JP2007063432A - インクジェット記録用インク、その製造方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インク、その製造方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクジェット記録用インクを提供すること。
【解決手段】顔料、顔料を分散させる(a)1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体と(b)オキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤と、水溶性有機溶剤および水を少なくとも含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インク(以下単に「インク」という)、該インクの製造方法、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。さらに詳しくは、吐出信頼性が高く画像特性の良好なインクジェット記録に適した顔料分散体型の水性インク、該インクの製造方法、該インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録用途においても、画像堅牢性の面から顔料分散体型の水性インクをインクとして使用するようになってきている。インクジェット記録においては、紙面上でのインクの定着性や耐水性を向上させるために、インク中の顔料粒子に凝集機能や水不溶化機能を持たせる試みがとられている。しかしながら、このような機能を顔料粒子に持たせることによって、インク中での分散安定性が低下することになり、インクの保存中に顔料粒子が凝集して濃度むらや沈降が発生しやすくなる、インクジェット装置のノズル先端部でインク乾燥による目詰まりが発生し、吐出安定性が低下しやすくなるなどという問題点を持つ。また、印字画像においても、被記録材表面で顔料粒子が凝集しやすくなるため印字画像の耐擦過性が低下し、さらに凝集した粒子による光散乱のため印字画像の彩度が大きく低下し発色性が劣化するという問題点も有する。
上記問題点を解決するために、特許文献1では、ブロック共重合体の高分子分散剤により分散された顔料粒子とインク添加剤としてノニオン性界面活性剤を含有するインクが提案されているが、この提案ではインクの吐出性には効果があっても印字画像の耐擦過性や発色性には問題がある。また、特許文献2では、ブロック共重合体分散剤を含有するインクが提案されている。しかし、インクジェット装置に使用する際に必ず発生するノズル先端部でのインク濃縮のように、インク組成が大きく変化する場合においては、分散安定性が低下しやすくなる性質を有するため、ラインヘッドを有するインクジェット装置などのようにインクジェットノズルのクリーニング回復動作を頻繁に行うことのできない場合においては、インクジェット装置のノズル周辺部への顔料粒子の付着が多くなり、インクの不吐出や印字ヨレが発生しやすくなる。
特開2003−192965号公報 特開平11−236502号公報
本発明は、上記問題点に鑑みて為されたもので、本発明の目的は、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクを提供することであり、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、およびこのようなインクを含むインクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題点を解決すべく鋭意検討した結果、以下の発明によって解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、顔料、顔料を分散させる分散剤、水溶性有機溶剤および水を少なくとも含有するインクにおいて、
分散剤として
a)1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体と
b)オキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤と
を少なくとも含有することを特徴とするインクを提供する。
上記本発明においては、前記ブロック共重合体の親水性ブロックが、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含むこと;前記ブロック共重合体が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されていることが好ましい。
また、上記本発明においては、前記ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基のユニット数が、ブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック中のオキシエチレン基のユニット数に対して、0.05〜2倍であること;前記ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基の質量含有率が、ブロック共重合体中のオキシエチレン基の質量含有率に対して0.3〜4倍の範囲にあること;前記ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体から選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、本発明は、(1)分散剤としての、1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体を、該ブロック共重合体を溶解し得る溶媒に溶解する工程
(2)工程(1)で得られた溶液と、顔料および分散剤としてのオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤とを混合する工程
(3)工程(2)で得られた混合液に水を添加する工程
(4)工程(3)で得られた混合液に水溶性有機溶剤を添加する工程
の工程を順次行うことを特徴とするインクの製造方法を提供する。
上記本発明の製造方法においては、前記ブロック共重合体の親水性ブロックが、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含むこと;前記ブロック共重合体が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されていることが好ましい。
また、上記本発明の製造方法においては、前記工程(1)で使用した溶媒を除去する工程を、工程(3)の後に行うこと;前記工程(1)で使用するブロック共重合体のアニオン性親水基が未中和であること;前記工程(3)で、ブロック共重合体のアニオン性親水基を中和可能な中和剤を添加すること;前記ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基のユニット数が、ブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック中のオキシエチレン基のユニット数に対して、0.05〜2倍の範囲であることが好ましい。
また、上記本発明の製造方法においては、前記ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基の質量含有率が、ブロック共重合体中のオキシエチレン基の質量含有率に対して0.3〜4倍の範囲にあること;前記ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体から選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、本発明は、インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、該インクが、前記本発明のインクまたは前記本発明の製造方法で製造したインクであること特徴とするインクジェット記録方法を提供する。前記エネルギーが、熱エネルギーであること;および前記被記録材は、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層をもつ被記録材であることが好ましい。
また、本発明は、インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが、前記本発明のインクまたは前記本発明の製造方法で製造したインクであることを特徴とするインクカートリッジ;およびインクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、上記インクが、前記本発明のインクまたは前記本発明の製造方法で製造したインクであること特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
本発明によれば、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクを提供することができ、さらには堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、インクカートリッジ、およびインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、顔料、顔料を分散させる分散剤、水溶性有機溶剤および水を少なくとも含有するインクにおいて、
分散剤として
a)1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体と
b)オキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤と
を少なくとも含有させることで、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも安定して記録することが可能なインクを提供することができることを見出した。
これは、高分子分散剤として、1種以上の疎水性ブロックと1種以上の親水性ブロックとを少なくとも含むブロック共重合体からなる高分子分散剤を使用することで、高分子分散剤の疎水性ブロック部が顔料粒子表面に均一に付着することが可能となり、顔料粒子の表面が露出することなく高分子分散剤が顔料粒子を均一に被覆する、すなわち、顔料粒子をカプセル化することができるようになる。この際、疎水性ブロックが、モノマーとしてビニルエーテル類を重合してなるエーテル構造を多数有するポリビニルエーテルであるために、疎水性ブロックのエーテル部と隣接する高分子分散剤の疎水性ブロック部間に静電的な相互作用が発生する、すなわち、高分子分散剤同士の疎水性ブロック間で物理的な結合作用が発生し、カプセルの安定性が向上すると考えられる。このため、記録後の画像においてもこのカプセル状態が維持され高分子分散剤が顔料粒子を保護するため、顔料粒子表面の一部が露出しているような場合に比べ、顔料の堅牢性が向上すると考えられる。また、顔料粒子は染料に比べ紙面上などで互いに凝集して発色性や擦過性などの劣化が発生しやすいが、本発明の分散剤として併用しているノニオン性界面活性剤の疎水基がこのカプセルに適度に親和することで顔料分散体が互いに凝集するのを適度に防止するため、インクにノニオン性界面活性剤を単に添加したような場合には、このような機能が充分に働かないのに対し、本発明の場合は、印字品位の劣化を抑制することができると考えられる。
