JP5123448B2 - 制電性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制電性樹脂組成物に関し、さらに詳細には、表面固有抵抗値、透明性、成形性などに優れた制電性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
制電性樹脂およびその組成物は、産業界において広く普及し、さまざまな用途に利用されている。この制電性樹脂およびその組成物としては、例えば、各樹脂に対してカーボンブラックなどの導電性充填材を高充填した組成物があり、経済性に優れることもあって、産業界を中心として広く利用されている。また、界面活性剤や親水性セグメントを構造中に有する制電性樹脂をポリマーアロイ化してなる制電性樹脂組成物も広く普及しており、さまざまな用途に応用されている。
ところで、近年、制電性樹脂およびその組成物は、集積回路(以下、「IC」と略す。)チップの包装関係に普及し、材料のバリエーションも汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックスに至るまで多様化している。また、用いられる導電性充填材も、カーボンブラック以外に、炭素繊維、黒鉛、金属コート充填材、金属繊維などが、目的および機能に応じて広く使い分けられている。ICチップの包装、搬送に使用されるICの搬送用トレイ(以下、「トレイ」と略す。)などの素材としての制電性樹脂組成物は、軽量化、薄肉化、コンパクト化が検討されるようになり、強度と高い剛性が求められる傾向にある。さらに、ICの種類の識別などを目的として、トレイ、キャリアテープにも着色性など意匠性の要求もある。導電性充填材におけるカーボンブラックは、経済的であり、表面固有抵抗値の低いものが得られが、帯電領域の抵抗値では安定した電気特性が得られない、黒色に限定されるという問題点と、カーボンブラックを配合することによって、成形加工性や材料強度などに問題が生じることから、通常は種々の改質材(加工性向上材、剛性向上材)と共に複合化されて使用されている。
【0003】
帯電防止剤は、表面にブリードさせて機能を持たせる界面活性型のものと、いわゆる高分子型帯電防止剤と称する親水性高分子材料をポリマーアロイ化することによって機能を発現させるものがある。高分子型帯電防止剤は、熱可塑性樹脂に対し、親水性高分子をポリマーアロイ化することによって、永久的な制電性能が付与されるため、産業上の利用価値が高い。しかしながら、アロイ化される制電性樹脂の添加量は、比較的多く必要であり、制電性樹脂が親水性セグメントであり、柔軟性を有するものが多いため、材料の剛性が低下し、成形品の変形が生じる。これらの樹脂については、無機質の充填材、例えば、ガラス繊維などを併用することによって改質が試みられているが、上記の制電性樹脂組成物と同様、表面に、艶ムラ、ウェルドマーク、フラッシュマーク、毛羽立ちなどの成形品の表面平滑性が満足のいくものが得られ難いという問題がある。表面平滑性が阻害されると、表面固有抵抗値のバラツキが生じたり、電気電子用品の接触状態に影響を及ぼすことによって制電機能が阻害されることもある。
いずれも、帯電防止レベルとされている表面固有抵抗値は、通常、1010〜1013Ω/sq.のものまでである。
【0004】
近年、ICや大規模集積回路(以下、「LSI」と略す。)などの高機能化と大容量化によってトレイなどに使用される素材に安定した電気特性が要求されるようになってきている。
しかし、従来のようなカーボンブラックによって、表面固有抵抗の低い樹脂組成物が圧倒的に多く使用されており、耐衝撃強度の向上のために、無機の充填材が比較的多量に添加される例が一般的である。しかしながら、無機系の充填材として広く使用されているマイカ、タルクなどは、比較的多量に添加されるため、導電性充填材によって構成されている材料は、加工性の低下などを助長するほか、導電性のバラツキが大きくなるなどの問題がある。従って、本発明の目的とする帯電防止のレベルでの安定した電気特性を得ることが困難である。
【0005】
一方、これらの強度特性の低下を防ぐために、ガラス繊維、炭素繊維などのチョップ繊維を併用する例もあるが、これらのチョップ繊維は、剛性、強度の付与には効果的ではあるものの、艶ムラ、ウェルドマーク、フラッシュマーク、毛羽立ちなどの成形品の表面平滑性が満足のいくものではない。さらに、成形品の表面状態の悪化とともに、機器との接触が不充分となり、電荷の漏洩に支障を来す。
【0006】
一方、家庭用、業務用の電化製品の外装材には、樹脂が広く使用されている。特にテレビ、ステレオなどの電化製品は、静電気を帯びやすく、ほこりがつきやすい。またショーケース材料にも樹脂材料が使用されているが、やはり、ほこりなどを好まれない分野で、静電気防止対策が望まれている。このような特に意匠性が求められる分野においては、カーボンブラックなどの添加は不向きであり、事実上対策がほとんど取られていないのが現状である。また、近年、合成繊維から作られた衣服の需要が高まっている反面、その高い静電気を発することにより、嫌われている面もある。
