JP2018002909A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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有弘 齋藤
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Abstract

【課題】インクの吐出性に優れているとともに、光学濃度の高い画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】記録ヘッド内のインクを記録環境温度より高い温度に加温して吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法である。インクが、顔料及び会合性増粘剤を含有する水性インクであり、会合性増粘剤が、一般式(1)(R1−X1−R2−X2−[(EO)l−X3−R3−X4]m−R4)などで表される化合物であり、25℃におけるインクの粘度が、6.0mPa・s以上であり、インクの粘度変化率V=(ηb−ηa)/(Ta−25)が、0.15mPa・s/℃以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、その低電力、低コスト、省スペースというメリットを活かし、オフィスなどでの利用が増加しつつある。また、オフィスなどで用いられる文書については、画像の光学濃度に対する要求も近年高まっている。すなわち、光学濃度の高い画像や文字を普通紙などの記録媒体に記録することは、オフィス用途のインクジェット記録装置には必須の性能であるといえる。
画像の光学濃度を高めるための種々の技術がこれまでに提案されている。具体的には、自己分散顔料などの発色性に優れた色材を用いる技術や、インクの組成を工夫して色材の会合状態や凝集性を高め、記録媒体の表面により多くの色材を残す技術などが提案されている。
例えば、顔料の粒子表面にアニオン性基が化学的に結合した自己分散顔料を用いたインクが提案されている(特許文献1)。このインクを記録媒体に付与すると、記録媒体の表面でインクの蒸発に伴って自己分散顔料が凝集してインクの粘度が上昇する。このため、記録媒体への顔料の浸透が抑制され、記録媒体の表面に顔料が残って画像の光学濃度が高まるとされている。その他、画像の状態を良好にするための液体(いわゆる反応液)とインクを記録媒体にそれぞれ付与して画像を記録する方法なども種々提案されている。反応液を用いると、記録媒体上における色材の凝集が反応液により促進されるため、画像の光学濃度を高めることができる。
また、特許文献2では、予め記録媒体に酸処理を行い、pH低下によって増粘する水性インクを付与して画像の光学濃度を高める方法が提案されている。しかし、記録媒体を前処理する機構を備える記録装置は、そのような機構を備えない記録装置と比較して、コスト、小型化、装置構成の簡略化の面で不利であるといえる。
特開2000−169769号公報 特開2013−060574号公報
色材として顔料を用いたインクによって光学濃度の高い画像を記録するには、記録媒体上に顔料を効率良く残存させるためのインク設計が重要である。具体的な手法としては、インクの粘度を高めて記録媒体へのインクの浸透速度を遅くする設計などを挙げることができる。しかし、インクの粘度を高めると、記録ヘッドからインクを安定して吐出することが困難になる場合がある。すなわち、画像の光学濃度を高めるためのインク設計と、記録ヘッドからの吐出性を確保するためのインク設計とは、相反する関係にあるといえる。
したがって、本発明の目的は、インクの吐出性に優れているとともに、光学濃度の高い画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、記録ヘッド内のインクを記録環境温度より高い温度に加温して吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、顔料及び会合性増粘剤を含有する水性インクであり、前記会合性増粘剤が、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であり、25℃における前記インクの粘度が、6.0mPa・s以上であり、下記式(4)により算出される前記インクの粘度変化率Vが、0.15mPa・s/℃以上であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
1−X1−R2−X2−[(EO)l−X3−R3−X4m−R4 ・・・(1)
1−X1−(EO)l−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−R4 ・・・(2)
1−(EO)l−X1−R2−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−(EO)o−R4 ・・・(3)
(前記一般式(1)〜(3)中、R1及びR4は、それぞれ独立に炭素数6以上20以下のアルキル基又は炭素数6以上20以下の芳香環を有する炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数6以上36以下の2価の炭化水素基を表し、X1〜X4は、それぞれ独立にウレタン結合又はエステル結合を表し、EOは、エチレンオキサイドを表し、l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、oは、0以上の整数を表す)
V=(ηb−ηa)/(Ta−25) ・・・(4)
V:インクの粘度変化率(mPa・s/℃)
Ta:加温後のインクの温度(℃)
ηa:Ta(℃)に加温したインクの粘度(mPa・s)
ηb:25℃におけるインクの粘度(mPa・s)
本発明によれば、インクの吐出性に優れているとともに、光学濃度の高い画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
インクの温度と粘度との関係を示すグラフである。 インクの液体成分の蒸発率と粘度との関係を示すグラフである。 インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、記録ヘッド内のインクを記録環境温度より高い温度に加温して吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法である。インクは、顔料及び会合性増粘剤を含有する水性インクであり、この会合性増粘剤は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物である。そして、25℃におけるインクの粘度が、6.0mPa・s以上であり、下記式(4)により算出されるインクの粘度変化率Vが、0.15mPa・s/℃以上である。
