JP6000597B2 - インク、インクカートリッジ及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明のインクを構成する成分について説明する。
(自己分散顔料)
本発明のインクを構成する色材は、ホスホン酸基を含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料である。つまり、その粒子表面に結合している官能基がホスホン酸基である有機顔料や、官能基に他の原子団とホスホン酸基が含まれている有機顔料を用いる。本発明で用いることができる有機顔料の種類は特に限定されず、公知の有機顔料をいずれも用いることができる。具体的には、例えば、アゾ、フタロシアニン、キナクリドンなどの有機顔料が挙げられる。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには0.2質量%以上10.0質量%以下、特には2.0質量%以上6.0質量%以下であることが好ましい。インクには、前記顔料の他に公知の染料などその他の色材が含まれていてもよい。また、本発明においては、本発明の効果が得られる範囲で、別の自己分散顔料や、他の分散方式の顔料(樹脂分散顔料、マイクロカプセル顔料、樹脂結合型の自己分散顔料など)をさらに併用してもよい。
本発明のインクには、酸価が100mgKOH/g以上160mgKOH/g以下である水溶性樹脂を含有させることを要する。先に述べた通り、この水溶性樹脂は前記自己分散顔料の分散剤として使用するものではない。本発明において「樹脂が水溶性であること」とは、前記水溶性樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、その粒子径を測定し得る粒子を形成しないものであることを意味する。このような条件を満たす樹脂を、本発明においては水溶性樹脂として記載する。
本発明のインクには、界面活性剤として、HLB値が13.0以上の、直鎖一級アルコール、直鎖二級アルコール及びイソアルキルアルコールからなる群より選ばれる高級アルコールのエチレンオキサイド付加物を含有させることを要する。高級アルコールの好適な具体例としては、例えば、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、2級トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として含有させることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。特に、本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクとすることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、従来、例えば、インクジェット用のインクに一般的に使用される公知のものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素数が1〜4程度のアルキレングリコール類、平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この含有量は、後述する一般式(1)で表される水溶性有機溶剤や、インクの表面張力を調整するための浸透性の高い水溶性有機溶剤を使用する場合には、その含有量を含む値である。
本発明のインクには、上記成分以外にも必要に応じて、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、尿素、エチレン尿素などの常温で固体の有機化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤などの種々の添加剤をインクに含有させてもよい。本発明のインクのpHは5以上9以下であることが好ましく、このようなpHの範囲に調整するためにはインクジェット用のインクに一般的に使用される公知のpH調整剤を使用してもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを有し、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドにより上記で説明した本発明のインクを吐出して、記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式やインクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
(自己分散顔料の表面電荷量)
先ず、自己分散顔料の表面電荷量を測定する方法を説明する。顔料分散液中の自己分散顔料の表面電荷量は、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置AT−510(京都電子工業製)を用い、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により測定した。
7.7gのC.I.ピグメントレッド122(比表面積140m2/g)、7mmolの((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸ナトリウム一塩、20mmolの硝酸、及び200mLの純水を混合した。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に、少量の水に溶解させた20mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。この混合によって混合物の温度は60℃に達し、この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、混合物のpHを10に調整した。30分後、20mLの純水を加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションを行い、その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、カウンターイオンがカリウムである((ベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が結合している自己分散顔料1が水中に分散された状態の顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の自己分散顔料1の表面電荷量は2.0μmol/m2であった。
