JP6602055B2 - 自己分散顔料の製造方法、インクの製造方法、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

自己分散顔料の製造方法、インクの製造方法、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、自己分散顔料の製造方法、インクの製造方法、及びインクジェット記録方法に関する。
自己分散顔料は、主に化学的な顔料改質技術により製造される。例えば、特許文献1には、顔料とジアゾニウム塩を反応させて自己分散顔料を得る方法が記載されている。また、特許文献2には、顔料の粒子表面のカルボニル基とヒドラジン化合物を縮合反応させて自己分散顔料を得る方法が記載されている。
特表平10−510861号公報 特表2012−528917号公報
しかし、従来の顔料改質技術は、近年重要視されている環境負荷も考慮し、安全性や反応効率が高い製造方法であることを満足するものではかった。例えば、特許文献1に記載された製造方法では、安定性の低い亜硝酸塩などを利用している。さらに、ジアゾニウム塩で顔料を処理する過程で亜硝酸塩の残渣や窒素酸化物が生成することがある。また、反応に伴い発生する泡により反応効率を高めにくい。また、特許文献2に記載の製造方法は、顔料の粒子表面に存在する基の数やその反応性の影響を受けて反応効率が低いという課題があった。
したがって、本発明の目的は、インクなどの色材として有用な自己分散顔料の高反応効率な製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記自己分散顔料の製造方法によって製造される自己分散顔料を用いたインクの製造方法、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、自己分散顔料を製造する方法であって、下記一般式(1)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによるラジカル付加反応によって、下記一般式(1)中のRで表される基を顔料の粒子表面に結合させる工程を有することを特徴とする自己分散顔料の製造方法が提供される。
HN=N−R ・・・(1)
(前記一般式(1)中、Rは、脂肪族基芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基とが直接若しくはリンカー構造を介して結合した基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
本発明によれば、インクなどの色材として有用な自己分散顔料の高反応効率な製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、この自己分散顔料の製造方法によって製造される自己分散顔料を用いたインクの製造方法、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
自己分散顔料1の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)である。 比較自己分散顔料1の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)である。 比較自己分散顔料2の製造過程における分離液のLCMS分析結果(チャート)である。 本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明においては、イオン性基が塩を形成している場合は、インク中ではイオンに解離して存在しうるが、便宜上、「イオン性基」と表現する。また、自己分散顔料のことを、単に「顔料」と記載することがある。本明細書における各種の物性値は、特に断りのない限り常温(25℃)における値である。
<自己分散顔料の製造方法>
本発明の自己分散顔料の製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによるラジカル付加反応によって、下記一般式(1)中のR1で表される基を顔料の粒子表面に結合させる工程(以下、「工程(1)」とも記す)を有する。
HN=N−R1 ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
本発明の自己分散顔料の製造方法(以下、単に「製造方法」とも記す)によれば、ワンポットで、反応装置や液媒体を選ばずに、常温(25℃)でも高い反応効率で自己分散顔料を製造することができる。特に、反応効率が高いため、顔料の処理剤である一般式(1)で表される化合物の使用量を低減しながら、官能基の導入量が高い自己分散顔料を得ることができる。また、副生成物の発生が抑制されるため、製造後の精製も容易である。さらに、従来の自己分散顔料の製法とは異なり、安定な処理剤を用いるため、環境への負荷も軽減することができる。
本発明における反応効率は、例えば、以下の手順にしたがって算出することができる。自己分散顔料の製造する際に、顔料1.0g当たりに使用した処理剤のモル数から「処理剤の親水性基のモル数」を算出する。この「処理剤の親水性基のモル数」は、顔料1.0g当たりに使用した処理剤の親水性基のモル数である。例えば、処理剤として1分子当たりに2つのカルボン酸基を有する化合物を用いる場合は、この処理剤の分子量を利用して求められるモル数の2倍として計算する。また、製造した自己分散顔料について、顔料の粒子表面の官能基に含まれる親水性基量(「顔料の親水性基のモル数」、顔料1.0g当たりの値)を求める。無水物などの形態である親水性基を有する処理剤を用いる場合、製造した自己分散顔料においてこれらの親水性基はアニオン性基となるため、処理剤及び顔料の「親水性基のモル数」はアニオン性基のモル数として計算する。そして、上記で得られた「顔料の親水性基のモル数」及び「処理剤の親水性基のモル数」から、下記式(A)に基づき反応効率(%)を算出することができる。
反応効率(%)
=(「顔料の親水性基のモル数」/「処理剤の親水性基のモル数」)×100
・・・(A)
反応効率が高いほど、より少ない使用量の処理剤で顔料を自己分散化させることができることを意味する。このため、反応効率が高ければ、コスト面でのメリットがあるだけでなく、反応による不純物の発生を低減することもできるとともに、自己分散顔料を含む水分散液の精製効率を向上することもできる。また、製造した自己分散顔料を色材として含有するインクを、例えばインクジェット記録方法に適用すると、不純物に起因する吐出特性の低下を抑制することができる。このため、反応効率をできるだけ高めることが好ましい。具体的には、反応効率は10%以上であることが好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることが特に好ましい。理論上の反応効率の上限は100%である。
本発明の製造方法は、一般式(1)で表される化合物(ジアゼン化合物)からの水素原子の引き抜きによるラジカル付加反応によって、親水性基を含む官能基であるR1で表される基を顔料の粒子表面に結合させて自己分散顔料を製造する方法である。このラジカル付加反応は、酸化的ラジカル付加反応である。また、本発明においては、一般式(1)で表される化合物を、一般式(2)で表される化合物(ヒドラジン化合物)からの水素原子の引き抜きによって生成させることが好ましい。すなわち、一般式(2)で表される化合物からの逐次的な水素原子の引き抜きによるラジカル付加反応によって、自己分散顔料を製造することもできる。
2N−NH−R1 ・・・(2)
(前記一般式(2)中、R1は、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
本発明の製造方法で利用する反応の推定機構を以下に示す。以下、処理剤として一般式(2)で表される化合物、顔料としてカーボンブラック、及び酸化剤としてヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムを使用する場合を例に挙げて説明する。なお、酸化剤として用いるヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの酸化種をFe3+とし、その還元種をFe2+とする。
