JP2016164207A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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未来 石川
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裕子 西脇
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Abstract

【課題】写像性に優れているとともに、干渉が抑制された画像を記録することが可能な水性のインク、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】顔料、ウレタン樹脂、アクリル樹脂粒子、及びポリエーテル変性シロキサン化合物を含有する水性のインク、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法である。ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有し、ポリエーテル変性シロキサン化合物の重量平均分子量が、10,000以上50,000以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方法によって記録される画像の耐光性、耐ガス性、及び耐水性などの堅牢性を優れたものとするために、色材として顔料を含有するインク(顔料インク)が用いられるようになっている。一般的に、顔料が粒子であることに起因して、表面に光沢を有する記録媒体(光沢紙)に顔料インクで記録した画像の写像性は、染料インクで記録した画像の写像に比べて不十分であるという課題がある。「写像性」は、画像表面に映った像の鮮鋭度を示す特性の一つである。例えば、写像性が低い場合には像がぼやけて見え、写像性が高い場合には像がくっきり見える。写像性はヘイズ値によって評価することができ、例えばヘイズ値が低いほど写像性が高いことを意味する。
上記の課題を解決すべく、これまでに様々な試みがなされてきた。例えば、水溶性樹脂を含有するインクが提案されている。そして、画像の写像性をさらに向上させるために、水溶性樹脂のなかでも水溶性ウレタン樹脂を用いることが提案されている。但し、写像性に優れた画像を記録しうるインクを用いると、画像に干渉が発生することが新たな課題となってきた。ここでいう画像の干渉とは薄膜干渉を意味し、ブロンズとは異なる反射光の色付きが画像の一部で認められる現象をいう。特に近年、より写像性に優れた画像を記録することが求められているため、干渉がより顕著となっている。
関連する従来技術として、例えば、水溶性アクリル樹脂とアクリル樹脂粒子を含有するインクが提案されている(特許文献1)。また、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂とアクリル樹脂粒子を含有するインクが提案されている(特許文献2)。さらに、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂とポリエーテル変性シロキサン化合物を含有するインクが提案されている(特許文献3)。
また、ポリエーテル変性シロキサン化合物とアクリル樹脂粒子を含有するインクが提案されている(特許文献4)。さらに、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂、ポリオレフィンワックス、及び分子量10,000以下のポリエーテル変性シロキサン化合物を含有するインクが提案されている(特許文献5)。
特開平06−145570号公報 特開2008−063546号公報 特開2006−282760号公報 特開2013−189597号公報 特開2013−064082号公報
本発明者らは、前述した従来のインクについて検討を行った。その結果、いずれのインクを用いた場合であっても、記録される画像の干渉抑制及び写像性を高いレベルで両立することは困難であることがわかった。まず、特許文献1で提案されたインクを調製して評価したところ、画像の干渉を抑制する効果は認められたが、写像性を向上させる効果は認められなかった。また、特許文献2で提案されたインクを調製して評価したところ、画像の干渉を抑制する効果が認められた。しかし、写像性については、特許文献1で提案されたインクを用いた場合よりは向上したものの、満足のいくレベルに達しないことがわかった。
さらに、特許文献3で提案されたインクを調製して評価したところ、写像性はかなり向上することがわかったが、干渉を抑制する効果は認められなかった。また、特許文献4で提案されたインク及び特許文献5で提案されたインクを調製して評価したところ、いずれのインクについても、干渉を抑制する効果及び写像性の向上効果のいずれも満足のいくレベルに達しないことがわかった。
したがって、本発明の目的は、写像性に優れているとともに、干渉ムラが抑制された画像を記録することが可能な水性のインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料、ウレタン樹脂、アクリル樹脂粒子、及びポリエーテル変性シロキサン化合物を含有する水性のインクであって、前記ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有し、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の重量平均分子量が、10,000以上50,000以下であることを特徴とするインクが提供される。
本発明によれば、写像性に優れているとともに、干渉ムラが抑制された画像を記録することが可能な水性のインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
干渉現象を説明する模式図である。 本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。本発明における各種の物性値は、特に断りのない限り25℃における値である。
本発明者らは、顔料、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂、アクリル樹脂粒子、及び重量平均分子量が10,000以上50,000以下のポリエーテル変性シロキサン化合物をインクに含有させた。その結果、干渉抑制と写像性向上が両立した画像を記録可能となることを見出した。このような効果が得られるメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
