JP2007321073A - インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子分散剤が、少なくとも(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとの共重合体であり、水溶性有機溶剤として少なくともグリセリンを含有し、沈降抑制剤として少なくともエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を含有するインク、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置。
【選択図】なし
Description
本発明者らは、高分子分散剤、顔料、水溶性有機溶剤、沈降抑制剤、および水から主としてなるインクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとの共重合体であり、上記水溶性有機溶剤として少なくともグリセリンを含有させ、かつ沈降抑制剤としてエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を含有させることで、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも安定して記録することが可能なインクを提供することができることを見出した。
(高分子分散剤)
本発明に使用する高分子分散剤は、(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとを重合することで得られる高分子化合物である。これらのモノマーからラジカル重合やアニオン重合などの常法の重合方法で得られる高分子化合物であれば、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも使用することができ、これらの高分子化合物は、重量平均分子量で3,000から30,000の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは5,000から15,000の範囲である。
本発明のインク中における顔料の含有量は、インク全質量の好ましくは0.2から10質量%、より好ましくは1.0から5質量%の範囲である。顔料の含有量が0.2質量%未満では十分な画像濃度が得にくいインクになる場合があり、一方、顔料の含有量が10質量%を超えると、ノズルにおける目詰りなどによるインクの吐出安定性の低下が起こりやすくなる。また、顔料(A)と上記高分子分散剤(B)とのインク中における含有比率は、固形分質量比でA:B=20:1から1:2であると、インクの吐出安定性や保存安定性の面から望ましい。なお、これらの顔料は、単独で使用する以外に、2種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明のインクに使用するエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体としては、下記式1または式2で表される構造を有する化合物が好ましい。
[式1]HO(CH2CH2O)x1(C3H6O)y1(CH2CH2O)z1H
[式2]HO(C3H6O)x2(CH2CH2O)y2(C3H6O)z2H
(式中、x1+z1は4から100の整数、y1は1から50の整数であり、x2+z2は2から100の整数、y2は2から50の整数である。)
なお、本発明でのこれらの範囲の値は平均値を示したものである。上記x1からz2が上記範囲外の場合は、顔料分散体の安定性が低下する場合もある。
本発明のインク中におけるグリセリンの含有量は、インク中の高分子分散剤の質量の好ましくは3から20倍、より好ましくは5から15倍の範囲で含有されていると、顔料分散体の分散安定性がより向上するため望ましく、インク全質量の8から12%含有されていると、連続吐出時のインクの吐出安定性がより一層向上するためより望ましい。
(熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
図1は、ヘッドにインク供給チューブ104を介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ100の一例を示す図である。101は供給用インクを収納したインク袋であり、その先端には塩素化ブチルゴム製の栓102が設けられている。この栓102に針103を挿入することにより、インク袋101中のインクを記録ヘッド(303から306)に供給できる。また、インクカートリッジ内に廃インクを受容するインク吸収体を設けてもよい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になったものも好適に用いられる。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図5に示す。
また、高分子分散体の同定には、核磁気共鳴吸収測定装置(H1−NMR、日本電子社製ECA400、溶媒;テトラヒドロフラン−d8を使用)およびGPC(東ソー(株)製HLC8220、カラム;TSK−GEL4000HXL、TSK−GEL3000HXLおよびTSK−GEL2000HXLを使用し、カラムオーブン温度40.0℃)を用いて行った。
攪拌装置と圧力計を設けた容量200mlのオートクレーブ容器に、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体の中心部のアルキレンオキシドとしてのポリプロピレングリコール(平均のプロピレンオキシド数10)5.8部(0.01モル)と反応触媒としてのナトリウム−tert−ブトキシド0.1部を添加し、両端部のアルキレンオキシドとしてのドライアイスで冷却したエチレンオキシド17.6部(0.4モル)を投入して密閉し、攪拌装置でよく混合した。
(高分子分散剤1の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル(C成分)45部、メタクリル酸ベンジル(A成分)210部、メタクリル酸(B成分)45部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))1部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤1を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は20,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分70%、B成分15%およびC成分15%であった。
上記高分子分散剤1のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを高分子分散剤のアニオン性基の1当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体Iを得た。
・顔料分散体I 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 1.0部
・イオン交換水 63.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.9であった。
(高分子分散剤2の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル(C成分)60部、アクリル酸ベンジル(A成分)60部、アクリル酸(B成分)90部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)90部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.5部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤2を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は30,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分20%、B成分30%およびC成分50%であった。
上記高分子分散剤2のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.5当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度20%、高分子分散剤濃度1%の顔料分散体IIを得た。
・顔料分散体II 50.0部
・グリセリン 10.0部
・プロピレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 5.0部
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0部
(式4、l+m+n+x+y+z=100)
・0.1%塩化カルシウム水溶液 14.0部
・イオン交換水 8.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ8.1であった。