さらに、カーボンブラックや無機系充填材を添加した場合、透明性に優れた制電性樹脂組成物を得ることは不可能であり、制電性樹脂組成物としての用途は限られたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の技術的課題を解決するものであり、表面固有抵抗値を低く安定して保ち、さらには必要に応じて剛性、強度、成形性、表面平滑性、寸法安定性などの制御可能で、透明性および/または意匠性に優れた制電性樹脂組成物を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、(a)熱可塑性樹脂(ポリ乳酸系樹脂を除く)、(b)ポリエーテルエステルアミド樹脂、ポリエステルエラストマー、脂肪族ポリエステル、ポリウレタンエラストマーおよびポリアミドエラストマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂〔ただし、上記(a)成分を除く〕、ならびに、(c)LiClO4,Na ClO4,Mg(ClO4)2,KClO4,(CF3SO3)Li,(CF3SO2)2NLi,(CF3SO2)2NNa,(CF3SO2)3CLiおよび(CF3SO2)3CNaからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属塩、および
(d)アジピン酸ジブトキシエトキシエチル(すなわち、ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート)およびビス(2−ブトキシエチル)フタレートから選ばれた少なくとも1種
を含有し、かつ、上記(a)成分/(b)成分の配合割合が、75〜97重量部/25〜3重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕であり、(a)成分および(b)成分の合計100重量部に対する(c)成分の割合が0.001〜30重量部、(a)成分および(b)成分の合計100重量部に対する(d)成分の割合が0.1〜20重量部であることを特徴とする制電性樹脂組成物である。
請求項2に記載の発明は、 さらに、(e)繊維状および/または鱗片状の無機充填材を(a)〜(d)成分の合計100重量部に対し、3〜80重量部含有する請求項1記載の制電性樹脂組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
(a)熱可塑性樹脂;
本発明の組成物に用いられる(a)熱可塑性樹脂は、いかなるものでもよいが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの(メタ)アクリル酸エステル重合体、(メタ)アクリル酸重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのビニルモノマー重合体、または、共重合体;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低圧法低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などのα−オレフィンどうしもしくはα−オレフィンと他のモノマーとの共重合体;ナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリフェニレンオキシドなどの芳香族ポリエーテル;ポリカーボネート;ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのスルホン系ポリマーなどが挙げられる。
本発明においては、上記の(a)熱可塑性樹脂の中から1種または2種以上の混合物が目的に応じて適宜選択される。
【0010】
なかでも、成形性の点から、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのビニルモノマー重合体または共重合体;ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体や結晶性プロピレン−ブテン1共重合体などの結晶性プロピレン共重合体、ナイロン、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましく、特にポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのビニルモノマー重合体または共重合体が好ましい。汎用的な用途の制電性樹脂組成物を得るには、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、透明性を要求される用途の制電性樹脂組成物を得るには、透明性を有する(a)熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、透明ABS樹脂などが好ましい。また、耐熱性の点からは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリイミド、芳香族ポリエーテルなどが好ましい。
【0011】
(b)極性基を有する熱可塑性樹脂;
本発明の組成物に用いられる(b)極性基を有する熱可塑性樹脂は、使用される(a)成分以外の、分子構造内に極性基を有するものであればいかなるものでもよいが、なかでも、熱可塑性エラストマーが好ましい。例えば、ポリエーテルエステルアミド樹脂、ポリエステルエラストマー、脂肪族ポリエステル、ポリウレタンエラストマー、およびポリアミドエラストマーなどが挙げられる。そのなかでも、特にポリエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。
また、(b)成分は、ガラス転移温度が60℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下、より好ましくは、30℃以下である。ガラス転移温度が60℃を超えると、充分な制電性効果を得ることができない。
【0012】
