JP2007321073A - インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインク、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】高分子分散剤が、少なくとも(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとの共重合体であり、水溶性有機溶剤として少なくともグリセリンを含有し、沈降抑制剤として少なくともエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を含有するインク、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インク(以下単に「インク」という場合がある)、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。さらに詳しくは、吐出安定性が高く印字画像の発色性が良好なインクジェット記録に適した色材分散体タイプの水性インク、該インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。
従来、印刷インクの着色剤として、耐水性や耐光性などの堅牢性に優れた顔料などの水不溶性色材が広く用いられている。しかし、水不溶性色材を水性インクの色材として用いるためには、水性媒体中に水不溶性色材を安定して分散させることが要求される。そのため、高分子化合物や界面活性剤などの分散剤を添加して水不溶性色材を水性媒体中に均一に分散させた色材分散体タイプの水性インクが使用されている。
近年、インクジェット記録用途においても、画像堅牢性の面からこの色材分散体タイプの水性インクをインクとして使用するようになってきている。インクジェット記録においては、紙面上でのインクの定着性や耐水性を向上させるために、インク中の色材分散体に凝集機能や水不溶化機能を持たせる試みがとられている。しかしながら、このような機能を色材分散体に持たせることによって、インク中での色材の分散安定性が低下することになり、インクの保存中に色材分散体が凝集して濃度むらや沈降が発生しやすくなる、インクジェット装置のノズル先端部でインクの乾燥による目詰まりが発生し、インクの吐出安定性が低下しやすくなるなどという問題点を持つ。
上記問題点を解決するために、特許文献1では、芳香族炭化水素基を置換基として有するモノマーからなる高分子分散剤を含有するインクが提案されているが、この特許文献1では、水不溶性色材の分散に対して高分子分散剤のみしか考慮されていないためインクジェット装置に使用する際に必ず発生するノズル先端部でのインク濃縮のように、インク組成が大きく変化する場合においては色材の分散安定性が低下しやすく、連続吐出時のインクの吐出安定性や長期的なインク保存安定性は充分に満足できるレベルではない。
また、特許文献2では、特定構造のモノマーからなる高分子分散剤を含有するインクが提案されているが、該インクは、長期保存時や高温保存時の色材の分散安定性が大きく低下するという問題点を有し、さらに産業用途における長期にわたる連続印字が要求される用途において、インクの吐出安定性が大きく低下してしまう。また、このようなインクを熱エネルギーでインクを飛翔させるインクジェット記録装置に使用すると、発熱により色材分散体が激しく凝集して、インクを吐出できなくなるという問題も有する。
特許第3444920号公報 特開2005−36203号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑みて為されたもので、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクを提供することであり、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、およびこのようなインクを含むインクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の本発明によって解決できることを見出した。すなわち、本発明は、高分子分散剤、顔料、水溶性有機溶剤、沈降抑制剤、および水から主としてなるインクジェット記録用インクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとの共重合体であり、上記水溶性有機溶剤として少なくともグリセリンを含有し、上記沈降抑制剤として少なくともエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を含有することを特徴とするインクを提供する。
上記本発明のインクにおいては、芳香族炭化水素基を含有する置換基が、−O−CH2−C65および/または−O−C64−R(RはH、CH3、C25およびn−C919の群から選ばれるアルキル基)であること:沈降抑制剤として少なくともポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有すること;エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体が、インク中の高分子分散剤の質量の0.5から10倍量含有されていること;およびカルシウムおよび/またはマグネシウムが、カルシウムおよび/またはマグネシウムの総量(A)で、前記高分子分散剤(B)に対してA:B=1:100000から1:100の質量比の範囲で含有されていることが好ましい。
また、本発明は、インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、上記インクが、前記本発明のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。該記録方法においては、エネルギーが、熱エネルギーであること;および被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材であることが好ましい。
また、本発明は、インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが上記本発明のインクであることを特徴とするインクカートリッジ;およびインクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、該インクが上記本発明のインクであることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
上記本発明によれば、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクを提供することができ、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、高分子分散剤、顔料、水溶性有機溶剤、沈降抑制剤、および水から主としてなるインクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとの共重合体であり、上記水溶性有機溶剤として少なくともグリセリンを含有させ、かつ沈降抑制剤としてエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を含有させることで、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも安定して記録することが可能なインクを提供することができることを見出した。