また、高分子分散剤の親水性部がブロック化されているため、インク媒体中での親和性が向上し、疎水基を含有するランダム重合されているような他の高分子分散剤に比べて、分散安定性が向上するため顔料分散体の凝集や沈降が起こりにくくなり、インクの長期保存時の顔料分散体の分散安定性も良好になると考えられる。さらに、分散剤としてオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤を併用することで、ノニオン性界面活性剤の有するオキシエチレン基が高分子分散剤の親水性ブロック部を形成しているエーテル構造と良好な親和性を発揮し、カプセルの外側部分を構成する親水性部の安定性が向上するため、カプセルの外側の形状も安定化され、カプセル全体が均一な形状を維持できるようになると考えられる。このため、インク加温時などのカプセル形状が変化しやすい場合においても、カプセル表面の電荷状態の乱れが殆ど発生せず、カプセル表面の電荷状態が均一に維持されるようになるため、静電的な因子によるカプセル同士の凝集や会合を大きく低減することができる。これにより、インクの高温保存時や長期保存時の顔料分散体の分散安定性が向上し、インクにノニオン性界面活性剤を単に添加したような場合に比べ、さらに分散性が不安定になりやすい熱エネルギーをインク飛翔エネルギーとして利用したインクジェット記録の吐出時においても、このカプセル状態が安定に維持されるようになり、インクの吐出安定性が向上すると考えられる。
この効果により、高い堅牢性を有し品位に優れた画像を提供し、かつインクの長期保存時や高温時の安定性を向上させるとともに、インクジェット装置に使用する際に必ず発生するノズル先端部でのインク濃縮のように、インク組成が大きく変化する場合においても、顔料分散体の分散安定性が低下することなく、インクの安定な吐出が可能になる。さらに、インクジェットノズルのクリーニング回復動作を頻繁に行うことのできないラインヘッドを有するインクジェット装置の場合においても、ノズル周辺部への顔料分散体の付着が抑制できるため、インクの不吐出や印字ヨレが発生しにくく、長期にわたって良好な連続印字性能を達成できる。
以下、本発明のインクの構成材料について詳細に説明する。
(ブロック共重合体)
本発明のインクに使用するブロック共重合体としては、1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体であればよい。特に、ブロック共重合体の親水性ブロックが少なくともオキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを含むのが好ましく、ブロック共重合体が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されていると、ノニオン性界面活性剤のオキシエチレン基との親和性がより一層向上し、さらに被記録材との親和性も向上するためより好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体は、例えば、下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有することが好ましい。
−(CH2−CH(OR1))− (1)
疎水基を有するブロックとしては、上記の一般式(1)において、R1が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、またはフェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。さらに、R1は、−(CH2m−(O)n−R4で表されるものでもよい。ここでR4は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、またはフェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2、−CH2−COOR5などを表し、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子と置換されていてもよい。R5は、R4と同じである。R4の炭素数は1〜18が好ましい。mは3〜36が好ましく、nは0または1であるのが好ましい。
オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとしては、上記式(1)において、R1が、−(CH(R2)−CH(R3)−O)p−R4で表されるものである。この場合、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R4は、前記と同じく、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、またはフェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2、−CH2−COOR5などを表し、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子と置換されていてもよい。R5は、R4と同じである。R4の炭素数は1〜18が好ましい。pは1〜18であるのが好ましい。
上記式のR1およびR4におけるアルキル基またはアルケニル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、オレイルおよびリノレイルなどであり、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。
アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとしては、前記式(1)のR1が、−CH2CH2CH2OCH2COOH、−CH2CH2COOH、−CH2COOH、および−(CH(R2)−CH(R3)−O)p−R5−COOHなどであり、R2およびR3は前記と同じく、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R5はメチレン基、エチレン基、フェニレン基を表す。pは1〜18が好ましい。
以下に、本発明で使用するブロック共重合体を構成するビニルエーテルモノマー(I−a〜I−o)およびブロック共重合体(II−a〜II−e)の構造を例示するが、本発明に用いられるブロック共重合体のポリビニルエーテル構造は、これらに限定されるものではない。
Figure 2007063432
Figure 2007063432
さらに、上記ポリビニルエーテルの繰り返し単位数(上記(II−a)〜(II−e)においては、m、n、l)は、それぞれ独立に、1〜10,000であることが好ましい。また、その合計が(上記(II−a)〜(II−e)においては、m+n+l)、10〜20,000であることがより好ましい。数平均分子量は、500〜20,000,000が好ましく、1,000〜5,000,000がより好ましく、2,000〜2,000,000が最も好ましい。
ブロック共重合体がアニオン性親水基を有する場合、ブロック共重合体の酸価としては、好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは20〜70mgKOH/gであると、印字画像の耐擦過性と発色性の面で望ましい。これらのブロック共重合体がインク中に占める割合は、インク全質量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
ビニルエーテル系ポリマーブロックを有する共重合体(ブロック共重合体)の合成方法は、特に限定されないが、青島らによるカチオンリビング重合(特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)などが好適に用いられる。カチオンリビング重合法を用いることにより、長さ(分子量)を正確に揃えたホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロック共重合体、グラフト共重合体、グラデーション共重合体などの様々なポリマーを合成することができる。また、ポリビニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。
また、ブロック共重合体のアニオン性親水基の中和剤としては、上記ブロック共重合体のアニオン性親水基を中和することが可能なものであり、水に溶解するものであれば使用できる。このような中和剤しては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属類、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、アンモニアなどが挙げられるが、アルカリ金属類を用いると得られる画像の発色性がより向上するため好ましい。
(ノニオン性界面活性剤)
本発明のインクに使用するノニオン性界面活性剤としては、オキシエチレン基からなる非イオン性の親水基と疎水基を有する化合物であって、アニオン性やカチオン性のイオン性基を含有しないものであれば使用できる。このようなものとして好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油またはエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体であると、顔料分散体の安定性がより向上するため好ましい。
本発明で好ましく用いるポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、ヒマシ油またはヒマシ油を水素添加した硬化ヒマシ油にエチレンオキシドを付加させて得られる化合物である。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油としては下記式1で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては下記式2で表される構造を有する化合物が望ましい。
