JP4808418B2 - インクジェット用水系インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
また、上記本発明においては、補助成分として、更にポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含有するのが好ましい。
本発明者らは、水不溶性色材、水溶性有機溶媒、補助成分、および水を主に含有するインクにおいて、該補助成分として、ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくともインク中に含有させることで、高い堅牢性を有し品位に優れた画像をどのような場合でも安定して記録することが可能なインクを提供することができることを見出した。
(ポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)
本発明のインクに使用するポリオキシエチレンヒマシ油およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、ヒマシ油またはヒマシ油を水素添加した硬化ヒマシ油にエチレンオキシドを縮合させて得られる化合物である。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油としては下記式1で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては下記式2で表される構造を有する化合物が望ましい。
本発明のインクに使用する水不溶性色材としては、水にほとんど溶解しない色材であれば使用することができる。具体的には、水に対する溶解度が、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の色材である。このような色材としては、油溶性染料、建染染料、分散染料、顔料などが挙げられ、好ましくは顔料が挙げられる。
以下に、水不溶性色材の例を示すが、これらに限定されるものではない。
C.I.ソルベントイエロー1、2、3、13、14、19、21、22、29、36、37、38、39、40、42、43、44、45、47、62、63、71、76、79、81、82、83:1、85、86、88、151;C.I.ソルベントレッド8、27、35、36、37、38、39、40、49、58、60、65、69、81、83:1、86、89、91、92、97、99、100、109、118、119、122、127、218;C.I.ソルベントブルー14、24、25、26、34、37、38、39、42、43、44、45、48、52、53、55、59、67,70;C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45など。
C.I.バットイエロー2、4、10、20、33;C.I.バットオレンジ1、2、3、5、7、9、13、15;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、16、61;C.I.バットブルー1、3、4、5、6、8、12、14、18、19、20、29、35、41;C.I.バットブラック1、8、9、13、14、20、25、27、29、36、56、57、59、60など。
C.I.ディスパーズイエロー5、42、83、93、99、198、224;C.I.ディスパーズオレンジ29、49、73;C.I.ディスパーズレッド92、126、145、152、159、177、181、206、283;C.I.ディスパーズブルー60、87、128、154、201、214、224、257、287、368など。
Raven 760 Ultra、Raven 1060 Ultra、Raven 1080、Raven 1100 Ultra、Raven 1170、Raven 1200、Raven 1250、Raven 1255、Raven 1500、Raven 2000、Raven 2500 Ultra、Raven 3500、Raven 5250、Raven 5750、Raven 7000、Raven 5000 ULTRAII、Raven 1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Special Black 550、Printex 35、Printex 45、Printex 55、Printex 85、Printex 95、Printex U、Printex 140U、Printex V、Printex 140V(以上、デグッサ社製);No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220(以上、三菱化学社製);
本発明で好ましく使用する高分子分散剤としては、親水性を有するユニットと疎水性を有するユニットを併有する高分子化合物で水不溶性色材の分散剤として機能するものであれば使用することができる。中でもアニオン性親水基を有するモノマーとオキシエチレン基を有するモノマーと疎水基を有するモノマーとから構成されている高分子化合物が好ましく使用できる。高分子分散剤がオキシエチレン基を有する場合においては、上記ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油中のオキシエチレンのユニット数(A)が、この高分子分散剤中のオキシエチレンのユニット数(B)に対して、A/B=0.1〜5の範囲、好ましくは0.2〜2の範囲にあると、高分子分散剤とポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油との親和性が向上するため望ましい。上記ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油中のオキシエチレンのユニット数が、この高分子分散剤中のオキシエチレンのユニット数に対して、0.1未満では分散安定性が低下しやすくなるので好ましくなく、5を超えると印字画像の劣化が発生する場合があるので好ましくない。なお、本発明でのポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および高分子分散剤中のオキシエチレンのユニット数については、それぞれの化合物中の1分子中のオキシエチレンのユニット数である。
−(CH2−CH(OR1))− (a)
疎水基を有するブロックとしては、上記の一般式(a)において、R1が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。
本発明のインクに使用する水溶性有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒であれば使用することができ、2種以上の水溶性有機溶媒の混合溶媒としても使用できる。
