JP2004074415A - インクジェットプリンタの乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷速度が速いプリンタに対しても装置を大型化することなく安定してインクを乾燥・定着することであり、これによって印刷品質の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】常温で液体のインク滴を印字ノズルから噴射して記録媒体上の印刷幅全域に印刷するラインヘッドと、該ラインヘッドの上流側に位置し、記録媒体の非記録面側から前記記録媒体を加熱乾燥させる第1の乾燥手段と、前記ラインヘッドの下流側に位置し、印刷後の前記記録媒体の記録面側から非接触で前記記録媒体を加熱乾燥させる第2の乾燥手段とを有するインクジェットプリンタにおいて、前記第2の乾燥手段を保護する保護カバーと該保護カバーを清掃するクリーニング手段とを備えた。
【選択図】 図2
【解決手段】常温で液体のインク滴を印字ノズルから噴射して記録媒体上の印刷幅全域に印刷するラインヘッドと、該ラインヘッドの上流側に位置し、記録媒体の非記録面側から前記記録媒体を加熱乾燥させる第1の乾燥手段と、前記ラインヘッドの下流側に位置し、印刷後の前記記録媒体の記録面側から非接触で前記記録媒体を加熱乾燥させる第2の乾燥手段とを有するインクジェットプリンタにおいて、前記第2の乾燥手段を保護する保護カバーと該保護カバーを清掃するクリーニング手段とを備えた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに関し、詳しくはラインヘッドにより記録媒体に印刷されたインクを短時間で乾燥定着させ、印刷品質の向上を図るインク乾燥手段とインク乾燥手段の乾燥性能の低下防止策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットプリンタは、特にパーソナルユース向けの印刷速度が比較的低速のプリンタでは、インク及び記録媒体の改良により乾燥時間が短縮されたこともあり、乾燥手段を設けず自然乾燥によるものが主体であった。しかし、記録媒体に印字されたインクを乾燥させる手段としては種々の方式が提案されている。最も一般的な方法は、インクの乾燥を促進させるために、印字ヘッドに対向して設けられたプラテンを加熱し記録媒体上に印刷されたインクを乾燥させる方式である。また、印刷後の記録媒体を非接触で加熱乾燥する方式として、特開2000−211116号が提案されている。特開2000−211116号公報に開示されているように、乾燥領域内において記録媒体に対して略均一に熱エネルギーが与えられるように複数の熱放射部材を配置し、熱放射部材を熱反射部材で囲うことにより乾燥装置を構成していた。また、熱反射部材の裏面側と乾燥領域への空気経路を設けて、熱反射部材の冷却と記録媒体の乾燥促進を図っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラテン部を加熱する方式は、印字ヘッドをも加熱することになり、印字ヘッド上のインクの乾燥を助長し、印字ヘッド各ノズルの吐出不良を引き起こす問題があった。この現象は、印字ヘッドをキャリッジに搭載し、印字ヘッドが記録紙の搬送方向と直角方向に移動して印刷するシリアル方式のプリンタにおいては影響が少ないものの、ヘッドが移動しないライン方式のプリンタにおいては顕著である。
【0004】
また、近赤外線ランプなどの熱放射部材を複数個配置し、乾燥領域に温風を送風して記録媒体の乾燥を促進する方式では、近赤外線ランプの温度が高いために、乾燥領域内の紙粉が舞うことにより近赤外線ランプに接近、接触し燃えてしまい危険であると共に、紙粉の燃えかすがランプ表面に付着することでランプの熱放射量が低下し、記録媒体への乾燥効率も低下する。なお、インクの乾燥により発生する蒸気は、送風によりある程度は装置外に排出されるものの、紙粉と同様に近赤外線ランプに接触付着することでランプの熱放射量が低下し、記録媒体への乾燥効率も低下する。
【0005】