Figure 2007063432
式中、l+m+n+x+y+zは10〜100であり、好ましくは20〜60である。なお、本発明でのこれらの範囲の値は、ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油中のポリオキシエチレン基の数が均一でないため、その平均値を示したものである。l+m+n+x+y+zが10未満のときはポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とインク媒体との親和性が低下し、顔料分散体のインク中での分散安定性が低下しやすくなる場合があり、l+m+n+x+y+zが100を超えるときは顔料分散体との親和性が低下し印字画像の発色性が低下しやすくなる場合がある。
このようなポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、市販されているもの以外に、ヒマシ油や硬化ヒマシ油にエチレンオキシドを塩基触媒存在下で気相法や液相法の常法で付加させて作製したものを使用することが好ましい。また、ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキシド数などについての同定は、NMRやIRによる官能基の定性・定量や各種クロマトグラフィーによる解析などで行うことが可能である。
本発明で好ましいエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体としては、下記式3または下記式4で表される構造を有する化合物である。
HO(CH2CH2O)x1(C36O)y1(CH2CH2O)z1H 式3
HO(C36O)x2(CH2CH2O)y2(C36O)z2H 式4
式中、x1+z1は4〜120の整数、y1は1〜80の整数であり、x2+z2は2〜160の整数、y2は2〜60の整数である。なお、本発明でのこれらの範囲の値は平均値を示したものである。上記x1〜z2が上記範囲外の場合は、高分子分散剤や水媒体との親和性が低下し、顔料分散体の安定性が低下しやすくなる。
このようなエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体としては、市販されているもの以外に、ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを塩基触媒存在下で気相法や液相法の常法で付加させて作製したものを使用することが好ましい。また、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体中のエチレンオキシド数とプロピレンオキシド数についての同定は、NMRやIRによる官能基の定性・定量や各種クロマトグラフィーによる解析などで行うことが可能である。
これらのノニオン性界面活性剤は、単独のものを使用する以外に2種以上のものを組み合わせても使用することも可能である。このノニオン性界面活性剤の含有量としては、インク全質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%の範囲、より好ましくは0.2〜2質量%の範囲である。ノニオン性界面活性剤の量が0.1質量%未満では界面活性剤の併用効果が得られず、5質量%を超えると、被記録材上での浸透効果が高くなり、画像濃度が低下し、印字品位が悪くなる場合がある。また、これらのノニオン性界面活性剤の含有量が、ブロック共重合体に対して、質量比で好ましくは0.1〜2.0倍の範囲、より好ましくは0.2〜1.0倍の範囲にあると、顔料分散体の安定性がより良好になるため望ましい。
また、分散剤である1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体の親水性ブロックが、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有する場合おいては、ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基のユニット数が、ブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック中のオキシエチレン基のユニット数に対して、好ましくは0.05〜2倍、より好ましくは0.1〜1倍の範囲にあると、インクの吐出安定性や分散安定性の面から望ましい。また、ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基の質量含有率が、ブロック共重合体中のオキシエチレン基の質量含有率に対して、好ましくは0.3〜4倍、より好ましくは0.5〜2倍の範囲にあるとインクの分散安定性と吐出安定性がより向上するため望ましい。これらの値が上記範囲外の場合には、インクの分散安定性や吐出安定性が若干低下することがある。なお、本発明でのブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックおよびノニオン性界面活性剤のオキシエチレン基のユニット数については、ブロック共重合体1分子中の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック部のオキシエチレンのユニット総数とノニオン性界面活性剤1分子中のオキシエチレンのユニット総数であり、オキシエチレン基の質量含有率については、それぞれの化合物1分子中のオキシエチレンの総質量での比率である。
(顔料)
本発明のインクを構成する顔料として以下に例を示すが、これらに限定されるものではない。
Raven 760 Ultra、Raven 1060 Ultra、Raven 1080、Raven 1100 Ultra、Raven 1170、Raven 1200、Raven 1250、Raven 1255、Raven 1500、Raven 2000、Raven 2500 Ultra、Raven 3500、Raven 5250、Raven 5750、Raven 7000、Raven 5000 ULTRAII、Raven 1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Special Black 550、Printex 35、Printex 45、Printex 55、Printex 85、Printex 95、Printex U、Printex 140U、Printex V、Printex 140V(以上、デグッサ社製);
No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220(以上、三菱化学社製);
C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、95、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、175、180、183,184、185;C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71;C.I.ピグメントレッド9、12、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、184、192、202、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272;C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、32、37、40、50;C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64;C.I.ピグメントグリーン7、36;C.I.ピグメントブラウン23、25、26;C.I.ピグメントブラック1、10、31、32など。
これら顔料の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1.0〜10質量%の範囲である。顔料の量が0.1質量%未満では十分な画像濃度が得にくい場合があり、20質量%を超えると、ノズルにおける目詰りなどによる吐出安定性の低下が起こりやすくなる。また、顔料と上記分散剤とのインク中における含有比率は、固形分質量比で10:1〜1:2であると、インクの吐出安定性や保存安定性の面から望ましい。なお、これらの顔料は、単独で使用する以外に、2種以上組み合わせて使用することもできる。
(水溶性有機溶剤)
本発明のインクに使用する水溶性有機溶剤としては、水溶性の有機溶媒であれば使用することができ、2種以上の水溶性有機溶剤の混合溶媒も使用できる。
好ましい水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、チオジグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオールなどのトリオール類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコーリモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシキド、グリセリンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。
これらの中でも、沸点が120℃以上の水溶性有機溶剤を使用すると、ノズル先端部でのインク濃縮が抑制されるため好ましい。これらの水溶性有機溶剤のインク中に占める割合は、インク全質量に対して、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
以上が本発明のインクの必須成分であるが、これらの成分以外に、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種の添加剤を添加してもよい。
本発明の顔料、顔料を分散させる分散剤、水溶性有機溶剤および水を少なくとも含有するインクの製造方法は、
(1)分散剤としての、1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体を、該ブロック共重合体を溶解し得る溶媒に溶解する工程
(2)工程(1)で得られた溶液と、顔料および分散剤としてのオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤とを混合する工程
(3)工程(2)で得られた混合液に水を添加する工程
(4)工程(3)で得られた混合液に水溶性有機溶剤を添加する工程
の工程を順次行うことを特徴とする。なお、図1に本発明の製造方法のフローチャートを示した。