(b−1)ポリエーテルエステルアミド樹脂;本発明の(b−1)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、ポリエーテルセグメントを有する高分子の非イオン系界面活性剤の1種である。(b−1)ポリエーテルエステルアミド樹脂の具体例としては、ポリエチレングリコール系ポリエステルアミド共重合体や、好ましくは、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物および/またはポリオキシアルキレングリコールから誘導されるポリエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。
【0013】
(b−2)ポリエステルエラストマー;
本発明の(b−2)成分であるポリエステルエラストマーとは、分子内のハードセグメントとしてポリエステルを、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテルまたはポリエステルを用いた、マルチブロックコポリマーである。(b−2)成分としては、ハードセグメントとして、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用いたポリエステル/ポリエーテル型、ハードセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いたポリエステル/ポリエステル型などが挙げられる。
【0014】
ポリエステル/ポリエーテル型は、例えばテレフタル酸ジメチルと1,4ブタンジオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを出発原料として、エステル交換反応、重縮合反応によって合成されるものである。本発明の(b−2)成分としては、通常のポリエステルエラストマーが全て使用でき、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0015】
(b−3)脂肪族ポリエステル;
本発明の(b−3)成分である脂肪族ポリエステルは、生分解性として一般的に市販されているものも用いることができる。例えば、昭和高分子(株)より販売されている商品名ビオノーレ(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート)やダイセル化学工業(株)より販売されているセルグリーン(ポリカプロラクトン)などが挙げられるが、用途や特性に応じた樹脂を任意に選定することができる。工業的には、脂肪族ジカルボン酸と過剰のジオールを出発原料として、脱水重縮合反応および脱ジオール反応によって合成されるものなどが挙げられる。このような脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートおよびその共重合体が一般的であり、各種高分子量タイプが工業生産されている。
【0016】
本発明に好適に用いられる(b−3)脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート(コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合物)、ポリブチレンサクシネートアジペート(コハク酸およびアジピン酸、ならびに1,4−ブタンジオールの3元系縮合物)などが挙げられる。
また、本発明の(b−3)脂肪族ポリエステルには、イソシアネート基、ウレタン基といった反応基を構造中に導入することも可能である。さらに、本発明の(b−3)脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのような種々の共重合体を用いることもできる。
【0017】
(b−4)ポリウレタンエラストマー;
本発明のポリウレタンエラストマー(b−4)とは、ウレタン基を持つ熱可塑性エラストマーであり、ソフトセグメントとして長鎖グリコールとイソシアネートの反応で得られるポリウレタンと、ハードセグメントとして短鎖グリコールとイソシアネートからなるポリウレタンとの、直鎖状のマルチブロックコポリマーであり、必要に応じて、架橋剤(鎖延長剤)も用いられる。
ここで、長鎖グリコールの種類による一般的な分類としては、ポリエーテル系としてポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、あるいはそれらの共重合体が挙げられ、ポリエステル系としてポリアジペート、ポリラクトン、ポリカーボネート、脂肪族系としてポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられる。
【0018】
また、短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのような脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのような脂環族グリコール、ハイドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルのような芳香族グリコールが、通常、使用される。
一方、上記イソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4′&2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)などが用いられる。
また、上記架橋剤(鎖延長剤)としては、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)などの芳香族ジアミンなどが用いられる。