本発明の目的は上述の問題点を解決して、印刷速度が速いプリンタに対しても装置を大型化することなく安定してインクを乾燥・定着することであり、これによって印刷品質の向上を図ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、乾燥手段に保護カバーを設けるとともに、保護カバーを定期的に清掃するためのクリーニング手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェットプリンタの乾燥装置の実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明の乾燥装置を搭載したインクジェットプリンタの概略構成を示す側面図である。100はインクジェットプリンタ、1はラインヘッド、50,60,70は乾燥装置である。ラインヘッド1はインク滴をノズルから吐出させて画像を形成するための印字ノズルを印刷幅全域に有している。また、カラー印刷を行う場合は、ラインヘッド1はクロ用ラインヘッド11、シアン用ラインヘッド12、マゼンダ用ラインヘッド13、イエロー用ラインヘッド14により構成される。各ラインヘッドのノズル面はプラテン2上に所定の隙間を保って図示しない固定機構により支持されている。記録媒体である用紙3の浮き上がりによるヘッドへの接触防止とインク滴の用紙への着弾位置精度を上げるため、プラテン2には多数の孔4を開け、ブロア5で吸引することによりプラテン2下部を負圧にして用紙3をプラテン2に吸着させている。
【0008】
ラインヘッド1による高速印刷、高速搬送のインクジェットプリンタ100で使用される連続紙は、印刷直後の用紙3を折りたたむ、もしくは巻き取ることが必要であり、印刷されたインクが用紙3の他の部分へ転写することによる印刷品質の低下を防止するためには、インクの乾燥・定着を短時間に、かつ確実に行う必要がある。第1の乾燥手段である乾燥装置50は、ヒータ板51にヒータ52を取り付けた構成であり、用紙3を非記録面側から加熱し、用紙3の含水率を低下させることによりインクの乾燥を促進させる。ヒータ板51のヒータ52は、シースヒータ、板状ヒータなどヒータ板51に直接取り付けるタイプのヒータであれば何を使用しても構わない。
【0009】
第2の乾燥手段である乾燥装置60は、円筒状の赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eを赤外線ヒータ固定カバー63に取り付けた構成であり、印刷後の用紙3を記録面側から非接触で加熱し、インクを乾燥・定着させる。赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eは、インク乾燥に効果の大きい最大エネルギ波長が2.0〜2.5μm程度の近赤外線に近い中波長の赤外線ヒータが望ましい。なお、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの石英管の汚れを保護するために保護カバー62を設け、保護カバー62の汚れはワイパー61で拭き取ることで乾燥効率の低下及び乾燥むらを防止している。なお、保護カバー62は、赤外線の透過率の高い石英ガラス、若しくは類似の性能を持つ透明のガラスで構成することが好ましい。
【0010】
乾燥装置70は、乾燥装置60と近接する位置に設けられており、用紙3の下部に設けたカバー66と保護カバー62とで流路を形成し、保護カバー62の上流側から熱風を送風する構成であり、熱風により用紙3の記録面側からインクを乾燥・定着させる。用紙3の記録面側に熱風を送風することにより、用紙3の温度を上昇させてインクが用紙3に浸透し乾燥する効果を促進するだけでなく、インク水分の気化熱による用紙3表面の温度低下を防止する。また、送風によりインク蒸気を排除することによりインク水分の蒸発を容易にさせ、インクの乾燥・定着を促進する。熱風は、ヒータ72による熱をファン73によって送風することによって得られる。なお、ヒータ板51、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65e及び保護カバー62は、用紙3にラインヘッド1により印刷される幅方向の全領域を含む幅を有している。
【0011】
次に、本発明の乾燥装置を搭載したインクジェットプリンタの印刷時の動作について説明する。用紙3は図示しない駆動装置によって搬送されてインクジェットプリンタ100内に給紙される。用紙3は連続紙であるため、用紙の特定位置が装置内を移動する際の動作説明となる。また、連続紙は用紙の両端にピン孔のある連続紙、ピン孔のないピンレス連続紙どちらでも構わない。使用する連続紙に見合った用紙駆動搬送を行うことで用紙搬送は達成される。なお、用紙搬送は、用紙テンションの管理が容易なロールツーロールが一般的に採用されている。
【0012】
用紙3はインクジェットプリンタ100内に給紙された後、矢印A方向に搬送され、乾燥装置50によって用紙3の非記録面側から加熱され、保存状態に依存して用紙3内に含まれている余分な水分を取り除く調質を行う。用紙3の調質を行う温度は、用紙搬送速度、ヒータ板51の用紙搬送方向長さ、及びヒータ52の温度により決定される。ヒータ52の温度は、温度検出素子55、例えば測温抵抗体や熱電対により測定され、図示しない温度調整器により設定温度に制御される。