図1は、ヘッドにインク供給チューブ104を介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ100の一例を示す図である。101は供給用インクを収納したインク袋であり、その先端には塩素化ブチルゴム製の栓102が設けられている。この栓102に針103を挿入することにより、インク袋101中のインクが図3に示す記録ヘッド(303〜306)に供給される。また、インクカートリッジ内に廃インクを受容するインク吸収体を設けてもよい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になったものも好適に用いられる。
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図5に示す。
(色材分散体Iの作製)
市販のpH2.5の酸性カーボンブラック「Monarch 1300」(キャボット社製)300gを水1,000ミリリットルに良く混合した後に次亜塩素酸ソーダ450gを滴下して、100〜110℃で8時間攪拌した。得られたスラリーを水で10倍に希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整し、伝導度0.2mS/cmまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し、顔料濃度10%のブラックの色材分散体とした。更に、これを遠心処理した後に、3ミクロンのナイロンフィルターで濾過し、粗大粒子を取り除き、ブラック色材分散体を得た。得られた色材分散体のゼータ電位は−60mVであった。ゼータ電位の測定には、電気泳動光散乱法(商品名:レーザー電位径ELS−6000;大塚電子(株)社製)を用いた。
・色材分散体I 50.0部
・式1のポリオキシエチレンヒマシ油(オキシエチレンユニット数10)
5.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・イオン交換水 27.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Aの作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に行われるまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にtert−オクチルメタクリレート20部、トリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート180部、メタクリル酸40部および重合開始剤(和光純薬製ABN−E)4部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。更に30分エージングした後、メチルエチルケトン100部およびABN−E2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は15,000であり、高分子分散剤中の平均のオキシエチレンユニット数(B)は100であった。
上記高分子分散剤Aのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3とを2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、このシートを容器に移して、所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを加えて攪拌して、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度10%の色材分散体IIを得た。
・色材分散体II 10.0部
・式1のポリオキシエチレンヒマシ油(オキシエチレンユニット数10)
0.1部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・イオン交換水 71.9部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Bの作製)
還流管、滴下ロート、温度計および攪拌装置を備えたガラス製4つ口フラスコに、メチルエチルケトン300部を仕込み、攪拌しながら、還流管からリフラックスが定常的に行われるまで加熱した。この時の内温は84℃であった。この溶液にオクタデシルメタクリレート34部、ジエチレングリコールメチルエーテルアクリレート17部、メタクリル酸40部および重合開始剤(和光純薬製ABN−E)4部の混合溶液を180分かけて等速で滴下した。更に30分エージングした後、メチルエチルケトン100部およびABN−E2部の混合溶液を120分かけて等速で滴下した。滴下終了後60分間内温を維持した後に冷却し、メチルエチルケトン100部を添加して高分子分散剤を作製した。なお、得られた高分子分散剤の重量平均分子量は12,000であり、高分子分散剤中の平均のオキシエチレンユニット数は20であった。
上記高分子分散剤Bのメチルエチルケトン溶液と市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3とを2軸スクリューを有する混練機に仕込み、均一になるまで混練した後、内温を80℃に維持しながら減圧して溶媒を留去した。この混練物を2本ロールを用いてシート化し、このシートを容器に移して所定量のイオン交換水と中和剤として水酸化ナトリウムを加えて攪拌して、顔料濃度16%、高分子分散剤濃度2%の色材分散体IIIを得た。
・色材分散体III 25.0部
・式2のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(オキシエチレンユニット数100) 1.1部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・イオン交換水 55.9部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Cの作製)
疎水性ブロックと親水性ブロックからなるAB型ジブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下、250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、イソブチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、AB型ジブロック共重合体のAブロックを合成した。
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を12.0部とテトラヒドロフラン90.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部と上記高分子分散剤Cの10.0部とを溶解した溶液中に添加し混合した後、水78.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度10%の色材分散体IVを得た。
・色材分散体IV 25.0部
