JP2023058215A - 紫外線硬化型インクジェットインク用の顔料分散液、その製造方法、及び紫外線硬化型インクジェットインク - Google Patents

紫外線硬化型インクジェットインク用の顔料分散液、その製造方法、及び紫外線硬化型インクジェットインク Download PDF

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Abstract

【課題】イエロー顔料やオレンジ顔料を用いながらも、これらの顔料の分散性及び保存安定性に優れた、紫外線硬化型インクジェットインクを調製するために用いられる顔料分散液を提供する。【解決手段】イエロー顔料及びオレンジ顔料の少なくともいずれかを含む顔料、顔料誘導体、アミノ基を有する高分子分散剤、及び紫外線硬化性モノマーを含有する、紫外線硬化型インクジェットインクに用いられる顔料分散液である。顔料誘導体が、下記一般式(1)(一般式(1)中、XはOH又はOCH3を示し、4つのXのうち2以上がOHである)で表される構造を有する。TIFF2023058215000014.tif49170【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェットインク用の顔料分散液、その製造方法、及び紫外線硬化型インクジェットインクに関する。
インクジェット印刷方法は、版が不要であり、パソコンからのデータ出力によりオンデマンドで画像を印刷することが可能な方法である。インクジェット印刷方法では、水性インクジェットインク、溶剤系インクジェットインク、及び紫外線硬化型インクジェットインク等が用いられる。なかでも、乾燥工程が不要であるとともに、耐久性により優れた印画物を得ることが可能な紫外線硬化型インクジェットインクが、サインディスプレイ、パッケージング、プラスチック容器への印刷等の産業用途で注目されている。
インクジェット印刷方法は、シングルパスによる印刷から、ラインヘッドからインクを一度に吐出させて大面積の画像を一度に印刷する高速印刷へと移行しつつある。そして、そのような高速印刷に対応しうる紫外線硬化型インクジェット(以下、「UVIJインク」とも記す)を開発することが必要とされている。
UVIJインクは、例えば、紫外線硬化性モノマーを液媒体とする顔料分散液を用い、オリゴマー及び光開始剤等を配合して調製される。UVIJインクには、通常、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの三原色インクの他、ブラックインク及びホワイトインクがある。さらにはグリーンインク、オレンジインク、ブルーインク等の補色インクが用いられる。これら各色のインクを調製する際には、各色の顔料を液媒体中に分散させた顔料分散液が用いられる。
顔料分散液、及びそれを用いて調製されるインクは、インクジェット方式の記録ヘッドから安定的に吐出できるように、顔料粒子が微分散されているともに、低粘度であることが要求される。さらに、長期間保存しても顔料が凝集しにくく粘度が安定していること、すなわち、顔料の分散状態が変動しにくく一定の状態に維持されることが要求される。しかし、顔料を微細に分散させると、表面エネルギーが増加してかえって凝集しやすくなる。その結果、保存中に粘度上昇や粒子径増大等の不具合が生じやすくなるといった課題がある。
UVIJインク用の顔料分散液に用いる液媒体は、油性の有機化合物である紫外線硬化性モノマーである。各色UVIJインクに用いられるアゾ系顔料であるイエロー顔料や、バット染料としても使用されるオレンジ顔料は、高結晶な金属塩である銅フタロシアニン等の青色顔料や、高水素結合の影響で高結晶なキナクリドン顔料等のマゼンタ色顔料に比して、耐溶剤性が低い。また、近年のUVIJインクには、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル等のエーテル系モノマー;アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、及びN-ビニルカプロラクタム等のアミド結合を有するモノマー;等の高極性のモノマーが紫外線硬化性モノマーとして用いられている。これらの紫外線硬化性モノマーは、有機化合物の溶解性が強い。このため、これらの紫外線硬化性モノマー中で顔料を分散させると、結晶が成長しやすいために顔料の分散性が低下しやすい。このため、分散時に増粘したり、保存中に分散性が低下したりして、顔料粒子の凝集や粘度上昇が生じやすい。したがって、イエロー顔料やオレンジ顔料を用いた、顔料の分散性に優れているとともに、保存安定性にも優れたUVIJインク用の顔料分散液が求められている。
顔料の分散性を改善したUVIJインク用の顔料分散液として、例えば、イエロー顔料やオレンジ顔料を用いた顔料分散液が種々提案されている(特許文献1~3)。
特開2006-282758号公報 特開2004-2528号公報 特開2014-145053号公報
しかしながら、特許文献1~3で提案された顔料分散液であっても、高速印刷により適したUVIJインクを調製するための顔料分散液としては、顔料の分散性や保存安定性については未だ十分であるとはいえず、さらなる改良の余地があった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、イエロー顔料やオレンジ顔料を用いながらも、これらの顔料の分散性及び保存安定性に優れた、紫外線硬化型インクジェットインクを調製するために用いられる顔料分散液を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、この顔料分散液の製造方法、及びこの顔料分散液を用いた紫外線硬化型インクジェットインクを提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す顔料分散液が提供される。
[1]イエロー顔料及びオレンジ顔料の少なくともいずれかを含む顔料、顔料誘導体、アミノ基を有する高分子分散剤、及び紫外線硬化性モノマーを含有する、紫外線硬化型インクジェットインクに用いられる顔料分散液であって、前記顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される構造を有する顔料分散液。
Figure 2023058215000001
(前記一般式(1)中、XはOH又はOCHを示し、4つのXのうち2以上がOHである)
[2]前記顔料100質量部に対する前記顔料誘導体の含有量が、3~20質量部である前記[1]に記載の顔料分散液。
[3]前記高分子分散剤が、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、及びビニルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種に由来する、一部のアミノ基が第4級アンモニウム塩化していてもよい構成単位(1)3~50質量%、下記一般式(2)で表されるマクロモノマーに由来する構成単位(2)40~90質量%、及びその他のモノマーに由来する構成単位(3)0.5~20質量%を有する、アミン価が0.5~100mgKOH/g、数平均分子量が5,000~20,000のポリマーである前記[1]又は[2]に記載の顔料分散液。
Figure 2023058215000002
(前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、AはO又はNHを示し、Qはエチレン基又はメチルエチレン基を示し、YはO、NHCOO、又はNHCONHを示し、m及びnは、相互に独立に、0以上の平均繰り返し単位数を示すとともに、m+n=20~100であり、Rは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、アリール基、又はアルキルアリール基を示す)
