JPH0834942A - インク、これを用いたインクジェット記録方法及びかかるインクを備えた記録機器 - Google Patents

インク、これを用いたインクジェット記録方法及びかかるインクを備えた記録機器

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JPH0834942A
JPH0834942A JP6191348A JP19134894A JPH0834942A JP H0834942 A JPH0834942 A JP H0834942A JP 6191348 A JP6191348 A JP 6191348A JP 19134894 A JP19134894 A JP 19134894A JP H0834942 A JPH0834942 A JP H0834942A
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ink
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alkyl group
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JP6191348A
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Shinichi Sato
真一 佐藤
Yoshihisa Takizawa
吉久 滝沢
Eriko Saitou
絵里子 斉藤
Mayumi Yamamoto
真由美 山本
Hisashi Teraoka
恒 寺岡
Satoshi Nagashima
聡 永嶋
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カラーインクを用いた普通紙記録において、
高OD画像が得られ、定着性が良好であり、しかもブリ
ーディングを低減した新規なインクを提供すること。 【構成】 少なくともカルボキシル基を持つ染料及びこ
れを溶解する液媒体及び高分子物質を含むインクにおい
て、25°における表面張力及び粘度が夫々20×10
-5N/cm〜40×10-5N/cm及び0.7×10-3
Pa・s〜12×10-3Pa・sであり、且つ25°に
おいて被記録材に対する前進接触角が60°〜180°
の範囲にあることを特徴とするインク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフイスや学校で一般
的に使用されている上質紙、中質紙、ボンド紙等の非塗
工紙、所謂普通紙に記録したときに、とりわけ記録画像
の濃度が高く、定着性が良好でカラーインクの混色滲み
の発生を低減した高画質の画像が得られると共に、耐水
性にも優れた新規なインク、これを用いたインクジェッ
ト記録方法及びかかるインクを備えた記録機器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】普通紙対応型インクジェット記録に用い
るインクとして必要な性能は、主に定着性、濃度(O
D)、印字品位等の印字性能、固着特性等の信頼性及び
吐出安定性、吐出速度、周波数応答性、初期吐出特性等
の吐出性能等と共に、初期特性、及び、画像の耐水性等
の画像堅牢性等が挙げられる。これらの特性はお互いに
相反する性質を有する為に、全ての性能を同時に満足ず
るインクを得ることは難しい。
【0003】近年、複数のカラーインクを用いて普通紙
にカラー記録を行うインクジェット記録装置の開発が行
われている。しかしながら、複数のカラーインクを用い
て普通紙に記録を行うと、得られる画像のODが低く、
又、紙上で隣接するインクドットの境界部での色滲み
(ブリ−ディング)が顕著であると云う問題を生じる。
【0004】特開昭62−30169号公報には、定着
性を向上させる方法として、低級アルキレングリコール
モノアルキルエーテルを含むインクが開示されており、
特開昭55−80477号公報には、カルボキシメチル
セルロースを用いて紙表面の横方向への滲みを抑えるこ
とが開示されている。
【0005】これらの方法では、定着性や印字品位には
大きな問題はないが、いずれもインクと紙との親和性を
高めることでインクの滲透力を向上させ、不規則な滲透
をなくそうとしている。その為に、インクが紙の表面だ
けでなく深さ方向にも深く滲透してしまい、ODが低く
なると云う欠点を有していた。
【0006】又、特開昭55−42858号公報には、
特定の表面張力を有する界面活性剤を用いて別の色を重
ね刷りする際に生じる滲み及びぼけを低減させることが
開示されている。しかしながら、斯かる界面活性剤を用
いたインクでは、印字後、インクが紙中深く滲透する為
に低ODとなる。
【0007】更に特開平4−170478号公報には、
普通紙上でインクの不規則な滲透をなくす為に、初期接
触角が大きく、しかも表面張力が大きいインクを提案し
ている。しかしながら、このインクを用いて高ODの画
像を得ようとすると、インクの付与量を多くしなければ
ならず、その結果インクの定着性及び耐ブリーディング
性が悪化する。
【0008】次に画像堅牢性の点では近年では普通紙に
記録した場合の耐水性が求められており、これに対し
て、インクの組成及び物性等の多様な面から詳細な研究
開発がなされている。例えば、特開平2−296878
号公報及び特開平2−255876号公報には、水性イ
ンク組成物にポリアミンを含有させることが提案されて
いる。しかしながら、この様なインクにおいては、染料
の親水性基部を造塩させる為に、インクの溶解性が低下
し目詰りの様な信頼性の低下や、印字物上でブロンズ
(染料の会合)を起こす為に印字にむらが出来たり、濃
度が出ない場合がある。又、インクの溶解性を上げる目
的で溶解安定剤をインク中に多量に含有させることも考
えられるが、この場合溶解安定剤を多量に使用しなけれ
ばならず、斯かるインクを使用して形成された記録物の
画像品位は低下する。
【0009】又、特開平3−91577号公報には、染
料がカルボキシル基を有し、更にアンモニウム塩或は揮
発性の置換アンモニウム塩を有することによって、記録
物上においてアンモニア或はアミンが揮発し、染料のカ
ルボキシリ基が遊離酸となることで耐水性を向上させる
ことが提案されている。しかしながら、この場合におい
ても、インクの初期の溶解性は良好であっても、インク
中で徐々にアンモニア或はアミンが揮発することにより
溶解性が低下し、目詰りやインクの安定性の低下の原因
となる場合が多い。又、同様の理由で記録物上に、特
に、酸性紙上でのブロンズも起こし易い。この他、既存
染料、新規構造染料を用いた耐水性に優れたインク組成
物の提案が種々なされているが、前記諸条件を全て満足
するものはまだ見受けられない。
【0010】又、EP0468647A1号公報、EP
0468648A1号公報及びEP0468649A1
号公報には、下記構造式(a)、(b)及び(c)で示
される化合物が提案されている。 {式中、Ar、Ar1は夫々アリール基又は置換アリー
ル基であり、Ar、Ar1の少なくとも一つはCOOH
基及びCOSH基から選ばれた置換基を少なくとも一つ
有し、J、J1は独立的に夫々下式(1)、(2)又は
(3)
【0011】
【0012】[式中、各R5は独立的に水素原子、アル
キル基、置換アルキル基、アルコキシハロゲン基、CN
基、ウレイド基及びNHCOR6基から選択され、R6
水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、
置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基で
あり、Tは独立的アルキル基であり、Wは独立的に水素
原子、CN基、CONR1O11基、ピリジニウム基及び
COOH基から選択され、mはC2〜C8のアルキレン鎖
であり、Bは水素原子、アルキル基又はCOOH基であ
り、R10、R11は夫々独立的に水素原子、アルキル基又
は置換アルキル基である。]で表わされる連結基であ
り、R1、R2、R3、R4は夫々独立的に水素原子、アル
キル基、置換アルキル基であり、Lは2価の連結基
であり、Xは独立的にカルボニル基又は下式(4)、
(5)又は(6)
【0013】
【0014】[式中、ZはOR7、SR7又はNR89
あり、Yは水素原子、塩素原子又はCN基であり、Eは
塩素原子又はCN基であり、R7、R8、R9は独立的に
水素原子、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキル
基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、ア
ラルキル基又は置換アラルキル基であり、又はR8及び
9はこれらが結合された窒素原子と一緒に5員環又は
6員環を形成する場合がある。]で表わされる連結基で
あり、(a)の化合物がSO3H基を持たない場合は少
なくとも2つのCOOH基及びCOSH基から選ばれた
基を有し、(a)の化合物がSO3H基を持つ場合はC