図1は、干渉現象を説明する模式図である。図1に示すように、顔料層60を有する画像が記録された記録媒体50に光(入射光110及び120)が入射した場合を想定する。この場合、画像の最表面(顔料層60の表面)において一部の入射光110が反射され、反射光1が生ずる。一方、顔料層60を透過した入射光120は、顔料層60と記録媒体50の界面(記録媒体50の表面)において反射され、反射光2が生ずる。その結果、反射光1と反射光2が薄膜干渉を起こし、ブロンズ現象とは異なった反射光の色付きが起こる現象が干渉現象である。反射光の色付きの原因となる干渉光の色味は光路差に依存する。このため、光路差が多様になるほど干渉光の色味が増加して干渉が抑制される。以上の点を踏まえ、まず、水溶性アクリル樹脂及び樹脂粒子を含有する顔料インクを用いた場合に、写像性は向上しないが干渉が抑制される原因について以下に考察する。
干渉は、光の光路差の種類の増加に伴って抑制されることを考慮し、樹脂粒子を含有するインクで形成された顔料層に着目する。樹脂粒子を含有するインクを用いると、樹脂粒子に起因して顔料層中に空隙が形成される。画像(顔料層)の最表層で反射されず顔料層内部に入射した光は空隙で反射される。顔料層中の空隙はランダムに存在するため、種々の異なる光路差が発生し、干渉光の色味が増加して干渉が抑制されると考えられる。本発明者らは写像性をさらに向上させるべく、水溶性アクリル樹脂に代えて、表面エネルギーをより高めてドットの濡れ性を高める水溶性ウレタン樹脂を用いた。その結果、写像性は向上したが干渉が抑制されなくなることが判明した。これは、顔料層中に空隙が存在しなくなったためであると推測される。
水溶性アクリル樹脂は、樹脂中の酸基が記録媒体のプロトンと反応するため、直ちに凝集して樹脂粒子によって形成された空隙を保持する。一方、水溶性ウレタン樹脂は、樹脂中の酸基が記録媒体のプロトンと反応するが、ポリオール部分を有するために直ちに凝集せず、空隙を埋めてしまう。このため、水溶性アクリル樹脂に代えて水溶性ウレタン樹脂を含有するインクを用いた場合には、干渉を抑制する効果が得られなかったものと考えられる。このように、水溶性ウレタン樹脂及び樹脂粒子を含有する顔料インクで画像を記録すると、水溶性ウレタン樹脂により表面エネルギーが上昇するため、写像性は向上する。一方で、樹脂粒子によって形成される空隙が埋まって干渉が抑制されなくなるため、干渉抑制と写像性向上が両立しないと考えられる。
本発明者らは、顔料インクで形成される顔料層の表面に水溶性ウレタン樹脂を残したまま、顔料層中の空隙を存在させることで、干渉抑制と写像性向上を両立しうるのではないかと考え、引き続き検討した。その結果、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂、特定のポリエーテル変性シロキサン化合物、及びアクリル樹脂粒子を用いることで、干渉抑制と写像性向上を両立しうることを知見し、本発明のインクを見出した。
本発明のインクの構成によって干渉抑制効果が向上したメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂と、ポリエーテル変性シロキサン化合物とは、類似性の高いポリエーテル部分を有するため相互作用する。このため、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂は、ポリエーテル変性シロキサン化合物の界面配向性により、ポリエーテル変性シロキサン化合物とともに界面に配向しやすくなる。一方、アクリル樹脂粒子と顔料はポリエーテル部分を有しないため、ポリエーテル変性シロキサン化合物と相互作用せず、顔料層の表層に残りにくい。このため、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂及びポリエーテル変性シロキサン化合物が存在する上層と、アクリル樹脂粒子及び顔料が存在する下層とを備えた、2層構造を有する顔料層が形成されると考えられる。2層構造を有する顔料層が形成されることで、アクリル樹脂粒子によって形成された顔料層中の空隙が保持される。このため、顔料層を透過した入射光は空隙の界面で反射されることとなり、干渉が抑制されると考えられる。
また、顔料層を構成する上層と下層の間の界面には、下層中のアクリル樹脂及び顔料によって凹凸構造が形成されると考えられる。このため、入射光は凹凸構造を有する界面で様々な光路へと反射される。したがって、干渉光が増加して反射光の色付きが白色に近付き、干渉が抑制されると考えられる。
また、本発明のインクの構成によって写像性が向上したメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。写像性を向上させるには、ドットの表面エネルギーを高め、顔料層上に付与されたドットを濡れ広がりやすくすることが必要である。水溶性ウレタン樹脂は、ドットの表面エネルギーを高める材料である。一方、シロキサン化合物はドットの表面エネルギーを低下させる材料である。すなわち、シロキサン化合物を用いると顔料層上に付与されたドットがはじかれるため、シロキサン化合物は写像性の低下が懸念される材料である。
検討の結果、本発明者らは、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂と、ポリエーテル変性シロキサン化合物を用いると、写像性が大幅に向上することを見出した。ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂と、ポリエーテル変性シロキサン化合物とは、類似性の高いポリエーテル部分を有するため相互作用する。また、ポリエーテル変性シロキサン化合物は界面配向性を有するため、強く相互作用したポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂は、より界面に配向しやすくなる。これにより、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂は効率的にインクのドット表面に存在することとなり、顔料層上に付与されたドットの濡れ広がりが促進され、写像性が向上すると考えられる。
以上の通り、画像の干渉抑制効果及び写像性向上効果を両立するためには、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂、特定のポリエーテル変性シロキサン化合物、及び樹脂粒子をインクに含有させることが必要である。
また、樹脂粒子として、アクリル系樹脂を用いると、ポリオレフィンワックスを用いた場合よりも、干渉抑制及び写像性のいずれも向上した。これは、アクリル樹脂粒子は、ポリエーテル変性シロキサン化合物とポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂のいずれとも相互作用せず、効率的に下層に残るためであると考えられる。アクリル樹脂粒子が下層に残ることで、2層間の界面に凹凸構造が形成されるとともに空隙が保持されるため、干渉抑制効果を得ることができる。一方、ポリオレフィンワックスを含有するインクで形成された顔料層の上層には、比重の軽いポリオレフィンワックスが存在することになる。このため、表面エネルギーの低いポリオレフィンワックスが顔料層の上層に存在するので、顔料層上に付与されたドットの濡れ性が低下してしまい、写像性が向上しないと考えられる。また、ウレタン樹脂、シロキサン化合物、及び樹脂粒子が上層に存在し、顔料が下層に存在するようになるため、2層間の界面に凹凸構造が形成されず、干渉抑制及び写像性のいずれも低下すると考えられる。
