JP2007321133A - インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水不溶性色材を少なくとも含有するインクにおいて、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(a)と、ポリオキシエチレンラノリン誘導体(b)とを少なくとも含有することを特徴とするインク。
【選択図】なし
Description
また、特許文献3では、トリオールのアルキレンオキシド付加物と特定の有機溶剤を含有するインクが提案されているが、印字画像の発色性にはある程度の効果はあるものの、インクジェット装置に使用する際に必ず発生するノズル先端部でのインク濃縮のように、インク組成が大きく変化する場合においては色材の分散安定性が低下しやすい。そのため、インクジェット装置のノズル周辺部への色材分散体の付着も多いため不吐出や印字ヨレが発生しやすく、依然として吐出安定性は満足できるレベルではない。特にインクジェットノズルのクリーニング回復動作を頻繁に行うことのできないラインヘッドを有するインクジェット装置の場合においては、大きな問題点である。
(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基または−CH2O(CH2CHXO)qH、XはHまたはCH3、r+s+tは6〜30、qは2〜10である。)
本発明者らは、水不溶性色材を少なくとも含有するインクにおいて、下記式1で表される多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(a)と、ポリオキシエチレンラノリン誘導体(b)とを少なくとも含有することで、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも安定して記録することが可能なインクを提供することができることを見出した。
(式中、Rは炭素数4以下のアルキル基または−CH2O(CH2CHXO)qH、XはHまたはCH3、r+s+tは6〜30、qは2〜10である。)
(多価アルコールのアルキレンオキシド付加物)
本発明のインクに使用する多価アルコールのアルキレンオキシド付加物は、下記式1で表される構造を有する化合物である。
式中、Rは炭素数4以下のアルキル基または−CH2O(CH2CHXO)qHであり、XはHまたはCH3である。さらに、r+s+tは6〜30、好ましくは6〜20であり、qは2〜10、好ましくは2〜7である。なお、本発明でのこれらの範囲の値は平均値を示したものである。r+s+tが6未満、またはqが2未満の場合は、式1の化合物とポリオキシエチレンラノリン誘導体との親和性が低下し、インク中での色材分散体の分散安定性が低下しやすくなり、r+s+tが30より大きい、またはqが10より大きい場合は、式1の化合物とポリオキシエチレンラノリン誘導体との親和性の抑制作用が低下し、印字画像の発色性が低下しやすくなる。
本発明のインクに使用するポリオキシエチレンラノリン誘導体は、ラノリンにエチレンオキシドを付加させて得られる化合物である。本発明に係わるラノリンとしては天然抽出物、合成物を問わず、どのようなものでもよい。具体的には、含水ラノリンを精製し、脱水した脱水ラノリンを主に指し、羊毛脂、およびその成分である、コレステリン、ラノステリン、アグノステリンなどと、ラノセリン酸、ラノパルミチン酸、リグノセリン酸などとのエステル類、遊離のコレステリン、遊離のセチル、セリル、およびカルナウバアルコールなどを挙げることができる。本発明に係わるポリオキシエチレンラノリン誘導体とはこれら成分のポリオキシエチレン付加物と、オキシエチレンが付加していないものとの混合物を指す。
本発明のインクに使用する水不溶性色材としては、従来から用いられている物で水に殆ど溶解しない色材であれば使用することができる。具体的には、水に対する溶解度が、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の色材である。このような色材としては、油溶性染料、建染染料、分散染料、顔料などが挙げられ、好ましくは顔料である。
本発明で好ましく使用する高分子分散剤としては、親水性を有するユニットと疎水性を有するユニットとを併有する高分子化合物で、水不溶性色材の分散剤として機能するものであれば使用することができる。中でもアニオン性親水基を有するモノマーとオキシエチレン基を有するモノマーと疎水基を有するモノマーとから構成されている高分子化合物が好ましく使用できる。高分子分散剤がオキシエチレン基を有する場合においては、高分子分散剤と多価アルコールのアルキレンオキシド付加物とポリオキシエチレンラノリン誘導体との親和性が向上するため望ましい。
−(CH2−CH(OR1))− (2)
疎水基を有するブロックとしては、上記の一般式(2)において、R1が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。
本発明のインクジェット用水系インクに使用する水溶性有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒であれば使用することができ、2種以上の水溶性有機溶媒の混合溶媒としても使用できる。
図1は、ヘッドにインク供給チューブ104を介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ100の一例を示す図である。101は供給用インクを収納したインク袋であり、その先端には塩素化ブチルゴム製の栓102が設けられている。この栓102に針103を挿入することにより、インク袋101中のインクが図3に示す記録ヘッド(303〜306)に供給される。また、インクカートリッジ内に廃インクを受容するインク吸収体を設けてもよい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になったものも好適に用いられる。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図5に示す。
また、高分子分散剤の同定には、核磁気共鳴吸収測定装置(H1−NMR、日本電子社製ECA400、溶媒;テトラヒドロフラン−d8を使用)およびGPC(東ソー(株)製HLC8220、カラム;TSK−GEL4000HXL、TSK−GEL3000HXLおよびTSK−GEL2000HXLを使用し、カラムオーブン温度40.0℃)を用いて行った。