工程(1)は、分散剤としての、1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体を、このブロック共重合体を溶解することができる溶媒に溶かす工程であり、溶媒中にブロック共重合体を添加して攪拌などにより均一化させればよく、微分散状態のような、完全に溶解していない状態でも沈殿物がなく、さらに静置しても沈降物が発生しなければ使用することができる。この際、必要に応じて加温や超音波などのエネルギーをブロック共重合体が分解しない程度で加えてもよい。溶媒に対するブロック共重合体の添加量は、ブロック共重合体の溶解し得る濃度範囲内で添加するが、1質量%〜20質量%の範囲内になるように添加すると、得られる顔料分散体の安定性が向上するため好ましい。また、ブロック共重合体がアニオン性親水基を有する場合には、アニオン性親水基が未中和であるブロック共重合体を使用すると、溶媒中でブロック共重合体がより均一化され、顔料とより均一に親和することが可能になり、得られる顔料分散体の安定性がより向上するため好ましい。
工程(2)は、上記工程(1)で得られた溶液と、顔料と分散剤としてのオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤とを混合する工程であり、溶液中に顔料とノニオン性界面活性剤を添加して攪拌などにより均一に混合させればよい。この工程(2)で工程(1)で作製した溶液に、顔料とノニオン性界面活性剤とを混合することで、顔料水分散体に単にノニオン性界面活性剤を混合するような場合に比べ、顔料とノニオン性界面活性剤が良好な親和性を有した顔料分散体が形成されるようになり、分散安定性がより一層良好になる。さらに、ノニオン性界面活性剤がインク溶液中に遊離することもないため、顔料水分散体に単にノニオン性界面活性剤を混合するような場合に発生しやすい印字画像の滲みや濃度低下などの画像特性の劣化も殆ど発生しなくなる。上記溶液に顔料とノニオン性界面活性剤とを混合する方法としては、攪拌以外にニーダー、ロールミル、ビーズミル、ボールミルなどの分散機を用いる方法が挙げられ、必要に応じて加温や超音波印加なども用いることができる。この際、まず工程(1)で得られた溶液と顔料とを混合し、その後にオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤を該混合溶液に添加すると、得られる顔料分散体の安定性が一層向上するため好ましい。工程(1)で作製した溶液と顔料やノニオン性界面活性剤とを混合する際は、顔料やノニオン性界面活性剤をそのままの状態で混合することも可能であるが、一旦溶媒などで膨潤または溶解した状態で混合することも好ましい。この際使用する溶媒としては工程(1)で使用した溶媒と同じものを使用するのが好ましいが、必要に応じて他の溶媒を使用することも可能である。
工程(3)は、工程(2)で作製した混合液に水を添加する工程である。水を添加する際、混合液を攪拌などにより均一にした状態で添加するのが好ましく、ロールミル、ビーズミル、ボールミルなどの分散機を用いて攪拌しながら少量ずつ添加する方法がより好ましい。また、必要に応じて加温や超音波印加なども用いることができる。また、ブロック共重合体がアニオン性親水基を有する場合には、この工程でアニオン性親水基を中和できる中和剤を添加することができ、中でも工程(1)でアニオン性親水基が未中和であるブロック共重合体を使用する場合はこの工程で中和剤を添加するのが好ましい。中和剤を添加する際は、中和剤単体でも水で中和剤を希釈した状態でも添加することができるが、水で中和剤を希釈した状態で添加するのが望ましい。
工程(4)は、工程(3)で得られた混合液に水溶性有機溶剤を添加する工程であり、混合液を攪拌などにより均一にした状態で水溶性有機溶剤を添加するのが好ましい。
以上が本発明の製造方法の工程であるが、工程(3)の後に工程(1)で使用した溶媒を減圧蒸留などの方法で除去する工程を行うこともできる。また、工程(3)の後や工程(4)の後で、濾過や遠心分離などによる混合物中の粗大粒子や不純物除去の工程、pH調整剤により混合液のpHを調整する工程、界面活性剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種添加剤を添加する工程を行うこともできる。
次いで、本発明の製造方法で使用する各種材料について説明する。
(ブロック共重合体)
本発明の製造方法に使用するブロック共重合体としては、1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体であればよい。特に、ブロック共重合体の親水性ブロックが少なくともオキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを含むのが好ましく、ブロック共重合体が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されていると、ノニオン性界面活性剤のオキシエチレン基との親和性がより一層向上し、さらに被記録材との親和性も向上するためより好ましい。これらの具体的なブロック共重合体としては、前記インクの項で述べたブロック共重合体が挙げられる。
(溶媒)
本発明の製造方法に使用する溶媒としては、上記ブロック共重合体を溶解することができる溶媒が好ましいが、ブロック共重合体が完全に溶解せずに溶媒中で微分散状態を形成することで沈殿物がなく、静置しても沈降物が発生しなければ使用することができる。中でも、水に対する溶解性を持つ有機溶媒が好ましく、水との混合溶液状態から蒸留などの方法で容易に除去できるアルコール類、エーテル類、ケトン類などの揮発性の高い有機溶媒がより好ましく、環状エーテルがより安定な分散体を作りやすいのでさらに好ましい。環状エーテルとしては、好ましくはジメチルフラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフランおよびジオキサンの群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはテトラヒドロフランであると、顔料分散体の安定性がより良好になるため望ましい。これらの溶媒は単独でも2種以上を混合しても使用することができる。
(顔料)
本発明の製造方法に使用する顔料としては、前記インクの項で述べた顔料が挙げられる。これらの顔料の添加量としては、工程(1)で使用したブロック共重合体に対して、質量比で好ましくは0.5〜10倍の範囲、より好ましくは1〜5倍の範囲にあると、得られる顔料分散体の安定性がより良好になるため望ましい。
(ノニオン性界面活性剤)
本発明の製造方法に使用するノニオン性界面活性剤としては、オキシエチレン基からなる非イオン性の親水基と疎水基を有する化合物で、アニオン性やカチオン性のイオン性基を含有しないものであれば使用できる。このようなものとして好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油またはエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体であると、顔料分散体の安定性がより向上するため好ましい。これらの具体的なノニオン性界面活性剤としては、前記インクの項で述べたノニオン性界面活性剤が挙げられる。
また、上記ブロック共重合体の親水性ブロックがオキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有する場合おいては、ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基のユニット数が、ブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック中のオキシエチレン基のユニット数に対して、好ましくは0.05〜2倍、より好ましくは0.1〜1倍の範囲にあると、インクの吐出安定性や分散安定性の面から望ましく、さらに、ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基の質量含有率が、ブロック共重合体中のオキシエチレン基の質量含有率に対して、好ましくは0.3〜4倍、より好ましくは0.5〜2倍の範囲にあるのとインクの分散安定性と吐出安定性がより向上するため望ましい。これらの値が上記範囲外の場合には、インクの分散安定性や吐出安定性が若干低下することがある。なお、本発明でのブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックおよびノニオン性界面活性剤のオキシエチレン基のユニット数については、ブロック共重合体1分子中の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック部のオキシエチレンのユニット総数とノニオン性界面活性剤1分子中のオキシエチレンのユニット総数であり、オキシエチレン基の質量含有率については、それぞれの化合物1分子中のオキシエチレンの総質量での比率である。これらのノニオン性界面活性剤の添加量としては、工程(1)で使用したブロック共重合体に対して、質量比で好ましくは0.1〜2.0倍の範囲、より好ましくは0.2〜1.0倍の範囲にあると、得られる顔料分散体の安定性がより良好になるため望ましい。
(水溶性有機溶剤)
本発明の製造方法に使用する水溶性有機溶剤としては、前記インクの項で述べた水溶性有機溶剤が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤の添加量としては、インク全質量に対して、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
(中和剤)
本発明の製造方法で好適に使用する中和剤としては、上記ブロック共重合体のアニオン性親水基を中和することが可能なものであり、水に溶解するものであれば使用できる。このような中和剤しては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属類、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、アンモニアなどが挙げられるが、リチウムまたはナトリウムなどのアルカリ金属類を用いると得られる画像の発色性がより向上するため好ましい。