<インク>
本発明のインクは、顔料、ウレタン樹脂、アクリル樹脂粒子、及びポリエーテル変性シロキサン化合物を含有する水性のインクである。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
(顔料)
本発明のインクは、色材として顔料を含有する。顔料としては、当該技術分野で公知のカーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料を挙げることができる。なかでも、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料は、記録される画像の写像性などを考慮し、樹脂分散剤として用いる水溶性樹脂によってインク中に分散されていることが好ましい。本発明における「水溶性樹脂によってインク中に分散された顔料」の具体例としては以下に示すものを挙げることができる。なかでも(1)の態様が好ましい。
(1)水溶性樹脂が顔料の粒子表面に物理吸着したもの
(2)顔料の粒子の表面に水溶性樹脂中の有機基が化学的に結合して改質された樹脂結合型自己分散顔料
(3)水溶性樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料
樹脂分散剤として用いる水溶性樹脂は、2種以上のモノマーに由来する2以上のユニットを有する共重合体である。水溶性樹脂は、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂であることが好ましい。また、水溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリルエステルに由来する(メタ)アクリル構造を持つユニットを少なくとも有する、水溶性アクリル樹脂であることが好ましい。なお、以下の記載における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。
親水性ユニットは、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有するモノマー;メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有するモノマーなどを挙げることができる。
酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。水溶性樹脂は、通常、酸価を有するため、親水性ユニットには上述のアニオン性モノマーに由来するユニットが含まれる。水溶性樹脂は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物やアンモニア水などの中和剤により中和されることで水溶性となるものが好ましい。
疎水性ユニットは、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマーなどを挙げることができる。
水溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを親水性ユニットとして有するとともに、芳香環を有するモノマーに由来するユニットを疎水性ユニットとして有することが好ましい。さらに、水溶性樹脂は、メタアクリル酸に由来するユニットを親水性ユニットとして有するとともに、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来するユニットを疎水性ユニットとして有することが好ましい。これらの水溶性樹脂は、顔料との相互作用が特に生じやすいために好適である。水溶性樹脂(樹脂分散剤)の分子構造は特に限定されず、直鎖状、分鎖状、ランダム共重合体、及びブロック共重合体などのいずれであってもよい。
(ウレタン樹脂)
本発明のインクは、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂を含有する。ウレタン樹脂は水溶性であることが好ましい。インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。なかでも、0.1質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.3質量%以上2.5質量%以下であることが特に好ましい。
ウレタン樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当の水酸化カリウムにより中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の粒子の粒径を測定した場合に、粒径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱式の粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
ウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。さらに、ウレタン樹脂とその他の樹脂とを結合させたハイブリッド型の樹脂であってもよい。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネートや芳香族ポリイソシアネートなどを用いることができる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールを用いる。ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド及びポリオール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類などを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。また、アルキレンオキサイドと付加重合するポリオール類としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン、水素添加ビスフェノールA、ジメチロール尿素及びその誘導体などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ポリオキシプロピレントリオールなどのトリオールなどを挙げることができる。グリコール類としては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。
なかでも、ポリエーテルポリオールとして、(ポリ)アルキレングリコールを用いることが好ましく、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコールを用いることがさらに好ましい。すなわち、ポリ(オキシプロピレン)構造又はポリ(オキシテトラメチレン)構造を有するウレタン樹脂が好ましい。このようなウレタン樹脂は、その構造中のポリエーテルユニットの嵩高さが小さいため、立体障害とならず、相互作用が生じやすい構造となる。加えて、ポリエーテル変性シロキサン化合物との構造の類似性から相互作用しやすくなるため、写像性への効果が高い。
