(詳細な説明)
一実施態様において、提供されるのは、ヘテロシクリル化合物、並びに限定されないが、その塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体を含む、医薬として許容し得る形態である。
別の実施態様において、提供されるのは、様々な疾患及び障害を治療及び/又は管理する方法であって、患者に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を投与することを含む、方法である。疾患及び障害の例は、本明細書に記載されている。
別の実施態様において、提供されるのは、様々な疾患及び障害を予防する方法であって、そのような予防を必要としている患者に、予防的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を投与することを含む、方法である。疾患及び障害の例は、本明細書に記載されている。
他の実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)は、別の薬物(「第二の活性剤」)又は治療と組み合わせて投与される。第二の活性剤としては、その例が本明細書に提供されている、小分子並びに巨大分子(例えば、タンパク質及び抗体)、並びに幹細胞が挙げられる。本明細書に提供される化合物の投与と組み合わせて使用することができる他の方法及び療法としては、外科手術、輸血、免疫療法、生物療法、放射線療法、及び本明細書に記載の様々な障害を治療、予防、又は管理するために現在使用されている他の非薬物ベースの療法が挙げられるが、これらに限定されない。
また、提供されるのは、本明細書に提供される方法で使用することができる医薬組成物(例えば、単一単位剤形)である。一実施態様において、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、並びに任意に1以上の第二の活性剤を含む。
特定の実施態様が論じられているが、本明細書は単に例示的なものであって、限定的なものではない。本開示の多くのバリエーションは、本明細書を概観することにより、当業者に明らかとなるであろう。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本明細書が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈によりそうでないことが明確に定められない限り、複数形の指示対象を含む。
本明細書で使用されるように、「薬剤」又は「生物活性剤」又は「第二の活性剤」は、生物学的、薬学的、もしくは化学的な化合物、又は他の部分を指す。非限定的な例としては、単純なもしくは複雑な有機もしくは無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、又は化学療法化合物、及びこれらの代謝産物が挙げられる。様々な化合物、例えば、小分子及びオリゴマー(例えば、オリゴペプチド及びオリゴヌクレオチド)、並びに様々なコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができる。さらに、様々な天然供給源、例えば、植物又は動物抽出物などは、スクリーニング用の化合物を提供することができる。当業者は、本開示の薬剤の構造的性質に関して制限がないことを容易に理解することができる。
本明細書で使用される「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を惹起又は増強する、例えば、標的タンパク質又はポリペプチドの活性又は発現を増大させる能力を有する化合物又は薬剤を指す。したがって、「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的役割との関連において定義される。本明細書中のいくつかのアゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、結合する)が、標的ポリペプチドがそのメンバーとなっているシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的活性を惹起又は増強する化合物及び/又は薬剤も、この定義に特に含まれる。
「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は互換的に使用され、それらは、例えば、標的タンパク質又はポリペプチドの活性又は発現を阻害することによって、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を阻害する能力を有する化合物又は薬剤を指す。したがって、「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的役割との関連において定義される。本明細書中のいくつかのアンタゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、結合する)が、標的タンパク質又はポリペプチドのシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的活性を阻害する化合物も、この定義に特に含まれる。アンタゴニストによって阻害される生物学的活性の非限定的な例としては、腫瘍の発生、成長、もしくは伝播、又は自己免疫疾患において現れるような望ましくない免疫応答と関連するものが挙げられる。
「抗癌剤」、「抗腫瘍剤」、又は「化学療法剤」は、腫瘍状態の治療において有用な任意の薬剤を指す。抗癌剤の1つのクラスは化学療法剤を含む。「化学療法」は、1以上の化学療法薬及び/又は他の薬剤を、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、口腔内、もしくは吸入を含む様々な方法によるか、又は坐剤の形態で、癌患者に投与することを意味する。
「細胞増殖」という用語は、細胞数が分裂の結果として変化する現象を指す。この用語は、細胞形態が増殖性シグナルに従って変化する(例えば、大きさが増加する)細胞成長も包含する。
本明細書で使用される「共投与」、「と組み合わせて投与される」という用語、及びそれらの文法的同等表現は、2以上の薬剤を、両方の薬剤及び/又はそれらの代謝産物が対象内で同時に存在するように対象に投与することを包含する。共投与は、別々の組成物中での同時投与、別々の組成物中での異なる時間での投与、又は両薬剤が存在する1つの組成物中での投与を含む。
「有効量」又は「治療的有効量」という用語は、下に示すような、疾患治療を含むが、これに限定されない、意図される適用を達成するのに十分である本明細書に記載の化合物又は医薬組成物の量を指す。治療的有効量は、意図される用途(インビトロもしくはインビボ)、又は治療されている対象及び疾患状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与様式などによって異なることができ、これは、当業者によって容易に決定されることができる。この用語は、標的細胞における特定の応答、例えば、血小板粘着及び/又は細胞移動の低下を誘導する用量にも適用される。具体的な用量は、例えば、選択された特定の化合物、従うべき投与レジメン、それが他の薬剤と組み合わせて投与されるかどうかということ、投与のタイミング、それが投与される組織、及びそれが運搬される物理的送達系によって異なる。
本明細書で使用されるように、「治療」、「治療する」、「軽減する」、及び「改善する」は、本明細書で互換的に使用される。これらの用語は、限定されないが、治療的利益及び/又は予防的利益を含む、有益な又は所望の結果を得るための手法を指す。治療的利益とは、治療されている基礎疾患の根絶又は改善を意味する。また、治療的利益は、患者が基礎疾患にまだ罹患している可能性があるとしても、患者において改善が見られるように、基礎疾患と関連する生理的症状の1つ又は複数を根絶又は改善することによって得られる。予防的利益のために、医薬組成物を、特定の疾患を発症するリスクのある患者、又は疾患の生理的症状の1つ又は複数を訴える患者に、この疾患の診断を下すことができなかった場合でも、投与することができる。
「治療効果」は、その用語が本明細書で使用されるように、上記の治療的利益及び/又は予防的利益を包含する。予防効果には、疾患もしくは状態の出現の遅延もしくは消失、疾患もしくは状態の症状の発症の遅延もしくは消失、疾患もしくは状態の進行の緩徐化、停止、もしくは逆転、又はこれらの任意の組合せが含まれる。
「シグナル伝達」は、刺激性又は抑制性シグナルが細胞内へ及び細胞内で伝達されて、細胞内応答を誘発する過程である。シグナル伝達経路の「モジュレーター」は、同じ特定のシグナル伝達経路に位置付けられる1以上の細胞タンパク質の活性を調節する化合物を指す。モジュレーターは、シグナル伝達分子の活性を強化するか(アゴニスト)又は抑制する(アンタゴニスト)ことができる。
生物活性剤に適用される「選択的阻害」又は「選択的に阻害する」という用語は、標的との直接的又は相互作用的相互作用を介して、オフターゲットシグナル伝達活性と比較して、標的シグナル伝達活性を選択的に低下させる薬剤の能力を指す。例えば、PI3Kの別のアイソフォームよりもPI3Kのあるアイソフォームを選択的に阻害する化合物は、第二のアイソフォームに対する化合物の活性と比べて、第一のアイソフォームに対する少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、又は100倍)の活性を有する。
「放射線療法」は、患者を、施術者に公知のルーチンの方法及び組成物を用いて、放射線放出体、例えば、α-粒子放出放射性核種(例えば、アクチニウム及びトリウム放射性核種)、低線エネルギー転移(LET)放射線放出体(すなわち、β放出体)、転換電子放出体(例えば、ストロンチウム-89及びサマリウム-153-EDTMP)、又は限定されないが、x線、γ線、及び中性子を含む高エネルギー放射線に暴露させることを意味する。
投与が企図される「対象」には、ヒト(すなわち、任意の年齢層の男性もしくは女性、例えば、小児対象(例えば、幼児、子供、青年)又は成人対象(例えば、若年成人、中年成人、もしくは老人))、及び/又は他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/又はイヌなどの商業関連の哺乳動物を含む、哺乳動物;並びに/或いはニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、及び/又は七面鳥などの商業関連の鳥類を含む鳥類が含まれるが、これらに限定されない。
「インビボ」という用語は、対象の体内で起こる事象を指す。
「インビトロ」という用語は、対象の体外で起こる事象を指す。例えば、インビトロアッセイは、対象の外側で行なわれる任意のアッセイを包含する。インビトロアッセイは、生細胞又は死細胞を利用する細胞ベースのアッセイを包含する。インビトロアッセイは、無傷細胞を利用しない無細胞アッセイも包含する。
本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得るエステル」は、限定されないが、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及びボロン酸を含む、酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及びシクロアルキルエステルを含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得るエノールエーテル」は、式-C=C(OR)(ここで、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及びシクロアルキルから選択することができる)の誘導体を含むが、これらに限定されない。医薬として許容し得るエノールエステルは、式-C=C(OC(O)R)(ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及びシクロアルキルから選択することができる)の誘導体を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるように、開示された化合物の「医薬として許容し得る形態」は、開示された化合物の医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、医薬として許容し得る塩である。本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得る塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずに対象の組織と接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合っている塩を指す。医薬として許容し得る塩は当技術分野で周知である。例えば、Bergeらは、医薬として許容し得る塩を、J. Pharmaceutical Sciences(1977)66: 1-19で詳細に記載している。本明細書に提供される化合物の医薬として許容し得る塩としては、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来する塩が挙げられる。医薬として許容し得る、無毒な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸とともに、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸とともに、或いはイオン交換などの技術分野で使用される他の方法を用いることによって形成されるアミノ基の塩である。他の医薬として許容し得る塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。いくつかの実施態様において、塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
適切な塩基から誘導される医薬として許容し得る塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN+(C1-4アルキル)4塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられる。さらなる医薬として許容し得る塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される非毒性アンモニウム陽イオン、第4級アンモニウム陽イオン、及びアミン陽イオンが挙げられる。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第1級、第2級、及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが挙げられる。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選択される。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、「溶媒和物」(例えば、水和物)である。本明細書で使用されるように、「溶媒和物」という用語は、非共有結合的な分子間力によって結合されている化学量論的又は非化学量論的量の溶媒をさらに含む化合物を指す。溶媒和物は、開示された化合物又はその医薬として許容し得る塩でできたものであることができる。溶媒が水である場合、溶媒和物は「水和物」である。医薬として許容し得る溶媒和物及び水和物は、例えば、1〜約100個、もしくは1〜約10個、又は1〜約2、3、もしくは4個の溶媒分子又は水分子を含み得る錯体である。本明細書で使用される「化合物」という用語は、化合物及び化合物の溶媒和物、並びにこれらの混合物を包含することが理解されるであろう。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、プロドラッグである。本明細書で使用されるように、「プロドラッグ」という用語は、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態を生じるようにインビボで変換される化合物を指す。プロドラッグは、対象に投与されるときには不活性であり得るが、例えば、加水分解(例えば、血液中での加水分解)によって、インビボで活性化合物に変換される。場合によっては、プロドラッグは、親化合物と比べて改善された物理的特性及び/又は送達特性を有する。プロドラッグは、通常、親化合物と関連する薬学的及び/又は薬理学的に基づく特性を増強するように設計される。プロドラッグ化合物は、哺乳動物生物体において、溶解性、組織適合性、又は遅延放出という利点を提供することが多い(例えば、Bundgard, H.の文献、プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(1985)、7-9頁, 21-24(Elsevier, Amsterdam)を参照されたい。プロドラッグの考察は、その両方が引用により本明細書中に完全に組み込まれている、Higuchi, T.らの文献、「新規送達系としてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」、A.C.S. Symposium Series, 第14巻、及び薬物設計におけるバイオリバーシブル担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)、Edward B. Roche編, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供されている。プロドラッグの例示的な利点には、その物理的特性、例えば、親化合物と比べて、生理的pHでの非経口投与のために水溶性が増強されていること、又はそれが、消化管からの吸収を増強すること、又はそれが、長期保存のために薬物安定性を増強することができることが含まれ得るが、これらに限定されない。
「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが対象に投与されたときに、活性化合物をインビボで放出する、任意の共有結合した担体を含むことも意図される。本明細書に記載されるような、活性化合物のプロドラッグは、修飾が、ルーチンの操作又はインビボのいずれかで切断されて、親活性化合物になるように、活性化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、又はメルカプト基が任意の基に結合している化合物を含み、この任意の基は、活性化合物のプロドラッグが対象に投与されたとき、切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、又は遊離メルカプト基を形成する。プロドラッグの例としては、アルコールの酢酸エステル、ギ酸エステル、及び安息香酸エステル誘導体;又は活性化合物中のアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミド及びベンズアミド誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグは、通常、周知の方法、例えば、Burgerの医薬品化学及び創薬(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery), 172-178, 949-982(Manfred E. Wolff編, 第5版, 1995)、及びプロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(H. Bundgaard編, Elselvier, New York, 1985)に記載の方法を用いて調製することができる。
例えば、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、酸基の水素原子と、(C1-C8)アルキル、(C2-C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、γ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(例えば、β-ジメチルアミノエチル)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキル、及びピペリジノ-、ピロリジノ-、又はモルホリノ(C2-C3)アルキルなどの基との置換によって形成される医薬として許容し得るエステルを含むことができる。
同様に、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子と、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル (C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、α-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシル、及びα-アミノアシル、又はα-アミノアシル-α-アミノアシル(ここで、各α-アミノアシル基は、天然に存在するL-アミノ酸から独立に選択される)、P(O)(OH)2、-P(O)(O(C1-C6)アルキル)2、又はグリコシル(ヘミアセタール形態の炭水化物のヒドロキシル基の除去によって得られるラジカル)などの基との置換によって形成されることができる。
開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がアミン官能基を取り込んでいる場合、プロドラッグは、アミン基中の水素原子と、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR'-カルボニル(ここで、R及びR'は、各々独立に、(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジル、天然α-アミノアシル、もしくは天然α-アミノアシル-天然α-アミノアシルである)、-C(OH)C(O)OY1(式中、Y1は、H、(C1-C6)アルキル、もしくはベンジルである)、-C(OY2)Y3(式中、Y2は(C1-C4)アルキルであり、かつY3は、(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキル、又はモノ-N-もしくはジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノアルキルである)、-C(Y4)Y5(式中、Y4は、Hもしくはメチルであり、かつY5は、モノ-N-もしくはジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノである)、モルホリノ、ピペリジン-1-イル、又はピロリジン-1-イルなどの基との置換によって形成されることができる。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、異性体である。「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間内で配置される様式のみが異なる異性体である。本明細書で使用されるように、「異性体」という用語は、任意の及び全ての幾何異性体及び立体異性体を含む。例えば、「異性体」は、E-及びZ-異性体とも呼ばれる、二重結合シス-及びトランス-幾何異性体;R-及びS-エナンチオマー;ジアステレオマー、(d)-異性体、及び(l)-異性体、これらのラセミ混合物;並びにこれらの他の混合物を、本開示の範囲内に含まれるものとして含む。
幾何異性体は、以下の記号
によって表すことができ、これは、本明細書に記載の単結合、二重結合、又は三重結合であることができる結合を表す。本明細書に提供されるのは、炭素-炭素二重結合周辺の置換基の配置又は炭素環周辺の置換基の配置から生じる様々な幾何異性体及びその混合物である。炭素-炭素二重結合周辺の置換基は、「Z」又は「E」配置にあると表わされ、ここで、「Z」及び「E」という用語は、IUPAC基準に準拠して使用される。別途規定されない限り、二重結合を描いた構造は、「E」異性体と「Z」異性体の両方を包含する。
或いは、炭素-炭素二重結合周辺の置換基は、「シス」又は「トランス」と呼ぶことができ、この場合、「シス」は、二重結合の同じ側にある置換基を表し、「トランス」は、二重結合の反対側にある置換基を表す。炭素環周辺の置換基の配置も、「シス」又は「トランス」と表すことができる。「シス」という用語は、環の平面の同じ側にある置換基を表し、「トランス」という用語は、環の平面の反対側にある置換基を表す。置換基が、環の平面の同じ側と反対側の両方に配置されている化合物の混合物は、「シス/トランス」と表される。
「エナンチオマー」は、重ね合わせることができない互いの鏡像である一対の立体異性体である。任意の割合の一対のエナンチオマーの混合物は、「ラセミ」混合物として知られることもある。「(±)」という用語は、適当な場合、ラセミ混合物を表すために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン-インゴールド-プレログ(Cahn-Ingold-Prelog)R-S系によって規定される。化合物がエナンチオマーであるとき、各々のキラル炭素における立体化学は、R又はSのどちらかによって規定することができる。その絶対配置が不明である分割化合物は、それらが、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)によって(+)又は(-)と表すことができる。本明細書に記載の化合物のいくつかは、1以上の不斉中心を含み、そのため、各々の不斉原子における絶対立体化学に関して、(R)-又は(S)-と規定することができるエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じることができる。本化学的実体、医薬組成物、及び方法は、ラセミ混合物、光学的に実質的に純粋な形態、及び中間体混合物を含む、全てのそのような可能性のある異性体を含むことが意図される。光学活性のある(R)-及び(S)-異性体は、例えば、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製することができるか、又は従来の技術を用いて分割することができる。
組成物の「エナンチオマー過剰」又は「%エナンチオマー過剰」は、以下に示す方程式を用いて計算することができる。以下に示す例において、組成物は、90%の一方のエナンチオマー、例えば、Sエナンチオマー、及び10%の他方のエナンチオマー、例えば、Rエナンチオマーを含む。
ee=(90-10)/100=80%
したがって、90%の一方のエナンチオマー及び10%の他方のエナンチオマーを含む組成物は、80%のエナンチオマー過剰を有すると言われる。本明細書に記載のいくつかの組成物は、少なくとも約50%、75%、90%、95%、又は99%のエナンチオマー過剰のS-エナンチオマーを含む。言い換えると、該組成物は、Rエナンチオマーと比べてエナンチオマー過剰のSエナンチオマーを含む。他の実施態様において、本明細書に記載のいくつかの組成物は、少なくとも約50%、75%、90%、95%、又は99%のエナンチオマー過剰のRエナンチオマーを含む。言い換えると、該組成物は、Sエナンチオマーと比べてエナンチオマー過剰のRエナンチオマーを含む。
例えば、異性体/エナンチオマーは、いくつかの実施態様において、対応するエナンチオマーを実質的に含まないように提供することができ、また、本明細書で互換的に使用されるように、「光学的に濃縮された」、「エナンチオマー的に濃縮された」、「エナンチオマー的に純粋な」、及び「非ラセミ化合物の」と呼ぶこともできる。これらの用語は、1つのエナンチオマーの重量パーセントが、ラセミ組成物の対照混合物中のその1つのエナンチオマーの量を超える(例えば、重量で1:1を超える)組成物を指す。例えば、Sエナンチオマーのエナンチオマー的に濃縮された調製物は、Rエナンチオマーに対して、約50重量%を超える、例えば、少なくとも約75重量%、さらに例えば、少なくとも約80重量%のSエナンチオマーを有する化合物の調製物を意味する。いくつかの実施態様において、濃縮は、約80重量%をはるかに超えて、「実質的にエナンチオマー的に濃縮された」、「実質的にエナンチオマー的に純粋な」、又は「実質的に非ラセミ化合物の」調製物を提供するものであることができ、これらは、他のエナンチオマーに対して、少なくとも約85重量%、例えば、少なくとも約90重量%、さらに例えば、少なくとも95重量%の1つのエナンチオマーを有する組成物の調製物を指す。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、少なくとも約90重量%の1つのエナンチオマーから構成されている。他の実施態様において、該化合物は、少なくとも約95%、98%、又は99重量%の1つのエナンチオマーから構成されている。
いくつかの実施態様において、化合物は、(S)-異性体と(R)-異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、混合物の個々の化合物が、主に(S)-又は(R)-異性体形状で存在する化合物の混合物である。例えば、化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。他の実施態様において、化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。
他の実施態様において、化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー純度を有する。いくつかの他の実施態様において、化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰を有する。
他の実施態様において、化合物混合物は、その立体化学配向を除いて同一の化学的実体、すなわち、(S)-又は(R)-異性体を含有する。例えば、本明細書に開示される化合物が-CH(R)-単位を有し、Rが水素でない場合、該-CH(R)-は、同一の化学的実体の各々について(S)-又は(R)-立体化学配向を取る。いくつかの実施態様において、同一の化学的実体の混合物は、(S)-異性体と(R)-異性体のラセミ混合物である。別の実施態様において、(その立体化学配向を除いて)同一の化学的実体の混合物は、主に(S)-異性体又は主に(R)-異性体を含有する。例えば、同一の化学的実体の混合物中の(S)-異性体は、(R)-異性体に対して、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%で、又はそれを上回って存在する。いくつかの実施態様において、同一の化学的実体の混合物中の(S)-異性体は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰で存在する。
別の実施態様において、(その立体化学配向を除いて)同一の化学的実体の混合物中の(R)-異性体は、(S)-異性体に対して、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%で、又はそれを上回って存在する。いくつかの実施態様において、(その立体化学配向を除いて)同一の化学的実体の混合物中の(R)-異性体は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰で存在する。
エナンチオマーは、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、キラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に公知の任意の方法によってラセミ混合物から単離するか、又は不斉合成によって調製することができる。例えば、エナンチオマー、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)(Jacques編, Wiley Interscience, New York, 1981); Wilenらの文献、Tetrahedron 33:2725(1977);炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)(E.L. Eliel編, McGraw-Hill, NY, 1962);並びに分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions) p. 268(E.L. Eliel編, Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)を参照されたい。
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は互変異性体である。本明細書で使用されるように、「互変異性体」という用語は、水素原子の少なくとも1回のホルマール移動及び価数の少なくとも1回の変化(例えば、単結合から二重結合へ、三重結合から単結合へ、又はその逆)から得られる2以上の相互変換可能な化合物を含む異性体の種類である。「互変異性化」は、酸塩基化学反応の一部と考えられる、プロトトロピー型又はプロトンシフト型互変異性化を含む。「プロトトロピー型互変異性化」又は「プロトンシフト型互変異性化」は、結合次数の変化を伴うプロトンの移動を伴う。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、及びpHを含む、いくつかの因子によって決まる。互変異性化が可能な場合(例えば、溶液中で)、互変異性体の化学平衡に到達させることができる。互変異性化(すなわち、互変異性体対を提供する反応)は、酸もしくは塩基によって触媒させることができるか、又は外部薬剤の作用もしくは存在なしで起こることができる。例示的な互変異性化としては、ケトからエノールへの;アミドからイミドへの;ラクタムからラクチムへの;エナミンからイミンへの;及びエナミンから(異なる)エナミンへの互変異性化が挙げられるが、これらに限定されない。ケト-エノール互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオン互変異性体と4-ヒドロキシペント-3-エン-2-オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の具体例は、フェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性化の具体例は、ピリジン-4-オール互変異性体とピリジン-4(1H)-オン互変異性体の相互変換である。
別途明記されない限り、本明細書に図示される構造は、1以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意図される。例えば、水素がジュウテリウムもしくはトリチウムによって置換されていること、又は炭素が13C-もしくは14C-濃縮炭素によって置換されていることを除いて、本構造を有する化合物は、本開示の範囲内にある。
本開示はまた、1以上の原子が、天然に通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されていることを除いて、本明細書に記載されているものと同一である同位体標識化合物を包含する。開示された化合物に取り込ませることができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clが挙げられる。ある同位体標識された開示された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識同位体(すなわち、3H)及び炭素-14同位体(すなわち、14C)は、調製の簡便性及び検出可能性を可能にすることができる。さらに、より重い同位体、例えば、重水素(すなわち、2H)との置換は、より大きい代謝安定性から得られる特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の増大又は投薬必要量の低下)を与えることができる。同位体標識された開示された化合物は、通常、同位体標識されていない試薬の代わりに同位体標識された試薬を用いることによって調製することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ又は複数において非天然の割合の原子同位体を含有することもできる化合物である。放射性であるか、放射性でないかを問わず、本明細書に開示される化合物の全ての同位体バリエーションが、本開示の範囲内に包含される。
「医薬として許容し得る担体」又は「医薬として許容し得る賦形剤」としては、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、並びに吸収遅延剤などが挙げられる。医薬活性物質へのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と適合しない場合を除き、本明細書に開示される治療組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分を医薬組成物中に組み込むこともできる。
具体的な官能基及び化学用語の定義は、以下でより詳細に記載されている。化学元素は、元素周期表、CASバージョン、化学及び物理学のハンドブック(Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics), 第75版, 内表紙に従って同定され、具体的な官能基は、通常、その中に記載されている通りに定義される。さらに、有機化学の一般的原理、並びに具体的な官能部分及び反応性は、有機化学(Organic Chemistry), Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith及びMarchの文献、Marchの最先端有機化学(March's Advanced Organic Chemistry), 第5版, John Wiley & Sons社, New York, 2001; Larockの文献、包括的有機変換(Comprehensive Organic Transformations), VCH Publishers社, New York, 1989;並びにCarruthersの文献、有機合成のいくつかの現代的方法(Some Modern Methods of Organic Synthesis), 第3版, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
値の範囲が記載されているとき、その範囲内の各々の値及びサブ範囲を包含することが意図される。例えば、「C1-6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5、及びC5-6アルキルを包含することが意図される。
「アルキル」は、炭素及び水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状炭化水素鎖ラジカル(例えば、C1-C10アルキル)を指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「1〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「1〜10個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味するが、この定義は、数値範囲が示されない「アルキル」という用語の存在も対象とする。いくつかの実施態様において、それはC1-C6アルキル基である。いくつかの実施態様において、アルキル基は、1〜10、1〜6、又は1〜3個の炭素原子を有する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、及び-n-ヘキシルが挙げられるが、これらに限定されず;一方、飽和分岐状アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキルは、親分子に単結合で結合している。本明細書で別途明記されない限り、アルキル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「パーハロアルキル」は、全ての水素原子が、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードから選択されるハロゲンで置換されているアルキル基を指す。いくつかの実施態様において、全ての水素原子は、各々フルオロで置換されている。いくつかの実施態様において、全ての水素原子は、各々クロロで置換されている。パーハロアルキル基の例としては、-CF3、-CF2CF3、-CF2CF2CF3、-CCl3、-CFCl2、-CF2Clなどが挙げられる。
「アルキル-シクロアルキル」は、アルキル及びシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、アルキル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキル)シクロアルキルラジカルを指す。「アルキル-シクロアルキル」は、アルキル基を介して親分子構造に結合している。「アルケニル-シクロアルキル」及び「アルキニル-シクロアルキル」という用語は、「アルキル-シクロアルキル」に関する上記の記載とよく似ており、ここで、「アルキル」という用語は、それぞれ、「アルケニル」又は「アルキニル」と置き換えられており、かつ「アルケニル」又は「アルキニル」は、本明細書に記載されている通りである。
「アルキルアリール」は、アリール及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、アリール及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキル)アリールラジカルを指す。「アルキルアリール」は、アルキル基を介して親分子構造に結合している。「-(アルケニル)アリール」及び「-(アルキニル)アリール」という用語は、「-(アルキル)アリール」に関する上記の記載とよく似ており、ここで、「アルキル」という用語は、それぞれ、「アルケニル」又は「アルキニル」と置き換えられており、かつ「アルケニル」又は「アルキニル」は、本明細書に記載されている通りである。
「アルキルヘテロアリール」は、ヘテロアリール及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアリール及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキル)ヘテロアリールラジカルを指す。「アルキルヘテロアリール」は、アルキル基を介して親分子構造に結合している。「-(アルケニル)ヘテロアリール」及び「-(アルキニル)ヘテロアリール」という用語は、「-(アルキル)ヘテロアリール」に関する上記の記載とよく似ており、ここで、「アルキル」という用語は、それぞれ、「アルケニル」又は「アルキニル」と置き換えられており、かつ「アルケニル」又は「アルキニル」は、本明細書に記載されている通りである。
「アルキル-ヘテロシクリル」は、アルキル及びヘテロシクリルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロシクリル及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(アルキル)ヘテロシクリルラジカルを指す。「アルキル-ヘテロシクリル」は、アルキル基を介して親分子構造に結合している。「-(アルケニル)ヘテロシクリル」及び「-(アルキニル)ヘテロシクリル」という用語は、「-(アルキル)ヘテロシクリル」に関する上記の記載とよく似ており、ここで、「アルキル」という用語は、それぞれ、「アルケニル」又は「アルキニル」と置き換えられており、かつ「アルケニル」又は「アルキニル」は、本明細書に記載されている通りである。
「アルケニル」は、炭素及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの二重結合を含み、2〜10個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状炭化水素鎖ラジカル基(すなわち、C2-C10アルケニル)を指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「2〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「2〜10個の炭素原子」は、アルケニル基が2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味する。ある実施態様において、アルケニルは、2〜8個の炭素原子を含む。他の実施態様において、アルケニルは、2〜5個の炭素原子を含む(例えば、C2-C5アルケニル)。アルケニルは、親分子構造に単結合で結合しており、これには、例えば、エテニル(すなわち、ビニル)、プロプ-1-エニル(すなわち、アリル)、ブト-1-エニル、ペント-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどがある。1以上の炭素-炭素二重結合は、内部のもの(例えば、2-ブテニル中)又は末端のもの(例えば、1-ブテニル中)であることができる。C2-4アルケニル基の例としては、エテニル(C2)、1-プロペニル(C3)、2-プロペニル(C3)、1-ブテニル(C4)、2-ブテニル(C4)、ブタジエニル(C4)などが挙げられる。C2-6アルケニル基の例としては、前述のC2-4アルケニル基、及びペンテニル(C5)、ペンタジエニル(C5)、ヘキセニル(C6)などが挙げられる。アルケニルのさらなる例としては、ヘプテニル(C7)、オクテニル(C8)、オクタトリエニル(C8)などが挙げられる。本明細書で別途明記されない限り、アルケニル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「アルキニル」は、炭素及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの三重結合を含み、2〜10個の炭素原子を有する、直鎖状又は分岐状炭化水素鎖ラジカル基(すなわち、C2-C10アルキニル)を指す。それが本明細書に見られるときはいつでも、「2〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「2〜10個の炭素原子」は、アルキニル基が、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味する。ある実施態様において、アルキニルは、2〜8個の炭素原子を含む。他の実施態様において、アルキニルは、2〜5個の炭素原子を有する(例えば、C2-C5アルキニル)。アルキニルは、親分子構造に単結合で結合しており、これには、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどがある。本明細書で別途明記されない限り、アルキニル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「アルコキシ」という用語は、直鎖状、分岐状、環状の形状、及びこれらの組合せの1〜10個の炭素原子を含み、酸素を介して親分子構造に結合している、基-O-アルキルを指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。「低級アルコキシ」は、1〜6個の炭素を含むアルコキシ基を指す。いくつかの実施態様において、C1-C4アルコキシは、1〜4個の炭素原子の直鎖アルキルと分岐鎖アルキルの両方を包含するアルコキシ基である。本明細書で別途明記されない限り、アルコキシ基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。「アルケノキシ」及び「アルキノキシ」という用語は、「アルコキシ」に関する上の記載を反映し、その場合、接頭辞「アルク(alk)」は、それぞれ、「アルケン(alken)」又は「アルキン(alkyn)」に置き換えられ、もとの「アルケニル」又は「アルキニル」という用語は、本明細書に記載の通りのものである。
「アルコキシカルボニル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有するカルボニル炭素を介して親分子構造に結合している式(アルコキシ)(C=O)-の基を指す。したがって、C1-C6アルコキシカルボニル基は、その酸素を介してカルボニルリンカーに結合している1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。C1-C6という表示は、原子数にカルボニル炭素を含まない。「低級アルコキシカルボニル」は、アルコキシ基のアルキル部分が低級アルキル基であるアルコキシカルボニル基を指す。いくつかの実施態様において、C1-C4アルコキシは、1〜4個の炭素原子の直鎖アルコキシ基と分岐鎖アルコキシ基の両方を包含するアルコキシ基である。本明細書で別途明記されない限り、アルコキシカルボニル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。「アルケノキシカルボニル」及び「アルキノキシカルボニル」という用語は、「アルコキシカルボニル」に関する上の記載を反映し、その場合、接頭辞「アルク(alk)」は、それぞれ、「アルケン(alken)」又は「アルキン(alkyn)」に置き換えられ、もとの「アルケニル」又は「アルキニル」という用語は、本明細書に記載の通りのものである。
「アシル」は、R-C(O)-基、例えば、限定されないが、(アルキル)-C(O)-、(アルケニル)-C(O)-、(アルキニル)-C(O)-、(アリール)-C(O)-、(シクロアルキル)-C(O)-、(ヘテロアリール)-C(O)-、(ヘテロアルキル)-C(O)-、及び(ヘテロシクロアルキル)-C(O)-を指し、ここで、該基は、カルボニル官能基を介して親分子構造に結合している。いくつかの実施態様において、それはC1-C10アシルラジカルであり、これは、アシルのカルボニル炭素に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロヘキシル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキル部分の鎖又は環原子を加えた総数を指す。例えば、C4-アシルは、カルボニルに加えて、3つの他の環又は鎖原子を有する。Rラジカルがヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環又は鎖原子は、鎖又は環原子の総数に寄与する。本明細書で別途明記されない限り、アシルオキシ基の「R」は、1以上の置換基によって任意に置換されることができ、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「アシルオキシ」は、R(C=O)O-ラジカルを指し、ここで、「R」は、本明細書に記載の通りである、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、シクロヘキシル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルであることができる。アシルオキシ基は、酸素官能基を介して親分子構造に結合している。いくつかの実施態様において、アシルオキシ基は、アシルのカルボニル炭素に、アシルオキシ基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロヘキシル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキル部分の鎖又は環原子を加えた総数を表すC1-C4アシルオキシラジカルであり、すなわち、C4-アシルオキシは、カルボニルに加えて、3つの他の環又は鎖原子を有する。Rラジカルがヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環又は鎖原子は、鎖又は環原子の総数に寄与する。本明細書で別途明記されない限り、アシルオキシ基の「R」は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「アミノ」又は「アミン」は、本明細書で別途明記されない限り、-N(Rb)2、-N(Rb)Rb-、又は-RbN(Rb)Rb-ラジカル基を指し、ここで、各Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。-N(Rb)2基が水素以外の2つのRbを有する場合、それらは窒素原子と結合して、3、4、5、6又は7員環を形成することができる。例えば、-N(Rb)2は、限定されないが、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことが意図される。本明細書で別途明記されない限り、アミノ基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「アミン」及び「アミノ」という用語はまた、基-N+(H)(Ra)O-、及び-N+(Ra)(Ra)O-(Raは上記の通りである)のN-オキシドを指し、ここで、該N-オキシドは、N原子を介して親分子構造に結合している。N-オキシドは、対応するアミノ基を、例えば、過酸化水素又はm-クロロペルオキシ安息香酸で処理することによって調製することができる。当業者は、N-酸化を行なうための反応条件を熟知している。
「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」は、本明細書で別途明記されない限り、式-C(O)N(Rb)2又は-NRbC(O)Rbを有する化学的部分を指し、ここで、Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。いくつかの実施態様において、このラジカルは、C1-C4アミド(amido)又はアミド(amide)ラジカルであり、これは、ラジカル中の炭素の総数にアミド(amide)カルボニルを含む。-C(O)N(Rb)2が水素以外の2つのRbを有する場合、それらは窒素原子と結合して、3、4、5、6又は7員環を形成することができる。例えば、-C(O)N(Rb)2ラジカルのN(Rb)2部分は、限定されないが、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことが意図される。本明細書で別途明記されない限り、アミド(amido)Rb基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」という用語は、アミノ酸又はペプチド分子を含む。本明細書に記載の化合物上のアミン、ヒドロキシ、又はカルボキシル側鎖はいずれも、アミド(amide)基に変換されることができる。そのようなアミド(amide)を生成させるための手順及び具体的な基は当業者に公知であり、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、Greene及びWutsの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis), 第3版, John Wiley & Sons, New York, NY, 1999などの参照情報源において容易に見出すことができる。
「アミジノ」は、本明細書で別途明記されない限り、-C(=NRb)N(Rb)2ラジカルと-N(Rb)-C(=NRb)-ラジカルの両方を指し、ここで、各Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「芳香族」又は「アリール」は、炭素環式である共役パイ電子系を有する少なくとも1つの環(例えば、フェニル、フルオレニル、及びナフチル)を有する6〜10個の環原子を有するラジカル(例えば、C6-C10芳香族又はC6-C10アリール)を指す。例えば、置換ベンゼン誘導体から形成され、かつ環原子に自由原子価を有する二価ラジカルは、置換フェニレンラジカルと命名される。他の実施態様において、自由原子価を有する炭素原子から水素原子を1つ取り除くことにより、名前が「-イル」で終わる一価の多環式炭化水素ラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名前に「-イデン」を付加することによって命名され、例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと呼ばれる。それが本明細書に見られるときはいつでも、「6〜10アリール」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「6〜10個の環原子」は、アリール基が、6個の環原子、7個の環原子など、10個まで(10個を含む)の環原子からなり得ることを意味する。この用語は、単環式又は縮合環多環式(すなわち、隣接する環原子対を共有する環)基を含む。本明細書で別途明記されない限り、アリール部分は、1以上の置換基によって任意に置換されることができ、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、アリール及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、アリール及びアルキルの好適な置換基として記載されている1以上の置換基によって任意に置換されている(アリール)アルキル-ラジカルを指す。「アラルキル/アリールアルキル」は、アルキル基を介して親分子構造に結合している。「アラルケニル/アリールアルケニル」及び「アラルキニル/アリールアルキニル」という用語は、「アラルキル/アリールアルキル」に関する上の記載を反映し、その場合、「アルキル」は、それぞれ、「アルケニル」又は「アルキニル」に置き換えられ、「アルケニル」又は「アルキニル」という用語は、本明細書に記載の通りのものである。
「アジド」は、-N3ラジカルを指す。
「カルバメート」は、本明細書で別途明記されない限り、以下のラジカル:-O-(C=O)-N(Rb)-、-O-(C=O)-N(Rb)2、-N(Rb)-(C=O)-O-、及び-N(Rb)-(C=O)-ORbのいずれかを指し、ここで、各Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「カルボネート」は、-O-(C=O)-O-ラジカルを指す。
「カルボニル」は、-(C=O)-ラジカルを指す。
「カルボキシアルデヒド」は、-(C=O)Hラジカルを指す。
「カルボキシル」は、-(C=O)OHラジカルを指す。
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
「シクロアルキル」及び「カルボシクリル」は各々、炭素及び水素のみを含み、飽和又は部分不飽和であり得る、単環式又は多環式ラジカルを指す。部分不飽和シクロアルキル基は、炭素環が少なくとも1つの二重結合を含む場合、「シクロアルケニル」、又は炭素環が少なくとも1つの三重結合を含む場合、「シクロアルキニル」と呼ぶことができる。シクロアルキル基には、3〜10個の環原子を有する基(すなわち、C3-C10シクロアルキル)が含まれる。それが本明細書に見られるときはいつでも、「3〜10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「3〜10個の炭素原子」は、シクロアルキル基が、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子など、10個まで(10個を含む)の炭素原子からなり得ることを意味する。「シクロアルキル」という用語は、ヘテロ原子を含まない架橋及びスピロ縮合環構造も含む。この用語は、単環式又は縮合環多環式(すなわち、隣接する環原子対を共有する環)基も含む。いくつかの実施態様において、それは、C3-C8シクロアルキルラジカルである。いくつかの実施態様において、それは、C3-C5シクロアルキルラジカルである。シクロアルキル基の実例となる例としては、以下の部分:限定されないが、シクロプロピル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロペンテニル(C5)、シクロヘキシル(C6)、シクロヘキセニル(C6)、シクロヘキサジエニル(C6)などを含む、C3-6カルボシクリル基が挙げられるが、これらに限定されない。C3-8カルボシクリル基の例としては、前述のC3-6カルボシクリル基、及びシクロヘプチル(C7)、シクロヘプタジエニル(C7)、シクロヘプタトリエニル(C7)、シクロオクチル(C8)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルなどが挙げられる。C3-10カルボシクリル基の例としては、前述のC3-8カルボシクリル基、及びオクタヒドロ-1H-インデニル、デカヒドロナフタレニル、スピロ[4.5]デカニルなどが挙げられる。本明細書で別途明記されない限り、シクロアルキル基は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「シクロアルキル-アルキル」は、シクロアルキル及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、シクロアルキル及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(シクロアルキル)アルキルラジカルを指す。「シクロアルキル-アルキル」は、シクロアルキル基を介して親分子構造に結合している。「シクロアルキル-アルケニル」及び「シクロアルキル-アルキニル」という用語は、「シクロアルキル-アルキル」に関する上記の記載とよく似ており、ここで、「アルキル」という用語は、それぞれ、「アルケニル」又は「アルキニル」と置き換えられており、かつ「アルケニル」又は「アルキニル」は、本明細書に記載されている通りである。
「シクロアルキル-ヘテロシクロアルキル」は、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(シクロアルキル)ヘテロシシルアルキル(cycylalkyl)ラジカルを指す。「シクロアルキル-ヘテロシクロアルキル」は、シクロアルキル基を介して親分子構造に結合している。
「シクロアルキル-ヘテロアリール」は、シクロアルキル及びヘテロアリールが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアリール及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(シクロアルキル)ヘテロアリールラジカルを指す。「シクロアルキル-ヘテロアリール」は、シクロアルキル基を介して親分子構造に結合している。
本明細書で使用されるように、「共有結合」又は「直接結合」は、2つの基を接続する単一の結合を指す。