撹拌装置と圧力計を設けた容量200mlのオートクレーブ容器に、市販のラノリン(Lanolin;aldrich社製)65部と反応触媒としてのナトリウム−tert−ブトキシドを添加し、末端部のエチレンオキシド成分として、ドライアイスで冷却したエチレンオキシドを以下の表1の添加量に従って投入して密閉し、撹拌装置でよく混合した。次いで、撹拌しながらオートクレーブ容器を135℃に加熱し、オートクレーブ容器の内圧が低下して内圧が安定になるまで加熱を続けた。その後、容器を冷却し反応物に酢酸を添加して中和した後、不純物をろ過と蒸留により除去して、ポリオキシエチレンラノリン誘導体である化合物b1と化合物b2を得た。エチレンオキシドの添加量およびオキシエチレンユニットの数は表1の通りである。得られたポリオキシエチレンラノリン誘導体は、NMRスペクトル法、IRスペクトル法、ガスクロマトフィー法、GPC法による分析でエチレンオキシドの付加数の同定を行った。
(色材分散体Iの作製)
市販のpH2.5の酸性カーボンブラック「Monarch 1300」(キャボット社製)300gを水1,000ミリリットルに良く混合した後に次亜塩素酸ソーダ450gを滴下して、100〜110℃で8時間攪拌した。得られたスラリーを水で10倍に希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整し、伝導度0.2mS/cmまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し、顔料濃度10%のブラックの色材分散体とした。さらに、これを遠心処理した後に、3μmのナイロンフィルターで濾過し、粗大粒子を取り除き、ブラック色材分散体を得た。得られた色材分散体のゼータ電位は−60mVであった。ゼータ電位の測定には、電気泳動光散乱法(商品名:レーザー電位径ELS−6000;大塚電子(株)社製)を用いた。
・色材分散体I 50.0部
・式1の化合物 3.0部
(r+s+t=30、X=H、R=CH2O(CH2CH2O)10H、q=10)
・ポリオキシエチレンラノリン誘導体 5.0部
(オキシエチレンユニット数10)
(商品名:NIKKOL TW-10;NIKKO CHEMICALS(株)社製)
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 27.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Aの作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に行われるまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にtert−オクチルメタクリレート43.3部、2−(2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルメタクリレート171.9部、メタクリル酸18.8部および重合開始剤(和光純薬製ABN−E)0.6部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部およびABN−E0.4部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は40,000であり、高分子分散剤中の平均のオキシエチレンユニット数は450であった。
上記高分子分散剤Aのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3とを2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、このシートを容器に移して、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを加えて攪拌して、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度10%の色材分散体IIを得た。
・色材分散体II 10.0部
・式1の化合物 0.5部
(r+s+t=20、X=H、R=CH2O(CH2CH2O)7H、q=7)
・前記化合物b2(オキシエチレンユニット数100) 0.1部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 74.4部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Bの作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300.0部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に行われるまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にオクタデシルアクリレート55.7部、2−ヒドロキシエトキシエチルアクリレート10.0部、アクリル酸4.1部および重合開始剤(和光純薬製ABN−E)0.6部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。さらに30分エージングした後、メチルエチルケトン100部およびABN−E0.4部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は12,000であり、高分子分散剤中の平均のオキシエチレンユニット数は20であった。
上記高分子分散剤Bのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3とを2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、このシートを容器に移して所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを加えて攪拌して、顔料濃度16%、高分子分散剤濃度2%の色材分散体IIIを得た。
・色材分散体III 25.0部
・式1の化合物(r+s+t=10、X=H、R=C2H5) 10.0部
・ポリオキシエチレンラノリン誘導体 2.0部
(オキシエチレンユニット数10)
(商品名:NIKKOL BWA-10;NIKKO CHEMICALS(株)社製)
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 48.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Cの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックとからなるAB型ジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下、250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、n−オクタデシルビニルエーテル11ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、AB型ジブロック共重合体のAブロックを合成した。