高分子分散剤が、顔料と良好な親和性を持つ芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するため、高分子分散剤が顔料を安定的にカプセル化し顔料分散体の安定性が向上され、さらに、沈降抑制剤であるエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体が高分子分散剤と適度な親和性を有することで、さらに顔料分散体の安定性が向上し、インクの長期保存安定性や吐出安定性が向上されると考えられる。また、水溶性有機溶剤としてのグリセリンはカルボン酸基との親和性が良好なため、インク中の水分が蒸発するインク濃縮時においても、高分子分散剤のインク媒体中での親和性が殆ど低下することがなく、良好な顔料の分散安定性を発揮することが可能となる。
また、インク中に含有されているグリセリンによって親和された顔料分散体は被記録材内部に浸透しやすくなり、滲みが発生したり画像濃度が低下する傾向を示すが、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体が被記録材へのインクの浸透を抑制する働きがあり、さらにエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体は顔料分散体とも適度な親和性を有しているため、顔料分散体が被記録材の表面で均一に定着されるようになり、インクの発色性の低下が防止されると考えられる。
これらの効果により、顔料分散体の被記録材内部への浸透による発色性低下がなく、かつインクの長期保存時の安定性を向上させるとともに、インクジェット装置に使用する際に必ず発生するノズル先端部でのインク濃縮のように、インク組成が大きく変化する場合においても、顔料の分散安定性が低下することなくインクの安定した吐出が可能になる。さらに、インクジェットノズルのクリーニング回復動作を頻繁に行うことのできないラインヘッドを有するインクジェット装置の場合においても、ノズル周辺部への顔料分散体の付着が抑制できるため、インクの不吐出や印字ヨレが発生しにくく、長期にわたって良好な連続印字性能を達成できる。
以下、本発明のインクの構成材料についてさらに詳細に説明する。
(高分子分散剤)
本発明に使用する高分子分散剤は、(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとを重合することで得られる高分子化合物である。これらのモノマーからラジカル重合やアニオン重合などの常法の重合方法で得られる高分子化合物であれば、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも使用することができ、これらの高分子化合物は、重量平均分子量で3,000から30,000の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは5,000から15,000の範囲である。
また、上記高分子分散剤のカルボン酸基は、アルカリで中和されていることが必要であるが、未中和のカルボン酸基が含有されていても使用でき、中和度として好ましくは50から100mol%、より好ましくは80から100mol%であると、インクの吐出性の低下が起こりにくいため望ましい。カルボン酸基の中和方法は、カルボン酸基を含有するビニルモノマーをアルカリで先に中和してから重合する方法やカルボン酸基を含有するビニルモノマーを重合してからアルカリで後から中和する方法のいずれも可能であるが、モノマーの重合面から後から中和する方法が好ましい。この中和に使用するアルカリとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属類、アンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類が挙げられ、カリウムの場合にインクの吐出性がより向上するため好ましい。具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどが挙げられる。また、インク中における高分子分散剤の含有量は、インク全質量の好ましくは0.1から10質量%、より好ましくは0.5から5質量%の範囲である。
芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーとしては、フェニル基やナフチル基などの少なくとも芳香族炭化水素基を含有する基がアクリル基やメタクリル基などのビニル基の置換基として結合している化合物が挙げられる。芳香族炭化水素基を含有する置換基としては、−O−CH2−C65および−O−C64−R(RはHまたはC数1から18の群から選ばれるアルキル基、好ましくはH、CH3、C25およびn−C919の群から選ばれるアルキル基)であると、顔料との親和性が向上するため望ましく、これらの基はアクリル基やメタクリル基などのビニル基に直接結合していても、他の基を介して結合していてもよい。
具体的には、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、メチルフェノキシプロピレングリコールメタクリレート、エチルフェノキシトリプロピレングリコールメタクリレートなどが挙げられる。これらの単位モノマー成分(以降A成分と記載)の高分子分散剤中の含有比率は、質量比率で20から70%の範囲にあるのが好ましく、30から60%の範囲にあるのがより好ましい。含有比率が20%未満では高分子分散剤と顔料との親和性が低下し、含有比率が70%をこえると高分子分散剤の疎水性が高くなるため、インクの吐出性が低下する場合がある。
カルボン酸基を含有するビニルモノマーとしては、カルボン酸基を分子内に1個以上有するビニルモノマーであり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、モノ−(2−アクリロイロキシ−1−メチル−エチル)フタレートなどが挙げられる。これらの単位モノマー成分(以降B成分と記載)の高分子分散剤中の含有比率は、質量比率で3から30%の範囲にあるのが好ましく、含有比率が5から20%の範囲にあるのがより好ましい。含有比率が3%未満では高分子分散剤のインク中ので親水性が不足するため、顔料の分散安定性が低下する場合がある。また、含有比率が30%を超える場合は、印字画像の定着性が低下する場合がある。
本発明に使用する高分子分散剤を構成するモノマーは、上記ビニルモノマー以外に、これらのビニルモノマーと重合可能な他のビニルモノマーを含有することが好ましい。具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリ(エチレングリコール−2−プロピレングリコール)メタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどが挙げられ、これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
これらのモノマーを前記のモノマー(A)および(B)に併せて使用する際は、前記のモノマー(A)および(B)を重合する際に添加して共重合する方法が好ましく、得られる共重合体の重合度としては重量平均分子量で3,000から30,000になる範囲にあるのが好ましく、5,000から15,000の範囲になる重合度がより好ましい。これらの単位モノマー成分(以降C成分と記載)の高分子分散剤中の含有比率は、質量比率で5から70%の範囲にあるのが好ましく、10から50%の範囲にあるのがより好ましい。
