JP6602055B2 - 自己分散顔料の製造方法、インクの製造方法、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
HN=N−R1 ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基とが直接若しくはリンカー構造を介して結合した基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
本発明の自己分散顔料の製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによるラジカル付加反応によって、下記一般式(1)中のR1で表される基を顔料の粒子表面に結合させる工程(以下、「工程(1)」とも記す)を有する。
HN=N−R1 ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
反応効率(%)
=(「顔料の親水性基のモル数」/「処理剤の親水性基のモル数」)×100
・・・(A)
H2N−NH−R1 ・・・(2)
(前記一般式(2)中、R1は、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
自己分散顔料を構成する顔料(顔料種)としては、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドンなどの有機顔料などを用いることができる。なかでも、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましく、特には、他の顔料に比して粒子表面の反応活性点がより多く、官能基の導入量を高めやすいため、カーボンブラックを顔料として用いることが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどいずれのカーボンブラックも使用することができる。
本発明の製造方法においては、一般式(1)で表される化合物を顔料の処理剤として用いる。一般式(1)で表される化合物は、親水性基が置換したジアゼン化合物である。一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(2)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによって得ることができる。すなわち、一般式(2)で表される化合物からの逐次的な水素原子の引き抜きによって、一般式(1)で表される化合物を経て、顔料の粒子表面にR1で表される基を結合させることができる。このため、本発明においては、一般式(2)で表される化合物も、顔料の処理に用いる処理剤に含める。一般式(2)で表される化合物は、ヒドラジノ基(−NH−NH2)及び親水性基を有する化合物であり、ヒドラジン硫酸塩やヒドラジン塩酸塩などのヒドラジンの酸付加塩;水和物も含まれる。
HN=N−R1 ・・・(1)
H2N−NH−R1 ・・・(2)
非特許文献2:Journal of the American Chemical Society,76,1283-1285(1954)
本発明においては、上述の工程(1)を酸化剤の存在下で行って自己分散顔料を製造することもできる。酸化剤は反応速度の向上のために使用しうるものであるが、本発明の製造方法で利用する反応は酸化剤を使用しなくても進行する。
本発明の製造方法は、通常、水系の液媒体中で行う。水系の液媒体としては、水のみ、又は、水を主溶媒としてプロトン性や非プロトン性の有機溶剤を併用した水性媒体を使用することができる。水性媒体は、水及び有機溶剤の混合溶媒である。有機溶媒としては、水と任意の割合で混和又は溶解するものを用いることが好ましい。なかでも、水を50質量%以上含有する均一な混合溶媒を水性媒体として用いることが好ましい。水としては、イオン交換水や純水を用いることが好ましい。
(自己分散顔料)
本発明のインクは、色材として自己分散顔料を含有する。そして、この自己分散顔料が、前述の本発明の製造方法により製造された自己分散顔料である。自己分散顔料を色材として用いることにより、顔料をインク中に分散させるための分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。本発明のインクには、調色などのために、顔料とともに染料などを含有させてもよい。
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明においては、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクとすることが好ましい。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類;尿素、エチレン尿素、ヒダントイン類などの尿素誘導体;糖類などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクをインクジェット方式に適用する場合、その物性値を適切に制御することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましい。なかでも、30mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上9.0以下であることが好ましい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図4は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図4に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
自己分散顔料を製造する反応の途中で少量の試料を採取し、顔料を除去して分離液を得た。LC/MSD TOF装置(Agilent製)を用いた液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)法により、得られた分離液(液体)に含まれる成分の定性を行い、反応中に生成するラジカル種を推定した。この分析により、反応メカニズムの推定や、副生成物が少ない反応であるか否かを知ることができる。
以下の製造方法に関する記載における「mmol/g」は、顔料1.0g当たりのミリモル数(mmol)を意味する。また、処理剤は住化テクノサービスから入手したものを用いた。
顔料18.0g、イオン交換水200mL、及び処理剤1.0mmol/gを容量400mLのベッセル(アイメックス製)に入れて混合した。顔料としては、カーボンブラック(商品名「トーカブラック#8300」、東海カーボン製)を用いた。また、処理剤としては、4−ヒドラジノ安息香酸を用いた。5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液15mLを入れて液体のpHを9に調整した後、温度25℃、回転数2,000rpmで12時間撹拌し、分散液を得た。限外ろ過装置(商品名「RP−2100」(アイラ製)、フィルター:ペンシル型モジュール「SAP−0013」(旭化成ケミカルズ製))を用いて得られた分散液から不純物を除去して精製した。精製は、限外ろ過装置で分散液を50mLまで濃縮(ろ液150mLを分取)した後、イオン交換水150mLを添加して分散液を希釈する操作を、ろ液の電気伝導度が50μS/cm以下となるまで繰り返すことにより行った。限外ろ過して自己分散顔料の含有量を調整した後、回転数5,000rpmで遠心分離して粗大粒子を除去し、自己分散顔料1の含有量が10.0%である、自己分散顔料1の水分散液を得た。自己分散顔料1の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)を図1に示す。図1は、処理剤が消失した時点における分離液についてLCMS分析して得た結果(チャート)である。また、図1中の構造式は、質量分析で得られたマススペクトルから推定したものである。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料2の水分散液を得た。
処理剤を5−ヒドラジノサリチル酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料3の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料4の水分散液を得た。
処理剤をP−(4−ヒドラジニルフェニル)ホスホン酸に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料5の水分散液を得た。
処理剤を0.5mmol/gの4−ヒドラジノ安息香酸及び0.5mmol/gの4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸の混合物に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料6の水分散液を得た。