上記(b−4)ポリウレタンエラストマーは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0019】
(b−5)ポリアミドエラストマー;
本発明の(b−5)成分であるポリアミドとは、アミド結合をその繰り返し単位中に有するアミド系樹脂を総称するものであり、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12などや、ポリアミドポリエステル共重合体、ポリアミドポリエーテル共重合体などが挙げられる。
本発明の(b−5)成分であるポリアミドエラストマーとは、ハードセグメントであるポリアミド拘束相と、ソフトセグメントとしてポリエーテル、ポリエステル構造を有する熱可塑性エラストマーの総称である。例えば、ポリアミド(PA)拘束相としてPA12成分を用いたポリアミドエラストマーは、ラウロラクタム、ジカルボン酸、およびポリエーテルジオールを、ラクタム開環触媒としての水を加えて加圧加熱下の反応で、カルボキシルテレケリックナイロン12オリゴマーを得て、次にポリエーテルジオールとの縮合反応によって熱可塑性エラストマーを得る方法が挙げられる。ポリアミド拘束相としては、この他、PA6なども用いられる。
【0020】
ポリアミドエラストマーは、上記合成方法により、基本構造的には、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー、ポリエーテルエステルブロックポリアミドエラストマーの形態のものとなる。ここで、上記合成方法に使用されるジオールの種類などによって様々な特性を持ったポリアミドエラストマーが得られる。
ポリアミドエラストマーは、高い高温特性と機械特性、耐油性、低温特性などに優れているため、機械部品、自動車部品などの他、スポーツ用品関係など広範囲に使用されている。
【0021】
また、加工性、特性を改質する目的として、ポリアミド、ポリアミドエラストマーは、他の樹脂とポリマーアロイ、ポリマーブレンドとしての形態で使用することも可能である。
【0022】
本発明の(a)成分と(b)成分の好ましい組み合わせとしては、下記の組み合わせが挙げられる。
例えば、ABS樹脂とポリエーテルエステルアミド、ポリエステルエラストマー、脂肪族ポリエステル、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマーより選ばれた1種類以上の組み合わせが挙げられる。
また、透明性を要求される樹脂組成物を得ようとする場合は、ポリ(メタ)アクリル酸エステルとポリエーテルエステルアミド、脂肪族ポリエステルより選ばれた1種類以上の組み合わせが挙げられる。
【0023】
なお、(b)極性基を有する熱可塑性樹脂は、任意にカチオンがLi,Na ,K,Mg,Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属や、イオン解離可能なアニオンなどを含むイオン成分を予め少なくとも1種以上含有していても構わない。
【0024】
本発明の組成物において、(b)極性基を有する熱可塑性樹脂の使用割合は、(a)成分75〜97重量部に対し、(b)成分25〜3重量部、好ましくは(a)成分80〜95重量部、(b)成分20〜5重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕である。(b)成分の配合割合が25重量部を超えると、(a)成分の有する物理特性の大幅な低下を伴う。一方、(b)成分が3重量部未満では、制電効果が不充分である。
【0025】
(c)金属塩類;
(c)金属塩類のカチオンとなるアルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、例えば、Li,Na ,K,Mg,Caなどが挙げられる。カチオンとしては、イオン半径の小さいLi+,Na+,K+が好ましい。
また、本発明の金属塩類の構成要素であるイオン解離可能なアニオンとしては、例えば、Cl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO2)2N-,(CF3SO2)3C-などが挙げられる。好ましくは、ClO4 -,CF3SO3 -,(CF3SO2)2N-,(CF3SO2)3C-である。
上記カチオンおよびアニオンによって構成されている金属塩類は数多くあるが、中でも、LiClO4,Na ClO4,Mg(ClO4)2,KClO4,(CF3SO3)Li,(CF3SO2)2NLi,(CF3SO2)2NNa,(CF3SO2)3CLi,(CF3SO2)3CNaが好ましく、中でもLiClO4,Na ClO4が特に好ましい。
【0026】
(c)金属塩類の配合量は、(a)成分および(b)成分の合計100重量部に対し、0.001〜30重量部である。下限値は、好ましくは、0.003重量部、より好ましくは0.01重量部、さらに好ましくは0.1重量部である。また、上限値は、好ましくは25重量部、より好ましくは10重量部、さらに好ましくは、8重量部、特に好ましくは、5重量部である。0.001重量部未満では、充分な制電性が得られない。一方、30重量部を超えても、制電効果は向上せず、逆に結晶化の進行や材料劣化などを招き、制電効果は低下する。
【0027】
次に、本発明に用いられる(d)化合物は、本発明の組成物において、(c)金属塩の溶解性、解離安定性の上昇に効果がある。また、(c)金属塩は、単体だと可燃性が高いものや、吸湿性が特に高いものがほとんどで、(d)化合物にあらかじめ(c)金属塩を溶解させて使用することにより、工業生産の効率を促す。
【0028】