反応機構の推定には、Angewandte Chemie International Edition, 49, 10154-10157 (2010)(非特許文献1)を参考にした。この非特許文献1には、オレフィンへの酸化的ラジカル付加反応の反応機構が記載されている。
Figure 0006602055
まず、酸化剤(Fe3+)の作用により、ヒドラジン化合物である化合物A(一般式(2)で表される化合物)の水素原子が引き抜かれて化合物Aがラジカル的に酸化され、ヒドラジルラジカルBが生ずる。次いで、酸化剤(Fe3+)の作用により、ヒドラジルラジカルBの水素原子が引き抜かれ、ジアゼン化合物である化合物C(一般式(1)で表される化合物)が生ずる。さらに、酸化剤(Fe3+)の作用により、化合物Cの水素原子が引き抜かれてジアゼンラジカルDが生ずる。ジアゼンラジカルDは瞬時に窒素脱離を起こし、ラジカル種Eが生ずる。そして、ラジカル種Eがカーボンブラックの粒子表面の芳香族性の炭素原子にラジカル付加することによって、ラジカル中間体Fを経てカーボンブラックの粒子表面にR1が結合し、自己分散顔料Gが得られる。
本発明の製造方法においては、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムなどの価数が変化しやすい酸化剤を用いると、上記とは別の付加反応が並行して生ずる場合がある。すなわち、ラジカル種Eがカーボンブラックの粒子表面の芳香族性の炭素原子にラジカル付加して、ラジカル中間体Fが生じたのと同時に、ラジカルが酸素分子に捕捉されることによってラジカル中間体Hが生ずる。この場合、酸化剤の還元種(Fe2+)の作用によりラジカル中間体Hが還元された後、酸素ラジカル中間体Iを経て、アルコール体である自己分散顔料Jが得られる。
上記の各反応機構では、ジアゼン化合物やヒドラジン化合物は急激に分解することはなく、ラジカル種がゆっくりと生成するため、顔料の粒子表面へのラジカル付加反応が効率よく進む。したがって、従来の自己分散顔料の製造方法と比較して、本発明の製造方法によれば、顔料に対する処理剤の使用量が少なくても、官能基の導入量が高い自己分散顔料を得ることができる。このため、得られる自己分散顔料は分散安定性が高い。
前述の特許文献1においては、処理剤としてジアゾニウム塩を用いて自己分散顔料を製造している。しかし、処理剤として用いるジアゾニウム塩はアルカリや常温(25℃)を超える温度の影響により分解しやすい。反応系内でジアゾニウム塩が分解すると、さまざまな分解物が生ずる。このため、分解物と液媒体や酸素との反応、分解物同士の反応、これら以外の副反応など、さまざまな副反応が起こりやすい。したがって、ジアゾニウム塩を用いて官能基の導入量が高い自己分散顔料を得ようとする場合には、ジアゾニウム塩を顔料に対して多めに使用する必要がある。しかし、ジアゾニウム塩の使用量を増やすと、窒素ガスの泡が多く発生するため、反応効率を高めにくい。
一般式(2)で表される化合物は化学的に安定であり、pHや温度による影響を受けにくいため、反応系のpHや温度を任意に設定することができる。具体的には、反応系のpHは1〜13であることが好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。なかでも、1.5〜7であることがより好ましく、2〜7であることが特に好ましい。反応効率を高めるためには、反応系のpHを酸性〜中性とすることが好ましい。アルカリ性などの高pH域においては、処理剤が分解する場合がある。一方、反応系のpHを1.5未満、又は2未満にすると、処理剤の溶解性が低くなる傾向にあり、反応効率が低下する場合や、酸性の化合物を多く使用する必要があるため、自己分散顔料の精製などの処理が困難になる場合がある。
また、ラジカル付加反応の反応速度を制御するために、温度を常温(25℃)以外に設定してもよい。温度は処理剤の種類に応じて適宜設定すればよい。具体的には、温度80℃以下であることが好ましく、5〜80℃であることがより好ましく、10〜70℃であることがさらに好ましく、10〜40℃であることが特に好ましい。温度を高くすると反応速度は上がるが、副反応が生じやすくなり、反応効率が下がる場合がある。一方、温度を低くすると副反応は生じにくくなるが、反応速度が下がり、反応時間が長くなる場合がある。
本発明の製造方法は、通常、液媒体中で行う。液媒体中の顔料の含有量(質量%)は、液媒体全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。顔料の含有量が高すぎると、顔料がカーボンブラックなどであるときに特に顕著となるが、反応系の粘度が高くなり、撹拌が難しくなることで反応効率がやや低下する場合がある。一方、顔料の含有量が低すぎると、反応系内での処理剤と顔料の接触頻度が下がり、反応効率がやや低下する場合や、反応系の粘度が低くなりすぎて、撹拌により乱流が生じ、撹拌の効率が低くなりやすくなる場合ある。
製造した自己分散顔料は、好適には精製などの一般的な顔料の後処理方法を行った後、種々の用途に用いることができる。具体的には、液媒体が存在しない粉末状やペレット状などの自己分散顔料とすることができる。この場合、エバポレーターなどを利用して減圧や加熱によって液媒体を除去してもよいし、また、フリーズドドライ法やオーブンなどを利用して、乾燥により液媒体を除去してもよい。
また、液媒体中に自己分散顔料が分散した状態で含まれる分散液の形態とすることができる。この場合、液媒体として有機溶剤を使用せず水のみを利用した場合には、得られた自己分散顔料を含む分散液をそのまま種々の用途に利用することもできるし、水での洗浄や自己分散顔料の含有量の調整を行ったものを最終的な分散液とすることもできる。有機溶剤を含む液媒体を利用した場合には、有機溶剤を除去することができる。有機溶剤を除去する方法としては、例えば、エバポレーターなどを利用して減圧や加熱によって有機溶剤を除去した後に水を加える方法などがある。さらに、限外ろ過などにより有機溶剤を除去した後、水を加える操作を繰り返す方法などもある。特に、水性の液媒体中に自己分散顔料が分散した状態の分散液とする場合には、自己分散顔料の官能基に含まれる親水性基をイオン解離させることで分散状態をより安定に保つことができる。官能基に含まれる親水性基はアニオン性であるので、分散液をアルカリ性にすることが好ましい。
製造した自己分散顔料は、インク、塗料、プラスチック、ゴム、紙、及び炭素繊維などの様々な組成物及び物品の色材として好適である。
(顔料種と物性値)
自己分散顔料を構成する顔料(顔料種)としては、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドンなどの有機顔料などを用いることができる。なかでも、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましく、特には、他の顔料に比して粒子表面の反応活性点がより多く、官能基の導入量を高めやすいため、カーボンブラックを顔料として用いることが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどいずれのカーボンブラックも使用することができる。
カーボンブラックのDBP吸油量は、50mL/100g以上200mL/100g以下であることが好ましい。なかでも、120mL/100g以上170mL/100g以下であることがさらに好ましく、120mL/100g以上150mL/100g以下であることが特に好ましい。DBP吸油量は、JIS K6221やASTM D 2414に準拠した方法により測定することができる。これらの方法は、100gのカーボンブラックに撹拌下でフタル酸ジブチルを滴下し、トルクが最大となった時点でのフタル酸ジブチルの添加量を測定する方法である。
BET法によるカーボンブラックの比表面積は、100m2/g以上600m2/g以下であることが好ましい。BET法による比表面積は、JIS K6217やASTM D6556などに準拠した方法により測定することができる。これらの方法は、脱気したカーボンブラックを液体窒素に浸漬し、平衡に至った際のカーボンブラックの粒子表面に吸着している窒素量を測定する方法である。