「エステル」は、式-COORのラジカルを指し、ここで、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから選択される。本明細書に記載の化合物上のアミン、ヒドロキシ、又はカルボキシル側鎖はいずれも、エステル化されることができる。そのようなエステルを生成させるための手順及び具体的な基は当業者に公知であり、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、Greene及びWutsの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis), 第3版, John Wiley & Sons, New York, NY, 1999などの参照情報源において容易に見出すことができる。本明細書で別途明記されない限り、エステル基は、1以上の置換基によって任意に置換されることができ、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「エーテル」は、本明細書で別途明記されない限り、-Rb-O-Rb-ラジカルを指し、ここで、各Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「ハロ」、「ハロゲン化物」、又はその代わりに「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、及び「ハロアルコキシ」という用語は、1以上のハロ基又はその組合せで置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、及びアルコキシ構造を含む。例えば、「フルオロアルキル」及び「フルオロアルコキシ」という用語は、それぞれ、ハロがフッ素であるハロアルキル及びハロアルコキシ基、例えば、限定されないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどを含む。アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアルコキシ基の各々は、本明細書で定義されている通りのものであり、本明細書で定義されている通りに任意にさらに置換されることができる。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、及び「ヘテロアルキニル」には、それぞれ、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、又はこれらの組合せから選択される1以上の骨格鎖原子を有するアルキル、アルケニル、及びアルキニルラジカルが含まれる。鎖の全長を表す数値範囲、例えば、C1-C4ヘテロアルキルが与えられることがあり、この例では、鎖の全長は4原子の長さである。例えば、-CH2OCH2CH3ラジカルは「C4」ヘテロアルキルと呼ばれ、これは、原子鎖長の記述中にヘテロ原子中心を含む。親分子構造への接続は、ヘテロアルキル鎖中のヘテロ原子又は炭素のいずれかを介するものであることができる。例えば、N含有ヘテロアルキル部分は、骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である基を指す。ヘテロアルキルラジカル中の1以上のヘテロ原子は、任意に酸化されることができる。1以上の窒素原子は、存在する場合、任意に4級化されることもできる。例えば、ヘテロアルキルには、1以上の窒素酸化物(-O-)置換基で置換された骨格鎖も含まれる。例示的なヘテロアルキル基としては、限定されないが、エーテル、例えば、メトキシエタニル(-CH2CH2OCH3)、エトキシメタニル(-CH2OCH2CH3)、(メトキシメトキシ)エタニル(-CH2CH2OCH2OCH3)、(メトキシメトキシ)メタニル(-CH2OCH2OCH3)、及び(メトキシエトキシ)メタニル(-CH2OCH2CH2OCH3)など;アミン、例えば、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)2、-CH2NHCH2CH3、-CH2N(CH2CH3)(CH3)などが挙げられる。ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニル基は各々、1以上の置換基によって任意に置換されることができ、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「ヘテロアルキル-アリール」は、ヘテロアルキル及びアリールが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれヘテロアルキル及びアリールの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)アリールラジカルを指す。「ヘテロアルキル-アリール」は、ヘテロアルキル基の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロアルキル-ヘテロアリール」は、ヘテロアルキル及びヘテロアリールが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアルキル及びヘテロアリールの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)ヘテロアリールラジカルを指す。「ヘテロアルキル-ヘテロアリール」は、ヘテロアルキル基の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロアルキル-ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)ヘテロシクロアルキルラジカルを指す。「ヘテロアルキル-ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロアルキル基の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロアルキル-シクロアルキル」は、ヘテロアルキル及びシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアルキル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアルキル)シクロアルキルラジカルを指す。「ヘテロアルキル-シクロアルキル」は、ヘテロアルキル基の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロアリール」又はその代わりに「ヘテロ芳香族」は、芳香族環系中に提供された環炭素原子及び1〜6個の環ヘテロ原子を有する(例えば、環状配列で共有される6個、10個、又は14個のπ電子を有する)5〜18員単環式又は多環式(例えば、二環式もしくは三環式)芳香族環系(「5-18員ヘテロアリール」)のラジカルを指し、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、リン、及び硫黄から独立に選択される。ヘテロアリール多環系は、一方又は両方の環中に、1以上のヘテロ原子を含むことができる。それが本明細書に見られるときはいつでも、「5〜18」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「5〜18個の環原子」は、ヘテロアリール基が、5個の環原子、6個の環原子など、18個まで(18個を含む)の環原子からなり得ることを意味する。例えば、自由原子価を有する原子から水素原子を1つ取り除くことにより、名前が「-イル」で終わる一価ヘテロアリールラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名前に「-イデン」を付加することによって命名され、例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンである。
例えば、N含有「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。ヘテロアリールラジカル中の1以上のヘテロ原子は、任意に酸化されることができる。1以上の窒素原子は、存在する場合、任意に4級化されることもできる。ヘテロアリールには、1以上の窒素酸化物(-O-)置換基で置換された環系、例えば、ピリジニルN-オキシドも含まれる。ヘテロアリールは、環(複数可)の任意の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロアリール」には、上で定義されているようなヘテロアリール環が1以上のアリール基と縮合し、該基において、親分子構造への結合点が、アリール上、もしくはヘテロアリール環上のどちらかにある環系、又は上で定義されているようなヘテロアリール環が1以上のシクロアルキルもしくはヘテロシクリル基と縮合し、該基において、親分子構造への結合点がヘテロアリール環上にある環系も含まれる。1つの環がヘテロ原子を含有しない多環ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)については、親分子構造への結合点が、どちらかの環、すなわち、ヘテロ原子を担持する環(例えば、2-インドリル)、又はヘテロ原子を含有しない環(例えば、5-インドリル)のどちらかの上にあることができる。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜10員芳香族環系(「5〜10員ヘテロアリール」)であり、ここで、各ヘテロ原子は、独立に、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜8員芳香族環系(「5〜8員ヘテロアリール」)であり、ここで、各ヘテロ原子は、独立に、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロアリール基は、芳香族環系中に提供された環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜6員芳香族環系(「5〜6員ヘテロアリール」)であり、ここで、各ヘテロ原子は、独立に、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される。いくつかの実施態様において、該5〜6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される1〜3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様において、該5〜6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される1〜2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様において、該5〜6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
ヘテロアリールの例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラザニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアピラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル(pridinyl)、及びチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で別途明記されない限り、ヘテロアリール部分は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「ヘテロアリール-アルキル」は、ヘテロアリール及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアリール及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアリール)アルキルラジカルを指す。「ヘテロアリール-アルキル」は、ヘテロアリール基の任意の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロアリール-ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアリール)ヘテロシクロアルキルラジカルを指す。「ヘテロアリール-ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロアリール基の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロアリール-シクロアルキル」は、ヘテロアリール及びシクロアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロアリール及びシクロアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロアリール)シクロアルキルラジカルを指す。「ヘテロアリール-シクロアルキル」は、ヘテロアリール基の炭素原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、又は「ヘテロカルボシクリル」は各々、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の3〜18員非芳香族ラジカル単環又は多環部分を指す。ヘテロシクリル基は、単環系、二環系、三環系、又は四環系であることができ、ここで、多環系は、縮合環系、架橋環系、又はスピロ環系であることができる。ヘテロシクリル多環系は、一方又は両方の環中に、1以上のヘテロ原子を含むことができる。ヘテロシクリル基は、飽和又は部分不飽和であることができる。部分不飽和ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクリルが少なくとも1つの二重結合を含む場合、「ヘテロシクロアルケニル」、又はヘテロシクリルが少なくとも1つの三重結合を含む場合、「ヘテロシクロアルキニル」と呼ぶことができる。それが本明細書に見られるときはいつでも、「5〜18」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「5〜18個の環原子」は、ヘテロシクリル基が5個の環原子、6個の環原子など、18個まで(18個を含む)の環原子からなり得ることを意味する。例えば、自由原子価を有する原子から水素原子を1つ取り除くことにより、名前が「-イル」で終わる一価ヘテロシクリルラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名前に「-イデン」を付加することによって命名され、例えば、2つの結合点を有するピペリジン基は、ピペリジリデンである。
N含有ヘテロシクリル部分は、環原子の少なくとも1つが窒素原子である非芳香族基を指す。ヘテロシクリルラジカル中のヘテロ原子(複数可)は、任意に酸化されることができる。1以上の窒素原子は、存在する場合、任意に4級化されることができる。ヘテロシクリルには、1以上の窒素酸化物(-O-)置換基で置換された環系、例えば、ピペリジニルN-オキシドも含まれる。ヘテロシクリルは、環(複数可)のいずれかの任意の原子を介して親分子構造に結合している。
「ヘテロシクリル」には、上で定義されているようなヘテロシクリル環が1以上のカルボシクリル基と縮合し、該基において、結合点が、カルボシクリル環もしくはヘテロシクリル環のどちらかの上にある環系、又は上で定義されているようなヘテロシクリル環が1以上のアリール又はヘテロアリール基と縮合し、該基において、親分子構造への結合点がヘテロシクリル環上にある環系も含まれる。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する3〜10員非芳香族環系(「3〜10員ヘテロシクリル」)であり、ここで、各ヘテロ原子は、独立に、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜8員非芳香族環系(「5〜8員ヘテロシクリル」)であり、ここで、各ヘテロ原子は、独立に、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される。いくつかの実施態様において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1〜4個の環ヘテロ原子を有する5〜6員非芳香族環系(「5〜6員ヘテロシクリル」)であり、ここで、各ヘテロ原子は、独立に、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される。いくつかの実施態様において、該5〜6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様において、該5〜6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される1〜2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施態様において、該5〜6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、リン、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
1個のヘテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリルとしては、アジルジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリルとしては、アゼチジニル、オキセタニル、及びチエタニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリルとしては、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、及びピロリル-2,5-ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリルとしては、ジオキソラニル、オキサチオラニル、及びジチオラニルが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリルとしては、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、及びチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニル、及びトリアジナニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基としては、アゼパニル、オキセパニル、及びチエパニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基としては、アゾカニル、オキセカニル、及びチオカニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な二環式ヘテロシクリル基としては、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカヒドロ-1,8-ナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、インドリニル、フタリミジル、ナフタリミジル、クロマニル、クロメニル、1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7-テトラヒドロピラノ[3,4-b]ピロリル、5,6-ジヒドロ-4H-フロ[3,2-b]ピロリル、6,7-ジヒドロ-5H-フロ[3,2-b]ピラニル、5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラニル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロフロ[3,2-c]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-b]ピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
別途明記されない限り、ヘテロシクリル部分は、1以上の置換基によって任意に置換されており、該置換基は独立に:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3-、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、又は-O-P(=O)(ORa)2を含み、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。
「ヘテロシクリル-アルキル」は、ヘテロシクリル及びアルキルが、本明細書に開示されている通りであり、かつそれぞれ、ヘテロシクリル及びアルキルの好適な置換基として記載されている置換基のうちの1つ又は複数によって任意に置換されている-(ヘテロシクリル)アルキルラジカルを指す。「ヘテロシクリル-アルキル」は、ヘテロシクリル基の任意の原子を介して親分子構造に結合している。「ヘテロシクリル-アルケニル」及び「ヘテロシクリル-アルキニル」という用語は、「ヘテロシクリル-アルキル」に関する上記の記載とよく似ており、ここで、「アルキル」という用語は、それぞれ、「アルケニル」又は「アルキニル」と置き換えられており、かつ「アルケニル」又は「アルキニル」は、本明細書に記載されている通りである。
「イミノ」は、本明細書で別途明記されない限り、「-(C=N)-Rb」ラジカルを指し、ここで、Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「部分」は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。化学的部分は、多くの場合、分子内に包埋されているか、又は分子に付加されている認められている化学的実体である。
「ニトロ」は、-NO2ラジカルを指す。
「オキサ」は、-O-ラジカルを指す。
「オキソ」は、=Oラジカルを指す。
「ホスフェート」は、本明細書で別途明記されない限り、-O-P(=O)(ORb)2ラジカルを指し、ここで、各Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。いくつかの実施態様において、Raが水素であるとき、pH次第で、水素は、適当な電荷を有する対イオンによって置き換えられることができる。
「ホスホネート」は、本明細書で別途明記されない限り、-O-P(=O)(Rb)(ORb)ラジカルを指し、ここで、各Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。いくつかの実施態様において、Raが水素であるとき、pH次第で、水素は、適当な電荷を有する対イオンによって置き換えられることができる。
「ホスフィネート」は、本明細書で別途明記されない限り、-P(=O)(Rb)(ORb)ラジカルを指し、ここで、各Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。いくつかの実施態様において、Raが水素であるとき、pH次第で、水素は、適当な電荷を有する対イオンによって置き換えられることができる。
「脱離基又は脱離原子」は、反応条件下で、出発材料から切断され、それにより、特定の部位での反応を促進する任意の基又は原子である。そのような基の好適で非限定的な例としては、別途規定されない限り、ハロゲン原子、メシルオキシ、p-ニトロベンゼンスルホニルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、及びトシルオキシ基が挙げられる。
「保護基」は、有機合成においてそれと従来関連付けられている意味、すなわち、化学反応を、別の保護されていない反応部位上で選択的に実施することができるように、及び選択的反応が終了した後、その基を容易に除去することができるように、多官能性化合物中の1以上の反応部位を選択的にブロックする基という意味を有する。様々な保護基は、例えば、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、T.H. Greene及びP. G. M. Wutsの文献、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis), 第3版, John Wiley & Sons, New York(1999)に開示されている。例えば、ヒドロキシ保護形態は、化合物中に存在するヒドロキシ基の少なくとも1つがヒドロキシ保護基で保護されているものである。同様に、アミン及び他の反応基も同じように保護されることができる。
本明細書で使用されるように、「置換された」又は「置換」という用語は、基原子(例えば、炭素又は窒素原子)上に存在する少なくとも1つの水素が、許容される置換基、例えば、水素の代わりに用いたとき、安定な化合物、例えば、転位、環化、除去、又は他の反応による変換を自然には受けない化合物をもたらす置換基で置き換えられていることを意味する。別途示されない限り、「置換された」基は、基の1以上の置換可能な位置に置換基を有することができ、任意の所与の構造中の2以上の位置が置換される場合、置換基は、各位置で同じもの又は異なるもののいずれかである。置換基としては、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アジド、カルボネート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(Ra)3、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、-C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、-N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tORa(ここで、tは1もしくは2である)、-S(O)tN(Ra)2(ここで、tは1もしくは2である)、-O-P(=O)(ORa)2、から個々にかつ独立に選択される1以上の基が挙げられ、ここで、各Raは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであり、これらの部分の各々は、本明細書で定義されている通りに任意に置換されることができる。例えば、シクロアルキル置換基は、1以上の環炭素において置換されたハロゲン化物などを有することができる。上記の置換基の保護誘導体を形成することができる保護基は当業者に公知であり、Greene及びWutsの文献、上記などの参考文献において見出すことができる。
「シリル」は、本明細書で別途明記されない限り、-Si(Rb)3ラジカルを指し、ここで、各Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「スルファニル」、「スルフィド」、及び「チオ」は各々、本明細書で別途明記されない限り、ラジカル-S-Rbを指し、ここで、Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。例えば、「アルキルチオ」は、「アルキル-S-」ラジカルを指し、「アリールチオ」は、「アリール-S-」ラジカルを指し、これらの各々は、S原子を介して親分子基に結合している。「スルフィド」、「チオール」、「メルカプト」、及び「メルカプタン」という用語は各々、基-RbSHを指すこともできる。
「スルフィニル」又は「スルホキシド」は、本明細書で別途明記されない限り、-S(O)-Rbラジカルを指し、ここで、「スルフィニル」については、RbはHであり、「スルホキシド」については、Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「スルホニル」又は「スルホン」は、本明細書で別途明記されない限り、-S(O2)-Rbラジカルを指し、ここで、Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「スルホンアミジル」又は「スルホンアミド」は、本明細書で別途明記されない限り、以下のラジカル:-S(=O)2-N(Rb)2、-N(Rb)-S(=O)2-Rb、-S(=O)2-N(Rb)-、又は-N(Rb)-S(=O)2-を指し、ここで、各Rbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。-S(=O)2-N(Rb)2中のRb基は、それらが結合している窒素と一緒になって、4、5、6、又は7員ヘテロシクリル環を形成することができる。いくつかの実施態様において、この用語は、C1-C4スルホンアミドを指定し、ここで、スルホンアミド中の各Rbは、合計1個の炭素、2個の炭素、3個の炭素、又は4個の炭素を含む。
「スルホキシル」又は「スルホキシド」は、-S(=O)2OHラジカルを指す。
「スルホネート」は、本明細書で別途明記されない限り、-S(=O)2-ORbラジカルを指し、ここで、Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
「チオカルボニル」は、-(C=S)-ラジカルを指す。
「尿素」は、本明細書で別途明記されない限り、-N(Rb)-(C=O)-N(Rb)2又は-N(Rb)-(C=O)-N(Rb)-ラジカルを指し、ここで、各Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル(鎖炭素を介して結合している)、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル(環炭素を介して結合している)、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール(環炭素を介して結合している)、又はヘテロアリールアルキルから独立に選択され、これらの部分の各々は、それ自体、本明細書に記載されている通りに任意に置換されることができる。
置換基が、左から右に記述されたその従来の化学式によって特定される場合、それらは、その構造を右から左に記述することによって得られる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CH2O-は、-OCH2-と同等である。
(化合物)
一態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはその医薬として許容し得るその形態である:
(式中、
Cyは、0〜1回出現するR
3及び0〜3回出現するR
5で置換されたアリール又はヘテロアリールであり;
W
b 5は、CR
8、CHR
8、又はNであり;
ここで、W
b 5がNであるとき、X又はYのうちの1以下が非存在であり;
R
8は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロであり;
Bは、その各々が0〜4回出現するR
2で置換されている、アルキル、アミノ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;
各々のR
2は、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、又はカルボネートであり;
Xは、非存在であるか、又は-(CH(R
9))
z-であり;
Yは、非存在、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-N(R
9)-、-C(=O)-(CHR
9)
z-、-C(=O)-、-N(R
9)-C(=O)-、もしくは-N(R
9)-C(=O)NH-、-N(R
9)C(R
9)
2-、又は-C(=O)-N(R
9)-(CHR
9)
zであり;
各々のzは、独立に、1、2、3、又は4の整数であり;
R
3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、ハロ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ニトロ、又は-C(=O)R
17であり;ここで、上記の置換基の各々は、0、1、2、又は3個のR
13で置換されることができ;
R
17は、水素、ヒドロキシル、又はヘテロシクリルであり;
各々のR
5は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロであり;
各々のR
9は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアルキルであり;かつ
W
dは、
であり、
ここで、X
1は、N又はCR
10であり;かつ
各々のR
10、R
11、R
12、及びR
13は、独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、オキソ、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成する)。
ある実施態様において、Wb 5はNである。いくつかの実施態様において、Wb 5はCR8である。いくつかの実施態様において、R8は水素である。
ある実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール又はヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール又はヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール又はヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール(例えば、フェニル)である。いくつかの実施態様において、Cyは、0回出現するR3及び0回出現するR5で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、Cyは、1回出現するR3及び0回出現するR5で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、R3は、ハロ(例えば、クロロ)である。いくつかの実施態様において、R3は、アルキル(例えば、メチル又はn-ブチル)である。いくつかの実施態様において、R3は、アリール(例えば、3,4-ジフルオロフェニル、3-メトキシフェニル、2-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、又は3-(N,N-ジメチルアニリニル))である。いくつかの実施態様において、R3は、ヘテロアリール(例えば、1-メチル-4-ピラゾリル、1-イソプロピル-4-ピラゾリル、1-プロピル-4-ピラゾリル、1-エチル-4-ピラゾリル、1-イソブチル-4-ピラゾリル、4-ピラゾリル、1,3-ジメチル-4-ピラゾリル、2,3-ジメチル-4-ピラゾリル、2-アミノ-5-ピリジル、5-(N,N-ジメチルピリジン-2-アミン)、2-トリフルオロメチル-5-ピリジル、2-トリフルオロメチル-4-ピリジル、2-メトキシ-5-ピリジル、5-ピリジル、3-メチル-5-ピリジル、2-フルオロ-3-メチル-5-ピリジル、2-ピリジル、4-ピリジル、5-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-メチル-4-ピリジル)、3-フラニル、2-メトキシ-4-ピリジル、3-メトキシ-4-ピリジル、2-メチル-5-ピリミジル、2-メトキシ-5-ピリミジル、2-ベンジルオキシ-5-ピリミジル、3-メトキシ-5-ピリジル、2,3-ジメチル-5-ピリジル、3-キノリニル、3-ピリジル、4-ピリダジニル、2-メトキシ-5-チアゾリル、2-メチル-4-イミダゾリル、5-ピリジノニル、2-メチル-5-ピリジル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-b]-5-ピリジル、フロ[3,2-b]-5-ピリジル、7-メチルピリド[3,2-b]ピラジン、ピラジン[2,3-b]-5-ピリジル、又は2-メトキシ-3-メチル-5-ピリジル)である。いくつかの実施態様において、R3は-C(=O)-R17であり、ここで、R17は、水素、ヒドロキシル、又はヘテロシクリル(例えば、モルホリニル)である。
ある実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換された5員ヘテロアリール(例えば、チオフェニル又はイソチアゾリル)である。いくつかの実施態様において、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたチオフェニルである。いくつかの実施態様において、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたイソチアゾリルである。いくつかの実施態様において、Cyは、6員ヘテロアリール(例えば、ピリジニル)である。
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、式(XV)の構造を有する:
(式中、W
a 2は、CH、CR
5、又はNであり、W
a 3は、CH、CR
5、又はNであり、かつW
a 4は、CH、CR
5、又はNである)。
いくつかの実施態様において、式(XV)の化合物は、式(II)の構造を有する。
例えば、式(II)の化合物は、式(IIa)又は(IIb)の構造を有する。
他の実施態様において、式(II)の化合物は、式(IIIa)又は(IIIb)の構造を有する。
いくつかの実施態様において、式(IIIb)の化合物は、式(IIIb-1)の構造を有する:
(式中、X
3は、CR
13又はNであり;かつpは、0、1、2、又は3である)。
式(IIIb-1)の化合物の一実施態様において、pは、1又は2である。式(IIIb-1)の化合物のいくつかの実施態様において、pは、1又は2であり、かつ各々の出現するR13は、独立に、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-6ヘテロシクリル、C1-4アルコキシ、ハロ、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、又はオキソである。式(IIIb-1)の化合物のいくつかの実施態様において、pは、1又は2であり、かつ各々の出現するR13は、独立に、メチル、メトキシ、又はオキソである。
ある実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたアリール(例えば、6員アリール)である。いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、0回出現するR2で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、1回出現するR2で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、R2は、オルト位で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、R2は、メタ位で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、R2は、パラ位で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、R2は、ハロ(例えば、フルオロ)である。いくつかの実施態様において、R2は、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)である。
いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたシクロアルキル(例えば、シクロプロピル)である。いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたシクロプロピルである。いくつかの実施態様において、Bは、0回出現するR2で置換されたシクロプロピルである。
いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたアルキル(例えば、メチル又はエチル)である。いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたメチルである。いくつかの実施態様において、Bは、0回出現するR2で置換されたメチルである。いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたエチルである。いくつかの実施態様において、Bは、1回出現するR2で置換されたエチルである。いくつかの実施態様において、R2は、ヘテロシクリル(例えば、ピロリル)である。
いくつかの実施態様において、Xは-(CH(R9))z-である。いくつかの実施態様において、zは1である。いくつかの実施態様において、R9は、C1-10アルキル(例えば、メチル)である。
ある実施態様において、Yは非存在である。いくつかの実施態様において、Yは-N(R9)-である。いくつかの実施態様において、R9は水素である。
ある実施態様において、X1はNである。いくつかの実施態様において、X1はCR10である。いくつかの実施態様において、R10は水素である。いくつかの実施態様において、R10は、アルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施態様において、R10は、アリール(例えば、フェニル)である。
ある実施態様において、R11は水素である。いくつかの実施態様において、R11は、アルキル(例えば、メチル)である。
ある実施態様において、R12は水素である。いくつかの実施態様において、R12は、ハロ(例えば、クロロ)である。いくつかの実施態様において、R12はアミノである。
ある実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、W
dは、
である。
ある実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール又はヘテロアリールであり;ここで、R3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヘテロアリール、ヒドロキシル、又はニトロであり;かつ各々のR5は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロである。
ある実施態様において、Cyは5員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyはフェニルである。
ある実施態様において、X1はNである。
ある実施態様において、R3は、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はシクロアルキルである。
ある実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、R3は、H、ハロ、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、又はヘテロアリールであり、各々のR5は、ハロ、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、又はヘテロアリールであり、かつR9は、水素又はアルキルである。
ある実施態様において、各々のR5は、独立に、CH3、OCH3、CF3、及びハロから選択される。
ある実施態様において、式(I)の化合物は、式(VIIIa)の化合物であり、かつR5は、アルキル、シクロアルキル、ハロ、アリール、及びヘテロアリールから選択される。
ある実施態様において、R5は、メチル、クロロ、及びピラゾロから選択される。
いくつかの実施態様において、Bは、その各々が0〜4個のR2で置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールである。ある実施態様において、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたアリールである。いくつかの実施態様において、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、非置換フェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、1回出現するR2で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、R2は、ハロ又はメチルである。
ある実施態様において、Bはシクロアルキルである。
ある実施態様において、Bはヘテロシクリルである。
いくつかの実施態様において、R3は、ハロ、アルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、又はシクロアルキルである。例えば、R3は、CH3、CH2CH3、CF3、Cl、又はFである。他の実施態様において、R3は、CH3、CF3、又はClである。他の実施態様において、各々のR5は、独立に、CH3、OCH3、CF3、及びハロから選択される。
いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、R3は、H、ハロ、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、又はヘテロアリールであり、各々のR5は、H、ハロ、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、又はヘテロアリールであり、かつR9は、水素又はアルキルである。
いくつかの実施態様において、Bは、限定されないが、-(CH2)2-NRaRaを含む、非置換又は置換アルキルであり、ここで、各々のRaは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアリールアルキルであるか、又はNRaRaは組み合わさって、限定されないが、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルを含む、環状部分を形成する。いくつかの実施態様において、Bは、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、Bは、非置換又は置換ヘテロアルキルである。いくつかの実施態様において、Bは、0〜4回出現するR2で置換されたアルキル又はシクロアルキルである。いくつかの実施態様において、Bはイソプロピルである。
いくつかの実施態様において、Bは、限定されないが、非置換又は置換フェニルを含む、非置換又は置換アリール、限定されないが、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-5-イル、又はピラジン-2-イルを含む、非置換又は置換ヘテロアリール、非置換又は置換単環式ヘテロアリール、非置換又は置換二環式ヘテロアリール;2つのヘテロ原子を環原子として有するヘテロアリール;窒素環原子を有する非置換又は置換ヘテロアリール;2つの窒素環原子を有する非置換又は置換ヘテロアリール;窒素及び硫黄を環原子として有する非置換又は置換ヘテロアリール、限定されないが、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニル、及びピペリジニルを含む、非置換又は置換ヘテロシクリル;並びに限定されないが、シクロペンチル及びシクロヘキシルを含む、非置換又は置換シクロアルキルから選択される。いくつかの実施態様において、Bは、0〜4個のR2で置換された5〜6員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Bは、イソオキサゾリルである。
いくつかの実施態様において、Bは、以下の部分のうちの1つである。
いくつかの実施態様において、Bは非置換であるか、又は1以上のR2置換基で置換されている。いくつかの実施態様において、R2は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロであり、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体、置換されることができる。
いくつかの実施態様において、R2は、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換ヘテロアルキル、非置換もしくは置換アルケニル、非置換もしくは置換アルキニル、非置換もしくは置換シクロアルキル、又は非置換もしくは置換ヘテロシクリルである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換アリールアルキル、非置換もしくは置換ヘテロアリール、又は非置換もしくは置換ヘテロアリールアルキルである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換アミド、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R2は、-I、-F、-Cl、及び-Brから選択されるハロである。いくつかの実施態様において、R2は、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、及びカルボネートから選択される。いくつかの実施態様において、R2は、非置換又は置換ホスフェートである。いくつかの実施態様において、R2は、非置換又は置換尿素である。いくつかの実施態様において、R2がアルキルであるとき、R2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はヘプチルである。
いくつかの実施態様において、R2が、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、又はヒドロキシルであるとき、それは、ホスフェートで置換されているか、尿素で置換されているか、又はカルボネートで置換されている。
いくつかの実施態様において、R2が、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、それは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロのうちの1つ又は複数で置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体、置換されることができる。
いくつかの実施態様において、0回出現するR2が存在する。他の実施態様において、1回出現するR2が存在する。さらに他の実施態様において、2回出現するR2が存在する。さらに他の実施態様において、3回出現するR2が存在する。さらに他の実施態様において、4回出現するR2が存在する。例えば、いくつかの実施態様において、Bは、アリール又はヘテロアリールであり、かつ0回出現するR2が存在する。他の例において、Bは、アリール又はヘテロアリールであり、かつ1回出現するR2が存在し、ここで、R2は、アルキル又はハロである。
いくつかの実施態様において、R3は、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、又は非置換もしくは置換アルキニルである。いくつかの実施態様において、R3は、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換ヘテロアリール、非置換もしくは置換シクロアルキル、又は非置換もしくは置換ヘテロシクリルである。いくつかの実施態様において、R3は、非置換もしくは置換アルコキシ、非置換もしくは置換アミド、又は非置換もしくは置換アミノである。いくつかの実施態様において、R3は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、R3は、-I、-F、-Cl、及び-Brから選択されるハロである。いくつかの実施態様において、R3は、ハロ、アルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、又はシクロアルキルである。例えば、R3は、CH3、CH2CH3、CF3、Cl、又はFである。いくつかの例において、R3は、CH3、CF3、又はClである。
いくつかの実施態様において、R3は、シアノ、ヒドロキシル、及びニトロから選択される。いくつかの実施態様において、R3がアルキルであるとき、R3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はヘプチルである。いくつかの実施態様において、R3は、-CF3、-CH2F、又は-CHF2である。
いくつかの実施態様において、R3が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、それは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロのうちの1つ又は複数で置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体、置換されることができる。いくつかの実施態様において、R3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヘテロアリール、ヒドロキシル、又はニトロであり;ここで、上記の置換基の各々は、0、1、2、又は3個のR13で置換されることができる。
いくつかの実施態様において、R3は、0、1、2、又は3個のR13で置換された5〜10員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、R3は、5員ヘテロアリール基である。そのような基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、トリアゾール、オキサゾール、ピラゾール、及びイソオキサゾールが挙げられる。他の実施態様において、R3は、5員複素環であり、これには、限定されないが、オキサゾリン及びオキサゾリジノンが含まれる。さらに他の実施態様において、R3は、6員ヘテロアリール基であり、これには、限定されないが、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、及びピリダジンが含まれる。いくつかの実施態様において、R3は、0、1、2、又は3個のR13で置換された6員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、R3は、0、1、2、又は3個のR13で置換されたピリジル又はピリミジルである。或いは、R3は6員複素環であり、これには、モルホリノ又はピペリジノなどの部分が含まれる。他の実施態様において、R3は、縮合5/6二環式ヘテロアリール、例えば、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、プリン、又はピラゾロピリミジンである。さらに他の実施態様において、R3は、縮合5/6二環式複素環である。
本明細書及び別所に提供される式(例えば、式(I)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIb-1)、又は(XV))の化合物のある実施態様において、各々の出現するR13は、独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシ、アミノ、スルホンアミド、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、又はオキソである。いくつかの実施態様において、各々の出現するR13は、独立に、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-6ヘテロシクリル、C1-4アルコキシ、ハロ、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、又はオキソである。いくつかの実施態様において、各々の出現するR13は、独立に、メチル、メトキシ、ハロ、又はオキソである。いくつかの実施態様において、各々の出現するR13は、独立に、メチル、メトキシ、又はオキソである。
いくつかの実施態様において、R3は、5員ヘテロアリール、5員複素環、6員ヘテロアリール、6員複素環、縮合5/6二環式ヘテロアリール、又は縮合5/6二環式複素環で置換されたC1-C6アルキル基である。或いは、R3は、N、S、又はOヘテロ原子が、直接、又はC1-C6アルキル基を介して、5員ヘテロアリール、5員複素環、6員ヘテロアリール、6員複素環、縮合5/6二環式ヘテロアリール、又は縮合5/6二環式非芳香族複素環との共有結合を有する、アミノ、スルフィニル、スルホニル、スルホキシド、スルホン、又はアルコキシである。
他の実施態様において、R3は、縮合多環式基で置換されたC1-C6アルキル基(ここで、該多環式基は、3以上の環を有し、かつ炭素環式もしくは複素環式である);架橋シクロアルキルもしくは架橋複素環基で置換されたC1-C6アルキル基;スピロ環式シクロアルキルもしくはスピロ環式複素環基で置換されたC1-C6アルキル基;又は分岐状C4-C12アルキル基(ここで、該分岐状アルキル基は、少なくとも1つの末端t-ブチル基を含有する)である。
R3に対して上で命名された実施態様の各々は、非置換であるか、又はアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロ基で任意にさらに置換されている。
ある実施態様において、R3は、ピリジン、ピラゾール、ピペラジン、及びピロリジンから選択される置換又は非置換ヘテロシクリル又はヘテロアリール基であり、ここで、該置換基は、C1-C6アルキル基又はハロゲンであることができる。
いくつかの実施態様において、R3が、5員ヘテロアリール、例えば、ピロール、フラン、又はチオフェン基;5員非芳香族ヘテロシクリル、例えば、ピロリジン、テトラヒドロフラン、又はテトラヒドロチオフェン基;6員ヘテロアリール、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、又はピリダジン;6員非芳香族ヘテロシクリル、例えば、ピペリジン、テトラヒドロピラン、又はチアン;並びに縮合5/6二環式ヘテロアリール、例えば、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、又はプリンから選択される化合物が提供される。ある実施態様において、R3は、置換又は非置換基、例えば、ピリジン、ピラゾール、ピペラジン、又はピロリジンである。非限定的な例として、R3基は、C1-C6アルキル基又はハロゲンで置換されることができる。例えば、R3基は、メチル基で置換されることができる。
いくつかの実施態様において、R
3が、
から選択される化合物が提供され、ここで、Rは、H、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ハロ、又はハロアルキルである。ある実施態様において、Rはメチルである。他の実施態様において、R
3が:
から選択される化合物が提供される。
いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アルキル(限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルキルを含む)である。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アルケニルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルケニルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アルキニルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルキニルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換シクロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C3-C5シクロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換ヘテロシクリルである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換ヘテロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C4ヘテロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アルコキシであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルコキシが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アミドであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アミドが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C1-C4アシルオキシ、非置換もしくは置換スルホンアミド、又は非置換もしくは置換C1-C4スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、-I、-F、-Cl、及び-Brから選択されるハロである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、シアノ、ヒドロキシル、及びニトロから選択される。いくつかの他の実施態様において、各々のR5は、独立に、-CH3、-CH2CH3、n-プロピル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、又は-CF3である。
いくつかの実施態様において、R5が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドであるとき、R5は、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロのうちの1つ又は複数で任意に置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体、置換されることができる。
いくつかの実施態様において、R5部分は存在しない。
いくつかの実施態様において、Xは非存在である。いくつかの実施態様において、Xは-(CH(R9))z-であり、かつzは、1、2、3、又は4の整数である。
いくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換アルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C10アルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換シクロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C3-C7シクロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、R9は、エチル、メチル、又は水素である。いくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換ヘテロシクリルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C10ヘテロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換ヘテロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C10ヘテロアルキルが含まれる。
また、本明細書に提供されるのは、R9が水素であり、かつXが-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)-、又は-CH(CH2CH3)-である式(I)の化合物である。他の実施態様において、Xは-(CH(R9))z-であり、R9は水素ではなく、かつzは1の整数である。Xが-CH(R9)-であり、かつR9が水素ではない場合、該化合物は、CH炭素に関して、(S)-立体化学配置又は(R)-立体化学配置のいずれかを取ることができる。いくつかの実施態様において、該化合物は、CH炭素に関して、(S)異性体及び(R)異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の混合物であり、ここで、該混合物中の個々の化合物は、主に、(S)-又は(R)-異性体配置で存在する。例えば、化合物混合物は、CH炭素において、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。他の実施態様において、化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。
他の実施態様において、化合物混合物は、CH炭素において、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰を有する。いくつかの他の実施態様において、化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰を有する。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、Xは-CH(R9)-であり、R9は、メチル又はエチルであり、かつ該化合物は、(S)-異性体である。いくつかの実施態様において、R9はメチルである。
式Iの化合物のいくつかの実施態様において、Yは非存在である。
いくつかの実施態様において、Yは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-N(R9)(C=O)-、-N(R9)(C=O)NH-、-N(R9)C(R9)2-(例えば、-N(R9)CH2-、これには、限定されないが、-N(CH3)CH2-、N(CH(CH3)2)CH2-、もしくはN(CH2CH3)CH2-が含まれる)、-N(R9)-、-N(CH3)-、-N(CH2CH3)-、又は-N(CH(CH3)2)-である。いくつかの実施態様において、Yは-C(=O)-(CHR9)z-であり、かつzは、1、2、3、又は4の整数である。一実施態様において、YはNHである。
いくつかの実施態様において、X及びYのうちの少なくとも1つは存在する。式Iの化合物のいくつかの実施態様において、-XY-は、-CH2-、-CH2-N(CH3)、-CH2-N(CH2CH3)、-CH(CH3)-NH-、(S)-CH(CH3)-NH-、又は(R)-CH(CH3)-NH-である。他の実施態様において、X-Yは、-N(CH3)-CH2-、N(CH2CH3)CH2-、-N(CH(CH3)2)CH2-、又は-NHCH2-である。
様々な実施態様において、W
dは、
であり、ここで、R
10、R
11、及びR
12は、独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成する。
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、水素、シアノ、ハロ、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルキニル、又は非置換もしくは置換アルケニルである。いくつかの実施態様において、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換アリールである。いくつかの実施態様において、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換ヘテロアリールであり、これには、5員環を有するヘテロアリール、6員環を有するヘテロアリール、少なくとも1つの窒素環原子を有するヘテロアリール、2つの窒素環原子を有するヘテロアリール、単環式ヘテロアリール、及び二環式ヘテロアリールが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換ヘテロシクリルであり、これには、1つの窒素環原子を有するヘテロシクリル、1つの酸素環原子を有するヘテロシクリル、1つの硫黄環原子を有するヘテロシクリル、5員ヘテロシクリル、6員ヘテロシクリル、飽和ヘテロシクリル、不飽和ヘテロシクリル、ヘテロシクリル環に接続された不飽和部分を有するヘテロシクリル、オキソで置換されたヘテロシクリル、及び2つのオキソで置換されたヘテロシクリルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換シクロアルキルであり、これには、その各々が1つのオキソで置換されることができる、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルキル、シクロアルキル環に接続された不飽和部分を有するシクロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つは、非置換もしくは置換アミド、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アシル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。
いくつかの実施態様において、R10、R11、及びR12のうちの少なくとも1つが、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アミド、アシルオキシ、アシル、又はスルホンアミドであるとき、それは、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロのうちの1つ又は複数で置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体、置換されることができる。