・式2のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(オキシエチレンユニット数60)
2.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・ポリエチレングリコール(オキシエチレンユニット数10) 1.0部
・イオン交換水 54.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Dの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックからなるABC型トリブロック共重合体の合成:
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、n−オクタデシルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、およびトルエン11cm3を加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、ABC型トリブロック共重合体のA成分を合成した。
市販の顔料であるC.I.ピグメントレッド122を12.0部とテトラヒドロフラン90.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に上記高分子分散剤Dの8.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのナトリウムを当量含有する水酸化ナトリウム水溶液80.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度8%の色材分散体Vを得た。
・色材分散体V 25.0部
・式2のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(オキシエチレンユニット数20) 0.25部
・グリセリン 8.0部
・エチレングリコール 8.0部
・トリエチレングリコール 6.5部
・ポリプロピレングリコール(オキシプロピレンユニット数35)5.0部
・イオン交換水 47.25部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Eの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックからなるABC型トリブロック共重合体の合成:
実施例5で使用したB成分としての2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテルの添加量を8ミリモルに変える以外は実施例5と同様にして、ABC型トリブロック共重合体(高分子分散剤E)を得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.3×104、Mw/Mn=1.1)。なお、高分子分散剤中の平均のオキシエチレンユニット数は30であった。
市販の顔料であるC.I.ピグメントイエロー93を10.0部とテトラヒドロフラン90.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に上記高分子分散剤Eの10.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのリチウムを当量含有する水酸化リチウム水溶液80.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度10%、高分子分散剤濃度10%の色材分散体VIを得た。
・色材分散体VI 40.0部
・式1のポリオキシエチレンヒマシ油(オキシエチレンユニット数60)
2.0部
・グリセリン 8.0部
・エチレングリコール 8.0部
・トリエチレングリコール 6.5部
・ポリプロピレングリコール(オキシプロピレンユニット数16)4.0部
・イオン交換水 31.5部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Fの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックからなるABC型トリブロック共重合体の合成:
実施例5で使用したB成分としての2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテルの添加量を35ミリモルに変える以外は実施例5と同様にして、ABC型トリブロック共重合体(高分子分散剤F)を得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.8×104、Mw/Mn=1.3)。なお、高分子分散剤中の平均のオキシエチレンユニット数は140であった。
市販の顔料であるカーボンブラック(三菱化学製 MA100)を16.0部とテトラヒドロフラン90.0部とを混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に上記高分子分散剤Fの4.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのリチウムを当量含有する水酸化リチウム水溶液80.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度16%、高分子分散剤濃度4%の色材分散体VIIを得た。
・色材分散体VII 25.0部
・式1のポリオキシエチレンヒマシ油(オキシエチレンユニット数40)
1.0部
・グリセリン 6.0部
・トリエチレングリコール 6.0部
・トリメチロールプロパン 6.0部
・ポリプロピレングリコール(オキシプロピレンユニット数33)4.0部
・イオン交換水 52.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(高分子分散剤Gの作製)
疎水性ブロックと2つの親水性ブロックからなるABC型トリブロック共重合体の合成:
実施例5で使用したB成分としての2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテルの添加量を5ミリモルに変える以外は実施例5と同様にして、ABC型トリブロック共重合体(高分子分散剤G)を得た。化合物の同定には、NMRおよびGPCを用いて行った(Mn=3.1×104、Mw/Mn=1.1)。なお、高分子分散剤中の平均のオキシエチレンユニット数は20であった。
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を12.0部とテトラヒドロフラン90.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に上記高分子分散剤Gの10.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのリチウムを当量含有する水酸化リチウム水溶液78.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度10%の色材分散体VIIIを得た。
