JP4098954B2 - 記録液、インクジェット記録方法及び記録用機器 - Google Patents

記録液、インクジェット記録方法及び記録用機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用に適した記録液、特に、所謂普通紙に対する画像形成に有用な記録液に関し、水性筆記用具、記録計、ペンプロッター用水性インク組成物に応用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンターにおいて普通紙への印字適正、特に耐水・耐光性について堅牢性を向上させる目的での種種の検討がなされてきている。特に、色材として顔料を用いたインクを用いたインクジェットプリンター、プロッターが上市されているが、染料インクに比べ目詰まりの発生等信頼性の問題があった。また、特に濡れ性等を制御する目的で浸透性の高い溶剤を添加しようとすると、分散剤の特性変化により顔料の凝集が発生する場合があった。そこでUSP5571311号明細書、特表平10−510862号公報には、カーボンブラックをジアゾニウム基を有する化合物で表面処理を施しカルボン酸、スルホン酸を官能基として導入し、再分散性、分散安定性を向上し信頼性を向上したインクが提案されている。さらに、このものを用いて間欠試験における1滴目の吐出安定性を改良するために、トリメチロールプロパン、尿素誘導体等を添加したインクがUSP5976233号明細書、特開平10−3300665号公報等に開示されている。また、カラー用の有機顔料についてもUSP5571311号明細書等記載技術の場合と同様にして、表面処理によりカルボン酸、スルホン酸基の導入された顔料がUSP5922118号明細書に開示されている。またスルファミン酸により酸化処理された有機顔料を用いることが、特開平10−273606号公報に開示されており、スルホン化剤によるFriedel−Crafts反応により、スルホン酸基の導入された有機顔料を用いることが特開平11−246807号公報に開示されている。
【0003】
これら顔料は、分散剤を使用しなくとも分散安定性が得られるが、高分子分散剤等を用いないため記録紙への定着性が問題となる。この点を改善するため、界面活性剤の添加により、耐擦過性の良いインクが特開平11−181340号公報に開示されている。
このインクではノズル目詰まり性及び対腐食性を改善する目的でグッド緩衝剤であるN,N−ビス(ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸とNaOHの添加によりpHを7.5〜8.9に調整している。
また、水可溶化性基が導入された顔料の対イオンをナトリウムから第4級アンモニウムに置換するとともに、不純物の精製を限外濾過法により施したインクが特開平11−222573号公報に記載されている。
これらにより信頼が改善されたインクが検討されてきたが、表面処理を施した顔料特有の高温度放置におけるpHの低下による吐出特性や保存性の変化については十分に検討されていなかった。熱エネルギーを介して吐出するインクにおいての熱素子の長期駆動の耐久性やシリコンやガラス部材及び/またはニッケル、SUS等の金属部材からなる液室・供給部を有するヘッドへの接液性については温度変化による著しいpHの低下といったインクそのものの劣化があり、さらに腐食・侵食が発生し、吐出特性等に悪影響を及ぼしていた。
【0004】
一方、染料系インクでは発熱素子の腐食・コゲーションの防止に対して燐酸塩等の添加がUSP50623892号明細書、USP5389131号明細書や特開平7−268665号公報に開示されており、硫酸塩を0.1〜1重量%、水酸化物が0.1〜1重量%含むことで防止するものが特開平7−102389号公報に開示されている。しかしながら、顔料系にこれらを単純に適用すると顔料の凝集が起こる等の問題があった。
また、特定の染料との組み合わせでpH安定性の問題を解決するために、pH緩衝剤として硼酸ナトリウム、N−トリス(ヒドロキシ)メチル−2アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)グリシン、トリエタノールアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノエタンを添加するインクが特開平4−226175号公報に開示されている。また、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−N−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸及びグリシンから選ばれる少なくとも1種の化合物とアルカリ金属水酸化物または炭酸化物を含有しpHを9.5−9.8に調整し、60℃1週間放置後もpH低下が少ないインクが特開平8−41398号公報に開示されている。しかしながら、これらの公報では特定の染料についてのpH安定性に関わり、染料そのものも緩衝作用をある程度有している。また、染料と有機性弱塩基性物質として2−アミノ−1,3−プロパンジオール誘導体を含有し、pH8〜10に調整されたインクが特開平9−268267号公報に開示されている。これら染料にも緩衝性があり、60℃保存後もpHを9〜9.3に保つことを可能としている。
【0005】
これらに対して表面処理を施した顔料ではイオン強度が高くなると凝集することがあるため、できるだけ解離基を有する低分子化合物を限外濾過等の方法で除去することにより安定性を確保している。
また、分散剤を使用する顔料インクについて、特開平4−149286号公報にpH6以下のカーボンブラックを用いて緩衝液を使用してインクpHを6より高く8未満としたインクが開示されている。分散剤分散のカーボンブラックでは、自己分散顔料に比べ再分散性が悪いといった問題があった。
また、初期充填性を改良する目的や溶存気体の温度変化による発泡を抑える目的でカートリッジに脱気したインクが用いられているが、ヘッド接液部材への耐久性を含めた検討は十分に検討なされていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、色材として表面処理を施された顔料を含有するインクでの保存安定性を向上し、プリンターシステム内での接液する部材の耐久性を向上することを目的とする。
本発明の第2の目的は、色材として表面処理を施された顔料を含有するインクで、特に大気開放された場合でも、安定したインク物性を有するインクをヘッドに供給できるインク処方を提供することにある。
本発明の第3の目的は、特に好ましいインク添加物の態様を示すことで顔料の環境変化による凝集が発生しにくい顔料インクを提供することにある。
本発明の第4の目的は、特に好ましい表面処理顔料の態様を示すことで耐水性が良好で文字滲み、カラー境界の滲みが少ない高信頼性の顔料インクを提供することにある。
本発明の第5の目的は、耐目詰まり性に優れ、かつヘッド内部のフルター等の寿命を長期にわたって維持可能な顔料インクを提供することにある。
本発明の第6の目的は、吐出特性を安定にするための好ましい粘度調整用のインク添加物を開示することにある。
本発明の第7の目的は、記録紙への濡れ性を改善しスミヤーの発生を抑え定着性を改善する添加物を開示することにある。
本発明の第8の目的は、普通紙等への高速高画質を行える記録方法を提供することにある。
本発明の第9の目的は、該インクを収容し安定に装置に供給する記録用カートリッジを提供することにある。
本発明の第10の目的は、該インクを用いて普通紙等へ高速高画質のカラー画像が供給できる記録方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「色材として表面処理を施された顔料を含有し、これを分散する水溶性有機溶剤と水を含有し、下記A)より選択された有機pH緩衝剤と下記B)から選ばれた少なくとも1つの化合物を含有し、前記顔料は、アニオン性解離基を導入した自己分散型顔料であることを特徴とする記録液;
A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、Bicine、CAPS、TAPSから選ばれる少なくとも1つの有機pH緩衝剤
B)第4級アルキルアンモニウム水酸化物、第4級アルキルホスホニウム水酸化物から選ばれた一つの塩基性有機化合物からなるpH調整剤」、(2)「インクの溶存空気量が20℃、1気圧において0.0001ml/ml−0.02ml/mlであり、該インクのpHが8〜11であることを特徴とする前記第(1)項記載の記録液」、(3)「アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウムが下記式(I)であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の記録液;
【0008】
【化2】
Figure 0004098954
(L:窒素またはリン、R〜R :炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基)」、(4)「表面処理した顔料がカルボン酸基が導入された自己分散型カーボンであり、含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載の記録液」、(5)「前記第(4)項に記載の自己分散型カーボンの粒径が10〜300nmに分布を持ち数平均粒子径が15〜110nmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れか1に記載の記録液」、(6)「記録液の水溶性有機溶剤がグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも一つ以上の水溶性有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の記録液」、(7)「記録液がさらにポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体、フッ素系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有したことを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れか1に記載の記録液」、(8)「記録液がさらに炭素数6以上のジオールとアルキルエーテルを含有したことを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れか1に記載の記録液」により達成される。
