JP2016138226A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速で記録しても、発色性に優れているとともに粒状性が低減された画像を得ることが可能な水性インクを提供する。【解決手段】顔料、顔料を分散する水溶性アクリル樹脂、及び水溶性ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性インクである。顔料が所定の構造を有し、水溶性アクリル樹脂が、芳香族基含有ユニットを有するとともに、芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が、水溶性アクリル樹脂の全質量を基準として、40.0質量%以上80.0質量%以下であり、水溶性ウレタン樹脂が、ポリ(オキシエチレン)構造及びポリ(オキシプロピレン)構造の少なくとも一方を有し、水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)が、水溶性ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.00倍以上5.00倍以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法に用いるインクとして、耐光性、耐ガス性、及び耐水性などの堅牢性に優れた画像を記録すべく、顔料を色材として含有するインク(顔料インク)が広く使用されるようになっている。顔料インクを用いたインクジェット記録方法は、L判やA4などの小さなサイズの記録媒体を用いる写真画質の画像だけでなく、A3やそれ以上のサイズの大判ポスターなどの記録にも使用されるようになってきている。そして、大判ポスターなども記録しうるインクジェット記録方法には、生産性の観点から、高速性が必要とされている。
顔料インクは色材である粒子状の顔料が水性媒体中に分散したものであるため、染料が水性媒体に溶解した染料インクに比べて、得られる画像の発色性が劣る場合がある。さらに、受容層を有する記録媒体などに顔料インクを用いて記録した場合には、得られる画像の粒状性が目立つ(ドットやそれに類似した粒状の点が肉眼で観察できる)という課題がある。
また、インクジェット記録方法では、シアン、マゼンタ、及びイエローの基本3原色のインクに加えて、基本3原色以外のいわゆる特色インクを追加し、色再現領域の拡大を図ることが種々検討されている。そして、特色インクのなかでも、レッドインクにより記録される色再現領域の彩度を高めるために、C.I.ピグメントレッド254を含有するインクが提案されている(特許文献1)。また、画像の発色性を高めるべく、ベンジルアクリレートをモノマーとして用いたアクリル樹脂で顔料を分散させたインクが提案されている(特許文献2)。
インクジェット記録方法に使用する顔料インクには、通常、インク中における分散状態の平均粒子径が100nm程度である顔料が含有されている。受容層を有する記録媒体にこのような顔料インクを付与すると、記録媒体に浸透する染料と異なり、顔料は記録媒体の受容層の細孔に浸透しにくいため、記録媒体の表面やその近傍に定着する。そして、定着した顔料が粒状のドットとして視認されるため、顔料インクで記録した画像は粒状性が目立つと考えられる。このため、顔料の含有量を低くして、粒状のドットを視認されにくくしたインクが提案されている(特許文献3)。
さらには、様々な特性を向上させることを目的として、インクジェット用インクにウレタン樹脂を含有させることが種々検討されている。例えば、画像の光沢性を向上させるべく、オキシテトラメチレン構造を有するポリエーテル系ポリウレタン樹脂を含有するインクが提案されている(特許文献4)。また、画像の耐擦過性を向上させるべく、(メタ)アクリル酸エステル樹脂及びポリウレタン樹脂を含有するインクが提案されている(特許文献5)。
しかし、本発明者らの検討によれば、上記の特許文献などで提案された従来のインクをであっても、特にレッドインクを用いて記録した画像は、発色性の向上と粒状性の低減が高いレベルで両立できていないことがわかった。例えば、特許文献2で提案されたアクリル樹脂を含有する基本3原色インク及び各特色インクで記録した画像の発色性及び粒状性を確認した。その結果、特定のジケトピロロピロール骨格を有する顔料を用いたインクで記録した画像の粒状性が著しく目立つことがわかった。そこで、特許文献2で提案された濃淡インクを用いて、記録媒体の単位領域あたりの記録走査数(いわゆるパス数)を大幅に増やして画像を記録したところ、粒状性の低減効果は認められた。しかし、特色インクの濃淡インクを使用することは、インクの色数が増えるために記録装置の大型化につながることになる。また、パス数の増加によって記録速度が低下し、生産性が低下する。
また、インクにより形成される顔料層の表面エネルギーを上げて顔料層の濡れ性を向上させ、顔料層にドットを均一に吸収させるべく、特許文献4及び5で提案されたウレタン樹脂を含有するインクについて検討した。しかし、特定のジケトピロロピロール骨格を有する顔料を用いたインクでは、得られる画像の粒状性が目立つ結果となった。
したがって、本発明の目的は、高速で記録しても、発色性に優れているとともに粒状性が低減された画像を得ることが可能な水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料、前記顔料を分散する水溶性アクリル樹脂、及び水溶性ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記顔料が、下記一般式(1)で表される構造を有し、前記水溶性アクリル樹脂が、芳香族基含有ユニットを有するとともに、前記芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が、前記水溶性アクリル樹脂の全質量を基準として、40.0質量%以上80.0質量%以下であり、前記水溶性ウレタン樹脂が、ポリ(オキシエチレン)構造及びポリ(オキシプロピレン)構造の少なくとも一方を有し、前記水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)が、前記水溶性ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.00倍以上5.00倍以下であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、高速で記録しても、発色性に優れているとともに粒状性が低減された画像を得ることが可能な水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。本発明における各種の物性値は、特に断りのない限り25℃における値である。