カーボンブラックの一次粒子径は、10nm以上40nm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常、複数の一次粒子がブドウの房のように立体的に連なった状態で存在する。一次粒子径とは、1つの顔料粒子を形成する最小単位のカーボンブラック(一次粒子)の粒子径を意味する。カーボンブラックの一次粒子径は、透過型又は走査型の電子顕微鏡により、顔料粒子を形成する最小単位のカーボンブラックの粒子径を100点程度観察して測定し、その算術平均値として求めることができる。
カーボンブラックの平均粒子径は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。平均粒子径とは、通常存在する形態としてのカーボンブラックの粒子径を意味する。本発明においては、体積基準の粒子径分布の50%累積値[D50(nm)]として、動的光散乱方式の粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。
また、有機顔料の一次粒子径は、50nm以上150nm以下であることが好ましい。さらに、有機顔料の平均粒子径は、50nm以上250nm以下であることが好ましい。有機顔料の一次粒子径及び平均粒子径の定義は、いずれもカーボンブラックの一次粒子径及び平均粒子径の定義と同様である。
(処理剤)
本発明の製造方法においては、一般式(1)で表される化合物を顔料の処理剤として用いる。一般式(1)で表される化合物は、親水性基が置換したジアゼン化合物である。一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(2)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによって得ることができる。すなわち、一般式(2)で表される化合物からの逐次的な水素原子の引き抜きによって、一般式(1)で表される化合物を経て、顔料の粒子表面にR1で表される基を結合させることができる。このため、本発明においては、一般式(2)で表される化合物も、顔料の処理に用いる処理剤に含める。一般式(2)で表される化合物は、ヒドラジノ基(−NH−NH2)及び親水性基を有する化合物であり、ヒドラジン硫酸塩やヒドラジン塩酸塩などのヒドラジンの酸付加塩;水和物も含まれる。
HN=N−R1 ・・・(1)
2N−NH−R1 ・・・(2)
一般式(1)及び(2)中のR1は、以下に示す通りである。すなわち、R1は、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す。
脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基は、直鎖、分岐鎖、及び環状のいずれであってもよい。直鎖及び分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の炭素数は1乃至12程度であることが好ましい。また、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は、単環及び複合環のいずれであってもよく、環を構成する元素数は3乃至8程度であることが好ましい。脂肪族基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基などの直鎖飽和アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、2−エチルへキシル基などの分岐鎖飽和アルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などのアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状脂肪族基;などを挙げることができる。脂肪族基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;ヒドロキシ基;などの置換基を有していてもよい。
芳香族基としては、アリール基、ヘテロアリール基を挙げることができる。アリール基やヘテロアリール基は、単環及び複合環のいずれであってもよく、環を構成する元素数は3乃至8程度であることが好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ビフェニル基などを挙げることができる。また、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジニル基、チエニル基、チアゾリル基などを挙げることができる。これらのなかでも、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ビフェニル基、ピリジニル基などが好ましく、フェニル基、ナフチル基などがさらに好ましい。
脂肪族基及び芳香族基を有する基としては、上記で挙げたような各基が直接、又は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−CONH−、−N=N−、−SO−、−SO2−などの一般的なリンカー構造を介して結合した基を挙げることができる。官能基の親水性を高めるためには、脂肪族基及び芳香族基を有する基に、リンカー構造を持たせることがさらに好ましい。
脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基は、顔料の粒子表面と親水性基との連結基となる。このため、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基は、親水性基との関係で顔料を自己分散化させることができるものであればよい。すなわち、連結基の構造が大きいにもかかわらず、置換する親水性基が少ないと、顔料の粒子表面に結合している官能基の親水性が高くならず、顔料を自己分散化させることが難しくなる。したがって、連結基の構造を大きくする場合には、置換する親水性基を多くしたり、顔料の粒子表面における官能基の導入量を増やしたりすることが好ましい。
脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に置換する親水性基は、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの親水性基は、化学的に可能な限りにおいて、塩、無水物などの形態であってもよい。
親水性基である、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基について説明する。カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基が塩を形成している場合、これらの各基のプロトンの少なくとも1つがカチオンに置換されている。カチオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンなどを挙げることができる。アルカリ金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのイオンを挙げることができる。有機アンモニウムイオンとしては、モノ乃至トリアルキルアミンなどの脂肪族アミン;モノ乃至トリアルカノールアミンなどの脂肪族アルコールアミンのカチオンやその塩を挙げることができる。水性の液体中では塩はイオンに解離して存在しうるが、便宜上、「塩」と表現する。
親水性基の置換数は、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に存在する水素原子の数と理論上は等しい。例えば、親水性基の置換数は、メチル基では1〜3、エチル基では1〜5、フェニル基では1〜5、ナフチル基では1〜7、アントラセニル基では1〜9、ピリジル基では1〜4である。構造にもよるが、実際には、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基の1つ当たりに1〜2個の親水性基を置換させれば、顔料を自己分散化することができる。
1は、顔料の粒子表面に結合する官能基となる。1つの官能基の分子量は、1,000以下であることが好ましく、500以下であることがさらに好ましい。したがって、R1の部分の分子量も1,000以下であることが好ましく、500以下であることがさらに好ましい。また、R1は、アリーレン基及び複数のカルボン酸基を含む構造、並びにアミド結合及びホスホン酸基を含む構造の少なくとも一方を有することが好ましい。