【0013】
調質された用紙3は、プラテン2に吸着されながら搬送され、ラインヘッド1のノズルからインクを噴射することにより文字や図形などの印刷を行う。用紙3を調質したことにより、用紙3の含水率が低下し用紙温度も常温よりも高くなっているため、用紙3への印刷直後からインクの浸透乾燥と蒸発乾燥がすばやく始まる。ただし、プラテン2は加熱していないため、ラインヘッド1への熱的悪影響は無視できるレベルである。
【0014】
印刷された用紙3上のインクは、乾燥装置60と70部を搬送されて乾燥・定着される。乾燥装置60は、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの輻射熱により、用紙3の記録面側から加熱しインクを乾燥させる。乾燥装置70は、熱風により用紙3の記録面の加熱とインク蒸気の排除を行い、インクの乾燥を加速させる。用紙3の乾燥・定着は、用紙搬送速度、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eと保護カバー62の用紙搬送方向長さ、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの出力と用紙3との設置間隔、及び熱風の温度、風量により決定される。赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの出力と用紙3との設置間隔で決定される乾燥能力は、前もって測定を行い、用紙3の種類、坪量に応じて電圧により出力を調整する。また、熱風の温度及び風量は、用紙搬送速度により変更することが適切であるが、高速搬送域では一定であっても差し障りはない。ヒータ72の温度は、温度検出素子75、例えば測温抵抗体や熱電対により測定され、図示しない温度調整器により設定温度に制御される。
【0015】
乾燥装置60と70により印刷後のインクを乾燥・定着された用紙3は、図示しない駆動装置によって駆動搬送されてインクジェットプリンタ100から排紙される。
【0016】
本実施例では、乾燥装置50、プラテン2及び乾燥装置60を直線に配置したが、乾燥装置50、プラテン2の部材と用紙3との密着性を増すために、それぞれの部材に曲率を持たせて配置しても良い。また、乾燥装置60と70は90度傾斜させ、縦に配置しても良い。なお、乾燥装置70は、用紙3の搬送方向下流側に配置しても良く、特に乾燥装置60を縦に配置した場合には、下流側からの送風が有効である。
【0017】
以上は、用紙3が搬送されながら印刷、乾燥される定常動作について説明を行ったが、次に、保護カバー62のクリーニングについて説明する。
【0018】
赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eは、用紙3に印刷されたインクを効果的に乾燥させるために用紙3にある程度近づける必要がある。搬送中の用紙上のインクを効果的に乾燥させる距離に用紙3がある場合には、搬送停止時には用紙3が必要以上に加熱されるため、用紙3を保護する必要がある。このため、用紙停止時には図1に示すように、図示しない駆動機構により乾燥装置60をY方向に退避させる。乾燥装置60を退避した状態で保護カバー62のクリーニングを行う。
【0019】
保護カバー62のクリーニングの頻度は、インクジェットプリンタ100の電源ON、OFF時のほか、ラインヘッド1のメンテナンス時、オペレータが要求した時である。なお、インクジェットプリンタ100は、印刷を確実に行うために連続して印刷できる時間を制約しており、一定時間経過後にラインヘッド1の全ノズルを対象にしたリフレッシュ動作と呼ばれるメンテナンスを行う必要がある。
【0020】
保護カバー62のクリーニング動作を図2を用いて説明する。図2は本発明の乾燥装置のクリーニング手段の一実施例を示す斜視図である。図2に示すように、乾燥装置60の退避位置で保護カバー62のクリーニング動作を行う。なお、乾燥装置60の退避位置は、保護カバー62の下端がワイパー61のワイパー材161aとワイパー材261bの上端とオーバラップする位置である。ワイパー61の動作方向は、用紙3の搬送方向Aと逆方向であり、図で示すX方向に図示しない駆動機構により直動する。ワイパー61は、ワイパー材固定具61cに取り付けられたワイパー材161aとワイパー材261bにより構成される。ワイパー材161aは、多孔質ゴムや軟質パッドが効果的であり、インク蒸気や紙粉のふき取りを行う。ワイパー材261bは、ネオプレンゴムなど一般的に使用されるゴム材で可能であり、ふき取りの仕上げを行う。保護カバー62全長のクリーニング動作終了後に、図示しない駆動装置により乾燥装置60をさらに退避させることにより、保護カバー62の下端とワイパー61のワイパー材161aとワイパー材261bの上端とを離間させ、ワイパー61を図示しない駆動装置により定位置に復帰させる。これら一連のクリーニング動作により、保護カバー62に付着したインク蒸気による汚れや紙粉による汚れは清掃され、保護カバー62の汚れに起因する乾燥効率の低下や乾燥むらは解消される。