本発明者らは、まず、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料を含有するインクで記録した画像の粒状性が目立つ原因について考察した。上記の顔料は複素環式五員環芳香族化合物に由来するピロール構造を有するため、π電子が豊富であり、顔料の粒子間でπ−π相互作用が生じやすい。さらに、分子構造の平面性が高いため、分子の面方向のπ−π相互作用が強固である。加えて、π電子系へ電子を供与できる電子供与基(ハロゲン原子、アルキル基)を有するとπ電子がより豊富になるため、π−π相互作用がさらに強固になっていると考えられる。
さらに、ジケトピロロピロール骨格は、窒素原子の隣接位にケトン基を有するため水素結合能を有しており、平面性の高い構造に由来するπ−π相互作用と相まって、顔料粒子同士が相互作用しやすく、パッキング性が高いと考えられる。このため、水溶性アクリル樹脂とともに記録媒体に定着する際に、他の顔料を用いた場合に比して形成される顔料層が密になりやすく、先に付与されたドットで形成された顔料層が、後に付与されたインクを吸収しにくくなると推測される。したがって、後に付与されたインクが、先に付与されたドットで形成された顔料層に均一に吸収されずに溢れ、吸収されやすいところに流れた後に顔料が定着することになる。すると、顔料が定着した部分のみ色が濃くなり、周辺部との濃度差によって点のように視認される、粒状性が目立つようになることがわかった。
一般的な顔料を含有するインクの場合、先に付与されたドットで形成される顔料層の表面に水溶性ウレタン樹脂が残るため、顔料層の表面エネルギーが上昇し、顔料層の濡れ性が向上する。このため、後に付与されたインクが顔料層に均一に広がって定着し、粒状性が低減されると考えられる。しかし、ジケトピロロピロール骨格を有する特定の顔料を含有するインクに水溶性ウレタン樹脂を添加すると、記録される画像の粒状性が目立つことが判明した。その原因について、本発明者らは以下のように推測している。ジケトピロロピロール骨格を有する特定の顔料は、パッキングした際に芳香環が外側に配向し、形成される顔料層の疎水性がより高い状態になると予測される。このため、形成される顔料層の表面に水溶性ウレタン樹脂が均一に残らず偏ってしまい、水溶性ウレタン樹脂の効果が局所的に発現されて顔料層の濡れ性が部分的に高まってしまう。そして、濡れ性が高まった部分に後に付与されたインクが吸収され、顔料が定着するために、画像の粒状性が目立つようになると考えられる。
以上より、本発明者らは、顔料層の表面に水溶性ウレタン樹脂を均一に残すことで、ジケトピロロピロール骨格を有する特定の顔料を含有するインクで記録した画像の発色性を高め、かつ、粒状性を低減することができると考えた。すなわち、水溶性アクリル樹脂と、特定のジケトピロロピロール顔料及び水溶性アクリル樹脂との相互作用のいずれをも高めることで、水溶性ウレタン樹脂を顔料層に均一に残し、顔料層の濡れ性を全体的に向上させることができると考えた。そして、特定のジケトピロロピロール顔料と、水溶性アクリル樹脂及び水溶性ウレタン樹脂との関係について引き続き検討した。その結果、以下に示す(1)〜(5)の要件を満たすことで、発色性に優れているとともに粒状性が低減された画像を記録可能なインクが得られることを見出した。
(1)一般式(1)で表される構造(ジケトピロロピロール骨格)を有する顔料、水溶性アクリル樹脂、及び水溶性ウレタン樹脂を含有する。
(2)水溶性アクリル樹脂が、芳香族基含有ユニットを有するとともに、芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が、水溶性アクリル樹脂の全質量を基準として、40.0質量%以上80.0質量%以下である。
(3)水溶性ウレタン樹脂が、ポリ(オキシエチレン)構造及びポリ(オキシプロピレン)構造の少なくとも一方を有する。
(4)水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)が、水溶性ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.00倍以上5.00倍以下である。
(1)一般式(1)で表される構造(ジケトピロロピロール骨格)を有する顔料、水溶性アクリル樹脂、及び水溶性ウレタン樹脂を含有する。
(2)水溶性アクリル樹脂が、芳香族基含有ユニットを有するとともに、芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が、水溶性アクリル樹脂の全質量を基準として、40.0質量%以上80.0質量%以下である。
(3)水溶性ウレタン樹脂が、ポリ(オキシエチレン)構造及びポリ(オキシプロピレン)構造の少なくとも一方を有する。
(4)水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)が、水溶性ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.00倍以上5.00倍以下である。
一般的に、顔料粒子で密に詰まった状態の顔料層が形成されていると、顔料層への光の吸収効率が増大し、画像の発色性が高まると考えられる。一方、顔料層中に空気を含む空隙が存在すると、顔料層に吸収された光が空気と顔料粒子との間で内部散乱してしまい、光の吸収効率が低下して画像の発色性が低下すると考えられる。顔料及び水溶性アクリル樹脂を含有するインクを用いると、顔料は水溶性アクリル樹脂とともに凝集して定着し、顔料層が形成される。その際、水溶性アクリル樹脂は、顔料粒子と記録媒体との結着力や、顔料粒子同士の結着力を高める働きをしている。但し、顔料は水溶性アクリル樹脂とともに凝集して定着するため、顔料と水溶性アクリル樹脂との相互作用の状態によって、形成される顔料層の密度が変化することになる。
前述の通り、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料で形成される顔料層は、他の顔料で形成される顔料層に比べて、より密な状態になっている。但し、顔料粒子は定形ではないため、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料で形成された顔料層であっても、その内部には少なからず空隙が存在している。そこで、芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が40.0質量%以上80.0質量%以下の水溶性アクリル樹脂を用いると、顔料層をさらに密にすることができ、画像の発色性を向上させることができる。