[4]前記イエロー顔料が、C.I.ピグメントイエロー74、128、138、139、150、155、180、及び185からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記オレンジ顔料が、C.I.ピグメントオレンジ16、34、43、及び64からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]~[3]のいずれかに記載の顔料分散液。
また、本発明によれば、以下に示す顔料分散液の製造方法が提供される。
[5]前記[1]~[4]のいずれかに記載の顔料分散液の製造方法であって、前記顔料と、前記顔料誘導体のアルカリ中和物の水溶液とを混合した後、酸を添加し、前記顔料誘導体を析出させて顔料誘導体処理顔料を得る工程を有する顔料分散液の製造方法。
さらに、本発明によれば、以下に示す紫外線硬化型インクジェットインクが提供される。
[6]前記[1]~[4]のいずれかに記載の顔料分散液を含有する紫外線硬化型インクジェットインク。
本発明によれば、イエロー顔料やオレンジ顔料を用いながらも、これらの顔料の分散性及び保存安定性に優れた、紫外線硬化型インクジェットインクを調製するために用いられる顔料分散液を提供することができる。また、本発明によれば、この顔料分散液の製造方法、及びこの顔料分散液を用いた紫外線硬化型インクジェットインクを提供することができる。
<顔料分散液>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の顔料分散液は、イエロー顔料及びオレンジ顔料の少なくともいずれかを含む顔料、顔料誘導体、アミノ基を有する高分子分散剤、及び紫外線硬化性モノマーを含有する、紫外線硬化型インクジェットインクに用いられる顔料分散液である。そして、顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される構造を有する。以下、本発明の顔料分散液の詳細について説明する。
Figure 2023058215000003
(前記一般式(1)中、XはOH又はOCHを示し、4つのXのうち2以上がOHである)
(顔料)
顔料は、イエロー顔料及びオレンジ顔料の少なくともいずれかを含む。また、顔料は、好ましくはイエロー顔料及びオレンジ顔料のいずれかである。顔料誘導体の色相(黄色)は、用いる顔料の色相を大きく阻害しない。イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、150、151、153、154、155、167、172、180、185等を挙げることができる。また、オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63、64等を挙げることができる。
なかでも、発色性及び耐光性が良好であることから、イエロー顔料は、C.I.ピグメントイエロー74、128、138、139、150、155、180、及び185からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。また、オレンジ顔料は、C.I.ピグメントオレンジ16、34、43、及び64からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。特に、色相範囲が広いことから、イエロー顔料は、C.I.ピグメントイエロー138、150、155、180、及び185からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。また、オレンジ顔料は、C.I.ピグメントオレンジ43及び64からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
(顔料誘導体)
顔料誘導体は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
Figure 2023058215000004
(前記一般式(1)中、XはOH又はOCHを示し、4つのXのうち2以上がOHである)
この顔料誘導体は、顔料に類似した骨格を有する、又は顔料に吸着する構造を有する化合物である。本発明の顔料分散液は、油性の化合物である紫外線硬化性モノマーを液媒体として含有する。また、顔料は油性の有機化合物であるとともに、この顔料を液媒体中に微分散させ、顔料分散液の保存安定性を高めるために用いる高分子分散剤も油性である。高分子分散剤は、液媒体に溶解せずに顔料に吸着する必要がある。顔料誘導体は、顔料への高分子分散剤の吸着を仲立ちする成分である。液媒体が有機化合物であることから、高分子分散剤の脱離を抑制するために、イオン結合によって高分子分散剤を顔料に吸着させる。このため、顔料誘導体は、その分子構造中に酸性のカルボキシ基を活性基として有する。また、高分子分散剤としては、アミノ基を有する塩基性のポリマーを用いる。このため、顔料に吸着した高分子分散剤が、顔料の粒子表面に活性基であるカルボキシ基を付与する。そして、顔料の粒子表面に付与されたカルボキシ基と、高分子分散剤中のアミノ基とがイオン結合し、顔料に高分子分散剤に安定的に吸着する。これにより、液媒体である紫外線硬化性モノマー中に顔料を微分散させ、保存安定性に優れた顔料分散液とすることができる。
顔料誘導体は、その分子構造中に芳香族環及びアミド結合を有するので、イエロー顔料やオレンジ顔料に強く吸着する。また、顔料誘導体は、その分子構造中に2以上のカルボキシ基を有するので、顔料に吸着することで顔料の粒子表面にカルボキシ基を付与することができる。一般式(1)中、「X」で表される「OH」基の数は、平均値で表されてもよい。すなわち、一般式(1)で表される顔料誘導体は、「X」で表される「OH」基の数が異なる複数の化合物の混合物であってもよい。一般式(1)中、「X」で表される「OH」基の数は「4」であることが好ましい。すなわち、一分子中のカルボキシ基の数が4である、一般式(1)で表される顔料分散剤を用いることで、顔料の粒子表面にカルボキシ基を効果的に付与することができる。また、付与されるカルボキシ基の数が多くなるので、極性をより高めることができるとともに、液媒体として用いる紫外線硬化性モノマーにさらに溶解しにくくなる。
一般式(1)で表される顔料誘導体は、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アゾカップリングによって顔料誘導体を製造することもできる。なかでも、下記式(A)で表される構造を有するC.I.ピグメントイエロー155(以下、「PY-155」とも記す)を原料として使用し、その分子構造中のメチルエステルを、例えばアルカリ条件下で加水分解することで、一般式(1)で表される顔料誘導体を容易に製造することができる。
Figure 2023058215000005
PY-155を水に分散させた後、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加する。すべてのメチルエステルを加水分解する場合には、メチルエステルと等モル以上のアルカリ金属水酸化物を用いればよい。室温条件下、好ましくは80℃前後に加温することでエステル結合が加水分解し、カルボキシ基のアルカリ金属塩とすることができる。加水分解反応の進行状況は、赤外分光光度計を用いたIR分析により、エステル結合に由来する吸収ピークの減少及びカルボキシ基に由来する吸収ピークの増加を確認したり、pH変化を確認したりすることで追跡することができる。