1−X1−R2−X2−[(EO)l−X3−R3−X4m−R4 ・・・(1)
1−X1−(EO)l−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−R4 ・・・(2)
1−(EO)l−X1−R2−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−(EO)o−R4 ・・・(3)
(前記一般式(1)〜(3)中、R1及びR4は、それぞれ独立に炭素数6以上20以下のアルキル基又は炭素数6以上20以下の芳香環を有する炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数6以上36以下の2価の炭化水素基を表す。X1〜X4は、それぞれ独立にウレタン結合又はエステル結合を表し、EOは、エチレンオキサイドを表す。l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、oは、0以上の整数を表す)
V=(ηb−ηa)/(Ta−25) ・・・(4)
V:インクの粘度変化率(mPa・s/℃)
Ta:加温後のインクの温度(℃)
ηa:Ta(℃)に加温したインクの粘度(mPa・s)
ηb:25℃におけるインクの粘度(mPa・s)
本発明者らは、特許文献1及び2の記載を参考にして調製したインクを用いて酸などの反応成分を付与していない普通紙に画像を記録した。その結果、いずれのインクを用いた場合であっても、光学濃度が十分に高い画像を記録できないことがわかった。これは、記録媒体に付与されたインクの粘度が十分に上昇せず、インクが記録媒体に浸透してしまい、記録媒体の表面上に顔料を十分に残すことができなかったためであると推測される。
次に、本発明者らは、インクの粘度と、画像の光学濃度との関係について検討した。
具体的には、以下の組成を有するインクAを調製した。樹脂分散剤及び添加樹脂としては、いずれも、重量平均分子量10,000のアクリル系水溶性樹脂aを用いた。インクAは、粘度が7.0mPa・sであり、従来のインクジェット用のインクよりも粘度が高い。
・顔料:4.0質量%
・樹脂分散剤:2.0質量%
・添加樹脂:6.0質量%
・液体成分:88.0質量%
調製したインクAを用いて画像を記録したところ、光学濃度はある程度向上したが、依然として不十分なレベルであった。以上の結果から、インクの粘度を単に高めるだけでは、光学濃度を十分に高めた画像を記録することは困難であることがわかった。
記録ヘッドから吐出後、記録媒体への浸透が開始するまでの間に、インクジェット用のインクからは液体成分が蒸発する。本発明者らは、液体成分の蒸発によるインクの粘度変化が、記録される画像の光学濃度に及ぼす影響について検討した。具体的には、以下の組成を有するインクBを調製した。樹脂分散剤としては、重量平均分子量10,000のアクリル系水溶性樹脂aを用いた。インクBの粘度はインクAと同様に7.0mPa・sである。
・顔料:4.0質量%
・樹脂分散剤:2.0質量%
・会合性増粘剤:0.6質量%
・液体成分:93.4質量%
インクA及びBは、同じ樹脂分散顔料(顔料及び樹脂分散剤)を同じ含有量で含有するものの、アクリル系水溶性樹脂aの含有量と会合性増粘剤の有無が異なる。そして、インクAとインクBについて、液体成分の蒸発率と粘度との関係を調べた。その結果、会合性増粘剤を用いて粘度調整したインクBは、アクリル系水溶性樹脂を用いて粘度調整したインクAと比較して、液体成分の蒸発による粘度上昇幅が著しく大きいことが判明した。さらに、インクBを用いて記録した画像はインクAと比して光学濃度が高いことも判明した。以上の結果から、画像の光学濃度を高めるには、インクの粘度をある程度高めるとともに、液体成分の蒸発に伴う粘度変化を増大させることが重要であることがわかった。さらに、高い光学濃度を得るためには、25℃におけるインクの粘度を6.0mPa・s以上とすることが必要であることもわかった。
前述の通り、インクの粘度を高めると、記録ヘッドからインクを安定して吐出することが困難になる場合がある。画像の光学濃度とインクの吐出性とのトレードオフを克服するには、25℃におけるインクの粘度を6.0mPa・s以上に保持しながら、吐出時のインクの粘度をできるだけ低く抑えておくことが必要である。従来、粘度の高いインクの吐出性を改善する方法として、記録ヘッド内のインクを加温して粘度を低下させる方法が知られている。
本発明者らは、記録ヘッド内のインクを加温する機構を備えたインクジェット記録装置を使用し、インクA及びインクBにより画像を連続して記録し、インクの吐出性について評価した。その結果、インクAにより画像を連続して記録すると、記録ヘッド内で、吐出口に通ずる個別流路へのインクの供給(リフィル)が追いつかなくなり、安定した吐出性が維持できずに画像にかすれが生ずることがわかった。これに対して、インクBにより画像を連続して記録した場合には、安定した吐出性が維持されることがわかった。そして、温度によるインクA及びインクBの粘度変化を調べたところ、インクBは、インクAに比して、加温した際の粘度の低下幅が著しく大きいことがわかった。以上の結果から、インクAは加温しても粘度が十分に低下せず、吐出性が向上しなかったのに対し、インクBは加温により粘度が十分に低下したため、吐出性が向上したものと推測される。
図1は、インクの温度と粘度との関係を示すグラフである。図2は、インクの液体成分の蒸発率と粘度との関係を示すグラフである。図1及び2中の(A)は、重量平均分子量10,000のアクリル系水溶性樹脂を使用して粘度調整したインク(インクA)である。このインクAは、いずれの温度領域においても粘度が6.0mPa・s以上に維持されるインクである。図1及び2中の(C)は、いずれの温度領域においても粘度が6.0mPa・s未満に維持されるインク(インクC)である。図1及び2中の(B)は、一般式(1)で表される会合性増粘剤を含有し、25℃における粘度が6.0mPa・s以上であり、温度上昇とともに粘度が急激に低下するインク(インクB)である。なお、液体成分の蒸発による粘度の変化幅は、インクAよりもインクBの方が大きい(図2)。