但し、顔料層が密になり過ぎると、後に付与されるインクの吸収が阻害されて画像の粒状性が目立つようになると考えられる。そこで、本発明のインクでは、ポリ(オキシエチレン)構造及びポリ(オキシプロピレン)構造の少なくとも一方を有する水溶性ウレタン樹脂を用いる。この水溶性ウレタン樹脂は柔軟な親水性部分を有するため、水溶性ウレタン樹脂の疎水性部分と、水溶性アクリル樹脂の疎水性部分とが効率的に相互作用する。顔料と水溶性アクリル樹脂は前述のように強く相互作用しているため、水溶性アクリル樹脂と水溶性ウレタン樹脂が効率的に相互作用することで、水溶性ウレタン樹脂が顔料層で偏ることなく均一に広がる。これにより、顔料層全体の濡れ性が向上し、後に付与されるインクが均一に吸収されて画像の粒状性が低減されると考えられる。また、濡れ性の高まった顔料層では、顔料と水溶性アクリル樹脂も均一に定着しており、空隙がさらに少なく密に形成されているため、画像の発色性も向上していると考えられる。
さらに、インク中の水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)が、水溶性ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.00倍以上5.00倍以下であると、水溶性ウレタン樹脂と水溶性アクリル樹脂とがより強く相互作用する。このため、顔料層における水溶性ウレタン樹脂の偏りが減少し、顔料層の部分的な濡れ性の高まりが低減されると考えられる。
<インク>
本発明のインクは、顔料、顔料を分散する水溶性アクリル樹脂、及び水溶性ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
本発明のインクは、顔料、顔料を分散する水溶性アクリル樹脂、及び水溶性ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性インクである。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
(顔料)
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される構造を有する顔料を含有する。
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される構造を有する顔料を含有する。
一般式(1)で表される構造を有する顔料のうち、一般式(1)中のRが塩素原子であるものはC.I.ピグメントレッド254であり、Rがメチル基であるものはC.I.ピグメントレッド272である。なお、一般式(1)中のRが水素原子であるものは、C.I.ピグメントレッド255である。
一般式(1)で表される構造を有する顔料は、π電子系へ電子を供与しうる電子供与基であるハロゲン原子又はアルキル基を有するため、ベンゼン環へと電子が供与されており、ベンゼン環のπ電子密度が上昇している。さらに、ベンゼン環は複素環であるジケトピロロピロール環とも共役系がつながることができる。このため、水素結合と相まって、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料のなかでも特に顔料の粒子同士で相互作用が生じやすく、パッキング性が高い顔料であると考えられる。したがって、このような特性を有する顔料を用いたインクで記録した画像は、粒状性が目立つ傾向にある。
一般式(1)中のRは、塩素原子であることが好ましい。すなわち、C.I.ピグメントレッド254を顔料として用いることが好ましい。ハロゲン原子は電位陰性度が高く、電子吸引基であることが知られているが、これはα電子系についてである。また、α電子系は置換基からの距離が離れると電子吸引効果が大きく低下するため、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料においては、複素環の電子系に対してほとんど影響を及ぼさないと考えられる。しかし、π電子系の電子吸引効果は置換基からの距離に関わらずに働くため、ベンゼン環にハロゲン原子が置換していると、顔料のパッキング性が高まると考えられる。ハロゲン原子のなかでも塩素原子をベンゼン環に有する顔料は、塩素による効果と推測される顔料層の表面の滑り性が増大するため、水溶性ウレタン樹脂が顔料層で偏りやすくなり、画像の粒状性がより目立つ傾向にある。このため、C.I.ピグメントレッド254を顔料として用いると、粒状性が低減された画像を記録することができる、といった本発明のインクの効果がより顕著に表れる。
インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上5.00質量%以下であることが好ましい。顔料をインク中に分散するための樹脂分散剤としては、水溶性アクリル樹脂を用いる。顔料の平均一次粒子径は、10nm以上300nm以下であることが好ましく、20nm以上200nm以下であることがさらに好ましい。
(水溶性アクリル樹脂)
本発明のインクは、顔料を分散する樹脂分散剤として水溶性アクリル樹脂を含有する。水溶性アクリル樹脂は、芳香族基含有ユニットを有するとともに、この芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が、水溶性アクリル樹脂の全質量を基準として、40.0質量%以上80.0質量%以下である。
本発明のインクは、顔料を分散する樹脂分散剤として水溶性アクリル樹脂を含有する。水溶性アクリル樹脂は、芳香族基含有ユニットを有するとともに、この芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が、水溶性アクリル樹脂の全質量を基準として、40.0質量%以上80.0質量%以下である。
アクリル樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当の水酸化カリウムにより中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の粒子の粒径を測定した場合に、粒径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱式の粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