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(I)の化合物の他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。例えば、W
dは、
である。他の例において、W
dは、
であり、ここで、R
11はアルキルである。他の実施態様において、W
dは、
であり、ここで、R
12はハロである。
式(I)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(I)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、
である。
いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリールである。例えば、Cyは、1回出現するR3及び0回出現するR5で置換されたフェニルである。他の実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたヘテロアリールである。Cyは、例えば、ピリジニル、ピリダジニル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、又はイソチアゾリルであることができる。いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換された5員ヘテロアリールである。他の実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換された6員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、アリール、チオフェニル、又はイソチアゾリルである。例えば、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたチオフェニルである。別の例において、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたイソチアゾリルである。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物のいくつかの実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物の他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。例えば、W
dは、
である。他の例において、W
dは、
であり、ここで、R
11はアルキルである。他の実施態様において、W
dは、
であり、ここで、R
12はハロである。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、
である。
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたアリールである。例えば、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたフェニルである。式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは非置換フェニルである。式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物の他の実施態様において、Bは、1回出現するR2で置換されたフェニルである。R2は、いくつかの例において、ハロ又はアルキルである。式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIb-1)の化合物の他の実施態様において、Bは、シクロアルキル又はヘテロシクリルである。
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物は、以下のものから選択される構造を有する。
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、式(IVa)又は(IVb)の構造を有する。
他の実施態様において、式(IVa)又は(IVb)の化合物は、式(Va)又は(Vb)の化合物である。
式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物のいくつかの実施態様において、Wb 5はCR8である。例えば、Wb 5はCHである。式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物の他の実施態様において、R5は、アルキル、シクロアルキル、ハロ、アリール、及びヘテロアリールである。例えば、R5は、メチル、クロロ、又はピラゾロである。
式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物のいくつかの実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物の他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。例えば、W
dは、
である。他の例において、W
dは、
であり、ここで、R
11はアルキルである。他の実施態様において、W
dは、
であり、ここで、R
12はハロである。
式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、
である。式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは、0〜3回出現するR
2で置換されたアリールである。例えば、Bは、0〜3回出現するR
2で置換されたフェニルである。式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは非置換フェニルである。式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物の他の実施態様において、Bは、1回出現するR
2で置換されたフェニルである。R
2は、いくつかの例において、ハロ又はアルキルである。式(IVa)、(IVb)、(Va)、又は(Vb)の化合物の他の実施態様において、Bは、シクロアルキル又はヘテロシクリルである。
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、式(VIa)又は(VIb)の化合物である。
他の実施態様において、式(VIa)又は(VIb)の化合物は、式(VIIa)又は(VIIb)の構造を有する。
いくつかの実施態様において、式(VIIa)又は(VIIb)の化合物は、式(VIIIa)又は(VIIIb)の構造を有する。
いくつかの実施態様において、式(VIIa)又は(VIIb)の化合物は、式(IXa)又は(IXb)の構造を有する。
式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物のいくつかの実施態様において、Wb5はCR8である。例えば、Wb 5はCHである。式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物の他の実施態様において、R3は、アルキル、シクロアルキル、ハロ、アリール、又はヘテロアリールである。例えば、R3は、メチル、クロロ、又はピラゾロである。
式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物のいくつかの実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物の他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。例えば、W
dは、
である。他の例において、W
dは、
であり、ここで、R
11はアルキルである。他の実施態様において、W
dは、
であり、ここで、R
12はハロである。
式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、以下のもの:
から選択される構造である。
式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物のさらに他の実施態様において、W
dは、
である。
式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたアリールである。例えば、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたフェニルである。式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは、非置換フェニルである。式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物の他の実施態様において、Bは、1回出現するR2で置換されたフェニルである。R2は、いくつかの例において、ハロ又はアルキルである。 R2は、いくつかの例において、ハロ又はメチルである。式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物の他の実施態様において、Bは、シクロアルキル又はヘテロシクリルである。 式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物の他の実施態様において、Bは、シクロアルキルである。 式(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)、(IXa)、又は(IXb)の化合物の他の実施態様において、Bはヘテロシクリルである。
一態様において、Bは、表1に示される部分から選択される。
表1.本明細書に記載の化合物の例示的なB部分。
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは、0回又は1回出現するR2で置換されたアリール又はヘテロアリールであり、かつCyは、5員又は6員アリール又はヘテロアリール基である。例えば、Bは、0回又は1回出現するR2で置換されたアリールであり、かつCyは、5員又は6員アリール又はヘテロアリール基である。別の例において、Bは、0回又は1回出現するR2で置換されたアリール又はヘテロアリールであり、かつCyは6員アリール基である。Cyは、例えば、アルキル、フルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はハロで置換されたフェニルである。
式(I)の化合物の他の実施態様において、Bは、0回又は1回出現するR2で置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Cyは、5員又は6員アリール又はヘテロアリール基であり、Xは-(CH(R9))z-であり、かつYは-NH(R9)-であり、ここで、各々のR9は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロアルキルから選択される。例えば、X-Yは-CH2(CH3)-NH-である。いくつかの実施態様において、Bは、0回又は1回出現するR2で置換されたアリールであり、かつCyは、5員又は6員アリール又はヘテロアリール基である。別の例において、Bは、0回又は1回出現するR2で置換されたアリール又はヘテロアリールであり、かつCyは、6員アリール基である。Cyは、例えば、アルキル、フルロアルキル(fluroalkyl)、アリール、ヘテロアリール、又はハロで置換されたフェニルである。Bが、0回又は1回出現するR2で置換されたアリール又はヘテロアリールであるいくつかの実施態様において、Cyは、5員又は6員アリール又はヘテロアリール基であり、Xは-(CH(R9))z-であり、Yは-NH(R9)-であり、かつX1はNである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(XIII)の化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはその医薬として許容し得るその形態である:
(式中、
Cyは、0〜1回出現するR
3及び0〜3回出現するR
5で置換された環状部分であり;
Bは、その各々が、0〜4回出現するR
2で置換されている、アルキル、アミノ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Xは、非存在であるか、又は-(CH(R
9))
z-であり;
Yは、非存在、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-N(R
9)-、-C(=O)-(CHR
9)
z-、-C(=O)-、-N(R
9)-C(=O)-、もしくは-N(R
9)-C(=O)NH-、-N(R
9)C(R
9)
2-、又は-C(=O)-N(R
9)-(CHR
9)
zであり;
各々のzは、独立に、1、2、3、又は4の整数であり;
各々のR
2は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、又はカルボネートであり;
R
3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、ハロ、シアノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ニトロ、又は-C(=O)R
17であり;ここで、上記の置換基の各々は、0、1、2、又は3個のR
13で置換されることができ;
R
17は、水素、ヒドロキシル、又はヘテロシクリルであり;
各々のR
5は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロであり;
各々のR
9は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアルキルであり;
W
dは、
であり、
ここで、X
1は、N又はCR
10であり;かつ
各々のR
10、R
11、R
12、及びR
13は、独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、 ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、オキソ、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成し;ここで、R
13がメチルであるとき、R
11は水素ではなく、さらに、R
11とR
13の両方ともが水素であるというわけではない。
いくつかの実施態様において、式(XIII)の化合物は、6員環、例えば、アリール環であるCy基を有する。他の実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、R
11はメチルである。他の実施態様において、X-Yは-CH
2-N(CH
3)である。
ある実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール又はヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール又はヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール(例えば、フェニル)である。いくつかの実施態様において、Cyは、1回出現するR3及び0回出現するR5で置換されたフェニルである。
ある実施態様において、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたアリール(例えば、フェニル)である。いくつかの実施態様において、Bは、0〜3回出現するR2で置換されたフェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、0回出現するR2で置換されたフェニルである。
いくつかの実施態様において、Xは-(CH(R9))z-である。いくつかの実施態様において、zは1である。いくつかの実施態様において、R9は、C1-10アルキル(例えば、メチル)である。
ある実施態様において、Yは非存在である。いくつかの実施態様において、Yは-N(R9)-である。いくつかの実施態様において、R9は水素である。
ある実施態様において、R10は水素である。いくつかの実施態様において、R10は、アルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施態様において、R10は、アリール(例えば、フェニル)である。
ある実施態様において、R11は水素である。いくつかの実施態様において、R11は、アルキル(例えば、メチル)である。
ある実施態様において、R12は水素である。
いくつかの実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、W
dは、
である。
ある実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、1回出現するR3で置換されたフェニルである。
ある実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは5員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたチオフェニルである。いくつかの実施態様において、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたイソチアゾリルである。いくつかの実施態様において、Cyは6員ヘテロアリールである。
ある実施態様において、Xは-(CH(R9))z-であり、かつzは1である。
ある実施態様において、W
dは、
である。いくつかの実施態様において、R
11はメチルである。
いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリールである。例えば、Cyは、1回出現するR3及び0回出現するR5で置換されたフェニルである。
他の実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたヘテロアリールである。例えば、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換された5員ヘテロアリールである。例えば、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたチオフェニルである。別の例において、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたイソチアゾリルである。他の実施態様において、Cyは6員ヘテロアリールである。
式(XIII)の化合物の他の実施態様において、Xは-(CH(R9))z-である。例えば、zは1である。
いくつかの実施態様において、W
dは、
である。例えば、R
11はメチルである。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたアリール又はヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、0〜3回出現するR5で置換されたアリールである。例えば、Cyは、1回出現するR3及び0回出現するR5で置換されたフェニルである。他の実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換されたヘテロアリールである。Cyは、例えば、ピリジニル、ピリダジニル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、又はイソチアゾリルであることができる。いくつかの実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換された5員ヘテロアリールである。他の実施態様において、Cyは、0〜1回出現するR3及び0〜3回出現するR5で置換された6員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Cyは、アリール、チオフェニル、又はイソチアゾリルである。例えば、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたチオフェニルである。別の例において、Cyは、0回出現するR3及び1回出現するR5で置換されたイソチアゾリルである。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、水素、非置換又は置換アルキル(限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルキルを含む)である。いくつかの実施態様において、各々のR5は、非置換又は置換アルケニルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルケニルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アルキニルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C5アルキニルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換シクロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C3-C5シクロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換ヘテロシクリルである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換ヘテロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C4ヘテロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アルコキシであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アルコキシが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アミドであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C4アミドが含まれる。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、非置換又は置換アミノである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、非置換もしくは置換アシル、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換C1-C4アシルオキシ、非置換もしくは置換スルホンアミド、又は非置換もしくは置換C1-C4スルホンアミドである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、-I、-F、-Cl、及び-Brから選択されるハロである。いくつかの実施態様において、各々のR5は、独立に、シアノ、ヒドロキシル、及びニトロから選択される。いくつかの他の実施態様において、各々のR5は、独立に、-CH3、-CH2CH3、n-プロピル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、又は-CF3である。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、R5が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシルオキシ、又はスルホンアミドであるとき、R5は、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロのうちの1つ又は複数で任意に置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、それ自体、置換されることができる。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、R5部分は存在しない。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、Xは非存在である。式(XIII)の化合物の他の実施態様において、Xは-(CH(R9))z-であり、かつzは、1、2、3、又は4の整数である。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換アルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C1-C10アルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換シクロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C3-C7シクロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、R9は、エチル、メチル、又は水素である。いくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換ヘテロシクリルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C10ヘテロアルキルが含まれる。いくつかの実施態様において、R9は、非置換又は置換ヘテロアルキルであり、これには、限定されないが、非置換又は置換C2-C10ヘテロアルキルが含まれる。
また、本明細書に提供されるのは、R9が水素であり、かつXが-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)-、又は-CH(CH2CH3)-である式(XIII)の化合物である。他の実施態様において、Xは-(CH(R9))z-であり、R9は水素ではなく、及びzは1の整数である。Xが-CH(R9)-であり、かつR9が水素ではない場合、該化合物は、CH炭素に関して、(S)-立体化学配置又は(R)-立体化学配置のいずれかを取ることができる。いくつかの実施態様において、該化合物は、CH炭素に関して、(S)異性体及び(R)異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、式(XIII)の化合物の混合物であり、ここで、該混合物中の個々の化合物は、主に、(S)-又は(R)-異性体配置で存在する。例えば、化合物混合物は、CH炭素において、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。他の実施態様において、化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー過剰を有する。
式(XIII)の他の実施態様において、化合物混合物は、CH炭素において、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰を有する。いくつかの他の実施態様において、化合物混合物は、約55%〜約99.5%超、約60%〜約99.5%超、約65%〜約99.5%超、約70%〜約99.5%超、約75%〜約99.5%超、約80%〜約99.5%超、約85%〜約99.5%超、約90%〜約99.5%超、約95%〜約99.5%超、約96%〜約99.5%超、約97%〜約99.5%超、約98%超〜約99.5%超、約99%〜約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー過剰を有する。
いくつかの実施態様において、式(XIII)の化合物において、Xは-CH(R9)-であり、R9は、メチル又はエチルであり、かつ該化合物は、(S)-異性体である。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、Yは非存在である。
いくつかの実施態様において、Yは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-N(R9)(C=O)-、-N(R9)(C=O)NH-、-N(R9)C(R9)2-(限定されないが、-N(R9)CH2-、例えば、-N(CH3)CH2-、N(CH(CH3)2)CH2 -、もしくはN(CH2CH3)CH2-を含む)、-N(R9)-、-N(CH3)-、-N(CH2CH3)-、又は-N(CH(CH3)2)-である。いくつかの実施態様において、Yは-C(=O)-(CHR9)z-であり、かつzは、1、2、3、又は4の整数である。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、X及びYのうちの少なくとも1つは存在する。式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、-XY-は、-CH2-、-CH2-N(CH3)、-CH2-N(CH2CH3)、-CH(CH3)-NH-、(S)-CH(CH3)-NH-、又は(R)-CH(CH3)-NH-である。他の実施態様において、X-Yは、-N(CH3)-CH2-、N(CH2CH3)CH2-、-N(CH(CH3)2)CH2-、又は-NHCH2-である。
式(XIII)の化合物のいくつかの実施態様において、R10、R11、R12、及びR13のうちの少なくとも1つは、水素、シアノ、ハロ、非置換又は置換アルキル、非置換又は置換アルキニル、及び 非置換又は置換アルケニルである。いくつかの実施態様において、R10、R11、R12、及びR13のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換アリールである。いくつかの実施態様において、R10、R11、R12、及びR13のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換ヘテロアリールであり、これには、5員環を有するヘテロアリール、6員環を有するヘテロアリール、少なくとも1つの窒素環原子を有するヘテロアリール、2つの窒素環原子を有するヘテロアリール、単環式ヘテロアリール、及び二環式ヘテロアリールが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、R10、R11、R12、及びR13のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換ヘテロシクリルであり、これには、1つの窒素環原子を有するヘテロシクリル、1つの酸素環原子を有するヘテロシクリル、1つの硫黄環原子を有するヘテロシクリル、5員ヘテロシクリル、6員ヘテロシクリル、飽和ヘテロシクリル、不飽和ヘテロシクリル、ヘテロシクリル環に接続された不飽和部分を有するヘテロシクリル、オキソで置換されたヘテロシクリル、及び2つのオキソで置換されたヘテロシクリルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、R10、R11、R12、及びR13のうちの少なくとも1つは、非置換又は置換シクロアルキルであり、これには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1つのオキソで置換されたシクロアルキル、シクロアルキル環に接続された不飽和部分を有するシクロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、R10、R11、R12、及びR13のうちの少なくとも1つは、非置換もしくは置換アミド、非置換もしくは置換アシルオキシ、非置換もしくは置換アルコキシカルボニル、非置換もしくは置換アシル、又は非置換もしくは置換スルホンアミドである。
いくつかの実施態様において、R10、R11、R12、及びR13のうちの少なくとも1つが、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アミド、アシルオキシ、アシル、又はスルホンアミドであるとき、該基は、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロのうちの1つ又は複数で置換されており、該アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、又はスルホンアミドの各々は、その各々が、それ自体、置換されることができる。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、式(XI)もしくは(XII)の化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはその医薬として許容し得るその形態である:
(式中:
W
b 5は、N、CHR
8、又はCR
8であり;
R
8は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロであり;
Cyは、0〜1回出現するR
3及び0〜3回出現するR
5で置換されたアリール又はヘテロアリールであり;
R
1は-(L)-R
1'であり;
Lは、結合、-S-、-N(R
15)-、-C(=O)-、又は-O-であり;
R
1'は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、置換窒素、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成し;
各々のR
15は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロアルキルであり;
R
3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヘテロアリール、アリール、ヒドロキシル、又はニトロであり;ここで、上記の置換基の各々は、0、1、2、又は3個のR
13で置換されることができ;
各々のR
5は、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成し;
Xは、非存在であるか、又は-(CH(R
16))
zであり;
Yは、非存在、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-N(R
16)-、-C(=O)-(CHR
16)
z-、-C(=O)-、-N(R
16)-C(=O)-、もしくは-N(R
16)-C(=O)NH-、-N(R
16)C(R
16)
2-、又は-C(=O)-N(R
16)-(CHR
16)
z-であり;
各々のzは、1、2、3、又は4の整数であり;
各々のR
16は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアルキル、アリール、ハロ、又はヘテロアリールであり;かつ
W
dは、
であり、
X
1は、N又はCR
10であり、かつX
2は、N又はCR
13であり;
ここで、R
10、R
11 R
12、及びR
13は、独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、オキソ、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成する)。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、式(XI)もしくは(XII)の化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、もしくは2以上のジアステレオマーの混合物、或いはその医薬として許容し得るその形態である:
(式中:
W
b 5は、N、CHR
8、又はCR
8であり;
R
8は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、又はニトロであり;
Cyは、0〜1回出現するR
3及び0〜3回出現するR
5で置換されたアリール又はヘテロアリールであり;
R
1は-(L)-R
1'であり;
Lは、結合、-S-、-N(R
15)-、-C(=O)-、又は-O-であり;
R
1'は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、置換窒素、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成し;
各々のR
15は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロアルキルであり;
R
3は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヘテロアリール、アリール、ヒドロキシル、又はニトロであり;ここで、上記の置換基の各々は、0、1、2、又は3個のR
13で置換されることができ;
各々のR
5は、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成し;
Xは、非存在であるか、又は-(CH(R
16))
zであり;
Yは、非存在、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-N(R
16)-、-C(=O)-(CHR
16)
z-、-C(=O)-、-N(R
16)-C(=O)-、もしくは-N(R
16)-C(=O)NH-、-N(R
16)C(R
16)
2-、又は-C(=O)-N(R
16)-(CHR
16)
z-であり;
各々のzは、1、2、3、又は4の整数であり;
各々のR
16は、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアルキル、アリール、ハロ、又はヘテロアリールであり;かつ
W
dは、
であり、
X
1は、N又はCR
10であり;
ここで、R
10、R
11 R
12、及びR
13は、独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、アミド、アミノ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、尿素、カルボネート、オキソ、又はNR'R''であり、ここで、R'及びR''は、窒素と一緒に、環状部分を形成する)。
いくつかの実施態様において、Cyは、5員環又は6員環である。いくつかの実施態様において、Cyは、例えば、フェニルを含む、6員環である。いくつかの実施態様において、Cyは6員アリール環である。
他の実施態様において、Wb 5はCHである。他の実施態様において、X-Yは-CH2-N(CH3)である。
いくつかの実施態様において、R11はHである。
さらに他の実施態様において、R12はHである。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の1以上の化合物は、PI3キナーゼに結合する(例えば、選択的に結合する)。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の1以上の化合物は、a、γ、又はδサブタイプのPI3キナーゼに選択的に結合する
いくつかの実施態様において、p110α、p110β、p110γ、又はp110δに対する対象化合物のIC50は、約1μM未満、約100nM未満、約50nM未満、約10nM未満、約1nM未満、又はさらには約0.5nM未満である。いくつかの実施態様において、mTorに対する対象化合物のIC50は、約1μM未満、約100nM未満、約50nM未満、約10nM未満、1nM未満、又はさらには約0.5nM未満である。いくつかの他の実施態様において、1以上の対象化合物は、二重の結合特異性を示し、約1μM未満、約100nM未満、約50nM未満、約10nM未満、約1nM未満、又はさらには約0.5nM未満のIC50値で、PI3キナーゼ(例えば、クラスI PI3キナーゼ)及びタンパク質キナーゼ(例えば、mTor)を阻害することができる。1以上の対象化合物は、例えば、DNA依存性タンパク質キナーゼ(Pubmedタンパク質アクセッション番号(PPAN) AAA79184)、Ablチロシンキナーゼ(CAA52387)、Bcr-Abl、造血細胞キナーゼ(PPAN CAI19695)、Src(PPAN CAA24495)、血管内皮成長因子受容体2(PPAN ABB82619)、血管内皮成長因子受容体-2(PPAN ABB82619)、上皮成長因子受容体(PPAN AG43241)、EPH受容体B4(PPAN EAL23820)、幹細胞因子受容体(PPAN AAF22141)、チロシン-タンパク質キナーゼ受容体TIE-2(PPAN Q02858)、fms関連チロシンキナーゼ3(PPAN NP_004110)、血小板由来成長因子受容体アルファ(PPAN NP_990080)、RET(PPAN CAA73131)、及びこれらの機能的突然変異体を含む、チロシンキナーゼを阻害することができる。いくつかの実施態様において、該チロシンキナーゼは、Abl、Bcr-Abl、EGFR、又はFlt-3、及び本明細書中の表に記載されている任意の他のキナーゼである。
いくつかの実施態様において、非限定的で例示的な化合物は、本明細書に開示される1以上の機能的特徴を示す。例えば、1以上の対象化合物は、PI3キナーゼに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、p110α、p110β、p110γ、又はp110δに対する対象化合物のIC50は、約1μM未満、約100nM未満、約50nM未満、約10nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約100pM未満、又は約50pM未満である。
いくつかの実施態様において、対象化合物のうちの1つ又は複数は、インビトロのキナーゼアッセイで測定したときに、約100nM、50nM、10nM、5nM、100pM、10pM、もしくは1pM、又はそれ未満のIC50値で、タイプI又はクラスI ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3-キナーゼ)の1以上のメンバーを選択的に阻害することができる。
いくつかの実施態様において、対象化合物のうちの1つ又は複数は、タイプI又はクラスIホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3-キナーゼ)、例えば、PI3-キナーゼα、PI3-キナーゼβ、PI3-キナーゼγ、及びPI3-キナーゼδの1つ又は2つのメンバーを選択的に阻害することができる。いくつかの態様において、対象化合物のうちのいくつかは、他の全てのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼδを選択的に阻害する。他の態様において、対象化合物のいくつかは、残りのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼδ及びPI3-キナーゼγを選択的に阻害する。さらに他の態様において、対象化合物のいくつかは、残りのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼα及びPI3-キナーゼβを選択的に阻害する。またさらにいくつかの他の態様において、対象化合物のいくつかは、残りのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼδ及びPI3-キナーゼαを選択的に阻害する。またさらにいくつかの他の態様において、対象化合物のいくつかは、残りのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼδ及びPI3-キナーゼβを選択的に阻害するか、又は残りのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼδ及びPI3-キナーゼαを選択的に阻害するか、又は残りのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼα及びPI3-キナーゼγを選択的に阻害するか、又は残りのタイプI PI3-キナーゼと比較してPI3-キナーゼγ及びPI3-キナーゼβを選択的に阻害する。
さらに別の態様において、タイプI PI3-キナーゼの1以上のメンバーを選択的に阻害する阻害剤、又はその代わりに、1以上のタイプI PI3-キナーゼ媒介性シグナル伝達経路を選択的に阻害する阻害剤は、残りの他のタイプI PI3-キナーゼに対する該阻害剤のIC50よりも、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約1000倍、少なくとも約10,000倍、又はそれよりも低い、所与のタイプI PI3-キナーゼに対する50%阻害濃度(IC50)を示す化合物を指すものと理解することができる。一実施態様において、阻害剤は、PI3-キナーゼβと比較してPI3-キナーゼδを選択的に阻害し、PI3-キナーゼδに対する少なくとも約10倍低いIC50を有する。ある実施態様において、PI3-キナーゼδに対するIC50は約100nMを下回るが、PI3-キナーゼβに対するIC50は約1000nMを上回る。ある実施態様において、PI3-キナーゼδに対するIC50は約50nMを下回るが、PI3-キナーゼβに対するIC50は約5000nMを上回る。ある実施態様において、PI3-キナーゼδに対するIC50は約10nMを下回るが、PI3-キナーゼβに対するIC50は約1000nMを上回るか、約5,000nMを上回るか、又は約10,000nMを上回る。
(医薬組成物)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される1以上の化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、並びに1以上の医薬として許容し得る賦形剤、不活性な固体希釈剤及び増量剤を含む担体、滅菌水溶液及び様々な有機溶媒を含む希釈剤、透過促進剤、可溶化剤、並びにアジュバントを含む医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、第二の活性剤、例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法薬)を含む。
(1.製剤)
医薬組成物は、以下のもの:経口投与、例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、錠剤(例えば、口腔、舌下、及び全身吸収の対象となるもの)、カプセル剤、大丸剤(bolus)、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤、及び十二指腸経路;例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液又は徐放性製剤としての、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、又は注入を含む、非経口投与;例えば、皮膚に適用されるクリーム剤、軟膏、もしくは制御放出パッチ、又はスプレーとしての、局所適用;例えば、ペッサリー、クリーム剤、ステント、又はフォームとしての、膣内又は直腸内;舌下;眼内;肺内;カテーテル又はステントによる局所送達;髄腔内、又は鼻腔内に適したものを含む、固体又は液体形態での投与のために特別に製剤化することができる。
医薬組成物中で利用することができる好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散剤の場合、必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
これらの組成物は、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤、及び/又は酸化防止剤を含むこともできる。本明細書に記載の化合物に対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸などを含めることによって保証することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本明細書に記載の化合物及び/又は化学療法薬を、担体及び任意に、1以上の補助成分と関連させる工程を含む。一般に、製剤は、本明細書に開示される化合物を、液体担体、又は微粉化固体担体、又はその両方と均一かつ密接に関連させ、その後、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
そのような医薬組成物の調製は当技術分野で周知である。例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G編、臨床薬物データのハンドブック(Handbook of Clinical Drug Data), 第10版, McGraw-Hill, 2002; Pratt及びTaylor編、薬物作用の原理(Principles of Drug Action), 第3版, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung編、基礎及び臨床薬理学(Basic and Clinical Pharmacology), 第9版, McGraw Hill, 20037ybg; Goodman及びGilman編、治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics), 第10版, McGraw Hill, 2001; Remingtonsの医薬科学(Remingtons Pharmaceutical Sciences)」、第20版, Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindaleの文献、特別薬局方(The Extra Pharmacopoeia), 第32版(The Pharmaceutical Press, London, 1999)を参照されたく;これらは全て、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。例えば、何らかの望ましくない生物学的効果をもたらすか、又はさもなければ医薬として許容し得る組成物の任意の他の成分(複数可)と有害な形で相互作用することによって、任意の従来の賦形剤媒体が本明細書に提供される化合物と適合しない場合を除き、賦形剤の使用は、本開示の範囲内であることが企図される。
いくつかの実施態様において、開示された医薬組成物中に提供される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v未満である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、1.25%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v超である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約0.0001%〜約50%、約0.001%〜約40%、約0.01%〜約30%、約0.02%〜約29%、約0.03%〜約28%、約0.04%〜約27%、約0.05%〜約26%、約0.06%〜約25%、約0.07%〜約24%、約0.08%〜約23%、約0.09%〜約22%、約0.1%〜約21%、約0.2%〜約20%、約0.3%〜約19%、約0.4%〜約18%、約0.5%〜約17%、約0.6%〜約16%、約0.7%〜約15%、約0.8%〜約14%、約0.9%〜約12%、約1%〜約10%w/w、w/v、又はv/v. v/vの範囲内にある。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の濃度は、約0.001%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.02%〜約4.5%、約0.03%〜約4%、約0.04%〜約3.5%、約0.05%〜約3%、約0.06%〜約2.5%、約0.07%〜約2%、約0.08%〜約1.5%、約0.09%〜約1%、約0.1%〜約0.9%w/w、w/v、又はv/vの範囲内にある。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g、又は0.0001g以下である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5、3g、3.5、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g、又は10gを上回る。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物のうちの1つ又は複数の量は、約0.0001〜10g、0.0005〜9g、0.001〜8g、0.005〜7g、0.01〜6g、0.05〜5g、0.1〜4g、0.5〜4g、又は1〜3gの範囲内にある。
(1A.経口投与用の組成物)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
いくつかの実施態様において、いくつかの実施態様において、医薬組成物は、経口消費に好適な液体医薬組成物である。経口投与に好適な医薬組成物は、各々所定量の活性成分を粉末として、或いは顆粒、溶液、又は水性もしくは非水性液体中の懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン中に含む、カプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤などの個別の剤形、又は液体、又はエアロゾルスプレーとして提供することができる。そのような剤形は、調剤法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法は、活性成分を、1以上の成分を構成する担体と関連させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方と均一かつ密に混合し、その後、必要であれば、生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、任意に1以上の補助成分とともに圧縮又は成形することによって調製することができる。圧縮錠は、任意に、限定されないが、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、及び/又は界面活性剤もしくは分散剤などの賦形剤と混合した、粉末又は顆粒などの自由に流動する形態の活性成分を、好適な機械の中で圧縮することによって調製することができる。成形錠は、不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を、好適な機械の中で成形することによって作製することができる。
本開示は、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに包含するが、それは、水が一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、有効期間又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として、製薬技術において水(例えば、約5%)を添加することができる。無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。例えば、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、ラクトースを含む医薬組成物及び剤形を無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製及び貯蔵することができる。したがって、無水医薬組成物は、それを好適な製剤キットに含めることができるように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を用いて包装することができる。好適な包装の例としては、密閉されたホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
活性成分は、従来の医薬配合技術に従って、医薬担体と密に混合させて組み合わせることができる。担体は、投与のために望ましい調製物の形態に応じて多種多様な形態を取ることができる。経口剤形用の医薬組成物を調製する際に、経口液体調製物(例えば、懸濁液、溶液、及びエリキシル剤)もしくはエアロゾルの場合、通常の医薬用媒体のいずれか、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存料、着色剤などを担体として用いることができ;又は経口固体調製物の場合、いくつかの実施態様において、ラクトースを使用しないで、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤などの担体を用いることができる。例えば、好適な担体としては、固体経口調製物の場合、粉末、カプセル、及び錠剤が挙げられる。いくつかの実施態様において、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。
医薬組成物及び剤形での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、並びにこれら混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される医薬組成物及び剤形中で使用するための好適な増量剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
崩壊剤を、本明細書に提供される医薬組成物中で用いて、水性環境に暴露されたときに崩壊する錠剤を提供することができる。崩壊剤が多過ぎると、ボトル中で崩壊し得る錠剤が生成されることがある。少な過ぎると、崩壊が生じるのに十分ではないことがあり、したがって、剤形からの活性成分(複数可)の放出の速度及び程度が変化することがある。したがって、活性成分(複数可)の放出を悪く変化させるほど少な過ぎることも多過ぎることもない十分な量の崩壊剤を用いて、本明細書に開示される化合物の剤形を形成させることができる。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプ及び投与の様式に基づいて異なることができ、当業者により容易に認識されることができる。約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、又は約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を医薬組成物中で使用することができる。医薬組成物及び剤形を形成させるために使用し得る崩壊剤としては、寒天-寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethylaureate)、寒天、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、syloidシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル、又はこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で、任意に添加することができる。
水性懸濁液及び/又はエリキシル剤が経口投与のために望ましい場合、その中の活性成分を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、及びこれらの様々な組合せのような希釈剤と一緒に、様々な甘味剤又は着香剤、着色物質又は色素、並びに例えば、乳化剤及び/又は懸濁化剤と組み合わせることができる。
錠剤は、コーティングしないか、又は既知の技術によってコーティングし、消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それにより、長期にわたって持続的な作用を提供することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を利用することができる。経口使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは活性成分が、水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる界面活性剤としては、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、親水性界面活性剤の混合物を利用することができるか、親油性界面活性剤の混合物を利用することができるか、又は少なくとも1つの親水性界面活性剤と少なくとも1つの親油性界面活性剤の混合物を利用することができる。
好適な親水性界面活性剤は、通常、少なくとも約10のHLB値を有し、一方、好適な親油性界面活性剤は、通常、約10以下のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性及び疎水性を特徴付けるために使用される実験的パラメータは、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性又は疎水性で、かつ油への溶解性がより高く、一方、より高いHLB値を有する界面活性剤は、より親水性で、かつ水溶液への溶解性がより高い。親水性界面活性剤は、通常、約10よりも大きいHLB値を有する化合物、及びHLB基準が通常適用されない陰イオン性、陽イオン性、又は双性イオン性化合物であると考えられる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬用、及び化粧品用のエマルジョンの製剤化を可能にするために一般に使用されるおおよその目安に過ぎない。
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性のいずれかであることができる。好適なイオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
上述のグループの中で、イオン性界面活性剤としては、例として:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質、及びこれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられる。
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレエート、リノレエート、リノレネート、ステアレート、ラウリルスルフェート、テラセシルスルフェート、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンのイオン化形態、並びにこれらの塩及び混合物であることができる。
親水性非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体及び類似体;ポリオキシエチル化ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;並びにこれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオールと、トリグリセリド、植物油、及び水素化植物油のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、又はサッカリドであることができる。
他の親水性非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、ラウリン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸PEG-32、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、ジステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ジラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、ジオレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、カプリン酸/カプリル酸PEG-6グリセリド、カプリン酸/カプリル酸PEG-8グリセリド、ラウリン酸ポリグリセリル-10、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、トリオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルコハク酸PEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween 40、Tween 60、ショ糖モノステアレート、ショ糖モノラウレート、ショ糖モノパルミテート、PEG10-100ノニルフェノール系列、PEG15-100オクチルフェノール系列、及びポロキサマーが挙げられる。
好適な親油性界面活性剤としては、単なる例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;並びにこれらの混合物が挙げられる。このグループの中で、親油性界面活性剤の非限定的な例は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を含むか、又はポリオールと、植物油、水素化植物油、及びトリグリセリドのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
一実施態様において、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物の良好な可溶化及び/もしくは溶解を保証するために、並びに該化合物の沈殿を最小限に抑えるために、可溶化剤を含むことができる。これは、非経口使用のための医薬組成物、例えば、注射用の医薬組成物にとってとりわけ重要であり得る。親水性薬物及び/もしくは他の成分、例えば、界面活性剤の溶解性を増大させるか、又は医薬組成物を安定なもしくは均一な溶液もしくは分散液として維持するために、可溶化剤を添加することもできる。