顔料分散液1の調製においてナトリウムイオンからカリウムイオンへの置換を行わなかった以外は、顔料分散液1と同様の手順により、顔料の含有量が10.0%である分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、カウンターイオンがナトリウムである((ベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が結合している自己分散顔料2が水中に分散された状態の顔料分散液2を得た。顔料分散液2中の自己分散顔料2の表面電荷量は2.0μmol/m2であった。
顔料分散液1の調製において用いた顔料の種類と使用量を、9.6gのC.I.ピグメントブルー15:3(比表面積90m2/g)に変えた以外は、顔料分散液1と同様の手順により、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液3を得た。顔料分散液3中の自己分散顔料3の表面電荷量は1.6μmol/m2であった。
顔料分散液1の調製において用いた顔料の種類と使用量を、9.6gのC.I.ピグメントイエロー74(比表面積50m2/g)に変えた以外は、顔料分散液1と同様の手順により、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液4を得た。顔料分散液4中の自己分散顔料4の表面電荷量は1.6μmol/m2であった。
顔料分散液1の調製において用いた顔料の使用量を11.8gに変えた以外は、顔料分散液1と同様の手順により、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液5を得た。顔料分散液5中の自己分散顔料5の表面電荷量は1.3μmol/m2であった。
顔料分散液1の調製において用いた顔料の使用量を9.6gに変えた以外は、顔料分散液1と同様の手順により、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液6を得た。顔料分散液6中の自己分散顔料6の表面電荷量は1.6μmol/m2であった。
顔料分散液1の調製において用いた顔料の使用量を1.8gに変えた以外は、顔料分散液1と同様の手順により、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液7を得た。顔料分散液6中の自己分散顔料7の表面電荷量は8.0μmol/m2であった。
顔料分散液1の調製において用いた顔料の使用量を1.7gに変えた以外は、顔料分散液1と同様の手順により、顔料の含有量が10.0%である顔料分散液8を得た。顔料分散液8中の自己分散顔料8の表面電荷量は8.2μmol/m2であった。
250gのC.I.ピグメントレッド122(比表面積140m2/g)、1Lの脱イオン水、及び750mmolのアミノフェニル−(2−スルホエチル)スルホン(APSES)を混合し、回転数300rpmで10分間強力に撹拌した。その後、混合物を60℃に加熱し、これに、20%の亜硝酸ナトリウム(APSESの量を基準として1当量)を15分かけて滴下した。そして、60℃で3時間反応させた。反応物を750mLの脱イオン水で希釈しながら取り出し、脱イオン水を用いてダイアフィルトレーションを行って分散液を精製し固形分の含有量が20.0%である分散液Aを得た。2.5Lステンレス鋼製ビーカーに、16.6gのアレンドロン酸ナトリウム((4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩)と、66.39gの脱イオン水を入れた。ここに、固形分の含有量が20.0%である分散液Aの500gを添加し、激しく撹拌した。さらに、撹拌下で、混合物のpHが12.7となるまで、10%の水酸化ナトリウム水溶液を25mL/分の速度で添加した。そして、25℃で4時間撹拌した。
その後、脱イオン水を用いてダイアフィルトレーションを行い、さらに、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、水を加えて、顔料の含有量が10.0%となるように分散して、分散液を調製した。このようにして、顔料粒子の表面に、カウンターイオンがカリウムである((ベンゼンスルホニルエチルアミノ)4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が結合している自己分散顔料9が水中に分散された状態の顔料分散液9を得た。顔料分散液9中の自己分散顔料9の表面電荷量は2.0μmol/m2であった。
5.5gのC.I.ピグメントレッド122(比表面積140m2/g)と、スルファニル酸4.0gを混合した。次に、この混合物の入った容器を70℃のウォーターバスに入れ、強力に撹拌した状態で、これに水74.32gに1.68gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。その後、塩酸を用いて、混合物のpHを2に調整した後、温度を70℃に保ち、1時間強力に撹拌した。得られたスラリーを乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H4SO3Na基が結合している顔料を調製した。その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、水を加えて、顔料の含有量が10.0%となるように分散して、分散液を調製した。このようにして、顔料粒子の表面に、−C6H4SO3K基が結合している自己分散顔料10が水中に分散された状態の顔料分散液10を得た。顔料分散液10中の自己分散顔料10の表面電荷量は2.0μmol/m2であった。