・色材分散体VIII 25.0部
・式2のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(オキシエチレンユニット数20) 0.35部
・グリセリン 6.0部
・トリエチレングリコール 6.0部
・トリメチロールプロパン 6.0部
・ポリエチレングリコール(オキシエチレンユニット数33) 3.0部
・イオン交換水 53.65部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(色材分散体IXの作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を12.0部とテトラヒドロフラン90.0部を混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に実施例8の高分子分散剤Gの4.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのナトリウムを当量含有する水酸化ナトリウム水溶液84.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度4%の色材分散体IXを得た。
・色材分散体IX 25.0部
・式2のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(オキシエチレンユニット数20) 0.5部
・グリセリン 6.0部
・トリエチレングリコール 6.0部
・トリメチロールプロパン 6.0部
・ポリエチレングリコール(オキシエチレンユニット数21) 1.0部
・イオン交換水 55.5部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(色材分散体Xの作製)
市販の顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を12.0部とテトラヒドロフラン90.0部とを容器内にて混合し、40℃に加温して均一に溶解するようによく攪拌した。この混合溶液を、テトラヒドロフラン90.0部に実施例8の高分子分散剤Gの16.0部を溶解した溶液中に添加し混合した後、高分子分散剤のアニオン性親水基の中和剤としてのナトリウムを当量含有する水酸化ナトリウム水溶液72.0部を添加した。その後、ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを除去し、顔料濃度12%、高分子分散剤濃度16%の色材分散体Xを得た。
・色材分散体X 25.0部
・式1のポリオキシエチレンヒマシ油(オキシエチレンユニット数40)
0.25部
・式2のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(オキシエチレンユニット数40) 0.25部
・グリセリン 6.0部
・トリエチレングリコール 6.0部
・トリメチロールプロパン 6.0部
・ポリエチレングリコール(オキシエチレンユニット数10) 5.0部
・イオン交換水 51.5部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、目的のインクを得た。
(インク11の作製)
・色材分散体I 50.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・イオン交換水 32.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
(インク12の作製)
・色材分散体II 10.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・イオン交換水 72.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
(インク13の作製)
・色材分散体II 10.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・ポリエチレングリコール(オキシエチレンユニット数10) 1.0部
・イオン交換水 71.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
(インク14の作製)
・色材分散体I 50.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート
(オキシエチレンユニット数20) 5.0部
・イオン交換水 27.0部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
(インク15の作製)
・色材分散体II 10.0部
・グリセリン 5.0部
・ジエチレングリコール 10.0部
・イソプロピルアルコール 3.0部
・ポリオキシエチレンドデシルエーテル(オキシエチレンユニット数10)
0.1部
・イオン交換水 71.9部
以上の成分を混合し充分攪拌した後、孔径3μmのミクロフィルターでろ過して、インクを得た。
参考例1、実施例2〜10、及び比較例1〜5のインクの分散安定性、吐出特性、発色性、耐擦過性についての試験を行った。なお、発色性・耐擦過性および吐出特性については、各インクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置P−660CII(キヤノンファインテック製)にそれぞれ搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字を行い、評価を行った。結果、表1に記載したように、いずれの実施例のインクも比較例のインクに比べて、良好な分散安定性と吐出安定性を示す結果が得られた。また、実施例のインクはいずれも印字画像の発色性と耐擦過性は良好な結果であった。
ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と高分子分散剤のオキシエチレン基の比を以下のように算出した値。
オキシエチレン基比=ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油中のオキシエチレンのユニット数/高分子分散剤中のオキシエチレンのユニット数
各インクを100℃で4時間加熱し、加熱後のインクの熱安定性試験を行った。加熱試験前後の粒子径を測定し、下式で粒子径増加率(%)を求め分散安定性の尺度とした。粒子径の測定には動的光散乱法(商品名:レーザー粒径解析システムPARIII;大塚電子(株)社製)を用いた。評価基準は下記の通りとした。
◎:粒子径増加率(%)が5%未満である。
○:粒子径増加率(%)が5%以上10%未満である。
△:粒子径増加率(%)が10%以上30%未満である。
×:粒子径増加率(%)が30%以上である。
各インクを60℃で2ヶ月間保管した後、15℃で湿度が10%の環境下において、100%ベタ画像を印字し3分間休止した後、再度100%ベタ画像を印字した画像について下記の評価基準で評価した。