一方、ウレタン樹脂のポリエーテルが(ポリ)アルキレングリコールでない場合、ポリエーテル変性シロキサン化合物との構造の類似性が低く、相互作用が弱くなるため、写像性への効果がやや低くなる場合がある。また、相互作用しないウレタン樹脂とシロキサン化合物は樹脂粒子の空隙を埋め、2層構造を作らなくなるため、干渉抑制の効果がやや低くなる場合がある。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールの他に、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、酸基を有するポリオールなどを用いることができる。また、ウレタン樹脂は水溶性であることが好ましいため、その構造中にカルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基などの酸基;カルボニル基、ヒドロキシ基などの親水性基を含むことが好ましい。特に、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸などの酸基を有するポリオールを用いて合成された水溶性ウレタン樹脂を用いることが好ましい。酸基は塩の形態であってもよい。塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
鎖延長剤は、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応しうる化合物である。鎖延長剤としては、ジメチロールエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの多価アミン;ポリエチレンポリイミンなどの多価イミン;ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオールなどの多価アルコールを用いることができる。なかでも、多価アルコールを鎖延長剤として用いることが好ましい。多価アルコールを鎖延長剤として用いて合成された水溶性ウレタン樹脂を用いると、画像の写像性をより効果的に向上させることができる。また、多価アルコールのなかでもネオペンチルグリコールが特に好ましい。
多価アミンや多価イミンを鎖延長剤として用いて合成された水溶性ウレタン樹脂は、その構造中にカチオン性の部分を有するために凝集しやすい。このため、記録される画像表面の平滑性が低下しやすく、画像の写像性の向上効果が低下する場合がある。これに対して、ネオペンチルグリコールなどの多価アルコールを鎖延長剤として用いて合成された水溶性ウレタン樹脂は、その構造中にカチオン性の部分を有しないため、画像の写像性を特に効果的に向上させることができる。
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、10,000以上50,000以下であることが好ましい。ウレタン樹脂の重量平均分子量が10,000未満であると、ポリエーテル部分が少ないため、ポリエーテル変性シロキサン化合物との相互作用が弱くなり、ウレタン樹脂が界面に配向されなくなって写像性が十分に向上しない場合がある。また、相互作用しないウレタン樹脂はアクリル樹脂粒子によって形成される空隙を埋めてしまい、干渉抑制の効果を十分に得られなくなる場合がある。一方、ウレタン樹脂の重量平均分子量が50,000超であると、相互作用するポリエーテル部がポリエーテル変性シロキサン化合物よりも多くなる。このため、シロキサン化合物と相互作用しないウレタン樹脂が樹脂粒子の空隙を埋めてしまい、干渉抑制効果が十分に得られない場合がある。また、顔料層の表層に配向しないウレタン樹脂が存在すると推測されるため、写像性が十分に得られない場合がある。
ウレタン樹脂の酸価は、40mgKOH/g以上100mgKOH/gであることが好ましい。ウレタン樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であると、ウレタン樹脂のインクへ溶解性が不安定となるため、ポリエーテル変性シロキサン化合物との相互作用が弱くなり、写像性の向上効果がやや低くなる場合がある。一方、ウレタン樹脂の酸価が100mgKOH/g超であると、ウレタン樹脂に酸基を持たせるために通常使用される酸基を有するジオールに由来するユニットの量が多くなるため、ポリエーテルポリオールに由来するユニットの量が相対的に少なくなる。したがって、ウレタン樹脂と相互作用しないポリエーテル変性シロキサン化合物が樹脂粒子の空隙を埋める方向に働くため、干渉抑制効果が低下する場合がある。
(アクリル樹脂粒子)
本発明のインクはアクリル樹脂粒子を含有する。アクリル樹脂粒子は、ポリエーテル変性シロキサン化合物及びウレタン樹脂と相互作用しないため、効率的に下層に残る。アクリル樹脂粒子が下層に残ることで、2層間の界面に凹凸が形成されるとともに空隙が保持されるため、干渉抑制効果を得ることができる。一方、ポリオレフィン樹脂粒子やウレタン樹脂粒子を用いると、上記のような層構成が形成されないために干渉抑制効果を得ることができない。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットや、(メタ)アクリルエステルに由来するユニットなどのアクリル成分を少なくとも有するものであればよい。より具体的には、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂であることが好ましい。
親水性ユニットは、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有するモノマー;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有するモノマー;これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有するモノマーを挙げることができる。アニオン性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。なお、ポリエーテル部分となる構造を有するモノマーは用いないことが好ましい。
疎水性ユニットは、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマーなどを挙げることができる。