20gの水に9.7gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で3.1gのp−アミノ安息香酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水35gに1.68gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、5.5gのC.I.ピグメントレッド122(比表面積140m2/g)を撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、顔料粒子の表面に−C6H4−COONa基が結合している顔料を調製した。その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換し、水を加えて、顔料の含有量が10.0%となるように分散して分散液を調製した。このようにして、顔料粒子の表面に−C6H4−COOK基が結合している自己分散顔料11が水中に分散された状態の顔料分散液11を得た。顔料分散液11中の自己分散顔料11の表面電荷量は2.0μmol/m2であった。
水溶性樹脂であるスチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(組成(モル)比67:15:18)5.0部を、中和当量1となる水酸化カリウムを用いてイオン交換水に溶解させた。この水溶性樹脂の重量平均分子量は10,000であり、酸価は120mgKOH/gである。ここに、10.0gのC.I.ピグメントレッド122(比表面積140m2/g)を加え、さらにイオン交換水を加えて調整して合計を100.0部とした。この混合物を、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散させた。得られた分散液を遠心分離することで粗大粒子を除去した。その後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、イオン交換水を加えて、顔料分散液12を得た。顔料分散液12中の顔料の含有量は10.0%、樹脂の含有量は5.0%であった。
表1の上段に示す各単量体(単位:部)を用いて、常法により共重合させ、水溶性樹脂1〜8をそれぞれ合成した。さらに、水溶性樹脂1〜5、7及び8は10.0%の水酸化カリウム水溶液を用いて、また、水溶性樹脂6は10.0%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、水溶性樹脂中の全てのアニオン性基を中和した。その後、適量のイオン交換水を加えて、水溶性樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂水溶液1〜8を調製した。表1の下段には水溶性樹脂の特性を示す。
表2に、ノニオン性界面活性剤である、各界面活性剤の構造、HLB値、並びに、かかる界面活性剤が本発明の規定するところに該当する場合は、高級アルコールの一般式、炭素数、ポリオキシエチレン鎖のモル数も併せて示した。なお、HLB値は、上述の式(1)に基づいて算出したグリフィン法による値である。表2中、NIKKOL BC−20、BT−12、BL−21、BC−150及びBC−10(商品名)は日光ケミカルズ製の界面活性剤である。また、EMALEX 512、1825、112、BHA−20、2425及びCS−30(商品名)は日本エマルジョン製の界面活性剤である。また、アセチレノールE100(商品名)は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
表3の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、ポリエチレングリコールは平均分子量600のものを使用し、アレンドロン酸塩としては1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイルビス(ホスホン酸)カリウムを使用した。実施例16のインクは、EMALEX 2425が水に溶解しにくかったため、撹拌時間をその他のインクの4倍としてインクの調製を行った。また、表3の下段には、各インク中の顔料の含有量[%]及び水溶性樹脂の含有量[%]、本発明で規定する要件を満たす界面活性剤の含有量[%]、前記界面活性剤の含有量/水溶性樹脂の含有量の質量比率[倍]の値を示した。得られた各インクについて、自動表面張力計(商品名:CBVP−Z型;協和界面科学製)を用いて、白金プレート法により表面張力を測定したところ、実施例25のインクは38mN/m超であったが、それ以外のインクは38mN/m未満であった。
画像の記録には、熱エネルギーの作用によりインクを吐出させる記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP4100;キヤノン製)を改造したものを用いた。上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、イエローインクのポジションにセットした。記録条件は、記録ヘッドの吐出口の配置幅分の画像を、記録ヘッドのホームポジションから開始する走査でのみ記録を行う、1パス片方向記録とした。本実施例においては、1/600inch×1/600inchを1ピクセルと定義した。そして、記録媒体へのインクの付与量は、条件1(インクの付与量が少ない場合)では1ピクセルあたり8ngとし、条件2(インクの付与量が多い場合)では1ピクセルあたり20ngとした。後述する3種の記録媒体(普通紙)に、条件1及び2のそれぞれについて、1インチ×1インチの大きさのベタ画像を記録した。記録媒体としては、PB PAPER GF−500(キヤノン製)、HP Allpurpose Paper及びHP Bright White Inkjet Paper(以上、ヒューレットパッカード製)を用いた。なお、これらの記録媒体のなかで、GF−500はカルシウムの含有量が少なく、HP Allpurpose Paper及びHP Bright whiteInkjet Paperはカルシウムの含有量が多い。上記で得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%で24時間乾燥させた後、分光光度計(商品名:Spectrolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で各ベタ画像の光学濃度を測定した。