【0009】
また、上記課題は、本発明の(9)「前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の記録液にエネルギーを与えて、記録液を滴化させ飛翔させて記録を行なうことを特徴とするインクジェット記録方法」、(10)「前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の記録液に熱エネルギーを作用させて、記録液を吐出することを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録方法」、(11)「前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の記録液に機械エネルギーを作用させて記録液を吐出することを特徴とする前記第(6)項に記載のインクジェット記録方法」により達成される。
【0010】
さらにまた、上記課題は、本発明の(12)「記録液を収容した記録液収容部を備えた記録液カートリッジにおいて、前記記録液が前記第(1)項乃至第(8)項の何れか1に記載の記録液であることを特徴とする記録液カートリッジ」、(13)「記録液を収容した記録液収容部あるいは記録液カートリッジ、該記録液を熱エネルギーの作用により滴化し吐出させるためのヘッド部あるいは記録ユニットを備えたインクジェット記録装置において、前記記録液が前記第(1)項乃至第(8)項の何れか1に記載の記録液であることを特徴とする記録装置」により達成される。
【0011】
本発明では、従来の分散剤分散型顔料インクに比べ、信頼性の改善された表面処理の施された顔料を用いる際の不具合を解消し、高耐久性のインクジェットシステムを提供することを可能とするインク処方を提供することに関する。
本発明のインクは、PZTによる圧力を用いたもの、静電気力により撓ませた振動板により吐出するもの、膜沸騰を利用したバブルジェット方式のドロップオンディマンドインクジェットプリンターはもとより、インクを荷電するとともにPZTで振動させるいわゆる荷電制御方式のいずれのプリンターにも良好に使用できる。特に信頼性の高さから20μm以下のノズル径の小さなものでも安定に吐出できる。
【0012】
本発明者らは、表面処理の施された顔料について検討してきたところ、従来の分散剤タイプの顔料に比べ、空気中の炭酸ガスの影響がなくともインクpHが低下し易いという問題点があることを見い出し、さらに、この点について、下記(A)から(B)群の化合物の添加により分散安定性を損なうことなく改善できることを見出した。
ここで、「表面処理の施された顔料」とは、強酸化剤で表面処理し、改ざんした顔料、スルホン化処理を施した顔料、ジアゾ化合物等の負極性物質の強制付着処理を施した顔料、プラズマ処理、イオン打ち込み処理、強制陽極酸化処理、空気中での高周波処理、負極性物質のプレーティング処理のような表面処理を施した顔料を意味し、従って、本明細書でいう「表面処理の施された顔料」は、一般的に、イオン結合、共有結合等の化学結合と、吸着、収着等の付着とがその比率にして併存しており、かつ処理の際に発生または随伴する不純物を強く付着していることもあると思われる。
pH低下の原因は、カーボンブラックを用いたものの場合は、カーボンの不純物由来の酸等や未反応物の影響が考えられるが解明はされていない。このpH低下は、温度が高いと著しく発生し、輸送時で高温となることを考慮すると、接液部材の耐久性を落とす酸発生が問題とされる。
そこで、インク中への酸発生によるpH低下を緩衝剤にて抑えようとした場合、従来から知られる硼酸塩の添加ではイオン吸着のためによると思われるζ電位の低下による凝集が発生してしまう。
そこで、顔料表面への吸着が少なくpH緩衝性を付与する必要がある。種々の緩衝剤を検討したところ、顔料の分散性を損なわない緩衝剤として(A)群の化合物が好ましいことが明らかとなった。
【0013】
(A)群、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノメチル-1,3−プロパンジオール及びグッド緩衝剤から選ばれる少なくとも1つの有機pH緩衝剤。
グッド緩衝剤
ACES:化学名 N−(2−Acetamido)−2−aminoethanesulfonic acid
【0014】
【化3】
2NCOCH2NHCH2CH2SO3H ――――(1)
ADA:化学名 N−(2−Acetamido)iminodiaceticacid
【0015】
【化4】
2NCOCH2N(CH2COOH)2 ――――(2)
BES:化学名 N,N−Bis(2−hydroxyethyl)−2−aminoethanesulfonic acid
【0016】
【化5】
(HOCH2CH22NCH2CH2SO3
Bicine:化学名 N,N−Bis(2−hydroxyethyl)glycine
【0017】
【化6】
(HOCH2CH22NCH2COOH ―――――(3)
Bis−Tris:化学名 Bis(2−hydroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methane
【0018】
【化7】
(HOCHCN(CHCHOH) ―――――(4)
CAS:化学名 N−Cyclohexyl−3−aminopropanesulfonic acid
【0019】
【化8】
Figure 0004098954
CAPSO:化学名 N−Cyclohexyl−2−hydroxy−3−aminopropanesulfonic acid
【0020】
【化9】
Figure 0004098954
CHES:化学名 N−Cyclohexyl−2−aminoethanesulfonic acid
【0021】
【化10】
Figure 0004098954
DIPSO:化学名 3−[N,N−Bis(2−hydroxyethyl)amino]−2−hydroxypropanesulfonic acid
【0022】
【化11】
Figure 0004098954
EPPS:化学名 3−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]propanesulfonic acid
【0023】
【化12】
Figure 0004098954
HEPES:化学名 2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid
【0024】
【化13】
Figure 0004098954
HEPPSO:化学名 2−Hydroxy−3−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]propanesulfonicacid, monohydrate
【0025】
【化14】
Figure 0004098954
MES:化学名 2−Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate
【0026】
【化15】
Figure 0004098954
MOPS:化学名 3−Morpholinopropanesulfonicacid
【0027】
【化16】
Figure 0004098954
MOPSO:化学名 2−Hydroxy−3−morpholinopropanesulfonic acid
【0028】
【化17】
Figure 0004098954
PIPES:化学名 Piperazine−1,4−bis(2−ethanesulfonic acid)
【0029】
【化18】
Figure 0004098954
POPSO:化学名 Piperazine−1,4−bis(2−hydroxy−3−propanesulfonic acid), dihydrate
【0030】
【化19】
Figure 0004098954
TAPS:化学名 N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid
【0031】
【化20】
(HOCH23CNHCH2CH2CH2SO3H ――――(17)
TAPSO:化学名 2−Hydroxy−N−tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid
【0032】
【化21】
Figure 0004098954
TES:化学名 N−Tris(hydroxymethyl)methyl−2−aminoethanesulfonic acid
【0033】
【化22】
(HOCH23CNHCH2CH2SO3H ――――――(19)
Tricine:化学名 N−[Tris(hydroxymethyl)methyl]glycine
【0034】
【化23】
(HOCH23CNHCH2COOH ―――――(20)
【0035】
これら(A)群の成分、即ちトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノメチル−1,3−プロパンジオール及びグッド緩衝剤から選ばれる少なくとも1つの有機pH緩衝剤について説明すると、少なくとも1つの水酸基を有し、置換アミノ基を有する炭素数5以上の塩基性有機化合物であるトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノメチル−1,3−プロパンジオールは単酸性塩基としてインク中への炭酸ガスの溶解による炭酸の増加によるpH低下と、顔料表面からのアニオン性解離基の脱離によるpH低下を押さえることができる作用があり、グッド緩衝剤は両性イオン性アミノ酸及び、少なくとも1つの水酸基を有し、置換アミノ基を有する炭素数5以上の塩基性有機化合物として同様の効果を有しpH低下を押さえることができる効果があり、アニオン解離基を直接または原子団を介して導入された顔料インクのpH低下防止剤として機能する。これらの化合物で特に好ましい化合物としては、その使用するプリンターヘッドを構成する部材にもよるが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、CAPS、CAPSO、CHESが挙げられる。これらの添加量は0.05〜10重量%、より好ましくは0.15〜5重量%添加される。0.05重量%以下ではpH低下防止効果が少なく、保存性が悪くなり、5重量%以上では粘度上昇が認められる場合がある。