一般的な水溶性アクリル樹脂中の疎水性部分は、顔料に吸着することで、インク中における顔料の分散安定性を高めたり、顔料層中で顔料同士の結着力を高めたりする機能を発揮する。本発明のインクに用いる水溶性アクリル樹脂では、芳香族基含有ユニットが上記の疎水性部分として機能する。ジケトピロロピロール骨格を有する顔料は、その分子構造中に芳香環及び複素環を有する。このため、水溶性アクリル樹脂の芳香族基含有ユニットは、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料の芳香環及び複素環と強く疎水性相互作用する。水溶性アクリル樹脂中の芳香族基含有ユニットの占める割合が40.0質量%以上であると、顔料と水溶性アクリル樹脂との相互作用が強まり、顔料層の空隙が水溶性アクリル樹脂により効率的に埋まる。このため、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料のπ−π相互作用による密なパッキング性をさらに高めて顔料層が密に形成され、画像の発色性が向上する。しかし、水溶性アクリル樹脂中の芳香族基含有ユニットの占める割合が80.0質量%超であると、疎水性が高くなりすぎてしまい、水溶性アクリル樹脂同士の疎水性相互作用が強まることになる。このため、定着時に水溶性アクリル樹脂と顔料が共存しなくなり、顔料層に空隙が生じて画像の発色性が低下する。
水溶性アクリル樹脂は、2種以上のモノマーに由来する2以上のユニットを有する水溶性の共重合体である。水溶性樹脂は、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂であることが好ましい。なお、以下の記載における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。
親水性ユニットは、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有するモノマー;メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有するモノマーなどを挙げることができる。
酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。本発明のインクに用いる水溶性アクリル樹脂は、通常、酸価を有するため、親水性ユニットには上述のアニオン性モノマーに由来するユニットが含まれる。水溶性アクリル樹脂は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物やアンモニア水などの中和剤により中和されることで水溶性となるものが好ましい。
疎水性ユニットは、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾールなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマーなどを挙げることができる。このうち、重合することで芳香族基含有ユニットとなるモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾールなどの芳香環を有するモノマーを挙げることができる。
エチレンオキサイド基を有する親水性モノマーに由来するユニットを有する水溶性アクリル樹脂は、ポリ(オキシエチレン)構造やポリ(オキシプロピレン)構造を有する水溶性ウレタン樹脂と強く相互作用する。このため、エチレンオキサイド基を有する親水性モノマーに由来するユニットを有する水溶性アクリル樹脂を用いると、水溶性ウレタン樹脂が顔料層に均一に残り、得られる画像の粒状性が低減されるために好ましい。上記のエチレンオキサイド基を有する親水性モノマーとしては、メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
水溶性アクリル樹脂の分子構造は特に限定されず、直鎖状、分鎖状、ランダム共重合体、及びブロック共重合などのいずれであってもよい。但し、分散安定性の観点から、水溶性アクリル樹脂はランダム共重合体であることが好ましい。
水溶性アクリル樹脂の酸価は、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、120mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。水溶性アクリル樹脂の酸価が80mgKOH/g未満であると、インクの吐出性が低下する場合がある。一方、水溶性アクリル樹脂の酸価が250mgKOH/g超であると、水溶性が高すぎてしまい、インク中における保存安定性が低下する場合がある。また、水溶性アクリル樹脂の酸価が120mgKOH/g未満であると、顔料とともに定着する際に急激に水溶性を失って凝集するため、顔料層に空隙ができやすくなり、画像の発色性が低下する場合がある。一方、水溶性アクリル樹脂の酸価が200mgKOH/g超であると、水溶性が高すぎて顔料層に残りにくくなる。このため、顔料層の空隙を十分に埋めることができず、水溶性ウレタン樹脂を顔料層に効率的に残すことが困難になる場合があり、画像の発色性が向上しにくくなるとともに、粒状性の低減効果が不十分となる場合がある。樹脂の酸価は、電位差滴定により求めることができる。
水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が1,000未満であると、インクの吐出性が低下する場合がある。一方、水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が30,000超であると、重量平均分子量が大きすぎてしまい、インクにおける保存安定性が低下する場合がある。また、水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が3,000未満であると、重量平均分子量が小さすぎてしまい、顔料層に残りにくくなる。このため、顔料層の空隙を効率的に埋めることができずに画像の発色が低下する場合があるとともに、水溶性ウレタン樹脂が顔料層に残らず、粒状性の低減効果が不十分となる場合がある。一方、水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が15,000超であると、凝集した水溶性アクリル樹脂の体積が過剰に大きくなる。このため、顔料層の空隙を十分に埋めることが困難になるとともに、顔料同士のπ−πスタッキングが阻害されて空隙が増加しやすくなることがあり、画像の発色性が低下する場合がある。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算として求めた値である。
インク中の水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.30倍以上0.80倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が0.30倍未満であると、顔料層に形成される空隙を十分に埋めることができず、画像の発色性が不十分になる場合がある。一方、上記の質量比率が0.80倍超であると、水溶性アクリル樹脂の含有量が多すぎてしまい、顔料同士のπ−πスタッキングが阻害されることがある。このため、顔料層に形成される空隙が増加してしまい、画像の発色性が不十分になる場合がある。
(水溶性ウレタン樹脂)