本発明においては、コアシェル構造を有する樹脂粒子を用いることが好ましい。コアシェル構造を有する樹脂粒子を用いることで、より写像性に優れた画像を記録することができる。コアシェル構造を有する樹脂粒子は、コア部分とシェル部分とで明確に機能分離される。疎水性ユニットのみを有するポリマーからなるコア部、及び親水性ユニットを含むポリマーからなるシェル部で構成されたコアシェル構造の樹脂粒子と、親水性ユニット及び疎水性ユニットを含むポリマーからなる単層構造の樹脂粒子とを比較する。上記コアシェル構造を有する樹脂粒子は、上記単層構造の樹脂粒子に比して、同じ酸価でも、より高いインクの吐出安定性を確保することができる。また、コア部に疎水性ユニットがあることで、記録媒体上の顔料層に樹脂粒子をより多く残すことができ、写像性がより高まると考えられる。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、50nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上130nm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の体積平均粒子径が50nm未満であると、樹脂粒子として記録媒体上に残りにくくなり、画像の写像性を十分に向上できない場合がある。また、樹脂粒子の体積平均粒子径が300nm超であると、画像の写像性を十分に向上できない場合がある。
本発明における「体積平均粒子径」は、体積基準の累積50%粒径(D50)を意味し、以下に示すような条件にしたがって測定することができる。まず、樹脂粒子を純水で50倍(体積基準)に希釈した測定試料を用意する。そして、粒度分布測定装置を使用し、以下に示す測定条件にしたがって測定試料中の樹脂粒子の体積平均粒子径を測定する。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
粒度分布測定装置としては、動的光散乱式の粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
(ポリエーテル変性シロキサン化合物)
本発明のインクは、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含有する。本発明における「ポリエーテル変性シロキサン化合物」とは、分子構造中にポリジメチルシロキサン骨格を有するとともに、ポリエーテル鎖(例えば、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなど)をさらに有する化合物をいう。
ポリエーテル変性シロキサン化合物の重量平均分子量は、10,000以上50,000以下である。重量平均分子量が10,000未満であると、構造中に含まれるポリエーテル部分が少ないため、ポリエーテル変性シロキサン化合物とポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂との相互作用が不十分になる。したがって、形成される顔料層中の空隙が樹脂粒子によって埋められてしまい、干渉が抑制されなくなる。また、界面にウレタン樹脂が配向しにくくなるために顔料層の濡れ性が低下し、写像性が低下する場合がある。一方、重量平均分子量が50,000超であると、構造中に含まれるシロキサン結合が多くなる。このため、ポリエーテル変性シロキサン化合物とポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂とが相互作用しても、ドットの表面エネルギーが低くなる。したがって、ドットが濡れ広がらずに写像性が不十分となる。
ポリエーテル変性シロキサン化合物の重量平均分子量は、テトラヒドロフランを移動相としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。以下、ポリエーテル変性シロキサン化合物の重量平均分子量の測定方法について説明する。測定条件の他、使用するフィルター、カラム、標準ポリスチレン試料、及び標準ポリスチレン試料の分子量などについては、以下に示すものに限られるものではない。
まず、測定対象となる試料(ポリエーテル変性シロキサン化合物)をテトラヒドロフランと混合して数時間静置し、ポリエーテル変性シロキサン化合物を溶解させて溶液を調製する。ポアサイズ0.45μmの耐溶剤性メンブランフィルター(例えば、商品名「TITAN2 Syringe Filter」、PTFE、0.45μm、SUN−SRi製)で調製した溶液をろ過して試料溶液を得る。試料溶液中のポリエーテル変性シロキサン化合物の濃度を0.1質量%乃至0.5質量%になるように適宜調整する。GPCには、RI検出器(Refractive Index Detector)を用いる。また、103〜2×106の分子量の範囲を正確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組み合わせて用いることが好ましい。例えば、商品名「Shodex KF−806M」(昭和電工製)を4本組み合わせたものや、これに相当するものを用いることができる。40.0℃のヒートチャンバー中で安定化させたカラムにテトラヒドロフランを流速1mL/分で流し、上記の試料溶液を約0.1mL注入する。ポリエーテル変性シロキサン化合物の重量平均分子量は、標準ポリスチレン試料で作成した分子量検量線を用いて決定する。標準ポリスチレン試料としては、分子量が102〜107程度のもの(例えば、Polymer Laboratories製)を用いる。また、少なくとも10種程度の標準ポリスチレン試料を用いることが適切である。
インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、ポリエーテル変性シロキサン化合物の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上5.00倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が0.05倍未満であると、ウレタン樹脂と相互作用しないポリエーテル変性シロキサン化合物の量が増加するため、相互作用しないポリエーテル変性シロキサン化合物が顔料層の空隙を埋めてしまい、干渉抑制効果が十分に得られない場合がある。一方、上記の質量比率が5.00倍超であると、ポリエーテル変性シロキサン化合物と相互作用しないウレタン樹脂の量が増加するため、樹脂粒子により形成される顔料層中の空隙が、相互作用に寄与しないウレタン樹脂で埋められやすくなる。また、界面に凹凸を有する2層構造が形成されにくくなるため、干渉抑制効果が十分に得られない場合がある。さらに、ポリエーテル変性シロキサン化合物と相互作用せずに界面に存在するウレタン樹脂の量が減少してしまい、顔料層上に付与されたドットの濡れ性が低下するため、写像性の向上効果がやや低下する場合がある。
ポリエーテル変性シロキサン化合物は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であることが好まし好ましい。下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物をポリエーテル変性シロキサン化合物として用いることで、干渉抑制効果をより高めることができるとともに、写像性により優れた画像を記録することができる。