顔料の処理剤として用いる、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物としては、市販の試薬を用いることができる。また、試薬として市販されていない場合には、合成したものを用いることもできる。処理剤の合成法について、一例を挙げて以下に説明する。この合成法は、アミン化合物からヒドラジン化合物を得る方法である。具体的に、4−アミノ安息香酸から4−ヒドラジノ安息香酸を合成する場合を例に挙げて説明する。アミン化合物に窒素を付加する際の窒素源として、ヒドロキシアミン−o−スルホン酸を用いる。アルカリ条件下でアミン化合物とヒドロキシアミン−o−スルホン酸を反応させることで、ヒドラジン化合物が生成する。酸の添加によりヒドラジン化合物の塩(塩酸塩など)として析出させれば、ろ過することなどによりヒドラジン化合物を効率よく分取することができる。
Figure 0006602055
例えば、以下に示す非特許文献2には、ヒドロキシアミン−o−スルホン酸を用いて、2−アミノ−1−プロパノールから2−ヒドラジノ−1−プロパノールを得る方法が記載されている。
非特許文献2:Journal of the American Chemical Society,76,1283-1285(1954)
(酸化剤)
本発明においては、上述の工程(1)を酸化剤の存在下で行って自己分散顔料を製造することもできる。酸化剤は反応速度の向上のために使用しうるものであるが、本発明の製造方法で利用する反応は酸化剤を使用しなくても進行する。
一般に、顔料に酸化剤を作用させると、顔料の粒子表面の炭素原子が酸化されてカルボン酸基となる。一方、本発明の製造方法では、酸化剤の作用により、一般式(2)で表される化合物から一般式(1)で表される化合物の生成が促進され、これに引き続いて進行する酸化的ラジカル付加反応が促進される。したがって、酸化剤が顔料の粒子表面に直接的に作用することはない。これは、顔料の粒子表面の炭素原子を酸化してカルボニル種(C=O)に導くために必要なエネルギー(炭素と酸素の結合エネルギー)よりも、一般式(1)及び(2)で表される化合物からの水素原子の引き抜きに必要なエネルギーの方が少ないからである。すなわち、一般式(1)及び(2)で表される化合物が存在する場合、酸化剤は水素原子の引き抜きに選択的に消費されると考えられる。
本発明の製造方法で用いることができる酸化剤としては、ハロゲン、オキソ酸化合物、金属酸化物、ハロゲン化金属化合物、金属ポルフィリン化合物、ヘキサシアノ金属酸化合物、金属硝酸化物、過酸化水素、硝酸などを挙げることができる。
ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。オキソ酸化合物としては、クロム酸、モリブデン酸、過マンガン酸、バナジン酸、ビスマス酸、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、ハロゲン酸、過ハロゲン酸などを挙げることができる。これらのオキソ酸化合物は塩を形成していてもよいが、金属を有することを要する。塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなどを挙げることができる。水性の液体中では、塩はイオンに解離して存在しうるが、便宜上、「塩」と表現する。オキソ酸化合物の具体例としては、クロム酸カリウム、二クロム酸カリウム、重クロム酸ビス(テトラブチルアンモニウム)、重クロム酸ピリジニウム、クロロクロム酸ピリジニウム、フルオロクロム酸ピリジニウムなどのクロム酸塩;過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸銀、過マンガン酸亜鉛、過マンガン酸マグネシウムなどの過マンガン酸塩;バナジン酸アンモニウム、バナジン酸カリウム、バナジン酸ナトリウムなどのバナジン酸塩;ビスマス酸ナトリウム、ビスマス酸カリウムなどのビスマス酸塩;次亜塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、次亜フッ素酸やこれらの塩などを挙げることができる。
金属酸化物としては、酸化マンガン、酸化鉛、酸化銅、酸化銀、酸化オスミウムなどを挙げることができる。ハロゲン化金属化合物としては、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化銀、塩化クロム、塩化ジルコニウム、塩化スズ、塩化セリウム、塩化鉄、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化マンガンなどを挙げることができる。
金属ポルフィリン化合物としては、中心金属を有し、置換されていてもよいポルフィリン化合物を挙げることができる。具体的には、テトラベンゾポルフィリン化合物、テトラアザポルフィリン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物などを挙げることができる。中心金属としては、例えば、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Pt、Mn、Ru、Cr、Pdなどを挙げることができる。また、金属に配位子が存在していてもよく、配位子としては公知のものを用いればよい。
ヘキサシアノ金属酸化合物としては、ヘキサシアノ鉄酸塩やその水和物などを挙げることができる。具体的には、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、ヘキサシアノ鉄酸ナトリウム、ヘキサシアノ鉄酸アンモニウム、ヘキサシアノ鉄酸銅、ヘキサシアノ鉄酸複塩(ヘキサシアノ鉄酸リチウム・カリウムなど)やこれらの水和物を挙げることができる。
金属硝酸化物としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸銀、硝酸銅などを挙げることができる。
上記した酸化剤以外にも、例えば、有機過酸化物、超原子価ヨウ素化合物、N−オキシド化合物などを酸化剤として用いることもできる。
また、触媒作用を有する酸化剤を用いることもできる。上記で挙げた酸化剤のうち、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Mn、Cr、及びMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の、ハロゲン化金属化合物、金属ポルフィリン化合物、又はヘキサシアノ金属酸化合物などが触媒作用を有する。触媒作用を有する酸化剤は、水素原子の引き抜きに使用されて還元種となった後、反応系内の酸素の作用を受けて酸化種に戻るため、再び酸化剤として使用可能となる。したがって、触媒作用を有する酸化剤を用いると、酸化剤の使用量を低減することができる。触媒作用を有する酸化剤は、価数が変化しやすい金属(2以上の酸化状態をとることができる金属元素)を有するものである。金属の価数変化の具体例としては、Fe(II、III)、Co(II、III)、Ni(II、III)、Cu(0、I、II)、Mg(0、II)、Mn(II、IV、VII)、Cr(II、III)、Mo(IV、V)などがある。触媒作用が生ずるメカニズムについて、具体例を示して説明する。例えば、3価のFe(Fe(III))を有する酸化剤の場合、ヒドラジン化合物からの水素原子の引き抜きに酸化種であるFe3+(Fe(III))が使用されて、還元種であるFe2+(Fe(II))が生成する。その後、反応系内の酸素の作用を受けて酸化種であるFe3+(Fe(III))に戻ることで、再び酸化剤として使用可能となる。
本発明の製造方法では、酸化剤を用いる場合であってもその機能が損なわれることがないため、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを利用することができる。なぜならば、酸化的ラジカル付加反応は、酸素の授受によってではなく、水素原子の引き抜きによって行われるからである。不活性ガスを反応系に導入する方法としては、例えば、ボンベからチューブを介して流入させる方法;風船などに捕集しておいたものを針先から出して流入させる方法などがある。
(液媒体)