加水分解後には、塩酸や酢酸等の酸性物質を添加して中和し、好ましくはpH3以下になるまで酸性物質を加えて中和する。これにより、水不溶性となった一般式(1)で表される顔料誘導体を析出させることができる。析出した顔料誘導体は、ろ過及び乾燥することで固形物として取り出すことができる。但し、一分子中のカルボキシ基の数が「4」である場合には、非常に硬く、溶媒にも溶解しにくくなって、取り扱いにくくなることがある。このため、析出した顔料誘導体は、乾燥せずに水ペーストの状態で取り出すことが好ましい。
顔料分散液中、顔料100質量部に対する顔料誘導体の含有量は、3~20質量部であることが好ましく、5~15質量部であることがさらに好ましい。顔料誘導体の含有量が、顔料100質量部に対して3質量部未満であると、顔料の表面に付与される顔料誘導体に由来する活性基の量が不足する場合がある。一方、顔料誘導体の含有量が、顔料100質量部に対して20質量部超であると、顔料誘導体由来の色相が反映されやすくなり、所望する色相とならない場合がある。
(高分子分散剤)
高分子分散剤は、アミノ基を有する塩基性の高分子分散剤である。高分子分散剤としては、長鎖アルキルモノアミン;長鎖アルキルアミンのポリアルキレングリコール付加物;ポリ12ヒドロキシスアリン酸等のポリエステルとポリエチレンイミンやポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のアミドアミン塩;ポリエチレングリコールやポリエステル及びジエチルアミノプロピルアミン等の3級及び1級のアミノ基を持つ化合物と、イソシアネート多核体との反応物;ビニルイミダゾールやビニルピリジン等を構成成分とするビニル系ポリマー;(メタ)アクリル酸系モノマーを構成成分とし、A鎖が溶剤に溶解する鎖、B鎖がジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレートを構成成分とするABブロックコポリマー等の第3級アミノ基を、塩化メチル、塩化ベンジル等の第4級化剤で第4級アンモニウム塩化したポリマー;等を挙げることができる。
高分子分散剤としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、及びこれらの第4級アンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも一種に由来する、一部のアミノ基が第4級アンモニウム塩化していてもよい構成単位(1)、下記一般式(2)で表されるマクロモノマーに由来する構成単位(2)、及びその他のモノマーに由来する構成単位(3)を有するポリマーを用いることが好ましい。
Figure 2023058215000006
(前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、AはO又はNHを示し、Qはエチレン基又はメチルエチレン基を示し、YはO、NHCOO、又はNHCONHを示し、m及びnは、相互に独立に、0以上の平均繰り返し単位数を示すとともに、m+n=20~100であり、Rは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、アリール基、又はアルキルアリール基を示す)
[構成単位(1)]
構成単位(1)は、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、及びビニルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種に由来する、一部のアミノ基が第4級アンモニウム塩化していてもよい構成単位である。
構成単位(1)中のアミノ基の一部は、紫外線硬化性モノマーへの溶解性等を調整するために、第4級アンモニウム塩化されていてもよい。すなわち、構成単位(1)は、第4級アンモニウム塩基を有していてもよい。第4級アンモニウム塩基は、アミノ基に第4級化剤を反応させることで形成することができる。第4級塩化剤としては、塩化メチル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p-トルエンスルホン酸メチル、メチルスルホン酸メチル、トリフルオロメチルスルホン酸メチル等を挙げることができる。第4級アンモニウム塩基の対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸エステルイオン等を挙げることができる。また、金属カチオン化物を反応させて対イオンを変化させてもよい。金属カチオン化物としては、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホン)イミドリチウム塩、ビス(トリフルオロメチルスルホン)イミドリチウム塩、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム等を挙げることができる。
高分子分散剤(ポリマー)中の構成単位(1)の含有量は、構成単位(1)~(3)の合計を基準として、3~50質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがさらに好ましい。ポリマー中の構成単位(1)の含有量が3質量%未満であると、アミノ基の量が不足しするので、顔料への吸着性が低下しやすく、顔料の分散性がやや低下することがある。一方、ポリマー中の構成単位(1)の含有量が50質量%超であると、アミノ基の量が多すぎる場合がある。このため、製造時の重合反応が阻害されやすくなるとともに、顔料がかえって凝集しやすくなることがある。
[構成単位(2)]
構成単位(2)は、下記一般式(2)で表されるマクロモノマーに由来する構成単位である。
Figure 2023058215000007
(前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、AはO又はNHを示し、Qはエチレン基又はメチルエチレン基を示し、YはO、NHCOO、又はNHCONHを示し、m及びnは、相互に独立に、0以上の平均繰り返し単位数を示すとともに、m+n=20~100であり、Rは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、アリール基、又はアルキルアリール基を示す)
構成単位(2)は、ポリアルキレングリコール鎖を有する構成単位である。この構成単位(2)を含む高分子分散剤は、ポリアルキレングリコール鎖がグラフトした構造を有する。ポリアルキレングリコール鎖は、液媒体(分散媒体)である紫外線硬化性モノマーに溶解しうる分子鎖である。顔料に高分子分散剤が吸着すると、ポリアルキレングリコール鎖が立体反発して顔料の凝集を抑制するとともに、長期間経過しても顔料が凝集しにくくなり、保存安定性を高めることができる。また、一般式(2)中、Yで表されるO(酸素原子)、NHCOO(ウレタン結合)、及びNHCONH(ウレア結合)は、顔料の表面にあるカルボキシ基や水酸基等を構成する水素原子と水素結合し、顔料に吸着する機能を有する。これにより、顔料を液媒体中に長期間にわたって良好かつ安定的に分散させることができる。
一般式(2)中、mはプロピレンオキシ基(-CH(CH)CHO-)の平均繰り返し単位数であり、nはエチレンオキシ基(-CHCHO-)の平均繰り返し単位数である。m及びnは、相互に独立に0以上の平均繰り返し単位数を示し、m+n=20~100、好ましくはm+n=35~100である。すなわち、ポリアルキレングリコール鎖の分子量は、好ましくは880~5,800であり、さらに好ましくは1,540~5,800である。なお、一般式(2)中、Rで表される炭素数1~18のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ドデシル基、ステアリル基、フェニル基、ナフチル基、又はノニルフェニル基であることが好ましい。