本発明のインクは、水溶性ウレタン樹脂を含有する。ウレタン樹脂が水溶性であるか否かについては、アクリル樹脂と同様の方法で判断することができる。ウレタン樹脂エマルションや水分散性ウレタン樹脂のように、粒径を有するウレタン樹脂を用いると、親水性部分の柔軟性が阻害されてしまい、顔料層に均一にウレタン樹脂が存在しなくなるため、画像の粒状性を低減させることができなくなる。
本発明のインクは、水溶性ウレタン樹脂を含有する。ウレタン樹脂が水溶性であるか否かについては、アクリル樹脂と同様の方法で判断することができる。ウレタン樹脂エマルションや水分散性ウレタン樹脂のように、粒径を有するウレタン樹脂を用いると、親水性部分の柔軟性が阻害されてしまい、顔料層に均一にウレタン樹脂が存在しなくなるため、画像の粒状性を低減させることができなくなる。
水溶性ウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。さらに、ウレタン樹脂とその他の樹脂とを結合させたハイブリッド型の樹脂であってもよい。
水溶性ウレタン樹脂は、ポリ(オキシエチレン)構造及びポリ(オキシプロピレン)構造の少なくとも一方を有する。これらの構造(ポリエーテルポリオール部分)は、ウレタン樹脂の柔軟性を発現させるセグメントである。これらの構造を有する水溶性ウレタン樹脂は柔軟性が高く、顔料層に均一に存在しうる。ポリエーテルポリオール部分の柔軟性が高いと、疎水性のポリイソシアネート部分と、水溶性アクリル樹脂の疎水性部分との相互作用が強くなる。このため、水溶性ウレタン樹脂を顔料層に均一に存在させることができると考えられる。一方、ポリ(オキシエチレン)構造などに代えて、ポリ(オキシテトラメチレン)構造などの、炭素数がさらに多いポリエーテルポリオール部分を有する水溶性ウレタン樹脂の場合、ポリエーテルポリオール部分の疎水性が高くなりすぎてしまう。このため、水溶性ウレタン樹脂の柔軟性が低下し、顔料層に均一に存在しにくくなる。
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネートや芳香族ポリイソシアネートなどを用いることができる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
ポリオールとしては、上記のポリ(オキシエチレン)構造やポリ(オキシプロピレン)構造となるポリエーテルポリオール以外のその他のポリオールを用いることができる。その他のポリオールとしては、ポリエステルポリオール、その他のポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、酸基を有するポリオールなどを挙げることができる。
また、水溶性ウレタン樹脂は水溶性であるため、その構造中にカルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基などの酸基;カルボニル基、ヒドロキシ基などの親水性基を含むことが好ましい。特に、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸などの酸基を有するポリオールを用いて合成された水溶性ウレタン樹脂を用いることが好ましい。酸基は塩の形態であってもよい。塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
鎖延長剤は、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートユニットのうち、ウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応しうる化合物である。鎖延長剤としては、ジメチロールエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの多価アミン;ポリエチレンポリイミンなどの多価イミン;ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオールなどの多価アルコールを用いることができる。これらの鎖延長剤のなかでも、ネオペンチルグリコールなどの多価アルコールは構造中にカチオン性の部分を有しないため、得られる水溶性ウレタン樹脂が急激な凝集を起こしにくくなる。このため、水溶性ウレタン樹脂が顔料層により均一に残ることとなり、画像の粒状性をより低減させることができる。
水溶性ウレタン樹脂の酸価は、40mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が40mgKOH/g未満の水溶性ウレタン樹脂は水溶性が不十分となり、インクへ溶解性が不安定になる場合がある。このため、顔料層に水溶性ウレタン樹脂が均一に残りにくくなって画像の粒状性が低減されにくくなる傾向にある。また、顔料と水溶性アクリル樹脂も均一に広がった状態で定着しにくくなるため、形成される顔料層が密にならずに発色性が低下する場合がある。一方、酸価が100mgKOH/g超の水溶性ウレタン樹脂は酸基が多いため、ポリエーテルポリオール部分が相対的に少なくなる。このため、水溶性ウレタン樹脂の柔軟性が低下し、顔料層に均一に存在しにくく、画像の粒状性が低減されにくくなる場合がある。さらに、顔料と水溶性アクリル樹脂も均一に広がった状態で定着しにくくなるため、形成される顔料層が密にならずに発色性が低下する場合がある。
水溶性ウレタン樹脂の重量平均分子量は、8,000以上20,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が8,000未満の水溶性ウレタン樹脂は、水溶性アクリル樹脂と相互作用しても顔料層に残存しにくいため、画像の粒状性が低減されにくくなる場合がある。また、顔料及び水溶性アクリル樹脂も均一に広がった状態で定着しにくくなるため、画像の発色性が低くなる場合がある。一方、重量平均分子量が20,000超の水溶性ウレタン樹脂は、水溶性アクリル樹脂との相互作用よりも、水溶性ウレタン樹脂同士の相互作用が強く働くようになる。このため、顔料層に均一に水溶性ウレタン樹脂が存在しない場合や、顔料及び水溶性アクリル樹脂が均一に広がった状態で定着しなくなる場合があり、画像の発色性が低くなる傾向にある。
本発明のインク中の水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)は、水溶性ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.00倍以上5.00倍以下である。上記の質量比率が2.00倍未満であると、水溶性ウレタン樹脂が十分に水溶性アクリル樹脂と相互作用することができず、顔料層に均一に水溶性ウレタン樹脂が残らない。このため、画像の粒状性が低減せず、発色性が向上しない。一方、上記の質量比率が5.00倍超であると、水溶性アクリル樹脂と相互作用する水溶性ウレタン樹脂の比率が少なくなりすぎてしまう。このため、水溶性ウレタン樹脂が顔料層に残らなくなり、画像の粒状性が低減されず、発色性が不十分となる。