本発明の製造方法は、通常、水系の液媒体中で行う。水系の液媒体としては、水のみ、又は、水を主溶媒としてプロトン性や非プロトン性の有機溶剤を併用した水性媒体を使用することができる。水性媒体は、水及び有機溶剤の混合溶媒である。有機溶媒としては、水と任意の割合で混和又は溶解するものを用いることが好ましい。なかでも、水を50質量%以上含有する均一な混合溶媒を水性媒体として用いることが好ましい。水としては、イオン交換水や純水を用いることが好ましい。
プロトン性の有機溶剤は、酸素や窒素に結合した水素原子(酸性水素原子)を有する有機溶剤である。また、非プロトン性の有機溶剤は、酸性水素原子を有しない有機溶剤である。有機溶剤としては、例えば、アルコール類;アルキレングリコール類;ポリアルキレングリコール類;グリコールエーテル類;グリコールエーテルエステル類;カルボン酸アミド類;ケトン類;ケトアルコール類;環状エーテル類;含窒素化合物類;含硫黄化合物などを挙げることができる。
本発明の製造方法において好適に用いることができる液媒体としては、例えば、水、水/メタノール混合溶媒、水/エタノール混合溶媒、水/エチレングリコール混合溶媒、水/N−メチルピロリドン混合溶媒、水/テトラヒドロフラン混合溶媒、水/アセトン混合溶媒などを挙げることができる。
<インク>
(自己分散顔料)
本発明のインクは、色材として自己分散顔料を含有する。そして、この自己分散顔料が、前述の本発明の製造方法により製造された自己分散顔料である。自己分散顔料を色材として用いることにより、顔料をインク中に分散させるための分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。本発明のインクには、調色などのために、顔料とともに染料などを含有させてもよい。
本発明のインクに色材として用いる自己分散顔料は、その官能基に親水性基が含まれる。そして、本発明のインクが水性のインクである場合、顔料への官能基の導入量は、0.10mmol/g以上であることが好ましい。顔料への官能基の導入量が0.10mmol/g未満であると、分散安定性がやや低下する場合がある。また、顔料への官能基の導入量は、1.00mmol/g以下であることが好ましく、0.80mmol/g以下であることがさらに好ましい。
官能基の導入量は、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介して結合した官能基の量を表す指標であり、自己分散顔料1g当たりの官能基の量(mmol)で表される。本発明において、官能基の導入量は以下のようにして求める。先ず、同時示差熱天秤質量分析(TG−MS)や固体NMRなどにより、官能基の構造を特定する。そして、コロイド滴定法により親水性基の導入量を求める。コロイド滴定法による親水性基の分析にはメチルグリコールキトサンや塩酸を用いることができる。その後、1の官能基に複数の親水性基が含まれる場合は、親水性基の導入量を親水性基の数で除したうえで、自己分散顔料1g当たりの官能基の導入量(mmol)に換算する。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明においては、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクとすることが好ましい。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。なかでも、25℃における蒸気圧が水よりも低い水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、さらには10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類;尿素、エチレン尿素、ヒダントイン類などの尿素誘導体;糖類などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性などの界面活性剤が挙げられる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系化合物などのノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤はその疎水性基が自己分散顔料の粒子表面に吸着し易い。このため、インク中における自己分散顔料の分散状態をより安定に保つことができる。界面活性剤の中でも、ノニオン性界面活性剤はイオン性基を有さないため、自己分散顔料の官能基との相互作用を起こしにくい一方で顔料の粒子表面には吸着しやすいからである。
(インクの物性)
本発明のインクをインクジェット方式に適用する場合、その物性値を適切に制御することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましい。なかでも、30mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上9.0以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図4は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図4に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図5は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<分析条件>
自己分散顔料を製造する反応の途中で少量の試料を採取し、顔料を除去して分離液を得た。LC/MSD TOF装置(Agilent製)を用いた液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)法により、得られた分離液(液体)に含まれる成分の定性を行い、反応中に生成するラジカル種を推定した。この分析により、反応メカニズムの推定や、副生成物が少ない反応であるか否かを知ることができる。
<自己分散顔料の製造>
以下の製造方法に関する記載における「mmol/g」は、顔料1.0g当たりのミリモル数(mmol)を意味する。また、処理剤は住化テクノサービスから入手したものを用いた。
(実施例1)
顔料18.0g、イオン交換水200mL、及び処理剤1.0mmol/gを容量400mLのベッセル(アイメックス製)に入れて混合した。顔料としては、カーボンブラック(商品名「トーカブラック#8300」、東海カーボン製)を用いた。また、処理剤としては、4−ヒドラジノ安息香酸を用いた。5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液15mLを入れて液体のpHを9に調整した後、温度25℃、回転数2,000rpmで12時間撹拌し、分散液を得た。限外ろ過装置(商品名「RP−2100」(アイラ製)、フィルター:ペンシル型モジュール「SAP−0013」(旭化成ケミカルズ製))を用いて得られた分散液から不純物を除去して精製した。精製は、限外ろ過装置で分散液を50mLまで濃縮(ろ液150mLを分取)した後、イオン交換水150mLを添加して分散液を希釈する操作を、ろ液の電気伝導度が50μS/cm以下となるまで繰り返すことにより行った。限外ろ過して自己分散顔料の含有量を調整した後、回転数5,000rpmで遠心分離して粗大粒子を除去し、自己分散顔料1の含有量が10.0%である、自己分散顔料1の水分散液を得た。自己分散顔料1の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)を図1に示す。図1は、処理剤が消失した時点における分離液についてLCMS分析して得た結果(チャート)である。また、図1中の構造式は、質量分析で得られたマススペクトルから推定したものである。
(実施例2)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料2の水分散液を得た。
(実施例3)
処理剤を5−ヒドラジノサリチル酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料3の水分散液を得た。
(実施例4)
処理剤を4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料4の水分散液を得た。
(実施例5)
処理剤をP−(4−ヒドラジニルフェニル)ホスホン酸に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料5の水分散液を得た。
(実施例6)