(顔料)
本発明のインク中における顔料の含有量は、インク全質量の好ましくは0.2から10質量%、より好ましくは1.0から5質量%の範囲である。顔料の含有量が0.2質量%未満では十分な画像濃度が得にくいインクになる場合があり、一方、顔料の含有量が10質量%を超えると、ノズルにおける目詰りなどによるインクの吐出安定性の低下が起こりやすくなる。また、顔料(A)と上記高分子分散剤(B)とのインク中における含有比率は、固形分質量比でA:B=20:1から1:2であると、インクの吐出安定性や保存安定性の面から望ましい。なお、これらの顔料は、単独で使用する以外に、2種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明において使用する顔料は、従来からインクジェット用記録インクに用いられている顔料であれば特に制限なく使用することが可能である。
(エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体)
本発明のインクに使用するエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体としては、下記式1または式2で表される構造を有する化合物が好ましい。
[式1]HO(CH2CH2O)x1(C36O)y1(CH2CH2O)z1
[式2]HO(C36O)x2(CH2CH2O)y2(C36O)z2
(式中、x1+z1は4から100の整数、y1は1から50の整数であり、x2+z2は2から100の整数、y2は2から50の整数である。)
なお、本発明でのこれらの範囲の値は平均値を示したものである。上記x1からz2が上記範囲外の場合は、顔料分散体の安定性が低下する場合もある。
このようなエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体としては、市販されているもの以外に、ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを塩基触媒存在下で気相法や液相法の常法で付加させて作製したものを使用することが好ましい。また、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体中のエチレンオキシド数とプロピレンオキシド数についての同定は、NMRやIRによる官能基の定性・定量や各種クロマトグラフィーによる解析などで行うことが可能である。
このエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体のインク中の含有量としては、インク中の高分子分散剤の質量の好ましくは0.5から10倍、より好ましくは1から5倍の範囲で含有されていると顔料分散体の安定性がより向上しインク吐出がより一層安定化されるため望ましく、インク全質量の1から5質量%含有されていると、顔料分散体が被記録材の表面でより均一に定着され、インクの発色性がより一層向上するためより望ましい。
(グリセリン)
本発明のインク中におけるグリセリンの含有量は、インク中の高分子分散剤の質量の好ましくは3から20倍、より好ましくは5から15倍の範囲で含有されていると、顔料分散体の分散安定性がより向上するため望ましく、インク全質量の8から12%含有されていると、連続吐出時のインクの吐出安定性がより一層向上するためより望ましい。
以上が本発明のインクを主として構成する材料であるが、これら以外の水溶性有機溶媒も使用することができる。本発明のインクに使用する水溶性有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒であれば使用することができ、2種以上の水溶性有機溶媒の混合溶媒としても使用できる。
好ましい水溶性有機溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、チオジグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオールなどのトリオール類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコーリモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシキド、グリセリンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコールなどである。
これらの中でも、沸点が120℃以上の水溶性有機溶媒を使用すると、ノズル先端部でのインク濃縮が抑制されるため好ましい。これらの水溶性有機溶媒のインク中に占める割合は、インク全質量の好ましくは5から50質量%、より好ましくは10から30質量%である。
また、本発明のインクが沈降抑制剤として、さらにポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を含有していると、インクの吐出安定性や顔料の分散安定性がより向上するため好ましい。上記ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、インク中の顔料分散体と良好な親和性を有し、かつポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が多岐構造を有することから、ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と顔料分散体が立体的に親和される。そのため、被記録材表面においてもポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が顔料分散体の間に安定的に存在して顔料を繋ぎ留める働きをするため印字画像の耐擦過性が向上する。さらに、顔料分散体同士の凝集も抑制されているため、彩度も低下しにくくなり良好な発色性を発揮するようになる。
また、ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のオキシエチレン部は水媒体との親和性が強く働くため、水媒体中でポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油に親和されている顔料分散体の分散安定性が向上し、顔料の分散安定性やインクの吐出安定性が向上するようになる。ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、ヒマシ油またはヒマシ油を水素添加した硬化ヒマシ油にエチレンオキシドを縮合させて得られる化合物である。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油としては下記式3で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては下記式4で表される構造を有する化合物が望ましい。
Figure 2007321073
上記式中、l+m+n+x+y+zは10から100、好ましくは20から60である。なお、本発明でのこれらの範囲の値は平均値を示したものである。l+m+n+x+y+zが10未満のときはインク媒体との親和性が低下し顔料分散体のインク中での安定性が低下しやすくなる場合があり、l+m+n+x+y+zが100より大きいときは顔料分散体との親和性が低下し印字画像の発色性が低下しやすくなる場合がある。
このようなポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、市販されているもの以外に、ヒマシ油や硬化ヒマシ油にエチレンオキシドを塩基触媒存在下で気相法や液相法の常法で付加させて作製したものを使用することが好ましい。また、ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキシド数などについての同定は、NMRやIRによる官能基の定性・定量や各種クロマトグラフィーによる解析などで行うことが可能である。これらのポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、単独のものを使用する以外に2種以上のものを組み合わせても使用することも可能である。このポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のインク中の含有量としては、インク全質量の好ましくは0.1から5%の範囲、より好ましくは0.2から2%の範囲である。
以上の成分以外に本発明のインクに、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種の添加剤を添加してもよい。特にポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル類(A)がインク中の顔料の質量(B)に対してA/B=1/50から1/10倍量含有されていると、インクの吐出耐久性や発色性がより向上するので好ましい。
また、インク中に、カルシウムおよび/またはマグネシウムを含有させると、インクの長期保存安定性やインクの吐出安定性が向上するので好ましい。これは、高分子分散剤に2価の正電荷を有するカルシウムイオンやマグネシウムイオンが作用する橋かけ効果によって高分子分散剤同士の相互作用が向上し、顔料分散体カプセルの形状が安定化される。このため、インク加温時などのカプセル形状が不安定になりやすい場合においてもカプセル全体が均一な形状で維持されるため、カプセル表面の電荷状態の乱れが殆ど発生せずに、カプセル表面の電荷状態が均一に維持され、静電的な因子によるカプセル同士の凝集や会合が大きく低減されるようになるからと考えられる。
このようなカルシウムやマグネシウムのインク中の含有量としては、カルシウムとマグネシウムの総量(A)が高分子分散剤(B)に対する質量比で好ましくはA:B=1:100000から1:100の範囲、より好ましくはA:B=1:20000から1:200の範囲であると、インクの保存安定性がより向上するため望ましい。カルシウムとマグネシウムの含有量が上記範囲より少ないとインクの保存安定性の向上効果が少なくなる場合や、上記範囲よりも多いとノズルの目詰まりが発生しやすくなる場合もある。インク中に添加するのに好ましいカルシウムやマグネシウムの具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムなどが挙げられる。
さらに、インクのpHが好ましくは8.0から10.0の範囲に、より好ましくは8.4から9.8の範囲になるように調整すると、インクの長期保存安定性が向上し、長期保存後のインクの吐出性低下が抑制されるため好ましい。pH調整剤としては、トリエタノールアミンなどの有機アミンや水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や有機酸が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法の特徴は、インクにエネルギーを与えてインクを飛翔させて行うインクジェット記録方法において、上記本発明のインクを使用することである。エネルギーとしては、熱エネルギーや力学的エネルギーを用いることができるが、熱エネルギーを用いる場合が好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、被記録材は限定されるものではないが、いわゆるインクジェット専用紙、ハガキや名刺用紙、ラベル用紙、ダンボール用紙、インクジェット用フィルムなど、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が好ましく使用される。コーティング層を持つ被記録材としては、少なくとも親水性ポリマーおよび/または無機多孔質体を含有した少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が望ましい。
上記本発明のインクを用いて記録を行うインクジェット記録装置としては、A4サイズ紙に主に用いる一般家庭用プリンターや、名刺やカードを印刷対象とするプリンター、あるいは業務用の大型プリンターなどが挙げられるが、好適なインクジェット記録装置の一例を以下に説明する。
(熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
図1は、ヘッドにインク供給チューブ104を介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ100の一例を示す図である。101は供給用インクを収納したインク袋であり、その先端には塩素化ブチルゴム製の栓102が設けられている。この栓102に針103を挿入することにより、インク袋101中のインクを記録ヘッド(303から306)に供給できる。また、インクカートリッジ内に廃インクを受容するインク吸収体を設けてもよい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になったものも好適に用いられる。
図2は、本実施例に使用したインクジェット記録ヘッドの構造を説明するための模式図である。各ノズル202には、それぞれに対応した発熱体204(ヒータ)が設けられており、記録ヘッド駆動回路からヒータ204に所定の駆動パルスを印加することにより加熱し、気泡を発生させ、その作用で吐出口202からインク液滴を吐出する。なお、ヒータ204はシリコン基板206の上に半導体製造プロセスと同様の手法で形成される。203は各ノズル202を構成するノズル隔壁であり、205は各ノズル202にインクを供給するための共通液室であり、207は天板である。
本実施形態による記録装置の一部透視図を図3に示す。記録装置300の被記録用紙302は例えばロール供給ユニット301から供給され、記録装置300本体に具備された搬送ユニットによって、連続的に搬送される。搬送ユニットは搬送モータ312、搬送ベルト313などから構成される。記録は、記録媒体の画像切り出し位置がブラックの記録ヘッド303の下を通過する時に、記録ヘッドからブラックインクを吐出開始、同様に、シアン304、マゼンタ305、イエロー306の順に、各色のインクを選択的に吐出してカラー画像を形成する。
記録装置300はこの他、各記録ヘッドを待機中にキャップするキャップ機構311、各々の記録ヘッド303から306にインクを供給するためのインクカートリッジ307から310、インクの供給や回復動作のためのポンプユニット(不図示)、記録装置全体を制御する制御基板(不図示)などによって構成されている。
図4は本実施例に使用したインクジェット記録装置における回復処理系の概略図である。記録ヘッド303から306が下降したとき、そのインク吐出口形成面がキャップ機構311内の塩素化ブチルゴムにより形成されたキャップ400に近接することにより所定の回復動作の実行が可能である。