好適な可溶化剤の例としては、以下のもの:アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、及びこれらの異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEG;アミド及び他の窒素含有化合物、例えば、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドン;エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ブチル酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及びその異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体;並びに当技術分野で公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200〜100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
含めることができる可溶化剤の量は、特には制限されない。所与の可溶化剤の量は、生体許容量に制限することができ、この量は、当業者により容易に決定されることができる。場合によっては、例えば、薬物の濃度を最大化するために、生体許容量をはるかに超える量の可溶化剤を含め、過剰の可溶化剤を、医薬組成物を対象に提供する前に、蒸留又は蒸発などの従来の技術を用いて除去することが有利であり得る。したがって、存在する場合、可溶化剤は、薬物と他の賦形剤の組み合わせた重量に基づいて、約10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、又は最大約200重量%の重量比であることができる。望ましい場合、約5%、2%、1%、又はさらにそれ未満などの、非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、約1重量%〜約100重量%、より典型的には、約5重量%〜約25重量%の量で存在することができる。
医薬組成物は、1以上の医薬として許容し得る添加剤及び/賦形剤をさらに含むことができる。そのような添加剤及び賦形剤としては、限定されないが、剥離剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤(viscomodulator)、張性調節剤(tonicifier)、香味剤、着色剤、オイル、着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、増量剤、可塑剤、滑沢剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
例示的な防腐剤としては、抗酸化剤、キレート剤、抗菌性防腐剤、抗真菌性防腐剤、アルコール性防腐剤、酸性防腐剤、及び他の防腐剤を挙げることができる。例示的な抗酸化剤としては、αトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及びエデト酸三ナトリウムが挙げられる。例示的な抗菌性防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗真菌防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコール性防腐剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及びフェニルエチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な酸性防腐剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィト酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエンド(hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon、及びEuxylが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、防腐剤は抗酸化剤である。他の実施態様において、防腐剤はキレート剤である。
例示的な油としては、アーモンド油、アプリコットカーネル油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ(black current)種子油、ボラージ油、ケード油、カモミール油、キャノーラ油、カラウェー油、カルナバ油、ヒマシ油、桂皮油、ココアバター油、ココナッツ油、タラの肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、亜麻仁油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、リツェアクベバ油、マカデミアナッツ油、マロー油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、ピーチカーネル油、ピーナッツ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、菜種油、米ぬか油、ローズマリー油、ベニバナ油、サンダルウッド油、サスクアナ(sasquana)油、セイバリー油、サジー油、ゴマ油、シアバター油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチバー油、クルミ油、及び小麦胚芽油が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な油としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、加工を促進するために、安定性を増強するために、又はその他の理由で、酸又は塩基を医薬組成物中に組み込むことができる。医薬として許容し得る塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。また好適なのは、医薬として許容し得る酸、例えば、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸(hydroquino sulfonic)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの塩である塩基である。多塩基酸の塩、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素ナトリウムを使用することもできる。塩基が塩である場合、陽イオンは、任意の好都合でかつ医薬として許容し得る陽イオン、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などであることができる。例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムを挙げることができるが、これらに限定されない。
好適な酸は、医薬として許容し得る有機酸又は無機酸である。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。好適な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸(hydroquino sulfonic acid)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが挙げられる。
(1B.非経口投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び非経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)非経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
開示された医薬組成物を注射による投与のために組み込むことができる形態としては、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはピーナッツ油を含む、水性もしくは油性懸濁液、又はエマルジョン、並びにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、又は滅菌水溶液、及び同様の医薬用ビヒクルが挙げられる。
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。適切な流動性は、例えば、分散剤の場合、所要の粒径の維持のためのコーティング剤、例えば、レシチンの使用によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。
滅菌注射用溶液は、所要量の本明細書に開示される化合物を、適当な溶媒中に、必要に応じて、上に列挙された他の様々な成分とともに組み入れ、その後、濾過滅菌することによって調製される。通常、分散液は、様々な滅菌活性成分を、基礎分散媒と上に列挙されたもの由来の適当な他の成分とを含む滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、特定の調製方法は、活性成分と任意の追加成分との粉末を事前に滅菌濾過したその溶液から生じさせる真空乾燥技術及び凍結乾燥技術である。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通して濾過することによるか、又は使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み入れることによって、滅菌することができる。注射用組成物は、約0.1〜約5%w/wの本明細書に開示される化合物を含むことができる。
(1C.局所投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び局所投与に好適な医薬賦形剤を含む、局所(例えば、経皮)投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)局所投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、局所投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
本明細書に提供される医薬組成物は、局所(local)又は局所(topical)投与に好適な固体、半固体、又は液体形態の調製物、例えば、ゲル、水溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、フォーム、粉末、スラリー、軟膏、溶液、油、ペースト、坐剤、スプレー、エマルジョン、食塩水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)系溶液に製剤化することができる。一般に、高密度の担体は、ある部位を活性成分に長時間暴露させることができる。対照的に、溶液製剤は、活性成分を選択部位により即時的に暴露させることができる。
医薬組成物は、皮膚角質層の透過性障壁を横断する治療分子の透過の増大又は送達の補助を可能にする化合物である、好適な固体又はゲル相の担体又は賦形剤を含むこともできる。局所製剤分野の当業者に公知のこれらの透過促進分子が多数存在する。そのような担体及び賦形剤の例としては、保湿剤(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル及びラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、並びにポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
開示された方法で使用するための別の例示的な製剤は、経皮送達装置(「パッチ」)を利用する。そのような経皮パッチを用いて、別の薬剤とともに又は別の薬剤なしで、制御された量の本明細書に提供される化合物の連続的又は不連続的な注入を提供することができる。
医薬品送達のための経皮パッチの構築及び使用は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号、及び第5,001,139号を参照されたい。そのようなパッチは、医薬品の連続的送達、拍動性送達、又は応需型送達のために構築することができる。
本明細書に記載の医薬として許容し得る皮内組成物の送達で使用するための好適な装置としては、短い針の装置、例えば、米国特許第4,886,499号;第5,190,521号;第5,328,483号;第5,527,288号;第4,270,537号;第5,015,235号;第5,141,496号;及び第5,417,662号に記載の装置が挙げられる。皮内組成物は、皮膚への針の有効な貫通長を制限する装置、例えば、PCT公開WO 99/34850号に記載の装置及びその機能的同等物によって投与することができる。液体ジェット注射器を介して、及び/又は角質層を貫通して、真皮に到達するジェットを生成させる針を介して真皮に液体ワクチンを送達するジェット注射装置が好適である。ジェット注射装置は、例えば、米国特許第5,480,381号;第5,599,302号;第5,334,144号;第5,993,412号;第5,649,912号;第5,569,189号;第5,704,911号;第5,383,851号;第5,893,397号;第5,466,220号;第5,339,163号;第5,312,335号;第5,503,627号;第5,064,413号;第5,520,639号;第4,596,556号;第4,790,824号;第4,941,880号;第4,940,460号;並びにPCT公開WO 97/37705号及びWO 97/13537号に記載されている。粉末形態のワクチンを皮膚の外層から真皮へと加速するために圧縮ガスを用いる弾道粉末/粒子送達装置が好適である。その代わりに又はそれに加えて、従来の注射器を皮内投与の古典的なマントー法で使用することができる。
局所投与可能な製剤は、例えば、約1%〜約10%(w/w)の式(I)の化合物を含むことができるが、式(I)の化合物の濃度は、溶媒中の式(I)の化合物の溶解度限界と同じ程度の高さであることができる。いくつかの実施態様において、局所投与可能な製剤は、例えば、約1%〜約9%(w/w)の式(I)の化合物、例えば、約1%〜約8%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約7%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約6%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約5%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約4%(w/w)、さらに例えば、約1%〜約3%(w/w)、及びさらに例えば、約1%〜約2%(w/w)の式(I)の化合物を含むことができる。局所投与用の製剤は、本明細書に記載のさらなる医薬として許容し得る賦形剤のうちの1つ又は複数をさらに含むことができる。
(1D.吸入投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び局所投与に好適な医薬賦形剤を含む、吸入投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)吸入投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、吸入投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含有する。
吸入又は吹送用の医薬組成物は、医薬として許容し得る水性もしくは有機溶媒、又はこれらの混合物中の溶液及び懸濁液、並びに粉末を含む。液体又は固体の医薬組成物は、本明細書に記載の好適な医薬として許容し得る賦形剤を含むことができる。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、局所又は全身効果のために、経口又は経鼻呼吸経路によって投与される。医薬として許容し得る溶媒中の医薬組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧することができる。噴霧された溶液を噴霧装置から直接吸入することができるか、又は噴霧装置をフェイスマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸器に取り付けることができる。溶液、懸濁液、又は粉末医薬組成物は、製剤を適切な方法で送達する装置から、例えば、経口的又は経鼻的に投与することができる。
(1E.眼内投与用の製剤)
いくつかの実施態様において、本開示は、眼科的障害を治療するための医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、有効量の本明細書に開示される化合物、及び眼内投与に好適な医薬賦形剤を含むことができる。眼内投与に好適な医薬組成物は、個別の剤形、例えば、各々所定量の活性成分を含む点眼薬もしくはスプレー剤 液剤、又は水性もしくは非水性液中の懸濁剤、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョンとして提供することができる。他の投薬形態としては、眼球内注射、硝子体内注射、局所、又は薬物溶出装置、マイクロカプセル、インプラント、もしくはマイクロ流体装置の使用によるものが挙げられる。いくつかの例においては、本明細書に開示される化合物は、界面膜によって囲まれた油性コアを有するコロイド粒子を含む油水エマルジョンなどの化合物の眼球内透過を増大させる担体又は賦形剤とともに投与される。局所、結膜下、眼球周囲、眼球後方、眼球鞘下、前房内、硝子体内、眼球内、網膜下、強膜近傍、及び脈絡膜上投与を含む、眼への全ての局所経路を使用することができると考えられる。全身又は非経口投与は実現可能であることができ、これには、静脈内、皮下、及び経口送達が含まれるが、これらに限定されない。例示的な投与方法は、溶液もしくは懸濁液の硝子体内もしくは眼球鞘下注射、又は生体浸食性もしくは非生体浸食性装置の硝子体内もしくは眼球鞘下配置、又は溶液もしくは懸濁液の局所眼内投与によるもの、又はゲルもしくはクリーム製剤の後強膜近傍投与である。
点眼薬は、活性成分を、滅菌水溶液、例えば、生理食塩水、緩衝溶液などに溶解させることによるか、又は使用前に粉末組成物を組み合わせて溶解させることによって調製することができる。当技術分野で公知であるような、他のビヒクルを選択することができ、これには:平衡塩溶液、食塩水溶液、水溶性ポリエーテル、例えば、ポリエチエングリコール(polyethyene glycol)、ポリビニル、例えば、ポリビニルアルコール及びポビドン、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、石油誘導体、例えば、鉱油及び白色ワセリン、動物性脂肪、例えば、ラノリン、アクリル酸のポリマー、例えば、カルボキシポリメチレンゲル、植物性脂肪、例えば、ピーナッツ油、及び多糖、例えば、デキストラン、及びグリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、点眼薬中に通常使用される添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなど)、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、増粘剤(例えば、サッカリド、例えば、ラクトース、マンニトール、マルトースなど;例えば、ヒアルロン酸又はその塩、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなど;例えば、ムコ多糖、例えば、コンドロイチン硫酸など;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又は当業者に公知の他の薬剤)が挙げられる。
いくつかの例において、コロイド粒子は、少なくとも1つのカチオン剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、チロキサポール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、又はステアリン酸ポリオキシルを含む。いくつかの例において、カチオン剤は、アルキルアミン、第3級アルキルアミン、第4級アンモニウム化合物、カチオン性脂質、アミノアルコール、ビグアニジン塩、カチオン性化合物、又はこれらの混合物である。いくつかの例において、カチオン剤は、ビグアニジン塩、例えば、クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニジン、フェンホルミン、アルキルビグアニジン、又はこれらの混合物である。いくつかの例において、第4級アンモニウム化合物は、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化ラウラルコニウム、セトリミド、ハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ドデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化セトリモニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム、ハロゲン化ベヘンアルコニウム、ハロゲン化セタルコニウム、ハロゲン化セテチルジモニウム、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンゾドデシニウム、ハロゲン化クロラリルメテナミン、ハロゲン化ミリスチルアルコニウム(rnyristylalkonium halide)、ハロゲン化ステアラルコニウム、又は2以上のこれらの混合物である。いくつかの例において、カチオン剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウラルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゼテニウム(benzethenium chloride)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、又は2以上のこれらの混合物である。いくつかの例において、油相は、鉱油及び軽質鉱油、中鎖トリグリセリド(MCT)、ココナッツ油;水素化綿実油、水素化パーム油、水素化ヒマシ油、又は水素化大豆油を含む水素化油;ポルオキシル(poluoxyl)-40水素化ヒマシ油、ポリオキシル-60水素化ヒマシ油、又はポリオキシル-100水素化ヒマシ油を含むポリオキシエチレン水素化ヒマシ油誘導体である。
(1F.制御放出投与のための製剤)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される化合物、及び制御放出投与に好適な医薬賦形剤を含む、制御放出投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第二の薬剤;及び(iii)制御放出投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、制御放出投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第三の薬剤をさらに含む。
活性剤、例えば、本明細書に提供される化合物は、制御放出手段によるか、又は当業者に周知である送達装置によって投与することができる。例としては、その各々が、引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;第5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号;第6,699,500号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形を用いて、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又はこれらの組合せを用いて、1以上の活性剤の低速放出又は制御放出を提供し、様々な割合の所望の放出プロファイルを提供することができる。本明細書に記載されているものを含む、当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本明細書に提供される活性剤と併せた使用のために容易に選択することができる。したがって、提供される医薬組成物は、限定されないが、制御放出に適している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及びカプレット剤などの、経口投与に好適な単一単位剤形を包含する。
制御放出医薬製品は全て、その非制御対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという共通の目的を有する。いくつかの実施態様において、医学的処置における制御放出調製物の使用は、疾患、障害、又は状態を最小限の時間で治癒させるか又は制御するために最小限の薬物物質が利用されることを特徴とする。制御放出製剤の利点としては、薬物の活性の延長、投薬頻度の低下、及び対象の投薬遵守の向上が挙げられる。さらに、制御放出製剤を用いて、作用の開始時間又は他の特徴、例えば、薬物の血液レベルに影響を及ぼすことができ、したがって、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
いくつかの実施態様において、制御放出製剤は、所望の治療効果を適切に生じる量の本明細書に開示される化合物を最初に放出し、かつ長期間にわたってこのレベルの治療又は予防効果を維持するために他の量の該化合物を徐々にかつ連続的に放出するように設計される。体内での該化合物のこの一定レベルを維持するために、化合物は、代謝され、体から排出されつつある薬物の量を補う速度で剤形から放出されるべきである。活性剤の制御放出は、限定されないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件もしくは化合物を含む、様々な条件によって刺激することができる。
ある実施態様において、医薬組成物は、静脈内注入、埋め込み可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与様式を用いて投与することができる。一実施態様において、ポンプを使用することができる(Seftonの文献、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201(1987); Buchwaldらの文献、Surgery 88:507(1980); Saudekらの文献、N. Engl. J. Med. 321:574(1989)を参照されたい)。別の実施態様において、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施態様において、制御放出系は、当業者によって決定される適切な部位で対象内に配置することができ、すなわち、そのため、全身用量のごく一部しか必要としない(例えば、Goodsonの文献、制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release), 115-138(第2巻, 1984)を参照されたい。)。他の制御放出系は、Langerによる総説(Science 249: 1527-1533(1990))で論じられている。1以上の活性剤は、固体内部マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリビニルアセテート中に分散させることができ、この内部マトリックスは、体液に不溶性である外側の高分子膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルと、塩化ビニリデンと、エチレンと、プロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーによって囲まれている。その結果、1以上の活性剤は、放出速度を制御する段階で、外側高分子膜を通って拡散する。そのような非経口組成物中の活性剤の割合は、その具体的な性質、及び対象の必要性に大きく左右される。
(2.投薬量)
本明細書に記載の化合物は、治療的有効量の本明細書に記載の1以上の化合物、及び/又は1以上の医薬として許容し得る賦形剤と一緒に製剤化される、1以上の追加の治療剤、例えば、化学療法剤を含む医薬として許容し得る組成物の形態で送達することができる。いくつかの例において、本明細書に記載の化合物及び追加の治療剤は、別々の医薬組成物中で投与され、(例えば、異なる物理的及び/又は化学的特性のために)異なる経路で投与することができる(例えば、一方の治療薬は経口投与されるが、もう一方の治療薬は静脈内投与される)。他の例において、本明細書に記載の化合物及び追加の治療剤は、別々ではあるが、同じ経路(例えば、両方とも経口又は両方とも静脈内)で投与することができる。また他の例において、本明細書に記載の化合物及び追加の治療剤は、同じ医薬組成物中で投与することができる。
選択される投薬量レベルは、種々の因子によって決まり、これには、例えば、利用される特定の化合物の活性、投与の経路、投与の時間、利用されている特定の化合物の排泄又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、治療の持続時間、利用される特定の化合物と併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康、及び過去の病歴、並びに医療分野で周知の同様の因子が含まれる。
一般に、本明細書に記載の化合物及び/又は化学療法薬の好適な1日用量は、いくつかの実施態様において、治療効果をもたらすのに有効な最低用量であることができる、該化合物の量である。そのような有効用量は、通常、上記の因子によって決まる。通常、患者に対する本明細書に記載の化合物の用量は、示された効果を求めて使用されるとき、1日に約0.0001mg〜約100mg、又は1日に約0.001mg〜約100mg、又は1日に約0.01mg〜約100mg、又は1日に約0.1mg〜約100mg、又は1日に約0.0001mg〜約500mg、又は1日に約0.001mg〜約500mg、又は1日に約0.01mg〜1000mg、又は1日に約0.01mg〜約500mg、又は1日に約0.1mg〜約500mg、又は1日に約1mg〜50mg、又は1日に約5mg〜40mgの範囲である。例示的な投薬量は、1日に約10〜30mgである。いくつかの実施態様において、70kgのヒトについては、好適な用量は、約0.05〜約7g/日、例えば、約0.05〜約2.5g/日である。本明細書に記載の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとって毒性があるものになることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変化させることができる。いくつかの例において、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルで十分であることがあるが、他の例において、さらにより大きい用量を、任意の有害な副作用を生じることなく、例えば、1日を通して投与するために、そのようなより大きい用量をいくつかの小さい用量に分割することによって利用することができる。
いくつかの実施態様において、化合物は、毎日、1日おき、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、又は2週間に1回投与することができる。投与スケジュールは、「休薬期間」を含むことができる、すなわち、薬物は、2週間服用、1週間非服用、もしくは3週間服用、1週間非服用、もしくは4週間服用、1週間非服用などで、又は連続的に休薬期間なしで投与することができる。化合物は、経口、静脈内、腹腔内、局所、経皮、筋肉内、皮下、鼻腔内、舌下に、又は任意の他の経路によって投与することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、複数回用量で投与される。投与は、1日に約1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は7回以上であることができる。投与は、約1カ月に1回、2週間に1回、1週間に1回、又は1日おきに1回であることができる。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物及び別の治療剤は、1日に約1回〜1日に約6回、一緒に投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される化合物及び薬剤の投与は、約7日未満の間、継続される。さらに別の実施態様において、投与は、約6日、10日、14日、28日、2カ月、6カ月、又は1年を超える間、継続される。いくつかの例において、連続投与は、必要な限り実現され、維持される。
本明細書に開示される医薬組成物の投与は、必要な限り継続させることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、又は28日を超える間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、28日、14日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、又は1日未満の間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、例えば、慢性作用の治療のために、慢性的に継続して投与される。
本明細書に記載の化合物は、他の治療(例えば、さらなる化学療法薬、放射線療法、又は外科手術)と組み合わせて投与することができるので、各々の薬剤又は療法の用量は、単剤療法の対応する用量よりも少なくすることができる。単剤療法の用量は、例えば、1日に体重のkg当たり、約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲であることができる。
本明細書に提供される化合物が、1以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ該薬剤が、本明細書に提供される化合物よりも短い半減期を有している場合、該薬剤及び本明細書に提供される化合物の単位用量形態を相応に調整することができる。
(3.キット)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キットである。キットは、好適な包装に入れた、本明細書に記載の化合物又は医薬組成物、及び使用のための指示、臨床研究の詳解、副作用の一覧などを含み得る資料を含むことができる。そのようなキットは、医薬組成物の活性及び/もしくは利点を表示もしくは規定している、並びに/又は投与量、投与、副作用、薬物相互作用、もしくは医療提供者にとって有用な他の情報を記載している、科学的参考文献、パッケージ挿入材料、臨床試験の結果、及び/又はこれらの概要などの情報を含むこともできる。そのような情報は、様々な研究、例えば、インビボモデルを含む実験動物を用いた研究及びヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づくことができる。
いくつかの実施態様において、記憶補助が、例えば、錠剤又はカプセル剤の隣に数字の形で、キットに備えられ、該数字はそのように指定された錠剤又はカプセル剤が摂取されるべき治療計画の日に対応する。そのような記憶補助の別の例は、例えば、次のように、「第1週、月曜日、火曜日...など、...、第2週、月曜日、火曜日、...」などと、カードにプリントされたカレンダーである。記憶補助の他の変形物が容易に明らかになるであろう。「1日用量」は、所与の日に服用されるべき単一の錠剤もしくはカプセル剤又はいくつかの錠剤もしくはカプセル剤であることができる。
キットは、別の薬剤をさらに含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物及び該薬剤は、キット中の別々の容器に入った別々の医薬組成物として提供される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物及び該薬剤は、キット中の1つの容器に入った単一の医薬組成物として提供される。好適な包装、及び使用のための追加の物品(例えば、液体調製物のための計量カップ、空気への暴露を最小限に抑えるためのホイルラッピングなど)は、当技術分野で公知であり、キットに含めることができる。他の実施態様において、キットは、活性剤を投与するために使用される装置をさらに含むことができる。そのような装置の例としては、注射器、点滴バッグ、パッチ、及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載のキットは、医師、看護師、薬剤師、薬局などを含む医療提供者に対して提供、販売、及び/又は販売促進することができる。キットは、いくつかの実施態様において、消費者に直接販売することもできる。
そのようなキットの一例は、いわゆる、ブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業で周知であり、医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、通常、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセスの間に、プラスチックホイルに窪みを形成させる。この窪みは包装しようとする錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有する。次に、錠剤又はカプセル剤を窪みに配置し、比較的硬い材料のシートを、窪みが形成された方向とは反対にあるホイルの面でプラスチックホイルに密封する。結果として、錠剤又はカプセル剤はプラスチックホイルとシートとの間で窪みの中に密封される。シートの強度は、手で窪みに圧力をかけることによって、窪みの場所でシートに開口部を形成させることにより、錠剤又はカプセル剤をブリスターパックから取り出すことができる程度のものである。その後、錠剤又はカプセル剤を該開口部から取り出すことができる。
キットは、1以上の活性剤を投与するために使用し得る医薬として許容し得るビヒクルをさらに含むことができる。例えば、活性剤が、非経口投与のために再構成されなければならない固体形態で提供される場合、キットは、好適なビヒクルの密封容器を含むことができ、このビヒクル中で、活性剤を溶解させて、非経口投与に好適である、微粒子を含まない滅菌溶液を形成させることができる。医薬として許容し得るビヒクルの例としては:注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸化リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示はさらに、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形を包含するが、それは、水が一部の化合物の分解を促進することがあるからである。例えば、貯蔵寿命又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために、医薬分野で長期の貯蔵をシミュレートする手段として、水を添加することができる(例えば、約5%)。無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。例えば、ラクトースを含む医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気へのかなりの接触が予想される場合、無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製及び貯蔵することができる。したがって、無水医薬組成物は、それらを好適な製剤キットに含めることができるように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を用いて包装することができる。好適な包装の例としては、密封ホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
(治療方法)
ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、増殖、分化、細胞生存、及び代謝を含む、数多くの細胞機能を調節する保存された脂質キナーゼファミリーのメンバーである。PI3Kのいくつかのクラスが哺乳動物細胞に存在し、これには、とりわけ、受容体チロシンキナーゼ(RTK)によって通常活性化されるクラスIAサブグループ(例えば、PI3K-α、β、δ);Gタンパク質共役受容体(GPCR)によって活性化されるクラスIB(例えば、PI3K-γ)が含まれる。PI3Kは、PI3Kによって媒介されるシグナルを直接的に及び/又は間接的に伝達するいくつかの構成要素を含む「PI3K媒介性シグナル伝達経路」を介してその生物学的活性を発揮し、この生物学的活性には、形質膜でのセカンドメッセンジャーホホチジルイノシトール(phophotidylinositol)3,4,5-トリホスフェート(PIP3)の生成、ヘテロ三量体Gタンパク質シグナル伝達の活性化、並びにその全てがタンパク質キナーゼ活性化の広範なカスケードを生じさせるcAMP、DAG、及びIP3などのさらなる二次メッセンジャーの生成が含まれる(Vanhaesebroeck, B.らの文献(2001) Annu Rev Biochem. 70:535-602に概説されている)。例えば、PI3K-δは、PI3K調節サブユニット(p85)SH2ドメイン間の相互作用を通じて、又はRASとの直接的な相互作用を通じて、細胞受容体によって活性化される。PI3Kによって生成されるPIP3は、プレクストリン相同(PH)ドメイン含有酵素(例えば、PDK-1及びAKT [PKB])との相互作用を通じて下流のエフェクター経路を活性化する(Fung-Leung WP.の文献(2011) Cell Signal. 23(4):603-8)。PI3K-δとは異なり、PI3K-γは、p85ファミリーの調節サブユニットではなく、むしろp101ファミリーの調節サブユニットと関連している。PI3K-γは、GPCRと関連し、PIP3の極めて迅速な誘導に関与する。PI3K-γは、RASによって活性化されることもできる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キナーゼを有効量の本明細書に提供される化合物、もしくは医薬として許容し得るその形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物と接触させることによって、PI3Kキナーゼ活性を調節する(例えば、選択的に調節する)方法である。調節は、キナーゼ活性の阻害(例えば、低下)又は活性化(例えば、増強)であることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キナーゼを溶液中の有効量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、関心対象のキナーゼを発現する細胞、組織、器官を本明細書に提供される化合物と接触させることによって、キナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象に有効量の本明細書に提供される化合物を投与することによって、該対象におけるキナーゼ活性を阻害する方法である。いくつかの実施態様において、キナーゼ活性は、本明細書に提供される化合物と接触させた場合、そのような接触のないキナーゼ活性と比較して、約25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を超えて阻害される(低下する)。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象を、該対象のPI3キナーゼの活性を阻害するか又は低下させるのに十分な量の本明細書に提供される化合物と接触させることによって、該対象(哺乳動物、例えば、ヒトを含む)のPI3キナーゼ活性を阻害する方法である。
いくつかの実施態様において、キナーゼは、脂質キナーゼ又はタンパク質キナーゼである。いくつかの実施態様において、キナーゼは、PI3キナーゼα、PI3キナーゼβ、PI3キナーゼγ、PI3キナーゼδ;DNA-PK;mTor;Abl、VEGFR、エフリン受容体B4(EphB4);TEK受容体チロシンキナーゼ(TIE2);FMS関連チロシンキナーゼ3(FLT-3);血小板由来成長因子受容体(PDGFR);RET;ATM;ATR;hSmg-1;Hck;Src;上皮成長因子受容体(EGFR);KIT;インスリン受容体(IR);及びIGFRなどの様々なアイソフォームを含むPI3キナーゼから選択される。
本明細書で使用されるように、「PI3K媒介性障害」は、異常なPI3K媒介性シグナル伝達経路が関与する疾患又は状態を指す。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるPI3K媒介性障害を治療する方法であって、治療的有効量の本明細書に提供される化合物又は医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるPI3K-δ又はPI3K-γ媒介性障害を治療する方法であって、治療的有効量の本明細書に提供される化合物又は医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3K-δ及びPI3K-γのうちの少なくとも1つを阻害する方法であって、PI3Kを発現する細胞を、インビトロ又はインビボで、有効量の本明細書に提供される化合物又は組成物と接触させることを含む、方法である。PI3Kは、免疫、癌、及び血栓症を含む多種多様な状態と関連付けられている(Vanhaesebroeck, B.らの文献(2010), Current Topics in Microbiology and Immunology, DOI 10.1007/82_2010_65に概説されている)。例えば、クラスI PI3K、特に、PI3K-γ及びPI3K-δアイソフォームは、白血球に高度に発現され、適応免疫及び自然免疫と関連付けられている;したがって、これらのPI3Kは、炎症性障害及び血液学的悪性腫瘍における重要なメディエーターと考えられる(Harris, SJらの文献(2009) Curr Opin Investig Drugs 10(11): 1151-62); Rommel C.らの文献(2007) Nat Rev Immunol 7(3): 191-201; Durand CAらの文献(2009) J Immunol. 183(9):5673-84; Dil N, Marshall AJの文献(2009) Mol Immunol. 46(10): 1970-8; Al-Alwan MMらの文献(2007) J Immunol. 178(4):2328-35; Zhang TTらの文献(2008) J Allergy Clin Immunol. 2008;122(4):811-819.e2; Srinivasan Lらの文献(2009) Cell 139(3):573-86に概説されている)。
数多くの刊行物によって、以下でより詳細に記載される、免疫細胞及び悪性細胞の分化、維持、及び活性化におけるPI3K-δ、PI3K-γ、及びPI3K-βの役割が支持されている。
B細胞の発生及び機能におけるPI3K-δの重要性は、阻害剤研究及び遺伝的モデルから支持される。PI3K-δは、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達の重要なメディエーターであり、AKT、カルシウム流出、PLCγ、MAPキナーゼ、P70S6k、及びFOXO3a活性化の上流にある。PI3K-δは、IL4R、S1P、及びCXCR5シグナル伝達にも重要であり、toll様受容体4及び9に対する応答を調節することが示されている。PI3K-δの阻害剤は、B細胞発生(辺縁帯細胞及びB1細胞)、B細胞活性化、走化性、リンパ系組織への遊走及びホーミングにおける、並びにIgEの産生をもたらす免疫グロブリンクラススイッチングの制御におけるPI3K-δの重要性を示している。Clayton Eらの文献(2002) J Exp Med. 196(6):753-63; Bilancio Aらの文献(2006) Blood 107(2):642-50; Okkenhaug K.らの文献(2002) Science 297(5583): 1031-4; Al-Alwan MMらの文献(2007) J Immunol. 178(4):2328-35; Zhang TTらの文献(2008) J Allergy Clin Immunol. 2008;122(4):811-819.e2; Srinivasan Lらの文献(2009) Cell 139(3):573-86)。
T細胞では、PI3K-δは、T細胞受容体及びサイトカインシグナル伝達における役割を有することが示されており、AKT、PLCγ、及びGSK3bの上流にある。PI3K-δ欠失もしくはキナーゼ不活化(kinase-dead)ノックインマウスにおいて、又は阻害剤研究において、Tヘルパー細胞2(TH2)応答の低下、メモリーT細胞特異的欠陥(DTH低下) 、抗原依存的細胞輸送の欠陥、及びケモカイン(例えば、S1P、CCR7、CD62L)に対する走化性/遊走の欠陥をもたらす、増殖、活性化、及び分化を含むT細胞の欠陥が観察されている(ギャルソン F.らの文献(2008) Blood 111(3): 1464-71; Okkenhaug Kらの文献(2006). J Immunol. 177(8):5122-8; Soond DRらの文献(2010) Blood 115(11):2203-13; Reif Kの文献(2004). J Immunol. 2004;173(4):2236-40; Ji H.らの文献(2007) Blood 110(8):2940-7; Webb LMらの文献(2005) J Immunol. 175(5):2783-7; Liu Dらの文献(2010) J Immunol. 184(6):3098-105; Haylock-Jacobs Sらの文献(2011) J Autoimmun. 2011;36(3-4):278-87; Jarmin SJらの文献(2008) J Clin Invest. 118(3): 1154-64)。
好中球では、PI3K-γと一緒のPI3K-δ、及びPI3K-βは、免疫複合体に対する応答、遊走を含むFCγRIIシグナル伝達、及び好中球呼吸バーストの一因となっている。ヒト好中球は、PI3K-γ依存的な様式で、ホルミルペプチド受容体(FMLP)又は補体成分C5a(C5a)に応答したPIP3の迅速な誘導を受け、その後、PI3K-δ依存的であり、かつ呼吸バーストに不可欠であるより長いPIP3産生期間が続く。免疫複合体に対する応答は、PI3K-δ、PI3K-γ、及びPI3K-βが一因であり、自己免疫疾患のモデルにおける組織損傷の重要なメディエーターである(Randis TMらの文献(2008) Eur J Immunol. 38(5): 1215-24; Pinho Vの文献(2007) J Immunol. 179(11):7891-8; Sadhu C.らの文献(2003) J Immunol. 170(5):2647-54; Condliffe AMらの文献(2005) Blood 106(4): 1432-40)。ある種の自己免疫疾患では、PI3Kβの優先的な活性化が関与し得ることが報告されている。(Kulkarniらの文献、Immunology (2011) 4(168) ra23: 1-11)。PI3Kβ欠損マウスが、FcγR依存的な自己抗体誘導性皮膚水疱形成モデルにおいて非常に保護され、FcγR依存的な炎症性関節炎モデルにおいて部分的に保護されるのに対し、PI3KβとPI3Kδの複合欠損が、炎症性関節炎における完全に近い保護をもたらすことも報告された(同上)。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者から回収されたマクロファージでは、グルココルチコイド応答性をPI3K-δの阻害剤による細胞の処理によって回復させることができる。マクロファージはまた、アルツス反応(FCgR及びC5aシグナル伝達)を介した免疫複合体に対する応答をPI3K-δ及びPI3K-γに依存している(Randis TMらの文献(2008) Eur J Immunol. 38(5): 1215-24; Marwick JAらの文献(2009) Am J Respir Crit Care Med. 179(7):542-8; Konrad Sらの文献(2008) J Biol Chem. 283(48):33296-303)。
肥満細胞では、幹細胞因子(SCF)及びIL3依存的な増殖、分化、及び機能は、走化性と同様に、PI3K-δ依存的である。肥満細胞のサイトカイン放出及び脱顆粒をもたらすFCgR1のアレルゲン/IgE架橋は、PI3K-δ阻害剤による処理によってひどく阻害され、アレルギー性疾患におけるPI3K-δの役割を示唆している(Ali Kらの文献(2004) Nature 431(7011): 1007-11; Lee KSらの文献(2006) FASEB J. 20(3):455-65; Kim MSらの文献(2008) Trends Immunol. 29(10):493-501)。
ナチュラルキラー(NK)細胞は、CXCL10、CCL3、S1P、及びCXCL12を含むケモカインに対する、又は腹膜内のLPSに応答した、効率的な遊走をPI3K-δとPI3K-γの両方に依存している(Guo Hらの文献(2008) J Exp Med. 205(10):2419-35; Tassi Iらの文献(2007) Immunity 27(2):214-27; Saudemont Aの文献(2009) Proc Natl Acad Sci U S A. 106(14):5795-800; Kim Nらの文献(2007) Blood 110(9):3202-8)。
免疫細胞の分化、維持、及び活性化におけるPI3K-δ、PI3K-γ、及びPI3K-βの役割は、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症)からアレルギー性炎症性障害、例えば、喘息、及び炎症性呼吸器疾患、例えば、COPDにまで及ぶ炎症性障害におけるこれらの酵素の役割を支持する。広範にわたる証拠は、実験的動物モデルで入手可能であるか、又は当技術分野で認識されている動物モデルを用いて評価することができる。一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載の化合物を用いて、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症)からアレルギー性炎症性障害、例えば、喘息及びCOPDにまで及ぶ炎症性障害を治療する方法である。
例えば、PI3K-δ及び/又は-γの阻害剤は、関節リウマチのいくつかの自己免疫動物モデルで抗炎症活性を有することが示されている(Williams, O.らの文献(2010) Chem Biol, 17(2): 123-34;WO 2009/088986号;WO2009/088880号;WO 2011/008302号)。PI3K-δは、RA滑膜組織で(特に、線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)を含む滑膜表層で発現されており、選択的PI3K-δ阻害剤は、滑膜細胞の成長及び生存を阻害するのに有効であることが示されている(Bartokらの文献(2010) Arthritis Rheum 62 Suppl 10:362)。いくつかのPI3K-δ及び-γ阻害剤は、当技術分野で認められているRAのモデル、例えば、コラーゲン誘導関節炎及びアジュバント誘導関節炎で関節炎の症状(例えば、関節の腫脹、血清誘導コラーゲンレベルの低下、関節病変及び/又は炎症の軽減)を改善することが示されている(WO 2009/088986号;WO2009/088880号;WO 2011/008302号)。
PI3K-δの役割は、DTHモデルを含む、T細胞依存的応答のモデルでも示されている。多発性硬化症のマウス実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)モデルにおいて、PI3K-γ/δ二重突然変異体マウスは抵抗性である。PI3K-δ阻害剤は、EAE疾患の誘導、及びインビトロとインビボの両方におけるTH-17細胞の発生を遮断することも示されている(Haylock-Jacobs, S.らの文献(2011) J. Autoimmunity 36(3-4):278-87)。
全身エリテマトーデス(SLE)は、様々な段階において、メモリーT細胞、B細胞のポリクローナルな拡大及び形質細胞への分化、並びに内在性の損傷関連分子パターン分子(DAMPS)に対する自然免疫応答、並びに補体系及びFC受容体を介した免疫複合体に対する炎症応答を必要とする複合病である。これらの経路及び細胞型と併せたPI3K-δ及びPI3K-γの役割は、阻害剤による遮断が、これらの疾患において有効であることを示唆している。狼瘡におけるPI3Kの役割は、狼瘡の2つの遺伝的モデルからも予測される。ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)の欠失は、PI3K-δを含むクラス1AのPI3Kの遺伝子導入による活性化と同様に、狼瘡様表現型を生じさせる。遺伝子導入によって活性化されたクラス1Aの狼瘡モデルにおけるPI3K-γの欠失は保護的であり、狼瘡のマウスMLR/lprモデルにおけるPI3K-γ選択的阻害剤による処置は、症状を改善させる(Barber, DFらの文献(2006) J. Immunol. 176(1): 589-93)。
アレルギー性疾患において、PI3K-δは、遺伝的モデル及び阻害剤処理により、受動的皮膚アナフィラキシー(anaphalaxis)アッセイにおいて肥満細胞活性化に不可欠であることが示されている(Ali Kらの文献(2008) J Immunol. 180(4):2538-44; Ali Kの文献(2004) Nature 431(7011): 1007-11)。免疫複合体に対する応答(アルツス反応)の肺測定において、PI3K-δノックアウトは抵抗性であり、マクロファージ活性化及びC5a産生における欠陥を示している。ノックアウト研究、及びPI3K-δとPI3K-γの両方に対する阻害剤を用いた研究は、オボアルブミン誘発性アレルギー性気道炎症及び過敏性モデルにおけるこれらの酵素の両方の役割を支持している(Lee KSらの文献(2006) FASEB J. 20(3):455-65)。好酸球、好中球、及びリンパ球の浸潤、並びにTH2サイトカイン(IL4、IL5、及びIL13)の低下は、Ova誘発性喘息モデルにおいて、PI3K-δ特異的阻害剤とPI3K-δ及びPI3K-γ二重阻害剤の両方で見られた(Lee KSらの文献(2006) J Allergy Clin Immunol 118(2):403-9)。
PI3K-δ及びPI3K-γ阻害をCOPDを治療する際に用いることができる。COPDの喫煙マウスモデルにおいて、PI3K-δノックアウトは、煙誘発性グルココルチコイド抵抗性を発症しないが、野生型及びPI3K-γノックアウトマウスは、それを発症する。PI3K-δ及びPI3K-γ二重阻害剤の吸入製剤は、好中球増加症及びグルココルチコイド抵抗性によって測定したとき、LPS又は煙COPDモデルにおいて炎症を遮断した(Doukas Jらの文献(2009) J Pharmacol Exp Ther. 328(3):758-65)。
クラスI PI3K、特に、PI3K-δ及びPI3K-γアイソフォームは癌とも関連している(例えば、Vogt, PKらの文献(2010) Curr Top Microbiol Immunol. 347:79-104; Fresno Vara, JAらの文献(2004) Cancer Treat Rev. 30(2): 193-204; Zhao, L及びVogt, PK.の文献(2008) Oncogene 27(41):5486-96に概説されている)。PI3K、例えば、PI3K-δ及び/又はγの阻害剤は、抗癌活性を有することが示されている(例えば、Courtney, KDらの文献(2010) J Clin Oncol. 28(6): 1075-1083); Markman, Bらの文献(2010) Ann Oncol. 21(4):683-91; Kong, D及びYamori, Tの文献(2009) Curr Med Chem. 16(22):2839-54; Jimeno, Aらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 156s(補遺;要旨3542); Flinn, IWらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 156s(補遺;要旨3543); Shapiro, Gらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 146s(補遺;要旨3500); Wagner, AJらの文献(2009) J Clin Oncol. 27: 146s(補遺;要旨3501); Vogt, PKらの文献(2006) Virology 344(1): 131-8; Ward, Sらの文献(2003) Chem Biol. 10(3):207-13; WO 2011/041399号; US 2010/0029693号; US 2010/0305096号; US 2010/0305084号)。一実施態様において、本明細書に記載されるのは、癌を治療する方法である。
PI3K(特に、PI3K-δ及び/又は-γ)の阻害剤を用いて治療することができる癌の種類としては、例えば、白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病(例えば、Salmena, Lらの文献(2008) Cell 133:403-414; Chapuis, Nらの文献(2010) Clin Cancer Res. 16(22):5424-35; Khwaja, Aの文献(2010) Curr Top Microbiol Immunol. 347: 169-88);リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、Salmena, Lらの文献(2008) Cell 133:403-414);肺癌、例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌(例えば、Herrera, VAらの文献(2011) Anticancer Res. 31(3):849-54);黒色腫(例えば、Haluska, Fらの文献(2007) Semin Oncol. 34(6): 546-54);前立腺癌(例えば、Sarker, Dらの文献(2009) Clin Cancer Res. 15(15):4799-805);膠芽腫(例えば、Chen, JSらの文献(2008) Mol Cancer Ther. 7:841-850);子宮内膜癌(例えば、Bansal, Nらの文献(2009) Cancer Control. 16(1):8-13);膵癌(例えば、Furukawa, Tの文献(2008) J Gastroenterol. 43(12):905-11);腎細胞癌(例えば、Porta, C及びFiglin, RAの文献(2009) J Urol. 182(6):2569-77);結腸直腸癌(例えば、Saif, MW及びChu, Eの文献(2010) Cancer J. 16(3): 196-201);乳癌(例えば、Torbett, NEらの文献(2008) Biochem J. 415:97-100);甲状腺癌(例えば、Brzezianska, E及びPastuszak-Lewandoska, Dの文献(2011) Front Biosci. 16:422-39);並びに卵巣癌(例えば、Mazzoletti, M及びBroggini, Mの文献(2010) Curr Med Chem. 17(36):4433-47)が挙げられる。
数多くの刊行物によって、血液癌の治療におけるPI3K-δ及びPI3K-γの役割が支持されている。PI3K-δ及びPI3K-γは、ヘム区画、並びに前立腺、乳房、及び膠芽腫を含む一部の固形腫瘍で高度に発現されている(Chen J.S.らの文献(2008) Mol Cancer Ther. 7(4):841-50; Ikeda H.らの文献(2010) Blood 116(9): 1460-8)。
急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む血液癌では、PI3K-δの過剰発現及び構成的活性化によって、PI3K-δ阻害が治療となるモデルが支持されている。Billottet Cらの文献(2006) Oncogene 25(50):6648-59; Billottet Cらの文献(2009) Cancer Res. 69(3): 1027-36; Meadows, SA、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL; Ikeda Hらの文献(2010) Blood 116(9): 1460-8; Herman SEらの文献(2010) Blood 116(12):2078-88; Herman SEらの文献(2011). Blood 117(16):4323-7。一実施態様において、本明細書に記載されるのは、限定されないが、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む血液癌を治療する方法である。