本発明の(d)成分は、−{O(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ分子鎖末端がCH3基および/またはCH2基である有機化合物である。上記分子鎖末端のCH2基とは、二重結合をしている炭素原子を有するものである。好ましくは、全ての分子鎖末端がCH3基および/またはCH2基である有機化合物である。上記分子鎖末端のCH2基とは、二重結合をしている炭素原子を有するものである。
本発明に用いられる(d)成分は、例えば、炭素数1〜9の直鎖、または分岐脂肪族アルコール1モルに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜7モル付加して得られるアルコールと、二塩基酸とを原料として、一般的なエステル化合物の製造方法によって製造することができる。
【0029】
ここで、上記アルコールの例としては、プロパノール1モルにエチレンオキシド1〜7モル、プロピレンオキシド1〜4モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ブタノールにエチレンオキシド1〜6モルまたはプロピレンオキシド1〜3モル、ヘキサノールにエチレンオキシド1〜2モル、ペンタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、オクタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ノナノールにエチレンオキシド1〜4 モル、プロピレンオキシド1〜2モル、またはブチレンオキシド1〜2モルを、それぞれ、付加させたヒドロキシル化合物が挙げられる。
なお、これらの化合物の中で、ブタノール1モルにエチレンオキシド2モルを付加させた2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ブタノール1モルにエチレンオキシド1モルを付加させた2−ブトキシエタノールが、加工性とのバランスに良い。
また、上記二塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、コハク酸などのカルボン酸、およびこれらのカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0030】
上記原料を使用して製造される(d)成分として、末端にヒドロキシル基を有さないアルキル基である化合物である。特に好ましくは、下記化学式(1)に示されるアジピン酸ジブトキシエトキシエチル(ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート)、または下記化学式(2)に示されるビス(2−ブトキシエチル)フタレートである。
【0031】
【0033】
(d)化合物を添加する場合の添加量は、(a)成分および(b)成分の合計100重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。0.1重量部未満では、充分な導電性を得ることが難しく、一方、20重量部を超えると、得られる組成物の粘度が著しく低下し、成形加工が困難となるほか、ブリードアウトが生じ、物理的特性の低下を招く。
【0034】
(e)無機充填材;
本発明において好適に使用される(e)繊維状および/または鱗片状の無機充填材は、好ましくはケイ酸カルシウム繊維、マイカおよびタルクの群から選ばれた少なくとも1種である。なかでも、ケイ酸カルシウム繊維が好ましい。ケイ酸カルシウム繊維は、CaSiO3で表される化合物であり、石灰質原料およびケイ酸質原料から製造される。その結晶構造は、四面体が一次元方向につながった単鎖構造を基本骨格としている化合物である。繊維形状としては、アスペクト比(繊維長/繊維径の比)が、100以下のものが好ましく、より好ましくは10以下のものである。例えば、繊維の大きさは、平均繊維径が1〜10μmであり、平均繊維長が8〜70μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは20〜50μmのものである。平均繊維長が8μm未満であると、充分な物理的補強効果、寸法安定性が得られず、一方、平均繊維長が70μmを超えると、成形品外観が悪くなったり、反り、変形などの問題が生じる。鱗片状の無機充填材を用いた場合の形状としては、アスペクト比(平均直径/厚さの比)が1以上のものが好ましく、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、特に好ましくは10以上のものである。(e)無機充填材は、(b)〜(d)成分との相溶性を高めるため、チタネートカップリング、シランカップリングなどの表面処理が施されたものも、使用が可能である。
【0035】
本発明において、必要に応じて(e)成分を添加する場合の、制電性樹脂組成物中における(e)成分の配合割合は、(a)〜(d)成分の合計100重量部に対し、3〜80重量部、好ましくは5〜60重量部である。(e)成分の配合割合が3重量部未満であると、寸法安定性が劣り、精密な成形品には不向きである。一方、80重量部を超えると、成形性および成形品表面の平滑性、強度が低下する。
【0036】
本発明の制電性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわないかぎり、各種充填材、安定剤、着色剤、強化用ゴム、エラストマー成分、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)剤、金属粉などの添加剤を配合することができる。