回復処理系におけるインク再生回路部は補給されるインクが貯留されポリエチレン袋に収容されるインクカートリッジ100と、吸引ポンプ403などを介して接続されるサブタンク401と、キャップ400とサブタンク401との間を接続する塩化ビニルにより形成されたインク供給路409に配されキャップ機構311からのインクをサブタンク401に回収する吸引ポンプ403、キャップから回収したインク中のゴミなどを除去するフィルター405、インク供給路408を介して接続され記録ヘッド303から306の共通液室にインクを供給する加圧ポンプ402、記録ヘッドから戻ったインクをサブタンク401に供給するインク供給路407、弁404aから404dを主要な要素として構成されている。
記録ヘッド303から306のクリーニング時において回復弁404bを閉鎖し加圧ポンプ402を作動することによりサブタンク401から記録ヘッドにインクを加圧供給し、ノズル406から強制排出させる。これにより記録ヘッドのノズル内の泡、インク、ゴミなどを排出する。吸引ポンプ403は、記録ヘッドからキャップ機構311内に排出されたインクをサブタンク401に回収する。
(力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図5に示す。
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82などを指示固定するための基板84とから構成されている。
図5において、インク流路80は、感光性樹脂などで形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケルなどの金属を電鋳やプレス加工による穴あけなどにより吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタンなどの金属フィルムおよび高弾性樹脂フィルムなどで形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZTなどの誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板82を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中、「部」および「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
また、高分子分散体の同定には、核磁気共鳴吸収測定装置(H1−NMR、日本電子社製ECA400、溶媒;テトラヒドロフラン−d8を使用)およびGPC(東ソー(株)製HLC8220、カラム;TSK−GEL4000HXL、TSK−GEL3000HXLおよびTSK−GEL2000HXLを使用し、カラムオーブン温度40.0℃)を用いて行った。
(エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体の作製)
攪拌装置と圧力計を設けた容量200mlのオートクレーブ容器に、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体の中心部のアルキレンオキシドとしてのポリプロピレングリコール(平均のプロピレンオキシド数10)5.8部(0.01モル)と反応触媒としてのナトリウム−tert−ブトキシド0.1部を添加し、両端部のアルキレンオキシドとしてのドライアイスで冷却したエチレンオキシド17.6部(0.4モル)を投入して密閉し、攪拌装置でよく混合した。
次いで、攪拌しながらオートクレーブ容器を135℃に加熱し、オートクレーブ容器の内圧が低下して内圧が安定になるまで加熱を続けた。その後、容器を冷却し反応物に酢酸を添加して中和した後、不純物を濾過と蒸留により除去して、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体(a)を得た。得られたエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体(a)は、NMRスペクトル法、IRスペクトル法、ガスクロマトグラフィー法、GPC法による分析でエチレンオキシドの付加数の同定を行った。表1に記載したように、得られたエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体(a)のエチレンオキシドの付加数は原材料として使用したポリプロピレングリコールに対して40倍モルであった。
上記で使用した中心部のアルキレンオキシドと、両端部のアルキレンオキシドをそれぞれ変更して、上記と同様にして下記表1に記載したエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体(b)から(d)の作製と同定を行った。
Figure 2007321073
[実施例1]
(高分子分散剤1の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル(C成分)45部、メタクリル酸ベンジル(A成分)210部、メタクリル酸(B成分)45部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))1部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤1を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は20,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分70%、B成分15%およびC成分15%であった。
(顔料分散体Iの作製)
上記高分子分散剤1のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを高分子分散剤のアニオン性基の1当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体Iを得た。
(インク1の作製)
・顔料分散体I 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 1.0部
・イオン交換水 63.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.9であった。
[実施例2]
(高分子分散剤2の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル(C成分)60部、アクリル酸ベンジル(A成分)60部、アクリル酸(B成分)90部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)90部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.5部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤2を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は30,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分20%、B成分30%およびC成分50%であった。
(顔料分散体IIの作製)