インクBは、記録媒体上で粘度が顕著に上昇する。このため、インクBを記録媒体に付与すると、記録媒体への浸透が抑制された色材が記録媒体上に残るので、画像の光学濃度を高めることができる。これに対して、インクAは記録媒体上で粘度が十分に上昇しないため、画像の光学濃度を十分に高めることができない。さらに、インクCを記録媒体に付与すると、粘度が低いために記録媒体に浸透しやすく、記録媒体上に十分に色材を残すことができずに画像の光学濃度を高めることができない。
次に、本発明者らは、温度によるインクの粘度変化と吐出性との関係について検討すべく、記録ヘッド内のインクに熱エネルギーを付与する機構を備えたインクジェット記録装置を使用し、インクA、B及びCにより画像を記録した。その結果、インクAは吐出性が劣るとともに、記録される画像にかすれが生ずることがわかった。一方、インクB及びCについては安定して吐出できることがわかった。温度上昇による粘度変化が小さいインクAの場合、加温しても粘度が十分に低下しないために吐出性が劣っていたと考えられる。一方、温度上昇によって粘度が急激に低下するインクB、及び広範な温度領域に渡って粘度の低いインクCの場合、記録ヘッド内で加温することで粘度が十分に低下し、安定した吐出性が得られたと考えられる。
以上の結果から、インクの吐出性を向上させるには、記録ヘッドから吐出する際のインクの粘度を低下させることが重要であることが判明した。さらに、温度によるインクの粘度変化について解析した結果、インクの吐出性を向上させるための支配的な技術要素を見出すことができた。具体的には、式(4)により算出される粘度変化率Vが0.15mPa・s/℃以上のインクを用いることが必要であることが判明した。
次に、25℃における粘度が6.0mPa・s以上であり、かつ、式(4)により算出される粘度変化率Vが0.15mPa・s/℃以上である、との要件を満たすインクの構成について説明する。上記の要件を満たすには、顔料、及び一般式(1)〜(3)のいずれかで表される会合性増粘剤をインクに含有させることが必要である。
一般式(1)〜(3)のいずれかで表される会合性増粘剤は、その末端に、炭素数6以上20以下のアルキル基又は炭素数6以上20以下の芳香環を有する炭化水素基を有する。さらに、上記の会合性増粘剤は、水性媒体に安定に存在させるためのユニットであるエチレンオキサイド基を有する。顔料及び樹脂を含有するインクに上記の会合性増粘剤を配合すると、会合性増粘剤の末端の疎水性基が顔料の粒子表面や樹脂の疎水性部分と会合する。その結果、顔料や樹脂が会合性増粘剤を介して三次元網目構造を形成し、インクの粘度が顕著に増加する。また、会合性増粘剤を含有するインクの温度による粘度変化を調べたところ、温度上昇に伴って粘度が急激に低下することがわかった。インクの温度が上昇すると分子や粒子の運動が活発となり、顔料の粒子表面や樹脂の疎水性部分と、会合性増粘剤の疎水性基との会合が切断されやすくなる。このため、三次元網目構造が崩壊して粘度が急激に低下したと考えられる。
次に、顔料及び会合性増粘剤を含有するインクにより、記録ヘッド内のインクに熱エネルギーを付与する機構を備えたインクジェット記録装置を用いて画像を記録する場合における、インクの状態変化について説明する。
記録ヘッド内でインクが加温されると、顔料と会合性増粘剤によって形成された三次元網目構造が崩壊してインクの粘度が十分に低下し、記録ヘッドから安定して吐出される。記録ヘッドから吐出されたインクは、記録媒体に付与されてから記録媒体への浸透が開始されるまでの間に、温度が低下するとともに、液体成分が蒸発する。温度が低下したインク中では顔料と会合性増粘剤による三次元網目構造が再形成されるので、インクが急激に増粘する。さらに、液体成分の蒸発に伴って顔料と会合性増粘剤の衝突頻度が増加し、三次元網目構造の形成が促進されるため、インクはさらに増粘する。このように増粘したインクが記録媒体上に存在することになるため、記録媒体へのインクの浸透が抑制されるとともに、記録媒体上に顔料が残りやすくなる。このため、記録される画像の光学濃度が高まると考えられる
(インク)
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクは、顔料及び会合性増粘剤を含有する水性インクである。25℃におけるインクの粘度は6.0mPa・s以上であり、好ましくは10.0mPa・s以上である。25℃におけるインクの粘度の上限については特に限定されないが、30.0mPa・s以下であることが好ましい。
下記式(4)により算出されるインクの粘度変化率Vは0.15mPa・s/℃以上であり、好ましくは0.20mPa・s/℃以上である。インクの粘度変化率Vの上限については特に限定されないが、0.80mPa・s/℃以下であることが好ましい。
V=(ηb−ηa)/(Ta−25) ・・・(4)
V:インクの粘度変化率(mPa・s/℃)
Ta:加温後のインクの温度(℃)
ηa:Ta(℃)に加温したインクの粘度(mPa・s)
ηb:25℃におけるインクの粘度(mPa・s)
[会合性増粘剤]
会合性増粘剤は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物である。
1−X1−R2−X2−[(EO)l−X3−R3−X4m−R4 ・・・(1)
1−X1−(EO)l−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−R4 ・・・(2)
1−(EO)l−X1−R2−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−(EO)o−R4 ・・・(3)
(前記一般式(1)〜(3)中、R1及びR4は、それぞれ独立に炭素数6以上20以下のアルキル基又は炭素数6以上20以下の芳香環を有する炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数6以上36以下の2価の炭化水素基を表す。X1〜X4は、それぞれ独立にウレタン結合又はエステル結合を表し、EOは、エチレンオキサイドを表す。l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、oは、0以上の整数を表す)