処理剤を0.5mmol/gの4−ヒドラジノ安息香酸及び0.5mmol/gのP−(4−ヒドラジニルフェニル)ホスホン酸の混合物に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料7の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料8の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフェニル酢酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料9の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフェノキシ酢酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料10の水分散液を得た。
処理剤を3−(4−ヒドラジノフェニル)酒石酸塩酸塩に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料11の水分散液を得た。
酸化剤として0.1mmol/gの塩化鉄(III)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料12の水分散液を得た。
酸化剤として0.1mmol/gの過ヨウ素酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして自己分散顔料13の水分散液を得た。
5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を28%アンモニア水30mLに変更したこと以外は、実施例1と同様にして自己分散顔料14の水分散液を得た。
反応の際の温度を80℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料15の水分散液を得た。
反応の際の温度を85℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料16の水分散液を得た。
顔料をカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料17の水分散液を得た。
顔料をカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料18の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gのフェロシアン化カリウム(三水和物)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料19の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gのヨウ素を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料20の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの塩化鉄(III)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料21の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過ヨウ素酸ナトリウムを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料22の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過マンガン酸カリウムを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料22の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過酸化水素(35%水溶液)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料24の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、撹拌時間を96時間に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料25の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を28%アンモニア水30mLに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料26の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を80℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料27の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を85℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料28の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料29の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料30の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「MCF88」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料31の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「Color Black FW200」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料32の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をC.I.ピグメントブルー15:3(商品名「Heliogen Blue D 7079」、BASF製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料33の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をC.I.ピグメントレッド122(商品名「Hostaperm Pink E02」、クラリアント製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料34の水分散液を得た。
処理剤を4−ヒドラジノフタル酸塩酸塩に変更し、顔料をC.I.ピグメントイエロー155(商品名「Inkjet Yellow 4G」、クラリアント製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料35の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの塩化鉄(III)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料36の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、酸化剤として0.1mmol/gの過ヨウ素酸ナトリウムを用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料37の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を28%アンモニア水30mLに変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料38の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を80℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料39の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、反応の際の温度を85℃に変更し、ベッセルを還流管付きの500mL三口フラスコに変更し、回転数を300rpmに変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料40の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)に変更した。これらのこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料41の水分散液を得た。
処理剤をP,P’−[[(4−ヒドラジノベンジル)アミノ]メチレン]ビスホスホン酸塩酸塩に変更し、顔料をカーボンブラック(商品名「#2600」、三菱化学製)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして自己分散顔料42の水分散液を得た。