(高分子分散剤3の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸ブチル(C成分)20部、フェノキシエチレングリコールアクリレート(A成分)60部、アクリル酸(B成分)20部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤3を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は3,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分60%、B成分20%およびC成分20%であった。
上記高分子分散剤3のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.8当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度5%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体IIIを得た。
・顔料分散体III 4.0部
・グリセリン 8.0部
・ジプロピレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体b 2.0部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 0.1部
(式3、l+m+n+x+y+z=10)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.01部
(オキシエチレン数=10)
・0.1%塩化マグネシウム水溶液 8.0部
・イオン交換水 69.89部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ8.4であった。
(高分子分散剤4の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にアクリル酸メチル(C成分)90部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(A成分)90部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)60部、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(C成分)51部、マレイン酸(B成分)9部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))1部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤4を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は15,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分30%、B成分3%およびC成分67%であった。
上記高分子分散剤4のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の1当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度6%の顔料分散体IVを得た。
・顔料分散体IV 40.0部
・グリセリン 12.0部
・エチレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体b 2.5部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 2.0部
(式3、l+m+n+x+y+z=60)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.1部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 0.8部
・イオン交換水 34.6部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.8であった。
(高分子分散剤5の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸メチル(C成分)99部、アクリル酸ベンジル(A成分)135部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)30部、メタクリル酸(B成分)36部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤5を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は10,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分45%、B成分12%、C成分43%であった。
上記高分子分散剤5のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.9当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度8%の顔料分散体Vを得た。
・顔料分散体V 25.0部
・グリセリン 10.0部
・トリエチレングリコール 8.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体c 5.0部
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2部
(式4、l+m+n+x+y+z=60)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.3部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 3.0部
・イオン交換水 48.5部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.2であった。
(高分子分散剤6の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸エチル(C成分)90部、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート(A成分)60部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)40部、マレイン酸(B成分)10部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤6を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は5,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分30%、B成分5%、C成分65%であった。
上記高分子分散剤6のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.9当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度6%の顔料分散体VIを得た。
・顔料分散体VI 10.0部
・グリセリン 9.0部
・ジエチレングリコール 6.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体d 2.0部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 0.5部
(式3、l+m+n+x+y+z=40)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.1部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 3.0部
・イオン交換水 69.4部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.0であった。
(高分子分散剤7の作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に出るまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にメタクリル酸ブチル(C成分)105部、メタクリル酸ベンジル(A成分)120部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(C成分)30部、メタクリル酸(B成分)45部および重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤7を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は10,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分40%、B成分15%およびC成分45%であった。
上記高分子分散剤7のメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー74を2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化カリウムを高分子分散剤のアニオン性基の0.9当量に相当する量を加えて攪拌して、顔料濃度20%、高分子分散剤濃度4%の顔料分散体VIIを得た。
・顔料分散体VII 25.0部
・グリセリン 10.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体d 3.0部