OOH基及びCOSH基から選ばれた基が少なくともS
3H基の数と同数である。}
【0015】 Ar1-N=N-J-X-(NR1-L-NR2-X)n-J-N=N-Ar2 (b) {式中、Jは、下記式であり、
【0016】Ar1、Ar2は夫々アリール基又は置換ア
リール基であり、Ar1、Ar2の少なくとも一つはCO
OH基及びCOSH基から選ばれた置換基を少なくとも
一つ有し、R1、R2は独立的に水素原子、アルキル基、
置換アルキル基、アルケニル基又は置換アルケニル基で
あり、Lは2価の連結基であり、nは0又は1であり、
Xは独立的にカルボニル基又は下式(1)、(2)又は
(3)
【0017】
【0018】[式中、Zは独立的にNR34、SR5
はOR5であり、Yは独立的に水素原子、塩素原子、
Z、SR6又はOR6であり、Eは独立的に塩素原子又は
CN基であり、R3、R4、R5、R6は夫々独立的に水素
原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置
換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラル
キル基又は置換アラルキル基であり、又はR3及びR4
これらが結合された窒素原子と一緒に5員環又は6員環
を形成する場合がある。]で表わされる連結基であり、
(b)の化合物はCOOH基及びCOSH基から選ばれ
た基が少なくともSOH基の数と同数である。}
【0019】 Pc(SO3H)t(SO2−NR1−L−NR2−X−NR3−G)q (c) {式中、Pcは金属を含有するフタロシアニン核であ
り、R1、R2、R3は夫々独立的に水素原子、アルキル
基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル
基、アラルキル基又は置換アラルキル基であり、Lは2
価の連結基であり、Xは独立的にカルボニル基又は下式
(1)、(2)又は(3)
【0020】[式中、Zは独立的にNR45、SR6
はOR6であり、Yは独立的に水素原子、塩素原子、
Z、SR7又はOR7であり、Eは独立的に塩素原子又は
CN基であり、R4、R5、R6、R7は夫々独立的に水素
原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換
アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基であ
り、又はR4及びR5はこれらが結合された窒素原子と一
緒に5員環又は6員環を形成する場合がある。EはCO
SH基及びCOOH基から選択された1個又は2個の基
によって置換された無色の有機基である。]で表わされ
る連結基であり、(t+q)は3〜4であり、(c)の
化合物は少なくとも一つのSO3H基と同数のCOSH
基及びCOOH基から選択された基を有する。} 又、米国特許第4963189号明細書には下記構造式
(d)で示される化合物が提案されている。
【0021】 (式中、WはCOOH基であり、Xは水素原子又はCO
OH基であり、Yは水素原子、COOH基又はSO3
基であり、Zは水素原子、COOH基又はSO3H基で
あり、Rは水素原子、CH2COOH基又はCH2CH2
COOH基であり、少なくとも2個のCOOH基があ
り、COOH基の数はSO3H基の数と等しいか又はそ
れにより多い。)
【0022】しかしながら、これらの化合物の場合、元
々水や溶剤に溶けにくいものである。従って、これまで
のインクと比較して耐水性に関しては良好にさせ得る
が、水や溶剤に溶解させてインクを形成させても、例え
ば、カートリッジ内にインクを含んだ状態でそのカート
リッジを長期間放置していた場合、水や溶剤が蒸発して
しまい、インクが高粘度になり乾燥し、固まってしまい
印字が出来なくなってしまうといった不都合を起こし易
くなる(以下この様な状態を固着と呼ぶ。)。又同様
に、印字中あるノズルからインクを吐出させた後、その
ノズルから一定時間(例えば、1分間程度)インク吐出
を行うことがなかった場合に、そのノズルからの次の1
滴目のインクを吐出させると、安定した吐出を行えず、
印字が乱れてしまうといった不都合を起こしてしまうこ
とがある(以下この様な状態を初期吐出特性と呼
ぶ。)。
【0023】上記の如く従来技術では、前述した普通紙
における高OD、良好な定着性とブリーディング(紙上
で隣接する異色ドットの境界部における色滲み)の低減
と画像の耐水性を共に満足させることが出来ない。
【0024】
【発明が解決しようとしている問題点】そこで本発明の
目的は、カラーインクを用いた普通紙記録において、高
OD画像が得られ、定着性が良好であり、しかもブリー
ディングを低減した新規なインクを提供することにあ
る。
【0025】更に本発明の目的は、種々のタイプの普通
紙に対する印字性能(定着性、OD、印字品位)に優
れ、信頼性(固着特性)、保存性及び吐出特性(吐出安
定性、吐出速度、周波数応答性、初期吐出特性)に優れ
たインク、高速記録を可能とするインクジェット記録方
法及び斯かるインクを備えた記録機器を提供することに
ある。更に本発明の目的は耐水性に優れた画像を与える
インクを提供することにある。
【0026】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、少なくともカル
ボキシル基を持つ染料及びこれを溶解する液媒体及び高
分子物質を含むインクにおいて、25°における表面張
力及び粘度が夫々20×10-5N/cm〜40×10-5
N/cm及び0.7×10-3Pa・s〜12×10-3
a・sであり、且つ25°において被記録材に対する前
進接触角が60°〜180°の範囲にあることを特徴と
するインクである。
【0027】又、本発明は、カルボキシル基を持つ染料
及びこれを溶解又は分散する液媒体を含むインクにおい
て、液媒体として、インク全重量の0.01〜5.0%
のアルカリ可溶性樹脂、塩基性物質、多価アルコール及
び水を含有することを特徴とするインクである。
【0028】更に本発明は、カルボキシル基を持つ染料
及びこれを溶解又は分散する液媒体を含むインクにおい
て、液媒体として、インク全重量の0.01〜5.0%
のアルカリ可溶性樹脂、塩基性物質、1〜50%のグリ
コール類、1〜50%の含硫黄有機溶剤及び水を含有す
ることを特徴とするインクである。
【0029】更に又、本発明は、上記のインクを用いた
インクジェット記録方法、上記インクを含むインクカー
トリッジ、記録ユニット、斯かるインクカートリッジ及
び記録ユニットを使用したインクジェット記録装置であ
る。
【0030】
【作用】本発明のインクが被記録材に対してどの様な挙
動を示すのかを図1及び図2を参照して説明する。図1
に示す如く、従来系のインクとしてはタイプ1と2があ
り、これに対し本発明のインクを表面拡散タイプと呼ぶ
ことにする。
【0031】従来系のタイプ1のインクは、インク滴が
紙面に着弾後、紙面の深さ方向には余り沈まず(これを
上のせタイプと呼ぶ)滲み率が小さい、つまりドット径
が小さい為に、インクの行き所がなくなり、定着性が良
好ではなく、耐ブリーディングも悪く、ODも低下して
しまう。一方、従来系のタイプ2のインクは、紙面の深
さ方向及び紙面方向に素早く浸透する(これを滲透タイ
プと呼ぶ)為に、定着性は非常に良く、ブリーディング
を生じにくいが、ODは低下してしまう。
【0032】これに対し本発明の表面拡散タイプのイン
クは、紙面の深さ方向には余り沈まないが、紙面方向に
インクが拡がる様に設計されたものである。この為に定
着性や耐ブリーディング性を良くする為に、インクの吐
出量を少なくしてもドット径が大きくなる為に、定着
性、耐ブリーディング性及び発色性を同時に満足するこ
とが出来る。
【0033】この様なインクを実現する為に本発明で
は、インクの表面張力と、紙に対するインクの前進接触
角とを調整することで、滲み率と紙への滲透深さをコン
トロールする方法を見い出した。
【0034】インクの横方向への拡がりは、図2に示す
通り、紙の表面上を拡がるもの(拡張濡れ)と、紙の繊
維間を横方向に拡がるもの(浸漬濡れ)と2通り考えら
れるが、表面拡散タイプでは殆ど紙中にインクが滲透し
ない為に、拡張濡れであると考えられる。つまりインク
の拡がり(滲み率)は拡張濡れ仕事WSの大きさによっ
て決まる。即ち、WSが大きいならば滲み率は大きくな
るといえる。
【0035】拡張濡れ仕事、即ち、濡れに際しての自由
エネルギーの変化(低下)は次式の様になる。 WS=γS−γSL−γLS:拡張濡れ仕事 γS:固体(被記録材)表面張力 γSL:固液界面張力 γS:液体(インク)の表面張力 この式によれば、インクの表面張力が小さい程WSが大
きくなるから、滲み率が大きくなる。滲み率が大きいと
云うことは、所望のドット径とする為に必要なインク量
(吐出量)が少なくてすむ為に、定着性や耐ブリーディ
ング性能に優れる。
【0036】しかしながら、滲み率が大きくてもインク
が紙面の深さ方向にも拡がってしまうと、染料が紙表面
に残らず、紙中に入り込み、紙繊維による光の散乱が生