PI3K-δ阻害剤(CAL-101)は、血液学的悪性腫瘍を有する患者の第1相治験で評価され、悪い予後特徴を有する患者のCLLで活性を示している。CLLでは、PI3K-δの阻害は、腫瘍細胞に直接影響を及ぼすだけでなく、それは、腫瘍細胞がその微小環境と相互作用する能力にも影響を及ぼす。この微小環境には、間質細胞、T細胞、ナース様細胞、及び他の腫瘍細胞との接触、並びにこれらの細胞に由来する因子が含まれる。CAL-101は、CCL3、CCL4、及びCXCL13を含む間質細胞及びT細胞由来因子の発現、並びにこれらの因子に応答するCLL腫瘍細胞の能力を抑制する。CLL患者におけるCAL-101治療は、迅速なリンパ節縮小、及び循環中へのリンパ球の再分布を誘導し、BCRを介する持続性生存シグナルに影響を及ぼして、細胞生存の低下、及びアポトーシスの増加をもたらす。単剤CAL-101治療は、マントル細胞リンパ腫及び難治性非ホジキンリンパ腫でも活性があった(Furman, RRら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL; Hoellenriegel, Jら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL; Webb, HKら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL; Meadowsら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL; Kahl, Bら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL; Lannutti BJらの文献(2011) Blood 117(2):591-4)。
PI3K-δ阻害剤は、インビトロでPI3K-δ陽性神経膠腫に対する活性を示している(Kashishian Aら、ポスター発表:米国癌研究学会第102回年次総会(The American Association of Cancer Research 102nd Annual Meeting); 2011年4月2日〜6日;Orlando, FL)。PI3K-δは、PTEN腫瘍抑制因子が突然変異している腫瘍で最も一般に活性化されるPI3Kアイソフォームである(Ward Sらの文献(2003) Chem Biol. 10(3):207-13)。この腫瘍サブセットでは、PI3K-δ阻害剤による処理は、単独か又は細胞傷害剤と組み合わせてかのいずれかで、有効であり得る。
PI3K-δ阻害剤が固形腫瘍で影響を及ぼす別の機構は、腫瘍細胞のその微小環境との相互作用を含む。PI3K-δ、PI3K-γ、及びPI3K-βは、腫瘍浸潤性のリンパ球、マクロファージ、及び好中球を含む、腫瘍に浸潤する免疫細胞で発現される。PI3K-δ阻害剤は、これらの腫瘍関連免疫細胞の機能、並びにそれらが間質、腫瘍、及び互いからのシグナルに応答するやり方を修飾することができ、このような方法で、腫瘍細胞及び転移に影響を及ぼすことができる(Hoellenriegel, Jら、第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL)。
PI3K-δは内皮細胞でも発現される。PI3K-δ選択的阻害剤で処置されたマウスの腫瘍は、放射線療法によってより容易に死滅することが示されている。この同じ研究では、毛細血管網形成がPI3K阻害剤によって損なわれ、この欠陥が放射線によるより大きな死滅の一因となると仮定されている。PI3K-δ阻害剤は、腫瘍が間質細胞、免疫細胞、及び内皮細胞を含む、その微小環境と相互作用するやり方に影響を及ぼし、単独で、又は別の療法と併せて、治療となることができる(Meadows, SAらの論文発表:第52回血液学会年次総会及び展示会(52nd Annual ASH Meeting and Exposition);2010年12月4日〜7日;Orlando, FL; Geng Lらの文献(2004) Cancer Res. 64(14):4893-9)。
他の実施態様において、PI3K(例えば、PI3K-δ及び/又は-γ)の阻害を用いて、精神神経疾患、例えば、自己免疫性脳障害を治療することができる。感染性因子及び免疫因子は、限定されないが、シデナム舞踏病(SC)(Garvey, M.A.らの文献(2005) J. Child Neurol. 20:424-429)、トゥレット症候群(TS)、強迫神経症(OCD)(Asbahr, F.R.らの文献(1998) Am. J. Psychiatry 155: 1122-1124)、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)(Hirschtritt, M.E.らの文献(2008) Child Neuropsychol. 1: 1-16; Peterson, B.S.らの文献(2000) Arch. Gen. Psychiatry 57:364-372)、神経性無食欲(Sokol, M.S.(2000) J. Child Adolesc. Psychopharmacol. 10: 133-145; Sokol, M.S.らの文献(2002) Am. J. Psychiatry 159: 1430-1432)、鬱病(Leslie, D.L.らの文献(2008) J. Am. Acad. Child Adolesc. Psychiatry 47: 1166-1172)、及び自閉症スペクトラム障害(ASD)(Hollander, E.らの文献(1999) Am. J. Psychiatry 156:317-320; Margutti, P.らの文献(2006) Curr. Neurovasc. Res. 3: 149-157)を含む、いくつかの精神神経疾患の発病に関係があるとされている。小児強迫神経症及びチック障害の一部は、連鎖球菌関連小児自己免疫神経精神疾患(PANDAS)に分類されている。PANDAS障害は、神経精神症状の発症及び増悪が連鎖球菌感染より始まる障害の一例を提供する(Kurlan, R., Kaplan, E.L.の文献(2004) Pediatrics 113:883-886; Garvey, M.A.らの文献(1998) J. Clin. Neurol. 13:413-423)。PANDAS障害の多くは、神経学的作用を生じさせる、連鎖球菌関連エピトープ、例えば、GlcNAcに対する抗体応答から生じる共通の作用機序を共有している(Kirvan. C.A.らの文献(2006) J. Neuroimmunol. 179: 173-179)。中枢神経系(CNS)エピトープを認識する自己抗体も、殆どのPANDAS対象の血清中に見られる(Yaddanapudi, K.らの文献(2010) Mol. Psychiatry 15:712-726)。このように、いくつかの精神神経疾患は、免疫及び自己免疫成分と関連付けられており、このため、それらは、PI3K-δ及び/又は-γ阻害を含む療法に好適なものとなっている。
ある実施態様において、PI3K-δ及び/又は-γ阻害剤を用いて、精神神経疾患(例えば、自己免疫性脳障害)を治療する(例えば、その1以上の症状を軽減又は改善する)方法が、単独で又は組合せ療法として記載されている。例えば、本明細書に記載の1以上のPI3K-δ及び/又は-γ阻害剤を、単独で又は任意の好適な治療剤及び/もしくは治療法、例えば、栄養補助食品と組み合わせて、精神神経疾患の治療に用いることができる。本明細書に記載のPI3K-δ及び/又は-γ阻害剤を用いて治療することができる例示的な精神神経疾患としては、PANDAS障害、シデナム舞踏病、トゥレット症候群、強迫神経症、注意欠陥/多動性障害、神経性無食欲、鬱病、及び自閉症スペクトラム障害が挙げられるが、これらに限定されない。広汎性発達障害(PDD)は、自閉性障害、アスペルガー障害、小児期崩壊性障害(CDD)、レット障害、及び特定不能のPDD(PDD-NOS)を含む、例示的な種類の自閉症スペクトラム障害である。PI3K-δ及び/又は-γ阻害剤の活性を評価するための動物モデルは当技術分野で公知である。例えば、PANDAS障害のマウスモデルは、例えば、Yaddanapudi, K.らの文献(2010)前掲;及びHoffman, K.I.らの文献(2004) J. Neurosci. 24: 1780-1791に記載されている。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、限定されないが、1種類以上のPI3キナーゼの機能不全と関連する疾患を含む、疾患状態を治療する方法である。p110δキナーゼ活性によって媒介される状態及び障害の詳細な説明は、あらゆる目的のためにその全体が引用により本明細書に組み込まれている、Saduらの文献、WO 01/81346号に示されている。
いくつかの実施態様において、本開示は、対象における過剰増殖性障害を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。いくつかの実施態様において、該方法は、癌、例えば、急性骨髄性白血病、胸腺癌、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮細胞癌、皮膚癌、眼癌、網膜芽腫、眼球内黒色腫、口腔及び口腔咽頭癌、膀胱癌、胃(gastric)癌、胃(stomach)癌、膵癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、頭部癌、頸部癌、腎臓(renal)癌、腎臓(kidney)癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、食道癌、精巣癌、婦人科癌、甲状腺癌、CNS癌、PNS癌、AIDS関連癌(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、又はウイルス誘発性癌の治療に関する。いくつかの実施態様において、該方法は、非癌性過剰増殖性障害、例えば、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、又は前立腺の良性過形成(例えば、良性前立腺肥大(BPH))の治療に関する。
本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物で、本明細書に提供される方法に従って治療することができる患者としては、例えば、乾癬;再狭窄;アテローム性動脈硬化症;BPH;乳癌、例えば、乳腺の腺管組織内の腺管癌、髄様癌、膠様癌、管状癌、及び炎症性乳癌;卵巣内の腺癌及び卵巣から腹腔内に移動した腺癌などの上皮性卵巣腫瘍を含む卵巣癌;子宮癌;子宮頸癌、例えば、扁平上皮細胞癌及び腺癌を含む子宮頸上皮内の腺癌;前立腺癌、例えば、以下から選択される前立腺癌:腺癌、もしくは骨に移動した腺癌;膵癌、例えば、膵管組織内の類上皮癌(epitheliod carcinoma)及び膵管内の腺癌;膀胱癌、例えば、膀胱内の移行細胞癌、尿路上皮癌(移行細胞癌)、膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞内の腫瘍、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び小細胞癌;白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、骨髄異形成、骨髄増殖性障害、NK細胞白血病(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、及び骨髄異形成症候群(MDS);骨癌;肺癌、例えば、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び大細胞未分化癌に分類される非小細胞肺癌(NSCLC)、並びに小細胞肺癌;皮膚癌、例えば、基底細胞癌、黒色腫、扁平上皮細胞癌、及び扁平上皮細胞癌に発達することがある皮膚状態である光線角化症;眼網膜芽腫;皮膚もしくは眼球内(眼)黒色腫;原発性肝癌(肝臓から始まる癌);腎臓癌;甲状腺癌、例えば、乳頭甲状腺癌、濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌、及び未分化甲状腺癌;リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫、NK細胞リンパ腫(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、及び小型非切れ込み核細胞性リンパ腫;カポジ肉腫;B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、及び肝細胞癌を含むウイルス誘発性癌;ヒトリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)及び成人T細胞白血病/リンパ腫;並びにヒトパピローマウイルス(HPV)及び子宮頸癌;中枢神経系癌(CNS)、例えば、神経膠腫(星状細胞腫、未分化星状細胞腫、もしくは多形性膠芽腫)、乏突起膠腫、上衣腫、髄膜腫、リンパ腫、シュワン細胞腫、及び髄芽腫を含む原発性脳腫瘍;末梢神経系(PNS)癌、例えば、神経線維腫及びシュワン細胞腫を含む聴神経腫及び悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、悪性線維性細胞腫、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫、並びに悪性ミュラー管混合腫瘍;口腔及び口腔咽頭癌、例えば、下咽頭癌、喉頭癌、鼻咽頭癌、及び口腔咽頭癌;胃癌、例えば、リンパ腫、胃間質腫瘍、及びカルチノイド腫瘍;精巣癌、例えば、精上皮腫及び非精巣上皮腫を含む胚細胞腫瘍(GCT)、並びにライディッヒ細胞腫及びセルトリ細胞腫を含む性腺間質腫瘍;胸腺癌(thymus cancer)、例えば、胸腺腫、胸腺癌(thymic carcinomas)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫カルチノイドもしくはカルチノイド腫瘍;直腸癌;並びに結腸癌を有すると診断された患者が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における自己免疫疾患を含む、炎症性障害を治療する方法である。該方法は、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を投与することを含む。自己免疫疾患の例としては、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性皮膚疾患、セリアック病、クローン病、糖尿病(1型)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡(oemphigus)、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、関節リウマチ、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞動脈炎」としても知られる)、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症(例えば、炎症性脱毛症)、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、汗腺膿瘍、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性結腸炎、白斑、及び外陰部痛が挙げられるが、これらに限定されない。他の障害としては、骨吸収障害及び血栓症が挙げられる。
炎症は多くの形態で起こり、これには、急性、癒着性、萎縮性、カタル性、慢性、硬変性、散在性、播種性、滲出性、線維素性、線維化性、限局性、肉芽腫性、過形成性、肥大型、間質性、転移性、壊死性、閉塞性、実質性、可塑性、生産的、増殖性、偽膜性、膿性、硬化性、血清可塑性、漿液性、単純性、特異的、亜急性、化膿性、毒性、外傷性、及び/又は潰瘍性の炎症が含まれるが、これらに限定されない。
例示的な炎症性疾患としては、座瘡、貧血(例えば、再生不良性貧血、溶血性自己免疫性貧血)、喘息、動脈炎(例えば、多発動脈炎、側頭動脈炎、結節性動脈周囲炎、高安動脈炎)、関節炎(例えば、結晶性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性炎症(gout flare)、痛風性関節炎、反応性関節炎、関節リウマチ、及びライター関節炎)、強直性脊椎炎、穀粉症、筋萎縮性側索硬化症、自己免疫疾患、アレルギー又はアレルギー反応、アテローム性動脈硬化症、気管支炎、滑液包炎、慢性前立腺炎、結膜炎、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、皮膚筋炎(cermatomyositis)、憩室炎、糖尿病(例えば、I型糖尿病、2型糖尿病)、皮膚疾患(例えば、乾癬、湿疹、火傷、皮膚炎、掻痒症(痒み))、子宮内膜症、ギラン・バレー症候群、感染症、虚血性心疾患、川崎病、糸球体腎炎、歯肉炎、過敏症、頭痛(例えば、片頭痛性頭痛、緊張性頭痛)、イレウス(例えば、術後イレウス及び敗血症時のイレウス)、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎(疼痛性膀胱症候群)、胃腸障害(例えば、消化性潰瘍、限局性腸炎、憩室炎、胃腸出血、好酸球性胃腸障害(例えば、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性結腸炎)、胃炎、下痢、胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、潰瘍性結腸炎、コラーゲン蓄積結腸炎、リンパ球性結腸炎、虚血性結腸炎、便流変更性結腸炎、ベーチェット症候群、分類不能結腸炎)、及び炎症性腸症候群(IBS)から選択される)、狼瘡、多発性硬化症、斑状強皮症、重症筋無力症(myeasthenia gravis)、心筋虚血、ネフローゼ症候群、尋常性天疱瘡、悪性貧血(pernicious aneaemia)、消化性潰瘍、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、脳障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、及びアルツハイマー病)と関連する神経炎症、前立腺炎、頭蓋放射線損傷と関連する慢性炎症、骨盤内炎症性疾患、リウマチ性多発性筋痛、再灌流障害、限局性腸炎、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、強皮症、スクレロドーマ(scierodoma)、サルコイドーシス、脊椎関節症(spondyloarthopathies)、シェーグレン症候群、甲状腺炎、移植拒絶反応、腱炎、外傷又は損傷(例えば、凍傷、化学刺激物質、毒素、瘢痕化、火傷、身体的損傷)、血管炎、白斑、並びにウェゲナー肉芽腫症と関連する炎症が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、炎症性障害は、関節炎(例えば、関節リウマチ)、炎症性腸疾患、炎症性腸症候群、喘息、乾癬、子宮内膜症、間質性膀胱炎、及び前立腺炎(prostatistis)から選択される。ある実施態様において、炎症性疾患は、急性炎症性疾患(例えば、感染に起因する炎症など)である。ある実施態様において、炎症性疾患は、慢性炎症性疾患(例えば、喘息、関節炎、及び炎症性腸疾患に起因する疾患)である。化合物は、外傷と関連する炎症、及び非炎症性筋肉痛を治療する際にも有用であることができる。
免疫障害、例えば、自己免疫障害としては、関節炎(関節リウマチ、脊椎関節症(spondyloarthopathies)、痛風性関節炎、変性性関節疾患、例えば、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化脊椎炎、ベーチェット病、溶血性自己免疫性貧血、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、穀粉症、急性肩痛、乾癬性、及び若年性関節炎を含む)、喘息、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症、気管支炎、腱炎、滑液包炎、皮膚疾患(例えば、乾癬、湿疹、火傷、皮膚炎、掻痒症(痒み))、遺尿症、好酸球性疾患、胃腸障害(例えば、消化性潰瘍、限局性腸炎、憩室炎、胃腸出血、好酸球性胃腸障害(例えば、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性結腸炎)、胃炎、下痢、胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、潰瘍性結腸炎、コラーゲン蓄積結腸炎、リンパ球性結腸炎、虚血性結腸炎、便流変更性結腸炎、ベーチェット症候群、分類不能結腸炎)、及び炎症性腸症候群(IBS)から選択される)、再発性多発性軟骨炎(例えば、萎縮性多発性軟骨炎及び全身性多発性軟骨軟化症)、並びに消化管運動促進剤によって改善される障害(例えば、イレウス、術後イレウス、及び敗血症時のイレウス;胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD);好酸球性食道炎、胃不全麻痺、例えば、糖尿病性胃不全麻痺;食物不耐性及び食物アレルギー、並びに他の機能性腸疾患、例えば、非潰瘍性消化不良(NUD)及び非心臓性胸痛(NCCP、肋軟骨炎を含む))が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、炎症性疾患又は自己免疫疾患を治療する方法であって、対象(例えば、哺乳動物)に、他の全てのタイプI PI3キナーゼと比較して、PI3K-δ及び/又はPI3K-γを選択的に阻害する治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を投与することを含む、方法が提供される。
PI3K-δ及び/又はPI3K-γのそのような選択的阻害は、本明細書に記載の疾患又は状態のいずれかを治療するのに有利であり得る。例えば、PI3K-δの選択的阻害は、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は限定されないが、喘息、肺気腫、アレルギー、皮膚炎、関節リウマチ、乾癬、エリテマトーデス、アナフィラキシー(anaphylaxsis)、もしくは移植片対宿主病を含む、望ましくない免疫応答に関連する疾患と関連する炎症性応答を阻害することができる。PI3K-δの選択的阻害はさらに、細菌、ウイルス、及び/又は真菌感染を低下させる能力の付随的な低下を伴わずに、炎症性応答又は望ましくない免疫応答の低下を提供することができる。PI3K-δとPI3K-γの両方の選択的阻害は、対象における炎症応答を、PI3K-δ又はPI3K-γのみを選択的に阻害する阻害剤によって提供されるものよりも大きい程度に阻害するのに有利であり得る。一態様において、対象方法のうちの1つ又は複数は、約2倍、3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、750倍、もしくは約1000倍、又はそれを上回って、インビボでの抗原特異的抗体産生を低下させるのに有効である。別の態様において、対象方法のうちの1つ又は複数は、約2倍、3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、750倍、もしくは約1000倍、又はそれを上回って、インビボでの抗原特異的IgG3及び/又はIgGM産生を低下させるのに有効である。
一態様において、対象方法のうちの1つ又は複数は、限定されないが、関節腫脹の軽減、血清抗コラーゲンレベルの低下、並びに/又は骨吸収、軟骨損傷、パンヌス、及び/もしくは炎症などの関節病態の軽減を含む、関節リウマチと関連する症状を改善するのに有効である。別の態様において、対象方法は、足首の炎症を、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、もしくは60%、又は約75%〜90%軽減するのに有効である。別の態様において、対象方法は、膝の炎症を、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、50%、もしくは60%、又は約75%〜90%、又はそれを上回って軽減するのに有効である。さらに別の態様において、対象方法は、血清抗II型コラーゲンレベルを、少なくとも約10%、12%、15%、20%、24%、25%、30%、35%、50%、60%、75%、80%、86%、87%、もしくは約90%、又はそれを上回って軽減するのに有効である。別の態様において、対象方法は、足首の組織病理学スコアを、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、もしくは90%、又はそれを上回って低下させるのに有効である。さらに別の態様において、対象方法は、膝の組織病理学スコアを、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、もしくは90%、又はそれを上回って低下させるのに有効である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kのδアイソフォームが、他のPI3Kアイソフォーム、例えば、PI3K-α及び/又は-βよりも大きい程度に関係があるとされる障害又は状態を治療するための方法である。PI3K-δ及び/又はPI3K-γの選択的阻害は、PI3K-α及び/又は-βを阻害する選択性の低い化合物を上回る利点、例えば、副作用プロファイルの改善、又は細菌、ウイルス、及び/もしくは真菌感染を低下させる能力の低下の軽減を提供することができる。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、限定されないが、肺葉、胸膜腔、気管支、気管、上気道、又は呼吸のための神経及び筋肉に影響を及ぼす疾患を含む、呼吸器疾患を治療する方法である。例えば、閉塞性肺疾患を治療するための方法が提供される。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気流の閉塞又は制限を特徴とする気道疾患群に対する包括的用語である。この包括的用語に含まれる状態としては:慢性気管支炎、肺気腫、及び気管支拡張症が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物は、喘息の治療に使用される。また、本明細書に記載の化合物又は医薬組成物は、内毒素血症及び敗血症の治療に使用することができる。一実施態様において、本明細書に記載の化合物又は医薬組成物は、関節リウマチ(RA)の治療に使用される。さらに別の実施態様において、本明細書に記載の化合物又は医薬組成物は、接触性又はアトピー性皮膚炎の治療に使用される。接触性皮膚炎としては、刺激性皮膚炎、光毒性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、光アレルギー性皮膚炎、接触蕁麻疹、全身接触型皮膚炎などが挙げられる。刺激性皮膚炎は、過剰の物質がその皮膚に対して用いられた場合、又は皮膚が特定の物質に対して感受性である場合に生じることがある。湿疹と呼ばれることもあるアトピー性皮膚炎は、皮膚炎の1種であるアトピー性の皮膚疾患である。
いくつかの実施態様において、本開示は、対象における脈管形成又は血管新生に関連する疾患を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、該方法は、腫瘍血管新生、慢性炎症性疾患、例えば、関節リウマチ及び慢性炎症性脱髄性多発性神経炎、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、皮膚病、例えば、乾癬、湿疹、及び強皮症、糖尿病、糖尿病性網膜症、早産児網膜症、加齢黄斑変性症、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、並びに卵巣癌、乳癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、結腸癌、並びに類表皮癌からなる群から選択される疾患を治療するためのものである
さらに、本明細書に記載の化合物は、アテローム性動脈硬化症を含む動脈硬化症の治療に使用することができる。動脈硬化症は、中動脈又は大動脈の任意の硬化を記述する一般用語である。アテローム性動脈硬化症は、特にアテローム斑による動脈の硬化である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における心血管疾患を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を投与することを含む、方法である。心血管疾患の例としては、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血管閉塞、及び頸動脈閉塞性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本開示は、対象における糖尿病を治療する方法であって、該対象に、治療的有効量の本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
さらに、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物は、座瘡を治療するために使用することができる。ある実施態様において、炎症性疾患及び/又は免疫障害は、皮膚疾患である。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、掻痒症(痒み)、乾癬、湿疹、火傷、又は皮膚炎である。ある実施態様において、皮膚疾患は、乾癬である。ある実施態様において、皮膚疾患は、掻痒症である。
ある実施態様において、炎症性障害及び/又は免疫障害は、胃腸障害である。いくつかの実施態様において、胃腸障害は、胃腸障害(例えば、消化性潰瘍、限局性腸炎、憩室炎、胃腸出血、好酸球性胃腸障害(例えば、好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性結腸炎)、胃炎、下痢、胃食道逆流症(GORD、又はその同義語GERD)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、潰瘍性結腸炎、コラーゲン蓄積結腸炎、リンパ球性結腸炎、虚血性結腸炎、便流変更性結腸炎、ベーチェット症候群、分類不能結腸炎)、及び炎症性腸症候群(IBS)から選択される)から選択される。ある実施態様において、胃腸障害は、炎症性腸疾患(IBD)である。
さらに、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物は、糸球体腎炎の治療に使用することができる。糸球体腎炎は、糸球体の炎症を特徴とする原発性又は続発性の自己免疫性腎疾患である。それは、無症候であるか、又は血尿及び/もしくはタンパク尿を示すことがある。数多くのタイプが認められており、急性、亜急性、又は慢性糸球体腎炎に分類される。原因は、感染性(細菌性、ウイルス性、もしくは寄生性病原体)、自己免疫性、又は傍腫瘍性である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、多臓器不全の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。また、本明細書に提供されるのは、対象における肝疾患(糖尿病を含む)、胆嚢疾患(胆石を含む)、膵炎もしくは腎疾患(増殖性糸球体腎炎及び糖尿病誘発性腎疾患を含む)、又は疼痛の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における未分化胚芽細胞着床の予防のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、限定されないが、特発性血小板減少性紫斑病、ベルナール・スーリエ症候群、グランツマン血小板無力症、スコット症候群、フォン・ヴィレブランド病、ヘルマンスキー・プドゥラック症候群、及び灰色血小板症候群を含む、血小板凝集又は血小板粘着を伴う障害の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物は、骨格筋萎縮、骨格肥大、又は筋肥大である疾患を治療するために提供される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、限定されないが、本明細書で論じられている癌、移植関連障害(例えば、拒絶反応率の低下、移植片対宿主病など)、筋硬化症(MS)、アレルギー性障害(例えば、関節炎、アレルギー性脳脊髄炎)、及び他の免疫抑制関連障害、代謝障害(例えば、糖尿病)、血管損傷後の内膜肥厚の低下、並びにミスフォールドタンパク質障害(例えば、アルツハイマー病、ゴーシェ病、パーキンソン病、ハンチントン病、嚢胞性線維症、黄斑変性症、網膜色素変性症、及びプリオン病)(mTOR阻害は、ミスフォールドタンパク質凝集体の効果を軽減することができるので)を含む、障害の治療のための、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物である。これらの障害には、過誤腫症候群、例えば、結節硬化症並びにカウデン病(カウデン症候群及び多発性過誤腫症候群とも呼ばれる)も含まれる。
さらに、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物は、滑液包炎、狼瘡、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群(APS)、アミロイドーシス(全身性及び限局性アミロイドーシス;並びに原発性及び続発性アミロイドーシスを含む)、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、クローン病、糖尿病(1型)、好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenterides)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、炎症性腸疾患、エリテマトーデス(皮膚エリテマトーデス及び全身性エリテマトーデスを含む)、重症筋無力症、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、変形性関節症(ostheoarthritis)、ブドウ膜網膜炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、汗腺膿瘍、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性結腸炎、白斑、外陰部痛、虫垂炎、動脈炎、関節炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、絨毛羊膜炎、結腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、肝炎、汗腺炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心外膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ブドウ膜炎(例えば、眼球ブドウ膜炎)、膣炎、血管炎、又は外陰炎の治療に使用することができる。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、白血球の機能を破壊するか又は破骨細胞の機能を破壊する方法である。該方法は、白血球又は破骨細胞を、機能を破壊する量の本明細書に提供される化合物と接触させることを含む。
別の態様において、対象化合物又は医薬組成物のうちの1つ又は複数を対象の目に投与することによって眼科的疾患を治療するための方法が提供される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:クローン病;皮膚狼瘡;多発性硬化症;関節リウマチ;及び全身性エリテマトーデスである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:強直性脊椎炎;慢性閉塞性肺疾患;重症筋無力症;眼球ブドウ膜炎、乾癬;及び乾癬性関節炎である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:成人発症スティル病;炎症性脱毛症;アミロイドーシス;抗リン脂質症候群;自己免疫性肝炎;自己免疫性皮膚疾患、ベーチェット病;慢性炎症性脱髄性多発性神経炎;好酸球性胃腸炎;炎症性筋疾患、天疱瘡、リウマチ性多発性筋痛;再発性多発性軟骨炎;シェーグレン症候群;側頭動脈炎(temporal arthritis);潰瘍性大腸炎;血管炎(vasculis);白斑、及びウェゲナー肉芽腫(Wegner's granulomatosis)である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:痛風性炎症;サコイドーシス(sacoidosis);及び全身性硬化症である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は医薬組成物を用いて、疾患又は障害を治療、予防、及び/又は管理する方法であり、ここで、該疾患又は障害は:喘息;関節炎(例えば、関節リウマチ及び乾癬性関節炎);乾癬;強皮症;筋炎(例えば、皮膚筋炎);狼瘡(例えば、皮膚エリテマトーデス(「CLE」)もしくは全身性エリテマトーデス(「SLE」));又はシェーグレン症候群である。
該疾患又は障害の治療、予防、及び/又は管理における本明細書に提供される化合物の効力は、当技術分野で公知の様々な動物モデルを用いて試験することができる。例えば:喘息の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Leeらの文献(2006) J Allergy Clin Immunol 118(2):403-9に記載されているova誘導性喘息モデルを用いて評価することができ;関節炎(例えば、関節リウマチ又は乾癬性関節炎)の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Williamsらの文献(2010) Chem Biol, 17(2):123-34、WO 2009/088986号、WO2009/088880号、及びWO 2011/008302号に記載されている自己免疫動物モデルを用いて評価することができ;乾癬の治療、予防、及び/又は管理における効力は、その全てが、例えば、Boehnckeらの文献(2007) Clinics in Dermatology, 25: 596-605に記載されている、表皮、血管系、又は免疫細胞における標的突然変異を伴うトランスジェニック又はノックアウトマウスモデル、自然突然変異から得られるマウスモデル、及びヒトの皮膚又は免疫細胞の異種移植を伴う免疫不全マウスモデルを用いて評価することができ;線維症又は線維症状態(fibrotic condition)の治療、予防、及び/又は管理における効力は、腎線維症の片側尿管閉塞モデル(Chevalierらの文献、Kidney International (2009) 75:1145-1152参照)、ブレオマイシン誘導性肺線維症モデル(Moore及びHogaboamの文献、Am. J. Physiol. Lung. Cell. Mol. Physiol. (2008) 294:L152-L160参照)、種々の肝/胆管線維症モデル(Chuangらの文献、Clin Liver Dis (2008) 12:333-347、及びOmenetti, Aらの文献(2007) Laboratory Investigation 87:499-514(胆管結紮モデル)参照)、又はいくつかの骨髄線維症マウスモデル(Varicchio, L.らの文献(2009) Expert Rev. Hematol. 2(3):315-334参照)を用いて評価することができ;強皮症の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Yamamotoらの文献(1999) J Invest Dermatol 112: 456-462に記載されている、ブレオマイシン(「BLM」)の反復局所注射によって誘導されるマウスモデルを用いて評価することができ;皮膚筋炎の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Phyanagiらの文献(2009) Arthritis & Rheumatism, 60(10): 3118-3127に記載されている、ウサギミオシンの免疫化によって誘導される筋炎マウスモデルを用いて評価することができ;狼瘡(例えば、CLE又はSLE)の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Ghoreishiらの文献(2009) Lupus, 19: 1029-1035、Ohlらの文献(2011) Journal of Biomedicine and Biotechnology, Article ID 432595 (14ページ)、Xiaらの文献(2011) Rheumatology, 50:2187-2196、Pauらの文献(2012) PLoS ONE, 7(5):e36761 (15ページ)、Mustafaらの文献(2011) Toxicology, 290:156-168、Ichikawaらの文献(2012) Arthritis and Rheumatism, 62(2): 493-503、Ouyangらの文献(2012) J Mol Med, DOI 10.1007/s00109-012-0866-3 (10ページ)、Rankinらの文献(2012) Journal of Immunology, 188:1656-1667に記載されている様々な動物モデルを用いて評価することができ;並びにシェーグレン症候群の治療、予防、及び/又は管理における効力は、例えば、Chioriniらの文献(2009) Journal of Autoimmunity, 33: 190-196に記載されている様々なマウスモデルを用いて評価することができる。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、喘息を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「喘息」は、原因を問わず、気道狭窄を包含する。喘息の一般的な誘因としては、環境刺激物(例えば、アレルゲン)、冷たい空気、温かい空気、香料、湿った空気、運動又は労作、及び情動ストレスへの暴露が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に提供されるのは、喘息と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては、激しい咳、気道狭窄、及び粘液産生が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、関節炎を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「関節炎」は、全ての種類及び症状の関節炎を包含する。例としては、結晶性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、痛風性関節炎、反応性関節炎、関節リウマチ、及びライター関節炎が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該疾患又は障害は、関節リウマチである。別の実施態様において、該疾患又は障害は、乾癬性関節炎である。また、本明細書に提供されるのは、関節炎と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては、関節変形に進行する関節痛、又は体器官、例えば、血管、心臓、肺、皮膚、及び筋肉の損傷が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、乾癬を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「乾癬」は、全ての種類及び症状の乾癬を包含する。例としては、尋常性乾癬(例えば、慢性の尋常性乾癬、中等度の尋常性乾癬、及び重度の尋常性乾癬)、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、尋常性天疱瘡、乾癬性紅皮症、炎症性腸疾患(IBD)と関連する乾癬、並びに関節リウマチ(RA)と関連する乾癬が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に提供されるのは、乾癬と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては:銀色の鱗屑で覆われた皮膚の紅斑;小さな落屑性の領域;出血している場合がある、乾燥した、ひび割れた皮膚;掻痒;灼熱感;ひりひりとした痛み;肥厚した、陥凹した、又は隆起した爪;並びに腫脹し、かつこわばった関節が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、線維症及び線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「線維症」又は「線維症状態は、全ての種類及び症状の線維症又は線維症状態を包含する。例としては、組織線維症の形成又は沈着;線維性病変の大きさ、細胞充実度(例えば、線維芽細胞もしくは免疫細胞数)、組成;又は細胞内含有量の低下;線維性病変のコラーゲン又はヒドロキシプロリン含有量の低下;線維形成タンパク質の発現又は活性の低下;炎症応答と関連する線維症の軽減;線維症と関連する体重減少の低下;或いは生存期間の延長が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、線維症状態は、原発性線維症である。一実施態様において、線維症状態は、特発性である。他の実施態様において、線維症状態は、疾患(例えば、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、悪性もしくは癌性疾患、及び/又は結合組織疾患(connective disease));毒素;損傷(例えば、環境危険因子(例えば、石綿、炭塵、多環式芳香族炭化水素)、喫煙、創傷);医学的処置(例えば、外科的切開、化学療法、もしくは放射線療法)、或いはこれらの組合せと関連する(例えば、これらに続発する)。
いくつかの実施態様において、線維症状態は、強皮症又は狼瘡、例えば、全身性エリテマトーデスから選択される自己免疫疾患と関連する。いくつかの実施態様において、線維症状態は、全身性である。いくつかの実施態様において、線維症状態は、全身性硬化症(例えば、限定性全身性硬化症、びまん性全身性硬化症、もしくは皮膚硬化のない強皮症)、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、慢性移植片対宿主病、又はアテローム性動脈硬化症である。
ある実施態様において、線維症状態は、肺の線維症状態、肝臓の線維症状態、心臓もしくは血管系の線維症状態、腎臓の線維症状態、皮膚の線維症状態、胃腸管の線維症状態、骨髄もしくは造血組織の線維症状態、神経系の線維症状態、眼の線維症状態、又はこれらの組合せである。
他の実施態様において、線維症状態は、筋肉、腱、軟骨、皮膚(例えば、皮膚の表皮もしくは内皮)、心組織、血管組織(例えば、動脈、静脈)、膵組織、肺組織、肝組織、腎組織、子宮組織、卵巣組織、神経組織、精巣組織、腹膜組織、結腸、小腸、胆道、腸、骨髄、造血組織、又は眼(例えば、網膜)組織の1つ又は複数から選択される組織を冒す。
いくつかの実施態様において、線維症状態は、眼の線維症状態である。いくつかの実施態様において、線維症状態は、緑内障、黄斑変性症(例えば、加齢黄斑変性症)、黄斑浮腫(例えば、糖尿病性黄斑浮腫)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症)、又はドライアイ疾患である。
ある実施態様において、線維症状態は、肺の線維症状態である。ある実施態様において、肺の線維症状態は:肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、通常型間質性肺炎(UIP)、間質性肺疾患、特発性線維化性肺胞炎(CFA)、気管支拡張症、及び強皮症肺疾患のうちの1つ又は複数から選択される。一実施態様において、肺の線維症は、疾患、毒素、損傷、医学的処置、又はこれらの組合せに続発する。例えば、肺の線維症は:石綿症及び珪肺症などの疾患経過;職業上の危険;環境汚染物質;喫煙;自己免疫性結合組織障害(例えば、関節リウマチ、強皮症、及び全身性エリテマトーデス(SLE));結合組織障害、例えば、サルコイドーシス;感染性疾患、例えば、感染症、特に、慢性感染症;限定されないが、放射線療法、並びに薬物療法、例えば、化学療法(例えば、ブレオマイシン、メトトレキセート、アミオダロン、ブスルファン、及び/又はニトロフラントインによる処置)を含む、医学的処置のうちの1つ又は複数と関連する(例えば、これらに続発する)ことがある。一実施態様において、本発明の方法で治療される肺の線維症状態は、癌治療、例えば、癌(例えば、扁平上皮細胞癌、精巣癌、ブレオマイシンによるホジキン病)の治療と関連する(例えば、該治療に続発する)。一実施態様において、肺の線維症状態は、自己免疫性結合組織障害(例えば、強皮症又は狼瘡、例えば、SLE)と関連する。
ある実施態様において、線維症状態は、肝臓の線維症状態である。ある実施態様において、肝臓の線維症状態は:脂肪肝疾患、脂肪症(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、胆汁鬱滞性肝疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変(PBC))、肝硬変、アルコール性肝線維症、胆管損傷、胆管線維症、又は胆管症のうちの1つ又は複数から選択される。他の実施態様において、肝(hepatic)又は肝(liver)線維症としては、アルコール依存症、ウイルス感染、例えば、肝炎(例えば、C型、B型、又はD型肝炎)、自己免疫性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、進行性塊状線維症、毒素又は刺激物(例えば、アルコール、調合薬、及び環境毒素)への暴露と関連する肝(hepatic)線維症が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、線維症状態は、心臓の線維症状態である。ある実施態様において、心臓の線維症状態は、心筋線維症(例えば、放射線心筋炎、外科手術合併症(例えば、心筋術後線維症)、感染性疾患(例えば、シャーガス病、細菌性、旋毛虫性、もしくは真菌性心筋炎)と関連する心筋線維症);肉芽腫性、代謝性蓄積障害(例えば、心筋症、ヘモクロマトーシス);発達障害(例えば、心内膜線維弾性症);動脈硬化、又は毒素もしくは刺激物への暴露(例えば、薬物誘導性心筋症、薬物誘導性心毒性、アルコール性心筋症、コバルト中毒もしくはコバルト被曝)である。ある実施態様において、心筋線維症は、心組織の炎症性障害(例えば、心筋サルコイドーシス)と関連する。いくつかの実施態様において、線維症状態は、心筋梗塞と関連する線維症状態である。いくつかの実施態様において、線維症状態は、鬱血性心不全と関連する線維症状態である。
ある実施態様において、線維症状態は、腎臓の線維症状態である。ある実施態様において、腎臓の線維症状態は:腎線維症(例えば、慢性腎線維症)、損傷/線維症と関連する腎症(例えば、糖尿病と関連する慢性腎症(例えば、糖尿病性腎症))、狼瘡、腎臓の強皮症、糸球体腎炎、巣状分節状糸球体硬化症、IgA腎症 ヒト慢性腎疾患(CKD)と関連する腎線維症、慢性進行性腎症(CPN)、尿細管間質性線維症、尿管閉塞症、慢性尿毒症、慢性間質性腎炎、放射線腎症、糸球体硬化症、進行性糸球体腎症(PGN)、内皮性/血栓性微小血管障害、HIV関連腎症、又は毒素、刺激物、もしくは化学療法剤への暴露と関連する線維症のうちの1つ又は複数から選択される。一実施態様において、腎臓の線維症状態は、腎臓の強皮症である。いくつかの実施態様において、腎臓の線維症状態は、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、又は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)である。
ある実施態様において、線維症状態は、皮膚の線維症状態である。ある実施態様において、皮膚の線維症状態は:皮膚線維症(例えば、肥大性瘢痕、ケロイド)、強皮症、腎性全身性線維症(例えば、重度腎不全患者におけるガドリニウム(これは、MRIの造影物質としてよく使用される)への暴露後に生じる)、及びケロイドのうちの1つ又は複数から選択される。
ある実施態様において、線維症状態は、胃腸管の線維症状態である。ある実施態様において、線維症状態は:強皮症と関連する線維症;放射線誘導性腸線維症;前腸炎症性障害、例えば、バレット食道及び慢性胃炎と関連する線維症、並びに/又は後腸炎症性障害、例えば、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、及びクローン病と関連する線維症のうちの1つ又は複数から選択される。いくつかの実施態様において、胃腸管の線維症状態は、強皮症と関連する線維症である。
ある実施態様において、線維症状態は、骨髄又は造血組織の線維症状態である。ある実施態様において、骨髄の線維症状態は、骨髄の慢性骨髄増殖性新生物、例えば、原発性骨髄線維症(本明細書では、特発性骨髄化生又は慢性特発性骨髄線維症とも呼ばれる)の内在性の特徴である。他の実施態様において、骨髄線維症は、悪性疾患、又はクローン性の増殖性疾患により引き起こされる状態と関連する(例えば、これらに続発する)。他の実施態様において、骨髄線維症は、血液学的障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄異形成、有毛細胞白血病、リンパ腫(例えば、ホジキンもしくは非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、又は慢性骨髄性白血病(CML)のうちの1つ又は複数から選択される血液学的障害)と関連する。さらに他の実施態様において、骨髄線維症は、非血液学的障害(例えば、骨髄への固形腫瘍転移、自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合型結合組織障害、もしくは多発性筋炎)、感染症(例えば、結核症)、又はビタミンD欠乏症と関連する二次性副甲状腺機能亢進症から選択される非血液学的障害と関連する(例えば、該非血液学的障害に続発する)。いくつかの実施態様において、線維症状態は、特発性又は薬物誘導性骨髄線維症である。いくつかの実施態様において、骨髄又は造血組織の線維症状態は、全身性エリテマトーデス又は強皮症と関連する。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、強皮症を治療、予防、及び/又は管理する方法である。強皮症は、皮膚及び/又は他の結合組織の硬化及び拘縮を伴う疾患群である。強皮症は、限局性(例えば、皮膚のみを冒す)、又は全身性(例えば、血管及び/もしくは内臓器官などの他の系を冒す)であり得る。強皮症の一般的な症状としては、レイノー現象、胃食道逆流症、並びに皮膚の変化(例えば、腫脹した指及び手、又は肥厚した皮膚部分)が挙げられる。いくつかの実施態様において、強皮症は、限局性、例えば、限局性強皮症又は線状強皮症である。いくつかの実施態様において、該疾患は、全身性硬化症、例えば、限定性全身性硬化症、びまん性全身性硬化症、又は皮膚硬化のない強皮症である。
限局性強皮症(限局性皮膚線維症)としては、限局性強皮症及び線状強皮症が挙げられる。限局性強皮症は、通常、中央が白く、境界が紫色の、肥厚した卵形の皮膚部分を特徴とする。線状強皮症は、子供により多く見られる。線状強皮症の症状は、主に、身体の片側に現われ得る。線状強皮症では、硬化した皮膚の帯又は縞が、一方もしくは両方の腕もしくは脚に、又は前頭に生じることがある。剣創(前頭線状強皮症又は限局性剣創状強皮症)は、通常、頭皮又は顔の線状病変を特徴とする限局性強皮症の一種である。
全身性強皮症(全身性硬化症)としては、例えば、限定性全身性硬化症(限定性皮膚全身性硬化症、又はCREST症候群とも呼ばれる)、びまん性全身性硬化症(びまん性皮膚全身性硬化症とも呼ばれる)、及び皮膚硬化のない強皮症が挙げられる。CRESTは、限定性強皮症に付随し得る以下の合併症:石灰沈着症(例えば、指のもの)、レイノー現象、食道機能不全、手指硬化症、及び毛細血管拡張症(telangiectasias)を表す。通常、限定性強皮症は、主に、手、腕、及び顔を冒す皮膚症状を伴う。限定性亜型及びびまん性亜型は、皮膚病変の度合いに基づいて区別され、限定性疾患では、四肢近位部及び胴体が免れている。例えば、Denton, C.P.らの文献(2006), Nature Clinical Practice Rheumatology, 2(3):134-143を参照されたい。限定性亜型は、通常、レイノー現象の長い既往歴も伴うのに対し、びまん性亜型では、レイノー現象の発症は、他の症状と同時に存在することができるか、又は後で起こり得る。限定性亜型とびまん性亜型は両方とも、内臓器官を侵し得る。限定性全身性硬化症の典型的な内臓症状としては、孤立性肺高血圧症、重度腸病変、及び肺線維症が挙げられる。びまん性全身性硬化症の典型的な内臓症状としては、腎クリーゼ、肺線維症、及び心疾患が挙げられる。びまん性全身性硬化症は、通常、急速に進行し、皮膚及び1以上の内臓器官(例えば、腎臓、食道、心臓、又は肺)の広い領域を冒す。皮膚硬化のない強皮症は、患者が、皮膚硬化の非存在下で内臓器官の血管損傷及び線維性損傷を発症する稀な障害である。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、炎症性筋疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「炎症性筋疾患」は、全ての種類及び症状の炎症性筋疾患を包含する。例としては、筋力低下(例えば、近位筋力低下)、皮膚発疹、歩行又は起立後の疲労、躓き又は転倒、嚥下障害、発声障害、呼吸困難、筋肉痛、筋圧痛、体重減少、軽度の発熱、肺の炎症、光過敏症、皮下又は筋肉内のカルシウム沈着(石灰沈着症)、及び本明細書に開示される又は当技術分野で公知の炎症性筋疾患の生物学的付随現象(biological concomitant)が挙げられるが、これらに限定されない。炎症性筋疾患(例えば、皮膚筋炎)の生物学的付随現象としては、例えば、サイトカイン(例えば、I型インターフェロン(例えば、IFN-α及び/又はIFN-β)、インターロイキン(例えば、IL-6、IL-10、IL-15、IL-17、及びIL-18)、並びにTNF-α)、TGF-β、B細胞活性化因子(BAFF)のレベルの変化(例えば、増加)、IFN誘導性遺伝子(例えば、I型IFN誘導性遺伝子)の過剰発現が挙げられる。炎症性筋疾患の他の生物学的付随現象としては、例えば、赤血球沈降速度(ESR)の上昇及び/又はクレアチンキナーゼのレベルの上昇を挙げることができる。炎症性筋疾患のさらなる生物学的付随現象としては、自己抗体、例えば、抗合成酵素自己抗体(例えば、抗Jo1抗体)、抗シグナル認識粒子抗体(抗SRP)、抗Mi-2抗体、抗p155抗体、抗PM/Sci抗体、及び抗RNP抗体を挙げることができる。
炎症性筋疾患は、急性炎症性筋疾患又は慢性炎症性筋疾患であることができる。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、慢性炎症性筋疾患(例えば、皮膚筋炎、多発性筋炎、又は封入体筋炎)である。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、アレルギー反応、別の疾患(例えば、癌又は結合組織疾患)、毒物、薬物、又は感染性因子(例えば、ウイルス)への暴露によって引き起こされる。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、狼瘡、関節リウマチ、又は全身性硬化症と関連する。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、特発性である。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、及び免疫媒介性壊死性筋疾患から選択される。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患は、皮膚筋炎である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、皮膚疾患(例えば、皮膚炎)を治療、予防、及び/又は管理する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、皮膚疾患(例えば、痒み及び/又は炎症)と関連する症状を軽減することができる。いくつかのそのような実施態様において、本明細書に提供される化合物は、局所的に(例えば、局所クリーム剤、点眼薬、点鼻薬、又は鼻スプレー剤として)投与される。いくつかのそのような実施態様において、化合物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、他のPI3Kアイソフォームの阻害よりも大きいPI3Kデルタの阻害を示すPI3K阻害剤)である。いくつかの実施態様において、PI3Kデルタ阻害剤は、肥満細胞の脱顆粒を予防する。
本明細書で使用されるように、「皮膚疾患」は、皮膚の任意の炎症性疾患(例えば、湿疹又は皮膚炎、例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、鬱滞性皮膚炎、口囲皮膚炎)、及び随伴症状(例えば、皮膚発疹、痒み(掻痒症(pruritis))、腫脹(浮腫)、枯草熱、アナフィラキシー(anaphalaxis))を含む。多くの場合、そのような皮膚疾患は、アレルゲンによって引き起こされる。本明細書で使用されるように、「皮膚疾患」には、例えば、皮膚発疹(例えば、アレルギー性発疹、例えば、アレルゲン、例えば、ツタウルシ、有毒オーク、もしくはドクウルシへの暴露によって生じる発疹、又は他の疾患もしくは疾病によって引き起こされる発疹)、虫刺され、軽い火傷、日焼け、浅い切り傷、及び擦り傷も含まれる。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患と関連する症状、又は皮膚疾患もしくは皮膚疾患と関連する症状は、皮膚発疹によって引き起こされる皮膚発疹又は痒み(掻痒症(pruritis))である。
皮膚疾患(例えば、皮膚発疹)は、自然発症性であり得、或いはそれは、例えば、アレルゲン(例えば、ツタウルシ、有毒オーク、もしくはドクウルシ)への暴露、薬物、食物、虫刺され、吸入抗原、情動ストレス、暑さへの暴露、寒さへの暴露、又は運動によって誘導され得る。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、皮膚発疹(例えば、掻痒性発疹、例えば、蕁麻疹(utricaria))である。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、虫刺されである。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、別の疾患(例えば、炎症性筋疾患、例えば、皮膚筋炎)と関連する。
いくつかの実施態様において、対象(例えば、炎症性筋疾患及び/又は皮膚疾患の治療を必要としている対象)は、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、IL-1、又はこれらの組合せのレベルの上昇又は活性の上昇を示す。ある実施態様において、対象は、IFN-αのレベルの上昇を示す。いくつかの実施態様において、炎症性筋疾患、又は皮膚疾患を治療すること(例えば、減少させること又は阻害すること)は、対象中又は対象に由来する試料中のIFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のうちの1つ又は複数を阻害すること(例えば、そのレベルを減少させること、又はその生物学的活性を減少させること)を含む。いくつかの実施態様において、該方法は、対象中又は対象に由来する試料中のIFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のレベルを減少させる。いくつかの実施態様において、該方法は、対象中又は対象に由来する試料中のIFN-αのレベルを減少させる。いくつかの実施態様において、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のレベルは、全血又はPBMCの試料中で評価されるレベルである。いくつかの実施態様において、IFN-α、TNF-α、IL-6、IL-8、又はIL-1のレベルは、皮膚生検又は筋生検によって得られる試料中で評価されるレベルである。いくつかの実施態様において、該試料は、皮膚生検によって得られる。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、筋炎を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「筋炎」は、全ての種類及び症状の筋炎を包含する。例としては、骨化性筋炎、線維筋炎、特発性炎症性筋疾患、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、多発性筋炎、封入体筋炎、及び化膿性筋炎が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、該疾患又は障害は、皮膚筋炎である。また、本明細書に提供されるのは、筋炎と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては:筋力低下;腕を挙げる時の困難;嚥下又は呼吸時の困難;筋肉痛;筋圧痛;疲労;発熱;肺の問題;消化管潰瘍;腸穿孔;皮下の石灰沈着;ひりひりする痛み;関節炎;体重減少;及び発疹が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、狼瘡を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「狼瘡」は、全ての種類及び症状の狼瘡を指す。例としては、全身性エリテマトーデス;ループス腎炎;皮膚症状(例えば、皮膚エリテマトーデスで見られる症状、例えば、皮膚病変又は皮膚発疹);CNS狼瘡;心血管症状、肺症状、肝症状、血液学的症状、消化管症状、及び筋骨格症状;新生児エリテマトーデス;小児全身性エリテマトーデス;薬物誘導性エリテマトーデス;抗リン脂質症候群;及び狼瘡症状をもたらす補体欠損症候群が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、狼瘡は、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス(CLE)、薬物誘導性狼瘡、又は新生児狼瘡である。別の実施態様において、狼瘡は、CLE、例えば、急性皮膚エリテマトーデス(ACLE)、亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE)、間欠性皮膚エリテマトーデス(腫脹性エリテマトーデス(lupus erythematosus tumidus)(LET)としても知られる)、又は慢性皮膚狼瘡である。いくつかの実施態様において、間欠性CLEは、慢性円板状(discloid)エリテマトーデス(CDLE)又は深在性エリテマトーデス(LEP)(エリテマトーデス性脂肪織炎としても知られる)である。CLEの種類、症状、及び発症機序は、例えば、Wenzelらの文献(2010)、狼瘡、19、1020-1028に記載されている。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、シェーグレン症候群を治療、予防、及び/又は管理する方法である。本明細書で使用されるように、「シェーグレン症候群」は、全ての種類及び症状のシェーグレン症候群を指す。例としては、原発性及び続発性シェーグレン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に提供されるのは、シェーグレン症候群と関連する1以上の症状を治療、予防、及び/又は管理する方法である。該症状の例としては:ドライアイ;ドライマウス;関節痛;腫脹;こわばり;腫脹した唾液腺;皮膚発疹;ドライスキン;膣の乾燥;持続性乾性咳嗽;及び持続性疲労が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される疾患又は障害と関連する症状は、対照レベルと比べて、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%軽減される。対照レベルには、当技術分野で公知の任意の適切な対照が含まれる。例えば、対照レベルは、治療される試料もしくは対象中の治療前レベルであることができ、或いはそれは、対照集団内のレベル(例えば、該疾患もしくは障害を有さない対象中のレベル、又は該疾患もしくは障害を有さない対象に由来する試料中のレベル)であることができる。いくつかの実施態様において、減少は、例えば、適切なパラメトリック又はノンパラメトリック統計比較を用いて評価したとき、統計的に有意である。