【0037】
本発明の組成物は、予備混合し、溶融混練して、通常の2次加工原料形態であるペレット状コンパウンドとして使用することができる。ペレット加工することによって、各種成分を均一に予備分散ならしめ、高分子特性としての安定性を得ることができる。
ペレット状コンパウンドの加工において用いられる予備混合機としては、予備分散、分配、拡散混合を目的とするブレンダーが用いられる。ブレンダーの代表例としては、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー(スーパーミキサー)、タンブラーミキサー、タンブルミキサー、エアーブレンダーなどが挙げられる。これらの予備混合機は、各配合物の形態や拡散レベル、および、溶融混練機に応じて選定される。また、予備混合機を用わず、各配合物をそれぞれ異なるブラベンダーなどの定量切出機を用いて、溶融混練機に投入してもよい。
溶融混練機としては、一般的には単軸、二軸押出機、バンバリー式、ロール式などが挙げられる。これらも、組成物の形態や目的、生産性に応じて選定し、溶融混練することにより、ペレット状の原料を製造することが可能である。
また、各成分の投入方法、順序も、適宜選択できる。好ましくは、(e)成分以外の各成分が溶融状態になったのち、必要に応じて(e)無機充填材、好ましくはケイ酸カルシウム繊維を溶融混合すると、繊維破断が少なく、材料強度の低下を防止する。
【0038】
また、本発明の組成物は、配合物をドライブレンドして得られるパウダー状としても使用できる。上記ペレット状コンパウンドの加工において用いられる予備混合機を用いて、ドライブレンドしてパウダー状の混合物の原料を製造することも可能である。
さらに、本発明の組成物は、(b)成分と(c)金属塩、または(b)成分、(c)成分、および上記(d)成分を、さらに必要に応じて、他の構成成分を溶融混練して得られるペレット状コンパウンドをマスターバッチとして使用し、(a)熱可塑性樹脂と混合して用いてもよい。
【0039】
本発明の組成物は、あらゆる成形方法に対応でき、各成形機で溶融され、異形押出を含む押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、エンボス成形など各種成形機による成形加工が可能である。
上記射出成形、押出成形などの成形機は、通常使用される一般的な仕様のものが採用できる。
例えば、射出成形の場合、一般的な射出成形機を使用することが可能である。一般的に、ペレット状コンパウンドを用いると、成形品の仕上りが良好であり、物理的性能も安定する。
このように、本発明の組成物は、用途に応じて成形方法を選択することができる。
【0040】
本発明の制電性樹脂組成物は、その優れた特性を生かし、OA機器、家電分野、電気・電子分野、車両分野、その他の各種パーツ、ハウジング、パッケージなどに好適に使用することができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中における部および%は、特に断らない限り、重量基準である。
【0042】
試験片の調製;
サンプルペレットを、型締力80tonの射出成形機により、試験片を成形した。成形条件は、シリンダー温度220℃、金型温度60℃で行った。
【0043】
物性測定;
試験片を室温23±2℃、相対湿度50%中で24時間調整後、下記物性の測定を行った。
(1)曲げ強度(曲げ弾性率)
ASTM D760に準じて測定した。下記表中の単位は、MPaである。
(2)アイゾット(IZOD)衝撃強度
厚み1/4インチ、ノッチ付きの試験片を使用して、ASTM D256に準じて測定した。下記表中の単位は、J/mである。
【0044】
(3)表面固有抵抗値
幅6×長さ6×厚み0.3(cm)の射出成形試験片を用い、三菱化学(株)製、ハイレスタにて、ASTM D257に準じて測定を行った。測定結果が、1×1012Ω/sq.を超えて、計測が不正確になった場合は、「レンジオーバー」と表記した。
(4)成形性、表面平滑性、寸法安定性
下記実施例1〜27、比較例1〜18について、評価を行った。サンプルペレットを型締力220tonの射出成形機により、幅13×長さ32×厚み0.5(cm)11点ゲートの金型を用い、シリンダー温度220℃、金型温度60℃にて成形品を作製した。成形品の状態について観察を行ない、以下のようにして評価した。
【0045】
成形性;
下記実施例1〜27、比較例1〜18について、成形品の成形性(流動性、離型性、ショート、スプルー切れなどの総合判定)は、下記の判断基準により評価した。
◎:非常に良好
○:成形可能
△:成形可能であるが、安定した成形操作が行えない。
×:成形不可能
【0046】
成形品外観(表面平滑性);
下記実施例1〜27、比較例1〜18について、成形品の平滑性、艶むら、ウェルドマーク、フラッシュマーク、毛羽立ちなどの総合判定は、成形品を目視して下記の判断基準により評価した。
◎:非常に良好
○:使用可能
△:汎用部品には使用可能であるが精密部品には不向き
×:使用不可その他不具合について合わせて表記した。
【0047】
寸法安定性;
下記実施例9〜19、21、23、25、27、比較例3、4、7、8、11、12、15、16について、寸法安定性を評価した。寸法安定性の評価は、成形品の形状として問題となる 反り、ひけ、変形などを目視にて評価した。
透明性;
下記実施例28〜44、比較例21〜24について、透明性を評価した。透明性の評価は、SEKIREI社製、方眼紙(CROSS SECTION PAPER 300A 1m/m blue section)の上面から、20cmの高さに厚さ3mmの試験片を設置し、方眼紙の上面から、40cmの高さから透明性を目視で判断した。