【0021】
なお、本実施例では、ワイパー61によるクリーニング動作は直動方式であるが、スウィングタイプであっても構わない。ただし、保護カバー62の赤外線透過部の汚れを完全に清掃するにはワイパー61が2ヶ所必要となる。また、赤外線ヒータを用紙3の上下方向、すなわち対向配置とすることにより、乾燥装置60の長さを半分にすることも可能である。この場合には、乾燥装置60の退避機構及び保護カバー62のクリーニング手段は2セット必要となる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、低速のシリアルインクジェットプリンタのみならず、ラインヘッドを用いた高速印刷、高速搬送を行うインクジェットプリンタにおいても、赤外線ヒータの汚れに起因する記録媒体の乾燥不足及び乾燥むらを防止し、印字品質を落とすことなくインクの乾燥・定着が確実にできるプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥装置を備えたインクジェットプリンタの概略側面図。
【図2】本発明の乾燥装置におけるクリーニング手段の実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
100はインクジェットプリンタ、1はラインヘッド、2はプラテン、3は用紙、4は孔、5はブロア、11はクロ用ラインヘッド、12はシアン用ラインヘッド、13はマゼンダ用ラインヘッド、14はイエロー用ラインヘッド、50、60、70は乾燥装置、51はヒータ板、52、72はヒータ、73はファン、55、75は温度検出素子、61はワイパー、61aはワイパー材1、61bはワイパー材2、61cはワイパー材固定具、62は保護カバー、63は赤外線ヒータ固定カバー、65a、65b、65c、65d、65eは赤外線ヒータ、66はカバーである。
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに関し、詳しくはラインヘッドにより記録媒体に印刷されたインクを短時間で乾燥定着させ、印刷品質の向上を図るインク乾燥手段とインク乾燥手段の乾燥性能の低下防止策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットプリンタは、特にパーソナルユース向けの印刷速度が比較的低速のプリンタでは、インク及び記録媒体の改良により乾燥時間が短縮されたこともあり、乾燥手段を設けず自然乾燥によるものが主体であった。しかし、記録媒体に印字されたインクを乾燥させる手段としては種々の方式が提案されている。最も一般的な方法は、インクの乾燥を促進させるために、印字ヘッドに対向して設けられたプラテンを加熱し記録媒体上に印刷されたインクを乾燥させる方式である。また、印刷後の記録媒体を非接触で加熱乾燥する方式として、特開2000−211116号が提案されている。特開2000−211116号公報に開示されているように、乾燥領域内において記録媒体に対して略均一に熱エネルギーが与えられるように複数の熱放射部材を配置し、熱放射部材を熱反射部材で囲うことにより乾燥装置を構成していた。また、熱反射部材の裏面側と乾燥領域への空気経路を設けて、熱反射部材の冷却と記録媒体の乾燥促進を図っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラテン部を加熱する方式は、印字ヘッドをも加熱することになり、印字ヘッド上のインクの乾燥を助長し、印字ヘッド各ノズルの吐出不良を引き起こす問題があった。この現象は、印字ヘッドをキャリッジに搭載し、印字ヘッドが記録紙の搬送方向と直角方向に移動して印刷するシリアル方式のプリンタにおいては影響が少ないものの、ヘッドが移動しないライン方式のプリンタにおいては顕著である。
【0004】
また、近赤外線ランプなどの熱放射部材を複数個配置し、乾燥領域に温風を送風して記録媒体の乾燥を促進する方式では、近赤外線ランプの温度が高いために、乾燥領域内の紙粉が舞うことにより近赤外線ランプに接近、接触し燃えてしまい危険であると共に、紙粉の燃えかすがランプ表面に付着することでランプの熱放射量が低下し、記録媒体への乾燥効率も低下する。なお、インクの乾燥により発生する蒸気は、送風によりある程度は装置外に排出されるものの、紙粉と同様に近赤外線ランプに接触付着することでランプの熱放射量が低下し、記録媒体への乾燥効率も低下する。