本発明のインクジェット記録方法の特徴は、インクにエネルギーを与えてインクを飛翔させて行うインクジェット記録方法において、上記本発明のインクまたは本発明の製造方法で作製したインクを使用することである。エネルギーとしては、熱エネルギーや力学的エネルギーを用いることができるが、熱エネルギーを用いる場合が好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、被記録材は限定されるものではないが、いわゆるインクジェット専用紙、ハガキや名刺用紙、ラベル用紙、ダンボール用紙、インクジェット用フィルムなど、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が好ましく使用される。コーティング層を持つ被記録材としては、少なくとも親水性ポリマーおよび/または無機多孔質体を含有した少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材が望ましい。
上記本発明のインクを用いて記録を行うインクジェット記録装置としては、A4サイズ紙を主に用いる一般家庭用プリンターや、名刺やカードを印刷対象とするプリンター、あるいは業務用の大型プリンターなどが挙げられるが、好適なインクジェット記録装置の一例を以下に説明する。
(熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
図2は、ヘッドにインク供給チューブ104を介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ100の一例を示す図である。101は供給用インクを収納したインク袋であり、その先端には塩素化ブチルゴム製の栓102が設けられている。この栓102に針103を挿入することにより、インク袋101中のインクを記録ヘッド(303〜306)に供給できる。また、インクカートリッジ内に廃インクを受容するインク吸収体を設けてもよい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になったものも好適に用いられる。
図3は、本実施例に使用したインクジェット記録ヘッドの構造を説明するための模式図である。各ノズル202には、それぞれに対応した発熱体204(ヒータ)が設けられており、記録ヘッド駆動回路からヒータ204に所定の駆動パルスを印加することにより加熱し、気泡を発生させ、その作用で吐出口202からインク液滴を吐出する。なお、ヒータ204はシリコン基板206の上に半導体製造プロセスと同様の手法で形成される。203は各ノズル202を構成するノズル隔壁であり、205は各ノズル202にインクを供給するための共通液室であり、207は天板である。
本実施形態による記録装置の一部透視図を図4に示す。記録装置300の被記録用紙302は例えばロール供給ユニット301から供給され、記録装置300本体に具備された搬送ユニットによって、連続的に搬送される。搬送ユニットは搬送モータ312、搬送ベルト313などから構成される。記録は、被記録材の画像切り出し位置がブラックの記録ヘッド303の下を通過する時に、記録ヘッドからブラックインクを吐出開始、同様に、シアン304、マゼンタ305、イエロー306の順に、各色のインクを選択的に吐出してカラー画像を形成する。
記録装置300はこの他、各記録ヘッドを待機中にキャップするキャップ機構311、各々の記録ヘッド303〜306にインクを供給するためのインクカートリッジ307〜310、インクの供給や回復動作のためのポンプユニット(不図示)、記録装置全体を制御する制御基板(不図示)などによって構成されている。
図5は本実施例に使用したインクジェット記録装置における回復処理系の概略図である。記録ヘッド303〜306が下降したとき、そのインク吐出口形成面がキャップ機構311内の塩素化ブチルゴムにより形成されたキャップ400に近接することにより所定の回復動作の実行が可能である。
回復処理系におけるインク再生回路部は補給されるインクが貯留されポリエチレン袋に収容されるインクカートリッジ100と、吸引ポンプ403などを介して接続されるサブタンク401と、キャップ400とサブタンク401との間を接続する塩化ビニルにより形成されたインク供給路409に配されキャップ機構311からのインクをサブタンク401に回収する吸引ポンプ403、キャップから回収したインク中のゴミなどを除去するフィルター405、インク供給路408を介して接続され記録ヘッド303〜306の共通液室にインクを供給する加圧ポンプ402、記録ヘッドから戻ったインクをサブタンク401に供給するインク供給路407、弁404a〜404dを主要な要素として構成されている。
記録ヘッド303〜306のクリーニング時において回復弁404bを閉鎖し加圧ポンプ402を作動することによりサブタンク401から記録ヘッドにインクを加圧供給し、ノズル406から強制排出させる。これにより記録ヘッドのノズル内の泡、インク、ゴミなどを排出する。吸引ポンプ403は、記録ヘッドからキャップ機構311内に排出されたインクをサブタンク401に回収する。
(力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図6に示す。
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82などを指示固定するための基板84とから構成されている。
図6において、インク流路80は、感光性樹脂などで形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケルなどの金属を電鋳やプレス加工による穴あけなどにより吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタンなどの金属フィルムおよび高弾性樹脂フィルムなどで形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZTなどの誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板82を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中、「部」および「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(ブロック共重合体Aの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックとからなるAB型ジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下、250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、2−フェノキシエチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル13ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、AB型ジブロック共重合体のAブロックを合成した。
分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、Aブロックの重合が完了した後、4−(2−ビニロキシエトキシ)ベンゾイックアシッド(B成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマー6ミリモルを添加することで重合を行った。重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行い、エステル化させたカルボキシル基は水酸化ナトリウム/メタノール溶液で加水分解させてカルボン酸型に変化させた。反応を終えた混合溶液中にジクロロメタンを加え希釈し、0.6Nの塩酸溶液で3回、次いで蒸留水で3回洗浄し、エバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させてブロック共重合体Aを得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.1×104、Mw/Mn=1.2)。
(ブロック共重合体Bの作製)
上記ブロック共重合体Aの2−フェノキシエチルビニルエーテル(A成分)を20ミリモルに、4−(2−ビニロキシエトキシ)ベンゾイックアシッド(B成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマーを5ミリモルに変更した以外は、ブロック共重合体Aの場合と同様にしてブロック共重合体Bを得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.6×104、Mw/Mn=1.2)。
(ブロック共重合体Cの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックとからなるABC型トリブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、n−オクタデシルビニルエーテル30ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABC型トリブロック共重合体のA成分を合成した。
分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、A成分の重合が完了した後、次いで2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシビニルエーテル(B成分)40ミリモルを添加し重合を続行した。同様にGPCで分子量をモニタリングし、B成分の重合が完了した後、6−(2−ビニロキシエトキシ)ヘキサノイックアシッド(C成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマー4ミリモルを添加することで合成を行った。重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行い、エステル化させたカルボキシル基は水酸化ナトリウム/メタノール溶液で加水分解させてカルボン酸型に変化させた。後はブロック共重合体Aと同様にして、ブロック共重合体Cを得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.8×104、Mw/Mn=1.3)。
(ブロック共重合体Dの作製)
上記ブロック共重合体Cのn−オクタデシルビニルエーテル(A成分)を29ミリモルに、2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシビニルエーテル(B成分)を5ミリモルに、6−(2−ビニロキシエトキシ)ヘキサノイックアシッド(C成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマー4ミリモルに変更した以外は、ブロック共重合体Cの場合と同様にしてブロック共重合体Dを得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.2×104、Mw/Mn=1.2)。