【0036】
次に、本発明における(B)群のpH調整剤について説明すると、アルカリ性にするためには、通常はpH調整剤として、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が添加されるが、本発明においては(B)群の下記(I)式で示される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム及びアルカノールアミンを添加することで、(A)群の有機pH緩衝剤の機能発揮を損なうことなく、顔料表面のイオン吸着によるζ電位変化による分散破壊を抑えることができることを見出した。
【0037】
これら(B)群のpH調整剤、即ち第4級アルキルアンモニウム水酸化物、第4級アルキルホスホニウム水酸化物、アルカノールアミンから選ばれた一つの塩基性有機化合物は、インクのpHを高くする際に顔料分散を阻害することなくpH調整できる塩基性pH調整剤であり、金属部材をインク接液部に用いた場合に、腐食を押さえる目的で添加され、腐食防止材としての機能がある。
これらの中で特に好ましい化合物としては、水酸基を少なくとも1つ含んだ第4級アンモニウム、より具体的にはI−2の化合物やI−4の化合物が好ましい。また、色材の種類によっては、I−8の化合物が金属部材の侵食防止効果があり好ましい。トリエタノールアミンを用いることも好ましい。
これらの添加量は所望のpH、また用いるインク組成により異なるが、インク中のアニオンモル数に対して30%以上添加されると腐食に効果があり、インク中の組成によるが、0.001〜1重量%の範囲で添加される。1重量%以上ではインクの皮膚感作性に影響が出る場合がある。
【0038】
【化24】
Figure 0004098954
(L:窒素またはリンR〜R :炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基)
【0039】
【表1】
Figure 0004098954
【0040】
更に、本発明における(C)群の化合物として、燐酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる1つの酸性化合物有機酸としてはより具体的には酢酸、リンゴ酸、乳酸、しゅう酸が挙げることができる。本発明においては、これら(C)群の成分は、前記(A)群の成分、(B)群の成分の機能に悪影響を与えることなく、本発明の記録液の変質を長期に亘って防ぐことができる。
【0041】
これら(C)群の化合物、即ち燐酸及び炭素数5以下の有機酸から選ばれる1つの酸性化合物は、インクのpHを低くする際に顔料分散を阻害することなくpH調整できる酸性pH調整剤であり、好ましくは炭素数5以下の好ましい有機酸としては水酸機を有する乳酸、りんご酸等を用いると保存性が高い。また、粘度上昇が少ない点から酢酸を用いることも好ましい。
これらの添加量は、所望のpHまた用いるインク組成により異なるが、インク中に0.001から1重量%の範囲で添加される。0.001未満では溶出防止効果がなかったり、1重量%以上では画像特性に影響がでてくる場合がある。
特に、これら酸性pH調整剤はアルカリ側で溶解するシリコン部材等をインク排液部に用いた場合に、侵食を押さえる目的でpHを低下する目的で添加され、腐食防止機能がある。
【0042】
一般的に、インクジェット記録装置はその用途によりインク液室や供給路、インクタンクを構成する部材が異なり、特にヘッド据え置き型でインクタンクのみ交換するタイプでは部材の劣化・インク変質等による信頼性低下が問題となる。そこでそのインク記録装置の構成により、所望のpHが異なるため、本発明においては、例えば、アルカリ側で溶解するポリエステル等の樹脂部材を使用する場合は、pH6−8の中性域近傍で安定するようにインクを調整する必要があり、また、金属部材を用いる場合はpHを8−13、Ni等を使用する場合は通常pHを9〜12に調整することが好ましい。
また、色材の種類によっても腐食特性、侵食特性が異なり、特に本発明におけるアニオン基を有する官能基が表面に結合した顔料を用いる場合は、スルホン酸等の脱離による接液性への影響を押さえる必要がある。
次表に、本発明を実施する上で一応の目安となるpH範囲のための化合物例を示す。
【0043】
【表2−1】
Figure 0004098954
【0044】
【表2−2】
Figure 0004098954
なお、所望のpHに調整する際にpKaがその範囲にある化合物を添加することで保存安定性を高くすることができる。
【0045】
(A)群の添加剤で好ましいものとしては、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが挙げられる。
また、(B)群の添加剤で、インクの保存時の物性変化からは、少なくとも水酸基を有する第4級アンモニウム水酸化物として、I−2、I−4の化合物等が好ましく用いられる。
(C)群の添加剤について説明すると、燐酸または酢酸が熱素子を用いるタイプのサーマルインクジェット方式の吐出性から好ましく、保存性からは乳酸の使用が好ましい。
【0046】
本発明のインク中の顔料の添加量はその使用目的にもよるが、0.1〜20重量%、好ましくは、0.2〜8重量%の範囲で使用される。0.1以下では淡色インクに用いた場合でも着色力がなく、20%以上では粘度が高く吐出することが難しい。
【0047】
本発明で用いられる顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙げられる。
より具体的には、黒用顔料として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、若しくは酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を挙げることができる。
【0048】
カラーインク用顔料としては黄色インク用でC.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG),3,12(ジスアゾイエローAAA),13,14,17,23,24,34,35,37,42(黄色酸化鉄),53,55,74,81,83(ジスアゾイエローHR),95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,150,153;
マゼンタ用で、C.I.ピグメントレッド1,2,3,5,17,22(ブリリアントファーストスカーレット),23,31,38,48:2(パーマネントレッド2B(Ba)),48:2(パーマネントレッド2B (Ca)),48:3(パーマネントレッド2B(Sr)),48:4(パーマネントレッド2B(Mn)),49:1,52:2,53:1,57:1(ブリリアントカーミン6B),60:1,63:1,63:2,64:1,81(ローダミン6Gレーキ),83,88,92,101(べんがら),104,105,106,108(カドミウムレッド),112,114,122(ジメチルキナクリドン),123,146,149,166,168,170,172,177,178,179,185,190,193,209,219;
シアン用で、C.I.ピグメントブルー1,2,15(銅フタロシアニンブルーR),15:1,15:2,15:3(フタロシアニンブルーG),15:4,15:6(フタロシアニンブルーE),16,17:1,56,60,63;等を使用することができる。
また中間色としては、レッド、グリーン、ブルー用として下記顔料単独もしくは混合して用いることができる。
C.I.ピグメントレッド177,194,224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36。
【0049】
黒としてはカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、1次粒子が15nmから40nm、BET吸着法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH2〜9を有するものが使用され、特にpH6以下の酸性カーボンブラックが高濃度で好ましい。また次亜塩素酸化処理したカーボンブラックやスルホン化剤処理したカーボンブラック、ジアゾニュウム化合物にて処理してスルホン酸、カルボン酸等のアニオン性解離基を導入したカーボンブラックがさらに好ましい。イエロー顔料としてはベンチジン骨格を含まないC.I.ピグメントイエロー74,128,138が好ましい。マゼンタ顔料としてはキナクリドン系のC.I.ピグメントレッド122,209が好ましい。シアンはフタロシアニン化合物であるC.I.ピグメントブルー15:3やアルミ配位フタロシアニン、無金属フタロシアニンが好ましい。これらカラー有機顔料も表面処理によりスルホン酸基、カルボン酸基が導入された顔料はさらに分散安定性が優れ、分散剤なしに分散安定性が得られるものは自己分散顔料として好適に用いることができる。また、表面をカプセル化した顔料やポリマーをグラフトした顔料等も分散安定性に優れ信頼性の高いインクとすることができる。
【0050】
参考例1 次亜塩素酸処理したカーボンブラック1