一般式(1)〜(3)中の末端には、R1及びR4で表される疎水性基が存在する。これらの疎水性基は、顔料の粒子表面や、樹脂分散顔料を用いる場合の樹脂の疎水性部分と会合して三次元網目構造を形成するために必要な部位である。R1及びR4で表される基の炭素数が6未満であると、顔料や樹脂と会合しにくくなり、三次元網目構造が形成されず、インクを増粘させることが困難になる。一方、R1及びR4で表される基の炭素数が20超であると、顔料や樹脂と強く会合してしまい、加温してもインクの粘度が低下しにくくなる。R2及びR3で表される疎水性基も、顔料の粒子表面や樹脂の疎水性部分と会合しうる部位であり、三次元網目構造の形成を補う部位である。
一般式(1)〜(3)中には、会合性増粘剤を水性媒体に安定に存在させるためのユニットであるエチレンオキサイド基が存在する。エチレンオキサイド基の重合度(一般式(1)〜(3)中のl及びn)は1以上であり、好ましくは10以上、さらに好ましくは50以上である。また、一般式(1)〜(3)中のX1〜X4は、R1〜R4で表される疎水性基と、エチレンオキサイド基とを結合する部位であり、ウレタン結合又はエステル結合である。l、m、n、及びoは150以下であることが好ましい。
会合性増粘剤の重量平均分子量は、5,000以上100,000以下であることが好ましい。会合性増粘剤の重量平均分子量が5,000未満であると、三次元網目構造が十分に形成されず、インクを増粘させる効果が不十分になる場合がある。一方、会合性増粘剤の重量平均分子量が100,000超であると、インクの粘度が高くなりすぎてしまい、安定してインクを吐出することが困難になる場合がある。本明細書における「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値を意味する。
インク中の会合性増粘剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.100質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.50質量%以上5.00質量%以下であることがさらに好ましい。
[顔料]
顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料を用いることができる。インクの調色や顔料の分散性向上などのために、染料を併用してもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散顔料、及び顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散顔料などを用いることができる。樹脂分散顔料としては、高分子分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料の粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、及び顔料の粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合型顔料などがある。分散方法の異なる顔料を併用することもできる。なかでも、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料や、分散剤である樹脂を顔料の粒子表面に物理的に吸着させ、この樹脂の作用により顔料を分散させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
樹脂分散顔料は、通常、イオン性基を有する水溶性樹脂が顔料の粒子表面に吸着することで、水性媒体中に顔料を安定的に分散させている。このため、会合性増粘剤の疎水性部は、顔料の粒子表面だけでなく、水溶性樹脂(顔料の粒子表面に吸着した水溶性樹脂及び顔料の粒子表面に吸着していない水溶性樹脂)とも会合して三次元網目構造を形成する。したがって、水溶性樹脂を含有するインクは、水溶性樹脂を含有しないインクに比して増粘しやすい。このため、水溶性樹脂を含有するインクを用いると、画像の光学濃度をより高めることができるために好ましい。また、樹脂分散顔料を含有するインクは温度上昇による粘度変化が大きいため、記録ヘッド内のインクを加温することでインクの吐出性を容易に向上させることができる。
自己分散顔料としては、例えば、−COO(M1)、−SO3(M1)、−PO3H(M1)、−PO3(M12などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(−R−)を介して結合しているものを挙げることができる。M1としては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;アンモニウム(NH4);メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アンモニウムを挙げることができる。アニオン性基が塩を形成している場合、インク中の塩は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;アミド基;スルホニル基;イミノ基;カルボニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基などを挙げることができる。
樹脂分散顔料としては、例えば、親水性ユニット及び疎水性ユニットを有する共重合体(水溶性樹脂)を樹脂分散剤として用い、この樹脂分散剤を顔料の粒子表面に物理的に吸着させることによって水性媒体中に顔料を分散させたものを挙げることができる。樹脂分散剤としては、インクジェット用のインクに使用可能な公知の共重合体をいずれも用いることができる。なかでも、アクリル樹脂が好ましい。樹脂分散剤を構成する親水性ユニットとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩などの親水性単量体に由来するユニットを挙げることができる。樹脂分散剤を構成する疎水性ユニットとしては、例えば、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;(メタ)アクリル酸エステルなどの脂肪族基を有する単量体などの疎水性単量体に由来するユニットを挙げることができる。樹脂分散剤の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。また、樹脂分散剤の酸価は、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。
[樹脂]