上記高分子分散剤2のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.5当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度20%、高分子分散剤濃度1%の顔料分散体IIを得た。
(インク2の作製)
・顔料分散体II 50.0部
・グリセリン 10.0部
・プロピレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 5.0部
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0部
(式4、l+m+n+x+y+z=100)
・0.1%塩化カルシウム水溶液 14.0部
・イオン交換水 8.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ8.1であった。
[実施例3]
(高分子分散剤3の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸ブチル(C成分)20部、フェノキシエチレングリコールアクリレート(A成分)60部、アクリル酸(B成分)20部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤3を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は3,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分60%、B成分20%およびC成分20%であった。
(顔料分散体IIIの作製)
上記高分子分散剤3のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.8当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度5%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体IIIを得た。
(インク3の作製)
・顔料分散体III 4.0部
・グリセリン 8.0部
・ジプロピレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体b 2.0部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 0.1部
(式3、l+m+n+x+y+z=10)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.01部
(オキシエチレン数=10)
・0.1%塩化マグネシウム水溶液 8.0部
・イオン交換水 69.89部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ8.4であった。
[実施例4]
(高分子分散剤4の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にアクリル酸メチル(C成分)90部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(A成分)90部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)60部、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(C成分)51部、マレイン酸(B成分)9部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))1部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤4を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は15,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分30%、B成分3%およびC成分67%であった。
(顔料分散体IVの作製)
上記高分子分散剤4のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の1当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度6%の顔料分散体IVを得た。
(インク4の作製)
・顔料分散体IV 40.0部
・グリセリン 12.0部
・エチレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体b 2.5部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 2.0部
(式3、l+m+n+x+y+z=60)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.1部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 0.8部
・イオン交換水 34.6部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.8であった。
[実施例5]
(高分子分散剤5の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル(C成分)99部、アクリル酸ベンジル(A成分)135部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)30部、メタクリル酸(B成分)36部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤5を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は10,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分45%、B成分12%、C成分43%であった。
(顔料分散体Vの作製)
上記高分子分散剤5のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.9当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度8%の顔料分散体Vを得た。
(インク5の作製)
・顔料分散体V 25.0部
・グリセリン 10.0部
・トリエチレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体c 5.0部
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2部
(式4、l+m+n+x+y+z=60)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.3部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 3.0部
・イオン交換水 48.5部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.2であった。
[実施例6]