下記一般式(1)〜(3)中、(C24O)はエチレンオキサイドユニットを示し、(C36O)はプロピレンオキサイドユニットを示す。エチレンオキサイドユニット及びプロピレンオキサイドユニットは、分子構造中において、ランダム状態で存在していても、ブロック状態で存在していてもよい。ここで、各ユニットが「ランダム状態で存在する」とは、エチレンオキサイドユニットとプロピレンオキサイドユニットとが不規則に配列していることを意味する。また、各ユニットが「ブロック状態で存在する」とは、複数のユニットを含んで構成されたブロックが規則的に配列していることを意味している。
Figure 2016164207
(前記一般式(1)中、R1は炭素数1以上20以下のアルキレン基を表し、R2は水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。mは1以上250以下の数を表し、nは1以上100以下の数を表し、aは1以上100以下の数を表し、bは0以上100以下の数を表す)
Figure 2016164207
(前記一般式(2)中、R3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基を表し、R4は、それぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基を表す。pは1以上450以下の数を表し、cは1以上250以下の数を表し、dは0以上100以下の数を表す)
Figure 2016164207
(前記一般式(3)中、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基を表し、R6は、それぞれ独立に、炭素数1以上20以下のアルキレン基を表す。qは1以上100以下の数を表し、rは1以上100以下の数を表し、eは1以上100以下の数を表し、fは0以上100以下の数を表す)
一般式(1)中、R1は炭素数1以上10以下のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基であることがさらに好ましい。R2は炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、エチル基又はプロピル基であることがさらに好ましい。nは1以上100以下であることが好ましく、1以上50以下の数であることがさらに好ましい。aは1以上100以下の数であることが好ましく、1以上50以下の数であることがさらに好ましい。bは0以上100以下の数であることが好ましく、1以上50以下の数であることがさらに好ましい。
一般式(2)中、R3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、水素原子、エチル基、又はプロピル基であることがさらに好ましい。また、R4は、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基であることがさらに好ましい。pは1以上450以下の数であることが好ましく、1以上100以下の数であることがさらに好ましく、1以上50以下の数であることが特に好ましい。
一般式(3)中、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、水素原子、エチル基、又はプロピル基であることがさらに好ましい。また、R6は、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基であることがさらに好ましい。eは1以上100以下の数であることが好ましく、1以上50以下の数であることがさらに好ましい。fは1以上100以下の数であることが好ましく、1以上50以下の数であることがさらに好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記式で表される2種の化合物を付加反応させ、ポリシロキサンの水素原子にアルケニル基を付加させることによって合成することができる。下記式中、mは1以上250以下の数を表し、nは1以上100以下の数を表し、aは1以上100以下の数を表し、bは0以上100以下の数を表し、Rは炭素数1以上20以下のアルケニル基を表す。
Figure 2016164207
一般式(2)で表される化合物は、例えば、下記式で表される2種の化合物を付加反応させ、ポリシロキサンの水素原子にアルケニル基を付加させることによって合成することができる。下記式中、pは1以上450以下の数を表し、cは1以上250以下の数を表し、dは0以上100以下の数を表し、Rは炭素数1以上20以下のアルケニル基を表す。
Figure 2016164207
一般式(3)で表される化合物は、例えば、下記式で表される2種の化合物を付加反応させ、ポリシロキサンの水素原子にアルケニル基を付加させることによって合成することができる。下記式中、qは1以上100以下の数を表し、eは1以上100以下の数を表し、fは0以上100以下の数を表し、Rは炭素数1以上20以下のアルケニル基を表す。
Figure 2016164207
ポリエーテル変性シロキサン化合物は、一般式(1)で表される化合物であることが、干渉がより抑制され、かつ、写像性にさらに優れた画像を記録することができるために好ましい。一般式(1)で表される化合物は、界面に配向しやすく、ウレタン樹脂を効率良く表面に残すことができる。このため、干渉抑制効果をより高めることができ、写像性により優れた画像を記録することができる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、さらには15.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、高いレベルのインクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図2は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図2に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図3は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
本発明のインクを用いて記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、コート層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。特に、インク中の顔料粒子の少なくとも一部を記録媒体の表面やその近傍に存在させることができる、コート層を有する記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体は、画像を記録した記録物の使用目的などに応じて選択することができる。例えば、写真画質の光沢感を有する画像を得るのに適している光沢紙や、絵画、写真、及びグラフィック画像などを好みに合わせて表現するために、基材の風合い(画用紙調、キャンバス地調、和紙調など)を生かしたアート紙などが挙げられる。なかでも、コート層の表面が光沢性を持つ、いわゆる光沢紙を用いることが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