じる為に発色効率が悪くなる。従来系タイプ2がこの系
であり、通常界面活性剤等を添加し、濡れ性を良くして
滲み率を上げているが、インクは深さ方向にも浸透して
しまうから、低ODとなってしまう。
【0037】そこで大きな滲み率を保持したまま紙面の
深さ方向に沈みにくくする為には、紙への浸透距離を小
さくする何らかの手段が必要になる。ここで浸透距離h
とインク物性との関係をLucas−Washburn
の式を使って考える。
【0038】 h={(r・γ・cosθ・t)/(2η)}1/2 h:浸透距離 r:微細管半径 γ:液体の表面張力 θ:接触角 t:時間 η:粘度
【0039】この式によれば、インクの表面張力が小さ
く、接触角が大きい程浸透距離hは小さくなる為に、染
料が紙の表面に残る割合が大きくなり、高ODになり易
い。即ち、紙面の深さ方向には余り沈まないが、横方向
にインクが拡がる様な表面拡散タイプのインクを実現す
る為には、表面張力が小さく且つ紙に対して濡れにくい
インクの設計が必要である。
【0040】更にインクと被記録材との濡れ性が良くな
い系では、紙の凹凸やセルロース繊維間の毛管現象等の
影響による「ひげ状」の不規則な滲みが起きない。その
為にドット形状が紙の種類によらず、きれいな円にな
る。これは、濡れ性が悪い場合、インクが自発的に毛管
を流れる(毛管現象が起きる)ことがないからである。
【0041】上記の観点から本発明では、25℃におけ
るインクの表面張力を20×10-5N/cm〜40×1
-5N/cm、好ましくは25×10-5N/cm〜40
×10-5N/cmとし、粘度を0.7×10-3Pa・s
〜12×10-3Pa・s、好ましくは1.0×10-3
a・s〜4.0×10-3Pa・sとしたものであり、被
記録材に対するインクの前進接触角が60°〜180
°、好ましくは90°〜180°の範囲にあるインクを
使用する。インクの表面張力が20×10-5N/cm未
満では、オリフィスからインクが吐した後、メニスカス
を引き戻そうとする力が弱い為に、インクの補給が遅
く、周波数応答性が低下する。他方インクの表面張力が
40×10-5N/cmを越えると、拡張濡れ仕事WS
小さくなり、ドット径が小さくなる為に、発色性、定着
性が低下する傾向にある。インクの粘度が上記の範囲を
外れると、インクジェット記録において正常な吐出を定
常的に得ることが出来ず、特に12×10-3Pa・sを
越えるインクは、その粘性抵抗により、被記録材表面で
のインク滴が拡がりを抑える様に働く為に、ドット径が
小さくなってしまい、発色性や定着性が低下する。
【0042】本発明で云う前進接触角とは、液滴が固体
面上を前進するときに得られる接触角を指し、当業者に
とって周知の用語である。本発明で初期接触角ではなく
前進接触角を問題にするのは、紙の凹凸等による濡れの
ヒステリシスを含めた「濡れ性」を判断することと、イ
ンクは毛管現象等で自発的に浸透するのではなく、それ
以外の外力(インク滴の吐出エネルギー、重力)によっ
て、ドットの拡がり及び浸透が起こる為であり、単なる
接触角よりも液体が固体面を前進する際の前進接触角で
判断することが適当であるからである。
【0043】以上により、本発明のインクは主に以下の
特性を有する。 染料が紙表面に残る為に高ODになる。 ドット径が大きくなる為に定着性、発色性が良い。 紙の影響を受けにくく、ドットが均一で印字品位が良
い。 ブリーディングが発生しにくい。
【0044】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に説明する。本発明で用いるアルカリ可溶性樹
脂とは、塩基性物質を溶解させた水溶液に可溶な樹脂で
あり、表面張力を適度に下げる効果と被記録材に対して
インクの濡れ性を下げる効果の高いものが好ましく、例
えば、スチレン−アクリル酸系の共重合体が好ましい。
具体的には、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン
−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、
スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸
−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メ
タクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリ
ル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸
ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル
酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、
或はこれらの塩等が挙げられる。
【0045】これらの樹脂は、一般に顔料インクの分散
剤として使用される樹脂である。ところが、分散剤とし
てこの樹脂を使用し、分散処理を行って顔料インクを製
造すると、樹脂は顔料の表面に吸着し、分散剤としての
役割を果たすだけで、インクの表面張力を下げる効果は
ないし、被記録材に対するインクの濡れ性を下げる効果
も小さい。
【0046】例えば、スチレン−アクリル酸共重合体を
0.6重量%用い、溶媒組成を全く同じにして染料イン
クと顔料インクを製造した。顔料インクの場合、分散処
理を行ってインクを製造した。この顔料インクの表面張
力は50×10-5N/cmであるのに対し、染料インク
の表面張力は、37×10-5N/cmとなり、両者で大
きく異なる。つまり本発明では、かかる樹脂を顔料イン
クにおける分散剤としての目的とは全く別の目的で用い
ているのであり、その効果も異なる。
【0047】本発明で用いる好ましい樹脂の条件とし
て、その酸価が100〜250、好ましくは130〜2
10の範囲にあるものである。これは酸価が100未満
の場合、水に対する樹脂の溶解性が悪くなる為に、固着
特性が悪くなる傾向にあり、又、酸価が250を越える
と、被記録材との親和性が良くなりすぎて、被記録材に
対して濡れ性を下げる効果が低下してしまう。又、かか
る樹脂の重量平均分子量は、3,000〜50,00
0、とりわけ4,000〜20,000のものが好まし
い。分子量がこの範囲を外れると、溶解性が低下する、
濡れ性を下げる効果が低下する、インクの粘度が高くな
りすぎる、等の不都合を生じる。
【0048】更に、かかる樹脂はスチレン等の疎水性の
単量体とアクリル酸等の親水性の単量体を重合して製造
されるが、本発明では、これらの単量体の構成比として
疎水性単量体が30〜80重量%、好ましくは43〜6
5重量%であり、親水性単量体が20〜70重量%、好
ましくは35〜80重量%の範囲のものを用いる。
【0049】上記具体例の中でも、スチレンが30〜8
0重量%、好ましくは43〜65重量%、アクリル酸が
7〜40重量%、好ましくは15〜30重量%、アクリ
ル酸エチルが10〜30重量%、好ましくは12〜25
重量%の共重合体がとりわけ好ましい。
【0050】この樹脂をインク中に0.01〜5重量
%、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは
0.1〜0.9重量%添加することにより、かかる樹脂
の特性が十分に発揮される。樹脂の添加量が上記の範囲
よりの少なすぎると、樹脂の特性が十分に発揮し得ず、
逆に多すぎると粘度が高くなったり、インクに熱や圧力
を加えるインクジェット記録方法においてインクの吐出
安定性が低下する。樹脂を溶解する塩基性物質として
は、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、アミノメチルプロパノール、アンモニア等
の有機塩基性化合物を単独使用又は併用することが出来
る。とりわけ水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸
化物やアミン類、アンモニアが発色性、耐ブリーディン
グ性に優れているので好ましい。
【0051】本発明で使用する前記カルボキシル基を持
つ染料としては、下記構造式(a)又は(b)又は
(c)又は(d)で示される化合物であることが好まし
い。
【0052】{式中、Ar、Ar1は夫々アリール基又
は置換アリール基であり、Ar、Ar1の少なくとも一
つはCOOH基及びCOSH基から選ばれた置換基を少
なくとも一つ有し、J、J1は独立的に夫々下式
(1)、(2)又は(3)
【0053】[式中、各R5は独立的に水素原子、アル
キル基、置換アルキル基、アルコキシハロゲン基、CN
基、ウレイド基及びNHCOR6基から選択され、R6
水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、
置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基で
あり、Tは独立的アルキル基であり、Wは独立的に水素