(高分子分散剤6の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸エチル(C成分)90部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート(A成分)60部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)40部、マレイン酸(B成分)10部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤6を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は5,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分30%、B成分5%、C成分65%であった。
(顔料分散体VIの作製)
上記高分子分散剤6のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.9当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度6%の顔料分散体VIを得た。
(インク6の作製)
・顔料分散体VI 10.0部
・グリセリン 9.0部
・ジエチレングリコール 6.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体d 2.0部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 0.5部
(式3、l+m+n+x+y+z=40)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.1部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 3.0部
・イオン交換水 69.4部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.0であった。
[実施例7]
(高分子分散剤7の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸ブチル(C成分)105部、メタクリル酸ベンジル(A成分)120部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)30部、メタクリル酸(B成分)45部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤7を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は10,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分40%、B成分15%およびC成分45%であった。
(顔料分散体VIIの作製)
上記高分子分散剤7のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー74を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.9当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度20%、高分子分散剤濃度4%の顔料分散体VIIを得た。
(インク7の作製)
・顔料分散体VII 25.0部
・グリセリン 10.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体d 3.0部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 1.0部
(式3、l+m+n+x+y+z=20)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.1部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 3.0部
・イオン交換水 47.9部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.1であった。
[比較例1]
(インク8の作製)
・顔料分散体I 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 64.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。インクのpHを測定したところ9.9であった。
[比較例2]
(インク9の作製)
・顔料分散体I 20.0部
・エチレングリコール 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 1.0部
・イオン交換水 63.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。インクのpHを測定したところ9.9であった。
[比較例3]
(高分子分散剤8の作製)
実施例1で使用した高分子分散剤1のメタクリル酸ベンジルをメタクリル酸ステアリルに変更した以外は実施例1と同様にして高分子分散剤8を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は20,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A’成分(メタクリル酸ステアリル)70%、B成分15%およびC成分15%であった。
(顔料分散体VIIIの作製)
実施例1で使用した高分子分散剤1を上記高分子分散剤8に変更し、水酸化ナトリウムを水酸化カリウムに変更した以外は実施例1と同様にして、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体VIIIを得た。
(インク10の作製)
・顔料分散体VIII 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 64.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。インクのpHを測定したところ9.8であった。
[比較例4]
(インク11の作製)
・顔料分散体VIII 20.0部
・エチレングリコール 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 1.0部
・イオン交換水 63.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過してインクを得た。インクのpHを測定したところ9.8であった。
[比較例5]
(高分子分散剤9の作製)
実施例1で使用した高分子分散剤1のメタクリル酸メチルとメタクリル酸をそれぞれメタクリル酸2−ヒドロキシエチルに変更した以外は実施例1と同様にして高分子分散剤9を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は20,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分70%およびC成分(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)30%であった。
(顔料分散体IXの作製)
実施例1で使用した高分子分散剤1を上記高分子分散剤9に変更した以外は実施例1と同様にして、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体IXを得た。
(インク12の作製)