一般式(2)で表されるマクロモノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートと、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル等のグリコールエーテルモノアルキルエーテルとを反応させて得られる、Yがウレタン結合(NHCOO)であるマクロモノマー;(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートと、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアミン等のモノエーテルモノアミンとを反応させて得られる、Yがウレア結合(NHCONH)であるマクロモノマー;等を挙げることができる。
一般式(2)中、Yは、イソシアネートとアミンを反応させる際に触媒を必要としない尿素結合(NHCONH)であることが好ましい。また、一般式(2)中のポリアルキレングリコール鎖は、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのランダムコポリマーであることが好ましい。さらに、一般式(2)中、Rはメチル基であることが好ましい。ポリアルキレングリコール鎖の分子量は2,000~4,000であることが好ましく、m+n=36~90であることが好ましい。
高分子分散剤(ポリマー)中の構成単位(2)の含有量は、構成単位(1)~(3)の合計を基準として、40~90質量%であることが好ましく、45~85質量%であることがさらに好ましい。構成単位(2)は、ポリマー中に比較的多く含まれる構成単位である。このような構成単位(2)を多く含むポリマーを高分子分散剤として用いることで、密に配置されたポリアルキレングリコール鎖が立体障害となって顔料どうしの近接を阻害し、顔料を安定して分散させることができる。
[構成単位(3)]
構成単位(3)は、構成単位(1)及び(2)を構成する各モノマーと共重合しうるその他のモノマーに由来する構成単位である。その他のモノマーとしては、従来公知のビニル系モノマー等を用いることができる。その他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルカプロラクトン、ビニルイミダゾール、α-メチルスチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマー;等を挙げることができる。なかでも、分子量の制御が容易になる観点から、α-メチルスチレンが好ましい。
高分子分散剤(ポリマー)中の構成単位(3)の含有量は、構成単位(1)~(3)の合計を基準として、0.5~20質量%であることが好ましく、0.6~16質量%であることがさらに好ましい。ポリマー中の構成単位(3)の含有量が20質量%超であると、他の構成単位の含有量が相対的に減少するので、分散剤としての機能がやや低下することがある。
[ポリマー]
高分子分散剤として用いる上記のポリマーのアミン価は0.5~100mgKOH/gであり、好ましくは10~90mgKOH/g、さらに好ましくは20~80mgKOH/gである。また、上記のポリマーの数平均分子量(Mw)は5,000~20,000であり、好ましくは10,000~15,000である。ポリマーの数平均分子量が5,000未満であると、構成単位(2)の含有量がやや少ないので、分散安定性が不十分になることがある。一方、ポリマーの数平均分子量が20,000超であると、顔料を分散させるのに要する高分子分散剤の量が多くなりすぎることがあり、顔料分散液の粘度が過度に高くなる場合がある。本明細書における数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(高分子分散剤の合成方法)
高分子分散剤として用いるポリマーは、従来公知の方法によって合成することができる。例えば、従来公知のラジカル重合法;チオール等の連鎖移動剤を使用して分子量を調整する重合法、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、可逆的付加開裂型連鎖移動重合法(RAFT法)、ニトロキサイド法(NMP法)、有機テルル法(TERP法)、ヨウ素移動重合法(ITP法)、可逆的移動触媒重合法(RTCP法)、可逆的触媒媒介重合法(RCMP法)等のリビングラジカル重合法;により合成することができる。なかでも、主鎖の分子量をより均一に揃えることが可能であるとともに、添加方法によってABブロックコポリマーとすることができることから、リビングラジカル重合法が好ましい。
重合は、熱重合及び光重合のいずれであってもよく、アゾ系ラジカル発生剤、過酸化物系ラジカル発生剤、光増感剤等を重合反応系に添加してもよい。重合形式は、無溶剤、溶液重合、及び乳化重合のいずれであってもよく、なかでも溶液重合が好ましい。
本発明の顔料分散液を用いて調製されるUVIJインクは、基材に吐出及び塗布された成分が紫外線で硬化して画像を形成する、揮発成分を実質的に含有しない環境に配慮されたインクである。このため、上述の合成方法等で得られる高分子分散剤を含有する溶液は、揮発成分を実質的に含有しないことが好ましい。例えば、溶液重合後は、貧溶媒に析出させたり、使用した溶剤を揮発させたりすることが好ましい。揮発成分を実質的に含有しない高分子分散剤を得るために、不揮発性の溶剤中で高分子分散剤を合成してもよい。
(紫外線硬化性モノマー)
紫外硬化性モノマーは、顔料を分散させるための液媒体としても機能しうる成分である。紫外線硬化性モノマーは、紫外線硬化する反応性基を1つ有する単官能モノマーであってもよいし、2以上の反応性基を有する多官能モノマーであってもよいし、これらの混合物であってもよい。さらに、紫外線硬化する反応性基を有するオリゴマー(光硬化性オリゴマー)やポリマー(光硬化性ポリマー)を共存させてもよい。
紫外線硬化性モノマーのうち、単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アダマンチルメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、無水フタル酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物、アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等のラジカル重合性モノマーを挙げることができる。なかでも、紫外線硬化性が良好な(メタ)アクリレート系の化合物が好ましい。