(組合せ療法)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、他の経路、又は同じ経路の他の構成要素、又はさらには重複する標的酵素の組を調節することが知られている薬剤を、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)と組み合わせて使用する組合せ療法のための方法である。一態様において、そのような療法は、相乗的又は相加的治療効果を提供するために、対象化合物と、化学療法剤、治療用抗体、及び放射線治療との組合せを含むが、これらに限定されない。
一態様において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、IgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与したとき、相乗的又は相加的効力を示すことができる。そのような組合せは、そのような効果が生じる場合、1以上のPI3Kδ阻害剤の使用と関連する高レベルのIgEの望ましくない効果を軽減することができる。これは、特に、関節リウマチなどの自己免疫性及び炎症性障害(AIID)の治療において有用であり得る。さらに、mTORの阻害剤と組み合わせた本明細書に提供されるPI3Kδ又はPI3Kδ/γ阻害剤の投与は、PI3K経路の阻害の増強を介する相乗効果を示すこともできる。
別々の、しかし、関連する態様において、本明細書に提供されるのは、PI3Kδ阻害剤、及びIgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤を投与することを含む、PI3Kδと関連する疾患の組合せ治療である。他の例示的なPI3Kδ阻害剤がこの組合せに適用可能であり、それらは、例えば、米国特許第6,800,620号に記載されている。そのような組合せ治療は、限定されないが、関節リウマチを含む自己免疫性及び炎症性疾患(AIID)を治療するのに特に有用である。
IgE産生を阻害する薬剤は当技術分野で公知であり、それらには、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。IgE活性を阻害する薬剤としては、例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ及びTNX-901などが挙げられる。
自己免疫疾患のために、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、限定されないが、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、Humira(登録商標)、Avonex(登録商標)、及びRebif(登録商標)を含む一般処方薬と組み合わせて使用することができる。呼吸器疾患の治療のために、対象化合物又は医薬組成物を、限定されないが、Xolair(登録商標)、Advair(登録商標)、Singulair(登録商標)、及びSpiriva(登録商標)を含む一般処方薬と組み合わせて投与することができる。
本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、炎症性状態、例えば、脳脊髄炎、喘息、及び本明細書に記載の他の疾患の症状を緩和するように作用する他の薬剤とともに製剤化又は投与することができる。これらの薬剤としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アセチルサリチル酸;イブプロフェン;ナプロキセン;インドメタシン;ナブメトン;トルメチン;などが挙げられる。コルチコステロイドは、炎症を軽減し、免疫系の活性を抑制するために使用される。このタイプの例示的な薬物は、プレドニゾンである。クロロキン(Aralen)又はヒドロキシクロロキン(Plaquenil)を、狼瘡を有する一部の個体で使用することもできる。それらは、狼瘡の皮膚及び関節症状に対して処方することができる。アザチオプリン(Imuran)及びシクロホスファミド(Cytoxan)は、炎症を抑制し、かつ免疫系を抑制する傾向がある。他の薬剤、例えば、メトトレキセート及びシクロスポリンは、狼瘡の症状を制御するために使用される。抗凝固剤は、血液が急速に凝固するのを防ぐために利用される。それらは、血小板が付着するのを防ぐ非常に低用量のアスピリンから、ヘパリン/クマジンまで様々なものがある。狼瘡の治療で使用される他の化合物としては、ベリムマブ(Benlysta(登録商標))が挙げられる。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における異常な細胞成長を阻害する医薬組成物であって、ある量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を、ある量の抗癌剤(例えば、化学療法剤)と組み合わせて含む、医薬組成物である。現在、多くの化学療法薬が当技術分野で公知であり、本明細書に提供される化合物と組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様において、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、インターカレーティング抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン薬、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン薬から選択される。非限定的な例は、化学療法剤、細胞傷害剤、及び非ペプチド小分子、例えば、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)、及びアドリアマイシン、並びに多くの化学療法剤である。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスファオルアミド(triethylenethiophosphaoramide)、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン;BTK阻害剤、例えば、イブルチニブ(PCI-32765)及びAVL-292;HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタット、モセチノスタット、アブレキノスタット、エンチノスタット、SB939、レスミノスタット、ギビノスタット、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、及びケベトリン;JAK/STAT阻害剤、例えば、レストールチニブ、トファシチニブ、ルクソリチニブ、パクリチニブ、CYT387、バリシチニブ、ホスタマチニブ、GLPG0636、TG101348、INCB16562、及びAZD1480;ナイトロジェンマスタード、例えば、ベダムスチン(bedamustine)、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プララトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬(anti-adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補給物質、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.R(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE(商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France)及びABRAXANE(登録商標)(パクリタキセルタンパク質結合粒子);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のいずれかの医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)が挙げられる。同じく好適な化学療法用の細胞調整剤として挙げられるのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン薬;並びに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。望ましい場合、本明細書に提供される化合物及び医薬組成物は、一般に処方される抗癌薬、例えば、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラディン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナファイド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗新生物薬、抗腫瘍性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシイミン、CBV(化学療法)、カリクリン、クリゾチニブ、細胞周期非特異的抗新生物剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモリド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントン、ラルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポーポー、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126、及びゾスキダルと組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、限定されないが、IPI-926(米国特許第7,812,164号参照)を含む、ヘッジホッグ阻害剤から選択される。他の好適なヘッジホッグ阻害剤としては、例えば、その開示全体が、引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,230,004号、米国特許出願公開第2008/0293754号、米国特許出願公開第2008/0287420号、及び米国特許出願公開第2008/0293755号に記載及び提供されているものが挙げられる。他の好適なヘッジホッグ阻害剤の例としては、米国特許出願公開US 2002/0006931号、US 2007/0021493号、及びUS 2007/0060546号、並びに国際出願公開WO 2001/19800号、WO 2001/26644号、WO 2001/27135号、WO 2001/49279号、WO 2001/74344号、WO 2003/011219号、WO 2003/088970号、WO 2004/020599号、WO 2005/013800号、WO 2005/033288号、WO 2005/032343号、WO 2005/042700号、WO 2006/028958号、WO 2006/050351号、WO 2006/078283号、WO 2007/054623号、WO 2007/059157号、WO 2007/120827号、WO 2007/131201号、WO 2008/070357号、WO 2008/110611号、WO 2008/112913号、及びWO 2008/131354号に記載されているものが挙げられる。ヘッジホッグ阻害剤のさらなる例としては、例えば、Von Hoff Dらの文献、N. Engl. J. Med. 2009; 361(12): 1164-72; Robarge K.Dらの文献、Bioorg Med Chem Lett. 2009; 19(19):5576-81; Yauch, R. L.らの文献(2009) Science 326: 572-574; Sciencexpress: 1-3(10.1126/science.1179386); Rudin, C.らの文献(2009) New England J of Medicine 361-366(10.1056/nejma0902903)に記載されているGDC-0449(RG3616又はビスモデギブとしても知られる);例えば、Siu Lらの文献、J. Clin. Oncol. 2010; 28: 15s(補遺;要旨2501);及び米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT006701891号に記載されているBMS-833923(XL139としても知られる);例えば、Pan S.らの文献、ACS Med. Chem. Lett, 2010; 1(3): 130-134に記載されているLDE-225;例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT01106508号に記載されているLEQ-506;例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT00953758号に記載されているPF-04449913;米国特許出願公開第2010/0286114号に提供されているヘッジホッグ経路アンタゴニスト;例えば、米国特許出願公開第2010/0093625号に記載されているSMOi2-17;例えば、Rominger C.M.らの文献、J. Pharmacol. Exp. Ther. 2009; 329(3):995-1005に記載されているSANT-1及びSANT-2;Lucas B.S.らの文献、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2010; 20(12):3618-22に記載されている1-ピペラジニル-4-アリールフタラジン又はその類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
他の化学療法剤としては、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、及びメゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴスクルクリン(goscrclin)及びロイプロリド)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド及びビカルタミド)、光線力学療法(例えば、ベルトポルフィン(vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、及びデメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA))、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、及びメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセル又はパクリタキセル同等物、例えば、ナノ粒子アルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、Taxoprexin)、ポリグルタメート結合型パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP) ANG1005(パクリタキセル3分子に結合したアンジオペップ-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル)、及びグルコースコンジュゲート型パクリタキセル、例えば、2'-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシネート;ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、イリノテカン、クリスナトール、マイトマイシンC)、代謝拮抗薬、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキセート、ジクロロメトトレキセート、トリメトレキセート、エダトレキセート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、及びEICAR)、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素及びデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU))、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド、テガフール-ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(araC)、シトシンアラビノシド、及びフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB 1089、CB 1093、及びKH 1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作用性神経毒(例えば、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ ATPアーゼ阻害剤(例えば、タプシガルジン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アクシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOKTM)、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、及び/又はXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade))、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダホロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)、及びOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルビジン(procarbizine)、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンパテシン(campathecin)、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモライド、カルミノマイシン、アミノプテリン、及びヘキサメチルメラミンが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な生体治療剤としては、インターフェロン、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、インターフェロンγ)、ワクチン、造血系成長因子、モノクローナル血清療法、免疫賦活剤、及び/又は免疫調節剤(例えば、IL-1、2、4、6、又は12)、免疫細胞成長因子(例えば、GM-CSF)、並びに抗体(例えば、Herceptin(トラスツズマブ)、T-DM1、AVASTIN(ベバシズマブ)、ERBITUX(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Rituxan(リツキシマブ)、Bexxar(トシツモマブ))が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、いくつかの実施態様において、化学療法薬は、HSP90阻害剤から選択される。HSP90阻害剤は、ゲルダナマイシン誘導体、例えば、ベンゾキノン又はハイグロキノン(hygroquinone)アンサマイシンHSP90阻害剤(例えば、IPI-493及び/又はIPI-504)であることができる。HSP90阻害剤の非限定的な例としては、IPI-493、IPI-504、17-AAG(タネスピマイシンもしくはCNF-1010としても知られる)、BIIB-021(CNF-2024)、BIIB-028、AUY-922(VER-49009としても知られる)、SNX-5422、STA-9090、AT-13387、XL-888、MPC-3100、CU-0305、17-DMAG、CNF-1010、マクベシン(例えば、マクベシンI、マクベシンII)、CCT-018159、CCT-129397、PU-H71、又はPF-04928473(SNX-2112)が挙げられる。
いくつかの実施態様において、化学療法薬は、PI3K阻害剤(例えば、本明細書に提供されるPI3K阻害剤及び本明細書に提供されないPI3K阻害剤を含む)から選択される。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのデルタ及びガンマアイソフォームの阻害剤である。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kのアルファアイソフォームの阻害剤である。他の実施態様において、PI3K阻害剤は、PI3Kの1以上のアルファ、ベータ、デルタ、及びガンマアイソフォームの阻害剤である。組み合わせて使用することができる例示的なPI3K阻害剤は、例えば、WO 09/088990号、WO 09/088086号、WO 2011/008302号、WO 2010/036380号、WO 2010/006086号、WO 09/114870号、WO 05/113556号;US 2009/0312310号、及びUS 2011/0046165号に記載されている。医薬組成物と組み合わせて使用することができるさらなるPI3K阻害剤としては、AMG-319、GSK 2126458、GDC-0980、GDC-0941、Sanofi XL147、XL499、XL756、XL147、PF-46915032、BKM 120、CAL-101(GS-1101)、CAL 263、SF1126、PX-886、及び二重PI3K阻害剤(例えば、Novartis BEZ235)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、PI3K阻害剤は、イソキノリノンである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における異常な細胞成長の阻害又は過剰増殖性障害の治療において、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物を放射線療法と組み合わせて使用する方法である。放射線療法を施すための技術は当技術分野で公知であり、これらの技術を本明細書に記載の組合せ療法で使用することができる。この組合せ療法での本明細書に提供される化合物の投与は、本明細書に記載の通りに決定することができる。
放射線療法は、限定されないが、体外照射療法、体内照射療法、組織内照射療法、定位的放射線治療、全身放射線療法、放射線療法、及び恒久的又は一時的な組織内近接照射療法を含む、いくつかの方法のうちの1つ、又は方法の組合せによって施すことができる。本明細書で使用される用語「近接照射療法」は、腫瘍又は他の増殖性組織疾患部位又はその近くで体内に挿入された、空間的に閉じ込められた放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm-153、Bi-212、P-32、及びLuの放射性同位体)への暴露を含むことが意図される。本明細書に提供される細胞調整剤としての使用のための好適な放射線源は、固体と液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、放射性核種、例えば、固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192、固体源としてのI-125、又は光子、ベータ粒子、ガンマ放射線、もしくは他の治療用放射線を放出する他の放射性核種であることができる。放射性物質は、放射性核種(複数可)の任意の溶液、例えば、I-125又はI-131の溶液から作製される流体であることもできるし、又は放射性流体は、Au-198、Y-90などの固体放射性核種の小粒子を含む好適な流体のスラリーを用いて生成させることができる。さらに、放射性核種(複数可)は、ゲル又は放射性ミクロスフェアに包埋することができる。
任意の理論によって制限されるものではないが、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、異常細胞を、そのような細胞を死滅させる、及び/又はその成長を阻害する目的での放射線による治療に対してより敏感にすることができる。したがって、本発明で提供されるのは、対象における異常細胞を、放射線による治療に対して敏感にする方法であって、該対象に、ある量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)を投与することを含む、方法であり、この量は、異常細胞を放射線による治療に対して敏感にするのに有効である。この方法で使用される化合物の量は、本明細書に記載のそのような化合物の有効量を確認するための手段によって決定することができる。
本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤、解糖阻害剤、又はオートファジー阻害剤から選択される、ある量の1以上の物質と組み合わせて使用することができる。
抗血管新生剤、例えば、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤、及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤を、本明細書に提供される化合物及び本明細書に記載の医薬組成物とともに使用することができる。抗血管新生剤としては、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ、及びベバシズマブが挙げられる。有用なCOX-II阻害剤の例としては、CELEBREX(商標)(アレコキシブ(alecoxib))、バルデコキシブ、及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、WO 96/33172号(1996年10月24日公開)、WO 96/27583号(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2号(1999年10月29日出願)、WO 98/07697号(1998年2月26日公開)、WO 98/03516号(1998年1月29日公開)、WO 98/34918号(1998年8月13日公開)、WO 98/34915号(1998年8月13日公開)、WO 98/33768号(1998年8月6日公開)、WO 98/30566号(1998年7月16日公開)、欧州特許公開第606,046号(1994年7月13日公開)、欧州特許公開第931,788号(1999年7月28日公開)、WO 90/05719号(1990年5月31日公開)、WO 99/52910号(1999年10月21日公開)、WO 99/52889号(1999年10月21日公開)、WO 99/29667号(1999年6月17日公開)、PCT国際出願PCT/IB98/01113号(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1号(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号(1999年6月3日出願)、米国仮出願第60/148,464号(1999年8月12日出願)、米国特許第5,863,949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号(1999年1月19日発行)、及び欧州特許公開第780,386号(1997年6月25日公開)に記載されており、これらは全て、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、MMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性がほとんど又は全くないものである。他の実施態様としては、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、及びMMP-13)と比べてMMP-2及び/もしくはAMP-9を選択的に阻害するものが挙げられる。MMP阻害剤のいくつかの非限定的な例は、AG-3340、RO 32-3555、及びRS 13-0830である。
オートファジー阻害剤としては、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、タイプ2A又はタイプ1のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制性藻類毒素、cAMPの類似体、及びcAMPレベルを上昇させる薬物、例えば、アデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド、並びにビンブラスチンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、限定されないが、ATG5(これは、オートファジーに関係があるとされる)を含むタンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAを使用することもできる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における心血管疾患を治療する方法、及び/又は該疾患を治療するための医薬組成物であって、ある量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、並びに心血管疾患の治療に使用されるある量の1以上の治療剤を含む、方法及び医薬組成物である。
心血管疾患用途で使用するための例示的な薬剤は、抗血栓剤、例えば、プロスタサイクリン及びサリチレート、血栓溶解剤、例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、及びアニソイル化プラスミノーゲン-ストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)、抗血小板剤、例えば、アセチルサリチル酸(ASA)及びクロピドロゲル(clopidrogel)、血管拡張剤、例えば、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断薬、抗増殖剤、例えば、コルヒチン及びアルキル化剤、インターカレート剤、成長調節因子、例えば、インターロイキン、形質転換成長因子β、及び血小板由来成長因子の同類物、成長因子に対するモノクローナル抗体、ステロイド性と非ステロイド性の両方の抗炎症剤、並びに血管の緊張、機能、動脈硬化、及び介入後の血管又は器官損傷に対する治癒応答を調節することができる他の薬剤である。抗生物質を組合せで又はコーティングに含めることもできる。さらに、コーティングを用いて、血管壁内に局所的に治療的送達をもたらすことができる。膨潤性ポリマーへの活性剤の組込みにより、該活性剤は、ポリマーの膨潤時に放出される。
本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物は、滑沢剤としても知られる液体又は固体の組織バリアとともに製剤化又は投与することができる。組織バリアの例としては、多糖類、ポリグリカン、セプラフィルム、インターシード、及びヒアルロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)とともに投与することができる薬剤としては、吸入によって有用に送達される任意の好適な薬物、例えば、鎮痛薬、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、又はモルヒネ;狭心症製剤、例えば、ジルチアゼム;抗アレルギー薬、例えば、クロモグリケート、ケトチフェン、又はネドクロミル;抗感染症薬、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、又はペンタミジン;抗ヒスタミン薬、例えば、メタピリレン;抗炎症薬、例えば、ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、チプレダン、トリアムシノロンアセトニド、又はフルチカゾン;鎮咳薬、例えば、ノスカピン;気管支拡張薬、例えば、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、又は(-)-4-アミノ-3,5-ジクロロ-α-[[[6-[2-(2-ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]-アミノ]メチル]ベンゼンメタノール;利尿薬、例えば、アミロライド;抗コリン薬、例えば、イプラトロピウム、アトロピン、又はオキシトロピウム;ホルモン薬、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロン;キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネート、又はテオフィリン;並びに治療用タンパク質及びペプチド、例えば、インスリン又はグルカゴンが挙げられる。必要に応じて、薬剤を、塩の形態で(例えば、アルカリ金属もしくはアミン塩として、又は酸付加塩として)、或いはエステル(例えば、低級アルキルエステル)としてとして用いて、薬剤の活性及び/又は安定性を最適化することができることが当業者に明らかであろう。
組合せ療法に有用な他の例示的な治療剤としては、上記の薬剤、放射線療法、ホルモンアンタゴニスト、ホルモン及びその放出因子、甲状腺及び抗甲状腺薬、エストロゲン及びプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質刺激ホルモン;副腎皮質ステロイド及びその合成類似体;副腎皮質ホルモンの合成及び作用の阻害剤、インスリン、経口血糖降下剤、及び内分泌膵臓の薬理、石灰化及び骨代謝回転に影響を及ぼす薬剤:カルシウム、リン酸塩、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニン、ビタミン、例えば、水溶性ビタミン、ビタミンB群、アスコルビン酸、脂溶性ビタミン、ビタミンA、K、及びE、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、ムスカリン受容体アゴニスト及びアンタゴニスト;抗コリンエステラーゼ剤;神経筋接合部及び/又は自律神経節で作用する薬剤;カテコールアミン、交感神経興奮様薬、及びアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はアンタゴニスト;並びに5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT、セロトニン)受容体アゴニスト及びアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。
治療剤としては、疼痛及び炎症用の薬剤、例えば、ヒスタミン及びヒスタミンアンタゴニスト、ブラジキニン及びブラジキニンアンタゴニスト、5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)、膜リン脂質の選択的加水分解産物の生体内変換によって生成される脂質物質、エイコサノイド、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、鎮痛解熱剤、プロスタグランジン及びトロンボキサンの合成を阻害する薬剤、誘導型シクロオキシゲナーゼの選択的阻害剤、誘導型シクロオキシゲナーゼ2の選択的阻害剤、オータコイド、傍分泌ホルモン、ソマトスタチン、ガストリン、体液性及び細胞性免疫応答に関与する相互作用を媒介するサイトカイン、脂質由来オータコイド、エイコサノイド、β-アドレナリン作動性アゴニスト、イプラトロピウム、グルココルチコイド、メチルキサンチン、ナトリウムチャネル遮断薬、オピオイド受容体アゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、膜安定化剤、及びロイコトリエン阻害剤を挙げることもできる。
本明細書で企図されるさらなる治療剤としては、利尿薬、バソプレッシン、腎臓の水保持に影響を及ぼす薬剤、レンニン、アンジオテンシン、心筋虚血の治療で有用な薬剤、降圧剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、高コレステロール血症の治療用の薬剤、及び脂質異常症の治療用の薬剤が挙げられる。
本明細書で企図される他の治療剤としては、胃液酸性度の制御に使用される薬物、消化性潰瘍の治療用の薬剤、胃食道逆流症の治療用の薬剤、運動促進剤、制吐剤、過敏性腸症候群で使用される薬剤、下痢に使用される薬剤、便秘に使用される薬剤、炎症性腸疾患に使用される薬剤、胆道疾患に使用される薬剤、膵疾患に使用される薬剤が挙げられる。治療剤としては、原虫感染症を治療するために使用されるもの、マラリア、アメーバ症、ジアルジア症、トリコモナス症、トリパノソーマ症、及び/もしくはリーシュマニア症を治療するために使用される薬物、並びに/又は蠕虫症の化学療法で使用される薬物が挙げられるが、これらに限定されない。他の治療剤としては、抗菌剤、スルホンアミド、トリメトプリム-スルファメトキサゾールキノロン、及び尿路感染症用の薬剤、ペニシリン、セファロスポリン、及び他のβ-ラクタム系抗生物質、アミノグリコシドを含む薬剤、タンパク質合成阻害剤、結核、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)複合体疾患、及びハンセン病の化学療法で使用される薬物、抗真菌剤、非レトロウイルス剤及び抗レトロウイルス剤を含む抗ウイルス剤が挙げられるが、これらに限定されない。
対象化合物と組み合わせることができる治療用抗体の例としては、抗受容体チロシンキナーゼ抗体(セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ)、抗CD20抗体(リツキシマブ、トシツモマブ)、並びに他の抗体、例えば、アレムツズマブ、ベバシズマブ、及びゲムツズマブが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、免疫調節に使用される治療剤、例えば、免疫調節物質、免疫抑制剤、寛容原、及び免疫賦活剤が、本明細書における方法によって企図される。さらに、血液及び造血器官に作用する治療剤、造血剤、成長因子、ミネラル、及びビタミン、抗凝固剤、血栓溶解剤、並びに抗血小板薬。
腎臓癌を治療するために、本明細書に提供される化合物、もしくはその医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)、又は本明細書に提供される医薬組成物をソラフェニブ及び/又はアバスチンと組み合わせることができる。子宮内膜障害を治療するために、本明細書に提供される化合物をドキソルビシン、タキソテール(タキソール)、及び/又はシスプラチン(カルボプラチン)と組み合わせることができる。卵巣癌を治療するために、本明細書に提供される化合物を、シスプラチン(カルボプラチン)、タキソテール、ドキソルビシン、トポテカン、及び/又はタモキシフェンと組み合わせることができる。乳癌を治療するために、本明細書に提供される化合物をタキソテール(タキソール)、ゲムシタビン(カペシタビン)、タモキシフェン、レトロゾール、タルセバ、ラパチニブ、PD0325901、アバスチン、ハーセプチン、OSI-906、及び/又はOSI-930と組み合わせることができる。肺癌を治療するために、本明細書に提供される化合物をタキソテール(タキソール)、ゲムシタビン、シスプラチン、ペメトレキセド、タルセバ、PD0325901、及び/又はアバスチンと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、治療、予防、及び/又は管理すべき障害は、血液癌、例えば、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫;NHL)、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、及び白血病(例えば、CLL)であり、本明細書に提供される化合物は:HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット及びロミデプシン;mTOR阻害剤、例えば、エベロルムス(everolmus);抗葉酸剤、例えば、プララトレキセート;ナイトロジェンマスタード、例えば、ベンダムスチン;任意にオキサリプラチンとさらに組み合わせたゲムシタビン;リツキシマブとシクロホスファミドの組合せ;PI3K阻害剤、例えば、GS-1101、XL 499、GDC-0941、及びAMG-319;又はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ及びAVL-292と組み合わせて使用される。
炎症(例えば、関節炎、喘息)を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:PI3K阻害剤、例えば、GS-1101、XL 499、GDC-0941、及びAMG-319;BTK阻害剤、例えば、イブルチニブ及びAVL-292;JAK阻害剤、例えば、トファシチニブ、ホスタマチニブ、及びGLPG0636と組み合わせることができる。
喘息を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:β2-アゴニスト、例えば、限定されないが、アルブテロール(Proventil(登録商標)、又はVentolin(登録商標))、サルメテロール(Serevent(登録商標))、フォルモテロール(Foradil(登録商標))、メタプロテレノール(Alupent(登録商標))、ピルブテロール(MaxAir(登録商標))、及び硫酸テルブタリン;コルチコステロイド、例えば、限定されないが、ブデソニド(例えば、Pulmicort(登録商標))、フルニソリド(例えば、AeroBid Oral Aerosol Inhaler(登録商標)又はNasalide Nasal Aerosol(登録商標))、フルチカゾン(例えば、Flonase(登録商標)又はFlovent(登録商標))、及びトリアムシノロン(例えば、Azmacort(登録商標));肥満細胞安定化剤、例えば、クロモグリク酸ナトリウム(例えば、Intal(登録商標)又はNasalcrom(登録商標))及びネドクロミル(例えば、Tilade(登録商標));キサンチン誘導体、例えば、限定されないが、テオフィリン(例えば、Aminophyllin(登録商標)、Theo-24(登録商標)、又はTheolair(登録商標));ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えば、限定されないが、ザフィルルカスト(Accolate(登録商標))、モンテルカスト(Singulair(登録商標))、及びジレウトン(Zyflo(登録商標));並びにアドレナリン作動薬、例えば、限定されないが、エピネフリン(Adrenalin(登録商標)、Bronitin(登録商標)、EpiPen(登録商標)、又はPrimatene Mist(登録商標))と組み合わせることができる。
関節炎を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、:TNFアンタゴニスト(例えば、TNF抗体もしくは断片、可溶性TNF受容体もしくは断片、その融合タンパク質、又は小分子TNFアンタゴニスト);抗リウマチ薬(例えば、メトトレキセート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、チオリンゴ酸金ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン(sulfasalzine));筋弛緩剤;睡眠薬;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);鎮痛薬;麻酔薬;鎮静薬;局所麻酔薬;神経筋遮断薬;抗微生物薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗微生物薬);抗乾癬薬;コルチコステロイド;アナボリックステロイド;サイトカイン又はサイトカインアンタゴニストと組み合わせることができる。
乾癬を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:ブデソニド、上皮成長因子、コルチコステロイド、シクロスポリン、スルファサラジン、アミノサリチレート、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、メトロニダゾール、リポキシゲナーゼ阻害剤、メサラミン、オルサラジン、バルサラジド、抗酸化剤、トロンボキサン阻害剤、IL-1受容体アンタゴニスト、抗IL-1βモノクローナル抗体、抗IL-6モノクローナル抗体、成長因子、エラスターゼ阻害剤、ピリジニル-イミダゾール化合物、TNF、LT、IL-1、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-15、IL-16、IL-18、EMAP-II、GM-CSF、FGF、及びPDGFの抗体又はアゴニスト、CD2、CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD30、CD40、CD45、CD69、CD90、又はこれらのリガンドの抗体、メトトレキセート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、NSAID、イブプロフェン、コルチコステロイド、プレドニゾロン、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アデノシンアゴニスト、抗血栓剤、補体阻害剤、アドレナリン作動薬、IRAK、NIK、IKK、p38、MAPキナーゼ阻害剤、IL-1β変換酵素阻害剤、TNFα変換酵素阻害剤、T細胞シグナル伝達阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体、可溶性p55 TNF受容体、可溶性p75 TNF受容体、sIL-1RI、sIL-1RII、sIL-6R、抗炎症性サイトカイン、IL-4、IL-10、IL-11、IL-13、並びにTGFβと組み合わせることができる。
骨髄の線維症又は線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、Jak2阻害剤(限定されないが、INCB018424、XL019、TG101348、又はTG101209を含む)、免疫調節物質、例えば、IMID(登録商標)(限定されないが、サリドマイド、レナリドマイド、又はパノリノマイド(panolinomide)を含む)、ヒドロキシ尿素、アンドロゲン、赤血球生成刺激剤、プレドニソン、ダナゾール、HDAC阻害剤、或いは他の薬剤又は治療モダリティ(例えば、幹細胞移植、もしくは放射線)と組み合わせることができる。
心臓の線維症又は線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、エプレレノン、フロセミド、ピクノジェノール、スピロノラクトン、TcNC100692、トラセミド(例えば、トラセミドの持続放出形態)、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
腎臓の線維症又は線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、シクロスポリン、シクロスポリンA、ダクリズマブ、エベロリムス、ガドホベセット三ナトリウム(gadofoveset trisodium)(ABLAVAR(登録商標))、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、メシル酸マチニブ(matinib mesylate)、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニソン、シロリムス、スピロノラクトン、STX-100、タモキシフェン、TheraCLEC(商標)、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
皮膚の線維症又は線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、ボセンタン(Tracleer)、p144、ペントキシフィリン;ピルフェニドン;プラバスタチン、STI571、ビタミンE、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
消化器系の線維症又は線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、ALTU-135、ブセリパーゼα(INN)、DCI1020、EUR-1008(ZENPEP(商標))、イブプロフェン、Lym-X-Sorb粉末、パンクレアーゼMT、パンクレリパーゼ(例えば、遅延放出性パンクレリパーゼ)、ペンタデカン酸(pentade canoic acid)(PA)、レパグリニド、TheraCLEC(商標)、トリヘプタデカノイン(THA)、ULTRASE MT20、ウルソジオール、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
肺の線維症又は線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、18-FDG、AB0024、ACT-064992(マシテンタン)、エアロゾルインターフェロン-γ、エアロゾル化ヒト血漿由来α-1アンチトリプシン、α1-プロテイナーゼ阻害剤、アンブリセンタン、アミカシン、アミロライド、アミトリプチリン、抗シュードモナスIgYガーグル、ARIKACE(商標)、AUREXIS(登録商標)(テフィバズマブ)、AZAPRED、アザチオプリン、アジスロマイシン、アジスロマイシン、AZLI、アズトレオナムリジン、BIBF1120、Bio-25プロバイオティック、ボセンタン、Bramitob(登録商標)、カルファクタントエアロゾル、カプトプリル、CC-930、セフタジジム、セフタジジム、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シプロフロキサシン(CIPRO(登録商標)、BAYQ3939)、CNTO 888、コリスチンCF、血漿交換(PEX)とリツキシマブとコルチコステロイドの組合せ、シクロホスファミド、ダプソン、ダサチニブ、デヌホソル四ナトリウム(INS37217)、ドルナーゼアルファ(PULMOZYME(登録商標))、EPI-hNE4、エリスロマイシン、エタネルセプト、FG-3019、フルチカゾン、FTI、GC1008、GS-9411、高張食塩水、イブプロフェン、イロプロスト吸入、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、吸入型重炭酸ナトリウム、吸入型ピルビン酸ナトリウム、インターフェロンγ-1b、インターフェロン-αロゼンジ、等張食塩水、IW001、KB001、ロサルタン、ルシナクタント、マンニトール、メロペネム、メロペネム点滴液、ミグルスタット、ミノサイクリン、Moli1901、MP-376(吸入用レボフロキサシン溶液)、ムコイド型菌体外多糖緑膿菌(P. aeruginosa)免疫グロブリンIV、ミコフェノール酸モフェチル、n-アセチルシステイン、N-アセチルシステイン(NAC)、6%NaCl、吸入用酸化窒素、オブラマイシン、オクトレオチド、オリゴG CF-5/20、オマリズマブ、ピオグリタゾン、ピペラシリン-タゾバクタム、ピルフェニドン、ポマリドマイド(CC-4047)、プレドニソン、プレバスタチン、PRM-151、QAX576、rhDNAse、SB656933、SB-656933-AAA、シルデナフィル、タモキシフェン、テクネチウム[Tc-99m]硫黄コロイド及びインジウム[In-111] DTPA、テトラチオモリブデート、サリドマイド、チカルシリン-クラブラネート、チオトロピウム臭化物、チオトロピウムRESPIMAT(登録商標)吸入剤、トブラマイシン(GERNEBCIN(登録商標))、トレプロスチニル、ウリジン、バルガンシクロビル(VALCYTE(登録商標))、バルデナフィル、ビタミンD3、キシリトール、ジレウトン、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
肝臓の線維症又は線維症状態を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、アデホビルジピボキシル、カンデサルタン、コルヒチン、ATGとミコフェノール酸モフェチルとタクロリムスの組合せ、シクロスポリンマイクロエマルジョンとタクロリムスの組合せ、弾性率測定法、エベロリムス、FG-3019、扶正化(Fuzheng Huayu)、GI262570、グリシルリジン(グリシルリジン酸一アンモニウム、グリシン、L-システイン一塩酸塩)、インターフェロンγ-1b、イルベサルタン、ロサルタン、オルチプラズ、ORAL IMPACT(登録商標)、ペグインターフェロンα-2a、ペグインターフェロンα-2aとリバビリンの組合せ、ペグインターフェロンα-2b(SCH 54031)、ペグインターフェロンα-2bとリバビリンの組合せ、プラジカンテル、プラゾシン、ラルテグラビル、リバビリン(REBETOL(登録商標)、SCH 18908)、リトナビルブースト型プロテアーゼ阻害剤、ペントキシフィリン(pentoxyphilline)、タクロリムス、タウロウルソデオキシコール酸、トコフェロール、ウルソジオール、ワルファリン、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
嚢胞性線維症を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば、552-02、5-メチルテトラヒドロフォレート及びビタミンB12、Ad5-CB-CFTR、アデノ随伴ウイルス-CFTRベクター、アルブテロール、アレンドロネート、αトコフェロール+アスコルビン酸、アミロライドHCl、aquADEKTM、アタルレン(PTC124)、AZD1236、AZD9668、アジスロマイシン、ベバシズマブ、ビアキシン(クラリスロマイシン)、BIIL 283 BS(アメルベント)、ブプロフェン(buprofen)、炭酸カルシウム、セフタジジム、コレカルシフェロール、コリン補充、CPX、嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子、DHAが豊富なサプリメント、ジギトキシン、ココサヘキサエン酸(cocosahexaenoic acid)(DHA)、ドキシサイクリン、ECGC、組換えヒト(ecombinant human)IGF-1、還元型(educed)グルタチオンナトリウム塩、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、フルオロメトロン、ガドブトロール(GADOVIST(登録商標)、BAY86-4875)、ゲンタマイシン、グレリン、グラルギン、グルタミン、成長ホルモン、GS-9411、H5.001CBCFTR、ヒト組換え成長ホルモン、ヒドロキシクロロキン、高圧酸素、高張食塩水、IH636ブドウ種子プロアントシアニジン抽出物、インスリン、インターフェロンγ-1b、IoGen(ヨウ素分子)、イオサルタンカリウム(iosartan potassium)、等張食塩水、イトラコナゾール、IV硝酸ガリウム(GANITE(登録商標))点滴液、酢酸ケトロラク、ランソプラゾール、L-アルギニン、リネゾリド、ルビプロストン、メロペネム、ミグルスタット、MP-376(吸入用レポフロキサシン溶液)、生理食塩水IV、Nutropin AQ、ω-3トリグリセリド、pGM169/GL67A、pGT-1遺伝子脂質複合体、ピオグリタゾン、PTC124、QAU145、サルメテロール、SB656933、SB656933、シンバスタチン、シタグリプチン、ナトリウム4-フェニルブチレート、標準化されたウコンの根の抽出物、tgAAVCF、TNF遮断薬、TOBI、トブラマイシン、トコトリエノール、非抱合型イソフラボン100、1:1のビタミン:酒石酸水素コリン(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム塩、VX-770、VX-809、酢酸亜鉛、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、IgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤(例えば、PI3Kδ阻害剤)は、mTORの阻害剤と組み合わせて投与される。IgE産生を阻害する薬剤は当技術分野で公知であり、それらには、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。IgE活性を阻害する薬剤には、例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ及びTNX-901などが含まれる。
強皮症を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:免疫抑制剤(例えば、メトトレキセート、アザチオプリン(Imuran(登録商標))、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル(Cellcept(登録商標))、及びシクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)));T細胞指向性療法(例えば、ハロフジノン、バシリキシマブ、アレムツズマブ、アバタセプト、ラパマイシン);B細胞指向性療法(例えば、リツキシマブ);自家造血幹細胞移植;ケモカインリガンド受容体アンタゴニスト(例えば、CXCL12/CSCR4軸を標的とする薬剤(例えば、AMD3100));DNAメチル化阻害剤(例えば、5-アザシチジン);ヒストンダクチラーゼ(dactylase)阻害剤(例えば、トリコスタチンA);スタチン(例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン);エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、ボセンタン(登録商標));V型ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、Sildenafil(登録商標));プロスタサイクリン類似体(例えば、トレポスチニル(trepostinil));サイトカイン合成及び/又はシグナル伝達の阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブ、ロシグリタゾン、ラパマイシン、抗形質転換成長因子β1(抗TGFβ1)抗体、ミコフェノール酸モフェチル、抗IL-6抗体(例えば、トシリズマブ));コルチコステロイド;非ステロイド性抗炎症薬;光線療法;並びに血圧の薬(例えば、ACE阻害剤)と組み合わせることができる。
炎症性筋疾患を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:局所クリーム剤もしくは軟膏剤(例えば、局所コルチコステロイド、タクロリムス、ピメクロリムス);シクロスポリン(例えば、局所シクロスポリン);抗インターフェロン療法、例えば、AGS-009、ロンタリズマブ(rhuMAb IFNα)、ビタミンD3、シファリムマブ(MEDI-545)、AMG 811、IFNαキノイド、又はCEP33457と組み合わせることができる。いくつかの実施態様において、他の療法は、IFN-α療法、例えば、AGS-009、ロンタリズマブ、ビタミンD3、シファリムマブ(MEDI-545)、又はIFNαキノイド;コルチコステロイド、例えば、プレドニソン(例えば、経口プレドニソン);免疫抑制療法、例えば、メトトレキセート(Trexall(登録商標)、Methotrexate(登録商標)、Rheumatrex(登録商標))、アザチオプリン(Azasan(登録商標)、Imuran(登録商標))、静脈内免疫グロブリン、タクロリムス(Prograf(登録商標))、ピメクロリムス、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、及びシクロスポリン(Gengraf(登録商標)、Neoral(登録商標)、Sandimmune(登録商標));抗マラリア剤、例えば、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(登録商標))及びクロロキン(Aralen(登録商標));全身放射線照射;リツキシマブ(Rituxan(登録商標));TNF阻害剤(例えば、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標)));AGS-009;ロンタリズマブ(rhuMAb IFNα);ビタミンD3;シファリムマブ(MEDI-545);AMG 811;IFNαキノイド;CEP33457;IgE産生を阻害する薬剤、例えば、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物;IgE活性を阻害する薬剤、例えば、抗IgE抗体(例えば、オマリズマブ及びTNX-90);並びにさらなる療法、例えば、理学療法、運動、休養、言語療法、日光回避、温熱療法、及び外科手術である。
筋炎(例えば、皮膚筋炎(dermatomysitis))を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:コルチコステロイド;コルチコステロイド節減薬、例えば、限定されないが、アザチオプリン及びメトトレキセート;静脈内免疫グロブリン;免疫抑制剤、例えば、限定されないが、タクロリムス、シクロホスファミド、及びシクロスポリン;リツキシマブ;TNFα阻害剤、例えば、限定されないが、エタネルセプト及びインフリキシマブ;成長ホルモン;成長ホルモン分泌促進物質、例えば、限定されないが、MK-0677、L-162752、L-163022、NN703イパモレリン、ヘキサレリン、GPA-748(KP102、GHRP-2)、及びLY444711(Eli Lilly);他の成長ホルモン放出刺激物質、例えば、限定されないが、Geref、GHRH(1-44)、ソマトレリン(GRF 1-44)、ThGRFジェノトロピン、L-DOPA、グルカゴン、及びバソプレッシン;並びにインスリン様成長因子と組み合わせることができる。
シェーグレン症候群を治療、予防、及び/又は管理する、ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、例えば:ピロカルピン;セビメリン;非ステロイド性抗炎症薬;関節炎治療薬;抗真菌剤;シクロスポリン;ヒドロキシクロロキン;プレドニソン;アザチオプリン;及びシクロファミドと組み合わせることができる。
さらに、対象化合物と組み合わせることができるさらなる治療剤は、両方ともその全体が引用により本明細書中に組み込まれている、Goodman及びGilmanの文献、「治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」, 第10版, Hardman、Limbird、及びGilman編;又は医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)に見出すことができる。