・顔料分散体IX 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 64.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、水酸化リチウムにてインクのpHを9.9に調整し孔径3μmのミクロフィルターでろ過してインクを得た。
(評価)
実施例1から7のインクと比較例1から5のインクの吐出安定性、印字画像の発色性および分散安定性についての試験を行った。なお、発色性および吐出安定性については、各インクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置P−660CII(キヤノンファインテック製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字を行い、評価を行った。その結果、表2に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて、良好な分散安定性と吐出安定性を示す結果が得られた。また、実施例のインクはいずれも印字画像の発色性は良好な結果であった。
Figure 2007321073
*1:間欠吐出安定性
各インクを70℃で2週間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において、100%ベタ画像を印字し3分間休止した後、再度100%ベタ画像を印字した画像を下記の評価基準で評価した。
◎:白スジが全く無く、正常に印字されている。
○:印字の最初の部分に僅かに白スジがみられる。
△:画像全体に白スジがみられる。
×:画像が殆ど印字されていない。
*2:連続吐出安定性
ハガキサイズのグラデーションパターンを1,000枚連続印字し、1,000枚目の画像のヨレ、不吐の吐出特性を下記の基準で評価した。
◎:ヨレ、不吐が無く、正常に印字されている。
○:不吐は発生していないが、一部にヨレが見られる。
△:不吐が一部発生し、画像全体にヨレが見られる。
×:不吐が多く発生し、画像全体にヨレが見られる。
*3:発色性
70℃2週間保管した各インクで、100%ベタ画像を印字し、その画像を下記評価基準で評価した。
◎:斑がなく、彩度が高い。
○:斑はないが、若干彩度が低い。
△:斑が若干みられる。
×:斑が多く、彩度も低い。
*4:保存安定性
各インクを密閉状態で70℃2週間保存した後、試験前後の粒子径を測定し、下記式で粒子径増加率(%)を求め分散安定性の尺度とした。粒子径の測定には動的光散乱法(商品名:レーザー粒径解析システムPARIII;大塚電子(株)社製)を用いた。評価基準は下記の通りとした。
Figure 2007321073
◎:粒子径増加率(%)が5%未満である。
○:粒子径増加率(%)が5%以上10%未満である。
△:粒子径増加率(%)が10%以上30%未満である。
×:粒子径増加率(%)が30%以上である。
以上説明したように、本発明によれば、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクを提供することができ、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することができる。
インクカートリッジの構造を説明するための模式図である。 インクジェット記録ヘッドの構造を説明するための模式図である。 インクジェット記録装置の透視図である。 インクジェット記録装置における回復処理系の概略図である。 インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。
符号の説明
100:インクカートリッジ
101:インク袋
102:ゴム栓
103:針
104:チューブ
201:ベースプレート
202:インクノズル(吐出口)
203:隔壁
204ノズルヒータ
205:共通液室
206:基板
207:天板
300:記録装置
301:ロール供給ユニット
302:被記録媒体(ロール紙)
303:記録ヘッド(ブラック)
304:記録ヘッド(シアン)
305:記録ヘッド(マゼンタ)
306:記録ヘッド(イエロー)
307:インクカートリッジ(ブラック)
308:インクカートリッジ(シアン)
309:インクカートリッジ(マゼンタ)
310:インクカートリッジ(イエロー)
311:キャップ機構
312:搬送モータ
313:搬送ベルト
400:キャップ
401:サブタンク
402:加圧ポンプ
403:吸引ポンプ
404a:供給弁
404b:回復弁
404c:大気開放弁
404d:リサイクル弁
405:フィルター
406:フェース(ノズル)面
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口

Claims (10)

  1. 高分子分散剤、顔料、水溶性有機溶剤、沈降抑制剤、および水から主としてなるインクジェット記録用インクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとの共重合体であり、上記水溶性有機溶剤として少なくともグリセリンを含有し、上記沈降抑制剤として少なくともエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 芳香族炭化水素基を含有する置換基が、−O−CH2−C65および/または−O−C64−R(RはH、CH3、C25およびn−C919の群から選ばれるアルキル基)である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 沈降抑制剤として少なくともポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  4. エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体が、インク中の高分子分散剤の質量の0.5から10倍量含有されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  5. カルシウムおよび/またはマグネシウムが、カルシウムおよび/またはマグネシウムの総量(A)で、前記高分子分散剤(B)に対してA:B=1:100000から1:100の質量比の範囲で含有されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  6. インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、上記インクが、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. エネルギーが、熱エネルギーである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材である請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  9. インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  10. インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、該インクが請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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