多官能モノマー及び光硬化性オリゴマーとしては、ビニロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(n=2以上)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2以上)ジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(n=2以上)ジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパンジアクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロキシエチル)-ヒドロキシエチル-イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型ジエポキシと(メタ)アクリル酸とを反応させたエポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシポリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタントリ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートと2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルジイソシアネートとポリ(n=6-15)テトラメチレングリコールとのウレタン化反応物に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート等のウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンとコハク酸及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンとコハク酸、エチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート等のポリエステルポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なかでも、紫外線硬化性が良好な(メタ)アクリレート系の多官能モノマー及び光硬化性オリゴマーが好ましい。
光硬化性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエポキシ樹脂等のポリマーの末端や側鎖にラジカル重合性の(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有するポリマー等を挙げることができる。
(添加剤)
顔料分散液には、上述の成分以外の各種の添加剤をさらに含有させてもよい。添加剤としては、重合禁止剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、増粘剤、粘度調整剤、防腐剤、防カビ剤、染料、ワックス、フィラー、酸発生剤、アルカリ発生剤等を挙げることができる。また、本発明の顔料分散液は、UVIJインクを製造するために用いるものであることから、光重合開始剤を予め含有させておいてもよい。
重合禁止剤は、分散時又は保存時に紫外線硬化性モノマーが重合して固化することを防止するための成分である重合禁止剤としては、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、ジ-t-ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール化合物;p-ベンゾキノン等のキノン化合物;p-ベンジルアミノフェノール、ジ-β-ナフチルパラフェニレンジアミン、フェニルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物;キノンジオキシム及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;フェノチアジン等の硫黄化合物;等を挙げることができる。
(顔料分散液)
顔料分散液中の各成分の好ましい含有量は以下の通りである。すなわち、顔料分散液中、顔料及び顔料誘導体の合計含有量(顔料誘導体処理顔料の含有量)は、5~30質量%であることが好ましく、10~25質量%であることがさらに好ましい。顔料分散液中、アミノ基を有する高分子分散剤の含有量は、0.5~30質量%であることが好ましく、1~25質量%であることがさらに好ましい。また、顔料分散液中、紫外線硬化性モノマーの含有量は、40~94.5質量%であることが好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。
顔料分散液の粘度は、顔料の性質等を考慮しつつ、インクジェット印刷に適した粘度に調整すればよい。顔料分散液の25℃における粘度は、3~100mPa・sであることが好ましい。また、顔料分散液の25℃における表面張力は、15~45mN/mであることが好ましく、20~40mN/mであることがさらに好ましい。
<顔料分散液の製造方法>
顔料分散液は、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、紫外線硬化性モノマー、顔料、顔料誘導体、及び高分子分散剤を混合し、必要に応じて有機溶媒を添加して混合物を得る。得られた混合物を、ペイントシェイカー、ボールミル、アトライター、サンドミル、横型メディアミル、コロイドミル、ロールミル等を使用し、顔料を微分散させて分散液を調製する。次いで、調製した分散液に紫外線硬化性モノマーを添加して濃度を調整するとともに、必要に応じて他の添加剤をさらに添加すれば、顔料分散液を得ることができる。なお、必要に応じて、遠心分離機やフィルターを用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
顔料の数平均粒子径(粒度分布)を所望の範囲とするには、例えば、分散時に用いる粉砕メディアのサイズを小さくする、粉砕メディアの充填率を高くする、処理時間を長くする、吐出速度を遅くする、粉砕後にフィルターや遠心分離機などで分級する;などの手法を採用すればよい。
顔料分散液を製造する際には、顔料と、顔料誘導体のアルカリ中和物の水溶液とを混合した後、酸を添加し、顔料誘導体を析出させて顔料誘導体処理顔料を得ることが好ましい。すなわち、本発明の顔料分散液の製造方法は、顔料と、顔料誘導体のアルカリ中和物の水溶液とを混合した後、酸を添加し、顔料誘導体を析出させて顔料誘導体処理顔料を得る工程を有することが好ましい。また、本発明の顔料分散液は、顔料と、顔料誘導体のアルカリ中和物の水溶液とを混合した後、酸を添加し、顔料誘導体を析出させて顔料誘導体処理顔料を得る工程を有する製造方法によって得られたものであることが好ましい。このように、顔料誘導体処理顔料を得る工程を経ることで、顔料の分散性及び保存安定性により優れた顔料分散液を得ることができる。また、顔料誘導体は硬く、有機溶媒に難溶であることから、上記のように取り扱うことが好適である。
具体的には、まず、顔料を水で解膠する。顔料は合成直後の水ペーストの状態でもよいし、微細化顔料の水ペーストの状態でもよい。顔料の量は、水の量の10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがさらに好ましい。顔料を水で解膠するには、ディスパー、ホモジナイザー等の撹拌機や、ビーズミル等の分散機を用いることができる。次いで、顔料誘導体の水ペーストを、顔料誘導体の含有量が10質量%以下、好ましくは3質量%以下となるように水で希釈した後、アルカリ成分を添加し、顔料誘導体のカルボキシ基を中和して、顔料誘導体のアルカリ中和物の水溶液を調製する。アルカリ成分としては、アンモニア、有機アミン、及びアルカリ金属水酸化物等を用いることができる。アルカリ成分の量は、顔料誘導体が水に溶解する量とすればよく、顔料誘導体のすべてのカルボキシ基を中和するモル数以上のアルカリ成分を用いることが好ましい。
顔料を十分に解膠させた水スラリーと、顔料誘導体のアルカリ中和物の水溶液とを混合した後、酸を徐々に添加して顔料誘導体を析出させる。酸としては、塩酸や酢酸等の酸成分を用いることができる。これらの酸成分は、10質量%以下の水溶液の状態で用いることが好ましい。酸を添加することで、一分子又は数分子の単位で顔料の表面に顔料誘導体が析出し、顔料の少なくとも一部の表面の上に顔料誘導体が吸着した顔料誘導体処理顔料を得ることができる。得られた顔料誘導体処理顔料(以下、単に「処理顔料」とも記す)は、ろ過及び洗浄した後、さらに乾燥及び粉砕して用いることができる。