原子、CN基、CONR1O11基、ピリジニウム基及び
COOH基から選択され、mはC2〜C8のアルキレン鎖
であり、Bは水素原子、アルキル基又はCOOH基であ
り、R10、R11は夫々独立的に水素原子、アルキル基又
は置換アルキル基である。]で表わされる連結基であ
り、R1、R2、R3、R4は夫々独立的に水素原子、アル
キル基、置換アルキル基であり、Lは2価の連結基であ
り、Xは独立的にカルボニル基又は下式(4)、(5)
又は(6)
【0054】
【0055】[式中、ZはOR7、SR7又はNR89
あり、Yは水素原子、塩素原子又はCN基であり、Eは
塩素原子又はCN基であり、R7、R8、R9は独立的に
水素原子、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキル
基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、ア
ラルキル基又は置換アラルキル基であり、又はR8及び
9はこれらが結合された窒素原子と一緒に5員環又は
6員環を形成する場合がある。]で表わされる連結基で
あり、(a)の化合物がSO3H基を持たない場合は少
なくとも2つのCOOH基及びCOSH基から選ばれた
基を有し、(a)の化合物がSO3H基を持つ場合はC
OOH基及びCOSH基から選ばれた基が少なくともS
3H基の数と同数である。}
【0056】 Ar1-N=N-J-X-(NR1-L-NR2-X)n-J-N=N-Ar2 (b) {式中、Jは、下記式であり、 Ar1、Ar2は夫々アリール基又は置換アリール基であ
り、Ar1、Ar2の少なくとも一つはCOOH基及びC
OSH基から選ばれた置換基を少なくとも一つ有し、R
1、R2は独立的に水素原子、アルキル基、置換アルキル
基、アルケニル基又は置換アルケニル基であり、Lは2
価の連結基であり、nは0又は1であり、Xは独立的に
カルボニル基又は下式(1)、(2)又は(3)
【0057】
【0058】[式中、Zは独立的にNR34、SR5
はOR5であり、Yは独立的に水素原子、塩素原子、
Z、SR6又はOR6であり、Eは独立的に塩素原子又は
CN基であり、R3、R4、R5、R6は夫々独立的に水素
原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置
換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラル
キル基又は置換アラルキル基であり、又はR3及びR4
これらが結合された窒素原子と一緒に5員環又は6員環
を形成する場合がある。]で表わされる連結基であり、
(b)の化合物はCOOH基及びCOSH基から選ばれ
た基が少なくともSO3H基の数と同数である。}
【0059】 Pc(SO3H)t(SO2−NR1−L−NR2−X−NR3−G)q (c) {式中、Pcは金属を含有するフタロシアニン核であ
り、R1、R2、R3は夫々独立的に水素原子、アルキル
基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル
基、アラルキル基又は置換アラルキル基であり、Lは2
価の連結基であり、Xは独立的にカルボニル基又は下式
(1)、(2)又は(3)
【0060】
【0061】[式中、Zは独立的にNR45、SR6
はOR6であり、Yは独立的に水素原子、塩素原子、
Z、SR7又はOR7であり、Eは独立的に塩素原子又は
CN基であり、R4、R5、R6、R7は夫々独立的に水素
原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換
アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基であ
り、又はR4及びRはこれらが結合された窒素原子と
一緒に5員環又は6員環を形成する場合がある。EはC
OSH基及びCOOH基から選択された1個又は2個の
基によって置換された無色の有機基である。]で表わさ
れる連結基であり、(t+q)は3〜4であり、(c)
の化合物は少なくとも一つのSO3H基と同数のCOS
H基及びCOOH基から選択された基を有する。}
【0062】 (式中RはNH4でありYは水素原子又はSO3Rであ
る。)
【0063】具体的な化合物を示すが、勿論、これに限
定されるものではない。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】又、染料の使用量としては0.1〜10重
量%の範囲が好ましい。これらの染料とアルカリ可溶性
樹脂及びアルカリ物質によって固着性に優れたインクを
構成することが出来る。
【0068】本発明で使用する液媒体としては、水と水
溶性有機溶剤との混合物であることが好ましい。水溶性
有機溶剤としては、それ自身蒸気圧が低くインク中の水
分の蒸発温度を減速させると共に染料等の溶解性も持ち
合わせていることで固着特性向上剤としての効果もある
ものが好ましい。好ましい水溶性有機溶剤としては、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド
類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケ
トンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等
のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサン
トリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコー
ル、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個
の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリ
ン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エー
テル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)
エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル
類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複
素環式ケトン類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等
の含硫黄化合物が挙げられる。
【0069】インクの保存性、つまりインクのpHの経
時的変化を最小限に抑える有機溶剤としては、チオジグ
リコール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫
黄化合物が好ましく、これらの溶剤と他のグリコールの
併用が特に好ましい。経時的変化によりpHが低下した
インクは、アルカリ可溶性樹脂のインクに対する溶解度
が低下し、固着特性や吐出特性が悪くなる傾向がある。
又、これらの含硫黄化合物は、比較的粘度が低く、蒸発
しにくい溶剤である為に、初期吐出特性の向上にも効果
がある。
【0070】上記含硫黄化合物と併用するグリコール類
としては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘ
キシレングリコールが好ましい。上記水溶性有機溶剤の
含有量は、0〜50重量%、好ましくは0〜20重量
%、より好ましくは0〜10重量%の範囲である。上記
の含硫黄化合物をグリコールと併用する場合、1〜50
重量%の含硫黄化合物と1〜50重量%のグリコールを
用いるのが良い。
【0071】インク中の水の含有量は、インク全重量の
40〜95%、とりわけ70〜95%範囲が好ましい。
含有量が40重量%より少ないと粘度が高くなる、紙上
で滲み易くなる、定着性が劣る等の不都合を生じ、95
重量%よりも多いと、蒸発成分が多すぎて固着特性が悪
化する。
【0072】固着特性を向上させる為に、蒸発抑制効果
のある化合物、染料の溶解性を向上させる化合物、粘度
上昇を抑制する化合物等の従来使用されていた水溶性有
機溶剤とは異なる固着防止剤を使用してもよい。この固
着防止剤としては、尿素、塩酸トシエチルアミン等のト
リアチルアミンの塩、塩酸トリエタノールアミン等のト
リエタノールアミンの塩、トルエンスルホンアミドの誘
導体等が挙げられる。これらの固着防止剤はインク中に
0.1〜30重量%の範囲で適宜選択して使用すること
が好ましい。
【0073】この様な固着防止剤を使用することで水以
外の構成成分(溶剤分)の量を極端に少なくとも目詰ま
りせず、高信頼性を保つことが出来る。又、インク中の
水分量が多い為に、記録物のインクは蒸発し易くなり、
OD、定着性、印字品位等の普通紙記録性能に有利に働
く。更に、尿素等には粘度上昇を抑制する効果がある為
に、初期吐出特性にも優れている。
【0074】これ以外にも定着性を向上させる溶剤が使
用される。この様な溶剤を使用したインクは、記録紙上