市販のpH2.5の酸性カーボンブラック(キャボット社製 商品名モナーク1300)300gを水1000ミリリットルに良く混合した後に、次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で8時間撹拌した。この液に更に次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)100gを加え、横型分散機で3時間分散した。得られたスラリーを水で10倍に希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整し、電導度0.2mS/cmまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し、顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。遠心処理により粗大粒子を除き、さらに1ミクロンのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック分散液1とした。Fe,Ca,Siの含有量の総計がICPの測定により100ppm以下であった。また塩素イオン濃度も10ppm以下とした。マイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は95nmであった
【0051】
参考例2 スルホン化剤処理したカーボンブラック2
市販のカーボンブラック顔料(デグサ社製「プリンテックス#85」)150gをスルホラン400ml中に良く混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140〜150℃で10時間攪拌した。得られたスラリーをイオン交換水1000ml中に投入し、12000rpmで遠心分離機により表面処理カーボンブラックウエットケーキを得る。このカーボンブラックウエットケーキを2000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムにてpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮し、顔料濃度10重量%のカーボンブラック分散液とした。このものを1ミクロンのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック液2とした。Fe,Ca,Siの含有量の総計はICPの測定により100ppm以下であった。また硫酸イオン濃度も100ppm以下であった。平均粒子径は80nmであった。
【0052】
参考例3 ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液3
表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック100gと、p−アミノ−N−安息香酸34gとを水750gに混合分散し、これに硝酸16gを滴下して70℃で撹拌した。5分後、50gの水に11gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーを10倍に希釈し遠心処理し粗大粒子を除き、pHをジエタノールアミンにて調整しpH8−9とし、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。このものをポリプロピレンの0.5μmフィルターにてカーボンブラック分散液3とした。Fe,Ca,Siの含有量の総計はICPの測定により100ppm以下であった。また硝酸イオン濃度は10ppm以下であった。平均粒子径は99nmであった。
【0053】
参考例4 ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液4
例1−カーボンブラック生産品の調製
2リットルの水と43gのスルファニル酸を含む約75℃の溶液を、撹拌しながら、230m2/gの表面積と70ml/100gのDBPAを有する202gのカーボンブラックに添加した。この混合物を撹拌しながら室温まで冷やし、26.2gの濃硝酸を添加した。水中の亜硝酸ナトリウムの20.5gの溶液を添加した。4−スルホベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩を作製し、これをカーボンブラックと反応させた。発生した泡立ちが停止するまで分散系を撹拌した。得られたスラリーを希釈し、水酸化リチウムにてpHを調整しpH8−9とし
て粗大粒子を遠心処理にて除き、引き続いて限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。このものをポリプロピレンの1μmフィルターにて濾過しカーボンブラック分散液4とした。Fe,Ca,Siの含有量の総計はICPの測定により100ppm以下であった。また硝酸イオン濃度は50ppm以下であった。平均粒子径は95nmであった。
【0054】
参考例5 表面化学処理したカラー顔料分散液(イエロー分散液1、マゼンタ分散液1、シアン分散液1)
イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理し、カルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のイエロー顔料分散液1とした。平均粒子径70nm、Fe,Ca,Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
同様にマゼンタ顔料としてC.I.ピグメントマゼンタ122を用いて顔料濃度15%のマゼンタ顔料分散液1を作製した。平均粒子60nm、Fe,Ca,Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
同様にシアン顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を用いて顔料濃度15%のシアン顔料分散液1を作製した。平均粒子径80nm、Fe,Ca,Siの含有量の総計は100ppm以下であった。
【0055】
本発明のインクには上記着色剤、溶媒の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
本発明では、界面活性剤を使用することで記録紙への濡れ性を改善することができる。好ましい界面活性剤としては、界面ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。より具体的には、アニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩である一般式(II)、及び/または炭素鎖が5〜7の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸である一般式(III)を用いることで、普通紙特性も改善されさらに着色剤の溶解・分散安定性が得られる。
【0056】
【化25】
R−O−(CH2CH2O)mCH2COOM …(II)
R:炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、m:3〜12、
M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、ア
ルカノールアミン。
【0057】
【化26】
Figure 0004098954
5、R6:炭素数5〜7の分岐したアルキル基、
M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン。
さらに、本発明の界面活性剤の対イオンとしてリチウムイオン、及び下記一般式で示される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムを用いることにより界面活性剤が優れた溶解安定性を示す。
【0058】
好ましい非イオン系の界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである下記一般式(IV)、アセチレングリコール系界面活性剤である下記一般式(V)の活性剤があげられる。これらを併用することにより、さらに相乗効果として浸透性があげられ、これにより色境界にじみが低減され、また文字にじみも少ないインクが得られる。
【0059】
【化27】
Figure 0004098954
Rは分岐しても良い6〜14の炭素鎖、 k:5〜12。
【0060】
【化28】
Figure 0004098954
p,qは0〜40。
【0061】
なお、このインクのpHを6以上にすることにより、インクの保存安定性が得られ、また、オフィスで使用されているコピ−用紙や用箋等はpHが5〜6のものが多く、これらの記録紙にインクを9〜60μmの微細な吐出口より吐出し重量が3ng〜50ngの液滴として5〜20m/sで飛翔させ、単色での付着量を1.5g/m2から30g/m2としてJIS P−8122試験法によるステキヒトサイズ度が3秒以上の所謂普通紙に記録することにより、高画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供することができる。ただし、pHが9以上では保存時に(III)の活性剤では分解による物性変化が起こりやすいため上記式(III)を用いる場合はpHを6〜9とすることが好ましい。
【0062】
本発明に用いることができる一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、一般式(V)の添加量は、0.05〜10重量%の間でプリンターシステムにより要求されるインク特性に対し所望の浸透性をあたえることが可能である。ここで0.05%以下では、いずれの場合も2色重ね部の境界でのにじみが発生し、10重量%以上添加する場合は化合物自体が低温で析出しやすことがあり信頼性が悪くなる。
【0063】
次に、本発明に用いる界面活性剤の一般式(II)、(III)を具体的に遊離酸型で示す。
【0064】
【表3】
Figure 0004098954
【0065】
【表4】
Figure 0004098954
【0066】