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水溶性樹脂や樹脂粒子などの樹脂(但し、会合性増粘剤、樹脂分散剤を除く)を含有することが好ましい。樹脂を含有するインクを用いると、会合性増粘剤と樹脂が会合して三次元網目構造を形成するため、インクが増粘しやすくなり、画像の光学濃度をより高めることができる。
水溶性樹脂としては、水に溶解するための親水性基と、会合性増粘剤の疎水性部と会合する疎水性基とを有する樹脂を用いることが好ましい。このような水溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリペプチド、セルロース、セルロース変性体、ポリオレフィンなどを挙げることができる。アニオン性基を有する水溶性樹脂の溶解性を向上させるために、塩基をインクに添加してもよい。塩基としては、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミンなどの有機アミン;水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などを用いることができる。
水溶性樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。これらの水溶性樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
樹脂粒子としては、水に分散するための親水性基と、会合性増粘剤の疎水性部と会合する疎水性基とを有する樹脂によって形成された樹脂粒子を用いることが好ましい。樹脂粒子を形成する樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、水溶性樹脂と樹脂粒子を組み合わせ用いてもよい。樹脂粒子は、例えば、公知の乳化重合法などによって合成することができる。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上30.00質量%以下であることが好ましい。
[水性媒体]
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。水性媒体は、さらに水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤としては、1価アルコール類、多価アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。25℃における水溶性有機溶剤の蒸気圧は、水よりも低いことが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。
[その他の添加剤]
インクには、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、インクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置は、インクと、その内部に前記インクが充填された記録ヘッドと、前記記録ヘッド内の前記インクを記録環境温度より高い温度に加温する加温手段とを備える。そして、インクが、顔料及び所定の会合性増粘剤を含有する上述の水性インクである。以下、図面を参照しつつ、本発明のインクジェット記録装置の詳細について説明する。
図3は、インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。図3に示す記録装置M4000では、記録装置本体にラインヘッド(記録ヘッドH1000)が固定されており、記録媒体47を矢印45の方向に搬送して記録する方式が採用されている。記録装置M4000は、例えば、ブラックインク用の記録ヘッドH1000Bk、シアンインク用の記録ヘッドH1000C、マゼンタインク用の記録ヘッドH1000M、及びイエローインク用の記録ヘッドH1000Yを備える。
給紙カセット46は、その中に普通紙などの記録媒体47が収納されており、装置本体に着脱自在に装着されている。ピックアップローラ48は、給紙カセット46内に収納された記録媒体47のうち、最上面の1枚を送り出す部材である。搬送ローラー49は、ピックアップローラ48より送り出された記録媒体47を搬送路50へと搬送する部材である。また、搬送路50の出口側に配設された搬送ローラー51は、搬送ベルト44に載せた状態で、記録媒体47を記録ヘッドH1000の方向へと搬送する部材である。
本発明のインクジェット記録装置は、反応液を記録媒体に付与する手段をさらに備えていてもよい。反応液を記録媒体に付与する手段としては、例えば、従来公知のローラーなどの塗布部材や、図3に示すような、反応液用の記録ヘッド41などの吐出デバイスを挙げることができる。図3に示す記録ヘッドH1000Bk〜H1000Y及び41は、記録装置M4000に載置された記録ヘッドホルダ42によって固定されている。図3では、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの各色を別々の記録ヘッドから吐出する構成を示しているが、一つの記録素子基板に設けられた複数の吐出口列のそれぞれから、複数のインクを吐出して画像を記録する構成であってもよい。
記録ヘッド内のインクを記録環境温度より高い温度に加温する加温手段としては、例えば、記録ヘッドに接触するように配設されるインク温度調整用のヒータや、インク吐出用のヒータなどを挙げることができる。インク吐出用のヒータによってインクを加温するには、例えば、インクが吐出しない程度の電流を繰り返し通電すればよい。記録ヘッド内のインクを加温することでインクの粘度が低下する。このため、インクの供給(リフィル)がしやすくなり、安定した連続吐出が可能となる。また、記録ヘッド内のインクを加温することで、吐出後のインクからの液体成分の蒸発が促進される。このため、記録媒体上でインクの粘度が上昇しやすくなり、画像の光学濃度を高めることができる。
本発明のインクジェット記録方法においては、例えば、上述のインク温度調整用のヒータなどの加温手段により記録ヘッド内のインクを記録環境温度(例えば25℃前後)より高い温度に加温して吐出する。具体的には、インクを30℃以上80℃以下に加温することが好ましく、40℃以上70℃以下に加温することがさらに好ましい。すなわち、吐出時のインクの温度、つまり、加温後のインクの温度Ta(℃)は、30℃以上80℃以下であることが好ましく、40℃以上70℃以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液A)