処理剤を0.5mmol/gの4−ヒドラジノ安息香酸及び0.5mmol/gの4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸の混合物に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料6の水分散液を得た。
(実施例7)
処理剤を0.5mmol/gの4−ヒドラジノ安息香酸及び0.5mmol/gのP−(4−ヒドラジニルフェニル)ホスホン酸の混合物に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料7の水分散液を得た。
(実施例8)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料8の水分散液を得た。
(実施例9)
処理剤を4−ヒドラジノフェニル酢酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料9の水分散液を得た。
(実施例10)
処理剤を4−ヒドラジノフェノキシ酢酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料10の水分散液を得た。
(実施例11)
処理剤を3−(4−ヒドラジノフェニル)酒石酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料11の水分散液を得た。
(実施例12)
酸化剤として0.1mmol/gの塩化鉄(III)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料12の水分散液を得た。
(実施例13)
酸化剤として0.1mmol/gの過ヨウ素酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして自己分散顔料13の水分散液を得た。
(実施例14)
5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を28%アンモニア水30mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして自己分散顔料14の水分散液を得た。
(実施例15)
反応の際の温度を80℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料15の水分散液を得た。
(実施例16)
反応の際の温度を85℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料16の水分散液を得た。
(実施例17)
顔料をカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料17の水分散液を得た。
(実施例18)
顔料をカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料18の水分散液を得た。
(実施例19)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gのフェロシアン化カリウム(三水和物)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料19の水分散液を得た。
(実施例20)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gのヨウ素を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料20の水分散液を得た。
(実施例21)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの塩化鉄(III)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料21の水分散液を得た。
(実施例22)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過ヨウ素酸ナトリウムを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料22の水分散液を得た。
(実施例23)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過マンガン酸カリウムを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料22の水分散液を得た。
(実施例24)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過酸化水素(35%水溶液)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料24の水分散液を得た。
(実施例25)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、撹拌時間を96時間に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料25の水分散液を得た。
(実施例26)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を28%アンモニア水30mLに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料26の水分散液を得た。
(実施例27)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を80℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料27の水分散液を得た。
(実施例28)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を85℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料28の水分散液を得た。
(実施例29)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料29の水分散液を得た。
(実施例30)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料30の水分散液を得た。
(実施例31)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「MCF88」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料31の水分散液を得た。
(実施例32)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「Color Black FW200」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料32の水分散液を得た。
(実施例33)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をC.I.ピグメントブルー15:3(商品名「Heliogen Blue D 7079」、BASF製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料33の水分散液を得た。
(実施例34)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をC.I.ピグメントレッド122(商品名「Hostaperm Pink E02」、クラリアント製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料34の水分散液を得た。
(実施例35)
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をC.I.ピグメントイエロー155(商品名「Inkjet Yellow 4G」、クラリアント製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料35の水分散液を得た。