(ブロック共重合体Eの作製)
上記ブロック共重合体Cのn−オクタデシルビニルエーテル(A成分)を15ミリモルに、2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシビニルエーテル(B成分)を20ミリモルに、6−(2−ビニロキシエトキシ)ヘキサノイックアシッド(C成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマー15ミリモルに変更した以外は、ブロック共重合体Cの場合と同様にしてブロック共重合体Eを得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.1×104、Mw/Mn=1.3)。
(ブロック共重合体Fの作製)
上記ブロック共重合体Cのn−オクタデシルビニルエーテル(A成分)を20ミリモルに、2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシビニルエーテル(B成分)を20ミリモルに、6−(2−ビニロキシエトキシ)ヘキサノイックアシッド(C成分)のカルボン酸部をエチル基でエステル化したビニルモノマー10ミリモルに変更した以外は、ブロック共重合体Cの場合と同様にしてブロック共重合体Fを得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.9×104、Mw/Mn=1.3)。
得られたブロック共重合体A〜Fについて、それぞれ酸価を測定したところ下記表1のような結果となった。なお、酸価の測定は、JIS−K0070に記載の方法により測定を行った。
Figure 2007063432
[実施例1]
(インク1の作製)
前記ブロック共重合体A1部をメチルエチルケトン99部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー93を40部とノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンドデシルエーテル(オキシエチレンユニット数60)2部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体の未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液157部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてメチルエチルケトンを除去して顔料濃度20%の顔料分散体を得た。この顔料分散体10部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水72部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例2]
(インク2の作製)
前記ブロック共重合体B19部を1,4−ジオキサン81部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液にノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(オキシエチレンユニット数5)5部を添加しよく攪拌した後、市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー128を5部添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体の未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液21部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにて1,4−ジオキサンを除去して顔料濃度10%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例3]
(インク3の作製)
前記ブロック共重合体C10部をテトラヒドロフラン90部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を8部添加しよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル(オキシエチレンユニット数60)1部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体の未中和のアニオン性親水基と当量のリチウムを含有する水酸化リチウム水溶液81部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度8%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例4]
(インク4の作製)
前記ブロック共重合体D20部をテトラヒドロフラン80部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を10部添加しサンドミル分散機でよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体(前記式3の化合物;x1+z1=120、y1=20)2部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体Dの未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液68部をサンドミル分散機で攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度10%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例5]
(インク5の作製)
前記ブロック共重合体C10部をテトラヒドロフラン90部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を8部添加しサンドミル分散機でよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体(前記式3の化合物;x1+z1=20、y1=80)4部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体Cの未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液78部をサンドミル分散機で攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度8%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例6]
(インク6の作製)
前記ブロック共重合体C10部をテトラヒドロフラン90部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を6部添加しサンドミル分散機でよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンヒマシ油(前記式1の化合物;l+m+n+x+y+z=40)0.4部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体の未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液83.6部をサンドミル分散機で攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度6%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、エチレングリコール6部、トリエチレングリコール6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例7]
(インク7の作製)
前記ブロック共重合体D1部をテトラヒドロフラン99部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を6部添加しサンドミル分散機でよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体(前記式3の化合物;x1+z1=60、y1=60)1部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体Dの未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液92部をサンドミル分散機で攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度6%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、エチレングリコール6部、トリエチレングリコール6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例8]
(インク8の作製)
前記ブロック共重合体E6部をテトラヒドロフラン94部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を10部添加しサンドミル分散機でよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体(前記式4の化合物;x2+z2=60、y2=20)1.2部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体Eの未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液82.8部をサンドミル分散機で攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度10%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、エチレングリコール6部、トリエチレングリコール6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例9]
(インク9の作製)