◎:白スジが全く無く、正常に印字されている。
○:印字の最初の部分に僅かに白スジがみられる。
△:画像全体に白スジがみられる。
×:画像がほとんど印字されていない。
ハガキサイズのグラデーションパターンを1,000枚連続印字し、1,000枚目の画像のヨレ、不吐出の有無を下記の基準で評価した。
◎:ヨレ、不吐出が無く、正常に印字されている。
○:不吐出は発生していないが、一部にヨレが見られる。
△:不吐出が一部発生し、画像全体にヨレが見られる。
×:不吐出が多く発生し、画像全体にヨレが見られる。
60℃で2ヶ月間保管した各インクで、画像を印字し、その画像を下記評価基準で評価した。
◎:滲みがなく、彩度が高い。
○:滲みはないが、若干彩度が低い。
△:滲みがみられる。
×:滲みが多く、彩度も低い。
印字から12時間以上放置後、印字面に水道水を噴霧した後、その上にキムワイプを載せ、更にその上に500g/12.56cm2の錘りを載せ、5往復したときの白紙部の汚れやべた画像、文字印字部の擦れ具合を下記評価基準で評価した。
◎:白紙部に全く汚れが無く、べた画像、文字印字部の擦れがない。
○:白紙部にほとんど汚れが無く、べた画像、文字印字部の擦れがない。
△:白紙部にやや汚れがあり、べた画像および文字印字部にやや擦った後がある。
×:白紙部に汚れがあり、べた画像および文字印字部の一部が擦り取られている。
101:インク袋
102:ゴム栓
103:針
104:チューブ
201:ベースプレート
202:インクノズル(吐出口)
203:隔壁
204:ノズルヒータ
205:共通液室
206:基板
207:天板
300:記録装置
301:ロール供給ユニット
302:被記録材(ロール紙)
303:記録ヘッド(ブラック)
304:記録ヘッド(シアン)
305:記録ヘッド(マゼンタ)
306:記録ヘッド(イエロー)
307:インクカートリッジ(ブラック)
308:インクカートリッジ(シアン)
309:インクカートリッジ(マゼンタ)
310:インクカートリッジ(イエロー)
311:キャップ機構
312:搬送モータ
313:搬送ベルト
400:キャップ
401:サブタンク
402:加圧ポンプ
403:吸引ポンプ
404a:供給弁
404b:回復弁
404c:大気開放弁
404d:リサイクル弁
405:フィルター
406:フェース(ノズル)面
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
Claims (11)
- 顔料、前記顔料を分散させるための高分子分散剤、水溶性有機溶媒、補助成分、および水を主に含有するインクジェット用水系インクにおいて、
該補助成分として、ポリオキシエチレンヒマシ油またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも含有し、
前記高分子分散剤が、(i)少なくともアニオン性親水基を有するモノマーと、オキシエチレン基を有するモノマーと、疎水基を有するモノマーとから構成されている高分子化合物、または(ii)少なくとも1種のビニルエーテル類から構成された疎水性ブロックと、オキシエチレン基を有するビニルエーテル類から構成された親水性ブロックとからなるブロック共重合体であり、
前記ポリオキシエチレンヒマシ油または前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のオキシエチレンのユニット数(A)/前記高分子分散剤のオキシエチレンのユニット数(B)が、A/B=0.1〜5の範囲であることを特徴とするインクジェット用水系インク。 - 前記ポリオキシエチレンヒマシ油または前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のオキシエチレンのユニット数(A)/前記高分子分散剤のオキシエチレンのユニット数(B)が、A/B=0.2〜2の範囲である請求項1に記載のインクジェット用水系インク。
- 前記(i)高分子化合物が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸エステル、及びフマル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種類の疎水性モノマーと、オキシエチレン基を有する非イオン性の親水性モノマーと、酸性基を有するモノマーと、を重合して得られる高分子化合物である請求項1に記載のインクジェット用水系インク。
- 前記補助成分として、更にポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用水系インク。
- 前記(ii)ブロック共重合体の親水性ブロックが、非イオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックと、アニオン性親水基を有するビニルエーテル類から構成されているブロックとを少なくとも含む請求項1又は2に記載のインクジェット用水系インク。
- 前記(ii)ブロック共重合体が、疎水性のビニルエーテル類で構成されたブロック、非イオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロック、およびアニオン性親水基を有する親水性のビニルエーテル類から構成されたブロックの順番で少なくとも構成されている請求項1、2、又は5に記載のインクジェット用水系インク。
- インクにエネルギーを与えて、該インクを飛翔させて被記録材に付与して行うインクジェット記録方法において、
該インクが、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用水系インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記エネルギーが、熱エネルギーである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 前記被記録材が、少なくとも一方の面にインクを受容するコーティング層をもつ被記録材である請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、
該インクが請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用水系インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、該インクを吐出させるためのヘッド部を備えたインクジェット記録装置において、
該インクが請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用水系インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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