(実施例36)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの塩化鉄(III)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料36の水分散液を得た。
(実施例37)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過ヨウ素酸ナトリウムを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料37の水分散液を得た。
(実施例38)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を28%アンモニア水30mLに変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料38の水分散液を得た。
(実施例39)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を80℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料39の水分散液を得た。
(実施例40)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を85℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料40の水分散液を得た。
(実施例41)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料41の水分散液を得た。
(実施例42)
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料42の水分散液を得た。
(比較例1)
特許文献1の記載に準じて、以下に示す手順で比較自己分散顔料1の水分散液を得た。p−アミノ安息香酸3.0mmol/g、及びイオン交換水25mLを300mLフラスコに入れ、氷浴で温度5℃に保った。さらに濃塩酸5mLを入れた後、イオン交換水5.4mLに亜硝酸ナトリウム1.5gを溶解させた液体を滴下し、温度を保持したまま2時間撹拌して液体を得た。容量400mLのベッセル(アイメックス製)に、顔料18.0g及びイオン交換水200mLを入れた後、上記で得た液体を添加し、温度25℃、回転数2,000rpmで12時間撹拌した。顔料としては、カーボンブラック(商品名「トーカブラック#8300」、東海カーボン製)を用いた。その後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液15mLを入れ、液体のpHを9に調整した。次いで、実施例1と同様にして精製を行い、比較自己分散顔料1の含有量が10.0%である、比較自己分散顔料1の水分散液を得た。比較自己分散顔料1の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)を図2に示す。図2は、処理剤が消失した時点における分離液についてLCMS分析して得た結果(チャート)である。
(比較例2)
特許文献2の記載に準じて、以下に示す手順で比較自己分散顔料2の水分散液を得た。顔料18.0g、イオン交換水200mL、及び4−ヒドラジノ安息香酸1.0mmol/gを混合し、水酸化アンモニウムを用いて液体のpHを9に調整して混合液を得た。顔料としては、カーボンブラック(商品名「トーカブラック#8300」、東海カーボン製)を用いた。得られた混合液をパイレックス(登録商標)皿に入れてオーブンに投入し、温度120℃で24時間加熱して顔料を乾固させた。乾固させた顔料をイオン交換水に分散させ、超音波処理を行った。次いで、実施例1と同様にして精製を行い、比較自己分散顔料2の含有量が10.0%である、比較自己分散顔料2の水分散液を得た。比較自己分散顔料2の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)を図3に示す。図3は、処理剤が消失した時点における分離液についてLCMS分析して得た結果(チャート)である。
(比較例3)
反応の際の温度を80℃に変更したこと以外は、前述の比較例1と同様にして比較自己分散顔料3の水分散液を得た。
<自己分散顔料の製造条件>
自己分散顔料の製造条件を表1−1及び1−2に示す。表1−1及び1−2中の略号の意味(顔料の種類)は以下に示す通りである。
・CB1:トーカブラック#8300(東海カーボン製)
・CB2:NIPEX170IQ(オリオンエンジニアドカーボンズ製)
・CB3:#2600(三菱化学製)
・CB4:MCF88(三菱化学製)
・CB5:Color Black FW200(オリオンエンジニアドカーボンズ製)
・PC:Heliogen Blue D 7079(BASF製)
・QA:Hostaperm Pink E02(クラリアント製)
・AZ:Inkjet Yellow 4G(クラリアント製)
Figure 0006602055
Figure 0006602055
<評価>
実施例及び比較例の各製造方法について以下に示す評価を行った。評価結果を表2−1及び2−2に示す。表2−1及び2−2には、自己分散顔料の粒子表面に結合している官能基(−R1)の構造も示した。表2−1及び2−2中の「Ph」は「フェニレン基」を意味する。
(反応効率の評価)
自己分散顔料の水分散液20.0gに0.1mol/Lの塩酸80.0gを添加して自己分散顔料を沈殿させた後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離して上澄みの液体を除去する操作を2回繰り返して試料を得た。得られた試料を温度60℃のオーブン中に載置し、18時間乾燥させて乾固物を得た。得られた乾固物をメノウ乳鉢ですりつぶし、固形物0.5gを秤量した。この固形物に0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液30.0gを添加して1日撹拌した後、遠心分離機(ベックマンコールター製)を用いて、回転数80,000rpmで60分間遠心分離を行い、上澄みの液体を採取した。採取した液体について逆滴定を行い、顔料の粒子表面の官能基に含まれる親水性基量(「顔料の親水性基のモル数」、顔料1.0g当たりの値とする)を求めた。逆滴定には、電位差滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を用い、滴下量及び時間は自動制御とした。また、0.1mol/L塩酸(和光純薬工業製)を滴定液として用いた。
自己分散顔料を製造する際に、顔料1.0g当たりに使用した処理剤のモル数から「処理剤の親水性基のモル数」を算出した。この「処理剤の親水性基のモル数」は、顔料1.0g当たりに使用した処理剤の親水性基のモル数である。例えば、処理剤として2つのカルボン酸基を有する化合物を用いた場合は、処理剤の分子量を利用して求められるモル数の2倍として計算する。
上記で得られた「顔料の親水性基のモル数」及び「処理剤の親水性基のモル数」から、下記式(A)に基づき反応効率(%)を算出した。反応効率の値は、便宜上、小数点以下第一位を四捨五入した整数値として示した。
反応効率(%)
=(「顔料の親水性基のモル数」/「処理剤の親水性基のモル数」)×100
・・・(A)
算出した反応効率の値から、以下に示す評価基準にしたがって反応効率を評価した。本発明においては、以下に示す評価基準で、「C」を許容できないレベル、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベルとした。
AA:反応効率が30%以上であった。
A:反応効率が20%以上30%未満であった。
B:反応効率が10%以上20%未満であった。
C:反応効率が10%未満であった。
(画像の評価)
自己分散顔料の水分散液を用いて、以下に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)で加圧ろ過して各インクを調製した。「アセチレノールE100」はノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。
・自己分散顔料の水分散液:30.0%
・グリセリン:15.0%
・トリエチレングリコール:5.0%
・アセチレノールE100:0.2%
・イオン交換水:49.8%