前記ブロック共重合体F4部をテトラヒドロフラン96部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を8部添加しサンドミル分散機でよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(前記式2の化合物;l+m+n+x+y+z=60)4部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体の未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液84部をサンドミル分散機で攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度8%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、エチレングリコール6部、トリエチレングリコール6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[実施例10]
(インク10の作製)
前記ブロック共重合体F2部をテトラヒドロフラン98部に添加し攪拌装置にてブロック共重合体が溶解するまで攪拌し混合溶液を作製した(工程1)。
次いで、得られた混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を6部添加しサンドミル分散機でよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンヒマシ油(前記式1の化合物;l+m+n+x+y+z=60)2部を添加しよく攪拌した(工程2)。
その後、ブロック共重合体の未中和のアニオン性親水基と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液90部をサンドミル分散機で攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した(工程3)。
次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度6%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、エチレングリコール6部、トリエチレングリコール6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た(工程4)。
また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤は検出されず、全て顔料粒子中に含まれている結果となった。
[比較例1]
(インク11の作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー93を40部とノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンドデシルエーテル(オキシエチレンユニット数60)3部をメチルエチルケトン99部に添加し攪拌装置にてよく攪拌した。その後、水157部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した。次いで、ロータリエバポレータにてメチルエチルケトンを除去して顔料濃度20%の顔料分散体を得た。この顔料分散体10部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水72部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
[比較例2]
(インク12の作製)
ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(オキシエチレンユニット数5)5部を1,4−ジオキサン95部に添加しよく攪拌した後、市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー128を5部添加しよく攪拌した。その後、水40部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した。次いで、ロータリエバポレータにて1,4−ジオキサンを除去して顔料濃度10%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
[比較例3]
(インク13の作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー93を4部と分散剤としてのスチレン−メタクリル酸ランダム共重合体(モル比/スチレン:メタクリル酸=2:1、Mn=8,000)6部をメチルエチルケトン94部に添加し攪拌装置にてよく攪拌した。なお、使用した共重合体の酸価を測定したところ190mgKOH/gとなった。酸価の測定は、JIS−K0070に記載の方法により測定を行った。その後、ランダム共重合体の未中和のメタクリル酸と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液90部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した。次いで、ロータリエバポレータにてメチルエチルケトンを除去して顔料濃度4%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンドデシルエーテル(オキシエチレンユニット数60)0.1部およびイオン交換水31.9部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤が検出され、インク溶液中に含まれている結果となった。
[比較例4]
(インク14の作製)
スチレン−メタクリル酸ランダム共重合体(モル比/スチレン:メタクリル酸=2:1、Mn=8,000)6部をメチルエチルケトン94部に添加し攪拌装置にてよく攪拌した。次いで、この混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー93を4部を添加しよく攪拌した後、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンドデシルエーテル(オキシエチレンユニット数60)0.2部を添加してよく攪拌した。なお、使用した共重合体の酸価を測定したところ190mgKOH/gとなった。酸価の測定は、JIS−K0070に記載の方法により測定を行った。その後、ランダム共重合体の未中和のメタクリル酸と当量のナトリウムを含有する水酸化ナトリウム水溶液89.8部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した。次いで、ロータリエバポレータにてメチルエチルケトンを除去して顔料濃度4%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水32部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤が検出され、インク溶液中に含まれている結果となった。
[比較例5]
(インク15の作製)
n−ブチルメタクリレート−メタクリル酸ブロック共重合体(モル比/n−ブチルメタクリレート:メタクリル酸=1/1、Mn=2,500)4部をテトラヒドロフラン96部に添加し攪拌装置にてよく攪拌した。なお、使用した共重合体の酸価を測定したところ246mgKOH/gとなった。酸価の測定は、JIS−K0070に記載の方法により測定を行った。次いで、この混合溶液に市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を8部を添加しよく攪拌した。その後、ブロック共重合体の未中和のメタクリル酸と当量のリチウムを含有する水酸化リチウム水溶液88部を超音波を印加したうえで攪拌しながら少量ずつ混合溶液に添加した。次いで、ロータリエバポレータにてテトラヒドロフランを除去して顔料濃度8%の顔料分散体を得た。この顔料分散体50部、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル(オキシエチレンユニット数60)0.5部、グリセリン6部、ジエチレングリコール6部、トリメチロールプロパン6部およびイオン交換水31.5部を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。また、得られたインクを遠心分離装置で処理して顔料粒子を除去し、顔料粒子除去後の溶液を分析したところ、使用したノニオン性界面活性剤が検出され、インク溶液中に含まれている結果となった。
(評価)
実施例1〜10のインクと比較例1〜5のインクの分散安定性、吐出特性、発色性および耐擦過性についての試験を行った。なお、発色性・耐擦過性および吐出特性については、各インクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置P−660CII(キヤノンファインテック製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字を行い、評価を行った。結果、表2に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて、良好な分散安定性と吐出安定性を示す結果が得られた。また、実施例のインクはいずれも印字画像の発色性と耐擦過性は良好な結果であった。
Figure 2007063432
*1:オキシエチレンユニット比
ブロック共重合体の非イオン性親水基を有するブロックとノニオン性界面活性剤のオキシエチレンのユニット数の比を以下の様に算出した値。なお、実施例1および2ではブロック共重合体に非イオン性親水基を有するブロックが含有されていないため記載なし。
オキシエチレンユニット比=ノニオン性界面活性剤1分子中の平均のオキシエチレン基のユニット総数/ブロック共重合体1分子の非イオン性親水基を有するブロック中の平均のオキシエチレン基のユニット総数
*2:オキシエチレン質量比
ノニオン性界面活性剤とブロック共重合体のオキシエチレン基の質量比を以下の様に算出した値。
オキシエチレン質量比=ノニオン性界面活性剤1分子中のオキシエチレン基の平均の質量含有率/ブロック共重合体1分子中のオキシエチレン基の平均の質量含有率
*3:分散安定性
各インクを100℃で6時間、熱安定性試験を行い、試験前後の粒子径を測定し、下式で粒子径増加率(%)を求め分散安定性の尺度とした。粒子径の測定には動的光散乱法(商品名:レーザー粒径解析システムPARIII;大塚電子(株)社製)を用いた。評価基準は下記の通りとした。
Figure 2007063432
◎:粒子径増加率(%)が5%未満である。
○:粒子径増加率(%)が5%以上10%未満である。
△:粒子径増加率(%)が10%以上30%未満である。
×:粒子径増加率(%)が30%以上である。
*4:間欠吐出性
各インクを60℃で3ヶ月間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において、100%ベタ画像を印字し3分間休止した後、再度100%ベタ画像を印字した画像を下記の評価基準で評価した。