(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物)
本発明のインクには、さらに、フッ素系界面活性剤を含有させることができる。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。このようなパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物としては、市販品を用いることができる。パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物の具体例としては、以下商品名で、メガファックF−470、F−444(以上、DIC製);サーフロンS−141、S−145(以上、旭硝子製);ゾニールFS−3100(デュポン製)などを挙げることができる。
本発明のインクには、さらに、フッ素系界面活性剤を含有させることができる。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。このようなパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物としては、市販品を用いることができる。パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物の具体例としては、以下商品名で、メガファックF−470、F−444(以上、DIC製);サーフロンS−141、S−145(以上、旭硝子製);ゾニールFS−3100(デュポン製)などを挙げることができる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下、さらには15.00質量%以上40.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、高いレベルのインクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素やその誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
本発明のインクを用いて記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、コート層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。特に、インク中の顔料粒子の少なくとも一部を記録媒体の表面やその近傍に存在させることができる、コート層を有する記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体は、画像を記録した記録物の使用目的などに応じて選択することができる。例えば、写真画質の光沢感を有する画像を得るのに適している光沢紙や、絵画、写真、及びグラフィック画像などを好みに合わせて表現するために、基材の風合い(画用紙調、キャンバス地調、和紙調など)を生かしたアート紙などが挙げられる。なかでも、コート層の表面が光沢性を持つ、いわゆる光沢紙を用いることが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<水溶性アクリル樹脂の合成>
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び冷却管を備えた四つ口フラスコにメチルエチルケトン200.0部を入れ、反応系を窒素に置換した。温度80℃に昇温させた後、表1の左側に示す各モノマー(単位:部)及びt−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。温度80℃で12時間反応させて、水溶性アクリル樹脂であるアクリル樹脂1〜16を得た。得られたアクリル樹脂に適量の10.0%水酸化カリウム水溶液を加えて酸性基を中和した後、イオン交換水を加えて、樹脂(固形分)の含有量が20.0%であるアクリル樹脂の水溶液を得た。得られたアクリル樹脂の特性を表1に示す。アクリル樹脂の酸価は、電位差自動滴定装置を使用し、水酸化カリウム/エタノール滴定液で電位差滴定することにより測定した。また、アクリル樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた。表1中のモノマーの略記号の意味を以下に示す。
BzA:ベンジルアクリレート
St:スチレン
αMSt:α−メチルスチレン
2EtOEA:2−エトキシエチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び冷却管を備えた四つ口フラスコにメチルエチルケトン200.0部を入れ、反応系を窒素に置換した。温度80℃に昇温させた後、表1の左側に示す各モノマー(単位:部)及びt−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。温度80℃で12時間反応させて、水溶性アクリル樹脂であるアクリル樹脂1〜16を得た。得られたアクリル樹脂に適量の10.0%水酸化カリウム水溶液を加えて酸性基を中和した後、イオン交換水を加えて、樹脂(固形分)の含有量が20.0%であるアクリル樹脂の水溶液を得た。得られたアクリル樹脂の特性を表1に示す。アクリル樹脂の酸価は、電位差自動滴定装置を使用し、水酸化カリウム/エタノール滴定液で電位差滴定することにより測定した。また、アクリル樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた。表1中のモノマーの略記号の意味を以下に示す。
BzA:ベンジルアクリレート
St:スチレン
αMSt:α−メチルスチレン
2EtOEA:2−エトキシエチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
<水溶性ウレタン樹脂の合成>
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び冷却管を備えた四つ口フラスコに表2に示す種類及び使用量のポリオール、イソホロンジイソシアネート44.5g、及びジブチル錫ジラウレート0.007gを入れ、窒素ガス雰囲気下、温度100℃で5時間反応させた。温度65℃以下に冷却した後、表2に示す使用量のジメチロールプロピオン酸、ネオペンチルグリコール3.0g、及びメチルエチルケトン150.0gを添加し、温度80℃で反応させた。その後、温度40℃に冷却し、メタノール20.0gを加えて反応を停止させた。次いで、適量のイオン交換水を添加し、ホモミキサーで撹拌しながら、樹脂を中和するために必要な水酸化カリウム水溶液を添加した。その後、加熱減圧下でメチルエチルケトン及び未反応のメタノールを留去して、樹脂(固形分)の含有量が10.0%であるウレタン樹脂1〜12の水溶液を得た。ウレタン樹脂の酸価は、電位差自動滴定装置を使用し、水酸化カリウム/エタノール滴定液で電位差滴定することにより測定した。また、ウレタン樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた。なお、重量平均分子量は、温度80℃での反応時間を適宜変化させて調整した。各樹脂の酸価及びポリスチレン換算の重量平均分子量を表2に示す。表2中のモノマー(ポリオール)の略記号の意味を以下に示す。なお、略記号に付した数値はポリオールの数平均分子量である。