での乾燥性に優れる。この様な効果が期待出来る溶剤と
しては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−
ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1
〜4のアルキルアルコール類;シクロヘキサノール等の
環状アルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセト
ンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テト
ラヒドロフラン、ジオキシン等のエーテル類;N−メチ
ル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン等の含窒素複素環式ケトン類;グリセリン;脂
肪酸アルキロールアミド、N−アシルスルコシネート等
が挙げられる。尚、これらの物質のうちエチルアルコー
ル等のアルコールは、比較的沸点が低いものが多い為に
インクに熱エネルギーを作用させて吐出させる記録方法
における吐出エネルギー源である発泡の促進剤となり、
吐出速度を大きくする効果もある。これらの物質はイン
ク中に0〜50重量%の範囲で適宜選択して使用するこ
とが好ましい。
【0075】本発明のインクにおいて、添加剤として界
面活性剤を添加することが好ましく、かかる物質を添加
することにより定着性を向上させることが出来る。但し
あまり多く添加しすぎると、インクと紙との親和性が良
くなり過ぎてポリマーによる濡れ性の低下の効果がなく
なってしまう、表面張力が低下しすぎる等の問題が生じ
る為に、添加量に制限がある。又、界面活性剤にはイン
クジェット記録用ヘッド内の汚れを剥落させることで、
ヘッド内の濡れ性を向上させる洗浄効果的な性能も有す
る為に、ヘッドの吐出安定性を向上させることが出来
る。
【0076】この様な性能を有する界面活性剤の例を以
下に示す。 No.1:デカグリセリン脂肪酸エステル R:アシル基又は水素原子
【0077】No.2:ポリオキシエチレンヒマシ油
【0078】No.3:ポリオキシレン硬化ヒマシ油
【0079】No.4:アセチレンアルコールエチレン
オキシド付加物
【0080】No.5:ポリオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテル No.6:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル No.7:ポリオキシエチレンモノステアレート No.8:下記化合物
【0081】No.9:下記化合物 No.10:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
【0082】これらの界面活性剤はインク全重量に対し
て0.01〜0.5重量%、好ましくは0.02〜0.
2重量%の範囲で使用される。
【0083】インクのpHは、25℃において8〜11
の範囲であることが好ましい。pH8未満ではアルカリ
可溶性樹脂の性質上、樹脂の溶解性が好ましくない。逆
にpHが11を越えると、操作上危険度の高いインクで
ある、インクジェットユニットにおける、インクとの接
触部分を溶解、腐蝕してしまう可能性がある。とりわけ
熱エネルギーを作用させてインク滴を形成させるタイプ
のインクジェット記録方法においては、熱エネルギー発
生源(ヒーター)の寿命を短くしてしまうと云う問題を
生じる。
【0084】本発明のインクは、インクが単色であるモ
ノクロ記録のときは勿論のこと、インクを複数色用いた
フルカラー記録の際にも効果的である。即ち被記録材が
普通紙のとき、フルカラー記録を行う為には、従来技術
では紙の深さ方向にインクを浸透させる割合をより高く
しなくてはならなかった。その為に混色印字のときは付
与するインクの量が多くなり、特に、発色性が悪かっ
た。本発明では、インクは深さ方向には浸透しにくい為
に、鮮やかな混色(レッド、グリーン、ブルー等)が得
られる。
【0085】以上述べた通り、本発明のインクを採用す
ることにより、印字物が高ODとなり、ブリーディング
が発生しにくく、定着性、印字品位にも優れ、更に固着
特性、吐出安定性、吐出速度、周波数応答性、初期吐出
特性の全ての性能を満足させることが可能である。
【0086】本発明のインクは、熱エネルギーの作用に
より液滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方
法にといりわけ好適に用いられるが、その他のインクジ
ェット記録方法及び一般の筆記具用としても使用出来
る。本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な記録
方法及び装置としては、記録ヘッドの室内のインクに記
録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーに
より液滴を発生させるインクジェット記録方法及び装置
が挙げられる。以下、この様なインクジェット記録装置
について説明する。
【0087】その主要部であるヘッド構成例を図3及び
図4に示す。図3はインク流路に沿ったヘッド13の模
式断面図であり、図4は図3のA−B線での切断図を示
す模式断面図である。ヘッド13は、インクを通す溝1
4を有するガラス、セラミックス又はプラスチック板等
と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜
ヘッドが示されているが、これに限定されるものではな
い)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は酸化シリ
コン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17
−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体
層18、畜熱層19、アルミナ等の放熱性の良い基板2
0より成っている。
【0088】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まで満たされており、不図示の圧力によりメニスカス
23を形成している。今、電極17−1及び17−2に
電気信号が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領
域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡
が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク
21が吐出して、吐出オリフィス22よりインク小滴2
4となり被記録材25に向かって飛翔する。又、図5
に、図3に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例
を示す。該マルチヘッドはマルチ溝26を有するガラス
板27と、図3において説明したものと同様な発熱ヘッ
ド28を接着して作られている。
【0089】図6に、このヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。図6において、65は吐
出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面
に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録
ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行
う為のキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸6
7と慴動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモータ
ー68によって駆動されるベルト69と接続している
(図示なし)。これにより、キャリッジ66はガイド軸
67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による
記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0090】51は被記録材を挿入する為の給紙部、5
2は不図示のモータにより駆動される紙送りローラーで
ある。この様な構成により記録ヘッド65の吐出口面と
対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するに
つれて、排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙され
る。
【0091】61はワイピング部材としてのブレードで
あり、その一端はブレード保持部材によって保持されて
固定端となりカンチレバーの形態をなす(不図示)。ブ
レード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した