本発明のインクは、水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するために、また、本発明の化合物の溶解安定性を向上するため等の目的で下記の水溶性有機溶媒を使用することができる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3ブタンジオール、2,3ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは、複数混合して用いられる。
【0067】
これらの中で特に好ましいものは、ジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,3ブタンジオール、2,3ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3ジメチルイミダゾリジノンであり、これらを用いることにより本化合物の高い溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
特に、本発明において着色剤の分散安定性を得るのに好ましい溶剤として、N−ヒドロキシエチル2−ピロリドン等のピロリドン誘導体が挙げられる。
【0068】
また、本発明の界面活性剤の一般式(I)〜(V)以外で表面張力を調整する目的で添加される浸透剤としては、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアりールエーテル類、2−エチル−1,3ヘキサンジオール、2,2、4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2ジメチル1,3プロパンジーオール等のジオール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が挙げられるが、特に好ましいのは多価アルコールアルキルエーテルとしてジエチレングリコールモノブチルエーテル、炭素数6以上のジオールとして2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル1,3ペンタンジオールである。
【0069】
本発明において、インクの表面張力とは紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を測定することが、インクの浸透性と対応する。飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては、特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できる。表面張力の値は50mN/m以下が好ましく、より好ましくは40mN/m以下とすると優れた乾燥性が得られる。これに対してインクの吐出安定性からは動的な表面張力が低下しすぎると粒子化が不安定となりやすい。安定に吐出できる動的な表面張力は1m秒において好ましくは40mN/m以上である。
【0070】
粘度の範囲としては1mPa・sから10mPa・sの間で吐出方式により適宜選定される。
インク中の顔料粒子径範囲としては10nm〜300nmのものを用い、平均粒子径が60nm〜120nmとすることが好ましい。インク中の固形分両は1〜25重量%、水分量は25〜93重量%の範囲、より好ましくは50〜80重量%の範囲である。
本発明では、インク中の顔料インクの粒子表面のζ電位等の関係から分散安定性を損なわない電導度範囲として、1ms/cm〜6ms/cmの範囲とすると顔料の凝集等の発生を起さず長期に渡って粒子径の変化の少ない信頼性の高いインクとすることができる。分散を阻害しない電導度調整剤を添加することもできる。好ましい電導度調整剤としては、テトラメチルアンモニウム塩化物等の第4級アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0071】
本発明の着色剤としては必要に応じて他の着色剤と混合して用いることができる。用いられる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水、耐光性が優れたものが用いられる。これらは効果が疎外されない範囲で添加される。これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料及び食用染料として、
C.I.アシッド.イエロー 17,23,42,44,79,142、
C.I.アシッド.レッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、
C.I.アシッド.ブルー 9,29,45,92,249、
C.I.アシッド.ブラック 1,2,7,24,26,94、
C.I.フード.イエロー 3,4、
C.I.フード.レッド 7,9,14、
C.I.フード.ブラック 1,2。
【0072】
直接性染料として、
C.I.ダイレクト.イエロー1,12,24,26,33,44,50,86 ,120,132,142,144、
C.I.ダイレクト.レッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、
C.I.ダイレクト.オレンジ 26,29,62,102、
C.I.ダイレクト.ブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、
C.I.ダイレクト.ブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171。
【0073】
塩基性染料として、
C.I.ベーシック.イエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、
C.I.ベーシック.レッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、
C.I.ベーシック.ブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、
C.I.ベーシック.ブラック 2,8。
【0074】
反応性染料として、
C.I.リアクティブ.ブラック 3,4,7,11,12,17、
C.I.リアクティブ.イエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、
C.I.リアクティブ.レッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97、
C.I.リアクティブ.ブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95
等が使用できる。特に酸性染料及び直接性染料が好ましく用いることができる。本発明のインクには上記着色剤、溶媒の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
【0075】
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、イソチアゾリン等が本発明に使用できる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0076】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0077】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
その他目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤を添加することもできる。
【0078】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の水性顔料インクを用いて記録を行なうのに好適な、本発明のインクジェット記録装置の一例を以下に説明する。先ず、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図1に示す。 図1は、インク流路に沿ったヘッド(13)の断面図であり、ヘッド(13)はインクを通す流路(ノズル)(14)を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板(15)とを接着して得られる。発熱素子基板(15)は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層(16)、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極(17−1)及び(17−2)、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層(18)、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層(19)、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板(20)よりなっている。
【0079】
上記ヘッド(13)の電極(17−1)及び(17−2)にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板(15)のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク(21)に気泡が発生し、その圧力でメニスカス(23)が突出し、インク(21)がヘッドのノズル(14)を通して吐出し、吐出オリフィス(22)よりインク小滴(24)となり、被記録材(25)に向かって飛翔する。
【0080】
図2に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図2において、(61)はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード(61)は、記録ヘッド(65)による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド(65)の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0081】