顔料10.0部、樹脂分散剤の水溶液25.0部、及び水65.0部の混合物を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を80%としたビーズミルに入れ、回転数1,800rpmで5時間分散させた。ビーズミルとしては、アシザワファインテック製の商品名「LMZ2」を用いた。顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた。また、樹脂分散剤の水溶液としては、酸価215mgKOH/g、重量平均分子量8,500のアクリル酸系樹脂を、酸価の0.95当量となる水酸化カリウムで中和した、樹脂(固形分)の含有量が20.0%の水溶液を用いた。このアクリル酸系樹脂は、BASF製の商品名「ジョンクリル678」である。分散後、遠心分離により粗大粒子を含む非分散物を除去した。さらに、ポアサイズの3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤の含有量が5.0%の顔料分散液を調製した。
<ウレタン樹脂の合成>
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び冷却管を備えた四つ口フラスコに、表1に示す種類のポリオール38.0g、イソホロンジイソシアネート44.5g、及びジブチル錫ジラウレート0.007gを入れ、窒素雰囲気下、温度100℃で5時間反応させた。温度65℃以下に冷却した後、ジメチロールプロピオン酸14.5g、ネオペンチルグリコール3.0g、及びメチルエチルケトン150.0gを添加し、温度80℃で反応させた。その後、温度40℃に冷却し、メタノール20.0gを加えて反応を停止させた。次いで、適量のイオン交換水を添加し、ホモミキサーで撹拌しながら、樹脂を中和するために必要な水酸化カリウム水溶液を添加した。
その後、加熱減圧下でメチルエチルケトン及び未反応のメタノールを留去して、樹脂(固形分)の含有量が10.0%であるウレタン樹脂1〜8の水溶液を得た。ウレタン樹脂の酸価は、電位差自動滴定装置を使用し、水酸化カリウム/エタノール滴定液で電位差滴定することにより測定した。また、ウレタン樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた。なお、得られるウレタン樹脂の重量平均分子量は、温度80℃での反応時間を適宜変化させて調整した。各樹脂の酸価及びポリスチレン換算の重量平均分子量を表1に示す。なお、ポリオールに付した数値は、ポリオールの数平均分子量である。
Figure 2016164207
<樹脂粒子の合成>
(樹脂粒子1〜3)
以下に示す手順にしたがって樹脂粒子を合成した。樹脂粒子の体積平均粒子径は、樹脂(固形分)の含有量が0.4%になるように純水で希釈して調製した水分散液を測定用試料とし、粒度分布測定装置(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を使用して以下に示す測定条件にしたがって測定した。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
屈折率:1.5
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル100.0部を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で110℃に昇温させた。2−エチルヘキシルアクリレート38.0部、メチルメタクリレート34.0部、及びアクリル酸28.0部の混合物と、t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)1.3部のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、減圧下でエチレングリコールモノブチルエーテルを除去して固形の樹脂(シェルポリマー)を得た。得られたシェルポリマーに酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加え、80℃で中和溶解して、固形分(シェルポリマー)の含有量が30.0%であるシェルポリマーの水溶液を得た。シェルポリマーの酸価は216mgKOH/g、重量平均分子量は15,000であった。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに表2に示す量のシェルポリマーの水溶液を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。表2に示す量の2−エチルヘキシルアクリレートとメチルメタクリレートの1:4(質量比)の混合物及び水を添加した後、過硫酸カリウム(重合開始剤)1.0部を水16.7部に溶解した液体を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、適量のイオン交換水を添加して固形分を調整した。これにより、樹脂(固形分)の含有量が10.0%である、コアシェル構造を有する樹脂粒子1〜3を含む水分散液を得た。得られた各水分散液中の樹脂粒子の体積平均粒子径を表2に示す。
Figure 2016164207
(樹脂粒子4)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに水100.0部を入れて窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。水100.0部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.0部、2−エチルヘキシルアクリレート24.8部、メチルメタクリレート58.4部、及びアクリル酸16.8部の混合物と、5%過硫酸カリウム水溶液10.0部を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、適量のイオン交換水を加え、樹脂(固形分)の含有量が25.0%である樹脂粒子4の水分散液を得た。樹脂粒子4の酸価は130mgKOH/g、体積平均粒子径は101nmであった。
<ポリエーテル変性シロキサン化合物の合成>
(化合物1〜5)
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器に下記式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(B)で表されるポリオキシアルキレン化合物を入れた。白金触媒の存在下で付加反応させて、一般式(1)で表される化合物を合成した。合成した各化合物の特性を表3に示す。なお、下記式(A)及び(B)中のm、n、R1、R2、a、及びbは、合成した各化合物の構造を表す一般式(1)中のm、n、R1、R2、a、及びbにそれぞれ対応する。また、表3には、一般式(1)で表される構造を有する市販の化合物(商品名「BYK348」、ビックケミー製)の重量平均分子量及びHLB値も示す。