位置に配設され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移
動経路中に突出した形態で保持される。62は記録ヘッ
ド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣
接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の
移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当
接しキャッピングを行う構成を具える。更に63はブレ
ード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブ
レード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出
した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ6
2、インク吸収体63によって吐出回復部64が構成さ
れ、ブレード61及びインク吸収体63によってインク
吐出口面の水分、塵やほこり等の除去が行われる。
【0092】上記構成において、記録ヘッド65が記録
終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。こ
の結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当
接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘ
ッドの移動経路中へ突出する様に移動する。
【0093】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても、記録ヘッド65の
吐出口面はワイピングされる。上述した記録ヘッド65
のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復
時ばかりでなく、記録ヘッド65が記録の為に記録領域
を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホーム
ポジションへ移動し、この移動に伴って、上記ワイピン
グが行われる。
【0094】図7は、ヘッドに記録供給部材、例えば、
チューブを介して供給されるインクを収容したインクカ
ートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供
給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋
であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられてい
る。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、
インク袋40中のインクをヘッドに供給することが出来
る。44は廃インクを受容するインク吸収体である。本
発明においては、インク収容部のインクとの接液面がポ
リオレフィン、特にポリエチレンで形成されていること
が好ましい。
【0095】本発明のインクが使用されるインクジェッ
ト記録装置としては、上記の様なヘッドとインクカート
リッジとが別体となったものに限らず、図8に示す様に
それらが一体になったものも好適に用いられる。図8に
おいて、70は記録ユニット(インクジェットカートリ
ッジ)であって、この中にはインクを含浸させたインク
吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のイン
クが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク
滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の
材料としては、ポリウレタンが好ましい。
【0096】72はカートリッジ内部を大気に連通させ
る為の大気連通口である。このインクジェットカートリ
ッジ70は、図6で示す記録ヘッド65に代えて用いら
れるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在に
なっている。
【0097】
【実施例】次に実施例、比較例、及び使用例を挙げて本
発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部及び%とあ
るのは特に断りのない限り重量基準である。下記し示す
4色の組成物を十分撹拌した後、孔径0.22μmのフ
ロロポアフイルター(住友電気工業(株)製:商品名)
で加圧濾過し、本発明のインクとした。但し、アルカリ
可溶性樹脂は予めアミン、水と共に70℃のウォーター
バスで樹脂分を完全に溶解させ、樹脂分15重量%の水
溶液とした状態で添加した。
【0098】(1)溶剤組成 A:グリセリン 5部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 イソプロピルアルコール 1部 水酸化ナトリウム 0.4部 硫酸アンモニウム 0.3部 B:ポリエチレングリコール 5部 チオジグリコール 10部 イソプロピルアルコール 1部 水酸化ナトリウム 0.4部 硫酸アンモニウム 0.3部
【0099】実施例1〜6のブラックインク組成
【表1】
【0100】 樹脂A:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重
合体 酸価:190 重量平均分子量:9,800 樹脂B:スチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチル共重
合体 酸価:140 重量平均分子量:11,000 樹脂C:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重
合体 酸価:140 重量平均分子量:5,700
【0101】樹脂D:スチレン−アクリル酸−アクリル
酸ハーフエステル−無水マレイン酸共重合体 酸価:190 重量平均分子量:15,000 樹脂E:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重
合体 酸価:210 重量平均分子量:18,000 樹脂F:スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−
アクリル酸エチル共重合体 酸価:210 重量平均分子量:15,500
【0102】実施例1〜6のシアンインク組成
【表2】
【0103】実施例1〜6のマゼンタインク組成
【表3】
【0104】実施例1〜6のイエローインク組成
【表4】
【0105】比較例1〜4のブラックインク組成
【表5】
【0106】比較例1〜4のシアンインク組成
【表6】
【0107】比較例1〜4のマゼンタインク組成
【表7】
【0108】比較例1〜4のイエローインク組成
【表8】 以上のインクを用いて、下記の評価を行った。評価結果
を下記表9及び表10に示す。
【0109】インクを記録ヘッド内のインクに熱エネル
ギーを与えて液滴を発生させ記録を行うカラーインクジ
ェットプリンター(解像度は360dpi)に充填し、
市販のコピー用紙(キヤノン NPドライSK)及びボ
ンド紙(プロバーボンド紙PB)に記録を行った。吐出
量は40ng/dotである。各評価項目の方法及び条
件は下記の通りである。
【0110】(1)ブリーディング 異なる色が隣接する様なカラーサンプルを印字し、ブリ
ーディングの様子を観察し、下記基準にて評価した。
尚、使用した色は黒、イエロー、シアン、マゼンタ、及
びイエロー、シアン、マゼンタの内の2色を重ね打ちし
混合することで作ったレッド、グリーン、ブルーの7色
である。 ○:すべての境界でブリーディングが認められない。 △:インクの付着量の多いレッド、グリーン、ブルーの
境界でブリーディングが目立つ。 ×:殆ど全ての境界でブリーディングがひどい。
【0111】(2)滲みの発生率 市販のコピー紙及びボンド紙に300ドットが互いに接
触しない様に連続印字し、室内にて24時間自然乾燥さ
せた後、顕微鏡で不定形又は不規則な滲みが発生したド
ットの数を数え、そのパーセンテージを下記基準にて評
価した。 ○:10%以下 △:11〜50% ×:51%以上
【0112】(3)吐出性 プリンターに所定のインクを充填して10分間連続して
英数文字を印字した後、プリントを停止し、キャップ等
をしない状態で10分間放置した後、再び印字した場合
の文字のかすれ、欠け等の有無により評価した。 ○:1文字目からかすれ、欠け無し。 △:1文字目の一部がかすれ、又は欠ける。 ×:1文字目がまったく印字出来ない。
【0113】(4)保存安定性 各インクを耐熱性のガラス瓶に100ccずつ入れ、密
栓して60℃の恒温層に2ケ月間保存後、プリンターに
搭載して印字し評価した。 ○:異常無し。 ×:不吐出、印字の乱れ又は変色が発生。