・ポリオキシエチレンヒマシ油 1.0部
(式3、l+m+n+x+y+z=20)
・ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル 0.1部
(オキシエチレン数=10)
・0.01%塩化カルシウム水溶液 3.0部
・イオン交換水 47.9部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。インクのpHを測定したところ9.1であった。
(インク8の作製)
・顔料分散体I 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 64.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。インクのpHを測定したところ9.9であった。
(インク9の作製)
・顔料分散体I 20.0部
・エチレングリコール 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 1.0部
・イオン交換水 63.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。インクのpHを測定したところ9.9であった。
(高分子分散剤8の作製)
実施例1で使用した高分子分散剤1のメタクリル酸ベンジルをメタクリル酸ステアリルに変更した以外は実施例1と同様にして高分子分散剤8を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は20,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A’成分(メタクリル酸ステアリル)70%、B成分15%およびC成分15%であった。
実施例1で使用した高分子分散剤1を上記高分子分散剤8に変更し、水酸化ナトリウムを水酸化カリウムに変更した以外は実施例1と同様にして、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体VIIIを得た。
・顔料分散体VIII 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 64.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。インクのpHを測定したところ9.8であった。
(インク11の作製)
・顔料分散体VIII 20.0部
・エチレングリコール 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体a 1.0部
・イオン交換水 63.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過してインクを得た。インクのpHを測定したところ9.8であった。
(高分子分散剤9の作製)
実施例1で使用した高分子分散剤1のメタクリル酸メチルとメタクリル酸をそれぞれメタクリル酸2−ヒドロキシエチルに変更した以外は実施例1と同様にして高分子分散剤9を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は20,000であった。また、NMRで測定の結果、高分子分散剤中の各単位モノマー成分は、A成分70%およびC成分(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)30%であった。
実施例1で使用した高分子分散剤1を上記高分子分散剤9に変更した以外は実施例1と同様にして、顔料濃度15%、高分子分散剤濃度10%の顔料分散体IXを得た。
・顔料分散体IX 20.0部
・グリセリン 6.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 64.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、水酸化リチウムにてインクのpHを9.9に調整し孔径3μmのミクロフィルターでろ過してインクを得た。
実施例1から7のインクと比較例1から5のインクの吐出安定性、印字画像の発色性および分散安定性についての試験を行った。なお、発色性および吐出安定性については、各インクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置P−660CII(キヤノンファインテック製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字を行い、評価を行った。その結果、表2に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて、良好な分散安定性と吐出安定性を示す結果が得られた。また、実施例のインクはいずれも印字画像の発色性は良好な結果であった。
各インクを70℃で2週間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において、100%ベタ画像を印字し3分間休止した後、再度100%ベタ画像を印字した画像を下記の評価基準で評価した。
◎:白スジが全く無く、正常に印字されている。
○:印字の最初の部分に僅かに白スジがみられる。
△:画像全体に白スジがみられる。
×:画像が殆ど印字されていない。
ハガキサイズのグラデーションパターンを1,000枚連続印字し、1,000枚目の画像のヨレ、不吐の吐出特性を下記の基準で評価した。
◎:ヨレ、不吐が無く、正常に印字されている。
○:不吐は発生していないが、一部にヨレが見られる。
△:不吐が一部発生し、画像全体にヨレが見られる。
×:不吐が多く発生し、画像全体にヨレが見られる。
70℃2週間保管した各インクで、100%ベタ画像を印字し、その画像を下記評価基準で評価した。
◎:斑がなく、彩度が高い。
○:斑はないが、若干彩度が低い。
△:斑が若干みられる。
×:斑が多く、彩度も低い。
101:インク袋
102:ゴム栓
103:針
104:チューブ
201:ベースプレート
202:インクノズル(吐出口)
203:隔壁
204ノズルヒータ
205:共通液室
206:基板
207:天板
300:記録装置
301:ロール供給ユニット
302:被記録媒体(ロール紙)
303:記録ヘッド(ブラック)
304:記録ヘッド(シアン)
305:記録ヘッド(マゼンタ)
306:記録ヘッド(イエロー)
307:インクカートリッジ(ブラック)
308:インクカートリッジ(シアン)
309:インクカートリッジ(マゼンタ)
310:インクカートリッジ(イエロー)
311:キャップ機構
312:搬送モータ
313:搬送ベルト
400:キャップ
401:サブタンク
402:加圧ポンプ
403:吸引ポンプ
404a:供給弁
404b:回復弁
404c:大気開放弁
404d:リサイクル弁
405:フィルター
406:フェース(ノズル)面
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
Claims (10)
- 高分子分散剤、顔料、水溶性有機溶剤、沈降抑制剤、および水から主としてなるインクジェット記録用インクにおいて、上記高分子分散剤が、少なくとも(1)芳香族炭化水素基を含有する置換基を有するビニルモノマーと(2)カルボン酸基を含有するビニルモノマーとの共重合体であり、上記水溶性有機溶剤として少なくともグリセリンを含有し、上記沈降抑制剤として少なくともエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 芳香族炭化水素基を含有する置換基が、−O−CH2−C6H5および/または−O−C6H4−R(RはH、CH3、C2H5およびn−C9H19の群から選ばれるアルキル基)である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 沈降抑制剤として少なくともポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体が、インク中の高分子分散剤の質量の0.5から10倍量含有されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- カルシウムおよび/またはマグネシウムが、カルシウムおよび/またはマグネシウムの総量(A)で、前記高分子分散剤(B)に対してA:B=1:100000から1:100の質量比の範囲で含有されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、上記インクが、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- エネルギーが、熱エネルギーである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
- 被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材である請求項6に記載のインクジェット記録方法。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、該インクが請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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