本明細書に記載の化合物は、治療されている状態に応じて、本明細書に提供される薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、上記の他の薬剤と共投与される。組合せ療法で使用する場合、本明細書に記載の化合物は、第二の薬剤と同時に又は別々に投与することができる。この併用投与は、2つの薬剤の同一剤形での同時投与、別々の剤形での同時投与、及び個別投与を含むことができる。すなわち、本明細書に記載の化合物、及び上記の薬剤のいずれかを、同一剤形中に一緒に製剤化して、同時に投与することができる。或いは、本明細書に提供される化合物、及び上記の薬剤のいずれかを同時に投与することができ、この場合、両方の該薬剤は別々の製剤中に存在する。別の代替法では、本明細書に提供される化合物を投与し、その後すぐに、上記の薬剤のいずれかを投与することができ、又はその逆も同様にすることができる。個別投与プロトコルにおいて、本明細書に提供される化合物及び上記の薬剤のいずれかを、数分間隔、又は数時間間隔、又は数日間隔で投与することができる。
本明細書に提供される化合物の投与は、該化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によって達成することができる。有効量の本明細書に提供される化合物は、同様の有用性を有する薬剤の許容された投与様式のいずれかによって、単回用量又は複数回用量のいずれかで投与することができ、該投与様式には、直腸、口腔、鼻腔内、及び経皮経路、動脈内注射によるもの、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、もしくは吸入剤としてのもの、或いは例えば、ステントなどの含浸もしくは被覆されたデバイス、又は動脈に挿入される円筒形ポリマーを介するものが含まれる。
本明細書に提供される化合物が、1以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ該薬剤が、本明細書に提供される化合物よりも短い半減期を有している場合、該薬剤及び本明細書に提供される化合物の単位用量形態を相応に調整することができる。
以下に提供される実施例及び調製物は、本明細書に開示される化合物、及びそのような化合物の調製方法をさらに説明及び例示する。本開示の範囲は、以下の実施例及び調製物の範囲によって決して限定されるものではないことが理解されるべきである。以下の実施例では、単一のキラル中心を有する分子は、別途注記されない限り、ラセミ混合物として存在する。2以上のキラル中心を有する分子は、別途注記されない限り、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一のエナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者に公知の方法によって入手することができる。
(実施例)
(化学的実施例)
本明細書に記載の化学的実体は、本明細書中の1以上の例示的スキーム及び/又は当技術分野で周知の技術に従って合成することができる。
反対のことが規定されない限り、本明細書に記載の反応は、大気圧で、通常、-10℃〜200℃の温度範囲内で行なわれる。さらに、別途規定される場合を除き、反応時間及び反応条件は、おおよそのものであり、例えば、約大気圧で、約-10℃〜約110℃の温度範囲内で、ある期間、すなわち、例えば、約1〜約24時間かけて行なわれることが意図され;一晩放置される反応は、いくつかの実施態様において、平均で約16時間であることができる。
「溶媒」、「有機溶媒」、又は「不活性溶媒」という用語は、各々、それらとともに記載されている反応の条件下で不活性な溶媒を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、メチレンクロリド(又はジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、N-メチルピロリドン(「NMP」)、ピリジンなどを含む。反対のことが規定されない限り、本明細書に記載の反応で使用される溶媒は、不活性な有機溶媒である。反対のことが規定されない限り、限定試薬の各グラムに関して、溶媒1cc(又はmL)は、1体積当量に相当する。
本明細書に記載の化学的実体及び中間体の単離及び精製は、望ましい場合、任意の好適な分離又は精製手順、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィー、又はこれらの手順の組合せなどによって達成することができる。好適な分離及び単離手順の具体例は、本明細書の以下の実施例を参照することにより得られる。しかしながら、他の同等の分離又は単離手順も使用することができる。
望ましい場合、非限定的な例示的化合物の(R)-及び(S)-異性体は、存在する場合、当業者に公知の方法によって、例えば、結晶化によって分離することができるジアステレオ異性体の塩もしくは錯体の形成によるか;例えば、結晶化、気体-液体もしくは液体クロマトグラフィーによって分離することができるジアステレオ異性体誘導体の形成によるか;1つのエナンチオマーとエナンチオマー特異的試薬との選択的反応、例えば、酵素的酸化もしくは還元と、それに続く、修飾されたエナンチオマーと修飾されていないエナンチオマー分離;又はキラル環境、例えば、結合したキラルリガンドを有するシリカなどのキラル支持体上もしくはキラル溶媒の存在下での気体-液体もしくは液体クロマトグラフィーによって分割することができる。或いは、特定のエナンチオマーを、光学的に活性のある試薬、基質、触媒、もしくは溶媒を用いる不斉合成によるか、又は一方のエナンチオマーをもう一方のエナンチオマーに不斉転換で変換することによって合成することができる。
本明細書に記載の化合物を医薬として許容し得る酸と任意に接触させて、対応する酸付加塩を形成させることができる。また、本明細書に記載の化合物を医薬として許容し得る塩基と任意に接触させて、対応する塩基付加塩を形成させることができる。
いくつかの実施態様において、開示された化合物は、通常、一般に周知の合成方法の適切な組合せによって合成することができる。これらの化学的実体を合成するのに有用な技術は、本開示に基づいて、関連技術の当業者にとって見てすぐに分かるものでもあるし、理解できるものでもある。任意に置換される出発化合物及び他の反応剤の多くは、例えば、Aldrich Chemical Company(Milwaukee, WI)から市販されているか、又は一般に利用される合成方法を用いて当業者によって容易に調製されることができる。
以下の考察は、開示された化合物を作製する際に使用可能な多様な方法の一部を説明するために提供されており、本明細書に提供される化合物を調製する際に使用することができる反応又は反応シークエンスの範囲を限定することを意図したものではない。
(一般的な合成方法)
これから、化合物を一般的に記載するが、それは、以下の実施例を参照してより容易に理解され、該実施例は、単に特定の態様及び実施態様の例示を目的として含まれているに過ぎず、本開示を限定することを意図するものではない。
((i)クロロピリミジンの一般的な合成方法:)
7-クロロチアゾロ[5,4-d]ピリミジンの一般的な調製条件:
EtOH(300mL)中の4,6-ジクロロ-5-ニトロピリミジン(A-1)(20.0g、104mmmol)及び塩化第一スズ二水和物(117.7g、520mmol)の混合物を還流しながら2時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣を氷水(300mL)に注ぎ入れ、飽和NaHCO3水溶液で中和して、pHを5〜6に調整する。得られた混合物をRTで30分間撹拌し、その後、酢酸エチル(3×200mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物の4,6-ジクロロピリミジン-5-アミン(A-2)が得られる。
MeOH(320mL)中の4,6-ジクロロピリミジン-5-アミン(A-2)(16.0g、98.2mmol)及び水硫化ナトリウム(7.15g、128mmol)の混合物を還流しながら3時間撹拌する。TLC分析に基づくと、反応は終了している。反応混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣をNaOH水溶液(1M、200mL)に注ぎ入れ、その後、酢酸で中和して、pHを5〜6に調整する。得られた混合物をRTで30分間撹拌する。固体を濾過により回収し、水(2×50mL)ですすぎ、真空中で乾燥させると、生成物の5-アミノ-6-クロロピリミジン-4-チオール(A-3)が得られる。
5-アミノ-6-クロロピリミジン-4-チオール(A-3)(14.0g、86.9mmol)をトリエトキシメタン(180mL)に溶解させ、得られた混合物を還流しながら3時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜10%酢酸エチル-石油エーテル)で精製すると、生成物の7-クロロチアゾロ[5,4-d]ピリミジン(A-4)が得られる。
7-クロロ-2-メチルチアゾロ[5,4-d]ピリミジンの一般的な調製条件:
トリエチルオルトアセテート(60.0mmol、12.0当量)中の5-アミノ-6-クロロピリミジン-4-チオール(A-3)(5.0mmol、1.0当量)の混合物を還流しながら3〜4時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、真空中で濃縮する。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製すると、生成物(B-1)が得られる。
((ii)アミンコアの一般的な合成方法:)
(S)-3-(1-アミノエチル)-イソキノリン-1(2H)-オンの一般的な調製条件:
RTのDCM(1275mL)中の所与のo-メチル安息香酸(C-1)(1.5mol、1当量)及びDMF(2mL)の撹拌混合物に、塩化オキサリル(1.65mol、1.1当量)を5分間かけて添加し、得られた混合物をRTで2時間撹拌する。その後、該混合物を真空中で濃縮する。残渣をDCM(150mL)に溶解させ、得られた溶液(溶液A)を次の工程で直接使用する。
DCM(1350mL)中のアニリン(1.58mol、1.05当量)及びトリエチルアミン(3.15mol、2.1当量)の撹拌混合物に、反応温度を氷水浴で25℃〜40℃に維持しながら、上記の溶液A(150mL)を滴加する。得られた混合物をRTで2時間撹拌し、その後、水(1000mL)を添加する。有機層を分離し、水(2×1000mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮する。残渣をn-ヘプタン(1000mL)に懸濁させ、RTで30分間撹拌する。沈殿物を濾過により回収し、ヘプタン(500mL)ですすぎ、真空中でさらに乾燥させると、アミド(C-2)が得られる。
アルゴン雰囲気下の-30℃の無水THF(250mL)中のアミド(C-2)(173mmol、1当量)の撹拌混合物に、n-ブチルリチウムのヘキサン(432mol、2.5当量)溶液を、内温度を-30℃〜-10℃に維持しながら、30分間かけて滴加する。その後、得られた混合物を-30℃で30分間撹拌する。
アルゴン雰囲気下の-30℃の無水THF(250mL)中の(S)-tert-ブチル1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルカルバメート(260mmol、1.5当量)の撹拌混合物に、内温度を-30℃〜-10℃に維持しながら、塩化イソプロピルマグネシウムのTHF(286mmol、1.65当量)溶液を30分間かけて滴加する。得られた混合物を-30℃で30分間撹拌する。その後、内温度を-30℃〜-10℃に維持しながら、この溶液を上記の反応混合物にゆっくりと添加する。得られた混合物を-15℃で1時間撹拌する。反応混合物を水(50mL)でクエンチし、その後、-10℃〜0℃の濃HClで酸性化して、pHを1〜3に調整する。混合物をRTに温めておき、真空中で濃縮する。残渣をMeOH(480mL)に溶解させ、その後、濃HCl(240mL)をRTで素速く添加する。得られた混合物を還流しながら1時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮して、容量を約450mLにまで減らす。残渣をヘプタン及び酢酸エチルの2:1混合物(2×500mL)で抽出する。水層を濃水酸化アンモニウムで塩基性化して、内温度を-10℃〜0℃に維持しながら、pHを9〜10に調整する。その後、混合物をDCM(3×300mL)で抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をRTのMeOH(1200mL)に溶解させる。この溶液に、D-(-)-酒石酸(21g、140mmol、0.8当量)をRTで一度に添加する。RTで30分間撹拌した後、沈殿物が形成され、混合物をRTで10時間スラリー化する。固体を濾過により回収し、MeOH(3×50mL)ですすぐ。回収される固体を水(500mL)に懸濁させ、その後、RTの濃水酸化アンモニウム溶液で中和して、pHを9〜10に調整する。混合物をDCM(3×200mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、(S)-3-(1-アミノエチル)-イソキノリン-1(2H)-オン(C-3)が得られる。
(S)-3-(1-アミノエチル)-イソキノリン-1(2H)-オンの一般的な調製条件:
一実施態様において、アミノ化合物(C-3')は、方法C'に従って調製することができ、ここで、中間体(C-1')は、当技術分野で公知の手順又は方法Cに記載の手順に従って調製することができる。一実施態様において、中間体(C-2')は、中間体(C-1')を、塩基(例えば、nBuLi)、次いで、(S)-ベンジル(1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメートと接触させることによって、中間体(C-1')から調製することができる。一実施態様において、アミノ化合物(C-3')は、中間体(C-2')を酸の存在下で環化させることによって、中間体(C-2')から調製することができる。一実施態様において、該酸はH2SO4である。別の実施態様において、該酸はHClである。一実施態様において、該酸の量は、中間体(C-2')の量に対して約1〜20当量である。一実施態様において、該酸は、約5当量のH2SO4である。一実施態様において、該環化は、約室温〜65℃で起こる。一実施態様において、該環化は、約65℃で約1〜5時間起こる。
一実施態様において、該環化は、約1:1〜20:1の(S)-エナンチオマー対(R)-エナンチオマーの比を有するアミノ化合物(C-3')を提供する。一実施態様において、該環化は、約1:1〜10:1の(S)-エナンチオマー対(R)-エナンチオマーの比を有するアミノ化合物(C-3')を提供する。一実施態様において、該環化は、約1:1〜4:1の(S)-エナンチオマー対(R)-エナンチオマーの比を有するアミノ化合物(C-3')を提供する。(R)-ベンジル(1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメートが(S)-ベンジル(1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバメートの代わりに使用される場合、本明細書に提供される方法は、アミノ化合物(C-3')の(R)-エナンチオマーの調製にも好適であることが理解されるべきである。
7-(1-アミノエチル-6-フェニル-1,6-ナフチリジン-5(6H)-オンの一般的な調製条件:
氷酢酸(50mL)中のエチル2-シアノアセテート(D-1)(45.2g、400mmol)及び所与のケトン(800mmol)の混合物に、ピペリジン(2mL、20mmol)を添加し、得られた混合物を還流しながら24時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(3×200mL)で抽出する。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製すると、生成物(D-2)(81%収率)が得られる。
(D-2)(285mol)の無水EtOH(300mL)溶液に、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(37.3g、313mmol)を滴加し、得られた混合物を還流しながら6時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、真空中で濃縮すると、生成物(D-3)が得られる。この材料をさらに精製することなく次の工程で使用する。
ジエノエート(D-3)(148mmol)をAcOH(120mL)に溶解させ、混合物を40℃で撹拌する。45%HBr-AcOH(120mL)の溶液を滴加し、その後、混合物を55℃で2時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、氷水に注ぎ入れ、固体Na2CO3で中和し、その後、酢酸エチル(3×150mL)で抽出する。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜20%酢酸エチル-石油エーテル)で精製すると、生成物(D-4)が得られる。
4-置換エチル2-ブロモルニコチネート(bromolnicotinate)(D-4)(52mmol)の1,4-ジオキサン(15mL)溶液に、NaOH(8.0g、200mmol)のH2O(15mL)溶液を添加し、得られた混合物を還流しながら12時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、H2Oで希釈し、酢酸エチル(3×30mL)で洗浄する。水層を濃塩酸で酸性化して、pHを1に調整し、その後、酢酸エチル(3×50mL)で抽出する。合わせた有機層をブライン(25mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物のニコチン酸(D-5)が得られる。
(D-5)(60mmol)及びDMF(3滴)のDCM(150mL)溶液に、塩化オキサリル(11.4g、90mmol)を滴加し、得られた混合物をRTで2時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮すると、塩化ニコチノイル(D-6)が得られる。
0℃の塩化ニコチノイル(D-6)(23.26mmol)の無水THF(70mL)溶液に、アニリン(25.59mmol)及びトリエチルアミン(3.6mL、25.59mmol)をゆっくりと添加する。得られた混合物をRTで1時間撹拌する。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、アミド(D-7)が得られる。
アルゴン下のニコチンアミド(D-7)(6.77g、23.25mmol)及びトリブチル(ビニル)スズ(10.2mL、34.88mmol)のDMF(250mL)溶液に、Pd(PPh3)4(1.07g、0.93mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で1時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、水でクエンチし、酢酸エチル(2×100mL)で抽出する。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をISCO(シリカゲルカートリッジ、0〜60%酢酸エチル-ヘキサン)で精製すると、ビニルニコチンアミド(D-8)が得られる。
RTの2-ビニルニコチンアミド(D-8)(30.21mmol)の無水DMF(100mL)溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、6.04g、151.08mmol)を何回かに分けてゆっくりと添加する。得られた混合物をRTで45分間撹拌する。この混合物に、クロロ酢酸エチル(16mL、151.08mmol)を滴加し、得られた混合物を2時間撹拌する。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、(D-9)が得られる。
RTの(D-9)(17.36mmol)の1,4-ジオキサン-H2O(3:1、150mL)溶液に、四酸化オスミウム(H2O中4%wt、2.72mL、0.35mmol)を添加し、得られた混合物をRTで30分間撹拌する。この混合物に、過ヨウ素酸ナトリウム(14.85g、69.44mmol)を添加し、得られた混合物をRTで16時間撹拌する。該混合物をセライトに通して濾過し、濾液を酢酸エチル(2×100mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物(D-10)が得られる。
(D-10)(17.35mmol)のEtOH-酢酸エチル(3:1、200mL)溶液に、炭酸セシウム(6.22g、19.09mmol)を添加し、得られた混合物を50℃で2時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、セライトに通して濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣を水と酢酸エチルの間に分配する。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をISCO(シリカゲルカートリッジ、0〜50%酢酸エチル-ヘキサン)で精製すると、生成物(D-11)が得られる。
(D-11)(6.97mmol)の無水MeOH(40mL)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(2.62g、69.34mmol)を2回かに分けて添加する。混合物をRTで16時間撹拌し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物(D-12)が得られる。
RTの(D-12)(13.61mmol)の無水DCM(50mL)溶液に、4Åの分子篩(粉末、3.62g)、NMO(N-メチルモルホリン-N-オキシド)(1.59g、13.6mmol)、及びTPAP(過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム)(119.5mg、0.34mmol)を順次添加する。得られた混合物をRTで16時間(一晩)撹拌する。混合物をセライト/シリカゲルパッドに通して濾過し、濾液を真空中で濃縮すると、生成物(D-13)が得られる。
アルゴン下の-78℃の(D-13)(6.80mmol)の無水THF(100mL)溶液に、塩化メチルマグネシウム溶液(THF中3.0M、6.8mL、20.41mmol)を滴加し、得られた混合物を-78℃〜RTに2時間撹拌する。さらなる量の塩化メチルマグネシウム溶液(2mL)を添加して、反応を終了させる。反応混合物を水(150mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×200mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をISCO(シリカゲルカートリッジ、0〜10%MeOH-DCM)で精製すると、生成物(D-14)が得られる。
アルゴン下の0℃の(D-14)(4.28mmol)の無水THF(25mL)溶液に、トリフェニルホスフィン(2.24g、8.56mmol)を添加し、得られた混合物を5分間撹拌する。この混合物に、ジフェニルホスホリルアジド(2.31mL、10.7mmol)を添加し、次いで、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.69mL、8.56mmol)を20分間かけてゆっくりと添加する。得られた混合物を0℃〜RTに2時間撹拌する。該混合物を酢酸エチルと水の間に分配する。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をISCO(シリカゲルカートリッジ、0〜70%EA/Hex)で精製すると、生成物(D-15)が得られる。
無水MeOH(25mL)中の(D-15)(3.08mmol)及びパラジウム(炭素上10%重量、190mg、出発材料の20重量%)の混合物を脱気し、水素をフラッシュする(3サイクル)。反応混合物を、水素雰囲気下、RTで30分間撹拌する。その後、該混合物をブフナー漏斗でセライトに通して濾過し、酢酸エチルですすぐ。濾液を真空中で濃縮すると、生成物(D-16)が得られる。
6-(1-アミノエチル)-3-メチル-フェニルイソチアゾロ[4,5-c]ピリジン-4(5H)-オンの一般的な調製条件:
0℃のメチル3-アミノクロトネート(E-1)(10.0g、86.9mmol)の無水THF(200mL)溶液に、塩化ホスホリル(12.0mL、95.6mmol)の無水DMF(28mL)溶液を(10分間かけて)滴加する。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、30℃で4時間撹拌する。該混合物を一晩冷蔵庫に静置しておく。その後、残渣が形成されるまで、冷エーテル(800mL)を反応混合物に添加する。エーテル層をデカントする。その後、油残渣をDCM(500mL)に溶解させ、NaSH水溶液(2.0M)で洗浄する。有機層をH2O(4×500mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物のメチル3-アミノ-2-チオホルミルブト-2-エノエート(E-2)が得られる。
メチル3-アミノ-2-チオホルミルブト-2-エノエート(E-2)(5.34g、33.5mmol)のEtOH(250mL)溶液に、メタ-クロロペルオキシ安息香酸(70〜75%、12.4g、50.3mmol)のEtOH(150mL)溶液を添加し、得られた混合物を還流しながら3時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、飽和NaOH水溶液でクエンチし、その後、酢酸エチル(2×200mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物の3-メチルイソチアゾール-4-カルボキシレート(E-3)が得られる。
3-メチルイソチアゾール-4-カルボキシレート(E-3)(4.73g、30.1mmol)のTHF-MeOH-H2O(2:1:1、50mL)溶液に、NaOH(3.61g、90.3mmol)を添加し、得られた混合物を40℃で16時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、その後、濃HClで酸性化して、pHを2〜3に調整する。沈殿物を濾過により回収し、水ですすぎ、真空中で乾燥させると、生成物の3-メチルイソチアゾール-4-カルボン酸(E-4)が得られる。
アルゴン下の-78℃の3-メチルイソチアゾール-4-カルボン酸(E-4)(3.9g、27.3mmol)の無水THF(150mL)溶液に、n-ブチルリチウム溶液(27.3mL、68.3mmol)を滴加し、得られた混合物を-78℃で1時間撹拌する。この混合物に、ヨウ化物(13.9g、54.6mmol)のTHF(50mL)溶液をゆっくりと添加し、得られた混合物をRTで1時間撹拌する。該混合物を濃HClで酸性化して、pHを3〜4に調整し、その後、酢酸エチルで抽出する。有機層をNa2SO3水溶液で洗浄する。水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物の5-ヨード-3-メチルイソチアゾール-4-カルボン酸(E-5)が得られる。
5-ヨード-3-メチルイソチアゾール-4-カルボン酸(E-5)(4.45g、16.5mmol)及びDMF(3滴)の無水DCM(60mL)溶液に、塩化オキサリル溶液(DCM中2.0M、16.5mL、33.1mmol)を滴加し、得られた混合物をRTで2時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮すると、塩化アシル中間体が得られる。該中間体を無水THF(100mL)に溶解させる。この混合物に、所与のアミンR2NH2(24.8mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.09mL、24.8mmol)を滴加する。得られた混合物をRTで1時間撹拌する。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、アミド(E-6)が得られる。
その後、化合物(E-6)を、方法Dの(D-16)と類似した形で(E-15)に変換する。
6-(1-アミノエチル)-3-クロロ-5-フェニルチエノ[3,2-c]ピリジン-4(5H)-オンの一般的な調製条件:
-20℃のエチル-3-アミノクロトネート(F-1)(64.6g、0.5mol、1.0当量)及びピリジン(44.5mL、0.55mol、1.1当量)のTHF(600mL)溶液に、2-クロロアセチルクロリド(59.3g、0.53mol、1.05当量)を1時間以内に滴加する。得られた混合物を-20℃〜RTにさらに2時間撹拌し、その後、それをH2O(1200mL)に注ぎ入れる。混合物を酢酸エチル(3×1200mL)で抽出する。合わせた有機層をH2O(2×500mL)及びブライン(500mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮して、容量を約200mLにまで減らす。残渣を、RTで30分間、石油エーテル(400mL)中でスラリー化する。固体を濾過により回収し、石油エーテル(200mL)ですすぎ、真空中で乾燥させると、生成物の(E)-エチル3-アミノ-2-(2-クロロアセチル)ブト-2-エノエート(F-2)が得られる。ESI-MS m/z: 204.1 [M-H]-。
RTの(E)-エチル3-アミノ-2-(2-クロロアセチル)ブト-2-エノエート(F-2)(58.6g、0.29mol、1.0当量)のEtOH(500mL)懸濁液に、30%NaSH溶液(190g、1.018mol、3.6当量)を30分間かけて滴加し、得られた混合物をRTで3時間撹拌する。該混合物をH2O(1.5L)に注ぎ入れ、30分間撹拌する。沈殿物を濾過により回収し、H2O(3×100mL)ですすぐ。回収された固体を酢酸エチル(500mL)に再溶解させ、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物の4-ヒドロキシ-2-メチルチオフェン-3-カルボキシレート(F-3)が得られる。ESI-MS m/z: 185.0 [M-H]-。
アルゴン下の-20℃のエチル4-ヒドロキシ-2-メチルチオフェン-3-カルボキシレート(F-3)(20.0g、0.11mol、1.0当量)のDMF(150mL)撹拌溶液に、反応温度を10℃未満に維持しながら、塩化ホスホリル(49.4g、0.32mol、3.0当量)を滴加する。得られた混合物をRTで30分間、その後、80℃で1時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却し、氷水(800mL)に注ぎ入れる。得られた混合物をNaOAcで中和して、pHを7〜8に調整する。沈殿物を濾過により回収し、H2O(150mL)ですすぎ、真空中で乾燥させる。生成物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル-石油エーテル)で精製すると、生成物のエチル4-クロロ-5-ホルミル-2-メチルチオフェン-3-カルボキシレート(F-4)が得られる。
DMF(150mL)中のエチル4-クロロ-5-ホルミル-2-メチルチオフェン-3-カルボキシレート(F-4)(9.72g、41.77mmol、1.0当量)の混合物に、オキソン(77.1g、125.3mmol、3.0当量)を何回かに分けて添加し、得られた混合物をRTで一晩撹拌する。該混合物をH2O(800mL)に注ぎ入れ、30分間撹拌する。沈殿物を濾過により回収し、H2O(100mL)ですすぎ、その後、30分間、H2O(80mL)中でスラリー化する。固体を濾過により回収し、H2O(3×60mL)及び石油エーテル(3×60mL)ですすぎ、真空中で乾燥させると、生成物の3-クロロ-4-(エトキシカルボニル)-5-メチルチオフェン-2-カルボン酸(F-5)が得られる。
RTの3-クロロ-4-(エトキシカルボニル)-5-メチルチオフェン-2-カルボン酸(F-5)(7.79g、31.3mmol、1.0当量)のAcOH(150mL)撹拌溶液に、HgO(7.46g、34.4mmol、1.1当量)を添加し、得られた混合物を還流しながら1時間撹拌する。反応混合物を50℃〜60℃に冷却し、その後、水性HCl(750mL、2.4M、1.8mol)を添加する。得られた混合物を還流しながらさらに1時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、メチルtert-ブチルエーテル(3×200mL)で抽出する。合わせた有機層を飽和NaHCO3溶液(3×200mL)、H2O(200mL)、及びブラインH2O(200mL)で順次洗浄する。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(2%酢酸エチル-石油エーテル)で精製すると、生成物のエチル4-クロロ-2-メチルチオフェン-3-カルボキシレート(F-6)が得られる。
RTのEtOH(50mL)中のエチル4-クロロ-2-メチルチオフェン-3-カルボキシレート(F-6)(4.98g、24.3mmol、1.0当量)の混合物に、NaOH水溶液(20%、14.6g、73.0mmol、3.0当量)を添加し、得られた混合物を還流しながら1時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、真空中で濃縮する。残渣を氷水(30mL)に注ぎ入れ、温度を5℃未満に維持しながら、濃HClで中和して、pHを1〜2に調整する。沈殿物を濾過により回収し、H2O(80mL)ですすぎ、真空中で乾燥させると、生成物の4-クロロ-2-メチルチオフェン-3-カルボン酸(F-7)が得られる。
DCM(25mL)中の4-クロロ-2-メチルチオフェン-3-カルボン酸(F-7)(1.2g、6.8mmol、1.0当量)及びDMF(3滴)の撹拌混合物に、塩化オキサリル(2.6g、20.4mmol、3.0当量)を0〜5℃で5分間かけて添加する。得られた混合物を0℃〜RTに一晩撹拌する。該混合物を真空中で濃縮する。残渣をDCM(20mL)に溶解させ、得られた溶液(溶液C)を次の工程で直接使用する。
0〜5℃のDCM(10mL)中の所与のアミンR2-NH2(7.47mmol、1.1当量)及びピリジン(1.61g、20.4mmol、3.0当量)の撹拌混合物に、上で得られた溶液Cを添加し、得られた混合物をRTで2時間撹拌する。該混合物をDCM(150mL)で希釈し、水性HCl(1M、3×50mL)、H2O(2×50mL)、及びブライン(2×50mL)で順次洗浄する。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物のカルボキサミド(F-8)が得られる。
アルゴン下の-60℃のTHF(3.5mL)中のカルボキサミド(F-8)(2.0mmol、1.0当量)の混合物に、温度を-50℃未満に維持しながら、n-ブチルリチウム溶液(ヘキサン中、2.5M、2.8mL、7.0mmol、3.5当量)をゆっくりと添加する。得られた混合物を-50℃未満で30分間撹拌すると、溶液Dが形成される。
アルゴン下の-60℃の無水THF(3.0mL)中の(S)-tert-ブチル1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルカルバメート(604mg、2.6mmol、1.3当量)の撹拌混合物に、内温度を-50℃未満に維持しながら、塩化イソプロピルマグネシウムのTHF(2.0M、1.33mL、2.66mmol、1.33当量)溶液を30分間かけて滴加する。得られた混合物を-50℃未満でさらに30分間撹拌し、その後、それを、内温度を-50℃に維持しながら、上で得られた溶液Dにゆっくりと添加する。得られた混合物を-50℃〜-40℃で1時間、その後、RTでさらに1時間撹拌する。反応混合物を水(5.0mL)でクエンチし、0℃の水性HCl(5N)で酸性化して、pHを5〜6に調整する。混合物を真空中で濃縮する。残渣をMeOH(3.0mL)に溶解させ、濃HCl(1.5mL)を添加する。得られた混合物を還流しながら1時間撹拌し、その後、真空中で濃縮して、MeOHを除去する。残渣をH2O(5.0mL)に懸濁させ、ヘプタン及び酢酸エチルの1:1混合物(3×20mL)で抽出する。水層を飽和水性NH4OHで塩基性化して、pHを8〜9に調整し、DCM(3×20mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%MeOH-DCM)で精製すると、生成物のピリジン-4(5H)-オン(F-9)が得られる。
((iii)W
d置換基の一般的な付加条件:)
n-BuOH(5mL)中の化合物(C-3)(1.0mmol、1.0当量)、Wd-Cl又はWd-OTs(1.50mmol、1.5当量)、及びトリエチルアミン(3.0mmol、3.0当量)の混合物を還流しながら1〜5時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣をMeOH及びDCMの混合物溶媒で溶出させるシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製すると、生成物(G-1)が得られる。反応は、S
NAr置換反応に好適である当技術分野で公知の他の条件下で起こることができる。一実施態様において、該反応溶媒はNMPである。
((iv)W
dの一般的な置換条件:)
キノリノン(H-1)(0.11mmol、1.0当量)を密封管中の水酸化アンモニウム(10〜35%溶液、20mL)に懸濁させ、得られた混合物を140℃で一晩撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、その後、DCM(3×15mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(1〜2%MeOH/DCM)で精製すると、化合物(H-2)が生成物として得られる。
EtOH(10mL)中の化合物(C-3)(3.0mmol、1.0当量)及び2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジン(3.0mmol、1.0当量)の混合物に、トリエチルアミン(6.0mmol、2.0当量)を添加し、得られた混合物を還流しながら一晩撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。得られた残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(1%MeOH-DCM)で精製すると、生成物(I-1)が得られる。
化合物(I-1)(1.0mmol、1当量)のMeOH(10mL)溶液に、水硫化ナトリウム(1.29mmol、1.2当量)を添加し、得られた混合物を還流しながら2時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(2〜3%MeOH-DCM)で精製すると、生成物(I-2)が得られる。
EtOH(5mL)中の化合物(I-2)(0.25mmmol、1.0当量)及び塩化スズ(II)二水和物(1.32mmol、5.3当量)の混合物を還流しながら2時間撹拌する。得られた混合物をRTに冷却し、真空中で濃縮する。残渣を水(5mL)に懸濁させ、飽和NaHCO3溶液で中和して、pHを7〜8に調整し、その後、酢酸エチル(5mL×3)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮すると、生成物(I-3)が得られる。
オルトギ酸トリエチル(180mL)中の化合物(I-3)(0.18mmol、1.0当量)の混合物を還流しながら2時間撹拌する。反応混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(1〜2%MeOH-DCM)で精製すると、生成物I-4が得られる。
トルエン(800mL)中のニトロ安息香酸(J-1)(1.0mol、1.0当量)及びDMF(2.0mL)の撹拌混合物に、塩化チオニル(292mL、1.0mol、4.0当量)を(15分間かけて)滴加し、得られた混合物を還流しながら1.5時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣をDCM(100mL)に溶解させると、溶液Aが形成され、これを次の工程で直接使用する。
DCM(700mL)中の所与のアミンR2-NH2(102.4g、1.1mol、1.1当量)及びトリエチルアミン(280mL、2.0mol、2.0当量)の撹拌混合物に、反応温度を10℃未満に維持しながら、溶液Aを滴加する。得られた混合物をRTに温めておき、その後、RTで一晩撹拌する。反応混合物を氷水(1.0L)で希釈し、15分間撹拌する。沈殿物を濾過により回収し、イソプロピルエーテル(3×100mL)及び石油エーテル(3×100mL)ですすぎ、その後、真空中で乾燥させると、生成物のアミド(J-2)が得られる。
RTのトルエン(60mL)中のニトロ-ベンズアミド(J-2)(20.0mmol、1.0当量)、DMF(触媒量)の混合物に、塩化チオニル(12mL、164mmol、8.2当量)を(5分間かけて)滴加し、得られた混合物を還流しながら2時間撹拌する。該混合物をRTに冷却しておき、その後、真空中で濃縮する。残渣をDCM(10mL)に溶解させると、溶液Bが形成され、これを次の工程で直接使用する。
DCM(20mL)中のN-(tert-ブトキシカルボニル)-L-アラニン(16.0mmol、0.8当量)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.0g、31.0mol、1.5当量)の撹拌混合物に、反応温度を0〜10℃に維持しながら、溶液Bを滴加する。得られた混合物をこの温度で1時間撹拌し、その後、RTで一晩撹拌する。反応混合物を氷水(100mL)でクエンチする。有機層を分離し、水層をDCM(2×80mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をイソプロピルエーテル(100mL)中で15分間スラリー化する。固体を濾過により回収し、真空中で乾燥させると、生成物(J-3)が得られる。
15℃の亜鉛末(7.2g、110mmol、10.0当量)の氷酢酸(40mL)懸濁液に、(J-3)(11.0mmmol、1.0当量)の氷酢酸(40mL)溶液を添加し、得られた混合物をRTで4時間撹拌する。該混合物を氷水(200mL)に注ぎ入れ、飽和NaHCO3水溶液で中和して、pHを8に調整する。得られた混合物をDCM(3×150mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(7%酢酸エチル-石油エーテル)で精製すると、生成物(J-4)が得られる。
化合物(J-4)(0.5mmol、1.0当量)を塩酸メタノール溶液(2N、20mL)に溶解させ、得られた混合物をRTで2時間撹拌する。該混合物を真空中で濃縮する。残渣を水(30mL)で希釈し、その後、温度を5℃未満に維持しながら、飽和水性NaHCO3で中和して、pHを8に調整する。得られた混合物をDCM(3×30mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を真空中で濃縮し、残渣を石油エーテル(10mL)中でスラリー化する。固体を濾過により回収し、真空中で乾燥させると、生成物(J-5)が得られる。
キナゾリノン(J-5)を用いて、例えば、方法Gを用いて、アミンをWd基にカップリングさせて、本明細書に記載の化合物を合成することができる。
所与のo-メチル安息香酸(C-1)(46.9mmol、1当量)をアルゴン下でTHF(50mL)に溶解させる。得られた混合物を-25℃に冷却し、n-ヘキシルリチウム(202mmol、4.3当量)(ヘキサン中、2.3M)をゆっくりと添加する。混合物を-20℃で20分間撹拌する。
(S)-tert-ブチル1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルカルバメート(61.0mmol、1.3当量)をアルゴン下で70mLの無水THFに懸濁させ、-10℃に冷却する。塩化イソプロピルマグネシウム(2M、127mmol、2.7当量)をゆっくりと添加し、その後、得られた混合物を(C-1)を含むフラスコ中にカニューレでゆっくりと滴下して添加する。添加が終了した後、反応物をゆっくりとRTに温め、RTで2時間撹拌する。その後、反応混合物を-10℃に再冷却し、窒素下、-10℃で、15mLの酢酸エチル及び10mLのイソ酪酸を含む別のフラスコにカニューレで素速く添加する。添加後、混合物を5分間撹拌し、その後、水(10mL)を速やかに添加し、混合物をRTで10分間撹拌しておく。
その後、混合物を分液漏斗に移し、水(200mL)を添加する。水層をEtOAc(3×400mL)で抽出する。その後、水層をHCl(2M)でpH 3に酸性化し、その後、EtOAc(3×500mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、生成物が生じ、これを、MeOH/DCM(2〜10%MeOHの勾配)を用いて、シリカゲルのパッドに通して真空下で濾過すると、濃縮後、(K-1)が生じる。
無水酢酸(10mL)中の安息香酸(K-1)(14.63mmol)の混合物を70℃で2.5時間撹拌する。その後、無水酢酸を減圧下で蒸発させ、残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサンの勾配)で精製すると、ラクトン(K-2)が得られる。
2mLのDCM中のアミンR2NH2(1.54mmol、5.1当量)に、トリメチルアルミニウム(1.54mmol、5.1当量)を添加し、15分間撹拌する。その後、2mLのDCM中のラクトン(K-2)(0.31mmol、1.0当量)の溶液を添加する。その後、混合物をRTで3時間撹拌する。反応混合物を10mLのロッシェル塩でクエンチし、2時間撹拌する。その後、該混合物をDCMで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮すると、アミド(K-3)が得られ、これを次の工程で直接使用する。
5mLのイソプロパノール中のアミド(K-3)(0.31mmol)に、3mLの濃HClを添加する。混合物を65℃で3時間加熱し、その後、冷却する。溶媒を減圧下で蒸発させると、固体が生じる。その後、得られた固体を15mLのDCMに懸濁させ、その後、10mLの飽和重炭酸ナトリウムを添加し、混合物をRTで30分間撹拌する。その後、さらに50mLのDCMを添加し、有機層を水層から分離し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、アミン(K-4)が生じ、これを後続の変換で直接使用する。
(S)-3-(1-アミノエチル)-イソキノリン-1(2H)-オンの一般的な調製条件:
いくつかの実施態様において、イソキノリノン(L-6)は、方法Lに例示された手順に従って調製することができる。一実施態様において、中間体(L-2')は、中間体(L-2)をTFA、次いで、CF3COOEtと接触させることにより調製される。一実施態様において、安息香酸(L-3')は、o-メチル-安息香酸(L-1)を塩基(例えば、nHexLi)、次いで、中間体(L-2')と接触させ、次いで、シリカプラグで精製するか、又は結晶化させることにより調製される。一実施態様において、ラクトン(L-4')は、安息香酸(L-3')をAc2Oと環化に好適な条件下で接触させることにより調製される。一実施態様において、アミド(L-5')は、ラクトン(L-4')を対応するアミン又はアニリンとAlMe3の存在下で接触させることにより調製される。一実施態様において、イソキノリノン(L-6)は、アミド(L-5')を酸と環化及び脱保護に好適な条件下で接触させることにより調製される。一実施態様において、該酸はHClである。
一実施態様において、該環化は、約1:1〜20:1の(S)-エナンチオマー対(R)-エナンチオマーの比を有するアミノ化合物(L-6)を提供する。一実施態様において、該環化は、約1:1〜10:1の(S)-エナンチオマー対(R)-エナンチオマーの比を有するアミノ化合物(L-6)を提供する。一実施態様において、該環化は、約1:1〜4:1の(S)-エナンチオマー対(R)-エナンチオマーの比を有するアミノ化合物(L-6)を提供する。中間体(L-2)の(R)-エナンチオマーが(L-2)の(S)-エナンチオマーの代わりに使用される場合、本明細書に提供される方法は、アミノ化合物(L-6)の(R)-エナンチオマーの調製にも好適であることが理解されるべきである。
式(I)の化合物は、1以上のキラル中心を含有することができる。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来技術としては、好適な光学的に純粋な前駆体からの合成、アキラルな出発材料からの不斉合成、又はキラルクロマトグラフィー、再結晶化、分割、ジアステレオマー塩形成、もしくはジアステレオマー付加物への誘導体化と、その後の分離によるエナンチオマー混合物の分割が挙げられる。一実施態様において、式(I)の化合物のエナンチオ純度は、式(I)の化合物を好適な溶媒又はその混合物と接触させ、次いで、濾過することにより向上させることができる。一実施態様において、該溶媒は、水及びジクロロメタンの混合物である。別の実施態様において、該溶媒は、ジクロロメタン及びメタノールの混合物である。
一実施態様において、N-メチルピリジノンボロン酸エステル(M-3)は、方法Mに例示された手順に従って調製することができる。一実施態様において、ピリジルボロン酸エステル(M-2)は、ボロン酸エステルの形成に好適な条件下で、ピリジルボロン酸(M-1)をピナコールと接触させることにより調製することができる。一実施態様において、N-メチルピリジノンボロン酸エステル(M-3)は、O-メチルからN-メチルへの変化に好適な条件下で、ピリジルボロン酸エステル(M-2)をMeIと接触させることにより調製することができる。
(実施例1)
化合物1を、方法Cを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物2が生じた。ESI-MS m/z: 434.0 [M+H]
+。
(実施例2)
化合物3を、方法Cを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物4が生じた。ESI-MS m/z: 452.0 [M+H
+]。
(実施例3)
化合物5を、以下の一般的な手順に従って、化合物2及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから調製した:
化合物2(0.2mmol、1.0当量)、ボロン酸(0.41mmol、2.0当量)、Pd(OAc)2(0.04mmol、0.2当量)、2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル(0.12mmol、0.6当量)、及びNa2CO3(0.6mmol、3.0当量)を1-メチル-2-ピロリジノン(10mL)に溶解させた。得られた混合物を脱気し、アルゴンを3回再充填し、その後、アルゴン雰囲気下、160℃で1.5時間撹拌した。TLC分析に基づくと、反応は終了していた。混合物を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:30のMeOH-DCM)で精製すると、生成物5が固体として得られた; ESI-MS m/z: 480.2 [M+H]+。
(実施例4)
化合物6を、実施例3の化合物5についての類似の手順を用いて、化合物2及び6-メチルピリジン-3-イルボロン酸から調製した。ESI-MS m/z: 491.2 [M+H]
+。
(実施例5)
アミン7を、方法Cを用いて調製した。その後、それを、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物8が生じた。ESI-MS m/z: 398.0 [M+H]
+。
(実施例6)
化合物9を、実施例3の化合物5についての類似の手順を用いて、化合物8及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから調製した。ESI-MS m/z: 444.2 [M+H]
+。
(実施例7)
化合物10を、実施例3の化合物5についての類似の手順を用いて、化合物4及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから調製した。ESI-MS m/z: 498.0 [M+H]
+。
(実施例8)
化合物11を、方法Eを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物12が生じた。ESI-MS m/z: 421.0 [M+H]
+。
(実施例9)
化合物13を、実施例3の化合物5についての類似の手順を用いて、化合物2及び(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)ボロン酸から調製した。ESI-MS m/z: 468.0 [M+H]
+。
(実施例10)
アミン14を、方法Fを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物15が生じた。ESI-MS m/z: 440.0 [M+H]
+。
(実施例11)
化合物16を、実施例3の化合物5についての類似の手順を用いて、化合物15及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから調製した。ESI-MS m/z: 486.0 [M+H]
+。
(実施例12)
化合物17を、以下の手順を用いて、化合物2及び2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イルボロン酸から調製した:
化合物2(230umol)、ボロン酸(690umol、3当量)、炭酸ナトリウム(1.15mmol、5当量)、RuPhos(70umol、0.30当量)、及び二酢酸パラジウム(35umol、0.15当量)を、セプタムで密封されている撹拌棒付きの2mLマイクロ波反応管中で合わせた。大気を真空で3回パージし、乾燥アルゴンを再充填し、その後、1,4-ジオキサン(1.6mL)及び水(0.4mL)を添加した。反応物を125℃で3時間のマイクロ波加熱に供し;LC/MSによる分析により、基質及び反応中間体の完全な消費が示された。反応混合物をDCM(約30mL)で希釈し、シリカゲル(約1g)で処理し、濃縮し;この残渣をフラッシュクロマトグラフィー(15gのシリカゲル上、必要に応じて、MeOH/DCM又は酢酸エチル/ヘキサン勾配で溶出、約750mLの総溶出剤)にかけると、生成物17が得られた。ESI-MS m/z: 545.00 [M+H]+。
以下の化合物も、実施例12の化合物17についての類似のカップリング条件を用いて、化合物2から調製した:
(実施例55)
化合物60を、化合物4を出発材料として使用することを除き、実施例33の化合物38と類似した形で調製した。ESI-MS m/z: 526.0 [M+H]
+。
以下の化合物も、化合物8を化合物2の代わりに出発材料に使用することを除き、実施例12の類似のカップリング条件を用いて調製した:
(実施例60)
化合物66を、2-(ピロリジン-1-イル)エタンアミンをアニリンの代わりに使用し、ピリジンをトリエチルアミンの代わりに塩基として使用することを除き、方法Cの(C-2)と類似した形で65から調製した。化合物66を以下の手順に従って67に変換した:
アルゴン下の-60℃のTHF(12.5mL)中の2-クロロ-6-メチル-N-(2-(ピロリジン-1-イル)エチル)ベンズアミド66(1.33g、5.0mmol、1.0当量)及びHMPA(0.87mL、5.0mmol、1.0当量)の混合物に、温度を-60℃未満に維持しながら、n-ブチルリチウム溶液(ヘキサン中、2.5M、5.0mL、12.5mmol、2.5当量)を滴加した。得られた混合物を-70℃〜-60℃で30分間撹拌した。この混合物に、(S)-tert-ブチル1-(メトキシ(メチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルカルバメート(1.39g、6.0mmol、1.2当量)を素速く添加した。得られた混合物を(1時間かけて)ゆっくりとRTに温めておき、その後、RTでさらに2時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、水(5.0mL)でクエンチし、その後、水性HCl(5M)で酸性化して、pHを5〜6に調整した。混合物を真空中で濃縮した。残渣を、MeOH(20mL)及びH2O(5.0mL)の混合物に懸濁させ、濃HCl(10.0mL)を添加し、得られた混合物を還流しながら2時間撹拌した。該混合物を-5℃に冷却し、飽和水性NH4OHで塩基性化して、pHを8〜9に調整した。沈殿物を濾過して除去し、濾液をDCM(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(1〜10%MeOH-DCM)で精製すると、生成物の(S)-3-(1-アミノエチル)-8-クロロ-2-(2-(ピロリジン-1-イル)エチル)イソキノリン-1(2H)-オン67が得られた。
その後、化合物67を、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物68が生じた。ESI-MS m/z: 455.0 [M+H]+。
(実施例61)
アミン69を、方法Dに従って調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物70が生じた。ESI-MS m/z: 415.2 [M+H]
+。
(実施例62)
化合物71を、実施例21のカップリング反応から、副生成物として単離した。ESI-MS m/z: 399.91 [M+H]
+。
(実施例63)
アミン72を、方法Cを用いて調製し、その後、該アミンを、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物73が生じた。LRMS (M+H): 502.01 m/z。
(実施例64)
化合物74を、実施例3の化合物5と類似した形で、化合物1から調製した。その後、それを、方法Gのカップリング条件を用いて5,7-ジクロロチアゾロ[5,4-d]ピリミジンと反応させると、化合物75が生じた。ESI-MS m/z: 514.0 [M+H]
+。
(実施例65)
化合物76を、方法Hを用いて、75から調製した。ESI-MS m/z: 495.2 [M+H]
+。
(実施例66)
化合物1を、方法Gを用いて(B-1)にカップリングさせると、化合物77が生じた。ESI-MS m/z: 448.0 [M+H]
+。
(実施例67)
化合物3を、方法Gを用いて(B-1)にカップリングさせると、化合物78が生じた。ESI-MS m/z: 466.0 [M+H]
+。
(実施例68)
化合物79を、実施例3の化合物5についての類似のカップリング条件を用いて、77及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから調製した。ESI-MS m/z: 494.2 [M+H
+]。
(実施例69)
化合物80を、方法Cを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物81が生じた。ESI-MS m/z: 371.90 [M+H]
+。
(実施例70)
化合物82を、実施例12の類似の条件を用いて、81及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから調製した。ESI-MS m/z: 366.0 [M+H]
+。
(実施例71)
化合物83を以下の手順に従って49から調製した:
化合物49(〜500mg、0.98mmol、1当量)を、THF(10mL)、tert-ブタノール(5mL)、及び水(1.5mL)に溶解させ、N-メチル-モルホリンN-オキシド(700mg、6当量)及び4%四酸化オスミウム水溶液(125μL、0.02当量)で処理した。反応物を周囲温度で一晩撹拌すると、その時点で、LC/MSにより、オレフィン出発材料の完全な消費が示された。溶媒を真空中で除去し、残渣を水(50mL)中に溶解させ、余分な酸化剤を飽和亜硫酸ナトリウム溶液(20mL)でクエンチし、生成物を40mLのDCMで3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、濃縮すると、固体が得られた。
この固体をTHF(25mL)及び水(5mL)に溶解させ、その後、過ヨウ素酸ナトリウム(1g、4.7当量)で処理し、周囲温度で1日間撹拌しておくと、その時点で、LC/MSにより、ジオール中間体の完全な消費が示された。反応混合物をDCMで希釈し、シリカゲル(2g)で処理し、真空中で濃縮した。生成物を、ヘキサン中の40%〜80%EtOAcで溶出させる、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、アルデヒド83が得られた。ESI-MS m/z: 428.2 [M+H]+。
(実施例72)
化合物84を以下の手順に従って調製した:
THF(13mL)及びtert-ブタノール(3mL)中のアルデヒド83(409mg、0.96mmol、1当量)をイソプレン(2mL、20当量)、2.7Mリン酸一ナトリウム水溶液(2mL、5当量)、及び1M亜塩素酸ナトリウム水溶液(3mL、3当量)で処理した。反応物を周囲温度で2日間撹拌し、その後、さらなる1M亜塩素酸塩溶液(3mL、3当量)で処理し、一晩反応させておいた。反応混合物を水(90mL)及びDCM(60mL)に添加し、6M HCl(約30滴)をゆっくりと添加して、pH 3に酸性化した。層を分離し、水相を40mLのDCMで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。生成物を、1%酢酸を含むDCM中の1〜5%MeOHで溶出させる、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、酸84が得られた。ESI-MS m/z: 444.2 [M+H]+。
(実施例73)
化合物85を以下の手順に従って化合物84から調製した:
酸84(0.056mmol、1当量)のDMF(1mL)溶液をトリエチルアミン(20μL、2.5当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(26mg、3当量、及びEDC HCl(13mg、1.25当量)で処理し、周囲温度で10分間撹拌し、その時点の後、THF(2当量)中のジメチルアミンを添加した。90分後、さらに多くのEDC HCl(13mg、2当量)を添加し、次いで15分後、さらにジメチルアミン(1当量)を添加した。さらに1時間撹拌した後、さらなる量のEDC HCl(13mg、2当量)を添加し、次いで15分後、さらにジメチルアミン(1当量)を添加した。一晩撹拌した後、反応混合物をEtOAc(60mL)及び水(80mL)で希釈し、酢酸及び10%NaOHでpHを4に調整した。層を分離し、水層をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。この残渣を、DCM中の3〜8%MeOHで溶出させる、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、アミド85が得られた。ESI-MS m/z: 471.1 [M+H]+。
(実施例74)
化合物86を、モルホリンをジメチルアミンの代わりに使用することを除き、実施例73の類似の手順を用いて、化合物84から調製した。ESI-MS m/z: 513.28 [M+H]
+。
(実施例75)
化合物87を、メチルアミンをジメチルアミンの代わりに使用することを除き、実施例73の類似の手順を用いて、化合物84から調製した。ESI-MS m/z: 457.16 [M+H]
+。
(実施例76)
化合物88を、方法Iに従って化合物1から調製した。ESI-MS m/z: 433.0 [M+H]
+。
(実施例77)
化合物89を、実施例3の化合物5についての類似の条件を用いて、化合物88及び2-メトキシピリミジン-5-イルボロン酸から調製した。ESI-MS m/z: 507.2 [M+H]
+。
(実施例78)
化合物90を、方法Iに従って化合物3から調製した。ESI-MS m/z: 451.0 [M+H]
+。
(実施例79)
化合物91を、実施例3の化合物5についての類似の条件を用いて、88及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールから調製した。ESI-MS m/z: 479.2 [M+H]
+。
(実施例80)
化合物92を以下の手順に従って化合物2から調製した:
撹拌棒付きのマイクロ波反応管に、化合物2(100mg、0.23mmol、1当量)、4-(トリブチルスタンニル)ピリダジン(128mg、1.5当量)、炭酸ナトリウム(100mg、4当量)、二酢酸パラジウム(8mg、0.15当量)、及びRuPhos(32mg、0.30当量)を仕込んだ。該管にセプタムで蓋をし、乾燥アルゴンの真空再充填によりパージし、1,4-ジオキサン(1.6mL)及び水(400uL)を添加した。反応物を110℃で3時間のマイクロ波加熱に供し、その後、LC/MSにより、基質の完全な消費が示された。混合物をDCMで希釈し、シリカゲル(約1g)で処理し、真空中で濃縮した。この残渣を、DCM中の0〜8%MeOHで溶出させる、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、8-ピリダジン92が得られた。ES+ m/z = 478.9 [M+H]+。