【0114】(5)目詰り性(固着回復性) プリンターに所定のインクを充填して10分間連続して
英数文字を印字した後、プリントを停止し、キャップ等
をしない状態で1ケ月間放置した後、ノズルの目詰り回
復操作を行い、何回目の操作回数で文字のかすれ、欠け
がなくなるかで評価した。 ○:1〜5回の回復操作で正常印字が可能。 △:6〜10回の回復操作で正常印字が可能。
【0115】(6)滲み率 20万発のインク滴を吐出させ、その際に消費したイン
ク量をインク袋の重量変化によって測定し、更にインク
の比重で割って1滴当たりの体積を算出した。インク滴
を球と仮定し、各体積での直径を算出し、液滴径とし
た。この液滴径とSK紙に印字したドットの直径である
ドット径から滲み率を算出した。 滲み率=ドット径/液滴径
【0116】(7)表面張力 協和CBVP式表面張力計A−1型(協和科学)を使用
して、25℃において表面張力を測定した。
【0117】(8)前進接触角(転落法による) 接触角測定装置CA Type(協和界面科学)を使用
して、25℃で所定のインクを液滴径が2.8mmにな
る様にシリンジから押し出した。この液滴をSK紙に接
触させてインクを移した後、紙を傾けて液滴が転落する
転落角を先ず求めた。次にこの転落角におけるインクと
紙表面との境界で作る角のうち、下側(前進角)の角度
を測定し、前進接触角とした。
【0118】(9)粘度 E型粘度計VISCONIC ELD(東京計器)を使
用して、25℃で粘度を測定した。
【0119】(10)吐出安定性、吐出速度及び周波数
応答性 キヤノン製インクジェット記録用ヘッド評価装置CAD
ASを用いて、プリンターで印字するヘッド駆動条件と
同じ条件で各種インクの吐出速度のばらつき、吐出速度
及び周波数応答性を測定し夫々判定した。
【0120】(10)−1 吐出安定性 CADASによって4KHzで吐出速度を30回測定
し、その標準偏差で判定した。 A:0〜0.5m/s、B:0.5〜1.0m/s、
C:1.0m/s以上
【0121】(10)−2 吐出速度 CADASによって4KHzで吐出速度を30回測定
し、その平均値を求めて判定した。 A:7〜15m/s、B:5〜7m/s、C:5m/s
以下
【0122】(10)−3 周波数応答性 CADASによって駆動周波数0.1KHzで吐出さ
せ、徐々に周波数を上げてゆき、吐出形状が主滴の存在
しない剣状の不安定な吐出になったところの周波数を測
定し判定した。 A:4KHz以上、B:2〜4KHz、C:2KHz以
下。
【0123】(11)初期吐出特性 15℃、10%RHの環境でインクを吐出後、所定時間
キャップ非装着状態を保ち、再度吐出させたときの最初
の数発のインク滴の吐出の様子を見て、吐出状態が良好
に保持される時間で判定した。 A:30秒以上、B:20〜30秒、C:5〜20秒、
D:5秒以下
【0124】(12)耐水性評価 市販のコピー用紙及びボンド紙に印字して、ODを測定
し、25℃の水中に5分間浸した後、再びODを測定
し、以下の様に評価した。 ○:試験後の残存OD率が85%以上 △:試験後の残存OD率が70%以上 ×:試験後の残存OD率が60%以下
【0125】
【表9】
【0126】
【表10】
【0127】
【発明の効果】以上説明した様に本発明のインクを使用
すれば、インク滴が普通紙の表面で横方向に適度に拡が
り、不規則な滲みがなく、しかも、紙の深さ方向には染
み込みにくくなる為に、高記録濃度、高速乾燥性、高印
字品位、及び高信頼性を有する記録画像を得ることが出
来、又、記録画像のブリーディングの発生を防止するこ
とが出来る。更に、本発明のインクを使用すれば、耐水
性に優れた記録画像を得ることが出来る。
【0128】
【図面の簡単な説明】
【図1】紙上でのインクの挙動を説明する為の模式図
【図2】紙上でのインクの濡れを説明する為の模式図
【図3】本発明のインクジェット記録方式による記録ヘ
ッドの模式断面図。
【図4】図3のA−B線での切断図を示す模式断面図。
【図5】図3のヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例
を示す模式断面図。
【図6】図3のヘッドを組み込んだインクジェット記録
装置の一例を示す模式斜視図。
【図7】図3のヘッドに記録液を供給するインクカート
リッジの一例を示す模式断面図。
【図8】図3のヘッドと同インクカートリッジが一体化
したインクジェット記録装置の要部の一例を示す模式外
観図。
【0129】
【符号の説明】
13:ヘッド 14:インク溝 15、28:発熱ヘッド 16:保護膜 17:アルミニウム電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク小滴 25:被記録材 26:マルチ溝 27:ガラス板 40:インク袋 42:ゴム製の栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 52:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/00 E (72)発明者 山本 真由美 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 寺岡 恒 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 永嶋 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を持つ染料及びこれを溶
    解する液媒体及び高分子物質を含むインクにおいて、2
    5℃における表面張力及び粘度が夫々20×10-5N/
    cm〜40×10-5N/cm及び0.7×10-3Pa・
    s〜12×10-3Pa・sであり、且つ25℃において
    被記録材に対する前進接触角が60°〜180°の範囲
    にあることを特徴とするインク。
  2. 【請求項2】 前進接触角が90°〜180°(25
    ℃)の範囲にある請求項1に記載のインク。
  3. 【請求項3】 粘度が1.0×10-3Pa・s〜4.0
    ×10-3Pa・sの範囲にある請求項1に記載のイン
    ク。
  4. 【請求項4】 表面張力が25×10-5N/cm〜40
    ×10-5N/cmの範囲にある請求項1に記載のイン
    ク。
  5. 【請求項5】 カルボキシル基を持つ染料がアゾ系又は
    フタロシアニン系のアニオン性染料である請求項1に記
    載のインク。
  6. 【請求項6】 カルボキシル基を持つ染料のカウンター
    イオンがアンモニウムイオン或はアルキルアンモニウム
    イオンである請求項1に記載のインク。
  7. 【請求項7】 カルボキシル基を持つ染料が下記構造式
    (a)又は(b)又は(c)又は(d)で示される化合
    物である請求項1〜6に記載のインク。 {式中、Ar、Ar1は夫々アリール基又は置換アリー
    ル基であり、Ar、Ar1の少なくとも一つはCOOH
    基及びCOSH基から選ばれた置換基を少なくとも一つ
    有し、J、J1は独立的に夫々下式(1)、(2)又は
    (3) [式中、各R5は独立的に水素原子、アルキル基、置換
    アルキル基、アルコキシハロゲン基、CN基、ウレイド
    基及びNHCOR6基から選択され、R6は水素原子、ア
    ルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール
    基、アラルキル基又は置換アラルキル基であり、Tは独
    立的アルキル基であり、Wは独立的に水素原子、CN
    基、CONR1O11基、ピリジニウム基及びCOOH基
    から選択され、mはC2〜C8のアルキレン鎖であり、B
    は水素原子、アルキル基又はCOOH基であり、R10
    11は夫々独立的に水素原子、アルキル基又は置換アル
    キル基である。]で表わされる連結基であり、R1
    2、R3、R4は夫々独立的に水素原子、アルキル基、
    置換アルキル基であり、Lは2価の連結基であり、Xは
    独立的にカルボニル基又は下式(4)、(5)又は
    (6) [式中、ZはOR7、SR又はNR89であり、Yは
    水素原子、塩素原子又はCN基であり、Eは塩素原子又
    はCN基であり、R7、R8、R9は独立的に水素原子、
    アルケニル基、置換アルケニル基、アルキル基、置換ア
    ルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基
    又は置換アラルキル基であり、又はR8及びR9はこれら
    が結合された窒素原子と一緒に5員環又は6員環を形成
    する場合がある。]で表わされる連結基であり、(a)
    の化合物がSO3H基を持たない場合は少なくとも2つ
    のCOOH基及びCOSH基から選ばれた基を有し、
    (a)の化合物がSO3H基を持つ場合はCOOH基及