【0005】
本発明の目的は上述の問題点を解決して、印刷速度が速いプリンタに対しても装置を大型化することなく安定してインクを乾燥・定着することであり、これによって印刷品質の向上を図ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、乾燥手段に保護カバーを設けるとともに、保護カバーを定期的に清掃するためのクリーニング手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェットプリンタの乾燥装置の実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明の乾燥装置を搭載したインクジェットプリンタの概略構成を示す側面図である。100はインクジェットプリンタ、1はラインヘッド、50,60,70は乾燥装置である。ラインヘッド1はインク滴をノズルから吐出させて画像を形成するための印字ノズルを印刷幅全域に有している。また、カラー印刷を行う場合は、ラインヘッド1はクロ用ラインヘッド11、シアン用ラインヘッド12、マゼンダ用ラインヘッド13、イエロー用ラインヘッド14により構成される。各ラインヘッドのノズル面はプラテン2上に所定の隙間を保って図示しない固定機構により支持されている。記録媒体である用紙3の浮き上がりによるヘッドへの接触防止とインク滴の用紙への着弾位置精度を上げるため、プラテン2には多数の孔4を開け、ブロア5で吸引することによりプラテン2下部を負圧にして用紙3をプラテン2に吸着させている。
【0008】
ラインヘッド1による高速印刷、高速搬送のインクジェットプリンタ100で使用される連続紙は、印刷直後の用紙3を折りたたむ、もしくは巻き取ることが必要であり、印刷されたインクが用紙3の他の部分へ転写することによる印刷品質の低下を防止するためには、インクの乾燥・定着を短時間に、かつ確実に行う必要がある。第1の乾燥手段である乾燥装置50は、ヒータ板51にヒータ52を取り付けた構成であり、用紙3を非記録面側から加熱し、用紙3の含水率を低下させることによりインクの乾燥を促進させる。ヒータ板51のヒータ52は、シースヒータ、板状ヒータなどヒータ板51に直接取り付けるタイプのヒータであれば何を使用しても構わない。
【0009】
第2の乾燥手段である乾燥装置60は、円筒状の赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eを赤外線ヒータ固定カバー63に取り付けた構成であり、印刷後の用紙3を記録面側から非接触で加熱し、インクを乾燥・定着させる。赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eは、インク乾燥に効果の大きい最大エネルギ波長が2.0〜2.5μm程度の近赤外線に近い中波長の赤外線ヒータが望ましい。なお、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの石英管の汚れを保護するために保護カバー62を設け、保護カバー62の汚れはワイパー61で拭き取ることで乾燥効率の低下及び乾燥むらを防止している。なお、保護カバー62は、赤外線の透過率の高い石英ガラス、若しくは類似の性能を持つ透明のガラスで構成することが好ましい。
【0010】
乾燥装置70は、乾燥装置60と近接する位置に設けられており、用紙3の下部に設けたカバー66と保護カバー62とで流路を形成し、保護カバー62の上流側から熱風を送風する構成であり、熱風により用紙3の記録面側からインクを乾燥・定着させる。用紙3の記録面側に熱風を送風することにより、用紙3の温度を上昇させてインクが用紙3に浸透し乾燥する効果を促進するだけでなく、インク水分の気化熱による用紙3表面の温度低下を防止する。また、送風によりインク蒸気を排除することによりインク水分の蒸発を容易にさせ、インクの乾燥・定着を促進する。熱風は、ヒータ72による熱をファン73によって送風することによって得られる。なお、ヒータ板51、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65e及び保護カバー62は、用紙3にラインヘッド1により印刷される幅方向の全領域を含む幅を有している。
【0011】