水溶性樹脂を中和当量1となる10%水酸化カリウム水溶液で中和してイオン交換水に溶解させ、樹脂の含有量が10.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。水溶性樹脂としては、スチレン/アクリル酸共重合体(酸価160mgKOH/g、重量平均分子量10,000)を用いた。カーボンブラック(比表面積210m2/g、DBP吸油量74mL/100g)10.0部、樹脂分散剤の水溶液50.0部、及び水40.0部を混合して混合物を得た。サンドグラインダーを用いて得られた混合物を1時間分散した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した後、適量のイオン交換水を加えて顔料分散液Aを得た。得られた顔料分散液A中の顔料の含有量は10.0%、樹脂分散剤の含有量は5.0%であった。
(顔料分散液B)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3に変えたこと以外は、前述の顔料分散液Aの場合と同様の手順により顔料分散液Bを得た。得られた顔料分散液B中の顔料の含有量は10.0%、樹脂分散剤の含有量は5.0%であった。
(顔料分散液C)
顔料をC.I.ピグメントレッド122に変えたこと以外は、前述の顔料分散液Aの場合と同様の手順により顔料分散液Cを得た。得られた顔料分散液C中の顔料の含有量は10.0%、樹脂分散剤の含有量は5.0%であった。
(顔料分散液D)
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変えたこと以外は、前述の顔料分散液Aの場合と同様の手順により顔料分散液Dを得た。得られた顔料分散液D中の顔料の含有量は10.0%、樹脂分散剤の含有量は5.0%であった。
(顔料分散液E)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液を5℃に冷却し、p−アミノ安息香酸1.55gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて溶液を撹拌し、液温を10℃以下に保った状態で、5℃の水9.0gに亜硝酸カリウム1.8gを溶かして得た亜硝酸カリウム溶液を加えた。さらに15分間撹拌後、カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100g)6.0gを撹拌下で加えた。さらに15分間撹拌して得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過して粒子を得た。得られた粒子を十分に水洗した後、110℃のオーブンで乾燥させて、顔料の粒子表面に−C64−COONa基が結合した自己分散顔料を得た。得られた自己分散顔料に適量の水を加えて顔料分散液Eを得た。得られた顔料分散液E中の顔料の含有量は10.0%であった。
<樹脂の準備>
(樹脂A)
常法にしたがってモノマーを重合することで、水溶性樹脂である樹脂A(スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(組成(モル)比=33:44:23、酸価120mgKOH/g、重量平均分子量10,000))を得た。
得られた樹脂Aを酸価と当量の水酸化カリウムで中和した後、適量のイオン交換水を添加して、樹脂Aの含有量が10.0%である水溶液を調製した。
(樹脂B)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに水、50.0部を添加した後、窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「Nikkol BC20」、日光ケミカルズ製)0.4部、アクリル酸n−ブチル19.5部、メタクリル酸エチル77.9部、メタクリル酸2.61部、及び水50.0部を混合して乳化物を調製した。調製した乳化物及び5%過硫酸カリウム水溶液10.0部を上記のフラスコ内に3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、適量のイオン交換水を添加して、樹脂粒子である樹脂Bの含有量が20.0%である水分散液を得た。
<会合性増粘剤の合成>
合成した会合性増粘剤の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。合成した会合性増粘剤の特性(構造及び重量平均分子量)を表1に示す。
(会合性増粘剤A)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。オクタデシルアルコール18.5部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Aを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Aの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤B)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。ベンジルアルコール2.2部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Bを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Bの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤C)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。2−トリデシルアルコール18.5部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Cを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Cの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤D)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。1−エイコサノール4.0部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Dを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Dの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤E)