(62)は記録ヘッド(65)の突出口面のキャップであり、ブレード(61)に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド(65)の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行なう構成を備える。更に、(63)はブレード(61)に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード(61)と同様、記録ヘッド(65)の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード(61)、キャップ(62)及びインク吸収体(63)によって吐出回復部(64)が構成され、ブレード(61)及びインク吸収体(63)によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行なわれる。
(65)は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド、(66)は記録ヘッド(65)を搭載して記録ヘッド(65)の移動を行なうためのキャリッジである。キャリッジ(66)はガイド軸(67)と摺動可能に係合し、キャリッジ(66)の一部はモーター(68)によって駆動されるベルト(69)と接続している。これによりキャリッジ(66)はガイド軸(67)に沿った移動が可能となり、記録ヘッド(65)による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
(51)は被記録材を挿入するための紙給部、(52)は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッドの(65)吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー(53)を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド(65)が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部(64)のキャップ(62)は記録ヘッド(65)の移動経路から退避しているが、ブレード(61)は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド(65)の吐出口がワイピングされる。
【0082】
なお、キャップ(62)が記録ヘッド(65)の吐出面に当接してキャッピングを行なう場合、キャップ(62)は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド(65)がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ(62)及びブレード(61)は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド(65)の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0083】
図3は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。ここで(40)は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓(42)が設けられている。この栓(42)に針(不図示)を挿入することにより、インク袋(40)中のインクをヘッドに供給可能にする。(44)は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図4に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図4において、(70)は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部(71)から液滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂を用いることが本発明にとって好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。(72)はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット(70)は、図2に示す記録ヘッド(65)に換えて用いられるものであって、キャリッジ(66)に対して着脱自在になっている。
【0084】
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例としては、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録装置を挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成の一例を図5に示す。
ヘッドは、図示されていないインク室に連通したインク流路(80)と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート(81)と、インクに直接圧力を作用させる振動板(82)と、この振動板(82)に接合され、電気信号により変位する圧電素子(83)と、オリフィスプレート(81)、振動板(82)等を支持固定するための基板(84)とから構成されている。
【0085】
図5において、インク流路(80)は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート(81)は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口(85)が形成され、表面にPTFEニッケルの共析メッキ等の撥インク層が設けられている。振動板(82)はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子(83)は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子(83)にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子(83)に接合された振動板を変形させ、インク流路(80)内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート(81)の吐出口(85)より吐出して記録を行なうように動作する。このような記録ヘッドは、図4に示したものと同様なインクジェット記録装置に組み込んで使用される。インクジェット記録装置の細部の動作は、先述と同様に行なうもので差しつかえない。
【0086】
次に、他の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例として静電アクチュエータを用いたインクジェットを示す。図6は本発明を適用したインクジェットヘッドの断面図であり、これらの図に示すように、インクジェッドヘッド(1)は、シリコン基板(2)を挟み、上側に同じくシリコン製のノズルプレート(3)、下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸ガラス基板(4)がそれぞれ積層された3層構造となっている。中央のシリコン基板(2)には、それぞれ独立した複数のインク室(5)、これらに共通に設けられた共通インク室(6)及びこの共通インク室(6)を複数のインク室(5)にそれぞれ接続しているインク供給路(7)としてそれぞれ機能する溝が、その表面(図中、上面)からエッチングを施すことにより形成されている。これらの溝がノズルプレート(3)によって塞がれて、各部分(5)、(6)、(7)が区画形成されている。
【0087】
ノズルプレート(3)には、各インク室(5)の先端側の部分に対応する位置に、インクノズル(11)が形成されており、これらが各インク室(5)に連通している。また、ノズルプレート(3)には共通インク室(6)に連通するインク供給口が形成されている。インクは、外部の図示しないインクタンクから、インク供給口を通って共通インク室(6)に供給される。共通インク室(6)に供給されたインクは、インク供給路(7)を通って、互いに独立したインク室(5)にそれぞれ供給される。
【0088】
インク室(5)は、その底壁(8)が図1の上下方向に弾性変位可能なダイヤフラムとして機能するように薄肉に形成されている。したがって、この底壁(8)の部分を、以後の説明の都合上、ダイヤフラム(8)と称して説明することもある。
【0089】
次に、シリコン基板(2)の下面に接しているガラス基板(4)においては、その上面、即ちシリコン基板(2)との接合面には、シリコン基板(2)の各インク室(5)に対応した位置に、浅くエッチングされた凹部(9)が形成されている。したがって、各インク室(5)の底壁(8)は、非常に僅かの隙間を隔てて、ガラス基板(4)の凹部(9)の表面(92)と対峙している。なお、ガラス基板(4)の凹部(9)はインク室(5)の底壁(8)に対向しているので、振動板対向壁あるいは単に対向壁(91)と称する。
【0090】
ここで、各インク室(5)の底壁(8)は、それぞれ電荷を蓄えるための電極として機能する。そして、各インク室(5)の底壁(8)に対峙するように、ガラス基板(4)の凹部表面(92)には、セグメント電極(10)が形成されている。各セグメント電極(10)の表面は無機ガラスからなる厚さ(G0)の絶縁層により覆われている。このように、セグメント電極(10)と各インク室底壁(8)とは、絶縁層(15)を挟んで互いに対向電極(電極間距離をGとする)を形成している。
【0091】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示す。
(実施例1)
下記組成物を用いて混合し1日放置後、具体例(I−1)の化合物でpHを9.4にして0.5μmポリプロピレンフィルターにて濾過しブラックインク1とした。
カーボン分散液1 5重量%
トリスヒドロキシメチルアミノメタン 1.5重量%
具体例(I−1)の化合物 0.2重量%
燐酸 0.2重量%
グリセロール 15重量%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 5重量%