◎:白スジが全く無く、正常に印字されている。
○:印字の最初の部分に僅かに白スジが認められる。
△:画像全体に白スジが認められる。
×:画像が殆ど印字されていない。
*5:連続吐出性
ハガキサイズのグラデーションパターンを1,000枚連続印字し、1,000枚目の画像のヨレ、不吐の吐出特性を下記の基準で評価した。
◎:ヨレ、不吐が無く、正常に印字されている。
○:不吐は発生していないが、一部にヨレが認められる。
△:不吐が一部発生し、画像全体にヨレが認められる。
×:不吐が多く発生し、画像全体にヨレが認められる。
*6:発色性
60℃で3ヶ月間保管した各インクで、画像を印字し、その画像を下記評価基準で評価した。
◎:滲みがなく、彩度が高い。
○:滲みないが、若干彩度が低い。
△:滲みが認められる。
×:滲みが多く、彩度も低い。
*7:耐擦過性
印字から12時間以上放置後、印字面に水道水を噴霧した後その上にキムワイプ(商品名)を載せ、さらにその上に500g/12.56cm2の錘りを載せ、5往復したときの白紙部の汚れやべた画像、文字印字部の擦れ具合を下記評価基準で評価した。
◎:白紙部に全く汚れが無く、べた画像、文字印字部の擦れがない。
○:白紙部に殆ど汚れが無く、べた画像、文字印字部の擦れがない。
△:白紙部にやや汚れがあり、べた画像および文字印字部にやや擦った後がある。
×:白紙部に汚れがあり、べた画像および文字印字部の一部が擦り取られている。
以上説明の通り、本発明によれば、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも長期にわたって安定して記録することのできるインクを提供することができ、さらに堅牢性と品位に優れた画像を記録し得るインクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置を提供することができる。
インクの製造方法のフローチャート図である。 インクカートリッジの構造を説明するための模式図である。 インクジェット記録ヘッドの構造を説明するための模式図である。 インクジェット記録装置の透視図である。 インクジェット記録装置における回復処理系の概略図である。 インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。
符号の説明
100:インクカートリッジ
101:インク袋
102:ゴム栓
103:針
104:チューブ
201:ベースプレート
202:インクノズル(吐出口)
203:隔壁
204ノズルヒータ
205:共通液室
206:基板
207:天板
300:記録装置
301:ロール供給ユニット
302:被記録材(ロール紙)
303:記録ヘッド(ブラック)
304:記録ヘッド(シアン)
305:記録ヘッド(マゼンタ)
306:記録ヘッド(イエロー)
307:インクカートリッジ(ブラック)
308:インクカートリッジ(シアン)
309:インクカートリッジ(マゼンタ)
310:インクカートリッジ(イエロー)
311:キャップ機構
312:搬送モータ
313:搬送ベルト
400:キャップ
401:サブタンク
402:加圧ポンプ
403:吸引ポンプ
404a:供給弁
404b:回復弁
404c:大気開放弁
404d:リサイクル弁
405:フィルター
406:フェース(ノズル)面
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口

Claims (20)

  1. 顔料、顔料を分散させる分散剤、水溶性有機溶剤および水を少なくとも含有するインクジェット記録用インクにおいて、
    分散剤として
    a)1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体と
    b)オキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤と
    を少なくとも含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. ブロック共重合体の親水性ブロックが、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含む請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. ブロック共重合体が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  4. ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基のユニット数が、ブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック中のオキシエチレン基のユニット数に対して、0.05〜2倍である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  5. ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基の質量含有率が、ブロック共重合体中のオキシエチレン基の質量含有率に対して0.3〜4倍の範囲にある請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  6. ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体から選ばれる1種以上である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  7. (1)分散剤としての、1種以上のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと1種以上のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体を、該ブロック共重合体を溶解し得る溶媒に溶解する工程
    (2)工程(1)で得られた溶液と、顔料および分散剤としてのオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤とを混合する工程
    (3)工程(2)で得られた混合液に水を添加する工程
    (4)工程(3)で得られた混合液に水溶性有機溶剤を添加する工程
    の工程を順次行うことを特徴とするインクジェット記録用インクの製造方法。
  8. ブロック共重合体の親水性ブロックが、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含む請求項7に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  9. ブロック共重合体が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、オキシエチレン基からなる非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されている請求項7に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  10. 工程(1)で使用した溶媒を除去する工程を、工程(3)の後に行う請求項7に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  11. 工程(1)で使用するブロック共重合体のアニオン性親水基が未中和である請求項7に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  12. 工程(3)で、ブロック共重合体のアニオン性親水基を中和可能な中和剤を添加する請求項7に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  13. ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基のユニット数が、ブロック共重合体の非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロック中のオキシエチレン基のユニット数に対して、0.05〜2倍の範囲である請求項7に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  14. ノニオン性界面活性剤中のオキシエチレン基の質量含有率が、ブロック共重合体中のオキシエチレン基の質量含有率に対して0.3〜4倍の範囲にある請求項7のインクジェット記録用インクの製造方法。
  15. ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体から選ばれる1種以上である請求項7に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  16. インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、該インクが、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクまたは請求項7〜請求項15のいずれか1項に記載の製造方法で製造したインクであること特徴とするインクジェット記録方法。
  17. エネルギーが、熱エネルギーである請求項16に記載のインクジェット記録方法。
  18. 被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層をもつ被記録材である請求項16に記載のインクジェット記録方法。
  19. インクを収容したインク収容部を備えたインクジェット記録用インクカートリッジにおいて、該インクが、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクまたは請求項7〜請求項15のいずれか1項に記載の製造方法で製造したインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  20. インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、該インクが、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクまたは請求項7〜請求項15のいずれか1項に記載の製造方法で製造したインクであること特徴とするインクジェット記録装置。
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