数平均分子量6,000のポリエチレングリコール600.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。オクタデシルアルコール5.5部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Eを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Eの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤F)
数平均分子量1,000のポリエチレングリコール100.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。ベンジルアルコール0.50部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Fを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Fの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤G)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、トリレンジイソシアネート19.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。オクタデシルアルコール2.4部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Gを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Gの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤H)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で30分反応させた。オクタデシルアルコール27.0部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Hを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Hの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤I)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート16.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。分子量4,000のポリエチレングリコール40.0部を添加し、3時間反応させた。さらに、オクタデシルイソシアネート6.0部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Iを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Iの含有量が10.0%である液体を得た。
(会合性増粘剤J)
数平均分子量4,000のポリエチレングリコール400.0部を、減圧下、80〜90℃で3時間脱水した後、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部を加え、80〜90℃で4時間反応させた。オクタデシルアルコール/EO40モル付加物41.0部を加え、80〜90℃で3時間反応させて会合性増粘剤Jを得た。適量のイオン交換水を添加して、会合性増粘剤Jの含有量が10.0%である液体を得た。
Figure 2018002909
表1中の略号の意味を以下に示す。
C18:オクタデシル基(炭素数18)
C7:ベンジル基(炭素数7)
C13:1−メチルドデシル基(炭素数13)
C20:エイコシル基(炭素数20)
C6:ヘキサメチレン基(炭素数6)
C8:トリレン基(炭素数7)
U:ウレタン結合
<インクの調製>
表2−1及び2−1の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズが1.0μmであるミクロフィルター(富士フイルム製)を用いて加圧ろ過して、各インクを調製した。表2−1及び2−2中の「アセチレノールE100」は、界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。表2−1及び2−2の下段にインクの特性を示す。粘度計(商品名「RE80型粘度計」、東機産業製)を使用して25〜55℃でのインクの粘度を測定した。25℃でのインクの粘度を表2−1及び2−2の下段に示す。
Figure 2018002909
Figure 2018002909
<評価>
熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP2200」、キヤノン製)を用意した。そして、このインクジェット記録装置の記録ヘッドに設けたインク吐出用ヒータにインクが吐出しない程度の電流を繰り返し通電させ、記録ヘッド内のインクを加温できるように改造した。また、インク吐出時における記録ヘッド内のインクの温度を測定できるように、記録ヘッドにダイオードセンサーを取り付けた。このインクジェット記録装置及び調製したインクを用いて、下記の各項目の評価を行った。本発明においては、以下に示す評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
(光学濃度)
