖は、下記一般式(1)で表される基を主鎖に含み、酸価が30mgKOH/g以下であり、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、及びメタクリル酸イソボルニルからなる群より選択される少なくとも一種に由来する構成単位を80質量%以上含み、数平均分子量が5,000~15,000であり、分子量分布が1.1~1.7である。
(3)2つの前記A鎖は、メタクリル酸に由来する構成単位と、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、及びメタクリル酸ヒドロキシエチルからなる群より選択される少なくとも一種に由来する構成単位と、をそれぞれ含み、酸価の合計が100~450mgKOH/gであり、数平均分子量の合計が500~10,000であるとともに、前記B鎖の数平均分子量以下である。
(4)前記ABAブロックコポリマーの数平均分子量が5,500~25,000であり、分子量分布が1.2~2.0である。
(5)メタクリル酸に由来するカルボキシ基の少なくとも一部が、アンモニア、有機アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも一種で中和されてイオン化している。
(前記一般式(1)中、Rは、炭素数2~18の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキレン基、又はジ、トリ、若しくはテトラアルキレン(炭素数2~4)グリコール基を示し、X及びYは、相互に独立に、O又はNHを示し、「*」はB鎖中の結合位置を示す) - 前記B鎖の酸価が0であり、
2つの前記A鎖の酸価の合計が200~400mgKOH/gである請求項1に記載の顔料分散剤。 - 2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)を重合開始助剤として使用し、50℃以下でリビングラジカル重合して、前記B鎖及び2つの前記A鎖をそれぞれ形成する請求項3に記載の顔料分散剤の製造方法。
- コハク酸イミド、N-アイオドコハク酸イミド、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール、ジフェニルメタン、及びテトラブチルアンモニウムアイオダイドからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を有機触媒として使用し、リビングラジカル重合して、前記B鎖及び2つの前記A鎖をそれぞれ形成する請求項3又は4に記載の顔料分散剤の製造方法。
- 顔料、水、水溶性有機溶剤、及び顔料分散剤を含有し、
前記顔料分散剤が、請求項1又は2に記載の顔料分散剤であるインクジェットインク用顔料分散液。 - 前記顔料が、キナクリドン系顔料及びフタロシアニン系顔料からなる群より選択される少なくとも一種の有機顔料である請求項6に記載のインクジェットインク用顔料分散液。
- 前記顔料の含有量が5~60質量%であり、前記水の含有量が20~80質量%であり、前記水溶性有機溶剤の含有量が30質量%以下であり、前記顔料分散剤の含有量が0.5~20質量%である請求項6又は7に記載のインクジェットインク用顔料分散液。
- 前記水溶性有機溶剤が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、グリセリン、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、及び3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドからなる群より選択される少なくとも一種である請求項6~8のいずれか一項に記載のインクジェットインク用顔料分散液。
- 請求項6~9のいずれか一項に記載のインクジェットインク用顔料分散液を含有する水性インクジェットインク。
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---|---|---|---|
JP2020182754A JP7216694B2 (ja) | 2020-10-30 | 2020-10-30 | 顔料分散剤及びその製造方法、インクジェットインク用顔料分散液、及び水性インクジェットインク |
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