次に、本発明の乾燥装置を搭載したインクジェットプリンタの印刷時の動作について説明する。用紙3は図示しない駆動装置によって搬送されてインクジェットプリンタ100内に給紙される。用紙3は連続紙であるため、用紙の特定位置が装置内を移動する際の動作説明となる。また、連続紙は用紙の両端にピン孔のある連続紙、ピン孔のないピンレス連続紙どちらでも構わない。使用する連続紙に見合った用紙駆動搬送を行うことで用紙搬送は達成される。なお、用紙搬送は、用紙テンションの管理が容易なロールツーロールが一般的に採用されている。
【0012】
用紙3はインクジェットプリンタ100内に給紙された後、矢印A方向に搬送され、乾燥装置50によって用紙3の非記録面側から加熱され、保存状態に依存して用紙3内に含まれている余分な水分を取り除く調質を行う。用紙3の調質を行う温度は、用紙搬送速度、ヒータ板51の用紙搬送方向長さ、及びヒータ52の温度により決定される。ヒータ52の温度は、温度検出素子55、例えば測温抵抗体や熱電対により測定され、図示しない温度調整器により設定温度に制御される。
【0013】
調質された用紙3は、プラテン2に吸着されながら搬送され、ラインヘッド1のノズルからインクを噴射することにより文字や図形などの印刷を行う。用紙3を調質したことにより、用紙3の含水率が低下し用紙温度も常温よりも高くなっているため、用紙3への印刷直後からインクの浸透乾燥と蒸発乾燥がすばやく始まる。ただし、プラテン2は加熱していないため、ラインヘッド1への熱的悪影響は無視できるレベルである。
【0014】
印刷された用紙3上のインクは、乾燥装置60と70部を搬送されて乾燥・定着される。乾燥装置60は、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの輻射熱により、用紙3の記録面側から加熱しインクを乾燥させる。乾燥装置70は、熱風により用紙3の記録面の加熱とインク蒸気の排除を行い、インクの乾燥を加速させる。用紙3の乾燥・定着は、用紙搬送速度、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eと保護カバー62の用紙搬送方向長さ、赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの出力と用紙3との設置間隔、及び熱風の温度、風量により決定される。赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eの出力と用紙3との設置間隔で決定される乾燥能力は、前もって測定を行い、用紙3の種類、坪量に応じて電圧により出力を調整する。また、熱風の温度及び風量は、用紙搬送速度により変更することが適切であるが、高速搬送域では一定であっても差し障りはない。ヒータ72の温度は、温度検出素子75、例えば測温抵抗体や熱電対により測定され、図示しない温度調整器により設定温度に制御される。
【0015】
乾燥装置60と70により印刷後のインクを乾燥・定着された用紙3は、図示しない駆動装置によって駆動搬送されてインクジェットプリンタ100から排紙される。
【0016】
本実施例では、乾燥装置50、プラテン2及び乾燥装置60を直線に配置したが、乾燥装置50、プラテン2の部材と用紙3との密着性を増すために、それぞれの部材に曲率を持たせて配置しても良い。また、乾燥装置60と70は90度傾斜させ、縦に配置しても良い。なお、乾燥装置70は、用紙3の搬送方向下流側に配置しても良く、特に乾燥装置60を縦に配置した場合には、下流側からの送風が有効である。
【0017】
以上は、用紙3が搬送されながら印刷、乾燥される定常動作について説明を行ったが、次に、保護カバー62のクリーニングについて説明する。
【0018】
赤外線ヒータ65a、65b、65c、65d、65eは、用紙3に印刷されたインクを効果的に乾燥させるために用紙3にある程度近づける必要がある。搬送中の用紙上のインクを効果的に乾燥させる距離に用紙3がある場合には、搬送停止時には用紙3が必要以上に加熱されるため、用紙3を保護する必要がある。このため、用紙停止時には図1に示すように、図示しない駆動機構により乾燥装置60をY方向に退避させる。乾燥装置60を退避した状態で保護カバー62のクリーニングを行う。
【0019】
保護カバー62のクリーニングの頻度は、インクジェットプリンタ100の電源ON、OFF時のほか、ラインヘッド1のメンテナンス時、オペレータが要求した時である。なお、インクジェットプリンタ100は、印刷を確実に行うために連続して印刷できる時間を制約しており、一定時間経過後にラインヘッド1の全ノズルを対象にしたリフレッシュ動作と呼ばれるメンテナンスを行う必要がある。
【0020】