PPG:ポリプロピレングリコール
PEG:ポリエチレングリコール
PTMG:ポリテトラメチレングリコール
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
NPG:ネオペンチルグリコール
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び冷却管を備えた四つ口フラスコに表2に示す種類及び使用量のポリオール、イソホロンジイソシアネート44.5g、及びジブチル錫ジラウレート0.007gを入れ、窒素ガス雰囲気下、温度100℃で5時間反応させた。温度65℃以下に冷却した後、表2に示す使用量のジメチロールプロピオン酸、ネオペンチルグリコール3.0g、及びメチルエチルケトン150.0gを添加し、温度80℃で反応させた。その後、温度40℃に冷却し、メタノール20.0gを加えて反応を停止させた。次いで、適量のイオン交換水を添加し、ホモミキサーで撹拌しながら、樹脂を中和するために必要な水酸化カリウム水溶液を添加した。その後、加熱減圧下でメチルエチルケトン及び未反応のメタノールを留去して、樹脂(固形分)の含有量が10.0%であるウレタン樹脂1〜12の水溶液を得た。ウレタン樹脂の酸価は、電位差自動滴定装置を使用し、水酸化カリウム/エタノール滴定液で電位差滴定することにより測定した。また、ウレタン樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた。なお、重量平均分子量は、温度80℃での反応時間を適宜変化させて調整した。各樹脂の酸価及びポリスチレン換算の重量平均分子量を表2に示す。表2中のモノマー(ポリオール)の略記号の意味を以下に示す。なお、略記号に付した数値はポリオールの数平均分子量である。
PPG:ポリプロピレングリコール
PEG:ポリエチレングリコール
PTMG:ポリテトラメチレングリコール
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
NPG:ネオペンチルグリコール
<顔料分散液の調製>
表3−1〜3−3の上段に示す各成分(単位:部)及び0.3mmのジルコニアビーズ85部をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら3時間分散させた。分散後、遠心分離して粗大粒子を含む非分散物を除去した。次いで、ポアサイズの3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、各顔料分散液を調製した。表3−1〜3−3の下段には、顔料の含有量(%)及びアクリル樹脂の含有量(%)を示す。
表3−1〜3−3の上段に示す各成分(単位:部)及び0.3mmのジルコニアビーズ85部をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、水冷しながら3時間分散させた。分散後、遠心分離して粗大粒子を含む非分散物を除去した。次いで、ポアサイズの3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、各顔料分散液を調製した。表3−1〜3−3の下段には、顔料の含有量(%)及びアクリル樹脂の含有量(%)を示す。
<インクの調製>
表4−1〜4−5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して各インクを調製した。使用した成分の詳細を以下に示す。
・「ハイドランAP−40F」(商品名、ポリエステルポリオール系ウレタン樹脂の35%水分散液、DIC製、特許文献3参照)
・「アセチレノールE100」(商品名、ノニオン性のアセチレングリコール系界面活性剤、川研ファインケミカルズ製)
・「メガファックF444」(商品名、ノニオン性のフッ素系界面活性剤、DIC製)
・「BYK348」(商品名、ノニオン性のシリコーン系界面活性剤、ビックケミー製)
・「プロキセルGXL(S)」(商品名、防腐剤、アーチケミカルズ製)
表4−1〜4−5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して各インクを調製した。使用した成分の詳細を以下に示す。
・「ハイドランAP−40F」(商品名、ポリエステルポリオール系ウレタン樹脂の35%水分散液、DIC製、特許文献3参照)
・「アセチレノールE100」(商品名、ノニオン性のアセチレングリコール系界面活性剤、川研ファインケミカルズ製)
・「メガファックF444」(商品名、ノニオン性のフッ素系界面活性剤、DIC製)
・「BYK348」(商品名、ノニオン性のシリコーン系界面活性剤、ビックケミー製)
・「プロキセルGXL(S)」(商品名、防腐剤、アーチケミカルズ製)
<評価>
熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500」、キヤノン製)を使用して以下に示す評価を行った。上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。そして、記録媒体1及び記録媒体2に、記録デューティを10〜150%の間で10%刻みとした、15種のベタ画像を4パス記録でそれぞれ記録した。記録媒体1としては、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]」(キヤノン製)を使用した。また、記録媒体2としては、商品名「キヤノン写真用紙・プレミアムマット」(キヤノン製)を使用した。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500」、キヤノン製)を使用して以下に示す評価を行った。上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。そして、記録媒体1及び記録媒体2に、記録デューティを10〜150%の間で10%刻みとした、15種のベタ画像を4パス記録でそれぞれ記録した。記録媒体1としては、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]」(キヤノン製)を使用した。また、記録媒体2としては、商品名「キヤノン写真用紙・プレミアムマット」(キヤノン製)を使用した。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