    びCOSH基から選ばれた基が少なくともSO3H基の
    数と同数である。} Ar1-N=N-J-X-(NR1-L-NR2-X)n-J-N=N-Ar2 (b) {式中、Jは、下記式であり、 Ar1、Ar2は夫々アリール基又は置換アリール基であ
    り、Ar1、Ar2の少なくとも一つはCOOH基及びC
    OSH基から選ばれた置換基を少なくとも一つ有し、R
    1、R2は独立的に水素原子、アルキル基、置換アルキル
    基、アルケニル基又は置換アルケニル基であり、Lは2
    価の連結基であり、nは0又は1であり、Xは独立的に
    カルボニル基又は下式(1)、(2)又は(3) [式中、Zは独立的にNR34、SR5又はOR5であ
    り、Yは独立的に水素原子、塩素原子、Z、SR6又は
    OR6であり、Eは独立的に塩素原子又はCN基であ
    り、R3、R4、R5、R6は夫々独立的に水素原子、アル
    キル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニ
    ル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は
    置換アラルキル基であり、又はR3及びR4はこれらが結
    合された窒素原子と一緒に5員環又は6員環を形成する
    場合がある。]で表わされる連結基であり、(b)の化
    合物はCOOH基及びCOSH基から選ばれた基が少な
    くともSO3H基の数と同数である。} Pc(SO3H)t(SO2−NR1−L−NR2−X−NR3−G) (c) {式中、Pcは金属を含有するフタロシアニン核であ
    り、R1、R2、R3は夫々独立的に水素原子、アルキル
    基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル
    基、アラルキル基又は置換アラルキル基であり、Lは2
    価の連結基であり、Xは独立的にカルボニル基又は下式
    (1)、(2)又は(3) [式中、Zは独立的にNR45、SR6又はOR6であ
    り、Yは独立的に水素原子、塩素原子、Z、SR7又は
    OR7であり、Eは独立的に塩素原子又はCN基であ
    り、R4、R5、R6、R7は夫々独立的に水素原子、アル
    キル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール
    基、アラルキル基又は置換アラルキル基であり、又はR
    4及びR5はこれらが結合された窒素原子と一緒に5員環
    又は6員環を形成する場合がある。EはCOSH基及び
    COOH基から選択された1個又は2個の基によって置
    換された無色の有機基である。]で表わされる連結基で
    あり、(t+q)は3〜4であり、(c)の化合物は少
    なくとも一つのSO3H基と同数のCOSH基及びCO
    OH基から選択された基を有する。} (式中、RはNH4であり、Yは水素原子又はSO3Rで
    ある。)
  8. 【請求項8】 高分子物質の重量平均分子量が3,00
    0〜50,000の範囲にある請求項1に記載のイン
    ク。
  9. 【請求項9】 高分子物質がアルカリ可溶性樹脂である
    請求項1に記載のインク。
  10. 【請求項10】 カルボキシル基を持つ染料及びこれを
    溶解する液媒体を含むインクにおいて、液媒体として、
    インク全重量の0.01〜5.0%のアルカリ可溶性樹
    脂、塩基性物質、多価アルコール及び水を含有すること
    を特徴とするインク。
  11. 【請求項11】 カルボキシル基を持つ染料及びこれを
    溶解する液媒体を含むインクにおいて、液媒体として、
    インク全重量の0.01〜5.0%のアルカリ可溶性樹
    脂、塩基性物質、1〜50%のグリコール類、1〜50
    %の含硫黄有機溶剤及び水を含有することを特徴とする
    インク。
  12. 【請求項12】 含硫黄有機溶剤がチオジグリコール、
    スルホラン及びジメチルスルホキシドから選択される溶
    剤である請求項11に記載のインク。
  13. 【請求項13】 アルカリ可溶性樹脂が、疎水性単量体
    と不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸の誘導
    体とからなる共重合体である請求項10又は11に記載
    のインク。
  14. 【請求項14】 アルカリ可溶性樹脂の含有量が、イン
    ク全重量の0.01〜2.0%の範囲にある請求項10
    又は11に記載のインク。
  15. 【請求項15】 アルカリ可溶性樹脂の含有量が、イン
    ク全重量の0.01〜0.9%の範囲にある請求項10
    又は11に記載のインク。
  16. 【請求項16】 アルカリ可溶性樹脂が、スチレン−ア
    クリル酸系の共重合体である請求項10又は11に記載
    のインク。
  17. 【請求項17】 アルカリ可溶性樹脂の酸価が、100
    〜250の範囲にある請求項10又は11に記載のイン
    ク。
  18. 【請求項18】 アルカリ可溶性樹脂の酸価が、130
    〜210の範囲にある請求項10又は11に記載のイン
    ク。
  19. 【請求項19】 アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量
    が3,000〜50,000の範囲にある請求項10又
    は11に記載のインク。
  20. 【請求項20】 アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量
    が4,000〜20,000の範囲にある請求項10又
    は11に記載のインク。
  21. 【請求項21】 pHが8〜11の範囲にある請求項1
    0又は11に記載のインク。
  22. 【請求項22】 界面活性剤を含有する請求項10又は
    11に記載のインク。
  23. 【請求項23】 多価アルコールとして少なくとも2種
    の溶剤を併用する請求項9に記載のインク。
  24. 【請求項24】 インク滴を記録信号に応じてオリフィ
    スから吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット
    記録方法において、上記インクが請求項1、10又は1
    1に記載のインクであることを特徴とするインクジェッ
    ト記録方法。
  25. 【請求項25】 インクに熱エネルギーを作用させてイ
    ンク滴を吐出させる請求項24に記載のインクジェット
    記録方法。
  26. 【請求項26】 インクを収容したインク収容部、該イ
    ンクをインク滴として吐出させる為のヘッド部を備えた
    記録ユニットにおいて、前記インクが請求項1、10又
    は11に記載のインクであることを特徴とする記録ユニ
    ット。
  27. 【請求項27】 ヘッド部が、インクに熱エネルギーを
    作用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項2
    6に記載の記録ユニット。
  28. 【請求項28】 インクを収容したインク収容部を備え
    たインクカートリッジにおいて、前記インクが請求項
    1、10又は11に記載のインクであることを特徴とす
    るインクカートリッジ。
  29. 【請求項29】 インクを収容したインク収容部と、該
    インクをインク滴として吐出させる為のヘッド部を有す
    る記録ユニットを備えたインクジェット記録装置におい
    て、前記インクが請求項1、10又は11に記載のイン
    クであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  30. 【請求項30】 ヘッド部が、インクに熱エネルギーを
    作用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項2
    9に記載のインクジェット記録装置。
  31. 【請求項31】 インク滴を吐出する為の記録ヘッド、
    インクを収容したインク収容部を有するインクカートリ
    ッジ及び該インクカートリッジから記録ヘッドにインク
    を供給する為のインク供給部を備えたインクジェット記
    録装置において、前記インクが請求項1、10又は11
    に記載のインクであることを特徴とするインクジェット
    記録装置。
  32. 【請求項32】 記録ヘッドが、インクに熱エネルギー
    を作用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項
    31に記載のインクジェット記録装置。
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