得られた処理顔料を、アミノ基を有する高分子分散剤を用いて、分散媒体である紫外線硬化性モノマー中に分散させる。高分子分散剤を用いることで、顔料粒子を微細に分散させることができる。また、顔料の表面に存在する、顔料誘導体に由来するカルボキシ基に、高分子分散剤のアミノ基がイオン結合し、顔料に高分子分散剤が吸着する。これにより、顔料の凝集が抑制され、保存安定性に優れた顔料分散液とすることができる。
処理顔料は、上述の方法以外の方法によって調製してもよい。例えば、顔料の水ペーストと顔料誘導体の水ペーストを混合した後、ろ過及び乾燥すれば、処理顔料を得ることができる。また、塩及び水溶性有機溶媒の存在下で顔料をミリングして微細化する際に、顔料誘導体の水ペーストを共存させる、又は、微細化後に顔料誘導体の水ペーストを添加する。次いで、水による洗浄、脱塩、及び脱溶媒した後、乾燥すれば、処理顔料を得ることができる。
<紫外線硬化型インクジェットインク>
上述の顔料分散液を用いれば、イエロー顔料やオレンジ顔料を用いながらも、これらの顔料の分散性及び保存安定性に優れた紫外線硬化型インクジェットインクを製造することができる。すなわち、本発明の紫外線硬化型インクジェットインクは、前述の顔料分散液を含有する紫外線硬化型のインクジェットインクである。
UVIJインクは、上述の顔料分散液以外の成分として、例えば、光重合開始剤、紫外線硬化性ポリマー、及び前述の添加剤等を含有する。光開重合始剤は、インクジェット法によって基材に付与されたインクに紫外線を照射することで紫外線硬化性モノマーを光重合させ、硬化した画像を形成するための成分である。光重合開始剤としては、ラジカルやカチオン等の活性種を生成し、紫外線重合性モノマーの重合を開始させるものであればよい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を用いることができる。なかでも、光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ケトオキシムエステル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤等を挙げることができる。UVIJインク中の光重合開始剤の含有量は、UVIJインク全体を基準として、3~12質量%であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が3質量%未満であると、硬化性がやや不足することがある。一方、光重合開始剤の含有量が12質量%超であると、光重合開始剤が残存したり、硬化膜が着色したりする場合がある。
各成分を混合して十分撹拌した後、必要に応じてフィルターでろ過して粗大粒子や異物等を除去することで、UVIJインクを得ることができる。得られたUVIJインクを用いることで、インクジェット記録法によって様々な被印刷基材に画像を記録する(印刷する)ことができる。被印刷基材としては、紙、印画紙、写真光沢紙、プラスチックフィルム、布地、セラミックス、金属等を挙げることができる。上記のUVIJインクを用いることで、高彩度及び高発色性であるとともに、密着性及び耐摩擦性等の耐久性に優れた印刷皮膜である画像を形成することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<顔料誘導体の合成>
(合成例1)
C.I.ピグメントイエロー155(PY-155、商品名「イングジェットイエロー4GC」、クラリアント社製)50部及びイオン交換水1,000部をフラスコに入れて撹拌し、混合液を得た。得られた混合液の一滴をろ紙(No.2)にスポットしたところ、裏抜けせずにろ紙の表面に残存した。得られた混合液に5%水酸化ナトリウム水溶液500部を添加し、80℃に加温して4時間反応させて、少し緑味を帯びた黄色の反応液を得た。得られた反応液の一滴をろ紙にスポットしたところ、裏抜けした。これにより、得られた反応液が溶解状態であることを確認した。
室温まで冷却後、pHを測定しながら5%塩酸を徐々に滴下した。pH3.5付近で増粘した。さらに塩酸を滴下して、pH2.8の反応液とした。得られた反応液の一滴をろ紙にスポットしたところ、裏抜けせず、赤味黄色の粉末がろ紙の表面に残存した。反応液をろ過した後、イオン交換水でよく洗浄し、固形分11.0%の水ペーストを得た。
得られた水ペースト1部を100℃の乾燥機で24時間乾燥させた後に粉砕し、赤味が強く、硬い粉体を得た。赤外分光光度計を使用して分析したところ、PY-155の構造中のメチルエステルに由来する1,713cm-1の吸収ピークがほとんど消失し、カルボキシ基に由来する1,695cm-1付近の吸収ピークが生成したことを確認した。これにより、PY-155の構造中のメチルエステルのすべてが加水分解してカルボキシ基となり、目的とする顔料誘導体(以下、「SYN」とも記す)が得られたことを確認した。
粉砕機を使用して得たSYNの粉砕物0.1gを、各10mLのトルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、フェノキシエチルアクリレート(PEA)、及びイソボルニルアクリレート(IBXA)にそれぞれ加えて撹拌した。その結果、いずれの液媒体にもほとんど溶解しないことを確認した。
<処理顔料の製造>
(製造例1)
水酸化ナトリウム2.5部及び水900部をフラスコに入れて撹拌した後、合成例1で得たSYNの水ペースト90.9部添加し、SYNの水溶液を得た。SYNの水溶液の一部をろ紙にスポットしたところ裏抜けした。これにより、SYNが溶解していることを確認した。PY-155 100部及び水2,000部をフラスコに入れ、ディスパーを用いて2,000回転で撹拌しながらSYNの水溶液を添加し、そのまま2時間撹拌して、pH79の顔料スラリーを得た。得られた顔料スラリーの一滴をろ紙にスポットしたところ、顔料がろ紙の表面に残存するとともに、SYNが黄色く滲んで裏抜けした。得られた顔料スラリーに5%塩酸を徐々に添加してpH2.8とした。pH3.0付近でわずかに増粘した。顔料スラリーの一滴をろ紙にスポットしたところ、水不溶性となって析出したSYNがろ紙の表面に残存した。顔料スラリーをろ過及び洗浄した後、100℃で24時間乾燥し、さらに粉砕機で粉砕して処理イエロー顔料(処理Y-1)を得た。不揮発分(120℃恒量)は99.4%であった。
(製造例2~5)
表1に示す処方としたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、処理イエロー顔料(処理Y-2及び処理Y-3)、及び処理オレンジ顔料(処理O-1及び処理O-2)を得た。表1中の略号の意味を以下に示す。
・PY-180:C.I.ピグメントイエロー180(大日精化工業社製)
・PO-43:C.I.ピグメントオレンジ43(大日精化工業社製)
Figure 2023058215000008
<高分子分散剤の合成>
(合成例2)