Figure 2016164207
Figure 2016164207
(化合物6)
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器に下記式(C)で表されるポリシロキサン化合物(p=99)及び下記式(D)で表されるポリオキシエチレン化合物(R3はH、R4はCH2=CH−CH2−、c=150、d=0)を入れた。白金触媒の存在下で付加反応させて、化合物6を合成した。得られた化合物6の重量平均分子量は22,000であった。
Figure 2016164207
(化合物7)
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器に下記式(E)で表されるポリシロキサン化合物(q=14)及び下記式(F)で表されるポリオキシエチレン化合物(R5はH、R6はCH2=CH−CH2−、e=25、f=0)を入れた。白金触媒の存在下で付加反応させて、化合物7を合成した。得られた化合物7の重量平均分子量は20,000であった。
Figure 2016164207
<インクの調製>
表4−1〜4−4の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表4−1〜4−4の下段にはインクの特性を示した(ポリエーテル変性シロキサン化合物の含有量を「Si化合物の含有量」と表記した)。また、表4−1〜4−4中の「アクリル樹脂の水溶液」、「ケミパールW4005」、「BYK348」、及び「アセチレノールE100」の詳細を以下に示す。
・アクリル樹脂の水溶液:酸価160mgKOH/g、重量平均分子量8,000のアクリル樹脂を、酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水に溶解させて得た、樹脂(固形分)の含有量が10.0%の水溶液である。このアクリル樹脂は、BASF製の商品名「ジョンクリル683」である。
・ケミパールW4005:ポリエチレンエマルション(三井化学製、固形分の含有量40.0%、体積平均粒子径600μm)
・BYK348:ポリエーテル変性シロキサン化合物(ビックケミー製、重量平均分子量50,300)
・アセチレノールE100:アセチレングリコール系界面活性剤(川研ファインケミカル製)
Figure 2016164207
Figure 2016164207
Figure 2016164207
Figure 2016164207
<評価>
熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500MarkII」、キヤノン製)を使用して以下に示す評価を行った。上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、上記のインクジェット記録装置にセットした。そして、以下の4種の記録媒体に、記録デューティを10〜150%の間で10%刻みとして変化させた、15種類のベタ画像を含むパターンを8パスで記録して記録物を得た。記録媒体としては、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]」(キヤノン製)、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」(キヤノン製)、商品名「写真用紙クリスピア」(エプソン製)を用いた。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
(干渉抑制)
得られた記録物における記録デューティが100%であるベタ画像における干渉の状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の干渉抑制を評価した。
A:3種の記録媒体のいずれにおいても、干渉が生じていなかった。
B:少なくとも1種の記録媒体において、干渉がわずかに生じていた。
C:少なくとも1種の記録媒体において、干渉が顕著に生じていた。
(写像性)
マイクロヘイズメーター(BYKガートナー製)を使用して得られたベタ画像のヘイズ値を測定した。そして、3種の記録媒体における各ベタ画像のヘイズ値の平均値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の写像性を評価した。
A:ヘイズ値の平均値が15未満であった。
B:ヘイズ値平均値が15以上20未満であった。
C:ヘイズ値が20以上であった。
Figure 2016164207

Claims (7)

  1. 顔料、ウレタン樹脂、アクリル樹脂粒子、及びポリエーテル変性シロキサン化合物を含有する水性のインクであって、
    前記ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有し、
    前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の重量平均分子量が、10,000以上50,000以下であることを特徴とするインク。
  2. 前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)が、前記ポリエーテル変性シロキサンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上5.00倍以下である請求項1に記載のインク。
  3. 前記ウレタン樹脂の重量平均分子量が、10,000以上50,000以下である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記ポリエーテルポリオールが、(ポリ)アルキレングリコールである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. 前記ポリエーテル変性シロキサン化合物が、下記一般式(1)で表される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
    Figure 2016164207
    (前記一般式(1)中、R1は炭素数1以上20以下のアルキレン基を表し、R2は水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。mは1以上250以下の数を表し、nは1以上100以下の数を表し、aは1以上100以下の数を表し、bは0以上100以下の数を表す)
  6. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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