保護カバー62のクリーニング動作を図2を用いて説明する。図2は本発明の乾燥装置のクリーニング手段の一実施例を示す斜視図である。図2に示すように、乾燥装置60の退避位置で保護カバー62のクリーニング動作を行う。なお、乾燥装置60の退避位置は、保護カバー62の下端がワイパー61のワイパー材161aとワイパー材261bの上端とオーバラップする位置である。ワイパー61の動作方向は、用紙3の搬送方向Aと逆方向であり、図で示すX方向に図示しない駆動機構により直動する。ワイパー61は、ワイパー材固定具61cに取り付けられたワイパー材161aとワイパー材261bにより構成される。ワイパー材161aは、多孔質ゴムや軟質パッドが効果的であり、インク蒸気や紙粉のふき取りを行う。ワイパー材261bは、ネオプレンゴムなど一般的に使用されるゴム材で可能であり、ふき取りの仕上げを行う。保護カバー62全長のクリーニング動作終了後に、図示しない駆動装置により乾燥装置60をさらに退避させることにより、保護カバー62の下端とワイパー61のワイパー材161aとワイパー材261bの上端とを離間させ、ワイパー61を図示しない駆動装置により定位置に復帰させる。これら一連のクリーニング動作により、保護カバー62に付着したインク蒸気による汚れや紙粉による汚れは清掃され、保護カバー62の汚れに起因する乾燥効率の低下や乾燥むらは解消される。
【0021】
なお、本実施例では、ワイパー61によるクリーニング動作は直動方式であるが、スウィングタイプであっても構わない。ただし、保護カバー62の赤外線透過部の汚れを完全に清掃するにはワイパー61が2ヶ所必要となる。また、赤外線ヒータを用紙3の上下方向、すなわち対向配置とすることにより、乾燥装置60の長さを半分にすることも可能である。この場合には、乾燥装置60の退避機構及び保護カバー62のクリーニング手段は2セット必要となる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、低速のシリアルインクジェットプリンタのみならず、ラインヘッドを用いた高速印刷、高速搬送を行うインクジェットプリンタにおいても、赤外線ヒータの汚れに起因する記録媒体の乾燥不足及び乾燥むらを防止し、印字品質を落とすことなくインクの乾燥・定着が確実にできるプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥装置を備えたインクジェットプリンタの概略側面図。
【図2】本発明の乾燥装置におけるクリーニング手段の実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
100はインクジェットプリンタ、1はラインヘッド、2はプラテン、3は用紙、4は孔、5はブロア、11はクロ用ラインヘッド、12はシアン用ラインヘッド、13はマゼンダ用ラインヘッド、14はイエロー用ラインヘッド、50、60、70は乾燥装置、51はヒータ板、52、72はヒータ、73はファン、55、75は温度検出素子、61はワイパー、61aはワイパー材1、61bはワイパー材2、61cはワイパー材固定具、62は保護カバー、63は赤外線ヒータ固定カバー、65a、65b、65c、65d、65eは赤外線ヒータ、66はカバーである。
Claims (2)
- 常温で液体のインク滴を印字ノズルから噴射して記録媒体上の印刷幅全域に印刷するラインヘッドと、該ラインヘッドの上流側に位置し、記録媒体の非記録面側から前記記録媒体を加熱乾燥させる第1の乾燥手段と、前記ラインヘッドの下流側に位置し、印刷後の前記記録媒体の記録面側から非接触で前記記録媒体を加熱乾燥させる第2の乾燥手段とを有するインクジェットプリンタにおいて、前記第2の乾燥手段を保護する保護カバーと該保護カバーを清掃するクリーニング手段とを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタの乾燥装置。
- 常温で液体のインク滴を印字ノズルから噴射して記録媒体上の印刷幅全域に印刷するラインヘッドと、該ラインヘッドの下流側に位置し、印刷後の前記記録媒体の記録面側から非接触で前記記録媒体を加熱乾燥させる乾燥手段とを有するインクジェットプリンタにおいて、前記乾燥手段を保護する保護カバーと該保護カバーを清掃するクリーニング手段とを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタの乾燥装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-08-09 JP JP2002233397A patent/JP2004074415A/ja active Pending
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