(粒状性)
得られたベタ画像のうち、記録デューティ100〜150%であるベタ画像を目視及びルーペ(10倍)を使用して確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の粒状性を評価した。
A:2種の記録媒体のいずれにおいても、目視及びルーペで確認されるインクのドットがなかった。
B:2種の記録媒体のいずれにおいても、ルーペで確認するとインクのドットが目立っているベタ画像があったが、目視で確認するとインクのドットは目立っていなかった。
C:2種の記録媒体の少なくともいずれかにおいて、目視で確認してもインクのドットが目立っているベタ画像があった。
得られたベタ画像のうち、記録デューティ100〜150%であるベタ画像を目視及びルーペ(10倍)を使用して確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の粒状性を評価した。
A:2種の記録媒体のいずれにおいても、目視及びルーペで確認されるインクのドットがなかった。
B:2種の記録媒体のいずれにおいても、ルーペで確認するとインクのドットが目立っているベタ画像があったが、目視で確認するとインクのドットは目立っていなかった。
C:2種の記録媒体の少なくともいずれかにおいて、目視で確認してもインクのドットが目立っているベタ画像があった。
(発色性)
得られたベタ画像のそれぞれの彩度を、分光光度計(商品名「Spectrolino」、グレタグマクベス製)を使用して測定した。なお、彩度はc*={(a*)2+(b*)2}1/2の式より求めることができる。そして、2種の記録媒体における彩度の最大値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。
A:記録媒体1での彩度が100以上であるとともに、記録媒体2での彩度が90以上であった。
B:(i)記録媒体1での彩度が100以上であるとともに、記録媒体2での彩度が90未満であるか、(ii)記録媒体1での彩度が100未満であるとともに、記録媒体2での彩度が90以上であった。
C:記録媒体1での彩度が100未満であるとともに、記録媒体2での彩度が90未満であった。
得られたベタ画像のそれぞれの彩度を、分光光度計(商品名「Spectrolino」、グレタグマクベス製)を使用して測定した。なお、彩度はc*={(a*)2+(b*)2}1/2の式より求めることができる。そして、2種の記録媒体における彩度の最大値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。
A:記録媒体1での彩度が100以上であるとともに、記録媒体2での彩度が90以上であった。
B:(i)記録媒体1での彩度が100以上であるとともに、記録媒体2での彩度が90未満であるか、(ii)記録媒体1での彩度が100未満であるとともに、記録媒体2での彩度が90以上であった。
C:記録媒体1での彩度が100未満であるとともに、記録媒体2での彩度が90未満であった。
Claims (10)
- 顔料、前記顔料を分散する水溶性アクリル樹脂、及び水溶性ウレタン樹脂を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記顔料が、下記一般式(1)で表される構造を有し、
前記水溶性アクリル樹脂が、芳香族基含有ユニットを有するとともに、前記芳香族基含有ユニットの占める割合(質量%)が、前記水溶性アクリル樹脂の全質量を基準として、40.0質量%以上80.0質量%以下であり、
前記水溶性ウレタン樹脂が、ポリ(オキシエチレン)構造及びポリ(オキシプロピレン)構造の少なくとも一方を有し、
前記水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)が、前記水溶性ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、2.00倍以上5.00倍以下であることを特徴とする水性インク。
(前記一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルキル基を表す) - 前記水溶性アクリル樹脂の含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.30倍以上0.80倍以下である請求項1に記載の水性インク。
- 前記水溶性アクリル樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
- 前記水溶性ウレタン樹脂の酸価が、40mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が、3,000以上15,000以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記水溶性ウレタン樹脂の重量平均分子量が、8,000以上20,000以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記水溶性アクリル樹脂が、エチレンオキサイド基を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。
- さらに、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
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JP2015015472A JP2016138226A (ja) | 2015-01-29 | 2015-01-29 | 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 |
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JP2016138226A true JP2016138226A (ja) | 2016-08-04 |
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JP (1) | JP2016138226A (ja) |
-
2015
- 2015-01-29 JP JP2015015472A patent/JP2016138226A/ja active Pending
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