2−エチル−1,3ヘキサンジオール 1重量%
具体例(II−2)の活性剤 1重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
【0092】
(実施例2)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、具体例(I−3)の化合物にてpH9.5にしてブラックインク2を調整した。
カーボン分散液2 4重量%
Bicine 1.2重量%
1,2,6−ヘキサントリオール 8重量%
1,5−ペンタンジオール 8重量%
2−ピロリドン 8重量%
具体例(II−3)の活性剤 1.0重量%
具体例(III−1)の活性剤 1.2重量%
具体例(I−3)25%水溶液 1.2重量%
尿素 5重量%
2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
【0093】
(実施例3)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、具体例(I−3)の化合物で10.5にしてブラックインク3を調整した。
カーボン分散液3 4.5重量%
CAPS 1重量%
ジエチレングリコール 5重量%
グリセロール 5重量%
2−ピロリドン 5重量%
スチレンアクリル酸重合体 0.5重量%
(I−2)の化合物 1重量%
(IV)の活性剤 R:C919 k:12 1重量%
具体例(I−3)25%水溶液 0.2重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0094】
(実施例4)
下記組成物を用いて混合し1日放置後、具体例(I−1)の化合物でpHを9.4にして0.5μmポリプロピレンフィルターにて濾過しブラックインク4とした。
カーボン分散液4 5重量%
TAPS 1.5重量%
具体例(I−1)の化合物 0.2重量%
燐酸 0.2重量%
グリセロール 15重量%
N−ヒドロキシエチルピロリドン 5重量%
2−エチル−1,3ヘキサンジオール 1重量%
具体例(II−2)の活性剤 1重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
【0095】
(実施例5)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にし、具体例(I−3)の化合物にてpH9.5にしてブラックインク5を調整した。
カーボン分散液2 4重量%
Bicine 1.2重量%
1,2,6−ヘキサントリオール 8重量%
1,4−ブタンジオール 8重量%
2−ピロリドン 8重量%
具体例(II−3)の活性剤 1.0重量%
具体例(III−1)の活性剤 1.2重量%
具体例(I−3)25%水溶液 1.2重量%
尿素 5重量%
2−ピリジンチオール1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
高純水(10MΩ) 残量
【0096】
(実施例6)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、具体例(I−3)の化合物で10.5にしてブラックインク6を調整した。
カーボン分散液3 4.5重量%
CAPS 1重量%
ジエチレングリコール 5重量%
グリセロール 5重量%
2−ピロリドン 8重量%
スチレンアクリル酸重合体 0.5重量%
(I−2)の化合物 1重量%
(IV)の活性剤 R:C919 k:12 1重量%
具体例(I−3)25%水溶液 0.2重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0097】
(実施例7)
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを具体例(I−3)の化合物にて9.1にしてイエローインク1を調整した。
イエロー分散液1 4重量%
TAPS 1重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロール 7重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3重量%
具体例(I−1)の化合物 1重量%
(V)活性剤 p+q=15 0.5重量%
(V)活性剤 p+q=0 0.5重量%
具体例(I−7)25%水溶液 2重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0098】
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを具体例(I−3)の化合物に9.1にしてマゼンタインク2を調整した。
<マゼンタインク1>
マゼンタ分散液1 4重量%
TAPS 3重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロール 7重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3重量%
具体例(I−1)の化合物 1重量%
(V)活性剤 p+q=15 0.5重量%
(V)活性剤 p+q=0 0.5重量%
具体例(I−7)25%水溶液 2重量%
乳酸 0.1重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0099】
下記組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、pHを具体例(I−3)の化合物に9.1にしてシアンインク2を調整した。
<シアンインク1>
シアン分散液1 4重量%
TAPS 2重量%
2−ピロリドン 8重量%
グリセロール 7重量%
1,3ブタンジオール 5重量%
具体例(I−1)の化合物 1重量%
リンゴ酸 0.1重量%
(V)活性剤 p+q=15 0.5重量%
(V)活性剤 p+q=0 0.5重量%
具体例(I−7)25%水溶液 2重量%
ヒドロキシエチル尿素 5重量%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 残量
【0100】
(比較例1)
実施例1でトリスヒドロキシメチルアミノメタンと燐酸を除いた以外は同様にしてpH9.4のブラックインク7を作製した。
【0101】
(比較例2)
実施例2においてBicineを除いた以外は同様にしてpH9.5のブラックインク8を作製した。
【0102】
(比較例3)
実施例3においてCAPSを除いた以外は同様にしてpH10.5のブラックインク9を作製した。
【0103】
(比較例4)
実施例4においてTAPSと燐酸を除いた以外は同様にしてpH9.4のブラックインク10を作製した。
【0104】
(比較例5)
実施例5においてBicineを除いた以外は同様にしてpH9.5のブラックインク11を作製した。
【0105】
(比較例6)
実施例6においてCAPSを除いた以外は同様にしてpH10.5のブラックインク12を作製した。
【0106】
(比較例7)
実施例7のイエローインク1のTAPSを除いた以外は同様にしてpH9.1のイエローインク2を作製した。
実施例7のマゼンタインク1のTAPSを除き、乳酸を除いた以外は同様にしてpH9.1のマゼンタインク2を作製した。
実施例7のシアンインク1のTAPSを除き、リンゴ酸を除いた以外は同様にしてpH9.1のシアンインクを作製した。
【0107】
(比較例8)
下記組成となるようにカーボン樹脂分散体を用いインクを作製し、0.8ミクロンポリプロピレンフィルターにてろ過しブラックインク7とした。
<ブラックインク7>
カーボンブラック プリンテックス#85(デグサ製) 5重量%
スチレン−マレイン酸ハーフエステル
−無水マレイン酸共重合体 1.5重量%
具体例(II−2)の活性剤 1重量%
トリエタノールアミン 1重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
エチレングリコール 1.2重量%
ジエチレングリコール 15重量%
グリセロール 5重量%
イオン交換水 残量
【0108】
同様にして下記組成のイエローインク2、マゼンタインク2、シアンインク2を作製した。
<イエローインク2>
C.I.ピグメントイエロー74 4重量%
スチレン−マレイン酸ハーフエステル
−無水マレイン酸共重合体 1.5重量%
トリエタノールアミン 1重量%
具体例(II−2)の活性剤 1重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
エチレングリコール 1.2重量%
ジエチレングリコール 15重量%
グリセロール 5重量%
イオン交換水 残量
【0109】
<マゼンタインク2>
C.I.ピグメントレッド122 4重量%
スチレン−マレイン酸ハーフエステル
−無水マレイン酸共重合体 1.5重量%
トリエタノールアミン 1重量%
具体例(II−2)の活性剤 1重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
エチレングリコール 1.2重量%
ジエチレングリコール 15重量%
グリセロール 5重量%
イオン交換水 残量
【0110】
<シアンインク2>
C.I.ピグメントブルー15:3 3重量%
スチレン−マレイン酸ハーフエステル
−無水マレイン酸共重合体 1.5重量%
トリエタノールアミン 1重量%
具体例(II−2)の活性剤 1重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
エチレングリコール 1.2重量%
ジエチレングリコール 15重量%
グリセロール 5重量%
イオン交換水 残量
【0111】
次に、実施例1〜7及び比較例7のインクについて下記の試験を行なった。
1)連続印字試験