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3の12.0部とテトラヒドロフラン90.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部と上記高分子分散剤Cの10.0部とを溶解した溶液中に添加し混合した後、水78.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度10%の色材分散体IVを得た。
・色材分散体IV 25.0部
・式1の化合物(r+s+t=9、X=H、R=C2H5) 10.0部
・前記化合物b2(オキシエチレンユニット数100) 0.2部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 49.8部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Dの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックとからなるABC型トリブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、2−フェノキシエチルビニルエーテル6.5ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABC型トリブロック共重合体のA成分を合成した。
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3の12.0部とテトラヒドロフラン90.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に上記高分子分散剤Dの10.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのリチウムを当量含有する水酸化リチウム水溶液78.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度10%の色材分散体Vを得た。
・色材分散体V 25.0部
・式1の化合物(r+s+t=6、X=CH3、R=C2H5) 8.0部
・ポリオキシエチレンラノリン誘導体 1.0部
(オキシエチレンユニット数20)
(商品名:NIKKOL TW-20;NIKKO CHEMICALS(株)社製)
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 51.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(色材分散体VIの作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3の12.0部とテトラヒドロフラン90.0部とを混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に実施例5の高分子分散剤Dの4.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのナトリウムを当量含有する水酸化ナトリウム水溶液84.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度4%の色材分散体VIを得た。
・色材分散体VI 25.0部
・式1の化合物(r+s+t=6、X=H、R=C2H5) 6.0部
・ポリオキシエチレンラノリン誘導体 0.75部
(オキシエチレンユニット数40)
(商品名:NIKKOL BWA-40;NIKKO CHEMICALS(株)社製)
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 53.25部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(色材分散体VIIの作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3の12.0部とテトラヒドロフラン90.0部とを容器内にて混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に実施例5の高分子分散剤Dの16.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのナトリウムを当量含有する水酸化ナトリウム水溶液72.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度16%の色材分散体VIIを得た。
・色材分散体VII 25.0部
・式1の化合物(r+s+t=6、X=H、R=C2H5) 6.0部
・前記化合物b1(オキシエチレンユニット数60) 0.5部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 53.5部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(インク8の作製)
・色材分散体I 50.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 35.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
(インク9の作製)
・色材分散体II 10.0部
・ポリオキシエチレンラノリン誘導体 1.0部
(オキシエチレンユニット数10)
(商品名:NIKKOL TW-10;NIKKO CHEMICALS(株)社製)
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 74.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
(インク10の作製)
・色材分散体II 10.0部
・式1の化合物(r+s+t=9、X=H、R=C2H5) 3.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イオン交換水 72.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
実施例1〜7のインクと比較例1〜3のインクの分散安定性、固着性、連続吐出性、印字品位および耐擦過性についての試験を行った。なお、固着性、連続吐出性、印字品位および耐擦過性については、各インクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置P−660CII(キヤノンファインテック製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)、普通紙PB紙(キヤノン製)に印字を行い、評価を行った。結果、表2に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて、良好な分散安定性と吐出安定性を示す結果が得られた。また、実施例のインクはいずれも印字画像の品位と耐擦過性は良好な結果であった。