調製したインクをインクカートリッジにそれぞれ充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS MP480」、キヤノン製)に搭載した。このインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiであり、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が25ng±10%であるインク滴を1滴付与する条件を記録デューティが100%であると定義する。このインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(普通紙、商品名「PB PAPER GF−500」、キヤノン製)に、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。分光光度計を使用し、光源:D50、視野:2°の条件で得られた記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定するとともに、目視でベタ画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像を評価した。分光光度計としては、商品名「Spectrolino」(Gretag Macbeth製)を使用した。顔料種が有機顔料である場合は括弧内の光学濃度の数値により評価を行った。本発明においては、以下に示す評価基準で、「C」を許容できないレベル、「A」及び「B」を許容できるレベルとした。
A:光学濃度が1.40(1.10)以上であり、ベタ画像にムラがなく締まりがあった。
B:光学濃度が1.40(1.10)以上であったが、ベタ画像にわずかなムラがあった。
C:光学濃度が1.40(1.10)未満であった。
Figure 0006602055
Figure 0006602055
実施例1と、比較例1及び2とを対比して、本発明の製造方法について考察する。実施例1の反応効率は、比較例1及び2の反応効率よりも高い。すなわち、本発明の製造方法は、より少ない使用量の処理剤で顔料を自己分散化させることができる、効率のよい方法であると言える。比較例1では、処理剤の分解や、顔料の自己分散化以外のラジカル種同士のカップリング反応などが生じたことに加え、窒素ガスの泡が多く発生していたため、反応効率が低くなったと考えられる。
図1と図2の比較から、自己分散顔料1の製造過程では生じる副生成物が少なく、反応が理想的に進むが、比較自己分散顔料1の製造過程では生じる副生成物が多く、反応の際に生じた中間体同士が複雑に反応していることが示唆される。自己分散顔料1の反応における特徴的なピークは、保持時間(RT)13.8分(MS=168,positive)、及び保持時間(RT)20分前後(MS=270,negative)の2つである。これらのピークは、図1に示した構造を有する化合物に対応することが示唆された。保持時間13.8分の化合物は、処理剤の4−ヒドラジノ安息香酸から1個の水素原子が引き抜かれて生成した窒素ラジカル種由来の化合物である。また、保持時間20分前後の化合物は、処理剤の4−ヒドラジノ安息香酸から3個の水素原子が引き抜かれて生成したジアゼンラジカル種由来の化合物である。図1と、図2及び3との比較からわかるように、比較自己分散顔料1及び2の製造過程で得た分離液中には、自己分散顔料1の製造過程で得た分離液中に含まれていた前記の各化合物が存在しない。このことは、本発明の製造方法で利用する反応が、処理剤からの水素原子の引き抜きとそれに伴うラジカル種の生成、さらには、このラジカル種の顔料の粒子表面への付加によって進行することを示唆している。すなわち、本発明の製造方法で利用する反応は、従来の自己分散顔料の製造方法とは異なるメカニズムで進行する反応であることが示唆される。
また、実施例で製造された自己分散顔料を用いた場合は、比較例1〜3の顔料種及び官能基の構造を、比較の対象とする実施例と同じにして製造した比較自己分散顔料を用いた場合と比較して、いずれも光学濃度が高く、高品位な画像を記録することができた。

Claims (14)

  1. 自己分散顔料を製造する方法であって、
    下記一般式(1)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによるラジカル付加反応によって、下記一般式(1)中のRで表される基を顔料の粒子表面に結合させる工程を有することを特徴とする自己分散顔料の製造方法。
    HN=N−R ・・・(1)
    (前記一般式(1)中、Rは、脂肪族基芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基とが直接若しくはリンカー構造を介して結合した基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物を、下記一般式(2)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによって生成させる請求項1に記載の自己分散顔料の製造方法。
    N−NH−R ・・・(2)
    (前記一般式(2)中、Rは、脂肪族基芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基とが直接若しくはリンカー構造を介して結合した基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
  3. 前記一般式(1)及び(2)中のRが、アリーレン基及び複数のカルボン酸基を含む構造を有する請求項1又は2に記載の自己分散顔料の製造方法。
  4. 前記一般式(1)及び(2)中のR が、脂肪族基と芳香族基とがリンカー構造を介して結合した基であり、
    前記リンカー構造が、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−CONH−、−N=N−、−SO−、又は−SO −である請求項1又は2に記載の自己分散顔料の製造方法。
  5. 前記一般式(1)及び(2)中のR が、アミド結合(−CONH−)及びホスホン酸基を含む構造を有する請求項4に記載の自己分散顔料の製造方法。
  6. 前記工程を、pH1以上13以下の条件下で行う請求項1乃至のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
  7. 前記工程を、酸化剤の存在下で行う請求項1乃至のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
  8. 前記工程を、液媒体中で行う請求項1乃至のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
  9. 前記工程を、水系で行う請求項1乃至のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
  10. 前記工程を、温度80℃以下で行う請求項1乃至のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
  11. 前記自己分散顔料を構成する顔料種が、無機顔料及び有機顔料の少なくとも1種である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
  12. 前記自己分散顔料を構成する顔料種が、カーボンブラックである請求項1乃至10のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
  13. 自己分散顔料を含有するインクの製造方法であって、
    前記自己分散顔料として、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された自己分散顔料を用いることを特徴とするインクの製造方法。
  14. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクとして、請求項13に記載の製造方法によって製造されたインクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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