サーマルインクジェット方式の各色ノズル径18μm、600dpiピッチの300ノズルを有するインクジェットプリンター及び積層PZTを液室流路の加圧に使用した各色ノズル径28μm、200dpiピッチの300ノズルを有するインクジェットプリンター、静電アクチュエーターを液室流路の加圧に使用した各色300ノズルを有するインクジェットプチンターの各々カートリッジにインクを充填し、各色Duty5%のチャートで連続印字を行ない50枚毎に2色重ね部境界の滲み、画像滲み、色調、画像濃度を評価し400枚まで行なった。なお、PZT、静電アクチュエータを有するヘッドのプリンターのカートリッジ図3にはインクは脱気操作を行ない、溶解空気量が20℃、1気圧において0.001ml/ml以下となるようにしてプリンターにセットした。
サーマルインクジェット用のカートリッジ図4には脱気操作を実施しないでインク充填したもので溶存空気量が0.02ml/mlのものを用いた。
画像特性の劣化等がないものを◎
抜け等画像乱れが発生するが通常の回復動作で復帰するものは○
回復動作を繰り返し復帰するもの△
カートリッジ交換が必要となるものは×
で表わす。
【0112】
2)保存安定性
2−1)pH緩衝性評価
インクを脱気後、図3のカートリッジに充填し60℃で2週間放置後のpHを測定。
また、未脱気インクについても同様にカートリッジに充填し60℃で2週間後のpHを測定。
2−2)各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、20℃、70℃でそれぞれの条件下で3カ月保存し、保存後の表面張力、粘度、及び沈澱物析出、粒子径の変化の有無を調べた。どの条件で保存しても、物性等の変化が少なく、変化率5%以内ものを◎、10%以内のものを○、20%以内のものを△、これ以上のものを×とした。
【0113】
3)印字休止時信頼性
ノズル径30μm128ノズルを有するPZTで駆動するヘッドを有するプリンターを使用し、動作中にキャップ、クリーニング等が行われないでどれだけ印字、休止しても復帰できるかを調べ、どれだけの時間で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかでその信頼性を評価した結果を表に示す。
特に問題なし○、
滴重量の変化小、
噴曲がり小△、
顕著な目詰まり発生×
【0114】
【表5−1】
Figure 0004098954
【0115】
【表5−2】
Figure 0004098954
【0116】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な発明から明らかなように、本発明によれば色材として表面処理を施された顔料を含有するインクでの保存安定性を向上し、プリンターシステム内での接液する部材の耐久性を向上することで耐候性に優れた高画質なカラープリントを高速で安定して印字可能とすることができ、色材として表面処理を施された顔料を含有するインクで特に大気開放された場合でも安定したインク物性を有するインクをヘッドに供給できるインク処方を提供することでサーマルインクジェット方式のような未脱気インクでも品質安定性の高い顔料インクを提供することができ、好ましいインク添加物の態様を示すことで顔料の環境変化による凝集が発生しにくい顔料インクを提供することで輸送時においてのトラブルの発生のない顔料インクを提供することができ、表面処理顔料の態様を示すことで耐水性が良好で文字滲み、カラー境界の滲みが少ない高信頼性の顔料インクを提供することができ、耐目詰まり性に優れ、かつヘッド内部のフルター等の寿命を長期にわたって維持可能な顔料インクを提供することができ、吐出特性を安定にするための好ましい粘度調整用のインク添加物を開示することで種種の印字システムに適用可能となり市場性の高い顔料インクを提供することができ、記録紙への濡れ性を改善しスミヤーの発生を抑え定着性を改善する添加物を開示することで高速印字を行え、高品位で生産性の高いプリンターシステムを提供することができ、該顔料インクにて普通紙等への高速高画質を行える記録方法を提供することで従来の染料系インクに比べ高耐候性のカラー画像出力を安価で容易に提供することができ、インクを収容し安定に装置に供給する記録用カートリッジを提供することができ、長期保後も画質が安定して印字することを可能にでき、該インクを用いて普通紙等へ高速高画質のカラー画像が供給できる記録方法を提供することができ、インクジェットプリンターをさらに広い分野に適用することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットヘッドの断面図である。
【図2】図1のヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示した図である。
【図3】チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジの一例を示す図である。
【図4】本発明で使用されるヘッドとインクカートリッジとが一体になったインクジェット記録装置を示した図である。
【図5】本発明における記録ヘッドの構成の一例を示した図である。
【図6】本発明を適用したインクジェットヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 シリコン基板
3 ノズルプレート
4 ガラス基板
5 インク室
6 共通インク室
7 インク供給路
8 タイヤクラム
8a 肉薄部
8b 底壁
9 凹部
10 セグメント電極
11 インクノズル
12 絶縁層
13 ヘッド
14 流路(ノズル)
15 発熱素子基板
16 保護層
17−1 電極
17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス
23 メニスカス
24 インク小滴
25 被記録材
40 インク収容部(インク袋)
42 栓
44 インク吸収体
45 カートリッジケース
51 紙給部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
85 吐出口
91 対向壁
92 凹部の表面

Claims (13)

  1. 色材として表面処理を施された顔料を含有し、これを分散する水溶性有機溶剤と水を含有し、下記A)より選択された有機pH緩衝剤と下記B)から選ばれた少なくとも1つの化合物を含有し、前記顔料は、アニオン性解離基を導入した自己分散型顔料であることを特徴とする記録液;
    A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、Bicine、CAPS、TAPSから選ばれる少なくとも1つの有機pH緩衝剤
    B)第4級アルキルアンモニウム水酸化物、第4級アルキルホスホニウム水酸化物から選ばれた一つの塩基性有機化合物からなるpH調整剤
  2. インクの溶存空気量が20℃、1気圧において0.0001ml/ml−0.02ml/mlであり、該インクのpHが8〜11であることを特徴とする請求項1記載の記録液。
  3. アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウムが下記式(I)であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録液。
    Figure 0004098954
    (L:窒素またはリン、R〜R :炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基)
  4. 表面処理した顔料がカルボン酸基が導入された自己分散型カーボンであり、含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の記録液。
  5. 請求項4に記載の自己分散型カーボンの粒径が10〜300nmに分布を持ち数平均粒子径が15〜110nmであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の記録液。
  6. 記録液の水溶性有機溶剤がグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも一つ以上の水溶性有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の記録液。
  7. 記録液がさらにポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体、フッ素系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有したことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1に記載の記録液。
  8. 記録液がさらに炭素数6以上のジオールとアルキルエーテルを含有したことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1に記載の記録液。
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の記録液にエネルギーを与えて、記録液を滴化させ飛翔させて記録を行なうことを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 請求項1乃至8の何れかに記載の記録液に熱エネルギーを作用させて、記録液を吐出することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項1乃至8の何れかに記載の記録液に機械エネルギーを作用させて記録液を吐出することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  12. 記録液を収容した記録液収容部を備えた記録液カートリッジにおいて、前記記録液が請求項1乃至8の何れか1に記載の記録液であることを特徴とする記録液カートリッジ。
  13. 記録液を収容した記録液収容部あるいは記録液カートリッジ、該記録液を熱エネルギーの作用により滴化し吐出させるためのヘッド部あるいは記録ユニットを備えたインクジェット記録装置において、前記記録液が請求項1乃至8の何れか1に記載の記録液であることを特徴とする記録装置。
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