以下の化合物を、実施例80の化合物92についての類似のカップリング条件を用いて、化合物2から調製した:
(実施例84)
化合物96を、実施例83のカップリング反応から、副生成物として単離した。ESI-MS m/z: 456.22 [M+H]
+。
(実施例85)
化合物1を、方法Gを用いて市販の4-クロロ-5,6-ジメチルチエノ[2,3-d]ピリミジンにカップリングさせると、化合物97が生じた。ESI-MS m/z: 461.0 [M+H]
+。
(実施例86)
化合物1を、方法Gを用いて市販の4-クロロ-5-フェニルチエノ[2,3-d]ピリミジンにカップリングさせると、化合物98が生じた。ESI-MS m/z: 509.0 [M+H]
+。
(実施例87)
化合物99を、方法Cを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物100が生じた。
(実施例88)
化合物101を、方法Cを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物102が生じた。その後、化合物102を以下の手順に従って103に変換した:化合物102(0.45mmol、1.0当量)、1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イルボロン酸、ピナコールエステル(0.9mmol、2.0当量)、及びNa
2CO
3(0.9mmol、2.0当量)をジオキサン/水(4:1 v/v、4mL)に溶解させた。混合物をArで5分間バブリングさせ、その後、PdCl
2(amphos)
2(10mol%)を仕込み、さらにArでパージし、その後、90℃に2時間加熱した。その後、反応物を冷却し、酢酸エチル及び飽和重炭酸ナトリウム中で分配した。層を分離し、水層を酢酸エチル(1回)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮すると、生成物が生じ、これを、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%酢酸エチル/ヘキサン勾配、次いで、0〜7%メタノール/塩化メチレン)を用いて精製すると、化合物103が生じた。ESI-MS m/z: 473.2 [M+H]
+。
(実施例89)
化合物104を、方法Kを用いて調製し、その後、方法Gを用いて(A-4)にカップリングさせると、化合物105が生じた。その後、化合物105を、2-メトキシピリミジン-5-イルボロン酸を1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イルボロン酸、ピナコールエステルの代わりに使用することを除き、実施例88の化合物103と類似した形で化合物106に変換すると、化合物106が生じた。ESI-MS m/z: 499.2 [M+H]
+。
(実施例90)
化合物107を、2-メチルピリミジン-5-イルボロン酸を1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イルボロン酸、ピナコールエステルの代わりに使用することを除き、実施例88の化合物103と類似した形で化合物105から合成すると、化合物107が生じた。ESI-MS m/z: 483.2 [M+H]
+。
(実施例91)
化合物108を、化合物102を出発材料として使用することを除き、実施例80の92と類似した形で調製した。ESI-MS m/z: 444.3 [M+H]
+。
(実施例92)
化合物109を以下の手順に従って化合物2から調製した:化合物2(0.69mmol、1.0当量)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリミジン-3-アミン(1.38mmol、2.0当量)、及び炭酸ナトリウム(1.38mmol、2.0当量)をジオキサン(10mL)及び水(1mL)中で合わせ、真空下で脱気した。AmPhos(25mol%)を添加し、溶液を脱気し、その後、95℃に16時間加熱した。反応物を冷却しておき、過剰のジクロロメタンとともに分液漏斗に移した。有機層を水(2×25mL)及びブライン(1×25mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮すると、粗材料が生じ、これを、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(3〜8%MeOH/塩化メチレン勾配)で精製すると、化合物109が生じた。ESI-MS m/z: 492.2 [M+H]
+。
以下の化合物も、実施例92の化合物109についての類似のカップリング条件を用いて、化合物2から調製した:
(実施例93)
化合物114(0.088mmol)をトリフルオロ酢酸(3mL)で処理し、室温で1時間撹拌しておくと、1時間後、LC/MSでは出発材料がもう存在していなかった。反応混合物をトルエンとともに共沸させると(3回)、化合物118がトリフルオロ酢酸塩として生じた。ESI-MS m/z: 505.2 [M+H]
+。
(実施例94)
化合物119を、実施例93の化合物118と類似した形で、化合物115から調製した。ESI-MS m/z: 505.2 [M+H]
+。
(実施例95)
化合物118(0.032mmol)を塩化メチレン(500uL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(4.5当量)及びトリホスゲン(1.3当量)で処理し、室温で撹拌した。1時間後、LC/MS分析で完全な変換が示され、その後、反応物を塩化メチレン(5mL)で希釈し、粉末化オルトリン酸カリウム(30mg)で処理し、速やかに10分間撹拌し、シリンジフィルターに通して濾過し、濃縮した。得られた固体をトルエン(10mL)に再溶解させ、飽和ビカーボン(bicarbone)(2×5mL)及びブライン(1×5mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮すると、化合物120が生じた。ESI-MS m/z: 547.3 [M+H]
+。
(実施例96)
化合物121を、実施例95の化合物120と類似した形で、119から調製した。ESI-MS m/z: 547.2 [M+H]
+。
(実施例97)
化合物122を、実施例95の化合物120と類似した形で、109から調製した。ESI-MS m/z: 534.1 [M+H]
+。
(実施例98)
化合物118(0.016mmol)を塩化メチレン(500uL)に溶解させ、その後、ジイソプロピルエチルアミン(4.0当量)及びHOBt水和物(1.6当量)を添加し、次いで、塩化アクリロイル(20uL塩化メチレン中、1.5当量)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌すると、その後、LC/MSでは出発材料がもう存在しなかった。反応物をトルエン(40mL)で希釈し、1%酢酸(20mL)、1N重炭酸ナトリウム(20mL)、水(20mL)、及びブライン(20mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮すると、化合物123が白色の固体として生じた。ESI-MS m/z: 559.3 [M+H]
+。
表2.選択された化合物についてのインビトロIC
50データ。
表3.上の表2に記載のIC
50結果に対する化合物の構造。
(生物活性評価)
Millipore社から購入したPI3-キナーゼHTRF(登録商標)アッセイキット(カタログ番号33-016)を用いて、本明細書に提供される化合物をスクリーニングした。このアッセイでは、GRP1プレクストリン相同(PH)ドメインの、その生理的基質PIP2に作用するクラス1A又は1BのPI3キナーゼの産物であるPIP3に対する特異的な高親和性結合を用いた。このアッセイの検出段階で、GSTタグ化PHドメインとビオチン化短鎖PIP3との間で複合体が生成した。ビオチン化PIP3及びGSTタグ化PHドメインは、フルオロフォア(それぞれ、ストレプトアビジン-アロフィコシアニン及びユーロピウム標識抗GST)を誘引して、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)構造物を形成し、安定な時間分解FRETシグナルを発生させた。このFRET複合体は、PI3キナーゼアッセイで形成される産物である非ビオチン化PIP3により、競合な様式で分解された。
PI3キナーゼα、β、γ、及びδ活性を、Millipore社から購入したPI3キナーゼHTRF(登録商標)アッセイキット(カタログ番号33-016)を用いて検定した。精製された組換えPI3Kα(カタログ番号14-602-K)、PI3Kβ(カタログ番号14-603-K)、PI3Kγ(カタログ番号14-558-K)、及びPI3Kδ(カタログ番号14-604-K)は、Millipore社から入手した。精製された組換えPI3K酵素を用いて、10μMのATPの存在下で、ホスファチジルイノシトール4,5-ビスホスフェート(10μMのPIP2)からホスファチジルイノシトール3,4,5-トリスホスフェート(PIP3)へのリン酸化を触媒した。アッセイを384ウェルフォーマットで実施し、Perkin Elmer EnVision Xcite Multilabel Readerを用いて検出した。放出比をパーセント阻害に変換し、GraphPad Prismソフトウェアにインポートした。50%の酵素活性の阻害を達成するのに必要な濃度(IC50)は、20μM〜0.1nMの範囲の濃度(12ポイント曲線)を用いて計算した。IC50値は、GraphPad Prism 5で利用可能な非線形回帰モデルを用いて決定した。
(実施例99:化学的安定性)
1以上の対象化合物の化学的安定性を当技術分野で公知の標準的手順に従って決定する。対象化合物の化学的安定性を確認するための例示的な手順を以下に詳述する。化学的安定性アッセイに使用される標準緩衝液は、pH 7.4のリン酸緩衝食塩水(PBS)であるが;他の好適な緩衝液を使用することができる。化合物を(2つ1組で)100μMのストック溶液から一定分量のPBSに添加して、5μM試験化合物及び1%DMSOを含む400μLの最終アッセイ容量を得る(半減期決定用には、700μLの総試料容量を調製する)。反応液を、振盪させながら、37℃で0分及び24時間インキュベートし;半減期決定のためには、試料を0、2、4、6、及び24時間インキュベートする。100μLのインキュベーション混合物を100μLのアセトニトリルに直接添加し、5分間ボルテックス処理することにより、反応を停止させる。その後、HPLC-MS/MSによる分析まで、試料を-20℃で保存する。所望の場合、対照化合物又は参照化合物、例えば、クロラムブシル(5μM)を、関心対象の対象化合物と同時に試験するが、それは、この化合物が24時間でほぼ加水分解されるからである。試料を選択反応モニタリング(SRM)を用いて(RP)HPLC-MS/MSにより分析する。HPLC条件は、オートサンプラーを備えたバイナリLCポンプ、混合モードの2×20mmのC12カラム、及び勾配プログラムからなる。分析物に対応するピーク面積は、HPLC-MS/MSにより記録される。パーセントとして表される、ゼロ時間で残存する量に対する24時間後に残存する親化合物の割合は、化学的安定性として報告される。半減期決定の場合、一次速度則を仮定して、残存化合物(%)対時間の対数曲線の初期線形領域の傾きから半減期が推定される。
(実施例100:p110α/p85α、p110β/p85α、p110δ/p85α、及びp110γの発現及び阻害アッセイ:)
クラスI PI3-Kは、購入する(p110α/p85α、p110β/p85α、p110δ/p85αはUpstateから、及びp110γはSigmaから)か、又は以前に記載されている通りに(Knightら,2004)発現させることができる。IC50値は、脂質キナーゼ活性についての標準的なTLCアッセイ(下記)又はハイスループット膜捕捉アッセイのいずれかを用いて測定する。キナーゼ反応は、キナーゼ、阻害剤(2%DMSO最終濃度)、緩衝液(25mM HEPES、pH7.4、10mM MgCl2)、及び新たに超音波処理したホスファチジルイノシトール(100μg/ml)を含む反応混合物を調製することにより実施する。10μCiのγ-32P-ATPを含むATPを10又は100μMの最終濃度になるまで添加することにより反応を開始させ、室温で5分間進行させておく。TLC分析のために、その後、105μlの1N HCl、次いで160μlのCHCl3:MeOH(1:1)を添加することにより反応を終了させる。二相混合物をボルテックス処理し、短時間遠心分離し、有機相を、CHCl3でプレコーティングしたゲルローディングピペットチップを用いて新しいチューブに移す。この抽出物をTLCプレート上にスポッティングし、65:35のn-プロパノール:1M酢酸溶液で3〜4時間、展開する。その後、TLCプレートを乾燥させ、Phosphorimager screen(Storm,Amersham)に感光させ、定量する。各化合物について、試験した最高濃度(通常、200μM)からの2倍希釈に相当する10〜12の阻害剤濃度でキナーゼ活性を測定する。顕著な活性を示す化合物については、IC50決定を2〜4回繰り返し、報告される値はこれらの独立した測定の平均値である。
PI3-K活性を検定するための他の市販のキット又はシステムが利用可能である。市販のキット又はシステムを用いて、限定されないが、PI 3-キナーゼα、β、δ、及びγを含むPI3-Kの阻害剤及び/又はアゴニストについてスクリーニングすることができる。例示的なシステムは、Upstate製のPI 3-キナーゼ(ヒト)HTRF(商標)アッセイである。アッセイは、製造者により示される手順に従って実施することができる。簡潔に述べると、アッセイは、PI3-Kの活性により形成されるPIP3産物を間接的に測定する時間分解FRETアッセイである。キナーゼ反応は、マイクロタイタープレート(例えば、384ウェルマイクロタイタープレート)中で実施する。総反応容量は、1ウェル当たり約20μlである。第一段階では、各ウェルに、20%ジメチルスルホキシド中の試験化合物を2μl入れて、2%DMSO最終濃度を得る。次に、0.25〜0.3μg/mlキナーゼ及び10μM PIP2の最終濃度になるように、1ウェル当たり約14.5μlのキナーゼ/PIP2混合物(1×反応緩衝液に希釈したもの)を添加する。プレートを密閉し、室温で15分間インキュベートする。反応を開始させるために、10μM ATPの最終濃度になるように、1ウェル当たり3.5μlのATP(1×反応緩衝液に希釈したもの)を添加する。プレートを密閉し、室温で1時間インキュベートする。1ウェル当たり5μlの停止溶液を添加して反応を停止させ、その後、1ウェル当たり5μlの検出混合物を添加する。プレートを密閉して室温で1時間インキュベートし、その後、適当なプレートリーダーで読み取る。GraphPad Prism 5を用いて、データを解析し、IC50を得る。
(実施例101:B細胞活性化及び増殖アッセイ)
1以上の対象化合物がB細胞の活性化及び増殖を阻害する能力を当技術分野で公知の標準的手順に従って決定する。例えば、生細胞の代謝活性を測定するインビトロ細胞増殖アッセイを確立する。このアッセイは、AlamarBlue還元を用いて、96ウェルマイクロタイタープレート中で実施される。Balb/c脾臓B細胞を、Ficoll-Paque(商標)PLUS勾配、次いで、MACS B細胞単離キット(Miltenyi)を用いる磁気細胞分離により純化する。細胞を、B細胞培地(RPMI+10%FBS+Penn/Strep+50μM bME+5mM HEPES)中、50,000細胞/ウェルで、90μlでプレーティングする。本明細書に提供される化合物をB細胞培地に希釈し、10μlの容量で添加する。プレートを、30分間、37℃及び5%CO2(0.2%DMSO最終濃度)でインキュベートする。その後、10μg/ml LPS又は5μg/ml F(ab')2ロバ抗マウスIgMのどちらかに加え、2ng/mlの組換えマウスIL4をB細胞培地中に含む、50μlのB細胞刺激カクテルを添加する。プレートを、72時間、37℃及び5%CO2でインキュベートする。15μLの容量のAlamarBlue試薬を各ウェルに添加し、プレートを、5時間、37℃及び5%CO2でインキュベートする。AlamarBlueの蛍光を560Ex/590Emで読み取り、GraphPad Prism 5を用いて、IC50又はEC50値を計算する。
(実施例102:腫瘍細胞株増殖アッセイ)
1以上の対象化合物が腫瘍細胞株増殖を阻害する能力を当技術分野で公知の標準的手順に従って決定することができる。例えば、インビトロ細胞増殖アッセイを行なって、生細胞の代謝活性を測定することができる。このアッセイは、AlamarBlue還元を用いて96ウェルマイクロタイタープレート中で実施される。ヒト腫瘍細胞株をATCCから入手し(例えば、MCF7、U-87 MG、MDA-MB-468、PC-3)、T75フラスコ中でコンフルエントになるまで成長させ、0.25%トリプシンでトリプシン処理し、腫瘍細胞培地(DMEM+10%FBS)で1回洗浄し、腫瘍細胞培地中、5,000細胞/ウェルで、90μlでプレーティングする。本明細書に提供される化合物を腫瘍細胞培地に希釈し、10μlの容量で添加する。プレートを、72時間、37℃及び5%CO2でインキュベートする。10μLの容量のAlamarBlue試薬を各ウェルに添加し、プレートを、3時間、37℃及び5%CO2でインキュベートする。AlamarBlueの蛍光を560Ex/590Emで読み取り、GraphPad Prism 5を用いてIC50値を計算する。
(実施例103:インビボでの抗腫瘍活性)
本明細書に記載の化合物は、一群のヒト及びマウス腫瘍モデルで評価することができる。
(パクリタキセル不応性腫瘍モデル)
1.臨床由来卵巣癌モデル
この腫瘍モデルは、卵巣癌患者の腫瘍生検から確立される。腫瘍生検は患者から採取される。本明細書に記載の化合物は、病期分類された腫瘍を担持するヌードマウスに、2日に1回×5回のスケジュールを用いて投与される。
2.A2780Taxヒト卵巣癌異種移植片(突然変異型チューブリン)
A2780Taxは、パクリタキセル耐性ヒト卵巣癌モデルである。これは、細胞をパクリタキセル及びMDR逆転剤のベラパミルと共インキュベートすることにより、感受性親A2780株から得られる。その耐性機序は、非MDR関連性であることが示されており、β-チューブリンタンパク質をコードする遺伝子の突然変異に起因している。本明細書に記載の化合物を、病期分類された腫瘍を担持するマウスに、2日に1回×5回のスケジュールで投与することができる。
3.HCT116/VM46ヒト結腸癌異種移植片(多剤耐性)
HCT116/VM46は、感受性HCT116親株から発生したMDR耐性結腸癌である。インビボで、ヌードマウス内で成長させると、HCT116/VM46は、パクリタキセルに対する高い耐性を一貫して示した。本明細書に記載の化合物を、病期分類された腫瘍を担持するマウスに、2日に1回×5回のスケジュールで投与することができる。
4.M5076マウス肉腫モデル
M5076は、インビボで本質的にパクリタキセルに不応性であるマウス線維肉腫である。本明細書に記載の化合物を、病期分類された腫瘍を担持するマウスに、2日に1回×5回のスケジュールで投与することができる。
1以上の本発明に提供される化合物は、多剤耐性ヒト結腸癌異種移植片HCT/VM46又は本明細書に記載されているものを含む当技術分野で公知の任意の他のモデルにおいて、インビボで他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
(実施例104:ミクロソーム安定性アッセイ)
1以上の対象化合物の安定性を当技術分野で公知の標準的手順に従って決定する。例えば、1以上の対象化合物の安定性をインビトロアッセイにより確立する。例えば、マウス、ラット、又はヒトの肝臓由来ミクロソームと反応させたときの1以上の対象化合物の安定性を測定するインビトロミクロソーム安定性アッセイを確立する。化合物とのミクロソーム反応は、1.5mLエッペンドルフチューブ中で実施される。各チューブは、0.1μLの10.0mg/ml NADPH;75μLの20.0mg/mlマウス、ラット、又はヒト肝臓ミクロソーム;0.4μLの0.2Mリン酸緩衝液、及び425μLのddH2Oを含む。陰性対照(NADPHを含まない)チューブは、75μLの20.0mg/mlマウス、ラット、又はヒト肝臓ミクロソーム;0.4μLの0.2Mリン酸緩衝液、及び525μLのddH2Oを含む。1.0μLの10.0mM試験化合物を添加することにより反応を開始させる。反応チューブを37℃でインキュベートする。0、5、10、15、30、及び60分の反応で、300μLの冷メタノールを含む新しいエッペンドルフチューブに100μLの試料を回収する。試料を15,000rpmで遠心分離して、タンパク質を除去する。遠心分離した試料の上清を新しいチューブに移す。上清中のミクロソームと反応した後の安定な化合物の濃度を、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC-MS)により測定する。
(実施例105:血漿安定性アッセイ)
1以上の対象化合物の血漿中での安定性を当技術分野で公知の標準的手順に従って決定する。例えば、Rapid Commun.Mass Spectrom.,10:1019-1026を参照されたい。以下の手順は、ヒト血漿を用いるHPLC-MS/MSアッセイであり;サル、イヌ、ラット、及びマウスを含む他の種でも利用可能である。凍結ヘパリン化ヒト血漿を冷水浴中で解凍し、使用前に、2000rpmで、4℃で10分間遠心分離する。対象化合物を、400μMのストック溶液から一定分量の予め温めた血漿に添加し、5μM試験化合物及び0.5%DMSOを含む400μL(又は半減期決定用に800μL)の最終アッセイ容量を得る。反応液を、振盪させながら、37℃で0分及び60分間、又は半減期決定のために、37℃で0、15、30、45、及び60分間、インキュベートする。50μLのインキュベーション混合物を200μLの氷冷アセトニトリルに移すことにより反応を停止させ、5分間振盪させることにより混合する。試料を、6000×gで、4℃で15分間遠心分離し、120μLの上清を清浄なチューブに取り出す。その後、試料を蒸発乾固させ、HPLC-MS/MSによる解析に供する。
一実施態様において、1以上の対照又は参照化合物(5μM)を試験化合物と同時に試験し:1つの化合物は、低い血漿安定性を有するプロポキシカイン、もう1つの化合物は、中程度の血漿安定性を有するプロパンテリンである。
試料をアセトニトリル/メタノール/水(1/1/2、v/v/v)でもどし、選択反応モニタリング(SRM)を用いて(RP)HPLC-MS/MSで分析する。HPLC条件は、オートサンプラーを備えたバイナリLCポンプ、混合モードの2×20mmのC12カラム、及び勾配プログラムからなる。分析物に対応するピーク面積は、HPLC-MS/MSにより記録される。パーセントとして表される、ゼロ時間で残存する量に対する60分後に残存する親化合物の割合は、血漿安定性として報告される。半減期決定の場合、一次速度則を仮定して、残存化合物(%)対時間の対数曲線の初期線形領域の傾きから半減期が推定される。
(実施例106:血液中でのキナーゼシグナル伝達)
PI3K/Akt/mTorシグナル伝達を、phosflow法(Methods Enzymol.(2007) 434:131-54)を用いて、血液細胞中で測定する。この方法は元々、母集団の平均ではなく、細胞の不均質性を検出することができるような単一細胞アッセイである。これにより、他のマーカーにより規定される異なる母集団のシグナル伝達状態を同時に区別することが可能となる。Phosflowは、非常に定量的でもある。本明細書に提供される1以上の化合物の効果を試験するために、未分画の脾細胞、又は末梢血単核細胞を抗CD3で刺激して、T細胞受容体シグナル伝達を惹起する。その後、細胞を固定し、表面マーカー及び細胞内リン酸化タンパク質について染色する。試験条件下で、本明細書に提供される阻害剤は、抗CD3により媒介されるAkt-S473及びS6のリン酸化を阻害するのに対し、ラパマイシンは、S6リン酸化を阻害し、Aktリン酸化を増強する。
同様に、一定分量の全血を、ビヒクル(例えば、0.1%DMSO)又は様々な濃度のキナーゼ阻害剤とともに15分間インキュベートし、その後、刺激を加えて、T細胞受容体(TCR)(抗CD3と二次抗体)を架橋するか、又は抗カッパ軽鎖抗体(Fab'2断片)を用いてB細胞受容体(BCR)を架橋する。約5分及び15分後、試料を(例えば、冷4%パラホルムアルデヒドで)固定し、phosflowに用いる。当業者に公知の細胞表面マーカーに対する抗体を使用する表面染色を用いて、T細胞とB細胞を区別する。その後、Akt及びS6などのキナーゼ基質のリン酸化のレベルを、これらのタンパク質のリン酸化アイソフォームに特異的な標識抗体とともに固定細胞をインキュベートすることにより測定する。その後、細胞集団をフローサイトメトリーにより解析する。
(実施例107:コロニー形成アッセイ)
p190 BCR-Ablレトロウイルスで新たに形質転換したマウス骨髄細胞(本明細書では、p190形質導入細胞と呼ぶ)を、様々な薬物組合せの存在下、M3630メチルセルロース培地中に、約7日間、約30%血清中の組換えヒトIL-7とともにプレーティングし、形成されたコロニーの数を顕微鏡下の目視検査により計数する。
或いは、ヒト末梢血単核細胞を、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)及び陰性(Ph-)患者から、初診時又は再発時に採取する。生細胞を単離し、CD19+ CD34+ B細胞前駆体について濃縮する。一晩の液体培養の後、サイトカイン(IL-3、IL-6、IL-7、G-CSF、GM-CSF、CF、Flt3リガンド、及びエリスロポエチン)と、本開示の化合物のどれかと組み合わせた様々な濃度の既知の化学療法剤とを補充したmethocult GF+H4435 Stem Cell Technologies)中に細胞をプレーティングする。12〜14日後、コロニーを顕微鏡観察により計数する。この方法を用いて、相加的又は相乗的活性の証拠を検査することができる。
(実施例108:キナーゼ阻害剤の白血病細胞に対するインビボ効果)
雌レシピエントマウスに、約4時間の間隔の2回の投与で、各々約5Gyで、γ源から致死量の放射線を照射する。2回目の放射線投与の約1時間後、マウスに、約1×106個の白血病細胞(例えば、Ph+のヒトもしくはマウス細胞又はp190形質導入骨髄細胞)を静脈内注射する。これらの細胞は、3〜5週齢のドナーマウス由来の放射線防護量の約5×106個の正常骨髄細胞とともに投与する。レシピエントに水中の抗生物質を投与し、毎日モニタリングする。約14日後に発病したマウスを安楽死させ、リンパ系器官を解析用に採取する。キナーゼ阻害剤処置を、白血病細胞の注射から約10日後に開始し、マウスが発病するか、又は最大で移植後約35日まで毎日継続する。阻害剤は、口腔洗浄により投与する。
末梢血細胞を約10日目(処置前)及び安楽死時(処置後)に回収し、標識された抗hCD4抗体と接触させ、フローサイトメトリーにより計数する。この方法を用いて、既知の化学療法剤と組み合わせた1以上の本明細書に提供される化合物の相乗効果が、試験条件下で、既知の化学療法剤(例えば、Gleevec)単独での処置と比べて白血病血液細胞数を減少させ得ることを示すことができる。
(実施例109:狼瘡疾患モデルマウスの治療)
B細胞のPI3Kシグナル伝達を妨害する抑制性受容体FcγRIIbを欠くマウスは、高い浸透度で狼瘡を発症する。一部の狼瘡患者はFcγRIIbの発現又は機能の減少を示すので、FcγRIIbノックアウトマウス(R2KO、Jackson Labs)は、妥当なヒト疾患モデルであると考えられる(S. Bolland及びJ.V. Ravtechの文献、Immunity 12:277-285(2000))。
R2KOマウスは、約4〜6カ月齢以内に、抗核抗体、糸球体腎炎、及びタンパク尿を伴う狼瘡様疾患を発症する。これらの実験のために、ラパマイシン類似体RAD001(LC Laboratoriesから入手可能)を基準化合物として用い、経口投与する。この化合物は、B6.Sle1z.Sle3zモデルにおいて狼瘡症状を改善させることが示されている(T. Wuらの文献、J. Clin Invest. 117:2186-2196)。
NZB/W F1マウスは、狼瘡のモデルとなる全身性自己免疫疾患を自然発症する。このマウスを、予防モデルについては20週齢から、及び治療モデルについては23週齢から処置する。血液及び尿試料を、ほぼ全検査期間を通して採取し、抗核抗体(血清希釈液中)又はタンパク質濃度(尿中)について検査する。血清をELISAにより抗ssDNA及び抗dsDNA抗体についても検査する。研究の終了時にH&Eで染色した腎臓切片で糸球体腎炎を評価するか、又は生存をエンドポイントとすることができる。例えば、プロテオゾーム(proteozome)阻害剤ボルテジミブ(Bortezimib)は、NZB/Wモデルにおいて予防モデルと治療モデルの両方で疾患を阻止するのに効果的であり、自己抗体産生、腎障害を低下させ、生存率を改善させる(Nature Medicine 14, 748 - 755 (2008))。
R2KO、BXSB、又はMLR/lprなどの狼瘡疾患モデルマウスを、約2カ月齢で、約2カ月間処置する。マウスに、以下の投与を与える:ビヒクル、約10mg/kgのRAD001、又は約1mg/kg〜約500mg/kgの本明細書に提供される化合物。血液及び尿試料を、ほぼ全検査期間を通して採取し、抗核抗体(血清希釈液中)又はタンパク質濃度(尿中)について検査する。血清をELISAにより抗ssDNA及び抗dsDNA抗体についても検査する。動物を60日目に安楽死させ、脾臓重量及び腎疾患を測定するために組織を採取する。H&Eで染色した腎臓切片で糸球体腎炎を評価する。他の動物を、同じエンドポイントを用いて、処置中止後、約2カ月間調べる。
当技術分野で確立されているこのモデルを利用して、本明細書に提供されるキナーゼ阻害剤が、狼瘡疾患モデルマウスにおいて、狼瘡症状の発症を抑制し得るか、又はそれを遅延させ得ることを示すことができる。
(実施例110:マウス骨髄移植アッセイ)
雌レシピエントマウスに、γ線源から致死量の放射線を照射する。放射線投与の約1時間後、マウスに、継代初期のp190形質導入培養物(例えば、Cancer Genet Cytogenet.2005 Aug;161(1):51-6に記載のもの)由来の約1×106個の白血病細胞を注射する。これらの細胞を、3〜5週齢のドナーマウス由来の放射線防護量の約5×106個の正常骨髄細胞とともに投与する。レシピエントに水中の抗生物質を投与し、毎日モニタリングする。約14日後に発病したマウスを安楽死させ、リンパ系器官をフローサイトメトリー及び/又は磁気濃縮用に採取する。約10日目に処置を開始し、マウスが発病するまで、又は最大で移植後約35日後まで毎日継続する。薬物は経口強制投与(p.o.)により投与する。パイロット実験において、治癒はもたらさないが、白血病発症を約1週間又はそれ未満だけ遅延させる化学療法薬の用量を特定し;対照は、ビヒクルで処置するか、又はこのモデルにおいて白血病発生を遅延させるが、治癒させないことが既に示されている化学療法剤(例えば、1日2回、約70mg/kgのイマチニブ)で処置する。第一段階では、eGFPを発現するp190細胞を用い、死後解析は、フローサイトメトリーによる骨髄、脾臓、及びリンパ節(LN)内の白血病細胞のパーセンテージの計数に限定する。第二段階では、尾部のない形態のヒトCD4を発現するp190細胞を用い、死後解析は、脾臓由来hCD4+細胞の磁気選別、次いで、重要なシグナル伝達エンドポイント:pAkt-T308及びS473;pS6及びp4EBP-1のイムノブロット解析を含む。イムノブロット検出用の対照として、選別した細胞を、本開示の阻害剤のキナーゼ阻害剤の存在下又は非存在下でインキュベートし、その後、溶解させる。任意に、「phosflow」を用いて、事前選別なしでhCD4でゲートをかけた細胞において、pAkt-S473及びpS6-S235/236を検出する。これらのシグナル伝達研究は、例えば、薬物処置したマウスが35日目の時点で臨床的白血病を発症しなかった場合、特に有用である。カプラン・マイヤー生存プロットを作成し、当技術分野で公知の方法に従って統計解析を行なう。p190細胞の結果を、個別に及び累積的に解析する。
末梢血試料(100〜200μl)を、処置の開始直前の10日目に始めて、週1回、全てのマウスから採取する。血漿を薬物濃度の測定に用い、細胞を白血病マーカー(eGFP又はhCD4)及び本明細書に記載のシグナル伝達バイオマーカーについて解析する。
当技術分野で公知のこの一般的なアッセイを用いて、本明細書に提供される化合物の有効治療用量が白血病細胞の増殖を阻害するのに使用され得ることを示すことができる。
(実施例111:マトリゲルプラグ血管新生アッセイ)
試験化合物を含むマトリゲルを、それが固化してプラグを形成する場所に、皮下又は眼球内注射する。プラグを、動物に入れて7〜21日後に回収し、組織学的に調べて、血管がそれに進入した度合いを決定する。血管新生は、組織切片の血管を定量することにより測定される。或いは、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識デキストラン150を用いて、血漿容量の蛍光測定を実施する。結果は、血管新生を阻害し、したがって、異常な血管新生及び/又は血管透過性に関連する眼障害を治療する際に有用であると考えられる本明細書に提供される1以上の化合物を示すと考えられる。
(実施例112:角膜血管新生アッセイ)
角膜にポケットを生成させ、血管新生誘発製剤(例えば、VEGF、FGF、又は腫瘍細胞)を含むプラグが、このポケットに導入されたとき、末梢角膜縁血管系からの新しい血管の内部成長を誘発する。ELVAX(エチレンビニルコポリマー)又はHydronなどの徐放材料を用いて、血管新生誘発物質を角膜ポケットに導入する。或いは、スポンジ材料を用いる。
角膜内の局所誘発型(例えば、スポンジインプラント)血管新生反応(例えば、FGF、VEGF、又は腫瘍細胞によるもの)に対する推定阻害剤の効果。試験化合物を、経口的に、全身に、又は目に直接投与する。全身投与は、ボーラス注射によるか、又はより効果的には、試験阻害剤を充填した浸透圧ポンプの埋め込みなどの持続放出法の使用によるものである。目への投与は、限定されないが、点眼薬、クリーム、エマルジョン、又はゲル剤の局所投与、硝子体内注射を含む、本明細書に記載の方法のいずれかによるものである。
血管反応は、マウスにおいて立体顕微鏡を用いて、実験の全期間にわたる直接観察によりモニターする。角膜血管系の最終的な可視化は、蛍光色素標識した高分子量デキストランの投与により達成する。定量は、血管透過面積、血管新生刺激に対する経時的な血管の発達、又は蛍光の場合には、ヒストグラム解析もしくは特定の(バックグラウンド)閾値を超える画素数を測定することにより実施する。
これらの結果は、1以上の本明細書に提供される化合物が血管新生を阻害することを示すことができ、したがって、異常な血管新生及び/又は血管透過性に関連する眼障害を治療する際に有用であり得る。
(実施例113:マイクロタイタープレート血管新生アッセイ)
アッセイプレートは、コラーゲンプラグを、コラーゲンプラグ1つ当たり5〜10個の細胞スフェロイドとともに、各ウェルの底部に置くことにより調製する。各スフェロイドは、400〜500個の細胞を含む。各コラーゲンプラグを、1ウェル当たり1100μlの保存培地で覆い、後で使用するために保存する(1〜3日、37℃、5%CO2)。プレートをシーリングで密封する。試験化合物を、200μlのアッセイ培地に溶解させ、少なくとも1つのウェルはVEGF陽性対照を含み、少なくとも1つのウェルは、陰性対照として、VEGFも試験化合物も含まない。アッセイプレートをインキュベーターから取り出し、保存培地を注意深くピペッティングして除去する。試験化合物を含むアッセイ培地をピペッティングして、コラーゲンプラグ上に載せる。このプラグを、加湿インキュベーター(37℃、5%CO2)内に24〜48時間置く。血管新生は、スプラウトの数を計数するか、平均スプラウト長を測定するか、又は積算スプラウト長を決定することにより定量する。このアッセイは、アッセイ培地を除去し、1ウェル当たりHanks BSS中の1mlの10%パラホルムアルデヒドを添加し、4℃で保存することにより、後の解析のために保存することができる。これらの結果は、眼球起源の細胞を含む、試験された様々な細胞型における血管新生を阻害する化合物を同定していると考えられる。
(実施例114:PI3K-δ阻害剤とIgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤の併用)
本明細書に提供される化合物は、IgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与したとき、相乗的又は相加的効力を示すことができる。IgE産生を阻害する薬剤としては、例えば、TEI-9874、2-(4-(6-シクロヘキシルオキシ-2-ナフチルオキシ)フェニルアセトアミド)安息香酸、ラパマイシン、ラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ)、TORC1阻害剤、TORC2阻害剤、並びにmTORC1及びmTORC2を阻害する任意の他の化合物のうちの1つ又は複数が挙げられる。IgE活性を阻害する薬剤としては、例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ及びTNX-901が挙げられる。
PI3K-δを阻害することができる対象化合物のうちの1つ又は複数は、自己免疫及び炎症性疾患(AIID)、例えば、関節リウマチの治療において有効であり得る。該化合物のうちのいずれかが望ましくないレベルのIgE産生を引き起こす場合、それを、IgE産生又はIgE活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与することを選ぶことができる。さらに、mTORの阻害剤と組み合わせた本明細書に提供されるPI3K-δ又はPI3K-δ/γ阻害剤の投与は、PI3K経路の阻害の増強を介する相乗効果を示すこともできる。限定されないが、(a)インビトロB細胞抗体産生アッセイ、(b)インビボTNPアッセイ、及び(c)齧歯類コラーゲン誘導関節炎モデルを含む、様々なインビボ及びインビトロモデルを用いて、AIIDに対するそのような組合せ治療の効果を立証することができる。
(a)B細胞アッセイ
マウスを安楽死させ、脾臓を摘出し、ナイロンメッシュに通して分散させ、単一細胞懸濁液を作製する。脾細胞を(浸透圧ショックによる赤血球除去の後に)洗浄し、抗CD43抗体及び抗Mac-1抗体コンジュゲートマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)とともにインキュベートする。ビーズ結合細胞を、磁気セルソーターを用いて未結合細胞から分離する。磁化カラムは不要な細胞を保持し、静止期B細胞はフロースルー中に回収される。純化したB細胞を、リポ多糖又は抗CD40抗体及びインターロイキン4で刺激する。刺激したB細胞を、ラパマイシン、ラパログ、もしくはmTORC1/C2阻害剤などのmTOR阻害剤とともに、又はこれらの阻害剤なしで、ビヒクルのみ又は本明細書に提供されるPI3K-δ阻害剤で処理する。これらの結果は、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン)のみの存在下では、IgG及びIgE応答に対する実質的効果が皆無か又はそれに近いことを示していると考えられる。しかしながら、PI3K-δ及びmTOR阻害剤の存在下では、B細胞は、ビヒクルのみで処理したB細胞と比べて、IgG応答の減少を示すと考えられ、また、B細胞は、PI3K-δ阻害剤のみで処理したB細胞からの応答と比べて、IgE応答の減少を示すと考えられる。
(b)TNPアッセイ
マウスをTNP-Ficoll又はTNP-KHLで免疫化し、ビヒクル、PI3K-δ阻害剤、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、又はmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンと組み合わせたPI3K-δ阻害剤:で処置する。抗原特異的血清IgEを、TNP-BSAコートプレート及びアイソタイプ特異的標識抗体を用いるELISAにより測定する。mTOR阻害剤のみで処置したマウスは、ビヒクル対照と比べて、抗原特異的IgG3応答に対する実質的効果をほとんど又は全く示さず、また、統計的に有意なIgE応答の上昇を全く示さないと考えられる。また、PI3K-δ阻害剤とmTOR阻害剤の両方で処置したマウスが、ビヒクルのみで処置したマウスと比べて、抗原特異的IgG3応答の低下を示すと考えられる。さらに、PI3K-δ阻害剤とmTOR阻害剤の両方で処置したマウスが、PI3K-δ阻害剤のみで処置したマウスと比べて、IgE応答の減少を示す。
(c)ラットコラーゲン誘導関節炎モデル
0日目に、雌Lewisラットを麻酔し、先に記載したように調製及び投与されるコラーゲン注射を与える。6日目に、動物を麻酔し、2回目のコラーゲン注射を与える。9日目に、正常な(疾患前の)左右の足首関節のカリパス測定を行なう。通常、10〜11日目に関節炎が生じ、ラットを無作為に処置グループに分ける。無作為化は、足首関節の腫脹が明白に確立され、両側性疾患の証拠が見られた後に行なう。
実験に登録する動物を選択した後、処置を開始する。動物に、ビヒクル、PI3K-δ阻害剤、又はラパマイシンと組み合わせたPI3K-δ阻害剤を与える。投与は1〜6日目に行なう。関節炎確立後の1〜7日目にラットの重量を測定し、足首のカリパス測定を毎日行なう。7日目に最終的な体重を測定し、動物を安楽死させる。
本明細書に提供される化合物とラパマイシンを用いる組合せ処置は、PI3K-δ阻害剤のみでの処置よりも大きい効力をもたらすことができる。
本明細書に提供される特定の化合物(例えば、化合物5、38、103、及び106)を、上記の手順と実質的に同様の手順を用いて、ラットコラーゲン誘導関節炎モデルにおいて試験し、試験した化合物の全てが50mg/kg未満のEC50値を示した。
(実施例115:遅延型過敏症モデル)
0日目及び1日目に、60匹のBALB/c雄マウスを、4:1アセトン/オリーブ油混合物中の0.05%2,4ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)の溶液で感作することにより、DTHを誘導した。マウスを軽く抑えながら、20μLの溶液を各マウスの後足蹠に適用した。マウスの後足蹠は、麻酔なしで容易に隔離及び固定することができる解剖学的部位であるので、それらを用いた。5日目に、マウスに、単一用量のビヒクル、10、3、1、もしくは0.3mg/kgの本明細書に提供される化合物、又は5mg/kgの用量のデキサメタゾンを経口強制飼養で投与した。30分後、マウスを麻酔し、4:1アセトン/オリーブ油溶液中の0.25%DNFBの溶液を左の内耳及び外耳表面に適用した。この適用は、左耳への腫脹の誘発をもたらし、これらの条件下では、全ての動物が、耳の腫脹を伴って、この処置に応答した。4:1アセトン/オリーブ油のビヒクル対照溶液を右の内耳及び外耳に適用した。24時間後、マウスを麻酔し、デジタル式マイクロメータを用いて、左耳及び右耳の測定を行なった。2つの耳の相違を、DNFBの投与により誘発される腫脹の量として記録した。薬物処置グループをビヒクル対照と比較して、耳の腫脹の低下率を出した。デキサメタゾンは、それが広範な抗炎症活性を有するので、陽性対照としてルーチンに用いられる。
(実施例116:ペプチドグリカン-多糖ラット関節炎モデル)
(a)全身関節炎モデル
注射は全て麻酔下で行なう。60匹の雌Lewisラット(150〜170)を、小型の動物麻酔器を用いて、吸入イソフルランにより麻酔する。動物を、O2中4〜5%イソフルランの送達により麻酔されるまで誘導チャンバーに入れ、その後、手術台上のノーズコーンを用いて、その状態で保持する。イソフルランの維持レベルは1〜2%とする。動物に、0.85%滅菌食塩水に懸濁させた精製PG-PS 10S A群、D58株(濃度25μg/g体重)の単回注射を腹腔内(i.p.)注射する。各動物は、23ゲージの針が付いた1ミリリットル注射器を用いて左下腹部に投与される500マイクロリットルの総容量を受容する。針の配置は、PG-PS 10Sを胃又は盲腸のどちらかに注射するのを避けるために極めて重要である。麻酔から完全に回復し、ケージを動き回るまで、動物を絶えず観察下に置く。足首測定値の急増、通常、ベースライン測定値の20%超の急性応答は、注射後3〜5日でピークに達することがある。試験化合物による処置は、PO、SC、IV、又はIPであることができる。ラットには、24時間の時間間隔で2回しか投与しない。処置は、0日目又はその後30日目までの任意の日に始めることができる。0日目、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目に、動物の重量を測定し、12〜30日目に、又は実験を終了するまで再開する。注射前の0日目に、並びに1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、及び7日目に再び、デジタル式カリパスを用いて、左側と右側で足/足首直径を測定する。12日目に、測定を再開し、30日目まで継続する。この時点で、動物を、上記のようにイソフルランで麻酔することができ、化合物の血液レベル、臨床化学、又は血液学的パラメータの評価のために、最終的な血液試料を尾静脈採血で得ることができる。その後、動物を二酸化炭素過剰投与で安楽死させる。死亡確認の手段として、開胸術を実施することができる。
(b)単関節炎モデル
注射は全て麻酔下で行なう。60匹の雌Lewisラット(150〜170)を、小型の動物麻酔器を用いて、吸入イソフルランにより麻酔する。動物を、O2中4〜5%イソフルランの送達により麻酔されるまで誘導チャンバーに入れ、その後、手術台上のノーズコーンを用いて、その状態で保持する。イソフルランの維持レベルは1〜2%とする。動物に、0.85%滅菌食塩水に懸濁させた精製PG-PS 100P A群、D58株(濃度500ug/mL)の単回注射を関節内(i.a.)注射する。各ラットは、27ゲージの針が付いた1ミリリットル注射器を用いて脛距関節空間に投与される10マイクロリットルの総容量を受容する。麻酔から完全に回復し、ケージを動き回るまで、動物を絶えず観察下に置く。2〜3日後に応答し、足首測定値が急増し、通常、最初のi.a.注射時のベースライン測定値の20%超となる動物を実験に含める。14日目に、全てのレスポンダーを、先に記載した手順を用いて再び麻酔する。動物は、PG-PS(濃度250uL/mL)の静脈内(I.V.)注射を受容する。各ラットは、27ゲージの針が付いた1ミリリットル注射器を用いて側尾静脈にゆっくりと投与される400マイクロリットルの総容量を受容する。ベースライン足首測定値をIV注射の前に測定し、炎症の全期間を通して又は10日目に達するまで継続する。試験化合物による処置は、PO、SC、IV、又はIPである。ラットには、24時間の時間間隔で2回しか投与しない。処置は、0日目又はその後24日目までの任意の日に始めることができる。0日目、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目に、動物の重量を測定し、14〜24日目に、又は実験を終了するまで再開する。注射前の0日目、並びに1日目、2日目、3日目、4日目、5日目に再び、デジタル式カリパスを用いて、左側と右側で足/足首直径を測定し、14〜24日目に、又は実験を終了するまで再開する。この時点で、動物を、上記のようにイソフルランで麻酔することができ、化合物の血液レベル、臨床化学、又は血液学的パラメータの評価のために、最終的な血液試料を尾静脈採血で得ることができる。その後、動物を二酸化炭素過剰投与で安楽死させる。死亡確認の手段として、開胸術を実施することができる。
(実施例117:喘息のマウスモデル)
喘息の治療、予防、及び/又は管理における本明細書に提供される化合物の効力は、例えば、Nialsらの文献、Dis Model Mech. 1(4-5): 213-220 (2008)に記載の様々なマウスモデルを含む従来の動物モデルを用いて評価することができる。
(a)急性アレルゲン刺激モデル
いくつかのモデルが当技術分野で公知であり、そのようなモデルのいずれかを使用することができる。様々なアレルゲンを用いて、喘息様状態を誘導することができるが、その原理は、これらの方法を通じて一貫している。簡潔に述べると、喘息様状態は、アジュバント、例えば、水酸化アルミニウムの存在下でのアレルゲン(例えば、ova、イエダニ抽出物、及びゴキブリ抽出物)の複数回の全身投与によって誘導される。或いは、アジュバントを含まない系を使用することができるが、それは通常、好適な感作を達成するために、より多くの回数の暴露を必要とする。ひとたび誘導されると、動物は、臨床的喘息の多くの重要な特徴、例えば:IgEレベルの上昇;気道炎症;杯細胞過形成;上皮肥大;特定の刺激に対するAHR;並びに初期及び後期気管支収縮を示す。したがって、化合物の潜在的効力は、これらの臨床的特徴のうちの1つ又は複数を逆転又は軽減するかどうかを決定するによって評価することができる。
(b)慢性アレルゲン刺激モデル
慢性アレルゲン刺激モデルは、急性刺激モデルよりも多くの臨床的喘息の特徴、例えば、気道リモデリング及び持続性AHRを再現することを狙いとしている。急性アレルゲン刺激モデルで使用されるものと同様のアレルゲンを使用することができる一方、慢性アレルゲン刺激モデルでは、動物が、最大12週間にわたる低レベルのアレルゲンへの気道の反復暴露を受ける。ひとたび誘導されると、動物は、ヒト喘息の重要な特徴、例えば:アレルゲン依存性感作;気道粘膜への好酸球流入を特徴とするTh2依存性アレルギー性炎;AHR;及び杯細胞過形成、上皮肥大、上皮下又は細気管支周囲線維化から明らかな気道リモデリングを示す。したがって、化合物の潜在的効力は、これらの臨床的特徴のうちの1つ又は複数を逆転又は軽減するかどうかを決定するによって評価することができる。
(実施例118:乾癬のモデル)
乾癬の治療、予防、及び/又は管理における本明細書に提供される化合物の効力は、例えば、Boehnckeらの文献、Clinics in Dermatology, 25: 596-605 (2007)に記載の様々なマウスモデルを含む、従来の動物モデルを用いて評価することができる。
一例として、Hongらの文献、J. Immunol., 162: 7480-7491 (1999)に記載のCD4+CD45RBhi T細胞の養子免疫伝達に基づくマウスモデルを作製することができる。簡潔に述べると、雌BALB/cBY(ドナー)及びC.B.-17/Prkdc scid/scid(レシピエント)マウスを特定病原体未感染環境で飼育し、6〜8週齢で使用する。マウスCD4濃縮キットを用いて、CD4+ T細胞をBALB/cBy脾細胞から濃縮する。その後、該細胞をPEコンジュゲート抗CD4、FITCコンジュゲート抗CD45RB、及びAPCコンジュゲート抗CD25抗体で標識する。セルソーターを用いて細胞を選別する。CD4+CD45RBhiCD25細胞を回収する。細胞を食塩水に再懸濁させ、4×108細胞/マウスをC.B.-17/Prkdc scid/scidマウスにi.p.注射する。必要な場合、マウスに、LPS、サイトカイン、又は抗体を投与してもよい。マウスを、皮膚病変の外部兆候について、毎週2回モニタリングする。終了後、さらなるエクスビボ研究のために、耳、背部皮膚、リンパ節、及び脾臓を回収してもよい。
(実施例119:強皮症のモデル)
強皮症の治療における化合物の効力を、動物モデルを用いて試験することができる。例示的な動物モデルは、例えば、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、Yamamotoらの文献、J Invest Dermatol 112: 456-462 (1999)に記載されている、ブレオマイシン(「BLM」)の反復局所注射により誘導される強皮症のマウスモデルである。このマウスモデルは、組織学的にも生化学的にも全身性硬化症によく似ている皮膚硬化を提供する。このモデルで観察される硬化性変化としては:肥厚した均質なコラーゲン束及び細胞濾液(cellular filtrates);肥満細胞数の漸増;肥満細胞の脱顆粒;ヒスタミン放出の亢進;皮膚内のヒドロキシプロリンの増加;血清中の抗核酸抗体の存在;並びに形質転換成長因子β-2 mRNAの強い発現が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、強皮症の治療における化合物の効力は、これらの変化のうちの1つ又は複数の軽減をモニタリングすることによって評価することができる。
簡潔に述べると、以下の例示的手順を用いて、強皮症のマウスモデルを作製することができる:特定病原体に感染していない6週齢の体重約20gの雌BALB/Cマウス及びC3Hマウスを購入し、食餌及び水を適宜に与えて維持する。BLMを様々な濃度でPBSに溶解させ、濾過滅菌する。各々の濃度のBLM又はPBSのアリコートを、マウスの剃毛した背中に、1〜4週間毎日、針で皮下注射する。或いは、マウスに1日おきに注射する。
誘導される組織病理学的及び生化学的変化は、本分野で一般に実施される任意の方法を用いて評価することができる。例えば、組織病理学的変化は、抗L3T4モノクローナル抗体、抗Lyt2モノクローナル抗体、抗マウス汎組織固定マクロファージ抗体、抗幹細胞因子モノクローナル抗体、抗形質転換成長因子-βポリクローナル抗体、及び抗デコリン抗体を用いる標準的なアビジン-ビオチンペルオキシダーゼ技術を用いて評価することができる。細胞浸潤物のサイトカイン発現は、いくつかの抗サイトカイン抗体を用いて評価することができる。ヒドロキシプロリンレベルは、皮膚片を塩酸で加水分解し、水酸化ナトリウムで中和し、加水分解物を560nmでp-ジメチルアミノベンズアルデヒドを用いて比色評価することにより評価することができる。ペプシン耐性コラーゲンは、生検組織から抽出されたコラーゲン試料を処理し、ポリアクリルアミドスタッキングゲル電気泳動によって解析することにより評価することができる。肥満細胞は、トルイジンブルーで同定することができ、異染顆粒(matachromatic granule)を含む細胞を高解像度の光学顕微鏡下で計数することができる。様々なサイトカインの血清レベルは、酵素結合免疫吸着アッセイにより評価することができ、サイトカインのmRNAレベルは、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応により評価することができる。血清中の自己抗体は、3T3線維芽細胞をスクリーニングの基質として用いて検出することができる。
(実施例120:筋炎のモデル)
筋炎(例えば、皮膚筋炎)の治療における化合物の効力を、当技術分野で公知の動物モデルを用いて試験することができる。1つのそのような例は、Hargisらの文献、AJP 120(2): 323-325 (1985)に記載の家族性イヌ皮膚筋炎モデルである。別の例は、Phyanagiらの文献、Arthritis & Rheumatism, 60(10): 3118-3127 (2009)に記載のウサギミオシン誘導性マウスモデルである。
簡潔に述べると、5週齢の雄SJL/Jマウスを使用する。ウサギ骨格筋由来の精製ミオシン(6.6mg/ml)を等量のフロイントの完全アジュバント及び3.3mg/mlのマイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)とともに乳化する。マウスを乳化したウサギミオシンで繰り返し免疫化する。ひとたび筋炎が誘導されると、炎症細胞濾過(inflammatory cell filtration)及び壊死筋線維がこのモデルで明白になるはずである。動物の筋肉において、CD4+ T細胞は、主に、筋周膜(perimysum)に位置し、CD8+ T細胞は、主に、筋内膜に及び非壊死性筋線維の周囲に位置する。筋肉において、TNFα、IFNγ、及びパーフォリンが上方調節され、細胞間接着分子1が増加する。
化合物の効力を評価するために、該化合物を適切な経路を介して指定された用量で投与した後、マウスを屠殺し、筋組織を回収する。該筋組織を、液体窒素中で予冷した冷却イソペンタン中ですぐに凍結し、その後、クライオスタット切片を調製する。該切片を、浸潤細胞の数を計数するために、ヘマトキシリン及びエオシンで染色する。各々のマウス由来の3つの切片を調製し、顕微鏡写真を取得する。免疫組織化学的検査のために、筋肉のクライオスタット切片を乾燥させ、冷アセトン中、-20℃で固定する。スライドをPBS中で再水和し、その後、内在性の過酸化物活性を1%過酸化水素中でのインキュベーションにより遮断する。該切片を、抗体希釈剤中のラット抗マウスCD4モノクローナル抗体、ラット抗マウスCD8モノクローナル抗体、ラット抗マウスF4/80モノクローナル抗体、又は正常ラットIgGとともに一晩インキュベートした。試料をPBSで洗浄し、5%正常マウス血清で前処理したビオチンコンジュゲートウサギ抗ラットIgGとともにインキュベートする。PBSで洗浄した後、試料をストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼとともにインキュベートする。PBSで洗浄した後、ジアミノベンジジンを可視化に使用する。
(実施例121:シェーグレン症候群のモデル)
シェーグレン症候群の治療における化合物の効力を、当技術分野で公知の動物モデル、例えば、Chioriniらの文献、Journal of Autoimmunity 33: 190-196 (2009)に記載のものを用いて試験することができる。例としては:NZWマウスと交配したNZBマウスの雑種第一世代で自然発症するマウスモデル(例えば、Jonssonらの文献、Clin Immunol Immunopathol 42: 93-101 (1987)参照;不完全フロイントアジュバントのi.p.注射によって誘導されるマウスモデル(同上; Deshmukhらの文献、J Oral Pathol Med 38: 42-27 (2009));シェーグレンの表現型が特定の遺伝子型によって発症するNODマウスモデル(例えば、Chaらの文献、Arthritis Rheum 46: 1390-1398 (2002); Kongらの文献、Clin Exp Rheumatol 16: 675-681 (1998); Podolinらの文献、J Exp Med 178: 793-803 (1993); and Rasoolyらの文献、Clin Immunol Immunopathol 81: 287-292 (1996)参照);自然発症lpr突然変異で発症するマウスモデル;Id3ノックアウトマウスで発症するマウスモデル(例えば、Liらの文献、Immunity 21: 551-560 (2004)参照);PI3Kノックアウトマウスで発症するマウスモデル(例えば、Oakらの文献、Proc Natl Acad Sci USA 103: 16882-16887 (2006)参照);BAFF過剰発現トランスジェニックマウスで発症するマウスモデル(例えば、Groomらの文献、J Clin Invest 109: 59-68 (2002)参照);BALB/cマウスへのRo抗原の注射により誘導されるマウスモデル(例えば、Oh-Horaらの文献、Nat. Immunol 9: 432-443 (2008)参照);炭酸脱水酵素II型の注射により誘導されるマウスモデル(例えば、Nishimoriらの文献、J Immunol 154: 4865-4873 (1995)参照;IL-14過剰発現トランスジェニックマウスで発症するマウスモデル(例えば、Shenらの文献、J Immunol 177: 5676-5686 (2006)参照);及びIL-12発現トランスジェニックマウスで発症するマウスモデル(例えば、McGrath-Morrowらの文献、Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 291: L837-846 (2006)参照)が挙げられる。
(実施例122:免疫複合体媒介性疾患のモデル)
アルツス反応は、免疫複合体に対する3型免疫応答であり、したがって、免疫複合体媒介性疾患、例えば、関節リウマチ、狼瘡、及び他の自己免疫疾患の治療仮説を支持する機械論的モデルであることができる。例えば、PI3Kγ及びδ欠損マウスは、アルツス反応の実験モデルとして使用され、免疫複合体媒介性疾患の治療に関する化合物の治療的潜在能力の評価を提供することができる。アルツス反応は、Konradらの文献、Journal of Biological Chemistry (2008 283(48): 33296-33303に記載されているような、以下の例示的手順を用いて誘導することができる。
PI3Kγ-及びPI3Kδ-欠損マウスを乾燥障壁条件下で維持する。マウスをケタミン及びキシラジンで麻酔し、気管にカニューレを挿入する。適量のプロテインG精製抗OVA IgG Abを適用し、適量のOVA抗原を静脈内投与する。PI3K遮断実験のために、抗OVA igGを適用するとともに、ウォルトマンニン(wortmanin)を気管内投与する。炎症開始の2〜4時間後にマウスを屠殺し、当技術分野で公知の方法を用いて所望の経過観察評価を実施することができる。
(実施例123:アイソフォーム選択的細胞アッセイ)
(a)PI3Kδ選択的アッセイ
PI3Kδの選択的阻害における化合物の能力を、RAJI細胞、すなわち、リンパ腫患者に由来するBリンパ球細胞を用いて評価することができる。簡潔に述べると、血清飢餓RAJI細胞を抗ヒトIgMで刺激し、それにより、例えば、Heらの文献、Leukemia Research (2009) 33: 798-802に記載されているような、B細胞受容体を介するシグナル伝達を引き起こす。B細胞受容体シグナル伝達は、B細胞及び特定のB細胞由来癌の活性化、分化、及び生存に重要である。ホスホ-AKTの低下は、特定の疾患におけるB細胞の増殖及び機能を阻害し得る化合物を示す。刺激されたRAJI細胞におけるホスホ-AKTの低下を(例えば、ホスホ-AKT抗体を用いて)モニタリングすることにより、PI3Kδの選択的阻害における化合物の潜在的効力を評価することができる。
本明細書に提供される特定の化合物(例えば、化合物5、38、103、105、106、107、108、及び109)を、上記のような手順を用いて、RAJI細胞モデルで試験した。ホスホ-AKTのIC50値は、以下の通りであることが分かり:化合物5、38、103、105、106、107、108、及び109は、100nM未満の範囲であった。
(b)PI3Kγ選択的アッセイ
PI3Kγの選択的阻害における化合物の能力を、RAW264.7マクロファージを用いて評価することができる。簡潔に述べると、血清飢餓PAW264.7細胞を既知のGPCRアゴニストC5aで刺激する(例えば、Campsらの文献、Nature Medicine (2005) 11(9): 936-943参照)。細胞を、C5aによる刺激の前に、それと同時に、又はその後に、試験化合物で処理することができる。RAW 264.7細胞は、C5a受容体の活性化によって補体成分断片C5aに応答し、C5a受容体は、マクロファージを活性化し、細胞遊走を誘導する。C5a媒介性AKTリン酸化を阻害する試験化合物の能力は、PI3Kγの選択的阻害を示す。したがって、刺激されたRAW 264.7細胞におけるホスホ-AKTの低下を(例えば、ホスホ-AKT抗体を用いて)モニタリングすることにより、PI3Kγの選択的阻害における化合物の潜在的効力を評価することができる。
本明細書に提供される特定の化合物(例えば、化合物5、38、103、105、106、107、108、及び109)を、上記のような手順を用いて、RAW 264.7細胞モデルで試験した。ホスホ-AKTのIC50値は、以下の通りであることが分かり:化合物5は、100nM未満の範囲であり;化合物38、103、105、107、及び109は、100nM〜1μMの範囲であり;化合物106及び108は、1μM〜10μMの範囲であった。
(c)PI3Kα選択的アッセイ
PI3Kαの選択的阻害における化合物の能力を、SKOV-3細胞、すなわち、ヒト卵巣癌細胞株を用いて評価することができる。簡潔に述べると、突然変異体PI3Kαが構成的活性型であるSKOV-3細胞を試験化合物で処理することができる。したがって、SKOV-3細胞におけるAKTリン酸化を阻害する試験化合物の能力は、PI3Kαの選択的阻害を示す。したがって、(例えば、ホスホ-AKT抗体を用いて)SKOV-3細胞におけるホスホ-AKTの低下をモニタリングすることにより、PI3Kαの選択的阻害における化合物の潜在的効力を評価することができる。
本明細書に提供される特定の化合物(例えば、化合物5、38、103、及び106)を、上記のような手順を用いて、SKOV-3細胞モデルで試験した。ホスホ-AKTのIC50値は、以下の通りであることが分かり:化合物5、103、及び106は、100nM〜1μMの範囲であり;化合物38は、1μM〜10μMの範囲であった。
(d)PI3Kβ選択的アッセイ
PI3Kβの選択的阻害における化合物の能力を、786-O細胞、すなわち、ヒト腎臓癌細胞株を用いて評価することができる。簡潔に述べると、PI3Kβが構成的活性型である786-O細胞を試験化合物で処理することができる。したがって、786-O細胞におけるAKTリン酸化を阻害する試験化合物の能力は、PI3Kβの選択的阻害を示す。したがって、786-O細胞におけるホスホ-AKTの低下を(例えば、ホスホ-AKT抗体を用いて)モニタリングすることにより、PI3Kβの選択的阻害における化合物の潜在的効力を評価することができる
本明細書に提供される特定の化合物(例えば、化合物5、38、103、及び106)を、上記のような手順を用いて、786-O細胞モデルで試験した。ホスホ-AKTのIC50値は、以下の通りであることが分かり:化合物103及び106は、100nM〜1μMの範囲であり;化合物5及び38は、1μM〜10μMの範囲であった。