片末端アミノ化ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノメチルエーテル(M2005、商品名「ジェファーミンM2005」、ハンツマン社製、m+n=35(m=29、n=6)、実測アミン価28.05mgKOH/g)100部(0.05mol)を反応装置に入れ、10℃の水浴につけた。メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI、商品名「カレンズMOI」、昭和電工社製)7.75部(0.05mol)を30分間かけて反応装置内に滴下し、反応させた。反応溶液の一部をサンプリングしてIR測定し、MOI由来のイソシアネート基の消失及び尿素結合の生成を確認した。また、電位差自動滴定装置を使用し、0.1mol/L 2-プロパノール性塩酸溶液を用いて測定した生成物のアミン価は、0.1mgKOH/gであった。これにより、アミノ基とイソシアネート基の反応がほぼ完結していることを確認した。得られた生成物は、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノメチルエーテル(PPG/PEG)の片末端にメタクリロイル基が結合したマクロモノマーである。また、テトラヒドロフラン(THF)を展開溶液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、マクロモノマーのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、3,400であった。
次いで、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(ユニルーブ、商品名「ユニルーブ50MB-26」、日油社製、平均分子量2,000)86.7部、α-メチルスチレン3.0部、メチルメタクリレート(MMA)10部、及び2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)35部を添加し、窒素をバブリングさせながら加温した。内温が75℃となった時点で、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(V-601、商品名「V-601」、富士フイルム和光純薬社製)5.0部を添加し、75℃に加温して4時間重合した。V-601 0.5部をさらに添加し、75℃で4時間重合した。反応溶液の一部をサンプリングして測定した生成物のMnは15,600であり、分散度(PDI=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は1.96であった。GPCのチャートにおけるポリマーと溶媒(ユニルーブ)のピーク面積比から算出した反応液中のポリマー濃度は、64.3%であった。また、反応液中のポリマーのアミン価(ポリマー換算)は、77.4mgKOH/gであった。以上より、アミノ基を持った主鎖と、この主鎖にポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖がグラフトしたグラフト鎖とを有する高分子分散剤(ポリマー)である分散剤(D-1)を含む溶液(D-1S)を得た。
(合成例3)
合成例2と同様にして、アミノ基を持った主鎖と、この主鎖にポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖がグラフトしたグラフト鎖とを有するポリマーのユニルーブ溶液を得た。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩化ベンジル14.1部及びユニルーブ14.1部の混合液を1時間かけて滴下した。80℃に加温して5時間反応させて、アミノ基を第4級アンモニウム塩化した。反応液の一部をサンプリングし、0.1mol/L塩化リチウム-ジメチルホルムアミド(Li-DMF)溶媒を展開溶媒とするGPCにて測定したポリマーのMnは18,600であり、PDIは2.36であった。また、反応液中のポリマーの含有量は63.0%であり、ポリマーのアミン価(ポリマー換算)は35.1mgKOH/gであった。以上より、アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を持った主鎖と、この主鎖にポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖がグラフトしたグラフト鎖とを有する高分子分散剤(ポリマー)である分散剤(D-2)を含む溶液(D-2S)を得た。
(合成例4)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)341部、ヨウ素3.0部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-65、商品名「V-65」、富士フイルム和光純薬社製)9部、MMA52部、ブチルメタクリレート52.6部、2-エチルヘキシルメタクリレート52部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート94.2部、及びN-アイオドスクシンイミド0.1部を反応装置に入れて撹拌し、窒素を流しながら62℃で4時間重合した。反応液の一部をサンプリングして測定したポリマーのMnは9,500であり、PDIは1.21であった。150℃の乾燥機で恒量に達した不揮発分は42.9%であり、ほぼ100%重合していたことを確認した。
DMAEMA108.3部及びV-65 3部を添加し、62℃で5時間重合した。室温まで冷却した後、塩化ベンジル21.8部及びBDG157.7部の混合液を1時間かけて滴下し、80℃で5時間反応させてポリマーを含む重合溶液を得た。不揮発分から算出した重合率及び反応率は、いずれも約100%であり、不揮発分は43.2%であった。得られたポリマーのMnは14,600であり、PDIは1.36であり、アミン価(ポリマー換算)は75.6mgKOH/gであった。得られたポリマーは溶媒に親和するポリマーブロックAと、アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマーブロックBと、を有するABブロックコポリマーである。
イオン交換水1,178部をフラスコに入れ、ディスパーを使用して2,000回転で撹拌した。重合溶液149.6部を添加したところ、ポリマーが水に溶解し、若干青い半透明のポリマー水溶液を得た。ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(TFSIリチウム塩)6.7部及び水20部の混合液を徐々に滴下したところ、ポリマーが析出した。第4級アンモニウム塩基のクロライドイオンとTFSIイオンがイオン交換し、ポリマー水不溶となって析出したと考えられる。重合溶液をろ過した後、イオン交換水でよく洗浄し、100℃の乾燥機で乾燥させて固体の高分子分散剤(ポリマー)である分散剤(D-3)を得た。得られたポリマーのMnは17,600であり、PDIは1.44であり、不揮発分は99.8%であり、アミン価は68.7mgKOH/gであった。得られたポリマーは、溶媒に溶解するポリマーブロックAと、アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を持ったポリマーブロックBと、を有するABブロックコポリマーである。このポリマーブロックBの第4級アンモニウム塩基は、クロライドイオン及びTFSIイオンを対イオンとするものである。
<顔料分散液の製造>
(実施例1)
処理Y-1 20部、D-1S 6.2部(分散剤4部)、フェノキシエチルアクリレート(PEA)73.8部、及びp-メトキシフェノール(HP)0.25部を樹脂製の容器に入れ、ディスパーを用いてよく撹拌して顔料スラリーを得た。直径0.5mmφのジルコニアビーズ300部を添加して密栓し、スキャンデックスを使用して60分間分散処理して分散液を得た。0.5μmのフィルターでろ過して粗大粒子を除去した後、PEAを添加して濃度を調整し、イエロー色顔料分散液-1(顔料分15%)を得た。E型粘度計を使用し、60rpm、25℃の条件で測定したイエロー色顔料分散液-1の粘度(初期粘度)は、29.3mPa・sであった。また、動的光散乱式の粒子径分布測定装置を使用して測定した顔料粒子の数平均粒子径(初期数平均粒子径)は、111.0nmであった。イエロー色顔料分散液-1を60℃で1週間放置する保存試験を行った。保存試験後のイエロー色顔料分散液-1の粘度(保存後粘度)は28.4mPa・sであり、顔料粒子の数平均粒子径(保存後数平均粒子径)は110nmであった。