調製したインク及び上記のインクジェット記録装置を使用し、温度23℃、相対湿度55%の記録条件で、記録デューティが100%である1cm×2cmのベタ画像を3種の記録媒体(普通紙)に記録した。記録媒体としては、商品名「PB PAPER GF−500」(キヤノン製)、商品名「4200」(ゼロックス製)、及び商品名「クラシックホワイト」(シュタインバイス製)を用いた。本実施例においては、ブラックインクの場合、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たり約25ngのインクを1滴付与する条件で記録したベタ画像を、記録デューティが100%であると定義する。また、カラーインクの場合、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たり約5ngのインクを2滴付与する条件で記録したベタ画像を、記録デューティが100%であると定義する。記録した画像を温度23℃、相対湿度55%で24時間乾燥させた。その後、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を使用し、光源:D50、視野:2°の条件でベタ画像の光学濃度を測定した。そして、3種の記録媒体に記録したベタ画像の光学濃度の平均値を算出し、以下に示す基準にしたがって画像の光学濃度(発色性)を評価した。なお、カラー顔料を用いた場合は、括弧内の評価基準を利用した。
AA*:光学濃度が1.10以上であった。
AA:光学濃度が1.05以上1.10未満(1.00以上)であった。
A:光学濃度が1.00以上1.05未満(0.95以上1.00未満)であった。
B:光学濃度が0.95以上1.00未満(0.90以上0.95未満)であった。
C:光学濃度が0.95未満(0.90未満)であった。
(吐出性)
調製したインク及び上記のインクジェット記録装置を使用し、「PIXUS iP2200」のノズルチェックパターンをA4用紙50枚に連続して記録した。そして、ノズルチェックパターンのベタ画像における吐出のみだれ及び不吐出の有無を観察し、以下に示す基準にしたがってインクの吐出性を評価した。
A:吐出のみだれ及び不吐出がみられなかった。
B:吐出のみだれが若干みられたが、不吐出はみられなかった。
C:吐出のみだれ、不吐出がみられた。
Figure 2018002909

Claims (6)

  1. 記録ヘッド内のインクを記録環境温度より高い温度に加温して吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、顔料及び会合性増粘剤を含有する水性インクであり、
    前記会合性増粘剤が、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であり、
    25℃における前記インクの粘度が、6.0mPa・s以上であり、
    下記式(4)により算出される前記インクの粘度変化率Vが、0.15mPa・s/℃以上であることを特徴とするインクジェット記録方法。
    1−X1−R2−X2−[(EO)l−X3−R3−X4m−R4 ・・・(1)
    1−X1−(EO)l−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−R4 ・・・(2)
    1−(EO)l−X1−R2−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−(EO)o−R4 ・・・(3)
    (前記一般式(1)〜(3)中、R1及びR4は、それぞれ独立に炭素数6以上20以下のアルキル基又は炭素数6以上20以下の芳香環を有する炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数6以上36以下の2価の炭化水素基を表し、X1〜X4は、それぞれ独立にウレタン結合又はエステル結合を表し、EOは、エチレンオキサイドを表し、l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、oは、0以上の整数を表す)
    V=(ηb−ηa)/(Ta−25) ・・・(4)
    V:インクの粘度変化率(mPa・s/℃)
    Ta:加温後のインクの温度(℃)
    ηa:Ta(℃)に加温したインクの粘度(mPa・s)
    ηb:25℃におけるインクの粘度(mPa・s)
  2. 前記記録ヘッド内の前記インクを40℃以上に加温する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記顔料が、樹脂分散顔料である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記インクが、さらに、水溶性樹脂及び樹脂粒子の少なくともいずれかを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 25℃における前記インクの粘度が、10.0mPa・s以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. インクと、その内部に前記インクが充填された記録ヘッドと、前記記録ヘッド内の前記インクを記録環境温度より高い温度に加温する加温手段と、を備えたインクジェット記録装置であって、
    前記インクが、顔料及び会合性増粘剤を含有する水性インクであり、
    前記会合性増粘剤が、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であり、
    25℃における前記インクの粘度が、6.0mPa・s以上であり、
    前記インクが、下記式(4)の関係を満たすことを特徴とするインクジェット記録装置。
    1−X1−R2−X2−[(EO)l−X3−R3−X4m−R4 ・・・(1)
    1−X1−(EO)l−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−R4 ・・・(2)
    1−(EO)l−X1−R2−X2[(EO)n−X3−R3−X4m−(EO)o−R4 ・・・(3)
    (前記一般式(1)〜(3)中、R1及びR4は、それぞれ独立に炭素数6以上20以下のアルキル基又は炭素数6以上20以下の芳香環を有する炭化水素基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数6以上36以下の2価の炭化水素基を表し、X1〜X4は、それぞれ独立にウレタン結合又はエステル結合を表し、EOは、エチレンオキサイドを表し、l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、oは、0以上の整数を表す)
    (ηb−ηa)/(Ta−25)≧0.15 ・・・(4)
    Ta:加温後のインクの温度(℃)
    ηa:Ta(℃)に加温したインクの粘度(mPa・s)
    ηb:25℃におけるインクの粘度(mPa・s)
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