◎:3mmの試験片を2枚重ねて置き、1mm間隔の線が確認できる。
○:3mmの試験片を1枚置き、1mm間隔の線が確認できるが、2枚重ねると確認できない。
×:3mmの試験片を1枚置き、1mm間隔の線が確認できない。
【0048】
(a)熱可塑性樹脂;
(a−1)ABS樹脂(曲げ弾性率;2,500MPa)東レ(株)製、商品名トヨラック 600を用いた。
(a−2)透明ABS樹脂(曲げ弾性率;2,000MPa)JSR株式会社製、商品名JSR ABS55を用いた。
(a−3)PMMA樹脂(曲げ弾性率;3,400MPa)旭化成工業(株)製、商品名デルペット60Nを用いた。
【0049】
(b)極性基を有する熱可塑性樹脂;
(b−1)ポリエーテルエステルアミド(以下、下記の表において「PEEA」として示す)として、三洋化成工業(株)製、ペレスタット6321(Tg;−45℃〜−55℃)を用いた。
(b−1−2)ポリエーテルエステルアミド(以下、下記の表において「PEEA−2」として示す)として、荒川化学工業 (株)製、AE506(Tg;−40℃〜−60℃)を用いた。
(b−2)ポリエステルエラストマーとして、東洋紡績(株)製、ポリエーテル/ポリエステル系熱可塑性ポリエステルエラストマー(商品名ペルプレンP−40B、Tg;−70〜−60℃)を用いた。
【0050】
(b−3)脂肪族ポリエステル樹脂として、昭和高分子(株)製 ビオノーレ3001(Tg;−45℃)を用いた。
(b−4)ポリウレタンエラストマーとして、大日本インキ化学製アジペート系ポリウレタン、パンデックスT−1190(Tg;−45〜−40℃)を用いた。
(b−5)ポリアミドエラストマーとして、エルフアトケム社製 ペバックス2533(Tg;−70〜−60℃)を用いた。
【0051】
(c)金属塩;
(c−1);過塩素酸リチウムLiClO4
(c−2);ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO2)2
(c−3);トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)
(d)成分;
(d−1);ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート
(d−2);ビス(2−ブトキシエチル)フタレート
(d−3);トリエチレングリコールジアセチル
【0052】
(e)成分;(成形性、表面平滑性、寸法安定性に優れる充填材)
(e−1)ケイ酸カルシウム繊維〔平均繊維径;1〜10μm、平均繊維長;20〜40μm、土屋カオリン(株)製、商品名「ケモリットS−3」〕
(e−2)タルク〔平均粒径;7μm、竹原化学(株)製、商品名「タルクTT」〕
(e−3)マイカ〔平均粒径;90μm、(株)クラレ製、商品名「スゾライト・マイカ200KI」〕
【0053】
(f)成分;(一般充填材)
ガラス繊維〔平均繊維径;13μm、平均繊維長;3mm、日東紡(株)製、商品名「グラスファイバーCS−3PE−291S」〕
炭素繊維〔ピッチ系炭素繊維(平均繊維径;12μm、平均繊維長;3mm)、大阪ガス(株)製、商品名「ザイラスGC−03J−415」〕
【0054】
実施例1〜8、20、22、24、26
比較例1〜2、5〜6、9〜10、13〜14、17〜18
組成物の調製;
下記表の配合処方に従い、(a)熱可塑性樹脂と(b)極性基を有する熱可塑性樹脂に、(c)金属塩、または(c)金属塩を溶解させた(d)成分をタンブラーミキサーにより予備ドライブレンドし、47mm同方向2軸押し出し機により220℃で溶融混練を行った。ダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を水槽にて冷却処理し、カッターに通して制電性樹脂組成物のペレットを作製した。結果を表に示す。なお、実施例1、2、3、4は参考例である。
【0055】
実施例9〜19、21、23、25、27、比較例3〜4、7〜8、11〜12、15〜16
組成物の調製;下記表の配合処方に従い、(a)熱可塑性樹脂と(b)極性基を有する熱可塑性樹脂に、(c)金属塩、または(c)金属塩を溶解させた(d)成分をタンブラーミキサーにより予備ドライブレンドし、47mm同方向2軸押し出し機により220℃で溶融混練を行った。(e)成分あるいは(f)その他の無機充填材を溶融状態の混合物に、押し出し機の途中のバレルより定量フィーダーを用いて切り出し投入した。投入後ダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を水槽にて冷却処理し、カッターに通して制電性樹脂組成物のペレットを作製した。結果を表に示す。なお、比較例19〜20は欠番である。
【0056】
実施例28〜37、比較例21〜24
組成物の調製;
下記表の配合処方に従い、(a)熱可塑性樹脂と(b)熱可塑性エラストマーに、(c)金属塩、または(c)金属塩を溶解させた(d)成分をタンブラーミキサーにより予備ドライブレンドし、47mm同方向2軸押し出し機により220℃で溶融混合した後、ダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を水槽にて冷却処理し、カッターに通して制電性樹脂組成物のペレットを作製した。結果を表に示す。なお、実施例33は参考例である。
【0057】
実施例38〜41