特許文献1の記載に準じて、以下に示す手順で比較自己分散顔料1の水分散液を得た。p−アミノ安息香酸3.0mmol/g、及びイオン交換水25mLを300mLフラスコに入れ、氷浴で温度5℃に保った。さらに濃塩酸5mLを入れた後、イオン交換水5.4mLに亜硝酸ナトリウム1.5gを溶解させた液体を滴下し、温度を保持したまま2時間撹拌して液体を得た。容量400mLのベッセル(アイメックス製)に、顔料18.0g及びイオン交換水200mLを入れた後、上記で得た液体を添加し、温度25℃、回転数2,000rpmで12時間撹拌した。顔料としては、カーボンブラック(商品名「トーカブラック#8300」、東海カーボン製)を用いた。その後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液15mLを入れ、液体のpHを9に調整した。次いで、実施例1と同様にして精製を行い、比較自己分散顔料1の含有量が10.0%である、比較自己分散顔料1の水分散液を得た。比較自己分散顔料1の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)を図2に示す。図2は、処理剤が消失した時点における分離液についてLCMS分析して得た結果(チャート)である。
特許文献2の記載に準じて、以下に示す手順で比較自己分散顔料2の水分散液を得た。顔料18.0g、イオン交換水200mL、及び4−ヒドラジノ安息香酸1.0mmol/gを混合し、水酸化アンモニウムを用いて液体のpHを9に調整して混合液を得た。顔料としては、カーボンブラック(商品名「トーカブラック#8300」、東海カーボン製)を用いた。得られた混合液をパイレックス(登録商標)皿に入れてオーブンに投入し、温度120℃で24時間加熱して顔料を乾固させた。乾固させた顔料をイオン交換水に分散させ、超音波処理を行った。次いで、実施例1と同様にして精製を行い、比較自己分散顔料2の含有量が10.0%である、比較自己分散顔料2の水分散液を得た。比較自己分散顔料2の製造過程で得た分離液のLCMS分析結果(チャート)を図3に示す。図3は、処理剤が消失した時点における分離液についてLCMS分析して得た結果(チャート)である。
反応の際の温度を80℃に変更したこと以外は、前述の比較例1と同様にして比較自己分散顔料3の水分散液を得た。
自己分散顔料の製造条件を表1−1及び1−2に示す。表1−1及び1−2中の略号の意味(顔料の種類)は以下に示す通りである。
・CB1:トーカブラック#8300(東海カーボン製)
・CB2:NIPEX170IQ(オリオンエンジニアドカーボンズ製)
・CB3:#2600(三菱化学製)
・CB4:MCF88(三菱化学製)
・CB5:Color Black FW200(オリオンエンジニアドカーボンズ製)
・PC:Heliogen Blue D 7079(BASF製)
・QA:Hostaperm Pink E02(クラリアント製)
・AZ:Inkjet Yellow 4G(クラリアント製)
実施例及び比較例の各製造方法について以下に示す評価を行った。評価結果を表2−1及び2−2に示す。表2−1及び2−2には、自己分散顔料の粒子表面に結合している官能基(−R1)の構造も示した。表2−1及び2−2中の「Ph」は「フェニレン基」を意味する。
自己分散顔料の水分散液20.0gに0.1mol/Lの塩酸80.0gを添加して自己分散顔料を沈殿させた後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離して上澄みの液体を除去する操作を2回繰り返して試料を得た。得られた試料を温度60℃のオーブン中に載置し、18時間乾燥させて乾固物を得た。得られた乾固物をメノウ乳鉢ですりつぶし、固形物0.5gを秤量した。この固形物に0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液30.0gを添加して1日撹拌した後、遠心分離機(ベックマンコールター製)を用いて、回転数80,000rpmで60分間遠心分離を行い、上澄みの液体を採取した。採取した液体について逆滴定を行い、顔料の粒子表面の官能基に含まれる親水性基量(「顔料の親水性基のモル数」、顔料1.0g当たりの値とする)を求めた。逆滴定には、電位差滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を用い、滴下量及び時間は自動制御とした。また、0.1mol/L塩酸(和光純薬工業製)を滴定液として用いた。
反応効率(%)
=(「顔料の親水性基のモル数」/「処理剤の親水性基のモル数」)×100
・・・(A)
AA:反応効率が30%以上であった。
A:反応効率が20%以上30%未満であった。
B:反応効率が10%以上20%未満であった。
C:反応効率が10%未満であった。
自己分散顔料の水分散液を用いて、以下に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)で加圧ろ過して各インクを調製した。「アセチレノールE100」はノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。
・自己分散顔料の水分散液:30.0%
・グリセリン:15.0%
・トリエチレングリコール:5.0%
・アセチレノールE100:0.2%
・イオン交換水:49.8%
A:光学濃度が1.40(1.10)以上であり、ベタ画像にムラがなく締まりがあった。
B:光学濃度が1.40(1.10)以上であったが、ベタ画像にわずかなムラがあった。
C:光学濃度が1.40(1.10)未満であった。
Claims (14)
- 自己分散顔料を製造する方法であって、
下記一般式(1)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによるラジカル付加反応によって、下記一般式(1)中のR1で表される基を顔料の粒子表面に結合させる工程を有することを特徴とする自己分散顔料の製造方法。
HN=N−R1 ・・・(1)
(前記一般式(1)中、R1は、脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基とが直接若しくはリンカー構造を介して結合した基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す) - 前記一般式(1)で表される化合物を、下記一般式(2)で表される化合物からの水素原子の引き抜きによって生成させる請求項1に記載の自己分散顔料の製造方法。
H2N−NH−R1 ・・・(2)
(前記一般式(2)中、R1は、脂肪族基、芳香族基、又は脂肪族基と芳香族基とが直接若しくはリンカー構造を介して結合した基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す) - 前記一般式(1)及び(2)中のR1が、アリーレン基及び複数のカルボン酸基を含む構造を有する請求項1又は2に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記一般式(1)及び(2)中のR 1 が、脂肪族基と芳香族基とがリンカー構造を介して結合した基であり、
前記リンカー構造が、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−CONH−、−N=N−、−SO−、又は−SO 2 −である請求項1又は2に記載の自己分散顔料の製造方法。 - 前記一般式(1)及び(2)中のR 1 が、アミド結合(−CONH−)及びホスホン酸基を含む構造を有する請求項4に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記工程を、pH1以上13以下の条件下で行う請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記工程を、酸化剤の存在下で行う請求項1乃至6のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記工程を、液媒体中で行う請求項1乃至7のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記工程を、水系で行う請求項1乃至7のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記工程を、温度80℃以下で行う請求項1乃至9のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記自己分散顔料を構成する顔料種が、無機顔料及び有機顔料の少なくとも1種である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 前記自己分散顔料を構成する顔料種が、カーボンブラックである請求項1乃至10のいずれか1項に記載の自己分散顔料の製造方法。
- 自己分散顔料を含有するインクの製造方法であって、
前記自己分散顔料として、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された自己分散顔料を用いることを特徴とするインクの製造方法。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクとして、請求項13に記載の製造方法によって製造されたインクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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