多価アルコールのアルキレンオキシド付加物のオキシエチレンユニット数と、ポリオキシエチレンラノリン誘導体のオキシエチレンユニット数の比を以下のように算出した値。
オキシエチレン基比=多価アルコールのアルキレンオキシド付加物のオキシエチレンユニット数/ポリオキシエチレンラノリン誘導体のオキシエチレンユニット数
各インクを100℃で4時間加熱し、加熱後のインクの熱安定性試験を行った。加熱試験前後の粒子径を測定し、下記式で粒子径増加率(%)を求め分散安定性の尺度とした。粒子径の測定には動的光散乱法(商品名:レーザー粒径解析システムPARIII;大塚電子(株)社製)を用いた。評価基準は下記の通りとした。
◎:粒子径増加率(%)が5%未満である。
○:粒子径増加率(%)が5%以上10%未満である。
△:粒子径増加率(%)が10%以上30%未満である。
×:粒子径増加率(%)が30%以上である。
各インクを充填したヘッドを、15℃で湿度が10%の環境下において1週間放置した後、再度印字しようとした際の回復性について評価した。
◎:吸引動作1回以内で全吐した。
○:吸引動作2回以内で全吐した。
△:吸引動作4回以内で全吐した。
×:吸引動作4回以内で全吐しなかった。
ハガキサイズの光沢紙にグラデーションパターンを連続2,000枚印字し、2,000枚目の画像のヨレ、線の太さに関して目視にて下記の基準で評価した。
◎:線の太さに変化がなく、ヨレもなく、正常に印字されている。
○:実用上問題ないレベルで多少線の細りがあり、一部にヨレが見られる。
△:線の細りがあり、画像全体にヨレが見られる。
×:線の細りが多くあり、画像全体にヨレが見られる。
普通紙に文字を印字させ、そのエッジのシャープさを目視にて下記評価基準で評価した。
◎:白地部への色材の滲み(フェザリング)がない。
○:フェザリングがないが、若干彩度が低い。
△:フェザリングがみられる。
×:フェザリングがあり、彩度も低い。
普通紙に画像を印字させ、印字から12時間以上放置後、印字面に水道水を噴霧した後その上にキムワイプ(登録商標)を載せ、さらにその上に500g/12.56cm2の錘りを載せ、5往復したときの白紙部の汚れやべた画像、文字印字部の擦れ具合を下記評価基準で評価した。
◎:白紙部に全く汚れが無く、べた画像、文字印字部の擦れがない。
○:白紙部に殆ど汚れが無く、べた画像、文字印字部の擦れがない。
△:白紙部にやや汚れがあり、べた画像および文字印字部にやや擦った後がある。
×:白紙部に汚れがあり、べた画像および文字印字部の一部が擦り取られている。
101:インク袋
102:ゴム栓
103:針
104:チューブ
201:ベースプレート
202:インクノズル(吐出口)
203:隔壁
204:ノズルヒータ
205:共通液室
206:基板
207:天板
300:記録装置
301:ロール供給ユニット
302:被記録媒体(ロール紙)
303:記録ヘッド(ブラック)
304:記録ヘッド(シアン)
305:記録ヘッド(マゼンタ)
306:記録ヘッド(イエロー)
307:インクカートリッジ(ブラック)
308:インクカートリッジ(シアン)
309:インクカートリッジ(マゼンタ)
310:インクカートリッジ(イエロー)
311:キャップ機構
312:搬送モータ
313:搬送ベルト
400:キャップ
401:サブタンク
402:加圧ポンプ
403:吸引ポンプ
404a:供給弁
404b:回復弁
404c:大気開放弁
404d:リサイクル弁
405:フィルター
406:フェース(ノズル)面
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
Claims (12)
- 多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(a)が、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物(r+s+t=6〜30)、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド付加物(r+s+t=6〜30)およびペンタエリスリトールのエチレンオキシド付加物(q+r+s+t=8〜40)の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 水不溶性色材が顔料であり、該顔料が高分子分散剤により分散されている請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤が、少なくともアニオン性親水基を有するモノマーとオキシエチレン基を有するモノマーと疎水基を有するモノマーとから構成されている高分子化合物である請求項3に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤が、少なくとも1種のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと少なくとも1種のビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体である請求項3に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤の親水性ブロックが、非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含む請求項5に記載のインクジェット記録用インク。
- 高分子分散剤が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロックと非イオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロックとアニオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されている請求項5に記載のインクジェット記録用インク。
- インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、該インクが、請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- エネルギーが、熱エネルギーである請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層を持つ被記録材である請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部とを備えたインクジェット記録装置において、該インクが請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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