(比較例1)
PY-155 18.2部、顔料誘導体(商品名「ソルスパース22000」、ルーブリゾール社製、顔料類似構造)1.8部、D-1S 6.2部(分散剤4部)、PEA73.8部、及びHP0.25部を樹脂製の容器に入れた。なお、用いた顔料誘導体は、一般式(1)で表される構造を有しないものである。それ以降は、前述の実施例1と同様にして、イエロー色の顔料分散液を得た。得られた顔料分散液の初期粘度は69.3mPa・sであり、顔料粒子の初期数平均粒子径は201nmであった。また、保存試験後の顔料分散液は流動性がなく、分散状態を保っていなかった。
(実施例2)
樹脂製の容器に、 PY-155 18.2部、合成例1で得た顔料誘導体(SYN)の粉末1.8部、D-1S 6.2部(分散剤4部)、PEA73.8部、及びHP0.25部を樹脂製の容器に入れた。それ以降は、前述の実施例1と同様にして、イエロー色の顔料分散液を得た。得られた顔料分散液の初期粘度は36.4mPa・sであり、顔料粒子の初期数平均粒子径は156nmであった。また、フィルターの残分に赤色の粗大粒子が確認された。顔料分散液の保存後粘度は49.3mPa・sであり、顔料粒子の保存後数平均粒子径は186nmであった。保存することで粘度及び顔料粒子の粒子径が増大したが、顔料分散液としての流動性はある程度保持されていた。
(実施例3~15)
表2~4に示す配合処方としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、各顔料分散液を得た。表4中の略号の意味を以下に示す。
・BzA:ベンジルアクリレート
・IBXA:イソボルニルアクリレート
・ACMO:アクリロイルモルホリン
・VEEA:ビニロキシエトキシエチルアクリレート
Figure 2023058215000009
Figure 2023058215000010
Figure 2023058215000011
<UVIJインクの製造>
(実施例16)
実施例1で得たイエロー顔料分散液-1 18部、PEA53.5部、VEEA19部、光重合開始剤1(商品名「ルシリンTPO」、BASF社製)5部、及び光重合開始剤2(商品名「イルガキュア819」、BASF社製)4.5部を混合し、十分撹拌した後、5μmのフィルターでろ過してUVIJインクを得た。得られたUVIJインク中の顔料粒子の数平均粒子径は108nmであり、UVIJインクの粘度は4.9mPa・sであった。また、保存試験後のUVIJインク中の顔料粒子の数平均粒子径は107.1nmであり、保存後のUVIJインクの粘度は4.8mPa・sであった。
得られたUVIJインクをインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンター(商品名「EB100」、コニカミノルタ製)に装填した。このインクジェットプリンターを使用し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに1時間連続してベタ画像を記録した。その結果、記録ヘッドの詰まり等が生ずることなく、スムースに画像を記録することができた。また、記録した画像にはスジやヨレ等が生じておらず、インクの吐出安定性が良好であった。
UVランプを使用して記録した画像に紫外線を照射し、画像を硬化させて印画サンプルを得た。カッターを用いて得られた印画サンプルに碁盤目状に切れ目を入れた後、セロファンテープを貼り付けてから一気に剥がす密着性(定着性)試験を行った。その結果、硬化させた画像はまったく剥がれることなく、良好な状態でフィルムと密着していた。また、PETフィルムに代えて、塩化ビニルフィルム及び表面処理ポリプロピレンフィルムをそれぞれ用いて画像を記録し、同様の密着性(定着性)試験を行った。その結果、いずれのフィルムに記録した画像も剥がれることなく、良好な状態でフィルムと密着していた。
また、実施例3~15で得た顔料分散液をそれぞれ用いて同様にUVIJインクを調製したところ、いずれのUVIJインクについても微分散性、保存安定性、及び吐出安定性が良好であった。
本発明の顔料分散液は、特に、透明なプラスチックフィルム等の基材に印刷するUVIJインクを調製するための原材料として有用である。

Claims (6)

  1. イエロー顔料及びオレンジ顔料の少なくともいずれかを含む顔料、顔料誘導体、アミノ基を有する高分子分散剤、及び紫外線硬化性モノマーを含有する、紫外線硬化型インクジェットインクに用いられる顔料分散液であって、
    前記顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される構造を有する顔料分散液。
    Figure 2023058215000012
    (前記一般式(1)中、XはOH又はOCHを示し、4つのXのうち2以上がOHである)
  2. 前記顔料100質量部に対する前記顔料誘導体の含有量が、3~20質量部である請求項1に記載の顔料分散液。
  3. 前記高分子分散剤が、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、及びビニルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも一種に由来する、一部のアミノ基が第4級アンモニウム塩化していてもよい構成単位(1)3~50質量%、下記一般式(2)で表されるマクロモノマーに由来する構成単位(2)40~90質量%、及びその他のモノマーに由来する構成単位(3)0.5~20質量%を有する、アミン価が0.5~100mgKOH/g、数平均分子量が5,000~20,000のポリマーである請求項1又は2に記載の顔料分散液。
    Figure 2023058215000013
    (前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、AはO又はNHを示し、Qはエチレン基又はメチルエチレン基を示し、YはO、NHCOO、又はNHCONHを示し、m及びnは、相互に独立に、0以上の平均繰り返し単位数を示すとともに、m+n=20~100であり、Rは水素原子、炭素数1~18のアルキル基、アリール基、又はアルキルアリール基を示す)
  4. 前記イエロー顔料が、C.I.ピグメントイエロー74、128、138、139、150、155、180、及び185からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記オレンジ顔料が、C.I.ピグメントオレンジ16、34、43、及び64からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1~3のいずれか一項に記載の顔料分散液。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の顔料分散液の製造方法であって、
    前記顔料と、前記顔料誘導体のアルカリ中和物の水溶液とを混合した後、酸を添加し、前記顔料誘導体を析出させて顔料誘導体処理顔料を得る工程を有する顔料分散液の製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれか一項に記載の顔料分散液を含有する紫外線硬化型インクジェットインク。

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