3種の記録媒体における、インクの付与量が少ない画像(条件1の画像)の光学濃度の最低値から、インクの付与量が少ない場合の発色性の評価を行った。この評価により、インクの付与量が少ない場合に得られる画像の発色性の程度を知ることができる。具体的には、光学濃度の最低値が高いほど発色性が優れていることを意味する。評価基準は以下の通りである。本発明においては、下記の項目の評価基準で、A及びB以上を許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
A:光学濃度の最低値が0.90以上であった。
B:光学濃度の最低値が0.85以上0.90未満であった。
C:光学濃度の最低値が0.85未満であった。
3種の記録媒体における、インクの付与量が少ない画像(条件1の画像)の光学濃度と、インクの付与量が多い画像(条件2の画像)の光学濃度との比、すなわち、「条件1の画像の光学濃度/条件2の画像の光学濃度」の値を求めた。3種の記録媒体について得られた値の最低値から、インクの付与量が少ない場合と多い場合の発色性の比の評価を行った。この評価により、インクの付与量を少なくした場合に、インクの付与量から想定されるレベルと比較して、どの程度発色性が低くなるかを知ることができる。具体的には、光学濃度の比の最低値が高いほど、インクの付与量が少ない場合であってもその付与量から想定されるレベルに近い、優れた発色性が得られることを意味する。評価基準は以下の通りである。本発明においては、下記の項目の評価基準で、A及びBを許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
A:光学濃度の比の最低値が0.85以上であった。
B:光学濃度の比の最低値が0.80以上0.85未満であった。
C:光学濃度の比の最低値が0.80未満であった。
Claims (14)
- 有機顔料、水溶性樹脂及び界面活性剤を含有してなるインクであって、
前記有機顔料が、ホスホン酸基を少なくとも含む官能基が粒子表面に結合している、表面電荷量が1.5μmol/m 2 を超えて8.0μmol/m 2 以下である自己分散顔料であり、
前記水溶性樹脂の酸価が、100mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり、
前記界面活性剤が、直鎖一級アルコール、直鎖二級アルコール及びイソアルキルアルコールからなる群より選ばれる高級アルコールのエチレンオキサイド付加物であり、かつ、前記界面活性剤のグリフィン法により求められるHLB値が13.0以上であり、
インク中の、前記界面活性剤の含有量(質量%)が、前記水溶性樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.07倍以上0.70倍以下であることを特徴とするインク。 - 前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン2級トリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、及びポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク。
- 前記高級アルコールの炭素数が、16以上22以下である請求項1又は2に記載のインク。
- 前記インク中の前記自己分散顔料の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
- 前記インク中の前記水溶性樹脂の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.0質量%以上5.0質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
- 前記インク中の前記界面活性剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.10質量%以上2.5質量%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインク。
- 前記インク中の前記水溶性樹脂の含有量(質量%)が、前記自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.25倍以上0.75倍以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインク。
- 前記自己分散顔料の前記官能基が、(i)ホスホン酸基、又は、(ii)アルキレン基、アリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、及びこれらの基を組み合わせた基からなる群より選ばれる他の原子団と、ホスホン酸基と、が結合した基である請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインク。
- 前記ホスホン酸基のリン原子が炭素原子に結合しており、前記炭素原子にはヒドロキシ基が結合していない請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインク。
- 前記界面活性剤のHLB値が、20.0以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインク。
- 前記有機顔料が、アゾ、フタロシアニン、及びキナクリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを有するインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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