組成物の調製;下記表の配合処方に従い、(a)熱可塑性樹脂と(b)熱可塑性エラストマーに、(c)金属塩を溶解させた(d)成分をタンブラーミキサーによりドライブレンドし、配合物を得た。配合物を型締力80tonの射出成形機により、試験片を成形した。成形条件は、シリンダー温度220℃、金型温度60℃で行った。結果を表に示す。なお、実施例40は参考例である。
【0058】
実施例42〜44
組成物の調製;
下記表の配合処方に従い、(b)熱可塑性エラストマーに、(c)金属塩を溶解させた(d)成分をタンブラーミキサーにより予備ドライブレンドし、47mm同方向2軸押し出し機により220℃で溶融混合し、ダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を水槽にて冷却処理し、カッターに通して熱可塑性エラストマー樹脂組成物のペレットを作製した。このペレットと、下記表の配合処方に従い、(a)熱可塑性樹脂とを混合した配合物を、型締力80tonの射出成形機により、試験片を成形した。成形条件は、シリンダー温度220℃、金型温度60℃で行った。結果を表に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
実施例1〜8、20、22、24、26においては、いずれも表面固有抵抗値が1012Ω/sq.未満であり制電性を示し、かつ曲げ弾性率も1,500MPa以上であり、制電性に優れる。
実施例9〜14、21、23、25、27は、寸法安定性に特に優れる。ICトレイなどの用途に優れた組成物である。
一方実施例15〜19は、いずれも表面固有抵抗値が1012Ω/sq.未満であり制電性を示し、(a)成分であるABS樹脂の半分以上の曲げ弾性率(1,250MPa)以上を有する。寸法安定性や、表面の平滑性が劣るものもあるが、ICトレイ以外の用途であれば、幅広く応用できる組成物である。
【0066】
特に実施例1〜8については、成形加工性、表面平滑性に特に優れ、さらには軽量な成形品が得られ(例えば、比重が1.1以下のものが得られる。)、電機製品などの外装材に好適な組成物である。
また、実施例18〜19は、成形性、表面平滑性、寸法安定性に問題があるが、曲げ弾性率が3,000MPa以上であり、特に剛性を必要とした、形状の複雑さを要求されない用途においては好適な組成物である。
【0067】
実施例28〜37は、透明性を示し、表面固有抵抗値が1012Ω/sq.未満であり、透明性が求められる用途に特に優れた組成物である。実施例28〜33は(a−2)透明ABS樹脂と同様の透明性を、実施例34〜35は(a−3)PMMA樹脂と同様の特に高い透明性を示した一方、若干黄色を帯びた。実施例36は(a−3)同様の透明性、無色の色調をしめし、実施例37は(a−3)に比較し、透明性に若干劣る。
【0068】
実施例38〜41は、混練、ペレット化の工程を省け、製品化のメリットもある。一方表面固有抵抗値の安定性に若干かける。
実施例42〜44は、マスターバッチとして使用することにより、製品化のメリットがある上、マスターバッチ(b),(c),(d)の添加量を変えることにより、容易に成形加工時に、表面固有抵抗値の制御が可能である。
【0069】
比較例1〜18については、表面固有抵抗値がレンジオーバーであり制電性を示さないか、もしくは(a−1)ABS樹脂の半分以上の曲げ弾性率(1,250MPa)以下であり、ABS樹脂としての物理特性を示さない。比較例23〜24については、本発明の(c)成分を含まない例であり、いずれも表面固有抵抗値がレンジオーバーであり制電性を示さない。
【0070】
【発明の効果】
本発明の制電性樹脂組成物は、表面固有抵抗値、曲げ弾性率、強度、成形性、成形品表面平滑性、寸法安定性、透明性などに優れに優れ、OA機器、家電分野、電気・電子分野、車両分野、その他の各種パーツ、ハウジング、ICトレイ、キャリアリールなどのパッケージに好適に使用することができる。
Claims (2)
- (a)熱可塑性樹脂(ポリ乳酸系樹脂を除く)、(b)ポリエーテルエステルアミド樹脂、ポリエステルエラストマー、脂肪族ポリエステル、ポリウレタンエラストマーおよびポリアミドエラストマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂〔ただし、上記(a)成分を除く〕、ならびに、(c)LiClO4,Na ClO4,Mg(ClO4)2,KClO4,(CF3SO3)Li,(CF3SO2)2NLi,(CF3SO2)2NNa,(CF3SO2)3CLiおよび(CF3SO2)3CNaからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属塩、および
(d)アジピン酸ジブトキシエトキシエチル(すなわち、ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート)およびビス(2−ブトキシエチル)フタレートから選ばれた少なくとも1種
を含有し、かつ、上記(a)成分/(b)成分の配合割合が、75〜97重量部/25〜3重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕であり、(a)成分および(b)成分の合計100重量部に対する(c)成分の割合が0.001〜30重量部、(a)成分および(b)成分の合計100重量部に対する(d)成分の割合が0.1〜20重量部であることを特徴とする制電性樹脂組成物。 - さらに、(e)繊維状および/または鱗片状の無機充填材を(a)〜(d)成分の合計100重量部に対し、3〜80重量部含有する請求項1記載の制電性樹脂組成物。
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